説明

蓄電池システム

【課題】走行用モータで走行移動する電気自動車等の電気車両において、動力源である電池の利用効率を向上することが可能な蓄電池システムを提供する。
【解決手段】本発明の蓄電池システムは、走行用モータで走行する電気車両に搭載される蓄電池システムであって、第1電池ユニットと第1電池ユニットより後から追加して装着される第2電池ユニットとを含む複数の電池ユニットと、複数の電池ユニットがそれぞれ装着される複数の電池装着部と、第2電池ユニットを電池装着部に装着するときに、複数の電池装着部のうち第2電池ユニットが装着可能な電池装着部を案内する案内部とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は蓄電池システムに関する。より具体的には、走行用モータで走行移動する電気自動車等の電気車両に搭載される蓄電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車業界をはじめ、地球温暖化物質である二酸化炭素の排出削減目標を達成するため、ガソリンエンジン車からハイブリッド車や電気自動車への移行が推奨されている。特に、電気自動車は、構成が簡単かつ軽量で維持管理が容易であることから、将来的な技術改良とともに普及率の向上が見込まれている。
【0003】
電気自動車が動力源として搭載する走行用の電池に関し、大きさ及び形状等の規格を統一化し、充電式の電池を電気自動車の底部又はその近傍に出し入れ自在に装着し、充電量が低下もしくは無くなったときには、該電池を充電ステーション等の電力供給ステーションで再充電すること、又は他の充電済みの電池と交換することが提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
上記手法によれば、例えば、電力供給ステーションにおける充電済み電池のレンタル等が可能である。したがって、利用者にとっては、再充電のために待たされることなく充電済み電池を使用できるとともに、高額な電池を必要時にレンタル利用とすることによる初期費用の抑制等の効果が期待できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−297867号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、高性能な電池を製造する為に不可欠なレアメタルは、各国の思惑が絡み供給不安が懸念されている。
また、電気自動の車両と電池の耐用年数の差は、倍以上の開きがあり電池を固定化するとその維持のために車種別に電池を保管するといった無駄が発生する。さらに、自動車用電池は普及のスタートラインに立った所で、今後さらなる高性能化が期待されており、電池産業の拡大の為には新型電池へのスムーズな置き換えが不可欠となる。
一方、現時点での電池性能と規準とした充電インフラの整備は、電力販売の法整備(電力の販売に利益を付加できない)点、ガソリンスタンドとの共存は可能か否かの点、電池の進化が読めず思い切ったインフラの整備ができない点、無駄を覚悟し整備できるか否かの点等の課題がある。
【0007】
また、現状の電気自動車は、重量の大きな二次電池を搭載して走行しており、このような電気自動車の走行において過剰な重量の電池が搭載されると、走行の効率低下を招く場合がある。すなわち、充電量の増大等を目的として多数の電池を電気自動車に搭載すると、搭載した電池重量を単に運搬するために充電エネルギーを消耗するという問題点がある。
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑み、走行用モータで走行移動する電気自動車等の電気車両において、動力源である電池の利用効率を向上することが可能な蓄電池システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の蓄電池システムは、走行用モータで走行する電気車両に搭載される蓄電池システムであって、第1電池ユニットと第1電池ユニットより後から追加して装着される第2電池ユニットとを含む複数の電池ユニットと、複数の電池ユニットがそれぞれ装着される複数の電池装着部と、第2電池ユニットの電池装着部への装着時に、複数の電池装着部のうち第2電池ユニットが装着可能な電池装着部を案内する案内部とを有する。
【0010】
上記のように構成することにより、例えば、平日に短距離の走行を繰り返す場合は当該走行に必要充分な第1電池ユニットのみを装着し、休日に中距離又は長距離の走行を行う場合に第2電池ユニットが必要であれば、案内部により、装着可能な電池装着部を利用者に案内することができる。したがって、過剰な重量の電池の搭載を避け、走行の効率低下を防止することが可能である。
【0011】
また、本発明は、車両の重量バランスを検知するバランス検知部をさらに有し、案内部は、バランス検知部が検出する重量バランスに応じて前記第2電池ユニットの装着箇所を案内する。この構成により、車両の重量バランスを良好に保つための情報を生成できる。ユーザは、最適な重量バランスで第2電池ユニットを所定の電池装着部に装着することが可能となる。
【0012】
また、本発明は、電池ユニットが搭載された前記電池装着部の重量バランスを調整するバランス調整部をさらに有する。この構成により、調整部によって、電池装着部に装着された電池ユニットの重量バランスを簡単・確実に調整することができる。
【0013】
上記案内部は、第2電池ユニットを前記電池装着部への装着時、第1電池ユニットを移動させる電池装着部の位置を案内する。この構成により、ユーザは、第1電池ユニットを移動する必要があることや、移動先の電池装着部がいずれかを容易に知ることができ、最適な重量バランスで複数の蓄電池を装着することが可能になる。
【0014】
上記案内部は、複数の電池装着部のそれぞれに対応して設けられた複数の表示手段を有し、第2電池ユニットの電池装着部への装着時に、複数の表示手段のうち第2電池ユニットの装着が可能な電池装着部に対応した表示手段を点灯する。 この構成により、第2電池ユニットを装着すべき電池装着部を作業者又は利用者等に知らせることができる。
【0015】
上記案内部は、複数の電池装着部の挿入口のそれぞれに設けられて該挿入口を開閉する開閉部を有し、第2電池ユニットの電池装着部への装着時に、複数の開閉部のうち第2電池ユニットの装着が可能な電池装着部の開閉部を開くよう制御することを特徴とする。この構成により、第2電池ユニットの装着が可能な電池装着部の開閉部を開くことができる。ユーザは、第2電池ユニットを装着可能な電池装着部を容易かつ確実に識別することが可能になる。
【0016】
上記案内部は、電池ユニットの誤挿入を防止する誤挿入防止構造を有する。この構成により、誤挿入防止キーを有する案内部によって、電池ユニットを装着すべき電池装着部以外の電池装着部への誤挿入を防止することができる。
【0017】
また、本発明は、複数の電池装着部に装着された複数の電池ユニットのうち走行用モータに電力を供給する電池ユニットを選択的に切り換える制御部を有する。この構成により、走行用モータに使用する電池ユニットを選択的に切り換えることが可能となる。
【0018】
また、本発明の蓄電池システムは、電池ユニット内の電池を充電する発電部と、
電池ユニットの放電残量に応じて発電部による充電操作を選択的に切り換える制御部と、を有する。この構成により、電気車両の走行に使用した電池ユニットの再充電が可能となると共に、複数の電池ユニットを選択的に充電することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、走行用モータで走行移動する電気自動車等の電気車両において、動力源である電池の利用効率を向上することが可能な蓄電池システムを提供することができる。これにより、次のような作用効果が得られる。
(1)例えば、車両購入時には短距離走行に必要充分な第1電池ユニットのみを購入し、中距離又は長距離走行が必要な場合に、第2電池ユニットをレンタルサービス等で一時利用することにより、車両購入時の初期費用が低減され、電気自動車等の電機車両の低コスト化を図ることができる。
(2)電気車両の利用形態や走行距離に応じた個数の電池ユニットを装着することで、車両の軽量化及び走行距離の延長等が可能となる。
(3)高価な電池ユニットの有効活用、及び限られた資源の効率的な活用等を図ることができる。
(4)電池を車に固定化せず余剰な電池を国内で共有化することで、自動車業界にとっても少ない電池でより多くの電気自動車を製造・販売することが可能となる。
(5)電池を共通化し制御部でコントロールすることで、新型電池への置き換えの自由度が広がり、車種別に古い電池を保管するといった無駄が無くなる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】電気自動車等の電気車両の概略構成を示す斜視図である。
【図2】電池装着部の概要を説明する簡略化した横断平面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る電池ユニットの斜視図である。
【図4】電気車両の機能構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の実施形態に係る案内部を説明する図である。
【図6】図5(b)で説明した開閉部を説明する図である。
【図7】電池ユニットの装着状態を説明する図である。
【図8】電池装着部の案内表示画面の一例を示す図である。
【図9】電池ユニットの装着位置が不適切なである場合の計器盤を示す図である。
【図10】制御部の動作を例示するフロー図である。
【図11】電池ユニットに誤挿入防止構造を設けた場合の例である。
【図12】電池装着部と電池ユニットの変更例を示す図である。
【図13】1つ目の電池ユニットとして固定電池を設けた場合の例を示す図である。
【図14】1つ目の電池ユニットとして固定電池を設けた場合の他の例を示す図である。
【図15】電池ユニットとして乾電池を利用した場合の例を示す図である。
【図16】電気車両、電力供給ステーション及び案内サービスセンターの関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施形態)について詳細に説明する。なお、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号を付している。
【0022】
図1は、電気自動車等の電気車両1の概略構成を示す斜視図である。図2は、電池装着部の概要を説明する簡略化した横断平面図である。
図1に示すように、走行用モータで走行する電気車両には、蓄電池システムが搭載されている。電気車両1には、ドア11、12が設けられており、車室2には前部座席3と後部座席4が設けられている。前部座席3と後部座席4の下方位置には、車体フレームの一部を構成する厚手の床板5が設置されており、その床板5には車体の前後方向に所定の間隔で複数の電池装着部71〜73が個設けられている。
【0023】
各電池装着部71〜73には、床板5の片側端面が開口する挿入口7a(図2参照)が設けられ、その挿入口7aから電池ユニット6が挿入装着される。トランク内には発電部40aが配置され、屋根にはソーラー発電部40bが設けられている。以下において発電部40a及びソーラー発電部40bを発電部40と称することがある。電池装着部71〜73は水が浸入しないよう防水されている。
【0024】
電池ユニット6は、電気車両1を走行させるための電力を供給する二次電池である。ここで、複数の電池ユニット6には、電気車両1を走行させるために最低限必要な基本電池ユニットとして機能する1つ目の電池ユニット(第1電池ユニット)と、例えば中長距離の走行に必要な充電容量を持ち、追加して装着される2つ目以降の電池ユニット(第2電池ユニット)とがある。
【0025】
図3は、本発明の実施形態に係る電池ユニットの斜視図である。図3に示すように、電池ユニット6は、扁平な直方体状に形成され、両端部には、引き手6aと電極端子6bが設けられ、電極端子6bを除く電池ユニット6の表面には合成樹脂等からなる絶縁被覆層が設けられている。引き手6aはユーザが握ることによってロックが外れるように構成されている。
【0026】
図4は、電気車両1の機能構成を示すブロック図である。図4に示すように、電気車両1は、蓄電池システムとしての電力供給部100、走行用モータとしての駆動部70、作業者又は利用者等が電力供給部100に対して指示を行うと共に電力供給部100の動作状況の表示等を行う入出力部80を備える。
【0027】
電力供給部100は、蓄電池部10、制御部20、発電部40及び充電装置としての充電部50を備える。蓄電池部10は、複数の電池ユニット6、電池装着部71〜73、案内部30、バランス検知部150、バランス調整部160を備える。電池装着部71〜73には、電池ユニット6がそれぞれ装着される。
【0028】
案内部30は、追加の電池ユニットを電池装着部71〜73に装着するときに、電池装着部71〜73のうち追加の電池ユニットが装着可能な電池装着部71〜73を案内するためのものである。
【0029】
バランス検知部150は、車両の重量バランスを検知するものであって、例えば、電池ユニット6を搭載したときの電気車両1の左右又は前後の重量バランスを検知する。バランス調整部160は、バランス検知部150が検知する車両の重量バランスに応じて、電池ユニット6が搭載された電池装着部71〜73の重量バランスを調整することによって車両の左右又は前後の重量バランスを調整する。
【0030】
バランス調整部160は、例えばステッピングモータ等のように水平移動する移動機構を備えており、電池装着部71〜73の全体又一部を、電気車両1の左右方向および前後方向に水平移動させ、電気車両1の重量バランスを調整する。バランス調整部160は、例えば、電気車両1の前後の重量バランスが所定範囲を外れており、電気車両1の前方が重い場合には、電池装着部71〜73の前方の重量を後方に移動する。
【0031】
制御部20は、電源コントローラとして機能して電池装着部71〜73に装着された電池ユニット6等のうち走行用モータとしての駆動部70に電力を供給する電池ユニットを選択的に切り換える機能、電池ユニットの放電残量に応じて充電部50によって充電する電池ユニット6を選択的に切り換える機能、バランス調整部160等から生成される情報に基づいて、案内部30を制御してユーザに対する情報を表示制御する機能等を有する。
【0032】
発電部40aは、電池ユニット6内の電池を充電するものであって、例えばガスやガソリン等を用いた内燃機関を動力として発電し、電力を充電部50に供給する。発電部40aは、充電部50に対して着脱可能に構成されている。発電部40aは、蓄電池部10の下部に配置されている。また、発電部40aは、排ガスを考慮しリアに設けてもよく、またバランスを考慮してフロントに設けてもよい。フロントに設けることにより、バンやSUVタイプの車にも適用できる。制御部20は、電池ユニット6の放電残量に応じて発電部40aによる充電操作を選択的に切り換える制御を行う。
また、ソーラー発電部40bは、電池ユニット6内の電池を充電するものであって、太陽光で発電し、電力を充電部50に供給する。ソーラー発電部40bは、充電部50に対して着脱可能に構成されている。ソーラー発電部40bは、屋根にオプションとして設置される。制御部20は、電池ユニット6の放電残量に応じてソーラー発電部40bによる充電操作を選択的に切り換える制御を行う。発電部40はオプションで設けることができるため、図中点線で示している。
【0033】
充電部50は、発電部40が供給する電力に基づいて電池装着部71〜73に装着された電池ユニット6内の電池を充電する。例えば、発電部40と充電部50との接続は、発電部40を電池装着部71〜73の内部に装着可能に構成し、発電部40を電池装着部71〜73に装着することにより、発電部40と充電部50とが電気的に接続される。また、充電部50は、回生制動によって走行用モータに接続された電池ユニット6を再充電することもできる。外部電源から充電するときも、外部入力部41を介して充電部50に接続する。
【0034】
次に、案内部30の構成について説明する。
図5は、本発明の実施形態に係る案内部を説明する図である。同図(a)は案内部を案内表示部によって構成した場合の例である。同図(a)に示すように、案内部30Aは、電池装着部71〜73のそれぞれに対応して設けられた案内表示部(表示手段)31〜33によって構成されている。
【0035】
案内表示部31〜33は、電池装着部71〜73のそれぞれの近傍に設けられており、取り出す電池の案内と装着する電池の装着位置を案内する。取り出し時には、電池装着部71〜73のうち取り出し可能な電池ユニット6の電池装着部71〜73を案内表示する。装着時には、電池装着部71〜73のうち電池ユニット6の装着が可能な電池装着部71〜73を案内表示する。制御部20は、2つ目の電池ユニットを電池装着部へ装着するときには、案内表示部31〜33のうち2つ目の電池ユニットの装着が可能な電池装着部に対応した案内表示部33を点灯させる。また、制御部20は、2つ目の電池ユニット6を電池装着部71〜73へ装着する時に、案内表示部31を点灯させることによって、1つ目の電池ユニット6を移動させる電池装着部の位置を案内表示する。この構成により、ユーザは、案内表示部31〜33の表示に従って、電池ユニット6を案内された電池装着部71〜73に装着することができる。
【0036】
図5(b)は案内部を案内表示部と開閉部によって構成した場合の例である。図5(b)に示すように、案内部30Bは、案内表示部31〜33、開閉部35〜37によって構成されている。開閉部35〜37は、電池装着部71〜73の挿入口7aのそれぞれに対応して設けられ、挿入口7aを開閉する扉として構成されている。制御部20は、2つ目の電池ユニット6を電池装着部71〜73へ装着する時に、開閉部35〜37のうち2つ目の電池ユニット6の装着が可能な電池装着部73の開閉部37を開くよう制御することによって、2つ目の電池ユニット6の装着位置を案内する。また、制御部20は、2つ目の電池ユニット6を電池装着部71〜73へ装着する時に、1つ目の電池ユニット6を移動させる電池装着部の開閉部35を開くよう制御することによって、1つ目の電池ユニット6の装着位置を案内する。
【0037】
図6は、図5(b)で説明した開閉部を説明する図である。図6に示すように、床板5の幅方向両端面が開口する挿入口7aが設けられており、その各挿入口7aには、各挿入口7aを覆う開閉部35〜37が、その上部の支軸8aを中心に回動可能にかつ各々独立に開閉可能に設けられている。その開閉部35〜37の内面側には、引き手6aに係合する接続部9aが設けられている。制御部20は、電池ユニット6を電池装着部71〜73に装着する時、電池ユニット6の装着が可能な電池装着部71〜73の開閉部35〜37を開くように制御する。
【0038】
図7は、電池ユニットの装着状態を説明する図である。
図7(a)に示すように、電気車両1に、1つ目の電池ユニット61を1個装着する場合には、車両1の重量バランスを考慮して、中央部の電池装着部72に1つ目の電池ユニット61を装着する。次に、2つ目の電池ユニット62を追加する場合には、同図(b)に示すように、車両1の重量バランスを考慮して、1つ目の電池ユニット61を車両前方側の電池装着部71に移動させて装着し、2つ目の電池ユニット62を車両後方側の電池装着部73に装着する。さらに3つ目の電池ユニット63を装着する場合には、同図(c)のように、中央部の電池装着部72に3つ目の電池ユニット63を追加装着する。
【0039】
1つ目の電池ユニット61としては、例えば通常使用する電気車両の走行距離が街乗り程度(60km程度)である場合には、少なくともその程度の走行に必要な充電容量を持つものを使用する。そして、中距離(180km未満)程度の日帰り旅行や、それ以上の長距離旅行の際には、そのような距離に対応した充電容量を持つ、2つ目以降の電池ユニット62、3つ目の電池ユニット63を電力供給ステーション等でレンタルする。これにより、利用者は、電気車両を購入する際の初期コストを低減することができる。
【0040】
図8は、電池装着部の案内表示画面の一例を示す図、(a)は車両の全長方向に複数配置されている場合の例、(b)は車両の車幅方向に複数配置されている場合の例である。この案内表示画面は、例えば電気車両1の計器盤15のユーザが見やすい位置に表示する。図中、参照符号16は電池ユニット6を表す表示、17は電池装着部71〜73を表す表示である。
【0041】
図7、図8に示すように、制御部20は、1つ目の電池ユニット61を装着する場合、中央の電池装着部72に相当する指標18を点灯し、2個目の電池ユニット62を装着する場合には、両側の電池装着部71、73に相当する指標18を点灯し、3個目の電池ユニット63を装着する場合には、全ての電池装着部71〜73に相当する指標18を点灯する。ユーザは、この案内表示画面により、車両の重量バランスを均衡化させるための電池ユニットの装着位置を容易に知ることができる。
【0042】
図9は、電池ユニットの装着位置が不適切である場合の計器盤を示す図である。計器盤15には、電池ユニット6が所定の電池装着部71〜73に装着されていない場合、又は車両の重量バランスが良く無いことをバランス検知部150によって検知される場合に、運転者に報知する警報ランプ81が設けられている。
【0043】
バランス検知部150によって車両の重量バランスが良く無いことが検知された場合、問題となる電池ユニットの装着位置を警報ランプ81によって報知することによって、ユーザは瞬時に問題となる電池ユニットの装着位置を知ることができる。
【0044】
次に、制御部の動作フローについて説明する。
図10は、制御部20の動作を例示するフロー図である。
具体的には、ユーザが、電気車両1に2つ目の電池ユニット62の追加を行おうとする際の、制御部20の動作例を示す。
【0045】
ステップS1において、制御部20は、電池ユニットの装着操作を受け付ける。例えば、制御部20は、ユーザが入出力部60を操作して、2つ目の電池ユニット62の追加を指示することに応じ、電池ユニットの装着操作を受け付ける。
【0046】
ステップS2において、制御部20は、電池装着部71〜73が2つ目の電池ユニット62が装着可能か否かを判定する。ステップS2において、制御部20は、判定の結果が真であればステップS3に進み、偽であれば終了する。
【0047】
ステップS3において、制御部20は、バランス検知部150から重量バランスの情報を取得する。すなわち、制御部20は、バランス検知部150が生成した、電気車両1の左右の重量バランス、又は電気車両1の前後の重量バランスが所定範囲であるか否かを示す情報をバランス調整部160を介して受信する。この段階において、バランス調整部160もまた、電気車両1の重量バランスが所定範囲であるか否かを示す情報を取得している。
【0048】
ステップS4において、制御部20は、1つ目の電池ユニット61の位置を移動する必要があるか否かを判定する。ステップS4において、制御部20は、判定の結果が真であればステップS5に進み、偽であればステップS6に進む。
【0049】
ステップS5において、制御部20は、1つ目の電池ユニット61を移動する情報を生成する。ステップS6において、制御部20は、バランス検知部150が検知した重量バランスを均衡化できる電池装着部の情報を生成し、バランス調整部160に送信する。
【0050】
ステップS7において、案内表示部31は、1つ目の電池ユニット61の移動を促す情報、及び選択した電池装着部に対応する電池ユニットの装着を促す情報を表示する。具体的には、前述のステップS5において生成された情報及び/又はステップS6において生成された情報は、制御部20から案内部30に送信され、案内部30は、案内表示部31を用いてこれらの情報を表示する。
【0051】
ステップS8において、作業者又は利用者等は、案内表示部31の表示に従って、電池装着部73に2つ目の電池ユニット62を装着する。ステップS9において、バランス調整部160は、ステップS6において制御部20から送信された情報に従い、電池ユニットが装着された電池装着部71〜73の重量バランスを調整する。
【0052】
ステップS10において、バランス調整部160は、バランス検知部15が検出する重量バランスに応じて、複数の電池装着部71〜73の重量バランスを調整する。すなわち、バランス調整部160は、ステップS9における電池ユニットの追加装着に応じた重量バランスの調整に加えて、ステップ10においては、車両の重量バランスに関する情報に基づいて、電池装着部71〜73の重量バランスを調整する。従って、バランス調整部160は、車両の重量バランスを良好に保つことが可能である。
【0053】
次に、本発明の実施形態の変形例について説明する。
図11は、電池ユニットに誤挿入防止構造を設けた場合の例である。図11に示すように、電池ユニット61〜63には、電池ユニットの誤挿入を防止する誤挿入防止構造が設けられている。この誤挿入防止構造は、上記案内部30の一例である。誤挿入防止構造は、電池ユニット61〜63に設けられた誤挿入防止用の凸部6dと、電池装着部71〜73に設けられ、凸部6dが係合する凹部7dとから構成されている。
【0054】
1つ目の電池ユニット61を装着する場合には、同図(a)に示すように、電池ユニット61の凸部6dを電池装着部72の凹部7dに合わせて、1つ目の電池ユニット61を中央部の電池装着部72に装着する。2つ目の電池ユニット62を装着する場合には、同図(b)のように、1つ目の電池ユニット61を左側の電池装着部71に差し換えると共に、2つ目の電池ユニット62を右側の電池装着部73に装着する。3つ目の電池ユニット63を装着する場合には、同図(c)のように3つ目の電池ユニット63を中央部の電池装着部72に装着する。その場合、3つ目の電池ユニット63には必ずしも上記凸部6dを設けなくてもよい。
【0055】
このように構成することにより、凸部6dと凹部7dの位置を異ならせることによって、上記のような誤挿入を防止でき、機械的な構成によって車両のバランスを調整することができる。
【0056】
図12は、電池装着部と電池ユニットの変更例を示す図である。図12に示すように、電池装着部71〜76を床板5の幅方向両側に設け、電池ユニット6を両側に設けた電池装着部71〜76に装着するように構成する。この場合、電池ユニット6は、車両の重量バランスを考慮して、車体の幅方向に対称に装着するのが望ましい。
【0057】
図13は、第1電池ユニットとして固定電池を設けた場合の例を示す図である。図13に示すように、床板5の幅方向の両側に設けた電池装着部71〜73,74〜76間の中央部に充電可能な固定電池60を設けて、その固定電池60を第1電池ユニットとし、その両側の電池装着部71〜73、74〜76に装着される電池ユニット6を第2電池ユニットとして追加するよう構成している。
【0058】
1つ目の電池ユニットとしての固定電池60は、街乗り程度の汎用的な走行に必要かつ充分な容量の充電が可能な構成とし、常時図示の位置に固定状態に配置する。幅方向両側に設けた電池装着部71〜76内に装着される電池ユニット6は、外形等を規格化して交換可能とする。
【0059】
図14は、第1電池ユニットとして固定電池を設けた場合の他の例を示す図である。図14では、電池装着部71〜76を電気車両の前後に車体幅方向に複数個並べて設けるように構成している。図14に示すように、床板5の車両前後方向に設けた電池装着部71〜73,74〜76間の中央部に充電可能な固定電池60を設けて、その固定電池60を第1電池ユニットとし、その前後の電池装着部71〜73、74〜76に装着される電池ユニット6を第2電池ユニットとして追加するよう構成している。
【0060】
図15(a)は電池ユニットとして乾電池を利用した場合の斜視図であり、(b)は乾電池型電池26を電池ボックス27に装着した状態の平面図である。図15に示すように、電池ユニットして複数個の乾電池26を箱型の電池ボックス27等に収容するよう構成する。
【0061】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
図16は、電気車両1、電力供給ステーション200及び案内サービスセンター300の関係を示す図である。
具体的には、本実施形態は、通常は車載していない2つ目の電池ユニット62を電気車両1に搭載する場合の例について説明する。上述と共通する要素は、説明を省略する。
【0062】
通信部90は、電力供給部100と、電力供給ステーション200又は案内サービスセンター300との間で情報通信を行うために設けられる。例えば、通信部90は、利用者等が入出力部を操作して入力した、2つ目の電池ユニット62の使用を予約する予約情報を、案内サービスセンター300に送信する。通信部90の態様は、任意の通信経路を利用して電力供給ステーション200又は案内サービスセンター300に情報を送信できれば何でもよい。例えば、制御部20との接続が可能な携帯電話等を、通信部90として用いてもよい。
【0063】
案内サービスセンター300は、利用者からの2つ目の電池ユニット62の使用予約を受け付ける情報処理サービスである。案内サービスセンター300は、電気車両1の通信部90から受信した予約情報に応じ、電気車両1の最寄りの電力供給ステーション200に、2つ目の電池ユニット62を当該利用者に供給するための供給情報を送信する。この供給情報は、特定の予約情報に加えて、2つ目の電池ユニット62の在庫管理の情報等を適宜含むことができる。
【0064】
電力供給ステーション200は、レンタルサービスの営業所であって、2つ目の電池ユニット62を在庫し、利用者の予約に応じて充電済みの2つ目の電池ユニット62を提供する。当該利用者の電気車両1の到着に応じて、当該利用者に2つ目の電池ユニット62のレンタルサービスを実施する。また、電力供給ステーション200は、電気車両1の充電部50に対して電力供給を実施することも可能である。
【0065】
電力供給ステーション200において、レンタルサービスの担当者は、前述の案内表示部31に表示される案内に従って、装着が可能な電池装着部73に、2つ目の電池ユニット62を装着する。このようにして、本実施形態の電気車両1は、車両の重量バランスを所定範囲に維持することで、動力源である電池ユニットの利用効率を向上することが可能となる。
【0066】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。またそのような変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0067】
1 電気車両
6、61〜63 電池ユニット
6b 電極端子
71〜76 電池装着部
9 接続端子
10 蓄電池部
20 制御部
30 案内部
31 案内表示部
35 開閉部
40 発電部
50 充電部
60 固定電池
70 駆動部
80 入出力部
100 電力供給部
150 バランス検知部
160 バランス調整部
200 電力供給ステーション
300 案内サービスセンター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行用モータで走行する電気車両に搭載される蓄電池システムであって、
第1電池ユニットと前記第1電池ユニットより後から追加して装着される第2電池ユニットとを含む複数の電池ユニットと、
前記複数の電池ユニットがそれぞれ装着される複数の電池装着部と、
前記第2電池ユニットの前記電池装着部への装着時に、前記複数の電池装着部のうち前記第2電池ユニットが装着可能な電池装着部を案内する案内部と、
を有することを特徴とする蓄電池システム。
【請求項2】
車両の重量バランスを検知するバランス検知部をさらに有し、
前記案内部は、前記バランス検知部が検出する重量バランスに応じて前記第2電池ユニットの装着箇所を案内することを特徴とする請求項1に記載の蓄電池システム。
【請求項3】
前記バランス検知部が検出する重量バランスに応じて、前記電池ユニットが搭載された前記電池装着部の重量バランスを調整するバランス調整部をさらに有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の蓄電池システム。
【請求項4】
前記案内部は、前記第2電池ユニットの前記電池装着部への装着時に、前記第1電池ユニットを移動させる電池装着部の位置を案内することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の蓄電池システム。
【請求項5】
前記案内部は、前記複数の電池装着部のそれぞれに対応して設けられた複数の表示手段を有し、
前記第2電池ユニットの前記電池装着部への装着時に、前記複数の表示手段のうち前記第2電池ユニットの装着が可能な電池装着部に対応した表示手段を点灯することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の蓄電池システム。
【請求項6】
前記案内部は、前記複数の電池装着部の挿入口のそれぞれに設けられ、前記挿入口を開閉する開閉部を有し、
前記第2電池ユニットの前記電池装着部への装着時に、前記複数の開閉部のうち前記第2電池ユニットの装着が可能な電池装着部の開閉部を開くよう制御することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の蓄電池システム。
【請求項7】
前記案内部は、前記電池ユニットの誤挿入を防止する誤挿入防止構造を有することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の蓄電池システム。
【請求項8】
前記複数の電池装着部に装着された複数の電池ユニットのうち前記走行用モータに電力を供給する電池ユニットを選択的に切り換える制御部を有することを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載の蓄電池システム。
【請求項9】
前記電池ユニット内の電池を充電する発電部と、
前記電池ユニットの放電残量に応じて前記発電部による充電操作を選択的に切り換える制御部と、を有することを特徴とする請求項1から請求項8のいずれかに記載の蓄電池システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−151916(P2012−151916A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−6440(P2011−6440)
【出願日】平成23年1月14日(2011.1.14)
【出願人】(507228172)株式会社JSOL (23)
【Fターム(参考)】