説明

蓋材

【課題】飲み口等の開口部を有する、紙層を主体とした積層材料を成形して得られる紙製容器の、開口部を封止する蓋材として、ストロー突き刺し性を有すると共に、耐衝撃性に優れた蓋材を提供すること。
【解決手段】飲み口等の開口部(21)を有する、紙層を主体とする積層材料を成形して得られる紙製容器(20)の、開口部(21)を封止するための蓋材(1)であって、蓋材は少なくともナイロン層(11)が積層された複合材料(10)からなる。ナイロン層(11)はナイロン6樹脂とMXD6樹脂をブレンドして得られ、チューブラー法による同時二軸延伸法により製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲み口等の開口部を有する、紙層を主体とした積層材料を成形して得られる紙製容器の、開口部を封止するための蓋材に関し、特には、アルミニウム箔を使用せず、ストローで突き刺しが可能で、且つ、耐衝撃性を有する蓋材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コーヒー、紅茶、お茶等の飲料は、主として金属缶に充填され、自動販売機等で販売されていた。飲料を飲んだ後の金属缶がそのままごみ箱に放置されると、その他の可燃ごみと混在してしまい、処理するのに非常な労力と時間のかかるものであった。
【0003】
一方、紙層を主体とした積層材料を成形して得られる、例えば、図3に示すような円筒形状の紙製容器においても、コーヒー、紅茶、お茶等の飲料を充填して自動販売機等で販売されている。この容器は、紙製であるので、その他の可燃ごみと一緒になってもわざわざ分離回収するは必要はない。しかし、飲み口の開口部の封止に使用される蓋材は、充填加工適性の関係で、アルミニウム箔を用いた蓋材を使用していた。このため、使用後容器を回収または廃棄する際は、容器から蓋材を分離して回収等をしなければならなかった(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0004】
上記先行技術文献を示す。
【特許文献1】特開平9−278066号公報。
【特許文献2】実登第2594337号公報。
【0005】
また、上市されている蓋材は、ストロー突き刺し性には優れるが、落下時に蓋材が破れる可能性があったり、落下時に蓋材が破壊されることはないが、ストロー突き刺し適性が低いものであったりした。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、飲み口等の開口部を有する、紙層を主体とした積層材料を成形して得られる紙製容器の、開口部を封止するための蓋材に関する以上のような問題に鑑みてなされたもので、ストロー突き刺し性を有するとともに、耐衝撃性に優れた蓋材を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1の発明は、飲み口等の開口部を有する、紙層を主体とする積層材料を成形して得られる紙製容器の、前記開口部を封止するための蓋材であって、前記蓋材は、少なくともナイロン層が積層された複合材料からなることを特徴とする、蓋材である。
【0008】
このように請求項1記載の発明によれば、蓋材が少なくともナイロン層が積層された複合材料から形成されているので、蓋材は優れた耐衝撃性を有する。
【0009】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記ナイロン層は、ナイロン6樹脂とMXD6樹脂をブレンドして得られるナイロン層であることを特徴とする、蓋材である。
【0010】
このように請求項2記載の発明によれば、蓋材に、ナイロン6樹脂とMXD6樹脂をブレンドして得られるナイロン層を用いているので、蓋材にストロー突き刺し性を付与することができる。
【0011】
また、請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、前記ナイロン層は、チューブラー法による同時二軸延伸法により製造したナイロンフィルムからなる層であることを特徴とする、蓋材である。
【0012】
このように請求項3記載の発明によれば、蓋材に使用するナイロン層は、チューブラー法による同時二軸延伸法により製造したナイロンフィルムからなるので、蓋材にストロー突き刺し性を付与することができる。
【0013】
また、請求項4の発明は、請求項1、2又は3の発明において、前記複合材料には、紙基材が含まれていることを特徴とする、蓋材である。
【0014】
このように請求項4記載の発明によれば、蓋材に紙基材が含まれていることにより、剛性や光遮断性を付与することができる。
【発明の効果】
【0015】
このように本発明の蓋材は、ナイロン6樹脂とMXD6樹脂をブレンドしてチューブラー法による同時二軸延伸法により成膜したナイロンフィルムを使用することにより、アルミニウム箔を使用することなく、耐衝撃性に優れ、かつ、ストロー突き刺し性を有する蓋材となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明を一実施形態に基づいて以下に詳細に説明する。
本発明の蓋材は、例えば、図1、図2、図3に示すように、紙層を主体とする積層材料を成形して得られる紙製容器(20)の飲み口等の開口部(21)を封止するための蓋材(1)であり、該蓋材は、ナイロン層(11)が積層された複合材料(10)からなることを特徴としている。
【0017】
より具体的に述べるならば、複合材料(10)として、ナイロン層(11)/シーラント層(12)、第1延伸フィルム層(13)/ナイロン層(11)/シーラント層(12)、ナイロン層(11)/第1延伸フィルム層(13)/シーラント層(12)、紙基材(14)/第1延伸フィルム層(13)/ナイロン層(11)/シーラント層(12)、紙基材(14)/ナイロン層(11)/第1延伸フィルム層(13)/シーラント層(12)、第2延伸フィルム層(15)/紙基材(14)/第1延伸フィルム層(13)/ナイロン層(11)/シーラント層(12)、第2延伸フィルム層(15)/紙基材(14)/ナイロン層(11)/第1延伸フィルム層(13)/シーラント層(12)等の構成が好ましく使用できる。いずれの構成もシーラント層(12)側が紙製容器の開口部(21)側と封止される。
【0018】
ナイロン層(11)は、ナイロン6樹脂とMXD6樹脂をブレンドし、チューブラー法による同時二軸延伸法により製造したナイロンフィルムが好ましく使用できる。
【0019】
シーラント層(12)は、ポリエチレン、未延伸ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂フィルム、ホットメルト樹脂、各種多成分系のシーラント剤等が好ましく使用できる。
【0020】
第1延伸フィルム層(13)は、バリア性を付与するために用いられ、一軸ないし二軸
延伸されたポリエチレンテレフタレートフィルムに、酸化アルミニウムや酸化ケイ素などの無機化合物の薄膜を物理蒸着あるいは化学蒸着などの蒸着法により20〜100nm程度の厚さに設けた無機化合物樹着ポリエチレンテレフタレートフィルム、エチレン・ビニルアルコール共重合樹脂フィルムを単独で使用する。あるいは、一軸ないし二軸延伸されたポリエチレンテレフタレートフィルムに、酸化アルミニウムや酸化ケイ素などの無機化合物の薄膜を物理蒸着あるいは化学蒸着などの蒸着法により20〜100nm程度の厚さに設けた無機化合物樹着ポリエチレンテレフタレートフィルム、エチレン・ビニルアルコール共重合樹脂フィルムをポリエチレンテレフタレートフィルム、延伸ポリプロピレンフィルムと積層した複合フィルムが適宜使用できる。
【0021】
紙基材(14)は、蓋材に剛性を付与する役割を担い、坪量が60〜100g/m2 程度のカップ原紙等が好ましく使用できる。
【0022】
第2延伸フィルム層(15)は、美粧性や紙の乾燥によるカールを防止するための層で、ポリエチレンテレフタレートフィルム、延伸ポリプロピレンフィルム単独、または、これらを組み合わせたラミネートフィルムが好ましく使用できる。
【0023】
ナイロン層(11)とシーラント層(12)、ナイロン層(11)と第1延伸フィルム層(13)、第1延伸フィルム層(13)とシーラント層(12)、紙基材(14)と第1延伸フィルム層(13)、紙基材(14)とナイロン層(11)、紙基材(14)と第2延伸フィルム層(15)の貼り合わせは、ドライラミネート法、ウェットラミネート法、ノンソルベンントラミネート法、エクストルージョンラミネート法等の一般的に公知のラミネート法を使用して行うことができる。
【実施例】
【0024】
以下実施例により本発明を詳細に説明する。
〈実施例1〉
ナイロン層(11)として、厚さ15μmのユニアスロンTB(出光ユニテック株式会社製、ナイロン6樹脂とMXD6樹脂をブレンドしてチューブラー法により同時二軸延伸したナイロンフィルム)を準備した。
【0025】
別に、シーラント層(12)として厚さ35μmの未延伸ポリプロピレンフィルムを、第1延伸フィルム層(13)として、厚さ12μmの延伸されたポリエチレンテレフタレートフィルムに酸化アルミニウムの薄膜を60nm程度の厚さに設けた無機化合物蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルムを、紙基材(14)として坪量が81.4g/m2 のカップ原紙を、第2延伸フィルム層(15)として厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを、それぞれ準備した。
【0026】
紙基材(14)の外側面には第2延伸フィルム層(15)を、紙基材(14)の内側面には、第1延伸フィルム層(13)、ナイロン層(11)、シーラント層(12)を順次それぞれドライラミネート法により貼り合わせ、〔外側〕ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ12μm)(15)/カップ原紙(坪量81.4g/m2 )(14)/酸化アルミニウムの薄膜が60nm程度の厚さに設けられたポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ12μm)(13)/ ユニアスロンTB(厚さ15μm)(11)/未延伸ポリプロピレンフィルム(厚さ35μm)(12)〔内側〕の層構成からなる実施例1の複合材料(10)を作製した(図2(c)参照)。
【0027】
この複合材料を適宜の幅にスリットして、外側からポリエチレン/紙基材/ポリエチレン/酸化アルミニウム蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルム/ポリエチレンの層構成からなる紙基材を主体とする積層材料を、図3に示した飲み口からなる開口部(21)を
有する円筒形状に成形した紙製容器(20)の開口部(21)に、実施例1の蓋材(1)としてヒートシール法により封止した。
【0028】
この紙製容器(20)の開口部(21)に蓋材(1)の上からストローを突き刺したが、ストローは蓋材(1)を用に突き破り、開口部(21)から紙製容器(20)の内部に到達した。すなわち、蓋材(1)のストロー突き刺し性は良好であった。
【0029】
また、規定量の液体を充填したこの紙製容器(20)を、100cmの高さから蓋材を下にして落下させた時、本発明の蓋材を使用した紙製容器は破壊しなかった。(ナイロン層を含まない蓋材を用いた紙製容器は、蓋材が全層が切れてしまった。)
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】(a)〜(c)は本発明の蓋材の一実施例を示す、断面説明図である。
【図2】(a)〜(d)は本発明の蓋材の別の実施例を示す、断面説明図である。
【図3】本発明の蓋材を使用する紙製容器の一実施例を示す、斜視説明図である。
【符号の説明】
【0031】
1‥‥蓋材
10‥‥複合材料
11‥‥ナイロン層
12‥‥シーラント層
13‥‥第1延伸フィルム層
14‥‥紙基材
15‥‥第2延伸フィルム層
20‥‥紙製容器
21‥‥開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲み口等の開口部を有する、紙層を主体とする積層材料を成形して得られる紙製容器の、前記開口部を封止するための蓋材であって、
前記蓋材は、少なくともナイロン層が積層された複合材料からなることを特徴とする、蓋材。
【請求項2】
前記ナイロン層は、ナイロン6樹脂とメタキシリレンアジパミド(MXD6)樹脂をブレンドして得られるナイロン層であることを特徴とする、請求項1記載の蓋材。
【請求項3】
前記ナイロン層は、チューブラー法による同時二軸延伸法により製造したナイロンフィルムからなる層であることを特徴とする、請求項1又は2記載の蓋材。
【請求項4】
前記複合材料には、紙基材が含まれていることを特徴とする、請求項1、2又は3記載の蓋材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−69562(P2006−69562A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−251934(P2004−251934)
【出願日】平成16年8月31日(2004.8.31)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】