説明

蓄電素子、蓄電装置及び回路基板

【課題】複数の蓄電素子を直列接続する場合に、複数の蓄電素子を直列接続した部分に接続しやすい構造を提供すること。
【解決手段】蓄電素子10は、第1集電体の表面に第1分極性電極が設けられる第1電極11と、第2集電体の表面に第2分極性電極が設けられて、前記第2分極性電極がセパレータを介して前記第1分極性電極と対向する第2電極12と、前記第1集電体と電気的に接続されるとともに、第1電極11から引き出される第1引出部11Lと、前記第2集電体と電気的に接続されるとともに、前記第1分極性電極と前記第2分極性電極とが対向する方向から見た場合において、前記第1引出部が引き出される方向に対して平行以外の方向に第2電極12から引き出される第2引出部12Lと、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、EDLC(Electric Double Layer Capacitor:電気二重層キャパシタ)等の蓄電素子、これを用いた蓄電装置及びこの蓄電装置が実装された回路基板に関する。
【背景技術】
【0002】
フラット型の蓄電素子は、例えば特許文献1に記載されている。このようなフラット型の蓄電素子は、平面形状が四角形の外装体の内部から外方に向けて、複数のリードが延びている。これらの蓄電素子を2個以上に直列接続することで、定格電圧が上昇する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2007/063877号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された電気デバイス(蓄電素子)は、1個の電気デバイスが有する2個の電極タブが、それぞれ正反対の方向に引き出されている。このような電気デバイスを直列接続すると、電極タブ同士を接続した部分が電気デバイスの積層方向から見た場合に重なり合ってしまう。このため、電気デバイス間のバランスを調整する回路と電極タブ同士を接続した部分とを接続しにくいという問題があった。本発明は、複数の蓄電素子を直列接続する場合に、複数の蓄電素子を直列接続した部分に接続しやすい構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、第1集電体の表面に第1分極性電極が設けられる第1電極と、第2集電体の表面に第2分極性電極が設けられて、前記第2分極性電極がセパレータを介して前記第1分極性電極と対向する第2電極と、前記第1集電体と電気的に接続されるとともに、前記第1電極から引き出される第1引出部と、前記第2集電体と電気的に接続されるとともに、前記第1分極性電極と前記第2分極性電極とが対向する方向から見た場合において、前記第1引出部が引き出される方向に対して平行以外の方向に前記第2電極から引き出される第2引出部と、を含むことを特徴とする蓄電素子である。
【0006】
この蓄電素子は、上述した構造とすることで、回路基板の設計に合わせて、第1引出部及び第2引出部の自由な引き出しができるという作用が得られる。その結果、基板回路の設計の自由度が増すという効果が得られる。
【0007】
本発明において、前記第1引出部が前記第1電極から引き出される方向と平行な直線と、前記第2引出部が前記第2電極から引き出される方向と平行な直線とのなす角度θは、360/n度(nは3以上の整数)であることが好ましい。
【0008】
この蓄電素子は、一定の角度でリード(第1引出部及び第2引出部)を形成する。このため、回路基板の設計において、数学的な設計角度が得られる。その結果、基板回路の設計が容易になるという効果が得られる。
【0009】
本発明において、nは12以下であることが好ましい。
【0010】
この蓄電素子は、2個のリード(第1引出部及び第2引出部)がなす角度(リード角度)の最小値が30度となる。これより前記角度が小さくなると、基板回路のパッド寸法を確保することが困難となる。この蓄電素子は、前記角度が30度以上になるので、基板搭載時に隣のパッドと接触接続するおそれを回避できるという効果が得られる。
【0011】
本発明において、前記第1分極性電極と前記第2分極性電極とが対向する方向から見た場合において、前記第1電極及び前記第2電極の形状は、n角形又は円形であることが好ましい。
【0012】
この蓄電素子は、電極が数学的に算出しやすい形状となる。その結果、電極を準備、回収して、リード(第1引出部及び第2引出部)を取り付ける場合に、リードの取り付け位置の位置出しが容易になるという効果が得られる。
【0013】
本発明は、前記蓄電素子を複数積層し、隣接する前記蓄電素子の前記第1引出部と前記第2引出部とを電気的に接続したことを特徴とする蓄電装置である。
【0014】
この蓄電素子は、複数の蓄電素子を直列接続したものである。このような構造により、蓄電素子の定格電圧を直列数の倍数で大きくすることができる。その結果、回路の視点で、蓄電素子としての動作電圧を上げた設計ができるという効果が得られる。
【0015】
本発明において、複数の前記蓄電素子の数Dは、D≦ceil((360−θ)/θ)であることが好ましい。ここで、ceil(x)は天井関数を表し、実数xに対して、x以上の最小の整数として定義される。
【0016】
本蓄電素子の最大数Dは、第1引出部と第2第2引出部とのなす角度、すなわちリード角度に基づいて求められる数である。本蓄電素子は、一定のリード角度を備えることで、3直列以上の接続が容易になるという効果が得られる。
【0017】
本発明において、前記第1分極性電極と前記第2分極性電極とが対向する方向から見た場合において、少なくとも1個の前記蓄電素子の形状は、他の前記蓄電素子の形状とは異なっていても良い。
【0018】
本蓄電素子は、対向する電極が異なる形状であっても良い。電極の形状により、リード(第1引出部又は第2引出部)を接続する際、接続位置を制御しやすい電極形状を用いることができ、これらを組み合わせることで、任意の方向にリードを引き出すことができるという効果が得られる。
【0019】
本発明において、前記第2引出部と電気的に接続されていない前記第1引出部と、前記第1引出部と電気的に接続されていない前記第2引出部と、前記第1引出部と前記第2引出部との接続部とに、導体の端子をそれぞれ電気的に接続することが好ましい。
【0020】
本蓄電素子は、基板搭載時のはんだ接続加工が行いやすいように、電極から引き出しているリード(第1引出部又は第2引出部)とは異なる金属端子が前記リードに接続されていることが好ましい。例えば、Ni、Cuであり、はんだと濡れ性の良い金属であれば良い。その結果、基板の電極と前記リードとが、はんだで接続することが容易で、確実な接続ができるという効果が得られる。
【0021】
本発明は、前記蓄電素子を少なくとも1個含む複数の蓄電素子を同一平面に配置して直列接続したことを特徴とする蓄電装置である。
【0022】
本蓄電素子は、複数の蓄電素子を同一平面上で直列接続したものである。これにより、蓄電素子の定格電圧を直列数の倍数で大きくすることができ、面方向への接続ができる。その結果、回路の視点で、蓄電素子としての動作電圧を上げた設計ができ、高さ方向のサイズを抑制できるという効果が得られる。
【0023】
本発明において、前記蓄電素子同士の接続部と、直列接続された複数の前記蓄電素子の両側とに、導体の端子をそれぞれ電気的に接続することが好ましい。
【0024】
本蓄電素子は、基板搭載時のはんだ接続加工が行いやすいように、電極から引き出しているリード(第1引出部又は第2引出部)とは異なる金属端子が前記リードに接続されていることが好ましい。前記金属端子は、例えば、Ni、Cuであり、はんだとの濡れ性の良い金属であれば良い。その結果、基板の電極とリードとが、はんだで接続することが容易で、確実な接続ができるという効果が得られる。
【0025】
本発明において、前記端子は、表面がSn−Cu又はCu−Niで被覆されることが好ましい。
【0026】
本蓄電素子は、接続した金属端子の表面に処理を行ったものである。めっき処理で金属端子の表面にSn−Cu又はCu−Niを被覆することで、はんだの濡れ性をより良くする効果が得られる。
【0027】
本発明において、前記蓄電装置は、外装体に収納され、前記端子は前記外装体の外部に取り出されることが好ましい。
【0028】
本蓄電素子は、外装体に収納され、その中からリード(第1引出部又は第2引出部)が取り出されたものである。外装体は金属箔の両面を樹脂層で覆ったものである。金属箔にはAl又はSUS(ステンレス鋼)があり、樹脂層にはPP(Polypropylene)、PET(Polyethylen Terephthalate)、ナイロン等がある。蓄電素子が外装体に収納されることで、使用環境下での耐性を上げることができるという効果が得られる。
【0029】
本発明は、前記蓄電装置と、前記蓄電装置が搭載されるとともに、表面に電極パッドを有する基板と、前記外装体の表面と、前記基板との間に介在して両者を固定する固定部材と、前記電極パッドと前記端子との間に介在して両者を電気的に接続するはんだ材料と、含むことを特徴とする回路基板である。
【0030】
本蓄電素子は、基板との固定において、端子とのはんだ接続と本体との固定部材とからなる。これにより、蓄電素子全体が、基板に固定されることになり、振動によるリード(第1引出部又は第2引出部)の断線を抑制できるという効果が得られる。
【発明の効果】
【0031】
本発明は、複数の蓄電素子を直列接続する場合に、複数の蓄電素子を直列接続した部分に接続しやすい構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】図1は、実施形態1に係る蓄電素子の平面図である。
【図2】図2は、図1のA−A断面図である。
【図3】図3は、図1のB−B断面図である。
【図4】図4は、第1引出部が第1電極から引き出される方向と第2引出部が第2電極から引き出される方向とを示す平面図である。
【図5】図5は、第1集電体及び第2集電体の他の形状を示す平面図である。
【図6】図6は、実施形態1の変形例に係る蓄電素子を示す平面図である。
【図7】図7は、図6のA−A断面図である。
【図8】図8は、本実施形態に係る蓄電素子を複数積層して蓄電装置とした例を示す平面図である。
【図9】図9は、図8の矢印D方向から蓄電装置を見た状態を示す図である。
【図10−1】図10−1は、実施形態1に係る蓄電素子及びこれを複数用いた蓄電装置を製造する方法の説明図である。
【図10−2】図10−2は、実施形態1に係る蓄電素子及びこれを複数用いた蓄電装置を製造する方法の説明図である。
【図10−3】図10−3は、実施形態1に係る蓄電素子及びこれを複数用いた蓄電装置を製造する方法の説明図である。
【図10−4】図10−4は、実施形態1に係る蓄電素子及びこれを複数用いた蓄電装置を製造する方法の説明図である。
【図10−5】図10−5は、実施形態1に係る蓄電素子及びこれを複数用いた蓄電装置を製造する方法の説明図である。
【図10−6】図10−6は、実施形態1に係る蓄電素子及びこれを複数用いた蓄電装置を製造する方法の説明図である。
【図10−7】図10−7は、実施形態1に係る蓄電素子及びこれを複数用いた蓄電装置を製造する方法の説明図である。
【図10−8】図10−8は、実施形態1に係る蓄電素子及びこれを複数用いた蓄電装置を製造する方法の説明図である。
【図10−9】図10−9は、実施形態1に係る蓄電素子及びこれを複数用いた蓄電装置を製造する方法の説明図である。
【図10−10】図10−10は、実施形態1に係る蓄電素子及びこれを複数用いた蓄電装置を製造する方法の説明図である。
【図11】図11は、端子電極となる第1引出部及び第2引出部に導体の端子を接続した例を示す平面図である。
【図12】図12は、本実施形態に係る蓄電素子を積層して得られた蓄電装置を基板に実装した回路基板を示す側面図である。
【図13】図13は、実施形態2に係る蓄電素子の平面図である。
【図14】図14は、実施形態2に係る蓄電素子の平面図である。
【図15】図15は、図14のB−B断面図である。
【図16−1】図16−1は、実施形態2の変形例に係る蓄電素子の平面図である。
【図16−2】図16−2は、実施形態2の変形例に係る蓄電素子の側面図である。
【図17】図17は、実施形態3に係る蓄電素子の平面図である。
【図18】図18は、実施形態3に係る蓄電素子を複数積層した蓄電装置を示す平面図である。
【図19】図19は、実施形態4に係る蓄電素子の平面図である。
【図20】図20は、実施形態4に係る蓄電素子を複数積層した蓄電装置を示す平面図である。
【図21】図21は、実施形態5に係る蓄電素子の平面図である。
【図22】図22は、実施形態5に係る蓄電素子を同一平面に複数配列した蓄電装置を示す平面図である。
【図23】図23は、実施形態6に係る蓄電素子の平面図である。
【図24】図24は、実施形態6に係る蓄電素子を同一平面に複数配列した蓄電装置を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらにに、下記実施形態で開示した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0034】
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係る蓄電素子の平面図である。図2は、図1のA−A断面図である。図3は、図1のB−B断面図である。図4は、第1引出部が第1電極から引き出される方向と第2引出部が第2電極から引き出される方向とを示す平面図である。本実施形態において、蓄電素子10は、EDLCである。しかし、蓄電素子10は、EDLCに限定されるものではなく、リチウムイオンキャパシタ、電解コンデンサ、電解液を固体電解質に変更した全固体電池、リチウムイオン電池、マグネシウムイオン電池、カルシウムイオン電池その他の二次電池等にも適用することができる。
【0035】
蓄電素子10は、第1電極11と、第2電極12と、第1引出部11Lと、第2引出部12Lと、を含む。第1電極11は、図2、図3に示すように、第1集電体11Cの表面に第1分極性電極11Sが設けられる。第2電極12は、図2、図3に示すように、第2集電体12Cの表面に第2分極性電極12Sが設けられる。第2電極12は、第2分極性電極12Sがセパレータ13を介して第1分極性電極11Sと対向する。
【0036】
第1引出部11Lは、第1集電体11Cと電気的に接続されるとともに、第1電極11から引き出される。第2引出部12Lは、第2集電体12Cと電気的に接続されるとともに、第1分極性電極11Sと第2分極性電極12Sとが対向する方向(図2、図3の矢印Rで示す方向)から見た場合において、第1引出部11Lが引き出される方向に対して平行以外の方向に第2電極12から引き出される。
【0037】
第1集電体11C及び第2集電体12Cは、いずれも平面視が四角形、より具体的には正方形のシート状又は箔状の導体である。したがって、第1電極11及び第2電極12の平面視における形状も、第1集電体11C及び第2集電体12Cと同様の形状になる。なお、後述するように、第1集電体11C及び第2集電体12Cの平面視における形状は正方形に限定されるものではない。平面視とは、第1集電体11C又は第2集電体12Cの表面11P又は12Pに直交する方向から見た状態である。第1集電体11Cの表面11P及び第2集電体12Cの表面12Pに直交する方向は、第1分極性電極11Sと第2分極性電極12Sとが対向する方向に相当する。なお、第1集電体11Cの表面11Pは第1電極11の表面であり、第2集電体12Cの表面12Pは第2電極12の表面である。
【0038】
第1引出部11Lが第1電極11から引き出される方向(第1引出方向)は、図1、図4の矢印C1で示す方向であり、第2引出部12Lが第2電極12から引き出される方向(第2引出方向)は、図1、図4の矢印C2で示す方向である。第1引出方向は、平面視が正方形形状である第1電極11の中心から外側に向かう方向であり、第1引出部11Lが第1電極11から延出する方向である。第2引出方向は、平面視が正方形形状である第2電極12の中心から外側に向かう方向であり、第2引出部12Lが第2電極12から延出する方向である。
【0039】
第1引出部11L及び第2引出部12Lは、いずれも平面視が長方形形状のシート状又は箔状の部材である。第1引出部11Lは、長辺が第1電極11の一辺と直交して第1電極11に取り付けられる。同様に、第2引出部12Lは、長辺が第2電極12の一辺と直交して第1電極11に取り付けられる。このような構造により、第1引出部11Lは、長辺と平行な方向に向かって第1電極11から延出し、第2引出部12Lは、長辺と平行な方向に向かって第2電極12から延出する。このため、蓄電素子10は、第1引出部11Lの長辺と平行な方向、すなわち、第1引出部11Lの長手方向が第1引出方向に相当し、第2引出部12Lの長辺と平行な方向、すなわち、第2引出部12Lの長手方向が第2引出方向に相当する。
【0040】
図1、図4に示すように、第1分極性電極11Sと第2分極性電極12Sとが対向する方向から見た場合、すなわち、平面視において、第2引出部12Lは、第1引出部11Lが引き出される方向に対して平行以外の方向に引き出される。すなわち、図4に示すように、蓄電素子10は、第1引出部11Lが第1電極11から引き出される方向(第1引出方向)と平行な直線L1と、第2引出部12Lが第2電極12から引き出される方向(第2引出方向)と平行な直線L2とのなす角度(引出角度)θが、0度より大きく180度より小さくなる。本実施形態において、引出角度θは90度になる。なお、直線L1と、直線L2’とは、引出角度θが180度になる。引出角度θが180度であるとき、第1引出部11Lと第2引出部12Lとは、それぞれ正反対の方向に引き出される。
【0041】
本実施形態において、引出角度θは、360/n度(nは3以上の整数)である。蓄電素子10は、n=4であり、引出角度θは90度である。これは、蓄電素子10の平面視における形状が正方形(四角形)であることに対応している。
【0042】
複数の蓄電素子10を第1電極11の表面11P及び第2電極12の表面12Pと直交する方向に積層する。そして、隣接する蓄電素子10の第1引出部11Lと第2引出部12Lとを電気的に接続することにより、複数の蓄電素子10を直列接続した蓄電装置を作ることができる。蓄電素子10は、第1引出方向と第2引出方向とが非平行であるので、蓄電素子10を積層する数及び引出角度θの大きさを適切に設定することにより、複数の蓄電素子10を積層して得られた蓄電装置を、その積層方向と平行な方向から見た場合には、第1引出部11L1と、複数存在する第1引出部11L1と第2引出部12Lとの接続部分と、第2引出部12Lとはいずれも重ならなくなる。すなわち、第1引出部11L1と第2引出部と複数の前記接続部分とは、前記蓄電装置の周方向の異なる位置に延出する。複数の蓄電素子10を直列接続した蓄電装置が有する蓄電素子10の数Dは、本実施形態において、D≦ceil((360−θ)/θ)であることが好ましい。ここで、ceil(x)は天井関数を表し、実数xに対して、x以上の最小の整数で定義される。
【0043】
複数の蓄電素子10を直列接続した蓄電装置は、蓄電素子10間のバランス(セルバランス)をとる必要があることから、第1引出部11L1と第2引出部12Lとの接合部分に調整回路を接続することが多い。上述したように、蓄電素子10は、複数存在する第1引出部11L1と第2引出部12Lとの接続部分はいずれも重ならないので、前記蓄電装置に前記調整回路を簡単かつ確実に接続することができる。次に、蓄電素子10の内部構造について説明する。
【0044】
第1電極11の第1集電体11C及び第2電極12の第2集電体12Cは、導体である金属の箔で製造される。第1集電体11C及び第2集電体12Cは、いずれも平滑面を有するアルミニウム箔又はチタン箔の他、これらの表面をエンボス加工又はエッチング処理によって粗く加工したもの使用することができる。第1集電体11C及び第2集電体12Cは、第1電極11及び第2電極12と同形状なので、平面視が正方形形状である。このような形状の第1集電体11Cの表面に第1引出部11Lを取り付けて一辺から延出させ、第2集電体12Cの表面に第2引出部12Lを取り付けて一辺から延出させる。なお、第1引出部11Lを取り付ける部分の第1集電体11Cには、第1分極性電極11Sがないことが望ましく、事前に除去しておくことが好ましい。同様に、第2引出部12Lを取り付ける部分の第2集電体12Cには、第2分極性電極12Sがないことが望ましく、事前に除去しておくことが好ましい。
【0045】
図5は、第1集電体及び第2集電体の他の形状を示す平面図である。この第1電極11となる第1集電体11Cは、平面視が正方形形状のシート又は箔状の導体であり、正方形の一辺から第1引出部11Lを取り付けるための取付部11Tが突出している。第2電極12となる第2集電体12Cも、平面視が正方形形状のシート又は箔状の導体であり、正方形の一辺から第2引出部12Lを取り付けるための取付部12Tが突出している。このように、第1集電体11C及び第2集電体12Cが、それぞれ取付部11T、12Tを有することにより、第1引出部11L及び第2引出部12Lを第1集電体11C及び第2集電体12Cに取り付けやすくなる。なお、取付部11T、12Tには、第1分極性電極11S、第2分極性電極12Sがないことが望ましい。このようにすることで、取付部11T、12Tは、第1電極11と第2電極12とを、セパレータ13を介して交互に多数積層した場合、第1引出部11Lと多数重なった取付部11Tと、第2引出部12Lと多数重なった取付部12Tとを容易に接続することができる。
【0046】
本実施形態において、第1引出部11L及び第2引出部12Lは、Alを含む材料である。なお、第1引出部11L及び第2引出部12Lは、Alが主成分であるが、微量の不純物を含んでいてもよい。第1引出部11L及び第2引出部12Lに用いられるAlの含有率は、少なくとも50質量%以上である。電気伝導性と電解液に対する耐性とを考慮すると、前記含有率の範囲は、95質量%以上であることが好ましい。このようにすれば、電気伝導性及び電解液に対する耐性に優れた第1引出部11L及び第2引出部12Lを得ることができる。
【0047】
第1分極性電極11S及び第2分極性電極12Sは、活物質層である。第1分極性電極11S及び第2分極性電極12Sは、多孔質材料を用いて製造することができる。第1分極性電極11S及び第2分極性電極12Sに用いる多孔質材料は、例えば、活性炭にバインダ樹脂を混ぜて製造することができる。前記バインダ樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素を含む高分子化合物又はスチレンブタジエンゴムのようなゴム系の高分子化合物又はカルボキシメチルセルロース等が挙げられる。第1分極性電極11S及び第2分極性電極12Sは、必要に応じてカーボンブラック、カーボンナノチューブ、黒鉛の微粒子又は微細繊維が導電助剤として配合されてもよい。第1分極性電極11S及び第2分極性電極12Sを製造する際には、これらの材料を、第1集電体11C及び第2集電体12Cの片面又は両面に塗布する。
【0048】
第1電極11及び第2電極12を製造する方法として、活性炭に導電補助剤とバインダとを加えてシート状にした後、第1集電体11C及び第2集電体12Cに接着する方法の他、活性炭をスラリー状にして第1集電体11C及び第2集電体12Cに塗工する方法等もある。スラリー状の活性炭を第1集電体11C及び第2集電体12Cに塗工する方法としては、アプリケータ方式、グラビア方式、リバースロール方式、エクストルージョン(ノズル)方式又はディップ方式等がある。
【0049】
セパレータ13は、第1電極11の第1分極性電極11Sと第2電極12の第2分極性電極12Sとの間に介在する。図1から図3に示すように、本実施形態において、セパレータ13は、平面視が正方形形状である。そして、セパレータ13は、第1電極11及び第2電極12の外周部よりも外側に延在している。セパレータ13として、例えば、質量比10%以上のポリオレフィン系樹脂を含有した不織布又は多孔質フィルムを用いることができる。ポリオレフィン系樹脂の軟化点温度以上の温度環境下で、1対の分極性電極、すなわち、第1分極性電極11Sと第2分極性電極12Sとに圧力を加えることにより、第1分極性電極11Sと第2分極性電極12Sとセパレータ13とを接着することもできる。セパレータ13として、セルロース不織布又はアラミド繊維の不織布を用いることもできる。
【0050】
蓄電素子10は、第1分極性電極11Sと第2分極性電極12Sとの間に電解液が介在する。この電解液としては、水溶液系のものと有機系のものとのいずれでも用いることができる。有機系の電解液の溶媒としては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート、γ−ブチロラクトン、ジメチルホルムアミド、スルホラン、アセトニトリル、プロピオニトリル、メトキシアセトニトリル等がある。また、溶質としては、アンモニウム塩、アミン塩又はアミジン塩などが知られている。
【0051】
図6は、実施形態1の変形例に係る蓄電素子を示す平面図である。図7は、図6のA−A断面図である。蓄電素子10’は、上述した蓄電素子10を、外装体14内に封入したものである。他の構造は、上述した蓄電素子10と同様である。蓄電素子10’は、外装体14内に収容された蓄電素子10と、蓄電素子10の外周部から延出した第1引出部11L及び第2引出部12Lとを有している。
【0052】
外装体14は、蓄電素子10よりも大きい寸法で、第1引出部11Lと第2引出部12Lとが外装体14の外周部から外側に延出している。外装体14は、図7に示すように、第1ラミネートシート14Aと、第2ラミネートシート14Bとを重ね合わせ、これらの周囲の辺近傍領域を接着して作られる。第1ラミネートシート14A及び第2ラミネートシート14Bは、それぞれアルミニウム薄膜の外側表面及び内側表面を樹脂層で被覆したものである。外装体14と第1引出部11Lとの間及び外装体14と第2引出部12Lとの間には、シール材15A、15Bが介在している。シール材15A、15Bは、外装体14と第1引出部11L等との間を密封する。以下の説明において、シール材15A、15Bは省略することがある。
【0053】
図7に示すように、外装体14の密閉された内部空間14SA、14SB内には、電解液とともに蓄電素子10が配置されている。蓄電素子10は、第1引出部11L及び第2引出部12Lを介して電荷を蓄積することができるとともに、蓄積された電荷を放出することもできる。
【0054】
本変形例において、外装体14の平面視における形状は、第1引出部11L及び第2引出部12Lが引き出される位置に合わせて、多角形(この例では四角形であり、より具体的には正方形)が好ましい。蓄電素子10’を複数積層して、隣接する蓄電素子10’の第1引出部11Lと第2引出部12Lとを電気的に接続することにより、蓄電素子10’を複数有する蓄電装置を作ることができる。この場合、複数の蓄電素子10’を積層し、積層方向と直交し、かつ平面視における蓄電素子10’の中心(図心)を通る軸の周りに蓄電素子10’を回転させる。このようにして、隣接する蓄電素子10’の第1引出部11Lと第2引出部12Lとの位置を重ねる。重ねた第1引出部11Lと第2引出部12Lとは、外装体14の外側で接続溶接される。なお、上述した蓄電素子10を複数積層して蓄電装置とする場合も、蓄電素子10’を用いた場合と同様の手法を用いることができる。
【0055】
図8は、本実施形態に係る蓄電素子を複数積層して蓄電装置とした例を示す平面図である。図9は、図8の矢印D方向から蓄電装置を見た状態を示す図である。図8、図9に示す蓄電装置100は、図1から図3に示す蓄電素子10を複数個(この例では3個)積層し、隣接する蓄電素子10の第1引出部11Lと第2引出部12Lとを電気的に接続することにより製造できる。このような構造により、蓄電素子10は、3個の蓄電素子10が直列に接続される。図9に示すように、隣接する蓄電素子10の間には、絶縁体20が設けられている。絶縁体20の材料は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン又はこれらを変性した樹脂材料が好ましい。蓄電装置100は、外側に外装体21を有していてもよい。外装体21は、例えば、上述した蓄電素子10’が有する外装体14と同様に、ラミネートシートを用いることができる。蓄電装置100が外側に外装体21を有する場合、それぞれの絶縁体20は、外装体14に挟み込まれる。このため、外装体21と絶縁体20との平面視における寸法はほぼ同一になる。
【0056】
蓄電装置100は、第1引出部11L又は第2引出部12Lと接続されない第1引出部11Lと第2引出部12Lとが、外部の端子等に接続される端子電極となる。蓄電装置100が有するそれぞれの蓄電素子10は、第1分極性導電体11Sと電解質(液)と第2分極性電極12Sとの間に、電荷が薄い層となって配列しており、これらの間のバイアス印加によって電荷が蓄えられる。電気的に接続された第1引出部11Lと第2引出部12Lとは、直列接続された2個の蓄電素子10同士の接続点における電位を制御するために用いられる。次に、蓄電素子10及びこれを複数用いた蓄電装置100を製造する方法を説明する。
【0057】
図10−1から図10−10は、実施形態1に係る蓄電素子及びこれを複数用いた蓄電装置を製造する方法の説明図である。
【0058】
集電体1に分極性電極をアプリケータ方式で塗布し、溶媒を乾燥除去して集電体素体2を得る。集電体素体2を、50mm×50mmの形状に切り出し、引出部3を取り付ける部分の分極性電極を除去する(図示なし)。このようにすることで、引出部3と集電体1とを確実に接続することができる。なお、引出部3を取り付ける部分の分極性電極を除去しなくてもよい。引出部3には、この後の外装体との接着を確実にするために、変性PPのシートで挟んだものを用いる(図示なし)。分極性電極を除去した場所に引出部3を重ね、この部分を超音波溶接により接続する。これらを2個用意して第1電極11、第2電極12とする。第1電極11と第2電極12を、54mm×54mmの形状に切り出したセパレータ13を介して、第1引出部11Lと第2引出部12Lとが90度方向になるように対向させ、蓄電素子10を得る。蓄電素子10を3個用意して、60mm×60mmに切り出した絶縁体20を介して積層する。積層する際、隣接する蓄電素子10の引出部12Lと、隣接する蓄電素子10の引出部11Lが重なるように、蓄電素子を90度回転させる。これを繰り返し、蓄電素子10を3個重ね、蓄電素子組立体100aを得る。
【0059】
60mm×60mmに切り出した外装体21を2個用意し、蓄電素子組立体100aを挟み込み、外装体21の3辺を熱プレスして封止し、封止前蓄電装置100bを得る。封止をしていない外装体21の残りの1辺から、電解液ESをそれぞれの蓄電素子10に入れ、残りの1辺を熱プレスにより封止する。それぞれ引出部11Lと12Lが重なった部分を超音波溶接によって接続部Wを接続し、3個の蓄電素子10が直列に接続された蓄電装置100を得る。直列数はこれに限定されるものではなく、任意に決めることができる。
【0060】
図11は、端子電極となる第1引出部及び第2引出部に導体の端子を接続した例を示す平面図である。図12は、本実施形態に係る蓄電素子を積層して得られた蓄電装置を基板に実装した回路基板を示す側面図である。図12は、図11に示す蓄電装置100を、矢印Dで示す方向から見た状態を示している。
【0061】
蓄電装置100は、重ねた蓄電素子10において、一方の蓄電素子10(図1参照)の第1引出部11L、一方の蓄電素子10の第2引出部12Lと他方の蓄電素子10の第1引出部11Lとが重ねられる部分のそれぞれの先端及び他方の蓄電素子10の第2引出部12Lの先端に、はんだ付けがしやすいように、導体としての異種金属の端子16L、17L、18Lを接続しておくことが好ましい。すなわち、重ねられた複数の蓄電素子10において、第2引出部12Lと接続されていない第1引出部の先端、第1引出部11Lと第2出部12Lとが重ねられる部分のそれぞれの先端及び第1引出部11Lと接続されていない第2出部12Lの先端に、導体としての異種金属の端子16L、17L、18Lを接続しておくことが好ましい。Wは、第1引出部11Lと端子16Lとの接続部、第2引出部12Lと端子18Lとの接続部及び第1引出部11Lと第2引出部12Lと端子17Lとの接続部を示す。この異種金属は、ニッケル又は銅にメッキ層を備えたものが好ましい。前記メッキ層は、98±1(質量%)のSnと2±1(質量%)のCuとを含むことが好ましい。±1%は許容される誤差である。また、前記異種金属が銅である場合は、ニッケルをめっきしたものでも良い。一方の蓄電素子10の第1引出部11Lと他方の蓄電素子10の第2引出部12Lとが重ねられる部分の先端に、それぞれ異種金属の端子17Lを重ね、第1引出部11Lと第2引出部12Lとが互いに重ねられない部分のそれぞれの先端に、異種金属の端子16Lと18Lとを重ねる。そして、重なったそれぞれの異種金属の端子と引出部とを超音波溶接によって接続して接続部Wを形成する。このようにすることで、それぞれの引出部の先端に異種金属の端子を形成できる。端子16L、17Lは、基板のパッド112と、はんだ113によって接続される。第1引出部11L及び第2引出部12Lと異種金属の端子16L、17Lとの接続は、重ねた面を全面的に使用しても良い。
【0062】
(実施形態2)
図13、図14は、実施形態2に係る蓄電素子の平面図である。図15は、図14のB−B断面図である。
【0063】
第1電極11aとなる集電体素体を、1辺が25mmとなる正六角形の形状に切り出し、引出部3(図10−3参照)を取り付ける部分の分極性電極を除去する(図示なし)。引出部3には、この後の外装体との接着を確実にするために、変性PPのシートで挟んだものを用いる(図示なし)。分極性電極を除去した場所に第1引出部11Lを重ね、この部分を超音波溶接により接続する。これらを2個用意して第1電極11a、第2電極12aとする。第1電極11aと第2電極12aを、一辺が30mmの正六角形の形状に切り出したセパレータ13(図示なし)を介して、第1引出部11Lの引き出される方向の直線L1と、第2引出部12Lの引き出される方向の直線L2との交差する角度θが60度となるように対向させ、蓄電素子10aを得る。
【0064】
蓄電素子10aを5個用意して、一辺が35mmの正六角形の形状に切り出した絶縁体20(図15参照)を介して積層する。積層する際、隣接する蓄電素子10aの引出部12Lと、隣接する蓄電素子10aの引出部11Lとが重なるように、蓄電素子を60度回転させる。これを繰り返し、蓄電素子10aを5個重ね、図14に示す蓄電素子組立体100aを得る。1辺が35mmの正六角形の形状に切り出した外装体21を2個用意し、蓄電素子組立体100aを挟み込み、外装体21の5辺を熱プレスして封止し、封止前蓄電装置を得る。封止をしていない外装体21の残りの1辺から、電解液(図示なし)をそれぞれの蓄電素子10aに入れ、残りの1辺を熱プレスにより封止する。それぞれの引出部11Lと第2引出部12Lとが重なった部分を超音波溶接によって接続して接続部Wとし、5個の蓄電素子10aが直列に接続された蓄電装置100’を得る。それぞれの絶縁体20は、外装体21で挟み込まれる。このため、外装体21と絶縁体20との平面視における寸法はほぼ同一になる。絶縁体20は、一部が外装体21に挟み込まれている。蓄電装置100’は、六角形であることで、蓄電素子10aと第1引出部11L及び第2引出部12Lとの角度が60度に保たれ、正確な角度を得ることができる。直列数はこれに限定されるものではなく、任意に決めることができる。
【0065】
(変形例)
図16−1は、実施形態2の変形例に係る蓄電装置の平面図である。図16−2は、実施形態2の変形例に係る蓄電素子の側面図である。蓄電装置100a’’は、平面視が六角形の蓄電素子10aを外装体21の内部に密封し、これを複数積層したものである。蓄電素子10a(図13参照)は、1辺が35mmの正六角形の形状に切り出した2個の外装体21で挟み込まれる。蓄電素子10aを挟み込んだ2個の外装体21は、5辺が熱プレスされることにより封止される。2個の外装体21は、封止をしていない残りの1辺から、電解液が蓄電素子10aに注入される。その後、2個の外装体21は、残りの1辺を熱プレスにより封止する。このようにして、外装体21に封入された蓄電素子10aが得られる。
【0066】
外装体21に封入された蓄電素子10aは、複数積み重ねられる。そして、それぞれの蓄電素子10aの引出部11Lと第2引出部12Lとが重なった部分は、超音波溶接によって接続されて接続部Wとなる。外装体21に封入された蓄電素子10aが5個直列に接続されて、蓄電装置100’’となる。蓄電装置100’’は、六角形であることで、蓄電素子10aと第1引出部11L及び第2引出部12Lとの角度が60度に保たれ、正確な角度を得ることができる。直列数は5個に限定されるものではなく、任意に決めることができる。
【0067】
(実施形態3)
図17は、実施形態3に係る蓄電素子の平面図である。図18は、実施形態3に係る蓄電素子を複数積層した蓄電装置を示す平面図である。
【0068】
第1電極11bとなる集電体素体を、直径が50mmとなる円形の形状に切り出し、引出部3を取り付ける部分の分極性電極を除去する(図示なし)。引出部3には、この後の外装体との接着を確実にするために、変性PPのシートで挟んだものを用いる(図示なし)。分極性電極を除去した場所に第1引出部11Lを重ね、この部分を超音波溶接により接続する。これらを2個用意して第1電極11b、第2電極12bとする。
【0069】
第1電極11bと第2電極12bとを、直径が55mmの円形の形状に切り出したセパレータ13(図示なし)を介して、第1引出部11Lの引き出される方向の直線L1と、第2引出部12Lの引き出される方向の直線L2との交差する角度θが30度となるように対向させ、蓄電素子10bを得る。11個の蓄電素子10bを用意して、直径が60mmの円形の形状に切り出した絶縁体20(図示なし)を介して積層する。積層する際、隣接する蓄電素子10bの第2引出部12Lと、隣接する蓄電素子10bの第1引出部11Lが重なるように、蓄電素子を30度回転させる。これを繰り返し、蓄電素子10aを11個重ね、蓄電装置としての蓄電素子組立体100bを得る。
【0070】
直径が60mmの円形の形状に切り出した外装体21を2個用意し、蓄電素子組立体100bを挟み込み、外装体21の円周を一部残して熱プレスして封止し、封止前における蓄電素子組立体100b(図示なし)を得る。封止をしていない外装体21の残りの円周から、電解液(図示なし)をそれぞれの蓄電素子10bに入れ、残りの1辺を熱プレスにより封止する。第1引出部11Lと第2引出部12Lとが重なった部分を超音波溶接によって接続して接続部Wとし、11個の蓄電素子10bが直列に接続された蓄電素子組立体100bを得る。蓄電素子組立体100bは、円形であることで、蓄電素子の形状に影響を受けないで第1引出部11L及び第2引出部12Lの角度を任意に設計することができる。直列数、角度θはこれに限定されるものではなく、任意に決めることができる。
【0071】
(実施形態4)
図19は、実施形態4に係る蓄電素子の平面図である。図20は、実施形態4に係る蓄電素子を複数積層した蓄電装置を示す平面図である。集電体素体2(図10−2参照)を、50mm×50mmの四角形の形状に切り出し、それぞれ引出部3を取り付ける部分の分極性電極を除去する(図示なし)。引出部3には、この後の外装体との接着を確実にするために、変性PPのシートで挟んだものを用いる(図示なし)。分極性電極を除去した場所に引出部3を重ね、この部分を超音波溶接により接続する。これらを2個用意して第1電極11、第2電極12とする。第1電極11と第2電極12とを、54mm×54mmの形状に切り出したセパレータ13を介して、第1引出部11Lと第2引出部12Lとが90度方向になるように対向させ、蓄電素子10を得る。
【0072】
集電体素体2を、1辺が50mmの正三角形の形状に切り出し、それぞれ引出部3を取り付ける部分の分極性電極を除去する(図示なし)。引出部3には、この後の外装体との接着を確実にするために、変性PPのシートで挟んだものを用いる(図示なし)。分極性電極を除去した場所に引出部3を重ね、この部分を超音波溶接により接続する。これらを2個用意して第1電極11、第2電極12とする。第1電極11と第2電極12を、1辺が55mmの正三角形の形状に切り出したセパレータ13を介して、第1引出部11Lと第2引出部12Lとが120度方向になるように対向させ、蓄電素子10cを得る。
【0073】
蓄電素子10と10cとを、60mm×60mmに切り出した絶縁体20を介して積層する。積層する際、隣接する蓄電素子10の引出部12Lと、隣接する蓄電素子10cの引出部11Lが重なるように、蓄電素子10、10cを重ね、蓄電素子組立体100cを得る。60mm×60mmに切り出した外装体21を2個用意し、蓄電素子組立体100cを挟み込み、外装体21の3辺を熱プレスして封止し、封止前蓄電装置を得る。封止をしていない外装体21の残りの1辺から、電解液をそれぞれの蓄電素子10、10cに入れ、残りの1辺を熱プレスにより封止する。引出部11Lと12Lが重なった部分を超音波溶接によって接続部Wを接続し、2個の蓄電素子10、10cが直列に接続された蓄電装置を得る。異なる電極形状、引出部を有することで、任意の方向に引出部を出す設計ができる。直列数はこれに限定されるものではなく、任意に決めることができる。
【0074】
(実施形態5)
図21は、実施形態5に係る蓄電素子の平面図である。図22は、実施形態5に係る蓄電素子を同一平面に複数配列した蓄電装置を示す平面図である。集電体素体2を、50mm×50mmの形状に切り出し、引出部3を取り付ける部分の分極性電極を除去する(図示なし)。引出部3には、この後の外装体との接着を確実にするために、変性PPのシートで挟んだものを用いる(図示なし)。分極性電極を除去した場所に引出部3を重ね、この部分を超音波溶接により接続する。これらを2個用意して第1電極11、第2電極12とする。第1電極11と第2電極12とを、54mm×54mmの形状に切り出したセパレータ13を介して、第1引出部11Lと第2引出部12Lとが90度方向になるように対向させ、蓄電素子10を得る。
【0075】
60mm×60mmに切り出した外装体21を、2個用意し、蓄電素子10を挟み込み、外装体21の3辺を熱プレスして封止し、封止前蓄電装を得る。封止をしていない外装体21の残りの1辺から、電解液を蓄電素子10に入れ、残りの1辺を熱プレスにより封止する。
【0076】
集電体素体2を、50mm×50mmの形状に切り出し、引出部3を取り付ける部分の分極性電極を除去する(図示なし)。引出部3には、この後の外装体との接着を確実にするために、変性PPのシートで挟んだものを用いる(図示なし)。分極性電極を除去した場所に引出部3を重ね、この部分を超音波溶接により接続する。これらを2個用意して第1電極11、第2電極12とする。第1電極11と第2電極12を、54mm×54mmの形状に切り出したセパレータ13を介して、第1引出部11Lと第2引出部12Lとが180度方向になるように対向させ、蓄電素子10dを得る。
【0077】
60mm×60mmに切り出した外装体21を、2個用意し、蓄電素子10を挟み込み、外装体21の3辺を熱プレスして封止し、封止前蓄電装を得る。封止をしていない外装体21の残りの1辺から、電解液ESを蓄電素子10cに入れ、残りの1辺を熱プレスにより封止する。
【0078】
蓄電素子10を3個、蓄電素子10dを6個用意し、9個の蓄電素子を並べ、重なる第1引出部11Lと第2引出部12Lとを超音波溶接で接続した蓄電装置100dを得る。これにより、9直列接続の蓄電装置100dは、実装面に対して実装効率が良く、高さの小さい形態を得ることができる。直列の配置及び数は、これに限定されるものではなく、任意に決めることができる。
【0079】
(実施形態6)
図23は、実施形態6に係る蓄電素子の平面図である。図24は、実施形態6に係る蓄電素子を同一平面に複数配列した蓄電装置を示す平面図である。第1電極11a(図13参照)となる集電体素体を、1辺が25mmとなる正六角形の形状に切り出し、引出部3を取り付ける部分の分極性電極を除去する(図示なし)。引出部3には、この後の外装体との接着を確実にするために、変性PPのシートで挟んだものを用いる(図示なし)。分極性電極を除去した場所に第1引出部11Lを重ね、この部分を超音波溶接により接続する。これらを2個用意して第1電極11a、第2電極12aとする。第1電極11aと第2電極12aとを、一辺が30mmの正六角形の形状に切り出したセパレータ13(図示なし)を介して、第1引出部11Lの引き出される方向の直線L1と、第2引出部12Lの引き出される方向の直線L2との交差する角度θが60度、120度又は180度となるように対向させ、蓄電素子10a、10a1、10eを得る。
【0080】
1辺が35mmの六角形の形状に切り出した外装体21を2個用意し、蓄電素子10a、10a1又は10eを挟み込み、外装体21の5辺を熱プレスして封止し、封止前蓄電装を得る。封止をしていない外装体21の残りの1辺から、電解液ESを蓄電素子10a、又は10a1、10eに入れ、残りの1辺を熱プレスにより封止する。
【0081】
蓄電素子10aを4個、蓄電素子10a1を4個、蓄電素子10eを2個用意し、計10個の蓄電素子10a、10a1、10eを並べ、重なる第1引出部11Lと第2引出部12Lとを超音波溶接で接続した蓄電装置100eを得る。これにより、10直列接続の蓄電装置は、実装面に対して実装効率が良く、高さの小さい形態を得ることができる。直列の配置及び数は、これに限定されるものではなく、任意に決めることができる。
【0082】
本発明は、記述した内容に限定されない。電極の辺の数とリードの数が同じである必要はなく、電極の形状が四角形で、リード位置が60度回転したセルを組み合わせても良い。電極の形状が六角形で、リード位置が120度回転したセルを組み合わせて、3直列としても良い。また、積層することなく、搭載平面に広げて配置しても良い。1個のセルにおいて、セパレータを介して2枚以上の電極を積層しても良い。
【0083】
以上、ラミネート外装体を用いた薄型EDLCは、定格電圧の向上が要求されるが、EDLCの定格電圧には限界があり、直列接続することで定格電圧を上げる手法がとられる。本実施形態では、セル形状とリードの角度を調整した設計にすることで、容易に直列接続構造を採用することができる。
【符号の説明】
【0084】
1 集電体
2 集電体素体
3 引出部
10、10a、10a1、10b、10c、10d、10e 蓄電素子
11、11a、11b 第1電極
11C 第1集電体
11L 第1引出部
11T、12T 取付部
11P、12P 表面
11S 第1分極性電極
12、12a、12b 第2電極
12L 第2引出部
12T 取付部
12C 第2集電体
12P 表面
12S 分極性電極
13 セパレータ
14A 第1ラミネートシート
14B 第2ラミネートシート
14、21 外装体
14SA 内部空間
16L、17L、18L 端子
20 絶縁体
100、100’、100’’、100d、100e 蓄電装置
100a 蓄電素子組立体
100b、100c 封止前蓄電装置
112 パッド
113 はんだ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1集電体の表面に第1分極性電極が設けられる第1電極と、
第2集電体の表面に第2分極性電極が設けられて、前記第2分極性電極がセパレータを介して前記第1分極性電極と対向する第2電極と、
前記第1集電体と電気的に接続されるとともに、前記第1電極から引き出される第1引出部と、
前記第2集電体と電気的に接続されるとともに、前記第1分極性電極と前記第2分極性電極とが対向する方向から見た場合において、前記第1引出部が引き出される方向に対して平行以外の方向に前記第2電極から引き出される第2引出部と、
を含むことを特徴とする蓄電素子。
【請求項2】
前記第1引出部が前記第1電極から引き出される方向と平行な直線と、前記第2引出部が前記第2電極から引き出される方向と平行な直線とのなす角度θは、360/n度(nは3以上の整数)である請求項1に記載の蓄電素子。
【請求項3】
nは12以下である請求項2に記載の蓄電素子。
【請求項4】
前記第1分極性電極と前記第2分極性電極とが対向する方向から見た場合において、前記第1電極及び前記第2電極の形状は、n角形又は円形である請求項2又は3に記載の蓄電素子。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の蓄電素子を複数積層し、隣接する前記蓄電素子の前記第1引出部と前記第2引出部とを電気的に接続したことを特徴とする蓄電装置。
【請求項6】
複数の前記蓄電素子の数Dは、D≦ceil((360−θ)/θ)である請求項5に記載の蓄電装置。
ceil(x)は天井関数を表し、実数xに対して、x以上の最小の整数。
【請求項7】
前記第1分極性電極と前記第2分極性電極とが対向する方向から見た場合において、少なくとも1個の前記蓄電素子の形状は、他の前記蓄電素子の形状とは異なる請求項5又は6に記載の蓄電装置。
【請求項8】
請求項1から4のいずれか1項に記載の蓄電素子を少なくとも1個含む複数の蓄電素子を同一平面に配置して直列接続したことを特徴とする蓄電装置。
【請求項9】
請求項5から8のいずれか1項に記載の蓄電装置と、
前記蓄電装置が搭載されるとともに、表面に電極パッドを有する基板と、
前記外装体の表面と、前記基板との間に介在して両者を固定する固定部材と、
前記電極パッドと前記端子との間に介在して両者を電気的に接続するはんだ材料と、
を含むことを特徴とする回路基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10−1】
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【図10−2】
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【図10−3】
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【図10−4】
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【図10−5】
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【図10−6】
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【図10−7】
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【図10−8】
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【図10−9】
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【図10−10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16−1】
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【図16−2】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2013−74205(P2013−74205A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−213446(P2011−213446)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】