蓋体の装着構造及びこれを利用した家具
【課題】蓋体の開き方向の自由度を向上させて、多方向から収納物出入口へのアクセス可能な蓋体の装着構造を提供する。
【解決手段】天板1の一部に設けた天板開口縁10によって形成される収納物出入口K1を閉止する位置po1に、支持部63と被支持部64により蓋体5を保持する保持機構6を複数設け、これら保持機構6は、蓋体5を互いに非平行な回転軸(C1,C2,C3)回りに回転させるべく非平行な各回転軸上(C1,C2,C3)にそれぞれ2以上の保持機構6が配置されて、いずれかの回転軸を回転中心として選択し、その回転中心回りに蓋体5が回転を始める場合に、選択された回転軸上にある保持機構6の保持状態を引き続き維持し、それ以外の保持機構6の保持状態を解除することで、蓋体5を天板開口縁10に対して開閉可能に案内し得るように構成したことを特徴とする蓋体の装着構造。
【解決手段】天板1の一部に設けた天板開口縁10によって形成される収納物出入口K1を閉止する位置po1に、支持部63と被支持部64により蓋体5を保持する保持機構6を複数設け、これら保持機構6は、蓋体5を互いに非平行な回転軸(C1,C2,C3)回りに回転させるべく非平行な各回転軸上(C1,C2,C3)にそれぞれ2以上の保持機構6が配置されて、いずれかの回転軸を回転中心として選択し、その回転中心回りに蓋体5が回転を始める場合に、選択された回転軸上にある保持機構6の保持状態を引き続き維持し、それ以外の保持機構6の保持状態を解除することで、蓋体5を天板開口縁10に対して開閉可能に案内し得るように構成したことを特徴とする蓋体の装着構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、机やテーブル等の家具に付帯して利用される蓋体の装着構造及びこれを利用した家具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の机やテーブル等の家具には、特許文献1に例示されるように、天板の一部に設けた矩形状の天板開口縁によって収納物出入口が形成されており、この収納物出入口を通じて天板下に形成される配線等の収納空間を天板上方に開放可能としてあり、この収納物出入口を閉止する位置に蓋体を装着するための構造が設けてある。
【0003】
この構造は、収納出入口と蓋体間の対向両縁部近傍に設けられた、蓋体を閉止位置に保持する第一・第二の保持機構からなり、これら第一・第二の保持機構が、蓋体が天板開口縁に対して両開き可能となるように、いずれか一方側の保持機構の保持状態を解除した場合に、他方の保持機構を回転中心としつつ蓋体を開閉可能に支持するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−298657号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の蓋体の装着構造では、第一の保持機構により蓋体を開閉可能に支持する場合の回転中心と、第二の保持機構により蓋体を開閉可能に支持する場合の回転中心とが平行に設けられているので、蓋体の開き方向が平行な二方向に限定されてしまい、家具の形態や天板の形状によって収納物出入口へアクセスしにくい方位が生じてしまう。
【0006】
本発明は、このような課題に着目してなされたものであって、その目的は、蓋体の開き方向の自由度を向上させて、多方向から収納物出入口へのアクセス可能な蓋体の装着構造、及びこれを備えた家具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、かかる目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。
【0008】
すなわち、本発明の蓋体の装着構造は、天板の一部に設けた天板開口縁によって形成される収納物出入口を閉止する位置に蓋体を装着するための構造であって、支持部と被支持部により蓋体を閉止位置に保持する保持機構を複数設け、これら保持機構は、蓋体を互いに非平行な回転軸回りに回転させるべく当該非平行な各回転軸上にそれぞれ1又は2以上の保持機構が配置されて、いずれかの回転軸を回転中心として選択し、その回転中心回りに蓋体が回転を始める場合に、選択された回転軸上にある保持機構の保持状態を引き続き維持し、それ以外の保持機構の保持状態を解除することで、蓋体を天板開口縁に対して開閉可能に案内し得るように構成したことを特徴とする。
【0009】
このように構成することで、蓋体の開き方向に非平行な方向を導入でき、蓋体の開き方向が平行な二方向に限定されていた場合に比べて蓋体の開き方向の自由度を増すことが可能となり、多方向から収納物出入口にアクセスすることが可能となる。
【0010】
本発明の好適な実施形態として、前記回転軸が少なくとも三つ構成されるように設定し、前記天板開口縁に対して蓋体を三方向以上の多方向に開閉可能にしたことが挙げられる。
【0011】
簡易な構成で蓋体の開閉作業や着脱作業を円滑に行うためには、前記被保持部及び支持部は、部材の弾性変形を利用して相対的に接離可能にすることで保持状態にし又は保持状態を解除するように構成されていることが好ましい。
【0012】
蓋体の開閉操作や着脱操作を容易にするためには、前記被保持部及び支持部は、その回転軸方向に沿って順に部材を弾性変形させることで保持状態にし又は保持状態を解除するように構成されていることが望ましい。
【0013】
製造しやすく且つ収納物出入口を介した収納物の出し入れを容易にするためには、前記回転軸は、前記天板開口縁よりも前記蓋体側に設定されており、前記天板開口縁側に設けられる前記支持部は、平面視において回転軸上の中央を避けて両端側にある天板開口縁に設けられていることが効果的である。
【0014】
蓋体を回転軸上の両端部のみで支持する場合に比べて蓋体に必要な剛性を下げるとともに、蓋体を着脱(開閉)しやすくするためには、前記回転軸は、前記天板開口縁よりも前記蓋体側に設定されており、前記天板開口縁側に設けられる前記支持部は、平面視において回転軸上の両端側にある天板開口縁を避けた途中部位に配置されていることが好ましい。
【0015】
簡易な構成で支持強度を確保するためには、前記回転軸は、前記天板開口縁よりも前記蓋体側に設定されており、前記天板開口縁側に設けられる前記支持部は、平面視において回転軸上の両端側にある天板開口縁同士を結ぶ全域に亘って架け渡すように配置されていることが望ましい。
【0016】
蓋体の開閉作業や着脱作業を容易にするためには、前記蓋体は、天板開口縁との間に上方に開口した隙間を形成した状態で装着されることが効果的である。
【0017】
蓋体の装着構造の好適な実施形態としては、前記蓋体の下方に、収納空間を形成する収納部を有するものが挙げられる。
【0018】
また、上記蓋体の装着構造の好適な適用例として、上記の蓋体の装着構造を利用した家具であって、その天板の一部に設けた天板開口縁によって形成される収納物出入口を閉止する位置に蓋体を装着してなり、支持部と被支持部により蓋体を閉止位置に保持する保持機構を複数設け、これら保持機構は、蓋体を互いに非平行な回転軸回りに回転させるべく当該非平行な各回転軸上にそれぞれ1又は2以上の保持機構が配置されて、いずれかの回転軸を回転中心として選択し、その回転中心回りに蓋体が回転を始める場合に、選択した回転軸上にない保持機構の保持状態を解除し、選択された回転軸上にある保持機構の保持状態を引き続き維持することで、蓋体を天板開口縁に対して開閉可能に案内し得るように構成したことを特徴とする家具が挙げられる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の蓋体の装着構造は、以上説明した構成であるから、蓋体の開き方として非平行な方向を実現でき、蓋体の開き方向が平行な二方向に限定されていた場合に比べて蓋体の開き方向の自由度を増すことが可能となり、多方向から収納物出入口にアクセスすることが可能となる。したがって、取り扱いやすい蓋体の装着構造及びこれを備えた家具を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態の蓋体の装着構造を適用した机等の家具を模式的に示す平面図及び側面図。
【図2】同実施形態において蓋体の開閉動作を模式的に示す斜視図。
【図3】同実施形態において蓋体を保持する保持機構を模式的に示す断面図。
【図4】保持機構を構成する被支持部及び支持部が接離する際の動作を、同実施形態の保持機構と従来の保持機構とを比較して模式的に示す図。
【図5】蓋体が回転する場合における保持機構を構成する被支持部及び支持部それぞれの軸心同士の位置関係を模式的に示す斜視図。
【図6】本発明の他の実施形態に係る保持機構を模式的に示す平面図。
【図7】本発明の他の実施形態に係る保持機構を模式的に示す断面図。
【図8】本発明の他の実施形態に係る保持機構を模式的に示す断面図。
【図9】本発明の上記以外の実施形態の構成を模式的に示す平面図。
【図10】本発明の上記以外の実施形態の構成を模式的に示す断面図。
【図11】本発明の上記以外の実施形態の構成を模式的に示す図。
【図12】本発明の上記以外の実施形態の構成を模式的に示す図。
【図13】本発明の上記以外の実施形態の構成を模式的に示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0022】
本実施形態では、図1に示すように、本発明の蓋体の装着構造を家具の一種である机Dに適用した場合について説明する。この机Dは、主としてオフィス等で利用されるもので、略円形の天板1と、前記天板1の中心部の下に設けられる収納部2と、この収納部2及び支柱3を介して天板1を支持する脚部4と、天板1の一部に形成される開口たる収納物出入口K1を閉止する位置に装着される蓋体5とを有している。
【0023】
天板1は、中央部に円形状に湾曲した天板開口縁10が設けられており、この天板開口縁10によって上方に開口する円形状の収納物出入口K1が形成されている。天板1は、天板開口縁10すなわち収納物出入口K1の中心を天板1の円形中心に略一致してあり、収納物出入口K1の周囲にパソコン入力作業等を行う作業領域を有するものである。そして、この収納物出入口K1に有底円筒状の収納部2の開口部を臨ませた状態で当該収納部2を天板1の下面に設けている。
【0024】
収納部2は、図1に示すように、筒状の側壁部20と、底壁部21とを主体とする有底筒状をなしており、各々の壁部20,21で囲まれる空間を中空にして配線類Li等を収納可能な収納空間S1を有している。収納部2は、側壁部20を外側に向けて全体的に又は部分的に曲げることにより折り曲げ片20aが設けられており、この折り曲げ片20aを利用して天板下面にビス止めされている。勿論、収納部2の外側面(側壁部20の外周面)に天板下面への取付用ブラケットを設けてもよい。収納部2の底壁部21には、支柱3の上端部が接続されており、収納部2の底壁部21に形成された図示しない孔を介して支柱3の内部に形成された図示しない配線路から収納部2の収納空間S1に配線Li等の引き回しを可能としている。支柱3の下端部は、平面視円形状の脚部4の中心部に接続され、脚部4が支柱3及び収納部2を介して天板1を支持するように構成してある。
【0025】
蓋体5は、図1及び図3に示すように、円弧状に湾曲した外周縁5aを有する平面視円形状をなす平板状のもので、天板1の収納物出入口K1を閉止する位置po1において、その外周縁5aと、外周縁5aに対向する天板開口縁10との間に上方に開口する隙間K2が外周縁5a全周に亘って形成した状態で装着されている。剛体である蓋体5は、閉止位置po1において、その上面51を剛体である天板1の上面11と略面一となるように装着されている。蓋体5の外周縁5a全域には、天板開口縁10との間に形成される隙間K2を閉止する軟質樹脂7が取り付けられている。軟質樹脂7は、蓋体5が閉止位置にある場合に、軟質樹脂7の上面71と蓋体5の上面51と天板1の上面11とが略面一となるように設定してあり、軟質樹脂7が、蓋体5と天板開口縁10の隙間K2を、蓋体5及び天板1の上面51,11がほぼ面一に連続するように埋めている。すなわち、軟質樹脂7が弾性変形することで、隙間K2に配線Liがある場合でも配線Liの形状に柔軟に対応して隙間K2を塞ぐことが可能となる。勿論、軟質樹脂7は天板開口縁10側に取り付けてもよい。
【0026】
また、この蓋体5は、図1及び図2に示すように、天板1の収納物出入口K1を閉止する位置po1に着脱可能且つ天板1の天板開口縁10の多方(三方)のいずれかを選択的に開放し得るように多方開き可能に装着されている。すなわち、蓋体5のうち天板開口縁10に対向する外周縁5a部近傍の下方に、保持機構6を複数箇所に設けて蓋体5を閉止位置po1に保持するようにしている。これら保持機構6は、互いの係合状態を維持又は係合状態を接離動作によって解除可能な部分円筒状軸受である被支持部64及び円柱状軸である支持部63から構成され、蓋体5を互いに非平行な回転軸(C1,C2,C3)回りに回転させるべく非平行な各々の回転軸(C1,C2,C3)上にそれぞれ2以上の保持機構6が配置されている。そして、いずれかの回転軸(例えばC1)を回転中心として選択し、その回転中心回り(C1回り)に蓋体5が回転を始める場合に、選択した回転軸(C1)上にある保持機構6の保持状態を引き続き維持し、それ以外の保持機構6、すなわち選択しなかった回転軸(C2,C3)上にある保持機構6の保持状態を解除することで、選択した回転軸(C1)上にある複数の保持機構6・6が協働して蓋体5を選択した回転軸(C1)回りに回転可能に支持し、蓋体5が天板開口縁10に対して開閉可能に案内される(図3参照)。
【0027】
具体的には、複数の保持機構6によって構成される回転軸C1,C2,C3は、図1に示すように、三角形の各辺のように、円形の天板開口縁10の中心回りに順に周方向に均等に配置したもので、回転軸C1,C2,C3が他の少なくとも一つの回転軸と非平行となる関係(交差する関係)に設定されている。図1及び図3に示すように、回転軸C1〜C3は、天板開口縁10よりも平面視で蓋体5側に設定され、且つ天板1の上面11よりも側面視で下方に設定されており、天板開口縁10の閉じた範囲内(すなわち蓋体5の範囲内)で他の回転軸と近接しないように各々の回転軸が他の回転軸から若干離間した位置に配置されている。
【0028】
保持機構6を構成する支持部63は、図3及び図4に示すように、天板開口縁10側に設けられ、回転軸方向に所定の長さを有する円柱状の軸である。保持機構6を構成する被支持部64は、蓋体5の外周縁5a側の下面52から垂下する状態で蓋体5側に設けられ、回転軸方向に所定の長さを有する部分円筒状の軸受である。これらにより構成される一の保持機構6は、一つの回転軸を付与し得るものであるとともに、部材の弾性変形を利用して支持部63を被支持部64に対して挿抜可能に構成されている。なお、本実施形態では、一つの回転軸(C1,C2,C3)上にそれぞれ複数(二つ)の保持機構6を配置しているが、本実施形態のように単独の保持機構6で回転軸を付与し得る場合には、一つの回転軸上に配置する保持機構の数は、1又は2以上の任意の数に設定できる。
【0029】
具体的に、被支持部64は、図3に示すように、弾性変形可能な合成樹脂などの素材により形成されている。この被支持部64は、その軸心を支持部63にほぼ一致させた略円筒状乃至略円弧状のものであり、前記支持部63を回転可能に保持する軸保持部分64aと、部材の弾性変形を利用して前記支持部63を軸保持部分64aに挿入可能とするための切欠部分64bとを有している。この被支持部64は、切欠部分64bの開口幅を軸保持部分64aの内径よりも小さくしておき、部材の一時的な弾性変形を利用して前記支持部63を軸保持部分64aに挿入して係合するようにしている。軸保持部分64aの開口は、軸心C1〜C3に直交する下方を向いて開いている。
【0030】
また、保持機構6を構成する支持部63及び被支持部64が、図1に示すように、蓋体5の範囲内で回転軸C1等の両端近傍に位置している。この「両端近傍」とは、回転軸(例えばC1)の中心p1を越えない(跨がない)という意味である。また、支持部63及び被支持部64によって与えられる回転軸C1〜C3は、蓋体5の縁部近傍に縁部5aに沿うように設けられた直線状の長尺状のものである。この蓋体5の縁部近傍とは、蓋体5の中心p2を跨がないという意味である。具体的に蓋体5の縁部近傍にある回転軸C1〜C3は、蓋体5の中心p2から縁部5a側に変位した位置にある。さらに言えば、回転軸C1〜C3は、蓋体5の中心p2と縁部5aとの中心p3よりも更に縁部5a寄りにあると言える。
【0031】
ところで、上記のように保持機構を構成する支持部及び被支持部を、部材に設けた切欠と部材自体の弾性変形とを利用して接離可能にしたものにおいて、従来のように回転軸が平行な場合に対応させて接離可能に構成した保持機構を、ただ単に非平行な回転軸を構成するように配置しただけでは、支持部及び被支持部の干渉によって保持機構の保持状態が円滑に解除できないおそれが考えられる。
【0032】
そこで、本実施形態では、保持機構6のある回転軸と非平行な回転中心回りに回転する方向に沿って支持部63及び被支持部64が相対的に接離可能に構成している。具体的には、上記回転方向に相対的に接離可能となるように、切欠部分64bの開口の開き方向とその開口寸法及びその開き方向に応じた部材の弾性変形力が設定してあり、適切な保持力を確保しつつ必要な方向への接離動作を許容している。
【0033】
保持機構6を構成する支持部63は、図1に示すように、平面視においてその回転軸(例えばC2)上の中央(p1)を避けて両端側にある天板開口縁10の二箇所に対をなして配置され、各々の天板開口縁10から回転軸に沿って突出する状態で設けられている。
【0034】
保持機構6を構成する被支持部64は、図4(a)に示すように、回転軸方向全域に亘って略同一の横断面を形成し、その回転軸に直交する横断面は略Cの字状をなしている。そして、例えば図1に示す回転軸C1を回転中心として選択し、蓋体5のうち選択した回転軸C1から軸心C1と直交する方向に離れた部位(縁部5a等)を天板から持ち上げることで、その回転中心(C1)回りに蓋体5が閉止位置から回転を始める。図4(a)に示すように、選択しなかった回転軸(C2,C3)上にある保持機構6を構成する支持部63と被支持部64とがその回転軸(C2,C3)に非平行な方向(図中の矢印)に沿って相対的に接離可能な解除状態をとり得るように構成されているので、選択しなかった回転軸(C2,C3)上にある保持機構6の保持状態が解除される。この場合、図4(a)に示すように、選択しなかった回転軸(C2,C3)上にある保持機構6を構成する被支持部64がその回転軸(C2,C3)と交差する非平行な回転中心(C1)回りに回転しつつ支持部63と離間するので、被支持部64がその回転軸(C2,C3)に沿って端から順に部材を弾性変形させながら保持状態を解除することになる。そして、図1及び図3に示すように、選択した回転軸(C1)上にある保持機構6の保持状態を引き続き維持することで、蓋体5を上方に回転させて開き、天板開口縁10に対して蓋体5を多方開き可能にしている。勿論、保持状態を解除している状態から保持状態にするときも同様である。
【0035】
また、言い換えると、図5に示すように、例えば図1に示す回転軸C3を回転中心として選択し、その回転中心(C3)回りに蓋体5が閉止位置から回転を始める場合に、選択しなかった回転軸(C1)上にある保持機構6を構成する支持部63の軸心C1aと、同保持機構6を構成する被支持部64の軸心C1bとが平行な関係にあり、蓋体5の回転に伴い被支持部64の軸心C1bが回転中心(C3)回りに円錐面を描きつつ、各々の軸心C1aと軸心C1bとが非平行な関係に移行して互いの角度が広がる。すなわち、蓋体5の回転に伴い選択しなかった回転軸(C1)上にある保持機構6を構成する支持部63又は被支持部64の一方の軸心が円錐面を描くとともに、蓋体5の回転に伴い選択しなかった回転軸(C1)上にある保持機構6を構成する支持部63及び被支持部64それぞれの軸心C1a,C1b同士が互いの角度を深め(変え)ながら平行な関係から非平行な関係へと移行する。勿論、蓋体5が開いている状態から閉止位置に向けて回転する場合は逆の動作となる。
【0036】
このように、蓋体5は、平面視で端部よりも内側に位置する軸心C1〜C3を境に上がる部分と下がる部分とが生じるので、蓋体の一端を回転中心とした場合に比べて重心移動を減らして開けやすくなるとともに、多方向から配線空間にアクセス可能となり、使い勝手が良好なものとなる。
【0037】
また、図1に示すように、収納部2の内形は、天板下面への取付位置において天板開口縁10よりも内側に露出せず、平面視で、収納部2を構成する側壁部20の上端内面が視認できない形状及び大きさに規定されている。具体的には、本実施形態のように天板開口たる収納物出入口K1が円形をなす場合、収納部2の内形は、平面視で収納物出入口K1と同等以上の大きさの円形であり、収納部2は平面視で収納物出入口K1を完全にカバーする位置に取り付けられている。このように構成することで、蓋体5を多方向に開閉するときに、いずれの方向でも蓋体5が収納部2の内壁(側壁部20)と引っ掛かることが無くスムーズに動作可能となる。しかも、蓋体5を開いた場合に、収納部2の上端縁辺(側壁部20の上端部等)が見えずに見栄えも向上させることが可能となる。なお、本実施形態では、収納部2の内形は、円形をなしているが、一辺が収納物出入口K1の直径以上の大きさの正方形としてもよい。このように、収納部2が平面視で天板開口たる収納物出入口K1を完全に覆う位置に取り付けるのであれば、天板開口である収納物出入口K1と収納部2の内形の大きさや形状が異なっていてもよい。収納部の内形に関する他の例として、楕円形状や多角形等も挙げられる。また、天板開口(収納物出入口K1)が円形である場合だけでなく、例えば図9(a)に示すような形状のもののほか、種々の形状のものにも同様のことが言える。
【0038】
また、図1及び図2に示すように、蓋体5の外周縁5aのうち各々の回転軸C1,C2,C3で形成される三角の各頂点部、すなわち蓋体5の縁部のうち回転軸に対して垂線を引いた場合に回転軸に至るまでの距離が最も長い部位又はその近傍(以降、回転軸の対向頂部や対向辺部とも呼ぶ)に、「ここを持ち上げて蓋を開く」ことを示唆する文字や図形、記号その他のサインsnが付されている。このサインsnによって円形など蓋体5の形状によって蓋体5の開き方向が認識しにくい場合であっても、蓋体5の開き方向を示唆することができ、利用しやすいものとなる。また、蓋体5の外周縁5aが、回転軸C1,C2,C3から円弧状に外方に突出しているので、蓋体5の下面52に設けた支持部63や被支持部64が見えにくくなり、美観を向上させることが可能となる。
【0039】
なお、本実施形態では、蓋体5側の被支持部64として軸受を設け、天板開口縁10側に支持部63として軸を設けているが、この関係を逆にして蓋体5側の被支持部64として軸を設け、天板開口縁10側の支持部63として軸受を設けてもよい。軸及び軸受の形状は、円柱形状や円筒形状に限られず、断面多角形状等に形成してもよい。
【0040】
以上のように、本実施形態の蓋体5の装着構造は、天板1の一部に設けた天板開口縁10によって形成される収納物出入口K1を閉止する位置po1に蓋体5を装着するための構造であって、蓋体5を閉止位置po1に保持する保持機構6を複数設け、これら保持機構6は、蓋体5を互いに非平行な回転軸(C1,C2,C3)回りに回転させるべく非平行な各回転軸(C1,C2,C3)上にそれぞれ1又は2以上の保持機構が配置されて、いずれかの回転軸を回転中心として選択し、その回転中心回りに蓋体5が回転を始める場合に、選択された回転軸上にある保持機構6の保持状態を引き続き維持し、それ以外の保持機構6、すなわち選択しなかった回転軸上にある保持機構6の保持状態を解除することで、蓋体5を天板開口縁10に対して開閉可能に案内し得るように構成している。
【0041】
このような構成によれば、蓋体5を閉止位置po1に保持する複数の保持機構6が、蓋体5を互いに非平行な回転軸(C1,C2,C3)回りに回転させるべく非平行な各々の回転軸(C1,C2,C3)上にそれぞれ2以上の保持機構6が配置されて、選択した回転軸回りに蓋体5を開閉可能に支持するので、蓋体5の開き方向に非平行な方向を導入でき、従来の蓋体の開き方向が平行な二方向に限定されていた場合に比べて蓋体の開き方向の自由度を増すことが可能となり、多方向から収納物出入口にアクセスすることが可能となる。
【0042】
また、本実施形態では、前記回転軸が少なくとも三つ構成されるように設定し、前記天板開口縁10に対して蓋体5を三方向以上の多方向に開閉可能にして、収納物出入口へアクセスしにくい方位を無くした取り扱いやすいものとしている。
【0043】
特に、本実施形態では、支持部63及び被支持部64は、部材の弾性変形を利用して相対的に接離可能にすることで保持状態にし又は保持状態を解除するように構成されているので、ロック機構等の複雑な機構を設けることなく簡易な構成で蓋体の開閉作業や着脱作業を円滑に行うことを可能としている。
【0044】
従来では、図4(b)に示すように、保持機構のある回転軸と回転中心とが平行な関係にされている場合には、軸受である被支持部1064と軸部である支持部1063とがその軸心と平行な回転中心回りに回転する方向に相対的に離間(接離)するので、被支持部1064は、その回転軸方向全域に亘って部材を同時に弾性変形させなければ保持状態を解除できず、保持機構を保持状態にするときや保持状態を解除するときに弾性反発力に抗する操作力が多大なものになってしまうものの、本実施形態では、支持部63及び被支持部64は、その回転軸方向に沿って順に部材を弾性変形させることで保持状態にし又は保持状態を解除するように構成されているので、従来の回転軸同士の平行な場合に比べて小さな操作力で保持機構を保持状態にし又は保持状態を解除することが可能となり、開閉操作や着脱操作を容易にすることが可能となる。
【0045】
さらに、本実施形態では、保持機構6の回転軸C1〜C3は、天板開口縁10よりも平面視で蓋体5側に設定されており、天板開口縁10側に設けられる支持部63は、平面視において回転軸(C1〜C3)上の中央を避けて両端側にある天板開口縁10に設けられているので、平面視において回転軸上の途中部位に設ける場合に比べて支持部63を製造しやすく、また、回転軸(C1〜C3)上の中央を避けているので、収納物出入口K1たる開口が広く配線類Li等を出し入れしやすくすることが可能となる。勿論、天板開口縁側に設けるのが軸部ではなく軸受部である場合も同様である。
【0046】
また、本実施形態では、蓋体5は、天板開口縁10との間に上方に開口した隙間K2を形成した状態で装着されるので、蓋体5の開閉作業や着脱作業時に、隙間K2に手を入れることができ、これら作業を行いやすくすることが可能となる。また、この隙間K2を介して収納空間S1内の配線類Liを天板1上に引き出すことが可能となる。
【0047】
その他、本実施形態の好適な適用例としては、蓋体5の下方に、収納空間S1を形成する収納部2を有する構成が挙げられる。
【0048】
上記の蓋体5の装着構造を利用した家具として、その天板1の一部に設けた天板開口縁10によって形成される収納物出入口K1を閉止する位置に蓋体5を装着してなり、蓋体5を閉止位置po1に保持する保持機構6を複数設け、これら保持機構6は、蓋体5を互いに非平行な回転軸(C1,C2,C3)回りに回転させるべく非平行な各回転軸(C1,C2,C3)上にそれぞれ1又は2以上の保持機構が配置されて、いずれかの回転軸を回転中心として選択し、その回転中心回りに蓋体5が回転を始める場合に、選択しなかった回転軸上にある保持機構6の保持状態を解除し、選択された回転軸上にある保持機構6の保持状態を引き続き維持することで、蓋体5を天板開口縁10に対して開閉可能に案内し得るように構成していることを特徴とする机Dが挙げられる。勿論、机D以外にも例えばテーブルやその他の天板付き家具に適用可能である。
【0049】
なお、各部の具体的な構成は上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【0050】
例えば、保持機構6の他の形態として、図6(a)及び図7に示すように、保持機構106を、平面視において回転軸C106上の両端側にある天板開口縁10を避けた途中部位のうち中央を避けた部位の二箇所に配置した軸部たる支持部163及び軸受たる被支持部(図示せず)から構成してもよい。支持部163は、天板開口縁10側から蓋体5の下方に延びた延出部163aにより支持される。このように、保持機構106の回転軸C106は、天板開口縁10よりも平面視で蓋体5側に設定されており、天板開口縁10側に設けられる支持部163は、平面視において回転軸C106上の両端側にある天板開口縁10を避けた途中部位に配置されているので、蓋体5を軸心上の両端部のみで支持する場合に比べて蓋体5の支点が増えて蓋体5に必要な剛性を下げることが可能となる。また、支持部又は被支持部が軸心の両端側にあるよりも途中部位にある方が、支持部又は被支持部にこれらの保持を解除するための操作力(蓋体を持ち上げる力)が作用しやすく、蓋体の着脱(開閉)がしやすくなる。加えて、本実施形態では、軸心C106上の中央を避けているので、収納物出入口K1たる開口が広く配線類Li等を出し入れしやすくすることが可能となる。勿論、天板開口縁側に設ける支持部が軸部ではなく軸受部である場合も同様である。
【0051】
なお、図示しないものの、天板開口縁に沿って隣り合う二つの保持機構の回転軸同士が天板開口縁の閉じた範囲内で近接又は交差する関係にある場合は、各々の保持機構を構成する支持部及び被支持部同士が干渉(スペースの取り合い)するおそれが考えられる。この場合、一方の保持機構を構成する支持部及び被支持部をその軸心の端部に配置するとともに、他方の保持機構を構成する支持部及び被支持部をその軸心の端部を避けた途中部位に配置することにより、両保持機構を構成する支持部及び被支持部同士の干渉(スペースの取り合い)を回避することが可能となる。
【0052】
また、図7に示すように、蓋体5は、閉止状態から90度を超えて開いた場合に自重により開き動作が発現する状態となるが、蓋体5が自重により開き動作が発現する状態にある場合に蓋体5の一部と係合することで、蓋体5の自重による開き動作を規制する回転規制部163bを設け、この回転規制部163bにより蓋体5を開き状態で保持可能に構成している。このように構成すると、蓋体5を開き状態で保持できるので、配線器具をセットしたり、配線類Liを引き回したりするときに蓋体5を手で保持する必要がなく、収納物出入口へのアクセス動作の利便性を向上させることが可能となる。勿論、蓋体5を、閉止状態から90度以内の開き状態で回転を停止するように構成してもよい。また、図10に示すように、保持機構406を構成する支持部463を断面多角形の角柱軸とし、保持機構406を構成する被支持部464を、被支持部464の断面形状に対応する形状をなし弾性変形可能な軸保持部分64aとしてもよい。このように構成すると、蓋体5を適宜の開き角度で保持できるうえ、蓋体5を適宜角度でクリックストップしてクリック感を体感できる。
【0053】
また、本実施形態では、図1に示すように、保持機構6を構成する支持部63及び被支持部64は、例えば回転軸C2の中心を除いて左右に配置されているが、図11(a)に示すように、保持機構506を構成する支持部563や被支持部(図示せず)を、回転軸の中央を含んで左右に跨るように配置してもよい。
【0054】
さらに、図6(b)に示すように、保持機構206を構成し天板1側に設けられる軸たる支持部263を、平面視においてその回転軸C206上の両端側にある天板開口縁10同士を結ぶ全域に亘って架け渡すように配置してもよい。すなわち、この支持部263は、回転軸C206の中心を含んで左右に跨って配置されている。このように構成すると、柱状の軸部を架け渡すという簡易な構成で堅固な支持強度を確保することが可能となる。しかも、回転軸C206上の任意の位置に蓋体5の被支持部を設けることができるので、蓋体の剛性を下げて蓋体を軽量化することが可能となる。勿論、天板開口縁側に設ける支持部が軸部ではなく軸受部である場合も同様である。
【0055】
さらにまた、図8に示すように、保持機構306を構成し天板1側に設けられる軸部としての支持部363を、収納空間S1を構成する底壁部21から立設させた起立部363aに支持させるように構成してもよい。
【0056】
また、本実施形態では、支持部63が回転軸上の二箇所に設けられて、蓋体5を複数箇所支持する構造をなしているが、上記で述べた通り、蓋体を一箇所で支持する構造にしてもよく、支持点の数は適宜設定可能である。
【0057】
本実施形態では、天板1が円形状をなしているが、天板の形状は円形に限定されるものではなく、例えば図9(b)に示すように略矩形状の天板101にしてもよい。その他、楕円形状や多角形状、波形状、扇状等が挙げられる。
【0058】
さらに、本実施形態では、蓋体5は円形をなしているが、蓋体の形状は円形に限定されるものではなく、図9(a)に示すように軸心C4〜C6で構成される三角形の各辺を円弧状に膨らませた形状の蓋体105にしてもよい。この場合、蓋体105の縁部105aのうち回転軸C4〜C6で形成される三角形の各頂点部が、各回転軸に対して垂線を引いた場合に最も距離の長い部位になるので、サインsnを付さなくても蓋体の形状で「持ち上げる部位」を示唆することが可能となる。勿論、図示のようにサインsnを付けた方が更に分かりやすくなる。また、蓋体105の縁部105aが、回転軸C4〜C6から円弧状に外方に突出しているので、蓋体5の下面52に設けた支持部63や被支持部64が見えにくくなり、美観を向上させることが可能となる。その他、楕円形状や多角形状、波形状、扇状等が挙げられる。
【0059】
本実施形態では、三角形の各辺を構成するように配置した各々の回転軸C1〜C3上に保持機構6を複数配置して蓋体5を三方開き可能に構成しているが、図9(b)に示すように、回転軸C6〜C9を四角形の各辺を構成するように配置して、各々の回転軸C6〜C9上に1又は2以上の保持機構を配置し、蓋体を四方開き可能に構成してもよい。このように、蓋体105の形状が円形や正方形等の四角形の場合は、蓋体の形状によって「持ち上げるべき部位」が分かりにくいので、サインsnを付すことが好ましい。勿論、三方開きや四方開きに限定されず、開き方向の数が二以上であれば、開き方向の数や向きは適宜設定可能である。また、この場合も、支持部及び被支持部によって与えられる回転軸C6〜C9は、蓋体5の縁部近傍に縁部5aに沿うように設けられた直線状の長尺状のもので、具体的に、蓋体5の中心p2から縁部5a側に変位した位置にある。さらに言えば、回転軸C6〜C9は、平面視で、蓋体5の中心p2と縁部5aとの中心p3よりも更に縁部5a寄りにあると言える。
【0060】
また、保持機構の他の態様としては、蓋体に筒状の軸保持部分を備えた軸受部と、天板側に軸部とを設け、ボタン等の操作手段への操作により軸部が軸心方向に沿って天板側から蓋体側に突出して軸保持部分に保持される状態と、軸保持部分から軸心方向に沿って天板側に退避した状態とを切り換え可能に構成し、保持状態又は保持状態を解除するようにしてもよい。
【0061】
さらに、図11(b)に示すように、天板1を支持する支持構造は、天板1の周縁部下面に、先端にアジャスタ104aを有する複数本(三本以上)の支持脚104を直接設けたものでもよい。この場合には、配線類Liを収納可能な収納空間S1を有する収納部102をビス止めで天板1の下に取り付けてもよい。この収納部102を構成する壁部120又は底壁部121には、床から配線類Liを導入する孔を形成している。
【0062】
さらにまた、本実施形態では、軸である支持部63と軸受である被支持部64とで構成される単一又は複数の保持機構6により一つの回転軸が構成されているが、図12に示すように、部分球体状の突起664aを有する被支持部664と、突起664aに対応する形状の凹部663aを有する支持部663とから球体軸受構造をなす保持機構606を構成し、複数の保持機構606の組合せにより一つの回転軸を構成するようにしてもよい。この場合、保持機構606を各々の回転軸(C601,C602,C603)に複数配置し、蓋体を支持する保持機構の組合せを変えることで非平行な回転軸を複数(C601,C602,C603)構成することになる。
【0063】
他の保持機構としては、図13に模式的に示すものが挙げられる。すなわち、図示しない天板に設けられ互いに軸心の直交する二つの支軸701・701と、これら支軸701・701を支持すべく略球体をなす中空のガイド部材702とを設けている。このガイド部材702は、弾性変形可能な樹脂製のもので、内部の中空部に支軸同士701・701の交差部分を収納し、球面の四方四箇所に形成した上下方向に延びる長孔702aに支軸701を挿通して上下移動可能に案内し得るものであり、その一部が支軸と協働して蓋体を閉止位置に保持する保持機構706を複数(四つ)構成している。保持機構706は、被支持部としての支軸701と、支持部としての凹所703とから構成され、互いに直交する非平行な回転軸C701,C702上にそれぞれ二つずつ配置される。各々の長孔702aは、長孔702aを形成する対向壁同士の間を支軸701の径寸法よりも小さな寸法に設定するとともに、その上下方向中央に、対向壁同士の間の距離を広げて支軸701の形状に対応した部分円筒状の凹所703を形成している。蓋体の閉止位置においては各々の支軸701がそれぞれ凹所703と係合した状態を維持している。そして、いずれかの回転軸(例えばC701)を回転中心として選択し、その回転中心(C701)回りに蓋体が回転を始める場合に、選択されなかった回転軸(C701)上にある保持機構706を構成する支軸701は長孔702aを形成する対向壁を弾性変形させながら図中の矢印で示すように上下動し、凹所703による保持状態を解除する。同時に選択された回転軸上(C701)にある保持機構706は支軸701と凹所703との保持状態を引き続き維持し、ガイド部材702により支軸701を通じて蓋体が開閉可能に案内される。
【0064】
その他、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0065】
1…天板
10…天板開口縁
5…蓋体
6…保持機構
64…被支持部
63…支持部
C1,C2,C3…回転軸
K1…収納物出入口
K2…隙間
S1…収納空間
po1…閉止位置
【技術分野】
【0001】
本発明は、机やテーブル等の家具に付帯して利用される蓋体の装着構造及びこれを利用した家具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の机やテーブル等の家具には、特許文献1に例示されるように、天板の一部に設けた矩形状の天板開口縁によって収納物出入口が形成されており、この収納物出入口を通じて天板下に形成される配線等の収納空間を天板上方に開放可能としてあり、この収納物出入口を閉止する位置に蓋体を装着するための構造が設けてある。
【0003】
この構造は、収納出入口と蓋体間の対向両縁部近傍に設けられた、蓋体を閉止位置に保持する第一・第二の保持機構からなり、これら第一・第二の保持機構が、蓋体が天板開口縁に対して両開き可能となるように、いずれか一方側の保持機構の保持状態を解除した場合に、他方の保持機構を回転中心としつつ蓋体を開閉可能に支持するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−298657号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の蓋体の装着構造では、第一の保持機構により蓋体を開閉可能に支持する場合の回転中心と、第二の保持機構により蓋体を開閉可能に支持する場合の回転中心とが平行に設けられているので、蓋体の開き方向が平行な二方向に限定されてしまい、家具の形態や天板の形状によって収納物出入口へアクセスしにくい方位が生じてしまう。
【0006】
本発明は、このような課題に着目してなされたものであって、その目的は、蓋体の開き方向の自由度を向上させて、多方向から収納物出入口へのアクセス可能な蓋体の装着構造、及びこれを備えた家具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、かかる目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。
【0008】
すなわち、本発明の蓋体の装着構造は、天板の一部に設けた天板開口縁によって形成される収納物出入口を閉止する位置に蓋体を装着するための構造であって、支持部と被支持部により蓋体を閉止位置に保持する保持機構を複数設け、これら保持機構は、蓋体を互いに非平行な回転軸回りに回転させるべく当該非平行な各回転軸上にそれぞれ1又は2以上の保持機構が配置されて、いずれかの回転軸を回転中心として選択し、その回転中心回りに蓋体が回転を始める場合に、選択された回転軸上にある保持機構の保持状態を引き続き維持し、それ以外の保持機構の保持状態を解除することで、蓋体を天板開口縁に対して開閉可能に案内し得るように構成したことを特徴とする。
【0009】
このように構成することで、蓋体の開き方向に非平行な方向を導入でき、蓋体の開き方向が平行な二方向に限定されていた場合に比べて蓋体の開き方向の自由度を増すことが可能となり、多方向から収納物出入口にアクセスすることが可能となる。
【0010】
本発明の好適な実施形態として、前記回転軸が少なくとも三つ構成されるように設定し、前記天板開口縁に対して蓋体を三方向以上の多方向に開閉可能にしたことが挙げられる。
【0011】
簡易な構成で蓋体の開閉作業や着脱作業を円滑に行うためには、前記被保持部及び支持部は、部材の弾性変形を利用して相対的に接離可能にすることで保持状態にし又は保持状態を解除するように構成されていることが好ましい。
【0012】
蓋体の開閉操作や着脱操作を容易にするためには、前記被保持部及び支持部は、その回転軸方向に沿って順に部材を弾性変形させることで保持状態にし又は保持状態を解除するように構成されていることが望ましい。
【0013】
製造しやすく且つ収納物出入口を介した収納物の出し入れを容易にするためには、前記回転軸は、前記天板開口縁よりも前記蓋体側に設定されており、前記天板開口縁側に設けられる前記支持部は、平面視において回転軸上の中央を避けて両端側にある天板開口縁に設けられていることが効果的である。
【0014】
蓋体を回転軸上の両端部のみで支持する場合に比べて蓋体に必要な剛性を下げるとともに、蓋体を着脱(開閉)しやすくするためには、前記回転軸は、前記天板開口縁よりも前記蓋体側に設定されており、前記天板開口縁側に設けられる前記支持部は、平面視において回転軸上の両端側にある天板開口縁を避けた途中部位に配置されていることが好ましい。
【0015】
簡易な構成で支持強度を確保するためには、前記回転軸は、前記天板開口縁よりも前記蓋体側に設定されており、前記天板開口縁側に設けられる前記支持部は、平面視において回転軸上の両端側にある天板開口縁同士を結ぶ全域に亘って架け渡すように配置されていることが望ましい。
【0016】
蓋体の開閉作業や着脱作業を容易にするためには、前記蓋体は、天板開口縁との間に上方に開口した隙間を形成した状態で装着されることが効果的である。
【0017】
蓋体の装着構造の好適な実施形態としては、前記蓋体の下方に、収納空間を形成する収納部を有するものが挙げられる。
【0018】
また、上記蓋体の装着構造の好適な適用例として、上記の蓋体の装着構造を利用した家具であって、その天板の一部に設けた天板開口縁によって形成される収納物出入口を閉止する位置に蓋体を装着してなり、支持部と被支持部により蓋体を閉止位置に保持する保持機構を複数設け、これら保持機構は、蓋体を互いに非平行な回転軸回りに回転させるべく当該非平行な各回転軸上にそれぞれ1又は2以上の保持機構が配置されて、いずれかの回転軸を回転中心として選択し、その回転中心回りに蓋体が回転を始める場合に、選択した回転軸上にない保持機構の保持状態を解除し、選択された回転軸上にある保持機構の保持状態を引き続き維持することで、蓋体を天板開口縁に対して開閉可能に案内し得るように構成したことを特徴とする家具が挙げられる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の蓋体の装着構造は、以上説明した構成であるから、蓋体の開き方として非平行な方向を実現でき、蓋体の開き方向が平行な二方向に限定されていた場合に比べて蓋体の開き方向の自由度を増すことが可能となり、多方向から収納物出入口にアクセスすることが可能となる。したがって、取り扱いやすい蓋体の装着構造及びこれを備えた家具を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態の蓋体の装着構造を適用した机等の家具を模式的に示す平面図及び側面図。
【図2】同実施形態において蓋体の開閉動作を模式的に示す斜視図。
【図3】同実施形態において蓋体を保持する保持機構を模式的に示す断面図。
【図4】保持機構を構成する被支持部及び支持部が接離する際の動作を、同実施形態の保持機構と従来の保持機構とを比較して模式的に示す図。
【図5】蓋体が回転する場合における保持機構を構成する被支持部及び支持部それぞれの軸心同士の位置関係を模式的に示す斜視図。
【図6】本発明の他の実施形態に係る保持機構を模式的に示す平面図。
【図7】本発明の他の実施形態に係る保持機構を模式的に示す断面図。
【図8】本発明の他の実施形態に係る保持機構を模式的に示す断面図。
【図9】本発明の上記以外の実施形態の構成を模式的に示す平面図。
【図10】本発明の上記以外の実施形態の構成を模式的に示す断面図。
【図11】本発明の上記以外の実施形態の構成を模式的に示す図。
【図12】本発明の上記以外の実施形態の構成を模式的に示す図。
【図13】本発明の上記以外の実施形態の構成を模式的に示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0022】
本実施形態では、図1に示すように、本発明の蓋体の装着構造を家具の一種である机Dに適用した場合について説明する。この机Dは、主としてオフィス等で利用されるもので、略円形の天板1と、前記天板1の中心部の下に設けられる収納部2と、この収納部2及び支柱3を介して天板1を支持する脚部4と、天板1の一部に形成される開口たる収納物出入口K1を閉止する位置に装着される蓋体5とを有している。
【0023】
天板1は、中央部に円形状に湾曲した天板開口縁10が設けられており、この天板開口縁10によって上方に開口する円形状の収納物出入口K1が形成されている。天板1は、天板開口縁10すなわち収納物出入口K1の中心を天板1の円形中心に略一致してあり、収納物出入口K1の周囲にパソコン入力作業等を行う作業領域を有するものである。そして、この収納物出入口K1に有底円筒状の収納部2の開口部を臨ませた状態で当該収納部2を天板1の下面に設けている。
【0024】
収納部2は、図1に示すように、筒状の側壁部20と、底壁部21とを主体とする有底筒状をなしており、各々の壁部20,21で囲まれる空間を中空にして配線類Li等を収納可能な収納空間S1を有している。収納部2は、側壁部20を外側に向けて全体的に又は部分的に曲げることにより折り曲げ片20aが設けられており、この折り曲げ片20aを利用して天板下面にビス止めされている。勿論、収納部2の外側面(側壁部20の外周面)に天板下面への取付用ブラケットを設けてもよい。収納部2の底壁部21には、支柱3の上端部が接続されており、収納部2の底壁部21に形成された図示しない孔を介して支柱3の内部に形成された図示しない配線路から収納部2の収納空間S1に配線Li等の引き回しを可能としている。支柱3の下端部は、平面視円形状の脚部4の中心部に接続され、脚部4が支柱3及び収納部2を介して天板1を支持するように構成してある。
【0025】
蓋体5は、図1及び図3に示すように、円弧状に湾曲した外周縁5aを有する平面視円形状をなす平板状のもので、天板1の収納物出入口K1を閉止する位置po1において、その外周縁5aと、外周縁5aに対向する天板開口縁10との間に上方に開口する隙間K2が外周縁5a全周に亘って形成した状態で装着されている。剛体である蓋体5は、閉止位置po1において、その上面51を剛体である天板1の上面11と略面一となるように装着されている。蓋体5の外周縁5a全域には、天板開口縁10との間に形成される隙間K2を閉止する軟質樹脂7が取り付けられている。軟質樹脂7は、蓋体5が閉止位置にある場合に、軟質樹脂7の上面71と蓋体5の上面51と天板1の上面11とが略面一となるように設定してあり、軟質樹脂7が、蓋体5と天板開口縁10の隙間K2を、蓋体5及び天板1の上面51,11がほぼ面一に連続するように埋めている。すなわち、軟質樹脂7が弾性変形することで、隙間K2に配線Liがある場合でも配線Liの形状に柔軟に対応して隙間K2を塞ぐことが可能となる。勿論、軟質樹脂7は天板開口縁10側に取り付けてもよい。
【0026】
また、この蓋体5は、図1及び図2に示すように、天板1の収納物出入口K1を閉止する位置po1に着脱可能且つ天板1の天板開口縁10の多方(三方)のいずれかを選択的に開放し得るように多方開き可能に装着されている。すなわち、蓋体5のうち天板開口縁10に対向する外周縁5a部近傍の下方に、保持機構6を複数箇所に設けて蓋体5を閉止位置po1に保持するようにしている。これら保持機構6は、互いの係合状態を維持又は係合状態を接離動作によって解除可能な部分円筒状軸受である被支持部64及び円柱状軸である支持部63から構成され、蓋体5を互いに非平行な回転軸(C1,C2,C3)回りに回転させるべく非平行な各々の回転軸(C1,C2,C3)上にそれぞれ2以上の保持機構6が配置されている。そして、いずれかの回転軸(例えばC1)を回転中心として選択し、その回転中心回り(C1回り)に蓋体5が回転を始める場合に、選択した回転軸(C1)上にある保持機構6の保持状態を引き続き維持し、それ以外の保持機構6、すなわち選択しなかった回転軸(C2,C3)上にある保持機構6の保持状態を解除することで、選択した回転軸(C1)上にある複数の保持機構6・6が協働して蓋体5を選択した回転軸(C1)回りに回転可能に支持し、蓋体5が天板開口縁10に対して開閉可能に案内される(図3参照)。
【0027】
具体的には、複数の保持機構6によって構成される回転軸C1,C2,C3は、図1に示すように、三角形の各辺のように、円形の天板開口縁10の中心回りに順に周方向に均等に配置したもので、回転軸C1,C2,C3が他の少なくとも一つの回転軸と非平行となる関係(交差する関係)に設定されている。図1及び図3に示すように、回転軸C1〜C3は、天板開口縁10よりも平面視で蓋体5側に設定され、且つ天板1の上面11よりも側面視で下方に設定されており、天板開口縁10の閉じた範囲内(すなわち蓋体5の範囲内)で他の回転軸と近接しないように各々の回転軸が他の回転軸から若干離間した位置に配置されている。
【0028】
保持機構6を構成する支持部63は、図3及び図4に示すように、天板開口縁10側に設けられ、回転軸方向に所定の長さを有する円柱状の軸である。保持機構6を構成する被支持部64は、蓋体5の外周縁5a側の下面52から垂下する状態で蓋体5側に設けられ、回転軸方向に所定の長さを有する部分円筒状の軸受である。これらにより構成される一の保持機構6は、一つの回転軸を付与し得るものであるとともに、部材の弾性変形を利用して支持部63を被支持部64に対して挿抜可能に構成されている。なお、本実施形態では、一つの回転軸(C1,C2,C3)上にそれぞれ複数(二つ)の保持機構6を配置しているが、本実施形態のように単独の保持機構6で回転軸を付与し得る場合には、一つの回転軸上に配置する保持機構の数は、1又は2以上の任意の数に設定できる。
【0029】
具体的に、被支持部64は、図3に示すように、弾性変形可能な合成樹脂などの素材により形成されている。この被支持部64は、その軸心を支持部63にほぼ一致させた略円筒状乃至略円弧状のものであり、前記支持部63を回転可能に保持する軸保持部分64aと、部材の弾性変形を利用して前記支持部63を軸保持部分64aに挿入可能とするための切欠部分64bとを有している。この被支持部64は、切欠部分64bの開口幅を軸保持部分64aの内径よりも小さくしておき、部材の一時的な弾性変形を利用して前記支持部63を軸保持部分64aに挿入して係合するようにしている。軸保持部分64aの開口は、軸心C1〜C3に直交する下方を向いて開いている。
【0030】
また、保持機構6を構成する支持部63及び被支持部64が、図1に示すように、蓋体5の範囲内で回転軸C1等の両端近傍に位置している。この「両端近傍」とは、回転軸(例えばC1)の中心p1を越えない(跨がない)という意味である。また、支持部63及び被支持部64によって与えられる回転軸C1〜C3は、蓋体5の縁部近傍に縁部5aに沿うように設けられた直線状の長尺状のものである。この蓋体5の縁部近傍とは、蓋体5の中心p2を跨がないという意味である。具体的に蓋体5の縁部近傍にある回転軸C1〜C3は、蓋体5の中心p2から縁部5a側に変位した位置にある。さらに言えば、回転軸C1〜C3は、蓋体5の中心p2と縁部5aとの中心p3よりも更に縁部5a寄りにあると言える。
【0031】
ところで、上記のように保持機構を構成する支持部及び被支持部を、部材に設けた切欠と部材自体の弾性変形とを利用して接離可能にしたものにおいて、従来のように回転軸が平行な場合に対応させて接離可能に構成した保持機構を、ただ単に非平行な回転軸を構成するように配置しただけでは、支持部及び被支持部の干渉によって保持機構の保持状態が円滑に解除できないおそれが考えられる。
【0032】
そこで、本実施形態では、保持機構6のある回転軸と非平行な回転中心回りに回転する方向に沿って支持部63及び被支持部64が相対的に接離可能に構成している。具体的には、上記回転方向に相対的に接離可能となるように、切欠部分64bの開口の開き方向とその開口寸法及びその開き方向に応じた部材の弾性変形力が設定してあり、適切な保持力を確保しつつ必要な方向への接離動作を許容している。
【0033】
保持機構6を構成する支持部63は、図1に示すように、平面視においてその回転軸(例えばC2)上の中央(p1)を避けて両端側にある天板開口縁10の二箇所に対をなして配置され、各々の天板開口縁10から回転軸に沿って突出する状態で設けられている。
【0034】
保持機構6を構成する被支持部64は、図4(a)に示すように、回転軸方向全域に亘って略同一の横断面を形成し、その回転軸に直交する横断面は略Cの字状をなしている。そして、例えば図1に示す回転軸C1を回転中心として選択し、蓋体5のうち選択した回転軸C1から軸心C1と直交する方向に離れた部位(縁部5a等)を天板から持ち上げることで、その回転中心(C1)回りに蓋体5が閉止位置から回転を始める。図4(a)に示すように、選択しなかった回転軸(C2,C3)上にある保持機構6を構成する支持部63と被支持部64とがその回転軸(C2,C3)に非平行な方向(図中の矢印)に沿って相対的に接離可能な解除状態をとり得るように構成されているので、選択しなかった回転軸(C2,C3)上にある保持機構6の保持状態が解除される。この場合、図4(a)に示すように、選択しなかった回転軸(C2,C3)上にある保持機構6を構成する被支持部64がその回転軸(C2,C3)と交差する非平行な回転中心(C1)回りに回転しつつ支持部63と離間するので、被支持部64がその回転軸(C2,C3)に沿って端から順に部材を弾性変形させながら保持状態を解除することになる。そして、図1及び図3に示すように、選択した回転軸(C1)上にある保持機構6の保持状態を引き続き維持することで、蓋体5を上方に回転させて開き、天板開口縁10に対して蓋体5を多方開き可能にしている。勿論、保持状態を解除している状態から保持状態にするときも同様である。
【0035】
また、言い換えると、図5に示すように、例えば図1に示す回転軸C3を回転中心として選択し、その回転中心(C3)回りに蓋体5が閉止位置から回転を始める場合に、選択しなかった回転軸(C1)上にある保持機構6を構成する支持部63の軸心C1aと、同保持機構6を構成する被支持部64の軸心C1bとが平行な関係にあり、蓋体5の回転に伴い被支持部64の軸心C1bが回転中心(C3)回りに円錐面を描きつつ、各々の軸心C1aと軸心C1bとが非平行な関係に移行して互いの角度が広がる。すなわち、蓋体5の回転に伴い選択しなかった回転軸(C1)上にある保持機構6を構成する支持部63又は被支持部64の一方の軸心が円錐面を描くとともに、蓋体5の回転に伴い選択しなかった回転軸(C1)上にある保持機構6を構成する支持部63及び被支持部64それぞれの軸心C1a,C1b同士が互いの角度を深め(変え)ながら平行な関係から非平行な関係へと移行する。勿論、蓋体5が開いている状態から閉止位置に向けて回転する場合は逆の動作となる。
【0036】
このように、蓋体5は、平面視で端部よりも内側に位置する軸心C1〜C3を境に上がる部分と下がる部分とが生じるので、蓋体の一端を回転中心とした場合に比べて重心移動を減らして開けやすくなるとともに、多方向から配線空間にアクセス可能となり、使い勝手が良好なものとなる。
【0037】
また、図1に示すように、収納部2の内形は、天板下面への取付位置において天板開口縁10よりも内側に露出せず、平面視で、収納部2を構成する側壁部20の上端内面が視認できない形状及び大きさに規定されている。具体的には、本実施形態のように天板開口たる収納物出入口K1が円形をなす場合、収納部2の内形は、平面視で収納物出入口K1と同等以上の大きさの円形であり、収納部2は平面視で収納物出入口K1を完全にカバーする位置に取り付けられている。このように構成することで、蓋体5を多方向に開閉するときに、いずれの方向でも蓋体5が収納部2の内壁(側壁部20)と引っ掛かることが無くスムーズに動作可能となる。しかも、蓋体5を開いた場合に、収納部2の上端縁辺(側壁部20の上端部等)が見えずに見栄えも向上させることが可能となる。なお、本実施形態では、収納部2の内形は、円形をなしているが、一辺が収納物出入口K1の直径以上の大きさの正方形としてもよい。このように、収納部2が平面視で天板開口たる収納物出入口K1を完全に覆う位置に取り付けるのであれば、天板開口である収納物出入口K1と収納部2の内形の大きさや形状が異なっていてもよい。収納部の内形に関する他の例として、楕円形状や多角形等も挙げられる。また、天板開口(収納物出入口K1)が円形である場合だけでなく、例えば図9(a)に示すような形状のもののほか、種々の形状のものにも同様のことが言える。
【0038】
また、図1及び図2に示すように、蓋体5の外周縁5aのうち各々の回転軸C1,C2,C3で形成される三角の各頂点部、すなわち蓋体5の縁部のうち回転軸に対して垂線を引いた場合に回転軸に至るまでの距離が最も長い部位又はその近傍(以降、回転軸の対向頂部や対向辺部とも呼ぶ)に、「ここを持ち上げて蓋を開く」ことを示唆する文字や図形、記号その他のサインsnが付されている。このサインsnによって円形など蓋体5の形状によって蓋体5の開き方向が認識しにくい場合であっても、蓋体5の開き方向を示唆することができ、利用しやすいものとなる。また、蓋体5の外周縁5aが、回転軸C1,C2,C3から円弧状に外方に突出しているので、蓋体5の下面52に設けた支持部63や被支持部64が見えにくくなり、美観を向上させることが可能となる。
【0039】
なお、本実施形態では、蓋体5側の被支持部64として軸受を設け、天板開口縁10側に支持部63として軸を設けているが、この関係を逆にして蓋体5側の被支持部64として軸を設け、天板開口縁10側の支持部63として軸受を設けてもよい。軸及び軸受の形状は、円柱形状や円筒形状に限られず、断面多角形状等に形成してもよい。
【0040】
以上のように、本実施形態の蓋体5の装着構造は、天板1の一部に設けた天板開口縁10によって形成される収納物出入口K1を閉止する位置po1に蓋体5を装着するための構造であって、蓋体5を閉止位置po1に保持する保持機構6を複数設け、これら保持機構6は、蓋体5を互いに非平行な回転軸(C1,C2,C3)回りに回転させるべく非平行な各回転軸(C1,C2,C3)上にそれぞれ1又は2以上の保持機構が配置されて、いずれかの回転軸を回転中心として選択し、その回転中心回りに蓋体5が回転を始める場合に、選択された回転軸上にある保持機構6の保持状態を引き続き維持し、それ以外の保持機構6、すなわち選択しなかった回転軸上にある保持機構6の保持状態を解除することで、蓋体5を天板開口縁10に対して開閉可能に案内し得るように構成している。
【0041】
このような構成によれば、蓋体5を閉止位置po1に保持する複数の保持機構6が、蓋体5を互いに非平行な回転軸(C1,C2,C3)回りに回転させるべく非平行な各々の回転軸(C1,C2,C3)上にそれぞれ2以上の保持機構6が配置されて、選択した回転軸回りに蓋体5を開閉可能に支持するので、蓋体5の開き方向に非平行な方向を導入でき、従来の蓋体の開き方向が平行な二方向に限定されていた場合に比べて蓋体の開き方向の自由度を増すことが可能となり、多方向から収納物出入口にアクセスすることが可能となる。
【0042】
また、本実施形態では、前記回転軸が少なくとも三つ構成されるように設定し、前記天板開口縁10に対して蓋体5を三方向以上の多方向に開閉可能にして、収納物出入口へアクセスしにくい方位を無くした取り扱いやすいものとしている。
【0043】
特に、本実施形態では、支持部63及び被支持部64は、部材の弾性変形を利用して相対的に接離可能にすることで保持状態にし又は保持状態を解除するように構成されているので、ロック機構等の複雑な機構を設けることなく簡易な構成で蓋体の開閉作業や着脱作業を円滑に行うことを可能としている。
【0044】
従来では、図4(b)に示すように、保持機構のある回転軸と回転中心とが平行な関係にされている場合には、軸受である被支持部1064と軸部である支持部1063とがその軸心と平行な回転中心回りに回転する方向に相対的に離間(接離)するので、被支持部1064は、その回転軸方向全域に亘って部材を同時に弾性変形させなければ保持状態を解除できず、保持機構を保持状態にするときや保持状態を解除するときに弾性反発力に抗する操作力が多大なものになってしまうものの、本実施形態では、支持部63及び被支持部64は、その回転軸方向に沿って順に部材を弾性変形させることで保持状態にし又は保持状態を解除するように構成されているので、従来の回転軸同士の平行な場合に比べて小さな操作力で保持機構を保持状態にし又は保持状態を解除することが可能となり、開閉操作や着脱操作を容易にすることが可能となる。
【0045】
さらに、本実施形態では、保持機構6の回転軸C1〜C3は、天板開口縁10よりも平面視で蓋体5側に設定されており、天板開口縁10側に設けられる支持部63は、平面視において回転軸(C1〜C3)上の中央を避けて両端側にある天板開口縁10に設けられているので、平面視において回転軸上の途中部位に設ける場合に比べて支持部63を製造しやすく、また、回転軸(C1〜C3)上の中央を避けているので、収納物出入口K1たる開口が広く配線類Li等を出し入れしやすくすることが可能となる。勿論、天板開口縁側に設けるのが軸部ではなく軸受部である場合も同様である。
【0046】
また、本実施形態では、蓋体5は、天板開口縁10との間に上方に開口した隙間K2を形成した状態で装着されるので、蓋体5の開閉作業や着脱作業時に、隙間K2に手を入れることができ、これら作業を行いやすくすることが可能となる。また、この隙間K2を介して収納空間S1内の配線類Liを天板1上に引き出すことが可能となる。
【0047】
その他、本実施形態の好適な適用例としては、蓋体5の下方に、収納空間S1を形成する収納部2を有する構成が挙げられる。
【0048】
上記の蓋体5の装着構造を利用した家具として、その天板1の一部に設けた天板開口縁10によって形成される収納物出入口K1を閉止する位置に蓋体5を装着してなり、蓋体5を閉止位置po1に保持する保持機構6を複数設け、これら保持機構6は、蓋体5を互いに非平行な回転軸(C1,C2,C3)回りに回転させるべく非平行な各回転軸(C1,C2,C3)上にそれぞれ1又は2以上の保持機構が配置されて、いずれかの回転軸を回転中心として選択し、その回転中心回りに蓋体5が回転を始める場合に、選択しなかった回転軸上にある保持機構6の保持状態を解除し、選択された回転軸上にある保持機構6の保持状態を引き続き維持することで、蓋体5を天板開口縁10に対して開閉可能に案内し得るように構成していることを特徴とする机Dが挙げられる。勿論、机D以外にも例えばテーブルやその他の天板付き家具に適用可能である。
【0049】
なお、各部の具体的な構成は上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【0050】
例えば、保持機構6の他の形態として、図6(a)及び図7に示すように、保持機構106を、平面視において回転軸C106上の両端側にある天板開口縁10を避けた途中部位のうち中央を避けた部位の二箇所に配置した軸部たる支持部163及び軸受たる被支持部(図示せず)から構成してもよい。支持部163は、天板開口縁10側から蓋体5の下方に延びた延出部163aにより支持される。このように、保持機構106の回転軸C106は、天板開口縁10よりも平面視で蓋体5側に設定されており、天板開口縁10側に設けられる支持部163は、平面視において回転軸C106上の両端側にある天板開口縁10を避けた途中部位に配置されているので、蓋体5を軸心上の両端部のみで支持する場合に比べて蓋体5の支点が増えて蓋体5に必要な剛性を下げることが可能となる。また、支持部又は被支持部が軸心の両端側にあるよりも途中部位にある方が、支持部又は被支持部にこれらの保持を解除するための操作力(蓋体を持ち上げる力)が作用しやすく、蓋体の着脱(開閉)がしやすくなる。加えて、本実施形態では、軸心C106上の中央を避けているので、収納物出入口K1たる開口が広く配線類Li等を出し入れしやすくすることが可能となる。勿論、天板開口縁側に設ける支持部が軸部ではなく軸受部である場合も同様である。
【0051】
なお、図示しないものの、天板開口縁に沿って隣り合う二つの保持機構の回転軸同士が天板開口縁の閉じた範囲内で近接又は交差する関係にある場合は、各々の保持機構を構成する支持部及び被支持部同士が干渉(スペースの取り合い)するおそれが考えられる。この場合、一方の保持機構を構成する支持部及び被支持部をその軸心の端部に配置するとともに、他方の保持機構を構成する支持部及び被支持部をその軸心の端部を避けた途中部位に配置することにより、両保持機構を構成する支持部及び被支持部同士の干渉(スペースの取り合い)を回避することが可能となる。
【0052】
また、図7に示すように、蓋体5は、閉止状態から90度を超えて開いた場合に自重により開き動作が発現する状態となるが、蓋体5が自重により開き動作が発現する状態にある場合に蓋体5の一部と係合することで、蓋体5の自重による開き動作を規制する回転規制部163bを設け、この回転規制部163bにより蓋体5を開き状態で保持可能に構成している。このように構成すると、蓋体5を開き状態で保持できるので、配線器具をセットしたり、配線類Liを引き回したりするときに蓋体5を手で保持する必要がなく、収納物出入口へのアクセス動作の利便性を向上させることが可能となる。勿論、蓋体5を、閉止状態から90度以内の開き状態で回転を停止するように構成してもよい。また、図10に示すように、保持機構406を構成する支持部463を断面多角形の角柱軸とし、保持機構406を構成する被支持部464を、被支持部464の断面形状に対応する形状をなし弾性変形可能な軸保持部分64aとしてもよい。このように構成すると、蓋体5を適宜の開き角度で保持できるうえ、蓋体5を適宜角度でクリックストップしてクリック感を体感できる。
【0053】
また、本実施形態では、図1に示すように、保持機構6を構成する支持部63及び被支持部64は、例えば回転軸C2の中心を除いて左右に配置されているが、図11(a)に示すように、保持機構506を構成する支持部563や被支持部(図示せず)を、回転軸の中央を含んで左右に跨るように配置してもよい。
【0054】
さらに、図6(b)に示すように、保持機構206を構成し天板1側に設けられる軸たる支持部263を、平面視においてその回転軸C206上の両端側にある天板開口縁10同士を結ぶ全域に亘って架け渡すように配置してもよい。すなわち、この支持部263は、回転軸C206の中心を含んで左右に跨って配置されている。このように構成すると、柱状の軸部を架け渡すという簡易な構成で堅固な支持強度を確保することが可能となる。しかも、回転軸C206上の任意の位置に蓋体5の被支持部を設けることができるので、蓋体の剛性を下げて蓋体を軽量化することが可能となる。勿論、天板開口縁側に設ける支持部が軸部ではなく軸受部である場合も同様である。
【0055】
さらにまた、図8に示すように、保持機構306を構成し天板1側に設けられる軸部としての支持部363を、収納空間S1を構成する底壁部21から立設させた起立部363aに支持させるように構成してもよい。
【0056】
また、本実施形態では、支持部63が回転軸上の二箇所に設けられて、蓋体5を複数箇所支持する構造をなしているが、上記で述べた通り、蓋体を一箇所で支持する構造にしてもよく、支持点の数は適宜設定可能である。
【0057】
本実施形態では、天板1が円形状をなしているが、天板の形状は円形に限定されるものではなく、例えば図9(b)に示すように略矩形状の天板101にしてもよい。その他、楕円形状や多角形状、波形状、扇状等が挙げられる。
【0058】
さらに、本実施形態では、蓋体5は円形をなしているが、蓋体の形状は円形に限定されるものではなく、図9(a)に示すように軸心C4〜C6で構成される三角形の各辺を円弧状に膨らませた形状の蓋体105にしてもよい。この場合、蓋体105の縁部105aのうち回転軸C4〜C6で形成される三角形の各頂点部が、各回転軸に対して垂線を引いた場合に最も距離の長い部位になるので、サインsnを付さなくても蓋体の形状で「持ち上げる部位」を示唆することが可能となる。勿論、図示のようにサインsnを付けた方が更に分かりやすくなる。また、蓋体105の縁部105aが、回転軸C4〜C6から円弧状に外方に突出しているので、蓋体5の下面52に設けた支持部63や被支持部64が見えにくくなり、美観を向上させることが可能となる。その他、楕円形状や多角形状、波形状、扇状等が挙げられる。
【0059】
本実施形態では、三角形の各辺を構成するように配置した各々の回転軸C1〜C3上に保持機構6を複数配置して蓋体5を三方開き可能に構成しているが、図9(b)に示すように、回転軸C6〜C9を四角形の各辺を構成するように配置して、各々の回転軸C6〜C9上に1又は2以上の保持機構を配置し、蓋体を四方開き可能に構成してもよい。このように、蓋体105の形状が円形や正方形等の四角形の場合は、蓋体の形状によって「持ち上げるべき部位」が分かりにくいので、サインsnを付すことが好ましい。勿論、三方開きや四方開きに限定されず、開き方向の数が二以上であれば、開き方向の数や向きは適宜設定可能である。また、この場合も、支持部及び被支持部によって与えられる回転軸C6〜C9は、蓋体5の縁部近傍に縁部5aに沿うように設けられた直線状の長尺状のもので、具体的に、蓋体5の中心p2から縁部5a側に変位した位置にある。さらに言えば、回転軸C6〜C9は、平面視で、蓋体5の中心p2と縁部5aとの中心p3よりも更に縁部5a寄りにあると言える。
【0060】
また、保持機構の他の態様としては、蓋体に筒状の軸保持部分を備えた軸受部と、天板側に軸部とを設け、ボタン等の操作手段への操作により軸部が軸心方向に沿って天板側から蓋体側に突出して軸保持部分に保持される状態と、軸保持部分から軸心方向に沿って天板側に退避した状態とを切り換え可能に構成し、保持状態又は保持状態を解除するようにしてもよい。
【0061】
さらに、図11(b)に示すように、天板1を支持する支持構造は、天板1の周縁部下面に、先端にアジャスタ104aを有する複数本(三本以上)の支持脚104を直接設けたものでもよい。この場合には、配線類Liを収納可能な収納空間S1を有する収納部102をビス止めで天板1の下に取り付けてもよい。この収納部102を構成する壁部120又は底壁部121には、床から配線類Liを導入する孔を形成している。
【0062】
さらにまた、本実施形態では、軸である支持部63と軸受である被支持部64とで構成される単一又は複数の保持機構6により一つの回転軸が構成されているが、図12に示すように、部分球体状の突起664aを有する被支持部664と、突起664aに対応する形状の凹部663aを有する支持部663とから球体軸受構造をなす保持機構606を構成し、複数の保持機構606の組合せにより一つの回転軸を構成するようにしてもよい。この場合、保持機構606を各々の回転軸(C601,C602,C603)に複数配置し、蓋体を支持する保持機構の組合せを変えることで非平行な回転軸を複数(C601,C602,C603)構成することになる。
【0063】
他の保持機構としては、図13に模式的に示すものが挙げられる。すなわち、図示しない天板に設けられ互いに軸心の直交する二つの支軸701・701と、これら支軸701・701を支持すべく略球体をなす中空のガイド部材702とを設けている。このガイド部材702は、弾性変形可能な樹脂製のもので、内部の中空部に支軸同士701・701の交差部分を収納し、球面の四方四箇所に形成した上下方向に延びる長孔702aに支軸701を挿通して上下移動可能に案内し得るものであり、その一部が支軸と協働して蓋体を閉止位置に保持する保持機構706を複数(四つ)構成している。保持機構706は、被支持部としての支軸701と、支持部としての凹所703とから構成され、互いに直交する非平行な回転軸C701,C702上にそれぞれ二つずつ配置される。各々の長孔702aは、長孔702aを形成する対向壁同士の間を支軸701の径寸法よりも小さな寸法に設定するとともに、その上下方向中央に、対向壁同士の間の距離を広げて支軸701の形状に対応した部分円筒状の凹所703を形成している。蓋体の閉止位置においては各々の支軸701がそれぞれ凹所703と係合した状態を維持している。そして、いずれかの回転軸(例えばC701)を回転中心として選択し、その回転中心(C701)回りに蓋体が回転を始める場合に、選択されなかった回転軸(C701)上にある保持機構706を構成する支軸701は長孔702aを形成する対向壁を弾性変形させながら図中の矢印で示すように上下動し、凹所703による保持状態を解除する。同時に選択された回転軸上(C701)にある保持機構706は支軸701と凹所703との保持状態を引き続き維持し、ガイド部材702により支軸701を通じて蓋体が開閉可能に案内される。
【0064】
その他、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0065】
1…天板
10…天板開口縁
5…蓋体
6…保持機構
64…被支持部
63…支持部
C1,C2,C3…回転軸
K1…収納物出入口
K2…隙間
S1…収納空間
po1…閉止位置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天板の一部に設けた天板開口縁によって形成される収納物出入口を閉止する位置に蓋体を装着するための構造であって、
支持部と被支持部により蓋体を閉止位置に保持する保持機構を複数設け、
これら保持機構は、蓋体を互いに非平行な回転軸回りに回転させるべく当該非平行な各回転軸上にそれぞれ1又は2以上の保持機構が配置されて、いずれかの回転軸を回転中心として選択し、その回転中心回りに蓋体が回転を始める場合に、選択された回転軸上にある保持機構の保持状態を引き続き維持し、それ以外の保持機構の保持状態を解除することで、蓋体を天板開口縁に対して開閉可能に案内し得るように構成したことを特徴とする蓋体の装着構造。
【請求項2】
前記回転軸が少なくとも三つ構成されるように設定し、前記天板開口縁に対して蓋体を三方向以上の多方向に開閉可能にした請求項1に記載の蓋体の装着構造。
【請求項3】
前記被支持部及び前記支持部は、部材の弾性変形を利用して相対的に接離可能にすることで保持状態にし又は保持状態を解除するように構成されている請求項1又は2に記載の蓋体の装着構造。
【請求項4】
前記被支持部及び前記支持部は、その回転軸方向に沿って順に部材を弾性変形させることで保持状態にし又は保持状態を解除するように構成されている請求項3に記載の蓋体の装着構造。
【請求項5】
前記回転軸は、前記天板開口縁よりも前記蓋体側に設定されており、前記天板開口縁側に設けられる前記支持部は、平面視において回転軸上の中央を避けて両端側にある天板開口縁に設けられている請求項1〜4のいずれかに記載の蓋体の装着構造。
【請求項6】
前記回転軸は、前記天板開口縁よりも前記蓋体側に設定されており、前記天板開口縁側に設けられる前記支持部は、平面視において回転軸上の両端側にある天板開口縁を避けた途中部位に配置されている請求項1〜4のいずれかに記載の蓋体の装着構造。
【請求項7】
前記回転軸は、前記天板開口縁よりも前記蓋体側に設定されており、前記天板開口縁側に設けられる前記支持部は、平面視において回転軸上の両端側にある天板開口縁同士を結ぶ全域に亘って架け渡すように配置されている請求項1〜4のいずれかに記載の蓋体の装着構造。
【請求項8】
前記蓋体は、天板開口縁との間に上方に開口した隙間を形成した状態で装着される請求項1〜7のいずれかに記載の蓋体の装着構造。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載の蓋体の装着構造を利用した家具であって、その天板の一部に設けた天板開口縁によって形成される収納物出入口を閉止する位置に蓋体を装着してなり、
支持部と被支持部により蓋体を閉止位置に保持する保持機構を複数設け、
これら保持機構は、蓋体を互いに非平行な回転軸回りに回転させるべく当該非平行な各回転軸上にそれぞれ1又は2以上の保持機構が配置されて、いずれかの回転軸を回転中心として選択し、その回転中心回りに蓋体が回転を始める場合に、選択しなかった回転軸上にある保持機構の保持状態を解除し、選択された回転軸上にある保持機構の保持状態を引き続き維持することで、蓋体を天板開口縁に対して開閉可能に案内し得るように構成したことを特徴とする家具。
【請求項1】
天板の一部に設けた天板開口縁によって形成される収納物出入口を閉止する位置に蓋体を装着するための構造であって、
支持部と被支持部により蓋体を閉止位置に保持する保持機構を複数設け、
これら保持機構は、蓋体を互いに非平行な回転軸回りに回転させるべく当該非平行な各回転軸上にそれぞれ1又は2以上の保持機構が配置されて、いずれかの回転軸を回転中心として選択し、その回転中心回りに蓋体が回転を始める場合に、選択された回転軸上にある保持機構の保持状態を引き続き維持し、それ以外の保持機構の保持状態を解除することで、蓋体を天板開口縁に対して開閉可能に案内し得るように構成したことを特徴とする蓋体の装着構造。
【請求項2】
前記回転軸が少なくとも三つ構成されるように設定し、前記天板開口縁に対して蓋体を三方向以上の多方向に開閉可能にした請求項1に記載の蓋体の装着構造。
【請求項3】
前記被支持部及び前記支持部は、部材の弾性変形を利用して相対的に接離可能にすることで保持状態にし又は保持状態を解除するように構成されている請求項1又は2に記載の蓋体の装着構造。
【請求項4】
前記被支持部及び前記支持部は、その回転軸方向に沿って順に部材を弾性変形させることで保持状態にし又は保持状態を解除するように構成されている請求項3に記載の蓋体の装着構造。
【請求項5】
前記回転軸は、前記天板開口縁よりも前記蓋体側に設定されており、前記天板開口縁側に設けられる前記支持部は、平面視において回転軸上の中央を避けて両端側にある天板開口縁に設けられている請求項1〜4のいずれかに記載の蓋体の装着構造。
【請求項6】
前記回転軸は、前記天板開口縁よりも前記蓋体側に設定されており、前記天板開口縁側に設けられる前記支持部は、平面視において回転軸上の両端側にある天板開口縁を避けた途中部位に配置されている請求項1〜4のいずれかに記載の蓋体の装着構造。
【請求項7】
前記回転軸は、前記天板開口縁よりも前記蓋体側に設定されており、前記天板開口縁側に設けられる前記支持部は、平面視において回転軸上の両端側にある天板開口縁同士を結ぶ全域に亘って架け渡すように配置されている請求項1〜4のいずれかに記載の蓋体の装着構造。
【請求項8】
前記蓋体は、天板開口縁との間に上方に開口した隙間を形成した状態で装着される請求項1〜7のいずれかに記載の蓋体の装着構造。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載の蓋体の装着構造を利用した家具であって、その天板の一部に設けた天板開口縁によって形成される収納物出入口を閉止する位置に蓋体を装着してなり、
支持部と被支持部により蓋体を閉止位置に保持する保持機構を複数設け、
これら保持機構は、蓋体を互いに非平行な回転軸回りに回転させるべく当該非平行な各回転軸上にそれぞれ1又は2以上の保持機構が配置されて、いずれかの回転軸を回転中心として選択し、その回転中心回りに蓋体が回転を始める場合に、選択しなかった回転軸上にある保持機構の保持状態を解除し、選択された回転軸上にある保持機構の保持状態を引き続き維持することで、蓋体を天板開口縁に対して開閉可能に案内し得るように構成したことを特徴とする家具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−135399(P2012−135399A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−289161(P2010−289161)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(000001351)コクヨ株式会社 (961)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(000001351)コクヨ株式会社 (961)
【Fターム(参考)】
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