説明

蓄電池ユニット

【課題】主回路配線および通信線を安全かつ容易に接続可能な蓄電池ユニットを提供する。
【解決手段】組電池1と、組電池1の蓄電池セルの電圧および温度を検出する組電池監視装置2と、を備えた複数の蓄電池モジュールMDLと、複数の蓄電池モジュールMDLと通信を行なう電池管理装置16と、蓄電池モジュールMDLを収容する引出し100と、電池管理装置16を収容する引出し110と、引出し100と引出し110とが挿入される筐体本体10Aと、を備え、引出し100および引出し110は、挿入方向D1に略直交した筐体本体10Aの面と対向する面に取り付けられた第1複合コネクタCAを有し、筐体本体10Aは、引出し100と引出し110とを筐体本体10Aに組み付けた際に第1複合コネクタCAと嵌合し、組電池監視装置2と電池管理装置16との間の通信線路と、組電池1を接続する主回路配線路とを接続する第2複合コネクタCBを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、蓄電池ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートグリッド向けや電気自動車などの車両に搭載される電源として、蓄電池ユニットを複数接続した蓄電池装置が提案されている。
【0003】
蓄電池セルを多直多並列にした蓄電池装置では、例えば構成する蓄電池セルが内部短絡を起こしても安全な程度の並列数の単セルを並列として、それを10直列程度まとめて組電池とし、それを必要な電圧まで直列に接続して蓄電池ユニットとし、必要であれば蓄電池ユニットをさらに並列に接続して蓄電池装置が構成される。
【0004】
蓄電池装置の主回路出力(正極端子と負極端子との出力)は、パワーコンディショナ(PCS)へ接続され、蓄電池装置には充放電電流が流れる。大規模な蓄電池システムの場合は、上記蓄電池装置をさらに並列に並べた構成とする場合がある。
【0005】
また、リチウムイオン蓄電池を使用した場合、電池を安全に永く使用するために、個々の電池毎に電圧・温度の監視、蓄電量ばらつき補正を行う必要があり、また、蓄電池モジュール毎に残容量推定、自己診断に基づく充放電許可・禁止の判断を行う必要がある。そのため、組電池毎に組電池監視装置(CMU:Cell Management Unit)が設けられ、蓄電池ユニット毎に電池管理装置(BMU:Battery Management Unit)が設けられ、それぞれの間は通信線で結ばれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−11083号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
蓄電池ユニットにおいて、複数の蓄電池モジュールと、これらの複数の蓄電池モジュールを制御する電池管理装置等とは主回路配線および通信線により接続される。
【0008】
蓄電池ユニットを組立てる際や蓄電池モジュールの交換の際に、主回路配線および通信線をそれぞれ蓄電池モジュールおよび電池管理装置に取り付ける場合、蓄電池ユニットの修理や蓄電池モジュールの交換等の作業が煩雑になるため、主回路配線および通信線を安全かつ容易に接続する蓄電池ユニットの構成が望まれていた。
【0009】
本発明の実施形態は上記事情を鑑みて成されたものであって、主回路配線および通信線を安全かつ容易に接続可能な蓄電池ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
実施形態によれば、複数の蓄電池セルを含む組電池と、複数の蓄電池セルの電圧および温度を検出する組電池監視装置と、を備えた複数の蓄電池モジュールと、前記複数の蓄電池モジュールと通信を行なう電池管理装置と、前記蓄電池モジュールを収容する第1引出しと、前記電池管理装置を収容する第2引出しと、前記第1引出しと前記第2引出しとが挿入される筐体本体と、を備え、前記第1引出しおよび前記第2引出しは、挿入方向に略直交した前記筐体本体の面と対向する面に取り付けられた第1複合コネクタを有し、前記筐体本体は、前記第1引出しと前記第2引出しとを前記筐体本体に組み付けた際に前記第1複合コネクタと嵌合し、前記組電池監視装置と前記電池管理装置との間の通信線路と、前記組電池を接続する主回路配線路とを接続する第2複合コネクタを有することを特徴とする蓄電池ユニットが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、実施形態の蓄電池ユニットを含む蓄電池システムの一構成例を説明するためのブロック図である。
【図2】図2は、実施形態の蓄電池ユニットの一構成例を概略的に示す図である。
【図3】図3は、図2に示す蓄電池ユニットの蓄電池モジュールと筐体との接続構成の一例を説明するための図である。
【図4】図4は、図2に示す蓄電池ユニットの蓄電池モジュールを収納した引出しの一構成例を説明するための図である。
【図5】図5は、図2に示す蓄電池ユニットの筐体の一構成例を説明するための図である。
【図6】図6は、図2に示す蓄電池ユニットにおける主回路配線および通信線の接続構成の一例を説明するための図である。
【図7】図7は、図2に示す蓄電池ユニットにおける主回路配線および通信線の接続構成の他の例を説明するための図である。
【図8】図8は、図2に示す蓄電池ユニットにおける主回路配線および通信線の接続構成の他の例を説明するための図である。
【図9】図9は、図2に示す蓄電池ユニットにおける第2引出しの構成の一例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施形態の蓄電池ユニットについて、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態の蓄電池ユニットを有する蓄電池システムの一例を示すブロック図である。
【0013】
蓄電池システムは、複数の蓄電池装置20と、複数の蓄電池装置20からの配線を並列接続した電池端子盤30と、パワーコンディショナ(PCS)40と、を備えている。
【0014】
パワーコンディショナ40は、電力系統(図示せず)と蓄電池装置20との間で電力の充電および放電を行う双方向直流変換機能を有し、電池端子盤30へ制御電源を供給する無停電電源装置(UPS:Uninterruptible Power Supply)42を備えている。無停電電源装置42は、電池端子盤30へ交流100Vの電源電圧を供給する。
【0015】
電池端子盤30は、複数の蓄電池装置20とパワーコンディショナ40との間に接続されている。電池端子盤30は、複数の蓄電池装置20の主回路配線とパワーコンディショナとの接続を個々に切替える切替手段32と、複数の蓄電池装置20の通信線および制御電源配線が接続されたマスタ部34と、を備えている。
【0016】
マスタ部34は、パワーコンディショナ40から給電され、複数の蓄電池装置20へ交流100Vの制御電源を供給する。またマスタ部34は、蓄電池装置20からの通信線あるいはパワーコンディショナ40からの制御通信線により受信した制御情報に基づいて切替手段32の動作を制御し、パワーコンディショナ40と蓄電池装置20との接続を切替える。マスタ部34は蓄電池装置20との間ではイーサネット(登録商標)規格に基づいて通信している。
【0017】
蓄電池装置20は、複数の蓄電池ユニット10と、関門制御装置22と、直流電源装置24と、を備えている。
【0018】
関門制御装置22は、例えば電池端子盤30のマスタ部34とイーサネット規格に基づいて通信するとともに、複数の蓄電池ユニット10とCAN(Control Area Network)規格に基づいて通信する。関門制御装置22は、ゲートウェイ(Gateway)と称する場合もある。関門制御装置22は、受信した信号をマスタ部34と複数の蓄電池ユニット10とに振り分けるとともに、受信した信号の識別子等を変換してイーサネット規格およびCAN規格に適応した信号に相互変換している。なお、本実施形態の関門制御装置22は最大16個の蓄電池ユニット10と通信することが可能である。また、関門制御装置22は蓄電池ユニット10内に含まれていてもかまわない。
【0019】
直流電源装置24は、電池端子盤30のマスタ部34から供給された交流100Vの制御電源を直流電源に変換して蓄電池ユニット10へ供給する。蓄電池ユニット10には直流電源装置24から12Vの直流電源が供給される。
【0020】
蓄電池ユニット10は複数の蓄電池モジュールMDLと、電池管理装置(BMU)16と、電流センサ12と、漏電センサ14と、開閉装置18、19と、サービスプラグSPと、を備えている。
【0021】
蓄電池モジュールMDLは、複数の蓄電池セル(図示せず)を含む組電池1と、組電池1を構成する蓄電池セルの電圧や温度を監視する組電池監視装置(例えばセル管理ユニット(CMU))2と、を備えている。組電池1は、例えば20Ahの蓄電池セルを12個直列接続し、さらにこれら12個の蓄電池セルを2つ並列接続した24個の蓄電池セルを含む。図1に示した例では、直列に接続された22個の蓄電池モジュールMDLが蓄電池ユニット10に搭載されている。
【0022】
電流センサ12は、蓄電池装置20が稼動しているときに主回路配線に流れる電流を測定する。電流センサ12は、直列に接続された複数の蓄電池モジュールMDLの高電位側に直列接続されている。
【0023】
漏電センサ14は、蓄電池ユニット10の地絡および短絡を検出する。漏電センサ14は、蓄電池ユニット10の最低電位と対地アース間の漏電を検出している。漏電センサ14は、漏電(地絡および短絡)を検出するために直列に接続された複数の蓄電池モジュールMDLの低電位側の電圧を検出する。
【0024】
サービスプラグSPは、蓄電池ユニット10内外での短絡を想定した保護協調を実現するために設けられている。サービスプラグは、直列に接続された複数の蓄電池モジュールMDL、中央に直列に接続されたヒューズを含む。なお、サービスプラグSPは複数の蓄電池モジュールの電気的接続を切断する構造を有していればこれに限定されるものではない。
【0025】
開閉装置18は、直列に接続された複数の蓄電池モジュールMDLの高電位側(正極側)の主回路配線に設けられ、例えばコンタクタ(電磁接触器)である。開閉装置19は、直列に接続された複数の蓄電池モジュールMDLの低電位側(負極側)の主回路配線に設けられ、例えばコンタクタ(電磁接触器)である。開閉装置18、19は電池管理装置16によりその動作を制御され、蓄電池ユニット10毎に電池端子盤30との接続を切替える。
【0026】
電池管理装置16は、関門制御装置22を介して電池端子盤30と通信するとともに、各蓄電池モジュールMDLの組電池監視装置2と通信を行う。また、電池管理装置16は、直流電源装置24から供給される12Vの直流電源を蓄電池モジュールMDLの組電池監視装置2へ供給する。電池管理装置16は、電流センサ12から取得した電流の値や組電池監視装置2から受信した蓄電池セルの電圧の値や組電池1の温度等を用いて、複数の蓄電池セルの容量を均等化制御するとともに、蓄電池セルの過充電や過放電を監視している。
【0027】
図2は、図1に示す蓄電池ユニット10の一構成例を概略的に示す図である。
蓄電池ユニット10は、蓄電池モジュールMDLを収容した第1引き出し100と、電流センサ12、漏電センサ14、開閉装置18、19、電池管理装置16、及び直流電源装置24を収容した第2引出し110と、扉10Bと、第1引出し100および第2引出し110が収容される筐体本体10Aを有している。
【0028】
筐体本体10Aは一面が開口した箱状であって、開口から第1引出し100を挿入する複数の棚と、開口から第2引出し110を挿入する棚とを有している。第2引出し110を収容する棚は筐体本体10A内の上部に設けられ、第1引出し100を収容する棚は、第2引出し110の棚の下に左右2列に並んで11段設けられている。
【0029】
扉10Bは、筐体本体10Aの開口面を開閉するように取り付けられている。扉10Bは筐体本体10A内の空間と外部とを連通させる通気孔を有している。
【0030】
図3は、第1引出し100と筐体本体10Aとの接続部分の一構成例を説明するための図である。
【0031】
第1引出し100には、蓄電池モジュールMDLの組電池監視装置2のコネクタ2CNを介して組電池監視装置2の通信手段(図示せず)と接続された分岐コネクタ4と、第1複合コネクタCAと、を有している。
【0032】
第1複合コネクタCAは、蓄電池モジュールMDLの正極と電気的に接続された正極端子PAと、負極と電気的に接続された負極端子MAと、組電池監視装置2のコネクタ2CNから分岐して接続した2つの通信コネクタCN1、CN2(図4に示す)を含む分岐コネクタ4とを有している。第1複合コネクタCAは、第1引出し100を挿入した際に、その挿入方向(第1方向)D1と略直交する筐体本体10Aの背面と対向する面に取り付けられている。
【0033】
筐体本体10Aは、第1引出し100の第1複合コネクタCAと嵌合する第2複合コネクタCBを有している。第2複合コネクタCBは、第1複合コネクタCAの正極端子PAと勘合する正極接続部PBと、負極端子MAと嵌合する負極接続部MBと、通信コネクタCN1、CN2と勘合する通信コネクタCN3、CN4と、を有している。
【0034】
図4は、第1引出し100の第1複合コネクタCAの一構成例を概略的に示す図である。第1複合コネクタCAは、正極接続部PBを正極端子PAと嵌合するように誘導する凹部A1と、負極接続部MBを負極端子MAと嵌合するように誘導する凹部A2と、通信コネクタ(第2通信コネクタ)CN3、CN4を通信コネクタ(第1通信コネクタ)CN1、CN2と嵌合するように誘導する凹部A3と、を有している。
【0035】
凹部A1、A2、A3は、第1引出し100の挿入方向D1に凹んでいる。凹部A1、A2、A3は、挿入方向D1および上下方向と略直交する第2方向D2に並んで配置され、凹部A3が凹部A1と凹部A2との間に配置されている。通信コネクタCN1、CN2は、凹部A3内において上下方向に並んで配置されている。
【0036】
図5は、筐体本体10Aの第2複合コネクタCBの一構成例を概略的に示す図である。第2複合コネクタCBは、第1複合コネクタCAと勘合する枠体B1を有している。
【0037】
正極接続部PBと負極接続部MBとは枠体B1に囲まれた領域に配置され、第1引出し100の挿入方向D1に沿って突出している。正極接続部PBと負極接続部MBとは、枠体B1の外に配置された接続部B2において後述する接続バーと電気的に接続される。
【0038】
通信コネクタCN3、CN4は、枠体B1に囲まれた領域内において上下方向に並んで配置されている。通信コネクタCN3、CN4は、第2方向D2において正極接続部PBと負極接続部MBとの間に配置されている。
【0039】
上記第1複合コネクタCAと第2複合コネクタCBとは、第1引出し100を筐体本体10Aの棚に挿入することで嵌合するように互いに位置合わせされている。また、上記第1複合コネクタCAは、挿入方向(第1方向)D1と略直交する筐体本体10Aの背面と対向する第2引出し110の面にも取り付けられている。筐体本体10Aの背面には第2引出し110の第1複合コネクタCAと嵌合する第2複合コネクタCBが取り付けられている。
【0040】
図9は、図2に示す蓄電池ユニット10における第2引出し110の構成の一例を説明するための図である。マスタ部34からAC100Vを供給され、第2引出し110内のノイズフィルタ、及び直流電源装置24を介し、12Vを電池管理装置16に供給する。電流センサ12、漏電センサ14、及び開閉装置(開閉接触器)18、19の電源は、電池管理装置16から供給するものである。第2引出し110と蓄電池ユニット10、及び電池端子盤30との主回路インターフェース部には、たとえば第1複合コネクタCAを使用する。第1複合コネクタCAの凹部A1、及び凹部A2とは、蓄電池ユニット10内の蓄電池モジュールMDL、及び電池端子盤30内の切替器32が接続される。第1複合コネクタCA内の通信コネクタCN1及び通信コネクタCN2は、第1引出し100内の通信コネクタCN3及びCN4と接続される。なお、第1引出し100には、引出しの取っ手側にファンを設けたり、サービスプラグを搭載してもよい。
【0041】
図6は、図2に示す蓄電池ユニット10における主回路配線および通信線の接続構成の一例を説明するための図である。なお、図6では、主回路配線の接続および通信線の接続の説明に必要な構成のみを概略的に示し、その他の構成は省略している。また、以下の説明で参照する図6乃至図8では、説明のために第2引出し110内に第2引出し110の第1複合コネクタCAと接続される1段目の第2複合コネクタCBを記載しているが、1段目の第2複合コネクタCBは筐体本体10Aに取り付けられている。1段目の第2複合コネクタCBは下側に配置された2段目の第2複合コネクタCBと接続バー121により接続されている。また、第2引出し110の第1引出し100と接続するコネクタは筐体本体10Aではなく第2引出し110に取り付けてもよい。
【0042】
図6に示す例では、複数の第2複合コネクタCBの正極接続部PBと負極接続部MBとが第2方向D2において同じ並び順となるように配置されている。
【0043】
主回路配線路については、第2引出し110に収容された開閉装置18と開閉装置19との間で、蓄電池モジュールMDLが直列に接続されるように接続バー120により第2複合コネクタCBの正極接続部PBと負極接続部MBとが電気的に接続されている。
【0044】
すなわち、最上段の棚には第2引出し110が挿入される。最上段において筐体本体10Aには第2方向D2に並んだ2つの第2複合コネクタCBが取り付けられている。この2つの第2複合コネクタCBの一方の正極接続部PBが第2引出し110に収容された開閉装置18と接続され、他方の負極接続部MBが第2引出し110に収容された開閉装置19と接続される。
【0045】
開閉装置18と接続された正極接続部PBは1段下の棚に取り付けられた第2複合コネクタCBの正極接続部PBと接続バー121により電気的に接続されている。開閉装置19と接続された負極接続部MBは1段下の棚に取り付けられた第2複合コネクタCBの負極接続部MBと接続バー121により電気的に接続されている。接続バー121は、両端が第2複合コネクタCBの接続部B2に螺子止め固定される。
【0046】
上から2段目以降の棚のそれぞれには第2方向D2に並んだ2つの第1引出し100が挿入される。各棚において紙面に向かって左側の列に挿入された第1引出し100が高電位側、右側の列に挿入された第1引出し100が低電位側となる。
【0047】
上から2段目以降の棚において、高電位側の列に取り付けられた第2複合コネクタCBは、負極接続部MBが1段下の第2複合コネクタCBの正極接続部PBと接続バー120により順次接続されている。
【0048】
上から2段目以降の棚において、低電位側の列に取り付けられた第2複合コネクタCBは、正極接続部PBが1段下の第2複合コネクタCBの負極接続部MBと接続バー120により順次接続されている。
【0049】
最下段の棚では高電位側の第2複合コネクタCBの負極接続部MBと低電位側の第2複合コネクタCBの正極接続部PBとがサービスプラグSPを介して接続バー120により接続されている。接続バー120は、両端が第2複合コネクタCBの接続部B2に螺子止め固定される。
【0050】
第2複合コネクタCBの通信コネクタCB3、CB4にはケーブル130が接続される。最上段の棚に取り付けられた第2複合コネクタCBの通信コネクタCN3はケーブル130を介して電池管理装置16と接続され、通信コネクタCN4はケーブル130を介して1段下の棚に取り付けられた第2複合コネクタCBの通信コネクタCN3と接続されている。
【0051】
上から2段目以降の棚においては、第2複合コネクタCBの通信コネクタCN4はケーブル130を介して1段下の棚に取り付けられた第2複合コネクタCBの通信コネクタCN3と順次接続されている。最下段の棚では、第2方向D2に並んで取り付けられた第2複合コネクタCBの通信コネクタCN4同士がケーブル130を介して接続されている。
【0052】
なお、本実施形態では、ケーブル130は筐体本体10Aの壁内部に配置され第1引出し100および第2引出し110が挿入される棚の空間に露出していない。従って、第2複合コネクタCB間を接続する接続バー120とケーブル130とは、第1方向D1において離間している。
【0053】
例えば蓄電池ユニット10における通信線路にCAN通信規格を適用する場合、複数個の蓄電池モジュールMDLをバス配線に接続するため、通信路を分岐する必要がある。一般に車載モジュール等では、個々の蓄電池モジュールにカスタムしたケーブルを作成し、ケーブル上で分岐するという手法を採用しているが、本実施形態では、蓄電池モジュールMDLの組み合わせに拡張性を持たせるために、第1複合コネクタCAの通信コネクタを分岐コネクタとし、第2複合コネクタCBが第1複合コネクタCAの分岐した通信コネクタCN1、CN2のそれぞれに接続する複数の通信コネクタCN3、CN4を備えている。
【0054】
すなわち、これにより、蓄電池モジュールMDL間を接続するケーブル130を標準形とし、ケーブル130の配線長を変更するだけであらゆる構成の蓄電池ユニット10に対応可能となる。なお、分岐コネクタ4には市販されている汎用コネクタを使用することができる。
【0055】
例えば通信線路にCAN通信規格を適用する場合、ISO11898−2で、スタブ長は300mm以下と規定されているため、組電池監視装置基板(例えば、CMU)のコネクタ2CNから、分岐コネクタ4までを300mm以下とする引き出し構造とする。
【0056】
また、上記第1複合コネクタCAおよび第2複合コネクタCBの通信線路内には、嵌合検知ラインが設けられている。すなわち、第1複合コネクタCAの通信コネクタCN1、CN2の接続ピンのうちの少なくとも1つを他の接続ピンよりも短くして嵌合検知ラインと接続させている。他の接続ピンより短い接続ピンは嵌合が浅いため、第1複合コネクタCAと第2複合コネクタCBとが嵌合する際に最後に嵌合し、第1複合コネクタCAおよび第2複合コネクタCBが外れた場合に最初に接続が解除される。従って、この短い接続ピンが嵌合しているか否かを検知することにより、組電池監視装置2および電池管理装置16は、第1複合コネクタCAと第2複合コネクタCBとの嵌合を検知することができる。組電池監視装置2および電池管理装置16は、主回路配線および通信線が確実に接続したことを上位の管理装置に伝達することも可能である。
【0057】
上記のように、電池管理装置16と複数の組電池監視装置2との間に接続された主回路配線と通信線とは一筆書きで結線できる構成である。このように複数の第2複合コネクタCB間で主回路配線および通信線を接続することにより、第1引出し100および第2引出し110を筐体本体10Aに挿入して第1複合コネクタCAを第2複合コネクタCBに嵌合させることにより、蓄電池ユニット10を安全かつ容易に組立てることができる。従って、蓄電池ユニット10の組立て時やメンテナンス時における誤配線を回避することができるとともに、メンテナンス等の作業が複雑になることを回避することができる。
【0058】
また、上記蓄電池ユニット10において、通信コネクタCN3、CN4間に接続されるケーブル130の仕様を共通にすることで、ケーブル130仕様を簡素化でき、組み付け時、メンテナンス時の誤組み付けを防止することができる。
【0059】
さらに、上記蓄電池ユニット10では、複数の第2複合コネクタCBの正極接続部PBと負極接続部MBとが第2方向D2において同じ並び順となるように配置されているため、第1引出し100の構成も共通にすることができ、組み付け時、メンテナンス時の誤組み付けを防止することができる。
【0060】
また本実施形態では、接続バー120とケーブル130とは交差する方向に延びている。すなわち、本実施形態では主回路配線路の一部である接続バー120と通信線路の一部であるケーブル130とを並行して設置されていないため、通信線路に対する接続バー120からの磁界等の影響によるノイズの影響を抑制することができる。また、接続バー120とケーブル130とが近接していないため通信線路への磁界等のノイズの影響をさらに抑制することができる。従って、本実施形態の蓄電池ユニットによれば、組電池監視装置と電池管理装置との間の通信の質の劣化を抑制することができる。
【0061】
並行とは、二つの線のなす角が0°、180°で同一平面上で交わらない場合をいう。並行ではないとは、ケーブル130と接続バー120のなす角x[°]が、
0≦x<180、180<x<360[°]の場合をいう。
【0062】
なお、二つのなす角度を直行させないことも好適である。同一平面内に置いて直交させてしまうと接続バーどうしが全て並行する関係となってしまい、相互に影響してしまう場合を考慮したものである。
【0063】
直交とは、二つの直線が同一平面上で90°、270°(垂直)で交わることを言う。直交していないとは、二次元表記においてケーブル130と接続バー120とのなす角度x[°]が
0≦x<90、90<x<270°、270<x<360[°]の場合をいう。三次元表記の場合は上記角度を立体角を用いて拡張した同様の定義とする。
【0064】
なお、実際のケーブル130はたわんでいてもよく、この場合は、直線で通信CN3と通信CH4を結んだ仮想的な線と、接続バー120との角度を用いて並行(平行)している、直交していると決定する。なお接続バーが直線形状ではない場合は、同様にPBとMBとを結ぶ仮想的な直線を設定することにより角度を算出する。
【0065】
また、図6に示すように二列に棚を設置かつ同一方向にPB、MBすることにより、接続バーを通る電流の向きが異なる接続バー間においても並行することがないように設置することができる。
【0066】
なお、本実施形態では、蓄電池モジュールMDLを直並列に接続し、蓄電池ユニット10を構築するため、組立時、分解時、及びメンテナンス時に高電圧部での感電を回避するために蓄電池ユニット10内の総電圧を遮断するサービスプラグSPを設置している。サービスプラグSPは蓄電池ユニット10電圧の中間にあたる電位部に挿入することとするが、もし設計上で中間電位部にサービスプラグSPを挿入することができない場合は、中間に接続された蓄電池モジュールMDLの第1引出し100を抜去することでサービスプラグSPを代用することができる。その場合にはサービスプラグSPを省略することができる。
【0067】
図7は、図2に示す蓄電池ユニット10における主回路配線および通信線の接続構成の他の例を説明するための図である。なお、以下の説明において、上述の蓄電池ユニット10と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0068】
図7に示す例では、最上段の棚に取り付けられた第2複合コネクタCBの接続構成は図6に示した場合と同様である。上から2段目以降の棚において、同じ段に取り付けられた第2複合コネクタCBは正極接続部PBと負極接続部MBとの第2方向D2に沿って同じ順に配置されているが、上下方向に並んで取り付けられた第2複合コネクタCBは正極接続部PBと負極接続部MBとの位置が互いに逆となっている。従って、上から2段目以降の棚に取り付けられた第2複合コネクタCBについて主回路配線の電気的接続関係は図6に示す場合と同様であるが、接続バー120は上下方向に沿って延びて螺子止め固定されることとなる。
【0069】
このように複数の第2複合コネクタCB間で主回路配線および通信線を接続した場合も、第1引出し100および第2引出し110を筐体本体10Aに挿入して第1複合コネクタCAを第2複合コネクタCBに嵌合させることにより、蓄電池ユニット10を安全かつ容易に組立てることができる。従って、蓄電池ユニット10の組立て時やメンテナンス時における誤配線を回避することができるとともに、メンテナンス等の作業が複雑になることを回避することができる。
【0070】
また、上記蓄電池ユニット10において、通信コネクタCN3、CN4間に接続されるケーブル130の仕様を共通にすることで、ケーブル130仕様を簡素化でき、組み付け時、メンテナンス時の誤組み付けを防止することができる。
【0071】
またこの例では、主回路配線路の一部である接続バー120と通信線路の一部であるケーブル130とが直交せず、さらに接続バー120とケーブル130とが近接して併走することがないため、図6に示す場合と同様に組電池監視装置と電池管理装置との間の通信の質の劣化を抑制することができる。
【0072】
図8は、図2に示す蓄電池ユニットにおける主回路配線および通信線の接続構成の他の例を説明するための図である。
【0073】
図8に示す例では、各段に取り付けられた第2複合コネクタCBは正極接続部PBと負極接続部MBとの第2方向D2における並び順が逆になっているが、上下方向に並んで取り付けられた第2複合コネクタCBは正極接続部PBと負極接続部MBとの第2方向D2における並び順は同じになっている。従って、各棚に取り付けられた第2複合コネクタCBについて主回路配線の電気的接続関係は図6に示す場合と同様であるが、低電位側における接続バー120の接続位置が図6に示す場合と上下方向に対して線対称な構成となる。
【0074】
このように複数の第2複合コネクタCB間で主回路配線および通信線を接続した場合も、第1引出し100および第2引出し110を筐体本体10Aに挿入して第1複合コネクタCAを第2複合コネクタCBに嵌合させることにより、蓄電池ユニット10を安全かつ容易に組立てることができる。従って、蓄電池ユニット10の組立て時やメンテナンス時における誤配線を回避することができるとともに、メンテナンス等の作業が複雑になることを回避することができる。
【0075】
また、上記蓄電池ユニット10において、通信コネクタCN3、CN4間に接続されるケーブル130の仕様を共通にすることで、ケーブル130仕様を簡素化でき、組み付け時、メンテナンス時の誤組み付けを防止することができる。
【0076】
またこの例では、主回路配線路の一部である接続バー120と通信線路の一部であるケーブル130とが直交せず、さらに接続バー120とケーブル130とが近接して併走することがないため、図6に示す場合と同様に組電池監視装置と電池管理装置との間の通信の質の劣化を抑制することができる。
【0077】
すなわち、本実施形態によれば、主回路配線および通信線を安全かつ容易に接続可能な蓄電池ユニットを提供することができる。
【0078】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0079】
MDL…蓄電池モジュール、1…組電池、2…組電池監視装置、10…蓄電池ユニット、16…電池管理装置、20…蓄電池装置、10A…筐体本体、10B…扉、100…第1引出し、110…第2引出し、120…接続バー(主回路配線路)、130…ケーブル(通信線路)、CA…第1複合コネクタ、PA…正極端子、MA…負極端子、A1、A2、A3…凹部、CN1、CN2…第1コネクタ(通信コネクタ)、4…分岐コネクタ、CB…第2複合コネクタ、PB…正極接続部、MB…負極接続部、D1…挿入方向(第1方向)、D2…第2方向、B1…枠体、B2…接続部、CN3、CN4…第2コネクタ(通信コネクタ)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の蓄電池セルを含む組電池と、複数の蓄電池セルの電圧および温度を検出する組電池監視装置と、を備えた複数の蓄電池モジュールと、
前記複数の蓄電池モジュールと通信を行なう電池管理装置と、
前記蓄電池モジュールを収容する第1引出しと、
前記電池管理装置を収容する第2引出しと、
前記第1引出しと前記第2引出しとが挿入される筐体本体と、を備え、
前記第1引出しおよび前記第2引出しは、挿入方向に略直交した前記筐体本体の面と対向する面に取り付けられた第1複合コネクタを有し、
前記筐体本体は、前記第1引出しと前記第2引出しとを前記筐体本体に組み付けた際に前記第1複合コネクタと嵌合し、前記組電池監視装置と前記電池管理装置との間の通信線路と、前記組電池を接続する主回路配線路とを接続する第2複合コネクタを有する蓄電池ユニット。
【請求項2】
前記第1複合コネクタは、前記組電池の正極と電気的に接続された正極端子と、前記組電池の負極と電気的に接続された負極端子と、前記組電池監視装置と接続された第1コネクタと、を備え
前記第2複合コネクタは、前記正極端子と接続される正極接続部と、前記負極端子と接続される負極接続部と、前記第1コネクタと接続される第2コネクタと、を備え、
前記筐体は、前記第2複合コネクタ間の主回路配線路となる接続バーと、前記第2複合コネクタ間の通信配線路となるケーブルと、を備え、前記接続バーと前記ケーブルとは交差するように配置されている請求項1記載の蓄電池ユニット。
【請求項3】
前記筺体は、
前記接続バーと前記ケーブルとが交差する角度xが、
0≦x<180、180<x<360
の範囲内で交差するように配置されている請求項2に記載の蓄電池ユニット。
【請求項4】
前記筺体は、
前記接続バーと前記ケーブルとが交差する角度xが、
0≦x<90、90<x<270°、270<x<360[°]
の範囲内で交差するように配置されている請求項2または請求項3に記載の蓄電池ユニット。
【請求項5】
前記第1コネクタは前記組電池監視装置の出力を分岐する分岐コネクタであって、前記第2コネクタは分岐コネクタのそれぞれに勘合する複数の通信コネクタを有する請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載の蓄電池ユニット。
【請求項6】
前記ケーブルは嵌合検知線を含み、
前記第1コネクタは、前記嵌合検知線と接続され他よりも短い少なくとも1本の接続ピンを含む複数の接続ピンを備える請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載の蓄電池ユニット。
【請求項7】
前記第2引出しに収納された、前記電池管理装置と外部との通信を制御する関門制御装置と、前記複数の蓄電池モジュールの主回路配線に直列に接続された電流センサと、前記主回路配線路を遮断する開閉装置と、前記複数の組電池の中間にあたる電位部に挿入されたサービスプラグと、をさらに備える請求項1乃至請求項6のいずれか1項記載の蓄電池ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−97926(P2013−97926A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−237756(P2011−237756)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】