蓋装置
【課題】優れた雨水流入性及びスリップ防止機能を兼ね備えた蓋装置を提供する。
【解決手段】断面が両端に向けて下り傾斜となる略円弧状に形成され、平面視が略矩形形状をなし、且つ路面に露出する天板部２ａと、外縁枠２ｄとを含む蓋材２と、天板部２ａを貫通する長尺の流水口３が天板部２ａの長手方向に沿って断続的に複数配して列として穿設された流水口列５と、天板部２ａ及び外縁枠２ｄの内側面８に設けられ、流水口３に沿って配された凸部４が天板部２ａの長手方向に沿って断続的に複数配して列として形成された凸部列６とを備えた。
【解決手段】断面が両端に向けて下り傾斜となる略円弧状に形成され、平面視が略矩形形状をなし、且つ路面に露出する天板部２ａと、外縁枠２ｄとを含む蓋材２と、天板部２ａを貫通する長尺の流水口３が天板部２ａの長手方向に沿って断続的に複数配して列として穿設された流水口列５と、天板部２ａ及び外縁枠２ｄの内側面８に設けられ、流水口３に沿って配された凸部４が天板部２ａの長手方向に沿って断続的に複数配して列として形成された凸部列６とを備えた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、路面上の雨水を流入させるための蓋装置に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
一般的な車道においては、雨天時の雨水等が速やかに車道から排出されるように、道路中央部から歩道に向けて緩やかな下り勾配が付けられ、車道と歩道との境界に側溝が設置されている。また、道路を横切るように横断側溝が設置されている場合がある。これらの側溝の上方には、路面上の雨水を側溝内に流入させるための蓋装置が設置されている。このような蓋装置は、長方形をした周縁枠の内側を複数の格子部材で縦横に区画することによって複数の貫通孔を全面的に配列した格子状の金属製の蓋（グレーチング）が周知となっている。
【０００３】
しかしながら、グレーチングは直交する格子部材を縦横均等に全面的に配置しただけのものであり、雨水の流れ方向や雨水の流入容易性等を考慮したものではないため、実際の道路に設置した場合、雨水が格子部材に衝突することにより、側溝内に流入しにくく、雨水の集水能力が低いという問題があった。また、格子部材が人や車両等の進行方向に沿って直線状に配置されているため、歩行者が足を載せたときに滑って転倒したり、自転車やバイクがその上を通過するときタイヤが滑り、バランスを崩したり転倒したりするおそれがあった。
【０００４】
滑りの防止を図った滑り止めつきグレーチングが特許文献１に記載されている。しかしながら、特許文献１のグレーチングは、雨水の集水能力の点で問題を残したままである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００５】
【特許文献１】特開２０００−２７２７８号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
本発明は、上記従来技術を考慮したものであって、優れた雨水流入性及びスリップ防止機能を兼ね備えた蓋装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
前記目的を達成するため、請求項１の発明では、地中に埋設される側溝本体の上側開口部を覆うべき蓋装置であって、断面が両端に向けて下り傾斜となる略円弧状に形成され、平面視が略矩形形状をなし、且つ路面に露出する天板部と、前記天板部の外周縁に設けられ、内側面が下方に傾斜して前記天板部に連なる外縁枠とを含む、蓋材と、前記天板部を貫通する長尺の流水口が前記天板部の長手方向に沿って断続的に複数配して列として穿設され、少なくとも一の列が前記外縁枠の前記内側面の下端に沿って配された流水口列と、前記天板部及び前記外縁枠の前記内側面に設けられ、前記流水口に沿って配された凸部が前記天板部の長手方向に沿って断続的に複数配して列として形成された凸部列とを備えたことを特徴とする蓋装置を提供する。
【０００８】
請求項２の発明では、請求項１の発明において、前記凸部列における前記凸部と隣接する前記凸部列における前記凸部とは前記天板部の長手方向においてずれて配置されていることを特徴としている。
請求項３の発明では、請求項１又は２の発明において、前記凸部上面の高さが前記外縁枠上面と同一高さに形成されていることを特徴としている。
【０００９】
請求項４の発明では、請求項１〜３のいずれかの発明において、前記流水口の開口幅は前記天板部の外縁枠側が最も大きいことを特徴としている。
請求項５の発明では、請求項１〜４のいずれかの発明において、前記天板部の裏面に設けられ、前記天板部の短手方向に沿って配された補強リブと、該補強リブが配された位置における前記天板部の表面に設けられ、前記流水口に連通する窪み部とをさらに備えたことを特徴としている。
【発明の効果】
【００１０】
請求項１の発明によれば、天板部の断面が両端に向けて下り傾斜となる略円弧状であるため、蓋材の長辺側から流入する雨水は天板部上面の傾斜を上るようにして流れる。このため、雨水の流れが弱まり、天板部を越えて流れることを防止できる。そして雨水は、天板部に穿設された流水口に流入される。また、天板部には凸部が複数備わるため、天板部上を流れる雨水をこれに衝突させ、雨水の流れを弱めることができ、流水口に流入させ易くすることができる。また、凸部により、蓋装置上を人や車両が通過する際のスリップ防止を図ることができる。また、凸部は流水口に沿って配設されているため、流水口に雨水を流入させるためのガイドとして作用させることができる。
【００１１】
請求項２の発明によれば、凸部列における凸部は、隣接する凸部列の凸部と天板部の長手方向においてずれて配置されている。このため、雨水が手前の流水口を越えたとしても凸部に衝突するので、次列の流水口に雨水を流入させることができる。
【００１２】
請求項３の発明によれば、凸部上面高さが外縁枠上面と同一高さに形成され、天板部上面両端が外縁枠上面から外縁枠の内側面を介して下がった状態に形成される。このため、天板部上に流入した雨水が再び天板部上から流出することを抑制し、効率よく雨水を流水口に流入させることができる。また、凸部上面が同一高さにあるため、蓋装置上を車両が通行したり、あるいは歩行者が歩行したりした際に、違和感なく通過することができる。
【００１３】
請求項４の発明によれば、流水口の開口幅は、流水口列でみると天板部の外縁枠側が最も大きい。このため、天板部の長辺側の流水口列に配された幅広の流水口を用い、雨水を効率よく流水口に流入させることができる。
【００１４】
請求項５の発明によれば、天板部の裏面に補強リブが設けられ、天板部の表面に流水口に連通する窪み部がさらに設けられるので、補強リブがあるために流水口を設けられない位置においても、窪み部により効率よく雨水を流水口に案内することができる。また、補強リブと流水口が交差することがあっても、補強リブは天板部の裏面に設けられているため、補強リブ上面は流水口の下面に位置することになり、流水口への雨水流入の妨げにならない。
【図面の簡単な説明】
【００１５】
【図１】本発明に係る蓋装置の平面図である。
【図２】図１のＡ−Ａ断面図である。
【図３】本発明に係る蓋装置を用いた側溝の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【００１６】
図１に示す本発明に係る蓋装置１の例では、蓋材２と、流水口３と、凸部４とを有している。蓋材２は、天板部２ａと、側板部２ｂと、フランジ部２ｃと、外縁枠２ｄとを有している。蓋装置１の材質は例えばダクタイル鋳鉄である。蓋装置１は、後述するように、地中に埋設された側溝本体の上側開口部を覆うものである。天板部２ａは、図２を参照すれば明らかなように、天板部２ａの短手方向において断面が両端に向けて下り傾斜となる略円弧状に形成されている。天板部２ａは、蓋材２を側溝本体１３に取り付けたときに、路面に露出する部分である。天板部２ａは、平面視で略矩形形状をなしている。側板部２ｂは、天板部２ａの両側縁から連続して下側に延びている。フランジ部２ｃは、側板部２ｂの下端から外方に延び、天板部２ａと段差を有して突出している。外縁枠２ｄは、天板部２ａの外周縁に立設し、その内側面８が下方に傾斜して天板部２ａに連なっている。
【００１７】
天板部２ａには、天板部２ａを貫通する流水口３が穿設されている。この流水口３は、天板部２ａの長手方向に沿った開口長さ３ａと、天板部２ａの短手方向に沿った開口幅３ｂとを有している。開口長さ３ａは、開口幅３ｂよりも長く、流水口３は長尺である。流水口３は天板部２ａの長手方向に沿って断続的に複数設けられ、流水口列５を形成している。この流水口列５は、天板部２ａに複数列設けられている。天板部２ａ上に流れ込んだ雨水は、この流水口３に流入する。このとき、天板部２ａは断面が両端に向けて下り傾斜となる略円弧状であるため、蓋材２の長辺側から流入する雨水は天板部２ａ上面の傾斜を上るようにして流れる。このため、雨水の流れが弱まり、天板部２ａを越えて雨水が流れることを防止し、効率よく雨水を流水口３に流入させることができる。また、各流水口列５の流水口３は、天板部２ａの長手方向においてずれて配置されている。これにより、流水口３への雨水の流入効率をさらに向上させることができる。
【００１８】
また、流水口列５のうち、少なくとも一の列は外縁枠２ｄの内側面８の下端に沿って配されている。そして、この外縁枠２ｄに沿った流水口列５の流水口３の開口幅３ｂは、最も大きく形成されている（例えば１３ｍｍ）。また、天板部２ａの短手方向の中心軸線側にある流水口列５の流水口３の開口幅３ｂが最も小さく形成されている（例えば８ｍｍ）。このため、天板部２ａの長辺側の流水口列５に配された幅広の流水口３を用い、雨水を効率よく流水口３に流入させることができる。
【００１９】
天板部２ａ及び外縁枠２ｄの内側面８には、凸部４が設けられている。凸部４は、流水口３に沿って設けられている。凸部４は、天板部２ａの長手方向に沿って断続的に複数配され、凸部列６を形成している。この凸部４により、天板部２ａ上を流れる雨水をこれに衝突させ、雨水の流れを弱くすることができ、流水口３に流入させ易くすることができる。また、凸部４により、蓋装置１上を人や車両が通過する際のスリップ防止を図ることができる。また、凸部４は流水口３に沿って配設されているため、流水口３に雨水を流入させるためのガイドとして作用させることができる。
【００２０】
また、凸部列６における凸部４は、隣接する凸部列６の凸部４と天板部２ａの長手方向においてずれて配置されている。このため、雨水が長辺側の外縁枠２ｄから流入し、雨水が流水口３を越えて流れたとしても、この雨水は凸部４に衝突するので、戻って流水口３に流入させることができる。また、凸部４の上面の高さが外縁枠２ｄの上面の高さと同一高さに形成され、天板部２ａの上面は外縁枠２ｄの上面から外縁枠２ｄの内側面８を介して下がった位置に形成される。このため、天板部２ａ上に流入した雨水が再び天板部２ａから流出することを抑制し、効率よく雨水を流水口３に流入させることができ、蓋装置１上を車両が通行したり、あるいは歩行者が歩行した際に、凸部４の上面がそろっているため、違和感なく通過することができる。凸部４の上面高さを揃えるため、天板部２ａの両端付近の低い位置に配される凸部４は小径及び大径の円柱部材を２段重ねて形成されている。一方、天板部２ａの頂上面２４及び外縁枠２ｄの内側面８のような天板部２ａの両端付近よりも高い位置に配される凸部４は１段の円柱部材で形成されている。なお、凸部４の最上面は例えば直径５ｍｍであり、隣接する凸部４の中心間の距離は例えば２５ｍｍで形成されており、流水口３の配置により、１３．６３ｍｍ〜３３．８７ｍｍの範囲で形成される箇所もある。
【００２１】
図２を参照すれば明らかなように、天板部２ａの裏面には、天板部２ａの短手方向に沿って配された補強リブ７が設けられている。そして、図１に示すように、補強リブ７が配された位置における天板部２ａの表面には、流水口３に連通する窪み部９が設けられている。このように、天板部２ａの裏面に補強リブ７が設けられ、天板部２ａの表面には流水口３に連通する窪み部９がさらに設けられるので、補強リブ７があるために流水口３を設けられない位置においても、窪み部９により効率よく雨水を流水口３に案内することができる。また、補強リブ７と流水口３が交差することがあっても、補強リブ７は天板部２ａの裏面に設けられているため、補強リブ７の上面は流水口３の下面に位置することになり、流水口３への雨水流入の妨げにならない。なお、図の例では、天板部２ａの長手方向の裏面に沿った位置にも補強リブ１０が配設されている。
【００２２】
図２に示すように、側板部２ｂには雨水を流入させるための貫通孔１１が穿設されている。この貫通孔１１は、蓋装置１を設置した周囲の舗装が透水性の場合に、透水した雨水を取り込むためのものである。また、側板部２ｂには舗装を掘削して埋め戻す際の目印としての段差部１２が設けられている。この段差部１２の代わりに線を描いてもよい。
【００２３】
上述したような蓋装置１を側溝に用いると、図３に示すように、天板部２ａの上面が路面に露出される。この設置方法は、以下に示すようにして行われる。まず、上側が開放された断面Ｕ字形状であって、地中に埋設された長尺の側溝本体１３に対し、アンカーボルト１６を設置する。具体的には、アンカーボルト１６は、側溝本体１３を形成する両側の側壁１３ａの上部にそれぞれ形成された孔に埋め込んで設置される。これにより、アンカーボルト１６は側壁１３ａの上端面からそれぞれ上方に延びるように立設される。次に、アンカーボルト１６のそれぞれに高さ調整部材１４を螺合する。高さ調整部材１４は、アンカーボルト１６に沿って螺合しながら上下動可能である。フランジ部２ｃに設けられたマーク１８（図１参照）を目印としてフランジ２ｃを貫通する外側の４箇所の挿通孔１９（図１参照）にアンカーボルト１６を挿通し、ナット２０にて固定する。このとき、高さ調整部材１４により、フランジ部２ｃの高さを調節することができる。したがって、蓋材２を傾かせることができるので、流路の傾斜が道路の傾斜と異なる場合に、道路の傾斜にあわせて天板部２ａを傾かせる傾斜施工を容易に行うことができる。そして、フランジ部２ｃと側壁１３ａの上端面との間にモルタル１５を充填する。この充填時、モルタル１５が漏れないように側壁１３ａの内側は内板１７で押さえられ、外側は外板（不図示）で押さえられる。
【００２４】
モルタル固化後、まず土砂２１を埋め戻し、その上側をアスファルト等の舗装材２２で舗装する。このような蓋装置１を有する側溝２３は、側溝本体１３が地中に埋設され、路面に露出しているのは側溝本体１３に一体に固定された蓋材２の天板部２ａであるため、車両の通行によってガタつきが発生することを抑制することができる。
【符号の説明】
【００２５】
１ 蓋装置
２ 蓋材
２ａ 天板部
２ｂ 側板部
２ｃ フランジ部
２ｄ 外縁枠
３ 流水口
４ 凸部
５ 流水口列
６ 凸部列
７ 補強リブ
８ 内側面
９ 窪み部
１０ 補強リブ
１１ 貫通孔
１２ 段差部
１３ 側溝本体
１３ａ 側壁
１４ 高さ調整部材
１５ モルタル
１６ アンカーボルト
１７ 内板
１８ マーク
１９ 挿通孔
２０ ナット
２１ 土砂
２２ 舗装材
２３ 側溝
【技術分野】
【０００１】
本発明は、路面上の雨水を流入させるための蓋装置に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
一般的な車道においては、雨天時の雨水等が速やかに車道から排出されるように、道路中央部から歩道に向けて緩やかな下り勾配が付けられ、車道と歩道との境界に側溝が設置されている。また、道路を横切るように横断側溝が設置されている場合がある。これらの側溝の上方には、路面上の雨水を側溝内に流入させるための蓋装置が設置されている。このような蓋装置は、長方形をした周縁枠の内側を複数の格子部材で縦横に区画することによって複数の貫通孔を全面的に配列した格子状の金属製の蓋（グレーチング）が周知となっている。
【０００３】
しかしながら、グレーチングは直交する格子部材を縦横均等に全面的に配置しただけのものであり、雨水の流れ方向や雨水の流入容易性等を考慮したものではないため、実際の道路に設置した場合、雨水が格子部材に衝突することにより、側溝内に流入しにくく、雨水の集水能力が低いという問題があった。また、格子部材が人や車両等の進行方向に沿って直線状に配置されているため、歩行者が足を載せたときに滑って転倒したり、自転車やバイクがその上を通過するときタイヤが滑り、バランスを崩したり転倒したりするおそれがあった。
【０００４】
滑りの防止を図った滑り止めつきグレーチングが特許文献１に記載されている。しかしながら、特許文献１のグレーチングは、雨水の集水能力の点で問題を残したままである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００５】
【特許文献１】特開２０００−２７２７８号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
本発明は、上記従来技術を考慮したものであって、優れた雨水流入性及びスリップ防止機能を兼ね備えた蓋装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
前記目的を達成するため、請求項１の発明では、地中に埋設される側溝本体の上側開口部を覆うべき蓋装置であって、断面が両端に向けて下り傾斜となる略円弧状に形成され、平面視が略矩形形状をなし、且つ路面に露出する天板部と、前記天板部の外周縁に設けられ、内側面が下方に傾斜して前記天板部に連なる外縁枠とを含む、蓋材と、前記天板部を貫通する長尺の流水口が前記天板部の長手方向に沿って断続的に複数配して列として穿設され、少なくとも一の列が前記外縁枠の前記内側面の下端に沿って配された流水口列と、前記天板部及び前記外縁枠の前記内側面に設けられ、前記流水口に沿って配された凸部が前記天板部の長手方向に沿って断続的に複数配して列として形成された凸部列とを備えたことを特徴とする蓋装置を提供する。
【０００８】
請求項２の発明では、請求項１の発明において、前記凸部列における前記凸部と隣接する前記凸部列における前記凸部とは前記天板部の長手方向においてずれて配置されていることを特徴としている。
請求項３の発明では、請求項１又は２の発明において、前記凸部上面の高さが前記外縁枠上面と同一高さに形成されていることを特徴としている。
【０００９】
請求項４の発明では、請求項１〜３のいずれかの発明において、前記流水口の開口幅は前記天板部の外縁枠側が最も大きいことを特徴としている。
請求項５の発明では、請求項１〜４のいずれかの発明において、前記天板部の裏面に設けられ、前記天板部の短手方向に沿って配された補強リブと、該補強リブが配された位置における前記天板部の表面に設けられ、前記流水口に連通する窪み部とをさらに備えたことを特徴としている。
【発明の効果】
【００１０】
請求項１の発明によれば、天板部の断面が両端に向けて下り傾斜となる略円弧状であるため、蓋材の長辺側から流入する雨水は天板部上面の傾斜を上るようにして流れる。このため、雨水の流れが弱まり、天板部を越えて流れることを防止できる。そして雨水は、天板部に穿設された流水口に流入される。また、天板部には凸部が複数備わるため、天板部上を流れる雨水をこれに衝突させ、雨水の流れを弱めることができ、流水口に流入させ易くすることができる。また、凸部により、蓋装置上を人や車両が通過する際のスリップ防止を図ることができる。また、凸部は流水口に沿って配設されているため、流水口に雨水を流入させるためのガイドとして作用させることができる。
【００１１】
請求項２の発明によれば、凸部列における凸部は、隣接する凸部列の凸部と天板部の長手方向においてずれて配置されている。このため、雨水が手前の流水口を越えたとしても凸部に衝突するので、次列の流水口に雨水を流入させることができる。
【００１２】
請求項３の発明によれば、凸部上面高さが外縁枠上面と同一高さに形成され、天板部上面両端が外縁枠上面から外縁枠の内側面を介して下がった状態に形成される。このため、天板部上に流入した雨水が再び天板部上から流出することを抑制し、効率よく雨水を流水口に流入させることができる。また、凸部上面が同一高さにあるため、蓋装置上を車両が通行したり、あるいは歩行者が歩行したりした際に、違和感なく通過することができる。
【００１３】
請求項４の発明によれば、流水口の開口幅は、流水口列でみると天板部の外縁枠側が最も大きい。このため、天板部の長辺側の流水口列に配された幅広の流水口を用い、雨水を効率よく流水口に流入させることができる。
【００１４】
請求項５の発明によれば、天板部の裏面に補強リブが設けられ、天板部の表面に流水口に連通する窪み部がさらに設けられるので、補強リブがあるために流水口を設けられない位置においても、窪み部により効率よく雨水を流水口に案内することができる。また、補強リブと流水口が交差することがあっても、補強リブは天板部の裏面に設けられているため、補強リブ上面は流水口の下面に位置することになり、流水口への雨水流入の妨げにならない。
【図面の簡単な説明】
【００１５】
【図１】本発明に係る蓋装置の平面図である。
【図２】図１のＡ−Ａ断面図である。
【図３】本発明に係る蓋装置を用いた側溝の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【００１６】
図１に示す本発明に係る蓋装置１の例では、蓋材２と、流水口３と、凸部４とを有している。蓋材２は、天板部２ａと、側板部２ｂと、フランジ部２ｃと、外縁枠２ｄとを有している。蓋装置１の材質は例えばダクタイル鋳鉄である。蓋装置１は、後述するように、地中に埋設された側溝本体の上側開口部を覆うものである。天板部２ａは、図２を参照すれば明らかなように、天板部２ａの短手方向において断面が両端に向けて下り傾斜となる略円弧状に形成されている。天板部２ａは、蓋材２を側溝本体１３に取り付けたときに、路面に露出する部分である。天板部２ａは、平面視で略矩形形状をなしている。側板部２ｂは、天板部２ａの両側縁から連続して下側に延びている。フランジ部２ｃは、側板部２ｂの下端から外方に延び、天板部２ａと段差を有して突出している。外縁枠２ｄは、天板部２ａの外周縁に立設し、その内側面８が下方に傾斜して天板部２ａに連なっている。
【００１７】
天板部２ａには、天板部２ａを貫通する流水口３が穿設されている。この流水口３は、天板部２ａの長手方向に沿った開口長さ３ａと、天板部２ａの短手方向に沿った開口幅３ｂとを有している。開口長さ３ａは、開口幅３ｂよりも長く、流水口３は長尺である。流水口３は天板部２ａの長手方向に沿って断続的に複数設けられ、流水口列５を形成している。この流水口列５は、天板部２ａに複数列設けられている。天板部２ａ上に流れ込んだ雨水は、この流水口３に流入する。このとき、天板部２ａは断面が両端に向けて下り傾斜となる略円弧状であるため、蓋材２の長辺側から流入する雨水は天板部２ａ上面の傾斜を上るようにして流れる。このため、雨水の流れが弱まり、天板部２ａを越えて雨水が流れることを防止し、効率よく雨水を流水口３に流入させることができる。また、各流水口列５の流水口３は、天板部２ａの長手方向においてずれて配置されている。これにより、流水口３への雨水の流入効率をさらに向上させることができる。
【００１８】
また、流水口列５のうち、少なくとも一の列は外縁枠２ｄの内側面８の下端に沿って配されている。そして、この外縁枠２ｄに沿った流水口列５の流水口３の開口幅３ｂは、最も大きく形成されている（例えば１３ｍｍ）。また、天板部２ａの短手方向の中心軸線側にある流水口列５の流水口３の開口幅３ｂが最も小さく形成されている（例えば８ｍｍ）。このため、天板部２ａの長辺側の流水口列５に配された幅広の流水口３を用い、雨水を効率よく流水口３に流入させることができる。
【００１９】
天板部２ａ及び外縁枠２ｄの内側面８には、凸部４が設けられている。凸部４は、流水口３に沿って設けられている。凸部４は、天板部２ａの長手方向に沿って断続的に複数配され、凸部列６を形成している。この凸部４により、天板部２ａ上を流れる雨水をこれに衝突させ、雨水の流れを弱くすることができ、流水口３に流入させ易くすることができる。また、凸部４により、蓋装置１上を人や車両が通過する際のスリップ防止を図ることができる。また、凸部４は流水口３に沿って配設されているため、流水口３に雨水を流入させるためのガイドとして作用させることができる。
【００２０】
また、凸部列６における凸部４は、隣接する凸部列６の凸部４と天板部２ａの長手方向においてずれて配置されている。このため、雨水が長辺側の外縁枠２ｄから流入し、雨水が流水口３を越えて流れたとしても、この雨水は凸部４に衝突するので、戻って流水口３に流入させることができる。また、凸部４の上面の高さが外縁枠２ｄの上面の高さと同一高さに形成され、天板部２ａの上面は外縁枠２ｄの上面から外縁枠２ｄの内側面８を介して下がった位置に形成される。このため、天板部２ａ上に流入した雨水が再び天板部２ａから流出することを抑制し、効率よく雨水を流水口３に流入させることができ、蓋装置１上を車両が通行したり、あるいは歩行者が歩行した際に、凸部４の上面がそろっているため、違和感なく通過することができる。凸部４の上面高さを揃えるため、天板部２ａの両端付近の低い位置に配される凸部４は小径及び大径の円柱部材を２段重ねて形成されている。一方、天板部２ａの頂上面２４及び外縁枠２ｄの内側面８のような天板部２ａの両端付近よりも高い位置に配される凸部４は１段の円柱部材で形成されている。なお、凸部４の最上面は例えば直径５ｍｍであり、隣接する凸部４の中心間の距離は例えば２５ｍｍで形成されており、流水口３の配置により、１３．６３ｍｍ〜３３．８７ｍｍの範囲で形成される箇所もある。
【００２１】
図２を参照すれば明らかなように、天板部２ａの裏面には、天板部２ａの短手方向に沿って配された補強リブ７が設けられている。そして、図１に示すように、補強リブ７が配された位置における天板部２ａの表面には、流水口３に連通する窪み部９が設けられている。このように、天板部２ａの裏面に補強リブ７が設けられ、天板部２ａの表面には流水口３に連通する窪み部９がさらに設けられるので、補強リブ７があるために流水口３を設けられない位置においても、窪み部９により効率よく雨水を流水口３に案内することができる。また、補強リブ７と流水口３が交差することがあっても、補強リブ７は天板部２ａの裏面に設けられているため、補強リブ７の上面は流水口３の下面に位置することになり、流水口３への雨水流入の妨げにならない。なお、図の例では、天板部２ａの長手方向の裏面に沿った位置にも補強リブ１０が配設されている。
【００２２】
図２に示すように、側板部２ｂには雨水を流入させるための貫通孔１１が穿設されている。この貫通孔１１は、蓋装置１を設置した周囲の舗装が透水性の場合に、透水した雨水を取り込むためのものである。また、側板部２ｂには舗装を掘削して埋め戻す際の目印としての段差部１２が設けられている。この段差部１２の代わりに線を描いてもよい。
【００２３】
上述したような蓋装置１を側溝に用いると、図３に示すように、天板部２ａの上面が路面に露出される。この設置方法は、以下に示すようにして行われる。まず、上側が開放された断面Ｕ字形状であって、地中に埋設された長尺の側溝本体１３に対し、アンカーボルト１６を設置する。具体的には、アンカーボルト１６は、側溝本体１３を形成する両側の側壁１３ａの上部にそれぞれ形成された孔に埋め込んで設置される。これにより、アンカーボルト１６は側壁１３ａの上端面からそれぞれ上方に延びるように立設される。次に、アンカーボルト１６のそれぞれに高さ調整部材１４を螺合する。高さ調整部材１４は、アンカーボルト１６に沿って螺合しながら上下動可能である。フランジ部２ｃに設けられたマーク１８（図１参照）を目印としてフランジ２ｃを貫通する外側の４箇所の挿通孔１９（図１参照）にアンカーボルト１６を挿通し、ナット２０にて固定する。このとき、高さ調整部材１４により、フランジ部２ｃの高さを調節することができる。したがって、蓋材２を傾かせることができるので、流路の傾斜が道路の傾斜と異なる場合に、道路の傾斜にあわせて天板部２ａを傾かせる傾斜施工を容易に行うことができる。そして、フランジ部２ｃと側壁１３ａの上端面との間にモルタル１５を充填する。この充填時、モルタル１５が漏れないように側壁１３ａの内側は内板１７で押さえられ、外側は外板（不図示）で押さえられる。
【００２４】
モルタル固化後、まず土砂２１を埋め戻し、その上側をアスファルト等の舗装材２２で舗装する。このような蓋装置１を有する側溝２３は、側溝本体１３が地中に埋設され、路面に露出しているのは側溝本体１３に一体に固定された蓋材２の天板部２ａであるため、車両の通行によってガタつきが発生することを抑制することができる。
【符号の説明】
【００２５】
１ 蓋装置
２ 蓋材
２ａ 天板部
２ｂ 側板部
２ｃ フランジ部
２ｄ 外縁枠
３ 流水口
４ 凸部
５ 流水口列
６ 凸部列
７ 補強リブ
８ 内側面
９ 窪み部
１０ 補強リブ
１１ 貫通孔
１２ 段差部
１３ 側溝本体
１３ａ 側壁
１４ 高さ調整部材
１５ モルタル
１６ アンカーボルト
１７ 内板
１８ マーク
１９ 挿通孔
２０ ナット
２１ 土砂
２２ 舗装材
２３ 側溝
【特許請求の範囲】
【請求項１】
地中に埋設される側溝本体の上側開口部を覆うべき蓋装置であって、
断面が両端に向けて下り傾斜となる略円弧状に形成され、平面視が略矩形形状をなし、且つ路面に露出する天板部と、
前記天板部の外周縁に設けられ、内側面が下方に傾斜して前記天板部に連なる外縁枠とを含む、蓋材と、
前記天板部を貫通する長尺の流水口が前記天板部の長手方向に沿って断続的に複数配して列として穿設され、少なくとも一の列が前記外縁枠の前記内側面の下端に沿って配された流水口列と、
前記天板部及び前記外縁枠の前記内側面に設けられ、前記流水口に沿って配された凸部が前記天板部の長手方向に沿って断続的に複数配して列として形成された凸部列と
を備えたことを特徴とする蓋装置。
【請求項２】
前記凸部列における前記凸部と隣接する前記凸部列における前記凸部とは前記天板部の長手方向においてずれて配置されていることを特徴とする請求項１に記載の蓋装置。
【請求項３】
前記凸部上面の高さが前記外縁枠上面と同一高さに形成されていることを特徴とする請求項１又は２に記載の蓋装置。
【請求項４】
前記流水口の開口幅は、前記天板部の外縁枠側が最も大きいことを特徴とする請求項１〜３のいずれかに記載の蓋装置。
【請求項５】
前記天板部の裏面に設けられ、前記天板部の短手方向に沿って配された補強リブと、
該補強リブが配された位置における前記天板部の表面に設けられ、前記流水口に連通する窪み部と
をさらに備えたことを特徴とする請求項１〜４のいずれかに記載の蓋装置。
【請求項１】
地中に埋設される側溝本体の上側開口部を覆うべき蓋装置であって、
断面が両端に向けて下り傾斜となる略円弧状に形成され、平面視が略矩形形状をなし、且つ路面に露出する天板部と、
前記天板部の外周縁に設けられ、内側面が下方に傾斜して前記天板部に連なる外縁枠とを含む、蓋材と、
前記天板部を貫通する長尺の流水口が前記天板部の長手方向に沿って断続的に複数配して列として穿設され、少なくとも一の列が前記外縁枠の前記内側面の下端に沿って配された流水口列と、
前記天板部及び前記外縁枠の前記内側面に設けられ、前記流水口に沿って配された凸部が前記天板部の長手方向に沿って断続的に複数配して列として形成された凸部列と
を備えたことを特徴とする蓋装置。
【請求項２】
前記凸部列における前記凸部と隣接する前記凸部列における前記凸部とは前記天板部の長手方向においてずれて配置されていることを特徴とする請求項１に記載の蓋装置。
【請求項３】
前記凸部上面の高さが前記外縁枠上面と同一高さに形成されていることを特徴とする請求項１又は２に記載の蓋装置。
【請求項４】
前記流水口の開口幅は、前記天板部の外縁枠側が最も大きいことを特徴とする請求項１〜３のいずれかに記載の蓋装置。
【請求項５】
前記天板部の裏面に設けられ、前記天板部の短手方向に沿って配された補強リブと、
該補強リブが配された位置における前記天板部の表面に設けられ、前記流水口に連通する窪み部と
をさらに備えたことを特徴とする請求項１〜４のいずれかに記載の蓋装置。
【図１】
【図２】
【図３】
【図２】
【図３】
【公開番号】特開２０１２−１２８２５（Ｐ２０１２−１２８２５Ａ）
【公開日】平成２４年１月１９日（２０１２．１．１９）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２０１０−１４９９５１（Ｐ２０１０−１４９９５１）
【出願日】平成２２年６月３０日（２０１０．６．３０）
【出願人】（０００２２７５９３）日之出水道機器株式会社 (21)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２４年１月１９日（２０１２．１．１９）
【国際特許分類】
【出願日】平成２２年６月３０日（２０１０．６．３０）
【出願人】（０００２２７５９３）日之出水道機器株式会社 (21)
【Ｆターム（参考）】
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