蓄電装置及びその作製方法
【課題】放電容量を高めることが可能な蓄電装置用電極及びその作製方法を提供する。または、放電容量が大きい蓄電装置を作製する。
【解決手段】集電体101上に、シリコンを含む堆積性ガスを用いて加熱する減圧CVD法により、ウィスカー状の結晶性シリコン領域を有する結晶性シリコン層を活物質層103として形成する蓄電装置の作製方法である。この蓄電装置は、集電体101と、集電体101上に形成される混合層107と、混合層107上に形成される活物質層103として機能する結晶性シリコン層とを有し、結晶性シリコン層は、結晶性シリコン領域と、結晶性シリコン領域上に突出する複数の突起を有するウィスカー状の結晶性シリコン領域とを有する。上記突起により、活物質層103として機能する結晶性シリコン層の表面積を増大させることができる。
【解決手段】集電体101上に、シリコンを含む堆積性ガスを用いて加熱する減圧CVD法により、ウィスカー状の結晶性シリコン領域を有する結晶性シリコン層を活物質層103として形成する蓄電装置の作製方法である。この蓄電装置は、集電体101と、集電体101上に形成される混合層107と、混合層107上に形成される活物質層103として機能する結晶性シリコン層とを有し、結晶性シリコン層は、結晶性シリコン領域と、結晶性シリコン領域上に突出する複数の突起を有するウィスカー状の結晶性シリコン領域とを有する。上記突起により、活物質層103として機能する結晶性シリコン層の表面積を増大させることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電装置及びその作製方法に関する。
【0002】
なお、蓄電装置とは、蓄電機能を有する素子及び装置全般を指すものである。
【背景技術】
【0003】
近年、リチウムイオン二次電池、リチウムイオンキャパシタ、及び空気電池など、蓄電装置の開発が行われている。
【0004】
蓄電装置用の電極は、集電体の一表面に活物質を形成することにより作製される。活物質としては、例えば炭素又はシリコンなど、キャリアとなるイオンの吸蔵及び放出が可能な材料が用いられる。例えば、シリコンまたはリンがドープされたシリコンは、炭素に比べ、理論容量が大きく、蓄電装置の大容量化という点において優れている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−210315号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、シリコンを負極活物質に用いても、理論容量ほど高い放電容量を得ることは困難である。そこで、本発明の一態様では、放電容量を高めることが可能な蓄電装置及びその作製方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一形態は、集電体上に、シリコンを含むガスを加熱して堆積する減圧CVD(Low Pressure Chemical vapor deposition)法により、ウィスカー状の結晶性シリコン領域を有する結晶性シリコン層を活物質層として形成する蓄電装置の作製方法である。
【0008】
また、本発明の一形態は、集電体と、集電体上に形成される活物質層として機能する結晶性シリコン層とを有し、結晶性シリコン層は、結晶性シリコン領域と、結晶性シリコン領域上に突出する複数の突起を有するウィスカー状の結晶性シリコン領域とを有する蓄電装置である。
【0009】
また、本発明の一形態は、集電体と、集電体上に形成される活物質層として機能する結晶性シリコン層とを有し、結晶性シリコン層は、結晶性シリコン領域と、結晶性シリコン領域上に突出する複数の突起を有するウィスカー状の結晶性シリコン領域とを有する蓄電装置であり、ウィスカー状の結晶性シリコン領域の突起の軸における長さは、0.5μm以上1000μm以下、結晶性シリコン領域及び突起の界面における幅は50nm以上10μm以下である。
【0010】
本発明の他の一態様は、集電体と、集電体上に形成された活物質層として機能する結晶性シリコン層とを有し、結晶性シリコン層の表面には、柱状又は針状の突起を有し、該突起が、凹部又は凸部を有する蓄電装置である。
【0011】
また、本発明の他の一態様は、集電体と、集電体上に形成された活物質層として機能する結晶性シリコン層とを有し、結晶性シリコン層は、集電体を覆う第1の領域と、第1の領域上に形成された柱状又は針状の突起を有する第2の領域とを有し、該突起が、凹部又は凸部を有する蓄電装置である。
【0012】
なお、集電体及び結晶性シリコン層との間に混合層を有してもよい。また、上記混合層及び結晶性シリコン層の間に、集電体を形成する金属元素の酸化物で形成される金属酸化物層を有してもよい。
【0013】
ウィスカー状の結晶性シリコン領域は複数の突起を有し、複数の突起の伸長方向(すなわち、軸の方向)は、不揃いであってもよい。または、ウィスカー状の結晶性シリコン領域の複数の突起の伸長方向(すなわち、軸の方向)は、集電体の法線方向であってもよい。
【0014】
活物質層として機能する結晶性シリコン層はウィスカー状の結晶性シリコン領域を有するため、表面積が増大し、放電容量を高めることができる。
【0015】
集電体は、白金、アルミニウム、銅、チタンに代表される金属元素等の導電性の高い材料を用いることができる。また、集電体は、シリコンと反応してシリサイドを形成する金属元素で形成することができる。
【0016】
混合層は、金属元素及びシリコンを有する。混合層としては、集電体を形成する金属元素及びシリコンを有してもよい。また、集電体をシリコンと反応してシリサイドを形成する金属元素で形成する場合、混合層は、シリサイドで形成されてもよい。
【0017】
集電体及び活物質層の間に混合層を有することで、集電体及び活物質層の間に低密度な領域(粗な領域)が形成されず、集電体及び活物質層の界面特性を向上させることができる。
【0018】
また、混合層及び活物質層の間に、金属酸化物層を有してもよい。金属酸化物層は、集電体を形成する金属元素の酸化物で形成される。金属酸化物層を酸化物半導体で形成することで、金属酸化物層が絶縁物の場合と比較して、集電体及び活物質層の間の抵抗を低減することが可能であり、放電容量をさらに高めることができる。
【0019】
上記突起を有することで、活物質層における単位質量当たりの表面積は大きくなる。表面積が大きくなることで、蓄電装置の反応物質(リチウムイオン等)が結晶性シリコンに吸蔵される速度、または反応物質が結晶性シリコンから放出される速度は、単位質量当たりで増大する。反応物質の吸蔵又は放出の速度が増大することで、高電流密度での反応物質の吸蔵量又は放出量が増大するため、蓄電装置の放電容量又は充電容量が高まる。すなわち、活物質層としてウィスカー状の結晶性シリコン層を用いることで、蓄電装置の性能を向上させることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の一形態により、放電容量の高い蓄電装置を作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】蓄電装置の負極の作製方法を説明するための断面図である。
【図2】蓄電装置の負極の作製方法を説明するための断面図である。
【図3】蓄電装置の一形態を説明するための平面図及び断面図である。
【図4】蓄電装置の応用の形態を説明するための斜視図である。
【図5】活物質層の平面SEM写真および平面SIM写真である。
【図6】活物質層の断面TEM写真である。
【図7】集電体と活物質層との界面近傍の拡大写真である。
【図8】集電体と活物質層との界面近傍のEDXの二次元元素マッピングである。
【図9】二次電池の作製方法の例である。
【図10】無線給電システムの構成を示す図である。
【図11】無線給電システムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施の形態の一例について、図面を用いて以下に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではないとする。なお、説明中に図面を参照するにあたり、同じものを指す符号は異なる図面間でも共通して用いる場合がある。また、同様のものを指す際には同じハッチパターンを使用し、特に符号を付さない場合がある。
【0023】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様である蓄電装置の電極及びその作製方法について説明する。
【0024】
蓄電装置の電極の作製方法について、図1及び図2を用いて説明する。
【0025】
図1(A)に示すように、集電体101上に、熱CVD法、好ましくは減圧CVD法(以下、LPCVD法という。)により、結晶性シリコン層を活物質層103として形成する。
【0026】
集電体101は、電極の集電体として機能する。このため、箔状、板状、または網状の導電性部材を用いる。集電体101は、特に限定されないが、白金、アルミニウム、銅、チタン等に代表される導電性の高い金属元素を用いることができる。なお、集電体101として、シリコン、チタン、ネオジム、スカンジウム、モリブデンなどの耐熱性を向上させる元素が添加されたアルミニウム合金を用いることが好ましい。また、集電体101として、シリコンと反応してシリサイドを形成する金属元素で形成してもよい。シリコンと反応してシリサイドを形成する金属元素としては、ジルコニウム、チタン、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、コバルト、ニッケル等がある。
【0027】
活物質層103として結晶性シリコン層をLPCVD法により形成する。LPCVD法は、550度より高い温度で、且つ、LPCVD装置及び集電体101が耐えうる温度以下、好ましくは580度以上650度未満の加熱をしつつ、原料ガスとしてシリコンを含む堆積性ガスを用いる。シリコンを含む堆積性ガスとしては、水素化シリコン、フッ化シリコン、または塩化シリコンがあり、代表的には、SiH4、Si2H6、SiF4、SiCl4、Si2Cl6等がある。なお、原料ガスに、ヘリウム、ネオン、アルゴン、キセノン等の希ガス、及び水素の一以上を混合させてもよい。
【0028】
なお、LPCVD法を用いることで、集電体101と活物質層103との界面におけるイオン及び電子の移動が容易となると共に、密着性を高めることができる。
【0029】
なお、結晶性シリコン層に、リン、ボロン等の一導電型を付与する不純物元素が添加されていてもよい。リン、ボロン等の一導電型を付与する不純物元素が添加された結晶性シリコン層は、導電性が高くなるため、電極の導電率を高めることができる。このため、放電容量をさらに高めることができる。
【0030】
活物質層103として、LPCVD法を用いて結晶性シリコン層を形成すると、集電体101及び活物質層103の間に低密度な領域が形成されず、集電体101及び結晶性シリコン層の界面におけるイオン及び電子の移動が容易となると共に、密着性を高めることができる。これは、結晶性シリコン層の堆積工程において、常に原料ガスの活性種が堆積中の結晶性シリコン層に供給されるため、結晶性シリコン層から集電体101にシリコンが拡散し、シリコン不足領域(粗な領域)が形成されても、当該領域に原料ガスの活性種が常に供給され、結晶性シリコン層中に低密度領域が形成されにくくなるためである。また、気相成長により集電体101上に結晶性シリコン層を形成するため、スループットを向上させることができる。
【0031】
ここで、集電体101及び活物質層103の破線105における拡大図を図1(B)に示す。
【0032】
図1(B)に示すように、集電体101上には、混合層107が形成される。混合層107は、集電体101を形成する金属元素及びシリコンで形成されてもよい。なお、混合層107が集電体101を形成する金属元素及びシリコンで形成される場合、活物質層103としてLPCVD法で結晶性シリコン層を形成する際の加熱により、結晶性シリコン層に含まれるシリコンが集電体101に拡散することで形成される。
【0033】
集電体101をシリコンと反応してシリサイドを形成する金属元素で形成する場合、混合層107には、シリサイドを形成する金属元素及びシリコンのシリサイド、代表的には、ジルコニウムシリサイド、チタンシリサイド、ハフニウムシリサイド、バナジウムシリサイド、ニオブシリサイド、タンタルシリサイド、クロムシリサイド、モリブデンシリサイド、タングステンシリサイド、コバルトシリサイド、及びニッケルシリサイドの一以上が形成される。または、シリサイドを形成する金属元素及びシリコンの合金層が形成される。
【0034】
なお、活物質層103及び混合層107に不純物として酸素が含まれる場合がある。これは、活物質層103として、LPCVD法で結晶性シリコン層を形成する際の加熱により、LPCVD装置の石英製のチャンバーから酸素が脱離し、活物質層103及び混合層107に拡散するためである。
【0035】
混合層107上には、集電体101を形成する金属元素の酸化物で形成される金属酸化物層109が形成されてもよい。これは、活物質層103として、LPCVD法で結晶性シリコン層を形成する際の加熱により、LPCVD装置の石英製のチャンバーから酸素が脱離し、集電体101が酸化されるためである。なお、LPCVD法で結晶性シリコン層を形成する際、チャンバー内に、ヘリウム、ネオン、アルゴン、キセノン等の希ガスを充填することで、当該金属酸化物層109が形成されない。
【0036】
集電体101をシリコンと反応してシリサイドを形成する金属元素で形成する場合、金属酸化物層109として、シリコンと反応してシリサイドを形成する金属元素の酸化物で形成される金属酸化物層が形成される。
【0037】
金属酸化物層109の代表例としては、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化ハフニウム、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化クロム、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化コバルト、酸化ニッケル等がある。なお、集電体101を、チタン、ジルコニウム、ニオブ、タングステン等で形成すると、金属酸化物層109は、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ニオブ、酸化タングステン等の酸化物半導体で形成されるため、集電体101及び活物質層103の間の抵抗を低減することが可能であり、電極の導電率を高めることができる。このため、放電容量をさらに高めることができる。
【0038】
集電体101及び活物質層103の間に混合層107を有することで、集電体101及び活物質層103の間の界面における抵抗を低減させることができるため、負極の導電率を高めることができる。このため、放電容量をさらに高めることができる。また、集電体101及び活物質層103の密着性を高めることが可能であり、蓄電装置の劣化を低減することができる。
【0039】
活物質層103は、結晶性シリコン領域103aと、当該領域上に形成されるウィスカー状の結晶性シリコン領域103bとを有する。なお、結晶性シリコン領域103a及びウィスカー状の結晶性シリコン領域103bは、界面が明確ではない。このため、ウィスカー状の結晶性シリコン領域103bの突起の間に形成される谷のうち最も深い谷の底を通り、かつ集電体101の表面と平行な平面を、結晶性シリコン領域103aとウィスカー状の結晶性シリコン領域103bとの界面とする。
【0040】
結晶性シリコン領域103aは、集電体101を覆う。また、ウィスカー状の結晶性シリコン領域103bは、ひげ状であり、突起が分散している。なお、ウィスカー状の結晶性シリコン領域103bの突起は、円柱状、角柱状等の柱状、円錐状または角錐状の針状でもよい。突起は、頂部が湾曲していてもよい。突起の幅は、50nm以上10μm以下、好ましくは500nm以上3μm以下である。また、突起の軸における長さは、0.5μm以上1000μm以下、好ましくは2.5μm以上100μm以下である。
【0041】
なお、突起の軸における長さhとは、突起の頂点または上面の中心を通る軸における、頂点と結晶性シリコン領域103aとの距離である。また、結晶性シリコン層の厚さは、結晶性シリコン領域103aの厚さと、ウィスカー状の結晶性シリコン領域103bの突起の頂点から結晶性シリコン領域103aまでの垂線の長さ(すなわち、高さ)の和となる。
【0042】
なお、突起が結晶性シリコン領域103aから伸張する方向を長手方向といい、長手方向に沿った断面形状を長手断面形状という。また、長手方向が法線方向となる面を輪切り断面形状という。
【0043】
図1(B)に示すように、ウィスカー状の結晶性シリコン領域103bに形成される突起の長手方向は一方向、例えば結晶性シリコン領域103aの表面に対する法線方向に伸張していてもよい。なお、突起の長手方向は、結晶性シリコン領域103aの表面に対して法線方向と、略一致していればよく、各々の方向の差は代表的には5度以内であることが好ましい。このため、図1(B)においては、ウィスカー状の結晶性シリコン領域103bにおいては、長手断面形状のみ示す。
【0044】
本実施の形態に示す蓄電装置の電極は、活物質層として機能する結晶性シリコン層に、幅が、50nm以上10μm以下、好ましくは500nm以上3μm以下であり、軸における長さhが、0.5μm以上1000μm以下、好ましくは2.5μm以上100μm以下である突起を複数有する。このため、活物質層の表面積を増大させることが可能であり、放電容量を高めることができる。
【0045】
または、図1(C)に示すように、ウィスカー状の結晶性シリコン領域103bに形成される突起の長手方向は不揃いであってもよい。代表的には、長手方向が法線方向と略一致する第1の突起113aと、長手方向が法線方向とは異なる第2の突起113bとを有してもよい。さらには、第1の突起113aより第2の突起113bの軸における長さが長くともよい。このため、図1(C)において、ウィスカー状の結晶性シリコン領域103bにおいては、突起の長手断面形状と共に、領域103dで示すように、突起の輪切り断面形状が混在する。領域103dは、円柱状または円錐状の突起の横断面形状であるため円形であるが、突起が角柱状または角錐状であれば、領域103dは、多角形状である。突起の長手方向が不揃いであると、突起同士が絡む場合があるため、蓄電装置の充放電において突起が脱離しにくい。
【0046】
また、図1(D)に示すように、突起が凹凸121(凹凸部とも呼ぶ。)を有していてもよい。また、凹部又は凸部のいずれかを有していてもよい。凹凸121を有することにより、突起の表面積を大きくすることができる。すなわち、活物質層103における単位質量当たりの表面積を、図1(C)と比較して更に大きくすることができるため、放電容量又は充電容量を高めることができる。
【0047】
本実施の形態に示す蓄電装置の電極は、集電体及び活物質層として機能する結晶性シリコン層の間に、少なくとも混合層を有する。このため、集電体及び結晶性シリコン層の間の界面抵抗を低減することが可能であり、さらに密着性を高めることが可能であるため、放電容量を高めると共に、蓄電装置の劣化を低減することができる。
【0048】
なお、図1においては、集電体101は、箔状、板状、または網状の導電性部材で形成される形態を示したが、図2に示すように、基板115上に、スパッタリング法、蒸着法、印刷法、インクジェット法、CVD法等を適宜用いて、集電体111を形成し、当該集電体111上に活物質層103を形成することができる。
【0049】
以上の工程により、放電容量の高い蓄電装置の電極を作製することができる。
【0050】
(実施の形態2)
本実施の形態では、蓄電装置の構造について、図3を用いて説明する。
【0051】
はじめに、蓄電装置として、二次電池の構造について、以下に説明する。
【0052】
二次電池の中でも、LiCoO2等のリチウム含有金属酸化物を用いたリチウムイオン電池は、放電容量が高く、安全性が高い。ここでは、二次電池の代表例であるリチウムイオン電池の構造について、説明する。
【0053】
図3(A)は、蓄電装置151の平面図であり、図3(A)の一点鎖線A−Bの断面図を図3(B)に示す。
【0054】
図3(A)に示す蓄電装置151は、外装部材153の内部に蓄電セル155を有する。また、蓄電セル155に接続する端子部157、159を有する。外装部材153は、ラミネートフィルム、高分子フィルム、金属フィルム、金属ケース、プラスチックケース等を用いることができる。
【0055】
図3(B)に示すように、蓄電セル155は、負極163と、正極165と、負極163及び正極165の間に設けられるセパレータ167と、外装部材153、蓄電セル155及びセパレータ167中に満たされる電解質169とで構成される。
【0056】
負極163は、負極集電体171及び負極活物質層173で構成される。
【0057】
正極165は、正極集電体175及び正極活物質層177で構成される。負極活物質層173は、負極集電体171の一方または両方の面に形成される。正極活物質層177は、正極集電体175の一方または両方の面に形成される。
【0058】
また、負極集電体171は、端子部159と接続する。また、正極集電体175は、端子部157と接続する。また、端子部157、159は、それぞれ一部が外装部材153の外側に導出されている。
【0059】
なお、本実施の形態では、蓄電装置151として、密封された薄型蓄電装置を示したが、ボタン型蓄電装置、円筒型蓄電装置、角型蓄電装置等様々な形状の蓄電装置を用いることができる。また、本実施の形態では、正極、負極、及びセパレータが積層された構造を示したが、正極、負極、及びセパレータが捲回された構造であってもよい。
【0060】
負極集電体171は、実施の形態1に示す集電体101、または111を用いることができる。
【0061】
負極活物質層173は、実施の形態1に示す結晶性シリコン層で形成される活物質層103を用いることができる。なお、結晶シリコン層にリチウムをプリドープしてもよい。また、LPCVD装置において、負極集電体171を枠状のサセプターで保持しながら結晶性シリコン層で形成される活物質層103を形成することで、負極集電体171の両面に同時に活物質層103を形成することが可能であるため、負極集電体171の両面を用いて電極を構成する場合に工程数を削減することができる。
【0062】
正極集電体175は、アルミニウム、ステンレス等を用いる。正極集電体175は、箔状、板状、網状等の形状を適宜用いることができる。
【0063】
正極活物質層177は、LiFeO2、LiCoO2、LiNiO2、LiMn2O4、LiFePO4、LiCoPO4、LiNiPO4、LiMn2PO4、V2O5、Cr2O5、MnO2、その他のリチウム化合物を材料として用いることができる。なお、キャリアイオンが、リチウムイオン以外のアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、ベリリウムイオン、またはマグネシウムイオンの場合、正極活物質層177として、上記リチウム化合物においてリチウムの代わりに、アルカリ金属(例えば、ナトリウムやカリウム等)、アルカリ土類金属(例えば、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等)、ベリリウム、またはマグネシウムを用いることもできる。
【0064】
電解質169の溶質は、キャリアイオンであるリチウムイオンを移送可能で、且つリチウムイオンが安定に存在する材料を用いる。電解質169の溶質の代表例としては、LiClO4、LiAsF6、LiBF4、LiPF6、Li(C2F5SO2)2N等のリチウム塩がある。なお、キャリアイオンが、リチウム以外のアルカリ金属イオンまたはアルカリ土類金属イオンの場合、電解質169の溶質として、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム塩、ストロンチウム塩、バリウム塩等のアルカリ土類金属塩、またはベリリウム塩、マグネシウム塩等を適宜用いることができる。
【0065】
また、電解質169の溶媒としては、リチウムイオンの移送が可能な材料を用いる。電解質169の溶媒としては、非プロトン性有機溶媒が好ましい。非プロトン性有機溶媒の代表例としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、γーブチロラクトン、アセトニトリル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン等があり、これらの一つまたは複数を用いることができる。また、電解質169の溶媒としてゲル化される高分子材料を用いることで、漏液性を含めた安全性が高まる。また、蓄電装置151の薄型化及び軽量化が可能である。ゲル化される高分子材料の代表例としては、シリコンゲル、アクリルゲル、アクリロニトリルゲル、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、フッ素系ポリマー等がある。
【0066】
また、電解質169として、Li3PO4等の固体電解質を用いることができる。
【0067】
セパレータ167は、絶縁性の多孔体を用いる。セパレータ167の代表例としては、セルロース(紙)、ポリエチレン、ポリプロピレン等がある。
【0068】
リチウムイオン電池は、メモリー効果が小さく、エネルギー密度が高く、放電容量が大きい。また、動作電圧が高い。これらのため、小型化及び軽量化が可能である。また、充放電の繰り返しによる劣化が少なく、長期間の使用が可能であり、コスト削減が可能である。
【0069】
次に、蓄電装置としては、キャパシタについて、説明する。キャパシタの代表例としては、電気二重層キャパシタ、リチウムイオンキャパシタ等がある。
【0070】
キャパシタの場合は、図3(B)に示す二次電池の正極活物質層177の代わりに、リチウムイオン及び/またはアニオンを可逆的に吸蔵放出できる材料を用いればよい。正極活物質層177の代表例としては、活性炭、導電性高分子、ポリアセン有機半導体(PAS)がある。
【0071】
リチウムイオンキャパシタは、充放電の効率が高く、急速充放電が可能であり、繰り返し利用による寿命も長い。
【0072】
負極163に実施の形態1に示す負極を用いることで、放電容量の高い蓄電装置を作製することができる。
【0073】
また、蓄電装置の一形態である空気電池の負極に実施の形態1に示す集電体及び活物質層を用いることで、放電容量の高い蓄電装置を作製することができる。
【0074】
(実施の形態3)
本実施の形態では、実施の形態2で説明した蓄電装置の応用形態について図4を用いて説明する。
【0075】
実施の形態2で説明した蓄電装置は、デジタルカメラやビデオカメラ等のカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機(携帯電話、携帯電話装置ともいう。)、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置等の電子機器に用いることができる。また、電気自動車、ハイブリッド自動車、鉄道用電気車両、作業車、カート、車椅子等の電気推進車両に用いることができる。ここでは、電気推進車両の代表例として車椅子を用いて説明する。
【0076】
図4(A)は電動式の車椅子501の斜視図である。電動式の車椅子501は、使用者が座る座部503、座部503の後方に設けられた背もたれ505、座部503の前下方に設けられたフットレスト507、座部503の左右に設けられたアームレスト509、背もたれ505の上部後方に設けられたハンドル511を有する。アームレスト509の一方には、車椅子の動作を制御するコントローラ513が設けられる。座部503の下方のフレーム515を介して、座部503前下方には一対の前輪517が設けられ、座部503の後下方には一対の後輪519が設けられる。後輪519は、モータ、ブレーキ、ギア等を有する駆動部521に接続される。座部503の下方には、バッテリー、電力制御部、制御手段等を有する制御部523が設けられる。制御部523は、コントローラ513及び駆動部521と接続しており、使用者によるコントローラ513の操作により、制御部523を介して駆動部521が駆動し、電動式の車椅子501の前進、後進、旋回等の動作及び速度を制御する。
【0077】
実施の形態2で説明した蓄電装置を制御部523のバッテリーに用いることができる。制御部523のバッテリーは、プラグイン技術や非接触給電による外部からの電力供給により充電をすることができる。なお、電気推進車両が鉄道用電気車両の場合、架線や導電軌条からの電力供給により充電をすることができる。
【0078】
図4(B)は、電気自動車の一例を示している。電気自動車3050には、蓄電装置3051が搭載されている。蓄電装置3051の電力は、制御回路3053により出力が調整されて、駆動装置3057に供給される。制御回路3053は、コンピュータ3055によって制御される。
【0079】
駆動装置3057は、直流電動機若しくは交流電動機単体、又は電動機と内燃機関と、を組み合わせて構成される。コンピュータ3055は、電気自動車3050の運転者の操作情報(加速、減速、停止など)や走行時の情報(登坂や下坂等の情報、駆動輪にかかる負荷情報など)の入力情報に基づき、制御回路3053に制御信号を出力する。制御回路3053は、コンピュータ3055の制御信号により、蓄電装置3051から供給される電気エネルギーを調整して駆動装置3057の出力を制御する。交流電動機を搭載している場合は、直流を交流に変換するインバータも内蔵される。
【0080】
蓄電装置3051は、プラグイン技術による外部からの電力供給により充電することができる。蓄電装置3051として、本発明の一態様に係る蓄電装置を搭載することで、充電時間の短縮化などに寄与することができ、利便性を向上させることができる。また、充放電速度の向上により、電気自動車3050の加速力向上に寄与することができ、電気自動車3050の性能向上に寄与することができる。また、蓄電装置3051の特性向上により、蓄電装置3051自体を小型軽量化できれば、車両の軽量化に寄与することができ、燃費向上にも結びつけることができる。
【0081】
本実施の形態は、他の実施の形態または実施例と適宜組み合わせて実施することができる。
【0082】
(実施の形態4)
本実施の形態では、本発明の一態様に係る蓄電装置を、無線給電システム(以下、RF給電システムと呼ぶ。)に用いた場合の一例を、図10及び図11のブロック図を用いて説明する。なお、各ブロック図では、受電装置および給電装置内の構成要素を機能ごとに分類し、互いに独立したブロックとして示しているが、実際の構成要素は機能ごとに完全に切り分けることが困難であり、一つの構成要素が複数の機能に係わることもあり得る。
【0083】
はじめに、図10を用いてRF給電システムについて説明する。
【0084】
受電装置600は、給電装置700から供給された電力で駆動する電子機器または電気推進車両であるが、この他電力で駆動する装置に適宜適用することができる。電子機器の代表例としては、デジタルカメラやビデオカメラ等のカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機(携帯電話、携帯電話装置ともいう)、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、表示装置、コンピュータ等がある。また、電気推進車両の代表例としては、電気自動車、ハイブリッド自動車、鉄道用電気車両、作業車、カート、車椅子等がある。また、給電装置700は、受電装置600に電力を供給する機能を有する。
【0085】
図10において、受電装置600は、受電装置部601と、電源負荷部610とを有する。受電装置部601は、受電装置用アンテナ回路602と、信号処理回路603と、蓄電装置604とを少なくとも有する。また、給電装置700は、給電装置用アンテナ回路701と、信号処理回路702とを少なくとも有する。
【0086】
受電装置用アンテナ回路602は、給電装置用アンテナ回路701が発信する信号を受け取る、あるいは、給電装置用アンテナ回路701に信号を発信する役割を有する。信号処理回路603は、受電装置用アンテナ回路602が受信した信号を処理し、蓄電装置604の充電、蓄電装置604から電源負荷部610への電力の供給を制御する。また、信号処理回路603は、受電装置用アンテナ回路602の動作を制御する。すなわち、受電装置用アンテナ回路602から発信する信号の強度、周波数などを制御することができる。電源負荷部610は、蓄電装置604から電力を受け取り、受電装置600を駆動する駆動部である。電源負荷部610の代表例としては、モータ、駆動回路等があるが、その他の電力を受け取って受電装置を駆動する装置を適宜用いることができる。また、給電装置用アンテナ回路701は、受電装置用アンテナ回路602に信号を送る、あるいは、受電装置用アンテナ回路602からの信号を受け取る役割を有する。信号処理回路702は、給電装置用アンテナ回路701が受信した信号を処理する。また、信号処理回路702は、給電装置用アンテナ回路701の動作を制御する。すなわち、給電装置用アンテナ回路701から発信する信号の強度、周波数などを制御することができる。
【0087】
本発明の一態様に係る蓄電装置は、図10で説明したRF給電システムにおける受電装置600が有する蓄電装置604として利用される。
【0088】
RF給電システムに本発明の一態様に係る蓄電装置を利用することで、従来の蓄電装置に比べて蓄電量を増やすことができる。よって、無線給電の時間間隔を延ばすことができる(何度も給電する手間を省くことができる。)。
【0089】
また、RF給電システムに本発明の一態様に係る蓄電装置を利用することで、電源負荷部610を駆動することができる蓄電量が従来と同じであれば、受電装置600の小型化及び軽量化が可能である。従って、トータルコストを減らすことができる。
【0090】
次に、RF給電システムの他の例について図11を用いて説明する。
【0091】
図11において、受電装置600は、受電装置部601と、電源負荷部610とを有する。受電装置部601は、受電装置用アンテナ回路602と、信号処理回路603と、蓄電装置604と、整流回路605と、変調回路606と、電源回路607とを、少なくとも有する。また、給電装置700は、給電装置用アンテナ回路701と、信号処理回路702と、整流回路703と、変調回路704と、復調回路705と、発振回路706とを、少なくとも有する。
【0092】
受電装置用アンテナ回路602は、給電装置用アンテナ回路701が発信する信号を受け取る、あるいは、給電装置用アンテナ回路701に信号を発信する役割を有する。給電装置用アンテナ回路701が発信する信号を受け取る場合、整流回路605は受電装置用アンテナ回路602が受信した信号から直流電圧を生成する役割を有する。信号処理回路603は受電装置用アンテナ回路602が受信した信号を処理し、蓄電装置604の充電、蓄電装置604から電源回路607への電力の供給を制御する役割を有する。電源回路607は、蓄電装置604が蓄電している電圧を電源負荷部610に必要な電圧に変換する役割を有する。変調回路606は受電装置600から給電装置700へ何らかの応答を送信する場合に使用される。
【0093】
電源回路607を有することで、電源負荷部610に供給する電力を制御することができる。このため、電源負荷部610に過電圧が印加されることを低減することが可能であり、受電装置600の劣化や破壊を低減することができる。
【0094】
また、変調回路606を有することで、受電装置600から給電装置700へ信号を送信することが可能である。このため、受電装置600の充電量を判断し、一定量の充電が行われた場合に、受電装置600から給電装置700に信号を送信し、給電装置700から受電装置600への給電を停止させることができる。この結果、蓄電装置604の充電量を100%としないことで、蓄電装置604の充電回数を増加させることが可能である。
【0095】
また、給電装置用アンテナ回路701は、受電装置用アンテナ回路602に信号を送る、あるいは、受電装置用アンテナ回路602から信号を受け取る役割を有する。受電装置用アンテナ回路602に信号を送る場合、信号処理回路702は、受電装置600に送信する信号を生成する回路である。発振回路706は一定の周波数の信号を生成する回路である。変調回路704は、信号処理回路702が生成した信号と発振回路706で生成された一定の周波数の信号に従って、給電装置用アンテナ回路701に電圧を印加する役割を有する。そうすることで、給電装置用アンテナ回路701から信号が出力される。一方、受電装置用アンテナ回路602から信号を受け取る場合、整流回路703は受け取った信号を整流する役割を有する。復調回路705は、整流回路703が整流した信号から受電装置600が給電装置700に送った信号を抽出する。信号処理回路702は復調回路705によって抽出された信号を解析する役割を有する。
【0096】
なお、RF給電を行うことができれば、各回路の間にどんな回路を設けてもよい。例えば、受電装置600が信号を受信し整流回路605で直流電圧を生成したあとに、後段に設けられたDC−DCコンバータやレギュレータといった回路によって、定電圧を生成してもよい。そうすることで、受電装置600内部に過電圧が印加されることを抑制することができる。
【0097】
本発明の一態様に係る蓄電装置は、図11で説明したRF給電システムにおける受電装置600が有する蓄電装置604として利用される。
【0098】
RF給電システムに本発明の一態様に係る蓄電装置を利用することで、従来の蓄電装置に比べて蓄電量を増やすことができるので、無線給電の時間間隔を延ばすことができる(何度も給電する手間を省くことができる)。
【0099】
また、RF給電システムに本発明の一態様に係る蓄電装置を利用することで、電源負荷部610を駆動することができる蓄電量が従来と同じであれば、受電装置600の小型化及び軽量化が可能である。従って、トータルコストを減らすことができる。
【0100】
なお、RF給電システムに本発明の一態様に係る蓄電装置を利用し、受電装置用アンテナ回路602と蓄電装置604を重ねる場合は、蓄電装置604の充放電による蓄電装置604の形状の変形と、当該変形に伴うアンテナの形状の変化によって、受電装置用アンテナ回路602のインピーダンスが変化しないようにすることが好ましい。アンテナのインピーダンスが変化してしまうと、十分な電力供給がなされない可能性があるためである。例えば、蓄電装置604を金属製あるいはセラミックス製の電池パックに装填するようにすればよい。なお、その際、受電装置用アンテナ回路602と電池パックは数十μm以上離れていることが望ましい。
【0101】
また、本実施の形態では、充電用の信号の周波数に特に限定はなく、電力が伝送できる周波数であればどの帯域であっても構わない。充電用の信号は、例えば、135kHzのLF帯(長波)でも良いし、13.56MHzのHF帯でも良いし、900MHz〜1GHzのUHF帯でも良いし、2.45GHzのマイクロ波帯でもよい。
【0102】
また、信号の伝送方式としては電磁結合方式、電磁誘導方式、共鳴方式、マイクロ波方式など様々な種類があるが、適宜選択すればよい。ただし、雨や泥などの、水分を含んだ異物によるエネルギーの損失を抑えるためには、周波数が低い帯域、具体的には、短波である3MHz〜30MHz、中波である300kHz〜3MHz、長波である30kHz〜300kHz、及び超長波である3kHz〜30kHzの周波数を利用した電磁誘導方式や共鳴方式を用いることが望ましい。
【0103】
本実施の形態は、上記実施の形態と組み合わせて実施することが可能である。
【実施例1】
【0104】
本実施例では、本発明の一態様である二次電池について、図5、図6、図7、図8、図9を用いて説明する。本実施例では、本発明の一態様である二次電池と、比較用の二次電池(以下、比較二次電池という)とを作製し、特性を比較した。
【0105】
<二次電池の電極の作製工程>
まず、二次電池の電極の作製工程を説明する。
【0106】
集電体上に活物質層を形成することにより、二次電池の電極を形成した。
【0107】
集電体の材料としては、チタンを用いた。集電体として、厚さ100μmのシート状のチタン膜(チタンシートともいう)を用いた。
【0108】
活物質層としては、結晶性シリコンを用いた。
【0109】
集電体であるチタン膜上にLPCVD法により結晶性シリコンを形成した。LPCVD法による結晶性シリコンの形成は、材料ガスとしてシランを用い、シランの流量を300sccmとして反応室内に材料ガスを導入し、反応室内の圧力を20Paとし、反応室内の温度を600度として行った。反応室は石英製のものを用いた。集電体の昇温時には、少量のHeガスを流した。
【0110】
上記工程により得られた結晶性シリコン層を二次電池の活物質層として用いた。
【0111】
<二次電池の電極の構成>
上記工程により得られた結晶性シリコンの平面SEM(scanning electron microscope)写真を図5(A)に示す。図5(A)に示すように、上記工程により得られた結晶性シリコンは、柱状または針状の突起を多数有するウィスカー状である。このため、活物質層の表面積を増大させることができる。突起の軸における長さは、長いもので15〜20μm程度を有している。また、突起の軸における長さは長いものだけでなく、当該軸における長さの長い突起の間に、突起の軸における長さが短い突起が複数存在している。突起の軸は、チタン膜に対して略垂直であるものもあれば、斜めであるものもある。
【0112】
突起は頂部が湾曲しているものが観察された。突起は先端になるほど幅が小さくなるものが観察された。突起の軸の方向は不揃いであった。また、突起の根元(結晶性シリコン領域との界面近傍)における幅は、1μm〜2μmであった。
【0113】
次に、上記工程により得られた結晶性シリコン平面SIM(Scanning Ion Microscope)写真を図5(B)に示す。図5(B)に示すように、上記工程により得られた結晶性シリコンは、表面に凹凸部を有する突起が観察された。
【0114】
次に、上記工程により得られた結晶性シリコンの断面STEM(Scanning Transmission Electron Microscope)写真を図6に示す。図6に示すように、集電体であるチタン膜401上に、活物質層である結晶性シリコン層402が形成されている。図6から、チタン膜401と結晶性シリコン層402との界面近傍404には低密度な領域が形成されていないことが確認できた。結晶性シリコン層402は、結晶性シリコン領域と、結晶性シリコン領域から突出している複数の突起で形成されている。また、突起と突起の間に空隙403(すなわち、突起が存在しない領域)を有している。
【0115】
また、図6から突起の幅は1.0〜2.5μm程度であることがわかる。
【0116】
結晶性シリコン層402は、結晶性シリコン領域上に複数の突起を有する。突起を有する結晶性シリコン層の厚さは3.0μm程度、複数の突起の間に形成される谷における結晶性シリコン領域の厚さは1.5〜2.0μm程度であった。また、図6では示されないが、図5に示すように、突起の軸における長さは、長いもので15〜20μm程度である。
【0117】
図7は、図6の一部を拡大した断面TEM写真である。図7は、図6に示すチタン膜401と結晶性シリコン層402との界面近傍404の拡大写真である。図7から、チタン膜401と結晶性シリコン層402との界面近傍に、層405が形成されていることがわかる。
【0118】
図8に、チタン膜401と結晶性シリコン層402との界面近傍の断面のEDX(energy dispersive X−ray spectrometry)の二次元元素マッピングの結果を示す。領域411はチタンを主成分として有する領域である。領域412はシリコンを主成分として有する領域である。領域416は酸素とチタンとを成分として有する領域である。領域415はチタンとシリコンとを成分として有する領域である。また、領域415に酸素が不純物として含まれている。図8から、チタンを主成分として有する領域411と、チタンとシリコンとを成分として有する領域415と、酸素とチタンとを成分として有する領域416と、シリコンを主成分として有する領域412とがこの順で積層されていることがわかる。領域411はチタン膜401であり、領域412は結晶性シリコン層402である。領域415は、チタンとシリコンとの混合層である。領域416は、金属酸化物層である。
【0119】
また、チタンを主成分として有する領域411中には、部分的に、鉄、ニッケルを有していることが確認された。
【0120】
図8に示すEDXの二次元元素マッピングの結果より、図7に示した層405は、チタンとシリコンとの混合層と、混合層上の金属酸化物層とからなることがわかる。図8に示す測定範囲においては、混合層上の全面を覆うように金属酸化物層が形成されている。層405が有するチタンとシリコンとの混合層の厚さは、65nm〜75nm程度であった。
【0121】
<二次電池の作製工程>
本実施例の二次電池の作製工程を示す。
【0122】
上記のようにして集電体上に活物質層を形成し、電極を形成した。得られた電極を用いて二次電池を作製した。ここではコイン型の二次電池を作製した。以下に、コイン型の二次電池の作製方法について、図9を参照して説明する。
【0123】
図9に示すように、コイン型の二次電池は、電極204、参照電極232、セパレータ210、電解液(図示せず)、筐体206及び筐体244を有する。このほかにはリング状絶縁体220、スペーサー240及びワッシャー242を有する。電極204は、上記工程により得られた集電体200上に活物質層202が設けられたものを用いた。参照電極232は、参照電極活物質層230を有する。本実施例では、集電体200としてチタン箔を用い、活物質層202を実施の形態1に示す結晶性シリコン層で形成した。また、参照電極活物質層230には、リチウム金属(リチウム箔)を用いた。セパレータ210には、ポリプロピレンを用いた。筐体206、筐体244、スペーサー240及びワッシャー242は、ステンレス(SUS)製のものを用いた。筐体206及び筐体244は、電極204及び参照電極232を外部と電気的に接続する機能を有している。
【0124】
これら電極204、参照電極232及びセパレータ210を電解液に含浸させた。そして、図9に示すように、筐体206を下にして電極204、セパレータ210、リング状絶縁体220、参照電極232、スペーサー240、ワッシャー242、筐体244をこの順で積層し、「コインかしめ機」で筐体206と筐体244とをかしめてコイン型の二次電池を作製した。
【0125】
電解液としては、エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)の混合溶媒にLiPF6を溶解させたものを用いた。
【0126】
<比較二次電池の電極の作製工程>
次に、比較二次電池の電極の作製工程を説明する。本発明の一態様である二次電池と比較二次電池とは、活物質層の作製工程が異なる。それ以外の構成は共通しているため、基板、集電体等の構成は省略する。
【0127】
比較二次電池の活物質層としては、結晶性シリコンを用いた。
【0128】
集電体であるチタン膜上にプラズマCVD法によりリンが添加された非晶質シリコンを形成し、熱処理をすることにより結晶性シリコンを形成した。プラズマCVD法による非晶質シリコンの形成は、材料ガスとしてシランとホスフィンを用い、シランの流量を60sccm、5vol%ホスフィン(水素希釈)の流量を20sccmとして反応室内に材料ガスを導入し、反応室内の圧力を133Paとし、基板の温度を280度とし、RF電源周波数を60MHz、RF電源のパルス周波数を20kHz、パルスのデューティ比を70%、RF電源の電力を100Wとして行った。非晶質シリコンは、厚さが3μmとなるように形成した。
【0129】
その後、700度で熱処理を行った。該熱処理は、Ar雰囲気中で6時間行った。この熱処理により、非晶質シリコンを結晶化し、結晶性シリコン層を形成した。上記工程により得られた結晶性シリコン層を比較二次電池の活物質層として用いた。なお、この結晶性シリコン層には、リン(n型を付与する不純物元素)が添加されている。
【0130】
<比較二次電池の作製工程>
比較二次電池の作製工程を示す。
【0131】
上記のようにして集電体上に活物質層を形成し、比較二次電池の電極を形成した。得られた電極を用いて比較二次電池を作製した。比較二次電池の作製は、上記二次電池の作製と同様にして行った。
【0132】
<二次電池、比較二次電池の特性>
充放電測定機を用いて、二次電池、比較二次電池の放電容量を測定した。充放電の測定には定電流方式を採用し、2.0mAの電流で充放電し、上限電圧を1.0V、下限電圧を0.03Vとして行った。すべての測定は、室温で行った。
【0133】
二次電池、比較二次電池の初期特性を表1に示す。表1には、活物質層の単位体積あたりの放電容量(mAh/cm3)の初期特性を示す。ここでは、二次電池の活物質層の厚さは3.5μm、比較二次電池の活物質層の厚さは3.0μmとして放電容量(mAh/cm3)を算出した。
【0134】
【表1】
【0135】
表1に示すように、二次電池の放電容量(7300mAh/cm3)は、比較二次電池の放電容量(4050mAh/cm3)と比較して、1.8倍程度大きいことがわかる。
【0136】
このように二次電池の実容量は、二次電池の理論容量(9800mAh/cm3)に近い値を有している。このように、LPCVD法を用いて形成した結晶性シリコン層を活物質層として用いることで、容量が向上し、理論容量に近い容量値を有する二次電池を作製することができた。
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電装置及びその作製方法に関する。
【0002】
なお、蓄電装置とは、蓄電機能を有する素子及び装置全般を指すものである。
【背景技術】
【0003】
近年、リチウムイオン二次電池、リチウムイオンキャパシタ、及び空気電池など、蓄電装置の開発が行われている。
【0004】
蓄電装置用の電極は、集電体の一表面に活物質を形成することにより作製される。活物質としては、例えば炭素又はシリコンなど、キャリアとなるイオンの吸蔵及び放出が可能な材料が用いられる。例えば、シリコンまたはリンがドープされたシリコンは、炭素に比べ、理論容量が大きく、蓄電装置の大容量化という点において優れている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−210315号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、シリコンを負極活物質に用いても、理論容量ほど高い放電容量を得ることは困難である。そこで、本発明の一態様では、放電容量を高めることが可能な蓄電装置及びその作製方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一形態は、集電体上に、シリコンを含むガスを加熱して堆積する減圧CVD(Low Pressure Chemical vapor deposition)法により、ウィスカー状の結晶性シリコン領域を有する結晶性シリコン層を活物質層として形成する蓄電装置の作製方法である。
【0008】
また、本発明の一形態は、集電体と、集電体上に形成される活物質層として機能する結晶性シリコン層とを有し、結晶性シリコン層は、結晶性シリコン領域と、結晶性シリコン領域上に突出する複数の突起を有するウィスカー状の結晶性シリコン領域とを有する蓄電装置である。
【0009】
また、本発明の一形態は、集電体と、集電体上に形成される活物質層として機能する結晶性シリコン層とを有し、結晶性シリコン層は、結晶性シリコン領域と、結晶性シリコン領域上に突出する複数の突起を有するウィスカー状の結晶性シリコン領域とを有する蓄電装置であり、ウィスカー状の結晶性シリコン領域の突起の軸における長さは、0.5μm以上1000μm以下、結晶性シリコン領域及び突起の界面における幅は50nm以上10μm以下である。
【0010】
本発明の他の一態様は、集電体と、集電体上に形成された活物質層として機能する結晶性シリコン層とを有し、結晶性シリコン層の表面には、柱状又は針状の突起を有し、該突起が、凹部又は凸部を有する蓄電装置である。
【0011】
また、本発明の他の一態様は、集電体と、集電体上に形成された活物質層として機能する結晶性シリコン層とを有し、結晶性シリコン層は、集電体を覆う第1の領域と、第1の領域上に形成された柱状又は針状の突起を有する第2の領域とを有し、該突起が、凹部又は凸部を有する蓄電装置である。
【0012】
なお、集電体及び結晶性シリコン層との間に混合層を有してもよい。また、上記混合層及び結晶性シリコン層の間に、集電体を形成する金属元素の酸化物で形成される金属酸化物層を有してもよい。
【0013】
ウィスカー状の結晶性シリコン領域は複数の突起を有し、複数の突起の伸長方向(すなわち、軸の方向)は、不揃いであってもよい。または、ウィスカー状の結晶性シリコン領域の複数の突起の伸長方向(すなわち、軸の方向)は、集電体の法線方向であってもよい。
【0014】
活物質層として機能する結晶性シリコン層はウィスカー状の結晶性シリコン領域を有するため、表面積が増大し、放電容量を高めることができる。
【0015】
集電体は、白金、アルミニウム、銅、チタンに代表される金属元素等の導電性の高い材料を用いることができる。また、集電体は、シリコンと反応してシリサイドを形成する金属元素で形成することができる。
【0016】
混合層は、金属元素及びシリコンを有する。混合層としては、集電体を形成する金属元素及びシリコンを有してもよい。また、集電体をシリコンと反応してシリサイドを形成する金属元素で形成する場合、混合層は、シリサイドで形成されてもよい。
【0017】
集電体及び活物質層の間に混合層を有することで、集電体及び活物質層の間に低密度な領域(粗な領域)が形成されず、集電体及び活物質層の界面特性を向上させることができる。
【0018】
また、混合層及び活物質層の間に、金属酸化物層を有してもよい。金属酸化物層は、集電体を形成する金属元素の酸化物で形成される。金属酸化物層を酸化物半導体で形成することで、金属酸化物層が絶縁物の場合と比較して、集電体及び活物質層の間の抵抗を低減することが可能であり、放電容量をさらに高めることができる。
【0019】
上記突起を有することで、活物質層における単位質量当たりの表面積は大きくなる。表面積が大きくなることで、蓄電装置の反応物質(リチウムイオン等)が結晶性シリコンに吸蔵される速度、または反応物質が結晶性シリコンから放出される速度は、単位質量当たりで増大する。反応物質の吸蔵又は放出の速度が増大することで、高電流密度での反応物質の吸蔵量又は放出量が増大するため、蓄電装置の放電容量又は充電容量が高まる。すなわち、活物質層としてウィスカー状の結晶性シリコン層を用いることで、蓄電装置の性能を向上させることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の一形態により、放電容量の高い蓄電装置を作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】蓄電装置の負極の作製方法を説明するための断面図である。
【図2】蓄電装置の負極の作製方法を説明するための断面図である。
【図3】蓄電装置の一形態を説明するための平面図及び断面図である。
【図4】蓄電装置の応用の形態を説明するための斜視図である。
【図5】活物質層の平面SEM写真および平面SIM写真である。
【図6】活物質層の断面TEM写真である。
【図7】集電体と活物質層との界面近傍の拡大写真である。
【図8】集電体と活物質層との界面近傍のEDXの二次元元素マッピングである。
【図9】二次電池の作製方法の例である。
【図10】無線給電システムの構成を示す図である。
【図11】無線給電システムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施の形態の一例について、図面を用いて以下に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではないとする。なお、説明中に図面を参照するにあたり、同じものを指す符号は異なる図面間でも共通して用いる場合がある。また、同様のものを指す際には同じハッチパターンを使用し、特に符号を付さない場合がある。
【0023】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様である蓄電装置の電極及びその作製方法について説明する。
【0024】
蓄電装置の電極の作製方法について、図1及び図2を用いて説明する。
【0025】
図1(A)に示すように、集電体101上に、熱CVD法、好ましくは減圧CVD法(以下、LPCVD法という。)により、結晶性シリコン層を活物質層103として形成する。
【0026】
集電体101は、電極の集電体として機能する。このため、箔状、板状、または網状の導電性部材を用いる。集電体101は、特に限定されないが、白金、アルミニウム、銅、チタン等に代表される導電性の高い金属元素を用いることができる。なお、集電体101として、シリコン、チタン、ネオジム、スカンジウム、モリブデンなどの耐熱性を向上させる元素が添加されたアルミニウム合金を用いることが好ましい。また、集電体101として、シリコンと反応してシリサイドを形成する金属元素で形成してもよい。シリコンと反応してシリサイドを形成する金属元素としては、ジルコニウム、チタン、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、コバルト、ニッケル等がある。
【0027】
活物質層103として結晶性シリコン層をLPCVD法により形成する。LPCVD法は、550度より高い温度で、且つ、LPCVD装置及び集電体101が耐えうる温度以下、好ましくは580度以上650度未満の加熱をしつつ、原料ガスとしてシリコンを含む堆積性ガスを用いる。シリコンを含む堆積性ガスとしては、水素化シリコン、フッ化シリコン、または塩化シリコンがあり、代表的には、SiH4、Si2H6、SiF4、SiCl4、Si2Cl6等がある。なお、原料ガスに、ヘリウム、ネオン、アルゴン、キセノン等の希ガス、及び水素の一以上を混合させてもよい。
【0028】
なお、LPCVD法を用いることで、集電体101と活物質層103との界面におけるイオン及び電子の移動が容易となると共に、密着性を高めることができる。
【0029】
なお、結晶性シリコン層に、リン、ボロン等の一導電型を付与する不純物元素が添加されていてもよい。リン、ボロン等の一導電型を付与する不純物元素が添加された結晶性シリコン層は、導電性が高くなるため、電極の導電率を高めることができる。このため、放電容量をさらに高めることができる。
【0030】
活物質層103として、LPCVD法を用いて結晶性シリコン層を形成すると、集電体101及び活物質層103の間に低密度な領域が形成されず、集電体101及び結晶性シリコン層の界面におけるイオン及び電子の移動が容易となると共に、密着性を高めることができる。これは、結晶性シリコン層の堆積工程において、常に原料ガスの活性種が堆積中の結晶性シリコン層に供給されるため、結晶性シリコン層から集電体101にシリコンが拡散し、シリコン不足領域(粗な領域)が形成されても、当該領域に原料ガスの活性種が常に供給され、結晶性シリコン層中に低密度領域が形成されにくくなるためである。また、気相成長により集電体101上に結晶性シリコン層を形成するため、スループットを向上させることができる。
【0031】
ここで、集電体101及び活物質層103の破線105における拡大図を図1(B)に示す。
【0032】
図1(B)に示すように、集電体101上には、混合層107が形成される。混合層107は、集電体101を形成する金属元素及びシリコンで形成されてもよい。なお、混合層107が集電体101を形成する金属元素及びシリコンで形成される場合、活物質層103としてLPCVD法で結晶性シリコン層を形成する際の加熱により、結晶性シリコン層に含まれるシリコンが集電体101に拡散することで形成される。
【0033】
集電体101をシリコンと反応してシリサイドを形成する金属元素で形成する場合、混合層107には、シリサイドを形成する金属元素及びシリコンのシリサイド、代表的には、ジルコニウムシリサイド、チタンシリサイド、ハフニウムシリサイド、バナジウムシリサイド、ニオブシリサイド、タンタルシリサイド、クロムシリサイド、モリブデンシリサイド、タングステンシリサイド、コバルトシリサイド、及びニッケルシリサイドの一以上が形成される。または、シリサイドを形成する金属元素及びシリコンの合金層が形成される。
【0034】
なお、活物質層103及び混合層107に不純物として酸素が含まれる場合がある。これは、活物質層103として、LPCVD法で結晶性シリコン層を形成する際の加熱により、LPCVD装置の石英製のチャンバーから酸素が脱離し、活物質層103及び混合層107に拡散するためである。
【0035】
混合層107上には、集電体101を形成する金属元素の酸化物で形成される金属酸化物層109が形成されてもよい。これは、活物質層103として、LPCVD法で結晶性シリコン層を形成する際の加熱により、LPCVD装置の石英製のチャンバーから酸素が脱離し、集電体101が酸化されるためである。なお、LPCVD法で結晶性シリコン層を形成する際、チャンバー内に、ヘリウム、ネオン、アルゴン、キセノン等の希ガスを充填することで、当該金属酸化物層109が形成されない。
【0036】
集電体101をシリコンと反応してシリサイドを形成する金属元素で形成する場合、金属酸化物層109として、シリコンと反応してシリサイドを形成する金属元素の酸化物で形成される金属酸化物層が形成される。
【0037】
金属酸化物層109の代表例としては、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化ハフニウム、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化クロム、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化コバルト、酸化ニッケル等がある。なお、集電体101を、チタン、ジルコニウム、ニオブ、タングステン等で形成すると、金属酸化物層109は、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ニオブ、酸化タングステン等の酸化物半導体で形成されるため、集電体101及び活物質層103の間の抵抗を低減することが可能であり、電極の導電率を高めることができる。このため、放電容量をさらに高めることができる。
【0038】
集電体101及び活物質層103の間に混合層107を有することで、集電体101及び活物質層103の間の界面における抵抗を低減させることができるため、負極の導電率を高めることができる。このため、放電容量をさらに高めることができる。また、集電体101及び活物質層103の密着性を高めることが可能であり、蓄電装置の劣化を低減することができる。
【0039】
活物質層103は、結晶性シリコン領域103aと、当該領域上に形成されるウィスカー状の結晶性シリコン領域103bとを有する。なお、結晶性シリコン領域103a及びウィスカー状の結晶性シリコン領域103bは、界面が明確ではない。このため、ウィスカー状の結晶性シリコン領域103bの突起の間に形成される谷のうち最も深い谷の底を通り、かつ集電体101の表面と平行な平面を、結晶性シリコン領域103aとウィスカー状の結晶性シリコン領域103bとの界面とする。
【0040】
結晶性シリコン領域103aは、集電体101を覆う。また、ウィスカー状の結晶性シリコン領域103bは、ひげ状であり、突起が分散している。なお、ウィスカー状の結晶性シリコン領域103bの突起は、円柱状、角柱状等の柱状、円錐状または角錐状の針状でもよい。突起は、頂部が湾曲していてもよい。突起の幅は、50nm以上10μm以下、好ましくは500nm以上3μm以下である。また、突起の軸における長さは、0.5μm以上1000μm以下、好ましくは2.5μm以上100μm以下である。
【0041】
なお、突起の軸における長さhとは、突起の頂点または上面の中心を通る軸における、頂点と結晶性シリコン領域103aとの距離である。また、結晶性シリコン層の厚さは、結晶性シリコン領域103aの厚さと、ウィスカー状の結晶性シリコン領域103bの突起の頂点から結晶性シリコン領域103aまでの垂線の長さ(すなわち、高さ)の和となる。
【0042】
なお、突起が結晶性シリコン領域103aから伸張する方向を長手方向といい、長手方向に沿った断面形状を長手断面形状という。また、長手方向が法線方向となる面を輪切り断面形状という。
【0043】
図1(B)に示すように、ウィスカー状の結晶性シリコン領域103bに形成される突起の長手方向は一方向、例えば結晶性シリコン領域103aの表面に対する法線方向に伸張していてもよい。なお、突起の長手方向は、結晶性シリコン領域103aの表面に対して法線方向と、略一致していればよく、各々の方向の差は代表的には5度以内であることが好ましい。このため、図1(B)においては、ウィスカー状の結晶性シリコン領域103bにおいては、長手断面形状のみ示す。
【0044】
本実施の形態に示す蓄電装置の電極は、活物質層として機能する結晶性シリコン層に、幅が、50nm以上10μm以下、好ましくは500nm以上3μm以下であり、軸における長さhが、0.5μm以上1000μm以下、好ましくは2.5μm以上100μm以下である突起を複数有する。このため、活物質層の表面積を増大させることが可能であり、放電容量を高めることができる。
【0045】
または、図1(C)に示すように、ウィスカー状の結晶性シリコン領域103bに形成される突起の長手方向は不揃いであってもよい。代表的には、長手方向が法線方向と略一致する第1の突起113aと、長手方向が法線方向とは異なる第2の突起113bとを有してもよい。さらには、第1の突起113aより第2の突起113bの軸における長さが長くともよい。このため、図1(C)において、ウィスカー状の結晶性シリコン領域103bにおいては、突起の長手断面形状と共に、領域103dで示すように、突起の輪切り断面形状が混在する。領域103dは、円柱状または円錐状の突起の横断面形状であるため円形であるが、突起が角柱状または角錐状であれば、領域103dは、多角形状である。突起の長手方向が不揃いであると、突起同士が絡む場合があるため、蓄電装置の充放電において突起が脱離しにくい。
【0046】
また、図1(D)に示すように、突起が凹凸121(凹凸部とも呼ぶ。)を有していてもよい。また、凹部又は凸部のいずれかを有していてもよい。凹凸121を有することにより、突起の表面積を大きくすることができる。すなわち、活物質層103における単位質量当たりの表面積を、図1(C)と比較して更に大きくすることができるため、放電容量又は充電容量を高めることができる。
【0047】
本実施の形態に示す蓄電装置の電極は、集電体及び活物質層として機能する結晶性シリコン層の間に、少なくとも混合層を有する。このため、集電体及び結晶性シリコン層の間の界面抵抗を低減することが可能であり、さらに密着性を高めることが可能であるため、放電容量を高めると共に、蓄電装置の劣化を低減することができる。
【0048】
なお、図1においては、集電体101は、箔状、板状、または網状の導電性部材で形成される形態を示したが、図2に示すように、基板115上に、スパッタリング法、蒸着法、印刷法、インクジェット法、CVD法等を適宜用いて、集電体111を形成し、当該集電体111上に活物質層103を形成することができる。
【0049】
以上の工程により、放電容量の高い蓄電装置の電極を作製することができる。
【0050】
(実施の形態2)
本実施の形態では、蓄電装置の構造について、図3を用いて説明する。
【0051】
はじめに、蓄電装置として、二次電池の構造について、以下に説明する。
【0052】
二次電池の中でも、LiCoO2等のリチウム含有金属酸化物を用いたリチウムイオン電池は、放電容量が高く、安全性が高い。ここでは、二次電池の代表例であるリチウムイオン電池の構造について、説明する。
【0053】
図3(A)は、蓄電装置151の平面図であり、図3(A)の一点鎖線A−Bの断面図を図3(B)に示す。
【0054】
図3(A)に示す蓄電装置151は、外装部材153の内部に蓄電セル155を有する。また、蓄電セル155に接続する端子部157、159を有する。外装部材153は、ラミネートフィルム、高分子フィルム、金属フィルム、金属ケース、プラスチックケース等を用いることができる。
【0055】
図3(B)に示すように、蓄電セル155は、負極163と、正極165と、負極163及び正極165の間に設けられるセパレータ167と、外装部材153、蓄電セル155及びセパレータ167中に満たされる電解質169とで構成される。
【0056】
負極163は、負極集電体171及び負極活物質層173で構成される。
【0057】
正極165は、正極集電体175及び正極活物質層177で構成される。負極活物質層173は、負極集電体171の一方または両方の面に形成される。正極活物質層177は、正極集電体175の一方または両方の面に形成される。
【0058】
また、負極集電体171は、端子部159と接続する。また、正極集電体175は、端子部157と接続する。また、端子部157、159は、それぞれ一部が外装部材153の外側に導出されている。
【0059】
なお、本実施の形態では、蓄電装置151として、密封された薄型蓄電装置を示したが、ボタン型蓄電装置、円筒型蓄電装置、角型蓄電装置等様々な形状の蓄電装置を用いることができる。また、本実施の形態では、正極、負極、及びセパレータが積層された構造を示したが、正極、負極、及びセパレータが捲回された構造であってもよい。
【0060】
負極集電体171は、実施の形態1に示す集電体101、または111を用いることができる。
【0061】
負極活物質層173は、実施の形態1に示す結晶性シリコン層で形成される活物質層103を用いることができる。なお、結晶シリコン層にリチウムをプリドープしてもよい。また、LPCVD装置において、負極集電体171を枠状のサセプターで保持しながら結晶性シリコン層で形成される活物質層103を形成することで、負極集電体171の両面に同時に活物質層103を形成することが可能であるため、負極集電体171の両面を用いて電極を構成する場合に工程数を削減することができる。
【0062】
正極集電体175は、アルミニウム、ステンレス等を用いる。正極集電体175は、箔状、板状、網状等の形状を適宜用いることができる。
【0063】
正極活物質層177は、LiFeO2、LiCoO2、LiNiO2、LiMn2O4、LiFePO4、LiCoPO4、LiNiPO4、LiMn2PO4、V2O5、Cr2O5、MnO2、その他のリチウム化合物を材料として用いることができる。なお、キャリアイオンが、リチウムイオン以外のアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、ベリリウムイオン、またはマグネシウムイオンの場合、正極活物質層177として、上記リチウム化合物においてリチウムの代わりに、アルカリ金属(例えば、ナトリウムやカリウム等)、アルカリ土類金属(例えば、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等)、ベリリウム、またはマグネシウムを用いることもできる。
【0064】
電解質169の溶質は、キャリアイオンであるリチウムイオンを移送可能で、且つリチウムイオンが安定に存在する材料を用いる。電解質169の溶質の代表例としては、LiClO4、LiAsF6、LiBF4、LiPF6、Li(C2F5SO2)2N等のリチウム塩がある。なお、キャリアイオンが、リチウム以外のアルカリ金属イオンまたはアルカリ土類金属イオンの場合、電解質169の溶質として、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム塩、ストロンチウム塩、バリウム塩等のアルカリ土類金属塩、またはベリリウム塩、マグネシウム塩等を適宜用いることができる。
【0065】
また、電解質169の溶媒としては、リチウムイオンの移送が可能な材料を用いる。電解質169の溶媒としては、非プロトン性有機溶媒が好ましい。非プロトン性有機溶媒の代表例としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、γーブチロラクトン、アセトニトリル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン等があり、これらの一つまたは複数を用いることができる。また、電解質169の溶媒としてゲル化される高分子材料を用いることで、漏液性を含めた安全性が高まる。また、蓄電装置151の薄型化及び軽量化が可能である。ゲル化される高分子材料の代表例としては、シリコンゲル、アクリルゲル、アクリロニトリルゲル、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、フッ素系ポリマー等がある。
【0066】
また、電解質169として、Li3PO4等の固体電解質を用いることができる。
【0067】
セパレータ167は、絶縁性の多孔体を用いる。セパレータ167の代表例としては、セルロース(紙)、ポリエチレン、ポリプロピレン等がある。
【0068】
リチウムイオン電池は、メモリー効果が小さく、エネルギー密度が高く、放電容量が大きい。また、動作電圧が高い。これらのため、小型化及び軽量化が可能である。また、充放電の繰り返しによる劣化が少なく、長期間の使用が可能であり、コスト削減が可能である。
【0069】
次に、蓄電装置としては、キャパシタについて、説明する。キャパシタの代表例としては、電気二重層キャパシタ、リチウムイオンキャパシタ等がある。
【0070】
キャパシタの場合は、図3(B)に示す二次電池の正極活物質層177の代わりに、リチウムイオン及び/またはアニオンを可逆的に吸蔵放出できる材料を用いればよい。正極活物質層177の代表例としては、活性炭、導電性高分子、ポリアセン有機半導体(PAS)がある。
【0071】
リチウムイオンキャパシタは、充放電の効率が高く、急速充放電が可能であり、繰り返し利用による寿命も長い。
【0072】
負極163に実施の形態1に示す負極を用いることで、放電容量の高い蓄電装置を作製することができる。
【0073】
また、蓄電装置の一形態である空気電池の負極に実施の形態1に示す集電体及び活物質層を用いることで、放電容量の高い蓄電装置を作製することができる。
【0074】
(実施の形態3)
本実施の形態では、実施の形態2で説明した蓄電装置の応用形態について図4を用いて説明する。
【0075】
実施の形態2で説明した蓄電装置は、デジタルカメラやビデオカメラ等のカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機(携帯電話、携帯電話装置ともいう。)、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置等の電子機器に用いることができる。また、電気自動車、ハイブリッド自動車、鉄道用電気車両、作業車、カート、車椅子等の電気推進車両に用いることができる。ここでは、電気推進車両の代表例として車椅子を用いて説明する。
【0076】
図4(A)は電動式の車椅子501の斜視図である。電動式の車椅子501は、使用者が座る座部503、座部503の後方に設けられた背もたれ505、座部503の前下方に設けられたフットレスト507、座部503の左右に設けられたアームレスト509、背もたれ505の上部後方に設けられたハンドル511を有する。アームレスト509の一方には、車椅子の動作を制御するコントローラ513が設けられる。座部503の下方のフレーム515を介して、座部503前下方には一対の前輪517が設けられ、座部503の後下方には一対の後輪519が設けられる。後輪519は、モータ、ブレーキ、ギア等を有する駆動部521に接続される。座部503の下方には、バッテリー、電力制御部、制御手段等を有する制御部523が設けられる。制御部523は、コントローラ513及び駆動部521と接続しており、使用者によるコントローラ513の操作により、制御部523を介して駆動部521が駆動し、電動式の車椅子501の前進、後進、旋回等の動作及び速度を制御する。
【0077】
実施の形態2で説明した蓄電装置を制御部523のバッテリーに用いることができる。制御部523のバッテリーは、プラグイン技術や非接触給電による外部からの電力供給により充電をすることができる。なお、電気推進車両が鉄道用電気車両の場合、架線や導電軌条からの電力供給により充電をすることができる。
【0078】
図4(B)は、電気自動車の一例を示している。電気自動車3050には、蓄電装置3051が搭載されている。蓄電装置3051の電力は、制御回路3053により出力が調整されて、駆動装置3057に供給される。制御回路3053は、コンピュータ3055によって制御される。
【0079】
駆動装置3057は、直流電動機若しくは交流電動機単体、又は電動機と内燃機関と、を組み合わせて構成される。コンピュータ3055は、電気自動車3050の運転者の操作情報(加速、減速、停止など)や走行時の情報(登坂や下坂等の情報、駆動輪にかかる負荷情報など)の入力情報に基づき、制御回路3053に制御信号を出力する。制御回路3053は、コンピュータ3055の制御信号により、蓄電装置3051から供給される電気エネルギーを調整して駆動装置3057の出力を制御する。交流電動機を搭載している場合は、直流を交流に変換するインバータも内蔵される。
【0080】
蓄電装置3051は、プラグイン技術による外部からの電力供給により充電することができる。蓄電装置3051として、本発明の一態様に係る蓄電装置を搭載することで、充電時間の短縮化などに寄与することができ、利便性を向上させることができる。また、充放電速度の向上により、電気自動車3050の加速力向上に寄与することができ、電気自動車3050の性能向上に寄与することができる。また、蓄電装置3051の特性向上により、蓄電装置3051自体を小型軽量化できれば、車両の軽量化に寄与することができ、燃費向上にも結びつけることができる。
【0081】
本実施の形態は、他の実施の形態または実施例と適宜組み合わせて実施することができる。
【0082】
(実施の形態4)
本実施の形態では、本発明の一態様に係る蓄電装置を、無線給電システム(以下、RF給電システムと呼ぶ。)に用いた場合の一例を、図10及び図11のブロック図を用いて説明する。なお、各ブロック図では、受電装置および給電装置内の構成要素を機能ごとに分類し、互いに独立したブロックとして示しているが、実際の構成要素は機能ごとに完全に切り分けることが困難であり、一つの構成要素が複数の機能に係わることもあり得る。
【0083】
はじめに、図10を用いてRF給電システムについて説明する。
【0084】
受電装置600は、給電装置700から供給された電力で駆動する電子機器または電気推進車両であるが、この他電力で駆動する装置に適宜適用することができる。電子機器の代表例としては、デジタルカメラやビデオカメラ等のカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機(携帯電話、携帯電話装置ともいう)、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、表示装置、コンピュータ等がある。また、電気推進車両の代表例としては、電気自動車、ハイブリッド自動車、鉄道用電気車両、作業車、カート、車椅子等がある。また、給電装置700は、受電装置600に電力を供給する機能を有する。
【0085】
図10において、受電装置600は、受電装置部601と、電源負荷部610とを有する。受電装置部601は、受電装置用アンテナ回路602と、信号処理回路603と、蓄電装置604とを少なくとも有する。また、給電装置700は、給電装置用アンテナ回路701と、信号処理回路702とを少なくとも有する。
【0086】
受電装置用アンテナ回路602は、給電装置用アンテナ回路701が発信する信号を受け取る、あるいは、給電装置用アンテナ回路701に信号を発信する役割を有する。信号処理回路603は、受電装置用アンテナ回路602が受信した信号を処理し、蓄電装置604の充電、蓄電装置604から電源負荷部610への電力の供給を制御する。また、信号処理回路603は、受電装置用アンテナ回路602の動作を制御する。すなわち、受電装置用アンテナ回路602から発信する信号の強度、周波数などを制御することができる。電源負荷部610は、蓄電装置604から電力を受け取り、受電装置600を駆動する駆動部である。電源負荷部610の代表例としては、モータ、駆動回路等があるが、その他の電力を受け取って受電装置を駆動する装置を適宜用いることができる。また、給電装置用アンテナ回路701は、受電装置用アンテナ回路602に信号を送る、あるいは、受電装置用アンテナ回路602からの信号を受け取る役割を有する。信号処理回路702は、給電装置用アンテナ回路701が受信した信号を処理する。また、信号処理回路702は、給電装置用アンテナ回路701の動作を制御する。すなわち、給電装置用アンテナ回路701から発信する信号の強度、周波数などを制御することができる。
【0087】
本発明の一態様に係る蓄電装置は、図10で説明したRF給電システムにおける受電装置600が有する蓄電装置604として利用される。
【0088】
RF給電システムに本発明の一態様に係る蓄電装置を利用することで、従来の蓄電装置に比べて蓄電量を増やすことができる。よって、無線給電の時間間隔を延ばすことができる(何度も給電する手間を省くことができる。)。
【0089】
また、RF給電システムに本発明の一態様に係る蓄電装置を利用することで、電源負荷部610を駆動することができる蓄電量が従来と同じであれば、受電装置600の小型化及び軽量化が可能である。従って、トータルコストを減らすことができる。
【0090】
次に、RF給電システムの他の例について図11を用いて説明する。
【0091】
図11において、受電装置600は、受電装置部601と、電源負荷部610とを有する。受電装置部601は、受電装置用アンテナ回路602と、信号処理回路603と、蓄電装置604と、整流回路605と、変調回路606と、電源回路607とを、少なくとも有する。また、給電装置700は、給電装置用アンテナ回路701と、信号処理回路702と、整流回路703と、変調回路704と、復調回路705と、発振回路706とを、少なくとも有する。
【0092】
受電装置用アンテナ回路602は、給電装置用アンテナ回路701が発信する信号を受け取る、あるいは、給電装置用アンテナ回路701に信号を発信する役割を有する。給電装置用アンテナ回路701が発信する信号を受け取る場合、整流回路605は受電装置用アンテナ回路602が受信した信号から直流電圧を生成する役割を有する。信号処理回路603は受電装置用アンテナ回路602が受信した信号を処理し、蓄電装置604の充電、蓄電装置604から電源回路607への電力の供給を制御する役割を有する。電源回路607は、蓄電装置604が蓄電している電圧を電源負荷部610に必要な電圧に変換する役割を有する。変調回路606は受電装置600から給電装置700へ何らかの応答を送信する場合に使用される。
【0093】
電源回路607を有することで、電源負荷部610に供給する電力を制御することができる。このため、電源負荷部610に過電圧が印加されることを低減することが可能であり、受電装置600の劣化や破壊を低減することができる。
【0094】
また、変調回路606を有することで、受電装置600から給電装置700へ信号を送信することが可能である。このため、受電装置600の充電量を判断し、一定量の充電が行われた場合に、受電装置600から給電装置700に信号を送信し、給電装置700から受電装置600への給電を停止させることができる。この結果、蓄電装置604の充電量を100%としないことで、蓄電装置604の充電回数を増加させることが可能である。
【0095】
また、給電装置用アンテナ回路701は、受電装置用アンテナ回路602に信号を送る、あるいは、受電装置用アンテナ回路602から信号を受け取る役割を有する。受電装置用アンテナ回路602に信号を送る場合、信号処理回路702は、受電装置600に送信する信号を生成する回路である。発振回路706は一定の周波数の信号を生成する回路である。変調回路704は、信号処理回路702が生成した信号と発振回路706で生成された一定の周波数の信号に従って、給電装置用アンテナ回路701に電圧を印加する役割を有する。そうすることで、給電装置用アンテナ回路701から信号が出力される。一方、受電装置用アンテナ回路602から信号を受け取る場合、整流回路703は受け取った信号を整流する役割を有する。復調回路705は、整流回路703が整流した信号から受電装置600が給電装置700に送った信号を抽出する。信号処理回路702は復調回路705によって抽出された信号を解析する役割を有する。
【0096】
なお、RF給電を行うことができれば、各回路の間にどんな回路を設けてもよい。例えば、受電装置600が信号を受信し整流回路605で直流電圧を生成したあとに、後段に設けられたDC−DCコンバータやレギュレータといった回路によって、定電圧を生成してもよい。そうすることで、受電装置600内部に過電圧が印加されることを抑制することができる。
【0097】
本発明の一態様に係る蓄電装置は、図11で説明したRF給電システムにおける受電装置600が有する蓄電装置604として利用される。
【0098】
RF給電システムに本発明の一態様に係る蓄電装置を利用することで、従来の蓄電装置に比べて蓄電量を増やすことができるので、無線給電の時間間隔を延ばすことができる(何度も給電する手間を省くことができる)。
【0099】
また、RF給電システムに本発明の一態様に係る蓄電装置を利用することで、電源負荷部610を駆動することができる蓄電量が従来と同じであれば、受電装置600の小型化及び軽量化が可能である。従って、トータルコストを減らすことができる。
【0100】
なお、RF給電システムに本発明の一態様に係る蓄電装置を利用し、受電装置用アンテナ回路602と蓄電装置604を重ねる場合は、蓄電装置604の充放電による蓄電装置604の形状の変形と、当該変形に伴うアンテナの形状の変化によって、受電装置用アンテナ回路602のインピーダンスが変化しないようにすることが好ましい。アンテナのインピーダンスが変化してしまうと、十分な電力供給がなされない可能性があるためである。例えば、蓄電装置604を金属製あるいはセラミックス製の電池パックに装填するようにすればよい。なお、その際、受電装置用アンテナ回路602と電池パックは数十μm以上離れていることが望ましい。
【0101】
また、本実施の形態では、充電用の信号の周波数に特に限定はなく、電力が伝送できる周波数であればどの帯域であっても構わない。充電用の信号は、例えば、135kHzのLF帯(長波)でも良いし、13.56MHzのHF帯でも良いし、900MHz〜1GHzのUHF帯でも良いし、2.45GHzのマイクロ波帯でもよい。
【0102】
また、信号の伝送方式としては電磁結合方式、電磁誘導方式、共鳴方式、マイクロ波方式など様々な種類があるが、適宜選択すればよい。ただし、雨や泥などの、水分を含んだ異物によるエネルギーの損失を抑えるためには、周波数が低い帯域、具体的には、短波である3MHz〜30MHz、中波である300kHz〜3MHz、長波である30kHz〜300kHz、及び超長波である3kHz〜30kHzの周波数を利用した電磁誘導方式や共鳴方式を用いることが望ましい。
【0103】
本実施の形態は、上記実施の形態と組み合わせて実施することが可能である。
【実施例1】
【0104】
本実施例では、本発明の一態様である二次電池について、図5、図6、図7、図8、図9を用いて説明する。本実施例では、本発明の一態様である二次電池と、比較用の二次電池(以下、比較二次電池という)とを作製し、特性を比較した。
【0105】
<二次電池の電極の作製工程>
まず、二次電池の電極の作製工程を説明する。
【0106】
集電体上に活物質層を形成することにより、二次電池の電極を形成した。
【0107】
集電体の材料としては、チタンを用いた。集電体として、厚さ100μmのシート状のチタン膜(チタンシートともいう)を用いた。
【0108】
活物質層としては、結晶性シリコンを用いた。
【0109】
集電体であるチタン膜上にLPCVD法により結晶性シリコンを形成した。LPCVD法による結晶性シリコンの形成は、材料ガスとしてシランを用い、シランの流量を300sccmとして反応室内に材料ガスを導入し、反応室内の圧力を20Paとし、反応室内の温度を600度として行った。反応室は石英製のものを用いた。集電体の昇温時には、少量のHeガスを流した。
【0110】
上記工程により得られた結晶性シリコン層を二次電池の活物質層として用いた。
【0111】
<二次電池の電極の構成>
上記工程により得られた結晶性シリコンの平面SEM(scanning electron microscope)写真を図5(A)に示す。図5(A)に示すように、上記工程により得られた結晶性シリコンは、柱状または針状の突起を多数有するウィスカー状である。このため、活物質層の表面積を増大させることができる。突起の軸における長さは、長いもので15〜20μm程度を有している。また、突起の軸における長さは長いものだけでなく、当該軸における長さの長い突起の間に、突起の軸における長さが短い突起が複数存在している。突起の軸は、チタン膜に対して略垂直であるものもあれば、斜めであるものもある。
【0112】
突起は頂部が湾曲しているものが観察された。突起は先端になるほど幅が小さくなるものが観察された。突起の軸の方向は不揃いであった。また、突起の根元(結晶性シリコン領域との界面近傍)における幅は、1μm〜2μmであった。
【0113】
次に、上記工程により得られた結晶性シリコン平面SIM(Scanning Ion Microscope)写真を図5(B)に示す。図5(B)に示すように、上記工程により得られた結晶性シリコンは、表面に凹凸部を有する突起が観察された。
【0114】
次に、上記工程により得られた結晶性シリコンの断面STEM(Scanning Transmission Electron Microscope)写真を図6に示す。図6に示すように、集電体であるチタン膜401上に、活物質層である結晶性シリコン層402が形成されている。図6から、チタン膜401と結晶性シリコン層402との界面近傍404には低密度な領域が形成されていないことが確認できた。結晶性シリコン層402は、結晶性シリコン領域と、結晶性シリコン領域から突出している複数の突起で形成されている。また、突起と突起の間に空隙403(すなわち、突起が存在しない領域)を有している。
【0115】
また、図6から突起の幅は1.0〜2.5μm程度であることがわかる。
【0116】
結晶性シリコン層402は、結晶性シリコン領域上に複数の突起を有する。突起を有する結晶性シリコン層の厚さは3.0μm程度、複数の突起の間に形成される谷における結晶性シリコン領域の厚さは1.5〜2.0μm程度であった。また、図6では示されないが、図5に示すように、突起の軸における長さは、長いもので15〜20μm程度である。
【0117】
図7は、図6の一部を拡大した断面TEM写真である。図7は、図6に示すチタン膜401と結晶性シリコン層402との界面近傍404の拡大写真である。図7から、チタン膜401と結晶性シリコン層402との界面近傍に、層405が形成されていることがわかる。
【0118】
図8に、チタン膜401と結晶性シリコン層402との界面近傍の断面のEDX(energy dispersive X−ray spectrometry)の二次元元素マッピングの結果を示す。領域411はチタンを主成分として有する領域である。領域412はシリコンを主成分として有する領域である。領域416は酸素とチタンとを成分として有する領域である。領域415はチタンとシリコンとを成分として有する領域である。また、領域415に酸素が不純物として含まれている。図8から、チタンを主成分として有する領域411と、チタンとシリコンとを成分として有する領域415と、酸素とチタンとを成分として有する領域416と、シリコンを主成分として有する領域412とがこの順で積層されていることがわかる。領域411はチタン膜401であり、領域412は結晶性シリコン層402である。領域415は、チタンとシリコンとの混合層である。領域416は、金属酸化物層である。
【0119】
また、チタンを主成分として有する領域411中には、部分的に、鉄、ニッケルを有していることが確認された。
【0120】
図8に示すEDXの二次元元素マッピングの結果より、図7に示した層405は、チタンとシリコンとの混合層と、混合層上の金属酸化物層とからなることがわかる。図8に示す測定範囲においては、混合層上の全面を覆うように金属酸化物層が形成されている。層405が有するチタンとシリコンとの混合層の厚さは、65nm〜75nm程度であった。
【0121】
<二次電池の作製工程>
本実施例の二次電池の作製工程を示す。
【0122】
上記のようにして集電体上に活物質層を形成し、電極を形成した。得られた電極を用いて二次電池を作製した。ここではコイン型の二次電池を作製した。以下に、コイン型の二次電池の作製方法について、図9を参照して説明する。
【0123】
図9に示すように、コイン型の二次電池は、電極204、参照電極232、セパレータ210、電解液(図示せず)、筐体206及び筐体244を有する。このほかにはリング状絶縁体220、スペーサー240及びワッシャー242を有する。電極204は、上記工程により得られた集電体200上に活物質層202が設けられたものを用いた。参照電極232は、参照電極活物質層230を有する。本実施例では、集電体200としてチタン箔を用い、活物質層202を実施の形態1に示す結晶性シリコン層で形成した。また、参照電極活物質層230には、リチウム金属(リチウム箔)を用いた。セパレータ210には、ポリプロピレンを用いた。筐体206、筐体244、スペーサー240及びワッシャー242は、ステンレス(SUS)製のものを用いた。筐体206及び筐体244は、電極204及び参照電極232を外部と電気的に接続する機能を有している。
【0124】
これら電極204、参照電極232及びセパレータ210を電解液に含浸させた。そして、図9に示すように、筐体206を下にして電極204、セパレータ210、リング状絶縁体220、参照電極232、スペーサー240、ワッシャー242、筐体244をこの順で積層し、「コインかしめ機」で筐体206と筐体244とをかしめてコイン型の二次電池を作製した。
【0125】
電解液としては、エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)の混合溶媒にLiPF6を溶解させたものを用いた。
【0126】
<比較二次電池の電極の作製工程>
次に、比較二次電池の電極の作製工程を説明する。本発明の一態様である二次電池と比較二次電池とは、活物質層の作製工程が異なる。それ以外の構成は共通しているため、基板、集電体等の構成は省略する。
【0127】
比較二次電池の活物質層としては、結晶性シリコンを用いた。
【0128】
集電体であるチタン膜上にプラズマCVD法によりリンが添加された非晶質シリコンを形成し、熱処理をすることにより結晶性シリコンを形成した。プラズマCVD法による非晶質シリコンの形成は、材料ガスとしてシランとホスフィンを用い、シランの流量を60sccm、5vol%ホスフィン(水素希釈)の流量を20sccmとして反応室内に材料ガスを導入し、反応室内の圧力を133Paとし、基板の温度を280度とし、RF電源周波数を60MHz、RF電源のパルス周波数を20kHz、パルスのデューティ比を70%、RF電源の電力を100Wとして行った。非晶質シリコンは、厚さが3μmとなるように形成した。
【0129】
その後、700度で熱処理を行った。該熱処理は、Ar雰囲気中で6時間行った。この熱処理により、非晶質シリコンを結晶化し、結晶性シリコン層を形成した。上記工程により得られた結晶性シリコン層を比較二次電池の活物質層として用いた。なお、この結晶性シリコン層には、リン(n型を付与する不純物元素)が添加されている。
【0130】
<比較二次電池の作製工程>
比較二次電池の作製工程を示す。
【0131】
上記のようにして集電体上に活物質層を形成し、比較二次電池の電極を形成した。得られた電極を用いて比較二次電池を作製した。比較二次電池の作製は、上記二次電池の作製と同様にして行った。
【0132】
<二次電池、比較二次電池の特性>
充放電測定機を用いて、二次電池、比較二次電池の放電容量を測定した。充放電の測定には定電流方式を採用し、2.0mAの電流で充放電し、上限電圧を1.0V、下限電圧を0.03Vとして行った。すべての測定は、室温で行った。
【0133】
二次電池、比較二次電池の初期特性を表1に示す。表1には、活物質層の単位体積あたりの放電容量(mAh/cm3)の初期特性を示す。ここでは、二次電池の活物質層の厚さは3.5μm、比較二次電池の活物質層の厚さは3.0μmとして放電容量(mAh/cm3)を算出した。
【0134】
【表1】
【0135】
表1に示すように、二次電池の放電容量(7300mAh/cm3)は、比較二次電池の放電容量(4050mAh/cm3)と比較して、1.8倍程度大きいことがわかる。
【0136】
このように二次電池の実容量は、二次電池の理論容量(9800mAh/cm3)に近い値を有している。このように、LPCVD法を用いて形成した結晶性シリコン層を活物質層として用いることで、容量が向上し、理論容量に近い容量値を有する二次電池を作製することができた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
集電体上に、シリコンを含む堆積性ガスを原料ガスに用い、減圧CVD法により結晶性シリコン領域及び前記結晶性シリコン領域上にウィスカー状の結晶性シリコン領域を有する結晶性シリコン層を活物質層として形成することを特徴とする蓄電装置の作製方法。
【請求項2】
請求項1において、前記減圧CVD法は550度より高い温度で行うことを特徴とする蓄電装置の作製方法。
【請求項3】
請求項1または2において、前記シリコンを含む堆積性ガスは、水素化シリコン、フッ化シリコン、または塩化シリコンを用いることを特徴とする蓄電装置の作製方法。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項において、前記集電体は、箔状、板状、または網状であることを特徴とする蓄電装置の作製方法。
【請求項5】
請求項1乃至3のいずれか一項において、基板上に前記集電体をスパッタリング法またはCVD法により形成することを特徴とする蓄電装置の作製方法。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項において、前記集電体を、シリコンと反応してシリサイドを形成する金属元素で形成することを特徴とする蓄電装置の作製方法。
【請求項7】
請求項6において、シリコンと反応してシリサイドを形成する金属元素は、ジルコニウム、チタン、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、コバルト、またはニッケルであることを特徴とする蓄電装置の作製方法。
【請求項8】
集電体と、
前記集電体上に形成される活物質層として機能する結晶性シリコン層とを有し、
前記結晶性シリコン層は、結晶性シリコン領域と、前記結晶性シリコン領域上に形成されるウィスカー状の結晶性シリコン領域と、
を有することを特徴とする蓄電装置。
【請求項9】
集電体と、
前記集電体上に形成される活物質層として機能する結晶性シリコン層とを有し、
前記結晶性シリコン層は、結晶性シリコン領域と、前記結晶性シリコン領域上に形成されるウィスカー状の結晶性シリコン領域と、
を有し、
前記ウィスカー状の結晶性シリコン領域の突起の軸における長さは、0.5μm以上1000μm以下であり、幅は50nm以上10μm以下である
電極を有することを特徴とする蓄電装置。
【請求項10】
集電体と、前記集電体上に形成された活物質層として機能する結晶性シリコン層を有し、
前記結晶性シリコン層の表面には、柱状又は針状の突起を有し、
前記突起は、凹部又は凸部を有することを特徴とする蓄電装置。
【請求項11】
集電体と、前記集電体上に形成された活物質層として機能する結晶性シリコン層とを有し、
前記結晶性シリコン層は、前記集電体を覆う第1の領域と、前記第1の領域上に形成された柱状又は針状の突起を有する第2の領域とを有し、
前記突起は、凹部又は凸部を有することを特徴とする蓄電装置。
【請求項12】
請求項8乃至11のいずれか一項において、前記ウィスカー状の結晶性シリコン領域の突起の軸の方向は、不揃いであることを特徴とする蓄電装置。
【請求項13】
請求項8乃至11のいずれか一項において、前記ウィスカー状の結晶性シリコン領域の突起の軸の方向は、前記集電体の法線方向であることを特徴とする蓄電装置。
【請求項14】
請求項8乃至13のいずれか一項において、前記集電体上に形成される、シリコン及び金属元素を有する混合層を有し、前記シリコン及び金属元素を有する混合層の前記金属元素は、前記集電体に含まれる金属元素で形成することを特徴とする蓄電装置。
【請求項15】
請求項8乃至14のいずれか一項において、前記集電体を、シリコンと反応してシリサイドを形成する金属元素で形成することを特徴とする蓄電装置。
【請求項16】
請求項15において、前記シリコンと反応してシリサイドを形成する金属元素は、ジルコニウム、チタン、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、コバルト、またはニッケルであることを特徴とする蓄電装置。
【請求項17】
請求項14乃至16のいずれか一項において、混合層は、シリサイドで形成されることを特徴とする蓄電装置。
【請求項18】
請求項8乃至17のいずれか一項において、前記集電体及び前記結晶性シリコン層の間に、前記集電体に含まれる金属元素の酸化物で形成される金属酸化物層を有することを特徴とする蓄電装置。
【請求項19】
請求項18において、前記金属酸化物層は、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化ハフニウム、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化クロム、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化コバルト、及び酸化ニッケルの一以上で形成されることを特徴とする蓄電装置。
【請求項1】
集電体上に、シリコンを含む堆積性ガスを原料ガスに用い、減圧CVD法により結晶性シリコン領域及び前記結晶性シリコン領域上にウィスカー状の結晶性シリコン領域を有する結晶性シリコン層を活物質層として形成することを特徴とする蓄電装置の作製方法。
【請求項2】
請求項1において、前記減圧CVD法は550度より高い温度で行うことを特徴とする蓄電装置の作製方法。
【請求項3】
請求項1または2において、前記シリコンを含む堆積性ガスは、水素化シリコン、フッ化シリコン、または塩化シリコンを用いることを特徴とする蓄電装置の作製方法。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項において、前記集電体は、箔状、板状、または網状であることを特徴とする蓄電装置の作製方法。
【請求項5】
請求項1乃至3のいずれか一項において、基板上に前記集電体をスパッタリング法またはCVD法により形成することを特徴とする蓄電装置の作製方法。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項において、前記集電体を、シリコンと反応してシリサイドを形成する金属元素で形成することを特徴とする蓄電装置の作製方法。
【請求項7】
請求項6において、シリコンと反応してシリサイドを形成する金属元素は、ジルコニウム、チタン、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、コバルト、またはニッケルであることを特徴とする蓄電装置の作製方法。
【請求項8】
集電体と、
前記集電体上に形成される活物質層として機能する結晶性シリコン層とを有し、
前記結晶性シリコン層は、結晶性シリコン領域と、前記結晶性シリコン領域上に形成されるウィスカー状の結晶性シリコン領域と、
を有することを特徴とする蓄電装置。
【請求項9】
集電体と、
前記集電体上に形成される活物質層として機能する結晶性シリコン層とを有し、
前記結晶性シリコン層は、結晶性シリコン領域と、前記結晶性シリコン領域上に形成されるウィスカー状の結晶性シリコン領域と、
を有し、
前記ウィスカー状の結晶性シリコン領域の突起の軸における長さは、0.5μm以上1000μm以下であり、幅は50nm以上10μm以下である
電極を有することを特徴とする蓄電装置。
【請求項10】
集電体と、前記集電体上に形成された活物質層として機能する結晶性シリコン層を有し、
前記結晶性シリコン層の表面には、柱状又は針状の突起を有し、
前記突起は、凹部又は凸部を有することを特徴とする蓄電装置。
【請求項11】
集電体と、前記集電体上に形成された活物質層として機能する結晶性シリコン層とを有し、
前記結晶性シリコン層は、前記集電体を覆う第1の領域と、前記第1の領域上に形成された柱状又は針状の突起を有する第2の領域とを有し、
前記突起は、凹部又は凸部を有することを特徴とする蓄電装置。
【請求項12】
請求項8乃至11のいずれか一項において、前記ウィスカー状の結晶性シリコン領域の突起の軸の方向は、不揃いであることを特徴とする蓄電装置。
【請求項13】
請求項8乃至11のいずれか一項において、前記ウィスカー状の結晶性シリコン領域の突起の軸の方向は、前記集電体の法線方向であることを特徴とする蓄電装置。
【請求項14】
請求項8乃至13のいずれか一項において、前記集電体上に形成される、シリコン及び金属元素を有する混合層を有し、前記シリコン及び金属元素を有する混合層の前記金属元素は、前記集電体に含まれる金属元素で形成することを特徴とする蓄電装置。
【請求項15】
請求項8乃至14のいずれか一項において、前記集電体を、シリコンと反応してシリサイドを形成する金属元素で形成することを特徴とする蓄電装置。
【請求項16】
請求項15において、前記シリコンと反応してシリサイドを形成する金属元素は、ジルコニウム、チタン、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、コバルト、またはニッケルであることを特徴とする蓄電装置。
【請求項17】
請求項14乃至16のいずれか一項において、混合層は、シリサイドで形成されることを特徴とする蓄電装置。
【請求項18】
請求項8乃至17のいずれか一項において、前記集電体及び前記結晶性シリコン層の間に、前記集電体に含まれる金属元素の酸化物で形成される金属酸化物層を有することを特徴とする蓄電装置。
【請求項19】
請求項18において、前記金属酸化物層は、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化ハフニウム、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化クロム、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化コバルト、及び酸化ニッケルの一以上で形成されることを特徴とする蓄電装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図9】
【図10】
【図11】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図2】
【図3】
【図4】
【図9】
【図10】
【図11】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【公開番号】特開2012−9414(P2012−9414A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−88822(P2011−88822)
【出願日】平成23年4月13日(2011.4.13)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月13日(2011.4.13)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】
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