蓋付き容器
【課題】紙製のリクローザブル容器を提供する。
【解決手段】容器本体1と、この容器本体の開口を開閉する蓋体2とを具備する。容器本体と、蓋体とが、紙を主材料とする紙シートで各々形成され、蓋体には容器本体の上部内面5に繰り返し嵌入可能な凸部4が形成される。容器本体及び蓋体が紙を主体に形成されるので、リサイクル性、遮光性に優れ、環境性に優れる。また、蓋体には容器本体の上部内面に繰り返し嵌入可能な凸部が形成されたことから、容器に再封性を与えることができ、内容物の保存性を高めることができる。
【解決手段】容器本体1と、この容器本体の開口を開閉する蓋体2とを具備する。容器本体と、蓋体とが、紙を主材料とする紙シートで各々形成され、蓋体には容器本体の上部内面5に繰り返し嵌入可能な凸部4が形成される。容器本体及び蓋体が紙を主体に形成されるので、リサイクル性、遮光性に優れ、環境性に優れる。また、蓋体には容器本体の上部内面に繰り返し嵌入可能な凸部が形成されたことから、容器に再封性を与えることができ、内容物の保存性を高めることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙を主材料とする紙シートで形成された蓋付き容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、粒状のガム、サプリメント、チョコレート等の包装には、専ら樹脂系の容器が用いられている。樹脂系の容器は初期密封性、リクローズ性、水蒸気バリア性等の機能面で優れていることによる。
【0003】
また、この種の容器は、容器本体の開口を蓋体で繰り返し開閉することができるようになっている。一般に、容器本体と蓋体(例えば、特許文献1参照。)の双方がそれぞれ樹脂で成形された後に連結され一体化される。
【0004】
蓋体は、円盤形の上蓋と、その周縁から垂下する引き裂きリングと、引き裂きリング下から垂下する固定リングと、上蓋を固定リングに連結するヒンジとを具備する。引き裂きリングはピルファープルーフ部として機能するもので、上蓋と固定リングとに環状薄肉部を介して連結される。ヒンジは引き裂きリングを上下方向に横断するように設けられる。また、上蓋の内周面には、容器本体の外周面に形成された環状溝に嵌り込む環状突起が形成され、上蓋の天井面には薄肉の環状垂下壁が設けられる。
【0005】
この蓋体が、粒状のガム等の内容物が充填された容器本体に被せられ、固定リングが容器本体の開口の回りに嵌め込まれることによって、容器本体と一体化される。また、上蓋の環状突起が蓋本体の環状溝に嵌り込んで容器本体内を密封する。
【0006】
この容器は、使用者によって引き裂きリングが蓋体から引き裂かれ除去されることによって開封可能とされ、上蓋の環状突起が蓋本体の環状溝から離脱するように蓋体を開くことによって容器本体の開口が開放される。蓋体はヒンジによって連結されており、ヒンジの弾性力によって容器本体の開口を閉じようとするが、環状薄肉部が容器本体の開口縁に当接して蓋体の閉蓋位置への復帰を阻み、蓋体を開蓋状態に保持する。これにより、使用者は内容物を容器本体内から簡易に取り出すことができる。使用者が内容物を取り出した後、蓋体を容器本体に被せて押圧すれば、上蓋の環状突起が蓋本体の環状溝に嵌り込み、再び容器本体が密封される。
【0007】
また、粒状の内容物の包装には紙カップ(例えば、特許文献2参照。)が用いられることもある。この場合は、紙カップ内に粒状の内容物が充填された後、紙カップの開口縁にアルミニウム箔等の蓋シートが接着されることにより紙カップが密封される。使用者は蓋シートを紙カップの開口縁から剥し取って、内容物を容器本体内から取り出すことができる。
【0008】
【特許文献1】特開2006−117308号公報
【特許文献2】特開2007−230592号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述した従来の樹脂系の容器は、樹脂で作られているがゆえにリサイクル性、遮光性等が問題視されるようになってきた。紙カップは紙で出来ているので樹脂系の容器のような欠点は小さいが、再封性がなく、内容物の保存性に欠けるという問題がある。
【0010】
また、上記樹脂系の容器は開封後も蓋体で容器本体を再び閉じることができるが、蓋体を開けた際にヒンジの弾性力によって蓋体が自閉しようとするので、中味を取り出し難いという問題がある。そのため、上述したような薄肉の環状垂下壁を別途設けて蓋体を開いた状態に保持しなければならない。
【0011】
本発明は、上記問題点を解消することができる蓋付き容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、本発明は次のような構成を採用する。
【0013】
なお、理解を容易にするため参照符号をかっこ書で付するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0014】
すなわち、請求項1に係る発明は、容器本体(1)と、この容器本体(1)の開口を開閉する蓋体(2)とを具備した蓋付き容器において、上記容器本体(1)と、上記蓋体(2)とが、紙を主材料とする紙シートで各々形成され、上記蓋体(2)には上記容器本体(1)の上部内面(5)に繰り返し嵌合可能な凸部(4)が形成されたことを特徴とする。
【0015】
請求項2に記載されるように、請求項1に記載の蓋付き容器において、上記蓋体(2)を上記容器本体(1)に屈曲自在に連結するヒンジ片(8,12)が、上記蓋体(2)を構成する紙シート上に形成されたものとしてもよい。
【0016】
請求項3に記載されるように、請求項2に記載の蓋付き容器において、上記ヒンジ片(8)が上記蓋体(2)を構成する紙シート上に折れ線(8a)を介して区分けされ、このヒンジ片(8)が上記容器本体(1)に連結されることによって、上記蓋体(2)が上記折れ線(8a)上で屈曲自在とされたものとすることも可能である。
【0017】
請求項4に記載されるように、請求項2に記載の蓋付き容器において、上記ヒンジ片(12)が上記蓋体(2)の周縁から突出するように形成され、このヒンジ片(12)が上記容器本体(1)に連結されることによって、上記蓋体(2)が上記ヒンジ片(12)を介して屈曲自在とされたものとしてもよい。
【0018】
請求項5に記載されるように、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の蓋付き容器において、上記容器本体(1)が円筒形に形成され、この円筒形の一端の内周面が上記蓋体(2)の凸部(4)と嵌合されるものとすることができる。
【0019】
請求項6に記載されるように、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の蓋付き容器において、上記容器本体(1)が円筒形に形成され、この円筒形の一端に内向きトップカール部(3)が形成され、この内向きトップカール部(3)の内周面が上記蓋体(2)の凸部(4)と嵌合されるものとすることができる。
【0020】
請求項7に記載されるように、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の蓋付き容器において、上記容器本体(1)が円筒形に形成され、この円筒形の一端に外向きトップカール部(14)が形成され、この外向きトップカール部(14)の内周面が上記蓋体(2)の凸部(4)と嵌合されるものとすることができる。
【0021】
請求項8に記載されるように、請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の蓋付き容器において、上記容器本体(1)の蓋体(2)で閉じられた開口の奥側がインナーシール部(9,13)で密封されたものであってもよい。
【0022】
請求項9に記載されるように、請求項8に記載の蓋付き容器において、上記インナーシール部(13)がイージーピール層を介して上記容器本体(1)に接合されたものであってもよい。
【0023】
請求項10に記載されるように、請求項8に記載の蓋付き容器において、上記インナーシール部(9)が少なくとも内外二層の積層体(9a,9b)で形成され、外層(9a)に摘み部(11)及び引き裂き部(10)が切り込み線(10a,10b)によって形成され、外層(9a)の引き裂き部(10)を引き裂くことによって、内層(9b)も同時に引き裂かれるように形成されたものとしてもよい。
【0024】
請求項11に記載されるように、請求項1乃至請求項10のいずれかに記載の蓋付き容器において、上記蓋体(2)の内面に水蒸気吸着層が設けられたものであってもよい。
【発明の効果】
【0025】
請求項1に係る発明によれば、容器本体(1)と、この容器本体(1)の開口を開閉する蓋体(2)とを具備した蓋付き容器において、上記容器本体(1)と、上記蓋体(2)とが、紙を主材料とする紙シートで各々形成され、上記蓋体(2)には上記容器本体(1)の上部内面(5)に繰り返し嵌合可能な凸部(4)が形成されたものであって、容器本体(1)及び蓋体(2)が紙を主体に形成される。したがって、リサイクル性、遮光性に優れ、環境性に優れた容器とすることができる。また、蓋体(2)には容器本体(1)の上部内面(5)に繰り返し嵌入可能な凸部(4)が形成されたことから、容器に再封性を与えることができ、内容物の保存性を高めることができる。また、蓋体(2)の凸部(4)が容器本体(1)の上部内面(5)に収まるようになっているので、容器からの突起物が少なくなるという利点がある。
【0026】
請求項2に記載されるように、請求項1に記載の蓋付き容器において、上記蓋体(2)を上記容器本体(1)に屈曲自在に連結するヒンジ片(8,12)が、上記蓋体(2)を構成する紙シート上に形成されたものとした場合は、従来の樹脂製の容器におけるようなヒンジ片の弾性力によって蓋が自然に閉るようなことはなく、ヒンジ片の紙の折癖によって、蓋体(2)の開状態を保持することができ、したがって、中身の取り出しを簡易に行うことができる。
【0027】
請求項3に記載されるように、請求項2に記載の蓋付き容器において、上記ヒンジ片(8)が上記蓋体(2)を構成する紙シート上に折れ線(8a)を介して区分けされ、このヒンジ片(8)が上記容器本体(1)に連結されることによって、上記蓋体(2)が上記折れ線(8a)上で屈曲自在とされたものとした場合は、蓋体(2)の一部を利用してヒンジ片を形成することができ、したがって、蓋体(2)の大型化を防止することができる。
【0028】
請求項4に記載されるように、請求項2に記載の蓋付き容器において、上記ヒンジ片(12)が上記蓋体(2)の周縁から突出するように形成され、このヒンジ片(12)が上記容器本体(1)に連結されることによって、上記蓋体(2)が上記ヒンジ片(12)を介して屈曲自在とされたものとした場合は、蓋体(2)がさらに開閉しやすくなる。
【0029】
請求項5に記載されるように、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の蓋付き容器において、上記容器本体(1)が円筒形に形成され、この円筒形の一端の内周面(5)が上記蓋体(2)の凸部(4)と嵌合されるものとされた場合は、凸部(4)と嵌合する箇所を容器本体(1)の内壁面で代替することができるので、容器本体(1)の構造を簡素化することができる。
【0030】
請求項6に記載されるように、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の蓋付き容器において、上記容器本体(1)が円筒形に形成され、この円筒形の一端に内向きトップカール部(3)が形成され、この内向きトップカール部(3)の内周面(5)が上記蓋体(2)の凸部(4)と嵌合されるものとされた場合は、容器本体(1)の外周面からの突出物を出来るだけ解消することができる。また、内向きトップカール部(3)によって凸部(4)と容器本体(1)との係合力を高め、蓋体(2)の閉止力を高めることができる。
【0031】
請求項7に記載されるように、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の蓋付き容器において、上記容器本体(1)が円筒形に形成され、この円筒形の一端に外向きトップカール部(14)が形成され、この外向きトップカール部(14)の内周面(5)が上記蓋体(2)の凸部(4)と嵌合されるものとされた場合は、外向きトップカール部(14)を容器本体(1)から突出させることで、容器本体(1)の保護体とすることができる。
【0032】
請求項8に記載されるように、請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の蓋付き容器において、上記容器本体(1)の蓋体(2)で閉じられた開口の奥側がインナーシール部(9,13)で密封されたものとした場合は、容器の初期の密封性を更に高めることができる。
【0033】
請求項9に記載されるように、請求項8に記載の蓋付き容器において、上記インナーシール部(13)がイージーピール層を介して上記容器本体(1)に接合されたものとした場合は、容器の開封のための操作性が向上する。
【0034】
請求項10に記載されるように、請求項8に記載の蓋付き容器において、上記インナーシール部(9)が少なくとも内外二層の積層体(9a,9b)で形成され、外層(9a)に摘み部(11)及び引き裂き部(10)が切り込み線(10a,10b)によって形成され、外層(9a)の引き裂き部(10)を引き裂くことによって、内層(9b)も同時に引き裂かれるように形成されたものとした場合は、容器の密封性と開封のための操作性が更に向上する。
【0035】
請求項11に記載されるように、請求項1乃至請求項10のいずれかに記載の蓋付き容器において、上記蓋体(2)の内面に水蒸気吸着層が設けられたものとした場合は、容器本体(1)や蓋体(2)を透過する水蒸気を除去し、内容物を保護することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、本発明の最良の形態について図面に基づいて説明する。
【0037】
<実施の形態1>
図1及び図2に示すように、この蓋付き容器は、容器本体1と、この容器本体1の開口を開閉する蓋体2とを具備する。
【0038】
この容器本体1は、紙を主材料とする紙シートを円筒形に巻回し、その両端を重ね合わせて接着することにより形成される。その他、紙シートをスパイラル状に巻いたスパイラル管によって形成することも可能である。また、容器本体1はテーパの付いた又は逆テーパの付いた円筒形に形成することも可能である。
【0039】
紙シートとしては、例えば次のような層構成のものを使用することができる。
【0040】
なお、層構成は最初に掲げる層が容器本体の表面側であり、最後に掲げる層が容器本体の内面側である。紙シートを円筒形に巻回し、その両端を接着する場合は、例えば紙シートの最内層と最外層のポリエチレン樹脂層が熱接着剤として使用される。
【0041】
ポリエチレン樹脂層/紙層/ポリエチレン樹脂層、ポリエチレンテレフタレート樹脂/紙層/ポリエチレン樹脂層、ポリエチレン樹脂層/ポリエチレンテレフタレート樹脂/紙層/ポリエチレン樹脂層、高密度ポリエチレン樹脂層(フィルム)/ポリエチレン樹脂層/紙層/ポリエチレン樹脂層、発泡ポリエチレン樹脂層/紙層/ポリエチレン樹脂層、ポリプロピレン樹脂層/紙層/ポリプロピレン樹脂層、ポリエチレン樹脂層/紙層/ポリエステル樹脂層、ポリエステル樹脂層/紙層/ポリエステル樹脂層、ポリエチレン樹脂層/紙層/エチレン−アクリル酸共重合体層/アルミニウム箔/ポリエチレン樹脂層、ポリエチレン樹脂層/紙層/ポリエチレン層/ポリエステル層/ポリエチレン樹脂層、ポリエチレン樹脂層/紙層/ポリエチレン層/ポリエステル層/ポリエチレン樹脂層(フィルム)、ポリエチレン樹脂層/紙層/ポリエチレン層/アルミニウム箔/二軸延伸ポリエステル層/ポリエチレン樹脂層、ポリエチレン樹脂層/紙層/ポリエチレン層/蒸着アルミ層/ポリエステル層/ポリエチレン樹脂層、ポリエチレン樹脂層/紙層/ポリエチレン樹脂層/シリカ蒸着層/ポリエステル層/ポリエチレン樹脂層(フィルム)、紙のみ、紙層/ポリエチレン樹脂層。
【0042】
容器本体1の円筒形の上端はこの蓋付き容器の開口とされ、そこには内向きトップカール部3が形成される。この内向きトップカール部3の内周面が、蓋体2の後述する凸部4が嵌り込む容器本体1の上部内面5とされる。
【0043】
この内向きトップカール部3によって容器本体1が補強される。また、トップカール部3が内向きに設けられることから、容器本体1の外周面からの突出物が低減する。
【0044】
容器本体1の底は、底蓋6で閉じられる。底蓋6も上記紙シートで円板型に形成され、容器本体1の下端に巻き締め等により取り付けられる。
【0045】
蓋体2は、容器本体1を構成する紙シートと同様な紙シートから打ち抜き等により円板型に形成される。このように、蓋体2が上記容器本体1と共に紙を主体に形成されることから、この蓋付き容器は、リサイクル性、遮光性に優れ、廃棄の際も環境性に優れた容器となる。
【0046】
上記蓋体2の紙シートからの打ち抜きの際に、摘み片7も一体的に形成される。摘み片7は例えば舌状に形成され、蓋体2が容器本体1に被せられた時に容器本体1の側面に引き剥がし可能に接着剤等により貼着される。この摘み片7は指で摘みやすいので、この蓋付き容器に易開封性を与えることができ、また、ピルファープルーフとして機能させることが可能である。
【0047】
蓋体2には、容器本体1の上部内面5に繰り返し嵌入可能な凸部4が形成される。凸部4は、上記紙シートを例えばプレス成形によって絞ることにより凹型に形成される。この凹型に形成されたものの開口縁が、蓋体2の天井面に接着剤等により接着されることによって蓋体2に凸部が形成される。図示しないが、凸部4の開口縁にフランジ部を形成してこのフランジ部を蓋体2の天井面に接着してもよい。
【0048】
この蓋体2が容器本体1に開口の上から被せられると、図2に示すように、蓋体2の凸部4の外周面が容器本体1の上部内面5に密着する。これにより、蓋体2が容器本体1に大きな係合力によって固定され、蓋体2の閉止力が高められる。また、蓋体2の凸部4は容器本体1の上部内面5に繰り返し嵌入可能である。これにより、この蓋付き容器に再封性が与えられ、容器本体1内に収納された内容物aの保存性が向上する。また、蓋体2の凸部4は容器本体1の上部内面5内に収まるようになっているので、容器本体1から外部への突出物が少なくなる。
【0049】
なお、凸部4や蓋体2を形成する紙シートには、水蒸気吸着剤を含有する塗料を印刷等により塗布することによって水蒸気吸着層を予め形成しておくのが望ましい。これにより、蓋体2や容器本体1の紙層を透過する水蒸気を水蒸気吸着層で吸着し、容器本体1内の内容物aを湿気から保護することができる。
【0050】
上記蓋体2は、図1及び図2に示すように、上記容器本体1にヒンジ片8によって連結される。このヒンジ片8は蓋体2を構成する紙シート上に屈曲自在に形成される。図3に示すように、蓋体2を開けると、ヒンジ片8が折れ曲がり、図4に示すように蓋体2から手を放しても、紙の折癖によって蓋体2の開放状態が保持され、したがって、中身の内容物aの取り出しを簡易に行うことができる。
【0051】
上記ヒンジ片8は、より具体的には、図1及び図2に示すように、蓋体2を構成する紙シート上に折れ線8aを介して区分けされることによって形成される。折れ線8aは紙シートから蓋体2を打ち抜く際に同時に形成される。このヒンジ片8の縁が上記容器本体1の内向きトップカール部3の頂面に接着剤によって接合される。このように蓋体2の一部を利用してヒンジ片8が形成されることから、別途ヒンジを設ける必要がなく、蓋体2の大型化が防止される。
【0052】
開蓋に際しては、図3に示すように、蓋体2が折れ線8a上で折れ曲がり、折れ線8aの箇所に折癖が付けられる。また、開蓋の際に上記凸部4のヒンジ片8に対向した箇所がヒンジ片8から剥がれる。なお、このヒンジ片8に対応する箇所には凸部4を接着しないようにしておくことも可能である。このように蓋体2を開いた後も、蓋体2はヒンジ片8を介して容器本体1に屈曲自在に保持される。
【0053】
図2に示すように、容器本体1における蓋体2で閉じられた開口の奥側が、インナーシール部9で密封される。インナーシール部9は、必要に応じて設けられるもので、インナーシール部9が設けられることによって容器本体1の初期の密封性が高められる。
【0054】
図6に示すように、インナーシール部9はその展開平面が容器本体1の開口に対応するように円盤型に形成される。
【0055】
このインナーシール部9は、図7(A)に示すように、少なくとも内外二層の積層体で形成される。外層9aは例えばバリアフィルム/オレフィン系樹脂層の積層構造を有し、内層9bは例えばオレフィン系樹脂層/紙層/オレフィン系樹脂層の積層構造を有し、オレフィン系樹脂層同士を溶着させることにより、内外二層が重ね合わされる。
【0056】
また、外層9aには、図6及び図7(A)に示すように、引き裂き部10が切り込み線10a,10bによって形成される。切り込み線10a,10bは大小二つの円に沿って設けられ、二つの円間に環状の引き裂き部10が形成される。また、環状の引き裂き部10を横断する切り込み線10cも設けられ、この切り込み線10cによって環状の引き裂き部10に摘み部11が形成される。これらの切り込み線10a,10b,10cは望ましくはミシン目状に形成されるが、連続線として形成することも可能である。
【0057】
このインナーシール部9は、図6及び図7(A)中、二点鎖線よりも外側の部分が接着代9aとして例えば超音波により容器本体1の内周面にヒートシール接着される。
【0058】
インナーシール部9の開封に際しては、指等で摘み部11を切り込み線10cに沿って引き裂き、引き続き摘み部11を引っ張ることによって、図7(B)に示すように、環状の引き裂き部10がインナーシール部9から切除される。これにより、インナーシール部9が開封される。
【0059】
なお、上記容器本体1、蓋体2、インナーシール部9に使用される紙シートのオレフィン系樹脂層、紙層、フィルム等所望の層には、必要に応じて所望の内容が印刷等によって外部から視認可能に表示される。
【0060】
次に、上記構成の蓋付き容器の作用について説明する。
【0061】
図1及び図2に示す容器本体1及び蓋体2が用意され、また、図6に示すインナーシール部9のブランクが用意される。
【0062】
図2に示すように、まず、容器本体1内に粒状ガム等の内容物aが充填された後に、その開口がインナーシール部9によって閉じられる。インナーシール部9は、容器本体1内にその開口から挿入され、図6及び図7(A)に示す二点鎖線から外側のシール代9aが容器本体1の内面に押し付けられた後、超音波シール等により容器本体1の内面に接着される。
【0063】
次いで、蓋体2が容器本体1の開口に被せられ、容器本体1の内向きトップカール部3によって形成される内面5に蓋体2の凸部4が嵌め込まれる。また、同時に蓋体2内に設けられたヒンジ片8がトップカール部3に接着剤等により貼着され、摘み片7が容器本体1の側面に貼着される。この摘み片7は、必要に応じて容器本体1の側面に貼着することなく、解放状態にしておいてもよい。
【0064】
これにより、蓋付き容器の組立が完了し、市場に出荷される。
【0065】
この蓋付き容器の購入者等は、内容物aの取り出しに際し、図1および図2の状態において、摘み片7を容器本体1の側面から剥し、図3に示すように、蓋体2を容器本体1の開口の上方に持ち上げる。
【0066】
この際、摘み片7がピルファープルーフ手段として機能するので、購入者等は摘み片7の状態を確認することで蓋付き容器が正常であるか否かについて判別することができる。
【0067】
購入者等が蓋体2を容器本体1の開口の上方に持ち上げると、図3に示すように、ヒンジ片8の折れ線8a上で蓋体2が折れ曲がる。また、蓋体2の凸部4が容器本体1の内向きトップカール部3の内面5から離脱すると同時に、凸部4がヒンジ片8に接着されている場合は、その部分のみヒンジ片8から剥がれる。これにより、容器本体1の開口が開放される。また、同時にヒンジ片8の折れ線8aに折癖が付けられる。
【0068】
購入者等が蓋体2から指を離して蓋体2を解放すると、折れ線8aの折癖によって、図4に示すように、蓋体2が開放状態に保持される。
【0069】
そこで、購入者等が図7(A)に示す摘み部11に指を引掛ける等して摘み部11を切り込み線10cに沿って引き裂き、さらに摘み部11を引っ張ることによって、同図(B)の如く環状の引き裂き部10をインナーシール部9から切除する。これにより、図4の如くインナーシール部9が開封され、購入者等は内容物aを容器本体1から取り出すことができる。
【0070】
その後、購入者等が指で蓋体2を容器本体1の開口側に押し付けるようにすると、図5に示すように、蓋体2の凸部4が容器本体1の上部内面5内に嵌り込み、その嵌合力によって蓋体2が容器本体1に対する閉位置に拘束される。これにより、蓋体2は購入者等によって再び開けられるまでその閉状態を維持する。
【0071】
購入者等が再度内容物aを容器本体1から取り出そうとするときは、蓋体2を図3に示す如く持ち上げればよく、持ち上げられた蓋体2は図4に示す如く折れ線8aの折癖によって開放状態を保持する。このため、購入者等は簡易に内容物aを容器本体1から取り出すことができる。
【0072】
内容物aを取り出した後は、蓋体2を容器本体1の開口側に押し付けるようにすればよく、図5に示すように、蓋体2の凸部4が再び容器本体1の上部内面5内に嵌り込み、その嵌合力によって蓋体2が容器本体1に閉姿勢のまま拘束される。
【0073】
かくて、この蓋付き容器は開封後も内容物aを適正に保存することができる。また、蓋体2による容器本体1の繰り返し開閉が可能であるから、内容物aの小出しが可能になる。また、この蓋付き容器は紙シートで作られているので、廃棄処分も簡易に行うことができ、リサイクル化も可能である。
【0074】
<実施の形態2>
図8及び図9に示すように、この実施の形態2に係る蓋付き容器においては、ヒンジ片12が蓋体2の周縁から突出するように紙シート上に形成される。
【0075】
蓋体2は容器本体1にその開口上から被せられ、ヒンジ片12と摘み片7とが容器本体1の側面に貼着されることによって容器本体1に閉じ状態で固定される。
【0076】
摘み片7を容器本体1から剥し、図10に示すように、蓋体2を開けると、ヒンジ片12が折れ曲がり、蓋体2から手を放しても蓋体2の自重によって蓋体2の開放状態が保持される。したがって、中身の内容物aの取り出しを簡易に行うことができる。
【0077】
容器本体1における蓋体2の奥側にはインナーシール部13が設けられる。この実施の形態2におけるインナーシール部13は、例えばバリアフィルム/イージーピール層の積層構造を有する円形ブランクとして形成される。図9に示すように、インナーシール部13の外周には突出片13aが設けられる。
【0078】
この蓋付き容器の購入者等は、内容物aの取り出しに際し、図8および図9の状態において、摘み片7を容器本体1の側面から剥し、図10に示すように、蓋体2を容器本体1の開口の上方に持ち上げヒンジ片12を支点にして容器本体1と反対側へと回すと、蓋体2はその自重により開放状態に保持される。
【0079】
そこで、購入者等がインナーシール部13の突出片13aに指を掛ける等して引っ張ると、インナーシール部13の全体が容器本体1から剥ぎ取られる。
【0080】
これにより、図10の如く容器本体1の開口が開き、購入者等は内容物aを容器本体1から取り出すことができる。
【0081】
その後、購入者等が蓋体2を、ヒンジ片12を支点にして容器本体1の開口側に回し、蓋体2を容器本体1の開口側に押圧すると、図11に示すように、蓋体2の凸部4が容器本体1の上部内面5内に嵌り込み、その嵌合力によって蓋体2が閉位置に拘束される。これにより、蓋体2は購入者等によって再び開けられるまでその閉状態を維持する。
【0082】
購入者等が再度内容物aを容器本体1から取り出そうとするときは、蓋体2を図10に示す如く開ければよく、開けられた蓋体2はその自重によって開放状態を保持する。このため、購入者等は簡易に内容物aを容器本体1から取り出すことができる。
【0083】
内容物aを取り出した後は、蓋体2を容器本体1上へと回して開口側に押し付けるようにすればよく、図11に示すように、蓋体2の凸部4が再び容器本体1の上部内面5内に嵌り込み、その嵌合力によって蓋体2が閉位置に拘束される。
【0084】
その他、実施の形態2において、実施の形態1と同じ部分には同じ符号を付して示すことしし、その詳細な説明を省略する。
【0085】
<実施の形態3>
図12に示すように、この実施の形態3に係る蓋付き容器においては、実施の形態1,2と異なり、容器本体1の上端に外向きトップカール部14が形成され、この外向きトップカール部14の内周面が蓋体2の凸部4が嵌合する内面5とされる。
【0086】
蓋体2は実施の形態1の場合と同様な構成であるが、その摘み片7は外向きトップカール部14の容器本体壁から半径方向外側に突出した箇所に貼着されるので、開封時に摘み片7を剥しやすくなるという利点がある。また、外向きトップカール部14を容器本体1から半径方向外側に突出させることで、外向きトップカール部14を容器本体1の保護体とすることができるという利点がある。
【0087】
その他、実施の形態3において、実施の形態1、2と同じ部分には同じ符号を付して示すこととし、その詳細な説明を省略する。
【0088】
<実施の形態4>
図13に示すように、この実施の形態4に係る蓋付き容器においては、実施の形態1,2,3と異なり、円筒形の容器本体1からトップカール部3,14が省略され、この容器本体1の円筒壁の内周面が蓋体2の凸部4が嵌合する内面5とされる。
【0089】
蓋体2及びヒンジ片12は実施の形態2の蓋体2と同じ構造のものが採用され、インナーシール部9は実施の形態1のものと同じ構造のものが採用される。
【0090】
その他、実施の形態3において、実施の形態1、2と同じ部分には同じ符号を付して示すこととし、その詳細な説明を省略する。
【0091】
なお、本発明は上記実施の形態1〜4に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明の実施の形態1に係る蓋付き容器の斜視図である。
【図2】図1中、II−II線矢視断面図である。
【図3】蓋付き容器の初期開蓋状態の断面図である。
【図4】インナーシール部が開封され、蓋体が開放状態に保持された状態を示す断面図である。
【図5】蓋体が再封された状態を示す断面図である。
【図6】インナーシール部の展開平面図である。
【図7】(A)は図6中、VII−VII線矢視断面図、(B)は開封時における同様な断面図である。
【図8】本発明の実施の形態2に係る蓋付き容器の斜視図である。
【図9】図8中、IX−IX線矢視断面図である。
【図10】インナーシール部が除去され、蓋体が開放状態に保持された状態を示す断面図である。
【図11】蓋体が再封された状態を示す断面図である。
【図12】本発明の実施の形態3に係る蓋付き容器の図2と同様な断面図である。
【図13】本発明の実施の形態4に係る蓋付き容器の図9と同様な断面図である。
【符号の説明】
【0093】
1…容器本体
2…蓋体
3…内向きトップカール部
4…凸部
5…容器本体の上部内面
8,12…ヒンジ片
8a…折れ線
9,13…インナーシール部
9a…外層
9b…内層
10…引き裂き部
10a,10b…切り込み線
14…外向きトップカール部
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙を主材料とする紙シートで形成された蓋付き容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、粒状のガム、サプリメント、チョコレート等の包装には、専ら樹脂系の容器が用いられている。樹脂系の容器は初期密封性、リクローズ性、水蒸気バリア性等の機能面で優れていることによる。
【0003】
また、この種の容器は、容器本体の開口を蓋体で繰り返し開閉することができるようになっている。一般に、容器本体と蓋体(例えば、特許文献1参照。)の双方がそれぞれ樹脂で成形された後に連結され一体化される。
【0004】
蓋体は、円盤形の上蓋と、その周縁から垂下する引き裂きリングと、引き裂きリング下から垂下する固定リングと、上蓋を固定リングに連結するヒンジとを具備する。引き裂きリングはピルファープルーフ部として機能するもので、上蓋と固定リングとに環状薄肉部を介して連結される。ヒンジは引き裂きリングを上下方向に横断するように設けられる。また、上蓋の内周面には、容器本体の外周面に形成された環状溝に嵌り込む環状突起が形成され、上蓋の天井面には薄肉の環状垂下壁が設けられる。
【0005】
この蓋体が、粒状のガム等の内容物が充填された容器本体に被せられ、固定リングが容器本体の開口の回りに嵌め込まれることによって、容器本体と一体化される。また、上蓋の環状突起が蓋本体の環状溝に嵌り込んで容器本体内を密封する。
【0006】
この容器は、使用者によって引き裂きリングが蓋体から引き裂かれ除去されることによって開封可能とされ、上蓋の環状突起が蓋本体の環状溝から離脱するように蓋体を開くことによって容器本体の開口が開放される。蓋体はヒンジによって連結されており、ヒンジの弾性力によって容器本体の開口を閉じようとするが、環状薄肉部が容器本体の開口縁に当接して蓋体の閉蓋位置への復帰を阻み、蓋体を開蓋状態に保持する。これにより、使用者は内容物を容器本体内から簡易に取り出すことができる。使用者が内容物を取り出した後、蓋体を容器本体に被せて押圧すれば、上蓋の環状突起が蓋本体の環状溝に嵌り込み、再び容器本体が密封される。
【0007】
また、粒状の内容物の包装には紙カップ(例えば、特許文献2参照。)が用いられることもある。この場合は、紙カップ内に粒状の内容物が充填された後、紙カップの開口縁にアルミニウム箔等の蓋シートが接着されることにより紙カップが密封される。使用者は蓋シートを紙カップの開口縁から剥し取って、内容物を容器本体内から取り出すことができる。
【0008】
【特許文献1】特開2006−117308号公報
【特許文献2】特開2007−230592号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述した従来の樹脂系の容器は、樹脂で作られているがゆえにリサイクル性、遮光性等が問題視されるようになってきた。紙カップは紙で出来ているので樹脂系の容器のような欠点は小さいが、再封性がなく、内容物の保存性に欠けるという問題がある。
【0010】
また、上記樹脂系の容器は開封後も蓋体で容器本体を再び閉じることができるが、蓋体を開けた際にヒンジの弾性力によって蓋体が自閉しようとするので、中味を取り出し難いという問題がある。そのため、上述したような薄肉の環状垂下壁を別途設けて蓋体を開いた状態に保持しなければならない。
【0011】
本発明は、上記問題点を解消することができる蓋付き容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、本発明は次のような構成を採用する。
【0013】
なお、理解を容易にするため参照符号をかっこ書で付するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0014】
すなわち、請求項1に係る発明は、容器本体(1)と、この容器本体(1)の開口を開閉する蓋体(2)とを具備した蓋付き容器において、上記容器本体(1)と、上記蓋体(2)とが、紙を主材料とする紙シートで各々形成され、上記蓋体(2)には上記容器本体(1)の上部内面(5)に繰り返し嵌合可能な凸部(4)が形成されたことを特徴とする。
【0015】
請求項2に記載されるように、請求項1に記載の蓋付き容器において、上記蓋体(2)を上記容器本体(1)に屈曲自在に連結するヒンジ片(8,12)が、上記蓋体(2)を構成する紙シート上に形成されたものとしてもよい。
【0016】
請求項3に記載されるように、請求項2に記載の蓋付き容器において、上記ヒンジ片(8)が上記蓋体(2)を構成する紙シート上に折れ線(8a)を介して区分けされ、このヒンジ片(8)が上記容器本体(1)に連結されることによって、上記蓋体(2)が上記折れ線(8a)上で屈曲自在とされたものとすることも可能である。
【0017】
請求項4に記載されるように、請求項2に記載の蓋付き容器において、上記ヒンジ片(12)が上記蓋体(2)の周縁から突出するように形成され、このヒンジ片(12)が上記容器本体(1)に連結されることによって、上記蓋体(2)が上記ヒンジ片(12)を介して屈曲自在とされたものとしてもよい。
【0018】
請求項5に記載されるように、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の蓋付き容器において、上記容器本体(1)が円筒形に形成され、この円筒形の一端の内周面が上記蓋体(2)の凸部(4)と嵌合されるものとすることができる。
【0019】
請求項6に記載されるように、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の蓋付き容器において、上記容器本体(1)が円筒形に形成され、この円筒形の一端に内向きトップカール部(3)が形成され、この内向きトップカール部(3)の内周面が上記蓋体(2)の凸部(4)と嵌合されるものとすることができる。
【0020】
請求項7に記載されるように、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の蓋付き容器において、上記容器本体(1)が円筒形に形成され、この円筒形の一端に外向きトップカール部(14)が形成され、この外向きトップカール部(14)の内周面が上記蓋体(2)の凸部(4)と嵌合されるものとすることができる。
【0021】
請求項8に記載されるように、請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の蓋付き容器において、上記容器本体(1)の蓋体(2)で閉じられた開口の奥側がインナーシール部(9,13)で密封されたものであってもよい。
【0022】
請求項9に記載されるように、請求項8に記載の蓋付き容器において、上記インナーシール部(13)がイージーピール層を介して上記容器本体(1)に接合されたものであってもよい。
【0023】
請求項10に記載されるように、請求項8に記載の蓋付き容器において、上記インナーシール部(9)が少なくとも内外二層の積層体(9a,9b)で形成され、外層(9a)に摘み部(11)及び引き裂き部(10)が切り込み線(10a,10b)によって形成され、外層(9a)の引き裂き部(10)を引き裂くことによって、内層(9b)も同時に引き裂かれるように形成されたものとしてもよい。
【0024】
請求項11に記載されるように、請求項1乃至請求項10のいずれかに記載の蓋付き容器において、上記蓋体(2)の内面に水蒸気吸着層が設けられたものであってもよい。
【発明の効果】
【0025】
請求項1に係る発明によれば、容器本体(1)と、この容器本体(1)の開口を開閉する蓋体(2)とを具備した蓋付き容器において、上記容器本体(1)と、上記蓋体(2)とが、紙を主材料とする紙シートで各々形成され、上記蓋体(2)には上記容器本体(1)の上部内面(5)に繰り返し嵌合可能な凸部(4)が形成されたものであって、容器本体(1)及び蓋体(2)が紙を主体に形成される。したがって、リサイクル性、遮光性に優れ、環境性に優れた容器とすることができる。また、蓋体(2)には容器本体(1)の上部内面(5)に繰り返し嵌入可能な凸部(4)が形成されたことから、容器に再封性を与えることができ、内容物の保存性を高めることができる。また、蓋体(2)の凸部(4)が容器本体(1)の上部内面(5)に収まるようになっているので、容器からの突起物が少なくなるという利点がある。
【0026】
請求項2に記載されるように、請求項1に記載の蓋付き容器において、上記蓋体(2)を上記容器本体(1)に屈曲自在に連結するヒンジ片(8,12)が、上記蓋体(2)を構成する紙シート上に形成されたものとした場合は、従来の樹脂製の容器におけるようなヒンジ片の弾性力によって蓋が自然に閉るようなことはなく、ヒンジ片の紙の折癖によって、蓋体(2)の開状態を保持することができ、したがって、中身の取り出しを簡易に行うことができる。
【0027】
請求項3に記載されるように、請求項2に記載の蓋付き容器において、上記ヒンジ片(8)が上記蓋体(2)を構成する紙シート上に折れ線(8a)を介して区分けされ、このヒンジ片(8)が上記容器本体(1)に連結されることによって、上記蓋体(2)が上記折れ線(8a)上で屈曲自在とされたものとした場合は、蓋体(2)の一部を利用してヒンジ片を形成することができ、したがって、蓋体(2)の大型化を防止することができる。
【0028】
請求項4に記載されるように、請求項2に記載の蓋付き容器において、上記ヒンジ片(12)が上記蓋体(2)の周縁から突出するように形成され、このヒンジ片(12)が上記容器本体(1)に連結されることによって、上記蓋体(2)が上記ヒンジ片(12)を介して屈曲自在とされたものとした場合は、蓋体(2)がさらに開閉しやすくなる。
【0029】
請求項5に記載されるように、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の蓋付き容器において、上記容器本体(1)が円筒形に形成され、この円筒形の一端の内周面(5)が上記蓋体(2)の凸部(4)と嵌合されるものとされた場合は、凸部(4)と嵌合する箇所を容器本体(1)の内壁面で代替することができるので、容器本体(1)の構造を簡素化することができる。
【0030】
請求項6に記載されるように、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の蓋付き容器において、上記容器本体(1)が円筒形に形成され、この円筒形の一端に内向きトップカール部(3)が形成され、この内向きトップカール部(3)の内周面(5)が上記蓋体(2)の凸部(4)と嵌合されるものとされた場合は、容器本体(1)の外周面からの突出物を出来るだけ解消することができる。また、内向きトップカール部(3)によって凸部(4)と容器本体(1)との係合力を高め、蓋体(2)の閉止力を高めることができる。
【0031】
請求項7に記載されるように、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の蓋付き容器において、上記容器本体(1)が円筒形に形成され、この円筒形の一端に外向きトップカール部(14)が形成され、この外向きトップカール部(14)の内周面(5)が上記蓋体(2)の凸部(4)と嵌合されるものとされた場合は、外向きトップカール部(14)を容器本体(1)から突出させることで、容器本体(1)の保護体とすることができる。
【0032】
請求項8に記載されるように、請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の蓋付き容器において、上記容器本体(1)の蓋体(2)で閉じられた開口の奥側がインナーシール部(9,13)で密封されたものとした場合は、容器の初期の密封性を更に高めることができる。
【0033】
請求項9に記載されるように、請求項8に記載の蓋付き容器において、上記インナーシール部(13)がイージーピール層を介して上記容器本体(1)に接合されたものとした場合は、容器の開封のための操作性が向上する。
【0034】
請求項10に記載されるように、請求項8に記載の蓋付き容器において、上記インナーシール部(9)が少なくとも内外二層の積層体(9a,9b)で形成され、外層(9a)に摘み部(11)及び引き裂き部(10)が切り込み線(10a,10b)によって形成され、外層(9a)の引き裂き部(10)を引き裂くことによって、内層(9b)も同時に引き裂かれるように形成されたものとした場合は、容器の密封性と開封のための操作性が更に向上する。
【0035】
請求項11に記載されるように、請求項1乃至請求項10のいずれかに記載の蓋付き容器において、上記蓋体(2)の内面に水蒸気吸着層が設けられたものとした場合は、容器本体(1)や蓋体(2)を透過する水蒸気を除去し、内容物を保護することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、本発明の最良の形態について図面に基づいて説明する。
【0037】
<実施の形態1>
図1及び図2に示すように、この蓋付き容器は、容器本体1と、この容器本体1の開口を開閉する蓋体2とを具備する。
【0038】
この容器本体1は、紙を主材料とする紙シートを円筒形に巻回し、その両端を重ね合わせて接着することにより形成される。その他、紙シートをスパイラル状に巻いたスパイラル管によって形成することも可能である。また、容器本体1はテーパの付いた又は逆テーパの付いた円筒形に形成することも可能である。
【0039】
紙シートとしては、例えば次のような層構成のものを使用することができる。
【0040】
なお、層構成は最初に掲げる層が容器本体の表面側であり、最後に掲げる層が容器本体の内面側である。紙シートを円筒形に巻回し、その両端を接着する場合は、例えば紙シートの最内層と最外層のポリエチレン樹脂層が熱接着剤として使用される。
【0041】
ポリエチレン樹脂層/紙層/ポリエチレン樹脂層、ポリエチレンテレフタレート樹脂/紙層/ポリエチレン樹脂層、ポリエチレン樹脂層/ポリエチレンテレフタレート樹脂/紙層/ポリエチレン樹脂層、高密度ポリエチレン樹脂層(フィルム)/ポリエチレン樹脂層/紙層/ポリエチレン樹脂層、発泡ポリエチレン樹脂層/紙層/ポリエチレン樹脂層、ポリプロピレン樹脂層/紙層/ポリプロピレン樹脂層、ポリエチレン樹脂層/紙層/ポリエステル樹脂層、ポリエステル樹脂層/紙層/ポリエステル樹脂層、ポリエチレン樹脂層/紙層/エチレン−アクリル酸共重合体層/アルミニウム箔/ポリエチレン樹脂層、ポリエチレン樹脂層/紙層/ポリエチレン層/ポリエステル層/ポリエチレン樹脂層、ポリエチレン樹脂層/紙層/ポリエチレン層/ポリエステル層/ポリエチレン樹脂層(フィルム)、ポリエチレン樹脂層/紙層/ポリエチレン層/アルミニウム箔/二軸延伸ポリエステル層/ポリエチレン樹脂層、ポリエチレン樹脂層/紙層/ポリエチレン層/蒸着アルミ層/ポリエステル層/ポリエチレン樹脂層、ポリエチレン樹脂層/紙層/ポリエチレン樹脂層/シリカ蒸着層/ポリエステル層/ポリエチレン樹脂層(フィルム)、紙のみ、紙層/ポリエチレン樹脂層。
【0042】
容器本体1の円筒形の上端はこの蓋付き容器の開口とされ、そこには内向きトップカール部3が形成される。この内向きトップカール部3の内周面が、蓋体2の後述する凸部4が嵌り込む容器本体1の上部内面5とされる。
【0043】
この内向きトップカール部3によって容器本体1が補強される。また、トップカール部3が内向きに設けられることから、容器本体1の外周面からの突出物が低減する。
【0044】
容器本体1の底は、底蓋6で閉じられる。底蓋6も上記紙シートで円板型に形成され、容器本体1の下端に巻き締め等により取り付けられる。
【0045】
蓋体2は、容器本体1を構成する紙シートと同様な紙シートから打ち抜き等により円板型に形成される。このように、蓋体2が上記容器本体1と共に紙を主体に形成されることから、この蓋付き容器は、リサイクル性、遮光性に優れ、廃棄の際も環境性に優れた容器となる。
【0046】
上記蓋体2の紙シートからの打ち抜きの際に、摘み片7も一体的に形成される。摘み片7は例えば舌状に形成され、蓋体2が容器本体1に被せられた時に容器本体1の側面に引き剥がし可能に接着剤等により貼着される。この摘み片7は指で摘みやすいので、この蓋付き容器に易開封性を与えることができ、また、ピルファープルーフとして機能させることが可能である。
【0047】
蓋体2には、容器本体1の上部内面5に繰り返し嵌入可能な凸部4が形成される。凸部4は、上記紙シートを例えばプレス成形によって絞ることにより凹型に形成される。この凹型に形成されたものの開口縁が、蓋体2の天井面に接着剤等により接着されることによって蓋体2に凸部が形成される。図示しないが、凸部4の開口縁にフランジ部を形成してこのフランジ部を蓋体2の天井面に接着してもよい。
【0048】
この蓋体2が容器本体1に開口の上から被せられると、図2に示すように、蓋体2の凸部4の外周面が容器本体1の上部内面5に密着する。これにより、蓋体2が容器本体1に大きな係合力によって固定され、蓋体2の閉止力が高められる。また、蓋体2の凸部4は容器本体1の上部内面5に繰り返し嵌入可能である。これにより、この蓋付き容器に再封性が与えられ、容器本体1内に収納された内容物aの保存性が向上する。また、蓋体2の凸部4は容器本体1の上部内面5内に収まるようになっているので、容器本体1から外部への突出物が少なくなる。
【0049】
なお、凸部4や蓋体2を形成する紙シートには、水蒸気吸着剤を含有する塗料を印刷等により塗布することによって水蒸気吸着層を予め形成しておくのが望ましい。これにより、蓋体2や容器本体1の紙層を透過する水蒸気を水蒸気吸着層で吸着し、容器本体1内の内容物aを湿気から保護することができる。
【0050】
上記蓋体2は、図1及び図2に示すように、上記容器本体1にヒンジ片8によって連結される。このヒンジ片8は蓋体2を構成する紙シート上に屈曲自在に形成される。図3に示すように、蓋体2を開けると、ヒンジ片8が折れ曲がり、図4に示すように蓋体2から手を放しても、紙の折癖によって蓋体2の開放状態が保持され、したがって、中身の内容物aの取り出しを簡易に行うことができる。
【0051】
上記ヒンジ片8は、より具体的には、図1及び図2に示すように、蓋体2を構成する紙シート上に折れ線8aを介して区分けされることによって形成される。折れ線8aは紙シートから蓋体2を打ち抜く際に同時に形成される。このヒンジ片8の縁が上記容器本体1の内向きトップカール部3の頂面に接着剤によって接合される。このように蓋体2の一部を利用してヒンジ片8が形成されることから、別途ヒンジを設ける必要がなく、蓋体2の大型化が防止される。
【0052】
開蓋に際しては、図3に示すように、蓋体2が折れ線8a上で折れ曲がり、折れ線8aの箇所に折癖が付けられる。また、開蓋の際に上記凸部4のヒンジ片8に対向した箇所がヒンジ片8から剥がれる。なお、このヒンジ片8に対応する箇所には凸部4を接着しないようにしておくことも可能である。このように蓋体2を開いた後も、蓋体2はヒンジ片8を介して容器本体1に屈曲自在に保持される。
【0053】
図2に示すように、容器本体1における蓋体2で閉じられた開口の奥側が、インナーシール部9で密封される。インナーシール部9は、必要に応じて設けられるもので、インナーシール部9が設けられることによって容器本体1の初期の密封性が高められる。
【0054】
図6に示すように、インナーシール部9はその展開平面が容器本体1の開口に対応するように円盤型に形成される。
【0055】
このインナーシール部9は、図7(A)に示すように、少なくとも内外二層の積層体で形成される。外層9aは例えばバリアフィルム/オレフィン系樹脂層の積層構造を有し、内層9bは例えばオレフィン系樹脂層/紙層/オレフィン系樹脂層の積層構造を有し、オレフィン系樹脂層同士を溶着させることにより、内外二層が重ね合わされる。
【0056】
また、外層9aには、図6及び図7(A)に示すように、引き裂き部10が切り込み線10a,10bによって形成される。切り込み線10a,10bは大小二つの円に沿って設けられ、二つの円間に環状の引き裂き部10が形成される。また、環状の引き裂き部10を横断する切り込み線10cも設けられ、この切り込み線10cによって環状の引き裂き部10に摘み部11が形成される。これらの切り込み線10a,10b,10cは望ましくはミシン目状に形成されるが、連続線として形成することも可能である。
【0057】
このインナーシール部9は、図6及び図7(A)中、二点鎖線よりも外側の部分が接着代9aとして例えば超音波により容器本体1の内周面にヒートシール接着される。
【0058】
インナーシール部9の開封に際しては、指等で摘み部11を切り込み線10cに沿って引き裂き、引き続き摘み部11を引っ張ることによって、図7(B)に示すように、環状の引き裂き部10がインナーシール部9から切除される。これにより、インナーシール部9が開封される。
【0059】
なお、上記容器本体1、蓋体2、インナーシール部9に使用される紙シートのオレフィン系樹脂層、紙層、フィルム等所望の層には、必要に応じて所望の内容が印刷等によって外部から視認可能に表示される。
【0060】
次に、上記構成の蓋付き容器の作用について説明する。
【0061】
図1及び図2に示す容器本体1及び蓋体2が用意され、また、図6に示すインナーシール部9のブランクが用意される。
【0062】
図2に示すように、まず、容器本体1内に粒状ガム等の内容物aが充填された後に、その開口がインナーシール部9によって閉じられる。インナーシール部9は、容器本体1内にその開口から挿入され、図6及び図7(A)に示す二点鎖線から外側のシール代9aが容器本体1の内面に押し付けられた後、超音波シール等により容器本体1の内面に接着される。
【0063】
次いで、蓋体2が容器本体1の開口に被せられ、容器本体1の内向きトップカール部3によって形成される内面5に蓋体2の凸部4が嵌め込まれる。また、同時に蓋体2内に設けられたヒンジ片8がトップカール部3に接着剤等により貼着され、摘み片7が容器本体1の側面に貼着される。この摘み片7は、必要に応じて容器本体1の側面に貼着することなく、解放状態にしておいてもよい。
【0064】
これにより、蓋付き容器の組立が完了し、市場に出荷される。
【0065】
この蓋付き容器の購入者等は、内容物aの取り出しに際し、図1および図2の状態において、摘み片7を容器本体1の側面から剥し、図3に示すように、蓋体2を容器本体1の開口の上方に持ち上げる。
【0066】
この際、摘み片7がピルファープルーフ手段として機能するので、購入者等は摘み片7の状態を確認することで蓋付き容器が正常であるか否かについて判別することができる。
【0067】
購入者等が蓋体2を容器本体1の開口の上方に持ち上げると、図3に示すように、ヒンジ片8の折れ線8a上で蓋体2が折れ曲がる。また、蓋体2の凸部4が容器本体1の内向きトップカール部3の内面5から離脱すると同時に、凸部4がヒンジ片8に接着されている場合は、その部分のみヒンジ片8から剥がれる。これにより、容器本体1の開口が開放される。また、同時にヒンジ片8の折れ線8aに折癖が付けられる。
【0068】
購入者等が蓋体2から指を離して蓋体2を解放すると、折れ線8aの折癖によって、図4に示すように、蓋体2が開放状態に保持される。
【0069】
そこで、購入者等が図7(A)に示す摘み部11に指を引掛ける等して摘み部11を切り込み線10cに沿って引き裂き、さらに摘み部11を引っ張ることによって、同図(B)の如く環状の引き裂き部10をインナーシール部9から切除する。これにより、図4の如くインナーシール部9が開封され、購入者等は内容物aを容器本体1から取り出すことができる。
【0070】
その後、購入者等が指で蓋体2を容器本体1の開口側に押し付けるようにすると、図5に示すように、蓋体2の凸部4が容器本体1の上部内面5内に嵌り込み、その嵌合力によって蓋体2が容器本体1に対する閉位置に拘束される。これにより、蓋体2は購入者等によって再び開けられるまでその閉状態を維持する。
【0071】
購入者等が再度内容物aを容器本体1から取り出そうとするときは、蓋体2を図3に示す如く持ち上げればよく、持ち上げられた蓋体2は図4に示す如く折れ線8aの折癖によって開放状態を保持する。このため、購入者等は簡易に内容物aを容器本体1から取り出すことができる。
【0072】
内容物aを取り出した後は、蓋体2を容器本体1の開口側に押し付けるようにすればよく、図5に示すように、蓋体2の凸部4が再び容器本体1の上部内面5内に嵌り込み、その嵌合力によって蓋体2が容器本体1に閉姿勢のまま拘束される。
【0073】
かくて、この蓋付き容器は開封後も内容物aを適正に保存することができる。また、蓋体2による容器本体1の繰り返し開閉が可能であるから、内容物aの小出しが可能になる。また、この蓋付き容器は紙シートで作られているので、廃棄処分も簡易に行うことができ、リサイクル化も可能である。
【0074】
<実施の形態2>
図8及び図9に示すように、この実施の形態2に係る蓋付き容器においては、ヒンジ片12が蓋体2の周縁から突出するように紙シート上に形成される。
【0075】
蓋体2は容器本体1にその開口上から被せられ、ヒンジ片12と摘み片7とが容器本体1の側面に貼着されることによって容器本体1に閉じ状態で固定される。
【0076】
摘み片7を容器本体1から剥し、図10に示すように、蓋体2を開けると、ヒンジ片12が折れ曲がり、蓋体2から手を放しても蓋体2の自重によって蓋体2の開放状態が保持される。したがって、中身の内容物aの取り出しを簡易に行うことができる。
【0077】
容器本体1における蓋体2の奥側にはインナーシール部13が設けられる。この実施の形態2におけるインナーシール部13は、例えばバリアフィルム/イージーピール層の積層構造を有する円形ブランクとして形成される。図9に示すように、インナーシール部13の外周には突出片13aが設けられる。
【0078】
この蓋付き容器の購入者等は、内容物aの取り出しに際し、図8および図9の状態において、摘み片7を容器本体1の側面から剥し、図10に示すように、蓋体2を容器本体1の開口の上方に持ち上げヒンジ片12を支点にして容器本体1と反対側へと回すと、蓋体2はその自重により開放状態に保持される。
【0079】
そこで、購入者等がインナーシール部13の突出片13aに指を掛ける等して引っ張ると、インナーシール部13の全体が容器本体1から剥ぎ取られる。
【0080】
これにより、図10の如く容器本体1の開口が開き、購入者等は内容物aを容器本体1から取り出すことができる。
【0081】
その後、購入者等が蓋体2を、ヒンジ片12を支点にして容器本体1の開口側に回し、蓋体2を容器本体1の開口側に押圧すると、図11に示すように、蓋体2の凸部4が容器本体1の上部内面5内に嵌り込み、その嵌合力によって蓋体2が閉位置に拘束される。これにより、蓋体2は購入者等によって再び開けられるまでその閉状態を維持する。
【0082】
購入者等が再度内容物aを容器本体1から取り出そうとするときは、蓋体2を図10に示す如く開ければよく、開けられた蓋体2はその自重によって開放状態を保持する。このため、購入者等は簡易に内容物aを容器本体1から取り出すことができる。
【0083】
内容物aを取り出した後は、蓋体2を容器本体1上へと回して開口側に押し付けるようにすればよく、図11に示すように、蓋体2の凸部4が再び容器本体1の上部内面5内に嵌り込み、その嵌合力によって蓋体2が閉位置に拘束される。
【0084】
その他、実施の形態2において、実施の形態1と同じ部分には同じ符号を付して示すことしし、その詳細な説明を省略する。
【0085】
<実施の形態3>
図12に示すように、この実施の形態3に係る蓋付き容器においては、実施の形態1,2と異なり、容器本体1の上端に外向きトップカール部14が形成され、この外向きトップカール部14の内周面が蓋体2の凸部4が嵌合する内面5とされる。
【0086】
蓋体2は実施の形態1の場合と同様な構成であるが、その摘み片7は外向きトップカール部14の容器本体壁から半径方向外側に突出した箇所に貼着されるので、開封時に摘み片7を剥しやすくなるという利点がある。また、外向きトップカール部14を容器本体1から半径方向外側に突出させることで、外向きトップカール部14を容器本体1の保護体とすることができるという利点がある。
【0087】
その他、実施の形態3において、実施の形態1、2と同じ部分には同じ符号を付して示すこととし、その詳細な説明を省略する。
【0088】
<実施の形態4>
図13に示すように、この実施の形態4に係る蓋付き容器においては、実施の形態1,2,3と異なり、円筒形の容器本体1からトップカール部3,14が省略され、この容器本体1の円筒壁の内周面が蓋体2の凸部4が嵌合する内面5とされる。
【0089】
蓋体2及びヒンジ片12は実施の形態2の蓋体2と同じ構造のものが採用され、インナーシール部9は実施の形態1のものと同じ構造のものが採用される。
【0090】
その他、実施の形態3において、実施の形態1、2と同じ部分には同じ符号を付して示すこととし、その詳細な説明を省略する。
【0091】
なお、本発明は上記実施の形態1〜4に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明の実施の形態1に係る蓋付き容器の斜視図である。
【図2】図1中、II−II線矢視断面図である。
【図3】蓋付き容器の初期開蓋状態の断面図である。
【図4】インナーシール部が開封され、蓋体が開放状態に保持された状態を示す断面図である。
【図5】蓋体が再封された状態を示す断面図である。
【図6】インナーシール部の展開平面図である。
【図7】(A)は図6中、VII−VII線矢視断面図、(B)は開封時における同様な断面図である。
【図8】本発明の実施の形態2に係る蓋付き容器の斜視図である。
【図9】図8中、IX−IX線矢視断面図である。
【図10】インナーシール部が除去され、蓋体が開放状態に保持された状態を示す断面図である。
【図11】蓋体が再封された状態を示す断面図である。
【図12】本発明の実施の形態3に係る蓋付き容器の図2と同様な断面図である。
【図13】本発明の実施の形態4に係る蓋付き容器の図9と同様な断面図である。
【符号の説明】
【0093】
1…容器本体
2…蓋体
3…内向きトップカール部
4…凸部
5…容器本体の上部内面
8,12…ヒンジ片
8a…折れ線
9,13…インナーシール部
9a…外層
9b…内層
10…引き裂き部
10a,10b…切り込み線
14…外向きトップカール部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体と、この容器本体の開口を開閉する蓋体とを具備した蓋付き容器において、上記容器本体と、上記蓋体とが、紙を主材料とする紙シートで各々形成され、上記蓋体には上記容器本体の上部内面に繰り返し嵌合可能な凸部が形成されたことを特徴とする蓋付き容器。
【請求項2】
請求項1に記載の蓋付き容器において、上記蓋体を上記容器本体に屈曲自在に連結するヒンジ片が、上記蓋体を構成する紙シート上に形成されたことを特徴とする蓋付き容器。
【請求項3】
請求項2に記載の蓋付き容器において、上記ヒンジ片が上記蓋体を構成する紙シート上に折れ線を介して区分けされ、このヒンジ片が上記容器本体に連結されることによって、上記蓋体が上記折れ線上で屈曲自在とされたことを特徴とする蓋付き容器。
【請求項4】
請求項2に記載の蓋付き容器において、上記ヒンジ片が上記蓋体の周縁から突出するように形成され、このヒンジ片が上記容器本体に連結されることによって、上記蓋体が上記ヒンジ片を介して屈曲自在とされたことを特徴とする蓋付き容器。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の蓋付き容器において、上記容器本体が円筒形に形成され、この円筒形の一端の内周面が上記蓋体の凸部と嵌合されることを特徴とする蓋付き容器。
【請求項6】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の蓋付き容器において、上記容器本体が円筒形に形成され、この円筒形の一端に内向きトップカール部が形成され、このトップカール部の内周面が上記蓋体の凸部と嵌合されることを特徴とする蓋付き容器。
【請求項7】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の蓋付き容器において、上記容器本体が円筒形に形成され、この円筒形の一端に外向きトップカール部が形成され、このトップカール部の内周面が上記蓋体の凸部と嵌合されることを特徴とする蓋付き容器。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の蓋付き容器において、上記容器本体の蓋体で閉じられた開口の奥側がインナーシール部で密封されたことを特徴とする蓋付き容器。
【請求項9】
請求項8に記載の蓋付き容器において、上記インナーシール部がイージーピール層を介して上記容器本体に接合されていることを特徴とする蓋付き容器。
【請求項10】
請求項8に記載の蓋付き容器において、上記インナーシール部が少なくとも内外二層の積層体で形成され、外層に摘み部及び引き裂き部が切り込み線によって形成され、外層の引き裂き部を引き裂くことによって、内層も同時に引き裂かれるように形成されたことを特徴とする蓋付き容器。
【請求項11】
請求項1乃至請求項10のいずれかに記載の蓋付き容器において、上記蓋体の内面に水蒸気吸着層が設けられたことを特徴とする蓋付き容器。
【請求項1】
容器本体と、この容器本体の開口を開閉する蓋体とを具備した蓋付き容器において、上記容器本体と、上記蓋体とが、紙を主材料とする紙シートで各々形成され、上記蓋体には上記容器本体の上部内面に繰り返し嵌合可能な凸部が形成されたことを特徴とする蓋付き容器。
【請求項2】
請求項1に記載の蓋付き容器において、上記蓋体を上記容器本体に屈曲自在に連結するヒンジ片が、上記蓋体を構成する紙シート上に形成されたことを特徴とする蓋付き容器。
【請求項3】
請求項2に記載の蓋付き容器において、上記ヒンジ片が上記蓋体を構成する紙シート上に折れ線を介して区分けされ、このヒンジ片が上記容器本体に連結されることによって、上記蓋体が上記折れ線上で屈曲自在とされたことを特徴とする蓋付き容器。
【請求項4】
請求項2に記載の蓋付き容器において、上記ヒンジ片が上記蓋体の周縁から突出するように形成され、このヒンジ片が上記容器本体に連結されることによって、上記蓋体が上記ヒンジ片を介して屈曲自在とされたことを特徴とする蓋付き容器。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の蓋付き容器において、上記容器本体が円筒形に形成され、この円筒形の一端の内周面が上記蓋体の凸部と嵌合されることを特徴とする蓋付き容器。
【請求項6】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の蓋付き容器において、上記容器本体が円筒形に形成され、この円筒形の一端に内向きトップカール部が形成され、このトップカール部の内周面が上記蓋体の凸部と嵌合されることを特徴とする蓋付き容器。
【請求項7】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の蓋付き容器において、上記容器本体が円筒形に形成され、この円筒形の一端に外向きトップカール部が形成され、このトップカール部の内周面が上記蓋体の凸部と嵌合されることを特徴とする蓋付き容器。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の蓋付き容器において、上記容器本体の蓋体で閉じられた開口の奥側がインナーシール部で密封されたことを特徴とする蓋付き容器。
【請求項9】
請求項8に記載の蓋付き容器において、上記インナーシール部がイージーピール層を介して上記容器本体に接合されていることを特徴とする蓋付き容器。
【請求項10】
請求項8に記載の蓋付き容器において、上記インナーシール部が少なくとも内外二層の積層体で形成され、外層に摘み部及び引き裂き部が切り込み線によって形成され、外層の引き裂き部を引き裂くことによって、内層も同時に引き裂かれるように形成されたことを特徴とする蓋付き容器。
【請求項11】
請求項1乃至請求項10のいずれかに記載の蓋付き容器において、上記蓋体の内面に水蒸気吸着層が設けられたことを特徴とする蓋付き容器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2009−286461(P2009−286461A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−142949(P2008−142949)
【出願日】平成20年5月30日(2008.5.30)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年5月30日(2008.5.30)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】
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