説明

蓄電池運搬冶具

【課題】蓄電池に取手が取り付けられていない場合でも、蓄電池を安定した状態で効率よく運搬することができる蓄電池運搬冶具を提供する。
【解決手段】蓄電池1を運搬するための蓄電池運搬冶具10であって、蓄電池1に着脱可能に構成され蓄電池1に装着されたときに蓄電池1を支持する支持部11と、支持部11と接合され蓄電池1を運搬する作業者が把持する取手部12と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電池を運搬するための蓄電池運搬冶具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、踏切で使用される蓄電池を設置したり交換したりする場合、作業者が蓄電池を手で持って運搬している。踏切で使用される蓄電池は、その重量が約15kg〜27kgもあるため、作業者が手で持って運搬することは大変な作業であった。
そして、蓄電池を手で持って運搬する場合、作業者は1つの蓄電池を体の前で両手で抱えることが多いため、足元の視界が悪くなるという問題や、複数の蓄電池を同時に運搬できないという問題がある。
これに対し、蓄電池を運搬しやすいように、作業者が運搬時に把持するための取手が設けられた蓄電池が開示されている(例えば特許文献1および2参照)。
また、特許文献3には、蓄電池を収容するための蓄電池用収容ケースが開示されており、作業者が運搬時に把持するための取手が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】登録実用新案第3040746号公報
【特許文献2】特開昭62−52850号公報
【特許文献3】特開2001−19041号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1および2の蓄電池では、その上面に取手が設けられているため、蓄電池の上面に端子などの部材が多く取り付けられている場合、取手を取り付けることが困難である。
また、特許文献3の蓄電池収容ケースでは、蓄電池の上面に取手が取り付けられていることが前提であるため、蓄電池の上面に取手を取り付けることが困難な場合には適用できない。
【0005】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、蓄電池に取手が取り付けられていない場合でも、蓄電池を安定した状態で効率よく運搬することができる蓄電池運搬冶具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る蓄電池運搬冶具は、蓄電池を運搬するための蓄電池運搬冶具であって、前記蓄電池に着脱可能に構成され該蓄電池に装着されたときに該蓄電池を支持する支持部と、該支持部と接合され該蓄電池を運搬する作業者が把持する取手部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明では、蓄電池に支持部を装着することで、作業者が取手部を把持して蓄電池を運搬することができるため、蓄電池に取手が取り付けられていない場合でも安定した状態で効率よく蓄電池を運搬することができる。
【0008】
また、本発明に係る蓄電池運搬冶具では、前記蓄電池は、略直方体状に形成されるとともに、対向する一対の側面にそれぞれ外方に突出する突出部が形成されていて、前記支持部は、前記蓄電池の前記一対の側面を含む3つの側面に沿った平面視コの字状に形成され開口側から前記蓄電池に着脱可能な枠体と、該枠体に支持されて前記一対の突出部の下面と当接して該突出部を支持可能な一対の当接部材と、を備え、前記取手部は、前記支持部が前記蓄電池を支持している状態における前記支持部および前記蓄電池の重心よりも前記枠体の前記開口側の位置で前記枠体に接合されていてもよい。
【0009】
このようにすることにより、蓄電池に支持部を装着することで、当接部材が突出部の下面と当接してこの突出部を支持するため、作業者が取手部を把持して持ち上げることにより、蓄電池を容易に運搬することができる。
また、枠体の開口から枠体の内部に蓄電池を挿入するように、枠体を横方向にスライドさせ、当接部材を突出部の下面に当接させれば蓄電池運搬冶具を蓄電池に容易に装着できるため、効率よく蓄電池を運搬することができる。
さらに、取手部は、支持部が前記蓄電池を支持している状態の支持部および蓄電池の重心よりも枠体の開口側の位置で枠体に接合されていることにより、開口側を内側にして作業者が取手部を把持して持ち上げると、支持部および蓄電池が枠体の内部側に傾斜するため、運搬中に蓄電池が枠体の開口から落下することを確実に防止することができる。
【0010】
また、本発明に係る蓄電池運搬冶具では、前記蓄電池は、略直方体状に形成されるとともに、対向する一対の側面からそれぞれ外方に突出する一対の突出部が形成されていて、前記支持部は、前記蓄電池の突出部の上方に配置可能な枠体と、該枠体に一方の端部が前記蓄電池の一対の側面に直交する鉛直面内において回動可能に支持されて他方の端部が前記一対の突出部の下面と当接して該突出部を支持可能な一対の当接部材と、を備え、前記取手部は、前記枠体に接合されていてもよい。
【0011】
このようにすることにより、蓄電池に支持部を装着することで、当接部材が突出部の下面と当接してこの突出部を支持するため、作業者が取手部を把持して持ち上げることにより、蓄電池を容易に運搬することができる。
また、枠体を蓄電池の上方に配置し、当接部材を回動させて突出部の下面に当接させれば蓄電池運搬冶具を蓄電池に容易に装着できるため、効率よく蓄電池を運搬することができる。
【0012】
また、本発明に係る蓄電池運搬冶具では、前記支持部は、開口された第1側部から内部に前記蓄電池が挿入可能な枠体と、該枠体に支持されて前記蓄電池の下面と当接して該蓄電池を支持可能な当接部材と、前記枠体の前記第1側部と対向する第2側部に設けられて該第2側部から前記蓄電池が脱落することを防止する脱落防止部材と、を備え、前記取手部は、前記支持部が前記蓄電池を支持している状態の前記支持部および前記蓄電池の重心よりも前記枠体の前記第1側部側の位置で前記枠体に接合されていてもよい。
【0013】
このようにすることにより、蓄電池を枠体の内部に挿入することで、当接部材が蓄電池の下面と当接して蓄電池を支持するため、作業者が取手部を把持して持ち上げることにより、蓄電池を容易に運搬することができる。
また、枠体の内部に蓄電池をスライドさせ、当接部材を蓄電池の下面に当接させれば蓄電池運搬冶具を蓄電池に容易に装着できるため、効率よく蓄電池を運搬することができる。
さらに、取手部は、支持部が蓄電池を支持している状態の支持部および蓄電池の重心よりも枠体の第1側部側の位置で枠体に接合されていていることにより、作業者が開口側(第1側部側)を内側にして取手部を把持して持ち上げると、第1側部よりも第2側部が下方に位置するように傾斜し、蓄電池が枠体の第2側部側に傾斜()するため、脱落防止部材によって蓄電池が枠体から外れることを防止することができる。
【0014】
また、本発明に係る蓄電池運搬冶具では、前記当接部材は、前記枠体の前記第1側部側から前記第2側部側に向かって下方に傾斜していることが好ましい。
【0015】
このようにすることにより、蓄電池運搬冶具を蓄電池に装着し、第1側部を内側にして蓄電池とともに持ち上げると、蓄電池が枠体の第2側部側に傾くため、蓄電池が脱落防止部材に支持されるとともに、枠体から外れることを防止することができる。
また、蓄電池運搬冶具を蓄電池に装着するときに、蓄電池の下面を当接部材の傾斜に沿って滑らせればいいため、蓄電池運搬冶具を蓄電池に容易に装着することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、蓄電池に支持部を装着することで、作業者が取手部を把持して蓄電池を運搬することができるため、蓄電池に取手が取り付けられていない場合でも安定した状態で効率よく蓄電池を運搬することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1実施形態による蓄電池の一例を示す図である。
【図2】本発明の第1実施形態による蓄電池運搬冶具の一例を示す斜視図である。
【図3】本発明の第1実施形態による蓄電池運搬冶具の蓄電池に装着された様子を示す斜視図である。
【図4】図3のA−A線断面図である。
【図5】本発明の第2実施形態による蓄電池運搬冶具の一例を示す斜視図である。
【図6】本発明の第2実施形態による蓄電池運搬冶具の蓄電池に装着された様子を示す斜視図である。
【図7】図6のB−B線断面図である。
【図8】本発明の第3実施形態による蓄電池運搬冶具の一例を示す斜視図である。
【図9】本発明の第3実施形態による蓄電池運搬冶具の蓄電池に装着された様子を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態による蓄電池運搬冶具について、図1乃至図4に基づいて説明する。
図1に示すように、本実施形態で用いる蓄電池1は、横幅寸法(図中の矢印Aの方向の寸法)が奥行き寸法(図中の矢印Bの方向の寸法)よりも長い略直方体状に形成されている。ここで、図中の矢印Aの方向を幅方向、矢印Bの方向を奥行き方向とし、幅方向に沿った面のうち一方を前面1a、他方を後面1b、奥行き方向に沿った面を側面1c,1dとして、以下説明する。
そして、蓄電池1の上面1eには、端子2などの部材が設けられている。
また、蓄電池1の側面1c,1dには、水平に延びて外方に突出する突出部3が形成されている。
【0019】
図2乃至図4に示すように、第1実施形態の蓄電池運搬冶具10は、蓄電池1(図3および図4参照)を支持する支持部11と、支持部11と接合され蓄電池1を運搬する作業者(不図示)が把持する取手部12と、を備えている。
支持部11および取手部12は、例えばステンレスなどの鋼材で形成されている。
【0020】
支持部11は、蓄電池1の後面1bおよびの一対の側面1c,1d(図3参照)に沿った平面視コの字状に形成された枠体13と、枠体13に支持されて蓄電池1の側面1c,1dに形成された突出部3(図3および図4参照)の下面3aと当接可能な一対の当接部材14,14と、を備えている。
【0021】
枠体13は、開口13a(図2参照)側から内部に蓄電池1が挿入可能に構成されている。
当接部材14は、枠体13の下側に取り付けられていて、上端部14aが枠体13に固定されて、下端部14bに蓄電池1側に突出する当接部15が形成されている。
そして、図4に示すように、当接部15の上面15aが突出部3の下面3aと当接するように構成されている。
【0022】
図2乃至図4に示すように、取手部12は、棒状の部材を正面視において下側が開口するコの字状に形成した部材で、水平方向にのびる中間部12aを把持するように構成され、両端部12b,12bが枠体13に接合されている。
そして、取手部12は、支持部11が蓄電池1に装着されたときの支持部11および蓄電池1の重心の位置よりも枠体13の開口13a側の位置で枠体13に接合されている。
【0023】
本実施形態では、取手部12の両端部12b,12bが、枠体13の奥行き方向の中央部よりも開口13a(図2参照)側に取り付けられていて、取手部12の両端部12b,12bから枠体13の開口13a側の端部までの寸法aが、取手部12の両端部12b,12bから枠体13の開口13a側と反対側の端部までの寸法bよりも短くなっている。
【0024】
次に、第1実施形態による蓄電池運搬冶具10を使用した蓄電池1の運搬方法について説明する。
まず、蓄電池運搬冶具10を枠体13の開口13aが蓄電池1の後面1bに対向するように設置し、蓄電池運搬冶具10を蓄電池1側に水平にスライドさせる。このとき、当接部材14の当接部15が突出部3の下方に位置するように蓄電池運搬冶具10の高さの調整を行う。
そして、蓄電池運搬冶具10をスライドさせて枠体13の内部に蓄電池1を挿入し、当接部材14の当接部15の上面15aと蓄電池1の突出部3の下面3aとを当接させる。
【0025】
続いて、取手部12を把持して上方へ持ち上げる。
これにより、蓄電池1の突出部3が当接部材14に係止されて持ち上げられるため、蓄電池運搬冶具10とともに蓄電池1が持ち上がり運搬可能となる。
このとき、取手部12が蓄電池運搬冶具10および蓄電池1の重心よりも枠体13の開口13a側に取り付けられていることにより、持ち上げられた蓄電池運搬冶具10および蓄電池1が、枠体13の開口13a側が内部側よりも上側となる向きに傾斜するため、蓄電池1が枠体13の内部に確実に挿入され、運搬中に枠体13の開口13aから外れることが防止される。
【0026】
次に、上述した蓄電池運搬冶具10の効果について説明する。
第1実施形態による蓄電池運搬冶具10によれば、蓄電池1の突出部3の下面3aと当接部材14の当接部15の上面15aとを当接させ、取手部12を持ち上げることで、取手部12を把持した状態で蓄電池1を運搬することができるため、効率的に蓄電池1を運搬することができる。
これにより、蓄電池1の重さによっては、片手に1つずつ蓄電池運搬冶具10の取手部12を把持して、2つの蓄電池1を運搬することができるため、さらに効率よく蓄電池1を運搬することができる。
【0027】
また、運搬時に蓄電池運搬冶具10および蓄電池1が枠体13の内部側に傾斜し、蓄電池1が確実に枠体13に支持されるため、運搬時に枠体13から蓄電池1が外れることを防止することができる。
さらに、蓄電池運搬冶具10は、蓄電池1に着脱可能であるため、蓄電池1に運搬用の取手が取り付けられていない場合でも、取手部12を把持して効率よく運搬することができる。
【0028】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について、添付図面に基づいて説明するが、上述の第1実施形態と同一又は同様な部材、部分には同一の符号を用いて説明を省略し、第1実施形態と異なる構成について説明する。
図5乃至図7に示すように、第2実施形態による蓄電池運搬冶具20は、蓄電池1(図6および図7参照)を支持する支持部21と、支持部21に接合された取手部22とを備えている。
支持部21は、蓄電池1の上面1eの外縁部に沿った平面視略長方形状に組まれた枠体23と、枠体23に回動可能に支持され蓄電池1の突出部3と当接可能な一対の当接部材24,24と、を備えている。
【0029】
当接部材24は、枠体23が蓄電池1の上部に配されたときに、蓄電池1の側面1c,1dに直交する鉛直面内において回動可能に支持されている。
当接部材24は、一方の端部24aが枠体23にヒンジ26を介して取り付けられており、他方の端部24bには、蓄電池1の突出部3の下面3aと当接可能な当接部25が形成されている。
そして、枠体23が蓄電池1の上面1eの上に配されて、当接部材24が回動して他方の端部24bが下側となると、当接部25の上面25aが蓄電池1の突出部3の下面3aと当接するように構成されている。
このとき、当接部材24は、枠体23に垂下している状態となっている。
【0030】
取手部22は、枠体23の幅方向の両端部23a,23aの上方にそれぞれ接合された一対の第1把持部材27,27と、一対の第1把持部材27,27どうしを連結する第2把持部材28とを備えている。
一対の第1把持部材27,27は、奥行き方向に延びて幅方向からそれぞれ把持可能な棒状の部材27a,27aを備えている。
また、第2把持部材28は、幅方向に延びて奥行き方向から把持可能な棒状の部材で構成されている。
【0031】
ここで、一対の第1把持部材27,27を両手で1つずつ把持することで、両手を使って蓄電池1を運搬することができ、また、一対の第1把持部材27,27を2人でそれぞれ1つずつ把持することで、1つの蓄電池1を2人で運搬することができる。
また、第2把持部材28を片手で把持することで、蓄電池1を片手で運搬することができ、第2把持部材28を両手で把持することで両手を使って蓄電池1を運搬することができる。
【0032】
次に、上述した第2実施形態による蓄電池運搬冶具20を使用した蓄電池1の運搬方法について説明する。
まず、蓄電池1の上部に枠体23が位置するように蓄電池運搬冶具20を設置する。このとき、枠体23の内部に、蓄電池1の端子2などの部材が入った状態とする。
【0033】
続いて、当接部材24の当接部25が蓄電池1の突出部3の下方になるように当接部材24を回動させる。
そして、第1把持部材27または、第2把持部材28を把持して蓄電池運搬冶具20を持ち上げることで、当接部材24の当接部25の上面25aが蓄電池1の突出部3の下面3aと当接し、蓄電池運搬冶具20とともに蓄電池1が持ち上がるため、蓄電池1を運搬することができる。
【0034】
第2実施形態による蓄電池運搬冶具20によれば、支持部21で蓄電池1を支持して取手部22を把持して蓄電池1を運搬することができるため、効率的に蓄電池1を運搬することができる。
また、第2実施形態では、取手部22が2種類の把持部材27,28を備えているため、蓄電池1の搬入路の状況により、1人の作業者が第2把持部材28を片手で持ったり、一対の第1把持部材27,27を両手で持ったり、また、2人の作業者が一対の第1把持部材27,27をそれぞれ1つずつ持ったりして蓄電池1を運搬することができる。
【0035】
(第3実施形態)
図8および図9に示すように、第3実施形態による蓄電池運搬冶具30は、内部に蓄電池1(図9参照)が挿入可能な支持部31と、支持部31に接合された取手部32と、を備えている。
【0036】
支持部31は、開口された第1側部33aから内部に蓄電池1が挿入可能な枠体33と、枠体33に支持されて蓄電池1の下面1f(図9参照)と当接可能な一対の当接部材34,34と、枠体33の第1側部33aと対向する第2側部33bに設けられて第2側部33bから蓄電池1が脱落することを防止する脱落防止部材36と、を備えている。
枠体33は、内部に蓄電池1が挿入されたときに、蓄電池1の側面1c,1d(図9参照)の側方にそれぞれ位置する一対の第1枠材33c,33cと、一対の第1枠材33c,33cを連結する第2枠材33dと、を備えている。
【0037】
図9に示すように、本実施形態では、第1枠材33cは、内部が開口した長方形の枠状で、その幅寸法が蓄電池1の奥行き寸法と略同じとなり、高さ寸法が、蓄電池1の高さ寸法(蓄電池1の下面1fから上面1eに設けられた端子(不図示)などの部材の上端部までの高さ)よりも長くなるように形成されている。
また、第2枠材33dは、枠体33の内部に蓄電池1が挿入されたときに、蓄電池1の後面1bの下端部に沿って延びる棒状に形成されている。
【0038】
一対の当接部材34,34は、それぞれ第1枠材33cに支持され、枠体33の内部に蓄電池1が挿入されたときに、上面35aが蓄電池1の下面1fと当接可能な当接部35を備えている。
そして、当接部材34,34は、枠体33に対して、当接部35が第1側部33aから第2側部33b側に向かって下側に傾斜するように形成されている。
【0039】
脱落防止部材36は、第2枠材33dの上方で、枠体33の内部に蓄電池1が挿入されたときに、蓄電池1の後面1bと当接可能な高さにおいて第2枠材33dと平行に延びる棒状に形成され、両端部がそれぞれ第1枠材33cに接合されている。
なお、脱落防止部材36は、蓄電池1の後面1bを支持可能な形態であれば、形状や個数は任意に設定されてよい。
【0040】
取手部32は、第1側部33aの上端部に設けられ、一対の第1枠材33c,33c間に架設された棒状に形成されている。
このため、取手部32は、支持部31が蓄電池1を支持している状態の支持部31および蓄電池1の重心よりも枠体33の第1側部33a側の位置に設けられている。
【0041】
第3実施形態では、取手部32は、枠体33の第1側部33a側に接合されている。このため、取手部32を把持して蓄電池運搬冶具30を持ち上げると、第1側部33a側が第2側部33b側よりも上方となるように傾斜する。
【0042】
次に、上述した第3実施形態による蓄電池運搬冶具30を使用した蓄電池1の運搬方法について説明する。
まず、蓄電池1の後面1b側に蓄電池運搬冶具30を置き、蓄電池1を後面1bが斜め上側を向くように傾ける。そして、傾いて浮いた蓄電池1の後面1b下側に蓄電池運搬冶具30を滑りこませる。このとき、蓄電池1の下側に当接部材34の当接部35が滑り込むことになる。
そして、蓄電池1の奥行きに対して半分以上当接部材34の当接部35を滑り込ませる。
【0043】
続いて、蓄電池1の後面1b側を下ろして蓄電池1を当接部35の上面35aに乗せた状態とする。このとき、蓄電池1がその奥行きの半分以上が枠体33の内部に挿入された状態となる。
続いて、蓄電池運搬冶具30を蓄電池1とともに枠体33の第2側部33b側が下方を向くように傾斜させ、蓄電池1を滑らせて枠体33の内部に挿入する。
このとき、枠体33の第2側部33bに脱落防止部材36が設けられているため、蓄電池1が第2側部33b側から脱落することがない。
【0044】
そして、取手部32を把持して蓄電池運搬冶具30を持ち上げることで、蓄電池運搬冶具30とともに蓄電池1が持ち上がり運搬可能となる。
このとき、取手部32が枠体33の第1側部33a側に設けられているとともに、蓄電池1の下面1fと当接して蓄電池1を支持する当接部35が枠体33に対して傾斜していることにより、蓄電池運搬冶具30は、持ち上げられると、第2側部33b側が下側となる向きに傾斜するため、蓄電池運搬冶具30から蓄電池1が外れることを防止することができる。
【0045】
第3実施形態による蓄電池運搬冶具30によれば、支持部31で蓄電池1を支持して取手部32を把持して蓄電池1を運搬することができるため、効率的に蓄電池1を運搬することができる。
また、当接部材34は、蓄電池1の下面1fと当接し、蓄電池1を下側から支持することができるため、第1実施形態および第2実施形態のように、蓄電池1の側面1c,1dに突出部3(図1参照)が形成されていない場合でも使用することができる。
また、蓄電池運搬冶具30を蓄電池1に装着するときは、蓄電池運搬冶具30および蓄電池1を傾斜させながら行うため、蓄電池1の重量が比較的重い場合でも、蓄電池運搬冶具30を蓄電池1に容易に装着することができる。
【0046】
以上、本発明による蓄電池運搬冶具の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上述した第2実施形態では、第1把持部材27および第2把持部材28を備えているが、いずれか1つの把持部材を備える構成としてもよい。
【符号の説明】
【0047】
1 蓄電池
1c,1d 側面
2 端子
3 突出部
3a 下面
10,20,30 蓄電池運搬冶具
11,21,31 支持部
12,22,32 取手部
13,23,33 枠体
14,24,34 当接部材
33a 第1側部
33b 第2側部
36 脱落防止部材



【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電池を運搬するための蓄電池運搬冶具であって、
前記蓄電池に着脱可能に構成され該蓄電池に装着されたときに該蓄電池を支持する支持部と、
該支持部と接合され前記蓄電池を運搬する作業者が把持する取手部と、を備えることを特徴とする蓄電池運搬冶具。
【請求項2】
前記蓄電池は、略直方体状に形成されるとともに、対向する一対の側面にそれぞれ外方に突出する突出部が形成されていて、
前記支持部は、前記蓄電池の前記一対の側面を含む3つの側面に沿った平面視コの字状に形成され開口側から前記蓄電池に着脱可能な枠体と、該枠体に支持されて前記一対の突出部の下面と当接して該突出部を支持可能な一対の当接部材と、を備え、
前記取手部は、前記支持部が前記蓄電池を支持している状態における前記支持部および前記蓄電池の重心よりも前記枠体の前記開口側の位置で前記枠体に接合されていることを特徴とする請求項1に記載の蓄電池運搬冶具。
【請求項3】
前記蓄電池は、略直方体状に形成されるとともに、対向する一対の側面からそれぞれ外方に突出する一対の突出部が形成されていて、
前記支持部は、前記蓄電池の突出部の上方に配置可能な枠体と、該枠体に一方の端部が前記蓄電池の一対の側面に直交する鉛直面内において回動可能に支持されて他方の端部が前記一対の突出部の下面と当接して該突出部を支持可能な一対の当接部材と、を備え、
前記取手部は、前記枠体に接合されていることを特徴とする請求項1に記載の蓄電池運搬冶具。
【請求項4】
前記支持部は、開口された第1側部から内部に前記蓄電池が挿入可能な枠体と、該枠体に支持されて前記蓄電池の下面と当接して該蓄電池を支持可能な当接部材と、前記枠体の前記第1側部と対向する第2側部に設けられて該第2側部から前記蓄電池が脱落することを防止する脱落防止部材と、を備え、
前記取手部は、前記支持部が前記蓄電池を支持している状態の前記支持部および前記蓄電池の重心よりも前記枠体の前記第1側部側の位置で前記枠体に接合されていることを特徴とする請求項1に記載の蓄電池運搬冶具。
【請求項5】
前記当接部材は、前記枠体の前記第1側部側から前記第2側部側に向かって下方に傾斜していることを特徴とする請求項4に記載の蓄電池運搬冶具。



【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2013−20754(P2013−20754A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−151811(P2011−151811)
【出願日】平成23年7月8日(2011.7.8)
【出願人】(399039719)東日本電気エンジニアリング株式会社 (30)
【Fターム(参考)】