説明

蓄熱粒子分散液及びその製造法並びに繊維

【課題】優れた蓄熱性を有する吸放湿性の高い繊維を提供する。
【解決手段】下記(C)及び(D)を満たす蓄熱粒子が分散している繊維。
(C)融点が−10℃〜100℃であって、潜熱が30J/g以上であるポリマー、オリゴマー又はそれらの架橋体のいずれかからなる蓄熱粒子
(D)平均粒径が500nm以下

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄熱粒子分散液及びその製造法、並びにこれにより処理された繊維に関する。
【背景技術】
【0002】
温度変化が著しい環境において使用される衣服等に、様々な温度調節用蓄熱性部材が利用されている。
例えば、一般に常温付近に融点を有する物質を封入したマイクロカプセルを布に固着したものや、マイクロカプセルを含有する合成樹脂を紡糸し、得られた繊維を布地とする方法が知られている。
【0003】
特許文献1では、蓄熱性物質として、パラフィンワックスとポリエチレン樹脂との組成物を芯材とした複合繊維が提案されている。
しかし、マイクロカプセルを布地に固着させたものでは、固着に使用した接着剤が布地を硬くし風合いを損なったり、また、塗布した接着剤により、布地に必要な透湿性が低下したりするため、衣服としての機能低下が問題となっていた。一方、マイクロカプセルを含有する合成樹脂を紡糸し、得られた繊維を布地とする方法については、マイクロカプセルの粒子径が大きいため、紡糸工程や織りこみ工程で糸切れを起こす恐れが生じていた。
また、パラフィンワックス組成物を芯材とした複合繊維は、ワックス配合時や複合繊維製造時にワックスが熱により飛散する等により製造に困難が伴い、また、そのため十分な蓄熱性能がでない等の問題があった。
【0004】
特許文献2では、ワックスを練り込んだ複合繊維が提案されている。しかし、ワックス配合時や複合繊維製造時にワックスが熱により飛散するという製造上の問題があった。また熱によりワックスが飛散することで蓄熱性能が低下することもあった。
【0005】
特許文献3〜5では、合成樹脂を構成成分とする優れた蓄熱性能の蓄熱性繊維を提案している。
【特許文献1】特開平8−311716号公報
【特許文献2】PCT/US2001/029648
【特許文献3】特開2004−3087号公報
【特許文献4】特開2003−268359号公報
【特許文献5】特開2004−26971号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一方、特に人体に接触する用途においては、人体から発する汗や湿気を吸収放出する機能が備わっていることが好ましい。そのため、特許文献3〜5に記載の蓄熱材料を、優れた蓄熱性能を活かしつつ吸放湿性の高い繊維(例えば、セルロース繊維等)に応用することが求められていた。
【0007】
ところで、吸放湿性の高い樹脂、例えば再生セルロース繊維を製造する過程(湿式紡糸法)では、セルロースを水系溶媒に溶解させる必要がある。また、天然セルロース繊維を加工する際に用いる繊維処理剤も、通常、水系溶媒で調製される。
【0008】
特許文献3〜5の蓄熱材料は疎水性の極めて高い材料であるので、親水性(吸放湿性)の高いセルロース等の繊維の内部に混入することは、従来困難であった。
【0009】
本発明の目的は、優れた蓄熱性を有する吸放湿性の高い繊維を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、鋭意研究の結果、蓄熱粒子を微分散化させた分散液で繊維を処理すると、吸放湿性の高いセルロース等の繊維に蓄熱粒子を分散させることができることを見出し、本発明を完成させた。
【0011】
本発明によれば、以下の分散液等が提供される。
1.下記(A)及び(B)を満たす蓄熱粒子が、溶媒に分散している分散液。
(A)融点が−10℃〜100℃であって、潜熱が30J/g以上であるポリマー、オリゴマー又はそれらの架橋体のいずれかからなる蓄熱粒子
(B)平均粒径が500nm以下
2.前記蓄熱粒子が、式(1)に示される、主鎖部X、結合部Y及び側鎖Zから構成され、側鎖Zが結晶化し得る、結晶性ユニットを、主構成成分とする1に記載の分散液。
【化2】

3.前記溶媒が水である、1又は2に記載の分散液。
4.前記蓄熱粒子の由来となるモノマー、界面活性剤及び重合開始剤を含む溶液を、加熱する又は紫外線を照射することで反応させる1〜3のいずれかに記載の分散液の製造方法。
5.1〜3のいずれかに記載の分散液を含む繊維処理剤。
6.下記(C)及び(D)を満たす蓄熱粒子が分散している繊維。
(C)融点が−10℃〜100℃であって、潜熱が30J/g以上であるポリマー、オリゴマー又はそれらの架橋体のいずれかからなる蓄熱粒子
(D)平均粒径が500nm以下
7.5に記載の繊維処理剤で処理された繊維。
8.前記繊維が再生セルロース繊維である6に記載の繊維。
9.前記繊維が天然セルロース繊維である7に記載の繊維。
10.6又は8に記載の繊維が芯材である芯鞘繊維。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、優れた蓄熱性を有する吸放湿性の高い繊維が提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の分散液は、以下の(A)及び(B)を満たす蓄熱粒子が、溶媒に分散されているものである。
(A)融点が−10℃〜100℃であって、潜熱が30J/g以上であるポリマー、オリゴマー又はそれらの架橋体のいずれかからなる蓄熱粒子
(B)平均粒径が500nm以下
【0014】
蓄熱粒子の融点は−10℃〜100℃であり、好ましくは10℃〜50℃である。
蓄熱粒子の潜熱は30J/g以上であり、好ましくは、50J/g以上である。
また、蓄熱粒子の平均粒径は500nm以下であり、好ましくは200nm以下、より好ましくは150nm以下、特に好ましくは10nm〜120nmである。粒子の平均粒径がこの範囲であれば、直径の細微な(極細)繊維に配合しても、繊維母材の連続性を損なわないため、繊維の強度等に影響を与えず、かつ良好な蓄熱性能を発揮できる。
粒径の下限は通常10nmである。10nm未満の蓄熱粒子は製造することが難しいうえ、一般的な繊維製品に用いる繊維(糸)の平均繊維径は3μm〜100μmであり、この繊維の中に蓄熱粒子を混合させる場合は、粒径が10nmまで小さくなれば、これ以上粒径を小さくさせる必要性に乏しいからである。
【0015】
分散液の溶媒は、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、酢酸、又はこれらの溶媒の混合物等であり、好ましくは水である。
【0016】
本発明の分散液は、好ましくは、(メタ)アクリル酸エステルモノマー及び/又は高級脂肪酸ビニルモノマーの乳化重合により得られるナノ粒子ポリマーの水分散体である。
これにより蓄熱粒子の水性紡糸原液への直接配合、及び繊維処理剤化を可能とし、ひいてはセルロース繊維への蓄熱性能付与を可能となる。
【0017】
蓄熱材料は、その特性を損なわない範囲において、任意に親水性モノマー及び/又は架橋性モノマーを添加してもよい。
【0018】
親水性モノマーを添加することにより、セルロースと蓄熱粒子との接着性を向上させることができる。
親水性モノマーとして、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル等が挙げられる。
【0019】
架橋性モノマーを添加することにより、融解時の蓄熱材料の流動性を抑制し、セルロース繊維からの蓄熱材料の溶出を抑えることができる。
架橋性モノマーとして、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、ポリオキシエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0020】
親水性モノマーを添加する場合、添加量は、好ましくは、蓄熱粒子の由来となるモノマー及び親水性モノマーの重量(架橋性モノマーも添加する場合は、架橋性モノマーの重量も含む)の総和を100重量%として、0〜10重量%である。
親水性モノマーの添加量が10重量%を超えると、本発明の分散液に用いる溶媒が水である場合、重合した蓄熱粒子の分散性が向上するが、蓄熱性(温度調節機能)が低下する恐れがある。親水性モノマーの添加量は、より好ましくは0.2〜6重量%である。
【0021】
架橋性モノマーを添加する場合、添加量は、好ましくは、蓄熱粒子の由来となるモノマー及び架橋性モノマーの重量(親水性モノマーも添加する場合は、親水性モノマーの重量も含む)の総和を100重量%として、0〜5重量%である。
架橋ポリマーの添加量が5重量%を越えると、これ以上増やしても、架橋構造(3次元網目構造)により重合したポリマー構造が崩れにくくなるという効果は増えない。架橋ポリマーの添加量はより好ましくは0.2〜3重量%である。
【0022】
具体的な蓄熱粒子として、例えば、以下の(I)及び(II)が挙げられる。
(I)式(1)に示される主鎖部X、結合部Y及び側鎖Zから構成され、側鎖Zが結晶化し得る結晶性ユニットを、主構成成分とするポリマー及びオリゴマー
【化3】

(II)上記ポリマー又はオリゴマー(I)の架橋体(架橋蓄熱粒子)
【0023】
これらの蓄熱粒子(I)及び(II)は、所望の温度範囲において、側鎖Zの非結晶化又は結晶化により相変化(融解、凝固)し、その際、大きな潜熱を放出又は吸収する。従って、これらの蓄熱粒子は、外気温度が上昇すると熱を吸収して融解し、外気温度が低下すると熱を放出して凝固するので、外気温度の変動を和らげ、一定の温度が保たれ易く、蓄熱材料としての機能を発揮する。また、蓄熱粒子(I)及び(II)では、式(1)の主鎖部Xが、上記の温度範囲では融解せず、さらに、蓄熱粒子(II)では、架橋によって三次元網目構造となるので、材料全体が流出することなく形状は保持される。また、これらの蓄熱粒子(I)及び(II)は、側鎖の長さを調節することにより、融点を容易に調節できる。
【0024】
まず、蓄熱粒子(I)及び(II)について説明する。
蓄熱粒子(I)及び(II)において、式(1)の主鎖部Xは、側鎖Zの結晶化を阻害する構造でなければ特に限定されないが、好ましくは、
【化4】

から選択される少なくとも一種類である。
結合部Yは、主鎖部Xと側鎖Zを結合する部であり、原子ユニットを意味する。側鎖Zは、結晶化できれば特に限定はされないが、好ましくは、炭素数9以上の炭化水素基を含み、さらに好ましくは、炭素数9以上の直鎖アルキル基を含む。
結合部と側鎖Y−Zは、好ましくは、−CO−O−R、−O−CO−R、−O−R、−CH−Rから選択される少なくとも一種類であり、Rは、炭素数9以上の炭化水素基であり、さらに好ましくは、炭素数9以上の直鎖アルキル基である。
【0025】
式(1)のポリマーとして、好ましくは、以下に示す、ポリメタクリレート系、ポリアクリレート系、ポリビニルエステル系、ポリビニルエーテル系又は炭化水素系である。
【化5】

【0026】
式(1)のポリマーとして、より好ましくは、高級脂肪酸ビニルモノマーを重合したもの、(メタ)アクリル酸エステルモノマーを重合したもの又はこれらの共重合体である。
【0027】
高級脂肪酸ビニルモノマーは、好ましくは、炭素数12〜24の高級脂肪酸のビニルエステルである。
(メタ)アクリル酸エステルモノマーは、好ましくは、エステル基が炭素数12〜24の直鎖アルキル基である。
高級脂肪酸ビニルモノマー及び(メタ)アクリル酸エステルモノマーは、単一成分でも複数成分の混合物でもよい。
【0028】
高級脂肪酸ビニルモノマーの高級脂肪酸及び(メタ)アクリル酸エステルモノマーのエステル基の炭素数が12〜24を外れると、潜熱が小さくなりすぎてポリマーの温度調節機能が低下したり、ポリマーの相転移温度が狙った温度、例えば人間が生活する温度、特に人体の温度近傍から外れる恐れがあり、この場合は温度調整ポリマーとしての実用的な価値が低下する。
【0029】
高級脂肪酸ビニルモノマーの具体例として、ビニルラウレート、ビニルミリステート、ビニルパルミテート、ビニルステアレート、ラウリルビニルエーテル、ミリスチルビニルエーテル、パルミチルビニルエーテル及びステアリルビニルエーテル等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステルモノマーの具体例として、ドコシルメタクリレート、ヘンエイコシルメタクリレート、エイコシルアクリレート、ノナデシルアクリレート、ヘプタデシルアクリレート、パルミチルアクリレート、ペンタデシルアクリレート、ステアリルアクリレート、ラウリルアクリレート、ミリスチルアクリレート、ミリスチルメタクリレート、ペンタデシルメタクリレート、パルミチルメタクリレート、ヘプタデシルメタクリレート、ノナデシルメタクリレート、エイコシルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、(パルミチル/ステアリル)メタクリレート等が挙げられる。
【0030】
また、好ましい蓄熱粒子(II)の例として、上記蓄熱粒子(I)の具体例の架橋体が挙げられる。
【0031】
好ましくは、主鎖部X、結合部Y及び側鎖Zの重量は、以下の式を満たす。
Z/(X+Y+Z)≧0.75
即ち、側鎖Zの結晶性ユニットに占める割合は75重量%以上である。75重量%未満では、側鎖Zが結晶化できなくなり、蓄熱性を発揮することができない恐れがある。
【0032】
蓄熱粒子(I)及び(II)は、その特性を損なわない範囲において、親水性ユニット等の他のユニットを含むことにより、所望の機能を発揮させることもできる。
【0033】
蓄熱粒子(I)の重量平均分子量Mwは、好ましくは1,000〜2,000,000、より好ましくは10,000〜1,000,000である。Mwが1,000未満では、製品強度が弱く、また、融解時の粘度が低いため、使用時に製品から溶出し、ベトツキ等の原因となる場合がある。一方、2,000,000を超えると、蓄熱粒子としての流動性が悪化するため、紡糸、成形加工性が低下する場合がある。
【0034】
蓄熱粒子(I)及び(II)の融点、即ち、側鎖Zが非結晶化する温度は、好ましくは−10〜100℃である。この範囲の下限は、より好ましくは0℃、さらに好ましくは10℃である。この範囲の上限は、より好ましくは80℃、さらに好ましくは50℃、特に好ましくは40℃である。
融点が100℃を超えると、これらの材料は、日常の使用雰囲気下において、常に固体状態で存在するため、昇温時に結晶化熱を吸収する性質を利用することができないため、蓄熱材料としての機能を十分に果たし難くなる。
また、融点が−10℃未満では、日常の使用雰囲気下において、これらの材料は、常に液体状態で存在するため、凝固時に熱を放出する性質を利用できないため、蓄熱材料としての機能を十分に果たし難くなる。
【0035】
蓄熱粒子(I)及び(II)の融点と凝固点の差は、好ましくは15℃以内である。15℃より大きくなると、吸熱、放熱する間隔が広いため、蓄熱材料として所望の狭い温度範囲で機能を発揮し難くなる。
【0036】
蓄熱粒子(I)及び(II)の潜熱は、上記の融点の範囲において、好ましくは30J/g以上、より好ましくは50J/g以上である。潜熱が30J/g未満では、蓄熱材料としての効果が不十分となる恐れがある。また、通常200J/g以下である。
【0037】
蓄熱粒子(I)及び(II)は、所定の温度範囲で、側鎖Zが大きな潜熱を伴って可逆的に結晶化、非結晶化の相転移をするが、主鎖Xはかかる相転移はしない。
【0038】
蓄熱粒子(I)及び(II)の50℃における40重量%トルエン溶液の溶液粘度は、好ましくは100mm/s以上、より好ましくは120mm/s以上である。100mm/s未満では、蓄熱粒子が漏洩する恐れがあり、布地のベタツキ等の原因となる。
【0039】
ここで、融点、凝固点及び潜熱とは、それぞれ示差走査熱量測定(DSC)で測定し、融点は、融解ピークの頂点の温度を、凝固点は、結晶化ピークの頂点の温度を意味する(JIS K 7121)。尚、融点は、一度融解ピーク終了時より高い温度まで加熱し、所定温度まで冷却した後、再度加熱した時に得られる融解ピークの頂点の温度を融点とした。
【0040】
次に、本発明の分散液の製造方法について説明する。
蓄熱粒子の分散液は、好ましくは、蓄熱粒子の由来となるモノマー、界面活性剤及び重合開始剤を含む溶液を、加熱する又は紫外線を照射することで反応させることにより調製することができる。蓄熱粒子の由来となるモノマーには、蓄熱粒子を主に構成するモノマーの他、親水性モノマーや架橋性モノマーも含む。
【0041】
また、本発明の分散液を調製する際に用いられる溶液の溶媒は、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、酢酸、又はこれらの溶媒の混合物等が挙げられる。好ましくは水である。
【0042】
本発明の分散液は、例えば、(メタ)アクリル酸エステルモノマー及び/又は高級脂肪酸ビニルモノマー等のモノマーを界面活性剤により水等の溶媒中にエマルジョン化した後、重合開始剤を投入し、加熱又は紫外線を照射することによりナノサイズの蓄熱粒子を製造することにより、得ることができる。
【0043】
モノマーの配合量は、溶媒、モノマー及び界面活性剤の総重量に対して好ましくは5〜60重量%、より好ましくは10〜35重量%である。
モノマーの配合量が5重量%未満の場合、後述する繊維中の蓄熱粒子の含有量を増やすことが難しくなったり、溶媒を除去するためのエネルギーが増大する恐れがある。モノマーの配合量が60重量%を超えた場合は、溶液中の分散性が悪くなる恐れがある。
【0044】
乳化重合の際に用いられる界面活性剤は、アニオン系、ノニオン系及びカチオン系のいずれの界面活性剤を使用することができる。
アニオン系界面活性剤として、例えば、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、p−ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、トリデシル−ポリオキシエチレン−スルホン酸ナトリウム等が挙げられる。
【0045】
ノニオン系界面活性剤として、例えば、ポリオキシエチレン−モノドデシルエーテル、ポリオキシエチレン/プロピレン−モノトリデシルエーテル、デカグリセリン−モノドデシルエーテル等が挙げられる。
【0046】
カチオン系界面活性剤として、例えば、塩化ドデシルトリメチルアンモニウム、スルホニル−ジ(ドデシルトリエチルアンモニウム)、エタンスルホニル−エチルジメチルトリデシルアンモニウム等が挙げられる。
【0047】
界面活性剤の配合量は、溶媒、モノマー及び界面活性剤の総重量に対して好ましくは1〜40重量%、より好ましくは5〜20重量%である。
界面活性剤の配合量が1重量%未満の場合は、蓄熱材料からなるポリマーの溶媒への分散性が低下するため、繊維中に十分な蓄熱性能(又は温度調節機能)が発現できる量を含ませることが難しくなる恐れがある。
界面活性剤の配合量が40重量%を超えた場合は、本発明の溶液中の有効成分である蓄熱粒子の含有量が少なくなるため、後述する繊維中の蓄熱粒子の含有量を増やすことが難しくなる恐れがある。
【0048】
重合開始剤は、水溶性重合開始剤及び脂溶性重合開始剤のいずれも使用することができる。
水溶性重合開始剤として、例えば、2,2’−アゾビス(イソブチルアミジン)二塩酸塩、過硫酸アンモニウム等が挙げられる。
脂溶性重合開始剤として、例えば、ラウロイルパーオキシド、m−クロロ過安息香酸、α,α’−アゾビスイソブチロニトリル等が挙げられる。
【0049】
重合開始剤の配合量は、蓄熱粒子の由来となるモノマー成分を100重量部として、好ましくは、0.1〜5重量部、より好ましくは、0.5〜3重量部である。
重合開始剤の配合量が0.1重量部未満の場合は、蓄熱粒子の由来となるモノマーの重合が進まず、十分な分子量になっていないものの割合が増える恐れがある。重合開始剤の配合量が5重量部を超えた場合は、それ以上添加しても、重合開始剤の効果が出にくくなる。
【0050】
乳化重合する際の反応温度は、好ましくは50〜120℃であり、より好ましくは80〜100℃である。反応温度が50℃未満の場合は、蓄熱粒子の由来となるモノマーの重合が進みにくくなる恐れがある。反応温度が120℃を超えると、溶媒が沸騰する恐れがある。
【0051】
製造条件により蓄熱粒子の平均粒径が、500nmを上回る場合には、製造後の液剤から大粒径粉体をろ過し除くこともできる。この場合、ろ過は加圧、減圧及び常圧下で行ってよく、平板ろ紙、筒状ろ紙、ろ布、不織布のいずれを用いてもよい。
【0052】
本発明の繊維は、下記(C)及び(D)を満たす蓄熱粒子が分散している繊維である。
(C)融点が−10℃〜100℃であって、潜熱が30J/g以上であるポリマー、オリゴマー又はそれらの架橋体のいずれかからなる蓄熱粒子
(D)平均粒径が500nm以下
【0053】
本発明の繊維は、繊維中に、実用上十分な蓄熱性能を発揮できる程度まで蓄熱粒子を含んでいる。蓄熱材料はナノレベル粒子で重合していて、分散液中にナノレベルで分散しているので、この分散液を用いた繊維処理剤で処理した繊維や、この分散液を含む湿式紡糸溶液を用いて製造した繊維は、吸放湿性が高く、実用レベルにある繊維径数μm〜100μmの細い繊維(例えば、セルロース繊維等)を用いることができる。さらに、繊維径が1μm以下の極細繊維への配合も可能である。
【0054】
本発明の繊維は、例えば以下の2つの方法により得られる。
第一の方法は、原料となる繊維を、本発明の分散液を含む繊維処理剤で処理することにより得られる。
【0055】
本発明の分散液を繊維処理剤として使用する場合は、このまま使用することができるが、水で希釈したものを使用してもよい。水で希釈する場合、希釈倍率は20倍以下、好ましくは10倍以下で行う。
【0056】
原料となる繊維は、合成繊維(ポリエステル、ナイロン、アクリル等)、半合成繊維(アセテート等)、再生繊維(レーヨン、アセテート、キュプラ等)、天然タンパク質繊維(ウール、シルク)、天然セルロース繊維(綿、麻、ケナフ、バナナ、竹、等)等が挙げられる。
【0057】
より好ましくは、天然セルロース繊維である。繊維形状が凹凸に富み、ナノサイズの蓄熱粒子が細部に浸透し易いからである。
繊維材質が合成繊維の場合も、異型断面糸等の様に形状が複雑で蓄熱粒子が細部に堆積し易い構造のものが好ましい。具体的には波状断面もしくは歯車状断面繊維、又は湿式紡糸法もしくは紡糸後部分溶出法によって製造され、糸の側面及び断面に微細孔を持つ繊維、例えば、帝人株式会社製「ウェルキー」、株式会社クラレ製「スペースマスター」、湿式紡糸によるアクリル繊維等が挙げられる。
【0058】
上記の繊維処理剤で処理する繊維の形態は、糸、織物、不織布、編物等のいずれでもよい。
【0059】
具体的な処理方法としては、浸漬、生地のパッド−ドライ方法、吸尽加工法、糸(ボビン)のチーズ染色法等がある。
【0060】
さらに、蓄熱粒子の繊維への固着力を向上させる目的で、任意にバインダー樹脂を添加してもよい。バインダー樹脂は、例えば、アクリル、シリコン、シリコン含有アクリル及びポリウレタン樹脂等が挙げられ、水溶性でも水エマルジョンでもよい。
【0061】
バインダー樹脂として、具体的には、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸ナトリウム塩の単独重合体又はこれらの共重合体、シロキサン、変性シリコンをエステル残基に含む(メタ)アクリレートの単独重合体又は前記(メタ)アクリル酸系モノマーとの共重合体、ポリオキシエチレングリコール及び/又はポリエステルジオールとヘキサメチレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート等の架橋重合体等が挙げられる。
【0062】
バインダー樹脂を添加する場合、その添加量は、蓄熱粒子の固形分100重量部に対して好ましくは0〜300重量部、より好ましくは20〜100重量部である。
この範囲を超えると、特に疎水性のバインダー樹脂を使用した場合、吸放湿性の高い繊維(例えばセルロース系繊維及びタンパク質系繊維)の長所である、吸水、吸湿性を低下させる恐れがある。
【0063】
本発明の繊維処理剤には、他に防腐剤、増粘剤、SR剤他の、各部材の目的に応じた適量を添加してもよい。
【0064】
第二の方法は、本発明の分散液を、原料となる繊維用樹脂を含む湿式紡糸原液に混合したあと、湿式紡糸により目的の繊維を得る方法である。
この方法は、公知の湿式紡糸法を適用することができる。
実際に紡糸を行うときは、例えば、本発明の分散液を、繊維種に適応した湿式紡糸溶液(主にアルカリ水溶液)に配合し、蓄熱粒子が均一に分散されている溶液を調製して、これを使用する。
原料の繊維は、湿式紡糸法で製造可能な半合成繊維、合成繊維及び再生繊維が使用できるが、好ましくは、再生セルロース繊維である。
溶液を調製するときは、蓄熱粒子が繊維の固形分に対して好ましくは1〜40重量%、より好ましくは5〜25重量%となるように調製する。
【0065】
本発明の繊維は、蓄熱粒子の分散液を配合した湿式紡糸溶液から製造した繊維を芯材、蓄熱粒子の分散液を含まない湿式紡糸溶液から製造した繊維を鞘材とする、芯鞘繊維とすることもできる。
芯鞘繊維を製造する場合、芯材と鞘材の重量比は、好ましくは1:4〜4:1、より好ましくは1:2〜2:1となるように芯材と鞘材の量を調節する。
【0066】
以上の方法により作製された本発明の繊維は、好ましくは、示差走査熱量計(DSC)による測定において、−10℃〜90℃の間に吸発熱のピークを示し、融解時において0.5J/g−糸重以上の蓄熱量を有する。
【実施例】
【0067】
実施例で製造した分散液及び繊維の物性について以下の方法で測定した。
(1)粒度(粒径)測定
蓄熱粒子の粒度測定には、大塚電子株式会社製、電気泳動光散乱光度計 ELS−800を使用した。
(2)繊維及び蓄熱粒子の融点・潜熱
繊維の蓄熱性能及び蓄熱粒子の融点・潜熱の評価には、パーキンエルマー社製、PYRIS−1 DSC(示差走査熱量計)を使用した。測定条件は以下の通りである。
測定温度範囲:−50〜80℃
昇降温速度:10℃/分
(3)蓄熱粒子の分子量
蓄熱粒子の分子量測定には、日本分光社製のGPC測定装置を用い、テトラヒドロフランを溶媒として測定した。分子量はポリスチレン換算で算出した。スラリー(20g)をトルエン(100ml)及び水(100ml)に溶解し、2液を分離しトルエン層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、トルエンを濃縮乾固させることで高純度の蓄熱粒子を得、GPCを測定した。
(4)加工生地の洗濯
生地の洗濯は、市販の家庭用全自動洗濯機を用い、標準水量まで水を満たし、標準使用量の割合で市販洗濯用洗剤を加え、洗い5分間、濯ぎ1回(2分間)、次いで遠心脱水することを洗濯1回とした。必要回数(30回)洗濯した後に、生地を60℃の熱風乾燥機で20分間乾燥し、繊維素材の適温にてドライアイロン仕上げを行った。
【0068】
実施例1
[ポリステアリルメタクリレート(A)/水スラリーの製造]
1Lの4つ口平底フラスコ内で、70%−ジオクチルスルホコハク酸Na(50g)を脱塩水(415g)に溶解した。ステアリルメタクリレート(200g)を加え、窒素ガス気流下、懸濁液を60℃にて30分間攪拌した。2,2’−アゾビス(イソブチルアミジン)二塩酸塩(2g)を投入し、次いで90℃まで昇温し、強攪拌下3時間加熱した。
加熱を停止し、氷水浴で容器全体を冷却し液温を25℃以下とした後、粘調液体を加圧濾過し(ADVANTEC社製試験用濾紙No.5C、目開1μmを使用)凝集固体を除いた。
濾過液として蓄熱粒子を30重量%含む水スラリーを652g採取した(収率:98%)。蓄熱粒子の平均分子量は54万、平均粒径は82nmであった。
【0069】
実施例2
[ポリラウリルメタクリレート(B)/水スラリーの製造]
1Lの4つ口平底フラスコ内で、67%−p−ドデシルベンゼンスルホン酸Na(150g)を脱塩水(307g)に溶解し、ラウリルメタクリレート(200g)を加え、窒素ガス気流下、懸濁液を60℃にて30分間攪拌した。過硫酸ジアンモニウム(2g)/脱塩水(8g)溶液を投入し、次いで90℃まで昇温し、攪拌下2時間加熱した。
加熱を停止し攪拌下にて脱塩水133gを加え、さらに氷水浴で液温20℃以下まで冷却し、粘調液体を加圧濾過した(ADVANTEC社製試験用濾紙No.5C、目開1μmを使用)。
濾過液として蓄熱粒子を25重量%含む水スラリーを786g採取した(収率:98%)。
【0070】
実施例3
[ポリステアリルメタクリレート(C)/水スラリーの製造]
実施例1において、70%−ジオクチルスルホコハク酸Na(50g)/脱塩水(415g)に代え、塩化ドデシルトリメチルアンモニウム(80g)/脱塩水(520g)を用い、2,2’−アゾビス(イソブチルアミジン)二塩酸塩に代え、α,α’−アゾビスイソブチロニトリル(2g)を用いた以外は、実施例1と同一の操作により、蓄熱粒子を25重量%含む水スラリーを681g採取した(収率:85%)。
【0071】
実施例4
[ポリステアリルメタクリレート(D)/水スラリーの製造]
実施例1において、70%−ジオクチルスルホコハク酸Na(50g)/脱塩水(415g)に代え、ポリオキシエチレン/プロピレン−モノトリデシルエーテル(100g)/脱塩水(500g)を用いた以外は、実施例1と同一の操作により、蓄熱粒子を25重量%含む水スラリーを751g採取した(収率:94%)。
【0072】
実施例5
[ポリステアリルメタクリレート(E)/水スラリーの製造]
実施例2において、ラウリルメタクリレートに代え、ステアリルメタクリレート(190g)及び2−ヒドロキシエチルメタクリレート(10g)を用いた以外は、実施例2と同一の操作により、蓄熱粒子を25重量%含む水スラリーを775g採取した(収率:97%)。
【0073】
実施例6
[ポリステアリルメタクリレート(F)/水スラリーの製造]
実施例2において、ラウリルメタクリレートに代え、ステアリルメタクリレート(195g)及びテトラメチレングリコールジアクリレート(5g)を用いた以外は、実施例2と同一の操作により、蓄熱粒子を25重量%含む水スラリーを759g採取した(収率:95%)。
【0074】
実施例1〜6により得られた蓄熱粒子の融点、潜熱及び蓄熱粒子の水中の平均粒径を表1に示す。
【0075】
【表1】

【0076】
実施例7
[蓄熱性キュプラ繊維の製造]
摩砕した硫酸銅五水和物(5.0g)を、28%−アンモニア水(50ml)及び2M−水酸化ナトリウム水溶液(20ml)に溶解させた。この溶液を攪拌しながら、上から脱脂綿を徐々に加え、計2.5gを溶解させた。さらに28%−アンモニア水(10ml)、及び実施例5で製造した蓄熱粒子を25重量%含む水スラリー(1.0g)を加えよく攪拌した後、混合液を注射器に入れ、室温にて2M−希硫酸(2L)に注入した。析出したセルロース糸を取り水道水でよく洗い、脱水して60℃にて8時間乾燥して2.1gのキュプラ繊維を得た。得られた繊維の示差走査熱量計による熱吸収は、融点34.7℃に、4.07J/g−糸重の潜熱を示した。
【0077】
実施例8
[繊維処理剤の調製(綿加工用)]
実施例1で製造した蓄熱粒子を30重量%含む水スラリー(100g)、及びシリコン含有アクリル系バインダー樹脂を含むエマルジョンとして、共栄社化学株式会社製ライトエポックS86(100g)を混合攪拌し、さらにこれを脱塩水(100g)で希釈して繊維処理剤とした。
本実施例における繊維処理剤中の各成分の含有比率を以下に示す。
ポリステアリルメタクリレート:10重量%
ジオクチルスルホコハク酸Na:1.75重量%
シリコン含有アクリル系バインダー樹脂:(固形分として)8.3重量%
【0078】
実施例9
[繊維処理剤の調製(合繊加工用)]
実施例6で製造した蓄熱粒子を25重量%含む水スラリー(100g)、及びアクリル系バインダー樹脂を含むエマルジョンとして、共栄社化学株式会社製ライトエポックAX−30(100g)を混合攪拌し、さらにこれを脱塩水(425g)で希釈して繊維処理剤とした。
本実施例における繊維処理剤中の各成分の含有比率を以下に示す。
ポリステアリルメタクリレート:4重量%
p−ドデシルベンゼンスルホン酸Na:2重量%
アクリル系バインダー樹脂:(固形分として)4.8重量%
【0079】
実施例10
[綿織物への加工]
綿織物として標準布カナキン3号を1辺20cm四方に切断した生地を用い、実施例8で調製した繊維処理剤(50g)へ浸漬し、70℃にて5分間攪拌した。次いでロール間圧力を0.4MPaに設定したマングルで絞り(絞り率:85%)、生地を家庭洗濯機で常温水道水により3分間すすいだ。脱水後80℃の熱風乾燥器で20分間乾燥した後、アイロン掛けを行なった。
【0080】
[綿織物の蓄熱性能評価]
上記の綿織物生地について、製造された直後及び30回洗濯後の、示差走査熱量計による35℃付近のピークの熱吸収量を表2に示す。
【0081】
比較例1
[特開2003−268359に記載の方法で製造したポリステアリルメタクリレートによる綿織物加工]
特開2003−268359の実施例2の方法で製造したポリステアリルメタクリレート(5g、塊状)、70%−ジオクチルスルホコハク酸Na(1.25g)、及び共栄社化学株式会社製ライトエポックS86(16.7g)を脱塩水(27ml)に投入し、70℃にて20分間強く攪拌し、繊維処理剤とした。繊維処理剤中のポリステアリルメタクリレートの平均粒径は2μm以上であった。本繊維処理剤により標準布カナキン3号(1辺20cm四方)を実施例10と同一の方法で加工し、比較用の綿織物を得た。
得られた綿織物について、実施例10と同様に蓄熱性能を評価した。結果を表2に示す。
【0082】
【表2】

【0083】
表2に示す様に、塊状のポリステアリルメタクリレートを後に界面活性剤により水中に分散させた分散液よりも、本発明の分散液で処理した生地の方が、綿繊維に対する初期固着量が高く、かつ洗濯後の残存量も格段に高いことがうかがえる。また比較例1の方法で製造された綿織物は、アイロン掛けの際にベタツキ感を与えた。これは熱で融解したポリステアリルメタクリレートが繊維内部から一部流出した為と考えられ、加工生地の実用上好ましくない。
【0084】
実施例11
[ポリエステル生地への加工]
実施例9で調製した繊維処理剤(100g)へ、1辺20cm四方に切断したポリエステル織物(PET100%、目付:480g/m)を室温で1分間浸漬し、次いでロール間圧力を0.4MPaに設定したマングルで絞り(絞り率:80%)、100℃の熱風乾燥器で10分間乾燥した。生地をJIS L0217 103法に準拠した方法で1回洗濯し、80℃で20分間乾燥した。本生地の示差走査熱量計による熱吸収は、ピーク温度:34.9℃、0.96J/g−糸重の潜熱量を示した。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明の繊維は、肌着、シャツ類等の衣料品、寝具等に使用される繊維及びそれを用いた布部材、寝具、衣服等の中綿、衛生材(オムツ、生理用品、等)の肌接触部材としての不織布等として利用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(A)及び(B)を満たす蓄熱粒子が、溶媒に分散している分散液。
(A)融点が−10℃〜100℃であって、潜熱が30J/g以上であるポリマー、オリゴマー又はそれらの架橋体のいずれかからなる蓄熱粒子
(B)平均粒径が500nm以下
【請求項2】
前記蓄熱粒子が、式(1)に示される、主鎖部X、結合部Y及び側鎖Zから構成され、側鎖Zが結晶化し得る、結晶性ユニットを、主構成成分とする請求項1に記載の分散液。
【化1】

【請求項3】
前記溶媒が水である、請求項1又は2に記載の分散液。
【請求項4】
前記蓄熱粒子の由来となるモノマー、界面活性剤及び重合開始剤を含む溶液を、加熱する又は紫外線を照射することで反応させる請求項1〜3のいずれか一項に記載の分散液の製造方法。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の分散液を含む繊維処理剤。
【請求項6】
下記(C)及び(D)を満たす蓄熱粒子が分散している繊維。
(C)融点が−10℃〜100℃であって、潜熱が30J/g以上であるポリマー、オリゴマー又はそれらの架橋体のいずれかからなる蓄熱粒子
(D)平均粒径が500nm以下
【請求項7】
請求項5に記載の繊維処理剤で処理された繊維。
【請求項8】
前記繊維が再生セルロース繊維である請求項6に記載の繊維。
【請求項9】
前記繊維が天然セルロース繊維である請求項7に記載の繊維。
【請求項10】
請求項6又は8に記載の繊維が芯材である芯鞘繊維。

【公開番号】特開2007−137971(P2007−137971A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−331678(P2005−331678)
【出願日】平成17年11月16日(2005.11.16)
【出願人】(500242384)出光テクノファイン株式会社 (55)
【Fターム(参考)】