説明

蓄電素子、蓄電素子の製造方法

【課題】蓄電素子の生産効率を向上させる。
【解決手段】膜状の第一極体111と第二極体112とセパレータ119とが第一方向に層状に配置されてなる発電要素101と、第一極体111と電気的に接続される第一集電体143とを備え、第一集電体143は、第一方向に並んで配置される第一接続部141と第二接続部142とを備え、第一極体111は、第一接続部141と第二接続部142との間に配置され第一接続部141と接続される第三接続部113と、第一接続部141と第二接続部142との外側に配置され第二接続部142と接続される第四接続部114とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、筐体内に発電要素や電解液などの蓄電・放電手段が収容される蓄電素子に関し、特に前記発電要素と集電体とが複数箇所で接続される蓄電素子に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ハイブリッド自動車や電気自動車、アシスト自転車のように、駆動源や駆動源の一部として電力を用いる走行車が注目されており、このような走行車の電源として高いエネルギー容量の蓄電素子(例えば二次電池)が実用化されている。また、太陽光発電などにより発生した電力を蓄えておく蓄電素子も実用化されている。例えば、リチウムイオン電池などが前記高いエネルギー容量の蓄電素子として挙示することができる。
【0003】
このような蓄電素子の内部構造としては、例えば特許文献1に記載されているように、金属などからなる剛性の高い筐体に電力を供給したり蓄えたりするための電極端子が絶縁状態で取り付けられ、前記電極端子に接続され、前記筐体の内壁と接触しないように内壁に沿って配置される集電体と、二つの集電体の間を架橋状態で発電要素が配置される構造が採用されている。
【0004】
また、集電体は帯状の二つの接続部を垂下状に備えると共に、発電要素は、上下方向に延びて配置される二つの接続部を備えており、集電体の二つの接続部が外側に、発電要素の二つの接続部が内側になるように配置した後、集電体の接続部と発電要素の接続部とを超音波溶接により接続している。
【0005】
この場合、発電要素側の接続部は、薄い金属箔であるので、超音波振動するチップを発電要素側に配置すると、集電体の薄い金属箔部分が破損する場合がある。従って、チップを集電体の接続部に当接させることが必要となるため、従来は、二つの接続箇所の内、一方を接続した後、発電要素を機械的にひっくり返して他方の接続箇所の溶接を行う必要がある。
【0006】
また、レーザー溶接やスポット溶接などで集電体の接続部と発電要素の接続部とを接続する場合も、発電要素をひっくり返す場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2011−165437号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、集電体と溶接された発電要素を機械的に反転することは、複雑な機構を用い、さらに、長時間を要することから、このようなタイプの蓄電素子の生産効率を向上させることは甚だ困難であった。
【0009】
本願発明は上記課題に鑑みなされたものであり、集電体と発電要素との接続工程の簡易化、短縮化を図ることができる、蓄電素子、および、蓄電素子の製造方法の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本願発明にかかる蓄電素子は、負極、および、正極のいずれか一方である膜状の第一極体と、他方である膜状の第二極体と膜状のセパレータとが第一方向に層状に配置されてなる発電要素と、前記第一極体と電気的に接続される第一集電体とを備える蓄電素子であって、前記第一集電体は、前記第一方向と交差する方向に延在し前記第一方向に並んで配置される第一接続部と第二接続部とを備え、前記第一極体は、 前記第一接続部と前記第二接続部との間に配置され前記第一接続部と接続される第三接続部と、前記第一接続部と前記第二接続部との外側に配置され前記第二接続部と接続される第四接続部とを備えることを特徴とする。
【0011】
これによれば、第一接続部と第三接続部とを溶接により接続した後、発電要素を反転させること無く第二接続部と第三接続部とを接続することができる。
【0012】
従って、第一接続部と第三接続部とを接続した後、第一接続部と第二接続部の間隔分発電要素などと接続機を相対的に移動させるだけでよく、回転を伴うことなく次のセッティングを完了することができる。従って、接続工程を簡易化、短縮化することができ、蓄電素子の生産効率を向上させることが可能となる。
【0013】
なお、明細書、および、特許請求の範囲に記載される「蓄電素子」の語は、電気化学的に電気を蓄電し、また、必要に応じて電気を放電することのできる素子であり、より具体的には、蓄電池、キャパシタ、大容量キャパシタ、コンデンサ、電解コンデンサ、電気二重層コンデンサ等を含むものとして記載している。
【0014】
また、前記第一集電体は、前記第二接続部が突出状態で設けられる基部と、前記基部と前記第二接続部の接続部分において第二接続部の面が前記第一方向と沿う位置から前記第四接続部と接触可能な位置までねじられたねじれ部とを備えてもよい。
【0015】
これによれば、例えば巻回式の発電要素などのように第三接続部と第四接続部とがつながっているような場合であっても、ねじれ部を用いて当該つながっている部分を跨いで、第三接続部と第四接続部との間に第二接続部を配置することが可能となる。
【0016】
さらに、前記第二極体と電気的に接続される第二集電体を備え、前記第二集電体は、前記第一方向と交差する方向に延在し前記第一方向に並んで配置される第五接続部と第六接続部とを備え、前記第二極体は、前記第五接続部と前記第六接続部との間に配置され前記第五接続部と接続される第七接続部と、前記第五接続部と前記第六接続部との外側に配置され前記第六接続部と接続される第八接続部とを備え、前記第一接続部と前記第五接続部が前記第一方向において同じ側に配置されるものでもかまわない。
【0017】
これによれば、第一極体と第二極体とのそれぞれに第一集電体と第二集電体を接続する場合であっても、第一方向を回転軸として発電要素を回転させるだけで、全ての接続を完了させることができる。
【0018】
従って、接続工程を簡略化、高速化することができ、蓄電素子の生産効率を向上させることが可能となる。
【0019】
また、前記発電要素は、前記第一極体と前記第二極体と前記セパレータとを巻回して形成されるものであり、前記第三接続部は、前記第一方向において巻回軸から前記発電要素の一方の外側までの間に配置される前記第一極体の巻回軸方向の端部を前記第一方向の一方に片寄せて束ねられ、前記第四接続部は、前記第一方向において巻回軸から前記発電要素の他方の外側までの間に配置される前記第一極体の巻回軸方向の端部を前記第三接続部の偏り方向と同方向に片寄せて束ねられるものでもよい。
【0020】
これによれば、例えば図5に示すように、第三接続部は複数枚の(実質的には連続した1枚)の第一極体を発電要素の外側に片寄せて束ねた場合、最も外側に配置される第一極体は、最も広い面積で第一接続部と接触する場合がある。また、最も内側に配置される第一極体は、発電要素の巻き厚さの分だけ第一接続部と間接的に接触する面積は減少する場合がある。つまり、接触面積は外側から内側に向かって減少する。
【0021】
一方、第四接続部は、最も内側に配置される第一極体の接触面積が最大となり、最も外側に配置される第一極体の接触面積が最小となる。そして、接触面積は外側から内側に向かって増加する。
【0022】
ここで、発電要素は巻回式であるので、第三接続部の外側に配置される第一極体と、第四接続部の外側に配置される第一極体とは電気的な距離が短い。この関係は、内側同士でも同様である。従って、電気的な距離が短い隣り合った第三接続部の接触面積と第四接続部の接触面積との合計面積は、他の巻き位置の合計面積とほぼ等しくなる。
【0023】
以上のような状態になることにより、発電要素に蓄電される電気を効率よく第一集電体に流すことが可能となる。
【0024】
さらに、発電要素の各接続部の長さを短くしても所望の集電効率を保つことができる。
【0025】
従来のように第一極体の巻回軸方向の端部であり接続部を構成する集電箔を片寄せずに発電要素と集電体とを接続すると、発電要素の巻き始め及び巻き終わりの部分の集電効率を巻回の中央部分(集電箔の束の中央に相当)と近づけるためには、集電箔の束の中でも端に位置する集電箔を長くし、接続面積を稼ぐ必要がある。そのためには発電要素全体における接続部の長さを長くせざるを得ない。
【0026】
本願の構造であれば、先述のように巻き位置による集電効率の差がないので、集電効率の平準化のために接続部(集電箔)を長くする必要は無い。
【0027】
従って、電極体における接続部の面積の割合を減少させることができる。接続部は活物質が塗工されていない部分であるので、接続部の面積の割合が小さくなり、活物質塗工部の面積の割合が上がれば、発電要素の容量を向上させることが可能となる。
【0028】
また、上記目的を達成するために、本願発明にかかる蓄電素子の製造方法は、負極、および、正極のいずれか一方である膜状の第一極体と、他方である膜状の第二極体と膜状のセパレータとが第一方向に層状に配置されてなる発電要素の前記第一極体と第一集電体とを電気的な導通可能に溶接する蓄電素子の製造方法であって、前記第一集電体は、前記第一方向と交差する方向に延在し前記第一方向に並んで配置される第一接続部と第二接続部とを備え、前記第一極体は、前記第一接続部と電気的に接続される第三接続部と前記第二接続部と電気的に接続される第四接続部とを備え、前記第一接続部と前記第二接続部との間に前記第三接続部が配置され、前記第一接続部と前記第二接続部との外側に前記第四接続部が配置されるように前記発電要素と前記第一集電体とを配置する第一配置ステップと、前記第一接続部、および、前記第三接続部を溶接する第一溶接ステップと、前記第二接続部、および、前記第四接続部を溶接する第二溶接ステップとを含むことを特徴とする。
【0029】
これによれば、第一接続部と第三接続部とを溶接により接続した後、発電要素を反転させること無く第二接続部と第三接続部とを溶接機で溶接することができ、第一接続部と第三接続部とを溶接した後、第一接続部と第二接続部の間隔分発電要素などと溶接機を相対的に移動させるだけでよく、回転を伴うことなく次のセッティングを完了することができる。従って、溶接による接続工程を簡易化、短縮化することができ、蓄電素子の生産効率を向上させることが可能となる。
【0030】
さらに、前記第二極体と電気的に接続される第二集電体を備え、前記第二集電体は、前記第一方向と交差する方向に延在し前記第一方向に並んで配置される第五接続部と第六接続部とを備え、前記第二極体は、前記第五接続部と電気的に接続される第七接続部と前記第六接続部と電気的に接続される第八接続部とを備え、前記第一方向と沿う方向を軸として前記発電要素を回転させる回転ステップと、前記第五接続部と前記第六接続部との間に前記第七接続部が配置され、前記第五接続部と前記第六接続部との外側に前記第八接続部とが配置され、前記第一接続部と前記第五接続部が前記第一方向において同じ側に配置されるように前記発電要素と前記第二集電体とを配置する第二配置ステップと、前記第五接続部、および、前記第七接続部を溶接する第三溶接ステップと、前記第六接続部、および、前記第八接続部を溶接する第四溶接ステップとを含んでもよい。
【0031】
これによれば、第一極体と第二極体とのそれぞれに第一集電体と第二集電体を接続する場合であっても、第一方向を回転軸として発電要素を回転させるだけで、全ての接続を完了させることができる。
【0032】
従って、溶接工程を簡略化、高速化することができ、蓄電素子の生産効率を向上させることが可能となる。
【発明の効果】
【0033】
本願発明によれば、蓄電素子の生産効率を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】図1は、本実施の形態の蓄電素子の外観を示す斜視図である。
【図2】図2は、筐体の一部を省略して蓄電素子の内部を模式的に示す斜視図である。
【図3】図3は、発電要素を模式的に示す側面図である。
【図4】図4は、発電要素を他の方向から模式的に示す側面図である。
【図5】図5は、発電要素を上方から断面で示す平面図である。
【図6】図6は、第一集電体および第二集電体を共に示す斜視図である。
【図7】図7は、発電要素と集電体とを接続する際の状態を一部断面で示す平面図である。
【図8】図8は、発電要素と集電体とを接続する際の次の状態を一部断面で示す平面図である。
【図9】図9は、異なる極において発電要素と集電体とを接続する際の状態を一部断面で示す平面図である。
【図10】図10は、異なる極において発電要素と集電体とを接続する際の次の状態を一部断面で示す平面図である。
【図11】図11は、他の態様における発電要素を上方から断面で示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
次に、本願発明に係る蓄電素子の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、以下の実施の形態は、本願発明に係る蓄電素子の一例を示したものに過ぎない。従って本願発明は、以下の実施の形態を参考に請求の範囲の文言によって範囲が画定されるものであり、以下の実施の形態のみに限定されるものではない。
【0036】
図1は、本実施の形態の蓄電素子の外観を示す斜視図である。
【0037】
図2は、筐体の一部を省略して蓄電素子の内部を模式的に示す斜視図である。
【0038】
これらの図に示すように、本実施の形態にかかる蓄電素子100は、電気を充電し、また、電気を放電することのできる非水電解質二次電池であり、発電要素101と、筐体102と、集電体104とを備えている。
【0039】
図3は、発電要素を模式的に示す側面図である。
【0040】
同図に示すように発電要素101は、負極、および、正極のいずれか一方である膜状の第一極体111と、他方である膜状の第二極体112と膜状のセパレータ119とが第一方向(図中X軸方向)に層状に配置され、電気を蓄えることができる部材である。
【0041】
本実施の形態の場合、負極は、銅からなる長尺帯状の第一極体111の表面に負極活物質層が形成されたものである。正極は、アルミニウムからなる長尺帯状の第二極体112の表面に正極活物質層が形成されたものである。セパレータ119は、樹脂からなる微多孔性のシートである。そして、発電要素101は、第一極体111と第二極体112との間にセパレータ119が挟み込まれるように層状に配置されたものを全体が長円形状となるように巻き回されて形成されている。
【0042】
図4は、発電要素を他の方向から模式的に示す側面図である。
【0043】
同図に示すように、発電要素101は、第一極体111と第二極体112とが巻回軸方向(図中Y軸方向)にずれた状態で形成されている。そして、第二極体112から突出する第一極体111の部分、および、第一極体111から突出する第二極体112の部分はそれぞれ集電体104と電気的かつ物理的に接続する接続部115(図中2点鎖線で囲った部分)として機能する。接続部115は、負極活物質や正極活物質が形成されてておらずアルミニウム箔や銅箔が露出している。
【0044】
なお、セパレータ119は、樹脂からなるものばかりでなく、ガラスファイバーなど他の部材であってもかまわない。
【0045】
図5は、発電要素を上方から断面で示す平面図である。
【0046】
同図に示すように、接続部115は、第一方向(図中X軸方向)に重ね合わされた状態で束ねられている。なお説明のため図5では、接続部115において、第一極体111や第二極体112を離れた状態で示しているが、実際には重ね合わされて密着している。
【0047】
本実施の形態の場合、第一極体111は、巻回軸の一方側に配置される第三接続部113と、巻回軸の他方側に配置される第四接続部114とを備えている。また、第二極体112は、巻回軸の一方側に配置される第七接続部117と、巻回軸の他方側に配置される第八接続部118とを備えている。
【0048】
さらに、第三接続部113は、第一方向において巻回軸から発電要素101の一方(図中下側)の外側までの間に配置される第一極体111の巻回軸方向の端部である接続部115を第一方向の一方(図中下側)に片寄せて束ねられている。第四接続部114も同様に、第一方向において巻回軸から発電要素101の他方(図中上側)の外側までの間に配置される接続部115を第三接続部の偏り方向と同方向(図中下側)に片寄せて束ねられている。
【0049】
また、第七接続部117は、接続部115を第三接続部の偏り方向と同方向(図中下側)に片寄せて束ねられている。第八接続部118も同様に、接続部115を第三接続部の偏り方向と同方向(図中下側)に片寄せて束ねられている。
【0050】
なお、発電要素101は扁平巻回型ばかりで無く、折り畳み型など任意の積層態様を採用することができる。
【0051】
筐体102は、発電要素101を収容する部材である。本実施の形態の場合、筐体102は、容器120と蓋体103とで構成されている。
【0052】
容器120は、発電要素101を収容する矩形(直方体)の部材である。容器120は、軽量化のため、アルミニウムやその合金で形成されたり、肉厚の薄いステンレス鋼などにより形成される。容器120は、矩形の底部と、底部の各長辺部にそれぞれ立設される矩形の長壁部と、底部の各短辺部にそれぞれ立設される矩形の短壁部とを備えている。また、容器120は、容器120の開口端部と蓋体103とが溶接されることにより、蓋体103とともに筐体102を構成する。蓋体103は、容器120の開口部を閉塞する金属製の板状部材である。
【0053】
図6は、第一集電体および第二集電体を共に示す斜視図である。
【0054】
集電体104は、後述する電極端子105と発電要素101とに電気的に接続されるとともに、筐体102(蓋体103)に物理的(機械的)にも接続される部材である。なお、同図においては、説明のため二つの集電体104が近接して示されているが、実際には、発電要素101の巻回軸の端部にそれぞれ集電体104が配置される。
【0055】
本実施の形態の場合、集電体104は、蓋体103から筐体102の壁部に渡って壁部および蓋体103に沿って屈曲状態で配置される金属製の板状部材であり、集電体104は、電極端子105とともに蓋体103に固定的に接続されている。
【0056】
発電要素101の第一極体111に接続される集電体104である第一集電体143は、第一方向(図中X軸方向)と交差する方向(図中Z軸方向)に延在し、第一方向に並んで配置される棒状の第一接続部141と棒状の第二接続部142とを備えている。発電要素101の第二極体112に接続される集電体104である第二集電体144は、第一方向と交差する方向に延在し第一方向に並んで配置される棒状の第五接続部145と棒状の第六接続部146とを備えている。
【0057】
さらに、第一集電体143は、帯状の第二接続部142が突出状態で設けられる基部147を備えており、基部147と第二接続部142の接続部分において第二接続部142の面が第一方向(図中X軸方向)と沿う位置から第四接続部114と面接触可能な位置まで、つまり、図中のY軸方向に向いていた面がX軸方向に向くまでねじられたねじれ部159を備えている。また、第一接続部141も同様に基部147に対しねじられて設けられている。さらに、第二集電体144も基部148を備えており、第五接続部145、および、第六接続部146も基部148に対してねじられた状態で突出している。
【0058】
なお、第一集電体143は、銅で形成され、第二集電体144は、アルミニウムで形成されている。
【0059】
以上のような蓄電素子100において、発電要素101と集電体104とは次の様に配置されている。すなわち、第一接続部141と第二接続部142との間に第三接続部113が配置され、第一接続部141と第二接続部142との外側に第四接続部114が配置されている。また、第五接続部145と第六接続部146との間に第七接続部117が配置され、第五接続部145と第六接続部146との外側に第八接続部118が配置されている。
【0060】
この場合、第二接続部142は、第一極体111の端部であって、屈曲している部分を跨ぐこととなるが、当該部分にねじれ部159が対応するため、第一極体111の端部との干渉を抑制することが可能となる。これは第六接続部146も同様である。
【0061】
本実施の形態の場合、蓄電素子100はさらに、電極端子105と、締結具108と、第一絶縁部材109と、第二絶縁部材(図示せず)を備えている。
【0062】
電極端子105は、外部の機器や他の電池などと蓄電素子100の発電要素101とを電気的に接続するための端子である。本実施の形態の場合、電極端子105は、筐体102と絶縁を保ちつつ、筐体102に貫通状態で取り付けられており、負極用の電極端子105と、正極用の電極端子105の二つが筐体102に取り付けられている。
【0063】
また、電極端子105は、貫通孔を備えている。貫通孔は、他の機器などと電極端子105とを電気的に接続するための締結具108が挿通される孔である。
【0064】
なお、筐体102自体が一方の極の電極端子として機能するものでもかまわない。
【0065】
締結具108は、外部の機器や他の電池などと電気的に接続するための通電部材、例えばバスバーなどの通電部材を電極端子105と電気的かつ物理的に接続するための部材である。本実施の形態の場合、通電部材を着脱可能に締結できるよう締結具は、ボルト状であり、ナットで締め付けることによって、電極端子105と通電部材とを挟持状態で接続するものとなっている。
【0066】
第一絶縁部材109は、筐体102と締結具108、および、筐体102と電極端子105とを電気的に絶縁する部材である。本実施の形態の場合、第一絶縁部材109は、樹脂などの絶縁体で形成される板状の部材であって、蓋体103の一部を覆うと共に、締結具108の頭部を収容する形状となっている。
【0067】
第二絶縁部材(図示せず)は、筐体102と集電体104とを電気的に絶縁する部材である。本実施の形態の場合、第二絶縁部材は、樹脂などの絶縁体で形成される薄い箱状の部材であって、筐体102(蓋体103)の内側であって集電体104と蓋体103との間に配置されている。
【0068】
次に、蓄電素子100の製造方法を説明する。
【0069】
図7は、発電要素と集電体とを接続する際の状態を一部断面で示す平面図である。
【0070】
同図に示すように、第一集電体143の第一接続部141と第二接続部142との間に第一極体111の第三接続部113が配置され、第一接続部141と第二接続部142との外側に第四接続部114が配置されるように発電要素101と第一集電体143とを配置する(第一配置ステップ)。
【0071】
超音波溶接機200のチップ201とアンビル202とを用い、第一接続部141、および、第三接続部113を挟み込んで溶接する(第一溶接ステップ)。この際、ホーンと接続され超音波振動が発生するチップ201は、比較的厚さの厚い第一接続部141側に配置する。第三接続部113側にチップ201を配置すると、第一極体111の端部が破損する可能性があるからである。
【0072】
なお、第三接続部113などの接続部115においては、第一極体111や第二極体112の重ね合わせて束ねた状態を維持するために、導電性のクリップで挟持してもよく、この場合、集電体104と接続部115とは、クリップを介して接続することとなる。
【0073】
次に、図8に示す状態となるように、チップ201およびアンビル202と発電要素101とを巻回軸(図中Y軸方向)方向に一端分離した後、第一方向(図中X軸方向)にチップ201およびアンビル202と発電要素101と相対的に移動させ、チップ201およびアンビル202と発電要素101とを巻回軸(図中Y軸方向)方向に近づけて、第二接続部142、および、第四接続部114をチップ201およびアンビル202で挟み込む。そして、超音波溶接を行う(第二溶接ステップ)。
【0074】
以上のように、チップ201およびアンビル202と発電要素101との相対的な移動は、巻回軸方向(Y軸方向)と、第一方向(X軸方向)との2軸において直線的な動作のみで実現できるため、チップ201およびアンビル202と発電要素101との動作を簡易な装置構成の下、高速に実施することが可能となる。
【0075】
次に、図9に示す状態となるように、チップ201およびアンビル202と発電要素101とを巻回軸(図中Y軸方向)方向に一端分離した後、第一方向(X軸方向)を回転軸として発電要素101を回転させる(回転ステップ)。そして、第五接続部145と第六接続部146との間に第七接続部117が配置され、第五接続部145と第六接続部146との外側に第八接続部118とが配置されるように、発電要素101と集電体104とを配置する。ここで、第一接続部141と第五接続部145が第一方向において同じ側(図7、図9中の最も下側)となるように配置する(第二配置ステップ)。
【0076】
そして、チップ201とアンビル202とを用い、第五接続部145、および、第七接続部117を挟み込んで超音波溶接する(第三溶接ステップ)。
【0077】
次に、図10に示す状態となるように、チップ201およびアンビル202と発電要素101とを巻回軸(図中Y軸方向)方向に一端分離した後、第一方向(図中X軸方向)にチップ201およびアンビル202と発電要素101と相対的に移動させ、チップ201およびアンビル202と発電要素101とを巻回軸(図中Y軸方向)方向に近づけて、第六接続部146、および、第八接続部118をチップ201およびアンビル202で挟み込んで超音波溶接する(第四溶接ステップ)。
【0078】
以上のように、チップ201およびアンビル202と発電要素101との相対的な移動は、溶接対象を第一極体111から第二極体112に変更する際のX軸を中心軸とした相対的な回動と、巻回軸方向(Y軸方向)と、第一方向(X軸方向)との2軸において直線的な動作のみで実現できるため、発電要素101の両極と集電体104との接続を簡易な機械構成の下、高速で実施することが可能となる。
【0079】
なお、本願発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。例えば、本明細書において記載した構成要素を任意に組み合わせて、また、構成要素のいくつかを除外して実現される別の実施の形態を本願発明の実施の形態としてもよい。また、上記実施の形態に対して本願発明の主旨、すなわち、請求の範囲に記載される文言が示す意味を逸脱しない範囲で当業者が思いつく各種変形を施して得られる変形例も本願発明に含まれる。
【0080】
例えば、上記実施の形態では、第一方向の一方に片寄せて束ねられた接続部115を示したが、これに限定されるわけでは無く、図11に示すように、均等に束ねられたものでもよい。
【0081】
また、巻回式の発電要素101を示したが、発電要素101は、負極、および、正極のいずれか一方である膜状の第一極体111と、他方である膜状の第二極体112と膜状のセパレータ119とが第一方向に層状となるように折りたたまれたものでもかまわない。この場合、巻回軸は存在しないが、折りたたまれた第一極体111や第二極体112の第一方向における中間であって、帯状の第一極体111や第二極体112の幅方向に延びる軸が巻回軸の代替となり得る。
【0082】
また、溶接は超音波溶接ばかりでなく、レーザー溶接やスポット溶接など発電要素101の接続部115側から溶接するのと、集電体104側から溶接するのでは、最適な溶接条件が異なる溶接で溶接しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本願発明は、二次電池等の蓄電素子に利用可能である。
【符号の説明】
【0084】
100 蓄電素子
101 発電要素
102 筐体
103 蓋体
104 集電体
105 電極端子
108 締結具
109 第一絶縁部材
111 第一極体
112 第二極体
113 第三接続部
114 第四接続部
115 接続部
117 第七接続部
118 第八接続部
119 セパレータ
120 容器
141 第一接続部
142 第二接続部
143 第一集電体
144 第二集電体
145 第五接続部
146 第六接続部
147 基部
148 基部
159 ねじれ部
200 超音波溶接機
201 チップ
202 アンビル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
負極、および、正極のいずれか一方である膜状の第一極体と、他方である膜状の第二極体と膜状のセパレータとが第一方向に層状に配置されてなる発電要素と、前記第一極体と電気的に接続される第一集電体とを備える蓄電素子であって、
前記第一集電体は、
前記第一方向と交差する方向に延在し前記第一方向に並んで配置される第一接続部と第二接続部とを備え、
前記第一極体は、
前記第一接続部と前記第二接続部との間に配置され前記第一接続部と接続される第三接続部と、前記第一接続部と前記第二接続部との外側に配置され前記第二接続部と接続される第四接続部とを備える
蓄電素子。
【請求項2】
前記第一集電体は、
前記第二接続部が突出状態で設けられる基部と、
前記基部と前記第二接続部の接続部分において第二接続部の面が前記第一方向と沿う位置から前記第四接続部と接触可能な位置までねじられたねじれ部とを備える
請求項1に記載の蓄電素子。
【請求項3】
さらに、前記第二極体と電気的に接続される第二集電体を備え、
前記第二集電体は、
前記第一方向と交差する方向に延在し前記第一方向に並んで配置される第五接続部と第六接続部とを備え、
前記第二極体は、
前記第五接続部と前記第六接続部との間に配置され前記第五接続部と接続される第七接続部と、前記第五接続部と前記第六接続部との外側に配置され前記第六接続部と接続される第八接続部とを備え、
前記第一接続部と前記第五接続部が前記第一方向において同じ側に配置される
請求項1または2に記載の蓄電素子。
【請求項4】
前記発電要素は、前記第一極体と前記第二極体と前記セパレータとを巻回して形成されるものであり、
前記第三接続部は、
前記第一方向において巻回軸から前記発電要素の一方の外側までの間に配置される前記第一極体の巻回軸方向の端部を前記第一方向の一方に片寄せて束ねられ、
前記第四接続部は、
前記第一方向において巻回軸から前記発電要素の他方の外側までの間に配置される前記第一極体の巻回軸方向の端部を前記第三接続部の偏り方向と同方向に片寄せて束ねられる
請求項1〜3のいずれか1項に記載の蓄電素子。
【請求項5】
負極、および、正極のいずれか一方である膜状の第一極体と、他方である膜状の第二極体と膜状のセパレータとが第一方向に層状に配置されてなる発電要素の前記第一極体と第一集電体とを電気的な導通可能に溶接する蓄電素子の製造方法であって、
前記第一集電体は、前記第一方向と交差する方向に延在し前記第一方向に並んで配置される第一接続部と第二接続部とを備え、
前記第一極体は、前記第一接続部と電気的に接続される第三接続部と前記第二接続部と電気的に接続される第四接続部とを備え、
前記第一接続部と前記第二接続部との間に前記第三接続部が配置され、前記第一接続部と前記第二接続部との外側に前記第四接続部が配置されるように前記発電要素と前記第一集電体とを配置する第一配置ステップと、
前記第一接続部、および、前記第三接続部を溶接する第一溶接ステップと、
前記第二接続部、および、前記第四接続部を溶接する第二溶接ステップと
を含む蓄電素子の製造方法。
【請求項6】
さらに、前記第二極体と電気的に接続される第二集電体を備え、
前記第二集電体は、前記第一方向と交差する方向に延在し前記第一方向に並んで配置される第五接続部と第六接続部とを備え、
前記第二極体は、前記第五接続部と電気的に接続される第七接続部と前記第六接続部と電気的に接続される第八接続部とを備え、
前記第一方向と沿う方向を軸として前記発電要素を回転させる回転ステップと、
前記第五接続部と前記第六接続部との間に前記第七接続部が配置され、前記第五接続部と前記第六接続部との外側に前記第八接続部とが配置され、前記第一接続部と前記第五接続部が前記第一方向において同じ側に配置されるように前記発電要素と前記第二集電体とを配置する第二配置ステップと、
前記第五接続部、および、前記第七接続部を溶接する第三溶接ステップと、
前記第六接続部、および、前記第八接続部を溶接する第四溶接ステップと
を含む請求項5に記載の蓄電素子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−115030(P2013−115030A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−263497(P2011−263497)
【出願日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【出願人】(507151526)株式会社GSユアサ (375)
【Fターム(参考)】