説明

蓋体および容器

【課題】開蓋した際に、水滴が周囲に飛び散り難く、衣服などを汚す恐れが少ない容器を提供することである。
【解決手段】容器本体と、前記容器本体の開口部を閉蓋する天面部および側面部を有する蓋体とを具備した容器において、前記蓋体の側面部の内面に付着した水滴が前記容器本体内に落下するのを誘導する為の水滴落下誘導用凸部が、該蓋体の側面部内面に構成されてなる容器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は蓋体および容器に関する。特に、開蓋した際、水滴が周囲に飛散することが少ないので、衣服などを汚すことが少ない容器に関する。
【背景技術】
【0002】
容器本体と蓋体とで構成される容器が、今日、広く用いられている。例えば、惣菜や弁当を入れる容器として広く用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−29463
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、暖かな食材を容器に入れた際、暖かな食材から発生する水蒸気が蓋体の内面に当たり、ここで冷却され、水滴として蓋体内面に付着する。又、食するに際して、食材を暖める為、容器を電子レンジに入れて加熱した場合にも、暖められた食材から発生した水蒸気が蓋体の内面に当たり、ここで冷却され、水滴として蓋体内面に付着する。
【0005】
そして、水滴が付着している蓋体を容器本体から取り外して開けた場合、蓋体内面に付着している水滴が周囲に飛び散り、衣服を汚したりするようになる。中でも、蓋体の側面部に付着している水滴は、開蓋した際、周囲に飛び散り易く、手や衣服を汚す恐れが高い。
【0006】
従って、本発明が解決しようとする課題は、開蓋した際に、水滴が周囲に飛び散り難く、衣服などを汚す恐れが少ない容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の課題は、
容器本体と、前記容器本体の開口部を閉蓋する天面部および側面部を有する蓋体とを具備した容器において、
前記蓋体の側面部の内面に付着した水滴が前記容器本体内に落下するのを誘導する為の水滴落下誘導用凸部が、該蓋体の側面部内面に構成されてなる
ことを特徴とする容器によって解決される。
【0008】
又、容器本体と、前記容器本体の開口部を閉蓋する天面部および側面部を有する蓋体とを具備した容器において、
前記蓋体の側面部の内面に付着した水滴が前記容器本体における稜線部より内側の位置に落下するのを誘導する為の水滴落下誘導用凸部が、該蓋体の側面部内面に構成されてなる
ことを特徴とする容器によって解決される。
【0009】
又、上記の容器であって、好ましくは、前記水滴落下誘導用凸部の横幅寸法が上部から下部に向って連続的に小さくなる形状に構成されてなることを特徴とする容器によって解決される。
【0010】
又、上記の容器であって、好ましくは、前記水滴落下誘導用凸部の下端における横幅寸法が4mm以下であることを特徴とする容器によって解決される。
【0011】
又、上記の容器であって、好ましくは、前記側面部に対する垂直な断面における前記水滴落下誘導用凸部の形状が略レ字形状に構成されてなることを特徴とする容器によって解決される。
【0012】
又、上記の容器であって、好ましくは、前記蓋体の側面部は、天面部に繋がる上側面部と、前記上側面部の下端に繋がり、該上側面部の外側に拡がる拡幅面部と、前記拡幅面部の外端に繋がる下側面部とを有し、前記上側面部は、前記蓋体の閉蓋時において、前記容器本体の開口部の内側に位置するよう構成されたものであり、前記水滴落下誘導用凸部は前記上側面部に設けられてなることを特徴とする容器によって解決される。
【0013】
又、上記の容器であって、好ましくは、前記蓋体の側面部は、天面部に繋がる上側面部と、前記上側面部の下端に繋がり、該上側面部の外側に拡がる拡幅面部と、前記拡幅面部の外端に繋がる下側面部とを有し、前記上側面部と前記拡幅面部との境界部は、前記水滴落下誘導用凸部位置が最も下方に位置するよう傾斜して構成されてなり、前記水滴落下誘導用凸部の下端部が前記傾斜部よりも下側に突出しているよう構成されてなることを特徴とする容器によって解決される。
【0014】
又、上記の容器であって、好ましくは、前記蓋体の側面部は、天面部に繋がる上側面部と、前記上側面部の下端に繋がり、該上側面部の外側に拡がる拡幅面部と、前記拡幅面部の外端に繋がる下側面部とを有し、前記蓋体の閉蓋時において、前記上側面部と前記容器本体とは0.5〜4mm離間しているよう構成されてなることを特徴とする容器によって解決される。
【0015】
又、上記の容器であって、好ましくは、前記蓋体の側面部は、天面部に繋がる上側面部と、前記上側面部の下端に繋がり、該上側面部の外側に拡がる拡幅面部と、前記拡幅面部の外端に繋がる下側面部とを有し、前記蓋体の閉蓋時において、前記拡幅面部と前記容器本体とは0.5〜4mm離間しているよう構成されてなることを特徴とする容器によって解決される。
【0016】
又、上記の容器に用いられた蓋体によって解決される。
【発明の効果】
【0017】
開蓋した際に、水滴が周囲に飛び散り難く、衣服などを汚す恐れが少ない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】内面(下方)側から眺めた蓋体の斜視図
【図2】水滴落下誘導用凸部が設けられている位置での蓋体の端面図
【図3】容器本体の稜線部(上端平坦面部)位置での容器の端面図
【図4】蓋体の正面図(意匠正面図)
【図5】容器の背面図(意匠背面図)
【図6】蓋体の平面図(意匠平面図)
【図7】蓋体の底面図(意匠底面図)
【図8】蓋体の右側面図(意匠右側面図)
【図9】蓋体の左側面図(意匠左側面図)
【図10】水滴落下誘導用凸部が奏する水滴落下誘導の説明図
【図11】水滴落下誘導を奏さない場合の説明図
【図12】蓋体の正面図(水滴落下誘導用凸部6aの部分意匠の正面図)
【図13】蓋体の背面図(部分意匠の背面図)
【図14】蓋体の平面図(部分意匠の平面図)
【図15】蓋体の底面図(部分意匠の底面図)
【図16】蓋体の右側面図(部分意匠の右側面図)
【図17】蓋体の左側面図(部分意匠の左側面図)
【図18】開蓋状態における容器の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は容器である。この本発明の容器は、容器本体と、この容器本体の開口部を閉蓋する天面部および側面部を有する蓋体とを具備する。前記蓋体は、蓋体の側面部の内面に付着した水滴が前記容器本体内に落下するのを誘導する為の水滴落下誘導用凸部を具備する。この水滴落下誘導用凸部は前記蓋体の側面部内面に設けられている。前記水滴落下誘導用凸部は、好ましくは、前記蓋体の側面部の内面に付着した水滴の前記容器本体内への落下誘導位置が該容器本体における稜線部より内側の位置であるように設けられている。そして、前記水滴落下誘導用凸部は、特に、好ましくは、その横幅寸法が上部から下部に向って連続的に小さくなる形状に構成されている。中でも、後述の上側面部と後述の拡幅面部との境界部(境界ライン)より上方の位置から前記境界部(境界ライン)より下方の位置に亘って水滴落下誘導用凸部は設けられており、そして該水滴落下誘導用凸部は、その横幅寸法が上部から下部に向って連続的に小さくなる形状に構成されている。水滴落下誘導用凸部が設けられている側面部を正面から眺めた場合、水滴落下誘導用凸部は、例えば略V形状とか略Y形状の如くに構成されているのが好ましい。斯くの如きの形状の場合に、水滴が、効果的に、容器本体内部に落下誘導される。前記水滴落下誘導用凸部は、好ましくは、その下端における横幅寸法が4mm以下(更には、3mm以下。中でも、2mm以下)である。尚、下限値は0でも良い。但し、下端においても幾許かの寸法が有るのが現実であろうかとも思われる。例えば、水滴落下誘導用凸部の下端における横幅寸法が、現実的には、短くても、0.01mm程度は有るであろう。前記水滴落下誘導用凸部は、好ましくは、側面部に対する垂直な断面での形状が略レ字形状に構成されている。前記蓋体の側面部は、例えば天面部に繋がる上側面部と、前記上側面部の下端に繋がり、該上側面部の外側に拡がる拡幅面部と、前記拡幅面部の外端に繋がる下側面部とを有する。前記上側面部は、好ましくは、前記蓋体の閉蓋時において、前記容器本体の開口部の内側(後述の稜線部(上端平坦面部)より内側)に位置するよう構成されたものである。そして、前記水滴落下誘導用凸部は前記上側面部に設けられる。前記上側面部と前記拡幅面部との境界部(境界ライン)は、好ましくは、前記水滴落下誘導用凸部位置が最も下方に位置するよう傾斜(例えば、V形状に傾斜)して構成されたものである。そして、前記水滴落下誘導用凸部の下端部が前記境界部(境界ライン)よりも下側に突出しているよう構成されているのが好ましい。すなわち、このような構成とすることによって、水滴が、効果的に、容器本体内部に誘導されて落下する。前記蓋体の閉蓋時において、前記上側面部と前記容器本体とは、0.5mm以上(更には、0.7mm以上。特に、1mm以上。)で、4mm以下(更には、3mm以下。特に、2mm以下)の距離は離間しているよう構成されていることが好ましい。又、前記蓋体の閉蓋時において、前記拡幅面部と前記容器本体とは、0.5mm以上(更には、0.7mm以上。特に、1mm以上。)で、4mm以下(更には、3mm以下。特に、2mm以下)の距離は離間しているよう構成されていることが好ましい。すなわち、側面部(拡幅面部)と容器本体(稜線部:上端平坦面部)との間に隙間が無い場合、或いは小さな寸法の隙間しか無い場合には、蓋体の側面部に付着している水滴が毛細管現象によって拡幅面部と容器本体(稜線部:上端平坦面部)との間に嵌り込み、開蓋するまで、ここに、水滴は貼り付いてしまったかの如くになり、前記嵌まり込んでしまった水滴が容器本体内に誘導落下され難くなり、側面部と容器本体との間に嵌り込んだ水滴が開蓋した際に周囲に飛散し易い恐れが高かったからである。
【0020】
他の本発明は蓋体である。すなわち、上記容器において用いられた蓋体である。言い換えるならば、上記容器における容器本体を除いた構成の蓋体である。
【0021】
以下、更に詳しく説明する。
図1〜図18は本発明になる容器(蓋体)の一実施形態を説明する為のものであり、図1は内面(下方)側から蓋体を眺めた蓋体の斜視図、図2は水滴落下誘導用凸部が設けられている位置での蓋体の端面図(図4中、A−A線における断面での端面図)、図3は容器本体の稜線部(上端平坦面部:図5中、B−B線部)位置での容器の端面図、図4は蓋体の正面図、図5は蓋体の背面図、図6は蓋体の平面図、図7は蓋体の底面図、図8は蓋体の右側面図、図9は蓋体の左側面図、図10は本発明の水滴落下誘導用凸部が奏する水滴落下誘導の説明図、図11は水滴落下誘導を奏さない場合の説明図、図12は蓋体の正面図(部分意匠図)、図13は蓋体の背面図(部分意匠図)、図14は蓋体の平面図(部分意匠図)、図15は蓋体の底面図(部分意匠図)、図16は蓋体の右側面図(部分意匠図)、図17は蓋体の左側面図(部分意匠図)、図18は開蓋状態における容器の斜視図である。
【0022】
各図中、Aは樹脂製の容器本体である。すなわち、所定厚の不透明な樹脂シートが所定形状に成形されたものである。尚、容器本体Aは、その上端平坦面部(稜線部)50a,50b,50c,50dが、図3,18からも判る通り、左右方向における真中位置51a,51b,51c,51dは低く下がり、左右の両端部52a,52b,52c,52d,53a,53b,53c,53dの位置で高く上がった形状(例えば、略V形状)に成形されたものである。尚、上端平坦面部(稜線部)50a,50b,50c,50dにおける平坦幅は、例えば1〜5mm程度である。上端平坦面部(稜線部)50a,50b,50c,50dは、恰も、尾根道の如きの形状である。54は、容器本体Aの上方開口部である。55a,55b,55c,55dは、容器本体Aの側面部の内面に形成された凹状の導水滴路である。この導水滴路55a,55b,55c,55d(55a,55dは図示されず)は、後述の水滴落下誘導用凸部6a,6b,6c,6dに対応して設けられている。
【0023】
Bは、容器本体Aの上方開口部54を閉蓋する為の本発明になる蓋体である。尚、一時掛止されている蓋体Bが開蓋できることは言うまでも無い。この蓋体Bも、所定厚の透明(光透過性)樹脂シートが所定形状に成形されたものである。
【0024】
蓋体Bは、略四角形状の透明な天面部1を有する。又、天面部1に繋がる透明な側面部2を有する。
【0025】
側面部2は、内角が略100〜120°程度で略四角形状の天面部1に交差・連結する上側面部3a,3b,3c,3dと、上側面部3a,3b,3c,3dの下端部から略水平方向で外側に拡がる拡幅面部4a,4b,4c,4dと、内角が略90〜100°程度で拡幅面部4a,4b,4c,4dの外端部に交差・連結する下側面部5a,5b,5c,5dとを有する。
【0026】
上側面部3a,3b,3c,3dと下側面部5a,5b,5c,5dとを連結している拡幅面部4a,4b,4c,4dは、図1,3,4,5,8,9,10,18からも判る通り、左右方向における真中位置が低く下がり、左右の両端部の位置で高く上がった形状(断面が、例えば略V形状)に成形されている。すなわち、蓋体Bで容器本体Aの上方開口部54を閉蓋した場合、拡幅面部4a,4b,4c,4dが容器本体Aの上端平坦面部(稜線部)50a,50b,50c,50dに対向して位置するものとなることから、拡幅面部4a,4b,4c,4dは、左右方向における真中位置が低く下がり、左右の両端部の位置で高く上がった形状(例えば、略V形状)に成形されている。尚、閉蓋時において、蓋体Bの拡幅面部4a,4b,4c,4dは容器本体Aの上端平坦面部(稜線部)50a,50b,50c,50dに対向して位置しているものの、蓋体Bの上側面部3a,3b,3c,3dおよび拡幅面部4a,4b,4c,4dと容器本体Aの上端平坦面部(稜線部)50a,50b,50c,50dとの間には、所定寸法、例えば0.7〜3mm程度(最も接近した箇所で0.7mm程度、最も離れた箇所で2〜3mm程度)の間隙が存するように容器本体Aと蓋体Bとは構成されている。すなわち、蓋体Bは蓋であることから、閉蓋時には何処かの箇所(例えば、四隅の角部における下端部近傍の箇所)で蓋体Bは容器本体Aに当接(掛止)しているものの、本実施形態の容器にあっては、蓋体Bの上側面部3a,3b,3c,3dおよび拡幅面部4a,4b,4c,4dは容器本体Aに接触していない(図3参照)。そして、単に、当接していないと言うだけでは無く、所定の寸法(例えば、0.5mm)以上の距離が保たれるように離れている。これは、蓋体Bの上側面部3a,3b,3c,3dの内面に付着している水滴が内面に沿って下方に落ちて来た場合、蓋体Bの拡幅面部4a,4b,4c,4dと容器本体Aの上端平坦面部(稜線部)50a,50b,50c,50dとの間の隙間に水滴が毛細管現象によって入り込むのを効果的に防止する為である。つまり、蓋体Bの拡幅面部4a,4b,4c,4dと容器本体Aの上端平坦面部(稜線部)50a,50b,50c,50dとの間の隙間が小さいと、上側面部3a,3b,3c,3dと拡幅面部4a,4b,4c,4dとの境界ラインに落下して来た水滴は、毛細管現象によって、上記隙間に入り込み易いものの、蓋体Bの拡幅面部4a,4b,4c,4dと容器本体Aの上端平坦面部(稜線部)50a,50b,50c,50dとの間の隙間が上記の如く大きなものであると、水滴は、逆に、上記隙間に入り込み難いものとなる。従って、蓋体Bの拡幅面部4a,4b,4c,4dと容器本体Aの上端平坦面部(稜線部)50a,50b,50c,50dとの間の隙間が上記の如きのものであることが好ましい。上側面部3a,3b,3c,3dの内面に沿って上方から下方に向かって拡幅面部4a,4b,4c,4dとの境界ライン(略V形状のライン)まで落下して来た水滴は、拡幅面部4a,4b,4c,4dが水平方向に外側に拡がった面であることから、その箇所で、それ以上は下方に落下することは無い。その代わり、上側面部3a,3b,3c,3dと拡幅面部4a,4b,4c,4dとの境界ラインが、上述の通り、略V形状に構成されていることから、その左右の箇所から真中の位置に滑り落ちて来るようになる。すなわち、上側面部3a,3b,3c,3dの最も低い位置(左右方向において略真中の位置)に水滴が集って来るように上側面部3a,3b,3c,3dと拡幅面部4a,4b,4c,4dとの境界ラインが構成されている。
【0027】
上記水滴が左右から集まって来るように構成された箇所(真中位置)には、水滴落下誘導用凸部6a,6b,6c,6dが設けられている。この水滴落下誘導用凸部6a,6b,6c,6dは、側壁面が内側に押し遣られ、かつ、下端部が上側面部3a,3b,3c,3dと拡幅面部4a,4b,4c,4dとの境界ラインよりも下側に突出しているように押し遣られた形状に成形されている。すなわち、この水滴落下誘導用凸部6a,6b,6c,6d(側面部2)を正面から眺めた場合、水滴落下誘導用凸部6a,6b,6c,6dは、その上側が底辺となる二等辺三角形状(上端部における左右方向の長さ(横幅)mが5〜20mm程度。下端部における左右方向の長さ(横幅)mが5mm以下(例えば、0.5〜3mm)程度。上側面部3a,3b,3c,3dと拡幅面部4a,4b,4c,4dとの境界位置(境界ライン)における左右方向の長さ(横幅)mが5mm以下(例えば、0.5〜3mm)程度。上下方向の長さが7〜20mm程度。左斜辺は、下側に行くにつれて連続的に右側に移る。右斜辺は、下側に行くにつれて連続的に左側に移る。)に成形されている。又、水滴落下誘導用凸部6a,6b,6c,6dは、上側面部3a,3b,3c,3dに対して垂直な面での断面が、図2からも判る通り、略レ字形状に成形されている。すなわち、上側面部3a,3b,3c,3dに対して垂直な方向における水滴落下誘導用凸部6a,6b,6c,6dの幅(縦幅)寸法が下端側ほど小さなものとなるよう成形されている。例えば、上側面部3a,3b,3c,3dと拡幅面部4a,4b,4c,4dとの境界位置(境界ライン)における水滴落下誘導用凸部6a,6b,6c,6dの幅(縦幅)寸法nは1〜5mm程度、下端(先端)における水滴落下誘導用凸部6a,6b,6c,6dの幅(縦幅)寸法nは2mm程度以下、n<nであるように成形されている。
【0028】
そして、凸部6a,6b,6c,6d及びその周辺位置での形状を上記のような構成のものとしたから、凸部6a,6b,6c,6dの隣接位置まで到達して来た水滴は効果的に容器本体A内に誘導落下する。すなわち、図10に示される通り、上側面部3a,3b,3c,3dと拡幅面部4a,4b,4c,4dとの略V形状の境界ラインに誘導されて(境界ラインに沿って)凸部6a,6b,6c,6dの隣接位置まで到達して来た水滴は、凸部6a,6b,6c,6dの左右のラインに沿って下側に移行するや否やの時点で合体(凸部6a,6b,6c,6dの両側を伝わって来た水滴が合体)する。そして、合体した水滴は、合体によって重みが増すことから、凸部6a,6b,6c,6dの幅狭な下端から離脱・落下し、容器本体Aで受け止められる。
【0029】
これに対して、凸部が上記した凸部6a,6b,6c,6dの如きの形状では無く、かつ、凸部近傍における蓋体の上側面部と拡幅面部との境界ラインが傾斜してない略水平な場合、又、蓋体の拡幅面部と容器本体の上端平坦面部(稜線部)とが接しているか離れていても離間寸法が小さい場合、即ち、図11に示される如くの形状である場合、水滴誘導落下の機能が奏されないものであった。つまり、上側面部と拡幅面部との境界ラインが全般的には略円弧状のものであって左右の側から真中の方向に水滴が移動して来るようになっていても、凸部11の近傍で境界ラインが略水平なものになっていると、水滴が凸部11の位置まで移動して来るには長時間を要する。そして、拡幅面部と容器本体との間の隙間が小さいと、上側面部と拡幅面部との境界ラインに沿っての移動の間に水滴は毛細管現象によって拡幅面部と容器本体との間の隙間に嵌まり込み、その位置で水滴は貼り付いた如きのものになる。その結果、その位置に水滴が保持されてしまい、蓋を開けた際に水滴が弾けるように飛散するものであった。又、凸部11と凸部11の下端中央部に臍の如くに設けられた凸部11aとの横幅寸法が、連続的に変化した形状では無く、図11に示される如く、上側面部と拡幅面部との境界ラインにおいて不連続的に変化したものになっていると、例えば点Xと点Yとの間の距離が5mm程度も有ると、点Xの位置まで誘導されて来た水滴は点Yの位置にまでは移動し難く、その結果、凸部11aの下端から水滴が誘導・落下され難いものであった。
【符号の説明】
【0030】
A 容器本体
50a,50b,50c,50d 上端平坦面部(稜線部)
51a,51b,51c,51d 真中位置
54 上方開口部
B 蓋体
1 天面部
2 側面部
3a,3b,3c,3d 上側面部
4a,4b,4c,4d 拡幅面部
5a,5b,5c,5d 下側面部
6a,6b,6c,6d 水滴落下誘導用凸部



【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体と、前記容器本体の開口部を閉蓋する天面部および側面部を有する蓋体とを具備した容器において、
前記蓋体の側面部の内面に付着した水滴が前記容器本体内に落下するのを誘導する為の水滴落下誘導用凸部が、該蓋体の側面部内面に構成されてなる
ことを特徴とする容器。
【請求項2】
前記水滴落下誘導用凸部は、前記蓋体の側面部の内面に付着した水滴の前記容器本体内への落下誘導位置が該容器本体における稜線部より内側の位置であるよう構成されてなる
ことを特徴とする請求項1の容器。
【請求項3】
前記水滴落下誘導用凸部は、その横幅寸法が上部から下部に向って連続的に小さくなる形状に構成されてなる
ことを特徴とする請求項1又は請求項2の容器。
【請求項4】
前記水滴落下誘導用凸部は、その下端における横幅寸法が4mm以下である
ことを特徴とする請求項1〜請求項3いずれかの容器。
【請求項5】
前記水滴落下誘導用凸部は、側面部に対する垂直な断面での形状が略レ字形状に構成されてなる
ことを特徴とする請求項1〜請求項4いずれかの容器。
【請求項6】
前記蓋体の側面部は、天面部に繋がる上側面部と、前記上側面部の下端に繋がり、該上側面部の外側に拡がる拡幅面部と、前記拡幅面部の外端に繋がる下側面部とを有し、
前記上側面部は、前記蓋体の閉蓋時において、前記容器本体の開口部の内側に位置するよう構成されたものであり、
前記水滴落下誘導用凸部は前記上側面部に設けられてなる
ことを特徴とする請求項1〜請求項4いずれかの容器。
【請求項7】
前記蓋体の側面部は、天面部に繋がる上側面部と、前記上側面部の下端に繋がり、該上側面部の外側に拡がる拡幅面部と、前記拡幅面部の外端に繋がる下側面部とを有し、
前記上側面部と前記拡幅面部との境界部は、前記水滴落下誘導用凸部位置が最も下方に位置するよう傾斜して構成されてなり、
前記水滴落下誘導用凸部の下端部が前記傾斜部よりも下側に突出しているよう構成されてなる
ことを特徴とする請求項1〜請求項6いずれかの容器。
【請求項8】
前記蓋体の側面部は、天面部に繋がる上側面部と、前記上側面部の下端に繋がり、該上側面部の外側に拡がる拡幅面部と、前記拡幅面部の外端に繋がる下側面部とを有し、
前記蓋体の閉蓋時において、前記上側面部と前記容器本体とは0.5〜4mm離間しているよう構成されてなる
ことを特徴とする請求項1〜請求項7いずれかの容器。
【請求項9】
前記蓋体の側面部は、天面部に繋がる上側面部と、前記上側面部の下端に繋がり、該上側面部の外側に拡がる拡幅面部と、前記拡幅面部の外端に繋がる下側面部とを有し、
前記蓋体の閉蓋時において、前記拡幅面部と前記容器本体とは0.5〜4mm離間しているよう構成されてなる
ことを特徴とする請求項1〜請求項8いずれかの容器。
【請求項10】
請求項1〜請求項9いずれかの容器における蓋体。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2010−264996(P2010−264996A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−117029(P2009−117029)
【出願日】平成21年5月13日(2009.5.13)
【出願人】(391011825)中央化学株式会社 (32)
【Fターム(参考)】