説明

蓄電モジュール

【課題】蓄電セルの接続作業性を向上することができる蓄電モジュールを提供すること。
【解決手段】蓄電モジュール10において、複数枚の蓄電セル11がそのセル主面11a,11b同士を対向させて積層配置されることでモジュール化されている。複数枚の蓄電セル11は電気的に直列に接続されている。蓄電セル11間にスタックプレート12が介在されている。スタックプレート12は、第1絶縁部55と第2絶縁部56とを有している。第1絶縁部55は、電気的に非接続関係にある隣接した外部端子25,35間に位置し、それら同士の接触を防止する。第2絶縁部56は、電気的に接続関係にある隣接した外部端子25,35間に位置し、それらを支持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数枚の蓄電セルを積層配置してモジュール化した蓄電モジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
太陽光発電や風力発電等の負荷平準化装置、コンピュータ等に代表される電子機器の瞬時電圧低下対策装置、電気自動車やハイブリッドカーのエネルギー回生装置などのような蓄電システムにおいては、エネルギー容量が大きくてかつ急速充放電が可能な蓄電デバイスが必要とされている。従来の鉛蓄電池やその他の二次電池では、大電流の充放電に弱くサイクル寿命が短いため、その蓄電システムに対応することは困難であった。そこで、それらの問題を解決しうる新たな蓄電デバイスとして、近年、非水系の蓄電デバイスが注目されている。
【0003】
現在、急速充放電や長寿命化が可能な蓄電デバイスとして、例えば、リチウムイオンキャパシタなどが提案されている(特許文献1,2等参照)。このリチウムイオンキャパシタとしては、電極を巻いて構成するタイプと電極を積層して構成するタイプとが知られているが、急速充放電に優れた蓄電モジュールを構成するためには、特許文献1,2等に開示されている積層タイプのキャパシタが用いられる。
【0004】
リチウムイオンキャパシタの蓄電セルは、平板状の正極と負極とをセパレータを介して交互に積層してなる電極積層体を備えている。その電極積層体は、アルミニウム・ラミネートフィルム等の気密性軟包装材を用いたソフト容器内に電解液とともに密閉収納されている。この蓄電セルは、単体での出力電圧が低いため、それら蓄電セルを並列または直列につなぐことで、エネルギー容量が大きくてかつ急速充放電が可能な蓄電モジュールが構成される。また、蓄電セルの容器としてアルミニウム・ラミネートフィルムを用いることにより、蓄電モジュールの薄型化や軽量化が図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−60407号公報
【特許文献2】特開2008−98361号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、エネルギー容量が大きく、かつ急速充放電が可能な蓄電モジュールを製造するためには、複数の蓄電セルを接続しなければならない。よって、接続作業に手間が掛かり、作業負担が大きいといった問題がある。また、蓄電モジュールでは、複数枚の蓄電セルを積み重ねてモジュール化しているが、その際には接続しない電極同士がショートしないように注意して作業しなければならない。よって、組み立て作業性が悪くなるといった問題がある。
【0007】
また、上述した蓄電セルでは、正極にアルミ材が用いられ、負極に銅材が用いられている。従って、複数の蓄電セルを直列に接続する際には、正極のアルミ材と負極の銅材とが接続されることとなる。しかし、アルミ材と銅材とを接続する場合には、電蝕の問題があり長期での接続信頼性が不足するため、溶接等で素材同士を溶け合わせるといった接続方法を採らなければならない。なお、溶接接続の場合、専用の治具等が必要となるため、作業が煩雑となってしまう。さらに、電極接続用端子(例えば、L型接続端子)を用いてネジ止め等によって各蓄電セルを接続する方法も考えられる。しかし、この方法では、ネジ止め用のナット板を片手で持つ必要があるため、空いているもう一方の手のみでドライバーを持ってネジ止めをしなくてはならず、作業性が悪くなる。
【0008】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、蓄電セルの接続作業性を向上することができる蓄電モジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、手段1に記載の発明では、正極と負極とを積層してなる電極積層体を電解液とともに金属ラミネートフィルム材で密封封止してなり、前記正極及び前記負極にそれぞれ連結された外部端子が前記金属ラミネートフィルム材から突出して露呈している複数枚の蓄電セルを備え、セル主面同士を対向させて積層配置することで前記複数枚の蓄電セルがモジュール化され、かつ、前記複数枚の蓄電セルが電気的に直列または並列に接続されている蓄電モジュールであって、前記蓄電セル間に介在して配置されるスタック部材を備えるとともに、前記スタック部材は、電気的に非接続関係にある隣接した外部端子間に位置してそれら同士の接触を防止する第1絶縁部と、電気的に接続関係にある隣接した外部端子間に位置してそれらを支持する第2絶縁部とを有していることを特徴とする蓄電モジュールをその要旨とする。
【0010】
従って、上記手段1に記載の発明によれば、複数枚の蓄電セル間にスタック部材が介在して配置され、そのスタック部材の第1絶縁部によって、電気的に非接続関係にある隣接した外部端子同士の接触が防止される。また、スタック部材の第2絶縁部によって、電気的に接続関係にある隣接した外部端子が支持される。このように、蓄電セル間にスタック部材を配置させることにより、蓄電セルの外部端子同士を容易に接続することができ、接続作業性を向上させることができる。
【0011】
手段2に記載の発明は、手段1において、電気的に接続関係にある隣接した外部端子は、前記第2絶縁部の外表面に沿うようにして曲げられるとともに、互いの一部を重ね合わせて配置され、その重なり合った部分を溶接することで接続されていることをその要旨とする。
【0012】
従って、上記手段2に記載の発明によれば、スタック部材において第2絶縁部の外表面に沿うようにして蓄電セルの外部端子を曲げることにより、外部端子を容易に重ね合わせることができ、第2絶縁部の外表面に押し付けた状態で外部端子の溶接を確実に行うことができる。このようにすると、スタック部材が溶接時に外部端子を支持する溶接用治具として実質的に機能しうるため、溶接専用の治具を別途用いなくても溶接を行うことができる。
【0013】
手段3に記載の発明は、手段1において、前記第2絶縁部には、ナット板を嵌め込んで固定するための固定凹部が形成されるとともに、前記外部端子には導電金属製のL型接続端子が溶接され、前記L型接続端子は、互いの一部を重ね合わせて配置されるとともに、その重なり合った部分が、前記固定凹部に固定された前記ナット板にネジ止めされていることをその要旨とする。
【0014】
従って、上記手段3に記載の発明によれば、スタック部材の第2絶縁部に形成された固定凹部にナット板が嵌め込まれて固定される。そして、各外部端子に溶接された導電金属製のL型接続端子が重ね合わされ、その重なり合った部分がナット板にネジ止めされる。この場合、ナット板がスタック部材の第2絶縁部に予め固定されるので、そのナット板を手で持ってネジ止めする必要がなく、各外部端子の接続作業を容易に行うことができる。
【0015】
手段4に記載の発明は、手段1乃至3のいずれか1項において、前記スタック部材は、前記蓄電セルの前記セル主面と面接触する平坦部を有するスタックプレートであることをその要旨とする。
【0016】
従って、上記手段4に記載の発明によれば、スタックプレートの平坦部が蓄電セルのセル主面と面接触するため、各蓄電セルを確実に積層配置させることができる。また、スタックプレートの平坦部によりセル主面全体に均等な圧力を加えることができ、蓄電セルの電池性能を良好な状態に維持することができる。
【0017】
手段5に記載の発明は、手段1乃至4のいずれか1項において、前記スタック部材は、積層配置時において隣接する他のスタック部材に係止して相互の位置決めを図る位置決め突起を有することをその要旨とする。
【0018】
従って、上記手段5に記載の発明によれば、スタック部材の位置決め突起を他のスタック部材に係止させることにより、積層配置時におけるスタック部材同士の位置決めを確実に行うことができる。また、スタック部材間に位置ずれが起こりにくくなり、モジュールの耐衝撃性が向上する。
【発明の効果】
【0019】
以上詳述したように、請求項1〜5に記載の発明によると、蓄電モジュールにおける蓄電セルの接続作業性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明を具体化した第1の実施の形態の蓄電モジュールを示す断面図。
【図2】第1の実施の形態の蓄電モジュールを示す側面図。
【図3】蓄電セルを示す平面図。
【図4】蓄電セルを示す断面図。
【図5】スタックプレートを示す平面図。
【図6】第2の実施の形態の蓄電モジュールを示す断面図。
【図7】第2の実施の形態の蓄電モジュールを示す側面図。
【図8】ナット板を示す説明図。
【図9】L型接続端子を示す説明図。
【図10】別の実施の形態の蓄電モジュールを示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[第1の実施の形態]
【0022】
以下、本発明を具体化した第1の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。図1は本実施の形態における蓄電モジュールの概略構成を示す断面図であり、図2は蓄電モジュールを示す側面図である。また、図3は蓄電モジュールを構成する蓄電セルの平面図であり、図4はその蓄電セルの断面図である。
【0023】
図1及び図2に示されるように、本実施の形態の蓄電モジュール10は、複数枚(例えば12枚)の蓄電セル11を積層配置したモジュールであり、それら蓄電セル11間にはスタックプレート12(スタック部材)が介在されている。
【0024】
図3及び図4に示されるように、本実施の形態の蓄電セル11は、正極21、負極31及びセパレータ41を積層してなる電極積層体45を備えている。この電極積層体45では、正極21と負極31とをセパレータ41を介して対向配置してなる発電要素を1単位として、複数単位の発電要素を積層している。
【0025】
正極21は、リチウムイオンを可逆的に担持可能な材料からなる正極電極22を正極集電体23上に形成した構造を有している。正極集電体23は、正極電極22を支持しつつ集電を行うための部材であって、例えばアルミニウムからなる導電性金属板を用いて形成されている。正極集電体23は平面視矩形状に形成され、その四辺のうちの一辺からタブ24が突出している。このタブ24は、アルミニウムからなる正極外部端子25に接続されている。
【0026】
負極31は、リチウムイオンを可逆的に担持可能な材料からなる負極電極32を負極集電体33上に形成した構造を有している。負極集電体33は、負極電極32を支持しつつ集電を行うための部材であって、例えば銅からなる導電性金属板を用いて形成されている。負極集電体33は平面視矩形状に形成され、その四辺のうちの一辺からタブ34が突出している。このタブ34は、銅からなる負極外部端子35に接続されている。
【0027】
負極集電体33において、対向する二辺の近傍に帯状のリチウム貼付部(図示略)が設けられており、そのリチウム貼付部にはプレドープ用のリチウム金属箔(図示略)が貼付される。なお、このリチウム金属箔は、プレドープが完了すると溶解して消失する。
【0028】
本実施の形態の蓄電セル11では、電極積層体45が電解液とともに容器46内に密閉収納されている。この容器46は、アルミ箔を樹脂フィルムにラミネートしてなるアルミニウム・ラミネートフィルム(金属ラミネートフィルム材)を用いて矩形袋状に加工したソフト容器である。その開口部は、熱融着によって封止されている。熱融着による封止は、融着部に正極外部端子25及び負極外部端子35を挟み込んだ状態で行われる。
【0029】
このようにして容器46内に電極積層体45を収容した場合、容器46における一方の端部(図4では右側の端部)から正極外部端子25が突出し、他方の端部(図4では左側の端部)から負極外部端子35が突出する。なお、アルミ箔以外の他の金属箔からなる金属ラミネートフィルム材を用いて、容器46を形成してもよい。
【0030】
本実施の形態の蓄電モジュール10では、各蓄電セル11のセル主面(図1では上面11a及び下面11b)同士を対向させ、それら蓄電セル11間にスタックプレート12を介在させた状態で積層配置させることで各蓄電セル11がモジュール化されている。そして、上下に配置される各蓄電セル11について一方の蓄電セル11の正極外部端子25と他方の蓄電セル11の負極外部端子35とを溶接することにより、各蓄電セル11が電気的に直列に接続されている。
【0031】
図1、図2及び図5に示されるように、スタックプレート12は、蓄電セル11のセル主面11a,11bと面接触する平坦部51を有する平面視矩形状の部材であり、例えば、難燃性樹脂材料である難燃性ポリプロピレンやガラス入りナイロンなどを用いて成形されている。スタックプレート12には、その外周を囲むように枠部52が形成され、対向する二辺(本実施の形態では短手方向の二辺)となる枠部52の内側に所定の間隔をおいて補強用のリブ53が形成されている。スタックプレート12において、枠部52の高さ方向(図1の上下方向)の中間部分にその内側を塞ぐよう平坦部51が形成されている。
【0032】
図1に示されるように、スタックプレート12において、補強用のリブ53に対応する位置に蓄電セル11の外部端子25,35の基端が配置されるとともに、枠部52側の位置に外部端子25,35の先端が配置される。そして、電気的に接続関係にある隣接した外部端子25,35は、その先端が枠部52の外表面に沿うようにして折り曲げられるとともに、互いの一部を重ね合わせて配置される。ここで、外部端子25,35を折り曲げることで蓄電セル11が位置決めされる。その後、各外部端子25,35の重なり合った部分を枠部52の外表面に押し当てた状態でレーザ溶接することで各外部端子25,35が電気的に接続される。枠部52の外表面において外部端子25,35を配置する部分は若干窪んでおり、外部端子25,35の折り曲げ作業が容易に行えるようになっている。また、電気的に非接続関係にある隣接した外部端子25,35間には、スタックプレート12における外縁部が配置される。
【0033】
このように、本実施の形態のスタックプレート12では、電気的に非接続関係にある隣接した外部端子25,35間に位置する外縁部が、それら端子同士の接触を防止する第1絶縁部55となっている。また、電気的に接続関係にある隣接した外部端子25,35間に位置する枠部52が、それら端子を支持する第2絶縁部56となっている。本実施の形態では、蓄電モジュール10を構成する複数段のスタックプレート12において、外部端子25,35の接続は左右の枠部52で交互に行われている。そして、各スタックプレート12において、その接続部を支持する第2絶縁部56の反対側の外縁部が第1絶縁部55となっている。
【0034】
また、図2及び図5に示されるように、スタックプレート12のコーナ部には、他のスタックプレート12に係止して相互の位置決めを図る位置決め突起57,58が設けられている。位置決め突起57,58は、スタックプレート12の上方(プレート厚さ方向)に突出するよう設けられており、上方に配置されるスタックプレート12の枠部52の内面に係止することでスタックプレート12同士が位置決めされている。
【0035】
図1に示されるように、蓄電モジュール10を構成する複数のスタックプレート12において、最上部及び最下部に配置されるエンドプレート12a,12bは、蓄電セル11間に配置されるスタックプレート12とほぼ同じ形状であるが、枠部52及びリブ53の高さが若干低く形成されている。また、蓄電モジュール10において、スタックプレート12を介して蓄電セル11を積層配置した状態では、各スタックプレート12間に若干の隙間ができるようになっており、スタックプレート12の中央に形成された平坦部51に蓄電セル11のセル主面11a,11bが面接触している。なお、蓄電セル11は厚さにバラツキがあるため、スタックプレート12における枠部52及びリブ53の高さ寸法は、その厚さバラツキを考慮して設定されている。このように、スタックプレート12の平坦部51がセル主面11a,11bに面接触することにより、各蓄電セル11の正極21及び負極31に対してその厚さ方向から圧力が均等に加わるようになっている。
【0036】
従って、本実施の形態によれば以下の効果を得ることができる。
【0037】
(1)本実施の形態の蓄電モジュール10では、複数枚の蓄電セル11間にスタックプレート12が介在して配置され、そのスタックプレート12の第1絶縁部55によって、電気的に非接続関係にある隣接した外部端子25,35同士の接触が防止される。また、スタックプレート12の第2絶縁部56によって、電気的に接続関係にある隣接した外部端子25,35が支持される。このように、蓄電セル11間にスタックプレート12を配置させることにより、各蓄電セル11の外部端子25,35同士を容易に接続することができ、接続作業性を向上させることができる。
【0038】
(2)本実施の形態の蓄電モジュール10では、スタックプレート12の第2絶縁部56の外表面に沿うようにして、蓄電セル11の外部端子25,35を曲げることにより、各外部端子25,35を容易に重ね合わせることができる。そして、第2絶縁部56の外表面に押し付けた状態で各外部端子25,35の溶接を確実に行うことができる。このようにすると、スタックプレート12が溶接時に外部端子25,35を支持する溶接用治具として実質的に機能しうるため、溶接用の治具を別途用いなくても溶接を容易に行うことができる。
【0039】
(3)本実施の形態の蓄電モジュール10では、スタックプレート12の平坦部51が蓄電セル11のセル主面11a,11bと面接触するため、各蓄電セル11を確実に積層配置させることができる。また、スタックプレート12の平坦部51によってセル主面11a,11b全体に均等な圧力を加えることができる。この結果、蓄電セル11の正極21及び負極31間の距離が短くなり、良好な蓄電性能を得ることができる。
【0040】
(4)本実施の形態の蓄電モジュール10では、スタックプレート12の位置決め突起57,58を上方に配置される他のスタックプレート12に係止させることにより、積層配置時における各スタックプレート12の位置決めを確実に行うことができる。また、スタックプレート10間に位置ずれが起こりにくくなり、モジュールの耐衝撃性が向上する。
【0041】
(5)本実施の形態の蓄電モジュール10では、各スタックプレート12の枠部52によって蓄電セル11が囲まれているので、蓄電セル11を確実に保護、補強することができ、蓄電モジュール10の製品信頼性を十分に高めることができる。
[第2の実施の形態]
【0042】
次に、本発明を具体化した第2の実施の形態を図面に基づき説明する。図6は、本実施の形態の蓄電モジュール10Aの概略構成を示す断面図であり、図7は、蓄電モジュール10Aを示す側面図である。本実施の形態の蓄電モジュール10Aでは、各蓄電セル11の外部端子25,35の接続方法が上記第1の実施の形態と異なる。具体的には、上記第1の実施の形態では、各外部端子25,35をレーザ溶接にて接続していたが、本実施の形態では、各外部端子25,35をネジ止めにて接続している。
【0043】
詳述すると、本実施の形態のスタックプレート12cには、第2絶縁部56となる枠部52に固定凹部60が形成されており、その固定凹部60にナット板61が嵌め込まれている。なお、スタックプレート12cにおいて、枠部52に固定凹部60が形成されている点以外の構成(平坦部51やリブ53等)は、上記第1の実施の形態のスタックプレート12と同じである。また、蓄電モジュール10Aの最上部及び最下部に配置されるエンドプレート12a,12bの形状は第1の実施の形態と同じである。
【0044】
図8に示されるように、ナット板61は、細長い板状をなし、3個のネジ孔62がその長手方向に等間隔となるよう形成されている。また、ナット板61の四隅は面取りされている。
【0045】
蓄電セル11の各外部端子25,35には、L型接続端子64が超音波溶接にて接合されている。図9に示されるように、L型接続端子64は、矩形状の銅板を断面L字状に折り曲げて形成されている。そして、L型接続端子64において、一方の平面部65は蓄電セル11の外部端子25,35に溶接される部位であり、他方の平面部66にはネジを挿通するための3個の貫通孔67が等間隔に形成されている。
【0046】
図6及び図7に示されるように、蓄電セル11の各外部端子25,35に接合されたL型接続端子64は、互いの一部(平面部66)を重ね合わせて配置されるとともに、その重なり合った部分が、スタックプレート12cの固定凹部60に固定されているナット板61にネジ止めされる。
【0047】
本実施の形態の蓄電モジュール10Aでは、スタックプレート12cの固定凹部60にナット板61が嵌め込まれて固定された後、各外部端子25,35に溶接されたL型接続端子64がナット板61にネジ止めされる。このように、ナット板61がスタックプレート12cの固定凹部60に固定されることにより、従来のようにナット板61を手で持ってネジ止めする必要がなく、各外部端子25,35の接続作業を容易に行うことができる。また、蓄電モジュール10Aでは、各蓄電セル11の外部端子25,35がネジ止めにて接続されているため、蓄電モジュール10Aを構成するいずれかの蓄電セル11が動作不良となった場合、その蓄電セル11のみを容易に交換することができる。
【0048】
なお、本発明の各実施の形態は以下のように変更してもよい。
【0049】
・上記第1の実施の形態の蓄電モジュール10では蓄電セル11の各外部端子25,35を溶接にて接続し、上記第2の実施の形態の蓄電モジュール10Aでは蓄電セル11の各外部端子25,35をネジ締結にて接続していたが、溶接による接続とネジ締結による接続とを混在させた蓄電モジュールに具体化してもよい。その具体例を図10に示している。図10の蓄電モジュール10Bでは、右側に位置する外部端子25,35同士をナット板61を用いたネジ止めにて接続した後、左側に位置する外部端子25,35同士をレーザ溶接にて接続している。なお、蓄電モジュール10Bで用いられるスタックプレート12dには、右側の枠部52のみに固定凹部60が形成されている。この場合、2つの蓄電セル11が溶接にて接続されることとなるため、いずれかの蓄電セル11が動作不良となったときには、全部の蓄電セル11を交換するのではなく、不良となった蓄電セル11とそれに溶接されている蓄電セル11との2つの蓄電セル11が交換される。
【0050】
・上記各実施の形態において、スタック部材としてのスタックプレート12,12a〜12dは、その全体を樹脂材料で成形した剛体の樹脂成形品であるが、例えば、平坦部51等を金属などの別部材で形成してもよい。また、スタックプレート12,12a〜12dの平坦部51を省略した枠部52のみでスタック部材を構成してもよい。
【0051】
・上記各実施の形態の蓄電モジュール10,10A,10Bでは、正極外部端子25及び負極外部端子35を蓄電セル11の対向する2辺から引き出す構成であったが、これに限定するものではなく、一辺から各外部端子25,35を引き出す構成としてもよいし、直角に交わる2辺から各外部端子25,35を引き出す構成としてもよい。
【0052】
・上記実施の形態では、本発明をリチウムプレドープ型リチウムイオンキャパシタの蓄電セル11に具体化したが、リチウム以外のアルカリ金属をプレドープさせるタイプのアルカリ金属イオンキャパシタの蓄電セルに具体化することもできる。あるいは、本発明を非水系二次電池や電気二重層キャパシタの蓄電セルなどに具体化することもできる。
【0053】
次に、特許請求の範囲に記載された技術的思想のほかに、前述した実施の形態によって把握される技術的思想を以下に列挙する。
【0054】
(1)上記手段1乃至5のいずれかにおいて、前記スタック部材は、剛体の樹脂成形品からなることを特徴とする蓄電モジュール。
【0055】
(2)上記手段4または5において、前記各蓄電セルの外部端子の接続部のうちのいずれかを前記溶接にて接続する一方、残りの接続部を前記L型接続端子と前記ナット板とを用いたネジ止めにて接続することを特徴とする蓄電モジュール。
【符号の説明】
【0056】
10,10A,10B…蓄電モジュール
11…蓄電セル
11a…セル主面としての上面
11b…セル主面としての下面
12,12a〜12d…スタック部材としてのスタックプレート
21…正極
25…外部端子としての正極外部端子
31…負極
35…外部端子としての負極外部端子
45…電極積層体
46…金属ラミネートフィルム材からなる容器
51…平坦部
55…第1絶縁部
56…第2絶縁部
57,58…位置決め突起
60…固定凹部
61…ナット板
64…L型接続端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極と負極とを積層してなる電極積層体を電解液とともに金属ラミネートフィルム材で密封封止してなり、前記正極及び前記負極にそれぞれ連結された外部端子が前記金属ラミネートフィルム材から突出して露呈している複数枚の蓄電セルを備え、セル主面同士を対向させて積層配置することで前記複数枚の蓄電セルがモジュール化され、かつ、前記複数枚の蓄電セルが電気的に直列または並列に接続されている蓄電モジュールであって、
前記蓄電セル間に介在して配置されるスタック部材を備えるとともに、前記スタック部材は、電気的に非接続関係にある隣接した外部端子間に位置してそれら同士の接触を防止する第1絶縁部と、電気的に接続関係にある隣接した外部端子間に位置してそれらを支持する第2絶縁部とを有していることを特徴とする蓄電モジュール。
【請求項2】
電気的に接続関係にある隣接した外部端子は、前記第2絶縁部の外表面に沿うようにして曲げられるとともに、互いの一部を重ね合わせて配置され、その重なり合った部分を溶接することで接続されていることを特徴とする請求項1に記載の蓄電モジュール。
【請求項3】
前記第2絶縁部には、ナット板を嵌め込んで固定するための固定凹部が形成されるとともに、前記外部端子には導電金属製のL型接続端子が溶接され、
前記L型接続端子は、互いの一部を重ね合わせて配置されるとともに、その重なり合った部分が、前記固定凹部に固定された前記ナット板にネジ止めされていることを特徴とする請求項1に記載の蓄電モジュール。
【請求項4】
前記スタック部材は、前記蓄電セルの前記セル主面と面接触する平坦部を有するスタックプレートであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の蓄電モジュール。
【請求項5】
前記スタック部材は、積層配置時において隣接する他のスタック部材に係止して相互の位置決めを図る位置決め突起を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の蓄電モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−161044(P2010−161044A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−4108(P2009−4108)
【出願日】平成21年1月9日(2009.1.9)
【出願人】(000237721)FDK株式会社 (449)
【Fターム(参考)】