説明

蓄電素子

【課題】 蓄電素子において電極体と集電体との干渉を低減する。
【解決手段】 電池本体10及び蓋部20からなる電池容器と、電池容器に設けられた電極端子23と、電極端子23とそれぞれ接続する集電体12と、電池容器内に収納され、集電体12と接続される電極体11とを備え、電極体11は、電極体本体20と、電極体本体30と集電体11との間に設けられたタブ41a及び41a´を含む絶縁シート40とを有する非水電解質二次電池1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば二次電池その他の電池等の蓄電素子に関する。
【背景技術】
【0002】
二次電池は、一次電池の置きかえ用途はもとより、携帯電話、IT機器などの電子機器の電源として広く普及している。とりわけ、リチウムイオン電池に代表される非水電解質二次電池は、高エネルギー密度であることから、電気自動車などの産業用大型電気機器への応用も進められている。
【0003】
図13は、従来の技術による、非水電解質二次電池の模式的な構成を示す分解斜視図である(例えば特許文献1を参照)。
【0004】
図13に示すように、非水電解質二次電池100は、開口110xを有する開口箱状の容器本体110と、アルミニウム製の板状の蓋部120とから構成される、外形六面体の電池容器を外装として備える。
【0005】
電極体111は、帯状の電極である正極と負極を、セパレータを介して長円筒形に巻回してなる電極体本体111bと、電極体本体111aの更に外周に巻回された絶縁シート111cとを備える。
【0006】
電極体本体111bは、巻回された状態において、正極及び負極は巻回軸の両端の異なる方向に位置ずれし、電極体111の両端にそれぞれ位置する。更に、各電極の端部は活物質が担持されておらず、基材である金属箔が露出している。電極体本体111の両端部にそれぞれはみ出した金属箔としての正極111a、負極111a´には、導電性の金属板である、正極側の集電体112及び負極側の集電体112´がそれぞれ接続される。
【0007】
絶縁シート111cは、ポリエステル、ポリエチレン、ポリフェニレンエーテル等の合成樹脂製の、薄いシート状の部材であり、後述する絶縁封止材113及び121とともに電池容器と電極体111とを絶縁する手段である。
【0008】
絶縁シート111cの巻回軸に沿った幅は、電極体本体111bよりも小さくなっており、したがって絶縁シート111cが捲かれた状態であっても、電極体111の両端の正極111a、負極111a´は露出しており、集電体112及び112´と直接接合し、電気的接続が確保されている。
【0009】
次に、集電体112の一端は、電極体111の表面と平行に延伸し、その表面には貫通孔112aが形成されている。又、他端は電極体111の側面に向かって屈曲し、電極体111の側面に露出した巻回状態の金属箔としての正極111aと共に、アルミニウム等の金属製の挟持板114に挟まれて超音波溶接等により接続、固定されている。負極側の集電体112´も同様の構成を有する。
【0010】
蓋部120の両端には端子引出用の貫通孔が開口されている。なお、図11においては、正極側の貫通孔120aのみを示し、負極側の貫通孔は後述する部品の陰に隠れるため図示されない。蓋部120と集電体114との間には絶縁封止材113が位置している。絶縁封止材113は合成樹脂等の絶縁性及び一定の弾性を備えた合成樹脂製の部材であり、その表面には蓋部120の貫通孔120a及び集電体112の貫通孔112aと同心円をなす貫通孔113aが形成されている。
【0011】
更に、蓋部120の短辺側の端部近傍と重なるように絶縁封止材121が位置している。絶縁封止材121は絶縁封止材113と同様の合成樹脂製の部材であり、その表面には蓋部120の貫通孔120aと同心円をなす貫通孔121bが形成されている。又、絶縁封止材121の、蓋部120と対向する側には筒部121cが形成されており、貫通孔121bは筒部121c内を延伸している。筒部121cは貫通孔120a及び113aに対応した外形を有し、これら各貫通孔に嵌り込むようになっている。
【0012】
更に、絶縁封止材121の主面を蔽うように、電極端子130が配置されている。電極端子130は貫通孔121bと同心円状の貫通孔130aが設けられた、アルミニウム又はアルミニウム合金その他の導電性の金属製の板状の部材である。
【0013】
又、電極端子130の貫通孔130aには固定部材131が挿入される。固定部材131は、アルミニウム、銅又はそれらの合金等の導電性の金属製部品であり、電極端子130と集電体112とを電気的に接続するとともに、蓋部120と電極体111とを機械的に結合するための部材である。
【0014】
上述した各部は、非水電解質二次電池100においては、以下のように組み合わされる。すなわち、蓋部120の貫通孔120a及び絶縁封止材113の貫通孔113aには、絶縁封止材121の筒部121cが貫通し、筒部121cの端面は、絶縁封止材113の主面とともに集電体112の主面に接触する。そして、固定部材131は、電極端子130の貫通孔130b、絶縁封止材121の貫通孔121b及び集電体112の貫通孔112aを貫通した状態で、その両端131a及び131bがかしめられる。
【0015】
かしめられた固定部材131の両端131a及び131bの外径はそれぞれ各貫通孔の内径より大きくなるため、電極端子130、絶縁封止材121,蓋部120、絶縁封止材113及び集電体112はこれら両端131a及び131bにより挟まれることで互いに圧着され、一体的に固定される。又、集電体112及び電極端子130は固定部材131により接続されることで電気的にも接続される。なお、固定部材131の側面は絶縁封止材121の筒部121cによって蔽われることとなり、蓋部120と固定部材131との間は絶縁状態が確保される。
【0016】
一方、集電体112は、固定部材131のかしめられた先端131a及び絶縁封止材113により直接挟まれる基台部112bと、基台部112bの側端から直角に屈曲して図中下方に延伸し、発電素子111の両側面に露出する正極111a他の電極に接続される一対の腕部112cとを備える。したがって、発電素子111は、一対の腕部112cの主面同士及び基台部112bの下面に挟まれた空間内に配置される。
【0017】
このような構成を備えたことにより、電極体111にて発生した電力は集電体112及び電極端子130を介して容器本体110の外に取り出される。具体的には、図示しない外部負荷の配線を電極端子130の主面に溶接固定することにより、非水電解質二次電池100と外部負荷との電気的接続を完成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】特開2011−049066号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
従来の技術による非水電解質二次電池の構成は以上のようなものであるが、上記従来の技術においては、以下のような問題があった。
【0020】
すなわち、非水電解質二次電池100の組立ては、電極端子130、絶縁封止材113、絶縁封止材121、集電体112及び電極体111を予め一体に組み合わせており、開口110xに電極体111を挿入するようにして蓋部120で容器本体110を密閉し、接合箇所をレーザ溶接することにより行う。
【0021】
しかしながら、図13に示すように、電極体111において、正負各電極111a、111bに集電体112、112´を接合する際に、絶縁シート111cに覆われていない、正負各電極111a、111bの表面115、115´に集電体112が接触した場合、電極体111が損傷する恐れがあった。又、完成後の非水電解質二次電池100においても、長期間の使用に伴う電池容器の膨張、外部からの圧力等の原因で電池容器が変形した場合、集電体112と電極体111の表面とが接触し、短絡等の不具合を生ずる恐れがあった。
【0022】
このように、従来の技術による非水電解質二次電池のような蓄電素子においては、電極体と集電体との干渉に起因する不具合が生じる恐れがあるという課題があった。
【0023】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、電極体と集電体との干渉を低減することが可能な蓄電素子及びそれに用いられる電極体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0024】
上記の目的を達成するために、本発明の第1の側面は、
素子容器と、
前記素子容器に設けられた電極端子と、
前記電極端子とそれぞれ接続する集電体と、
前記素子容器内に収納され、前記集電体と接続される電極体とを備え、
前記電極体は、
電極体本体と、
前記電極体本体と前記集電体との間に設けられた絶縁体とを有する、蓄電素子である。
【0025】
又、本発明の第2の側面は、
前記絶縁体は、前記集電体の間の、前記電極体の表面に沿って設けられている、
本発明の第1の側面の蓄電素子である。
【0026】
又、本発明の第3の側面は、
前記絶縁体は、前記集電体が接続された箇所に設けられていない、
本発明の第1又は第2の側面の蓄電素子である。
【0027】
又、本発明の第4の側面は、
前記電極体本体は、
正極部材及び負極部材が、セパレータを介して巻回されてなる巻回体の構成を有し、
前記絶縁体は、
前記巻回体の最外周に、前記巻回体とは独立して巻回されたシート状の部材である、
本発明の第1から第3のいずれかの側面の蓄電素子である。
【0028】
又、本発明の第5の側面は、
前記電極体本体は、
正極部材及び負極部材が、セパレータを介して巻回されてなる巻回体の構成を有し、
前記絶縁体は、
前記電極体本体の巻回体の最外周にまで巻回された前記セパレータである、
本発明の第1から第3のいずれかの側面の蓄電素子である。
【0029】
又、本発明の第6の側面は、
前記絶縁体は、その巻回軸方向における幅が、
前記対向面に対応する部分にて最も大きく、
少なくとも前記集電体に隣接する部分にて最も小さい、
本発明の第4又は第5の側面の蓄電素子である。
【0030】
又、本発明の第7の側面は、
前記絶縁体は、前記電極体本体の最外周に少なくとも一周以上巻回されており、
巻回により積層された部分は、巻回軸を間に挟んで前記集電体と前記電極端子との接続箇所に対向している、
本発明の第1から第6のいずれかの側面の蓄電素子である。
【0031】
又、本発明の第8の側面は、
前記絶縁体は、前記電極体本体の最外周に少なくとも一周以上巻回されており、
巻回により積層された部分は、前記集電体と前記電極端子との接続箇所に直接対向している、
本発明の第1から第6のいずれかの側面の蓄電素子である。
【0032】
又、本発明の第9の側面は、
前記絶縁体は、前記集電体と前記電極端子との接続箇所に対向する部分の厚みが、他の部分の厚みより大きい、
本発明の第1から第8のいずれかの側面の蓄電素子である。
【0033】
又、本発明の第10の側面は、
前記絶縁体は、
前記集電体と前記電極端子との接続箇所に対向する部分が、前記電極体本体の表面上にて蛇腹状に折り畳まれている、
本発明の第1から第9のいずれかの側面の蓄電素子である。
【0034】
又、本発明の第11の側面は、
前記電極端子と接続される基台部と、
前記基台部から延伸し、前記電極体と接続される、少なくとも一本の腕部とを有し、
前記腕部は、正極の前記集電体と負極の前記集電体とを結ぶ直線に直交する断面形状において前記基台部から遠ざかるように湾曲又は屈曲した部分を有し、
前記絶縁体は、前記腕部の前記湾曲又は屈曲した部分と対向している、
本発明の第1から第10のいずれかの側面の蓄電素子である。
【0035】
又、本発明の第12の側面は、
前記集電体は、
前記電極端子と接続される基台部と、
前記基台部から延伸し、前記電極体と接続される、少なくとも一本の腕部とを有し、
前記腕部は、前記電極体に渡る表面に投影される形状において前記基台部から遠ざかるように湾曲又は屈曲した部分を有し、
前記絶縁体は、前記腕部の前記湾曲又は屈曲した部分と対向している、
本発明の第1から第10のいずれかの側面の蓄電素子である。
【0036】
又、本発明の第13の側面は、
前記正極の前記腕部又は前記正極の前記腕部は、湾曲した縁面を有する、
本発明の第12の側面の蓄電素子である。
【0037】
又、本発明の第14の側面は、
前記素子容器の内壁には凹部が設けられており、
前記集電体の前記基台部は、前記凹部内に位置している、
本発明の第11から第13のいずれかの側面の蓄電素子である。
【発明の効果】
【0038】
以上のような本発明によれば、蓄電素子において電極体と集電体との干渉を低減することが可能になるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の実施の形態に係る非水電解質二次電池の構成を示す分解斜視図
【図2】本発明の実施の形態に係る非水電解質二次電池の構成を示す断面図
【図3】本発明の実施の形態に係る非水電解質二次電池の構成を示す要部断面図
【図4】本発明の実施の形態に係る非水電解質二次電池の電極体本体の構成を示す斜視図
【図5】本発明の実施の形態に係る非水電解質二次電池の電極体の構成を示す斜視図
【図6】(a)本発明の実施の形態に係る非水電解質二次電池の絶縁シートの構成を示す平面図(b)本発明の実施の形態に係る非水電解質二次電池の絶縁シートの巻回状態を説明するための図
【図7】(a)本発明の実施の形態に係る非水電解質二次電池の絶縁シートの構成を示す平面図(b)本発明の実施の形態に係る非水電解質二次電池の絶縁シートの巻回状態を説明するための図
【図8】(a)本発明の実施の形態に係る非水電解質二次電池の絶縁シートの構成を示す平面図(b)本発明の実施の形態に係る非水電解質二次電池の絶縁シートの巻回状態を説明するための図
【図9】(a)本発明の実施の形態に係る非水電解質二次電池の絶縁シートの構成を示す平面図(b)本発明の実施の形態に係る非水電解質二次電池の絶縁シートの巻回状態を説明するための図
【図10】本発明の実施の形態に係る非水電解質二次電池の電極体の他の構成を示す斜視図
【図11】図1の本発明の実施の形態に係る非水電解質二次電池の組立て状態を示す等角投影図
【図12】(a)図1の本発明の実施の形態に係る非水電解質二次電池の組立て状態を示す平面図(b)図1の本発明の実施の形態に係る非水電解質二次電池の組立て状態を示す底面図
【図13】従来の技術による非水電解質二次電池の構成を示す分解斜視図
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0041】
図1は、本発明の実施の形態に係る非水電解質二次電池1の模式的な構成を示す分解斜視図であり、図2は、図1の非水電解質二次電池1の蓋部20の長手方向に平行、且つ接続部材23bの延伸方向と直交する図中直線Xによる模式的断面図であり、図3は、図1の非水電解質二次電池1の蓋部20の短手方向に平行、且つ接続部材23bの延伸方向と直交する図中直線Yによる要部断面図である。
【0042】
図1に示すように、本実施の形態の非水電解質二次電池1は、アルミニウム製の板状の蓋部20と開口10xを有する開口箱状の容器本体10から構成される外形六面体の電池容器を、外装として備える。
【0043】
電極体11は、帯状の電極である正極と負極を、セパレータを介して長円筒形に巻回してなる電極体本体30と、電極体本体30の更に外周に巻回された絶縁シート40とを備える。
【0044】
電極体本体30は、従来例と同様、巻回された状態において、正極及び負極が巻回軸の両端の異なる方向に位置ずれし、電極体11の両端にそれぞれ位置する。更に、各電極の端部は活物質が担持されておらず、基材である金属箔が露出している。電極体11の両端部にそれぞれはみ出した金属箔としての正極11a、負極11a´には、導電性の金属部材から構成された、正極側の集電体12及び負極側の集電体12´がそれぞれ接続される。なお、電極体11の巻回軸の延伸方向、すなわち正極11aと負極11a´とを結ぶ、又は集電体12と12´とを結ぶ直線は、図中直線Xに平行であり、電極体11の巻回軸に直交する方向、すなわち正極11aと負極11a´とを結ぶ、又は集電体12と12´とを結ぶ直線に直交する方向は、図中直線Yに平行な位置関係となっている。
【0045】
絶縁シート40もまた、従来例同様、ポリエステル、ポリエチレン、ポリフェニレンエーテル等の合成樹脂製の、薄いシート状の部材であり、後述する絶縁封止材113及び121とともに電池容器と電極体111とを絶縁する手段である。
【0046】
なお、電極体本体30及び絶縁シート40の構成については、後に更に詳細に説明する。
【0047】
次に、集電体12の一端は、電極体11の表面と平行に延伸した板状の構成を有し、その表面には貫通孔12aが形成されている。又、他端は電極体11の側面に向かって湾曲し、電極体11の側面に露出した巻回状態の金属箔としての正極11aに、超音波溶接等により接続、固定されている。負極側の集電体12´も同様の構成を有する。又、図2に示すように、集電体12と電極体11の正極11aとの接続箇所15は、集電体12の上記他端のうち、容器本体10の深さ方向に沿って直進する部分と電極体11の正極11aとが対向する位置である。図示省略したが負極11a´側も同様である。
【0048】
又、当該接続箇所は、図1に示すように、樹脂製の挟持板14により被覆される。なお、図2においては説明のため狭持板14は省略した。
【0049】
次に、本実施の形態1の蓋部20は、その両端には、表面20aから盛り上がった凸部21が形成されている。凸部21はその上部が表面20aと平行な平面21bを形成しており、かつ平面21b上に貫通孔21aが開口されている。なお、図1においては、正極側の貫通孔21aのみを示し、負極側の貫通孔は後述する絶縁封止材の陰に隠れるため図示されない。
【0050】
蓋部20と集電体12との間には、集電体12に覆い被さるように絶縁封止材13が位置している。絶縁封止材13は合成樹脂等の絶縁性及び一定の弾性を備えた合成樹脂製の部材であり、その表面には蓋部20の貫通孔21a及び集電体12の貫通孔12aと同心円をなす貫通孔13aが形成されている。
【0051】
更に、蓋部20の凸部21に覆い被さるように絶縁封止材22が位置している。絶縁封止材22は絶縁封止材13と同様の合成樹脂製の部材であり、その表面には蓋部20の貫通孔21aと同心円をなす貫通孔22dが開口されている。又、絶縁封止材22の、蓋部20と対向する側には筒部22cが形成されており、貫通孔22dは筒部22c内を延伸している。筒部22cは貫通孔21a及び13aに対応した外形を有し、これら各貫通孔に嵌り込むようになっている。
【0052】
更に、絶縁封止材22の表面には枠体22eが形成されており、貫通孔21dは枠体22eで囲まれた主面22b上に開口されている。
【0053】
次に、絶縁封止材22の主面22b内に載置されるように、電極端子23が配置されている。電極端子23は枠体22eの内形に対応した平面形状を有する、アルミニウム又はアルミニウム合金その他の導電性の金属製の電極部23aと電極部23aの表面から突き出した接続部材23bとから構成される。接続部材23bはアルミニウム、銅又はそれらの合金等の導電性の金属製部品であり、電極部23aと集電体12とを電気的に接続するとともに、蓋部20と電極体11とを機械的に結合する役割を果たす。
【0054】
なお、電極端子23において、電極部23aと接続部材23bとは、鍛造、鋳造等によって同一の素材から構成されていてもよいし、独立した2つの異種又は同種材料の素材を一体成形することにより構成されていてもよい。
【0055】
又、上述した各部の組合せの態様は、基本的には従来例と同様である。すなわち、図3に示すように、蓋部20の貫通孔21a及び絶縁封止材13の貫通孔13aには、絶縁封止材22の筒部22cが貫通しており、筒部22cの端面は、絶縁封止材13の主面とともに、集電体12の主面に接している。そして、電極端子23の接続部材23bは、絶縁封止材21の貫通孔21a及び集電体12の貫通孔12aを貫通した状態で、その先端がかしめられ、かしめ端23cに整形される。
【0056】
かしめ端23cの外径は各貫通孔より大きいため、絶縁封止材22、蓋部20、絶縁封止材13及び集電体12は、電極端子23の電極部23aとかしめ端23cとに挟まれることで互いに圧着され、一体的に固定される。又、集電体12及び電極端子23は接続部材23bを介することで電気的にも接続される。なお、接続部材23bの側面は絶縁封止材22の筒部22cによって蔽われているため、蓋部20と接続部材23bとの間は絶縁状態が確保されている。
【0057】
又、図3に示すように、本実施の形態の蓋部20は、その裏側に、容器本体10の開口10xに嵌合するように、容器本体10の端面と当接する側端の内側に形成され、当該を含めた他の部分よりも厚みが大きい枠部20bを有している。又、蓋部20の、凸部21を除いた部分の厚みは、枠部20bにおいて最も大きく、次いで側端、次いで枠部20bで囲まれた裏面20c、の順に小さくなっている。
【0058】
又、蓋部20は、その構成部材の断面の厚みは一様であり、したがって、凸部21は、蓋部20の裏面20c上に更に設けられた凹みに対応した、部材の形状変化として形成されている。以下、裏面20c上の凹みを凹部21xと称する。
【0059】
更に、凹部21xは、蓋部20の長手方向に沿って、その根元から表面20aに向かって開くように傾斜した、テーパ面としての壁面21dを有する。そして絶縁封止材13は、凹部21xの内側に、これらの壁面に囲まれるように配置されている。
【0060】
絶縁封止材13もまた、その周縁に電極体11に向かって立ち上がった壁面を有しており、開口を有するトレイ状の形状となっている。この開口の内側に、集電体12の根元部分である、基台部12bと、貫通孔12aを介して突出したかしめ端23cとが位置している。
【0061】
同様に、蓋部20の凸部21の外側に位置している絶縁封止材22も、凸部21に対応したトレイ状の形状を有する。又、凸部21の壁面21dの形状に対応して、絶縁封止材の側壁22aは、蓋部20の表面20aに対して、長手方向においては傾斜している。
【0062】
次に、集電体12は、一枚の金属板をプレス等により屈曲加工することにより形成されており、概略平板状の基台部12bと、基台部12の両端から延伸する一対の腕部12cとを備える。
【0063】
図1及び図3に示すように、基台部12bは、貫通孔12aが開口された外形平板状の部材で、その縁辺は、蓋部20の凹部21xの内壁である壁面21dに対応して、電極体11から屈曲している。
【0064】
又、腕部12cは、電極体11の側面に対応して、基台部12bから容器本体10の底に向かって延伸する外形矩形状の平板であって、集電体12全体においては一対で平行面を形成する。図3に示すように、一対の腕部12は、共に基台部12bから離れる向きに広がるように延伸する渡り部分12c3と、渡り部分12c3から屈曲して、基台部12bに直交して図中下方に延伸する直線部分12c4とから構成され、直線部分12c4の対向した平行面内に電極体11を挟み込んで接続している。
【0065】
更に、図1及び図2に示すように、集電体12の腕部12cは、図中電極体11の正極11aと負極11a´とに渡る側面から見て、貫通孔12aから電極体11の側端に向かって後退する方向、すなわち集電体12の基台部12bから遠ざかるに向きに湾曲する渡り部分12c1と、渡り部分12c1から屈曲して、基台部12bに直交して図中下方に延伸する直線部分12c2とから構成される。
【0066】
なお、図2及び図3に示すように、渡り部分12c3と直線部分12c4との境界L2と、渡り部分12c1と直線部分12c2との境界L1は一致しない。そして、直線部分12c4と電極体11の各電極との接続位置は領域15として示される。なお、直線部分12c4(又は直線部分12c2)の端部は丸みを持たせており、これにより組立て時に電極体11の表面に傷がつくのを防ぐようにしているが、端部の形状は角を持たせるようにしてもよい。
【0067】
次に、図4を参照して、電極体11の構成を更に詳細に説明する。ただし図4は電極体本体30の構成を示す部分展開図である。
【0068】
図4に示すように、電極体本体30は、巻回軸Sに対し、最内周から外周に向かって積層された、シート状の正極部材31、セパレータ33、負極部材32及びセパレータ34の各部材を巻回し、巻回軸Sに対する断面形状が長円筒形状となるよう成型されている。
【0069】
なお、正極部材31は、例えば帯状のアルミニウム箔の表面に正極活物質を担持させて構成し、負極部材32は、例えば帯状の銅箔の表面に負極活物質を担持させて構成される。電極体本体30においては、正極部材31及び負極部材32は、それぞれ帯状の片方の側端部に活物質を塗布しない未塗工部を設けておき、この未塗工部で電極11a及び11a´をそれぞれ形成する。そして、正極部材31及び負極部材32は、巻回の際に、巻回軸Sに沿って互いに端面方向にずらすことにより、長円筒形の一方の端面には正極11aのみがはみ出し、他方の端面には負極11a´のみがはみ出すようにしている。
【0070】
一方、セパレータ33及び34は、高い放電性や電解質の保液性を示す多孔膜や不織布等を基材として用いる。セパレータ33及び34を構成する具体的な材料としては、例えばポリアクリレートや、ポリエチレン等に代表されるポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等に代表されるポリエステル系樹脂、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素樹脂、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、セルロース等を挙げることができる。
【0071】
以上の構成において、容器本体10と蓋部20との組合せは本発明の素子容器に相当する。又、電極端子23は本発明の電極端子に相当し、集電体12は本発明の集電体に相当する。
【0072】
又、蓋部20の凹部21xは本発明の凹部に相当し、集電体12の基台部12b及び腕部12cは、それぞれ本発明の基台部及び腕部に相当する。又、絶縁封止材13は本発明の絶縁部材に相当する。
【0073】
又、電極体11は本発明の電極体に相当し、電極体本体30は本発明の電極体本体に相当し、正極部材31は本発明の正極部材に、負極部材31は本発明の負極部材にそれぞれ相当し、絶縁シート40は本発明の絶縁体に相当する。又、セパレータ33及び34は本発明のセパレータに相当する。
【0074】
以上のような構成を備えた本実施の形態の非水電解質二次電池1は、電極体11として、電極体本体30の、集電体12と対向する部分全体を被覆する絶縁シート40を備えたことを特徴とする。
【0075】
すなわち、本実施の形態の絶縁シート40は、図5に示すように、電極体本体30に更に巻回され、その表面を被覆するシート本体42と、シート本体42の両端に設けられた、その下底同士が対向してシート本体42に連続している外形台形のタブ41a及び41a´とを有する。
【0076】
タブ41a及び41a´の両端の間隔は、正極11aの端面と負極11a´の端面との間隔に等しく、したがってタブ41a及び41a´は電極体本体30の全幅を被覆する。
【0077】
又、タブ41a及び41a´は、長円筒形状の電極体本体30の、短軸側の表面であって、図1及び図3に示すように、集電体12に対向する側に位置している。特に図3に示すように、絶縁シート40において、タブ41a及び41a´が占める領域は、図1中の直線Xに直交する断面形状において、集電体12が接続部材23のかしめ端23cにより圧着されている基台部12b及び腕部12cの渡り部分12c3のそれぞれの内壁に対向する対向面Rを少なくとも含むことが望ましい。ただし、図中において、電極体11と接続する領域15に含まれない、直線部分12c4と対向する部分を占めるようにしてもよい。
【0078】
又、図2に示すように、図1中の直線Yに沿って見た形状において、絶縁シート40のタブ41a及び41a´の占める領域は、集電体12の渡り部分12c1と直線部分12c2との境界L1より直線部分12c2寄り、すなわち絶縁シート40は少なくとも渡り部分12c1に対向して被覆されていることが望ましい。
【0079】
このような構成を備えたことにより、電極体11は、集電体12に対しては常に絶縁シート40で被覆された面のみを向けることとなる。電極体本体に集電体が直接接触する恐れを回避して、電極体と集電体との干渉に起因する不具合を未然に防止、又はその発生の可能性を低減することが可能となる。
【0080】
更に、図2に示すように、タブ41a及び41a´以外の幅は狭く、従来例の絶縁シートと同様、絶縁シート40は、正極11a及び負極11´aと集電体12及び12´の接続部分は迂回して、他の部分を被覆している。すなわち、絶縁シート40は絶縁部材と緩衝材とを一体化した構成を有し、非水電解質二次電池1の内部構成及び製造工程の双方の簡略化を実現している。
【0081】
次に、図6(a)は絶縁シート40の展開状態を示す平面図、図6(b)は巻回状態を模式的に示す側面図である。
【0082】
図6(a)に示すように、絶縁シート40は、その一端を一定長の糊代43として、糊代43を除く部分が中心線L3を軸とする線対称な形状を有する。したがって、図6(b)に示すように、絶縁シート40を、タブ41a及び41a´が長円筒形状の短軸側の表面に一致するように電極体本体30に巻回すると、糊代43は、タブ41a及び41a´の位置から巻回軸Sを挟んで相対する、長円筒形状の短軸側の他方の表面に重ね合わせられ、溶着又は接着される。
【0083】
これは以下の効果をもたらす。すなわち、巻回された絶縁シート40を固定するためには糊代43が必要となるが、糊代43とその下に位置するシート本体42との積層部分は、他の部分より厚みが大きくなるため、長円筒形状の長軸側の表面に糊代43がある場合、その厚み分、電極体11の容器本体10の幅方向(蓋部20の短手方向)に沿った向きの寸法を圧迫してしまう。
【0084】
そこで、糊代43を短軸側の表面に位置させることで、積層部分の厚みを、容器本体10の奥行き方向(蓋部20の表面20aに直交する方向)に沿った向きに逃がすことができ、これにより電極体11の容器本体10の幅方向の寸法を確保し、電池容器における電極体11の収納効率を高めることができる。
【0085】
なお、絶縁シート40は、図7(a)の平面図に示すように、タブ41a及び41a´が絶縁シート40の一端に設けられる構成としてもよい。この場合、図7(b)の側面図に示すように、糊代43と絶縁シート40との積層部分がタブ41a及び41a´の位置、すなわち図3の対向面Rと一致することとなり、絶縁シート40において集電体12との対向面Rの厚みが大きくなる。これにより、電極体11の収納効率を高めつつ、更に電極体11の保護の効果を一層高めることができる。
【0086】
このとき、糊代43の幅は、タブ41a及び41a´の幅と同一であることが望ましいが、図6(a)のように、より短い幅であってもよい。又、糊代43にタブ41a及び41a´と同一形状のタブを設けるようにしてもよい。
【0087】
又、絶縁シート40は、図8(a)の平面図に示すように、タブ41a及び41a´を含む帯44の領域の厚みが、他の領域より大きくなった構成(例えば他の部分の厚みの1.5〜2倍)としてもよい。この場合、図7の構成例と同様、図8(b)の側面図に示すように、絶縁シートにおいて対向面Rの厚みが大きくなり、更に電極体11の保護の効果を一層高めることができる。又、糊代43は図6の構成例と同様、電極体11の長円筒形状の短軸側の他方の表面に位置するため、収納効率は確保されている。
【0088】
さらに、絶縁シート40は、図9(a)の平面図に示すように、タブ41a及び41a´の間隔を広げ、その間の領域を折り込んだ構成としてもよい。図中においては、折り線45、46をそれぞれ山折り、谷折りとすることにより、図9(b)の側面図に示すように、タブ41a及び41a´を含む、図3の対向面Rを被覆する領域に、絶縁シート40の折り込まれた部分が蛇腹状に形成され、集電体12に向かって突き出している。
【0089】
これにより、上述した図6〜8の構成の効果に加えて、完成後の非水電解質二次電池1内における、電極体11に印加される外力に抗する緩衝材としての機能を更に向上させることができる。
【0090】
なお、タブ41a及び41a´の間の折込みの回数は任意であってよい。又、図9(b)には、絶縁シート40本体の折曲げられた領域は、内側に空隙を有する断面が逆Vの字状の形状を有するものとして示したが、折曲げに寄り対向する面同士を密着させて、折曲げ部分がそのまま絶縁シート40の厚みとなる構成としてもよい。
【0091】
又、上記の説明においては、電極体11は、電極体本体30と、電極体11と独立して、その表面に巻回されるシート状の絶縁体としての絶縁シート40とから構成されるものとしたが、本発明の絶縁体は、電極体本体と一体化した構成であってもよい。
【0092】
図10は、電極体11として、電極体本体36単体で絶縁シート40を備えた構成と同様の絶縁、緩衝機能を備えるようにしたものである。
【0093】
電極体本体36は、図10に示すように、図4の電極体本体30と同様、電極体本体36は、巻回軸Sに対し、最内周から外周に向かって積層された、シート状の正極部材31、セパレータ33、負極部材32及びセパレータ35の各部材を巻回し、巻回軸Sに対する断面形状が長円筒形状となるよう成型されている。
【0094】
そして、電極体本体36の最外周に位置するセパレータ35は、正極部材31、セパレータ33及び負極部材32の被覆が完了した位置から、その終端35aが、電極体本体36の周囲にさらに一周巻回される。
【0095】
セパレータ35の終端35aは、その幅が図4の絶縁シート40のシート本体42と同一幅となるよう広がり、更にタブ41a、41a´と同一形状のタブ35b、35b´を備える。
【0096】
このように、セパレータ35の終端35aをシート本体42と同様の構成とすることにより、電極体本体36単体で、本発明の電極体の機能を実現することが可能となる。又、上述した図7〜図9の構成例を組み合わせて実施するようにしてもよい。
【0097】
なお、終端35aは、セパレータ35の基材である多孔膜や不織布等をそのまま用いてもよいが、表面に絶縁性の樹脂等を塗工することが、絶縁性、強度を向上でき、より望ましい。更に、セパレータ35に変えて、セパレータ33を延伸して最外周に引回した構成としてもよい。
【0098】
又、本実施の形態の非水電解質二次電池1は、図1及び図2に示すように、集電体12の腕部12cが、貫通孔12aから電極体11の側端に向かう方向に後退するよう湾曲した渡り部分12c1を有していることも特徴としている。
【0099】
上記特徴は、集電体12自体の強度を向上させる効果を有するが、これは本実施の形態の絶縁シート40の構成について、以下の理由を与えている。すなわち、図13の従来例の集電体112のように、図11のように、基台部112bから直交して腕部112cを形成されている構成においては、電極活物質が塗工された中央部分に比べて厚みの小さい集電箔としての正極111a(負極111a´)にのみ集電体が当たり、中央部分と干渉する可能性は低い。
【0100】
これに対し、本実施の形態においては、図1及び図2に示すように、渡り部分12c1が湾曲していることで、集電体の基台部12bが互いに近接し、従来例に比して、より集電体11の中央寄りに入り込んでいる。
【0101】
この構造を採用すると、渡り部分12c1が電極体11の、正極又は負極よりも相対的な厚みが大きい中央部分に当たる可能性が高くなる。
【0102】
そこで、本実施の形態においては、渡り部分12c1が電極体11の当該厚みの大きい中央部分に干渉することを防ぐため、絶縁シート40は、タブ41a及び41a´が渡り部分12c1と電極体11の間に入り込んだ構成を備えている。
【0103】
又、渡り部分12c1は、その縁面において角が存在しないため、例えば非水電解質二次電池1の組み立ての際に電極体11と集電体12とがたとえ接触したとしても、その影響を最小限に留めることができる。なお、渡り部分12c1は、その全体が湾曲しているものとして示したが、少なくとも内側の縁面12dが湾曲していればよく、外側の縁面は屈曲した構成であるとしてもよい。
【0104】
以上のように、本発明の実施の形態の非水電解質二次電池1によれば、集電体12との対向面全体を被覆する絶縁シート40等を有する構成としたことにより、電極体と集電体との干渉に起因する不具合を未然に防止、又はその発生の可能性を低減することが可能となる。
【0105】
しかしながら、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではない。
【0106】
上記の説明においては、集電体12は、一対の腕部12cを有するものとして説明を行ったが、基台部に少なくとも一本以上の腕部が設けられた構成であればよく、本発明の集電体は、腕部の本数や形状により限定されるものではない。
【0107】
又、上記の説明においては、集電体12の腕部12の渡り部分12c3と直線部分12c4との境界L2は屈曲したものとしたが、湾曲した態様であってもよい。
【0108】
又、上記の説明においては、凹部21xは、蓋部20の表面20aに形成された凸部21の形成に伴い生ずる凹みであるとしたが、凹部の形成は、以下の効果を奏する。すなわち、集電体12は凹部21x内にかしめ固定されて、かしめ端23e及び絶縁封止材13は凹部21x寄りにシフトして、容器本体10からは離れた箇所に位置している。更に、集電体12は、基台部12bが凹部21x内に位置しており、電極端子23と集電体12とを接続するための構成部材のうち、容器本体10内に位置するのは腕部12のみとなっている。
【0109】
これにより、容器本体10の内部の殆どを電極体11によって占めることができ、同一容積の容器本体10を用いた電池容器に比して、より背の高い、体積の大きな電極体を用いた大容量の非水電解質二次電池を構成することが可能となる。
【0110】
なお、本発明の凹部は、凸部の形成によらず構成されていてもよい。具体的には表面20aは平面を保ち、裏面にプレス又は切削等の加工により凹部21xを形成する。この場合、上記の効果に加えて、凹部21x以外の部分に関し、凹部21xに対して相対的に大きな厚みが確保され、凸部の寸法分だけ電池容器の寸法を小さく抑えることができる。特に予め蓋部の厚みを予め大きくとった場合に有効である。
【0111】
又、上記の説明においては、本発明の電極体は巻回型であるとしたが、積層型の電極体としてもよい。
【0112】
又、上記の説明においては、本発明の蓄電素子は、リチウムイオン二次電池に代表される非水電解質二次電池1であるとしたが、電気化学反応により充放電可能な電池であれば、ニッケル水素電池その他各種の二次電池を用いてもよい。又、一次電池であってもよい。さらに電気二重層キャパシタのように、電気を直接電荷として蓄積する方式の素子であってもよい。要するに、本発明の蓄電素子は電気を蓄積可能な素子であれば、その具体的な方式によって限定されるものではない。
【0113】
又、上記の説明においては、容器本体10及び蓋部20から構成される電池容器は、本発明の素子容器に相当するものであり、電極端子は蓋部に設けられるものとしたが、本発明は、電極端子を容器本体側に設けるものとしてもよい。要するに本発明は、素子容器の内壁の任意の部位に集電体が位置可能な構成であればよく、蓋部と容器本体との結合の態様によって限定されるものではない。
【0114】
又、電池本体はアルミニウム製であるとしたが、アルミニウム合金、ステンレスその他任意の金属又は金属化合物を材料とするものであってもよい。
【0115】
又、上記の説明において、非水電解質二次電池1として例示した本発明の蓄電素子は、図11に示すように、図1に分解斜視図として示した各部を組み合わせた状態においては、正面と背面、及び右側面と左側面がそれぞれ対称であり、更に、図12(a)の平面図に示すように、蓋部20上に絶縁封止材22及び電極端子23の電極部23aが露出し、図12(b)の底面図に示すように、電池容器10の底面が平坦な、外形六面体の形状を有するものとした。
【0116】
しかしながら、本発明の蓄電素子の形状は外形六面体の他、円筒形状、六面以上の多面体、球形等であってもよい。要するに、本発明の素子容器は、形状、材質その他の具体的な構成によって限定されるものではない。
【0117】
なお、図11及び12(b)においては、例示として、一方の電極端子23の電極部23a上に、接続部材23bの端部輪郭23dが露出したものとしたが、端部輪郭23dは両方の電極部23a上に露出したものとしてもよいし、両方の電極部23aに露出しないものとしてもよい。
【0118】
要するに、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲内であれば、以上説明したものを含め、上記実施の形態に種々の変更を加えたものとして実施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0119】
以上のような本発明は、蓄電素子において電極体と集電体との干渉を低減することが可能になる効果を有し、例えば二次電池のような蓄電素子等において有用である。
【符号の説明】
【0120】
1 非水電解質二次電池
10 容器本体
11 電極体
11a 正極
12 集電体
12a 貫通孔
12b 基台部
12b1 板部
12b2 壁部
12c 腕部
12c1 渡り部分
12c2 直線部分
12c3 渡り部分
12c4 直線部分
13 絶縁封止材
14 挟持板
20 蓋部
20a 貫通孔
20b 枠部
20c 裏面
21 絶縁封止材
21a 貫通孔
21b 平面
21c 壁面
21d 壁面
21d 貫通孔
21x 凹部
22 絶縁封止材
22a 側壁
22b 主面
22c 筒部
22e 枠体
22f 端面
23 電極端子
23a 電極部
23b 接続部材
23c かしめ端
30 電極体本体
31 正極部材
32 負極部材
33、34 セパレータ
35 セパレータ
36 電極体本体
40 絶縁シート
41a、41a´ タブ
42 シート本体
43 糊代

【特許請求の範囲】
【請求項1】
素子容器と、
前記素子容器に設けられた電極端子と、
前記電極端子とそれぞれ接続する集電体と、
前記素子容器内に収納され、前記集電体と接続される電極体とを備え、
前記電極体は、
電極体本体と、
前記電極体本体と前記集電体との間に設けられた絶縁体とを有する、蓄電素子。
【請求項2】
前記絶縁体は、前記集電体の間の、前記電極体の表面に沿って設けられている、
請求項1に記載の蓄電素子。
【請求項3】
前記絶縁体は、前記集電体が接続された箇所に設けられていない、
請求項1又は2に記載の蓄電素子。
【請求項4】
前記電極体本体は、
正極部材及び負極部材が、セパレータを介して巻回されてなる巻回体の構成を有し、
前記絶縁体は、
前記巻回体の最外周に、前記巻回体とは独立して巻回されたシート状の部材である、
請求項1から3のいずれかに記載の蓄電素子。
【請求項5】
前記電極体本体は、
正極部材及び負極部材が、セパレータを介して巻回されてなる巻回体の構成を有し、
前記絶縁体は、
前記電極体本体の巻回体の最外周にまで巻回された前記セパレータである、
請求項1から3のいずれかに記載の蓄電素子。
【請求項6】
前記絶縁体は、その巻回軸方向における幅が、
前記対向面に対応する部分にて最も大きく、
少なくとも前記集電体に隣接する部分にて最も小さい、
請求項4又は5に記載の蓄電素子。
【請求項7】
前記絶縁体は、前記電極体本体の最外周に少なくとも一周以上巻回されており、
巻回により積層された部分は、巻回軸を間に挟んで前記集電体と前記電極端子との接続箇所に対向している、
請求項1から6のいずれかに記載の蓄電素子。
【請求項8】
前記絶縁体は、前記電極体本体の最外周に少なくとも一周以上巻回されており、
巻回により積層された部分は、前記集電体と前記電極端子との接続箇所に直接対向している、
請求項1から6のいずれかに記載の蓄電素子。
【請求項9】
前記絶縁体は、前記集電体と前記電極端子との接続箇所に対向する部分の厚みが、他の部分の厚みより大きい、
請求項1から8のいずれかにに記載の蓄電素子。
【請求項10】
前記絶縁体は、
前記集電体と前記電極端子との接続箇所に対向する部分が、前記電極体本体の表面上にて蛇腹状に折り畳まれている、
請求項1から9のいずれかに記載の蓄電素子。
【請求項11】
前記集電体は、
前記電極端子と接続される基台部と、
前記基台部から延伸し、前記電極体と接続される、少なくとも一本の腕部とを有し、
前記腕部は、正極の前記集電体と負極の前記集電体とを結ぶ直線に直交する断面形状において前記基台部から遠ざかるように湾曲又は屈曲した部分を有し、
前記絶縁体は、前記腕部の前記湾曲又は屈曲した部分と対向している、
請求項1から10のいずれかに記載の蓄電素子。
【請求項12】
前記集電体は、
前記電極端子と接続される基台部と、
前記基台部から延伸し、前記電極体と接続される、少なくとも一本の腕部とを有し、
前記腕部は、前記電極体に渡る表面に投影される形状において前記基台部から遠ざかるように湾曲又は屈曲した部分を有し、
前記絶縁体は、前記腕部の前記湾曲又は屈曲した部分と対向している、
請求項1から10のいずれかに記載の蓄電素子。
【請求項13】
前記正極の前記腕部又は前記正極の前記腕部は、湾曲した縁面を有する、
請求項12に記載の蓄電素子。
【請求項14】
前記素子容器の内壁には凹部が設けられており、
前記集電体の前記基台部は、前記凹部内に位置している、
請求項11から13のいずれかに記載の蓄電素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−114940(P2013−114940A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−261067(P2011−261067)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(507151526)株式会社GSユアサ (375)
【Fターム(参考)】