説明

蓄電デバイス用電解液および電気二重層キャパシタ

【課題】イオン性液体を含む蓄電デバイス用電解液、およびこの電解液を用いて構成される、低温特性に優れた電気二重層キャパシタを提供する。
【解決手段】下記一般式(1′)または(4′)で示され、融点が50℃以下であるイオン性液体のみからなることを特徴とする蓄電デバイス用電解液。


〔式中、Yは一価のアニオンを示す。Meはメチル基を、Etはエチル基を意味する。〕


〔式中、R1〜R4は互いに同一もしくは異種の炭素数1〜5のアルキル基、またはR′−O−(CH2n−で表されるアルコキシアルキル基(R′はメチル基またはエチル基を示し、nは1〜4の整数である。)を示す。ただし、R1およびR2は環を形成し、R3およびR4の内少なくとも1つは上記アルコキシアルキル基である。〕

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電デバイス用電解液および電気二重層キャパシタに関する。
【背景技術】
【0002】
イオン性化合物は、通常、プラスに帯電したカチオンとマイナスに帯電したアニオンとが静電気的に引き合って結晶を構成している。このイオン性化合物は、水をはじめとする種々の液体に溶解し、電気を流す液体、すなわち、電解質溶液を与え、例えば、非水電解質電池、キャパシタにおいては、一般的に有機溶媒にイオン性化合物を溶かした電解液が用いられている。
ところで、イオン性化合物の中には、温度を上げてイオン間の相互作用に打ち勝つ程に熱運動を活発化させることで、そのもの自体が液体となり電気を通すようになるものがあり、このような状態の塩は、通常、溶融塩と呼ばれる。
【0003】
この溶融塩中に存在する化学種は、全て電荷を帯びたカチオンまたはアニオンであり、中性の原子や分子は存在しない。したがって、溶融塩中では、水に対する還元力や酸化力が強すぎるために電解質水溶液からでは得ることのできない元素、すなわち、アルカリ金属、アルミニウム、希土類元素といった金属、またはフッ素などの非金属等を電気分解して単体の形で得ることができ、これが溶融塩の主な工業的用途となっている。
【0004】
さらに、上記溶融塩の中には、室温においても液体状態を保ち、極低温で固化しないものもあり、このような室温以下で液体状態を保つ溶融塩は、特に室温溶融塩またはイオン性液体と呼ばれている。イオン性液体を構成するカチオンとアニオンとは、その間の静電的相互作用が小さくなるように、どちらか一方または両方が、ある程度の大きさを有する分子イオンであるとともに、電荷もまた静電的相互作用を小さくする理由で1価である。
上記イオン性液体を用いた電解による電析や、電池等の電解質への応用研究が精力的に進められているが、一般的に、イオン性液体は、吸湿性が高く、空気中での取り扱いが困難であるという欠点があり、その応用が十分になされているとはいえない。
【0005】
このような状況下、1992年にWilkesらによって報告された1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレートは、空気中でも取り扱うことができる画期的なイオン性液体で、これをきっかけにして側鎖の異なる多数のアルキルイミダゾリウムカチオンと、種々のアニオンとを組み合わせたイオン性液体が多数合成されるようになり、これらについて、その物性や応用に関する研究が盛んに行われているものの、より簡便に製造でき、かつ、取り扱い易い種々のイオン性液体の開発が望まれているのが現状である。
【0006】
一方、非水電解液系電気二重層キャパシタは、大電流で充放電可能という特徴を有しているため、電気自動車、補助電源等のエネルギー貯蔵装置として有望である。
従来の非水電解液系電気二重層キャパシタは、活性炭などの炭素質材料を主体とする正、負極の分極性電極および非水電解液から構成されるが、キャパシタの耐電圧や、静電容量には非水系電解液の組成が大きな影響を及ぼすことが知られている。
【0007】
上記非水電解液は、電解質塩と非水系有機溶媒とから構成され、これら電解質塩および非水系有機溶媒の組み合わせについては、現在まで種々検討されてきている。
例えば、電解質塩としては、第4級アンモニウム塩(特開昭61−32509号公報、特開昭63−173312号公報、特開平10−55717号公報等)や、第4級ホスホニウム塩(特開昭62−252927号公報等)等が、有機溶媒への溶解性および解離度、ならびに電気化学的安定域が広いことからよく用いられている。一方、有機溶媒としては、高誘電率で電気化学的安定域が広く、高沸点であるものが望まれており、一般的には、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、アセトニトリル、スルホラン等がよく用いられている。
【0008】
しかしながら、現在用いられている非水電解液系電気二重層キャパシタでは、通常用いられている有機溶媒に対する電解質塩(4級アンモニウム塩、4級ホスホニウム塩等)の溶解性が十分であるといえず、その添加量には限界がある。その結果、非水電解液のイオン伝導度が低くなるとともに、電気二重層キャパシタの静電容量も低くなるという問題があった。
また、電解質塩の溶解性が低いことから、低温時に電解質塩が結晶化し易いため、電気二重層キャパシタの低温特性にも問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開昭61−32509号公報
【特許文献2】特開昭63−173312号公報
【特許文献3】特開平10−55717号公報
【特許文献4】特開昭62−252927号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、イオン性液体を含む蓄電デバイス用電解液、およびこの電解液を用いて構成される、低温特性に優れた電気二重層キャパシタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、置換基としてアルコキシアルキル基を少なくとも1つ有する4級アンモニウム塩の中に低融点でイオン性液体として優れた性質を有するものがあることを見いだした。
また、置換基としてアルコキシアルキル基を有する4級アンモニウム塩が、蓄電デバイスに用いられる非水系有機溶媒への溶解性に優れ、しかも低融点を有しているため、これらの4級塩を用いて電解液を調製した場合に、従来よりも高濃度にすることができ、かつ、低温時における電解質塩の析出が起こりにくいことを見いだすとともに、この電解液を用いて作製された電気二重層キャパシタが、高静電容量を有し、低温特性に優れることを見いだし、本発明を完成した。
【0012】
従って、本発明は、
1. 下記一般式(1′)または(4′)で示され、融点が50℃以下であるイオン性液体のみからなることを特徴とする蓄電デバイス用電解液、
【化1】

〔式中、Yは一価のアニオンを示す。Meはメチル基を、Etはエチル基を意味する。〕
【化2】

〔式中、R1〜R4は互いに同一もしくは異種の炭素数1〜5のアルキル基、またはR′−O−(CH2n−で表されるアルコキシアルキル基(R′はメチル基またはエチル基を示し、nは1〜4の整数である。)を示す。ただし、R1およびR2は環を形成し、R3およびR4の内少なくとも1つは上記アルコキシアルキル基である。Yは一価のアニオンを示す。〕
2. 下記一般式(1′)または(4′)で示され、融点が50℃以下であるイオン性液体の少なくとも1種と、非水系有機溶媒とを含んでなることを特徴とする蓄電デバイス用電解液、
【化3】

〔式中、Yは一価のアニオンを示す。Meはメチル基を、Etはエチル基を意味する。〕
【化4】

〔式中、R1〜R4は互いに同一もしくは異種の炭素数1〜5のアルキル基、またはR′−O−(CH2n−で表されるアルコキシアルキル基(R′はメチル基またはエチル基を示し、nは1〜4の整数である。)を示す。ただし、R1およびR2は環を形成し、R3およびR4の内少なくとも1つは上記アルコキシアルキル基である。Yは一価のアニオンを示す。〕
3. 下記一般式(1′)または(4′)で示され、融点が50℃以下であるイオン性液体の少なくとも1種と、常温で固体のイオン導電性塩とを含んでなることを特徴とする蓄電デバイス用電解液、
【化5】

〔式中、Yは一価のアニオンを示す。Meはメチル基を、Etはエチル基を意味する。〕
【化6】

〔式中、R1〜R4は互いに同一もしくは異種の炭素数1〜5のアルキル基、またはR′−O−(CH2n−で表されるアルコキシアルキル基(R′はメチル基またはエチル基を示し、nは1〜4の整数である。)を示す。ただし、R1およびR2は環を形成し、R3およびR4の内少なくとも1つは上記アルコキシアルキル基である。Yは一価のアニオンを示す。〕
4. 前記式(4′)における環が、ピロリジン環である1〜3のいずれかの蓄電デバイス用電解液、
5. 前記式(4′)におけるR′が、メチル基である1〜3のいずれかの蓄電デバイス用電解液、
6. 前記Yが、BF4-、PF6-、(CF3SO22-、CF3SO3-、またはCF3CO2-である1〜5のいずれかの蓄電デバイス用電解液、
7. 前記イオン性液体が、下記式(3)で示される1〜3のいずれかの蓄電デバイス用電解液、
【化7】

〔式中、Meはメチル基を、Etはエチル基を意味する。〕
8. 前記イオン性液体の融点が、25℃以下である1〜6のいずれかの蓄電デバイス用電解液、
9. 前記非水系有機溶媒が、エチレンカーボネートまたはプロピレンカーボネートを主成分として含む混合溶媒である2の蓄電デバイス用電解液、
10. 前記非水系有機溶媒が、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ビニレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、およびジエチルカーボネートから選ばれる1種または2種以上の混合溶媒である9の蓄電デバイス用電解液、
11. 前記イオン導電性塩が、リチウム塩である3の蓄電デバイス用電解液、
12. さらに非水系有機溶媒を含む3の蓄電デバイス用電解液、
13. 一対の分極性電極と、これら分極性電極間に介在させたセパレータと、電解液とを含む電気二重層キャパシタにおいて、前記電解液が、下記式(1)で表され、融点が50℃以下のイオン性液体のみからなる、または下記式(1)で表され、融点が50℃以下のイオン性液体と非水系有機溶媒とを含んでなることを特徴とする電気二重層キャパシタ、
【化8】

〔式中、R1〜R4は互いに同一もしくは異種の炭素数1〜5のアルキル基、またはR′−O−(CH2n−で表されるアルコキシアルキル基(R′はメチル基またはエチル基を示し、nは1〜4の整数である。)を示し、これらR1、R2、R3およびR4のいずれか2個の基が環を形成していても構わない。ただし、R1〜R4の内少なくとも1つは上記アルコキシアルキル基である。Xは窒素原子またはリン原子を示し、Yは一価のアニオンを示す。〕
14. 前記Xが、窒素原子である13の電気二重層キャパシタ、
15. 前記Xが、窒素原子、R′がメチル基、nが2である13の電気二重層キャパシタ、
16. 前記イオン性液体が、下記式(2)で示される13の電気二重層キャパシタ、
【化9】

〔式中、R′はメチル基またはエチル基を示し、Xは窒素原子またはリン原子を示し、Yは一価のアニオンを示す。また、Meはメチル基を、Etはエチル基を意味する。〕
17. 前記イオン性液体が、下記一般式(4′)で示される13の電気二重層キャパシタ、
【化10】

〔式中、R1〜R4は互いに同一もしくは異種の炭素数1〜5のアルキル基、またはR′−O−(CH2n−で表されるアルコキシアルキル基(R′はメチル基またはエチル基を示し、nは1〜4の整数である。)を示す。ただし、R1およびR2は環を形成し、R3およびR4の内少なくとも1つは上記アルコキシアルキル基である。Yは一価のアニオンを示す。〕
18. 前記環が、ピロリジン環である17の電気二重層キャパシタ、
19. 前記R′が、メチル基である17または18の電気二重層キャパシタ、
20. 前記Yが、BF4-、PF6-、(CF3SO22-、CF3SO3-、またはCF3CO2-である13〜19のいずれかの電気二重層キャパシタ、
21. 前記イオン性液体が、下記式(3)で示される13の電気二重層キャパシタ、
【化11】

〔式中、Meはメチル基を、Etはエチル基を意味する。〕
22. 前記イオン性液体の融点が、25℃以下である13〜20のいずれかの電気二重層キャパシタ、
23. 前記電解液が、さらに常温で固体のイオン導電性塩を含む13〜22のいずれかの電気二重層キャパシタ、
24. 前記分極性電極が、樹脂から得られた炭素質材料を主成分として含む13〜23のいずれかの電気二重層キャパシタ、
25. 前記樹脂が、フェノール樹脂またはポリカルボジイミド樹脂である24の電気二重層キャパシタ、
26. 前記炭素質材料が、フェノール樹脂またはポリカルボジイミド樹脂を炭化後、賦活処理をしてなるものである24の電気二重層キャパシタ
を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、置換基としてアルコキシアルキル基を少なくとも1つ有する4級アンモニウム塩からなる蓄電デバイス用電解質塩であるから、低融点を有するとともに、非水系有機溶媒への溶解性に優れている。したがって、これらの4級塩を用いて蓄電デバイス用電解液を調製した場合に、従来よりも電解液濃度を高濃度にすることができ、かつ、低温時に電解質塩が析出することがないため、低温特性に優れるとともに、高い充放電容量、静電容量を有する蓄電デバイス(電気二重層キャパシタ、二次電池、コンデンサ等)を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1図は、化合物(3)のNMRスペクトルを示すチャートである。
【図2】第2図は、化合物(4)のNMRスペクトルを示すチャートである。
【図3】第3図は、化合物(5)のNMRスペクトルを示すチャートである。
【図4】第4図は、化合物(6)のNMRスペクトルを示すチャートである。
【図5】第5図は、化合物(8)のNMRスペクトルを示すチャートである。
【図6】第6図は、化合物(9)のNMRスペクトルを示すチャートである。
【図7】第7図は、化合物(10)のNMRスペクトルを示すチャートである。
【図8】第8図は、化合物(11)のNMRスペクトルを示すチャートである。
【図9】第9図は、実施例8および比較例3で得られた電気二重層キャパシタの初期充放電における放電容量の推移(室温)を示すグラフである。
【図10】第10図は、実施例8および比較例3で得られた電気二重層キャパシタの放電性能の温度依存性を示すグラフである。
【図11】第11図は、実施例8および比較例3で得られた電気二重層キャパシタの初期充電後の電圧経時変化(室温)を示すグラフであるである。
【図12】第12図は、参考例1で得られた二次電池の充放電特性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明について更に詳しく説明する。
[蓄電デバイス用電解質塩]
本発明に係る蓄電デバイス用電解質塩は、下記一般式(1)で示される4級塩からなるものである。
【化12】

〔式中、R1〜R4は互いに同一もしくは異種の炭素数1〜5のアルキル基、またはR′−O−(CH2n−で表されるアルコキシアルキル基(R′はメチル基またはエチル基を示し、nは1〜4の整数である。)を示し、これらR1、R2、R3およびR4のいずれか2個の基が環を形成していても構わない。ただし、R1〜R4の内少なくとも1つは上記アルコキシアルキル基である。Xは窒素原子またはリン原子を示し、Yは一価のアニオンを示す。〕
【0016】
本発明における蓄電デバイスとは、化学的、物理的または物理化学的に電気を蓄える装置、素子等をいい、例えば、電気二重層キャパシタ、二次電池、コンデンサ等の充放電可能なデバイスが挙げられる。
上記炭素数1〜5のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、2−プロピル基、ブチル基、ペンチル基等が挙げられる。R′−O−(CH2n−で表されるアルコキシアルキル基としては、メトキシまたはエトキシメチル基、メトキシまたはエトキシエチル基、メトキシまたはエトキシプロピル基、メトキシまたはエトキシブチル基等が挙げられる。
【0017】
また、R1、R2、R3およびR4のいずれか2個の基が環を形成している化合物としては、Xに窒素原子を採用した場合には、アジリジン環、アゼチジン環、ピロリジン環、ピペリジン環等を有する4級アンモニウム塩、一方、Xにリン原子を採用した場合には、ペンタメチレンホスフィン(ホスホリナン)環等を有する4級ホスホニウム塩等が挙げられる。
【0018】
特に、置換基として、上記R′がメチル基であり、nが2のメトキシエチル基を少なくとも1つ有する4級アンモニウム塩が好適である。
また、置換基として、メチル基、2つのエチル基、およびアルコキシエチル基を有する下記一般式(2)で示される4級塩も好適に用いることができる。
【0019】
【化13】

〔式中、R′はメチル基またはエチル基を示し、Xは窒素原子またはリン原子を示し、Yは一価のアニオンを示す。また、Meはメチル基を、Etはエチル基を意味する。〕
【0020】
上記一般式(1),(2)における一価のアニオンYとしては、特に限定されるものではなく、BF4-、PF6-、AsF6-、SbF6-、AlCl4-、NbF6-、HSO4-、ClO4-、CH3SO3-、CF3SO3-、CF3CO2-、(CF3SO22-、Cl-、Br-、I-等のアニオンを用いることができるが、非水系有機溶媒中での解離度、安定性および移動度等を考慮すると、特に、BF4-、PF6-、(CF3SO22-、CF3SO3-、またはCF3CO2-であることが好適である。
【0021】
本発明において、上記一般式(1),(2)で示される4級塩のうち、好適に用いられる4級アンモニウム塩および4級ホスホニウム塩の具体例としては、以下の化合物(3)〜(11)が挙げられ(Meはメチル基、Etはエチル基を示す)、特に、低温特性等に優れた蓄電デバイスを得ることを考慮すると、下記式(3)または(8)で示される4級アンモニウム塩を用いることがより好ましい。
【0022】
【化14】

【0023】
上記4級アンモニウム塩の一般的な合成法は、次の通りである。まず、3級アミン類と、アルキルハライドまたはジアルキル硫酸等とを混合し、必要に応じて加熱を行うことで4級アンモニウムハライド塩とする。なお、アルコキシエチルハライド、アルコキシメチルハライド等の反応性の低い化合物を用いる場合、オートクレーブ等を用いて加圧下で反応させることが好適である。
【0024】
上述のようにして得られた4級アンモニウムハライド塩を、水等の水性媒体中に溶解し、ホウフッ化水素酸や、テトラフルオロリン酸等の、必要とするアニオン種を発生させる試薬と反応させてアニオン交換反応を行い、本発明の4級アンモニウム塩を得ることができる。
具体例として、4級アンモニウムテトラフルオロボレートの合成法を挙げると、4級アンモニウムハライドを水に溶解させ、酸化銀を加えて塩交換を行い、4級アンモニウム水酸化物塩とした後、ホウフッ化水素酸と反応させて目的物を得ることができる。この方法は、4級アンモニウム水酸化物塩生成の際に、塩交換により生じるハロゲン化銀の除去が容易に行えるため、純度の高い4級アンモニウムテトラフルオロボレートを合成するのに有効である。
【0025】
また、4級ホスホニウム塩は、4級アンモニウム塩と同様、3級ホスフィン類と、アルキルハライドまたはジアルキル硫酸等とを混合し、必要に応じて加熱を行うことで、一般的に合成することができる。
【0026】
また、陰イオンを種々に変化させた4級ホスホニウム塩を製造する場合には、4級アンモニウム塩同様、4級ホスホニウムハライド(塩化物、臭化物、ヨウ化物)を、水性媒体中に溶解し、必要とするアニオン種を発生させる試薬と反応させて、アニオン交換反応を行えばよい。
【0027】
なお、上記電解質塩を非水系有機溶媒に溶解させた電解液を低温下においた場合に、当該電解質塩の析出が生じにくいことを考慮すると、電解質塩の融点は25℃以下であることが好ましく、15℃以下であることがより好ましい。融点が25℃より高い電解質塩の場合、低温下において溶媒中で析出し、その結果、電解液のイオン電導率が低下し、取り出せる電気量が低下する可能性が高くなる。この場合、融点は低いほどよく、その下限値は特に限定されない。
【0028】
[イオン性液体]
本発明に係るイオン性液体は、下記一般式(1)で示され、融点が50℃以下、好ましくは25℃以下であることを特徴とする。
【化15】

〔式中、R1〜R4は互いに同一もしくは異種の炭素数1〜5のアルキル基、またはR′−O−(CH2n−で表されるアルコキシアルキル基(R′はメチル基またはエチル基を示し、nは1〜4の整数である。)を示し、これらR1、R2、R3およびR4のいずれか2個の基が環を形成していても構わない。ただし、R1〜R4の内少なくとも1つは上記アルコキシアルキル基である。Xは窒素原子またはリン原子を示し、Yは一価のアニオンを示す。〕
【0029】
ここで、炭素数1〜5のアルキル基、R1、R2、R3およびR4のいずれか2個の基が環を形成している化合物については、上記電解質塩で説明したのと同様である。
このイオン性液体の場合にも、置換基として、上記R′がメチル基であり、nが2のメトキシエチル基を少なくとも1つ有する4級アンモニウム塩が好適である。
また、置換基として、メチル基、2つのエチル基、およびアルコキシエチル基を有する下記一般式(2)で示される4級塩も好適に用いることができる。
【0030】
【化16】

〔式中、R′はメチル基またはエチル基を示し、Xは窒素原子またはリン原子を示し、Yは一価のアニオンを示す。また、Meはメチル基を、Etはエチル基を意味する。〕
【0031】
上記一般式(1)、(2)で示されるイオン性液体における一価のアニオンYについては、上記電解質塩で説明したのと同様である。
具体的なイオン性液体としては、上記式(3)〜(11)で示されるものが挙げられるが、特に式(3)または式(8)で示されるものが、取り扱いやすく、しかも低温特性に優れた蓄電デバイスを得ることができて好適である。
なお、イオン性液体の製造法については、上記電解質塩で述べた通りである。
【0032】
本発明のイオン性液体は、1)蒸気圧が全くないか、極めて小さい、2)不燃または難燃である、3)イオン導電性を有する、4)水よりも分解電圧が高い、5)水よりも液体温度領域が広い、6)大気中で取り扱いが可能、7)従来知られている有機系イオン性液体より広い電位窓を有する、といった種々の利点を有している。特に、イオン性液体を蓄電デバイスに用いる場合、電位窓が狭いと、充放電に伴い、電解質や電解液が酸化分解されたり、還元分解される虞がある。イミダゾリウム系のイオン性液体は、電位窓が狭いため、リチウムイオン二次電池系では使用できないが、本発明のイオン性液体は、上述のように電位窓が広いためリチウムイオン二次電池にも使用することができる。
【0033】
したがって、室温以下の温度で使用可能な新しい電解質として、金属や合金の電析、めっき用電解浴、各種の電池やキャパシタ等のエネルギー貯蔵用の電気化学デバイス用電解質として好適に用いることができる。
また、有機合成で広く用いられるベンゼン、塩化メチレン、エーテル等の反応溶媒は、そのほとんどが発ガン性を有する揮発性物質であるが、本発明のイオン性液体は、揮発性が極めて小さく、繰り返し利用可能な有機合成用反応溶媒としても好適に用いることができ、これにより環境負荷の低減を目的とした新しい合成プロセスを開拓するグリーンケミストリーの分野にも貢献し得るものである。
【0034】
[蓄電デバイス用電解液]
本発明に係る蓄電デバイス用電解液は、(1)上記イオン性液体または低融点の蓄電デバイス用電解質塩を単独で用いた電解液(すなわち、非水系有機溶媒を使用しない電解液)、(2)(1)の電解液にイオン導電性塩を添加した電解液(この場合も非水系有機溶媒を使用しない電解液)、(3)(2)の電解液にさらに非水系有機溶媒を加えた電解液、(4)上記イオン性液体または蓄電デバイス用電解質の少なくとも1種と、非水系有機溶媒とを含む電解液、のいずれかの形態で用いるものである。
【0035】
ここで、非水系有機溶媒としては、上記イオン性液体または電解質塩を溶解することができ、二次電池,電気二重層キャパシタ等の蓄電デバイスの作動電圧範囲で安定なものであれば、特に限定はないが、誘電率が大きく、電気化学的安定範囲が広いものであるとともに、使用温度範囲が広く安全性に優れているものが好ましい。
【0036】
具体的には、ジブチルエーテル,1,2−ジメトキシエタン,1,2−エトキシメトキシエタン,メチルジグライム,メチルトリグライム,メチルテトラグライム,エチルグライム,エチルジグライム,ブチルジグライム,グリコールエーテル類(エチルセルソルブ、エチルカルビトール、ブチルセルソルブ、ブチルカルビトール等)などの鎖状エーテル類、テトラヒドロフラン,2−メチルテトラヒドロフラン,1,3−ジオキソラン,4,4−ジメチル−1,3−ジオキサン等の環式エーテル、γ−ブチロラクトン,γ−バレロラクトン,δ−バレロラクトン,3−メチル−1,3−オキサゾリジン−2−オン,3−エチル−1,3−オキサゾリジン−2−オン等のブチロラクトン類、電気化学素子に一般に使用される溶剤であるアミド溶剤(N−メチルホルムアミド,N,N−ジメチルホルムアミド,N−メチルアセトアミド,N−メチルピロリジノン等)、カーボネート溶剤(ジエチルカーボネート,ジメチルカーボネート,エチルメチルカーボネート,プロピレンカーボネート,エチレンカーボネート,スチレンカーボネート等)、イミダゾリジノン溶剤(1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等)などが挙げられ、これらの溶媒の中から1種を単独でまたは2種以上を混合して用いることもできる。
【0037】
特に、エチレンカーボネートまたはプロピレンカーボネートを主成分として含む混合溶媒、またはエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ビニレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、およびジエチルカーボネートから選ばれる1種または2種以上の混合溶媒を用いることが好ましい。
【0038】
上記電解液において、蓄電デバイス用電解液として用いる場合、先の(1)に示した場合は、当然にイオン性液体100%となる。一方、(2),(3),(4)の場合は、溶媒中のイオン性液体,電解質塩の濃度は、特に限定はないが、0.1〜5.0mol/L、好ましくは1.0〜4.0mol/Lである。これらの濃度が0.1mol/L未満であると、内部抵抗が増大することにより損失が増大する虞があり、一方、5.0mol/Lを超えると、溶解度が低く、かつ、融点の比較的高い電解質塩の場合、低温時に析出して安定性の低下を招く等の不具合が生じる虞がある。
【0039】
ただし、本発明の蓄電デバイス用電解質塩は、通常用いられる電解質塩よりも非水系有機溶媒に対する溶解性に優れ、しかも、融点が25℃以下のものが多いため、電解質塩濃度を通常よりも濃くして使用しても低温時において電解質塩の析出が生じにくい。
【0040】
また、上述したように電解液にさらに、イオン導電性塩を添加することもできる。
この場合、イオン導電性塩としては、リチウム二次電池、リチウムイオン二次電池、電気二重層キャパシタ等の蓄電デバイスに使用できるものであれば特に限定はなく、例えば、アルカリ金属塩、第4級アンモニウム塩等を用いることができる。
【0041】
アルカリ金属塩としては、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩が好ましい。具体的には、[1]4フッ化硼酸リチウム,6フッ化リン酸リチウム,過塩素酸リチウム,トリフルオロメタンスルホン酸リチウム,下記一般式(12)で示されるスルホニルイミドのリチウム塩,下記一般式(13)で示されるスルホニルメチドのリチウム塩,酢酸リチウム,トリフルオロ酢酸リチウム,安息香酸リチウム,p−トルエンスルホン酸リチウム,硝酸リチウム,臭化リチウム,ヨウ化リチウム,4フェニル硼酸リチウム等のリチウム塩、[2]過塩素酸ナトリウム,ヨウ化ナトリウム,4フッ化硼酸ナトリウム,6フッ化燐酸ナトリウム,トリフルオロメタンスルホン酸ナトリウム,臭化ナトリウム等のナトリウム塩、[3]ヨウ化カリウム,4フッ化硼酸カリウム,6フッ化燐酸カリウム,トリフルオロメタンスルホン酸カリウム等のカリウム塩が挙げられる。
【0042】
(Ra−SO2)(Rb−SO2)NLi …(12)
(Rc−SO2)(Rd−SO2)(Re−SO2)CLi …(13)
〔式(12),(13)中、Ra〜Reは、それぞれエーテル基を1個または2個含有してもよい炭素数1〜4のパーフルオロアルキル基を示す。〕
【0043】
上記一般式(12)で示されるスルホニルイミドのリチウム塩としては、具体的には、下記式で表されるものなどが挙げられる。
(CF3SO22NLi、(C25SO22NLi、(C37SO22NLi、(C49SO22NLi、(CF3SO2)(C25SO2)NLi、(CF3SO2)(C37SO2)NLi、(CF3SO2)(C49SO2)NLi、(C25SO2)(C37SO2)NLi、(C25SO2)(C49SO2)NLi、(CF3OCF2SO22NLi
【0044】
上記一般式(13)で示されるスルホニルメチドのリチウム塩としては、具体的には、下記式で表されるものなどが挙げられる。
(CF3SO23CLi、(C25SO23CLi、(C37SO23CLi、(C49SO23CLi、(CF3SO22(C25SO2)CLi、(CF3SO22(C37SO2)CLi、(CF3SO22(C49SO2)CLi、(CF3SO2)(C25SO22CLi、(CF3SO2)(C37SO22CLi、(CF3SO2)(C49SO22CLi、(C25SO22(C37SO2)CLi、(C25SO22(C49SO2)CLi、(CF3OCF2SO23CLi
【0045】
これらの中でも、4フッ化硼酸リチウム、6フッ化リン酸リチウム、上記一般式(12)、および上記一般式(13)で示されるスルホニルメチドのリチウム塩が特に高いイオン伝導度を示し、かつ、熱安定性にも優れたイオン導電性塩であるため好ましい。なお、これらのイオン導電性塩は1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0046】
また、電気二重層キャパシタに用いられる第4級アンモニウム塩としては、例えば、テトラメチルアンモニウム/6フッ化燐酸塩、テトラエチルアンモニウム/6フッ化燐酸塩、テトラプロピルアンモニウム/6フッ化燐酸塩、メチルトリエチルアンモニウム/6フッ化燐酸塩、テトラエチルアンモニウム/4フッ化硼酸塩、テトラエチルアンモニウム/過塩素酸塩等、もしくは鎖状アミジン類、環状アミジン類(イミダゾール類、イミダゾリン類、ピリミジン類、1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]ノネン−5(DBN)、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7(DBU)等)、ピロール類、ピラゾール類、オキサゾール類、チアゾール類、オキサジアゾール類、チアジアゾール類、トリアゾール類、ピリジン類、ピラジン類およびトリアジン類、ピロリジン類、モルフォリン類、ピペリジン類、ピペラジン類等の4級塩などが挙げられる。
【0047】
なお、電解液中のイオン導電性塩の濃度は、通常0.05〜3mol/L、好ましくは0.1〜2mol/Lである。イオン導電性塩の濃度が低すぎると十分なイオン導電性を得ることができない場合がある。一方、高すぎると電解液に完全に溶解できない場合がある。
【0048】
[電気二重層キャパシタ]
本発明に係る電気二重層キャパシタは、一対の分極性電極と、これら分極性電極間に介在させたセパレータと、電解液とを含む電気二重層キャパシタにおいて、前記電解液として上記蓄電デバイス用電解液を用いるものである。
ここで、上記分極性電極としては、炭素質材料とバインダーポリマーとを含んでなる分極性電極組成物を集電体上に塗布してなるものを用いることができる。
【0049】
上記炭素質材料としては、特に限定されるものではなく、植物系の木材、のこくず、ヤシ殻、パルプ廃液、化石燃料系の石炭、石油重質油、もしくはこれらを熱分解した石炭、または石油系ピッチ、タールピッチを紡糸した繊維、合成高分子、フェノール樹脂、フラン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカルボジイミド樹脂、液晶高分子、プラスチック廃棄物、廃タイヤ等を原料とし、これらを炭化したもの、これらをさらに賦活化して製造した活性炭等が挙げられる。
【0050】
これらの中でも、原料のバラツキや原料中の不純物による性能の低下を防止することを考慮すると、樹脂から得られた炭素質材料を主成分として含むものが好ましく、特に、フェノール樹脂またはポリカルボジイミド樹脂を炭化後、賦活処理して得られた炭素質材料を用いることが好適である。
【0051】
上記フェノール樹脂としては、特に限定はなく、公知の種々のフェノール樹脂を用いることができ、例えば、レゾール樹脂、ノボラック樹脂、その他の特殊フェノール樹脂等を用いることができる。
【0052】
一方、ポリカルボジイミド樹脂としては、特に限定はなく、公知の種々の方法で製造したポリカルボジイミド樹脂を用いることができ(米国特許第2,941,966号明細書、特公昭47−33297号公報、J.Org.Chem.20,2063−2075(1963)等参照)、例えば、有機ジイソシアネートの脱二酸化炭素を伴う縮合反応により製造したポリカルボジイミド樹脂を用いることができる。
【0053】
なお、上記賦活処理の方法としては特に限定はなく、薬品賦活、水蒸気賦活法等の種々の方法を用いることができるが、KOHを用いた薬品賦活で得られる活性炭は、水蒸気賦活品と比べて容量が大きい傾向にあることから好ましい。
また、炭素質材料の形状としては、破砕、造粒、顆粒、繊維、フェルト、織物、シート状等各種の形状があるが、いずれも本発明に使用することができる。
【0054】
さらに、上記炭素質材料には導電材を添加することもできる。導電材としては、炭素質材料に導電性を付与できるものであれば特に制限されず、例えば、カーボンブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、カーボンウイスカー、炭素繊維、天然黒鉛、人造黒鉛、酸化チタン,酸化ルテニウム,アルミニウム,ニッケル等の金属ファイバなどが挙げられ、これらの1種を単独でまたは2種以上を組み合せて用いることができる。これらの中でも、カーボンブラックの一種であるケッチェンブラック、アセチレンブラックが好ましい。
【0055】
ここで、導電材の平均粒径は、特に限定されるものではないが、10nm〜10μm、好ましくは10〜100nm、より好ましくは20〜40nmであり、特に、炭素質材料の平均粒径の1/5000〜1/2、特に1/1000〜1/10であることが好ましい。
また、その添加量も、特に限定されるものではないが、静電容量および導電性付与効果等を考慮すると、炭素質材料100重量部に対して0.1〜20重量部、好ましくは0.5〜10重量部である。
【0056】
次に、上記バインダーポリマーとしては、当該用途に使用できるポリマーであれば特に限定はないが、例えば、(I)不飽和ポリウレタン化合物、(II)相互侵入網目構造または半相互侵入網目構造を有する高分子材料、(III)下記一般式(14)で表わされる単位を含む熱可塑性樹脂、(IV)フッ素系高分子材料などを用いることが好ましい。上記バインダーポリマーのうち(I)〜(III)の高分子材料を用いると高い接着性を有するため、電極の物理強度を向上させることができる。また、(IV)のフッ素系高分子材料は、熱的、電気的安定性に優れたものである。
【0057】
【化17】

(式中、rは3〜5、sは5以上の整数を示す。)
【0058】
具体的には、上記(I)の不飽和ポリウレタン化合物としては、(A)分子中に少なくとも1個の(メタ)アクリロイル基とヒドロキシル基とを有する不飽和アルコールと、(B)下記一般式(15)で示されるポリオール化合物と、(C)ポリイソシアネート化合物と、必要に応じて(D)鎖延長剤とを反応させてなるものが好ましい。
【0059】
HO−〔(R5h−(Z)i−(R6jq−OH …(15)
〔式中、R5およびR6は同一または異種のアミノ基、ニトロ基、カルボニル基またはエーテル基を含有していてもよい炭素数1〜10の二価炭化水素基を示し、Zは−COO−、−OCOO−、−NR7CO−(R7は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を示す)、−O−またはアリーレン基を示し、h,i,jは0または1〜10の整数、qは1以上の整数を示す。〕
【0060】
(A)成分の不飽和アルコールとしては、分子中に少なくとも1個の(メタ)アクリロイル基とヒドロキシル基とを有するものであれば特に限定されず、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ジエチレングリコールモノアクリレート、ジエチレングリコールモノメタクリレート、トリエチレングリコールモノアクリレート、トリエチレングリコールモノメタクリレート等が挙げられる。
【0061】
(B)成分のポリオール化合物としては、ポリエチレングリコール等のポリエーテルポリオール、ポリカプロラクトン等のポリエステルポリオール等を用いることができるが、特に、上記一般式(15)で示されるものが好ましい。
【0062】
上記式(15)中、R5およびR6は、同一もしくは異種のアミノ基、ニトロ基、カルボニル基、またはエーテル基を含有していてもよい炭素数1〜10、好ましくは1〜6の二価炭化水素基、特にアルキレン基を示し、例えばメチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、エチレンオキシド基、プロピレンオキシド基等が挙げられる。
また、上記qは1以上、好ましくは5以上、より好ましくは10〜200の数を示す。
【0063】
なお、(B)成分のポリオール化合物の数平均分子量は、好ましくは400〜10,000、より好ましくは1,000〜5,000の範囲である。
【0064】
(C)成分のポリイソシアネート化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート,p−フェニレンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、3,3′−ジクロロ−4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート類;ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、水添化キシリレンジイソシアネート等の脂肪族または脂環式ジイソシアネート類等が挙げられる。
【0065】
上記不飽和ポリウレタン化合物には、上記(A)〜(C)成分以外にも、(D)鎖延長剤を配合することが好ましい。このような鎖延長剤としては、熱可塑性ポリウレタン樹脂の合成に一般的に用いられているものを採用することができる。例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール等のグリコール類;1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール等の脂肪族ジオール;1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4−シクロヘキサンジオール、キシリレングリコール等の芳香族ジオールまたは脂環式ジオール;ヒドラジン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、キシリレンジアミン、ピペラジン等のジアミン;アジピン酸ヒドラジド、イソフタル酸ヒドラジド等のアミノアルコール等が挙げられ、これらの1種を単独でまたは2種以上を組合わせて用いることができる。
【0066】
なお、上記(B)成分のポリオール化合物と(C)成分のポリイソシアネート化合物とを予め反応させて得られるウレタンプレポリマーを用いてもよい。
【0067】
上記各成分の使用量は、(A)成分100重量部に対して(B)成分を100〜20,000重量部、好ましくは1,000〜10,000重量部、(C)成分を80〜5,000重量部、好ましくは300〜2,000重量部、さらに必要に応じて(D)成分を5〜1,000重量部、好ましくは10〜500重量部添加することが望ましい。
【0068】
得られる不飽和ポリウレタン化合物の数平均分子量は、好ましくは1,000〜50,000、より好ましくは3,000〜30,000の範囲である。数平均分子量が小さすぎると、硬化ゲルの架橋点間分子量が小さくなるため、バインダーポリマーとしての可撓性が低くなりすぎる場合がある。一方、大きすぎると、硬化前の電極組成物の粘度が大きくなるため、均一な塗膜厚の電極作成が困難になる場合がある。
【0069】
上記(II)の相互侵入網目構造または半相互侵入網目構造を有する高分子材料としては、互いに相互侵入網目構造または半相互侵入網目構造を形成することが可能な2種以上の化合物(ポリマー、反応性モノマー等)を用いることができる。
【0070】
このような2種以上の化合物としては、(イ)(a)ヒドロキシアルキル多糖類誘導体と(d)架橋可能な官能基を有する化合物とを組み合せた高分子マトリックス、(ロ)(b)ポリビニルアルコール誘導体と(d)架橋可能な官能基を有する化合物とを組み合せた高分子マトリックス、または(ハ)(c)ポリグリシドール誘導体と(d)架橋可能な官能基を有する化合物とを組み合せた高分子マトリックスなどが挙げられる。
【0071】
この場合、(d)成分の架橋可能な官能基を有する化合物の一部または全部として上記(I)の不飽和ポリウレタン化合物を用いることが物理強度向上などの点から好ましい。
【0072】
(a)成分のヒドロキシアルキル多糖類誘導体としては、(1)セルロース、デンプン、プルランなどの天然に産出される多糖類にエチレンオキシドを反応させることによって得られるヒドロキシエチル多糖類、(2)上記多糖類にプロピレンオキシドを反応させることによって得られるヒドロキシプロピル多糖類、(3)上記多糖類にグリシドールまたは3−クロロ−1,2−プロパンジオールを反応させることによって得られるジヒドロキシプロピル多糖類等が挙げられ、これらヒドロキシアルキル多糖類の水酸基の一部または全てがエステル結合もしくはエーテル結合を介した置換基で封鎖されたものである。
【0073】
なお、上記ヒドロキシアルキル多糖類は、モル置換度が2〜30、好ましくは2〜20のものである。モル置換度が2より小さい場合、電解質塩類を溶解する能力が低すぎて使用に適さない。
【0074】
ヒドロキシアルキル多糖類の水酸基の一部または全てがエステル結合もしくはエーテル結合を介した置換基で封鎖されたものとしては、分子鎖末端OH基の10%以上がハロゲン原子、非置換または置換一価炭化水素基、R8CO−基(R8は非置換または置換一価炭化水素基)、R83Si−基(R8は上記と同じ)、アミノ基、アルキルアミノ基、H(OR9m−基(R9は炭素数2〜5のアルキレン基、mは1〜100の整数)、およびリン原子を含む基から選ばれる1種または2種以上の一価の基によって封鎖されたヒドロキシアルキル多糖類誘導体を用いることができる。
【0075】
上記非置換または置換の一価炭化水素基としては、同一または異種の炭素数1〜10、好ましくは1〜8の非置換または置換の一価炭化水素基を示し、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、t−ブチル基、ペンチル基等のアルキル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、ベンジル基等のアラルキル基、ビニル基等のアルケニル基、これらの基の水素原子の一部または全部をハロゲン原子、シアノ基、水酸基、アミノ基等で置換したもの等が挙げられ、これらの1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0076】
(b)成分のポリビニルアルコール誘導体は、オキシアルキレン鎖を持つポリビニルアルコール単位を有する高分子化合物の水酸基(ポリビニルアルコール単位由来の残存水酸基、および導入されたオキシアルキレン含有基由来の水酸基の合計)の一部または全部が置換されたものである。
【0077】
ここで、ポリビニルアルコール単位を有する高分子化合物は、分子中にポリビニルアルコール単位を有する数平均重合度20以上、好ましくは30以上、さらに好ましくは50以上の高分子化合物において、上記ポリビニルアルコール単位中の水酸基の一部または全部がオキシアルキレン含有基によって置換されたものである。この場合、数平均重合度の上限は、取り扱い性等を考慮すると、2,000以下、より好ましくは500以下、特に200以下であることが好ましい。
【0078】
上記ポリビニルアルコール単位を有する高分子化合物は、上記数平均重合度範囲を満たし、かつ、分子中のポリビニルアルコール単位の分率が98モル%以上のホモポリマーが最適であるが、これに限定されるものではなく、上記数平均重合度範囲を満たし、かつ、ポリビニルアルコール分率が好ましくは60モル%以上、より好ましくは70モル%以上のポリビニルアルコール単位を有する高分子化合物、例えば、ポリビニルアルコールの水酸基の一部がホルマール化されたポリビニルホルマール、ポリビニルアルコールの水酸基の一部がアルキル化された変性ポリビニルアルコール、ポリ(エチレンビニルアルコール)、部分ケン化ポリ酢酸ビニル、その他の変性ポリビニルアルコール等を用いることができる。
【0079】
この高分子化合物は、上記ポリビニルアルコール単位中の水酸基の一部または全部が平均モル置換度0.3以上のオキシアルキレン含有基(なお、このオキシアルキレン基は、その水素原子の一部が水酸基によって置換されていてもよい)で置換されているものであり、好ましくは30モル%以上、より好ましくは50モル%以上置換されているものである。ここで、平均のモル置換度(MS)は、仕込み質量と反応生成物の質量を正確に測定することで算出できる。
【0080】
(c)成分のポリグリシドール誘導体は、下記式(16)で示される単位(以下、A単位という)と、下記式(17)で示される単位(以下、B単位という)とを有し、分子鎖の各末端が分子鎖の末端が所定の置換基により封鎖されたものである。
【0081】
【化18】

【0082】
ここで、上記ポリグリシドールは、グリシドールまたは3−クロロ−1,2−プロパンジオールを重合させることにより得ることができるが、一般的には、グリシドールを原料とし、塩基性触媒またはルイス酸触媒を用いて重合を行うことが好ましい。
【0083】
上記ポリグリシドールは、分子中にA,B二つの単位を両者合わせて2個以上、好ましくは6個以上、より好ましくは10個以上有するものである。この場合、上限は特に制限されないが、通常10,000個以下程度である。これら各単位の合計数は、必要とするポリグリシドールの流動性および粘性等を考慮して適宜設定すればよい。また、分子中のA単位とB単位の比率は、モル比でA:B=1/9〜9/1、好ましくは3/7〜7/3である。なお、A,B単位の出現には規則性はなく、任意の組み合わせが可能である。
【0084】
さらに、上記ポリグリシドールにおけるゲル濾過クロマトグラフィー(GPC)を用いたポリエチレングリコール換算の重量平均分子量(Mw)が好ましくは200〜730,000、より好ましくは200〜100,000、さらに好ましくは600〜20,000のものである。また、平均分子量比(Mw/Mn)が1.1〜20、より好ましくは1.1〜10である。
【0085】
分子鎖の末端が置換基で封鎖されたポリグリシドールとしては、分子鎖末端のOH基の10%以上がハロゲン原子、非置換または置換一価炭化水素基、R10CO−基(R10は炭素数1〜10の非置換または置換一価炭化水素基)、R103Si−基(R10は上記と同じ)、アミノ基、アルキルアミノ基、H(OR11u−基(R11は炭素数2〜5のアルキレン基、uは1〜100の整数)、およびリン原子を含む基から選ばれる1種または2種以上の一価の基によって封鎖されたポリグリシドール誘導体を用いる。
【0086】
上記炭素数1〜10の非置換または置換の一価炭化水素基としては、上記R8およびR9と同じものを用いることができ、特に炭素数1〜8のものが好ましい。なお、置換基は末端OH基に各種基を導入する公知の手法を用いて導入することができる。
【0087】
(d)成分の架橋可能な官能基を有する化合物としては、(1)分子中にエポキシ基を有する化合物と、このエポキシ基と反応可能な2つ以上の活性水素基とを有する化合物、(2)分子中にイソシアネート基を有する化合物と、このイソシアネート基と反応可能な2つ以上の活性水素基とを有する化合物、(3)分子中に反応性二重結合を2つ以上有する化合物を用いることができる。
【0088】
(1)分子中にエポキシ基を有する化合物としては、分子中に2個以上のエポキシ基を有する化合物が好ましく、例えば、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ソルビタンポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、トリグリシジル・トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート等を用いることができる。
【0089】
上記エポキシ基を有する化合物に、2つ以上の活性水素基を有する化合物、例えば、アミン化合物、アルコール化合物、カルボン酸化合物、フェノール化合物を反応させて、三次元網目構造を形成することができる。具体的には、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール・プロピレングリコール共重合体等の高分子ポリオール、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−ビス(βヒドロキシエトキシ)ベンゼン、p−キシリレンジオール、フェニルジエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、ポリエチレンイミン、その他の多官能アミン、多官能カルボン酸等が挙げられる。
【0090】
(2)分子中にイソシアネート基を有する化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフチレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ビフェニレンジイソシアネート、ジフェニルエーテルジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の分子中に2個以上のイソシアネート基を有する化合物を用いることができる。
【0091】
なお、上記イソシアネート化合物と多価ポリオール化合物とを反応させたイソシアネート末端のポリオール化合物も使用できる。
この場合、イソシアネート化合物の〔NCO〕と、ポリオール化合物の〔OH〕との化学量論比は〔NCO〕>〔OH〕であり、具体的には〔NCO〕:〔OH〕=1.03/1〜10/1の範囲、好ましくは1.10/1〜5/1の範囲である。
【0092】
また、ポリオール化合物の代わりに、2つ以上の活性水素基を有するアミン化合物をイソシアネート化合物と反応させてもよい。アミン化合物としては、1級,2級のアミノ基を有するものを使用することができるが、1級アミノ基を有する化合物がより好ましい。例えば、エチレンジアミン、1,6−ジアミノヘキサン、1,4−ジアミノブタン、ピペラジン等のジアミン類、ポリエチレンアミン等のポリアミン類、N−メチルジエタノールアミン、アミノエタノール等のアミノアルコールなどが挙げられ、これらの中でもより好ましいものは官能基の反応性が等しいジアミン類である。この場合もイソシアネート化合物の〔NCO〕と、アミン化合物の〔NH2〕または〔NH〕と、の化学量論比は〔NCO〕>〔NH2〕+〔NH〕である。
【0093】
これらイソシアネート基を有する化合物のみでは、三次元網目構造を形成することができないため、これらの化合物に2つ以上の活性水素基を有する化合物、例えば、アミン化合物、アルコール化合物、カルボン酸化合物、フェノール化合物を反応させる必要があり、これにより、三次元網目構造を形成することができる。
なお、2つ以上の活性水素基を有する化合物としては、上述と同様のものを用いることができる。
【0094】
上記(3)反応性二重結合を有する化合物としては、特に限定されるものではないが、上記(I)の不飽和ポリウレタン化合物、または下記一般式(18)で示されるポリオキシアルキレン成分を含有するジエステル化合物等を用いることが好ましく、これらと下記一般式(19)で示されるポリオキシアルキレン成分を含有するモノエステル化合物、およびトリエステル化合物とを組み合わせて用いることが推奨される。
【0095】
【化19】

【0096】
ただし、式中、R12、R13、R14は水素原子、またはメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基等の炭素数1〜6、特に1〜4のアルキル基を示し、d≧1かつe≧0の条件を満足するものか、またはd≧0かつe≧1の条件を満足するものであり、e+dは100以下、特に1〜30であることが好ましい。特にR12、R13、R14はメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基が好ましい。
【0097】
【化20】

【0098】
ただし、式中、R15、R16、R17は水素原子、またはメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基等の炭素数1〜6、特に1〜4のアルキル基を示し、f≧1かつg≧0の条件を満足するものか、またはf≧0かつg≧1の条件を満足するものであり、f+gは100以下、特に1〜30であることが好ましい。特にR15、R16、R17はメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基が好ましい。
【0099】
なお、必要に応じて、例えば、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート、メタクリル酸テトラヒドロフルフリル等のアクリル酸またはメタクリル酸エステル、メタクリロイルイソシアネート、2−ヒドロキシメチルメタクリル酸、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリル酸等の分子中にアクリル酸基またはメタクリル酸基を1つ有する化合物を添加することができる。さらに、N−メチロールアクリルアミド、メチレンビスアクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド等のアクリルアミド化合物、ビニルオキサゾリン類、炭酸ビニレン等のビニル化合物等、またはその他の反応性の二重結合を有する化合物を添加することもできる。
この場合にも、三次元網目構造を形成するためには、上述のような分子中に反応性二重結合を2つ以上有する化合物を添加する必要がある。
【0100】
上記(I)の不飽和ポリウレタン化合物、またはポリオキシアルキレン成分を含有するジエステル化合物とポリオキシアルキレン成分を含有するモノエステル化合物とを、電極組成物中で加熱または電子線、マイクロ波、高周波などを照射することによって、または混合物を加熱することにより三次元網目構造を形成することができる。
【0101】
この場合、不飽和ポリウレタン化合物またはポリオキシアルキレン成分を含有するジエステル化合物に、さらに一官能性モノマーであるポリオキシアルキレン成分を含有するモノエステル化合物を添加することが好ましい。このようなモノエステル化合物を添加することで、三次元網目上にポリオキシアルキレン分岐鎖を導入することができる。
なお、不飽和ポリウレタン化合物またはポリオキシアルキレン成分を含有するジエステル化合物と、ポリオキシアルキレン成分を含有するモノエステル化合物との組成比は、特に限定されるものではない。
【0102】
これら(a)〜(c),(d)成分を含むバインダーポリマーを、加熱する、または電子線、マイクロ波、高周波等を照射することによって、(d)成分の架橋可能な官能基を有する化合物を反応(重合)させて得られるポリマーの三次元網目構造に、上記(a)〜(c)成分のポリマーの分子鎖が相互に絡みついた半相互侵入高分子網目構造を形成するものである。
【0103】
次に、上記(III)のバインダーポリマーとしては、下記一般式(14)で表わされる単位を含む熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。
【0104】
【化21】

(式中、rは3〜5、sは5以上の整数を示す。)
【0105】
このような熱可塑性樹脂としては、(E)ポリオール化合物と、(F)ポリイソシアネート化合物と、(G)鎖伸長剤とを反応させてなる熱可塑性ポリウレタン系樹脂を用いることが好ましい。
なお、熱可塑性ポリウレタン系樹脂には、ウレタン結合を有するポリウレタン樹脂以外にも、ウレタン結合とウレア結合とを有するポリウレタンウレア樹脂も含まれる。
(E)成分のポリオール化合物としては、ポリエステルポリオール、ポリエステルポリエーテルポリオール、ポリエステルポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、またはこれらの混合物を用いることが好ましい。
【0106】
このような(E)成分のポリオール化合物の数平均分子量は1,000〜5,000であることが好ましく、より好ましくは1,500〜3,000である。ポリオール化合物の数平均分子量が小さすぎると、得られる熱可塑性ポリウレタン系樹脂フィルムの耐熱性、引張り伸び率などの物理特性が低下する場合がある。一方、大きすぎると、合成時の粘度が上昇し、得られる熱可塑性ポリウレタン系樹脂の製造安定性が低下する場合がある。なお、ここでいうポリオール化合物の数平均分子量は、いずれもJIS K1577に準拠して測定した水酸基価に基づいて算出した数平均分子量を意味する。
【0107】
(F)成分のポリイソシアネート化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート類;ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、水添化キシリレンジイソシアネート等の脂肪族または脂環式ジイソシアネート類等が挙げられる。
【0108】
(G)成分の鎖伸長剤としては、イソシアネート基および反応性の活性水素原子を分子中に2個有し、かつ分子量が300以下である低分子量化合物を用いることが好ましい。
このような低分子量化合物としては、公知の種々の化合物を使用でき、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール等の脂肪族ジオール;1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4−シクロヘキサンジオール、ビス(β−ヒドロキシエチル)テレフタレート等の芳香族ジオールまたは脂環式ジオール;ヒドラジン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、キシリレンジアミン等のジアミン;アジピン酸ヒドラジド等のアミノアルコール等が挙げられ、これらの1種を単独でまたは2種以上を組合わせて用いることができる。
【0109】
なお、上記熱可塑性ポリウレタン系樹脂においては、(E)成分のポリオール化合物100重量部に対して(F)成分のポリイソシアネート化合物を5〜200重量部、好ましくは20〜100重量部添加し、(G)成分の鎖伸長剤を1〜200重量部、好ましくは5〜100重量部添加する。
【0110】
また、上記熱可塑性樹脂は、下記式から求めた膨潤率が150〜800重量%の範囲であることが好ましく、より好ましくは250〜500重量%、さらに好ましくは250〜400重量%である。
【0111】
【数1】

【0112】
次に、上記(IV)のバインダーポリマーであるフッ素系高分子材料としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体〔P(VDF−HFP)〕、フッ化ビニリデンと塩化3フッ化エチレンとの共重合体〔P(VDF−CTFE)〕等が好ましく用いられる。これらの内でも、フッ化ビニリデンが50重量%以上、特に70重量%以上(上限値は97重量%程度である)であるものが好適である。
【0113】
この場合、フッ素系ポリマーの重量平均分子量は、特に限定はないが、500,000〜2,000,000が好ましく、より好ましくは500,000〜1,500,000である。重量平均分子量が小さすぎると物理的強度が著しく低下する場合がある。
【0114】
上記分極性電極組成物は、以上で説明した炭素質材料(必要に応じて導電材を含む)、およびバインダーポリマーを溶液状に調製したバインダー溶液と、必要に応じて溶媒とを混合容器に収容し、湿式混合して得ることができる。
なお、バインダーポリマーの添加量は、炭素質材料100重量部に対して、0.5〜20重量部、特に、1〜10重量部であることが好ましい。
【0115】
このようにして得られた分極性電極組成物を集電体上に塗布することにより、分極性電極が得られることとなる。集電体を構成する正・負極としては、通常電気二重層キャパシタに用いられるものを任意に選択して使用できるが、正極集電体としてアルミニウム箔または酸化アルミニウムを用いることが好ましく、一方、負極集電体として銅箔、ニッケル箔または表面が銅めっき膜もしくはニッケルめっき膜にて形成された金属箔を用いることが好ましい。
【0116】
上記各集電体を構成する箔の形状としては、薄い箔状、平面に広がったシート状、孔が形成されたスタンパブルシート状等を採用できる。また、箔の厚さとしては、通常、1〜200μm程度であるが、電極全体に占める炭素質材料の密度および電極の強度等を考慮すると、8〜100μmが好ましく、特に8〜30μmがより好ましい。
なお、分極性電極は、分極性電極組成物を溶融混練した後、押出し、フィルム成形することにより形成することもできる。
【0117】
上記セパレータとしては、通常電気二重層キャパシタ用のセパレータとして用いられているものを使用することができる。例えば、(1)セパレータ基材に電解液を含浸させてなるもの、(2)分極性電極に用いたポリマーバインダーをフィルム状に形成したもの、(3)上式から求めた膨潤率が150〜800重量%の範囲である熱可塑性樹脂を成形した後、電解液に浸漬し、膨潤させて得られるゲル電解質膜からなるもの、等を用いることができる。この場合、電解液としては上記蓄電デバイス用電解液で述べた各種電解液を用いる。
【0118】
上記(1)のセパレータ基材としては、通常電気二重層キャパシタ用のセパレータ基材として用いられているものを使用することができる。例えば、ポリオレフィン不織布、PTFE多孔体フィルム、クラフト紙、レーヨン繊維・サイザル麻繊維混抄シート、マニラ麻シート、ガラス繊維シート、セルロース系電解紙、レーヨン繊維からなる抄紙、セルロースとガラス繊維の混抄紙、またはこれらを組み合せて複数層に構成したものなどを使用することができる。
【0119】
また、セパレータとして、(2)分極性電極に用いたポリマーバインダーをフィルム状に形成したものを用いることもでき、(3)上述の式から求めた膨潤率が150〜800重量%の範囲である熱可塑性樹脂を成形した後、電解液に浸漬し、膨潤させて得られるゲル電解質膜からなるものを用いることもできる。
これらのセパレータを用いた場合、電極用ポリマーバインダー(熱可塑性樹脂)と組成が共通し、電極−セパレータ間の界面を一体化制御できるので、さらに内部抵抗を下げることができる。
【0120】
本発明の電気二重層キャパシタは、上記のようにして得られる一対の分極性電極間にセパレータを介在させてなる電気二重層キャパシタ構造体を積層、折畳、または捲回させて、さらにコイン型に形成し、これを電池缶またはラミネートパック等の電池容器に収容した後、電解液を充填し、電池缶であれば封缶することにより、一方、ラミネートパックであればヒートシールすることにより、組み立てることができる。
【0121】
本発明の電気二重層キャパシタは、上記一般式(1)で示される4級アンモニウム塩または4級ホスホニウム塩を電解質として用いているため、従来のものよりもイオン伝導度が高く、高い静電容量を有するとともに、低温特性に優れ、かつ、広い電位窓を有している。しかも、上述のような低インピーダンスの分極性電極を使用することにより、高いパワー密度とエネルギー密度を付与することもできる。
以上のような特性を有する本発明の電気二重層キャパシタは、携帯電話、ノート型パソコンや携帯用端末等のメモリーバックアップ電源用途、携帯電話、携帯用音響機器等の電源、パソコン等の瞬時停電対策用電源、太陽光発電、風力発電等と組み合わせることによるロードレベリング電源等の種々の小電流用の蓄電デバイスに好適に使用することができる。また、大電流で充放電可能な電気二重層キャパシタは、電気自動車、電動工具等の大電流を必要とする大電流蓄電デバイスとして好適に使用することができる。
【0122】
[二次電池]
本発明に係る二次電池は、正極および負極と、これら正負極間に介在させたセパレータと、電解液とを含む二次電池において、前記電解液として上述したイオン導電性塩を添加した蓄電デバイス用電解液([蓄電デバイス用電解液]で説明した(2)、(3)の電解液)を用いるものである。
ここで、正極を構成する正極活物質としては、電極の用途、電池の種類等に応じて適宜選定されるが、例えば、リチウム二次電池やリチウムイオン二次電池の正極とする場合、リチウムイオンを吸着・離脱可能なカルコゲン化合物またはリチウムイオン含有カルコゲン化合物等を用いることができる。
【0123】
このようなリチウムイオンを吸着離脱可能なカルコゲン化合物としては、例えばFeS2、TiS2、MoS2、V26、V613、MnO2等が挙げられる。
上記リチウムイオン含有カルコゲン化合物としては、例えばLiCoO2、LiMnO2、LiMn24、LiMo24、LiV38、LiNiO2、LixNiy1-y2(但し、Mは、Co、Mn、Ti、Cr,V、Al、Sn、Pb、およびZnから選ばれる少なくとも1種以上の金属元素を表し、0.05≦x≦1.10、0.5≦y≦1.0)などが挙げられる。
【0124】
一方、上記負極を構成する負極活物質としては、電極の用途、電池の種類などに応じて適宜選定されるが、例えば、リチウム二次電池やリチウムイオン二次電池の負極とする場合、アルカリ金属、アルカリ合金、リチウムイオンを吸蔵・放出する周期表8,9,10,11,12,13,14,および15族の元素から選ばれる少なくとも1種の酸化物、硫化物、窒化物、またはリチウムイオンを可逆的に吸蔵・放出可能な炭素材料を使用することができる。
【0125】
この場合、アルカリ金属としては、Li、Na、K等が挙げられ、アルカリ金属合金としては、例えば金属Li、Li−Al、Li−Mg、Li−Al−Ni、Na、Na−Hg、Na−Zn等が挙げられる。
また、リチウムイオンを吸蔵放出する周期表8〜15族の元素から選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物としては、例えば、スズケイ素酸化物(SnSiO3)、リチウム酸化ビスマス(Li3BiO4)、リチウム酸化亜鉛(Li2ZnO2)等が挙げられる。
同じく硫化物としては、リチウム硫化鉄(LixFeS2(0≦x≦3))、リチウム硫化銅(LixCuS(0≦x≦3))等が挙げられる。
同じく窒化物としては、リチウム含有遷移金属窒化物が挙げられ、具体的には、LixyN(M=Co、Ni、Cu、0≦x≦3、0≦y≦0.5)、リチウム鉄窒化物(Li3FeN4)等が挙げられる。
さらに、リチウムイオンを可逆的に吸蔵・放出可能な炭素材料としては、グラファイト、カーボンブラック、コークス、ガラス状炭素、炭素繊維、またはこれらの焼結体等が挙げられる。
【0126】
なお、正負極を構成するバインダーポリマー、セパレータについては、電気二重層キャパシタで説明したのと同様である。また、イオン導電性塩については、蓄電デバイス用電解液で説明した導電性塩を用いることができる。
【0127】
以上のような二次電池は、正極と負極との間にセパレータを介在させてなる電池構造体を、積層、折畳、または捲回させて、さらにコイン型に形成し、これを電池缶またはラミネートパック等の電池容器に収容し、上述した電解液を充填し、電池缶であれば封缶、ラミネートパックであればヒートシールすることにより、得ることができる。
なお、電解液には、必要に応じて、(メタ)アクリレート、エポキシ基含有化合物、熱硬化性ウレタン等の反応硬化性物質を添加し、反応硬化させることもできる。
さらに、正負極どちらか一方の電極として電気二重層キャパシタに通常用いられる分極性電極を用い、対する他方の電極として、通常リチウムイオン二次電池で使用するような、リチウムイオンを挿入、脱離できる物質を活物質とする電極を使用したハイブリッド型の蓄電デバイスにも上記電解液で説明した(2),(3)の電解液を使用することができる。
【実施例】
【0128】
以下、合成例、実施例および比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0129】
[合成例1] 化合物(3)の合成
【化22】

【0130】
ジエチルアミン(関東化学(株)製)100mlと2−メトキシエチルクロライド(関東化学(株)製)85mlとを混合し、得られた混合溶液をオートクレーブ中に入れ、100℃で24時間反応させた。この時、内圧は、1.3kgf/cm2であった。24時間後、析出した結晶と反応液との混合物に水酸化カリウム(片山化学工業(株)製)56gを溶解した水溶液200mlを加え、2層に別れた有機層を分液ロートで分液した。さらに、塩化メチレン(和光純薬工業(株)製)100mlを加え抽出する操作を2回行った。分液した有機層をまとめ、飽和食塩水で洗浄した後、炭酸カリウム(和光純薬工業(株)製)を加えて乾燥し、減圧濾過した。得られた有機層の溶媒をロータリーエバポレーターを用いて留去し、残留分について常圧蒸留を行い、沸点135℃付近の留分を18.9g得た。この化合物が2−メトキシエチルジエチルアミンであることを1H−核磁気共鳴スペクトル(以下、NMRという)により確認した。
得られた2−メトキシエチルジエチルアミン8.24gをテトラヒドロフラン(和光純薬工業(株)製)10mlに溶解し、氷冷下、ヨウ化メチル(和光純薬工業(株)製)4.0mlを加えた。30分後、アイスバスを外し、室温にて一晩撹拌した。この反応溶液の溶媒を減圧留去し、得られた固形分をエタノール(和光純薬工業(株)製)−テトラヒドロフラン系で再結晶し、2−メトキシエチルジエチルメチルアンモニウムヨウ素塩を16g得た。
続いて、2−メトキシエチルジエチルメチルアンモニウムヨウ素塩15.0gを蒸留水100mlに溶解し、酸化銀(関東化学(株)製)6.37gを加え、3時間撹拌した。この反応混合物を減圧濾過して、沈殿物を取り除いた後、撹拌下、42%テトラフルオロホウ酸(関東化学(株)製)を反応液がpH5〜6付近になるまで少量ずつ加えた。この反応溶液を凍結乾燥し、さらに真空ポンプで水を十分留去し、室温(25℃)で液体状の化合物(3)を12.39g得た。
化合物(3)のNMRチャート(溶媒:重クロロホルム)を第1図に示す。
【0131】
[合成例2] 化合物(4)の合成
【化23】

【0132】
ヨウ化メチルをヨウ化エチルに変えた以外は、合成例1と同様の方法で上式に示される化合物(4)を合成した。凍結乾燥後、得られた白色結晶をエタノールから再結晶し、純品を得た。
化合物(4)のNMRチャート(溶媒:重クロロホルム)を第2図に示す。
【0133】
[合成例3] 化合物(5)の合成
【化24】

【0134】
ジエチルアミンの代わりにピロリジンを用い、オートクレーブでの反応温度を90℃とした以外は、合成例1と同様にして、上式に示される化合物(5)を合成した。目的物は常温(25℃)で液体であった。
化合物(5)のNMRチャート(溶媒:重クロロホルム)を第3図に示す。
【0135】
[合成例4] 化合物(6)の合成
【化25】

【0136】
ジエチルアミンの代わりにピペラジンを用い、オートクレーブでの反応温度を100℃とした以外は、合成例1と同様にして、上式に示される化合物(6)を合成した。目的物は常温(25℃)で液体であった。
化合物(6)のNMRチャート(溶媒:重クロロホルム)を第4図に示す。
【0137】
[合成例5] 化合物(7)の合成
【化26】

【0138】
トリエチルホスフィントルエン溶液(トリエチルホスフィン約20%含有、関東化学(株)製)200mlと、2−メトキシエチルクロライド(関東化学(株)製)50mlを混合し、還流下で24時間反応させた。その後、溶媒を留去し、さらに真空ポンプを用いて溶媒および未反応試薬を完全に留去した。この残留物をエタノール−THF系で再結晶し、45gの2−メトキシエチルトリエチルホスホニウム塩化物塩を得た。
得られた2−メトキシエチルトリエチルホスホニウム塩化物塩20.0gを蒸留水100mlに溶解し、酸化銀(関東化学(株)製)10.89gを加え2時間撹拌した。減圧濾過により沈殿物を取り除いた後、撹拌下、42%テトラフルオロホウ酸(関東化学(株)製)を反応液がpH5〜6付近になるまで、少量ずつ加えた。この反応溶液を凍結乾燥し、さらに真空ポンプで水を十分留去し、室温(25℃)で液体状の化合物(7)を23.87g得た。
【0139】
[合成例6] 化合物(8)の合成
【化27】

【0140】
合成例1と同様の方法で得られた2−メトキシエチルジエチルメチルアンモニウムヨウ素塩10.0gをアセトニトリル(関東化学(株)製)50mLに溶解した。これにトリフルオロメタンスルホン酸イミドリチウム(キシダ化学(株)製)9.5gを加え、これが完全に溶解した後、さらに15分間撹拌した。
アセトニトリルを減圧留去し、残留分に水を加え、2層に分離した有機層を分液し、水で5回洗浄し、有機層中の不純物を取り除いた。
洗浄後の有機層を真空ポンプにて減圧にし、水を十分に留去し、室温で液体状の化合物(8)を6.8g得た。
化合物(8)のNMRチャート(溶媒:重クロロホルム)を第5図に示す。
【0141】
[合成例7] 化合物(9)の合成
【化28】

【0142】
合成例1と同様の方法で得られた2−メトキシエチルジエチルメチルアンモニウムヨウ素塩10.0gをアセトニトリル(関東化学(株)製)50mLに溶解した。これにヘキサフルオロりん酸銀(アルドリッチ社製)9.26gを加え、1時間撹拌した。
反応液をセライト濾過し、反応液中の固体分を取り除き、溶媒留去後、さらに真空下で充分乾燥させ、常温(25℃)で液体の化合物(9)を10.1g得た。
化合物(9)のNMRチャート(溶媒:重ジメチルスルホキシド)を第6図に示す。
【0143】
[合成例8] 化合物(10)の合成
【化29】

【0144】
ヘキサフルオロりん酸銀をトリフルオロメタンスルホン酸銀(アルドリッチ社製)に代え、これを2−メトキシエチルジエチルメチルアンモニウムヨウ素塩に対して等モル加えた以外は、合成例7と同様の方法により、常温(25℃)で液体の化合物(10)を得た。
化合物(10)のNMRチャート(溶媒:重ジメチルスルホキシド)を第7図に示す。
【0145】
[合成例9] 化合物(11)の合成
【化30】

【0146】
溶媒をアセトニトリルからクロロホルム(和光純薬工業(株)製)に代えるとともに、ヘキサフルオロりん酸銀をトリフルオロ酢酸銀(アルドリッチ社製)に代え、これを2−メトキシエチルジエチルメチルアンモニウムヨウ素塩に対して等モル加えた以外は、合成例7と同様の方法により、常温(25℃)で液体の化合物(11)を得た。
化合物(11)のNMRチャート(溶媒:重ジメチルスルホキシド)を第8図に示す。
【0147】
[実施例1〜5] 電気二重層キャパシタ
合成例1〜5で得られた各電解質塩を、それぞれプロピレンカーボネート(以下、PCという)に2.0M溶解させた溶液を電解液とし、以下のような手順で電気二重層キャパシタを作製した。
まず、フェノール樹脂原料のアルカリ賦活品からなる活性炭(MSP−20、関西熱化学(株)製)、導電性カーボン、ポリウレタン樹脂、N−メチルピロリドン(以下、NMPという)を、活性炭:導電性カーボン:ポリウレタン樹脂:NMP=41.9:3.7:2.2:52.2の割合で混合してペースト状にし、電気二重層キャパシタの正負極の分極性電極組成物を調製した。得られたペースト状の分極性電極組成物をアルミニウム基板に、乾燥膜厚が100μmとなるようにドクターブレードにより塗布し、80℃で4時間乾燥させた後、圧延して分極性電極を得た。この分極性電極を用い、セルロース系のセパレータを一対の分極性電極間に介在させてセルを組み立て、上記各電解液を注液して電気二重層キャパシタとした。
【0148】
[比較例1]
非水系電気二重層キャパシタ用電解質塩として一般に普及しているテトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレート(以下、TEAという)を用い、この電解質塩のPC飽和溶液(濃度約1.5M)を電解液として用いた以外は、上記実施例と同様にして電気二重層キャパシタを作製した。
【0149】
[比較例2]
電解液として、TEAをPCに1M溶解させた溶液を用いた以外は、上記実施例と同様にして電気二重層キャパシタを作製した。
【0150】
[静電容量、イオン電導率]
上記各実施例および比較例で得られた電気二重層キャパシタについて、下記条件にて電流密度充放電試験を行い、静電容量を測定するとともに、−20℃におけるイオン電導率を測定した。
(静電容量測定条件)
各電気二重層キャパシタを電流密度1.59mA/cm2、2.0〜2.5Vの設定で充放電を行った。定電流で充電し、電圧が設定電圧に達してから2時間以上定電圧充電を行った後に、1.59mA/cm2の電流密度で放電を行い、電気エネルギーの積算値から静電容量を算出した。結果を表1に示す。
【0151】
【表1】

【0152】
表1に示されるように、本発明の4級アンモニウム塩または4級ホスホニウム塩を電解質塩として用いた実施例1〜5では、各比較例よりも高い静電容量を示していることがわかる。
また、実施例1〜5では、各比較例よりも高濃度であるにも拘わらず、電解質塩の析出がないため、比較例2のイオン電導率よりも高くなり、低温時においてより多くの電気量が取り出せ有用であることがわかる。なお、比較例1の電解液では、電解質塩が析出してイオン電導率の測定が不可能であった。
【0153】
[実施例6] 電気二重層キャパシタ
合成例1で得られた電解質塩を、PCとエチレンカーボネート(以下、ECという)との混合溶媒(PC:EC=9:1)に溶かし、濃度2.0Mの電解液とした後、両面塗りの分極性電極(8cm×16cm)2枚、片面塗りの分極性電極(8cm×16cm)2枚を作製し、Niタブ端子を溶接した。
これらの分極性電極を両面塗り2枚の外側両側に片面塗り各々1枚を正負極となるように組み合わせ、ラミネートでパックして電気二重層キャパシタを試作した。得られた電気二重層キャパシタについて、充放電試験を行い、放電カーブを用いてエネルギー換算法で静電容量を求めたところ、180Fであった。
【0154】
[実施例7] 電気二重層キャパシタ
[1]活性炭の製造(ポリカルボジイミドを原料とするもの)
2,4−トリレンジイソシアネート/2,6−トリレンジイソシアネート(80/20)の混合物54重量部をテトラクロロエチレン500重量部中で、カルボジイミド化触媒(1−フェニル−3−メチルホスフォレンオキサイド)0.12重量部とともに、120℃で4時間反応させ、ポリカルボジイミド溶液を得た。溶媒を減圧留去により除去し、粘性の高い液体状のポリカルボジイミド樹脂を得た。
続いて、得られたカルボジイミド樹脂を300℃で5時間処理して完全に固化させた後、800℃で1時間加熱処理して炭化させた。この炭化物を900℃で1時間当たり炭化物1重量部に対し、水5重量部の割合で水を導入する水蒸気賦活処理を2時間行い、目的の活性炭を6.2重量部得た。
[2]電気二重層キャパシタの製造
合成例1で得られた電解質塩をPCに溶かして濃度2.0Mの電解液とし、分極性電極に用いる活性炭をMSP−20から上記方法で作製した活性炭に代えた以外は、実施例6と同様の方法で電気二重層キャパシタを作製した。
得られた電気二重層キャパシタについて、充放電試験を行い、放電カーブを用いてエネルギー換算法で静電容量を求めたところ、178Fであった。
【0155】
[実施例8] 電気二重層キャパシタ
活性炭(MSP−20、関西熱化学(株)製)、導電材(デンカブラック HS100、電気化学工業(株)製)、結着剤(PVdF900、呉羽化学(株)製)を用い、配合比(活性炭100に対する配合比(質量比))を活性炭:導電剤:結着剤=100:3:5とした充填物質およびN−メチル−2−ピロリドン(NMP)(一級品、片山化学工業(株)製)を、充填物質:NMP=100:212.5(質量比)の割合で混合したスラリーを、Al/AlOxシート(30CB、日本蓄電器工業(株)製)(250mm×150mm×0.030mm)に幅90mmで塗布後、乾燥(80℃)、圧延(充填密度、約0.7g/cm3)し、50.0mm(内、塗布部40.0mm)×20mmに裁断したものを電極とした。
この際、正極は約0.092g、負極は約0.096gの質量を持つ電極を選び、正極には幅3.0mmのAlテープ、負極には幅3.0mmのNiテープを溶接した。
セルロースセパレータ(厚さ0.035mm、FT40−35、日本高度紙工業(株)製)を54.0×22.0mmに裁断したもの2枚を介して、上述のようにして作製した正極2枚、負極2枚を対向させて組み、上記30CB(t=30μm、50.0mm×20.0mm)にAlテープを溶接したものをAl/AlOx参照電極としてセパレータに介して電極群を得た。
合成例6で得られた4級塩(イオン性液体)を電解液とし、これを上記電極群の空間体積に対して100.0vol%注液した後、約76Torrで30分間減圧し、ラミネートパッキングして電気二重層キャパシタを得た。
【0156】
[比較例3]
TEA(テトラエチルアンモニウム)−BF4の1.0Mプロピレンカーボネート溶液(LIPASTE−P/EAFIN、富山化学工業(株)製)を電解液とし、これを上記実施例8と同様にして得られた電極群に、実施例8と同様にして注液し、電気二重層キャパシタを得た。
【0157】
上記実施例8および比較例3で得られた電気二重層キャパシタについて、以下の[1]〜[3]の電気的試験を行い、初期容量、放電性能の温度依存性、自己放電性能を評価した。
[1]初期容量
下記サイクルを3回行った。
充電:10mA,2.5V、1mA終止(25℃)
休止:1時間(25℃)
放電:10mA,0.0V終止(25℃)
[2]温度別放電性能
充電:10mA,2.5V、1mA終止(x℃)
休止:6時間(x℃)
放電:10mA,0.0V終止(x℃)
x=−20.0、0.0、25.0、40.0、60.0
[3]自己放電性能
下記条件で充電後60.0℃にて放置。
充電:10mA,2.5V、1mA終止(25℃)
【0158】
上記電気的試験の結果を第9〜11図に示した。
第9図に示されるように、実施例8で得られた電気二重層キャパシタは、比較例とほぼ同等の電気量が得られていることがわかる。
第10図に示されるように、実施例8で得られた電気二重層キャパシタは、低温側において放電容量を得ることが難しいものの、高温側において良好な放電容量が得られていることがわかる。
第11図に示されるように、自己放電性能においても、実施例8と比較例3で得られた電気二重層キャパシタは同等であることがわかる。
このように、イオン性液体のみを電解液として用いた場合にも、通常の有機電解液と同等の性能の電気二重層キャパシタを得ることができ、コスト面、安全面を考慮すれば、イオン性液体のみからなる電解液は、有用な蓄電デバイス用電解液となり得ることがわかる。
【0159】
[参考例1] 二次電池
[1]電解液の調製
合成例6で得られた4級塩(イオン性液体)70.8重量部にトリフルオロスルホン酸イミドリチウム29.2重量部を混合・溶解することで電解液を調製した。
[2]正極の作製
正極活物質であるLiCoO291重量部と、導電剤であるケッチェンブラック3重量部と、N−メチル−2−ピロリドン90重量部にポリフッ化ビニリデン(PVDF)10重量部を溶解した溶液を60重量部と、N−メチル−2−ピロリドン15重量部と、を撹拌・混合し、ペースト状の正極合剤を調製した。
この正極合剤をアルミ箔上に乾燥膜厚100μmとなるようにドクターブレードにより塗布した後、80℃で2時間乾燥し、圧延することによってLiCoO2正極を作製した。
[3]リチウム二次電池の作製
上記で得られた正極および負極である金属リチウムをそれぞれ12φの大きさに切り取り、セパレータであるポリオレフィン多孔膜(E25MMS、東燃タピルス(株)製)を、切り取った各正負極の間に挟み、上記にて調製した電解液を注液・含浸させることによって、コイン型のリチウム二次電池を作製した。
【0160】
[参考例2] 二次電池
電解液として、合成例1で得られた4級塩(イオン性液体)90.6重量部と、テトラフルオロホウ酸リチウム9.4重量部とを混合・溶解したものを用いた以外は、実施例9と同様にしてコイン型のリチウム二次電池を作製した。
【0161】
上記参考例1,2で得られた各二次電池について、充電時の上限電圧を4.2V、放電時の終止電圧を3Vとし、電流密度0.025mA/cm2の電流で、充電時は定電流低電圧充電、放電時は定電流放電により充放電試験を行った。
その結果、参考例1の二次電池におけるLiCoO2当たりの放電容量は117.8mAh/gであり、参考例2におけるLiCoO2当たりの放電容量は115.4mAh/gであり、いずれもリチウム二次電池として十分な値を示した。参考例1の二次電池における充放電特性のグラフを第12図に示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1′)または(4′)で示され、融点が50℃以下であるイオン性液体のみからなることを特徴とする蓄電デバイス用電解液。
【化1】

〔式中、Yは一価のアニオンを示す。Meはメチル基を、Etはエチル基を意味する。〕
【化2】

〔式中、R1〜R4は互いに同一もしくは異種の炭素数1〜5のアルキル基、またはR′−O−(CH2n−で表されるアルコキシアルキル基(R′はメチル基またはエチル基を示し、nは1〜4の整数である。)を示す。ただし、R1およびR2は環を形成し、R3およびR4の内少なくとも1つは上記アルコキシアルキル基である。Yは一価のアニオンを示す。〕
【請求項2】
下記一般式(1′)または(4′)で示され、融点が50℃以下であるイオン性液体の少なくとも1種と、非水系有機溶媒とを含んでなることを特徴とする蓄電デバイス用電解液。
【化3】

〔式中、Yは一価のアニオンを示す。Meはメチル基を、Etはエチル基を意味する。〕
【化4】

〔式中、R1〜R4は互いに同一もしくは異種の炭素数1〜5のアルキル基、またはR′−O−(CH2n−で表されるアルコキシアルキル基(R′はメチル基またはエチル基を示し、nは1〜4の整数である。)を示す。ただし、R1およびR2は環を形成し、R3およびR4の内少なくとも1つは上記アルコキシアルキル基である。Yは一価のアニオンを示す。〕
【請求項3】
下記一般式(1′)または(4′)で示され、融点が50℃以下であるイオン性液体の少なくとも1種と、常温で固体のイオン導電性塩とを含んでなることを特徴とする蓄電デバイス用電解液。
【化5】

〔式中、Yは一価のアニオンを示す。Meはメチル基を、Etはエチル基を意味する。〕
【化6】

〔式中、R1〜R4は互いに同一もしくは異種の炭素数1〜5のアルキル基、またはR′−O−(CH2n−で表されるアルコキシアルキル基(R′はメチル基またはエチル基を示し、nは1〜4の整数である。)を示す。ただし、R1およびR2は環を形成し、R3およびR4の内少なくとも1つは上記アルコキシアルキル基である。Yは一価のアニオンを示す。〕
【請求項4】
前記式(4′)における環が、ピロリジン環である請求項1〜3のいずれか1項記載の蓄電デバイス用電解液。
【請求項5】
前記式(4′)におけるR′が、メチル基である請求項1〜3のいずれか1項記載の蓄電デバイス用電解液。
【請求項6】
前記Yが、BF4-、PF6-、(CF3SO22-、CF3SO3-、またはCF3CO2-である請求項1〜5のいずれか1項記載の蓄電デバイス用電解液。
【請求項7】
前記イオン性液体が、下記式(3)で示される請求項1〜3のいずれか1項記載の蓄電デバイス用電解液。
【化7】

〔式中、Meはメチル基を、Etはエチル基を意味する。〕
【請求項8】
前記イオン性液体の融点が、25℃以下である請求項1〜6のいずれか1項記載の蓄電デバイス用電解液。
【請求項9】
前記非水系有機溶媒が、エチレンカーボネートまたはプロピレンカーボネートを主成分として含む混合溶媒である請求項2記載の蓄電デバイス用電解液。
【請求項10】
前記非水系有機溶媒が、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ビニレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、およびジエチルカーボネートから選ばれる1種または2種以上の混合溶媒である請求項9記載の蓄電デバイス用電解液。
【請求項11】
前記イオン導電性塩が、リチウム塩である請求項3記載の蓄電デバイス用電解液。
【請求項12】
さらに非水系有機溶媒を含む請求項3記載の蓄電デバイス用電解液。
【請求項13】
一対の分極性電極と、これら分極性電極間に介在させたセパレータと、電解液とを含む電気二重層キャパシタにおいて、
前記電解液が、下記式(1)で表され、融点が50℃以下のイオン性液体のみからなる、または下記式(1)で表され、融点が50℃以下のイオン性液体と非水系有機溶媒とを含んでなることを特徴とする電気二重層キャパシタ。
【化8】

〔式中、R1〜R4は互いに同一もしくは異種の炭素数1〜5のアルキル基、またはR′−O−(CH2n−で表されるアルコキシアルキル基(R′はメチル基またはエチル基を示し、nは1〜4の整数である。)を示し、これらR1、R2、R3およびR4のいずれか2個の基が環を形成していても構わない。ただし、R1〜R4の内少なくとも1つは上記アルコキシアルキル基である。Xは窒素原子またはリン原子を示し、Yは一価のアニオンを示す。〕
【請求項14】
前記Xが、窒素原子である請求項13記載の電気二重層キャパシタ。
【請求項15】
前記Xが、窒素原子、R′がメチル基、nが2である請求項13記載の電気二重層キャパシタ。
【請求項16】
前記イオン性液体が、下記式(2)で示される請求項13記載の電気二重層キャパシタ。
【化9】

〔式中、R′はメチル基またはエチル基を示し、Xは窒素原子またはリン原子を示し、Yは一価のアニオンを示す。また、Meはメチル基を、Etはエチル基を意味する。〕
【請求項17】
前記イオン性液体が、下記一般式(4′)で示される請求項13記載の電気二重層キャパシタ。
【化10】

〔式中、R1〜R4は互いに同一もしくは異種の炭素数1〜5のアルキル基、またはR′−O−(CH2n−で表されるアルコキシアルキル基(R′はメチル基またはエチル基を示し、nは1〜4の整数である。)を示す。ただし、R1およびR2は環を形成し、R3およびR4の内少なくとも1つは上記アルコキシアルキル基である。Yは一価のアニオンを示す。〕
【請求項18】
前記環が、ピロリジン環である請求項17記載の電気二重層キャパシタ。
【請求項19】
前記R′が、メチル基である請求項17または18記載の電気二重層キャパシタ。
【請求項20】
前記Yが、BF4-、PF6-、(CF3SO22-、CF3SO3-、またはCF3CO2-である請求項13〜19のいずれか1項記載の電気二重層キャパシタ。
【請求項21】
前記イオン性液体が、下記式(3)で示される請求項13記載の電気二重層キャパシタ。
【化11】

〔式中、Meはメチル基を、Etはエチル基を意味する。〕
【請求項22】
前記イオン性液体の融点が、25℃以下である請求項13〜20のいずれか1項記載の電気二重層キャパシタ。
【請求項23】
前記電解液が、さらに常温で固体のイオン導電性塩を含む請求項13〜22のいずれか1項記載の電気二重層キャパシタ。
【請求項24】
前記分極性電極が、樹脂から得られた炭素質材料を主成分として含む請求項13〜23のいずれか1項記載の電気二重層キャパシタ。
【請求項25】
前記樹脂が、フェノール樹脂またはポリカルボジイミド樹脂である請求項24記載の電気二重層キャパシタ。
【請求項26】
前記炭素質材料が、フェノール樹脂またはポリカルボジイミド樹脂を炭化後、賦活処理をしてなるものである請求項24記載の電気二重層キャパシタ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2010−62573(P2010−62573A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−230196(P2009−230196)
【出願日】平成21年10月2日(2009.10.2)
【分割の表示】特願2007−61158(P2007−61158)の分割
【原出願日】平成14年3月25日(2002.3.25)
【出願人】(000004374)日清紡ホールディングス株式会社 (370)
【Fターム(参考)】