説明

蓋材

【課題】湯切り孔形成時の剥離エラーが生じ難く、輸送時における蓋材端面の浮きが発生し難い蓋材を提案するもの。
【解決手段】上シートと下シートを備えた積層体からなり、開封用プルタブと湯切り用プルタブを有し、湯切り用プルタブの根本部分を横断し、外縁上の2点10a、10bを結ぶプルタブ用ハーフカットを有し、上シートの下面に印刷形成した剥離層を剥離界面として、上シートと下シートを剥離可能に積層した剥離領域を有し、剥離領域に形成された複数の湯切り孔用ハーフカットを囲むように、外縁上の2点11a、11bを結ぶ部分剥離用ハーフカットが設けられ、点10aと点11a、及び点10bと点11bをそれぞれ結ぶ蓋材外縁の剥離領域内際に、剥離層を形成する印刷版の当該部分を網点パターンとして剥離剤の塗布量を低減し、下シートと上シートの剥離強度を部分的に強化した網点領域を有することを特徴とする蓋材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を収納した容器の開口部を密封するための蓋材に関し、特に、使用時に内部に注入した水や湯などを外部に排出するための湯切り孔を形成する機構を備えた蓋材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、即席用の焼きそばやスパゲティ等の食品を収納する容器において、喫食するに際して、熱湯を注いで所定の時間が経過した後に排湯(湯切り)処理を行い、然る後に喫食することを可能とした即席食品用容器が知られている。
【0003】
即席食品用容器の湯切り機能を有する蓋材としては、上シートを外面側にして、その内面側(食品側)に下シートを重ね合わせて積層したシート状の蓋であり、その蓋の外周円弧部分からその内側にかけて一部領域の前記下シートと上シートとの重ね合わせ内面の全面または湯切り部局所に、接着強度を調整し剥離可能とした易剥離領域を設けており、この易剥離領域内の下シートに複数個の湯切り孔が穿設されている構造の蓋材が知られている。この場合、実用上衛生面等を考慮して湯切り孔周辺をハーフカットとしておき、使用時に湯切り孔を開口させる場合が多い。
【0004】
上記のような構造の即席食品容器の湯切り孔付蓋材は、即席食品を収納した容器の上端開口部にあるフランジ部に接着シールすることにより、即席食品を密封包装した即席食品容器を形成する。
【0005】
このようにして即席食品を密封包装した容器は、接着領域側の蓋材外周にある開封用プルタブを引っ張り上げて、容器のフランジ部から蓋材を部分的に剥がして開口し、その開口部より熱湯を注入した後、蓋材外周にある開封用プルタブを再度フランジ部の外側に折込むようにして施蓋し、数分間放置して容器の中にある即席食品を柔らかくほぐす。
【0006】
その後、易剥離領域側の湯切り用プルタブを引っ張り上げて上シートに施されたミシン目若しくはハーフカットに沿って易剥離領域の上シートを下シートから剥離し、下シートに穿設された湯切り孔を露出させる。そうして容器を傾けながら、中にある不要な湯だけを湯切り孔から排出することができるようになっている。
【0007】
このような湯切り蓋材において、上シートに紙を用いて、紙の裏面に剥離界面を設けた構成では、積層の簡素化によりコスト低減が出来る一方で、蓋材を容器フランジ部に熱シールする際に、シール領域において紙層に含まれる水分が瞬間的に蒸発して、積層中最も強度の弱い剥離剤を設けた箇所でシール強度の低下や極端な場合は蓋材の浮きが発生することがある。
【0008】
特に剥離領域の上シートを蓋本体から切り離すために、剥離領域外周の上シートにハーフカットを設ける場合、この部分剥離用ハーフカットと、湯切り用プルタブの付け根に設けるプルタブ用ハーフカットとが蓋材内において交差すると、剥離エラーが発生するため、この両者は交差しないように離して設置しなければならないが、それぞれのハーフカット線が蓋材の外縁に交差する点と点の間は、蓋材の外縁に剥離剤塗布端面が露出することになる。
【0009】
この剥離剤が塗布された露出端面は、先に説明したように、シール強度の低下や蓋材の浮きが発生しやすい部分でもあるため、製品の輸送・流通過程において、浮きが発生して
大きな問題となる場合があった。
【0010】
特許文献1に記載された即席食品容器の湯切孔付き蓋は、剥離領域を形成する易剥離層を網点パターンや網目パターンで形成することにより、剥離領域における剥離強度を全面的に強化し、蓋の製造加工工程において予定外の不規則な剥離が発生しないようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特許第4090608号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
特許文献1に記載された湯切孔付き蓋は、剥離領域における剥離強度を全面に亘って上げてしまうものであるため、しばしば実使用時における剥離適性が損われることがあった。特に紙の裏面に剥離界面を設けている場合、剥離強度が上がることにより紙層破壊が発生し、下シート上面に紙層が残留することから、湯切り孔が完全に露出しないなどの機能性エラーが発生することがあった。
【0013】
特に表裏面のハーフカット箇所では、ハーフカット加工時の刃の潜り込みにより、上シート側からのハーフカット部周縁では上シートが下シートに潜り込み、下シート側からのハーフカット部周縁では下シートが上シートに潜り込むため、層間の剥離強度を上げることによってハーフカット周縁における前記紙層破壊による剥離エラーが発生しやすかった。
【0014】
本発明の解決しようとする課題は、湯切り孔形成時における上記のような剥離エラーが生じ難く、しかも製品輸送・流通時における蓋材端面の浮きが発生し難い蓋材を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、容器本体の開口部の縁に沿って形成されたフランジ部に剥離可能にシールして被せる蓋材であって、前記フランジ部に下面をシールさせる下シートと、上面が蓋材の表面を形成し、下面に少なくとも紙層を有し、該紙層が前記下シートの上面に積層される上シートとを備えた積層体からなり、前記フランジ部の外形と略同等の大きさを有し、前記開口部およびフランジ部を一体に覆う蓋本体と、前記フランジ部の外側に位置するように蓋本体に一体に延設され、蓋本体を前記開口部から分離する時に使用する開封用プルタブと、前記蓋本体に一体に延設され容器本体から液体を排出させる複数の湯切り孔を蓋本体に出現させるときに使用する湯切り用プルタブとを有し、該湯切り用プルタブの根本部分を横断し、蓋材の両側の外縁上の2点10a、10bを結び、前記下シートの下面から下シートを貫通するプルタブ用ハーフカットを有し、該プルタブ用ハーフカットを含み、蓋本体の内方に向って伸びる部分的な領域において、前記上シートの下面に印刷形成した剥離層を剥離界面として、上シートと下シートを剥離可能に積層した剥離領域を有し、該剥離領域には、前記湯切り孔に対応した所望形状を有する、下シートの下面から下シートを貫通する湯切り孔用ハーフカットが所望の配列に従って複数形成され、さらに該複数の湯切り孔用ハーフカットを囲むように、剥離領域の外周内縁に沿って形成され、上シートの上面から上シートを貫通する部分剥離用ハーフカットが設けられており、該部分剥離用ハーフカットは、前記湯切り用プルタブから見て点10aよりも遠い外縁上の点11aを起点とし、点10bよりも遠い外縁上の点11bを終点として剥離領域の外周内縁に沿って周回するものであり、前記点10aと点11a、および点10bと点11bをそれぞれ結ぶ蓋材外縁のハーフカット加工部を除く剥離領域内際に網点領域が形成され、該網点領域は、前記剥離層を形成する印刷版の当該部分を網点パターンとして剥離剤の塗布量を局所的に低減し、下シートと上シートの剥離強度を部分的に強化したものであることを特徴とする蓋材である。
【0016】
本発明に係る蓋材は、プルタブ用ハーフカットと部分剥離用ハーフカットで囲まれる領域すなわち剥離領域の中で、外縁に接する部分が最も輸送途中において浮きが発生しやすい点に着目し、この部分に相当する点10aと点11a、および点10bと点11bをそれぞれ結ぶ蓋材外縁のハーフカット加工部を除く剥離領域内際に網点領域を設け、剥離層を形成する印刷版の当該部分を網点パターンとして剥離剤の塗布量を局所的に低減し、下シートと上シートの剥離強度を部分的に強化したので、輸送途中における浮きの問題が解消される。
【0017】
また網点領域を剥離領域の内際とし、端面まで網点領域としていないため、蓋を剥離する際に端面の剥離強度が強すぎることによって発生する紙切れ等の剥離エラーを防止する作用がある。また網点領域を必要な部分だけに限定したので、湯切り孔を出現させるために剥離領域内の上シートを剥離除去する際、剥離抵抗が小さくて済み、容易に湯切り孔を形成することができる。
【0018】
次に、請求項2に記載の発明は、前記網点領域が、前記部分剥離用ハーフカット内際に延長されていることを特徴とする請求項1に記載の蓋材である。
【0019】
また、請求項3に記載の発明は、前記網点領域が、前記プルタブ用ハーフカット内際に延長されていることを特徴とする請求項1または2に記載の蓋材である。
【0020】
また、請求項4に記載の発明は、前記網点領域が、湯切り孔用ハーフカットの領域を囲むように、前記プルタブ用ハーフカットおよび部分剥離用ハーフカット内際に沿って環状に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の蓋材である。
【0021】
このように、網点領域を単に蓋材外縁のハーフカット加工部を除く剥離領域内際に留めず、剥離領域の外周を形成するプルタブ用ハーフカットおよび部分剥離用ハーフカットに沿って、延長することにより、ハーフカット部分における不必要な剥離を防止する作用を有する。
【0022】
また、請求項5に記載の発明は、前記網点領域における剥離剤の塗布量が、網点領域以外の剥離領域における剥離剤の塗布量の30%以上90%以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の蓋材である。
【0023】
また、請求項6に記載の発明は、前記湯切り孔用ハーフカットの中央部に剥離剤不塗工部分を設け、細かい矩形状の非剥離領域を形成したことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の蓋材である。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係る容器の蓋材によれば、ユーザは、容器本体からの液体の排出時に液体排出孔(湯切り孔など)を簡単な操作で確実に出現させることができ、容器に予め用意されている液体排出機構を損なうことも大幅に減少する。このため、使い勝手がよく、かつ、信頼性の高い液体排出孔付き容器の蓋材を提供することができる。
【0025】
本発明に係る蓋材は、上シートと下シートの2層からなり、上シートの下面に部分的に設けた剥離層によって、湯切りに用いる排出孔を簡単な操作で出現させることができる蓋材であるが、従来剥離領域全面に設けていた網点領域を、特に輸送途中において浮きが発
生しやすい部位である蓋材外縁部分の、剥離領域内際に配置することにより、浮きの防止と、剥離エラーの発生を共に防止し得るという効果を発揮する。
【0026】
請求項2〜4に記載の発明において、網点領域を、プルタブ用ハーフカットおよび部分剥離用ハーフカットの内際に延長することにより、浮きや剥離エラーを発生しやすいハーフカット近傍におけるこれらの問題を有効に防止することが可能となる。
【0027】
請求項5に記載の発明において、網点領域における剥離剤の塗布量を30%以上90%以下とした場合には、剥離剤塗布量削減による剥離強度向上効果が有効に発揮される。
【0028】
また、請求項6に記載の発明において、湯切り孔用ハーフカットの中央部に剥離剤不塗工部分を設け、細かい矩形状の非剥離領域を形成した場合、切断刃の潜り込みや、切断不良によって湯切り孔部分の下シートが上シートに付着して除去されずに残ったりする剥離エラーの発生を確実に防止する効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】図1は、本発明に係る蓋材およびこれを用いた包装体の一実施態様を示した平面模式図である。
【図2】図2は、図1のX−X’断面を示した断面模式図である。
【図3】図3は、図2の上シートを剥離除去した状態を示した断面模式図である。
【図4】図4は、本発明に係る蓋材の他の実施態様を示した平面模式図である。
【図5】図5は、本発明に係る蓋材の他の実施態様を示した平面模式図である。
【図6】図6は、本発明に係る蓋材の他の実施態様を示した平面模式図である。
【図7】図7は、本発明に係る蓋材の他の実施態様を示した平面模式図である。
【図8】図8は、本発明に係る蓋材の一実施態様を示した断面模式図である。
【図9】図9は、本発明に係る蓋材の他の実施態様を示した断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下図面を参照しながら、本発明に係る蓋材について詳細に説明する。
図1は、本発明に係る蓋材およびこれを用いた包装体の一実施態様を示した平面模式図である。図2は、図1のX−X’断面を示した断面模式図である。図3は、図2の上シートを剥離除去した状態を示した断面模式図である。また図8は、本発明に係る蓋材の一実施態様を示した断面模式図である。
【0031】
図1に示す容器(CT)は、焼きそばやスパゲッティなどのように、湯熱による調理をした後、湯切りをする即席食品のためのプラスチック製の容器である。この容器(CT)は、略四角形の面を有するボックス形を成しており、事前に焼きそばやスパゲッティなどの食品を乾燥状態で収めた容器本体(BD)と、この容器本体(BD)の上面を成す開口部(OP)のフランジ部(FL)に剥離可能に接着させた蓋材(1)とを備えている。
【0032】
本発明に係る蓋材(1)は、容器本体(BD)の開口部(OP)の縁に沿って形成され
たフランジ部(FL)に剥離可能にシールして被せる蓋材である。
【0033】
図1に示すように、容器本体(BD)の開口部(OP)を周回するフランジ部(FL)は、外縁(a)と内縁(b)とを有する。蓋材(1)は、容器本体(BD)の開口部(OP)のフランジ部(FL)の外縁(a)とほぼ同じ外形を有する蓋本体(2)と、その端縁に延設され、蓋本体(2)を開口部(OP)から分離する時に使用する1つ又は複数の開封用プルタブ(3)と、蓋本体(2)に一体に延設され容器本体(BD)から液体を排出させる複数の湯切り孔(e)を蓋本体(2)に出現させるときに使用する湯切り用プルタブ(4)を有する。図1に示した実施態様では、1つの開封用プルタブ(3)と、1つの湯切り用プルタブ(4)とが設けられている。
【0034】
蓋材(1)は、フランジ(FL)に下面をシールさせる下シート(5)と、上面が蓋材(1)の表面を形成し、下面に少なくとも紙層(22)を有し、紙層(22)が下シート(5)の上面に積層される上シート(6)とを備えた積層体からなる。
【0035】
蓋材(1)は、湯切り用プルタブ(4)の根本部分を横断し、蓋材(1)の両側の外縁上の点10a(10a)、外縁上の点10b(10b)を結び、下シート(5)の下面から下シート(5)を貫通するプルタブ用ハーフカット(10)を有する。
【0036】
このプルタブ用ハーフカット(10)は、本実施形態では直線であって、フランジ部(FL)の外縁(a)に接する接線として形成されている。しかしながら、これに限られずに、このプルタブ用ハーフカット(10)は外縁(a)に対して、その当接位置から若干前後した直線であってもよいし、また外縁(a)の丸みに沿った湾曲した半切りであってもよい。
【0037】
蓋材(1)は、プルタブ用ハーフカット(10)を含み、蓋本体(2)の内方に向って伸びる部分的な領域において、上シート(6)の下面に印刷形成した剥離層(8)を剥離界面(20)として、上シート(6)と下シート(5)を剥離可能に積層した剥離領域(A)を有する。
【0038】
この剥離層(8)は、図1の例では、2点鎖線で囲まれた部分に形成されており、この部分領域は剥離領域(A)として設定される。このため、この剥離領域(A)はそれ以外の非剥離領域(B)に面上で隣接し且つ当該領域(B)に囲まれるように位置している。
【0039】
蓋材(1)を平面視(蓋本体を上から見たときの視野を言う)すれば、その長方形の一方の対角線に湯切り用プルタブ(4)の角部を2分するように延びる2分線(PG)が交わる交点(以下、中心点)(O)が存在する。この蓋材(1)の形が正方形であれば、この中心点(O)は2つの対角線の交点となる。また、蓋材(1)が円形であれば、その円の中心が中心点(O)となる。そこで、剥離領域(A)はこの中心点(O)と湯切り用プルタブ(4)との間の範囲に収まる略矩形に形成されている。加えて、この剥離領域(A)は1つの2分線(PG)に対して線対称に形成されている。
【0040】
また、図1のように、湯切り用プルタブ(4)を挟んだ蓋材(1)の両側の外縁から蓋材(1)の中心点(O)を含む中心域の方へ平行に伸び、屈曲あるいは湾曲して接続されて一本となる、所謂、半切りと呼ばれる線状の部分剥離用ハーフカット(11)が、上シート(6)を切断して接着層(7)に至るように設けられている。
【0041】
剥離領域(A)内には、湯切り孔(e)に対応した所望形状を有する、下シート(5)の下面から下シート(5)を貫通する湯切り孔用ハーフカット(12)が所望の配列に従って複数形成され、さらに該複数の湯切り孔用ハーフカット(12)を囲むように、剥離領域(A)の外周内縁に沿って形成され、上シート(6)の上面から上シート(6)を貫通する部分剥離用ハーフカット(11)が設けられている。
【0042】
図1に示した実施態様では、この複数の湯切り孔用ハーフカット(12)の形状は平面視において矩形状を成している。また、これらの湯切り孔用ハーフカット(12)の平面視時の矩形に位置合わせして剥離剤のない部分が夫々形成されている。このため、個々の湯切り孔用ハーフカット(12)で囲まれる矩形状の領域には、剥離領域(A)の内部に更に細かい矩形状の非剥離領域(C)が形成されている。
【0043】
さらに、図1から分かるように、蓋材(1)の平面視において、矩形状の複数の湯切り孔用ハーフカット(12)は、湯切り用プルタブ(4)の中心と蓋材(1)の上面(表面)の仮想的な中心点(O)とを結ぶ2分線(PG)に対し、左右対称に配置されている。
【0044】
以上のことから、本実施形態に係る蓋材(1)では、その主要な構成として、湯切り用プルタブ(4)の根本部分を横断する両側のそれぞれに位置する、下シート(5)の外縁上の2点10a、10bを結ぶように下シート(5)の下面からプルタブ用ハーフカット(10)が形成される。
【0045】
また、湯切り用プルタブ(4)の根本部分の両側において当該根本部分からそれぞれ等距離のフランジの外縁(a)の上の2つの位置であって、前記2点10a、10bよりも湯切り用プルタブ(10)から離れた2つの起点11a、11bからそれぞれ蓋本体(2)の面上の内方に向かって延びて相互に合流して部分的な領域を当該蓋本体(2)に画成するように上シート(6)の上面から部分剥離用ハーフカット(11)が形成される。
【0046】
さらに、部分剥離用ハーフカット(11)で画成された部分的な領域において下シート(5)の下面から下シート(5)を貫通するように、複数の湯切り孔(e)にそれぞれ対応した形状を有し且つ当該領域内で所望の配列を有する複数の湯切り孔用ハーフカット(12)が形成される。
【0047】
このため、湯切り用プルタブ(4)の引き剥がし動作により、湯切り孔用ハーフカット(12)が付された下シート(5)の部分を上シート(6)の前記部分的な領域の部分に付着させた状態で、上シート(6)のプルタブ用ハーフカット(10)、フランジ部(FL)の外縁上の2点10a、10bそれぞれから2つの起点11a、11bのそれぞれに至る当該外縁の一部、及び、部分剥離用ハーフカット(11)で囲まれる閉領域の部分が湯切り用プルタブ(4)と共に下シート(5)から部分的に剥離可能になっている。
【0048】
そこで、図3に示すように、湯切り時にユーザは湯切り用プルタブ(4)をめくるように引き上げる。この引き上げ動作により、プルタブ用ハーフカット(10)の部分で湯切り用プルタブ(4)および上下シート(6)、(5)が蓋材(1)から分離可能になっている。
【0049】
そこで、ユーザはそのまま湯切り用プルタブ(4)を持ってそれを蓋本体(2)の面の内方に向けて剥がすと、この湯切り用プルタブ(4)と一緒にそれ以降の上シート(6)が下シート(5)から捲れ上がって剥離される。この捲れ上がる部分は、部分剥離用ハーフカット(11)が形成されているため、この部分剥離用ハーフカット(11)で囲まれている領域に限られる。
【0050】
従って、この湯切りに伴うプルタブ引き上げ動作は、最終的に、図3に示すように、湯切り用プルタブ(4)を頂点としてこれに一体に連なる略長方形状の上シート片(SH)が蓋材(1)から分離される。この分離された上シート片(SH)には各湯切り孔用ハー
フカット(12)で囲まれた下シート部分も一体に付着している。つまり、下シート(5)の剥離領域(A)において、この付着により抜けた孔が湯切り孔(e)として残される。これにより、湯切り用プルタブ(4)の引き上げから上シート(6)の剥離領域(A)の部分の捲り上げまで一気に進めることで、蓋材(1)の下シート(5)が露出した剥離領域(A)に複数の湯切り孔(e)が出現することになる。したがって、ユーザは、この湯切り孔(e)を使って従来と同様に湯熱による内容物の調理後の残湯を排出させることができる。
【0051】
部分剥離用ハーフカット(11)は、湯切り用プルタブ(4)から見て外縁上の点10aよりも遠い外縁上の点11aを起点とし、外縁上の点10bよりも遠い外縁上の点11bを終点として剥離領域(A)の外周内縁に沿って周回する。
【0052】
本発明に係る蓋材(1)は、外縁上の点10aと点11a、および同じく外縁上の点10bと点11bをそれぞれ結ぶ蓋材外縁のハーフカット加工部を除く剥離領域内際に網点領域(D)が形成され、網点領域(D)は、剥離層(8)を形成する印刷版の当該部分を網点パターンとして剥離剤の塗布量を局所的に低減し、下シート(5)と上シート(6)の剥離強度を部分的に強化したものであることを特徴とする。
【0053】
網点領域(D)は、図1に示したように、外縁上の点10aと点11a、および点10bと点11bをそれぞれ結ぶ蓋材外縁のハーフカット加工部を除く剥離領域内際のみでも良いが、図4に示したように、部分剥離用ハーフカット(11)の内際に延長されていても良い。また図5に示したように、プルタブ用ハーフカット(10)の内際に延長されていても良い。
【0054】
図6に示した実施態様では、網点領域(D)は、部分剥離用ハーフカット(11)の内際と、プルタブ用ハーフカット(10)の内際の両側に延長されている。
【0055】
また図7に示した実施態様では、網点領域(D)が、湯切り孔用ハーフカット(12)の領域を囲むように、プルタブ用ハーフカット(10)および部分剥離用ハーフカット(11)の内際に沿って環状に設けられている。
【0056】
このように、網点領域(D)をハーフカット線の内縁に沿って延長することは、ハーフカット時の刃の潜り込みによって生じる、剥離エラーを防止したり、輸送時における浮きを防止する上で、効果がある。
【0057】
網点領域(D)における網点パターンについては、特に限定されず、通常の平網でも良いし、砂目や万線やFMスクリーンでも良い。
【0058】
網点領域(D)においては、剥離剤の塗布量が減少するが、網点領域(D)における剥離剤の塗布量は、網点領域以外の剥離領域(A)における剥離剤の塗布量の30%以上90%以下であることが望ましい。
【0059】
剥離剤の塗布量が30%未満であると、剥離抵抗が大きくなり過ぎて剥離不良の原因となる可能性が大となる。また剥離剤の塗布量が90%以上であると、塗布量を削減した効果が得られない可能性がある。
【0060】
図8は、本発明に係る蓋材の一実施態様を示した断面模式図である。本実施形態に係る蓋材(1)の製造方法は、以下のとおりである。
まず、紙(22)として片アート紙の表面に絵柄印刷(21)を施し、裏面に剥離剤を印刷し剥離層(8)を形成する。剥離剤は、部分剥離用ハーフカット(11)とプルタブ用
ハーフカット(10)とその間の蓋材(1)の外縁で囲まれた範囲に、湯切り孔用ハーフカット(12)で囲まれた部分を塗りつぶさないように塗布するもので、その塗工領域において、外縁上の点10a〜11a、および10b〜11bの剥離領域内際に網点領域(D)を設け、剥離剤の塗布量を局所的に低減し、剥離強度を強化させている。
【0061】
必要に応じて、剥離剤が紙に吸収されて、剥離効果がなくならないように、あらかじめ剥離剤が印刷される面に目止剤を塗布して目止層(23)を形成してもよい。
【0062】
次に、別途二軸延伸フィルム(24)を用意し、この二軸延伸フィルム(24)のコロナ処理面に、接着剤(25)を塗布して、ドライラミネーション法によって、アルミニウム箔(26)を積層する。次に先に印刷を施した片アート紙(22)の裏面に、コロナ放電処理を施した後、Tダイ方式押出しラミネート機を用い、接着層(7)としてポリエチレンを押出して、別途積層した二軸延伸フィルムとアルミニウム箔の積層体の二軸延伸フィルム面を、サンドイッチラミネーション法により積層する。次に、この積層体のアルミニウム箔面にシーラント層(27)を設ける。
【0063】
このようにして、二軸延伸フィルム(24)とアルミニウム箔(26)、シーラント層(27)からなる下シート(5)と、これを被覆する、絵柄印刷層(21)と紙(22)からなる上シート(6)が、剥離層(8)や、接着層(7)となるポリエチレンを介して積層され、蓋材(1)の積層体ができる。
【0064】
次に、ロータリーダイカッターにより下シート(5)を切断して、接着層(7)まで、あるいは、紙層(22)の途中までのハーフカット加工を行い、プルタブ用ハーフカット(10)と湯切り孔用ハーフカット(12)を設ける。
【0065】
また同様に、上シート(6)を切断して、接着層(7)までのハーフカット加工を行い、部分剥離用ハーフカット(11)を設ける。次に、蓋材(1)の外形に打ち抜いて、枚葉の蓋材(1)が得られる。尚、ハーフカット加工と、外形の打ち抜きは同時に行ってもよい。
【0066】
本発明に係る蓋材(1)の製造に用いられる紙(22)としては、坪量50g/m〜150g/mの紙が好ましく用いられる。紙の種類は、絵柄印刷を施す表面が白色で多色印刷適性を有するものが好ましく、印刷用下地コート層が積層された、両アート紙、片アート紙、あるいは、両コート紙、片コート紙などを好適に使用することができる。また、純白ロールなども用いることができる。
【0067】
坪量が50g/m未満の場合は、剛性や機械的強度がやや不足し、150g/mを超える場合は、剛性は既に充分であり、それ以上の必要性がなく、ヒートシールに時間を要し、紙の層間強度の低下、開封時の紙の折れ易さの低下などもあるため好ましくない。
【0068】
絵柄印刷には、紙用のグラビアインキ、フレキソインキ、オフセットインキなどを用いて、それぞれのインキの印刷方式で設けることができる。また、箔押しなどで金属光沢部分を設けてもよい。また、絵柄印刷を保護するために、保護ニスを表面に塗布したり、ポリエチレンテレフタレートフィルムなどの延伸フィルムを表面に積層したりしてもよい。
【0069】
また、使用する剥離層(8)の材質は、特に限定されず、上シート(6)と下シート(5)を剥離可能とすればよい。例えば、ウレタン系樹脂やポリアミド系樹脂などの熱可塑性樹脂、もしくは、硝化綿系樹脂、ワックスなどを主成分とする剥離剤を使用できる。
【0070】
下シート(5)を構成する層としては、厚さが6μmから25μmの二軸延伸ポリエチ
レンテレフタレートフィルムおよび軟質アルミニウム箔を好適に使用できる。この二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムおよびアルミニウム箔の厚さが6μm未満の場合、そのラミネート加工での取り扱いが難しく、下シート(5)を容器本体から剥がすときに、剥がし残りが発生する。逆に25μmを超えると、出来上がった蓋材の腰が強くなり過ぎ、コストも過剰になる。また、両者とも6μm未満であっても、25μmを超える場合であっても、ハーフカット加工適性が得られ難い。
【0071】
剥離剤が印刷された紙(22)の裏面とアルミニウム箔(26)の積層に用いる接着層(7)としては、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレンと酸のコポリマー樹脂、合成ゴムの何れか1以上を主体とする熱可塑性樹脂が好ましく使用できる。また、接着層(7)として、ポリエチレンではなく、ウェットラミネート用接着剤、ドライラミネート用接着剤、ノンソルベントラミネート接着剤、ホットメルト接着剤を使用してもよい。
【0072】
シーラント層(27)は、単層でも多層でもよいが、シーラント層の最内面は、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン−メタクリル酸共重合体樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体樹脂などの酸コポリマー樹脂を主成分としたイージーピールシーラント樹脂層であることが好ましい。これらのシーラント層の素材は、いずれにしても被着体容器の少なくとも開口周縁部の接合面側の素材に応じて選択される。
【0073】
本発明に係る蓋材(1)は、以上のような構成であるので、湯切り用プルタブ(4)を持って、湯切り孔(e)を現すために上シート(6)を剥がすときに、下シート(5)を切ってしまい、剥離領域(A)の下シート(5)を容器本体から剥がしてしまうことがない。以下実施例に基づき、本発明に係る蓋材について具体的に説明する。
【実施例1】
【0074】
図9に示したような断面構成を持った積層体を作成した。
紙(22)として片アート紙(坪量104.7g/m、厚さ100μm)を用意し、その表面に多色グラビア印刷機を用いて文字、絵柄、光沢ニス等の絵柄印刷(21)を施し、続いて、片アート紙の裏面に目止剤(23)と剥離剤(8)を、図1の部分剥離用ハーフカット(11)とプルタブ用ハーフカット(10)とその間の蓋材(1)の外縁で囲まれた範囲に、湯切り孔用ハーフカット(12)で囲まれた部分を塗りつぶさないように、表面の絵柄印刷と見当を合せ、目止めニス版はベタ印刷、剥離ニス版は図1のパターン版でグラビア印刷により塗布した。網点領域(D)における剥離ニスの塗布量は、それ以外の剥離領域(A)における塗布量の40%となるようにした。
【0075】
別途、二軸延伸フィルム層(24)として二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム12μmを用意し、この二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムのコロナ処理面に、接着剤(25)を塗布して、ドライラミネーション法によって、厚さ9μmの軟質アルミニウム箔(26)を積層した。
【0076】
印刷を施した片アート紙の裏面に、コロナ放電処理を施し、Tダイ方式押出しラミネート機を用い、接着層(7)として低密度ポリエチレン(厚さ20μm)を押出し、先に積層した二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムとアルミニウム箔の積層体の二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの未処理面にアンカー剤なしでサンドイッチラミネーション法により積層し積層体を得た。
【0077】
次に、この積層体のアルミニウム箔の面に、Tダイ方式押出しラミネート機を用い、接着樹脂層(28)に相当するエチレン−メタクリル酸共重合体樹脂(厚さ10μm)と、
最内面にエチレン−メタクリル酸共重合体系のイージーピールシーラント樹脂(29)(厚さ10μm)の2層を共押出して、総厚が20μmのシーラント層を設け積層体を得た。
【0078】
この積層体を、ロータリーダイカッターにより、シーラント層側から、片アート紙まであるいは片アート紙の途中まで、刃が入るようにハーフカット加工を行い、図1の湯切り孔用ハーフカット(12)とプルタブ用ハーフカット(10)を設けた。
さらに、ロータリーダイカッターにより、片アート紙の絵柄印刷側から、接着層(7)の低密度ポリエチレンまであるいは低密度ポリエチレンの途中まで、刃が入るようにハーフカット加工を行い、図1の部分剥離用ハーフカット(11)を設けた。
次に、図1の蓋材(1)の外形に打ち抜いて、実施例1の蓋材を得た。
【実施例2】
【0079】
剥離ニスを塗布する版の網点領域を図4の形状とした以外は、実施例1と同様にして実施例2の蓋材を得た。
【実施例3】
【0080】
剥離ニスを塗布する版の網点領域を図5の形状とした以外は、実施例1と同様にして実施例3の蓋材を得た。
【実施例4】
【0081】
剥離ニスを塗布する版の網点領域を図6の形状とした以外は、実施例1と同様にして実施例4の蓋材を得た。
【0082】
<比較例1>
剥離ニスを塗布する版を網点領域の存在しない単なるベタ版とした以外は、実施例1と同様にして比較例1の蓋材を得た。
【0083】
<比較例2>
剥離ニスを塗布する版を、着肉割合が60%となるベタ版とした以外は、実施例1と同様にして比較例2の蓋材を得た。これは、剥離領域を全面に亘って網点領域にした事に相当する。
【0084】
実施例1〜4、および比較例1〜2の蓋材を各100枚用意し、容器本体となる発泡ポリスチレンカップに内容物を充填後、開口部に、カップシーラーを用いてシールし、以下の評価を実施した。
1.輸送評価
充填サンプルをシュリンク包装した後、段ボール箱に詰め、これをJIS Z0200に準拠し、振動回数毎分1/2オクターブ以下で対数掃引振動を実施し、浮き発生の有無を確認した。
2.剥離評価
湯切り用プルタブ(4)を持って剥離領域(A)の上シート(6)を剥がし、湯切り孔(e)を露出させた。このとき、問題なく上シート(6)を剥がせるかどうかについて評価した。
【0085】
以下、実施例と比較例との比較結果について説明する。
実施例1から実施例4の蓋材は、輸送評価においても湯切り用プルタブ周縁に浮きや自然剥離などの不具合を発生することなく、また剥離評価においては、湯切り用プルタブ(4)を持って剥離領域(A)の上シート(6)を剥がしても、すべて問題なく剥がすことができた。
一方、比較例1の蓋材は、輸送評価において、湯切り用プルタブ(4)の周縁、特に外縁10a〜11a、10b〜11bに沿って浮きが発生し、中には浮きが湯切り孔にまで到達し、密封性が確保できないものもあった。
【0086】
比較例2の蓋材は、輸送評価における不具合は発生しなかったものの、剥離評価において、部分剥離用ハーフカット(11)を主なきっかけとして紙層破壊が発生し、完全に湯切り孔を露出させることが出来なかった。
【0087】
以上のことから、本発明に係る蓋材は、簡単に且つ安定して湯切り孔(e)を出現させることができる剥離機能を損なうことなく、輸送耐性を改善し、容器としての密封性を安定的に確保できることが分った。
【0088】
以上の実施形態及びその変形形態に係る蓋材は、即席食品などの食品容器の蓋材として説明してきた。しかしながら、本発明に係る蓋材は必ずしもこれに限定されるものではなく、容器本体に水や湯、或いは、触媒などの様々な溶液を注入し、それらの液体により内容物を処理した後、その液体だけを、本発明に係る蓋材に出現させて排出孔を介して排出させる構造であればよく、液体の種類や温度、更には内容物に対する処理の態様などに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0089】
1・・・蓋材 CT・・・容器
2・・・蓋本体 BD・・・容器本体
3・・・開封用プルタブ OP・・・開口部
4・・・湯切り用プルタブ FL・・・フランジ部
5・・・下シート a・・・外縁
6・・・上シート b・・・内縁
7・・・接着層 A・・・剥離領域
8・・・剥離層(剥離剤) B・・・非剥離領域
10・・・プルタブ用ハーフカット C・・・細かい矩形状の非剥離領域
10a、10b・・・外縁上の点 D・・・網点領域
11・・・部分剥離用ハーフカット e・・・湯切り孔
11a、11b・・・外縁上の点 O・・・中心点
12・・・湯切り孔用ハーフカット PG・・・二分線
20・・・剥離界面 SH・・・上シート片
21・・・絵柄印刷
22・・・紙
23・・・目止層
24・・・二軸延伸フィルム
25・・・接着剤
26・・・アルミニウム箔
27・・・シーラント(層)
28・・・接着樹脂層
29・・・イージーピールシーラント層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体の開口部の縁に沿って形成されたフランジ部に剥離可能にシールして被せる蓋材であって、
前記フランジ部に下面をシールさせる下シートと、上面が蓋材の表面を形成し、下面に少なくとも紙層を有し、該紙層が前記下シートの上面に積層される上シートとを備えた積層体からなり、
前記フランジ部の外形と略同等の大きさを有し、前記開口部およびフランジ部を一体に覆う蓋本体と、前記フランジ部の外側に位置するように蓋本体に一体に延設され、蓋本体を前記開口部から分離する時に使用する開封用プルタブと、前記蓋本体に一体に延設され容器本体から液体を排出させる複数の湯切り孔を蓋本体に出現させるときに使用する湯切り用プルタブとを有し、
該湯切り用プルタブの根本部分を横断し、蓋材の両側の外縁上の2点10a、10bを結び、前記下シートの下面から下シートを貫通するプルタブ用ハーフカットを有し、
該プルタブ用ハーフカットを含み、蓋本体の内方に向って伸びる部分的な領域において、前記上シートの下面に印刷形成した剥離層を剥離界面として、上シートと下シートを剥離可能に積層した剥離領域を有し、
該剥離領域には、前記湯切り孔に対応した所望形状を有する、下シートの下面から下シートを貫通する湯切り孔用ハーフカットが所望の配列に従って複数形成され、さらに該複数の湯切り孔用ハーフカットを囲むように、剥離領域の外周内縁に沿って形成され、上シートの上面から上シートを貫通する部分剥離用ハーフカットが設けられており、
該部分剥離用ハーフカットは、前記湯切り用プルタブから見て点10aよりも遠い外縁上の点11aを起点とし、点10bよりも遠い外縁上の点11bを終点として剥離領域の外周内縁に沿って周回するものであり、
前記点10aと点11a、および点10bと点11bをそれぞれ結ぶ蓋材外縁のハーフカット加工部を除く剥離領域内際に網点領域が形成され、
該網点領域は、前記剥離層を形成する印刷版の当該部分を網点パターンとして剥離剤の塗布量を局所的に低減し、下シートと上シートの剥離強度を部分的に強化したものであることを特徴とする蓋材。
【請求項2】
前記網点領域が、前記部分剥離用ハーフカット内際に延長されていることを特徴とする請求項1に記載の蓋材。
【請求項3】
前記網点領域が、前記プルタブ用ハーフカット内際に延長されていることを特徴とする請求項1または2に記載の蓋材。
【請求項4】
前記網点領域が、湯切り孔用ハーフカットの領域を囲むように、前記プルタブ用ハーフカットおよび部分剥離用ハーフカット内際に沿って環状に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の蓋材。
【請求項5】
前記網点領域における剥離剤の塗布量が、網点領域以外の剥離領域における剥離剤の塗布量の30%以上90%以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の蓋材。
【請求項6】
前記湯切り孔用ハーフカットの中央部に剥離剤不塗工部分を設け、細かい矩形状の非剥離領域を形成したことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の蓋材。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2013−107661(P2013−107661A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−252838(P2011−252838)
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】