説明

蓄電池の劣化診断装置、蓄電池の劣化診断方法、および、蓄電池システム

【課題】簡単な構成かつ簡単な処理で、蓄電池の劣化の有無を検出することができる蓄電池の劣化診断装置と蓄電池システムを提供する。
【解決手段】蓄電池システム1は、蓄電池ユニット10と、蓄電池ユニット10内の各蓄電池ブロック内の1個の蓄電池の端子電圧を測定するDC電圧計200と、演算手段100とを有する。演算手段100のCPU102は、DC電圧計200が測定した端子電圧を相互に参照して、蓄電池の劣化を判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次蓄電池の劣化状態を診断する装置および方法、並びに、蓄電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
二次蓄電池、たとえば、鉛蓄電池を複数個組み合わせて組電池として構成し、組電池を充電しておき、商用電源が停電した時などの非常用電源として用いている。
さらに、非常用電源としての役割に加えて、電力料金が安い夜間などに組電池を充電しておき、日中、組電池に充電した電力を各種の電気機器(装置)に給電することも行われている。特に最近は、一般家庭にもそのような蓄電池システムを適用することが試みられている。
【0003】
蓄電池は劣化する。劣化が著しく進行した場合、組電池内の他の蓄電池にも悪影響を及ぼし、蓄電装置の機能喪失や故障に至る可能性がある。そのため、組蓄電池内の劣化した蓄電池を適切に検出して、正常な蓄電池に交換することが必要となる。
組電池の中の劣化した蓄電池を検出(診断)する技術をいくつか述べる。
【0004】
特許文献1は、複数直列接続された蓄電池の1つ1つの端子電圧を複数の電圧計で測定し、複数の蓄電池の端子電圧の平均値を求め、平均値と各蓄電池の端子電圧との差が基準値を越えているとき、該当する蓄電池が劣化していると診断する技術を開示している。
【0005】
特許文献2は、浮動充電されるn個の蓄電池が直列接続されている組電池について、組電池を複数のブロックに分割し、各ブロックごとの充電電圧を測定し、各ブロックごとの充電電圧相互の差が基準値を越えているとき、そのブロックの蓄電池が劣化していると診断する技術を開示している。
【0006】
【特許文献1】特開平6−75027号公報
【特許文献2】特開2005−108543号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載されている技術は、蓄電池ごとに電圧計を用いて端子電圧を測定するので、組蓄電池を構成する蓄電池の個数だけ電圧計が必要となり、装置構成が複雑であり、高価になるという不具合がある。
たとえば、組蓄電池を一般家庭に適用することを想定した場合、価格が高価になることは経済的な面で障害になる。
【0008】
特許文献2に記載されている技術は、特許文献1に記載の技術に対して、複数の蓄電池単位で充電電圧を測定するので、電圧計の個数が少なくなるという利点はある。
しかしながら、特許文献2に記載されている技術は、蓄電池を満充電する浮動充電しているとき複数の蓄電池のブロックごとに電圧を検出する技術である。蓄電池が満充電状態にあるときは、全ての蓄電池の端子電圧は規格値の近傍にあり、蓄電池の劣化を検出することが難しい。
【0009】
本発明は、たとえば、一般家庭を含む広い用途に適用可能なように、低価格で、簡単な方法で、組電池内の蓄電池の劣化を、簡単に、かつ、低価格で検出可能な、蓄電池の劣化診断装置と蓄電池の劣化診断方法を提供することを目的とする。
本発明はまた、そのような蓄電池の劣化診断装置を有する蓄電池システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、複数の蓄電池が直列に接続された蓄電池ブロックが複数並列に接続されている蓄電池ユニット内の蓄電池の劣化を診断する装置であって、前記複数の蓄電池ブロック内の1個の蓄電池の端子電圧を測定する電圧測定手段と、前記測定した1の蓄電池ブロック内の1の蓄電池の端子電圧が、前記測定した他の蓄電池ブロックの内の他の蓄電池の端子電圧より第1基準値だけ低下しているとき、前記1の蓄電池が劣化していると判定する第1判定手段と、前記測定した1の蓄電池の端子電圧が、前記測定した他の蓄電池の端子電圧より第2基準値より高いとき、前記1の蓄電池が属する蓄電池ブロックに劣化している蓄電池があると判定する、第2判定手段とを有する、蓄電池の劣化診断装置が提供される。
【0011】
また本発明によれば、複数の蓄電池が直列に接続された蓄電池ブロックが複数並列に接続されている蓄電池ユニット内の蓄電池の劣化を診断する装置であって、前記複数の蓄電池ブロック内の1個の蓄電池の端子電圧を選択して出力する1個の切替スイッチと、該切替スイッチから出力された端子電圧を測定する1個の電圧測定手段と、前記切替スイッチを順次選択制御し、前記電圧測定手段から出力される測定電圧を、選択された前記複数の蓄電池ブロック内の1個の蓄電池の端子電圧に対応して読み取る、端子電圧読み取り手段と、前記読み取った1の蓄電池ブロック内の1の蓄電池の端子電圧が、前記読み取った他の蓄電池ブロックの内の他の蓄電池の端子電圧より第1基準値だけ低下しているとき、前記1の蓄電池が劣化していると判定する第1判定手段と、前記読み取った1の蓄電池の端子電圧が、前記読み取った他の蓄電池の端子電圧より第2基準値だけ高いとき、前記1の蓄電池が属する蓄電池ブロックに劣化している蓄電池があると判定する、第2判定手段とを有する、蓄電池の劣化診断装置が提供される。
【0012】
本発明によれば、複数の蓄電池が直列に接続された蓄電池ブロックが複数並列に接続されている蓄電池ユニットと、上記蓄電池の劣化診断装置とを有する蓄電池システムが提供される。
【0013】
本発明によれば、複数の蓄電池が直列に接続された蓄電池ブロックが複数並列に接続されている蓄電池ユニット内の蓄電池の劣化診断方法であって、前記複数の蓄電池ブロック内の1個の蓄電池の端子電圧を測定するステップと、前記測定した1の蓄電池ブロック内の1の蓄電池の端子電圧が、前記測定した他の蓄電池ブロックの内の他の蓄電池の端子電圧より第1基準値より低下しているとき、前記1の蓄電池が劣化していると判定する第1判定ステップと、前記測定した1の蓄電池の端子電圧が、前記測定した他の蓄電池の端子電圧より第2基準値より高いとき、前記1の蓄電池が属する蓄電池ブロックに劣化している蓄電池があると判定する、第2判定ステップとを有する、蓄電池の劣化診断方法が提供される。
【0014】
また本発明によれば、複数の蓄電池が直列に接続された蓄電池ブロックが複数並列に接続されている蓄電池ユニット内の蓄電池の劣化を診断する方法であって、前記複数の蓄電池ブロック内の1個の蓄電池の端子電圧を選択して出力するスイッチング・ステップと、該選択された端子電圧を測定する電圧測定ステップと、前記スイッチングを順次選択制御し、前記電圧測定ステップにおいて得られる測定電圧を、前記スイッチングで選択された前記複数の蓄電池ブロック内の1個の蓄電池の端子電圧に対応して読み取る、端子電圧読み取りステップと、前記読み取った1の蓄電池ブロック内の1の蓄電池の端子電圧が、前記読み取った他の蓄電池ブロックの内の他の蓄電池の端子電圧より第1基準値だけ低下しているとき、前記1の蓄電池が劣化していると判定する第1判定ステップと、前記読み取った1の蓄電池の端子電圧が、前記読み取った他の蓄電池の端子電圧より第2基準値だけ高いとき、前記1の蓄電池が属する蓄電池ブロックに劣化している蓄電池があると判定する、第2判定ステップとを有する、蓄電池の劣化診断方法が提供される。
【0015】
本発明によれば、複数の蓄電池が直列に接続された蓄電池ブロックが複数並列に接続されている蓄電池ユニット内の蓄電池の劣化診断方法であって、前記複数の蓄電池ブロック内の1個の蓄電池の端子電圧を測定し、前記測定した1の蓄電池ブロック内の1の蓄電池の端子電圧が、前記測定した他の蓄電池ブロックの内の他の蓄電池の端子電圧より第1基準値だけ低いか否かを判定し、前記測定した1の蓄電池の端子電圧が、前記測定した他の蓄電池の端子電圧より第2基準値だけ高いか否かを判定する、蓄電池の劣化診断方法が提供される。
【発明の効果】
【0016】
本発明の蓄電池の劣化診断装置は、構成が簡単であり、処理内容も簡単であるので、低価格でなり、保守の問題もない。したがって、一般家庭を含む広い用途に適用できる。
本発明の蓄電池の劣化診断方法は処理内容が簡単であり、実施が容易である。
上記蓄電池の劣化診断装置と蓄電池ユニットとを有する本発明の蓄電池システムは、構成が簡単であり、処理内容も簡単であるので、低価格でなり、保守の問題もない。したがって、一般家庭を含む広い用途に適用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
第1実施の形態
図1〜図5を参照して、本発明の蓄電池の劣化診断装置、蓄電池の劣化診断方法および蓄電池システムの第1実施の形態について述べる。
【0018】
蓄電池システム全体構成
図1は本発明の第1実施の形態の蓄電池システム1の構成図である。
蓄電池システム1は、蓄電池ユニット10と、DC電源ライン20と、インバータ(逆変換器)/コンバータ(順変換器)30と、AC電源ライン40と、AC電源50と、AC負荷60とを有する。なお、必要に応じて、DC電源ライン20にDC負荷70が接続されてもよい。
蓄電池システム1はさらに、本発明の第1実施の形態の蓄電池の劣化診断装置を構成する、演算手段100と、記憶手段120と、出力手段140と、操作手段160と、ケーブル90と、電圧測定手段200とを有する。
なお、本発明の蓄電池の劣化診断装置の実施の形態として、記憶手段120と、出力手段140と、操作手段160と、ケーブル90とは必須ではない。
【0019】
蓄電池ユニット
組電池としての蓄電池ユニット10は、n個の蓄電池ブロック10A,10B,…,10nが並列に接続されており、各蓄電池ブロックは、m個の二次蓄電池、たとえば、鉛蓄電池またはリチウムイオン蓄電池などが直列に接続されている。
各蓄電池ブロックにおいて、m個の蓄電池を直列接続することにより、所定のDC電圧を満足させ、n個の蓄電池ブロックを並列に接続することにより、蓄電池ユニット10として所望の電力容量を確保している。
所定のDC電圧とは、たとえば、公称電圧、DC48V、DC72V、DC108Vなどである。直列接続される蓄電池の数mと、公称電圧の例は後述する。
本実施の形態においては、各蓄電池ブロック内の直列に接続されている蓄電池の個数は同じであり(m)、各蓄電池の仕様、たとえば、満充電時の出力電圧、電力容量などは、正常状態または初期状態においては同じであるとする。
【0020】
インバータ/コンバータ
図解の簡単化のため、インバータとコンバータとを同じユニットのインバータ/コンバータ30として図解したが、インバータとコンバータとを独立に設けることができる。
インバータ/コンバータ30のうち、コンバータはAC電源50の交流電圧を、たとえば、DC48Vの直流電圧に変換する。コンバータで変換された直流電圧がDC電源ライン20を介して蓄電池ユニット10に印加されて蓄電池ユニット10内の各蓄電池が充電される。AC電源50は、たとえば、商用電源である。
インバータ/コンバータ30のうち、インバータは、蓄電池ユニット10の蓄電池に充電された電力でAC負荷60を駆動するとき、蓄電池ユニット10からのDC電圧を商用電源と同じ周波数、同じ電圧のAC電圧に変換する。これにより、AC電源ライン40に接続されているAC負荷60が蓄電池ユニット10の電力によって駆動できる。
蓄電池システム1が一般家庭などに使用されたとき、AC負荷60は、たとえば、空調機、冷蔵庫、TV受像機、電灯、コンピュータなどの家庭内電化製品である。
【0021】
電圧測定手段
蓄電池の劣化診断装置を構成する電圧測定手段200は、蓄電池ユニット10の蓄電池ブロック10A〜10Nごとに1個の電圧測定手段201,202,…,20nを有する。これら電圧測定手段201,202,…,20nは、本実施の形態においては、それぞれDC電圧計であり、各DC電圧計が各蓄電池ブロックの1個の蓄電池の端子電圧を測定する(計測する)。
特許文献1においては、1つの蓄電池ブロック内の複数の蓄電池(特許文献1においてはこれを1ブロックとして)の合計端子電圧を測定していたが、本実施の形態においては1つの蓄電池ブロック内の1つの蓄電池の端子電圧を1個のDC電圧計で測定する。
なお、DC電圧計で各蓄電池ブロックの1個の蓄電池の端子電圧を測定する対象としての蓄電池は、各蓄電池ブロック内の任意の蓄電池でよい。なお、図1に図解した例示においては、各組電池ブロック内のDC電源ライン20に最も近い位置の第1番目の蓄電池B11,B21,…,Bn1の端子電圧を測定する場合について例示する。
【0022】
1個のDC電圧計による測定電圧が2本(または1対)のケーブルを介して、演算手段100に出力され、合計で(2×n)本のケーブル90が演算手段100に接続されている。
【0023】
演算手段
図2は演算手段100の1実施の形態の構成図である。
本実施の形態の演算手段100は、コンピュータで構成されており、コンピュータの中央演算ユニット(CPU)102と、バス103と、バス103を介してCPU102に接続されている、ROM104と、RAM105と、マルチプレクサ106と、A/D変換器107と、メモリ・インターフェース(M−I/F)108と、I/Oインターフェース(I/O−I/F)109、110、112と、リアルタイムクロック(RTC)115とを有する。
【0024】
RTC115は、CPU102などの動作に用いるクロックを生成する。CPU102がクロックを計数することにより、演算手段100の時間が規定される。
ROM104には、後述する、蓄電池の劣化判定を行う各種制御処理プログラムが格納されており、そのようなプログラムがCPU102において動作することにより、後述する各種の処理が遂行される。
RAM105は、CPU102で使用する各種パラメータ、一時保存データなどを記憶する。
RAM105、および/または、ROM104と、記憶手段120とを共用することもできるが、本実施の形態においては、RAM105、および/または、ROM104と記憶手段120とを独立に設けた場合を例示する。
記憶手段120は、たとえば、後述する第1基準値Δref1、第2基準値Δref2、あるいは、放電開始時間と放電終了時間などを記憶することができる。ただし、これらのパラメータが操作手段160を介してCPU102が入力してRAM105に記憶する場合は記憶手段120は削除することもできる。
【0025】
マルチプレクサ106は、CPU102の制御のもとでn個のDC電圧計の測定値を多重化して1個ごと順次、A/D変換器107に入力する。
A/D変換器107は、マルチプレクサ106で順次切り換えられて出力されたDC電圧計で測定したアナログ電圧測定信号をデジタル電圧測定信号に変換する。変換された電圧測定信号は、バス103を介してCPU102に入力され、RAM105または記憶手段120に記憶される。
なお、マルチプレクサ106を設けず、n個のA/D変換器107を設けて、n個のDC電圧計の電圧測定結果をn個のA/D変換器107で独立して変換し、CPU102で入力することもできる。
【0026】
M−I/F108は、記憶手段120とCPU102との間のデータの交換処理を行う。
I/O−I/F109は、CPU102から出力される出力データ、たとえば、蓄電池の劣化状態を示すデータを出力手段140に出力する。出力手段140としては、たとえば、図示しない、液晶表示器140a、プリンタ140aなどを用いることができる。
【0027】
I/O−I/F110は、たとえば、蓄電池の劣化診断処理のため、操作手段160を用いてユーザが操作指示した情報をCPU102に与える。
操作手段160は、たとえば、テン・キー・スイッチと機能選択ボタンなどを有し、操作手段160からユーザがCPU102に与える情報として、たとえば、放電開始/終了時間の設定、充電開始/終了時間の設定、第1基準値Δref1、第2基準値Δref2、蓄電池ユニット10のモード切り替え、などの指示を行うことができる。
蓄電池ユニット10のモード切り替えとしては、たとえば、蓄電池ユニット10内の蓄電池ブロック内の蓄電池の構成の変更、劣化した蓄電池の交換のために蓄電池ユニット10からの放電の停止、劣化した蓄電池の交換の通知(これにより、CPU102は後述する劣化フラグのクリアを行う)などがある。
操作手段160から設定された、放電開始/終了時間と充電開始/終了時間などはCPU102を介してRAM105に記憶される。なお、上述した操作手段160に介して設定される情報は、コンピュータの表示装置に付随するキーボードなどを介して設定することもできる。
CPU102は、劣化診断結果を、液晶表示器140aまたはプリンタ140aの他、操作手段160に出力することもできる。あるいは、操作手段160を操作パネルとして構成し、液晶表示器140aを操作パネルの一部に組み込むこともできる。
【0028】
I/O−I/F112は、第2〜第4実施の形態において述べる、CPU102から後述する第1スイッチング信号SW1、第2スイッチング信号SW2−1〜SW2−nを出力して切替スイッチ80、第2切替スイッチ80aのスイッチングを制御する部分である。換言すれば、I/O−I/F112は第1実施の形態では使用しない。
【0029】
蓄電池の劣化診断方法など
本発明の第1実施の形態の蓄電池の劣化診断方法の基本構想について述べる。
なお、本実施の形態において、蓄電池ユニット10の蓄電池は、たとえば、夜間の電力料金が安いときにインバータ/コンバータ30のコンバータでAC電源50からのAC電圧を変換した直流電圧で充電され、日中、電力料金が高いときに、蓄電池ユニット10の蓄電池に充電した電力をインバータ/コンバータ30のインバータを介して交流電力に変換してAC負荷60に給電するために放電する。この放電のとき劣化した蓄電池の端子電圧の低下が著しい。
【0030】
(1)放電時間に蓄電池の端子電圧を測定する。
蓄電池の端子電圧は、満充電状態のときは規定の電圧値(公称電圧)を示すが、放電に伴い蓄電池の端子電圧は低下する。特に、劣化した蓄電池の端子電圧の低下は著しい。これについては、図4〜図6を参照して具体的な例を示して後述する。
本実施の形態においては、好ましくは、蓄電池ユニット10が放電中のときの蓄電池の端子電圧を測定して蓄電池の劣化状態を判断することにした。この点において、特許文献2に記載のように浮動充電中に蓄電池の端子電圧を測定する技術とは異なる。
なお、上述した「好ましい」という意味は、(1)蓄電池ユニット10内の蓄電池が充電されている間は劣化状態が検出されにくく、充電中は蓄電池の劣化検出があまり意味がないこと、(2)蓄電池ユニット10の蓄電池が、かなり低電圧まで低下した状態から充電される場合を想定すると、低電圧ゆえに、劣化を誤判断する可能性を回避するためである。
【0031】
(2)蓄電池の端子電圧の測定方法
上述したように、図1に例示した蓄電池ユニット10の構成においては、各蓄電池ブロック(組電池)について、1つの電圧測定手段201〜20nを用いて各蓄電池ブロックの1つの蓄電池の端子電圧を測定している。電圧測定手段201〜20nは、たとえば、公知のDC電圧計を用いることができる。このように、本発明の実施の形態は電圧測定系が簡単であり、低価格である。この点において、特許文献1、2に記載の電圧測定方法と異なる。
以下、電圧測定手段201〜20nとして、DC電圧計201a〜20naを用いた場合について述べる。
【0032】
(3)劣化した蓄電池の判別方法
劣化した蓄電池の判別方法は、DC電圧計で直接、端子電圧が測定されている蓄電池と、DC電圧計で直接、端子電圧が測定されていない蓄電池とでは異なる。したがって、2つの場合に別けて述べる。
【0033】
(3a)端子電圧を測定している蓄電池の劣化診断(検出)
DC電圧計が直接、端子電圧を測定している蓄電池、たとえば、第1蓄電池ブロック10Aの第1番目の蓄電池B11が劣化した場合は、放電中において蓄電池B11の端子電圧V11(直流電圧計201aによる電圧測定値V11)の低下が著しいことから、直接、検出することができる。
その他の蓄電池ブロック10B,…、10nのDC電圧計が直接、端子電圧が測定されている第1番目の蓄電池B21,,n1は劣化していないとすると、これらの蓄電池B21,,n1の端子電圧V21,,n1(直流電圧計202a,…,20naによる電圧測定値V21,,n1)と、蓄電池B11の端子電圧V11(直流電圧計201aによる電圧測定値V11)とは下記の関係となる。
【0034】
11<V21
11<Vn1 …(1)
【0035】
CPU102は、下記の電圧差Δ12,…,Δ1nのいずれか、または、下記の電圧差Δ12,…,Δ1nの全てが、第1基準値Δref1を越えたとき、蓄電池B11が劣化していると判定する。第1基準値Δref1の詳細については後述する。
【0036】
Δ12=V11−V21
Δ1n=V11−Vn1 …(2)
【0037】
たとえば、Δ12は、第1番目の蓄電池ブロック10A内の蓄電池(B11)の端子電圧V11(または電圧測定値V11)と第2番目の蓄電池ブロック10B内の蓄電池(B21)との端子電圧V21(または電圧測定値V21)の差を示す。
電圧差Δ12,…,Δ1nのいずれが第1基準値Δref1を越えていることを判定することはCPU102の処理としては簡単である。
他方、電圧差Δ12,…,Δ1nの全てが第1基準値Δref1を越えたときを条件として判定する場合は、処理が幾分複雑になるが、CPU102の処理としては簡単であり、判定の信頼性が向上することが期待できる。
上記に対して、電圧差Δ12,…,Δ1nのうち、全部ではなく複数、たとえば、2つ、3つが第1基準値Δref1を越えている場合に、蓄電池を劣化していると判定することもできる。
【0038】
(3b)端子電圧を測定している蓄電池以外の値が劣化したとき
上述した劣化診断方法では、たとえば、第1蓄電池ブロック10A内の直流電圧計201aで端子電圧が測定されている蓄電池B11の端子電圧V11は低下していず(むしろ、同じ蓄電池ブロックに劣化した蓄電池があると、蓄電池B11の端子電圧V11は放電特性本来に起因する電圧降下より高くなる)、蓄電池B11は劣化はしていないと判断された場合でも、同じ第1蓄電池ブロック10A内の他の蓄電池が劣化している可能性がある。たとえば、第1蓄電池ブロック10A内の直流電圧計201aで直接、端子電圧を測定していない第2番目の蓄電池B12が劣化した場合について述べる。
蓄電池B12の端子電圧は、直流電圧計201aで直接測定していないので、上述した第1番目の蓄電池B11のように、端子電圧V11の低下から直接、蓄電池B12の劣化を検出することはできない。
【0039】
なお、蓄電池B12の劣化に起因して蓄電池B12の端子電圧V12が低下すると、DC電源ライン20における第1蓄電池ブロック10Aの総合端子電圧を維持するように、第1蓄電池ブロック10A内に直列接続されている(蓄電池B12を除く)他の蓄電池B11,B13…B1nの端子電圧V11,V13…V1nが上昇する。
劣化している蓄電池B12の端子電圧V12が、「劣化しないときの電圧V(t)」よりΔV(t)だけ低下したとき、他の蓄電池B11,B13…B1nの端子電圧V11,V13…V1nの上昇は、下記式で表すことが出来る。
ただし、同じ第1蓄電池ブロック10A内の他の蓄電池B11,B13…B1nは同じ状態にあることを前提としており、他の蓄電池B11,B13…B1nは同じ分担率で劣化している蓄電池B12の端子電圧V12の低下を補うこと場合を想定している。
【0040】
11(=,…,V1n
=V(t)+(ΔV(t)/(m−1))
ただし、mは各蓄電池ブロック内の直列接続された蓄電池の個数であり、
V(t)は劣化していないときの蓄電池の端子電圧である。
…(3)
【0041】
「劣化していないときの電圧V(t)」について述べる。
放電中、蓄電池の端子電圧は、劣化しないときでも放電時間tの経過とともに低下していく。この放電特性自体に起因する蓄電池の端子電圧の低下を、本明細書においては、劣化していないときの電圧V(t)と呼ぶ。
たとえば、蓄電池B12の劣化に伴う電圧低下量ΔV12(t)も放電時間tの経過とともに変化し、その電圧低下量ΔV12(t)は他の正常な蓄電池の放電に起因する電圧低下量より大きい。劣化した蓄電池の端子電圧の低下と、それに対する他の蓄電池の端子電圧の上昇については、図4〜図6を参照して具体例を後述する。
【0042】
劣化した蓄電池、たとえば、蓄電池B12自体の劣化を特定することはできないが、DC電圧計201aで蓄電池B11の端子電圧V11が、他の蓄電池ブロックのDC電圧計で測定した端子電圧、すなわち、劣化していないときの電圧V(t)よりも高くなる。
【0043】
11>V21,…,V11>Vn1 …(4)
【0044】
たとえば、ΔV1-2 =V11−V21、または、ΔV1-n =V11−Vn1、あるいは、ΔV1-2 とΔV1-n とが、第2基準値Δref2以上であれば、蓄電池B11が所属する蓄電池ブロック10A内のいずれかの蓄電池が劣化していることを推定することができる。
第2基準値Δref2の詳細については、図4〜図6を参照して後述する。
【0045】
なお、蓄電池ブロック内の蓄電池が劣化していることを検出できたら、たとえば、直接、端子電圧を測定している蓄電池B11以外の蓄電池の端子電圧を順次、たとえば、手動で測定することにより、あるいは、後述する第3実施の形態の自動特定方法により、劣化した蓄電池を特定することができる。
【0046】
(4)劣化を検出する判定方法
上述したように、DC電圧計で直接、端子電圧を測定している蓄電池の劣化の検出(診断)、および、DC電圧計で直接、端子電圧を測定していない蓄電池の劣化の検出(診断)には、他の劣化していない蓄電池ブロックのDC電圧計で測定した蓄電池の端子電圧を比較している。
換言すれば、DC電圧計で直接、端子電圧を測定している蓄電池の劣化の検出(診断)には、DC電圧計で測定した端子電圧を直接、固定の基準値と比較しないで、他の劣化していない蓄電池ブロックのDC電圧計で測定した蓄電池の端子電圧を比較している。同様に、DC電圧計で直接、端子電圧を測定していない蓄電池の劣化の検出(診断)には、DC電圧計で測定した端子電圧を直接、固定の基準値と比較しないで、他の劣化していない蓄電池ブロックのDC電圧計で測定した蓄電池の端子電圧を比較している。
ただし、上記比較結果については、第1基準値Δref1と第2基準値Δref2とを用いて判断する。その理由について述べる。
【0047】
(イ)蓄電池ユニット10の構成に応じて各蓄電池ブロックの電圧(DC電源ライン20の電圧)が変化する。よって、一義的に第1基準値Δref1と第2基準値Δref2とを決定しにくい。
【0048】
(ロ)AC負荷60の状態に応じて蓄電池ユニット10からAC負荷60への給電(放電)中における各蓄電池の端子電圧の低下状態が異なる。なお、DC負荷70は考慮しないものとする。
【0049】
蓄電池ユニット10の放電中、AC負荷60が重い状態では蓄電池ユニット10の電力消費が大きいから、正常な蓄電池でもその端子電圧の低下は迅速であり、低下量は大きい。他方、AC負荷60が軽い状態では正常な蓄電池でもその端子電圧の低下は緩慢であり、低下量も少ない。同様に、AC負荷60が重い状態では劣化している蓄電池の端子電圧のかなり迅速であり、低下量も著しい。AC負荷60が軽い状態では劣化している蓄電池の端子電圧の低下は幾分緩慢になり、低下量も少ない。
【0050】
蓄電池ユニット10の放電中、劣化した蓄電池があると、その劣化した蓄電池の端子電圧がDC電圧計で直接測定されている場合は、上述のようにCPU102において直接検出できる。しかしながら、その他の蓄電池が劣化している場合は直接、CPU102において検出できない。この場合、その蓄電池ブロック内の他の蓄電池の端子電圧の低下は、式3に基づいて(ΔV/(m−1))だけ他の劣化した蓄電池のない蓄電池ブロックの蓄電池の測定電圧より高くなり、AC負荷60への給電のための放電とともに低下していく。その状態がDC電圧計で端子電圧を測定している蓄電池の測定電圧として検出できる。
【0051】
しかしながら、その低下状態の判定は、上述した放電時間tとともに変化する「劣化していないときの電圧V(t)」が基準となり、固定の値を用いることはできない。以上から、本実施の形態では、「劣化していないときの電圧V(t)」を、劣化していない蓄電池ブロックのDC電圧計で測定した端子電圧とし、劣化していない蓄電池ブロックのDC電圧計で測定した端子電圧と相対比較している。
以上述べた観点からも、蓄電池の劣化判定(診断)は、蓄電池の放電中が好ましい。
【0052】
(ハ)汎用的な蓄電池の劣化診断装置を構成する場合、蓄電池ユニット10の構成、蓄電池ユニット10を構成する蓄電池の種類、たとえば、鉛蓄電池か、リチウムイオン蓄電池かなどの蓄電池の種類、AC負荷60などの負荷状態に起因して変化するので、劣化した蓄電池の端子電圧の判断基準値を絶対値としないほうが好ましい。
【0053】
なお、劣化していない蓄電池ブロックのDC電圧計で測定した端子電圧との比較結果を最終的に判断するためには、後述する、第1基準値Δref1と第2基準値Δref2とを用いる。
【0054】
図3は、以上の基本構想のもとに、電圧測定手段200と演算手段100(主としてCPU102)とで行う蓄電池の劣化診断方法の処理内容を示すフローチャートである。
以下、図1〜図3を参照して、主として、CPU102の処理を述べる。
【0055】
ステップ1:初期条件設定
CPU102は、操作手段160、または、液晶表示器140aのキーボードなどから設定される、放電開始時間、放電終了時間、第1基準値Δref1、第2基準値Δref2などのパラメータを入力して、RAM105に記憶する。
なお、放電開始時間、放電終了時間、第1基準値Δref1、第2基準値Δref2などのパラメータが記憶手段120に記憶されている場合には、この初期設定処理は不要である。
また、記憶手段120は、RAM105の劣化フラグを全てクリア(0)にして、蓄電池ユニット10内に劣化している蓄電池はないと設定する。
【0056】
ステップ2、劣化判定タイミングか否かの判断
CPU102は、リアルタイムクロック(RTC)115に基づくコンピュータ内時間が、設定された放電開始時間に到達したか否かを判定する。
上述したように、本実施の形態では蓄電池の放電のとき蓄電池の端子電圧は低下するが、劣化した蓄電池の端子電圧は、正常な蓄電池に比較して著しく低下する。そこで、本実施の形態においては、劣化した蓄電池を効果的に検出するため、放電中の蓄電池の端子電圧を測定する。
なお、CPU102は、放電開始時間に到達したら、所定時間間隔で、たとえば、30分間隔で下記の処理を反復処理する。
通常、蓄電池は充電開始直前、換言すれば、放電終了間際に、端子電圧の電圧降下が大きくなり、劣化も進む。他方、劣化した蓄電池が存在すると、同じ蓄電池ブロック内の正常な蓄電池の負担が大きくなる。そこで、所定時間間隔で蓄電池の劣化状態を診断することにより、迅速に蓄電池の劣化を検出し、劣化した蓄電池の交換を適切に行えるようにしている。
【0057】
ステップ3、蓄電池の端子電圧を測定
CPU102は、マルチプレクサ106を順次切り換えて、各蓄電池ブロックの蓄電池の端子電圧を測定しているDC電圧計の測定値V11、V21、…、Vn1を順次、A/D変換器107に入力させ、デジタルの電圧測定値に変換した値を入力してRAM105に記憶する。これにより、RAM105には、各電池ブロックの蓄電池B11、B21、…、Bn1の電圧測定値V11、V21、…、Vn1が記憶される。
なお、マルチプレクサ106を削除して、A/D変換器107を各蓄電池ブロックの蓄電池の端子電圧を測定しているDC電圧計の数だけ設けて、複数のA/D変換器107の変換結果をCPU102で読み取ってもよい。このように、マルチプレクサ106を設けるか否か、および、A/D変換器107の数は、適宜は決定することができる。
【0058】
ステップ4、蓄電池の測定電圧の値を比較と判定
(1)DC電圧計で測定している蓄電池の劣化判定
好ましくは、蓄電池ブロックが2個のときと、蓄電池ブロックが3以上のときとに分けて、劣化判定を行う。蓄電池ブロックが3以上のときは判定の対象が多いので、それを活用して信頼性の高い劣化判定を行うためである。
【0059】
(1a)蓄電池ブロックが2のとき(n=2)
(1a1)大小比較
CPU102はRAM105に記憶した2つの蓄電池ブロックの蓄電池B11、B21の端子電圧V11、V21を式1に基づいて比較する。
CPU102は、たとえば、V11<V21のとき、蓄電池B11は蓄電池B21より端子電圧の低下が速く、劣化が進んでいると判定する。
【0060】
(1a2)電圧低下量の判定
CPU102が蓄電池B11が劣化していると判定したら、CPU102はさらに、式2に基づいて各蓄電池ブロック相互の端子電圧の測定値の差、Δ12=V11−V21(またはΔ12=V21−V11)を演算してRAM105に記憶する。Δ12の絶対値が第1基準値Δref1を越えているとき、CPU102は蓄電池B11が劣化していると決定する。
第1基準値Δref1は、蓄電池の満充電電圧と劣化時の端子電圧との関係を考慮して決定する。第1基準値Δref1の具体例は後述する。
【0061】
(1a3)劣化状態の設定
好ましくは、CPU102は、第1蓄電池ブロック10Aの第1蓄電池B11が劣化していることを示すフラグ(劣化フラグ=1)をRAM105の該当する部分にセットする。第1蓄電池ブロック10Aの第1蓄電池B11の劣化フラグ=1がセットされていることにより、第1蓄電池ブロック10Aの第1蓄電池B11が劣化していることが自明であり、これ以降、CPU102は他の蓄電池ブロックの劣化判定の対象から外す。
劣化フラグ=1は、たとえば、第1蓄電池B11が正常な蓄電池に交換されて、たとえば、操作手段160によりリセット指示が示されたとき、CPU102がRAM105の劣化フラグを0にする。
蓄電池システム1の初期状態ではRAM105内の劣化フラグは全て0である。
【0062】
(1b)蓄電池ブロックが3以上のとき(n≧3)
(1b1)大小比較
蓄電池ブロックの数が3以上のときは、好ましくは、劣化判定の信頼性を高めるために、2以上の隣接する蓄電池ブロックの測定電圧との比較を行うことが望ましい。以下、隣接する2つの蓄電池ブロックの測定電圧との比較を行う場合について述べる。3以上の蓄電池ブロックとき比較を行う場合も同様である。
CPU102は、たとえば、蓄電池B11が属する蓄電池ブロックと隣接する、RAM105に劣化フラグがセットされていない(正常な、または、劣化していない)蓄電池ブロックの蓄電池B21、B31の測定電圧V21、V31との関係において、V11<V21、かつ、V11<V31ならば、蓄電池B11の端子電圧の低下は蓄電池B21、B31より端子電圧の低下より大きいから、蓄電池B11の劣化が進んでいると判定する。
【0063】
(1b2)電圧低下量の判定
蓄電池B11が劣化していると判定したら、CPU102は、式2に基づいて各蓄電池ブロック相互の端子電圧の測定値の差Δ12=V11−V21(またはΔ12=V21−V11)を演算して(必要に応じて、RAM105に記憶し)、Δ12の絶対値が第1基準値Δref1を越えているとき、CPU102は蓄電池B11が劣化していると決定する。
なお、劣化検出の信頼性を高めるために、CPU102は、Δ12の絶対値が第1基準値Δref1を越えているとき、さらに、式2に基づいて各蓄電池ブロック相互の端子電圧の測定値の差、Δ13=V11−V31(またはΔ13=V31−V11)を演算して(必要に応じて、RAM105に記憶し)、Δ13の絶対値も第1基準値Δref を越えているとき、蓄電池B11が劣化していると決定することもできる。
【0064】
(1b3)劣化状態の設定
好ましくは、CPU102は、上記同様、第1蓄電池ブロック10Aの第1蓄電池B11が劣化していることを示すフラグ(劣化フラグ=1)をRAM105の該当する部分にセットする。
【0065】
(2)DC電圧計で端子電圧を測定している蓄電池以外の蓄電池の劣化判定
DC電圧計で端子電圧を測定している蓄電池の劣化が検出されないとき、同じ蓄電池ブロック内の他の蓄電池の劣化判定を行う。
好ましくは、蓄電池ブロックが2個のときと、蓄電池ブロックが3以上のときとに分けて、劣化判定を行う。蓄電池ブロックが3以上のときは判定の対象が多いので、それを活用した信頼性の高い劣化判定を行うためである。
【0066】
(2a)蓄電池ブロックが2のとき(n=2)
(2a1)大小比較
CPU102はRAM105に記憶した蓄電池ブロック10A内の蓄電池B11の端子電圧V11と隣接する蓄電池ブロック10B内の蓄電池B21の端子電圧V21とを比較する。V11>V21のとき、CPU102は、蓄電池B11の属する蓄電池ブロック10A内の蓄電池B11以外の他の蓄電池の劣化が進んでいると判定する。
【0067】
(2a2)電圧上昇量の判定
蓄電池ブロック10B内の蓄電池B11以外の他の蓄電池が劣化が進んでしていると判定したら、CPU102は、式2に基づいて各蓄電池ブロック相互の端子電圧の測定値の差、Δ12=V11−V21(またはΔ12=V21−V11)を演算する(必要に応じて、さらにRAM105に記憶する)。Δ12の絶対値が第2基準値Δref2を越えているとき、CPU102は蓄電池ブロック10B内の蓄電池B11以外の他の蓄電池が劣化していると決定する。
第2基準値Δref2は、式3における(ΔV/(m−1))を考慮して決定する。なお、第2基準値Δref2の具体例は後述する。
【0068】
(2a3)劣化状態の設定
好ましくは、CPU102は、第1蓄電池ブロック10Aの蓄電池B11以外の蓄電池が劣化していることを示すフラグ(劣化フラグ=1)をRAM105の該当する部分にセットする。蓄電池B11以外の蓄電池は特定されていないから、たとえば、第1蓄電池ブロック10Aのある蓄電池に劣化があることを示す劣化フラグをセットする、または、第1蓄電池ブロック10Aの蓄電池B11以外の蓄電池の全てが劣化していると仮定して、蓄電池B11以外の蓄電池の全ての劣化フラグを1にセットしてもよい。
【0069】
(2b)蓄電池ブロックが3以上のとき(n≧3)
(2b1)大小比較
蓄電池ブロックの数が3以上のときは、好ましくは、劣化判定の信頼性を高めるために、2以上の隣接する蓄電池ブロックの測定電圧との比較を行うことが望ましい。以下、隣接する2つの蓄電池ブロックの測定電圧との比較を行う場合について述べる。
CPU102は、たとえば、RAM105に劣化フラグがセットされていない(正常な)蓄電池B11と隣接する蓄電池ブロックの測定電圧との関係において、V11>V21、かつ、V11>V31ならば、蓄電池B11の属する蓄電池ブロック10A内の蓄電池B21以外の蓄電池の劣化が進んでいると判定する。
【0070】
(2b2)電圧上昇量の判定
蓄電池B11の属する蓄電池ブロック10A内の蓄電池B21以外の蓄電池の劣化していると判定したら、CPU102は、式2に基づいて各蓄電池ブロック相互の端子電圧の測定値の差、Δ12=V11−V21(またはΔ12=V21−V11)を演算する(必要に応じて、RAM105に記憶する)。Δ12の絶対値が第2基準値Δref2を越えているとき、CPU102は蓄電池ブロック10B内の蓄電池B11以外の他の蓄電池が劣化していると決定する。
なお、CPU102は、Δ12の絶対値が第1基準値Δref を越えているとき、さらに、式2に基づいて各蓄電池ブロック相互の端子電圧の測定値の差、Δ13=V11−V31(またはΔ13=V31−V11)を演算して(必要に応じて、RAM105に記憶し)、Δ13の絶対値も第2基準値Δref2を越えているとき、蓄電池B11が属する蓄電池ブロック10A内の蓄電池が劣化していると決定することができる。
【0071】
(2b3)劣化状態の設定
好ましくは、CPU102は、上記同様、第1蓄電池ブロック10Aの蓄電池B11以外の蓄電池が劣化していることを示すフラグ(劣化フラグ=1)をRAM105の該当する部分にセットする。蓄電池B11以外の蓄電池は特定されていないから、たとえば、第1蓄電池ブロック10Aのある蓄電池に劣化があることを示す劣化フラグをセットする、または、第1蓄電池ブロック10Aの蓄電池B11以外の蓄電池の全てが劣化していると仮定して、蓄電池B11以外の蓄電池の全ての劣化フラグを1にセットしてもよい。
【0072】
ステップ5、6、劣化状態出力
CPU102は、DC電圧計で端子電圧が測定されている蓄電池が劣化していることを検出したときは、その蓄電池が属する蓄電池ブロックの番号または名称と、劣化を検出した蓄電池の番号または名称を、劣化を示す情報とともに、たとえば、下記のメッセージを、液晶表示器140aに表示する、および/または、プリンタ140aに印字する。
「2006.2.15 12:15
第1蓄電池ブロック、第1番目の蓄電池が劣化しています。」
または、CPU102は、液晶表示器140aに蓄電池ユニット10の蓄電池の構成を図解し、検出した日時、時刻、劣化状態の蓄電池を、たとえば、赤で表示することもできる。
【0073】
CPU102は、DC電圧計で端子電圧が測定されていない蓄電池が劣化していることを検出したときは、検出した日時、時刻、その蓄電池が属する蓄電池ブロックの番号または名称を、劣化を示す情報とともに、たとえば、下記のメッセージを、液晶表示器140aおよび/またはプリンタ140aに出力する。
「2006.2.15 12:15
第1蓄電池ブロック内の第1番目の蓄電池以外の蓄電池が劣化しています。」
または、CPU102は、蓄電池ユニット10の蓄電池の構成を図解し、検出した日時、時刻、DC電圧計で端子電圧が測定されていない蓄電池の全てを、たとえば、赤で表示することもできる。
【0074】
ユーザーは液晶表示器140aおよび/またはプリンタ140aの上記メッセージから蓄電池が劣化していることを認識することができる。
【0075】
ステップ7、反復処理
CPU102は上述した処理を、放電期間中、反復処理する。
【0076】
ステップ8、待機
放電が終了したら、所定時間遅延して、次の放電期間が到達するまで待機する。
【0077】
上述した例示においては、ステップ3において、複数の蓄電池ブロックの各蓄電池の端子電圧の測定を纏めて行い、ステップ4、5において、複数の蓄電池の測定電圧の比較と劣化判定をまとめて行った場合について述べたが、1個の蓄電池または1つの蓄電池ブロックごとに行うこともできる。
【0078】
劣化した蓄電池の処理
第1実施の形態においては、たとえば、上記のごとく劣化した蓄電池が検出されたら、蓄電池システム1のユーザーは、あるいは、蓄電池システム1の技術者または保守員は、たとえば、下記の処理を行うことができる。
(a)DC電圧計で端子電圧で測定されている蓄電池が劣化していることが検出されているときは該当する蓄電池を正常な蓄電池と交換する。
(b)DC電圧計で端子電圧が測定されていない蓄電池が劣化していることを検出されているときは、劣化した蓄電池を特定するため、その蓄電池ブロック内の各蓄電池の端子電圧を、たとえば、手動で端子電圧を測定していき、端子電圧が低下している蓄電池を特定し、特定した蓄電池を正常な蓄電池と交換する。
【0079】
第1基準値Δref1および第2基準値Δref2の具体例
図4〜図6を参照して第1基準値Δref1および第2基準値Δref2の具体例について述べる。
図4は図1における蓄電池システム1内の蓄電池ユニット10における各蓄電池として鉛蓄電池を用い、各蓄電池ブロック内の直列に接続された蓄電池が4個であり、DC電源ライン20の公称定格電圧をDC48Vとし、蓄電池ブロックを3個並列に接続した場合を示している。
図5は鉛蓄電池の放電時間経過に伴う端子電圧の変化を満充電状態から測定した結果を示す。4時間放電後と、12時間放電後の測定電圧を例示している。
DODは放電の深さを示す放電深度を意味し、たとえば、DOD12%は放電深度12%を意味している。
この例示においては第3蓄電池ブロック10Cの第1鉛蓄電池B31が劣化している場合について述べる。
【0080】
4時間放電後では、第3蓄電池ブロック10Cの第1鉛蓄電池B31の端子電圧は11.90Vと、第1蓄電池ブロック10Aの蓄電池B11の端子電圧の12.71V、第2蓄電池ブロック10Bの蓄電池B21の端子電圧の12.68Vより低い。
第3蓄電池ブロック10Cの第1鉛蓄電池B31の端子電圧が低下している分、第3蓄電池ブロック10Cの他の蓄電池B32、B33、B34の端子電圧がそれぞれ、12.96V、13.00V、12.94Vと、第1蓄電池ブロック10Aの蓄電池B11の端子電圧の12.71V、第2蓄電池ブロック10Bの蓄電池B21の端子電圧の12.68Vより高くなっている。
なお、第1蓄電池ブロック10Aの総合端子電圧、第2蓄電池ブロック10Bの総合端子電圧、第3蓄電池ブロック10Cの総合端子電圧は、50.78V、50.80V、50.80Vとほぼ同じである。
蓄電池の満充電状態では、各蓄電池の充電電圧は、12Vより幾分高く、たとえば、13V程度まで上昇しているため、4時間放電後でも各蓄電池ブロックの合計端子電圧は50.80V程度になっている。
【0081】
12時間放電後では、第3蓄電池ブロック10Cの第1鉛蓄電池B31の端子電圧は9.54Vと一層低下し、第1蓄電池ブロック10Aの蓄電池B11の低下した端子電圧の12.05V、第2蓄電池ブロック10Bの蓄電池B21の低下した端子電圧の12.00Vより大きく(著しく)低下している。
第3蓄電池ブロック10Cの第1鉛蓄電池B31の端子電圧が低下している分、第3蓄電池ブロック10Cの他の蓄電池B32、B33、B34の端子電圧がそれぞれ、12.87V、12.90V、12.86Vと、第1蓄電池ブロック10Aの蓄電池B11の端子電圧の12.05V、第2蓄電池ブロック10Bの蓄電池B21の端子電圧の12.00Vより高くなっている。ただし、第3蓄電池ブロック10Cの他の蓄電池B32、B33、B34も放電しているから、4時間放電後よりも端子電圧は低下している。
第1蓄電池ブロック10Aの総合端子電圧、第2蓄電池ブロック10Bの総合端子電圧、第3蓄電池ブロック10Cの総合端子電圧は、48.20V、48.20V、48.17Vとほぼ同じである。なお、第3蓄電池ブロック10Cの他の蓄電池B32、B33、B34の放電量が大きい分、第3蓄電池ブロック10Cの総合端子電圧は他の蓄電池ブロックの総合端子電圧より幾分低下している。
【0082】
図5の測定データについて、第3蓄電池ブロック10Cの第1鉛蓄電池B31の端子電圧をDC電圧計で直接測定した場合の式2に示す電圧差ΔV1=V31−V11またはΔV1=V31−V21と、第3蓄電池ブロック10Cの第1鉛蓄電池B31以外たとえば、第2鉛蓄電池B32の端子電圧を直流電圧計で直接測定した場合を想定した場合の式3に示す電圧差ΔV2=V32−V11またはΔV2=V32−V21とを試算する。
【0083】
4時間放電後
ΔV1=11.90V−12.71V=−0.81V、または、
=11.90V−12.68V=−0.78V
ΔV2=12.96V−12.71V=+0.25V、または、
=12.96V−12.68V=+0.28V
12時間放電後
ΔV1= 9.54V−12.05V=−2.51V、または、
= 9.54V−12.00V=−2.46V
ΔV2=12.87V−12.05V=+0.82V、または、
=12.87V−12.00V=+0.87V
【0084】
蓄電池の劣化は早急に検出することが望ましい。しかしながら、早急な劣化の検出は、誤検出を招く可能性がある。他方、正確な劣化の検出は、劣化した蓄電池の端子電圧が大きく低下した状態が望ましい。
以上の例から、鉛蓄電池を直列に4個接続した場合、経験的に、ΔV1としては絶対値として、たとえば、0.5〜2.0V程度とし、蓄電池の劣化を判定する第1基準値Δref1を、たとえば、1.0Vとする。また、ΔV2としては絶対値として、たとえば、0.2〜1.0V程度とし、蓄電池の劣化を判定する第2基準値Δref2を、たとえば、0.3Vとする。
【0085】
図6は蓄電池ユニット10内の各蓄電池ブロック内の直列接続される蓄電池の数mと、式3におけるΔVとの関係を示す図である。蓄電池としては鉛蓄電池を用いた例を示す。各蓄電池ブロック内の直列接続される蓄電池の数mは、もちろん、DC電源ライン20に要求される電圧に応じて規定される。
m=4の場合、各蓄電池ブロックの総合端子電圧は48Vとなる。このときの第1基準値Δref1は、上述したように、1.0V、第2基準値Δref2も上述したように、0.3Vである。
m=6の場合、各蓄電池ブロックの総合端子電圧は72Vとなる。このときの第1基準値Δref1を1.0V、第2基準値Δref2を0.2Vにすることができる。
m=9の場合、各蓄電池ブロックの総合端子電圧は108Vとなる。このときの第1基準値Δref1を1.0V、第2基準値Δref2を0.1Vにすることができる。
【0086】
以上例示したように、第1基準値Δref1と第2基準値Δref2とは、各蓄電池ブロックの直列接続される蓄電池の数m、蓄電池の種類、たとえば、上述した鉛蓄電池または、リチウムイオン電池などの種類に応じて決定することが好ましい。このような第1基準値Δref1および第2基準値Δref2は、記憶手段120に予め設定しておくか、操作手段160を介して設定してRAM105に記憶することができる。
【0087】
以上述べたように、本発明の第1実施の形態の蓄電池システム1は、各蓄電池ブロックに1個のDC電圧計を設けるだけで、DC電圧計で端子電圧を測定している蓄電池の劣化状態の直接検出、または、DC電圧計で端子電圧を測定している蓄電池が属する蓄電池ブロック内の他の蓄電池の劣化を間接的に検出することができる。
【0088】
本発明の蓄電池の劣化診断装置としての、演算手段100は、コンピュータを用いて構成されており、容易に実現できる。演算手段100の、特に、CPU102が行う処理は簡単であり、容易に実現でき、低価格で構成できる。
さらに、本発明の実施の形態の蓄電池システム1は、蓄電池ユニット10内の蓄電池の劣化を除いて、保守が必要になる部分がない。
【0089】
また、劣化判断基準として、蓄電池ユニット10内の他の蓄電池ブロックの蓄電池の端子電圧との相対関係を利用しており、蓄電池ユニット10を構成する各蓄電池ブロックの蓄電池の個数、並列に接続された蓄電池ブロックの数などに依存せず、さらに、AC負荷60の状況にも依存しないので、適用に融通性がある。
【0090】
以上から、第1実施の形態の蓄電池の劣化診断装置を有する蓄電池システムは、一般家庭を含む広い用途に容易に適用可能である。
【0091】
第2実施の形態
図7を参照して、本発明の蓄電池の劣化診断装置、蓄電池の劣化診断方法および蓄電池システムの第2実施の形態について述べる。
図7に図解した蓄電池システム1Aと、図1に図解した蓄電池システム1との相違は、図7に図解した蓄電池システム1Aにおいて、複数の蓄電池ブロック1A〜1nに対して、1個の電圧測定手段200A、たとえば、DC電圧計を設け、各蓄電池ブロック1A〜1nの蓄電池B11、B21、…、Bn1の電圧を1個のDC電圧計で測定するため、切替スイッチ80を付加している。なお、切替スイッチ80を付加したことにより、図2に図解したマルチプレクサ106は不要となる。
マルチプレクサ106が不要となること、下記に述べるようにCPU102の処理が異なることから、第2実施の形態においては、図1に図解した演算手段100を演算手段100Aと記載している。
さらに、第2実施の形態においては、切替スイッチ80から演算手段100Aに電圧測定値を入力するケーブル(図1の(2×n)本のケーブル90)が1対のケーブル90Aでよくなる。
その他の構成は、図解を省略しているものも含めて、第1実施の形態と実質的に同じである。
【0092】
切替スイッチ
切替スイッチ80は、第1共通端子TCAと第2共通端子TCBとに接続された第1接点CT1と第2接点CT2とを有する。
切替スイッチ80はまた、第1蓄電池ブロック10Aの第1蓄電池B11の両端に接続されている1対のケーブル91が接続されている第1A切替端子T1Aおよび第1B切替端子T1B、第2蓄電池ブロック10Bの第1蓄電池B21の両端に接続されている1対のケーブル92が接続されている第2A切替端子T2Aおよび第2B切替端子T2B、…、第n蓄電池ブロック10nの第1蓄電池Bn1の両端に接続されている1対のケーブル9nが接続されている第nA切替端子TnAおよび第nB切替端子TnBとを有する。
第1接点CT1および第2接点CT2は、演算手段100AのCPU102から、図2に図解したI/Oインターフェース112を介して出力される第1スイッチング信号SW1に応じて、第1A切替端子T1Aおよび第1B切替端子T1B、第2A切替端子T2Aおよび第2B切替端子T2B、…、第nA切替端子TnAおよび第nB切替端子TnBのいずれかに接続されて、第1蓄電池ブロック10Aの第1蓄電池B11の端子電圧、第2蓄電池ブロック10Bの第1蓄電池B21の端子電圧,…,第n蓄電池ブロック10nの第1蓄電池Bn1の端子電圧のいずれかを、第1共通端子TCAおよび第2共通端子TCBを介して電圧測定手段200AであるDC電圧計に導く。
【0093】
DC電圧計200Aの測定電圧は、演算手段100A内のA/D変換器107に入力されてデジタル信号に変換され、CPU102に入力され、RAM105に記憶される。
図3に図解したステップ3の処理として、CPU102は、I/Oインターフェース112を介して出力する第1スイッチング信号SW1に基づいて、順次、第1接点CT1および第2接点CT2を、第1A切替端子T1Aおよび第1B切替端子T1B、第2A切替端子T2Aおよび第2B切替端子T2B、…、第nA切替端子TnAおよび第nB切替端子TnBと切り換えていき、このスイッチング動作に合わせて、第1蓄電池ブロック10Aの第1蓄電池B11の端子電圧、第2蓄電池ブロック10Bの第1蓄電池B21の端子電圧,…,第n蓄電池ブロック10nの第1蓄電池Bn1の端子電圧としてRAM105に記憶する。
【0094】
図3に図解したステップ1、2の処理、および、ステップ4以降の処理は、図3を参照して述べた第1実施の形態と同じである。
【0095】
第2実施の形態は、蓄電池ユニット10の蓄電池ブロックの数に依存せず電圧測定手段200AとしてのDC電圧計の数が1個でよいこと、その結果、DC電圧計から演算手段100Aに電圧測定結果を導くケーブルも1対のケーブル90Aでよいという利点がある。したがって、蓄電池ブロックの数が多い場合、および/または、蓄電池ユニット10から演算手段100Aまでの距離が長い場合などに特に、効果がある。
【0096】
第3実施の形態
図8を参照して、本発明の蓄電池の劣化診断装置、蓄電池の劣化診断方法および蓄電池システムの第3実施の形態について述べる。
図8に部分的に図解した蓄電池システム1Bと、図7に図解した蓄電池システム1Aとの相違は、各蓄電池ブロック内の各蓄電池の端子電圧も測定可能なように、各蓄電池ブロックごとに、たとえば、第1蓄電池ブロック10Aについて第2切替スイッチ80aを設けたことである。第2蓄電池ブロック10B,…,第n蓄電池ブロック10nにも、第2切替スイッチ80aと同様のスイッチが設けられる。
第1切替スイッチ80は第3実施の形態と同じである。
【0097】
第2切替スイッチ
第2切替スイッチ80aは、第1切替スイッチ80と同様の構成をしており、第1共通端子TCAaと第2共通端子TCBbとに接続された第1接点C1aと第2接点C2bとを有する。
第2切替スイッチ80aは、切替スイッチ80と同様に、第1蓄電池ブロック10Aの第1蓄電池B11の両端に接続されている1対のケーブル91が接続されている第1A切替端子T1Aaおよび第1B切替端子T1Bb,…,第n蓄電池Bn1の両端に接続されている1対のケーブル9nが接続されている第nA切替端子TnAaおよび第nB切替端子TnBbとを有する。
第1接点C1aおよび第2接点C2bは、演算手段100AのCPU102から、図2に図解したI/Oインターフェース112を介して出力される第2−1スイッチング信号SW21に応じて、第1A切替端子T1Aaおよび第1B切替端子T1Bb,…,第nA切替端子TnAaおよび第nB切替端子TnBbのいずれかに接続されて、第1蓄電池ブロック10Aの第1蓄電池B11の端子電圧、…,第n蓄電池B1nの端子電圧のいずれかを1対のケーブル91を介して、第1切替スイッチ80の第1A切替端子T1Aおよび第1B切替端子T1Bに導く。
【0098】
第1切替スイッチ80は上述したように、演算手段100Bから出力される第1スイッチング信号SW1に応じて、第1A切替端子T1Aおよび第1B切替端子T1Bに接続されている、第2切替スイッチ80a,, 第nA切替端子TnAおよび第nB切替端子TnBに接続されている、図示しない第n切替スイッチ80nに入力される信号をA/D変換器107に導く。
【0099】
このように、演算手段100BのCPU102は、第1スイッチング信号SW1を切替スイッチ80に出力し、第2−1スイッチング信号SW21〜第2−nスイッチング信号SW2nのいずれかを該当する第2切替スイッチ、たとえば、80aに出力することにより、蓄電池ユニット10内の希望する蓄電池ブロック内の希望する蓄電池の端子電圧を、1個のDC電圧計200Aを介して入力することができる。
【0100】
第1形態
第3実施の形態の第1の形態を、図9のフローチャートを参照して述べる。
ステップ1、ステップ2の処理は、図3を参照して述べた内容と同じであるので説明を省略する。
【0101】
図3に図解したステップ3の処理を、第3実施の形態の第1の形態では下記のように行う。
ステップ3Aにおいて、CPU102は、初期条件として、第2切替スイッチ80a,
, 図示しない第n切替スイッチ80nを各蓄電池ブロックの代表的な蓄電池、たとえば、蓄電池B11,21,…,Bn1の端子電圧を選択するように、設定しておく。
次いで、ステップ3Bにおいて、第2実施の形態に述べた方法により、CPU102は、第1スイッチング信号SW1に基づいて、切替スイッチ80を制御して、DC電圧計200Aで測定した上記蓄電池B11,21,…,Bn1の端子電圧を順次入力し、RAM105に記憶していく。これにより各蓄電池ブロックの蓄電池B11,21,…,Bn1の端子電圧が入手できた。
【0102】
ステップ4の処理は、図3を参照して述べた内容と同じであるので説明を省略する。
【0103】
ステップ5Aにおいて、第2切替スイッチ80a,, 図示しない第n切替スイッチ80nで選択されていない蓄電池が劣化していると判定した場合、CPU102は、ステップ5Bにおいて、たとえば、第1蓄電池ブロック10A内に劣化した蓄電池が存在すると判定した場合、第1切替スイッチ80の第1接点CT1および第2接点CT2を第1A切替端子T1Aおよび第1B切替端子T1Bを選択するように第1スイッチング信号SW1を出力する。
【0104】
さらにこの状態で、ステップ5Cにおいて、CPU102は、第2切替スイッチ80aに対して、第1接点CT1aおよび第2接点CT2bを、第1共通端子TCAaおよび第1B切替端子T1Bbから順次,第nA切替端子TnAaおよび第nB切替端子TnBbまで切り換えて接続するように、第2−1スイッチング信号SW2−1を出力し、この出力と同期して、A/D変換器107の信号を入力して、RAM105に順次記憶する。これにより、第1蓄電池ブロック10Aの蓄電池B12,B13,…,B1nの端子電圧が得られる。
【0105】
ステップ5Dにおいて、CPU102は、ステップ4の処理と同様、蓄電池B12,B13,…,B1nの端子電圧がそれぞれ、たとえば、劣化していない他の蓄電池ブロックの、たとえば、第2蓄電池ブロックの蓄電池B21の端子電圧V21と比較して、第1基準値Δref1より低下していないか否かを判定する。
CPU102は、端子電圧が、たとえば、第2蓄電池ブロックの蓄電池B21の端子電圧V21より第1基準値Δref1以上低下している蓄電池を劣化している蓄電池と判定する。
この処理は、蓄電池B12,B13,…,B1n全てについて行うことができる。それにより、2個以上同時に劣化していることも検出可能となる。
【0106】
ステップ5、6、7、8は第1実施の形態と同様である。
【0107】
第3実施の形態の第1形態によれば、DC電圧計200Aが接続されている蓄電池以外のその他の蓄電池についても劣化したことを自動的に検出できる。
【0108】
第2形態
第3実施の形態の第2の形態を、図10のフローチャートを参照して述べる。
ステップ1、ステップ2の処理は、図3を参照して述べた内容と同じであるから、説明を省略する。
【0109】
ステップ3A1において、CPU102は、第1切替スイッチ80を、1つの第2切替スイッチ、たとえば、まず、第2切替スイッチ80aからの信号を選択するように第1スイッチング信号SW1を出力する。
ステップ3B1において、CPU102は、次いで上記選択した第2切替スイッチ、たとえば、第2切替スイッチ80aを順次、蓄電池B11,12,…,B1nの端子電圧を選択するように、第2−1スイッチング信号SW2−1を設定するとともに、第1切替スイッチ80から出力されたDC電圧計200Aで測定された電圧信号をA/D変換器107を介して入力し、RAM105に記憶する。これにより、第1蓄電池ブロック10Aの全ての蓄電池B11,12,…,B1nの端子電圧が入力される。
【0110】
ステップ3C1において、CPU102は、最後の第n切替スイッチ80nまで、ステップ3A1の処理が終了したか否かをチェックする。
第n切替スイッチ80nまで、ステップ3A1の処理が終了していないときは、ステップ3A1の処理に戻り、第1切替スイッチ80を第3切替スイッチ80bからの信号を選択するように第1スイッチング信号SW1を出力する。
その後、ステップ3B1において、CPU102は、次いで、第3切替スイッチ80bを順次、蓄電池B21,22,…,B2mの端子電圧を選択するように、第2−1スイッチング信号SW2−2を設定するとともに、第1切替スイッチ80から出力されたDC電圧計200Aで測定された電圧信号をA/D変換器107を介して入力し、RAM105に記憶する。これにより、第1蓄電池ブロック10Aの全ての蓄電池B21,22,…,B2mの端子電圧が入力される。
【0111】
以下同様に、CPU102は、第n蓄電池ブロックの全ての蓄電池Bn1,n2,…,Bnmの端子電圧を入力するまで上記処理を反復する。
【0112】
以上により、蓄電池ユニット10内の全ての蓄電池の端子電圧がRAM105に記憶されたことになる。
【0113】
ステップ4Aにおいて、CPU102は、蓄電池ユニット10を全ての蓄電池の端子電圧を、劣化としてないと判定されている(RAM105において劣化フラグが1にセットされていない)蓄電池ブロックの蓄電池の端子電圧と比較し、第1基準値Δref1以上か否かを判定し、個別的に蓄電池の劣化を判定する。
これにより、蓄電池ユニット10内の全ての蓄電池が個別に劣化の判定が行われる。
【0114】
ステップ5、6、7、8の処理は図3を参照して述べた第1実施の形態と同様であるから説明を省略する。
【0115】
第3実施の形態の第2形態によれば、全ての蓄電池の劣化状態を直接自動的に判定することができる。
【0116】
第4実施の形態
本発明の第4実施の形態として、第2実施の形態における第1切替スイッチ80を設けず、第3実施の形態において追加した第2切替スイッチ80a,…,80nを第1実施の形態に付加することができる。
この場合、初期状態として、第2切替スイッチ80a,…,80nを各蓄電池ブロックの、たとえば、第1蓄電池B11,…,Bn1の端子電圧を選択するように設定しておく。
この状態で、第1実施の形態として述べたように、DC電圧計で端子電圧を測定している、第1蓄電池B11,…,Bn1が劣化している否かを判定する。
第1蓄電池B11,…,Bn1の端子電圧が第2基準値Δref2以上のとき、CPU102は、たとえば、第1蓄電池B11が第2基準値Δref2以上に上昇しているとき、第2切替スイッチ80aを制御して、第1蓄電池ブロック10A内の2番目以降の蓄電池B12,…,B1nの端子電圧を順次入力する。
CPU102は、2番目以降の蓄電池B12,…,B1nが、他の正常な蓄電池ブロックの蓄電池の端子電圧より低下していか否かを判定して、蓄電池B12,…,B1nのいずれかが劣化していることを判定する。
【0117】
劣化した蓄電池の検出後の処理は第1実施の形態などにおける処理と同様である。
【0118】
以上述べたように、本発明の蓄電池システム、蓄電池の劣化診断装置は、簡単な構成で、かつ、簡単な処理で、蓄電池ユニット内の蓄電池の劣化の有無を検出することができる。
【0119】
本発明の蓄電池の劣化診断装置および蓄電池システムは、蓄電池ユニット内の蓄電池の劣化を除いて、保守が必要になる部分がない。
【0120】
本発明の劣化判断基準として、蓄電池ユニット内の他の蓄電池ブロックの蓄電池の端子電圧との相対関係を利用しており、蓄電池ユニットを構成する各蓄電池ブロックの蓄電池の個数、並列に接続された蓄電池ブロックの数などに依存せず、さらに、AC負荷などの状況にも依存しないので、適用に融通性がある。
【0121】
本発明の蓄電池の劣化診断装置、蓄電池システムは、一般家庭などにも容易に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0122】
【図1】図1は本発明の蓄電池の劣化診断装置および蓄電池システムの第1実施の形態の構成図である。
【図2】図2は、図1に図解した蓄電池の劣化診断装置および蓄電池システムにおける演算手段の装置構成例を示す図である。
【図3】図3は、図2に図解した演算手段の信号処理の例を示すフローチャートである。
【図4】図4は、本発明の実施の形態の蓄電池システムにおける電池構成の第1具体例を示す図である。
【図5】図5は、図4に図解した例における実験例を示す図表である。
【図6】図6は、図5に図解した実験例を整理した結果を示す図表である。
【図7】図7は本発明の蓄電池の劣化診断装置および蓄電池システムの第2実施の形態の構成図である。
【図8】図8は本発明の蓄電池の劣化診断装置および蓄電池システムの第3実施の形態の構成図である。
【図9】図9は本発明の第3実施の形態の第1形態の処理を示すフローチャートである。
【図10】図10は本発明の第3実施の形態の第2形態の処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0123】
10…蓄電池ユニット、20…DC電源ライン、30…インバータ/コンバータ、
40…AC電源ライン、50…AC電源、60…AC負荷、
80…第1切替スイッチ、80a,…,80n…第2切替スイッチ、
100,100A、100B…演算手段
102…中央演算ユニット(CPU)、104…ROM、105…RAM、
107…A/D変換器、
120…記憶手段、
140…出力手段(140a…液晶表示器、140b…プリンタ)
160…操作手段、
200…電圧測定手段(DC電圧計)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の蓄電池が直列に接続された蓄電池ブロックが複数並列に接続されている蓄電池ユニット内の蓄電池の劣化を診断する装置であって、
前記複数の蓄電池ブロック内の1個の蓄電池の端子電圧を測定する電圧測定手段と、
前記測定した1の蓄電池ブロック内の1の蓄電池の端子電圧が、前記測定した他の蓄電池ブロックの内の他の蓄電池の端子電圧より第1基準値だけ低下しているとき、前記1の蓄電池が劣化していると判定する第1判定手段と、
前記測定した1の蓄電池の端子電圧が、前記測定した他の蓄電池の端子電圧より第2基準値だけ高いとき、前記1の蓄電池が属する蓄電池ブロックに劣化している蓄電池があると判定する、第2判定手段と、
を有する、蓄電池の劣化診断装置。
【請求項2】
複数の蓄電池が直列に接続された蓄電池ブロックが複数並列に接続されている蓄電池ユニット内の蓄電池の劣化を診断する装置であって、
前記複数の蓄電池ブロック内の1個の蓄電池の端子電圧を選択して出力する1個の切替スイッチと、
該切替スイッチから出力された端子電圧を測定する1個の電圧測定手段と、
前記切替スイッチを順次選択制御し、前記電圧測定手段から出力される測定電圧を、選択された前記複数の蓄電池ブロック内の1個の蓄電池の端子電圧に対応して読み取る、端子電圧読み取り手段と、
前記読み取った1の蓄電池ブロック内の1の蓄電池の端子電圧が、前記読み取った他の蓄電池ブロックの内の他の蓄電池の端子電圧より第1基準値だけ低下しているとき、前記1の蓄電池が劣化していると判定する第1判定手段と、
前記読み取った1の蓄電池の端子電圧が、前記読み取った他の蓄電池の端子電圧より第2基準値だけ高いとき、前記1の蓄電池が属する蓄電池ブロックに劣化している蓄電池があると判定する、第2判定手段と、
を有する、蓄電池の劣化診断装置。
【請求項3】
前記複数の蓄電池ブロック内の複数の蓄電池の端子電圧をそれぞれ選択して出力する第2切替スイッチと、
第3判定手段と
をさらに有し、
前記第2判定手段が、前記1の蓄電池が属する蓄電池ブロックに劣化している蓄電池があると判定したとき、
前記読み取り手段は、前記第2切替スイッチを順次選択制御し、前記電圧測定手段から出力される測定電圧を、前記1の蓄電池ブロック内の複数の蓄電池の端子電圧に対応して読み取り、
前記読み取った1の蓄電池ブロック内の1の蓄電池の端子電圧が、前記読み取った他の蓄電池ブロックの内の他の蓄電池の端子電圧より第1基準値だけ低下しているとき、前記1の蓄電池が劣化していると判定する第1判定手段と、
前記第3判定手段が、前記読み取った1の蓄電池ブロック内の複数の蓄電池の端子電圧が、他の蓄電池ブロックの内の他の蓄電池の端子電圧より第1基準値だけ低下しているとき、当該蓄電池が劣化していると判定する、
請求項1または2に記載の蓄電池の劣化診断装置。
【請求項4】
前記第1〜第3判定手段のいずれかによって、蓄電池の劣化が検出されたとき、劣化を示す情報を出力する出力手段をさらに有する、
請求項1〜3のいずれかに記載の蓄電池の劣化診断装置。
【請求項5】
劣化が検出された蓄電池を示す情報を記憶手段に記憶する劣化情報記憶手段をさらに有し、
前記第1〜第3判定手段のいずれかは、蓄電池を示す情報で示された蓄電池の端子電圧を他の蓄電池の判定に使用しない、
請求項1〜4のいずれかに記載の蓄電池の劣化診断装置。
【請求項6】
前記蓄電池の劣化診断装置は、前記蓄電池ユニットが放電期間中に上記処理を行う、
請求項1〜5のいずれかに記載の蓄電池の劣化診断装置。
【請求項7】
複数の蓄電池が直列に接続された蓄電池ブロックが複数並列に接続されている蓄電池ユニットと、
請求項1〜5のいずれかに記載の蓄電池の劣化診断装置と
を有する蓄電池システム。
【請求項8】
複数の蓄電池が直列に接続された蓄電池ブロックが複数並列に接続されている蓄電池ユニット内の蓄電池の劣化診断方法であって、
前記複数の蓄電池ブロック内の1個の蓄電池の端子電圧を測定するステップと、
前記測定した1の蓄電池ブロック内の1の蓄電池の端子電圧が、前記測定した他の蓄電池ブロックの内の他の蓄電池の端子電圧より第1基準値より低下しているとき、前記1の蓄電池が劣化していると判定する第1判定ステップと、
前記測定した1の蓄電池の端子電圧が、前記測定した他の蓄電池の端子電圧より第2基準値より高いとき、前記1の蓄電池が属する蓄電池ブロックに劣化している蓄電池があると判定する、第2判定ステップと、
を有する、蓄電池の劣化診断方法。
【請求項9】
複数の蓄電池が直列に接続された蓄電池ブロックが複数並列に接続されている蓄電池ユニット内の蓄電池の劣化を診断する方法であって、
前記複数の蓄電池ブロック内の1個の蓄電池の端子電圧を選択して出力するスイッチング・ステップと、
該選択された端子電圧を測定する電圧測定ステップと、
前記スイッチングを順次選択制御し、前記電圧測定ステップにおいて得られる測定電圧を、前記スイッチングで選択された前記複数の蓄電池ブロック内の1個の蓄電池の端子電圧に対応して読み取る、端子電圧読み取りステップと、
前記読み取った1の蓄電池ブロック内の1の蓄電池の端子電圧が、前記読み取った他の蓄電池ブロックの内の他の蓄電池の端子電圧より第1基準値だけ低下しているとき、前記1の蓄電池が劣化していると判定する第1判定ステップと、
前記読み取った1の蓄電池の端子電圧が、前記読み取った他の蓄電池の端子電圧より第2基準値だけ高いとき、前記1の蓄電池が属する蓄電池ブロックに劣化している蓄電池があると判定する、第2判定ステップと、
を有する、蓄電池の劣化診断方法。
【請求項10】
複数の蓄電池が直列に接続された蓄電池ブロックが複数並列に接続されている蓄電池ユニット内の蓄電池の劣化診断方法であって、
前記複数の蓄電池ブロック内の1個の蓄電池の端子電圧を測定し、
前記測定した1の蓄電池ブロック内の1の蓄電池の端子電圧が、前記測定した他の蓄電池ブロックの内の他の蓄電池の端子電圧より第1基準値だけ低いか否かを判定し、
前記測定した1の蓄電池の端子電圧が、前記測定した他の蓄電池の端子電圧より第2基準値だけ高いか否かを判定する、
蓄電池の劣化診断方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−225430(P2007−225430A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−46704(P2006−46704)
【出願日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】