説明

蓋の組立が容易なプッシュスイッチ

【課題】ハウジングと蓋の組立構成が単一工程により行われるようにして組立工数を減少させ、それによって作業を簡易で、迅速に行うことができる。また、組立工程を自動化するコストを低減することができ、組み立てられた蓋をハウジングから分離してもハウジングが損傷しないようにして、関連部品を再使用できる蓋の組立が容易なプッシュスイッチを提供する。
【解決手段】本発明のプッシュスイッチは、一側が開放された内部にスイッチ機能のための部品が設けられるハウジング10と、前記ハウジング10の開放部を覆う蓋20を備え、前記ハウジング10の開放された一側面に複数の係合突出部11を形成し、前記蓋20には前記係合突出部11の外周面が嵌め込まれる複数の係合孔21を形成し、前記蓋20の係合孔21には、前記係合突出部11が係合孔21に挿入される際弾性変形し、この弾性変形による復原力で係合突出部11の外周面と密着する係合片22を形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はプッシュスイッチに関するもので、より詳細には内部にスイッチ機能のための多数の部品が設けられるハウジングの開放部を覆う蓋の組立作業を非常に簡易で、迅速に行うことができ、組み立てられた蓋をハウジングから分離する際、ハウジングの損傷を防止して関連部品を再使用することができる蓋の組立が容易なプッシュスイッチに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、プッシュスイッチは携帯端末機、ゲーム機、各種電子機器などに多く使用するもので、従来のプッシュスイッチの構成が図4に示した。図4に示したように、従来のプッシュスイッチは、一側が開放された絶縁樹脂材のハウジング1と、ハウジング1内に設けられたドーム状の可動端子2及び複数の固定端子3と、前記ハウジング1に押し操作可能に設けられて可動端子2を作動させる押しボタン4と、前記ハウジング1の開放部を覆う蓋5から構成されている。
【0003】
したがって、押しボタン4の押し操作で可動端子2の頂点部を押圧すると、頂点部が下方に弾性変形及び復元して複数の固定端子3を電気的に接続または開放することによって、スイッチ機能を行う。
【0004】
このような従来のプッシュスイッチにおいて、前記ハウジング1と蓋5の組立構成をみると、合成樹脂材のハウジング1に形成した係合突起1aと、金属材の蓋5に形成した係合孔5aを含み、これらの係合作用により蓋5がハウジング1に組み立てるようになる。すなわち、ハウジング1の係合突起1aを蓋5の係合孔5aに嵌め込んだ後(図5の仮想線で示す状態)、係合孔5aを貫通して突出した係合突起1aの先端部分を熱溶融させて断面積を拡張させることによって、蓋5をハウジング1に固定した。
【0005】
しかし、前述したようなプッシュスイッチの組立構成においては、ハウジング1の係合突起1aを蓋5の係合孔5aに係合する工程と、係合孔5aに貫設した係合突起1aを熱溶融させると共に、断面積を拡張させる工程を行わなければならない。そのため、組立工数が増加して生産性が低下し、さらに組立工程を自動化する場合はコストが上昇する短所がある。
【0006】
また、従来構成のプッシュスイッチにおいて、組み立てられた蓋5をハウジング1から分離する場合、係合突起1aを再び溶融させて除去しなければならない。これによって、係合突起1aが変形して損傷するため、ハウジング1と蓋5を再び組み立てることができない。したがって、ハウジング1だけでなく、ハウジング1内に固設した多数の部品も再使用することができないため、経済的損失が大きい問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は前述した従来の問題点を解決するためになされたもので、その目的はハウジングと蓋の組立が単一工程により行われるように構成して組立工数を減少させることによって、作業を簡易で、迅速に行うことができ、組立工程を自動化してコストを低減することができる蓋の組立が容易なプッシュスイッチを提供することにある。
【0008】
また、本発明の他の目的は、組み立てられた蓋をハウジングから分離してもハウジングが損傷しないので、関連部品を再使用することができ、それによって経済的損失が防止できる、蓋の組立が容易なプッシュスイッチを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述した目的を達成するための本発明に係る蓋の組立が容易なプッシュスイッチは、一側が開放された内部にスイッチ機能のための部品が設けられるハウジングと、前記ハウジングの開放部を覆う蓋を備えるプッシュスイッチにおいて、前記ハウジングの開放された一側面に複数の係合突出部を形成し、前記蓋には前記係合突出部の外周面が嵌め込まれる複数の係合孔を形成し、前記蓋の係合孔には、前記係合突出部が係合孔に挿入される際弾性変形し、この弾性変形による復原力で係合突出部の外周面と密着する係合片を形成したことを特徴とする。
【0010】
ここで、前記蓋の係合片は、係合孔の両内縁部を平行に切り取った一対の切欠溝により形成され、前記係合片に対向する係合突出部の両側面には係合片に向けて突出させた密着部を形成したことが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明のプッシュスイッチによれば、ハウジングの係合突出部に蓋の係合孔を挿入する作業により蓋の係合片が弾性変形し、この係合片の弾性変形による復原力で係合突出部の外周面に係合片の先端が密着して固定されることによって、ハウジングと蓋の組立作業を単一工程により非常に簡易で、迅速に行うことができる。これによって、製品組立時の作業工数が減少して生産性が向上し、組立工程を自動化する場合コストを低減できる。
【0012】
また、本発明はハウジングの係合突出部に密着されている蓋の係合片を係合突出部から若干離間させると、ハウジングの係合突出部が損傷しない状態で蓋をハウジングから容易に分離できる。したがって、ハウジングと蓋を再び組み立てることができるので、経済的損失を防止する効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明のプッシュスイッチを示した分離斜視図である。
【図2A】図2Aは本発明のプッシュスイッチにおいてハウジングと蓋を示した平面図である。
【図2B】図2Bは本発明のプッシュスイッチにおいてハウジングと蓋を示した平面図である。
【図3A】図3Aは本発明のプッシュスイッチにおいてハウジングと蓋の組立状態を示した図である。
【図3B】図3Bは本発明のプッシュスイッチにおいてハウジングと蓋の組立状態を示した図である。
【図4】従来のプッシュスイッチを示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の好ましい実施形態について添付図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明のプッシュスイッチにおいてハウジング10と蓋20が分離された状態を示した斜視図であり、図2A及び図2Bはハウジング10と蓋20の平面図であり、図3A及び図3Bはハウジング10と蓋20の組立過程を示した断面図である。
【0015】
図1に示したように、本発明のプッシュスイッチは、内部にスイッチ機能のための多数の部品が設けられるハウジング10と、前記ハウジング10の開放された上部を覆う蓋20を備える。
【0016】
前記ハウジング10は絶縁樹脂を射出成形して製作した六面体形状になっており、内部空間にはスイッチ機能のためのメタルドームスイッチ(不図示)が設けられ、上部は押しボタン30などの部品を設けることができるように開放されている。また、部品の設置後には開放された上部を金属材質の蓋20で覆うように構成されている。また、ハウジング10にはスイッチ機能のための第1及び第2固定端子41、42がハウジング10の射出成形時埋め込まれる。これらの固定端子41、42の一端はハウジング10内の底面に配置され、他端はハウジング10外部に露出している。
【0017】
図2A及び図2Bに示したように、ハウジング10と蓋20の組立構造は、前記ハウジング10の開放された一側面に複数の係合突出部11を形成し、前記蓋20には前記係合突出部11の外周面が嵌め込まれるように対応形状の係合孔21を形成して構成する。前記係合突出部11はハウジング10の開放された一側面の両側に1個ずつ形成し、ほぼ長方形の断面を有するようにする。
【0018】
また、前記蓋20の係合孔21の長手方向内周面には係合片22を形成する。この係合片22は係合突出部11を係合孔21に挿入する際弾性変形し、この弾性変形による復原力で係合突出部11の外周面と密着する。前記蓋20の係合片22は係合孔21の対向する両内縁部を平行に切り取った一対の切欠溝23により形成される。また、前記係合片22に対向する位置の係合突出部11の両側面には、係合片22に向けて突出させた密着部12を形成した構成である。
【0019】
この時、前記両係合片22の先端間の距離bは、前記係合突出部11に形成した両密着部12の先端間の距離aより短く設定することが好ましく、係合片22は弾性変形する方向に少し曲げて形成しても良い。
【0020】
このように構成した本発明に係るプッシュスイッチの作用を説明すると、次の通りである。図1及び図3Aに示したように、ハウジング10の内部にメタルドームスイッチ(不図示)と押しボタン30を順に設けた後、蓋20の係合孔21をハウジング10の係合突出部11に嵌め込んでハウジング10の開放部を蓋20で覆う。この時、係合孔21の両内周面に形成した両係合片22の先端間の距離bは係合突出部11の両密着部12の先端間の距離aより短く形成されている。したがって、密着部12が係合片22の先端を上方に押し上げて、図3Aに仮想線で示した状態のように弾性変形するようになる。
【0021】
したがって、継続的な弾性変形により係合片22の先端間の距離bが密着部12の先端間の距離aより大きくなると、係合突出部11が蓋20の係合孔21を貫通するようになり、弾性変形した係合片22には元の位置に復帰しようとする弾性復原力が発生するようになる。この弾性復原力により係合片22の先端が係合突出部11の密着部12の表面を押圧するので、図3Bに示したようにハウジング10の係合突出部11が蓋20の係合孔21に完全に嵌め込まれて固定された状態を維持できるようになる。
【0022】
また、前述したように、係合片22の弾性復原力により係合突出部11と係合片22が固定された状態で蓋20が係合突出部11から抜け出る方向に力が作用する場合、両係合片22は先端間の距離bがさらに狭くなる方向に力を受けるようになる。したがって、係合突出部11の密着部12をさらに押圧して蓋20が係合突出部11から抜け出ることをより一層難しくする。これによって、ハウジング10と蓋20の組立状態は容易に分離しない堅固な係合状態を維持できる。
【0023】
一方、メンテナンスなどのため組み立てられた蓋20をハウジング10から分離しなければならない場合は、ハウジング10の係合突出部11を押圧している蓋20の係合片22を別の道具、例えば一字ドライバーを利用して両係合片22の先端間の距離bが遠ざかる方向に力を加えると、係合突出部11の密着部12の表面を押圧する係合片22の押圧力を弱化させたり、或は密着部12の表面から係合片22の先端を離間させることができて、蓋20をハウジング10の係合突出部11から分離できるようになる。これによって、係合突出部11の損傷なく蓋20が分離されるので、再使用時ハウジング10と蓋20を組み立てることができる。
【産業上の利用可能性】
【0024】
以上のように、本発明によれば、ハウジングの係合突出部に蓋の係合孔を挿入する作業により蓋の係合片が弾性変形し、この係合片の弾性変形による復原力で係合突出部の外周面に係合片の先端が密着して固定されることによって、ハウジングと蓋の組立作業を単一工程により非常に簡易で、迅速に行うことができる。これによって、製品組立時の作業工数が減少して生産性が向上し、組立工程を自動化する場合コストを低減できる。
【0025】
また、ハウジングの係合突出部に密着されている蓋の係合片を係合突出部から若干離間させると、ハウジングの係合突出部が損傷しない状態で蓋をハウジングから容易に分離できる。したがって、ハウジングと蓋を再び組み立てることができるので、経済的損失を防止できる。従って、本発明の産業利用性はきわめて高いものといえる。
【0026】
一方、本明細書内で本発明をいくつかの好ましい実施形態によって記述したが、当業者ならば、添付の特許請求範囲に開示した本発明の範疇及び思想から外れずに、多くの変形及び修正がなされ得ることがわかるはずである。
【符号の説明】
【0027】
10 ハウジング
11 係合突出部
12 密着部
20 蓋
21 係合孔
22 係合片
23 切欠溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一側が開放された内部にスイッチ機能のための部品が設けられるハウジングと、前記ハウジングの開放部を覆う蓋を備えるプッシュスイッチにおいて、
前記ハウジングの開放された一側面に複数の係合突出部を形成し、前記蓋には前記係合突出部の外周面が嵌め込まれる複数の係合孔を形成し、
前記蓋の係合孔には、前記係合突出部が係合孔に挿入される際弾性変形し、この弾性変形による復原力で係合突出部の外周面と密着する係合片を形成したことを特徴とする蓋の組立が容易なプッシュスイッチ。
【請求項2】
前記蓋の係合片は、係合孔の両内縁部を平行に切り取った一対の切欠溝により形成され、前記係合片に対向する係合突出部の両側面には係合片に向けて突出させた密着部を形成したことを特徴とする請求項1に記載の蓋の組立が容易なプッシュスイッチ。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−33648(P2013−33648A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−169333(P2011−169333)
【出願日】平成23年8月2日(2011.8.2)
【出願人】(510298263)マグマ カンパニー リミテッド (5)
【氏名又は名称原語表記】MAGMA CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】75−2,Pungmu−dong,Gimpo−si,Gyeonggi−do,Republic of Korea
【Fターム(参考)】