説明

蓄電装置の搭載構造

【課題】車両ボディに対して蓄電装置を容易に位置決めすることができる搭載構造を提供する。
【解決手段】蓄電装置100の搭載構造は、蓄電装置および位置決め機構を有する。蓄電装置は、車両の左右方向に並ぶ2つのシートの間に配置され、車両の走行に用いられるエネルギを出力する。位置決め機構は、蓄電装置を車両ボディ130に対して位置決めする。位置決め機構は、蓄電装置および車両ボディの一方に設けられたピン204,205と、蓄電装置および車両ボディの他方に設けられ、ピンが挿入される溝に向かってピンをガイドするガイド部材131,133と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に対して蓄電装置を搭載する構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の車両では、2つのフロントシートの間に、バッテリを配置しており、バッテリは、車体フロアに対して固定されている。バッテリを車体フロアに固定するためには、予め定められたバッテリの搭載位置に対して、バッテリを配置する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−035094号公報
【特許文献2】特開平11−078715号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
バッテリの位置決めに用いられるブラケットは、バッテリから突出して視認性が良い。しかし、2つのフロントシートの間に形成されたスペースにバッテリを配置するときには、バッテリからフロントシートの側に突出するブラケットを配置することができない。このため、バッテリの下面に位置決め構造を設けなければならない。バッテリの下面に位置決め構造を設けると、位置決め構造の視認性が悪化してしまう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明である蓄電装置の搭載構造は、蓄電装置および位置決め機構を有する。蓄電装置は、車両の左右方向に並ぶ2つのシートの間に配置され、車両の走行に用いられるエネルギを出力する。位置決め機構は、蓄電装置を車両ボディに対して位置決めする。位置決め機構は、蓄電装置および車両ボディの一方に設けられたピンと、蓄電装置および車両ボディの他方に設けられ、ピンが挿入される溝に向かってピンをガイドするガイド部材と、を有する。
【0006】
本発明によれば、ガイド部材を用いることにより、ピンを溝に容易に挿入することができ、車両ボディに対して蓄電装置を容易に位置決めすることができる。蓄電装置は、2つのシートの間に配置されるため、蓄電装置を搭載するときには、シートによって蓄電装置の搭載位置を確認し難い。本発明では、ピンを溝に直接導かなくても、ピンをガイド部材に移動させれば、ピンを溝に挿入することができる。
【0007】
蓄電装置は、車両の前後方向に延ばすことができる。ここで、ピンとしては、車両の前後方向において離れて配置された第1ピンおよび第2ピンを用いることができる。また、ガイド部材としては、第1ピンをガイドする第1ガイド部材と、第2ピンをガイドする第2ガイド部材とを用いることができる。第1ピンおよび第2ピンを用いることにより、車両の前後方向に延びる蓄電装置を容易に位置決めすることができる。
【0008】
第1ガイド部材には、第1ピンと接触して、車両の左右方向における第1ピンの移動を阻止する壁面を設けることができる。また、第2ガイド部材には、第2ピンと接触して、車両の前後方向における第2ピンの移動を阻止する壁面を設けることができる。第1ガイド部材および第2ガイド部材を用いることにより、蓄電装置が、車両の左右方向および前後方向にずれてしまうのを阻止することができる。また、第1ガイド部材および第2ガイド部材に対して、互いに異なる機能を持たせることにより、第1ピンおよび第2ピンを、第1ガイド部材および第2ガイド部材に固定させやすくなる。
【0009】
第1ガイド部材には、第1ピンが挿入され、車両の前後方向に延びる溝を設けることができる。また、第2ガイド部材には、第2ピンが挿入され、第2ピンの外形に沿って形成された溝を設けることができる。第2ピンを第2ガイド部材の溝に挿入することにより、第2ピンがずれるのを阻止することができる。第1ガイド部材の溝を車両の前後方向に延ばすことにより、第1ピンおよび第2ピンの間隔に公差が発生していても、第1ピンを第1ガイド部材の溝に容易に挿入することができる。
【0010】
第2ピンは、第1ピンよりも長くすることができる。これにより、第1ピンよりも先に、第2ピンを溝に挿入させやすくなる。ここで、第2ピンは、第1ピンよりも、車両の後方側に配置することができる。蓄電装置を車両の後方側から搭載するときには、第1ピンよりも車両の後方側に第2ピンを配置しておくことにより、作業者に対して、第2ピンを確認させやすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】電池パックが搭載された車両の一部の構造を示す外観図である。
【図2】電池パックの内部構造を示す概略図である。
【図3】電池パックの上面図である。
【図4】電池パックの側面図である。
【図5】実施例1における第1ガイド部材の上面図である。
【図6】図5のA−A断面図である。
【図7】実施例1における第2ガイド部材の上面図である。
【図8】図7のB−B断面図である。
【図9】実施例1の変形例である搭載構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施例について説明する。
【実施例1】
【0013】
本発明の実施例1である電池パック(蓄電装置)の搭載構造について説明する。本実施例の電池パックは、車両に搭載される。車両としては、ハイブリッド自動車や電気自動車がある。ハイブリッド自動車は、車両を走行させる動力源として、電池パックに加えて、燃料電池又はエンジンを備えている。電気自動車は、車両を走行させる動力源として、電池パックだけを備えている。
【0014】
図1は、車室内の一部の構造を示す外観図である。車室とは、乗員の乗車するスペースである。図1において、矢印FRは、車両が前進する方向を示し、矢印UPは、車両の上方向を示す。矢印RHは、車両の前進方向を向いたときの右側の方向を示す。矢印LHは、車両の前進方向を向いたときの左側の方向を示す。矢印FR,UP,RH,LHの関係は、他の図面においても同様である。
【0015】
図1に示すように、車室内には、運転席110および助手席120が設けられており、運転席110および助手席120は、シートスライドを介して、フロアパネル130に固定されている。シートスライドは、運転席110や助手席120を車両の前後方向にスライドさせるために用いられる。
【0016】
運転席110(具体的には、シートクッション)およびフロアパネル130の間に形成されたスペースには、第1吸気ダクト11が配置されている。第1吸気ダクト11は、車室内の空気を取り込むために用いられる。第1吸気ダクト11の下方には、ブロワが配置されており、ブロワを駆動することにより、車室内の空気が、第1吸気ダクト11に取り込まれる。
【0017】
第1吸気ダクト11から取り込まれた空気は、第2吸気ダクト12に導かれる。第2吸気ダクト12は、運転席110およびフロアパネル130の間に形成されたスペースに配置されており、第2吸気ダクト12の一部は、車両の左右方向に延びている。第2吸気ダクト12の一端は、ブロワに接続されており、第2吸気ダクト12の他端は、第3吸気ダクト13に接続されている。第2吸気ダクト12に進入した空気は、第3吸気ダクト13に導かれる。
【0018】
運転席110および助手席120の間には、電池パック100が配置されている。第2吸気ダクト12の一部は、電池パック100の底面に沿って配置されており、車両の前後方向に延びている。電池パック100の底面に沿って配置された第2吸気ダクト12の一部は、第3吸気ダクト13と接続されている。
【0019】
電池パック100は、車両を走行させるためのエネルギを出力する。具体的には、電池パック100から出力された電気エネルギは、モータ・ジェネレータによって、車両を走行させるための運動エネルギに変換される。モータ・ジェネレータは、車輪と連結されており、モータ・ジェネレータが生成した運動エネルギは、車輪に伝達される。
【0020】
車両を減速させたり、停止させたりするとき、モータ・ジェネレータは、車両の制動時に発生する運動エネルギを電気エネルギに変換する。電池パック100は、モータ・ジェネレータによって生成された電気エネルギを蓄えることができる。電池パック100およびモータ・ジェネレータを接続する電流経路には、DC/DCコンバータやインバータを配置することができる。
【0021】
DC/DCコンバータを用いれば、電池パック100の出力電圧を昇圧してモータ・ジェネレータに供給したり、モータ・ジェネレータからの出力電圧を降圧して電池パック100に供給したりすることができる。インバータを用いれば、モータ・ジェネレータとして、交流モータを用いることができる。
【0022】
本実施例では、運転席110および助手席120の間に形成されたスペースに、電池パック100を配置しているが、これに限るものではない。具体的には、2つのシートが車両の左右方向において並んで配置された構成において、これらのシートの間に形成されたスペースに電池パック100を配置することができる。
【0023】
図2に示すように、電池パック100は、電池パック100の外装を構成するケース200を有する。
【0024】
ケース200には、下段電池スタック210および上段電池スタック220が収容されており、電池スタック210,220は、車両の上下方向に並んでいる。下段電池スタック210および上段電池スタック220の間には、上段電池スタック220を支持する台座(図示せず)が配置されている。
【0025】
下段電池スタック210は、車両の前後方向に並ぶ複数の単電池211を有する。複数の単電池211は、バスバー(図示せず)によって電気的に直列に接続されている。車両の前後方向で隣り合う2つの単電池211の間には、スペースが形成されており、このスペースは、単電池211の温度調節に用いられる空気(車室内の空気)が移動するスペースとなる。
【0026】
上段電池スタック220は、車両の前後方向に並ぶ複数の単電池221を有する。複数の単電池221は、バスバー(図示せず)によって電気的に直列に接続されている。車両の前後方向で隣り合う2つの単電池221の間には、スペースが形成されており、このスペースは、単電池221の温度調節に用いられる空気(車室内の空気)が移動するスペースとなる。
【0027】
下段電池スタック210および上段電池スタック220は、電気ケーブルを介して、電気的に直列に接続されている。本実施例では、下段電池スタック210および上段電池スタック220が電気的に直列に接続されているが、下段電池スタック210および上段電池スタック220を電気的に並列に接続することもできる。
【0028】
本実施例において、下段電池スタック210および上段電池スタック220は、同一の構造を有している。すなわち、下段電池スタック210を構成する単電池211の数は、上段電池スタック220を構成する単電池221の数と等しい。電池スタック210,220を構成する単電池211,221の数は、電池パック100の要求出力等に基づいて、適宜設定することができる。
【0029】
なお、電池スタック210,220を構成する単電池211,221の数は、互いに異ならせることもできる。また、本実施例では、2つの電池スタック210,220を車両の上下方向に並べているが、3つ以上の電池スタックを車両の上下方向に並べることもできる。また、1つの電池スタックを配置するだけでもよい。
【0030】
単電池211,221としては、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池といった二次電池を用いることができる。また、二次電池の代わりに、電気二重層キャパシタ(コンデンサ)を用いることができる。本実施例では、複数の単電池211(221)を一方向に並べているが、これに限るものではない。具体的には、複数の単電池211(221)を用いて1つの電池モジュールを構成し、複数の電池モジュールを一方向に並べることができる。
【0031】
ケース200は、図1に示すように、第1吸気チャンバ31および第2吸気チャンバ32を収容している。第1吸気チャンバ31および第2吸気チャンバ32は、車両の前後方向に延びており、ケース200に固定されている。第1吸気チャンバ31および第2吸気チャンバ32は、車両の上下方向において並んでいる。
【0032】
第1吸気チャンバ31および第2吸気チャンバ32は、第3吸気ダクト13と接続されており、第1吸気チャンバ31および第2吸気チャンバ32には、第3吸気ダクト13からの空気が導かれる。第3吸気ダクト13は、車両の上下方向に延びており、ケース200に収容される。
【0033】
第1吸気チャンバ31を移動した空気は、下段電池スタック210に導かれる。第1吸気チャンバ31からの空気は、車両の前後方向で隣り合う2つの単電池211の間に形成されたスペースを移動しながら、単電池211との間で熱交換を行う。
【0034】
第2吸気チャンバ32を移動した空気は、上段電池スタック220に導かれる。第2吸気チャンバ32からの空気は、車両の前後方向で隣り合う2つの単電池221の間に形成されたスペースを移動しながら、単電池221との間で熱交換を行う。空気および単電池211,221の間で熱交換を行わせることにより、単電池211,221の温度を調節することができる。
【0035】
下段電池スタック210において、車両の前後方向で隣り合う2つの単電池211の間を通過した空気、言い換えれば、熱交換後の空気は、第1排気チャンバ41に移動する。上段電池スタック220において、車両の前後方向で隣り合う2つの単電池221の間を通過した空気、言い換えれば、熱交換後の空気は、第2排気チャンバ42に移動する。第1排気チャンバ41および第2排気チャンバ42は、車両の前後方向に延びているとともに、車両の上下方向に並んでいる。
【0036】
第1排気チャンバ41および第2排気チャンバ42は、ケース200に収容されている。第1吸気チャンバ31および第1排気チャンバ41は、車両の左右方向において、下段電池スタック210を挟む位置に配置されている。第2吸気チャンバ32および第2排気チャンバ42は、車両の左右方向において、上段電池スタック220を挟む位置に配置されている。
【0037】
第1排気チャンバ41および第2排気チャンバ42を移動する空気は、排気ダクト14に導かれる。排気ダクト14は、第1排気チャンバ41および第2排気チャンバ42に対して分岐しており、第1排気チャンバ41および第2排気チャンバ42からの空気を取り込む。排気ダクト14は、ケース200に収容されている。また、排気ダクト14の一部は、車両の上下方向に延びており、排気ダクト14は、車両の左右方向において、第3吸気ダクト13と並んでいる。
【0038】
排気ダクト14に導かれた空気は、排気ダクト14に沿って移動しながら、フロアパネル130に向かう。排気ダクト14から排出された空気は、フロアパネル130の上面に沿って拡散される。フロアパネル130の上面は、カーペットで覆われており、排気ダクト14から排出された空気は、フロアパネル130およびカーペットの間を移動しながら拡散する。
【0039】
図3は、電池パック100の上面図である。図4は、電池パック100を車両に搭載する前の状態を示す図である。図4は、運転席110の側から電池パック100を見たときの図である。
【0040】
図3に示すように、運転席110の側に面するケース200の側面には、4つの脚部201a〜201dと、第1フランジ202と、第2フランジ203とが設けられている。4つの脚部201a〜201dは、フロアパネル130に対してボルトによって締結される。本実施例では、運転席110の側に面するケース200の側面に、4つの脚部201a〜201dを設けているが、脚部の数は、適宜設定することができる。
【0041】
4つの脚部201a〜201dにおいて、脚部201aは、最も車両の前方に位置している。車両の前後方向において、脚部201aと隣り合う位置には、第1フランジ202が配置されている。第1フランジ202は、脚部201aに対して、車両の後方に位置している。
【0042】
4つの脚部201a〜201dにおいて、脚部201dは、最も車両の後方に位置している。車両の前後方向において、脚部201dと隣り合う位置には、第2フランジ203が配置されている。第2フランジ203は、脚部201dに対して、車両の前方に位置しており、脚部201cおよび脚部201dの間に配置されている。
【0043】
フランジ202,203には、ピン204,205が設けられている。ピン204は、第1フランジ202から下方向に向かって延びている。ピン205は、第2フランジ203から下方向に向かって延びている。
【0044】
助手席120の側に面するケース200の側面には、4つの脚部201e〜201hが設けられている。4つの脚部201e〜201hは、フロアパネル130に対してボルトによって締結される。本実施例では、脚部201a〜201hを用いることにより、電池パック100をフロアパネル130に固定している。本実施例では、助手席120の側に面するケース200の側面に、4つの脚部201e〜201hを設けているが、脚部の数は適宜設定することができる。
【0045】
脚部201a,201eは、ケース200を挟んで対向する位置に配置されている。脚部201b,201fは、ケース200を挟んで対向する位置に配置されている。脚部201c,201gは、ケース200を挟んで対向する位置に配置されている。脚部201d,201hは、ケース200を挟んで対向する位置に配置されている。
【0046】
ピン204,205は、円柱状に形成されており、図4に示すように、ピン205の長さは、ピン204の長さよりも長くなっている。ピン204,205の形状は、適宜設定することができる。ピン204,205の形状とは、ピン204,205の長手方向と直交する断面における形状である。例えば、ピン204,205の形状を、矩形状に形成することができる。また、ピン204,205の形状を、互いに異ならせることができる。
【0047】
ピン204は、第1ガイド部材131に形成された溝に挿入される。図4に示すように、第1ガイド部材131は、第1ブラケット132に取り付けられており、第1ブラケット132は、フロアパネル130に固定されている。第1ブラケット132およびフロアパネル130は、車両ボディに相当する。
【0048】
図5は、第1ガイド部材131の上面図であり、ピン204の側から第1ガイド部材131を見た図である。図6は、図5のA−A断面図である。第1ガイド部材131は、溝131aおよびガイド面131bを有する。ガイド面131bは、電池パック100の側(言い換えれば、車両の上方)を向く傾斜面で構成されており、ガイド面131bの下端は、溝131aとつながっている。
【0049】
溝131aは、車両の前後方向に延びている。溝131aの長さLは、ピン204の外径よりも大きくなっている。また、溝131aの幅Wは、ピン204の外径と略等しくなっている。具体的には、溝131aに対するピン204の挿入を許容する範囲内において、溝131aの幅Wは、ピン204の外径と等しくなっている。ピン204が溝131aに挿入されているとき、幅Wを規定する溝131aの壁面は、ピン204と接触することにより、ピン204が車両の左右方向に変位するのを阻止する。
【0050】
ピン204を溝131aに挿入するとき、ピン204の先端を、ガイド面131bに接触させれば、ガイド面131bに沿ってピン204を移動させることができる。ガイド面131bは、溝131aとつながっているため、ガイド面131bに沿ってピン204を移動させれば、ピン204を溝131aに挿入することができる。ここで、ピン204の先端を曲面で構成すれば、ガイド面131bに沿ってピン204を移動させやすくすることができる。
【0051】
一方、ピン205は、第2ガイド部材133に形成された溝に挿入される。図4に示すように、第2ガイド部材133は、第2ブラケット134に取り付けられており、第2ブラケット134は、フロアパネル130に固定されている。第2ブラケット134およびフロアパネル130は、車両ボディに相当する。
【0052】
図7は、第2ガイド部材133の上面図であり、ピン205の側から第2ガイド部材133を見た図である。図8は、図7のB−B断面図である。第2ガイド部材133は、溝133aおよびガイド面133bを有する。溝133aは、ピン205の外形に沿った形状に形成されている。具体的には、ピン205が円柱状に形成されているため、溝133aは、図7に示すように、円形に形成されている。ガイド面133bは、電池パック100の側(言い換えれば、車両の上方)を向く傾斜面で構成されており、ガイド面133bの下端は、溝133aとつながっている。
【0053】
ピン205を溝133aに挿入するとき、ピン205の先端を、ガイド面133bに接触させれば、ガイド面133bに沿ってピン205を移動させることができる。ガイド面133bは、溝133aとつながっているため、ガイド面133bに沿ってピン205を移動させれば、ピン205を溝133aに挿入することができる。ここで、ピン205の先端を曲面で構成すれば、ガイド面133bに沿ってピン205を移動させやすくすることができる。
【0054】
溝133aの径は、ピン205の外径と略等しくなっている。具体的には、溝133aに対するピン205の挿入を許容する範囲内において、溝133aの径は、ピン205の外径と等しくなっている。溝133aにピン205を挿入したとき、ピン205が溝133aの壁面と接触することにより、ピン205が図7に示す平面内で変位するのを阻止することができる。
【0055】
ピン204,205を溝131a,133aに挿入することにより、フロアパネル130に対して電池パック100を位置決めすることができる。すなわち、電池パック100を、予め定められた搭載位置に配置することができる。電池パック100を位置決めしておくことにより、脚部201a〜201hをフロアパネル130に締結することができる。
【0056】
本実施例の電池パック100は、運転席110および助手席120の間の限られたスペースに配置される。電池パック100をフロアパネル130に配置するときには、車両の上方からフロアパネル130に向かって電池パック100を降ろす必要がある。ここで、運転席110および助手席120が配置されていることにより、作業者は、ケース200のピン204,205を目視し難くなっている。
【0057】
本実施例では、ガイド部材131,133にガイド面131b,133bが形成されているため、ガイド面131b,133bにピン204,205の先端を接触させれば、ピン204,205をガイド部材131,133の溝131a,133aに容易に挿入することができる。溝131aおよびガイド面131bを含む領域内に、ピン204を移動させれば、ピン204を溝131aに挿入することができ、ピン204を溝131aに直接、挿入する場合に比べて、ピン204を溝131aに挿入しやすくなる。同様に、溝133aおよびガイド面133bを含む領域内に、ピン205を移動させれば、ピン205を溝133aに挿入することができ、ピン205を溝133aに直接、挿入する場合に比べて、ピン205を溝133aに挿入しやすくなる。
【0058】
ピン205は、ピン204よりも長くなっているため、ピン205をガイド部材133の溝133aに挿入し易くすることができる。具体的には、作業者が、運転席110および助手席120の後方から電池パック100を取り付けるとき、ピン205をピン204よりも長くすることにより、作業者は、ピン205を確認しやすくなる。そして、作業者は、ピン205を確認しながら、ピン205を第2ガイド部材133に移動させることができる。
【0059】
溝133aにピン205を挿入すれば、ピン205が図7に示す平面内で変位するのを抑制できるため、フロアパネル130に対して、電池パック100を位置決めし易くなる。ピン205を溝133aに挿入した状態であれば、ピン204を第1ガイド部材131の溝131aに容易に挿入することができる。溝131aは、車両の前後方向に延びているため、2つのピン204,205の間隔に公差が発生していても、ピン204を溝131aに容易に挿入することができる。
【0060】
2つのピン204,205を用いることにより、電池パック100がフロアパネル130の上面において、ずれてしまうのを阻止することができる。具体的には、ピン205を溝133aに挿入することにより、ピン205を溝133aに挿入した位置において、電池パック100を位置決めすることができる。ピン205が溝133aの壁面と接触することにより、電池パック100が車両の前後方向にスライドするのを阻止することができる。
【0061】
また、ピン204を溝131aに挿入すれば、ピン204が、溝131aの壁面と接触することにより、ピン204が車両の左右方向(LH方向又はRH方向)にずれてしまうのを阻止することができる。したがって、ピン204,205を溝131a,133aに挿入することにより、車両の前後方向および左右方向において、電池パック100がずれてしまうのを阻止することができる。
【0062】
本実施例では、運転席110の側に面するケース200の側面に、ピン204,205を設けているが、これに限るものではない。例えば、助手席120の側に面するケース200の側面に、ピン204,205を設けることができる。また、ピン204,205の一方を、運転席110の側に面するケース200の側面に設け、他方を、助手席120の側に面するケース200の側面に設けることができる。
【0063】
本実施例では、ガイド部材131,133に溝131a,133aを設けているが、これに限るものではない。ガイド部材131,133とは異なる部材(例えば、ブラケット132,134)に溝を設けておき、ガイド部材131,133のガイド面131b、133bを用いて、ピン204,205を溝に導くこともできる。
【0064】
本実施例では、ケース200にピン204,205を設け、フロアパネル130にガイド部材131,133を設けているが、これに限るものではない。具体的には、図9に示すように、ケース200にガイド部材206を設け、フロアパネル130にピン135を設けることができる。ガイド部材206は、本実施例で説明したガイド部材131,133に相当し、溝206aおよびガイド面206bを有する。ガイド面206bは、フロアパネル130の側(言い換えれば、車両の下方)を向く傾斜面で構成されている。ピン135は、本実施例で説明したピン204,205に相当する。
【0065】
図9に示す構成では、ガイド部材206をピン135の先端に接触させることにより、ピン135の先端に沿ってガイド部材206を移動させることができる。ガイド部材206は、ガイド面206bを有しているため、ガイド面206bがピン135の先端に沿って移動して、ガイド部材206の溝206aにピン135を挿入させることができる。
【符号の説明】
【0066】
100:電池パック(蓄電装置) 110:運転席
120:助手席 130:フロアパネル(車両ボディ)
131:第1ガイド部材 132:第1ブラケット(車両ボディ)
133:第2ガイド部材 134:第2ブラケット(車両ボディ)
131a,133a:溝 131b,133b:ガイド面
200:ケース 201a〜201h:脚部
202:第1フランジ 203:第2フランジ
204:第1ピン 205:第2ピン
210:下段電池スタック 220:上段電池スタック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の左右方向に並ぶ2つのシートの間に配置され、前記車両の走行に用いられるエネルギを出力する蓄電装置と、
前記蓄電装置を車両ボディに対して位置決めする位置決め機構と、を有し、
前記位置決め機構は、
前記蓄電装置および前記車両ボディの一方に設けられたピンと、
前記蓄電装置および前記車両ボディの他方に設けられ、前記ピンが挿入される溝に向かって前記ピンをガイドするガイド部材と、
を有することを特徴とする蓄電装置の搭載構造。
【請求項2】
前記蓄電装置は、前記車両の前後方向に延びており、
前記ピンは、前記車両の前後方向において離れて配置された第1ピンおよび第2ピンを含み、
前記ガイド部材は、前記第1ピンをガイドする第1ガイド部材と、前記第2ピンをガイドする第2ガイド部材とを含むことを特徴とする請求項1に記載の蓄電装置の搭載構造。
【請求項3】
前記第1ガイド部材は、前記第1ピンと接触して、前記車両の左右方向における前記第1ピンの移動を阻止する壁面を有し、
前記第2ガイド部材は、前記第2ピンと接触して、前記車両の前後方向における前記第2ピンの移動を阻止する壁面を有することを特徴とする請求項2に記載の蓄電装置の搭載構造。
【請求項4】
前記第1ガイド部材は、前記第1ピンが挿入され、前記車両の前後方向に延びる溝を有し、
前記第2ガイド部材は、前記第2ピンが挿入され、前記第2ピンの外形に沿って形成された溝を有することを特徴とする請求項2又は3に記載の蓄電装置の搭載構造。
【請求項5】
前記第2ピンは、前記第1ピンよりも長いことを特徴とする請求項2から4のいずれか1つに記載の蓄電装置の搭載構造。
【請求項6】
前記第2ピンは、前記第1ピンよりも、前記車両の後方側に配置されていることを特徴とする請求項5に記載の蓄電装置の搭載構造。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−86564(P2013−86564A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−226218(P2011−226218)
【出願日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】