説明

蓄電装置

【課題】充放電特性が向上した蓄電装置用の電極と、該電極を用いた蓄電装置を提供する。
【解決手段】集電体に、集電体の表面で開口する複数個の空間部分を設ける。また、集電体をグラフェンで覆うことで、急速充放電を容易とし、充放電による集電体の崩壊を防ぐ。充放電特性が向上し、劣化が少ない蓄電装置用の電極と、該電極を用いた蓄電装置を提供することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電装置用の負極、該負極を用いた蓄電装置及びその作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、リチウム二次電池、リチウムイオンキャパシタ、空気電池などの、蓄電装置の開発が行われている。
【0003】
蓄電装置は、正極と負極の2種類の電極を有する。蓄電装置用の負極は、集電体の一表面に活物質を形成することにより作製される。負極活物質としては、例えば炭素またはシリコンなど、キャリアとなるイオン(以下、キャリアイオンと示す。)の吸蔵及び放出が可能な材料が用いられる。例えば、シリコンまたはリンがドープされたシリコンは、炭素に比べ、約4倍のキャリアイオンを吸蔵することが可能であるため、理論容量が大きく、蓄電装置の大容量化という点において優れている。
【0004】
しかしながら、キャリアイオンの吸蔵量が増えると、充放電サイクルにおけるキャリアイオンの吸蔵放出に伴う体積の変化が大きく、集電体及びシリコンの密着性が低下し、充放電により電池特性が劣化してしまうという問題がある。そこで、集電体上に、シリコンからなる層を形成し、該シリコンからなる層上にグラファイトからなる層を設けることで、シリコンからなる層の膨張収縮による電池特性の劣化を低減している(特許文献1参照)。
【0005】
また、シリコンは炭素と比較して電気伝導性が低いため、シリコン粒子の表面をグラファイトで被覆し、当該シリコン粒子を含む活物質層を集電体上に形成することで、活物質層の抵抗率を低減した負極を作製している。
【0006】
一方、近年、半導体装置において、導電性を有する電子部材としてグラフェンを用いることが検討されている。グラフェンとは、sp結合を有する1原子層の炭素分子のシートのことをいう。
【0007】
グラフェンは化学的に安定であり、且つ電気特性が良好であるため、トランジスタのチャネル領域、ビア、配線等、半導体装置への応用に期待されている。また、リチウムイオンバッテリ用の電極材料の導電性を高めるために、粒子状の活物質にグラファイトまたはグラフェンを被覆している(特許文献2参照)。
【0008】
また、複数個の突起が設けられた正極及び負極を用いることで大容量化を図った蓄電装置において、充放電による電極の体積膨張により、電極の間に設けられるセパレータにかかる圧力を低減するため、正極及び負極のそれぞれ突起の先端に絶縁体を設けている(特許文献3乃至5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2001−283834号公報
【特許文献2】特開2011−29184号公報
【特許文献3】特開2010−219030号公報
【特許文献4】特開2010−239122号公報
【特許文献5】特開2010−219392号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、集電体上に設けられたシリコンからなる層をグラファイトからなる層で覆う場合、グラファイトからなる層の厚さがサブミクロンからミクロンと厚くなってしまい、電解質及びシリコンからなる層の間でのキャリアイオンの移動量が低減してしまう。一方、グラファイトに被覆されたシリコン粒子を含む活物質層は、活物質層に含まれるシリコン含有量が低減してしまう。これらの結果、シリコン及びキャリアイオンの反応量が低下してしまい、充放電容量の低下の原因となると共に、蓄電装置の急速充放電が困難である。
【0011】
また、粒子状の活物質をグラフェンで被覆しても、度重なる充放電により生じる体積の膨張及びそれに伴う粒子状の活物質の微粉化を抑制することは困難であった。
【0012】
そこで、本発明の一態様は、充放電容量が大きく、急速充放電が可能であり、且つ充放電による電池特性の劣化が少ない、いわゆる充放電特性が向上した蓄電装置用の負極と、該負極を用いた蓄電装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一態様は、集電体と、集電体上に設けられた、表面で開口する空洞が複数個設けられた活物質層を有することを特徴とする蓄電装置用の負極である。
【0014】
本発明の一態様は、集電体と活物質層を有し、活物質層は、共通部と突出部と複数個の空洞とを有し、共通部は集電体上に設けられ、突出部は共通部から突出した形状を有することを特徴とする蓄電装置用の負極である。
【0015】
本発明の一態様は、活物質層上にマスクを形成した後、活物質層の一部をエッチングして、少なくとも突出部と複数個の空洞を形成し、活物質層上にグラフェンを形成することを特徴とする負極の作製方法である。
【0016】
本発明の一態様は、シリコン基板上にマスクを形成した後、シリコン基板の一部をエッチングして、共通部と突出部と複数個の空洞を形成し、共通部及び突出部上にグラフェンを形成することを特徴とする負極の作製方法である。
【0017】
本発明の一態様は、上記負極を用いることを特徴とする蓄電装置である。
【0018】
本発明の一態様である負極は、活物質層側から見ると、空洞が突出部に囲まれた形状を有する。言い換えると、本発明の一態様である負極は、該負極の上面視において、空洞が活物質層に囲まれた形状を有する。
【0019】
活物質層に複数個の空洞を設けることで、活物質層の充放電における突出部の体積変化による内部応力を緩和し、突出部の剥離や崩壊(微粉化)を防ぐことができる。また、空洞の大きさを、突出部を上面から見た時に、空洞を含む単位面積当たりの空洞の面積が10%以上、好ましくは20%以上となるようにすると、剥離や崩壊を防ぐ効果を高めることが出来る。また、活物質層中に異なる形状や大きさの空洞が混在してもよい。
【0020】
活物質層はシリコンで形成されてもよい。または、活物質層は、リンまたはボロン等の導電性を付与する不純物が添加されたシリコンで形成されてもよい。活物質層は、単結晶シリコン、多結晶シリコン、若しくは非晶質シリコンで形成されてもよい。または、活物質層のうち、共通部が単結晶シリコン若しくは多結晶シリコンで形成され、突出部が非晶質シリコンで形成されてもよい。または、共通部及び突出部の一部が単結晶構造若しくは多結晶構造で形成され、突出部のその他の部分が非晶質構造で形成されてもよい。
【0021】
また、活物質層をグラフェンで覆うことにより、充放電による活物質の剥離や崩壊などの劣化現象を防ぐ効果を高めることが出来る。また、活物質層をグラフェンで覆うことにより、充放電サイクル特性低下の一因であるSEI(Solid Elctrolyte Interface)の増加を抑制することが可能となる。また、グラフェンは導電性が高いため、キャリアイオンの伝導性を高めることができ、活物質とキャリアイオンの反応性を高めることが可能となる。
【0022】
シリコンは炭素と比較すると電気伝導性が低く、また充放電による非晶質化によりさらに電気伝導性が低下するため、シリコンを活物質とする負極は抵抗率が高くなる。しかしながら、グラフェンは導電性が高いため、シリコンをグラフェンで被覆することで、キャリアイオンが通過する場であるグラフェンにおいて電子の移動を十分早くすることができる。また、グラフェンは厚さの薄いシート状であるため、複数個の突起をグラフェンで覆うことで、活物質層に含まれるシリコン量をより多くすることが可能であると共に、キャリアイオンの移動がグラファイトにより容易となる。これらの結果、キャリアイオンの伝導性を高めることができ、活物質であるシリコンとキャリアイオンの反応性を高めることが可能であり、キャリアイオンがシリコンに吸蔵されやすくなる。
【0023】
このため、活物質層がグラフェンで覆われた負極を蓄電装置に用いた場合、高速な充放電が可能となると共に、急速充放電特性に優れ、充放電による劣化が少ない(充放電サイクル特性が向上した)蓄電装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の一態様により、充放電容量が高く、急速充放電が可能であり、且つ充放電による劣化が少ない蓄電装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】負極を説明する図である。
【図2】負極が有する集電体の上面形状を説明する図である。
【図3】負極が有する集電体の上面形状を説明する図である。
【図4】負極が有する集電体の上面形状を説明する図である。
【図5】負極が有する集電体の上面形状を説明する図である。
【図6】負極の構成例を説明する図である。
【図7】負極の構成例を説明する図である。
【図8】負極の作製方法を説明する図である。
【図9】正極の構成例を説明する図である。
【図10】正極の構成例を説明する図である。
【図11】蓄電装置の一例を説明する図である。
【図12】電気機器の一例を説明する図である。
【図13】電気機器の一例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、実施の形態について図面を参照しながら説明する。但し、実施の形態は多くの異なる態様で実施することが可能であり、趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は、以下の実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に示す図面において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0027】
(実施の形態1)
本実施の形態では、充放電による劣化が少なく、充放電サイクル特性が良好な蓄電装置用の負極の構造及びその作製方法の一例について、図1乃至図8を用いて説明する。
【0028】
図1(A)は、負極100の一部を示す斜視図である。図1(B)は、図1(A)中の部位A1−A2における負極100の断面図である。負極100は、集電体101上に活物質層102と、表面で開口する空洞が複数個設けられた活物質層102を有する。また、本実施の形態では、負極100上に、活物質層102を覆うグラフェン103が設けられている。
【0029】
なお、活物質とは、キャリアイオンの吸蔵及び放出に関わる物質を指す。また、活物質層は、活物質の他に、導電助剤、バインダー、グラフェン等のいずれか一以上を有することがある。よって、活物質と活物質層は区別される。
【0030】
また、キャリアイオンとしてリチウムイオンを用いる二次電池をリチウム二次電池という。また、リチウムイオンの代わりに用いることが可能なキャリアイオンとしては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属イオン、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等のアルカリ土類金属イオン、ベリリウムイオン、またはマグネシウムイオン等がある。
【0031】
負極100の構造について、図1(B)を用いて詳細に説明する。集電体101は、ステンレス、金、白金、亜鉛、鉄、アルミニウム、銅、チタン等に代表される金属、及びこれらの合金など、導電性の高い材料を用いることができる。なお、集電体101として、シリコン、チタン、ネオジム、スカンジウム、モリブデンなどの耐熱性を向上させる元素が添加されたアルミニウム合金を用いることが好ましい。また、集電体101として、シリコンと反応してシリサイドを形成する金属元素で形成してもよい。シリコンと反応してシリサイドを形成する金属元素としては、ジルコニウム、チタン、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、コバルト、ニッケル等がある。
【0032】
集電体101は、箔状、板状(シート状)、網状、パンチングメタル状、エキスパンドメタル状等の形状を適宜用いることができる。
【0033】
活物質層102は、共通部102a、共通部102aから突出する突出部102b、及び活物質層102の表面で開口する空洞105を有する。
【0034】
活物質層102としては、キャリアであるイオンの吸蔵放出が可能なシリコン、ゲルマニウム、スズ、アルミニウム等のいずれか一以上を用いる。活物質層102は、CVD法、スパッタリング法、蒸着法等を適宜用いて形成することができる。なお、充放電理論容量が高いため、活物質層102としてシリコンを用いることが好ましい。または、リン、ボロン等の一導電型を付与する不純物元素が添加されたシリコンを用いてもよい。すなわち、n型シリコンまたはp型シリコンを用いてもよい。リン、ボロン等の一導電型を付与する不純物元素が添加されたシリコンは、導電性が高くなるため、負極の導電率を高めることができる。このため、蓄電装置の急速充放電が可能となり、また、充放電特性を高めることができる。
【0035】
共通部102aは、突出部102bの下地層として機能する。また、共通部102aは連続した層であり、共通部102a及び突出部102bは接している。
【0036】
共通部102a及び突出部102bは適宜、単結晶構造または多結晶構造とすることができる。または、共通部102aを単結晶構造または多結晶構造とし、突出部102bを非晶質構造とすることができる。または、共通部102a及び突出部102bの一部を単結晶構造または多結晶構造とし、突出部102bのその他の部分を非晶質構造とすることができる。なお、当該突出部102bの一部とは少なくとも共通部102aと接する領域を含む。
【0037】
図2(A)に、活物質層102が有する突出部102bの上面図を示す。本実施の形態に示す突出部102bは、活物質層102の上面(表面)から見ると六角形の空洞105がマトリクス状に配置された、いわゆるハニカム構造を有している。
【0038】
上面から見た突出部102bの構成は、図2(A)に示したハニカム構造に限らず、トラス構造のような三角形の空洞105がマトリクス状に配置された構造(図2(B)参照)としてもよいし、四角形の空洞105がマトリクス状に配置された格子状の構造(図3(A)参照)としてもよいし、円形の空洞105がマトリクス状に配置された構造(図3(B)参照)としてもよい。
【0039】
なお、上面から見たときの突出部102bが有する空洞105の形状は、図2及び図3に示すような多角形や円形に限らず、図4(A)に示すような一部が窪んだ形状としてもよく、図4(B)に示すような曲線と直線が組み合わさった形状としてもよい。また、異なる形状や大きさの空洞105が混在してもよい。
【0040】
すなわち、本発明の一形態である負極100は、上面から活物質層102を見ると、空洞105が突出部102bで囲まれた形状を有している。活物質層102に複数個の空洞105を設けることで、活物質層102の表面積を増やすことができるため、蓄電装置の急速充放電が可能となり、また、充放電特性を高めることが可能となる。
【0041】
また、複数個の空洞105をマトリクス状(格子状または網状ともいう)に配置することで、突出部102bの幅dを狭くしても、突出部102bの形状を維持しやすくなり、充放電において突出部102bが膨張しても、突出部102bが剥離や崩壊する(微粉化する)ことを防ぐことができる。すなわち、蓄電装置の信頼性を向上することができる。
【0042】
なお、マトリクス状に配置された空洞105の間隔は必ずしも等間隔である必要はなく、空洞105を不規則な間隔で設けても構わない。また、図5(A)及び図5(B)に示すように、活物質層102中にスリット状の空洞105を設けてもよい。また、図5(C)に示すように、活物質層102を横切るように空洞105を設けてもよい。図5(C)に示すように空洞105が設けられた活物質層102を上面から見ると、空洞105は突出部102bに挟まれた構成となる。
【0043】
突出部102bの幅dは、0.1μm以上1μm以下、好ましくは0.2μm以上0.5μm以下である。また、突出部102bの高さhは、0.5μm以上100μm以下、好ましくは1μm以上50μm以下である。また、突出部102bの高さhを突出部102bの幅dで割った値(アスペクト比)は5以上、好ましくは10以上、より好ましくは20以上である。
【0044】
突出部102bの幅dを、0.1μm以上とすることで、充放電容量を高めることが可能であり、1μm以下とすることで、充放電において突起が膨張しても、崩壊することを防ぐことができる。また、突出部102bの高さhを、0.5μm以上とすることで、充放電容量を高めることが可能であり、100μm以下とすることで、充放電において突起が膨張しても、崩壊することを防ぐことができる。また、突出部102bのアスペクト比が大きいほど急速な充放電が可能であり、充放電特性を向上させることができる。
【0045】
ここで、突出部102bの高さhとは、原則として、共通部102a及び突出部102bが接する界面131から突出部102bの先端部分までの長さをいう(図1(B)参照)。また、突出部102bが共通部102aから伸長している方向を長さ方向と呼ぶ。また、突出部102bを上面から見たときに、隣接する二つの空洞105のそれぞれの重心132を結ぶ直線133に沿う方向を幅方向と呼ぶ(図2(A)参照)。また、突出部102bの幅dとは、原則として、共通部102a及び突出部102bが接する界面131から突出部102bの先端部分までにおける、幅方向の最大長さをいう。
【0046】
また、突出部102bを上面から見た時に、空洞105を含む単位面積当たりの空洞105の面積を10%以上、好ましくは20%以上とする。単位面積当たりの空洞105の面積を10%以上とすることで、充放電における突出部102bの体積変化による内部応力を緩和し、突出部102bの剥離や崩壊を防ぐ効果を高めることができる。
【0047】
なお、共通部102a及び突出部102bの界面は明確でない。このため、活物質層102において、活物質層102に形成される谷(空洞105)のうち最も深い谷の底を通り、且つ活物質層102において、突出部102bが形成される面と対向する面と平行な面を、共通部102a及び突出部102bの界面131として定義する。
【0048】
なお、突出部102bの頂部または稜は、鋭角であってもよいし、湾曲していてもよい。図6(A)は、負極100aとして、頂部が鋭角な突出部102bを有する負極の一例を示している。また、図6(B)は、負極100bとして、頂部が湾曲した突出部102bを有する負極の一例を示している。
【0049】
グラフェン103は、導電助剤として機能する。また、グラフェン103は、活物質として機能する場合もある。
【0050】
グラフェン103は、単層グラフェンまたは多層グラフェンを含む。グラフェン103は、長さが数μmのシート状である。
【0051】
単層グラフェンは、sp結合を有する1原子層の炭素分子のシートのことをいい、極めて厚さが薄い。また、炭素で構成される六員環が平面方向に広がっており、一部に、七員環、八員環、九員環、十員環等の、六員環の一部の炭素結合が切断された多員環が形成される。
【0052】
なお、多員環は、炭素及び酸素で構成される場合がある。または、多員環の炭素に酸素が結合する場合がある。グラフェンに酸素を含む場合、六員環の一部の炭素結合が切断され、結合が切断された炭素に酸素が結合し、多員環が形成される。このため、当該炭素及び酸素の結合の内部には、イオンの移動が可能な通路として機能する間隙を有する。すなわち、グラフェンに含まれる酸素の割合が多いほど、イオンの移動が可能な通路である間隙の割合が増加する。
【0053】
なお、グラフェン103に酸素が含まれる場合、酸素の割合は全体の2原子%以上11原子%以下、好ましくは3原子%以上10原子%以下である。酸素の割合が低い程、グラフェンの導電性を高めることができる。また、酸素の割合を高める程、グラフェンにおいてイオンの通路となる間隙をより多く形成することができる。
【0054】
グラフェン103が多層グラフェンの場合、複数個の単層グラフェンで構成され、代表的には、単層グラフェンが2層以上100層以下で構成されるため、極めて厚さが薄い。単層グラフェンが酸素を有することで、グラフェンの層間距離は0.34nmより大0.5nm以下、好ましくは0.38nm以上0.42nm以下、更に好ましくは0.39nm以上0.41nm以下となる。通常のグラファイトは、単層グラフェンの層間距離が0.34nmであり、グラフェン103の方が層間距離が長いため、単層グラフェンの表面と平行な方向におけるイオンの移動が容易となる。また、酸素を含み、多員環が構成される単層グラフェンまたは多層グラフェンで構成され、所々に間隙を有する。このため、グラフェン103が多層グラフェンの場合、単層グラフェンの表面と平行な方向、即ち単層グラフェン同士の隙間と共に、グラフェンの表面に対する垂直方向、即ち単層グラフェンそれぞれに設けられる間隙の間をイオンが移動することが可能である。
【0055】
負極の活物質として、シリコンを用いることで、グラファイトを活物質として用いた場合と比較して、理論吸蔵容量が大きいため、蓄電装置の小型化につながる。
【0056】
また、負極100の活物質層102において共通部102aから突出部102bが突出しているため、板状の活物質に比べて表面積が広い。また、活物質層102には複数個の空洞105が設けられており、さらに、活物質層102をグラフェンが覆うため、充電により活物質層102が膨張しても、活物質の剥離や崩落を防ぐことができる。このため、本実施の形態で開示する負極100を蓄電装置に用いた場合、高速な充放電が可能となると共に、充放電による活物質の剥離や崩壊を抑制でき、充放電による劣化が少なくサイクル特性がさらに向上した信頼性の高い蓄電装置を作製することができる。
【0057】
また、蓄電装置において、活物質層102の表面が電解質と接触することにより、電解質及び活物質が反応し、活物質の表面に被膜が形成される。当該被膜はSEI(Solid Elctrolyte Interface)と呼ばれ、活物質と電解質の反応を緩和し、安定化させるために必要であると考えられている。しかしながら、当該被膜が厚くなると、キャリアイオンが活物質に吸蔵されにくくなり、活物質と電解質間のキャリアイオン伝導性の低下、電解質の消耗などの問題がある。
【0058】
活物質層102をグラフェン103で被覆することで、当該被膜の膜厚の増加を抑制することが可能であり、キャリアイオン伝導性の低下、電解質の消耗を抑制することができる。
【0059】
また、グラフェンは導電性が高いため、シリコンをグラフェンで被覆することで、グラフェンにおいて電子の移動を十分早くすることができる。また、グラフェンは厚さの薄いシート状であるため、複数個の突起をグラフェンで覆うことで、活物質層102に含まれる活物質量をより多くすることが可能であると共に、キャリアイオンの移動がグラファイトより容易となる。これらの結果、キャリアイオンの伝導性を高めることができ、活物質であるシリコン及びキャリアイオンの反応性を高めることが可能であり、キャリアイオンが活物質に吸蔵されやすくなる。このため、当該負極を用いた蓄電装置において、急速充放電が可能である。
【0060】
なお、活物質層102とグラフェン103の間に、酸化シリコン層(図示せず)を有してもよい。活物質層102上に酸化シリコン層を設けることで、蓄電装置の充電時に酸化シリコン中にキャリアであるイオンが挿入される。この結果、LiSiO、NaSiO、KSiO等のアルカリ金属シリケート、CaSiO、ScSiO、BaSiO等のアルカリ土類金属シリケート、BeSiO、MgSiO等のシリケート化合物が形成される。これらのシリケート化合物は、キャリアイオンの移動パスとして機能する。また、酸化シリコン層を有することで、活物質層102の膨張を抑制することができる。これらのため、放電容量を維持しつつ、活物質層102の剥離や崩壊を抑えることができる。なお、充電の後、放電しても、酸化シリコン層において形成されたシリケート化合物から、キャリアイオンとなる金属イオンは全て放出されず、一部残存するため、酸化シリコン層は、酸化シリコン及びシリケート化合物の混合層となる。
【0061】
また、当該酸化シリコン層の厚さは2nm以上10nm以下とすることが好ましい。酸化シリコン層の厚さを2nm以上とすることで、充放電による活物質層102の膨張を緩和することができる。また、酸化シリコン層の厚さ10nm以下であると、キャリアとなるイオンの移動が容易であり、放電容量の低下を妨げることができる。酸化シリコン層を活物質層102上に設けることで、充放電における活物質層102の膨張及び収縮を緩和し、活物質層102の剥離や崩壊を抑制することができる。
【0062】
また、図7(A)に示す負極100cのように、活物質層102に含まれる突出部102bの頂部とグラフェン103の間に、保護層106を設けてもよい。
【0063】
保護層106は、導電層、半導体層、または絶縁層を適宜用いることができる。保護層106の厚さは100nm以上10μm以下が好ましい。なお、活物質層102と比較してエッチング速度の遅い材料を用いて保護層106を形成することで、保護層106を、空洞105を形成する際のハードマスクとして機能させることができる。
【0064】
なお、図7(B)に示す負極100dのように、集電体101上に、共通部102aを有さず、複数個の空洞105を有する活物質層102が設けられ、集電体101及び活物質層102上にグラフェン103が形成されてもよい。
【0065】
グラフェン103は集電体101の一部と接するため、グラフェン103において電子が流れやすくなり、キャリアイオン及びシリコンの反応性を高めることができる。
【0066】
また、図7(C)に示す負極100eのように、共通部102aを集電体101として用いることもできる。共通部102aを集電体101として用いることで、負極の生産性を高めることができる。すなわち、該負極を用いた蓄電装置の生産性を高めることが出来る。
【0067】
次に、負極100の作製方法について、図8に示す断面図を用いて説明する。
【0068】
まず、集電体101上に活物質層102を形成する。集電体101及び活物質層102としては、前述の材料を用いることができる。本実施の形態では、集電体101としてシート状のチタンを用いる。また、本実施の形態では、集電体101上に、活物質層102となるシリコン層210をCVD法により形成する。
【0069】
次に、レジストマスク208を用いて、シリコン層210の一部をエッチングして、共通部102a、突出部102b、及び空洞105を有する活物質層102を形成する(図8(B)参照)。
【0070】
レジストマスク208は、フォトリソグラフィ法により形成することができる。また、レジストマスク208は、フォトリソグラフィ法以外にも、インクジェット法、印刷法等を用いて形成することができる。
【0071】
シリコン層210のエッチング方法としては、ドライエッチング法、ウエットエッチング法を適宜用いることができる。なお、ドライエッチング法でも、ボッシュ法を用いることで、高さの高い突出部を形成することができる。
【0072】
例えば、ICP(Inductively Coupled Plasma:誘導結合型プラズマ)装置を用い、エッチングガスとして塩素、臭化水素、及び酸素を用いて、シリコン層210の一部をエッチングすることで、共通部102a及び複数個の突出部102bを有する活物質層102を形成することができる。なお、ここでは、共通部102aが残存するように、エッチング時間を調整する。また、エッチングガスの流量比は適宜調整すればよいが、エッチングガスの流量比の一例として、塩素、臭化水素、及び酸素それぞれの流量比を10:15:3とすることができる。
【0073】
エッチング終了後レジストマスク208を除去し、集電体101上に、表面で開口する空洞が複数個設けられた活物質層102を有する負極100を作製することができる。次に、活物質層102上に、グラフェン103を形成する。
【0074】
グラフェン103の形成方法としては、活物質層102上にニッケル、鉄、金、銅またはそれらを含む合金を核として形成した後、メタンまたはアセチレン等の炭化水素を含む雰囲気で核からグラフェンを成長させる気相法がある。また、酸化グラフェンを含む分散液を用いて、活物質202の表面に酸化グラフェン設けた後、酸化グラフェンを還元し、グラフェンとする液相法がある。
【0075】
酸化グラフェンを含む分散液は、酸化グラフェンを溶媒に分散させる方法、溶媒中でグラファイトを酸化した後、酸化グラファイトを酸化グラフェンに分離して、酸化グラフェンを含む分散液を形成する方法等がある。ここでは、グラファイトを酸化した後、酸化グラファイトを酸化グラフェンに分離して形成した酸化グラフェンを含む分散液を用いて、活物質層102上にグラフェン103を形成する方法について説明する。
【0076】
本実施の形態では、Hummers法と呼ばれる酸化法を用いて酸化グラフェンを形成する。Hummers法は、単結晶グラファイト粉末に過マンガン酸カリウムの硫酸溶液、過酸化水素水等を加えて酸化反応させて酸化グラファイトを含む混合液を形成する。酸化グラファイトは、グラファイトの炭素の酸化により、エポキシ基、カルボニル基、カルボキシル基、ヒドロキシル基等の官能基を有する。このため、複数個のグラフェンの層間距離がグラファイトと比較して長い。次に、酸化グラファイトを含む混合液に超音波振動を加えることで、層間距離の長い酸化グラファイトを劈開し、酸化グラフェンを分離することができると共に、酸化グラフェンを含む分散液を形成することができる。なお、Hummers法以外の酸化グラフェンの形成方法を適宜用いることができる。
【0077】
なお、酸化グラフェンは、エポキシ基、カルボニル基、カルボキシル基、ヒドロキシル基等を有する。これらの置換基は極性が高いため、極性を有する液体中において、異なる酸化グラフェン同士は分散しやすい。特にカルボキシル基を有する場合は水素が電離するため、酸化グラフェンはイオン化し、より分散しやすい。このため、後の工程において、活物質層102の表面に均一な割合で酸化グラフェンを設けることができる。また、活物質層102の表面に酸化シリコンを有する場合においても、表面に均一な割合で酸化グラフェンを設けることができる。
【0078】
酸化グラフェンを含む分散液に活物質層102を浸し、活物質層102上に酸化グラフェンを設ける方法としては、塗布法、スピンコート法、ディップ法、スプレー法、電気泳動法等がある。また、これらの方法を複数組み合わせてもよい。なお、電気泳動法を用いると、イオン化した酸化グラフェンを電気的に活物質まで移動させることができるため、共通部及び複数個の突起の接する領域にまで酸化グラフェンを設けることが可能である。このため、複数個の突起の高さが高い場合でも、共通部及び複数個の突起の表面に均一に酸化グラフェン設けることができる。
【0079】
活物質層102上に設けられた酸化グラフェンを還元する方法としては、真空中あるいは不活性ガス(窒素あるいは希ガス等)中等の雰囲気で、150℃以上、好ましくは200℃以上の温度、活物質202が耐えうる温度以下で加熱する方法がある。加熱する温度が高い程、また、加熱する時間が長いほど、酸化グラフェンが還元されやすく、純度の高い(すなわち、炭素以外の元素の濃度の低い)グラフェンが得られる。または、還元性溶液に浸し、酸化グラフェンを還元する方法がある。
【0080】
なお、Hummers法では、グラファイトを硫酸で処理するため、酸化グラファイトは、スルホン基等も結合しているが、この分解(脱離)は、300℃前後で開始する。したがって、加熱により酸化グラファイトを還元する方法において、酸化グラフェンの還元は300℃以上で行うことが好ましい。
【0081】
上記還元処理において、隣接するグラフェン同士が結合し、より巨大な網目状あるはシート状となる。また、当該還元処理において、酸素の脱離により、グラフェン内には間隙が形成される。更には、グラフェン同士が基体の表面に対して、平行に重なり合う。この結果、グラフェンの層間及びグラフェン内の間隙においてイオンの移動が可能なグラフェンが形成される。このようにして、活物質層102上にグラフェンが設けられた負極100を形成することができる(図8(C)参照)。
【0082】
なお、シリコン層210上に保護層を形成し、当該保護層上にレジストマスク208を形成し、当該レジストマスク208を用いて、分離された保護層106(図7(A)参照。)を形成した後、当該レジストマスク208及び分離された保護層をマスクとしてシリコン層210の一部を選択的にエッチングすることで、図7(A)に示す負極100cを形成することができる。
【0083】
このとき、突出部102bの高さが高い場合、即ちエッチング時間が長い場合、エッチング工程においてレジストマスクの厚さが徐々に薄くなり、一部のレジストマスクが除去され、シリコン層210が露出されてしまう。この結果、突出部102bの高さにばらつきが生じるが、分離された保護層106をハードマスクとして用いることで、シリコン層210の露出を妨げることが可能であり、突出部102bの高さのばらつきを低減することができる。
【0084】
また、単結晶シリコン基板または多結晶シリコン基板の一部をエッチングして突出部102bを形成することで、図7(C)に示す負極100cを形成することができる。シリコン基板は、リンが添加されたn型シリコン基板、ボロンが添加されたp型シリコン基板を用いることで、共通部102aを集電体101として用いることができる。
【0085】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0086】
(実施の形態2)
本実施の形態では、蓄電装置の構造及び作製方法の一例について説明する。
【0087】
はじめに、正極及びその作製方法の一例について説明する。
【0088】
図9(A)は正極311の断面図である。正極311は、正極集電体307上に正極活物質層309が形成される。
【0089】
正極集電体307は、白金、アルミニウム、銅、チタン、ステンレス等の導電性の高い材料を用いることができる。また、正極集電体307は、箔状、板状、網状等の形状を適宜用いることができる。
【0090】
正極活物質層309は、LiFeO、LiCoO、LiNiO、LiMn、V、Cr、MnO等のリチウム化合物を材料として用いることができる。
【0091】
または、オリビン型構造のリチウム含有複合酸化物(一般式LiMPO(Mは、Fe(II),Mn(II),Co(II),Ni(II)の一以上)を用いることができる。一般式LiMPOの代表例としては、LiFePO、LiNiPO、LiCoPO、LiMnPO、LiFeNiPO、LiFeCoPO、LiFeMnPO、LiNiCoPO、LiNiMnPO(a+bは1以下、0<a<1、0<b<1)、LiFeNiCoPO、LiFeNiMnPO、LiNiCoMnPO(c+d+eは1以下、0<c<1、0<d<1、0<e<1)、LiFeNiCoMnPO(f+g+h+iは1以下、0<f<1、0<g<1、0<h<1、0<i<1)等のリチウム化合物を材料として用いることができる。
【0092】
または、一般式Li(2−j)MSiO(Mは、Fe(II),Mn(II),Co(II),Ni(II)の一以上、0≦j≦2)等のリチウム含有複合酸化物を用いることができる。一般式Li(2−j)MSiOの代表例としては、Li(2−j)FeSiO、Li(2−j)NiSiO、Li(2−j)CoSiO、Li(2−j)MnSiO、Li(2−j)FeNiSiO、Li(2−j)FeCoSiO、Li(2−j)FeMnSiO、Li(2−j)NiCoSiO、Li(2−j)NiMnSiO(k+lは1以下、0<k<1、0<l<1)、Li(2−j)FeNiCoSiO、Li(2−j)FeNiMnSiO、Li(2−j)NiCoMnSiO(m+n+qは1以下、0<m<1、0<n<1、0<q<1)、Li(2−j)FeNiCoMnSiO(r+s+t+uは1以下、0<r<1、0<s<1、0<t<1、0<u<1)等のリチウム化合物を材料として用いることができる。
【0093】
なお、キャリアイオンが、リチウムイオン以外のアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、ベリリウムイオン、またはマグネシウムイオンの場合、正極活物質層309として、上記リチウム化合物及びリチウム含有複合酸化物において、リチウムの代わりに、アルカリ金属(例えば、ナトリウムやカリウム等)、アルカリ土類金属(例えば、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等)、ベリリウム、またはマグネシウムを用いてもよい。
【0094】
図9(B)は、正極活物質層309として、キャリアイオンの吸蔵放出が可能な粒子状の正極活物質321と、当該正極活物質321の複数を覆いつつ、当該正極活物質321が内部に詰められたグラフェン323で構成される正極活物質層309の平面図である。複数個の正極活物質321の表面を異なるグラフェン323が覆う。また、一部において、正極活物質321が露出していてもよい。なお、グラフェン323は、実施の形態1に示すグラフェン204を適宜用いることができる。
【0095】
正極活物質321の粒径は、20nm以上100nm以下が好ましい。なお、正極活物質321内を電子が移動するため、正極活物質321の粒径はより小さい方が好ましい。
【0096】
また、正極活物質321の表面にグラファイト層が被覆されていなくとも十分な特性が得られるが、グラファイト層が被覆されている正極活物質とグラフェンを共に用いると、キャリアが正極活物質間をホッピングし、電流が流れるためより好ましい。
【0097】
図9(C)は、図9(B)の正極活物質層309の一部における断面図である。正極活物質321、及び該正極活物質321を覆うグラフェン323を有する。グラフェン323は断面図においては線状で観察される。同一のグラフェンまたは複数個のグラフェンにより、複数個の正極活物質を内包する。即ち、同一のグラフェンまたは複数個のグラフェンの間に、複数個の正極活物質が内在する。なお、グラフェンは袋状になっており、該内部において、複数個の正極活物質を内包する場合がある。また、グラフェンに覆われず、一部の正極活物質が露出している場合がある。
【0098】
正極活物質層309の厚さは、20μm以上100μm以下の間で所望の厚さを選択する。なお、クラックや剥離が生じないように、正極活物質層309の厚さを適宜調整することが好ましい。
【0099】
なお、正極活物質層309には、グラフェンの体積の0.1倍以上10倍以下のアセチレンブラック粒子や1次元の拡がりを有するカーボン(カーボンナノファイバー等)、公知のバインダーを有してもよい。
【0100】
なお、正極活物質においては、キャリアとなるイオンの吸蔵により体積が膨張するものがある。このため、充放電により、正極活物質層が脆くなり、正極活物質層の一部が崩落してしまい、この結果蓄電装置の信頼性が低下する。しかしながら、正極活物質が充放電により体積膨張しても、当該周囲をグラフェンが覆うため、グラフェンは正極活物質の分散や正極活物質層の崩落を妨げることが可能である。即ち、グラフェンは、充放電にともない正極活物質の体積が増減しても、正極活物質同士の結合を維持する機能を有する。
【0101】
また、グラフェン323は、複数個の正極活物質と接しており、導電助剤としても機能する。また、キャリアイオンの吸蔵放出が可能な正極活物質321を保持する機能を有する。このため、正極活物質層当たりの正極活物質量を増加させることが可能であり、蓄電装置の放電容量を高めることができる。
【0102】
次に、正極活物質層309の作製方法について説明する。
【0103】
粒子状の正極活物質及び酸化グラフェンを含むスラリーを形成する。次に、正極集電体上に、当該スラリーを塗布した後、実施の形態1に示すグラフェンの作製方法と同様に、還元雰囲気での加熱により還元処理を行って、正極活物質を焼成すると共に、酸化グラフェンに含まれる酸素を脱離させ、グラフェンに間隙を形成する。なお、酸化グラフェンに含まれる酸素は全て還元されず、一部の酸素はグラフェンに残存する。以上の工程により、正極集電体307上に正極活物質層309を形成することができる。この結果、正極活物質層の導電性が高まる。
【0104】
酸化グラフェンは酸素を含むため、極性溶媒中では負に帯電する。この結果、酸化グラフェンは互いに分散する。このため、スラリーに含まれる正極活物質が凝集しにくくなり、焼成による正極活物質の粒径の増大を低減することができる。このため、正極活物質内の電子の移動が容易となり、正極活物質層の導電性を高めることができる。
【0105】
なお、図10に示すように、正極311の表面にスペーサ331を設けてもよい。図10(A)はスペーサを有する正極の斜視図であり、図10(A)の一点波線B1−B2の断面図を図10(B)に示す。
【0106】
図10(A)及び図10(B)に示すように、正極311は、正極集電体307上に正極活物質層309が設けられる。また、正極活物質層309上にスペーサ331が設けられる。
【0107】
スペーサ331は、絶縁性を有し、且つ電解質と反応しない材料を用いて形成することが可能であり、代表的には、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド、ポリアミド、の有機材料、ガラスペースト、ガラスフリット、ガラスリボン等の低融点ガラスを用いることができる。スペーサ331を正極311上に設けることで、後に形成する蓄電装置において、セパレータが不要である。この結果、蓄電装置の部品数を削減することが可能であり、コストを削減できる。
【0108】
スペーサ331は、平面形状を格子状、円または多角形の閉ループ状等の、一部の正極活物質層309を露出させる形状とすることが好ましい。この結果、正極及び負極の接触を防ぐと共に、正極及び負極の間のキャリアイオンの移動を促すことができる。
【0109】
スペーサ331の厚さは、1μm以上5μm以下、好ましくは2μm以上3μmとすることが好ましい。この結果、従来の蓄電装置のように、正極及び負極の間に厚さ数十μmのセパレータを設けた場合と比較して、正極及び負極の間隔を狭めることが可能であり、正極及び負極の間のキャリアイオンの移動距離を短くできる。このため、蓄電装置内に含まれるキャリアイオンを充放電に有効活用できる。
【0110】
スペーサ331は、印刷法、インクジェット法等を適宜用いて形成することができる。
【0111】
次に、蓄電装置の構造及び作製方法について説明する。
【0112】
本実施の形態の蓄電装置の代表例であるリチウム二次電池の一形態について図11を用いて説明する。ここでは、リチウム二次電池の断面構造について、以下に説明する。
【0113】
図11は、リチウム二次電池の断面図である。
【0114】
リチウム二次電池400は、負極集電体401及び負極活物質層403で構成される負極405と、正極集電体407及び正極活物質層409で構成される正極411と、負極405及び正極411で挟持されるセパレータ413とで構成される。なお、セパレータ413中には電解質415が含まれる。また、負極集電体401は外部端子417と接続し、正極集電体407は外部端子419と接続する。外部端子419の端部はガスケット421に埋没されている。即ち、外部端子417、419は、ガスケット421によって絶縁化されている。
【0115】
負極405は、実施の形態1に示す負極を適宜用いて形成すればよい。
【0116】
正極集電体407及び正極活物質層409はそれぞれ、本実施の形態に示す正極集電体307及び正極活物質層309を適宜用いることができる。
【0117】
セパレータ413は、絶縁性の多孔体を用いる。セパレータ413の代表例としては、セルロース(紙)、ポリエチレン、ポリプロピレン等がある。
【0118】
なお、正極411として、図10に示すように、正極活物質層上にスペーサを有する正極を用いる場合は、セパレータ413を設けなくともよい。
【0119】
電解質415の溶質は、キャリアイオンを移送可能で、且つキャリアイオンが安定に存在する材料を用いる。電解質の溶質の代表例としては、LiClO、LiAsF、LiBF、LiPF、Li(CSON等のリチウム塩がある。
【0120】
なお、キャリアイオンが、リチウムイオン以外のアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、ベリリウムイオン、またはマグネシウムイオンの場合、電解質415の溶質として、上記リチウム塩において、リチウムの代わりに、アルカリ金属(例えば、ナトリウムやカリウム等)、アルカリ土類金属(例えば、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等)、ベリリウム、またはマグネシウムを用いてもよい。
【0121】
また、電解質415の溶媒としては、キャリアイオンの移送が可能な材料を用いる。電解質415の溶媒としては、非プロトン性有機溶媒が好ましい。非プロトン性有機溶媒の代表例としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、γーブチロラクトン、アセトニトリル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン等があり、これらの一つまたは複数を用いることができる。また、電解質415の溶媒としてゲル化される高分子材料を用いることで、漏液性を含めた安全性が高まる。また、リチウム二次電池400の薄型化及び軽量化が可能である。ゲル化される高分子材料の代表例としては、シリコンゲル、アクリルゲル、アクリロニトリルゲル、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、フッ素系ポリマー等がある。また、電解質415の溶媒として、難燃性及び難揮発性であるイオン液体(常温溶融塩)を一つまたは複数用いることで、蓄電装置の内部短絡や、過充電等によって内部温度が上昇しても、蓄電装置の破裂や発火などを防ぐことができる。
【0122】
また、電解質415として、LiPO等の固体電解質を用いることができる。
【0123】
外部端子417、419は、ステンレス鋼板、アルミニウム板なとの金属部材を適宜用いることができる。
【0124】
なお、本実施の形態では、リチウム二次電池400として、ボタン型リチウム二次電池を示したが、封止型リチウム二次電池、円筒型リチウム二次電池、角型リチウム二次電池等様々な形状のリチウム二次電池を用いることができる。また、正極、負極、及びセパレータが複数積層された構造、正極、負極、及びセパレータが捲回された構造であってもよい。
【0125】
次に、本実施の形態に示すリチウム二次電池400の作製方法について説明する。
【0126】
実施の形態1及び本実施の形態に示す作製方法により、適宜、負極405及び正極411を作製する。
【0127】
次に、負極405、セパレータ413、及び正極411を電解質415に含浸させる。次に、外部端子417に、負極405、セパレータ413、ガスケット421、正極411、及び外部端子419の順に積層し、「コインかしめ機」で外部端子417及び外部端子419をかしめてコイン型のリチウム二次電池を作製することができる。
【0128】
なお、外部端子417及び負極405の間、または外部端子419及び正極411の間に、スペーサ、及びワッシャを入れて、外部端子417及び負極405の接続、並びに外部端子419及び正極411の接続をより高めてもよい。
【0129】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0130】
(実施の形態3)
本発明の一態様に係る蓄電装置は、電力により駆動する様々な電気機器の電源として用いることができる。
【0131】
本発明の一態様に係る蓄電装置を用いた電気機器の具体例として、表示装置、照明装置、デスクトップ型或いはノート型のパーソナルコンピュータ、DVD(Digital Versatile Disc)などの記録媒体に記憶された静止画または動画を再生する画像再生装置、携帯電話、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、電子書籍、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、電子レンジ等の高周波加熱装置、電気炊飯器、電気洗濯機、エアコンディショナーなどの空調設備、電気冷蔵庫、電気冷凍庫、電気冷凍冷蔵庫、DNA保存用冷凍庫、透析装置などが挙げられる。また、蓄電装置からの電力を用いて電動機により推進する移動体なども、電気機器の範疇に含まれるものとする。上記移動体として、例えば、電気自動車、内燃機関と電動機を併せ持った複合型自動車(ハイブリッドカー)、電動アシスト自転車を含む原動機付自転車などが挙げられる。
【0132】
なお、上記電気機器は、消費電力の殆ど全てを賄うための蓄電装置(主電源と呼ぶ)として、本発明の一態様に係る蓄電装置を用いることができる。或いは、上記電気機器は、上記主電源や商用電源からの電力の供給が停止した場合に、電気機器への電力の供給を行うことができる蓄電装置(無停電電源と呼ぶ)として、本発明の一態様に係る蓄電装置を用いることができる。或いは、上記電気機器は、上記主電源や商用電源からの電気機器への電力の供給と並行して、電気機器への電力の供給を行うための蓄電装置(補助電源と呼ぶ)として、本発明の一態様に係る蓄電装置を用いることができる。
【0133】
図12に、上記電気機器の具体的な構成を示す。図12において、表示装置5000は、本発明の一態様に係る蓄電装置5004を用いた電気機器の一例である。具体的に、表示装置5000は、TV放送受信用の表示装置に相当し、筐体5001、表示部5002、スピーカー部5003、蓄電装置5004等を有する。本発明の一態様に係る蓄電装置5004は、筐体5001の内部に設けられている。表示装置5000は、商用電源から電力の供給を受けることもできるし、蓄電装置5004に蓄積された電力を用いることもできる。よって、停電などにより商用電源から電力の供給が受けられない時でも、本発明の一態様に係る蓄電装置5004を無停電電源として用いることで、表示装置5000の利用が可能となる。
【0134】
表示部5002には、液晶表示装置、有機EL素子などの発光素子を各画素に備えた発光装置、電気泳動表示装置、DMD(Digital Micromirror Device)、PDP(Plasma Display Panel)、FED(Field Emission Display)などの、半導体表示装置を用いることができる。
【0135】
なお、表示装置には、TV放送受信用の他、パーソナルコンピュータ用、広告表示用など、全ての情報表示用表示装置が含まれる。
【0136】
図12において、据え付け型の照明装置5100は、本発明の一態様に係る蓄電装置5103を用いた電気機器の一例である。具体的に、照明装置5100は、筐体5101、光源5102、蓄電装置5103等を有する。図12では、蓄電装置5103が、筐体5101及び光源5102が据え付けられた天井5104の内部に設けられている場合を例示しているが、蓄電装置5103は、筐体5101の内部に設けられていても良い。照明装置5100は、商用電源から電力の供給を受けることもできるし、蓄電装置5103に蓄積された電力を用いることもできる。よって、停電などにより商用電源から電力の供給が受けられない時でも、本発明の一態様に係る蓄電装置5103を無停電電源として用いることで、照明装置5100の利用が可能となる。
【0137】
なお、図12では天井5104に設けられた据え付け型の照明装置5100を例示しているが、本発明の一態様に係る蓄電装置は、天井5104以外、例えば側壁5105、床5106、窓5107等に設けられた据え付け型の照明装置に用いることもできるし、卓上型の照明装置などに用いることもできる。
【0138】
また、光源5102には、電力を利用して人工的に光を得る人工光源を用いることができる。具体的には、白熱電球、蛍光灯などの放電ランプ、LEDや有機EL素子などの発光素子が、上記人工光源の一例として挙げられる。
【0139】
図12において、室内機5200及び室外機5204を有するエアコンディショナーは、本発明の一態様に係る蓄電装置5203を用いた電気機器の一例である。具体的に、室内機5200は、筐体5201、送風口5202、蓄電装置5203等を有する。図12では、蓄電装置5203が、室内機5200に設けられている場合を例示しているが、蓄電装置5203は室外機5204に設けられていても良い。或いは、室内機5200と室外機5204の両方に、蓄電装置5203が設けられていても良い。エアコンディショナーは、商用電源から電力の供給を受けることもできるし、蓄電装置5203に蓄積された電力を用いることもできる。特に、室内機5200と室外機5204の両方に蓄電装置5203が設けられている場合、停電などにより商用電源から電力の供給が受けられない時でも、本発明の一態様に係る蓄電装置5203を無停電電源として用いることで、エアコンディショナーの利用が可能となる。
【0140】
なお、図12では、室内機と室外機で構成されるセパレート型のエアコンディショナーを例示しているが、室内機の機能と室外機の機能とを1つの筐体に有する一体型のエアコンディショナーに、本発明の一態様に係る蓄電装置を用いることもできる。
【0141】
図12において、電気冷凍冷蔵庫5300は、本発明の一態様に係る蓄電装置5304を用いた電気機器の一例である。具体的に、電気冷凍冷蔵庫5300は、筐体5301、冷蔵室用扉5302、冷凍室用扉5303、蓄電装置5304等を有する。図12では、蓄電装置5304が、筐体5301の内部に設けられている。電気冷凍冷蔵庫5300は、商用電源から電力の供給を受けることもできるし、蓄電装置5304に蓄積された電力を用いることもできる。よって、停電などにより商用電源から電力の供給が受けられない時でも、本発明の一態様に係る蓄電装置5304を無停電電源として用いることで、電気冷凍冷蔵庫5300の利用が可能となる。
【0142】
なお、上述した電気機器のうち、電子レンジ等の高周波加熱装置、電気炊飯器などの電気機器は、短時間で高い電力を必要とする。よって、商用電源では賄いきれない電力を補助するための補助電源として、本発明の一態様に係る蓄電装置を用いることで、電気機器の使用時に商用電源のブレーカーが落ちるのを防ぐことができる。
【0143】
また、電気機器が使用されない時間帯、特に、商用電源の供給元が供給可能な総電力量のうち、実際に使用される電力量の割合(電力使用率と呼ぶ)が低い時間帯において、蓄電装置に電力を蓄えておくことで、上記時間帯以外において電力使用率が高まるのを抑えることができる。例えば、電気冷凍冷蔵庫5300の場合、気温が低く、冷蔵室用扉5302、冷凍室用扉5303の開閉が行われない夜間において、蓄電装置5304に電力を蓄える。そして、気温が高くなり、冷蔵室用扉5302、冷凍室用扉5303の開閉が行われる昼間において、蓄電装置5304を補助電源として用いることで、昼間の電力使用率を低く抑えることができる。
【0144】
次に、電気機器の一例である携帯情報端末について、図13を用いて説明する。
【0145】
図13(A)及び図13(B)は2つ折り可能なタブレット型端末である。図13(A)は、開いた状態であり、タブレット型端末は、筐体9630、表示部9631a、表示部9631b、表示モード切り替えスイッチ9034、電源スイッチ9035、省電力モード切り替えスイッチ9036、留め具9033、操作スイッチ9038、を有する。
【0146】
表示部9631aは、一部をタッチパネルの領域9632aとすることができ、表示された操作キー9638にふれることでデータ入力をすることができる。なお、表示部9631aにおいては、一例として半分の領域が表示のみの機能を有する構成、もう半分の領域がタッチパネルの機能を有する構成を示しているが該構成に限定されない。表示部9631aの全ての領域がタッチパネルの機能を有する構成としても良い。例えば、表示部9631aの全面をキーボードボタン表示させてタッチパネルとし、表示部9631bを表示画面として用いることができる。
【0147】
また、表示部9631bにおいても表示部9631aと同様に、表示部9631bの一部をタッチパネルの領域9632bとすることができる。また、タッチパネルのキーボード表示切り替えボタン9639が表示されている位置に指やスタイラスなどでふれることで表示部9631bにキーボードボタン表示することができる。
【0148】
また、タッチパネルの領域9632aとタッチパネルの領域9632bに対して同時にタッチ入力することもできる。
【0149】
また、表示モード切り替えスイッチ9034は、縦表示または横表示などの表示の向きを切り替え、白黒表示やカラー表示の切り替えなどを選択できる。省電力モード切り替えスイッチ9036は、タブレット型端末に内蔵している光センサで検出される使用時の外光の光量に応じて表示の輝度を最適なものとすることができる。タブレット型端末は光センサだけでなく、ジャイロ、加速度センサ等の傾きを検出するセンサなどの他の検出装置を内蔵させてもよい。
【0150】
また、図13(A)では表示部9631bと表示部9631aの表示面積が同じ例を示しているが特に限定されず、一方のサイズともう一方のサイズが異なっていてもよく、表示の品質も異なっていてもよい。例えば一方が他方よりも高精細な表示を行える表示パネルとしてもよい。
【0151】
図13(B)は、閉じた状態であり、タブレット型端末は、筐体9630、太陽電池9633、充放電制御回路9634、バッテリー9635、DCDCコンバータ9636を有する。なお、図13(B)では充放電制御回路9634の一例としてバッテリー9635、DCDCコンバータ9636を有する構成について示しており、バッテリー9635は、上記実施の形態で説明した蓄電装置を有している。
【0152】
なお、タブレット型端末は2つ折り可能なため、未使用時に筐体9630を閉じた状態にすることができる。従って、表示部9631a、表示部9631bを保護できるため、耐久性に優れ、長期使用の観点からも信頼性の優れたタブレット型端末を提供できる。
【0153】
また、この他にも図13(A)及び図13(B)に示したタブレット型端末は、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像など)を表示する機能、カレンダー、日付又は時刻などを表示部に表示する機能、表示部に表示した情報をタッチ入力操作又は編集するタッチ入力機能、様々なソフトウェア(プログラム)によって処理を制御する機能、等を有することができる。
【0154】
タブレット型端末の表面に装着された太陽電池9633によって、電力をタッチパネル、表示部、または映像信号処理部等に供給することができる。なお、太陽電池9633は、筐体9630の一面または二面に効率的なバッテリー9635の充電を行う構成とすることができるため好適である。なおバッテリー9635としては、本発明の一態様に係る蓄電装置を用いると、小型化を図れる等の利点がある。
【0155】
また、図13(B)に示す充放電制御回路9634の構成、及び動作について図13(C)にブロック図を示し説明する。図13(C)には、太陽電池9633、バッテリー9635、DCDCコンバータ9636、コンバータ9637、スイッチSW1乃至SW3、表示部9631について示しており、バッテリー9635、DCDCコンバータ9636、コンバータ9637、スイッチSW1乃至SW3が、図13(B)に示す充放電制御回路9634に対応する箇所となる。
【0156】
まず外光により太陽電池9633により発電がされる場合の動作の例について説明する。太陽電池で発電した電力は、バッテリー9635を充電するための電圧となるようDCDCコンバータ9636で昇圧または降圧がなされる。そして、表示部9631の動作に太陽電池9633からの電力が用いられる際にはスイッチSW1をオンにし、コンバータ9637で表示部9631に必要な電圧に昇圧または降圧をすることとなる。また、表示部9631での表示を行わない際には、SW1をオフにし、SW2をオンにしてバッテリー9635の充電を行う構成とすればよい。
【0157】
なお太陽電池9633については、発電手段の一例として示したが、特に限定されず、圧電素子(ピエゾ素子)や熱電変換素子(ペルティエ素子)などの他の発電手段によるバッテリー9635の充電を行う構成であってもよい。例えば、無線(非接触)で電力を送受信して充電する無接点電力電送モジュールや、また他の充電手段を組み合わせて行う構成としてもよい。
【0158】
また、上記実施の形態で説明した蓄電装置を具備していれば、図13に示した電気機器に特に限定されないことは言うまでもない。
【0159】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【符号の説明】
【0160】
100 負極
101 集電体
102 活物質層
103 グラフェン
105 空洞
106 保護層
131 界面
132 重心
133 直線
202 活物質
204 グラフェン
208 レジストマスク
210 シリコン層
307 正極集電体
309 正極活物質層
311 正極
321 正極活物質
323 グラフェン
331 スペーサ
400 リチウム二次電池
401 負極集電体
403 負極活物質層
405 負極
407 正極集電体
409 正極活物質層
411 正極
413 セパレータ
415 電解質
417 外部端子
419 外部端子
421 ガスケット
5000 表示装置
5001 筐体
5002 表示部
5003 スピーカー部
5004 蓄電装置
5100 照明装置
5101 筐体
5102 光源
5103 蓄電装置
5104 天井
5105 側壁
5106 床
5107 窓
5200 室内機
5201 筐体
5202 送風口
5203 蓄電装置
5204 室外機
5300 電気冷凍冷蔵庫
5301 筐体
5302 冷蔵室用扉
5303 冷凍室用扉
5304 蓄電装置
9033 留め具
9034 スイッチ
9035 電源スイッチ
9036 スイッチ
9038 操作スイッチ
9630 筐体
9631 表示部
9633 太陽電池
9634 充放電制御回路
9635 バッテリー
9636 DCDCコンバータ
9637 コンバータ
9638 操作キー
9639 ボタン
100a 負極
100b 負極
100c 負極
100d 負極
100e 負極
102a 共通部
102b 突出部
9631a 表示部
9631b 表示部
9632a 領域
9632b 領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
集電体と、
前記集電体上に設けられた、
表面で開口する空洞が複数個設けられた活物質層と、
を有する負極を用いたことを特徴とする蓄電装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記空洞は、前記負極の上面視において、
前記活物質層に囲まれていることを特徴とする蓄電装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、
前記複数個の空洞がマトリクス状に配置されていることを特徴とする蓄電装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一項において、
前記活物質層は、ハニカム構造を有していることを特徴とする蓄電装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項において、
前記活物質層は、トラス構造を有していることを特徴とする蓄電装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか一項において、
前記活物質層は、シリコンにより形成されていることを特徴とする蓄電装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか一項において、
前記活物質層が、グラフェンで覆われていることを特徴とする蓄電装置。
【請求項8】
集電体と、活物質層と、を有し、
前記活物質層は、共通部と突出部と複数個の空洞とを有し、
前記共通部は前記集電体上に設けられ、
前記突出部は前記共通部から突出した形状を有する負極を用いることを特徴とする蓄電装置。
【請求項9】
請求項8において、
前記空洞は、前記突出部に囲まれていることを特徴とする蓄電装置。
【請求項10】
請求項8または請求項9において、
前記複数個の空洞がマトリクス状に配置されていることを特徴とする蓄電装置。
【請求項11】
請求項8乃至請求項10のいずれか一項において、
前記突出部は、ハニカム構造を有していることを特徴とする蓄電装置。
【請求項12】
請求項8乃至請求項11のいずれか一項において、
前記突出部は、トラス構造を有していることを特徴とする蓄電装置。
【請求項13】
請求項8乃至請求項12のいずれか一項において、
前記活物質層は、シリコンにより形成されていることを特徴とする蓄電装置。
【請求項14】
請求項8乃至請求項13のいずれか一項において、
前記活物質層が、グラフェンで覆われていることを特徴とする蓄電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−77513(P2013−77513A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−217911(P2011−217911)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】