説明

蓄電装置および、蓄電装置の放電方法

【課題】 主に、流動性および絶縁性に優れた熱交換媒体を用いつつ、使用済みの蓄電素子を容易に放電させることができる蓄電装置を提供する。
【解決手段】 蓄電素子(11)と、脂肪酸およびアルコールのエステル化合物からなり、蓄電素子との間で熱交換を行う液状の熱交換媒体(40)と、蓄電素子および熱交換媒体を収容するケース(20)と、ケース内の熱交換媒体に対して、熱交換媒体の加水分解に用いられる液体を供給するための供給構造(22b,81)と、を有する。そして、熱交換媒体を加水分解させることにより、この加水分解液を介して蓄電素子を放電させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電素子との間で熱交換を行うための液状の熱交換媒体をケース内に収容した蓄電装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
二次電池は、充放電によって発熱することがあり、温度上昇によって二次電池の特性が劣化してしまうことがある。そこで、二次電池の温度上昇を抑制するために、二次電池に冷媒を接触させる技術が提案されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1に記載の組電池では、組電池を収容するケースに注入口および排出口を設けておき、注入口を介してケース内に冷媒を供給するとともに、排出口を介してケース外に冷媒を排出させている。そして、冷媒として、絶縁油や流動パラフィンを用いている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−060466号公報(段落0020−0022)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
二次電池に冷媒を接触させる構成において、冷媒に要求される性能としては、熱伝導性を有すること、電気的な絶縁性を有すること、二次電池を劣化させないこと等が挙げられる。ここで、特許文献1に記載の冷媒では、上述した性能に関して不十分となることがある。
【0006】
一方、使用済みの組電池を解体する場合には、安全性等の観点において、単電池を完全に放電させておく必要がある。
【0007】
そこで、本発明の目的は、主に、流動性および絶縁性に優れた熱交換媒体を用いつつ、使用済みの蓄電素子を容易に放電させることができる蓄電装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願第1の発明である蓄電装置は、蓄電素子と、脂肪酸およびアルコールのエステル化合物からなり、蓄電素子との間で熱交換を行う液状の熱交換媒体と、蓄電素子および熱交換媒体を収容するケースと、ケース内の熱交換媒体に対して、熱交換媒体の加水分解に用いられる液体を供給するための供給構造と、を有している。
【0009】
ここで、熱交換媒体を加水分解させることにより、この加水分解液を介して蓄電素子を放電させることができる。供給構造としては、ケースに形成され、ケース内に液体を注入するための注入孔を用いることができる。また、供給構造として、液体を収容するタンクを用い、このタンクを、熱交換媒体および液体を分離させた状態から、熱交換媒体および液体の接触を許容する状態に変化させることができる。
【0010】
熱交換媒体の液面をケースの内壁面から離すことにより、ケース内に液体の収容スペースを形成することができる。これにより、ケース内に液体を供給しても、ケースから液体や熱交換媒体が溢れてしまうのを防止することができる。
【0011】
熱交換媒体を加水分解させる際に、熱交換媒体に対して流動力を与えることができる。これにより、熱交換媒体および液体が混合しやすくなり、熱交換媒体を容易に加水分解させることができる。ここで、ケース内にファンを配置しておき、ファンを回転させることにより、熱交換媒体をケース内で流動させることができる。また、ケース自体を揺らすことにより、熱交換媒体をケース内で流動させることができる。
【0012】
熱交換媒体を構成するエステル化合物としては、カプリル酸2−エチルヘキシルを用いることができる。これにより、熱交換媒体の絶縁性および流動性を向上させることができる。
【0013】
本願第2の発明は、使用済みの蓄電装置の放電方法であって、蓄電装置は、蓄電素子と、脂肪酸およびアルコールのエステル化合物からなり、蓄電素子との間で熱交換を行う液状の熱交換媒体と、蓄電素子および熱交換媒体を収容するケースと、を有している。ここで、熱交換媒体を加水分解させることにより、この加水分解液を介して蓄電素子を放電させることを特徴とする。
【0014】
ここで、熱交換媒体を加水分解させる際に、熱交換媒体をケース内で流動させれば、熱交換媒体および加水分解用の液体を容易に混合させることができ、熱交換媒体の加水分解を容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0015】
本願発明によれば、熱交換媒体として、脂肪酸およびアルコールからなるエステル化合物を用いることにより、熱交換媒体の絶縁性および流動性を向上させることができる。ここで、熱交換媒体の絶縁性を向上させることにより、蓄電装置を取り扱う際の安全性を向上させることができる。また、熱交換媒体の流動性を向上させることにより、熱交換媒体を用いた蓄電素子の温度調節を効率良く行うことができる。
【0016】
しかも、本願発明では、エステル化合物を加水分解させ、この加水分解液を介して蓄電素子を放電させることにより、使用後の蓄電装置において、蓄電素子を容易に放電させることができる。そして、蓄電素子を完全に放電させた状態で、蓄電装置を分解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施例1である電池パックの構成を示す分解斜視図である。
【図2】実施例1の電池パックにおける一部の内部構成を示す図である。
【図3】実施例1の電池パックにおいて、熱交換媒体の主な流れを示す図である。
【図4】実施例1の電池パックにおいて、熱交換媒体の流動方向を示す図である。
【図5】実施例1において、電池モジュールを放電させる方法を説明する図である。
【図6】エステル化合物の加水分解反応を示す図である。
【図7】実施例1において、電池モジュールを放電させる他の方法を説明する図である。
【図8】実施例1の変形例において、電池モジュールを放電させるための構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施例について説明する。
【実施例1】
【0019】
本発明の実施例1である電池パック(蓄電装置)の構成について、図1を用いて説明する。ここで、図1は、本実施例の電池パックの構成を示す分解斜視図である。
【0020】
本実施例の電池パック1は、車両に搭載されている。この車両としては、ハイブリッド自動車や電気自動車がある。ハイブリッド自動車とは、電池パック1の他に、車両の走行に用いられるエネルギを出力する、内燃機関や燃料電池といった他の動力源を備えた車である。また、電気自動車は、電池パック1の出力だけを用いて走行する車である。本実施例の電池パック1は、放電によって車両の走行に用いられるエネルギを出力したり、車両の制動時に発生する運動エネルギを回生電力として充電したりする。なお、車両の外部から電力を供給することにより、電池パック1を充電することもできる。
【0021】
電池パック1は、電池モジュール10と、パックケース20と、撹拌ユニット30とを有している。パックケース20は、電池モジュール10および撹拌ユニット30を収容するための空間を形成する収容部材21と、収容部材21の開口部21aを塞ぐ蓋部材22とを有している。蓋部材22は、収容部材21にネジ等の締結部材によって固定されたり、溶接によって固定されたりする。これにより、パックケース20の内部は、密閉状態となる。
【0022】
収容部材21および蓋部材22は、熱伝導性や耐食性等に優れた材料、例えば、後述する熱交換媒体40の熱伝導率と同等又はこれよりも高い熱伝導率を有する材料で形成することができる。具体的には、収容部材21や蓋部材22を、アルミニウムや鉄等といった金属で形成することができる。なお、本実施例では、収容部材21や蓋部材22の外壁面を平坦な面で構成しているが、これに限るものではない。具体的には、収容部材21および蓋部材22のうち少なくとも一方の外壁面に、複数の放熱フィンを設けることができる。これにより、放熱フィンを介して、電池パック1の放熱性を向上させることができる。
【0023】
パックケース20の内部には、電池モジュール10および撹拌ユニット30の他に、電池モジュール10との間で熱交換を行うための液状の熱交換媒体40が収容されている。熱交換媒体40の具体的な成分については、後述する。
【0024】
熱交換媒体40は、後述するように、電池モジュール10(単電池11)の温度を調節するために用いられる。ここで、パックケース20の内部に収容される熱交換媒体40の量は、適宜設定することができる。本実施例では、熱交換媒体40の液面を蓋部材22から離している。なお、熱交換媒体40の液面を蓋部材22に接触させてもよい。ここで、電池モジュール10の全面に熱交換媒体40を接触させておくことが好ましい。
【0025】
次に、電池モジュール10の構成について説明する。
【0026】
電池モジュール10は、複数の単電池(二次電池)11が電気的に直列に接続されたものである。複数の単電池11は、パックケース20の内部において、並列に配置されている。二次電池としては、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池を用いることができる。また、二次電池の代わりに、電気二重層キャパシタを用いることもできる。さらに、本実施例では、円筒型の単電池11を用いているが、角型等の他の形状の単電池を用いることもできる。
【0027】
各単電池11は、発電要素(不図示)と、発電要素を密閉状態で収容する電池ケースとを有している。発電要素は、充放電を行うことができる要素であり、例えば、電極素子(正極素子および負極素子)およびセパレータで構成することができる。正極素子は、集電板の表面に正極活物質の層を形成したものであり、負極素子は、集電板の表面に負極活物質の層を形成したものである。
【0028】
各単電池11の両端には、正極端子11aおよび負極端子11bがそれぞれ設けられている。正極端子11aは、発電要素の正極素子と電気的および機械的に接続されており、負極端子11bは、発電要素の負極素子と電気的および機械的に接続されている。各単電池11の正極端子11aは、隣り合って配置された他の単電池11の負極端子11bとバスバー13を介して電気的に接続されている。これにより、複数の単電池11は、電気的に直列に接続されることになる。
【0029】
各単電池11は、両端側において、一対の板状の支持部材12によって支持されている。これらの支持部材12は、ネジ等の締結部材(不図示)によって、パックケース20(収容部材21)に固定されている。また、各支持部材12の端面(外縁部)は、収容部材21の底面および側面に接触するようになっている。
【0030】
なお、本実施例では、2つの支持部材12を用いているが、これらの支持部材12を一体として構成することもできる。また、角型の単電池11を用いた場合には、スペーサを挟んだ状態で複数の単電池11を一方向に並べておき、これらの単電池11を配列方向の両端からエンドプレートによって挟むことができる。
【0031】
複数の単電池11のうち特定(2つ)の単電池11には、正極用および負極用のケーブル(不図示)が接続されており、これらのケーブルは、パックケース20の外部に配置された機器に接続されている。この機器としては、例えば、電池モジュール10の電圧を昇圧するためのDC/DCコンバータや、直流電流および交流電流の変換を行うインバータがある。
【0032】
電池モジュール10の角部には、撹拌ユニット30が配置されている。撹拌ユニット30の両端は、一対の支持部材12と同一面内に位置するように配置されている。図2を用いて、撹拌ユニット30の具体的な構成について説明する。ここで、図2は、電池パック1の内部における一部の構成を示す概略図である。
【0033】
撹拌ユニット30は、ファン(クロスフローファン)31と、ファン31の回転軸31aを回転可能に支持する一対の軸受け32と、軸受け32を支持する支持板33とを有している。ファン31は、単電池11と略平行となるように配置されている。また、ファン31は、回転軸31aの外周面において、複数の羽根31bを有している。複数の羽根31bは、回転軸31aの周方向において等間隔に配置されており、各羽根31bは、曲面を持った形状に形成されている。ファン31の回転軸方向における各羽根31bの長さは、一対の支持部材12の間隔と略等しくなっている。
【0034】
回転軸31aにはモータ(不図示)が接続されており、ファン31は、モータからの駆動力を受けることによって回転する。支持板33の一部33aは、ファン31の外周に沿った形状に形成されており、ファン31の回転に応じて熱交換媒体40をスムーズに移動させるようにしている。
【0035】
ファン31と電池モジュール10(単電池11)との間には、互いに接続された第1の仕切り部材34aおよび第2の仕切り部材34bが配置されている。第1の仕切り部材34aは、図2に示すように、電池モジュール10のうち最も下方に位置する単電池11とパックケース20(収容部材21)の底面との間に配置されている。また、第2の仕切り部材34bは、電池モジュール10に沿って重力方向(図2の上下方向)に延びており、第2の仕切り部材34bの先端が電池モジュール10の上部に位置している。第1および第2の仕切り部材34a,34bの幅は、一対の支持部材12の間隔と等しくなっている。
【0036】
次に、上述した電池パック1において、ファン31の駆動に伴う熱交換媒体40の流れについて、図3および図4を用いながら説明する。
【0037】
モータの駆動力を受けてファン31が回転すると、ファン31から熱交換媒体40が送り出される。ファン31から送り出された熱交換媒体40は、第1の仕切り部材34aと収容部材21の底面との間を通過して、電池モジュール10の側に移動する。ここで、ファン31における複数の羽根31bは、回転軸31aの長手方向に延びているため、ファン31から送り出される熱交換媒体40は、羽根31bの長さを有する層流を形成する。
【0038】
ファン31から送り出された熱交換媒体40は、図3の矢印で示すように、電池モジュール10の周囲を辿るように進んで、ファン31に戻るようになっている。ここで、図3の矢印で示す流れは、熱交換媒体40の主な流れを示すものであり、この流れとは異なる流れも存在する。なお、図3では、第1の仕切り部材34aを省略している。
【0039】
本実施例において、電池モジュール10(最も外側に位置する単電池11)とパックケース20の内壁面との間の距離(最短距離)は、隣り合う単電池11の間における距離(最短距離)よりも長くなっている。このように設定することで、ファン31から送り出される熱交換媒体40を、電池モジュール10の周囲に沿って移動させることができる。そして、電池モジュール10の周囲において、熱交換媒体40の主な流れを発生させることにより、隣り合う単電池11の間にも熱交換媒体40の二次的な流れを発生させることができる。具体的には、図4に示すように、電池モジュール10の下方から上方に向かって、隣り合う単電池11の間を通過する熱交換媒体40の流れを発生させることができる。
【0040】
単電池11は充放電によって発熱することがあるが、単電池11に熱交換媒体40を接触させることにより、単電池11および熱交換媒体40の間で熱交換が行われ、単電池11の熱が熱交換媒体40に伝達される。熱を持った熱交換媒体40は、上述したようにパックケース20の内部で流動し、パックケース20の内壁面に接触することにより、パックケース20に熱を伝達することができる。そして、パックケース20に伝達された熱は、大気中に放出される。これにより、電池パック1(単電池11)の放熱(冷却)を行うことができる。
【0041】
一方、熱交換媒体40を温めるようにすれば、温められた熱交換媒体40が単電池11と熱交換を行うことにより、単電池11に熱を伝達することができる。これにより、単電池11を温めることができる。単電池11を温めることは、環境温度によって単電池11の温度が過度に低下してしまったときに有効である。ここで、熱交換媒体40を温める場合としては、熱交換媒体40を直接的又は間接的に温めることができる。熱交換媒体40を直接的に温める手段としては、例えば、パックケース20内にヒータを配置して、ヒータを熱交換媒体40と接触させることができる。また、熱交換媒体40を間接的に温める手段としては、例えば、パックケース20をヒータによって温めるようにし、パックケース20を介して熱交換媒体40を温めることができる。
【0042】
本実施例では、ファン31から送り出された熱交換媒体40が、層流の状態で単電池11に接触するようになっている。ここで、熱交換媒体40の層流の幅は、単電池11の長手方向における長さと略等しくなっているため、熱交換媒体40は、単電池11における概ね全体の領域との間で熱交換を行うことができる。これにより、単電池11における部分的な温度のバラツキを抑制することができる。また、図4に示すように、電池モジュール10を構成するすべての単電池11に対して熱交換媒体40を接触させることにより、すべての単電池11との間で熱交換を行うことができる。これにより、電池モジュール10を構成する複数の単電池11における温度のバラツキを抑制することができる。
【0043】
なお、本実施例では、パックケース20の内部に撹拌ユニット30を配置しているが、撹拌ユニット30を配置しなくてもよい。また、ファン31として、クロスフローファンを用いているが、熱交換媒体40を流動させる力を発生させるものであれば、いかなる構成であってもよい。さらに、本実施例では、撹拌ユニット30をパックケース20の底面に沿って配置しているが、これに限るものではない。すなわち、電池モジュール10の周囲で熱交換媒体40を流動させることができれば、撹拌ユニット30の位置は適宜設定することができる。例えば、撹拌ユニット30をパックケース20の上面に沿って配置することもできる。
【0044】
次に、熱交換媒体40の具体的な成分について、説明する。
【0045】
熱交換媒体40としては、加水分解するものとして、高級脂肪酸およびアルコールからなるエステル化合物を用いている。高級脂肪酸は、脂肪族モノカルボン酸であり、好ましくは、炭素数が6〜20個の高級脂肪酸を用いることができる。また、アルコールとしては、第一級アルコールや第2級アルコールを用いることができ、直鎖状または環状のアルキル基、アルケニル基、アリール基等の置換基を有していてもよい。ここで、脂肪族1価アルコールを好適に用いることができる。
【0046】
炭素数が6〜20個の高級脂肪酸と、炭素数が1〜14個の脂肪族1価アルコールとからなるエステル化合物は、以下の一般式(1)で表される。
【0047】
COOR (1)
【0048】
炭素数が6〜20個(Rの炭素数が5〜19個)の高級脂肪酸としては、例えば、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エライジン酸、アラキン酸、アラキドン酸等が挙げられる。これらの高級脂肪酸は、1種類を単独で用いることもできるし、2種類以上を混合して用いることもできる。
【0049】
ここで、エステル化合物の絶縁性を確保する点に関して、高級脂肪酸の炭素数は6個以上であることが好ましい。また、パックケース20内における熱交換媒体40の流動性を確保する点に関して、高級脂肪酸の炭素数は20個以下であることが好ましい。ここで、エステル化合物の動粘度が低くなるほど、熱交換媒体40の流動性を向上させることができる。上述した絶縁性および動粘度に関して、より好ましくは、炭素数が8〜12個の高級脂肪酸を用いることができる。
【0050】
なお、炭素数が6〜20個の高級脂肪酸は、エネルギ・環境負荷を低減する点から、再生可能資源であるヤシ油、パーム核油、大豆油、パーム油などの植物油由来のものであることが好ましい。また、高級脂肪酸は、飽和脂肪酸でも不飽和脂肪酸でもよいが、化学的に安定であることから、飽和高級脂肪酸が好適である。
【0051】
一方、炭素数(Rの炭素数)が1〜14個の脂肪族1価アルコールとしては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、イソブチルアルコール、ヘキシルアルコール、オクチルアルコール、ラウリルアルコール、2−エチルブチルアルコール、2−エチルペンチルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、2−エチルオクチルアルコール、2−エチルラウリルアルコール、2−ブチルブチルアルコール、2−ブチルオクチルアルコール、2−ヘキシルヘキシルアルコール、2−ヘキシルオクチルアルコール、3−エチルヘキシルアルコール、3−エチルオクチルアルコール、3−エチルラウリルアルコール、イソデシルアルコール、イソトリデシルアルコール等が挙げられる。これらのアルコールは、1種類を単独で用いることもできるし、2種類以上を混合して用いることもできる。
【0052】
ここで、パックケース20内における熱交換媒体40の流動性を確保する点に関して、脂肪族1価アルコールの炭素数は14個以下であることが好ましい。また、エステル化合物の絶縁性を確保する点に関して、脂肪族1価アルコールの炭素数は6個以上であることが好ましい。上述した動粘度および絶縁性に関して、より好ましくは、炭素数が8〜12個の脂肪族1価アルコールを用いることができる。
【0053】
上述した高級脂肪酸および脂肪族1価アルコールのエステル化合物としては、例えば、カプロン酸メチル、カプロン酸エチル、カプロン酸プロピル、カプロン酸イソプロピル、カプロン酸ヘキシル、カプロン酸オクチル、カプロン酸ラウリル、カプリル酸メチル、カプリル酸エチル、カプリル酸プロピル、カプリル酸イソプロピル、カプリル酸ヘキシル、カプリル酸2−エチルヘキシル、カプリル酸オクチル、カプリル酸ラウリル、カプリル酸イソトリデシル、カプリン酸メチル、カプリン酸エチル、カプリン酸プロピル、カプリン酸イソプロピル、カプリン酸ヘキシル、カプリン酸オクチル、カプリン酸ラウリル、カプリン酸イソトリデシル、ラウリン酸2−エチルヘキシル、ラウリン酸イソトリデシル、ミリスチン酸2−エチルヘキシル、ミリスチン酸イソトリデシル、ステアリン酸2−エチルヘキシル、ステアリン酸イソトリデシル、オレイン酸2−エチルヘキシル、オレイン酸イソトリデシル、リノール酸2−エチルヘキシル、リノール酸イソトリデシル、リノレン酸イソトリデシル、リノレン酸2−エチルヘキシルが挙げられる。そして、これらのエステル化合物を、1種類だけ用いたり、2種類以上を混合して用いたりすることができる。
【0054】
熱交換媒体40として用いられるエステル化合物は、種々のエステル化法を用いて製造することができる。例えば、炭素数が6〜20個の高級脂肪酸と炭素数が1〜14個の脂肪族1価アルコールとを酸またはアルカリの存在下で反応させてエステル化させる方法がある。また、炭素数が6〜20個の高級脂肪酸エステル化合物と炭素数が1〜14個の脂肪族1価アルコールとを酸またはアルカリの存在下で反応させてエステル交換させることもできる。
【0055】
一方、本実施例では、熱交換媒体40のエステル化合物を生成するために、1価アルコールを用いているが、これに限るものではない。具体的には、2価または3価のアルコールを用いることができる。2価アルコールとしては、例えば、エチレングリコールがあり3価アルコールとしては、例えば、グリセリンがある。ここで、多価アルコールを用いる場合には、熱交換媒体40の流動性を確保する点に関して、3価以下のアルコールを用いることが好ましい。
【0056】
ここで、多価アルコールを用いる場合でも、炭素数が6〜20個、好ましくは、炭素数が8〜12個の高級脂肪酸を用いることが好ましい。また、1価から3価のアルコールの混合物を用いることもできる。
【0057】
なお、上述した実施例では、モノカルボン酸を用いているが、ジカルボン酸またはトリカルボン酸を用いることもできる。ジカルボン酸としては、例えば、セバシン酸があり、トリカルボン酸としては、例えば、トリメリット酸がある。
【0058】
上述したように、熱交換媒体40としてエステル化合物を用いると、優れた絶縁機能を得ることができ、高電圧を発生させる電池パック1において好適に用いることができる。また、エステル化合物は、200ppm以下の水分が加わっても、エステル分子が水分子を内包するため、体積抵抗率が変化しにくい。
【0059】
一方、エステル化合物を用いれば、熱交換媒体40に硫黄成分を含ませないようにすることもできる。例えば、高級脂肪酸およびアルコールをエステル化させるときの触媒として、硫黄を含有していないものを用いることができる。これにより、硫黄を含む鉱物油を用いた場合に比べて、電池モジュール10の一部が硫黄によって腐食してしまうのを防止することができる。例えば、バスバー13や単電池11の電極端子11a,11bを銅で形成した場合において、これらの部材が硫黄によって腐食してしまうのを防止することができる。
【0060】
表1,2には、熱交換媒体40を構成するエステル化合物として、カプリル酸2−エチルヘキシルを用いたときの物性値を示す。ここで、表1は、温度に応じたエステル化合物の動粘度を示している。また、表2は、エステル化合物の体積抵抗率を示しており、比較として、鉱物油およびシリコンオイルの体積抵抗率も示している。鉱物油やシリコンオイルは、熱交換媒体40として用いることができる。鉱物油としては、ATF(Automatic Transmission Fluid;トヨタオートフルードWS)を用いている。
【0061】
【表1】

【0062】
【表2】

【0063】
次に、上述した電池パック1を廃棄又はリサイクルするときの処理について、図5を用いて説明する。ここで、図5は、電池モジュール10を放電させるときの処理方法を説明する図である。
【0064】
使用済みの電池パック1を廃棄等する場合においては、電池パック1を分解することがある。特に、単電池11の材料としてレアメタルを用いている場合には、電池パック1を分解することにより、レアメタルを再利用することができる。ここで、電池パック1の分解作業を安全に行うためには、電池モジュール10(単電池11)を完全に放電させておくことが好ましい。
【0065】
本実施例では、熱交換媒体40の体積抵抗率を低下させることにより、電池モジュール10を構成する複数の単電池11を短絡させて、電池モジュール10を完全に放電させるようにしている。具体的には、パックケース20内に水を供給することにより、熱交換媒体40であるエステル化合物を加水分解させて、熱交換媒体40の体積抵抗率を低下させるようにしている。
【0066】
図5において、パックケース20の蓋部材22には、パックケース20の外側に向かって突出した注入部22aが設けられている。注入部22aには注入孔22bが形成されており、注入孔22bは、後述するように、パックケース20の内部に水を注入するために用いられる。ここで、電池パック1を使用するときには、注入部22aの注入孔22bは、閉塞部材(不図示)によって塞がれており、パックケース20の内部は密閉状態となっている。なお、電池パック1を製造する際に、注入孔22bを用いて、パックケース20内に熱交換媒体40を充填することもできる。
【0067】
一方、使用済みの電池パック1において、電池モジュール10を放電させるときには、まず、注入孔22bを塞いでいる閉塞部材を取り外してから、注入部22aにホース60を接続する。ここで、ホース60の一端は、注入部22aに接続され、ホース60の他端は、水の供給源(例えば、水道の蛇口)に接続されている。
【0068】
供給源から水の供給を開始させると、ホース60内を移動した水が、注入孔22bを通過して、パックケース20内に移動する。本実施例では、図5に示すように、熱交換媒体40の液面を蓋部材22の内壁面から離しており、熱交換媒体40および蓋部材22の間には、空気層50が形成されている。この空気層50は、パックケース20内に供給された水を収容するためのスペースとなる。ここで、パックケース20内に水を供給することに応じて、空気層50の空気をパックケース20の外部に逃がすようにすることが好ましい。具体的には、注入孔22bとは異なる孔部をパックケース20(蓋部材22)に形成しておくことができる。
【0069】
なお、本実施例では、パックケース20内に予め空気層50を形成しているが、これに限るものではない。熱交換媒体40の液面を蓋部材22に接触させている場合には、パックケース20から熱交換媒体40の一部を排出させた後に、パックケース20に水を供給することができる。
【0070】
パックケース20に水が供給されると、熱交換媒体40としてのエステル化合物は、図6に示すように、脂肪酸およびアルコールに加水分解される。これにより、熱交換媒体40の体積抵抗率は低下し始め、熱交換媒体40の加水分解液を介して電池モジュール10を短絡させることができる。ここで、エステル化合物の加水分解は数日かけてゆっくりと行うことができるため、熱交換媒体40の体積抵抗率も徐々に低下させることができる。
【0071】
このように、本実施例によれば、パックケース20に水を供給するだけで、電池モジュール10を放電させることができる。すなわち、電池モジュール10をパックケース20に収容したままの状態で、電池モジュール10を放電させることができる。そして、電池モジュール10を完全に放電させておけば、電池パック1の分解を容易に行うことができる。
【0072】
ここで、酸性またはアルカリ性の条件において、熱交換媒体40および水を反応させれば、エステル化合物の加水分解を促進させることができる。例えば、水とともに、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムを加えることができる。
【0073】
また、パックケース20内には、ファン31が配置されているため、ファン31を駆動して、熱交換媒体40をパックケース20内で流動させることにより、エステル化合物の加水分解を促進させることができる。すなわち、パックケース20に供給された水と、熱交換媒体40としてのエステル化合物とを混合させて、これらの接触面積を増やすことにより、エステル化合物の加水分解を促進させることができる。ここで、ファン31を駆動するタイミングは、適宜設定することができる。例えば、パックケース20に水を供給する前からファン31を駆動しておくこともできるし、パックケース20に水を供給した後にファン31を駆動することもできる。
【0074】
なお、熱交換媒体40をパックケース20内で流動させる手段としては、上述したファン31の駆動に限るものではない。すなわち、パックケース20内で熱交換媒体40を流動させることができればよく、熱交換媒体40に対して、直接的または間接的に流動力を与えるものであればよい。また、熱交換媒体40を直接的および間接的に流動させることもできる。
【0075】
上述したファン31の駆動は、熱交換媒体40に対して直接的に流動力を与えるものである。一方、熱交換媒体40に対して間接的に流動力を与える構成としては、パックケース20を任意の方向に揺らすことができる。より具体的には、パックケース20を振動台に設置しておき、振動台を二次元方向又は三次元方向で揺らすことができる。また、圧電素子といった振動を発生させる素子(振動発生素子)をパックケース20に取り付けておいて、パックケース20を振動させることができる。振動発生素子は、パックケース20の内壁面および外壁面のうち、少なくとも一方の面に取り付けておけばよい。
【0076】
ここで、電池モジュール10を完全に放電させるための時間(予測時間)に応じて、加水分解を促進させる触媒の量や、熱交換媒体40の流動時間等を適宜設定することができる。なお、安全性を考慮すると、電池モジュール10を数日かけて放電させることが好ましい。そして、電池モジュール10を完全に放電させた後に、電池パック1を分解すればよい。
【0077】
なお、本実施例では、パックケース20の注入部22aにホース60を接続することにより、パックケース20に水を供給しているが、これに限るものではない。例えば、図7に示すように、水を収容した容器70を用いることにより、注入部22aに向かって水を注ぐことができる。ここで、注入部22aに水を注ぎやすいように、注入孔22bをテーパ面で構成することができる。具体的には、テーパ面を、外側(注水側)に向かって開いた形状とすることができる。
【0078】
図7に示す構成においても、熱交換媒体40のエステル化合物を酸性又はアルカリ性の条件下で加水分解させたり、熱交換媒体40を機械的に流動させたりすることができる。また、本実施例では、突状に形成された注入部22aを用いているが、注入部22aを省略することもできる。すなわち、水を注入するための開口部がパックケース20に形成されていればよい。さらに、本実施例では、パックケース20に注入孔22bを予め設けているが、これに限るものではない。例えば、パックケース20に水を供給するときに、パックケースに注入孔を形成することができる。
【0079】
本実施例では、電池モジュール10を放電させるときに、外部からパックケース20内に水を供給するようにしているが、これに限るものではない。具体的には、加水分解用の水を電池パック1に予め設けておくことができる。
【0080】
この構成について、図8を用いて説明する。ここで、図8は、本実施例の変形例である電池パックの内部構成を示す概略図である。なお、本実施例で説明した部材と同一の機能を有する部材については、同一符号を用い、詳細な説明は省略する。また、本変形例では、図5に示す構成とは異なり、蓋部材22に注水孔22bは形成されていない。
【0081】
図8において、供給ユニット81は、加水分解用の水を収容したタンク82と、タンク82から水を排出させるために操作される操作レバー83とを有している。タンク82には開口部82aが形成されており、開口部82aは、タンク82内の水が外部に移動するときの通路となる。
【0082】
操作レバー83は、図8の矢印Aで示す方向に移動可能な状態でパックケース20に取り付けられている。操作レバー83の一端には、タンク82の開口部82aを開閉するための蓋部83aが設けられている。また、操作レバー83の他端側は、パックケース20を貫通して電池パック1の外部に突出している。
【0083】
本変形例の電池パック1を使用する場合において、タンク82の開口部82aは、操作レバー83の先端に形成された蓋部83aによって塞がれている。このとき、熱交換媒体40および加水分解用の水は、タンク82によって仕切られており、互いに接触していない。
【0084】
一方、電池パック1を廃棄等するために、電池モジュール10を放電させるときには、操作レバー83を矢印Aで示す方向に移動させることにより、開口部82aを閉じ状態から開き状態に変化させる。これにより、タンク82内の水は、タンク82の外部に存在する熱交換媒体40と混ざることになり、熱交換媒体40を構成するエステル化合物を加水分解させることができる。そして、熱交換媒体40の体積抵抗率を徐々に低下させることにより、加水分解液を介して電池モジュール10を短絡させることができる。
【0085】
ここで、熱交換媒体40および加水分解用の水を混ぜる際に、パックケース20内のファン31を駆動することができる。これにより、熱交換媒体40および加水分解用の水を容易に混合させて、熱交換媒体40の加水分解を促進させることができる。また、本変形例では、操作レバー83を操作するだけで、熱交換媒体40を加水分解させることができる。
【0086】
なお、本変形例では、パックケース20内にタンク82を配置しているが、これに限るものではない。具体的には、パックケース20の外部にタンク82を配置することもできる。この場合には、タンク82をパックケース20の外面に沿って配置し、タンク82内の水をパックケース20内に移動させるための通路を形成することができる。そして、この通路を閉じたり、開いたりする部材を配置しておけばよい。
【0087】
また、本変形例では、図8に示すように、パックケース20内に空気層50を設けているが、空気層50を設けなくてもよい。本変形例では、パックケース20内にタンク82が予め設けられており、加水分解用の水を収容するスペースが確保されているため、空気層50を設けておく必要はない。
【0088】
本発明は、パックケース20内に水を供給して、熱交換媒体40を構成するエステル化合物を加水分解させることができればよく、図5および図8に示す電池パック1の構成に限るものではない。ここで、加水分解用の水を電池パック1に予め設けておく場合には、エステル化合物および加水分解用の水を物理的に分離した状態と、エステル化合物および水を互いに接触させる状態との間で動作する機構を設けておけばよい。
【符号の説明】
【0089】
1:電池パック(蓄電装置) 10:電池モジュール
11:単電池(蓄電素子) 11a:正極端子
11b:負極端子 12:支持部材
13:バスバー 20:パックケース
21:収容部材 22:蓋部材
22a:注入部 22b:注入孔
30:撹拌ユニット 31:ファン
40:熱交換媒体(エステル化合物) 50:空気層
60:ホース 70:容器
81:供給ユニット 82:タンク
83:操作レバー


【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電素子と、
脂肪酸およびアルコールのエステル化合物からなり、前記蓄電素子との間で熱交換を行う液状の熱交換媒体と、
前記蓄電素子および前記熱交換媒体を収容するケースと、
前記ケース内の前記熱交換媒体に対して、前記熱交換媒体の加水分解に用いられる液体を供給するための供給構造と、を有することを特徴とする蓄電装置。
【請求項2】
前記液体は、前記熱交換媒体を加水分解させることにより、この加水分解液を介して前記蓄電素子を放電させることを特徴とする請求項1に記載の蓄電装置。
【請求項3】
前記供給構造は、前記ケースに形成され、前記ケース内に前記液体を注入させるための注入孔を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の蓄電装置。
【請求項4】
前記供給構造は、前記液体を収容するタンクを有しており、
前記タンクは、前記熱交換媒体および前記液体を分離させた状態から、前記熱交換媒体および前記液体の接触を許容する状態に動作可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載の蓄電装置。
【請求項5】
前記熱交換媒体の液面が前記ケースの内壁面から離れることにより、前記液体の収容スペースが形成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1つに記載の蓄電装置。
【請求項6】
前記熱交換媒体を加水分解させる際に、前記熱交換媒体を流動させる力を発生する動力発生機構を有することを特徴とする請求項1から5のいずれか1つに記載の蓄電装置。
【請求項7】
前記動力発生機構は、前記ケース内に配置されたファンを有することを特徴とする請求項6に記載の蓄電装置。
【請求項8】
前記動力発生機構は、前記ケースを揺らすことにより、前記熱交換媒体を前記ケース内で流動させることを特徴とする請求項6に記載の蓄電装置。
【請求項9】
前記エステル化合物が、カプリル酸2−エチルヘキシルであることを特徴とする請求項1から8のいずれか1つに記載の蓄電装置。
【請求項10】
使用済みの蓄電装置の放電方法であって、
前記蓄電装置は、蓄電素子と、脂肪酸およびアルコールのエステル化合物からなり、前記蓄電素子との間で熱交換を行う液状の熱交換媒体と、前記蓄電素子および前記熱交換媒体を収容するケースと、を有しており、
前記熱交換媒体を加水分解させることにより、この加水分解液を介して前記蓄電素子を放電させることを特徴とする蓄電装置の放電方法。
【請求項11】
前記熱交換媒体を加水分解させる際に、前記熱交換媒体を前記ケース内で流動させることを特徴とする請求項10に記載の蓄電装置の放電方法。
【請求項12】
前記エステル化合物が、カプリル酸2−エチルヘキシルであることを特徴とする請求項10又は11に記載の蓄電装置の放電方法。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2010−244979(P2010−244979A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−95088(P2009−95088)
【出願日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【出願人】(000150774)株式会社槌屋 (56)
【Fターム(参考)】