説明

蓋ラベル及び化粧料

【課題】接着強度のばらつきが少なく、容易に剥離しやすい蓋ラベルに関する技術を提供する。
【解決手段】所定の内容物を収容する容器に設けられる口部であって、該容器から内容物を取り出す口部を覆うシート状の蓋ラベルであって、前記容器の口部を覆う本体部と、前記本体部の前記容器の口部側の面に設けられ、該口部と接続される環状の接続部と、該本体部の外縁の一部から外側に向けて突出し、該蓋ラベルを剥離する際に把持される把持部と、を備え、前記接続部は、前記口部と接着される接着領域と、前記口部と接着されない非接着領域と、を有し、前記接着領域と前記非接着領域とが交互に配置されることで前記環状の接続部が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓋ラベル及び化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧水、美容液、シャンプー、コンディショナーなどの化粧品、又は医薬品などを収容する容器には、購入者が容器が未開封であることを確認できるよう、容器の口部に蓋ラベルが設けられている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−41565号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
購入者が商品を購入する際、購入した商品が未開封であることを購入者が確認できるよう、商品を収容する容器の口部に蓋ラベルを設けることが行われている。ここで、図1Aは、従来の蓋ラベルの平面図(表面)であり、図1Bは、従来の蓋ラベルの平面図(裏面)を示す。図2は、従来技術に係る化粧容器のキャップ側の側面図を示す。従来の蓋ラベル9xは、容器10xの口部13xを覆う円形状の本体部1xと、本体部1xの外縁の一部から径方向に突出し、蓋ラベル9xを剥離する際に把持される把持部2xと、を有する。本体部1xには、裏面(容器10x側)に容器10xの口部13xの上面と接着されるリング状の接着部3xが設けられている。なお、接着部3xは、所定の温度で溶融する接着剤によって構成される。上記従来の蓋ラベル9xによれば、蓋ラベル9xが剥がされているか否かによって、購入者は、商品が未開封であるか否かを確認することができる。
【0005】
ここで、従来の蓋ラベル9x、例えば、AL(アルミニウム)を中間に挟み込んだ、積層フィルム(PET(ポリエチレンテレフタレート)/DL(ドライラミネーション)/AL/PEコート/変成ポリエチレン等)やALの代わりにPETを中間にしたフィルム等と容器10xとの接続は、接着部3xを構成する接着層を溶かすのに十分な温度を有する熱板を、容器10xの口部13x上に蓋ラベル9xを載せた状態で押し当てることで行われる。そして、蓋ラベル9xの接着強度は、容器の材質、熱板の温度、熱板を押し当てる際の押圧力によって決定される。しかし、容器10xや熱板の傾き(容器と熱板の平行度とレベル)、熱板の温度の誤差、熱板を押し当てる際の押圧力の誤差、押し圧時間の誤差、押し圧位置(ストロークエンド位置)の誤差等によって、接着部3xの接着強度にばらつきがでることが想定される。そこで、このような接着強度のばらつきによる部分的な接着不良を防ぐ為、従来の蓋ラベル9xでは、接着強度を理想値よりも強く設計することが行われていた。理想値とは、熱板の温度が接着剤を溶かすのに適した温度であり、かつ、容器10xや熱板に傾きがなく接着部3xに対して均一な圧力を与えられる条件下における溶着強度や接着強度である。
【0006】
接着強度を理想値よりも強く設計することで、接着不良を防止することが可能となる。しかしながら、接着強度が強いと、購入者が蓋ラベル9xを容器10xから剥がす際、蓋ラベル9xが把持部2xと本体部1xとの接続付近で切断されることがある。この場合、本体部1xが口部13xを覆ったままとなり、内容物を容器10xから取り出すことができない。また、蓋ラベル9xを複数のフィルムで構成している場合、蓋ラベル9xと容器10xとの接着強度が、フィルム同士の接着強度を上回り、フィルム全体が剥離されるのではなくフィルムの上層のみやフィルム一部のみが剥離されることも想定される。
【0007】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、接着強度のばらつきが少なく、容易に剥離しやすい蓋ラベルに関する技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明では、上述した課題を解決するために、蓋ラベルの本体部の裏面に設けられる容器と接続する接続部を、口部と接着されない非接着領域と、口部と接着される接着領域とで構成し、配置構成を工夫することとした。
【0009】
詳細には、本発明は、所定の内容物を収容する容器に設けられる口部であって、該容器から内容物を取り出す口部、を覆うシート状の蓋ラベルであって、前記容器の口部を覆う本体部と、前記本体部の前記容器の口部側の面に設けられ、該口部と接続される環状の接続部と、該本体部の外縁の一部から外側に向けて突出し、該蓋ラベルを剥離する際に把持される把持部と、を備え、前記接続部は、前記口部と接着される接着領域と、前記口部と接着されない非接着領域と、を有し、前記接着領域と前記非接着領域とが交互に配置されることで環状の前記接続部が形成される。
【0010】
本発明に係るシート状の蓋ラベルは、容器の口部に接続される。その結果、購入者は、蓋ラベルが付された容器からなる商品を購入した際、蓋ラベルの剥離(開封)の有無によって、購入した商品が未開封であるか否かを確認することができる。また、本発明に係る蓋ラベルでは、容器の口部と接続される接続部が、口部と接着されない非接着領域を有する。そして、この非接着領域と接着領域とが交互に配置されることで環状の接続部が形成される。つまり、本発明に係る蓋ラベルは、非接着領域と接着領域とが分散されて配置されている。従って、蓋ラベルを容器に接続する工程において、仮に容器や熱板が傾いたり熱板の温度に誤差が生じたとしても、接着強度のばらつきを従来よりも低減することができる。また、環状の接着部を接着領域と非接着領域で構成することで、接着領域と非接着領域の面積を変更することで、接着強度を任意に調整することができる。
【0011】
なお、接着強度が強すぎると、蓋ラベルを剥離する際に本体部と把持部とが切断されることが懸念される。接着強度が強すぎる場合、接着強度を弱めるため、接着面積を狭くすることが考えられ、従来技術では、リング状の接着部分の幅を狭くすることで接着強度を弱めていた。しかし、リング状の接着部分の幅を単に狭くするだけでは、蓋ラベルを容器に接続する際の、容器の傾きや熱板の傾き、熱板の温度の誤差、熱板を押し当てる際の押圧力の誤差を原因として、接着部の接着強度にばらつきが出ることが想定される。接着強度のばらつきが大きくなると、接着不良、特に一部の接着強度が強すぎることで本体部と把持部が切断されることに繋がる。これに対し、本発明に係る蓋ラベルでは、非接着領域と接着領域とが分散されて配置されているので、蓋ラベルを容器に接続する工程において、仮に容器や熱板が傾いたり熱板の温度に誤差が生じたとしても、接着不良を低減することができる。
【0012】
本発明に係る蓋ラベルにおいて、所定の内容物には、化粧水、美容液、シャンプー、コンディショナーなどの化粧品、又は医薬品が例示される。但し、本発明に係る蓋ラベルは、商品が未開封であるか否かが要求されるもの、換言すると商品のバージン性が要求されるものであれば種々のものに適用可能である。接続部は、口部と接続されることから、口部の形状に合わせて設計することが好ましい。口部は、内容物を取り出すものであるからその端部の形状は、環状となる。従って、接続部の形状も環状となる。但し、本発明に係る蓋ラベルは、接続部が、接着領域と非接着領域とを有することを特徴の一つとするものである。従って、接着領域と非接着領域によって環状の接続部が形成される。より具体的には、接着領域と非接着領域とが交互に配置されることで、環状の接続部が形成される。
【0013】
ここで、蓋ラベルを剥離する際に作用する蓋ラベルへの負荷に着目すると、剥離方向の手前側、換言すると把持部と本体部との接続部分に最も負荷が集中し易いと考えられる。そこで、本発明に係る蓋ラベルでは、非接着領域を、蓋ラベルを容器から剥離する際の剥離方向の手前側に設けるようにしてもよい。これにより、仮に容器や熱板が傾くなどの原因により接着強度にばらつきが出たとしても、剥離方向の手前側の接着強度が更に増加することはない。また、仮に容器や熱板が傾くなどの原因により剥離方向の手前側以外の領域、換言すると接着領域の接着強度が更に増加したとしても、剥離方向の手前側以外の領域であれば負荷が分散されており、本体部と把持部とが切断される可能性が低くなる。
【0014】
ここで、本発明に係る蓋ラベルにおいて、前記容器の口部の端部の形状が、円形リング状であり、前記本体部は、端部の形状が円形リング状の前記口部を覆う円形シート状であり、前記接続部は、円形リング状の前記口部に対応する円形リング状であり、前記接着部と前記被接着部とで該円形リング状の接続部が形成されるようにしてもよい。
【0015】
口部を含む容器の形状や蓋ラベルの形状は、限定されるものではないが、本発明に係る蓋ラベルは、上記のような口部の端部の形状が円形リング状の容器にも好適に用いることができる。なお、口部の端部の形状は、円形リングに代えて多角形リング状でもよい。なお、本体部は、口部の形状に対応させることが好ましいが、口部を覆う面積を少なくとも有していればよい。接続部は、口部の形状、より詳細には、口部の端部の形状に応じて設計することが好ましい。例えば、口部の端部の形状を円形リング状とした場合、接続の形状も円形リング状とすることが好ましい。
【0016】
また、本発明に係る蓋ラベルにおいて、前記非接着領域が、前記蓋ラベルを前記容器から剥離する際の剥離方向の手前側に設けられ、かつ、前記環状の接続部の周方向に沿って互いに所定の間隔を空けて複数設けられていてもよい。非接着領域を所定の間隔を空けて配置することで、仮に接着の際に用いる熱板が傾いたり、熱板の温度の誤差、熱板を押し当てる際の押圧力の誤差が生じ場合でも、接着強度のばらつきを抑えて、接着不良の発生を低減することができる。なお、非接着領域は、環状の接続部の中心を基準として放射状に設けてもよい。
【0017】
ここで、本発明に係る蓋ラベルは、前記本体部と前記把持部との接続部分に形成される角部に設けられ、前記本体部と前記把持部とを滑らかに接続して前記蓋ラベルを前記容器から剥離する際の負荷を分散させる分散部を更に備える構成でもよい。角部が鋭角であると、蓋ラベルを剥離する際の初期段階において、負荷が角部に集中し易く、結果として把持部と本体部とが切断され易くなる。これに対し、本発明に係る蓋ラベルによれば、角部を上記のように構成することで蓋ラベルを剥離する際の負荷が分散され、その結果、本体部と把持部との切断が抑制される。なお、分散部は、換言すると、R状である。
【0018】
ここで、本発明は、上述した蓋ラベルを含む容器としてもよい。この場合、本発明は、容器であって、所定の内容物を収容する容器と、前記容器に設けられ、該容器から内容物を取り出す口部と、前記口部を覆うシート状の蓋ラベルとを備え、前記蓋ラベルは、前記容器の口部を覆う本体部と、前記本体部の前記容器の口部側の面に設けられ、該口部と接続される環状の接続部と、該本体部の外縁の一部から外側に向けて突出し、該蓋ラベルを剥離する際に把持される把持部と、を備え、前記接続部は、前記口部と接着される接着領域と、前記口部と接着されない非接着領域と、を有し、前記接着領域と前記非接着領域とが交互に配置されることで前記環状を形成する。また、本発明は、容器の内容物として化粧料が収容された化粧料としてもよい。具体的には、本発明は、化粧料を収容した容器と、前記容器に設けられ、該容器から化粧料を取り出す口部と、前記口部を覆うシート状の蓋ラベルとを備え、前記蓋ラベルは、前記容器の口部を覆う本体部と、前記本体部の前記容器の口部側の面に設けられ、該口部と接続される環状の接続部と、該本体部の外縁の一
部から外側に向けて突出し、該蓋ラベルを剥離する際に把持される把持部と、を備え、前記接続部は、前記口部と接着される接着領域と、前記口部と接着されない非接着領域と、を有し、前記接着領域と前記非接着領域とが交互に配置されることで前記環状を形成する化粧料である。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、接着強度のばらつきが少なく、容易に剥離しやすい蓋ラベルに関する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1A】従来技術に係る蓋ラベルの平面図(表面)を示す。
【図1B】従来技術に係る蓋ラベルの平面図(裏面)を示す。
【図2】従来技術に係る化粧容器のキャップ側の側面図を示す。
【図3】実施形態に係る化粧料容器の全体側面図を示す。
【図4A】実施形態に係る蓋ラベルの平面図(表面)を示す。
【図4B】実施形態に係る蓋ラベルの平面図(裏面)を示す。
【図4C】実施形態に係る蓋ラベルの側面図を示す。
【図5】実施形態に係る中栓及び中栓接続部の断面図を示す。
【図6】変形例1に係る蓋ラベルの平面図(裏面)を示す。
【図7】変形例2に係る蓋ラベルの平面図(裏面)を示す。
【図8】従来技術に係る蓋ラベルと変形例3、4、5に係る蓋ラベルの平面図を対比した図を示す。
【図9】従来技術に係る蓋ラベルと変形例3、4、5に係る蓋ラベルを剥離した場合の、剥離段階における剥離力の推移を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。本発明に係る蓋ラベルを含む化粧料容器として説明する。図3に示すように、実施形態に係る化粧料容器10は、容器本体11、中栓接続部13、中栓14、キャップ12、及び蓋ラベル9を備える。
【0022】
容器本体11は、化粧料を収容する。化粧料には、化粧水、美容液、乳液、シャンプー、コンディショナーが例示される。容器本体11の先端(キャップ側の端部)には、中栓接続部13が設けられている。中栓接続部13は、後述する中栓14と接続できるよう、中栓14の形状に対応するように設計されている。具体的には、図5に示すように、中栓接続部13は、全体として筒状であり、内部に中栓14の管部141を収容する。従って、中栓接続部13の内径は、中栓14の管部141の外径と凡そ同じになるように設計されている。また、中栓接続部13の先端には、中栓14の係合部142と係合する被係合部131が設けられている。被係合部131は、環状の凹部として形成され、中栓14の係合部142の環状の凸部142cを収容する。これにより、中栓14が容器本体11に固定される。
【0023】
中栓14は、容器本体11に収容される化粧料の突出量を制限する。また、中栓14に蓋ラベル3が接続されることで、キャップ12と共に、容器本体11に収容される化粧料が外部に漏れるのを防止する。中栓14は、本発明の口部に相当し、管部141、係合部142、蓋ラベル9が接続される端部143を備える。端部143は、円盤状であり、中栓14の先端側(キャップ側)に設けられている。端部143の中央には、内容物が通る貫通孔144が設けられている。この貫通孔144の径により、内容物の突出量が制限される。また、貫通孔144の周りには、端部143より突出する環状の突出部145が設けられている。本実施形態に係る化粧料容器10では、この環状の突出部145に蓋ラベル9の接続部3が接続される。
【0024】
円盤状の端部143の側部からは、容器本体11に向けて管部141が延出している。管部141の外径は、中栓接続部13の内径と凡そ同じになるように設計されている。また、管部141の端部143の近傍には、係合部142が設けられている。係合部142は、管部141の端部143の近傍から端部143の径方向に突出するドーナツ円盤状の平板部142a、平板部142aの側部と接続され、平板部142aの側部から容器本体11側に向けて延出する垂下部142bと、垂下部142bの開放端部から容器本体11の中心方向に向けて突出する環状の凸部142cとを有する。環状の凸部142cが中栓14の環状の凹部からなる被係合部131に収容されることで、中栓14が容器本体11に固定される。
【0025】
キャップ12は、容器本体11に収容される化粧料が外部に漏れるのを防止する。キャップ12は、筒部121、天板部122を備え、中栓14を包みこんだ状態で容器本体11と固定される。容器本体11の中栓接続部13とキャップ12との接続手段は、既存の技術を用いることができる。例えば、容器本体11の中栓接続部13とキャップ12の夫々に互いに係合可能な環状の凸部及び凹部を設けてもよい。また、容器本体11の中栓接続部13とキャップ12の夫々に互いに螺合可能な螺旋溝を設けてキャップを容器本体11に対してねじ込むことで固定するようにしてもよい。
【0026】
蓋ラベル9は、中栓14の端部143に設けられた環状の突出部145に接続される。その結果、ユーザ(例えば、化粧料容器からなる商品の購入者)は、化粧料容器10が未開封であるか否かを確認することが可能となる。また、蓋ラベル9が中栓14の端部143に設けられた環状の突出部145に接続されることで、内容物が外部に漏れるのを抑制する。なお、蓋ラベル9の表面には、例えば「開封シール」といった未開封であることを示す表示や、企業名や商品名を付してもよい。
【0027】
図4A、図4B、図4Cに示すように、本実施形態に係る蓋ラベル9は、シート状であり、本体部1、接続部3、把持部2、R部4を備える。本体部1及び把持部2は、一体的に形成され、アルミニウムやプラスチック製フィルム、例えば、ポリエチレンテフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)によって構成することができる。なお、複数の素材を重ね合わせた積層シートとしてもよい。
【0028】
本体部1は、中栓14の端部143を覆う円形状である。本体部1は、少なくとも端部143(本実施形態では、端部143上に設けられた環状の突出部145)を覆う面積を有していればよい。本体部1の外縁の一部からは、円形状の本体部1の径方向に向けて舌状の把持部2が設けられている。把持部2の形状、幅、長さ等は、把持可能な形状、幅、長さとして適宜設計することができる。
【0029】
R部4は、本発明の分散部に相当し、本体部1と把持部2との接続部分に形成される角部に設けられ、本体部1と把持部2とを滑らかに接続する。これにより、蓋ラベル9を化粧料容器10から剥離する際の負荷が分散され、本体部1と把持部2との切断が抑制される。従来のように(図1参照)、角部が鋭角であると、蓋ラベル9を剥離する際の初期段階において、負荷が角部に集中し易く、結果として把持部2と本体部1とが切断され易くなる。これに対し、本実施形態に係る蓋ラベル9によれば、角部にR部4が設けられることで蓋ラベル9を剥離する際の負荷が分散され、その結果、本体部1と把持部2との切断が抑制される。
【0030】
接続部3は、シート状の本体部1の裏面、すなわち中栓14側の面に設けられ、中栓14の端部143に設けられた環状の突出部145と接続される。本実施形態に係る接続部3は、中栓14の環状の突出部145と接着される接着領域31と、中栓14の環状の突
出部145と接着されない非接着領域32とを有する。接着領域31は、所定の温度で溶融する接着剤によって構成される。接着領域を構成する接着剤を溶融する熱板を蓋ラベル9の表面側から押し当て所定の熱を与えることで、接続部3を介して、蓋ラベル9と化粧料容器(本実施形態では、中栓14の端部143に設けられた環状の突出部145)が接続される。
【0031】
本実施形態では、接着剤からなる接着領域31と非接着領域32とが交互に配置されることでリング状の接続部3が形成される。リングが円周方向に8分割され、交互に接着領域31と被接着領域が配置されている。接着領域31と非接着領域32の比は、凡そ1:1となるよう設計されている。また、4つの被接着領域31のうちの一つが剥離方向の手前側、換言すると把持部2側に設けられている。これにより、蓋ラベル9を化粧料容器10に接続する際、仮に、化粧料容器(本実施形態では、中栓14)や熱板が傾くなどの原因により接着強度にばらつきが出たとしても、剥離方向の手前側の接着強度が更に増加することはない。従って、R部4とこの剥離方向の手前側に設けられた非接着領域32により、把持部2と本体部1との切断が抑制される。なお、接着強度の調整は、接着領域31と非接着領域32の面積を調整することで行うことができる。
【0032】
以上説明した実施形態に係る化粧料容器10によれば、中栓14に蓋ラベル9が接続されることで、ユーザが、化粧料容器10が未開封であるか否かを確認することが可能となる。更に、本実施形態に係る化粧料容器10では、中栓14の端部143に設けられた環状の突出部145と接続される接続部3が接着領域31と非接着領域32によって構成され、接着領域31と非接着領域32が交互に配置されている。従って、仮に製造工程における製造誤差によって接続部3の接着強度にばらつきが出たとしても、接続部分が全て接着される従来技術に比べて、ばらつきを低減することができる。その結果、接着不良を低減することができる。また、把持部2と本体部1との接続部分にR部4が設けられ、さらに、剥離方向の手前側に非接着領域32が設けられることで、把持部2と本体部1との切断が抑制される。従って、本実施形態に係る化粧容器10によれば、容易に化粧容器を開封することができる。
【0033】
<変形例>
図6、図7は、変形例に係る蓋ラベル9a、9bの裏面側の平面図を示す。図8は、従来技術に係る蓋ラベルと変形例3、4、5に係る蓋ラベルの平面図を対比した図を示す。なお、蓋ラベル9a、9b、9c、9d、9e以外の構成、すなわち、容器本体11、中栓接続部13、中栓14、キャップ12の構成は、上述した実施形態に係る化粧容器10と同じであるため説明は割愛する。
【0034】
図6に示す蓋ラベル(以下、変形例1に係る蓋ラベルという)9aは、実施形態に係る蓋ラベル9と異なり、非接着領域32aが2箇所設けられている。変形例1に係る蓋ラベル9aでは、接続部3aが、剥離方向の手前側(把持部2側)に設けられた非接着領域32aと、剥離方向の手前側の非接着領域32aと対向する位置に設けられたもう一つの非接着領域32aと、この二つの非接着領域32a以外の領域に形成される接着領域31aによって構成されている。また、接着領域31aと非接着領域32aの比は、凡そ2:1となるよう設計されている。
【0035】
図7に示す蓋ラベル(以下、変形例2に係る蓋ラベルという)9bは、実施形態に係る蓋ラベル9と異なり、接続部3bが、3つの接着領域31bと3つの非接着領域32bとによって構成されている。また、接続部3bは、リング状であり、接着領域31bと非接着領域32bが交互に配置されている。接着領域31bと非接着領域32bの比は、凡そ1:1となるよう設計されている。変形例2に係る蓋ラベル9においても、剥離方向の手前側には、3つの非接着領域32のうちの一つが配置されている。
【0036】
変形例1、2に係る蓋ラベル9a、9bのように、接続部3a、3bを構成する接着領域31a、31bと非接着領域32a、32bの配置、接着領域と比接着領域の比は、蓋ラベルの材質、接着剤の強度や性質、蓋ラベルと接続される部分の容器の材質等を考慮して適宜変更することができる。変形例1、2に係る蓋ラベル9a、9bを含む化粧料容器においても、上述した実施形態に係る化粧料容器10と同様の作用効果を奏する。
【0037】
<比較>
次に、従来技術に係る蓋ラベルと変形例3から5に係る蓋ラベルとの比較について説明する。従来技術に係る蓋ラベル9xと変形例3から5に係る蓋ラベル9c、9d、9eの幅は、何れも長さbである。図8に示す変形例3に係る蓋ラベル9cは、リング状の接続部3cを有し、この接続部3cは、接着領域31cと非接着領域32cとによって構成されている。変形例3に係る蓋ラベル9cは、非接着領域32cを1つだけ有しており、その非接着領域32cが剥離方向の手前側に配置されている。接着領域31cと非接着領域32cの比は、凡そ5:1となるよう設計されている。なお、接着領域31cの端部は、R状に形成されている。
【0038】
変形例4に係る蓋ラベル9dは、リング状の接続部3dを有し、この接続部3dは、接着領域31dと非接着領域32dとによって構成されている。リング状の接続部3dは、円周方向に4分割され、交互に接着領域31dと非接着領域32dが配置されている。なお、接着領域31dの夫々の端部は、R状に形成されている。接着領域31dと非接着領域32dの比は、凡そ1:1となるよう設計されている。2つの被接着領域31dのうちの一つが剥離方向の手前側、換言すると把持部2d側に設けられている。
【0039】
変形例5に係る蓋ラベル9eは、リング状の接続部3eを有し、この接続部3eは、接着領域31eと非接着領域32eとによって構成されている。リング状の接続部3eは、円周方向に6分割され、交互に接着領域31eと非接着領域32eが配置されている。なお、接着領域31eの夫々の端部は、R状に形成されている。接着領域31eと非接着領域32eの比は、凡そ1:1となるよう設計されている。3つの被接着領域31eのうちの一つが剥離方向の手前側、換言すると把持部2e側に設けられている。
【0040】
ここで、図9は、従来技術に係る蓋ラベルと変形例3、4、5に係る蓋ラベルを剥離した場合の、剥離段階における剥離力の推移を示す。図9において、縦軸は、剥離力を示す。剥離力は、幅の長さbの接着領域を剥離する際の力を1yと仮設定したものである。従って、従来技術でいえば、剥離段階2において、接着領域の幅の長さは2bとなり、この時の剥離力は2yとなる。なお、剥離力4yとは、剥離力1yの4倍である。剥離力4yとは、1500から2000gである。図9の横軸は、時間を示し、横軸の1、2、3は、図8の剥離段階1、2、3に夫々対応する。
【0041】
接着領域(31x、31c、31d、31e)の溶着強度又は接着強度が同じの場合、接着領域の面積が大きくなるほど接着強度も強くなる。また、剥離力を段階的にみると、接着領域上に剥離方向と直交する方向に仮想線を設けた場合、この接着領域内にある仮想線の長さが長い程、剥離力が強くなる。つまり、接着領域内にある仮想線の長さが長い程、剥がし難くなる。従って、接着強度を弱くするためには、接着領域の面積を小さくすればよく、所定の剥離段階における剥離力を小さくするには、接着領域内にある上記仮想線の長さを短くすればよい。図8の従来技術の場合、剥離段階1と剥離段階2の間において、接着領域内にある仮想線の長さが最も長くなり(図8において、aで示す)、剥離段階2において、接着領域内にある仮想線の長さが最も短くなり、その長さは、b×2で2bとなる。なお、長さaは、長さbの凡そ4倍である。
【0042】
以上を踏まえて、図8、図9を参照すると、従来技術に係る蓋ラベル9xは、変形例3から5に係る蓋ラベル9c、9d、9eと比べると、接続部3xが全て接着領域として形成されていることから、接着領域の面積が最も大きい。従って、接着力が最も強い。また、剥離段階1の直後、換言すると接着領域内にある仮想線の長さが最も長くなる際に剥離力が最も強く(4y)、その後、剥離力は、徐々に弱くなり、剥離段階2では、ピーク時の半分程度(2y)となる。その後、剥離力は、剥離段階3に近づくにつれて再度強くなり、剥離段階3では、接着領域内にある仮想線の長さが再度最も長くなり、剥離力も再度ピーク(4y)となる。その後、剥離力は、低下する。
【0043】
変形例3に係る蓋ラベル9cでは、剥離方向の手前側に非接着領域32cが設けられていることから剥離段階1の剥離力は、1y以下である。その後、剥離力は、徐々に強くなるが、変形例3に係る蓋ラベル9cは非接着領域32cを有しており、剥離段階1から2の間では、接着領域内にある仮想線の長さが凡そ2bである。従って、剥離力は、剥離段階1から2にかけて凡そ2yとなっている。剥離段階2以降の剥離力は、従来技術に係る蓋ラベル9xと同じである。
【0044】
変形例4に係る蓋ラベル9dでは、剥離方向の手前側に非接着領域32dが設けられていることから剥離段階1の剥離力は、1y以下である。剥離段階2において、接着領域内にある仮想線の長さが2bとなり、剥離力が最も強くなる。その後、剥離力は、徐々に低下する。
【0045】
変形例5に係る蓋ラベル9eでは、剥離方向の手前側に非接着領域32eが設けられていることから剥離段階1の剥離力は、1y以下である。剥離段階1から3において、接着領域内にある仮想線の長さは凡そbであり、剥離力も凡そ1yである。その後、剥離力は、徐々に低下するが、剥離段階3付近において、接着領域内にある仮想線の長さが長さbを上回り、一時的に剥離力が強くなる。その後、接着領域内にある仮想線の長さは、短くなり、剥離力も低下する。
【0046】
以上より、従来技術に係る蓋ラベルと変形例3から5に係る蓋ラベルとを比較すると、変形例5に係る蓋ラベル9eが、平均的かつ小さい力で剥離することができる。
【0047】
以上本発明について説明したが、本発明の化粧料容器に関する技術はこれらに限らず、可能な限りこれらの組合せを含むことができる。なお、実施形態では、容器本体11と容器本体11とは別部品として構成される中栓14を有する化粧料容器10に蓋ラベル3を適用する場合を例に説明した。但し、蓋ラベル3を適用可能な容器は、上記に限定されるものではない。例えば、蓋ラベル3は、チューブ容器、瓶、プラスチック容器等、種々の容器に適用できる。また、容器によっては、中栓が別部品として構成されていないものも存在する。このような容器の場合には、容器本体の先端部分(口部)に蓋ラベルを接続すればよい。
【符号の説明】
【0048】
1・・・本体部
2・・・把持部
3・・・接続部
4・・・R部
9・・・蓋ラベル
10・・・化粧用容器
11・・・容器本体
12・・・キャップ
13・・・中栓接続部
14・・・中栓
31・・・接着部
32・・・非接着部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の内容物を収容する容器に設けられる口部であって、該容器から内容物を取り出す口部、を覆うシート状の蓋ラベルであって、
前記容器の口部を覆う本体部と、
前記本体部の前記容器の口部側の面に設けられ、該口部と接続される環状の接続部と、
該本体部の外縁の一部から外側に向けて突出し、該蓋ラベルを剥離する際に把持される把持部と、を備え、
前記接続部は、前記口部と接着される接着領域と、前記口部と接着されない非接着領域と、を有し、前記接着領域と前記非接着領域とが交互に配置されることで環状の前記接続部が形成される
蓋ラベル。
【請求項2】
前記非接着領域は、前記蓋ラベルを前記容器から剥離する際の剥離方向の手前側に設けられる請求項1に記載の蓋ラベル。
【請求項3】
前記容器の口部の形状が、円形リング状であり、
前記本体部は、端部の形状が円形リング状の前記口部を覆う円形シート状であり、
前記接続部は、円形リング状の前記口部に対応する円形リング状であり、前記接着部と前記被接着部とで該円形リング状の接続部が形成される請求項1に記載の蓋ラベル。
【請求項4】
前記非接着領域が、前記蓋ラベルを前記容器から剥離する際の剥離方向の手前側に設けられ、かつ、前記環状の接続部の周方向に沿って互いに所定の間隔を空けて複数設けられている請求項1又は3に記載の蓋ラベル。
【請求項5】
前記本体部と前記把持部との接続部分に形成される角部に設けられ、前記本体部と前記把持部とを滑らかに接続して前記蓋ラベルを前記容器から剥離する際の負荷を分散させる分散部を更に備える請求項1から4の何れか一に記載の蓋ラベル。
【請求項6】
化粧料を収容した容器と、
前記容器に設けられ、該容器から化粧料を取り出す口部と、
前記口部を覆うシート状の蓋ラベルとを備え、
前記蓋ラベルは、
前記容器の口部を覆う本体部と、
前記本体部の前記容器の口部側の面に設けられ、該口部と接続される環状の接続部と、
該本体部の外縁の一部から外側に向けて突出し、該蓋ラベルを剥離する際に把持される把持部と、を備え、
前記接続部は、前記口部と接着される接着領域と、前記口部と接着されない非接着領域と、を有し、前記接着領域と前記非接着領域とが交互に配置されることで前記環状を形成する
化粧料。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−31942(P2011−31942A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−179668(P2009−179668)
【出願日】平成21年7月31日(2009.7.31)
【出願人】(000113470)ポーラ化成工業株式会社 (717)
【Fターム(参考)】