説明

蓄電装置及びその製造に用いられる部材

【課題】 枠体に収容する電極体ユニットと枠体側の端子類との接続を簡易に正しく行い得る手段を備えた蓄電装置構築用部材と該部材を用いて構築された蓄電装置を提供すること。
【解決手段】 本発明の蓄電装置は、正極及び負極を有するコア部分と該部分から外方に出る正極リード部13及び負極リード部とを有する電極体ユニット5を備える。該電極体ユニットを収容し得る電極体ユニット収容凹部11が形成されている枠体3と、該枠体に保持された端子7であって該収容凹部に収容された電極体ユニットの正極リード部又は負極リード部と接続される端子とを有する。枠体の一部であって収容凹部の底部30から前記端子と正負極リード部との接続部位に至る区域33の少なくとも一部には、該リード部における前記コア部分から前記端子との接続部位に至る部分35のたるみを防止する、たるみ防止手段29が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも一つの電極体ユニットが端子と電気的に接続されて構成される蓄電装置(複数の電極体ユニットが接続されて構成される蓄電モジュールを含む。)及びその製造技術に関する。特に、電極体ユニットのコア部分から外方に出ている正極リード部及び負極リード部のたるみを防止する手段を備えた蓄電装置とその製造に用いられる部材(枠体等)に関する。
【背景技術】
【0002】
種々の電池(例えばリチウム二次電池)やキャパシタ等の蓄電素子は、電気を駆動源とする車両、パソコンその他の電気製品等に搭載される電源として利用される。
このような蓄電素子を車両等に搭載する場合、耐衝撃性の向上や形状の安定化等の観点から、一又は二以上の蓄電素子を目的に応じた種々の形態の枠体に収容して成る蓄電装置が利用されている。
例えば、特許文献1には、高出力化のために平板状又はシート状の電極(正極及び負極)を積層して成る電極体ユニットを単電池ケース(枠体)内に収容して作製した単電池が記載されている。この単電池においては、複数の正極板(シート)及び負極板(シート)から成る積層電極体ユニットをケースに収容後、それら複数の正極板及び負極板のそれぞれから外方に引き出されている正極リード部及び負極リード部を枠体側に予め設けられている外部接続用端子に溶接によって接続している。
【0003】
しかし、かかる複数のリード部を外部接続用端子に溶接する際には、互いにばらばらである全てのリード部を当該端子の所定位置に正しく接続させる必要があるところ、そのような接続作業は煩雑であった。従って、このような蓄電装置を製造する場合、枠体(ケース)に収容する電極体ユニットと外部接続用端子(枠体側の端子)との接続を効率よく確実に行えることが望まれる。
なお、電池(蓄電装置)等における電極体ユニットと他の端子類との接続(溶接)に関連する従来技術の一例として特許文献2及び特許文献3に記載の技術が挙げられるが、これらの技術は上記のような枠体(単電池ケース等)に収容された後の電極体ユニットと当該枠体側に予め設けられている外部接続用端子との接続(典型的には溶接)を効率よく行う目的に対応していない。
【0004】
【特許文献1】特開平6−338304号公報
【特許文献2】特開平10−106536号公報
【特許文献3】特開2002−42776号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記のような蓄電装置製造に関連する従来の課題を解決すべく創出されたものであり、その目的とするところは枠体に設けられた所定の収容凹部に収容する電極体ユニットと枠体側の端子類との接続を簡易に正しく行い得る手段を備えた枠体その他の蓄電装置構築用部材を提供することである。また、他の目的は、そのような蓄電装置構築用部材を使用して構築された蓄電装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によって提供される枠体は、正極及び負極を有するコア部分と該コア部分から外方に出ている正極リード部及び負極リード部とを有する電極体ユニットを少なくとも一つ備える蓄電装置を構築するための枠体である。ここで開示される枠体は、上記電極体ユニットを収容し得る電極体ユニット収容凹部が形成されている枠体である。そして、収容凹部の周縁には上記電極体ユニットの正極リード部又は負極リード部と接続され得る一又は二以上の端子がその一部を該収容凹部に露出した状態で保持されている。また、収容凹部の底部から上記端子の露出部位に至る区域の少なくとも一部には当該収容凹部に上記電極体ユニットが収容された際の上記正極リード部又は負極リード部における上記コア部分から端子の露出部位に至る部分のたるみを防止するたるみ防止手段が形成されている。
【0007】
本明細書において「蓄電装置」とは、所定の電気エネルギーを取り出し得る蓄電素子(典型的には電池(セル)或いはキャパシタ)を備える装置をいい、特定の蓄電機構に限定されない。リチウム二次電池その他の二次電池(単電池(セル)をいう。)、或いは、電気二重層キャパシタ等のキャパシタ(物理電池)は、ここでいう蓄電装置に包含される典型例である。また、これら蓄電素子を電気的に接続した状態で複数配列させた蓄電素子集合体、即ち、蓄電モジュールも本蓄電装置に包含される。
また、本明細書において「枠体」とは、ここで開示される蓄電装置を構成する一部材であって一又は複数の電極体ユニットを物理的に保持(収容)可能な部材をいい、その形状に特に制限はない。大まかにみてフレーム、ボックス或いはケースと視認されるような形状の電極体保持部材は、ここでいう枠体の典型的な形状(外形)であり得る。
また、本明細書において「電極体ユニット」とは、少なくとも一つずつの正極及び負極を含み、電池又はキャパシタ(蓄電素子)の主体を成す構造体をいう。ここで「コア部分」とは、正極構成物及び負極構成物が共に存在し、蓄電素子の主体をなす部分をいう。また、「正極リード部」及び「負極リード部」とは、ユニット外の端子(枠体側の端子等)と接続するためにコア部分の正極及び負極からそれぞれ外方に出ている部分をいい、コア部分を構成する正極及び負極とそれぞれ電気的につながっておれば別体であるか同体であるかを問わない。例えば、捲回型又は積層型の電極体ユニットを構成するシート状の正極及び負極のコア部分から外方にはみ出た正極端部及び負極端部は、ここでいう正極リード部及び負極リード部の典型例である。
【0008】
かかる構成の枠体では、上記たるみ防止手段を備えることによって、枠体に電極体ユニットを収容した際の正極リード部及び負極リード部のたるみを防止し得る。このことによって、枠体の電極体ユニット収容凹部において、正極リード部及び負極リード部を所定部位に整然と配置することが可能である。そして、かかる正確な配置の結果として、簡易且つ正確に当該正極リード部及び負極リード部を枠体側の端子(典型的には外部接続用正極端子及び負極端子)の一部に接続することができる。このため、本発明の枠体を用いることによって、上記正極リード部及び負極リード部と枠体側端子とが簡易に正しく接続されて成る蓄電装置を製造することができる。また、かかる接続作業に要する時間や繁雑さを低減して蓄電装置の製造効率を向上させることができる。
【0009】
ここで開示される蓄電装置構築用枠体の好ましい一つの態様では、たるみ防止手段として、電極体ユニット収容凹部に電極体ユニットが収容された際の正極リード部又は負極リード部における上記コア部分から上記端子の露出部位に至る部分に接触可能に、上記収容凹部の底部から上記端子の露出部位に至るスロープその他の誘導路が形成されている。
かかるスロープその他の誘導路が形成された枠体によると、電極体ユニット収容凹部に電極体ユニットを収容した際、電極体ユニット収容凹部の底部に上記リード部が落ち込んでたるむことを防止することができる。即ち、電極体ユニットを収容すると同時に電極体ユニットのコア部分から誘導路(スロープ等)に沿って直線的に上記正極リード部又は負極リード部(以下これらをまとめて「リード部」又は「正負極リード部」ともいう。)を端子露出部位(即ち端子との接続予定部位)まで誘導・配置することが実現される。これにより、電極体ユニット収容方向(一方向)のみから容易に正負極リード部と端子露出部位とを溶接等の手段によって容易且つ正確に接続することができる。
【0010】
また、本発明によって提供される蓄電装置の一つは、正極及び負極を有するコア部分と該部分から外方に出ている正極リード部及び負極リード部とを有する電極体ユニットを少なくとも一つ備える蓄電装置である。この蓄電装置は、上記電極体ユニットを収容し得る電極体ユニット収容凹部が形成されている枠体と、該枠体に保持された端子であって該収容凹部に収容された上記電極体ユニットの正極リード部又は負極リード部と接続される一又は二以上の端子とを有する。そして、上記枠体の一部であって上記収容凹部の底部から上記端子と上記正極リード部又は負極リード部との接続部位に至る区域の少なくとも一部には、該正極リード部又は負極リード部における上記コア部分から上記端子との接続部位に至る部分のたるみを防止するたるみ防止手段が形成されていることを特徴とする。
かかる構成の蓄電装置は、上記たるみ防止手段が形成されているため、正極リード部及び/又は負極リード部(即ち、接続部位からコア部分に至るリード部分)にたるみがなく、当該正極リード部及び/又は負極リード部と枠体側端子とが正確に接続されている。このため、所望する性能と形状を維持することができる。
【0011】
ここで開示される蓄電装置の好ましい一つの態様では、たるみ防止手段として、上記正極リード部又は負極リード部におけるコア部分から上記端子との接続部位に至る部分に接触可能に上記収容凹部の底部から上記端子と上記正極リード部又は負極リード部との接続部位に至るスロープその他の誘導路が上記枠体に形成されていることを特徴とする。
このような誘導路の形成された枠体の使用によって、正極リード部及び負極リード部にたるみが発生するのを容易に防止し得る。従って、かかる構成の蓄電装置では、正極リード部及び負極リード部と枠体側端子との所定部位での接続が容易に行われる。このため、所望する性能と形状を維持する蓄電装置が提供され得る。
【0012】
また、ここで開示される蓄電装置の好ましい他の一つの態様では、上記電極体ユニット収容凹部に収容された電極体ユニットが、コア部分と該コア部分から相互に近接して外方に出ている複数の正極リード部及び/又は複数の負極リード部を有しており、該複数の正極リード部同士及び/又は該複数の負極リード部同士は、少なくともその先端部において予め一つに束ねられていることを特徴とする。このような電極体ユニットを使用することによって、リード部のたるみ防止を更に容易に実現することができる。
【0013】
本発明は、他の側面として、蓄電装置に備えられる電極体ユニットであって、正極及び負極を有するコア部分と該コア部分から相互に近接して外方に出ている複数の正極リード部及び/又は負極リード部とを有し、該複数の正極リード部同士及び/又は該複数の負極リード部同士は少なくともその先端部において一つに束ねられていることを特徴とする電極体ユニットを提供する。好ましくは、上記リード部のコア部分から上記束ねられた部分に至る部分が実質的にゆるみがなく張った状態を維持していることを特徴とする。
このような電極体ユニットを使用することにより、リード部におけるたるみの発生を好適に防止することができる。
【0014】
また、本発明は、そのような電極体ユニットを(好ましくはここで開示される枠体と共に)備えることを特徴とする蓄電装置を提供する。また、そのような電極体ユニットを使用することを特徴とする蓄電装置製造方法を提供する。
即ち、ここで開示される蓄電装置の好ましい他の一つの態様は、正極及び負極を有するコア部分と該部分から外方に出ている正極リード部及び負極リード部とを有する電極体ユニットを少なくとも一つ備える蓄電装置であって、上記電極体ユニットを収容し得る電極体ユニット収容凹部が形成されている枠体と、該枠体に保持された端子であって該収容凹部に収容された上記電極体ユニットの正極リード部又は負極リード部と接続される一又は二以上の端子とを有し、ここで上記電極体ユニットとして、上述した複数の正極リード部同士及び/又は複数の負極リード部同士が少なくともその先端部において一つに束ねられている(特に好ましくは上記リード部のコア部分から上記束ねられた部分に至る部分が実質的にゆるみがなく張った状態を維持している)ことを特徴とする電極体ユニットを備えることを特徴とする。
【0015】
特に好ましい蓄電装置製造方法の一態様では、電極体ユニット収容凹部に収容された上記構成の電極体ユニットの上記一つに束ねられている部分と上記枠体に保持された端子とを溶接によって接続することを特徴とする。当該一つに束ねられている部分を溶接することにより、電極体ユニットのリード部にたるみのない状態で容易に電極体ユニットと枠体側の端子とを接続することができる。
これにより、上記電極体ユニット収容凹部に収容された電極体ユニットの上記予め一つに束ねられている部分と枠体に保持された端子とが溶接によって接続されている蓄電装置が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項(例えば、たるみ防止手段、電極体ユニット収容凹部が形成された枠体の形状、端子と電極体ユニットとの接続手段)以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄(例えば、端子の構成、正極及び負極間に挿入されるセパレータの構成、電解質の組成)は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
【0017】
本発明の蓄電装置及び該蓄電装置構築用枠体は、電極体ユニットを収容する電極体ユニット収容凹部と、たるみ防止手段と、電極体ユニットの正極リード部又は負極リード部と接続され得る一又は二以上の端子とが備えられていればよく、種々の材料や構成をその目的のために適用し得る。
例えば、電池その他の蓄電装置(或いは蓄電モジュール)に備えられる電極体ユニットの内容は所望する蓄電装置に応じて異なり、その種類は所定の電力を貯蔵及び放出し得る蓄電素子構成要素(或いは発電素子構成要素ともいえる)たり得るものであれば特に限定されない。典型的な蓄電素子としては、種々の形態の一次電池(例えばリチウム一次電池、マンガン電池)、二次電池(例えばリチウム二次電池、ニッケル水素電池)、或いはキャパシタ(例えば電気二重層キャパシタ)を挙げることができる。
【0018】
本発明の実施に適用される電極体ユニットは、少なくとも正極及び負極を有するコア部分と、外部(電極体ユニット以外をいう。)との接続用として該コア部分から外方に出ている正極リード部及び/又は負極リード部を備える限り、それらの形状やサイズには特に制限はなく、所望の形態及びサイズをとり得る。
例えば、本発明をリチウム二次電池その他の二次電池(又は二次電池モジュール)に適用する場合の好適な態様の電極体ユニットとしては、正極と負極と更にセパレータとを積層又は捲回して成る電極体ユニットが挙げられる。そして蓄電素子の本体を構成し得る積層部分または捲回部分がコア部分に相当する。他方、積層又は捲回の態様に応じて該コア部分からはみ出させた正極と負極それぞれの端部(典型的には相互に近接してコア部分からはみ出た複数の正極端部と負極端部)を正負極リード部とすることができる。このような複数の正極リード部(正極端部)又は負極リード部(負極端部)は、少なくともその先端部において予め一つに束ねられていることが取扱い性の向上の観点から好ましい。また、少なくとも先端部を束ねる場合において、好ましくは、正負極リード部におけるコア部分から当該束ねられた部分(集束部)に至る部分にたるみが発生しないように当該部分が実質的にゆるみがなく張った状態を維持し得るように束ねることが好ましい。このような集束部はここで開示されるたるみ防止手段に包含され得る好適な一形態である。
典型的には、電極体ユニットと共に種々の電解質(電解液、固体電解質等)が備えられるが、かかる電解質の内容は電池の種類に応じて異なり得る。例えば、非水系電解液を備えたリチウム二次電池を蓄電素子とする蓄電装置は、本発明によって提供される蓄電装置(蓄電モジュール)の好適な一態様である。
【0019】
本発明の電池その他の蓄電装置を構成する枠体自体或いは電極体ユニット収容凹部のサイズや形状は、収容対象の電極体ユニットの種類、サイズ、形状等によって異なり得る。枠体は、耐衝撃性材料であり、且つ、収容(保持)する対象の蓄電素子(例えば単電池)を構成する電解質や蓄電素子の使用による反応生成物に対して耐性がある材料から形成された枠体が好ましい。典型的には、絶縁性材料を選択することが好ましい。合成樹脂材料は、比較的製造コストが低く、所望する形状に成形加工することが容易であり上述した条件を好適に満たすものが多い。このような理由で合成樹脂は枠体の構成材料として好ましく用いることができる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPDM)等が好ましく選択される。また、PPS(ポリフェニレンスルフィド樹脂)、ポリスチレン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、フッ素樹脂、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン樹脂)、PES(ポリエーテルスルホン樹脂)等を用いてもよい。枠体は、これらの樹脂から選択される単一の樹脂材料から構成されたものでもよいし、二種以上の樹脂が混合された材料から構成されてもよい。
【0020】
また、枠体に収容される電極体ユニットの電気的な性能を下げない範囲で副材料を添加してもよい。例えば、種々の安定剤(例えばフェノール系、ステアリン酸系の熱安定剤)、金属不活性剤(例えばヒドラジン系の金属不活性剤)、耐衝撃強化剤(例えばセラミックス粉体)、ラジカル反応停止剤を適宜配合することができる。
なお、枠体は材料に応じて選択される一般的な方法で製造又は成形加工されればよく、本発明の実施にあたって特別なプロセスは要求されない。例えば材料として合成樹脂を用いた場合、材料の性質(例えば、熱可塑性、熱硬化性の硬化特性)に応じて射出成形、熱成形(真空成形、圧縮空気成形)等の一般的な成形加工技法が採用される。
【0021】
次に、本発明の蓄電装置(枠体)に保持される端子について説明する。蓄電装置に備えられる端子としては、蓄電装置(具体的には該装置に収容される電極体ユニットの正極及び負極)と外部電気回路(電気機器)とを接続する少なくとも一対の外部接続用端子(典型的には装置全体の総正極端子及び総負極端子)が挙げられる。また、電極体ユニットを複数配列して収容する蓄電装置(即ち蓄電モジュール)の場合には、かかる外部接続用端子の他に、枠体に収容される電極体ユニット間を電気的に接続するためのユニット間接続用端子(以下「装置内接続用端子」ともいう。)が挙げられる。
【0022】
なお、外部接続用の正極端子及び負極端子は、蓄電装置と外部の電気回路とを電気的に接続し得るものであればよく、その形状や組成に特に限定はない。同様に、装置内接続用端子は、二つの電極体ユニット(即ち蓄電素子)間を電気的に接続し得るものであればよく、その形状や組成に特に限定はない。枠体と一体に形成し易い形状、例えば略板状或いは略棒状の端子が好適である。また、使用され得る端子は典型的には金属製である。銅、アルミニウム、金、銀、白金、ニッケル等が端子を構成する金属材料として挙げられる。或いは、端子は、2種類以上の成分(或いは合金)で構成されていてもよい。例えば、二つの電極体ユニットを直列に接続する装置内接続用端子にあっては、正極側接続部分がアルミニウム製であり、負極側接続部分が銅製であるものを好適に使用することができる。
【0023】
なお、これら端子をその一部が電極体ユニット収容凹部に露出した状態で枠体と一体に形成する手段としては、材料に応じて選択される一般的な成形加工法を適用すればよく、本発明の実施にあたって特別なプロセスは要求されない。例えば、インサート加工法、圧入加工法、カシメ加工法、加熱圧着(ホットプレス)加工法等が挙げられる。枠体が合成樹脂製であり、端子が金属製である場合、所定形状の端子を型内に配置して樹脂成形体を製造するいわゆるインサート加工(インサート成形)法が特に好ましい。
【0024】
ここで開示される枠体としては、該ユニットを収容し易く且つ保持し易い形状の電極体ユニット収容凹部が形成されているものが好適である。例えば、そのような電極体ユニット収容凹部の形状として、電極体ユニットの収容方向に大きく開口している(例えば積層又は捲回型の電極体ユニットをその巾広面を底にして収容し得るように開口している)とともに、典型的には枠体の反対面側とは完全に遮断され閉塞されるように収容凹部の底部が枠体本体部によって構成された形状(後述する実施例参照)が挙げられる。
そして、電極体ユニット収容凹部(空間部)の周縁に上記外部接続用端子及び/又は装置内接続用端子がその一部を露出して配置されておればよく、その配置位置(即ち枠体に保持されている位置)或いは一つの収容凹部に配置される端子の数は電極体ユニットの形状・サイズ或いはコア部分から外方に延伸するリード部の数や配置部位によって異なり得る。典型的には、後述する実施例のように、収容凹部の開口部周縁に端子露出部位が配置される。
【0025】
ここで開示される電極体ユニット収容凹部には、収容凹部の底部から前記端子の露出部位に至る区域のいずれか少なくとも一部分に本発明に係るたるみ防止手段が形成されておればよく、その内容に特に制限はない。かかるたるみ防止手段としては、電極体ユニットの正極リード部及び/又は負極リード部のたるみを防止し得る(典型的にはコア部分から端子との接続部分(即ち端子露出部位)に至るまでリード部をほぼ直線状に伸びた状態で誘導し得る)ものであれば特に限定されない。
例えば、後述する実施例のように、電極体ユニット収容凹部内に形成されたスロープ等の誘導路がたるみ防止手段の好適例として挙げられる。かかるスロープに代えて、スロープを形成するのと同様の正負極リード部誘導機能を奏し得る表面形状の誘導路(典型的にはステップ間の段差が各ステップ表面の奥行きと同等かそれよりも小さいように多数のステップを形成して成る階段部)を電極体ユニット収容凹部内に形成してもよい。或いは、誘導路に代えて、収容凹部に収容された電極体ユニットの正負極リード部を底部から突き上げるように支持し得る支持部材を一つ又は相互に間隔を設けて二つ以上形成してもよい。典型的には、杭状又は桁状の支持部材を収容凹部の底部に立設させるとよい。かかる支持部材によって、例えば積層又は捲回型電極体ユニットを電極体ユニット収容凹部に収容した際、該ユニットのコア部分から外方に伸びた正負極リード部を下から支え、該リード部が収容凹部の底部方向にたるむ(垂れ下がる)のを防止することができる。
これらたるみ防止手段は、枠体本体と一体に形成されればよいし、別体で形成されたものを枠体本体に取り付けてもよい。機械的強度及び製造プロセスの簡易化の観点から、枠体本体とたるみ防止手段(例えば上記ステップ部、階段部のような誘導路、杭又は桁状の支持部材)とが一体に形成されたもの(典型的には、電極体ユニット収容凹部とたるみ防止手段とが成形されるような成型用金型(好ましくは端子をインサート成形可能なもの)を使用して得られる樹脂成形体)が好ましい。
【0026】
ここで開示される典型的な電池その他の蓄電装置(或いはモジュール)は、本発明に係るたるみ防止手段が形成された枠体を使用すること以外、従来の電池その他の蓄電装置(或いはモジュール)を構築する場合と同様のプロセスによって構築、製造することができる。
例えば、枠体側の端子(外部接続用端子又は装置内接続用端子)の露出部位と所定の電極体ユニット収容部位に収容された電極体ユニットの正極リード部又は負極リード部とを接続する方法としては特に制限はないが、金属製の端子と電極体ユニットの正負極リード部とを接続する場合には、種々の様式の溶接(例えばシリーズスポット溶接、ダイレクトスポット溶接、インダイレクトスポット溶接、パラレルギャップ溶接等のスポット溶接)が好ましい。なお、これら溶接法に限られず、ハンダ付けのような接着材を用いる接続方法、或いは、端子と正負極リード部との接続部分に適当な接合具(爪等の金具)を当て、当該接合具をかしめるような接続方法であってもよい。
好ましい一態様として、後述する実施例のように枠体本体を背にして端子と電極体ユニットの正極リード部及び/又は負極リード部とを一方向(典型的には電極体ユニット収容方向)からエネルギーを加えてこれら被接合部材同士を接続する。この態様は、シリーズスポット溶接のような一方向から溶接ヘッド(電極チップ)を接続予定部分に当てて溶接することによって好適に実施することができる。
【0027】
一又は二以上の電極体ユニット(延いては蓄電素子)を枠体に収容して成る蓄電装置(モジュール)の好適な一形態として、枠体を水分バリア性の高いフィルムで包装したいわゆるフィルム外装型の電池その他の蓄電装置が挙げられる。使用される外装フィルムとしては、従来のフィルム外装型蓄電装置(典型的には二次電池)において使用されているものであれば特に限定することなく用いることができる。例えば、リチウム二次電池等の外装体として従来使用されているラミネートフィルムを用いることができる。好ましくは高融点樹脂(例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリアミド(PA)系樹脂)から構成された外面(保護)層と、金属箔(例えばアルミニウム、スチール)から構成されたバリア層(ガスや水分を遮断するバリア層)と、熱融着性樹脂(比較的低融点である樹脂、例えばエチレンビニルアセテート、或いはポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂)から構成された接着層との三層構造を有するラミネートフィルムを好適に用いることができる。このような三層構造ラミネートフィルムは、適当な加熱圧着手段(例えばヒートプレス機)を使用することによって、接着層同士を容易に接着(融着)することができる。また、この種のラミネートフィルムは、絞り加工その他の一般的な加工(典型的にはプレス加工)によって容易に凹部を形成することができるため、電極体ユニット形状に適合して外装させることができる。特に好ましいラミネートフィルムとしては、ラミネートフィルムの内側材質(接着層)が枠体と同じものが挙げられる。例えば、枠体とラミネートフィルムの内側材質(接着層)が共にポリプロピレンであることが好ましい。この構成によれば、枠体とラミネートフィルムとを容易に熱融着することができる。尚、フィルム外装手段としては、このようなラミネートフィルムに限定されず、蓄電装置を外装する用途に用いることができる種々の他のフィルムを用いることができる。
【0028】
以下、本発明に関する好適ないくつかの実施例を図面を参照しつつ説明するが、本発明をかかる図面に示すものに限定することを意図したものではない。
<第一実施例>
先ず、図1及び図2に基づいて第一実施例に係る蓄電装置1を説明する。本実施例に係る蓄電装置1は、フィルム外装型のリチウム二次電池である。
図1は、ラミネートフィルムによって外装する前(即ち、ラミネートフィルムを除いた状態)の蓄電装置1を示す側面図である。図2は、図1のII‐II線断面図である。図1に示すように、本実施例に係る蓄電装置1は、主に、枠体3と、電極体ユニット5と、正極端子7及び負極端子9とから構成されている。
【0029】
本実施例に係る電極体ユニット5は正極シート(正極)と負極シート(負極)をセパレータと共に積層し、さらに正極シートと負極シートとをややずらしつつ捲回して作製される一般的な捲回型電極体ユニットである。かかる捲回型電極体ユニット5の捲回方向に対する横方向の一方の端面には、上記のようにややずらしつつ捲回された結果として、正極シートの端の一部が捲回コア部分(即ち正極シート(正極)と負極シート(負極)とセパレータとが密に捲回されて成る素子を構成する主要部分)から外方にはみ出ている。かかるはみ出し部分が本実施例に係る正極リード部13を構成する。同様に、捲回型電極体ユニット5の捲回方向に対する横方向の他方の端面には、上記のようにややずらしつつ捲回された結果として、負極シートの端の一部が捲回コア部分から外方にはみ出しており、それらはみ出し部分が本実施例に係る負極リード部15を構成する。これら正極リード部13及び負極リード部15がそれぞれ後述する枠体3側の正極端子7及び負極端子9と電気的に接続される。
尚、かかる電極体ユニット5の構成自体は本発明を制限するものではなく、従来使用されている種々の材料を用いて構成されておればよい。例えば、正極シートは長尺状の正極集電体の上にリチウム二次電池用正極活物質層が付与されて形成され得る。正極集電体にはアルミニウム箔等の金属箔が好適に使用される。正極活物質は従来からリチウム二次電池に用いられる物質の一種又は二種以上を特に限定することなく使用することができる。好適例として、LiMn、LiCoO、LiNiO等を挙げることができる。他方、負極シートは長尺状の負極集電体の上にリチウム二次電池用負極活物質層が付与されて形成され得る。負極集電体には銅箔等の金属箔が好適に使用される。負極活物質は従来からリチウム二次電池に用いられる物質の一種又は二種以上を特に限定することなく使用することができる。好適例として、グラファイトカーボン、アモルファスカーボン等の炭素系材料、リチウム含有遷移金属酸化物や遷移金属窒化物等を挙げることができる。正負極シート間に使用される好適なセパレータシートとしては多孔質オレフィン系樹脂で構成されたものが挙げられる。
【0030】
本実施例に係る枠体3は合成樹脂により構成されている。特にラミネートフィルムとの接着性に優れ且つ剛性な樹脂(例えばポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレン製)であることが好適である。図1及び図2に示すように本実施例に係る枠体3はその外形が厚み方向と長手方向の長さが顕著に異なる筐体構造である。その一方の側面には、外周部分を残した中央部分において、奥行き方向(厚さ方向)に窪む電極体ユニット収容凹部11が設けられている。そして図1及び図2に示すように、かかる電極体ユニット収容凹部11にその開口方向から電極体ユニット5を収容する。このように枠体3に電極体ユニット収容凹部11を設けて電極体ユニット5を収容することにより、電極体ユニット5が物理的に保護され、外側からの応力による変形、破損等を防止することができる。このため、信頼性の高い蓄電素子(電池)を構成することができる。
【0031】
この枠体3との一体成形(インサート成形)によって、薄板形状の外部接続用正極端子7と外部接続用負極端子9とが、該枠体3の電極体ユニット収容凹部11の周縁部にその一部が埋設され一部が露出した状態で保持されている。
即ち、図1及び図2に示すように、正極端子7は、枠体3の前端部17の厚さ方向ほぼ中央に配置され、その一端部21は電極体ユニット収容凹部11において露出している一方で、他端部19は枠体3の前端部17から外方に突出している。また、負極端子9は、正極端子7と向かい合うようにして枠体3の後端部23の厚さ方向ほぼ中央に配置され、その一端部27は電極体ユニット収容凹部11において露出している一方で、他端部25は枠体3の後端部23から外方に突出している。通常の電池と同様、かかる正極端子7はアルミニウム製であり、負極端子9は銅製である。
【0032】
そして、電極体ユニット5の正極13と枠体3の外部接続用正極端子7とが接続されているとともに、電極体ユニット5の負極15と枠体3の外部接続用負極端子9とが接続されている。即ち、電極体ユニット収容凹部11において露出した正極端子7の一端部(接続予定部分)21と電極体ユニット5の正極リード部(具体的には電極体ユニット5の上記捲回部分から引き出され、予め一つに束ねられた正極集電体の端部)13とが接続されている。一方、正極端子7と向かい合うようにして、電極体ユニット収容凹部11において露出した負極端子9の一端部(接続予定部分)27と電極体ユニット5の負極リード部(具体的には電極体ユニット5の上記捲回部分から引き出され、予め一つに束ねられた負極集電体の端部)15とが接続されている。
【0033】
かかる形態によって、枠体3に保持された外部接続用正極端子7及び外部接続用負極端子9における電極体ユニット収容凹部11に露出した一端部21,27を、それぞれ、電極体ユニット収容凹部11に収容された電極体ユニット5の正極リード部13及び負極リード部15と接続することができる。前端部17(前端面)及び後端部23(後端面)から引き出された外部接続用正極端子7及び外部接続用負極端子9それぞれの他方の端部19,25は、図示しない外部回路(典型的には電源回路)と接続される。
【0034】
図1のII−II線断面図である図2によく示されるように、正極端子7は電極体ユニット5の正極リード部13と接続される一端部21が一部折り返され密着して重ねられている。即ち、一端部(接続予定部分)21は、端子の隣接する部分に折り返されて重ねられたことにより、当該部分(折り返された二重部分)の端子の厚さはその他の部分のほぼ2倍に形成されている。正極端子7の先端部分であって折り返されて接続予定部分21と重ねられている部分は蓄熱部28として機能する。また、図には示していないが、負極端子9も同様に端子の一端が一部折り返され重ねられて蓄熱部を形成している。このような蓄熱部28は、正極及び負極と端子との溶接時に加えられる熱を蓄える機能を有し、枠体3やセパレータ、他の部材に対する熱の伝達を低減し、熱による影響、例えば、変形等を低減することができる。
【0035】
また、図2に示すように、枠体3の電極体ユニット収容凹部11の底部30から正極端子7を露出させた部位31に至る部分33(以下「たるみ防止実行部分33」ともいう。)には、電極体ユニット5の正極リード部13におけるコア部分から前記端子7の露出部位(一端部21)に至る部分35(以下「たるみ防止対象部分35」ともいう。)が配置される。
図示されるように、収容凹部11内のたるみ防止実行部分33には、本発明のたるみ防止手段として、収容凹部底部30から端子露出部位31に至るほぼ一定に傾斜するスロープ(誘導路)29が形成されている。本実施例ではかかるスロープ29によって、正極リード部13におけるたるみ防止対象部分35が収容凹部底部30方向にたるんで垂れ下がることを防止し、正極リード部13におけるたるみ防止対象部分35をほぼ直線状に維持しつつ端子露出部位31(即ち正極端子7の接続予定部分21)まで誘導することができる。
【0036】
図1に示すように、本実施例に係る枠体3の上面37には、底面39に向かって窪み(凹部)41が形成されている。本実施例においてはかかる凹部41が排気路41を構成している。即ち、枠体3の外面をラミネートフィルムで覆う(封止する)ことにより、枠体本体上面37とラミネートフィルムとの間に凹部41に対応する空間即ち排気路41が形成される。この排気路41は、枠体上面37の縁部を除く中央寄りの部分において長手方向に連なるように形成されている。
【0037】
さらに、図1に示すように、排気路41と電極体ユニット収容凹部11との間には、ガス透過孔45が形成されている。そしてガス透過孔45の排気路41側の端部には、ガス透過膜47が配置されている。ガス透過膜47は、ガスのみが透過可能であり、固体及び液体(電解質等)の透過を阻止し得る。かかる構成により、本装置(リチウム二次電池)1の使用時において電極体ユニット5が収容された電極体ユニット収容凹部11において発生したガスは、ガス透過孔45から全て排気路41に透過される。
【0038】
排気路41は、図1に点線で示すように、前端部(端面)17において、上面37から一旦底面39側に略垂直に曲がり、前端部17に設けられた排気弁(圧力リリーフバルブ)51と連結される。即ち、電極体ユニット収容凹部11から発生したガスは、排気路41を通過し、蓄電装置1に付加がかからないように排気弁51から排出される。排気路41に排気弁51を設けることにより、蓄電装置1内(例えば排気路41内)の圧力上昇を防止し、ラミネートフィルムの溶着部へのダメージを軽減することができる。
【0039】
また、図1に示されるように、電極体ユニット収容凹部11の上面37には、横方向略中央に、電解質注入孔53が形成されている。即ち、蓄電装置1を組み立ててラミネートフィルムにて電極体ユニット収容凹部11を外装後、電解質注入孔53から電極体ユニット収容凹部11内に所定の電解質(ここではリチウム二次電池用の組成の非水電解液)を注入することができる。具体的には、電解質注入孔53に図示しない電解質注入針を刺し込んで電極体ユニット収容凹部11に電解質を注入する。注入後、電解質注入針を引き抜くことによって、電解質注入孔53は再び密閉される。かかる目的に適する弾性部材を枠体3の所定部位に配置することによって電解質注入孔53が構成されている。
【0040】
次に、本蓄電装置1の組み立て手順を説明する。まず、枠体3の電極体ユニット収容凹部11に、図1に示すように電極体ユニット5を収容する。具体的には、枠体3の側面方向に開口した電極体ユニット収容凹部11に、正極端子7及び負極端子9と電極体ユニット5の正極リード部13及び負極リード部15とがそれぞれ電気的に接続されるように電極体ユニット5を配置・収容する。
次いで、電極体ユニット5の正極リード部13と正極端子7とを一般的な所謂シリーズスポット溶接技法に基づいて接続する。即ち、これらを重ね合わせた接続予定部分において、正極13の露出面側(図2の上方向)から二つの溶接ヘッド(電極チップ)により同時に加圧し、該電極チップ間に直列に電流を流し、二箇所の溶接部55を同時に形成することができる。同様に、電極体ユニット5の負極リード部15と負極端子9とを二箇所の溶接部56において接続する。かかるシリーズスポット溶接では、一方向(電極体ユニット収容方向)のみからの溶接作業により溶接することができるため、枠体3の電極体ユニット収容凹部11が電極体ユニット収容方向と反対側(即ち、他の側面側)に開口していなくても(即ち、枠体自体によって閉ざされていても)溶接作業が可能である。このため、蓄電装置1を強度的に保護しつつ、作業性が良好である。
【0041】
ここで本実施例では、上記誘導路としてスロープ29が形成されてあるため、電極体ユニット収容凹部11に電極体ユニット5を配置・収容した際に電極体ユニット5の正極リード部13及び負極リード部15におけるたるみ防止対象部分35にたるみを発生させることなくほぼ直線状に底部30付近から接続予定部分(一端部)21まで当該正極リード部13及び負極リード部15を誘導・配置することができる。このため、複数の正極リード部及び負極リード部をまとめて端子の接続予定部分(一端部)21に位置決めして配置し得、正確で高い信頼性を担保した状態で正負極リード部13,15と枠体側端子7,9とを上記スポット溶接等の手法によって正確に接続することができる。
なお、図示するようなスロープ29に代えて、該スロープと同等の機能を奏し得るような小刻みなステップを多段に形成して成る階段部を収容凹部11のたるみ防止実行部分33に設けてもよい。
【0042】
使用する電極体ユニット5としては、図示するように複数の正負極リード部13,15の少なくとも先端部を含む一部分(典型的には図2に示すような枠体側正負極端子7,9と接続させる部分を包含する一部分)が溶接や半田付け等の手段によって予め束ねられて一つの集束部(即ち複数の正負極リード部の集合体であってその構成要素たる各リード部がばらけないで一体となって保持されている部分)を形成しており、且つ、複数の正負極リード部13,15のそれぞれにおける該集束部とコア部分との間の部分(即ちたるみ防止対象部分35)が実質的にゆるみなく張った状態であることを特徴とする電極体ユニットが特に好ましい。
かかる構成の電極体ユニット5をスロープ29の形成された枠体3と一緒に使用することによって、より確実にリード部のたるみ防止対象部分におけるたるみ発生を防止することができる。また、かかる集束部を形成することによって複数の正負極リード部がばらけるのを防止し得、結果、収容凹部11に収容される前の電極体ユニット5単独の取り扱い性及び枠体側端子7,9との接続作業性を向上させることができる。
或いは、スロープ29等のたるみ防止手段が形成されていない従来の枠体を使用する場合であっても、たるみ防止対象部分35が実質的にゆるみなく張った状態である限りにおいて当該集束部それ単独で本発明の実施に好適なたるみ防止手段となり得る。
【0043】
次いで、図示しないが、ラミネートフィルムによって枠体3の全体を覆うようにして外装する。使用するラミネートフィルムには予め前端部17から突出する正極端子7及び排気弁51が貫通し得る穴と、後端部23から突出する負極端子9が貫通し得る穴とが形成されている。そして、枠体3(装置1)内部の液密性が保持されるように、枠体3本体を構成する樹脂とラミネートフィルム(溶着部)とを上面37を除いて熱融着する。尚、ラミネートフィルムの熱融着手段としては特別な方法を要さず、一般的な加熱手段(例えばヒートプレス機)によって行うことができる。
【0044】
フィルム外装後、電解質注入孔53からリチウム二次電池用電解質を注入し、電極体ユニット収容凹部11に収容された電極体ユニット5に所定量の電解質を配置する。最後に、枠体3の上面37をラミネートフィルムによって熱融着等によって封止することによって、蓄電装置1の組み立て(構築)が完成する。尚、かかる電解質注入路の構成及び電解質注入プロセスは、従来のリチウム二次電池の製造で行われている手法と同様でよく、本発明を特徴付けるものではない。
【0045】
また、ここで注入される電解質は従来からリチウム二次電池の電解質として使用されるものであれば特に制限なく使用し得、本発明を特徴付けるものではない。典型的には液状(例えば非水電解液)或いは典型的にはゲル状であるポリマー電解質を用いる。例えば、ジエチルカーボネート(DEC)とエチレンカーボネート(EC)の混合溶媒(例えばDEC:ECが7:3の質量比である混合溶媒)にリチウム塩として1mol/LのLiPFを溶解した非水電解液を好適に使用することができる。
【0046】
<たるみ防止手段に係る他の実施例>
図3に基づいて本発明に係るたるみ防止手段の他の好適な一実施例(変更例)を説明する。なお、図3は、上記第一実施例を説明した図2に対応する部分を示す断面図であり、第一実施例と同形状の部材には同じ符号を記している。図3には正極リード部13側のみの構成を示しているが、負極リード部側についても全く同様(対称)の構成である。本変更例を説明するには正極側だけの図示で十分であり、負極側についての重複した説明は省略する。
【0047】
図3に示すように、この変更例に係るたるみ防止手段は、上記スロープ29(図2)に代えて枠体103の電極体ユニット収容凹部11内のたるみ防止実行部分33に設けられた二つの杭又は桁状の支持部材32である。図示されるように、収容凹部11に電極体ユニット5が収容された際に正極リード部13のたるみ防止対象部分35を下方から支えることができるように、これら二つの支持部材32は収容凹部11内の底部30から段違いに突設されている。
これら支持部材32により、上記スロープ29(図2)と同様のたるみ防止効果を奏することができる。なお、支持部材32の形状や設置数は、図示するものに限られず、電極体ユニット(特に正負極リード部)の形状やサイズに応じて種々の態様があり得る。
なお、図3に示す端子107には蓄熱部は形成されていない。
【0048】
<第二実施例>
蓄電装置の第二実施例として蓄電モジュール201を図4に基づいて説明する。本実施例に係る蓄電モジュール201は、第一実施例と同様の構成の電極体ユニット205,207を複数備えて成るリチウム二次電池を構成するフィルム外装型の電池モジュールである。
図4はラミネートフィルムによって外装する前(即ち、ラミネートフィルムを除いた状態)の側面図である。
本実施例に係る蓄電モジュール201は、上記第一実施例において一つの電極体ユニット5を用いたのに対し、計四つの電極体ユニット205,207(但し図中奥側に配置される二つのユニットは図示されていない)を用いている。即ち、本蓄電モジュール201は、主に、枠体203と、四つの電極体ユニット205,207(図中奥側の二つは図示されず)と、三つのユニット間接続用端子(装置内接続用端子)215,217(図中奥側の一つは図示されず)と、一対の外部接続用端子である総負極端子213及び総正極端子220とから構成されている。
【0049】
枠体203は、上記第一実施例と同様の材料から構成され、その外形が厚み方向と長手方向の長さが顕著に異なる長板状の筐体構造であり、後述する総正極端子220及び総負極端子213並びに排気弁297が配置される前端部(前面)257(以下「外部接続用端部(端面)」ともいう。)からみて長手方向に延びる両側面221には、図4に示すように、それぞれ奥行き方向に窪んだ電極体ユニット収容凹部225,227が並んで2箇所ずつ、枠体203の長手方向への中心を背中合わせにして合計4箇所設けられている。図示するように、これら電極体ユニット収容凹部225,227の開口部は矩形状であり、枠体3の側面(長手方向に対して横方向)から各収容凹部225,227に電極体ユニット205,207を一つずつコンパクトに枠体203内に位置決めし、配置することができる。
【0050】
また、図4に示すように、枠体203の一方の側面221に並ぶ2箇所の電極体ユニット収容凹部225,227、及び他方の側面に並ぶ2箇所の電極体ユニット収容凹部(図示せず)の間には、両収容凹部の境界に相当する隔壁部235がそれぞれ形成されている。該隔壁部235内には、縦方向においてほぼ中央部に、薄板状の装置内接続用端子215が枠体本体と一体となって配置されている。これら装置内接続用端子215は、各電極体ユニットの正極に接続されるアルミニウム製端子と各電極体ユニットの負極に接続される銅製端子とを溶接によって一体化した部材である。即ち、各装置内接続用端子215の正極側(端子の長手方向の概ね半分)はアルミニウムで構成されており、負極側(端子の長手方向の概ね半分)は銅で構成されている。このように正極側端子と負極側端子とを一体化した装置内接続用端子を用いることにより、バスバー等の接続部材を別途必要とせずに電極体ユニット205,207を直接接続することができる。図示されるように、装置内接続用端子215は、正極側と負極側との接続部が隔壁部235によって被覆(埋設)されると共に、その両端部239,241がそれぞれ電極体ユニット収容凹部225,227内において隔壁部235から枠体203外方にははみ出さずに露出している。即ち、この露出した装置内接続用端子215の正極側の端部及び負極側の端部が、電極体ユニット収容凹部225,227に収容された状態の電極体ユニット205,207の正極リード部205b及び負極リード部207aと電気的に接続され得る構成となっている。
【0051】
一方、図4に示すように、枠体203の外部接続用端部(端面)257とは反対側の後端部247側において、装置内接続用端子217(ここでは一つ)が枠体203の内部において縦方向略中央に枠体203の一方の側面221から他方の側面に向かって(即ち幅方向に)回り込むように配置されている。この装置内接続用端子217は、上述の隔壁部235に配置された装置内接続用端子215と同様、その中心部即ち正極側及び負極側の溶接部は後端部247に被覆(埋設)されているとともに両端部249についてはそれぞれ対応する電極体ユニット収容凹部227において枠体203外方にはみ出さずに露出している。即ち、この露出した一方の端部249及び他方の端部が、それぞれ、一側面の電極体ユニット収容凹部227及び他の側面の電極体ユニット収容凹部に収容された状態の電極体ユニット207の正極リード部207b及び他側面の電極体ユニットの負極リード部(図示せず)と電気的に接続され得る構成となっている。
【0052】
さらに、図4に示すように、枠体203の外部接続用端部(端面)257において、薄板形状の総負極端子213及び総正極端子220が枠体203の内部において電極体ユニット収容凹部225(図中奥側は図示せず)から外部接続用端部(端面)257に向かって配置されている。この総正極端子220と総負極端子213は、上述の装置内接続用端子215,17と同様、その一端部259は電極体ユニット収容凹部225において枠体203外方にはみ出さずに露出し、他端部263,265は外部接続用端部(端面)257からその前方に引き出されている。かかる形態によって、電極体ユニット収容凹部225に露出した一方の端部259を電極体ユニット収容凹部225に収容された電極体ユニット205の負極リード部205a(図中手前の側面221側)又は正極リード部(図中奥の側面側であって、図示せず)と接続し得、且つ、外部接続用端部(端面)257からその前方に引き出された他方の端部263,265を図示しない外部回路(典型的には電源回路)と接続することができる。また、総正極端子220と総負極端子213は相互にオフセットとなる位置、具体的には一方の側面寄りでやや上方に総正極端子220が露出・配置され、他方の側面221寄りでやや下方に総負極端子213が露出・配置されている。このような水平または鉛直方向に揃わず、互いにずれ(偏差)のある位置に配置されることによって、総正極端子220と総負極端子213との間の距離が大きくなり、これら端子213,220を他の電気回路(端子)と接続する作業が容易となる。
【0053】
そして、各電極体ユニット収容凹部225,227の内部には、収容凹部の底部から装置内接続用端子215,217又は外部接続用端子213,220の収容凹部内露出部位に至る部分(即ち本実施例に係るたるみ防止実行部分)において、上記第一実施例と同様のスロープが形成されている。これにより、第一実施例と同様、各電極体ユニット収容凹部225,227にそれぞれ電極体ユニット205,207を配置・収容した際に当該電極体ユニット205,207の正極リード部205b,207b及び負極リード部205a,207aにおけるたるみ防止対象部分にたるみを発生させることなくほぼ直線状に収容凹部の底部付近から各端子(装置内接続用端子215,217又は外部接続用端子213,220)との接続予定部分まで正極リード部205b,207b及び負極リード部205a,207aを誘導・配置することができる(図2参照)。
【0054】
枠体203の上面271には、第一実施例と同様の底面に向かって窪む排気路275が形成されている。また、上記第一実施例と同様に、排気路275と電極体ユニット収容凹部225,227との間には、それぞれ対応してガス透過孔285,287が形成され、ガス透過孔285,287にはガス透過膜293,295が配置されている。ガスを排出するための排気路275を各電極体ユニット収容凹部225,227(図中奥側は図示せず)でユニット化或いは共通化することによって、排気路275の構成を簡素化し、モジュール自体の省スペース化及び低コスト化を実現することができる。さらに、枠体203の端部257には圧力リリーフ弁297を設けている。また、上記第一実施例と同様に、電極体ユニット収容凹部225,227にそれぞれ対応して、合計4箇所の電解質注入孔299,301(図中奥側は図示せず)が形成されている。
【0055】
さらに、図4に示すように、蓄電モジュール201には、種々の用途の信号線(ここでは電圧検出線)307,309,310(図中奥側は図示せず)が予め枠体203内に埋設された状態で配線されている。各電圧検出線307,309,310の一端は、それぞれ、対応する装置内接続用端子215,217、総負極端子213及び総正極端子220に接続されている。電圧検出線307,309,310の他端は集約され、枠体203の外部接続用端部(端面)257の下部において、総負極端子213及び総正極端子220と同じ方向に並列して引き出されている。これら電圧検出線307,309,310によって、各電極体ユニット205,207(図中奥側は図示せず)の電圧を検知して、各電極体ユニット205,207間の電圧バランスを調整することができる。かかる電圧検出線307,309,310或いはその他の種々の用途の信号線を枠体203に配線(典型的には埋設)することにより、枠体203周囲においてそれら信号線のための余分な配線スペースの確保が不要となるため、より省スペース化に資することができる。
また、これら信号線(ここでは電圧検出線)307,309,310が総正負極端子213,220と同じ向きで、さらに好ましくは同じ端部(端面)に形成されることにより、モジュール201と外部電気回路(外部端子)との接続作業や複数の同型モジュール201を相互に組付ける作業(端子接続作業を含む)を効率よく行うことができる。
【0056】
次に、本蓄電モジュール201の組み立て手順を説明する。本実施例の蓄電モジュール201は、上記第一実施例と同様に製造することができる。即ち、枠体203の各電極体ユニット収容凹部225,227に電極体ユニット205,207をそれぞれ収容する。具体的には、枠体203の側面方向に開口した複数の電極体ユニット収容凹部225,227のそれぞれに、相互に離隔し且つ総正極端子220から総負極端子213に至るまで直列に電気的に接続されるように正しい向きで配列させた状態で、上記構成の捲回型電極体ユニット205,207を計四つ配置・収容する。
本実施例の蓄電モジュール201(枠体203)によれば、各電極体ユニット収容凹部225,227に電極体ユニット205,207を個々に配置・収容することによって、容易に当該電極体ユニット205,207は位置決めされ、且つ、上記スロープの形成によって正負極リード部にたるみを発生させることなく電極体ユニット205,207間を電気的に接続することができる。次いで、四つの電極体ユニット205,207(図中奥側は図示せず)と各接続用端子215,217、又は総正極端子及び総負極端子213,220とを、上記第一実施例と同様にシリーズスポット溶接し、各接続予定部分ごとに計二箇所の溶接部255を形成する。このように、スポット溶接を行うことによって、一側面221(図中奥側は図示せず)ずつ他の側面を背にして電極体ユニット205,207(正負極リード部)を各端子213,215,217,220と溶接することができる。このため、一方の側面221側、続いて他方の側面側(図中奥側)と効率よく溶接作業を行うことができる。例えば、本蓄電モジュール201を量産する場合、製造ライン上で一方の側面を上にして必要箇所にスポット溶接を行い、続いてモジュール(枠体)をひっくり返して他方の側面の必要箇所にスポット溶接を効率よく行うことができる。
尚、他の製造手順(例えばフィルム外装工程、電解質注入工程)については、第一実施例と同様であるために、その説明を省略する。
【0057】
ここで開示される蓄電装置又は蓄電モジュールに搭載される電極体ユニット(ここでは別途電解質を供給して単電池となり得る)の数は、上記第一実施例において一つ又は第二実施例において四つであるが、これに限定されず、所望の電力量に応じて、二つ又三つ或いは四つ以上の電極体ユニットを配置して二次電池その他の蓄電装置(モジュール)を構成することができる。
【0058】
ここで開示される蓄電装置(モジュールを含む)は、種々の付加的構成要素を備えることができる。例えば、電極体ユニットと外部の回路との電気的接続又は蓄電素子相互間の電気的接続を行うためのリード線、タブ端子等を有し得る。これら付加的構成要素の有無やその性状は、従来の蓄電装置と同様でよく、本発明を特徴付けるものではないため詳細な説明は省略する。
【0059】
以上、本発明の好適な実施態様を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した態様を様々に変形、変更したものが含まれる。また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の一実施例に係る蓄電装置(ラミネートフィルム外装前のリチウム二次電池)の構成を模式的に示す側面図である。
【図2】図1の蓄電装置のたるみ防止手段(スロープ状誘導路)を模式的に示すII−II線断面図である。
【図3】たるみ防止手段の一変更例を模式的に示す説明図(断面図)である。
【図4】本発明の一実施例に係る蓄電装置(ラミネートフィルム外装前のリチウム二次電池)の構成を模式的に示す側面図である。
【符号の説明】
【0061】
1,201 蓄電装置
3,203 枠体
5,205,207 電極体ユニット
7 外部接続用正極端子
9 外部接続用負極端子
13,205b,207b 電極体ユニットの正極リード部
15,205a,207a 電極体ユニットの負極リード部
29 スロープ(たるみ防止手段)
32 支持部材(たるみ防止手段)
215,217 装置内接続用端子
213 総負極端子(外部接続用負極端子)
220 総正極端子(外部接続用正極端子)
11,225,227 電極体ユニット収容凹部
55,56,255 溶接部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極及び負極を有するコア部分と該コア部分から外方に出ている正極リード部及び負極リード部とを有する電極体ユニットを少なくとも一つ備える蓄電装置を構築するための枠体であって、
前記電極体ユニットを収容し得る電極体ユニット収容凹部が形成されており、
前記収容凹部の周縁には前記電極体ユニットの正極リード部又は負極リード部と接続され得る一又は二以上の端子がその一部を該収容凹部に露出した状態で保持されており、
前記収容凹部の底部から前記端子の露出部位に至る区域の少なくとも一部には、該収容凹部に前記電極体ユニットが収容された際の前記正極リード部又は負極リード部における前記コア部分から前記端子の露出部位に至る部分のたるみを防止するたるみ防止手段が形成されていることを特徴とする、枠体。
【請求項2】
前記たるみ防止手段として、前記収容凹部に前記電極体ユニットが収容された際の前記正極リード部又は負極リード部における前記コア部分から前記端子の露出部位に至る部分に接触可能に、前記収容凹部の底部から前記端子の露出部位に至る誘導路が形成されている、請求項1に記載の枠体。
【請求項3】
正極及び負極を有するコア部分と該部分から外方に出ている正極リード部及び負極リード部とを有する電極体ユニットを少なくとも一つ備える蓄電装置であって、
前記電極体ユニットを収容し得る電極体ユニット収容凹部が形成されている枠体と、該枠体に保持された端子であって該収容凹部に収容された前記電極体ユニットの正極リード部又は負極リード部と接続される一又は二以上の端子とを有し、
ここで前記枠体の一部であって前記収容凹部の底部から前記端子と前記正極リード部又は負極リード部との接続部位に至る区域の少なくとも一部には、該正極リード部又は負極リード部における前記コア部分から前記端子との接続部位に至る部分のたるみを防止するたるみ防止手段が形成されていることを特徴とする、蓄電装置。
【請求項4】
前記たるみ防止手段として、前記正極リード部又は負極リード部における前記コア部分から前記端子との接続部位に至る部分に接触可能に、前記収容凹部の底部から前記端子と前記正極リード部又は負極リード部との接続部位に至る誘導路が前記枠体に形成されている、請求項3に記載の蓄電装置。
【請求項5】
前記電極体ユニット収容凹部に収容された電極体ユニットは、前記コア部分から相互に近接して外方に出ている複数の正極リード部及び/又は複数の負極リード部を有しており、該複数の正極リード部同士及び/又は該複数の負極リード部同士は、少なくともその先端部において予め一つに束ねられている、請求項3又は4に記載の蓄電装置。
【請求項6】
前記電極体ユニット収容凹部に収容された電極体ユニットの前記一つに束ねられている部分と前記枠体に保持された端子とが溶接によって接続されている、請求項5に記載の蓄電装置。
【請求項7】
蓄電装置に備えられる電極体ユニットであって、
正極及び負極を有するコア部分と該コア部分から相互に近接して外方に出ている複数の正極リード部及び/又は負極リード部とを有し、
該複数の正極リード部同士及び/又は該複数の負極リード部同士は、少なくともその先端部において一つに束ねられており、
ここで前記リード部の前記コア部分から前記束ねられた部分に至る部分が実質的にゆるみがなく張った状態を維持していることを特徴とする、電極体ユニット。
【請求項8】
正極及び負極を有するコア部分と該部分から外方に出ている正極リード部及び負極リード部とを有する電極体ユニットを少なくとも一つ備える蓄電装置であって、
前記電極体ユニットを収容し得る電極体ユニット収容凹部が形成されている枠体と、該枠体に保持された端子であって該収容凹部に収容された前記電極体ユニットの正極リード部又は負極リード部と接続される一又は二以上の端子とを有し、
ここで前記電極体ユニットとして請求項7に記載の電極体ユニットを備えることを特徴とする、蓄電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−164922(P2006−164922A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−358902(P2004−358902)
【出願日】平成16年12月10日(2004.12.10)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】