説明

蓄電装置の電極および蓄電装置

【課題】信頼性がよく小型化が可能な蓄電装置の電極を提供する。また、当該電極を搭載した蓄電装置を提供する。
【解決手段】集電体上に、ウィスカーを有する活物質層の内部応力を緩和する緩和層を設ける。緩和層を設けることにより集電体の変形を抑制し、蓄電装置の生産性を高めることができる。また、蓄電装置の小型化を可能とし、信頼性を高めることができる。また、ウィスカーを有する活物質層を被覆するようにグラフェンを形成してもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電装置およびその作製方法に関する。なお、本明細書において蓄電装置とは、蓄電機能を有する装置の一部あるいは全般を指すものである。
【背景技術】
【0002】
近年、リチウムイオン二次電池、リチウムイオンキャパシタなど、蓄電装置の開発が行われている。
【0003】
蓄電装置用の電極は、集電体の一表面に活物質を形成することにより作製される。リチウムを吸蔵する活物質としては、例えばグラファイト又はシリコンなど、キャリアとなるイオンの吸蔵および放出が可能な材料が用いられる。中でもシリコンは、グラファイトに比べ理論容量が大きく、蓄電装置の大容量化という点において優れているため、注目されている。
【0004】
例えば非特許文献1では、活物質にウィスカー状の単結晶シリコン(silicon nanowires)を用いたリチウムイオン二次電池が報告されている。非特許文献1では、ウィスカー状シリコンを用いることで、リチウムイオンの吸蔵および放出によってシリコンの体積が変化しても、電極の構造破壊を引き起こしにくいため、充放電特性を向上させることができるとされている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】「High−performance lithium battery anodes using silicon nanowires」, CANDACE K. CHAN et al., nature nanotechnology, p. 31−35, VOL 3, 2008
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ウィスカー状のシリコンは強い引張応力を有しており、蓄電装置の電極の活物質層としてウィスカー状のシリコンを用いると、集電体の厚さを薄くする場合や、集電体に展性や弾性の大きい材料を用いる場合に、集電体が変形してしまうという問題がある。
【0007】
集電体の変形は、蓄電装置の生産性を低下させる一因となる。また、集電体の変形を防ぐために集電体を厚くすると、蓄電装置の小型化の妨げとなる。また、集電体が変形すると、活物質のLiイオン吸蔵および放出に伴う体積変化により、活物質が剥がれ易くなり、蓄電装置の信頼性を低下させてしまうという問題がある。
【0008】
シリコン以外の活物質層として、錫、アルミニウム、ゲルマニウム、チタンなどを用いることが可能であるが、これらの材料を用いて作製したウィスカー状の活物質層は、いずれも上記と同様の問題を内在する。
【0009】
本発明の一態様は、生産性のよい蓄電装置の電極を提供することを課題とする。
【0010】
本発明の一態様は、生産性のよい蓄電装置を提供することを課題とする。
【0011】
本発明の一態様は、小型化が可能な蓄電装置の電極を提供することを課題とする。
【0012】
本発明の一態様は、小型化が可能な蓄電装置を提供することを課題とする。
【0013】
本発明の一態様は、信頼性のよい蓄電装置の電極を提供することを課題とする。
【0014】
本発明の一態様は、信頼性のよい蓄電装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の一態様は、集電体上に緩和層を有し、緩和層上に、ウィスカーを有する活物質層を有し、緩和層の内部応力は、活物質層の内部応力と異なる方向の応力を有することを特徴とする蓄電装置の電極であり、または、該電極を搭載した蓄電装置である。
【0016】
ここで、緩和層の内部応力と、活物質層の内部応力の方向が異なるとは、例えば、活物質層の内部応力が引張応力である場合に、緩和層の内部応力が圧縮応力であるという意味である。集電体に対する活物質層の内部応力の方向と、集電体に対する緩和層の内部応力の方向を異ならせることにより、集電体の湾曲を抑制できる。
【0017】
また、本発明の一態様は、集電体と、ウィスカーを有する活物質層と、緩和層と、を有し、集電体は、活物質層と緩和層の間に設けられ、緩和層の内部応力は、活物質層の内部応力と同じ方向の応力であることを特徴とする蓄電装置の電極であり、または、該電極を搭載した蓄電装置である。
【0018】
ここで、緩和層の内部応力と、活物質層の内部応力の方向が同じとは、例えば、活物質層の内部応力が引張応力である場合に、緩和層の内部応力も引張応力であるという意味である。集電体に対する活物質層の内部応力の方向と、集電体に対する緩和層の内部応力の方向を同じとすることにより、集電体の湾曲を抑制できる。
【0019】
また、活物質層と緩和層の応力の絶対値を概略同じとすることで、集電体の湾曲をさらに抑制することができる。活物質層と緩和層の応力は、両者の成膜条件や、膜厚により決定することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の一態様は、生産性のよい蓄電装置の電極を提供することができ、該電極を搭載することで生産性のよい蓄電装置を提供できる。
【0021】
本発明の一態様は、小型化が可能な蓄電装置の電極を提供することができ、該電極を搭載することで小型化が可能な蓄電装置を提供できる。
【0022】
本発明の一態様は、信頼性のよい蓄電装置の電極を提供することができ、該電極を搭載することで信頼性のよい蓄電装置を提供できる。
【0023】
本発明の一態様は、少なくとも上記課題の一を解決する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一態様である蓄電装置の電極表面を説明するための断面図。
【図2】本発明の一態様である蓄電装置の電極表面を説明するための断面図。
【図3】電気泳動法を説明するための断面図。
【図4】蓄電装置の一形態を説明するための平面図および断面図。
【図5】蓄電装置の応用の形態を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の実施の形態の一例について、図面を用いて以下に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨およびその範囲から逸脱することなくその形態および詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではないとする。なお、説明中に図面を参照するにあたり、同じものを指す符号は異なる図面間でも共通して用いる場合がある。また、同様のものを指す際には同じハッチパターンを使用し、特に符号を付さない場合がある。
【0026】
(実施の形態1)
本実施の形態では、電極、および当該電極の作製方法について図面を参照して説明する。
【0027】
図1(A)は、電極100の表面の一部の断面模式図である。電極100は、集電体101と、集電体101上に設けられた緩和層102と、緩和層102上に設けられた活物質層108を有する。
【0028】
活物質層108は、領域107aおよび領域107bを有し、領域107bは複数のウィスカー状(髭状、紐状、または繊維状)の活物質(単に、「ウィスカー」ともいう)を有する。
【0029】
また、領域107aは緩和層102に接して設けられており、領域107bではウィスカーが領域107aから突出し、且つランダムに分散して設けられている。従って、活物質層108は、ウィスカーの形状に沿った微細な表面構造を有することになる。
【0030】
なお、領域107aおよび領域107bの界面は明確でない。このため、ウィスカーとウィスカーの間に形成される谷のうち最も深い谷の底を通り、且つ集電体101又は緩和層102の表面と平行な面を、領域107aと領域107bの界面として定義する。
【0031】
活物質層108において、ウィスカー状の活物質は、結晶性を有する構造である芯109と、非晶質構造である外殻111で形成されていることが好ましい。外殻111である非晶質構造は、イオンの吸蔵および放出に伴う体積変化に強い(例えば、体積変化に伴う応力を緩和する)という特色を有する。また、芯109である結晶性を有する構造は、導電性およびイオン移動度に優れており、単位質量あたりの「イオンを吸蔵する速度」および「イオンを放出する速度」が大きいという特徴を有する。従って、芯109および外殻111を有するウィスカー状の活物質を備える電極100を用いることで、高速な充放電が可能となり、充放電容量およびサイクル特性が向上した蓄電装置を作製することができる。
【0032】
なお、芯109は、芯109aのように緩和層102に接するものに限定されるわけではなく、芯109bのように、図面奥方向に伸長しているものや、芯109cのように局在するものであってもよい。つまり、芯109は、芯109a、芯109bおよび芯109cの総称である。また、外殻111は、外殻111a、外殻111bおよび外殻111cの総称である。
【0033】
また、領域107bに設けられるウィスカー状の活物質は、柱状(円柱状または角柱状)であってもよいし、錐状(円錐状または角錐状、針状と呼んでもよい。)であってもよい。また、ウィスカー状の活物質の頂部は、湾曲していてもよい。
【0034】
また、領域107bに複数設けられるウィスカー状の活物質の長手方向は、同一方向に揃っていなくてよい。ウィスカー状の活物質の長手方向が異なる例として、図1および図2は、活物質の長手方向の断面形状(芯109aと外殻111bで示される部分の断面形状)のみならず、活物質の輪切りの断面形状(芯109bと外殻111cで示される部分の断面形状)も示している。
【0035】
また、領域107bが有するウィスカー状の活物質の輪切りの断面には、場所によって、ウィスカー状の活物質に芯109が観察される場合もあるし、観察されない場合もある。また、領域107bが有するウィスカー状の活物質の輪切りの断面は、ウィスカー状の活物質が円柱状または円錐状である場合には円形であるが、ウィスカー状の活物質が角柱状または角錐状である場合には多角形状である。ウィスカー状の活物質の長手方向が不揃いであると、一つのウィスカー状の活物質と他のウィスカー状の活物質が絡まり易くなり、充放電におけるウィスカー状の活物質の剥離(または脱離)が生じにくく好ましい。
【0036】
なお、ウィスカー状の活物質が伸長している方向を長手方向と呼び、長手方向に略平行な面において切断した断面形状を長手方向の断面形状と呼ぶ。また、ウィスカー状の活物質の、長手方向とは略垂直な面において切断した断面形状を輪切り断面形状と呼ぶ。
【0037】
芯109の輪切り断面形状における幅は、50nm以上3μm以下であればよく、好ましくは0.5μm以上2μm以下であればよい。
【0038】
また、芯109の長さは特に限定されないが、0.5μm以上1000μm以下とすればよく、好ましくは1μm以上100μm以下であればよい。
【0039】
また、領域107bが有するウィスカー状の活物質の輪切り断面形状における幅は、50nm以上10μm以下、好ましくは0.5μm以上5μm以下である。また、領域107bが有するウィスカー状の活物質の長さは、1μm以上1000μm以下、好ましくは6μm以上200μm以下である。
【0040】
なお、ウィスカー状の活物質の「長さ」とは、ウィスカー状の活物質の中心を通る先端から領域107aまでの長手方向の距離をいう。
【0041】
また、ウィスカー状の活物質は上記構成に限らず、領域107aおよび領域107bの全てが結晶性を有する構造であってもよく、領域107aおよび領域107bのすべてが非晶質構造であってもよい。
【0042】
図1(A)に示した電極100において、領域107aの一部(緩和層102と芯109が接している箇所以外の領域)は、外殻111と同様に非晶質構造である。また、領域107aには結晶性を有する構造が含まれていてもよい。また、領域107aに緩和層102の材料が含まれていてもよい。
【0043】
また、集電体101と活物質層108の間に形成する緩和層102は、集電体101に対する活物質層108の内部応力と異なる方向の内部応力を有する層を用いる。例えば、活物質層108が引張応力を有する場合は、緩和層102に圧縮応力を有する層を用いる。集電体101に対する活物質層108の内部応力の方向と、集電体101に対する緩和層102の内部応力の方向を異ならせることにより、集電体101の湾曲を抑制できる。
【0044】
したがって、集電体101の厚さを薄くすることができ、集電体101の厚さを100μm以下、好ましくは50μm以下、さらに好ましくは30μm以下とすることができる。
【0045】
図1(B)は、電極150の表面の一部の断面模式図である。電極150は、緩和層103と、緩和層103上に設けられた集電体101と、集電体101上に設けられた活物質層108を有する。すなわち、電極150は、緩和層103と活物質層108の間に、集電体101を挟む構成を有する。
【0046】
緩和層103は、集電体101に対して活物質層108が有する内部応力と同方向の内部応力を有する層を用いる。例えば、活物質層108が引張応力を有する場合は、緩和層103にも引張応力を有する層を用いる。緩和層103に活物質層108と同じ方向の応力を有する層を用いることで、集電体101の湾曲を抑制できる。
【0047】
したがって、集電体101の厚さを薄くすることができ、集電体101の厚さを100μm以下、好ましくは50μm以下、さらに好ましくは30μm以下とすることができる。
【0048】
また、活物質層108と、緩和層102または緩和層103の応力の絶対値を概略同じとすることで、集電体の湾曲をさらに抑制することができる。具体的には、活物質層108と、緩和層102または緩和層103の応力の絶対値を、それぞれの絶対値の平均値に対して±50%以内、好ましくは±20%以内、さらに好ましくは±10%以内とすればよい。活物質層108、緩和層102、および緩和層103の応力は、両者の成膜条件や、膜厚により決定することができる。
【0049】
本明細書に開示する電極を用いることで、蓄電装置の生産性を向上させることができる。また、本明細書に開示する電極を用いることで、蓄電装置の小型化が可能となる。また、本明細書に開示する電極は活物質の剥がれが生じにくいため、信頼性の良い蓄電装置を実現することが可能となる。
【0050】
また、ウィスカーを有する活物質層に接してグラフェンを設けることで、充放電容量を向上させることが可能な蓄電装置の電極を提供することができる。さらに、該電極を搭載することで充放電容量が向上した蓄電装置を提供できる。
【0051】
図2(A)に示す電極110は、電極100上にグラフェン116を設けた構成を有する。また、図2(B)に示す電極160は、電極150上にグラフェン116を設けた構成を有する。また、グラフェン116は、第1の領域113および第2の領域115を有している。
【0052】
本明細書中において、グラフェンとは、イオンを通過させる空隙を有し、sp結合を有する1原子層の炭素分子で構成された1枚のシートのことをいう。なお、グラファイトは、複数のグラフェンがファンデルワールス力により結合したものである。また、グラフェンを構成する元素のうち、水素と炭素以外の元素の比率は15原子%以下、あるいは炭素以外の元素の比率は30原子%以下とするとよい。
【0053】
第1の領域113は、領域107bに存在する複数のウィスカー状の活物質を被覆している。詳細には、第1の領域113は、領域107bに存在する複数のウィスカー状の活物質表面だけではなく、領域107aの表面も被覆している。また、第1の領域113の厚さは全ての範囲において一定ではなく、ばらつきを有してもよい。
【0054】
第2の領域115は、一つのウィスカー状の活物質の頂部における第1の領域113と、他のウィスカー状の活物質の側面又は頂部における第1の領域113の間に設けられている。そして、第1の領域113と第2の領域115は、活物質層108の任意の範囲全てにおいて接しているため、活物質層108の平面視では、グラフェン116が複数のウィスカー状の活物質上に連続的に広がって設けられていることになる(図示せず)。
【0055】
換言すると、グラフェン116は、活物質層108の平面方向に一様に広がり、ウィスカー状の活物質に接して設けられている。なお、本明細書において、ウィスカー状の活物質の頂部とは、領域107bにおいて、少なくとも、頂点および頂面を含む領域のことをいう。つまり、当該頂部とは、ウィスカー状の活物質の側面を含む領域を少なからず有する。また、第2の領域115の厚さは全ての範囲において一定でなく、ばらつきを有してもよい。
【0056】
なお、グラフェン116において、第1の領域113と第2の領域115の境界は明確でない。図2(A)および図2(B)において、第1の領域113と第2の領域115が接合している箇所は、明瞭化のため、点線によって第1の領域113と第2の領域115を区別して図示している。
【0057】
図2(A)および図2(B)の一点鎖線部に示すように、グラフェン116における第2の領域115は、一つのウィスカー状の活物質の側面における第1の領域113と、領域107aの表面における第1の領域113との間に設けられてもよい。
【0058】
また、活物質層108において、第1の領域113と複数のウィスカー状の活物質の間に酸化膜が設けられている構成であってもよい。ただし、電極110および電極160の導電性の観点から当該酸化膜は設けられていない方が好ましい。
【0059】
グラフェン116は柔軟性に富んでいるという特色を有し、複数のウィスカー状の活物質に接している。それゆえ、活物質層108にグラフェン116を備える電極110および電極160は、イオンの吸蔵および放出に伴ってウィスカー状の活物質の体積が変化しても、グラフェン116がその体積変化による応力を緩和するため、繰り返しの充放電によってウィスカー状の活物質が微粉化または剥離することを防止できる。そして、グラフェン116は機械的強度も高いという特色を有することから、グラフェン116を備える電極110および電極160は、物理的な衝撃によってウィスカー状の活物質が折れることや、崩落することを防止できる(微粉化または剥離することも防止できる)。従って、電極110または電極160を用いることで、物理的な衝撃または繰り返しの充放電による充放電容量の低下が抑制され、サイクル特性が向上した蓄電装置を作製することができる。
【0060】
また、グラフェン116は導電率(電子移動度)が高いという特色を有し、ウィスカー状の活物質に接していることから、電極110および電極160において、グラフェン116は導電助剤として機能しうる。つまり、イオンの吸蔵および放出に伴って生じる電子の伝導パスとなるため、電極110および電極160は導電性に優れている。従って、電極110または電極160を用いることで、高速な充放電が可能、且つ充放電容量が向上した蓄電装置を作製することができる。
【0061】
また、グラフェン116はウィスカー状の活物質に接していることから、例えば、ウィスカー状の活物質が折れた場合や崩落した場合であっても(微粉化または剥離した場合であっても)、そのウィスカー状の活物質と該グラフェン116の接した状態は維持されるため、電極内における電子の導電パスが途切れず、グラフェン116を介して集電することができる。つまり、ウィスカー状の活物質が折れた場合や崩落した場合であっても(微粉化または剥離した場合であっても)、集電体101と、活物質層108間の導電率(結果的には電極110または電極160の導電率)の低下を抑制できる。特に、グラフェン116が活物質層108(ウィスカーを有する活物質層)の平面方向に一様に広がり、広く接して設けられていることは、当該導電率の低下を抑制することに有利である。従って、電極110または電極160を用いることで、物理的な衝撃または繰り返しの充放電による充放電容量の低下が抑制され、且つサイクル特性が向上した蓄電装置を作製することができる。
【0062】
また、グラフェン116自体にもイオンを吸蔵できる容量を有していることから、グラフェン116を備える電極110および電極160は、グラフェン116を備えていない場合よりも高容量な電極として機能する。また、グラフェン116自体の容量は、設けられたグラフェン116の形状によって差が生じる。例えば、グラフェン116の面積は、活物質層108の平面視において、グラフェン116が活物質層108の平面方向に一様に広がっておらず、活物質層108の所々に空隙(空間ともいえる)を有する場合よりも、活物質層108の平面視において、グラフェン116が活物質層108の平面方向に一様に広がっている方が広い。グラフェン116の厚さも、上記同様に活物質層108の平面視において、グラフェン116が活物質層108の平面方向に一様に広がっている方が厚い。つまり、活物質層108の平面視において、グラフェン116が活物質層108の平面方向に一様に広がっていることは、グラフェン116自体の容量を向上させるため、高容量な電極として機能させることに有利である。従って、電極110または電極160を用いることで、充放電容量が向上した蓄電装置を作製することができる。
【0063】
また、電極110および電極160において、グラフェン116は複数のウィスカー状の活物質に接していることから、グラフェン116は複数のウィスカー状の活物質を結着しているともいえる。つまり、グラフェン116はバインダとしても機能する。上記より、電極110および電極160は、公知の導電助剤(アセチレンブラック等)やバインダを用いることなく電極を構成している。このため、電極体積または電極重量に占める活物質層108の比率を増大させることができ、電極110および電極160は高容量な電極として機能する。従って、電極110または電極160を用いることで、充放電容量が向上した蓄電装置を作製することができる。
【0064】
また、グラフェン116は耐熱性も高い。そのため、電極110および電極160は、加熱処理によって電極中の水分濃度を低減することができる。さらに、電極110または電極160を蓄電装置に搭載した場合、グラフェン116は電解液を吸収する能力が低いため、グラフェン116の膨潤によって電極110および電極160の変形および破壊が生じにくい。
【0065】
次に、電極100の作製方法について説明する。
【0066】
集電体101は、箔状、板状、または網状等の導電性を有する材料を用いる。集電体101としては、白金、銅、チタン、クロム、金、タングステン、モリブデン、ニッケルなどから選ばれた金属元素や、上述した金属元素を含む合金などの導電性の高い材料を用いることが好ましい。また、集電体101の材料として、シリコン、チタン、ネオジム、スカンジウムまたはモリブデンなどの耐熱性を向上させる元素が添加されたアルミニウム合金を用いてもよい。また、集電体101は、単層構造でも、二層以上の積層構造としてもよい。
【0067】
集電体101上に緩和層102を形成する。緩和層102として、絶縁性材料を用いてもよいが、導電性材料を用いることが好ましい。緩和層102は、印刷法、ゾルゲル法、塗布法、インクジェット法、CVD法、スパッタリング法、又は蒸着法等を適宜用いて形成することができる。また、緩和層102はRoll−to−Rollプロセスを用いて形成してもよい。
【0068】
緩和層102としては、銅、チタン、クロム、金、タングステン、モリブデン、ニッケルなどから選ばれた金属元素や、上述した金属元素を含む合金などの導電性の高い材料を用いることができる。また、シリコンと反応してシリサイドを形成する金属元素を用いてもよい。シリコンと反応してシリサイドを形成する金属元素としては、ジルコニウム、チタン、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、コバルト、ニッケル等がある。また、緩和層102は、単層構造でも、二層以上の積層構造としてもよい。
【0069】
また、緩和層102として、結晶性半導体や、非晶質シリコンや多結晶シリコンに代表される非単結晶半導体、GaAsやCdTeなどの化合物半導体、ZnOやInGaZnOなどの酸化物半導体を用いてもよい。また、緩和層102として、グラフェンやカーボンナノチューブを用いてもよい。
【0070】
また、緩和層102の形成条件や、厚さを適宜調節することで、緩和層102に任意の内部応力を付与することができる。例えば、緩和層102としてスパッタリング法により圧縮応力を有するタングステン層を形成する。具体的には、集電体101とタングステンターゲットの間の距離を60mm、基板温度230℃、圧力0.2Pa、直流(DC)電源電力1.0kW、スパッタガスをアルゴンとして、厚さ60nmのタングステン層を形成する。
【0071】
次に、緩和層102上に活物質層108を形成する。活物質層108に用いる材料としては、錫、シリコン、アルミニウム、ゲルマニウム、チタン、または、これらを含む合金を用いることができる。
【0072】
本実施の形態では、活物質層108として、シリコン層をLPCVD法により形成する。活物質層108形成時の温度は、400℃より高く、且つ、LPCVD装置、集電体101、緩和層102または緩和層103が耐えうる温度とすればよく、好ましくは500℃以上580℃未満とするとよい。原料ガスとしてシリコンを含む堆積性ガスを用いる。シリコンを含む堆積性ガスとしては、水素化シリコン、フッ化シリコン、または塩化シリコンがあり、代表的には、SiH、Si、SiF、SiCl、SiCl等がある。なお、原料ガスに、ヘリウム、ネオン、アルゴン、キセノン等の希ガス、および水素の一以上を混合させてもよい。
【0073】
また、ウィスカーを有する活物質層を形成する際の圧力は10Pa以上1000Pa以下、好ましくは20Pa以上200Pa以下とするとよい。
【0074】
また、シリコンを含む堆積性ガスの量を多くすると堆積速度(デポレート)が速くなるため、非晶質構造となりやすく、シリコンを含む堆積性ガスの流量を少なくすると堆積速度が遅くなるため、結晶質構造となりやすい。そこで、シリコンを含む堆積性ガスの流量は、堆積速度等を考慮して適宜調整すればよい。例えば、シリコンを含む堆積性ガスの流量は、300sccm以上1000sccm以下とすればよい。
【0075】
なお、活物質層108に不純物として酸素が含まれている場合がある。これは、活物質層108として、LPCVD法で結晶性シリコン層を形成する際の加熱により、LPCVD装置の石英製のチャンバーから酸素が脱離し、結晶性シリコン層に拡散するためである。
【0076】
なお、活物質層108に、リン、ボロン等の一導電型を付与する不純物元素が添加されていてもよい。リン、ボロン等の一導電型を付与する不純物元素が添加された活物質層108は、導電性が高くなるため、電極の導電率を高めることができる。このため、放電容量又は充電容量をさらに高めることができる。
【0077】
活物質層108として、LPCVD法を用いてシリコン層を形成すると、緩和層102および活物質層108の間に低密度な領域が形成されず、緩和層102およびシリコン層の界面における電子の移動が容易となると共に、密着性を高めることができる。これは、シリコン層の堆積工程において、常に原料ガスの活性種が堆積中のシリコン層に供給されるため、シリコン層から緩和層102にシリコンが拡散し、シリコン不足領域(粗な領域)が形成されても、当該領域に原料ガスの活性種が常に供給され、シリコン層中に低密度領域が形成されにくくなるためである。また、気相成長により緩和層102上にシリコン層を形成するため、スループットを向上させることができる。
【0078】
特に、領域107aが非晶質構造の場合、被形成面である緩和層102の表面に対する順応性が結晶質の場合と比べて高くなる。換言すると、非晶質構造のほうが、緩和層102の表面と整合するように形成されやすいためである。さらに、本実施の形態に開示する電極を蓄電装置に搭載した場合、イオンの吸蔵および放出に伴う体積変化に強い(例えば、体積膨張に伴う応力を緩和する)ため、繰り返しの充放電によって、活物質層108(特にウィスカー)が微粉化または剥離することを防止でき、サイクル特性がさらに向上した蓄電装置を作製することができる。
【0079】
また、領域107aが結晶質構造の場合、導電性およびイオン移動度に優れているため、活物質層108全体の導電性をさらに向上させることができる。つまり、本実施の形態に開示する電極を蓄電装置に搭載した場合、さらに高速な充放電が可能となり、充放電容量がさらに向上した蓄電装置を作製することができる。
【0080】
電極100において、活物質層108は、領域107bが突出している分、板状の活物質層に比べて表面積が広い。つまり、電極100を蓄電装置に搭載した場合、高速な充放電が可能となり、充放電容量がさらに向上した蓄電装置を作製することができる。
【0081】
電極150が有する緩和層103は、活物質層108の形成前に設けてもよいし、形成後に設けてもよい。また、緩和層103は、絶縁性材料を用いて形成してもよいし、導電性材料を用いて形成してもよい。緩和層103は、緩和層102と同様の材料および方法で形成することが可能である。また、緩和層103は、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウムなどの無機材料や、ポリプロピレン、ポリイミド、ポリエチレン、アクリル樹脂、フッ素樹脂などの有機材料を用いることができる。
【0082】
緩和層103の形成条件や、厚さを適宜調節することで、緩和層103に任意の内部応力を付与することができる。例えば、緩和層103としてプラズマCVD法により引張応力を有する窒化シリコン層を形成する。具体的には、電極間距離22.2mm、基板温度325℃、圧力160Pa、高周波電力0.15kW(13.56MHz)、原料ガス流量比SiH:NH:N:H=40:240:300:60sccmとして、厚さ50nmの窒化シリコン層を形成する。
【0083】
次に、電極110および電極160の作製方法について説明する。電極110は、電極100の作製後、活物質層108に接してグラフェン116を設けることで作製できる。また、電極160は、電極150の作製後、活物質層108に接してグラフェン116を設けることで作製できる。
【0084】
まず、グラファイトを酸化して得られる酸化グラファイトを分散させた酸化グラファイト溶液を用意する。本実施の形態は、Hummers法と呼ばれる酸化法を用いて当該酸化グラファイトを形成する。Hummers法は、単結晶グラファイト粉末に過マンガン酸カリウムの硫酸溶液、過酸化水素水等を加えて酸化反応させて酸化グラファイト溶液を得る方法である。酸化グラファイトは、グラファイトの炭素の酸化により、カルボニル基、カルボキシル基、ヒドロキシル基等の官能基を有する。このため、酸化グラファイト間の層間距離はグラファイトと比較して長い。次に、酸化グラファイト溶液に超音波振動を加えることで、層間距離の長い酸化グラファイトを劈開し、酸化グラフェンが分散した溶液(酸化グラフェン溶液)を作製し、溶媒を取り除き、酸化グラフェンを得る。
【0085】
酸化グラフェンを水やN−methylpyrrolidone(NMP)等の溶媒に分散させて、酸化グラフェン溶液を得る。溶媒は極性溶媒であることが好ましい。酸化グラフェンの濃度は1リットル当たり0.1g乃至10gとすればよい。なお、酸化グラフェンは極性を有する溶媒中においては、官能基中の酸素がマイナスに帯電するため、異なる酸化グラフェン同士で凝集しにくい。なお、市販の酸化グラフェンを溶媒に分散させた溶液、または市販の酸化グラフェン溶液を用いてもよい。また、用いる酸化グラフェンの一辺の長さ(フレークサイズともいう)は10μm以下であると好ましい。
【0086】
次に、酸化グラフェン溶液を、活物質層108上に設ける。活物質層108上に酸化グラフェン溶液を設ける方法としては、塗布法、スピンコート法、ディップコート法、スプレー法、電気泳動法等がある。また、これらの方法を複数組み合わせてもよい。例えば、ディップコート法により、基体上に酸化グラフェン溶液を設けた後、スピンコート法と同様に基体を回転させることで、酸化グラフェン溶液の厚さの均一性を高めることができる。
【0087】
そして、活物質層108のように、複雑な曲面や凹凸を有する活物質層に酸化グラフェンを形成する場合は電気泳動法を用いることが好ましい。そこで、電気泳動法を用いる場合について以下説明する。
【0088】
図3は電気泳動法を説明するための断面図である。容器201には上記方法で得られた酸化グラフェンを分散させた溶液(以下、酸化グラフェン溶液202と記する)が入っている。また、酸化グラフェン溶液202中に被形成物203を設けて、これを陽極とする。また、酸化グラフェン溶液202中に陰極となる導電体204を設ける。なお、被形成物203は、集電体101の上方に形成された、ウィスカーを有する活物質層とする。また、導電体204は、導電性を有する材料、例えば、金属材料又は合金材料とすればよい。
【0089】
陽極と陰極の間に適切な電圧(例えば、5V乃至20V)を加えることで、被形成物203の表面、すなわち、ウィスカーを有する活物質層の表面に酸化グラフェンの層が形成される。これは、酸化グラフェンは、上記したように極性溶媒中において負に帯電するため、電圧を加えることで負に帯電した酸化グラフェンは陽極に引き寄せられ、被形成物203に付着するからである。なお、加える電圧は一定でなくてもよい。また、陽極と陰極の間を流れる電荷量を測定することで、物体に付着した酸化グラフェンの層の厚さを見積もることができる。
【0090】
必要な厚さの酸化グラフェンの層が得られたら、被形成物203を酸化グラフェン溶液202から引き上げ、乾燥させる。
【0091】
電気泳動法により酸化グラフェンの層を被形成物203の表面に形成する際に、酸化グラフェンの導電率が十分に低いため、酸化グラフェンに既に覆われている部分にさらに酸化グラフェンが積層することは少なく、まだ、酸化グラフェンに覆われていない部分に酸化グラフェンが優先的に積層することで、被形成物203の表面に形成される酸化グラフェンの厚さは実用的に均一な厚さになる。なお、被形成物203の表面に形成される酸化グラフェンは、後述の還元処理によって、電極110および電極160の第1の領域113となる。
【0092】
さらに、被形成物203の表面が酸化グラフェンに覆われるのにかかる時間より、長時間の電気泳動を行うと、既に覆われている酸化グラフェンと、酸化グラフェン溶液202中に分散している他の酸化グラフェンとの間で反発が生じる。その結果、ウィスカーを有する活物質層の表面を覆うように伸長および成長せず、電極110および電極160の第2の領域115のように、酸化グラフェンが伸長および成長する。すなわち、酸化グラフェンが、ウィスカーを有する活物質層のうち、一つのウィスカーの頂部における第1の領域113、および他のウィスカーの側面又は頂部における第1の領域113の間に形成される。伸長および成長した当該酸化グラフェンは、後述の還元処理によって、電極110および電極160の第2の領域115となる。
【0093】
電気泳動を行う時間(電圧を加える時間)は、被形成物203の表面が酸化グラフェンに覆われるのにかかる時間より長時間行えばよく、例えば、0.5分以上30分以下、好ましくは5分以上20分以下とすればよい。
【0094】
次に、還元処理を行い、形成された酸化グラフェンから酸素の一部を脱離させる。還元処理としては、真空中あるいは不活性ガス(窒素あるいは希ガス等)中等の還元性の雰囲気で150℃以上、好ましくは200℃以上の温度で加熱する。加熱する温度が高いほど、また、加熱する時間が長いほど、酸化グラフェンがよく還元されるため、純度の高い(すなわち、炭素以外の元素の濃度の低い)グラフェン116が得られる。ただし、加熱する温度は酸化グラフェンと被形成物203との反応性も考慮して決定されるべきである。なお、酸化グラフェンは150℃で還元されることが知られている。
【0095】
また、加熱する温度が高いほど、また、加熱する時間が長いほど、欠陥の修復も進み、導電性が向上する。本発明者の測定では、例えば、ガラス基板上の酸化グラフェンを加熱してグラフェンに還元したところ、加熱温度100℃(1時間)ではグラフェンの抵抗率は、240MΩcm程度であるが、加熱温度200℃(1時間)では4kΩcm程度となり、300℃(1時間)では2.8Ωcm程度となった。なお、いずれの抵抗率もvan der Pauw法によって測定した8試料の平均値である。
【0096】
なお、Hummers法では、グラファイトを過マンガン酸カリウムの硫酸溶液で処理するため、酸化グラファイトは、スルホン基等の官能基も結合しているが、該官能基の脱離(分解)は、300℃前後で開始する。したがって、還元処理は300℃以上で行うことが好ましい。
【0097】
グラフェンは、還元処理の温度により、上述のように導電性が変化するが、それ以外にも柔軟性や機械的強度等も変化する。還元処理の温度は、必要とする導電性、柔軟性、機械的強度等を考慮して決定すればよい。また、導電性が十分でないグラフェンをバインダの代わりに使用するのであれば、導電性を補うために公知の導電助剤(アセチレンブラックなど)を必要量添加することが好ましい。
【0098】
上記還元処理によって、形成された酸化グラフェンはグラフェン116となる。その際、グラフェン116は、隣接する酸化グラフェン同士が結合し、より巨大な網目状、或いはシート状のネットワークを形成するため、第1の領域113および第2の領域115が形成される。特に第1の領域113は、複雑な曲面や凹凸を有する活物質層の表面においてもほぼ均一な厚さで形成される。
【0099】
従って、活物質層108の任意の範囲全てにおいて、第1の領域113と第2の領域115が接し、活物質層108の平面視において、グラフェン116が活物質層108上に連続的に広がって形成される。換言すると、グラフェン116は、ウィスカーを有する活物質層の平面方向に一様に広がり、ウィスカー状の活物質に接して形成される。
【0100】
また、電極110および電極160の第2の領域115を形成するには、例えば、ディップコート法のみで行うことも可能である。ただし、ディップコート法だと、複雑な曲面や凹凸を有する活物質層が効率よく酸化グラフェン溶液に浸されない可能性があるため、上記した電気泳動法を短時間(例えば、0.5分程度)行い、第1の領域113を形成した後、ディップコート法を行うことで、ディップコート法のみで行う場合よりも効率よく電極110および電極160を作製することができる。
【0101】
上記の工程により、活物質層108を形成することができる。なお、活物質層108を形成する工程から、グラフェン116を形成する工程(特に酸化グラフェンを形成する工程)までは、活物質層108表面が酸化されない雰囲気で行うことが好ましい。なぜなら、活物質層108と第1の領域113の間に酸化膜が形成されてしまい、電極110および電極160の導電性が低減する可能性があるからである。
【0102】
以上により、サイクル特性および充放電容量が良好である蓄電装置の電極を作製することができる。
【0103】
なお、本実施の形態では上記電極を蓄電装置の電極として用いるものとして記載しているが、上記電極は、他の用途に用いてもよい。例えば、当該電極の活物質層を光電変換装置の光電変換層として用いてもよいし、当該活物質層を反射防止膜として用いてもよい。
【0104】
なお、本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0105】
(実施の形態2)
本実施の形態では、上記実施の形態に記載した電極を搭載した蓄電装置について説明する。
【0106】
本実施の形態で説明する蓄電装置は、少なくとも、正極、負極、セパレータ、電解液で構成され、実施の形態1に記載した電極を負極に搭載している。
【0107】
電解液は、電解質塩を含む非水溶液又は電解質塩を含む水溶液である。当該電解質塩は、キャリアイオンであるアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、ベリリウムイオン、又はマグネシウムイオンを含む電解質塩であればよい。アルカリ金属イオンとしては、例えば、リチウムイオン、ナトリウムイオン、又はカリウムイオンがある。アルカリ土類金属イオンとしては、例えばカルシウムイオン、ストロンチウムイオン、又はバリウムイオンがある。本実施の形態において、当該電解質塩は、リチウムイオンを含んだ電解質塩(以下、含リチウム電解質塩という)とする。
【0108】
上記構成とすることで、リチウムイオン二次電池又はリチウムイオンキャパシタとすることができる。また、電解質塩を用いず、溶媒のみを電解液として用いることで、電気二重層キャパシタとすることができる。
【0109】
ここでは、リチウムイオン二次電池ついて図面を参照して説明する。
【0110】
図4(A)および図4(B)に蓄電装置300の構成の一例を示す。また、図4(B)は、図4(A)の一点鎖線X−Yの断面図である。
【0111】
図4に示す蓄電装置300は、外装部材302の内部に蓄電セル304を有する。また、蓄電セル304に接続する端子部306、および端子部308を有する。蓄電セル304は、負極310と、正極312と、負極310および正極312の間に設けられるセパレータ314を有する。
【0112】
また、蓄電装置300は、外装部材302中を満たす電解液316を有する。外装部材302としては、ラミネートフィルム、高分子フィルム、金属フィルム、金属ケース、プラスチックケース等を用いることができる。
【0113】
負極310は、負極集電体315、負極活物質層317、および緩和層322で構成される。本実施の形態では、負極活物質層317は、負極集電体315の一方又は両方の面に緩和層322を介して形成される。また、負極集電体315は、端子部308と接続され、端子部308の一部が外装部材302の外側に導出されている。
【0114】
正極312は、正極集電体318および正極活物質層320で構成される。本実施の形態では、正極活物質層320は、正極集電体318の一方又は両方の面に形成される。また、正極312には正極集電体318および正極活物質層320の他にバインダおよび導電助剤が含まれていてもよい。また、正極集電体318は、端子部306と接続される。また、端子部306の一部が外装部材302の外側に導出されている。
【0115】
なお、本実施の形態では、蓄電装置300の外部形態として、密封された薄型蓄電装置を示しているが、これに限定されない。蓄電装置300の外部形態として、ボタン型蓄電装置、円筒型蓄電装置、角型蓄電装置など様々な形状を用いることができる。また、本実施の形態では、蓄電装置300として複数の蓄電セル304が積層された構成を示しているが、蓄電装置300に用いる蓄電セル304は一つでもよい。また、蓄電装置300に用いる一つまたは複数の蓄電セル304が捲回された構造であってもよい。
【0116】
正極集電体318には、アルミニウム又はステンレスなどの導電材料を箔状、板状又は網状などの形状したものを用いることができる。また、別途基板上に成膜することにより設けられた導電層を剥離して正極集電体318として用いることもできる。
【0117】
正極活物質層320は、LiFeO、LiCoO、LiNiO、LiMn、LiFePO、LiCoPO、LiNiPO、LiMnPO、V、Cr、MnO、その他のリチウム化合物を材料として用いることができる。なお、キャリアイオンが、リチウムイオン以外のアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、ベリリウムイオン又はマグネシウムイオンの場合には、正極活物質層320として、前記リチウム化合物におけるリチウムの代わりに、アルカリ金属(例えば、ナトリウム又はカリウムなど)、アルカリ土類金属(例えば、カルシウム、ストロンチウム又はバリウムなど)、ベリリウム又はマグネシウムを用いてもよい。
【0118】
また、正極312は、正極集電体318上に正極活物質層320を塗布法又は物理気相成長法(例えばスパッタリング法)で形成することで作製できる。塗布法を用いる場合は、上記列挙した正極活物質層320の材料に導電助剤(例えばアセチレンブラック(AB))やバインダ(例えばポリフッ化ビニリデン(PVDF))などを混合させてペースト化し、正極集電体318上に塗布して乾燥させて形成する。このとき必要に応じて加圧成形するとよい。
【0119】
なお、導電助剤としては、蓄電装置中で化学変化を起こさない電子伝導性材料であればよい。例えば、黒鉛、炭素繊維などの炭素系材料、銅、ニッケル、アルミニウム若しくは銀などの金属材料又はこれらの混合物の粉末や繊維などを用いることができる。
【0120】
バインダとしては、澱粉、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、又はジアセチルセルロースなどの多糖類があり、他には、ポリビニルクロリド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、EPDM(Ethylene Propylene Diene Monomer)ゴム、スルホン化EPDMゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、フッ素ゴムなどのビニルポリマー、若しくはポリエチレンオキシドなどのポリエーテルなどがある。
【0121】
また、正極活物質層320は、導電助剤およびバインダの代わりにグラフェンを混合させてペースト化させてもよい。なお、グラフェンにカリウムなどのアルカリ金属を添加してもよい。また、該グラフェンは、実施の形態1で示したようにHummers法で酸化グラフェンを作製し、還元処理することで得ることができる。
【0122】
このように、導電助剤およびバインダの代わりにグラフェンを用いることで、正極312中の導電助剤およびバインダの含有量を低減させることできる。つまり、正極312の重量を低減させることができ、結果として、電極の重量あたりにおけるリチウムイオン二次電池の充放電容量を増大させることができる。
【0123】
なお、厳密には「活物質」とは、キャリアであるイオンの挿入および脱離に関わる物質のみを指す。ただし本明細書では、塗布法を用いて正極活物質層320を形成した場合、便宜上、正極活物質層320の材料、すなわち、本来「正極活物質」である物質に、導電助剤やバインダなどを含めて正極活物質層320と呼ぶこととする。
【0124】
負極310には、実施の形態1に記載した電極100、電極150、電極110、または電極160を適用することができる。つまり、負極310は、負極集電体315を実施の形態1に示した集電体101とし、負極活物質層317として実施の形態1に示した活物質層108とする。また、本実施の形態における緩和層322は、実施の形態1に記した緩和層102とすることができる。
【0125】
なお、図1および図2に示した電極100、電極150、電極110、および電極160は、集電体101の一方の面だけに活物質層108が形成されている形態であるが、これに限らず、集電体101のもう一方の面に活物質層108が形成される形態であってもよい。例えば、LPCVD装置において、負極集電体315を枠状のサセプターで保持しながら当該シリコン半導体により活物質層を形成することで、負極集電体315の両面に同時に活物質層を形成することができ、負極集電体315の両面を用いて電極を構成する場合に工程数を削減することができる。また、負極集電体315の両面に活物質層を形成する場合は、負極集電体315の両面に緩和層を形成してもよいし、緩和層の形成を省略することもできる。
【0126】
なお、負極活物質層317にリチウムをプレドープしてもよい。リチウムのプレドープ方法としては、スパッタリング法により負極活物質層317表面にリチウム層を形成すればよい。また、負極活物質層317の表面にリチウム箔を設けることでも、負極活物質層317にリチウムをプレドープすることができる。
【0127】
電解液316は、上記したように電解質塩を含む非水溶液又は電解質塩を含む水溶液である。特に、リチウムイオン二次電池では、キャリアイオンであるリチウムイオンを有する含リチウム電解質塩を用いる。例えば、LiClO、LiAsF、LiBF、LiPF、Li(CSONなどのリチウム塩がある。なお、キャリアイオンをリチウム以外のアルカリ金属イオン又はアルカリ土類金属イオンとする場合には、電解液316の溶質として、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩又はカリウム塩など)、アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウム塩、ストロンチウム塩又はバリウム塩など)、ベリリウム塩又はマグネシウム塩などを用いることができる。
【0128】
また、電解液316は、電解質塩を含む非水溶液とすることが好ましい。つまり、電解液316の溶媒は、非プロトン性有機溶媒が好ましい。非プロトン性有機溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、γーブチロラクトン、アセトニトリル、ジメトキシエタンおよびテトラヒドロフランなどが挙げられ、これらの一又は複数を用いることができる。さらに、非プロトン性有機溶媒として、一のイオン液体又は複数のイオン液体を用いてもよい。イオン液体は、難燃性および難揮発性であることから、蓄電装置300の内部温度が上昇した際に蓄電装置300の破裂又は発火などを抑制でき、安全性を高めることが可能となる。
【0129】
また、電解液316として、電解質塩を含み、且つゲル化された高分子材料を用いることで、漏液性を含めた安全性が高まり、蓄電装置300の薄型化および軽量化が可能となる。ゲル化される高分子材料の代表例としては、シリコンゲル、アクリルゲル、アクリロニトリルゲル、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド又はフッ素系ポリマーなどがある。
【0130】
さらに、電解液316としては、LiPOなどの固体電解質を用いることができる。
【0131】
セパレータ314として、絶縁性の多孔体を用いる。例えば、紙、不織布、ガラス繊維、或いはナイロン(ポリアミド)、ビニロン(ポリビニルアルコール系繊維)、ポリエステル、アクリル、ポリオレフィン、ポリウレタンといった合成繊維、或いは合成樹脂、セラミック等で形成されたものを用いればよい。ただし、電解液316に溶解しない材料を選ぶ必要がある。
【0132】
リチウムイオン二次電池は、メモリー効果が小さく、エネルギー密度が高く、充放電容量が大きい。また、出力電圧が高い。そのため、小型化および軽量化が可能である。また、充放電の繰り返しによる劣化が少なく、長期間の使用が可能であり、コスト削減が可能である。
【0133】
本実施の形態に記載した蓄電装置をリチウムイオンキャパシタとする場合には、正極活物質層320の代わりに、リチウムイオンおよびアニオンの一方又は双方を可逆的に挿入・脱離できる材料を用いればよい。当該材料としては、活性炭、黒鉛、導電性高分子、ポリアセン有機半導体(PAS)などがある。
【0134】
本実施の形態に記載した蓄電装置は、正極および負極共に集電体と活物質層の密着性が高いため、電極を折り曲げることもでき、可とう性を有する蓄電装置を作製することもできる。
【0135】
なお、本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0136】
(実施の形態3)
上記実施の形態に記載した蓄電装置は、電力により駆動する様々な電気機器の電源として用いることができる。
【0137】
上記実施の形態に記載した蓄電装置を用いた電気機器の具体例として、表示装置、照明装置、デスクトップ型或いはノート型のパーソナルコンピュータ、DVD(Digital Versatile Disc)などの記録媒体に記憶された静止画又は動画を再生する画像再生装置、携帯電話、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、電子書籍、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、電子レンジ等の高周波加熱装置、電気炊飯器、電気洗濯機、エアコンディショナーなどの空調設備、電気冷蔵庫、電気冷凍庫、電気冷凍冷蔵庫、DNA保存用冷凍庫や透析装置等の医療用電気機器などが挙げられる。また、蓄電装置からの電力を用いて電動機により推進する移動体なども、電気機器の範疇に含まれるものとする。上記移動体として、例えば、電気自動車、内燃機関と電動機を併せ持った複合型自動車(ハイブリッドカー)、電動アシスト自転車を含む原動機付自転車などが挙げられる。
【0138】
なお、上記電気機器は、消費電力の殆ど全てを賄うための蓄電装置(主電源と呼ぶ)として、上記実施の形態に記載した蓄電装置を用いることができる。或いは、上記電気機器は、上記主電源や商用電源からの電力の供給が停止した場合に、電気機器への電力の供給を行うことができる蓄電装置(無停電電源と呼ぶ)として、上記実施の形態に記載した蓄電装置を用いることができる。或いは、上記電気機器は、上記主電源や商用電源からの電気機器への電力の供給と並行して、電気機器への電力の供給を行うための蓄電装置(補助電源と呼ぶ)として、上記実施の形態に記載した蓄電装置を用いることができる。
【0139】
図5に、上記電気機器の具体的な構成を示す。図5において、表示装置5000は、蓄電装置5004として上記実施の形態に記載した蓄電装置を用いた電気機器の一例である。具体的に、表示装置5000は、TV放送受信用の表示装置に相当し、筐体5001、表示部5002、スピーカー部5003、蓄電装置5004等を有する。蓄電装置5004は、筐体5001の内部に設けられている。表示装置5000は、商用電源から電力の供給を受けることもできるし、蓄電装置5004に蓄積された電力を用いることもできる。よって、停電などにより商用電源から電力の供給が受けられない時でも、蓄電装置5004を無停電電源として用いることで、表示装置5000の利用が可能となる。
【0140】
表示部5002には、液晶表示装置、有機EL素子などの発光素子を各画素に備えた発光装置、電気泳動表示装置、DMD(Digital Micromirror Device)、PDP(Plasma Display Panel)、FED(Field Emission Display)などの、半導体表示装置を用いることができる。
【0141】
なお、表示装置には、TV放送受信用の他、パーソナルコンピュータ用、広告表示用など、全ての情報表示用表示装置が含まれる。
【0142】
図5において、据え付け型の照明装置5100は、蓄電装置5103として上記実施の形態に記載した蓄電装置を用いた電気機器の一例である。具体的に、照明装置5100は、筐体5101、光源5102、蓄電装置5103等を有する。図5では、蓄電装置5103が、筐体5101および光源5102が据え付けられた天井5104の内部に設けられている場合を例示しているが、蓄電装置5103は、筐体5101の内部に設けられていても良い。照明装置5100は、商用電源から電力の供給を受けることもできるし、蓄電装置5103に蓄積された電力を用いることもできる。よって、停電などにより商用電源から電力の供給が受けられない時でも、蓄電装置5103を無停電電源として用いることで、照明装置5100の利用が可能となる。
【0143】
なお、図5では天井5104に設けられた据え付け型の照明装置5100を例示しているが、上記実施の形態に記載した蓄電装置は、天井5104以外、例えば側壁5105、床5106、窓5107等に設けられた据え付け型の照明装置に用いることもできるし、卓上型の照明装置などに用いることもできる。
【0144】
また、光源5102には、電力を利用して人工的に光を得る人工光源を用いることができる。具体的には、白熱電球、蛍光灯などの放電ランプ、LEDや有機EL素子などの発光素子が、上記人工光源の一例として挙げられる。
【0145】
図5において、室内機5200および室外機5204を有するエアコンディショナーは、蓄電装置5203として上記実施の形態に記載した蓄電装置を用いた電気機器の一例である。具体的に、室内機5200は、筐体5201、送風口5202、蓄電装置5203等を有する。図5では、蓄電装置5203が、室内機5200に設けられている場合を例示しているが、蓄電装置5203は室外機5204に設けられていても良い。或いは、室内機5200と室外機5204の両方に、蓄電装置5203が設けられていても良い。エアコンディショナーは、商用電源から電力の供給を受けることもできるし、蓄電装置5203に蓄積された電力を用いることもできる。特に、室内機5200と室外機5204の両方に蓄電装置5203が設けられている場合、停電などにより商用電源から電力の供給が受けられない時でも、蓄電装置5203を無停電電源として用いることで、エアコンディショナーの利用が可能となる。
【0146】
なお、図5では、室内機と室外機で構成されるセパレート型のエアコンディショナーを例示しているが、室内機の機能と室外機の機能とを1つの筐体に有する一体型のエアコンディショナーに、上記実施の形態に記載した蓄電装置を用いることもできる。
【0147】
図5において、電気冷凍冷蔵庫5300は、蓄電装置5304として上記実施の形態に記載した蓄電装置を用いた電気機器の一例である。具体的に、電気冷凍冷蔵庫5300は、筐体5301、冷蔵室用扉5302、冷凍室用扉5303、蓄電装置5304等を有する。図5では、蓄電装置5304が、筐体5301の内部に設けられている。電気冷凍冷蔵庫5300は、商用電源から電力の供給を受けることもできるし、蓄電装置5304に蓄積された電力を用いることもできる。よって、停電などにより商用電源から電力の供給が受けられない時でも、蓄電装置5304を無停電電源として用いることで、電気冷凍冷蔵庫5300の利用が可能となる。
【0148】
なお、上述した電気機器のうち、電子レンジ等の高周波加熱装置、電気炊飯器などの電気機器は、短時間で高い電力を必要とする。よって、商用電源では賄いきれない電力を補助するための補助電源として、上記実施の形態に記載した蓄電装置を用いることで、電気機器の使用時に商用電源のブレーカーが落ちるのを防ぐことができる。
【0149】
また、電気機器が使用されない時間帯、特に、商用電源の供給元が供給可能な総電力量のうち、実際に使用される電力量の割合(電力使用率と呼ぶ)が低い時間帯において、蓄電装置に電力を蓄えておくことで、上記時間帯以外において電力使用率が高まるのを抑えることができる。例えば、電気冷凍冷蔵庫5300の場合、気温が低く、冷蔵室用扉5302、冷凍室用扉5303の開閉が行われない夜間において、蓄電装置5304に電力を蓄える。そして、気温が高くなり、冷蔵室用扉5302、冷凍室用扉5303の開閉が行われる昼間において、蓄電装置5304を補助電源として用いることで、昼間の電力使用率を低く抑えることができる。
【0150】
なお、本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【符号の説明】
【0151】
100 電極
101 集電体
102 緩和層
103 緩和層
108 活物質層
109 芯
110 電極
111 外殻
113 領域
115 領域
116 グラフェン
150 電極
160 電極
201 容器
202 酸化グラフェン溶液
203 被形成物
204 導電体
300 蓄電装置
302 外装部材
304 蓄電セル
306 端子部
308 端子部
310 負極
312 正極
314 セパレータ
315 負極集電体
316 電解液
317 負極活物質層
318 正極集電体
320 正極活物質層
322 緩和層
5000 表示装置
5001 筐体
5002 表示部
5003 スピーカー部
5004 蓄電装置
5100 照明装置
5101 筐体
5102 光源
5103 蓄電装置
5104 天井
5105 側壁
5106 床
5107 窓
5200 室内機
5201 筐体
5202 送風口
5203 蓄電装置
5204 室外機
5300 電気冷凍冷蔵庫
5301 筐体
5302 冷蔵室用扉
5303 冷凍室用扉
5304 蓄電装置
107a 領域
107b 領域
109a 芯
109b 芯
109c 芯
111a 外殻
111b 外殻
111c 外殻

【特許請求の範囲】
【請求項1】
集電体上に緩和層を有し、
前記緩和層上に、ウィスカーを有する活物質層を有し、
前記緩和層の内部応力は、前記活物質層の内部応力と異なる方向の応力であることを特徴とする蓄電装置の電極。
【請求項2】
請求項1において、
前記緩和層の内部応力は圧縮応力であり、前記活物質層の内部応力は引張応力であることを特徴とする蓄電装置の電極。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、
前記ウィスカーは、結晶性シリコンを有することを特徴とする蓄電装置の電極。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一項において、
前記緩和層は導電性材料で形成されていることを特徴とする蓄電装置の電極。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の前記電極を搭載した蓄電装置。
【請求項6】
集電体と、ウィスカーを有する活物質層と、緩和層と、を有し、
前記集電体は、前記活物質層と前記緩和層の間に設けられ、
前記緩和層の内部応力は、前記活物質層の内部応力と同じ方向の応力であることを特徴とする蓄電装置の電極。
【請求項7】
請求項6において、
前記緩和層と前記活物質層の内部応力は、
引張応力であることを特徴とする蓄電装置の電極。
【請求項8】
請求項6または請求項7において、
前記ウィスカーは、結晶性シリコンを有することを特徴とする蓄電装置の電極。
【請求項9】
請求項6乃至請求項8のいずれか一項において、
前記緩和層は絶縁性材料で形成されていることを特徴とする蓄電装置の電極。
【請求項10】
請求項6乃至請求項9のいずれか一項に記載の前記電極を搭載した蓄電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−65550(P2013−65550A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−186525(P2012−186525)
【出願日】平成24年8月27日(2012.8.27)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】