説明

蓋付き容器の包装材

【課題】蓋付き容器を囲むように設けられた筒状の熱収縮性フィルムが複数回加熱されても、その熱収縮(二次収縮)によって、蓋付き容器が変形することがないようにする。
【解決手段】食材が収容された容器本体21の開口を蓋体25で閉塞した蓋付き容器20を囲むように設けられた状態で複数回加熱される蓋付き容器の包装材において、1回目の加熱収縮で蓋付き容器20に密着する長さを有する帯状の熱収縮性フィルムで構成すると共に、両端部を接続して筒状に形成し、2回目の加熱収縮で切断される切断部5を周方向に対して直交する方向に形成すると共に、切断部5に跨って、非熱収縮性フィルムから構成される接続片10を設け、切断部5が蓋付き容器20の平面に位置するように、蓋付き容器20の角部に引っ掛けられる引掛凹部3,4を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、持帰り用の弁当、麺類、グラタンその他の食品を包装するための蓋付き容器の包装材に関する(以下、単に包装材という場合もある)。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の蓋付き容器の包装材としては、例えば、嵌合している容器本体と蓋体の少なくとも両周側面部分外周が、筒状の熱収縮性フィルムによって一体包被されているものが公知になっている(特許文献1参照)。したがって、容器本体および蓋体の周側面部分に凹凸が形成されていても、前記熱収縮性フィルムは、周側面部分に密着して、容器本体と蓋体との嵌合が維持されるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平5−10271号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の蓋付き容器の包装材の場合、食品工場において、食材が収容された容器本体の開口部を蓋体で閉塞した蓋付き容器に、前記帯封を余裕をもって囲繞した後、軽く加熱されて加熱収縮することにより、蓋付き容器に密着した状態に巻き付けて、蓋体が容器本体から外れないようにして出荷している。このため、コンビニエンスストアなどの店舗において、弁当を温め直す際、蓋付き容器体に帯封が密着して巻き付いていると、加熱された帯封が収縮しすぎ、蓋付き容器が括れた状態に変形してしまうという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題を鑑み、蓋付き容器を囲むように設けられた筒状の熱収縮性フィルムが複数回加熱されても、その熱収縮(二次収縮)によって、蓋付き容器が変形することがないようにすることができる蓋付き容器の包装材を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る蓋付き容器の包装材は、食材が収容された容器本体21の開口を蓋体25で閉塞した蓋付き容器20を囲むように設けられた状態で複数回加熱される蓋付き容器用包装材において、1回目の加熱収縮で蓋付き容器20に密着する長さを有する帯状の熱収縮性フィルムで構成されると共に、両端部が接続されて筒状に形成され、しかも、2回目の加熱収縮で切断される切断部5が周方向に対して直交する方向に形成されると共に、該切断部5に跨って接続片10が設けられることを特徴とする。
【0007】
この場合、1回目の加熱収縮で蓋付き容器20に密着する長さを有する帯状の熱収縮性フィルムの両端部が接続されて筒状に形成されると共に、周方向に対して直交する方向に切断部5が形成されているので、該熱収縮性フィルムは、切断部5と接続部3とによって、長めの帯状の領域と短めの帯状の領域とに区分される。そして、各領域は、1回目の加熱収縮の際、接続部3において同一方向に収縮する一方、切断部5において、互いに反対方向に収縮することになり、蓋付き容器20に密着することになる。一方、2回目の加熱収縮によって、さらなる熱収縮が各領域に生じることで、切断部5が切断される。この際、各領域が分断されて2つの帯状部が形成される。この際、各帯状部は、一方の各端部が接続片10によって所定の間隔をおいて接続されると共に、他方の各端部が接続部3によってその接続が維持されている。このため、分断された状態の帯状部が個別に熱収縮することになり、蓋付き容器20を変形させるような過大な収縮はなく、各帯状部が蓋付き容器20にきれいに密着することになる。
【0008】
また、本発明によれば、前記切断部5が蓋付き容器20の平面に位置するように、蓋付き容器20の角部に引っ掛けられる引掛凹部3,4,30,40を形成するような構成を採用することもできる。
【0009】
この場合、蓋付き容器20の角部に引掛凹部3,4,30,40を引っ掛けることで、切断部5が蓋付き容器20の平面に位置することになる。これによって、各帯状部の熱収縮が平面にて行われるようになるので、切断部5を切断する力が略均等に作用するようになり、円滑に切断される。即ち、熱収縮性フィルムの熱収縮によって、蓋付き容器20が変形することが防止される。
【0010】
また、本発明によれば、前記接続片10を、熱収縮性又は非熱収縮性フィルムから構成するようにしてもよい。
【0011】
接続片0が熱収縮性を有する場合は、接続片10自体が収縮しつつも、各帯状部が所定の間隔をおいて収縮するので、蓋付き容器20を変形させるような過大な収縮はなく、接続片0も蓋付き容器20に密着するようになり、蓋体25と容器本体21との嵌合が確実に維持される。また、接続片10が非熱収縮性を有する場合は、接続片10によって、各帯状部の所定の間隔が維持されつつ、各帯状部の熱収縮性が行われるので、蓋体25と容器本体21との嵌合を維持しつつ、各帯状部が蓋付き容器20にきれいに密着することになる。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように、本発明によれば、1回目の加熱収縮で蓋付き容器に密着する長さを有する帯状の熱収縮性フィルムで構成すると共に、両端部を接続して筒状に形成し、しかも、2回目の加熱収縮で切断される切断部を周方向に対して直交する方向に形成するようにしたので、2回目の熱収縮において生じる、各接続部と切断部とにおける熱収縮作用によって、筒状部が、2つの帯状部に分断されて、各帯状部がそれぞれ独立して熱収縮が行われるようになり、蓋付き容器に対する過大な収縮作用を回避することができると共に、蓋付き容器にきれいに密着させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態に係る蓋付き容器の包装材を示す斜視図。
【図2】図1の包装材を、蓋付き容器を囲むように設けた加熱前の状態を示す概略断面図。
【図3】図2の状態において、1回目の加熱を行って包装材を熱収縮させた状態を示す概略断面図。
【図4】図3の状態において、2回目の加熱を行って包装材を熱収縮させた状態を示す断面図。
【図5】両側に折り目が形成された包装材を示す断面図。
【図6】接続片の変形例を示す断面図。
【図7】摘みが形成された包装材を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係る蓋付き容器の包装材の一実施形態について HYPERLINK "http://www8.ipdl.inpit.go.jp/Tokujitu/tjitemdrw.ipdl?N0000=235&N0500=4E#N/;%3e7%3c=%3e:%3c%3c///&N0001=13&N0552=9&N0553=000003" \t "tjitemdrw" 図1〜 HYPERLINK "http://www8.ipdl.inpit.go.jp/Tokujitu/tjitemdrw.ipdl?N0000=235&N0500=4E#N/;%3e7%3c=%3e:%3c%3c///&N0001=13&N0552=9&N0553=000006" \t "tjitemdrw" 図4を参照しつつ説明する。なお、これらの図において、食材の図示は省略してある。
【0015】
本実施形態に係る蓋付き容器の包装材を説明する前に、蓋付き容器について簡単に説明する。該蓋付き容器20は、上面が開口された直方体形状の容器本体21と、該上面開口を閉塞した蓋体25とを備えている。そして、容器本体21は、上面開口部の周縁部に、折り曲げて形成された嵌合凸部22が形成されている。蓋体25は、容器本体21の嵌合凸部22に嵌合する嵌合凹部26が周縁部に形成されている。この凹凸嵌合によって、容器本体21と蓋体25は気密に閉塞されている。なお、蓋付き容器20は、図示に限定されるものではなく、例えば、平面視円形状、非円形状であってもよい。また、蓋付き容器20には、食材が収容されているものとする。
【0016】
つぎに本実施形態に係る包装材について説明する。該包装材1は、図1及び図2に示すように、蓋付き容器20を囲むように、即ち、蓋体25の上面(平面部)、容器本体21の側面部及び底面部の外方に余裕を持って略筒状に設けられる。この余裕は、包装材1の他端部に形成される折り返し片2によって構成されている。該折り返し片2は、内側に向かう第一折り返し片2aと、該第一折り返し片2aから外側に向く第二折り返し片2bとを備えている。そして、該第二折り返し片2bの端部が、包装材1の一端部に熱シールされて接続されている。この接続部3は、蓋体25の一方の角部に位置するようになっており、蓋体25の一方の角部に引っ掛けられる引掛凹部にもなっている。また、前記接続部(引掛凹部)3の反対側に、接続部3に平行するように折り目4が形成されている。この折り目4は、蓋体25の他方の角部に位置して、該角部に引っ掛けられる引掛凹部になっている。
【0017】
包装材1に余裕を持たせる理由としては、食品工場などで、1回目の加熱を行う際、即ち経路上を所定温度以上に加熱するシュリンクトンネルに蓋付き容器20の通過させる際に、熱収縮する包装材1を蓋付き容器20にきれいに密着させるためである。つまり、包装材1は、1回目の加熱によって熱収縮する際、蓋付き容器20に密着する長さを有していることになる。
【0018】
また、包装材1は、熱収縮性を有する単一な帯状のフィルムで構成されると共に、両端部が熱シールによって接続されて筒状に形成されている。包装材1の素材としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)などの延伸フィルムが採用される。
【0019】
また、包装材1は、2回目の加熱、即ちコンビニエンスストアなどの店舗において、電子レンジなどで再加熱される際、この加熱による熱収縮で切断される切断部5が周方向に対して直交する方向に形成されると共に、該切断部5に跨って接続片10が設けられている。
【0020】
切断部5は、ミシン目で構成され、周方向に対して直交する方向に直線状に形成されると共に、蓋体25の短手方向の中心線に沿うように形成されている。
【0021】
接続片10は、内側に向かう第一折り返し片10aと、該第一折り返し片10aから外側に向く第二折り返し片10bと、該第二折り返し片10bから内側に向く第三折り返し片10cとを有しており、第一折り返し片10a及び第三折り返し片10cの両端部が、包装材1の切断部5の両側に平行するように、即ち切断部5を跨ぐように、且つ、切断部5に沿うように、熱シールされている。
【0022】
そして、包装材1は、上述した各引掛凹部(接続部3及び折り目4)が蓋体25の両角部に引っ掛けられることによって、蓋体25の上面の略中央に切断部5が位置するようになっている。即ち、包装材1の各引掛凹部は、蓋付き容器20に対する包装材1の位置決め手段になっている。また、包装材1は、切断部5及び接続部3によって、長短の帯状の領域に2分されている。
【0023】
つぎに本実施形態に係る包装材1の使用態様について説明する。まず、図1の状態の包装材1、即ち折り返し片2が折り畳まれた状態の包装材1を、該折り返し片2の第一及び第二折り返し片2a,2bを引き延ばして略筒状にした包装材1を、蓋付き容器20の外方を囲むように設けると共に、各引掛凹部(接続部3及び折り目4)を蓋体25の両側の角部に引っ掛けると、包装材1は、図2に示すように、蓋体25及び容器本体21の底部に当接すると共に、蓋付き容器20の両側方において大きく撓んだ状態になる。
【0024】
但し、この撓みが大きすぎると、1回目の加熱が行われても、蓋付き容器20に密着することがなく、蓋体25が容器本体21から外れるおそれがある。一方、撓みが小さすぎると、1回目の加熱による包装材1の熱収縮によって、蓋付き容器20が括れるように変形してしまう。したがって、前記撓みは、1回目の加熱によって、蓋付き容器20が変形しない程度に、蓋付き容器20の底面及び側面、蓋体25の上面に密着するようになっている。
【0025】
そして、図2の状態で、食品工場のシュリンクトンネルに通過させて1回目の加熱が行われると、包装材1が熱収縮して、容器本体21の底面及び側面と、蓋体25の上面とに密着することになる。続いて、蓋体25の上面(平面部)に位置している包装材1の部位に、商品情報が表示される。すなわち、当該部位に商品情報を記載したラベルが貼付されたり、商品情報が印刷されたりする。この商品情報は、例えば、商品名や消費期限、価格など必要最小限とすることにより、容器本体21内に収容された食材を見やすいようにし、原材料名や製造元などの商品情報は、容器本体21の底面に表示するようにしてもよい。上記工程が完了した後、蓋体25が包装材によって外れないように固定された状態で、食品工場から出荷されて、コンビニエンスストアなどの店舗で販売される。
【0026】
つぎに店舗などで電子レンジによって2回目の加熱が行われると、熱シールされた包装材1の接続部3において、同一方向に熱収縮が行われると共に、切断部5において、互いに異なる方向に熱収縮が行われ、該切断部5が切断されて、長短の帯状部に2分される。この際、複数の折り返し片10a〜10cで構成される接続片10が引き延ばされて、各帯状部が所定の間隔をおいて接続される。即ち、2回目の加熱による分断によって、1回目の熱収縮による筒状体からのさらなる熱収縮ではなく、分断された帯状部が個別に熱収縮されるので、蓋付き容器20に対する過大な熱収縮が回避されて、蓋付き容器20に包装材1がきれいに密着することになる。
【0027】
なお、本発明は、前記実施の形態に限定することなく、特許請求の範囲に記載した発明特定事項の範囲内において種々変更することができる。例えば、熱シールされた接続部3を引掛凹部として兼用するようにしたが、図5に示す包装材1Aでは、蓋付き容器20の角部に位置するように、折り目40を形成しておき、この折り目40を引掛凹部としている。この場合、接続部30は、折り目40に対して対角の位置、蓋付き容器20の底部の角部近傍に形成する。
【0028】
また、前記実施形態の場合、接続片10を、切断部5を跨ぐように、且つ、切断部5に沿うように、複数の折り返し片10a〜10cで形成するようにしたが、所定の間隔をおいて複数設けるようにしてもよい。要は、切断部5によって切断された一対の帯状部が接続片10によって接続できればよい。
【0029】
また、前記実施形態の場合、接続片10を、複数の折り返し片10a〜10cで形成するようにしたが、図6に示すように、平板状の接続片100を円弧状に撓ませて形成するようにしてもよい。
【0030】
また、前記実施形態の場合、包装材1の両端部を熱シールして接続部3を形成するようにしたが、図7に示すように、接続部3において、包装材1の一方の端部を外方に向かって延出して、摘み1aを形成するようにしてもよい。この摘み1aによって、蓋付き容器20に密着した包装材1が接続部3から開封しやすくなる。
【符号の説明】
【0031】
1,1A…包装材、1a…摘み、2…折り返し片、2a,2b…第一,第二折り返し片、3,30…接続部(引掛凹部)、4,40…折り目(引掛凹部)、5…切断部、10,100…接続片、10a〜10c…第一〜第三折り返し片、20…蓋付き容器、21…容器本体、22…嵌合凸部、25…蓋体、26…嵌合凹部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
食材が収容された容器本体(21)の開口を蓋体(25)で閉塞した蓋付き容器(20)を囲むように設けられた状態で複数回加熱される蓋付き容器の包装材において、
1回目の加熱収縮で蓋付き容器(20)に密着する長さを有する帯状の熱収縮性フィルムで構成されると共に、両端部が接続されて筒状に形成され、しかも、2回目の加熱収縮で切断される切断部(5)が周方向に対して直交する方向に形成されると共に、該切断部(5)に跨って接続片(10)が設けられることを特徴とする蓋付き容器の包装材。
【請求項2】
前記切断部(5)が蓋付き容器(20)の平面に位置するように、蓋付き容器(20)の角部に引っ掛けられる引掛凹部(3,4,30,40)が形成されることを特徴とする請求項1に記載の蓋付き容器の包装材。
【請求項3】
前記接続片(10)は、熱収縮性又は非熱収縮性フィルムから構成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の蓋付き容器の包装材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−265022(P2010−265022A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−119920(P2009−119920)
【出願日】平成21年5月18日(2009.5.18)
【出願人】(000241186)朋和産業株式会社 (73)
【Fターム(参考)】