説明

薄いウェブ

【課題】フィルムを貫通する複数の通路を有する薄いウェブの実施形態の提供。
【解決手段】通路は実質的に閉鎖位置にあるが、雌側からフィルムを通して雄側に流れることができるような開放位置になることが可能である。ある使用法において、雌側に雄側よりも大きい圧力がかかると、通路を開くことができる。また、実施形態には、プラスチックフィルムを貫通する複数の三次元開口部を含む薄いウェブが含まれる。開口部は側壁により規定された実質的に閉じた通路を形成し、通路はフィルムの雌側に対して70°よりも大きい角度で配置される。薄いウェブは、例えばポリオレフィンもしくは他の好適な材料を含むプラスチックフィルムまたは熱可塑性フィルムであってよい。ポリオレフィンは、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、低密度ポリエチレン、または高密度ポリエチレンの少なくとも一つを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄いウェブ(web)、および薄いウェブを形成する方法に関する。薄いウェブは、一つの方向において他の方向よりも実質的により大量のフィルムを通した液体の流れを実現することができる優先流動弁として構成された開口部を含む。
【背景技術】
【0002】
真空形成されたフィルムは、通常は、液体および気体がフィルムを通過することを可能にする複数の開口部を有する。前記フィルムは、例えば、婦人用衛生製品、おむつ、失禁用製品、病院用パッド、寝具、通気性衣類および/または寝袋の裏当てなどの使い捨て製品に組み込まれる。前記製品は、通常は皮膚に隣接して使用する表面ウェブおよび吸収剤層を含む複合構造である。紙おむつを製造するための開口を有するフィルムの例は、米国特許第3,814,101号に開示されており、この文献を参照により本明細書に組み入れる。
【0003】
薄いウェブまたはプラスチックフィルムに開口を形成する一つの方法は、例えば米国特許第3,054,148号(本文献を参照により本明細書に組み入れる)に開示される、真空薄膜形成である。この方法において、プラスチックフィルムを複数の穴を有する回転するスクリーン上に重ねる。フィルムはスクリーンが回転すると真空室の上を通過し、プラスチックフィルムの両側で圧力差が作り出される。圧力差のために、フィルムはスクリーンの穴の部分で破裂して開口を形成する。スクリーンの穴はこの過程でフィルム上に移される特定のパターンまたは形となっている。この過程において、加熱されたフィルムはスクリーンにより支持されて、穴の開いたスクリーンの下側を真空にする。スクリーンの下の真空の方向にフィルムが引き込まれて穴ができ、それによりフィルム中に先が細くなった毛細管を形成する。
【0004】
開口を含むプラスチックフィルムを調製するための多くの方法および装置が開発されており、その例には、米国特許第4,155,693号;第4,252,516号;第3,709,647号;第4,151,240号;第4,319,868号;第4,388,056号;第4,950,511号;第4,948,638号;第5,614,283号;および第5,887,543号が含まれる。これらの文献を参照により本明細書に組み入れる。
【0005】
従来の真空薄膜形成法は、ポリエチレンまたは他のポリオレフィンなどの溶融した高分子材料を金型を通して押し出して熱い溶融したウェブを形成すること、または予め形成された薄いウェブまたはプラスチックフィルムをスクリーン上に重ねることを含む。熱い溶融したポリマーのウェブを、固定された真空ドラム上に取り付けられた回転するスクリーンに重ねる。真空ドラムは、プラスチックのウェブがスクリーンまたは成形要素に当たる領域の下に、軸方向の溝およびその内側表面の長さに沿って縦方向に伸びる一組のシールを有する。スクリーンの内側を真空にして、スクリーンの穴を通してフィルムに開口を形成する。開口が形成された後、フィルムを通して流れる空気によりフィルムを冷却し、開口部の形を固定する。
【0006】
スクリーンの物理的な形状がフィルム上の開口部の幾何学的パターンを決定し、その美的、感触的および機械的特性に寄与する。米国特許第5,897,543号;第5,718,928号;第5,591,510号;および第5,562,932号(これらすべての文献を参照により本明細書に組み入れる)には、フィルム、スクリーン、およびフィルムを貫通する毛細管を形成する開口部を有し、前記毛細管がフィルムの表面に垂直な平面に対して約5°〜約60°の角度で配置されるフィルムを形成する方法が記載されている。そのため、フィルムは、毛細管がフィルムの表面に垂直である場合と比較して吸収材料が使用者に見えにくい遮蔽特性を有する。
【発明の開示】
【0007】
優先流動弁として作用する開口部を含む薄いウェブの必要性が存在する。ウェブを通しての液体の一つの方向の流れに対して、同じ液体の反対方向の流れと比較して極めて大きい抵抗を与える薄いウェブの必要性が存在する。
【0008】
発明の概要
薄いウェブ(膜)の実施形態は2つの区域を含む容器の分離器として有用である。前記容器は新鮮な果実をその果汁から分離する場合のように、固体から液体を分離するために使用することができる。容器の一方の区域に入った果実から果汁が放出されると、果汁は、優先流動弁を有する薄いウェブを含む分離器を通して容器のもう一方の区域に流れ込むことができる。次に、果汁は薄いウェブ中の優先流動弁により実質的にもう一方の区域にトラップされる。
【0009】
実施形態には、フィルムを貫通する複数の通路を含み、前記通路が雄側と雌側を有する薄いウェブが含まれる。通路は実質的に閉鎖位置にあり、雌側からフィルムを通して雄側に流れることができるような開放位置になることが可能である。ある使用法において、雌側に雄側よりも大きい圧力がかかると通路を開くことができる。さらに、逆流の程度がより低い必要がある別の実施形態において、雄側に雌側よりも大きい圧力がかかると通路を実質的に閉鎖位置に保持することが可能である。この使用法における逆流は、例えば、放出された果汁の入った容器の区域から果実の入った区域への、望まれない方向の流れである。
【0010】
また、実施形態には、プラスチックフィルムを貫通する複数の三次元開口部を含む薄いウェブが含まれる。開口部は側壁により規定された実質的に閉じた通路を形成し、通路はフィルムの雌側に対して70°よりも大きい角度で配置される。前記実施形態において、側壁は開口部を実質的に閉鎖位置に保つためのフラップとして作用する。フラップは圧力または重さに反応して開口部を所望の通りに開いたりさらに密閉したりすることができる。
【0011】
薄いウェブは例えばポリオレフィンもしくは他の好適な材料を含むプラスチックフィルムまたは熱可塑性フィルムである。ポリオレフィンは、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、低密度ポリエチレン、または高密度ポリエチレンの少なくとも一つを含む。
【0012】
薄いウェブの実施形態の詳細は下記の詳細な説明および添付する図面において説明する。本発明の他の特徴および態様は記載される特徴および非限定的な実施例の理解に基づいて明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
詳細な説明
本発明は通路を含む薄いウェブに関する。通路は、例えば優先流動弁を含むことにより、一つの方向の流れが他の方向の流れよりもはるかに大量になるように流れを制限することができる。一つの実施形態において、薄いウェブはフィルムを貫通する複数の通路を含む。通路は雄側と雌側を有し、通常は実質的に閉鎖位置にあるが、雌側からフィルムを通して雄側に流れることができるような開放位置になることが可能である。前記通路は薄いウェブにおいて優先流動弁として作用し得る。
【0014】
薄いウェブの実施形態は、2つの区域を含む容器における分離器として有用である。前記容器は、新鮮な果実をその果汁から分離して液体が果実の入った区域に実質的に戻ることを防止する場合のように、固体から液体を分離するために使用することができる。例えば、果実が容器に入って棚または冷蔵庫に置かれている時に、果汁が果実から放出される可能性がある。図1に示すように、ハニーデューメロンのざく切り1は、加工後にざく切り1から放出された果汁2と直接接触している。果汁または他の液体の中に置かれた果実は見た目の新鮮さおよび製品の質感が損なわれる傾向がある。さらに、果汁は望まれない微生物またはカビを含有する可能性またはそれらの望まれない増殖を引き起こす可能性がある。この果汁は果実を貯蔵した後に放出されたので、果実は低温殺菌をされていないし、または前記の望まれない微生物もしくはカビの増殖を防止する他の手段を提供されていない。
【0015】
薄いウェブの実施形態は、通常は閉鎖位置にある通路を含むが、雌側に雄側よりも大きい圧力がかかると前記通路を開くことが可能である。また、通路の実施形態は、雄側に雌側よりも大きい圧力がかかる場合には閉鎖位置を保持することができる。圧力差は、無生物物体、生きている生物体、何らかの固体、液体の重さおよび/または一方または他方の側への気体の圧力の結果生じ得る。例えば、より大きい圧力は、果実、野菜、肉製品、昆虫、または水、果汁、野菜汁、肉製品汁、油などの液体、ならびに他の物質により引き起こされ得る。一つの実施形態において、薄いウェブは、果実の容器の中で、果実を貯蔵する時に放出される果汁から果実を分離しておくために使用される。図2に示すように、容器3は下の区域4および上の区域5を含み、これらは、通常は閉鎖位置にある通路を含むが、雌側に雄側よりも大きい圧力がかかると通路を開くことができる薄いウェブ6の実施形態により分離されている。前記実施形態において、果実7は容器3の上の区域5で、薄いウェブ6の雌側の上に置かれている。薄いウェブ6上の果実7の重さにより通路がさらに開き、果実から放出された液体はすべてウェブ6を通して容器3の下の区域4の中に流れることが可能になる。容器3の下の区域4は貯蔵の間に果実7から放出される可能性のあるすべての液体を入れることができる大きさである。放出される液体の量は果実の種類、貯蔵温度、果実の熟度、ならびに他のファクターに依存する。取り扱い、輸送、給仕または他の行為により容器を動かしたり、傾けたり、落としたり、乱暴に押したりしても、薄いウェブ6上の優先流動弁により、果実7に接触する液体の量は実質的に低減される。
【0016】
しかしながら、このウェブ6がない場合、容器3を動かしたり、傾けたり、落としたり、乱暴に押したりすると、底の区域4の中の果汁が上の区域5の中の果実と接触して、果実への微生物またはカビの移動を引き起こし得る。薄いウェブ6の実施形態は下の区域4から上の区域5への果汁の移動および果実7の汚染の可能性を著しく減少させる。図2において、新鮮な切ったカンタロープメロンのざく切り7を、貯蔵の間にカンタロープメロン5から放出された果汁の上方に保持する。容器3は本発明の薄いウェブ6の実施形態を含む分離層を含む。カンタロープメロンは、果汁または他の液体に接触していない場合に、より長い期間にわたって、より新鮮でより安全に消費できる状態を保つ。
【0017】
図3a、3b、および3cは、フィルムの雌側に対して70°よりも大きい角度で配置された通路を含む薄いウェブの実施形態の一部を表す。図3aは薄いウェブ10の雄側15と雌側16への圧力が実質的に等しい薄いウェブ10の実施形態を表す。通路12の側壁13が実質的に閉鎖位置にあるフラップ14を形成する。薄いウェブの実施形態は、圧力差またはフィルム上の物体の重さなどの力によりウェブがゆがんだ後にフラップ14が実質的に元の位置になるようにウェブを戻す記憶を有する。もちろん、十分に強い力がフィルムに加えられた場合には、永久的な変形が起こる。図3bは、薄いウェブ10の雄側に雌側16よりも大きい圧力が存在する薄いウェブ10の実施形態の一部を表す。この圧力差は通路12を、図3aにおける通路12よりも実質的にさらに閉鎖位置に保持する。図3cは薄いウェブ10の雌側に雄側よりも大きい圧力が存在する薄いウェブ10の実施形態の一部を表す。この方向の圧力差は、図3bの方向と反対に、通路を少なくとも部分的に開いて、液体または気体がより容易にウェブを通過することができるように作用する。
【0018】
図4a、4b、4c、および4dは、三次元開口部の雌側がスリットの形であることを含む薄いウェブの実施形態の一部を表す。図4aはスリットを示す薄いウェブの実施形態の写真である。図4bは通路22の雌側26がスリットの形であることを含み、薄いウェブ20の雄側25と雌側26への圧力が実質的に等しい、薄いウェブ20の実施形態の一部を表す。通路22の大部分が実質的に閉鎖位置にあるが、雌側からフィルムを通して雄側への優先流動を可能にする開放位置になることが可能である。通路22は、圧力差またはフィルムの表面上の物体または液体の重さによる変形などの薄いウェブの変形により開放位置になることが可能である。好ましくは、ウェブ20の通路22は、ウェブの雌側26上に、より高い圧力をかけることまたは物体または液体を載せることにより開放位置になることができる。図4cは、薄いウェブ20の雄側25に雌側26よりも大きい圧力が存在する薄いウェブ20の実施形態を表す。この実施形態において、雄側25へのより高い圧力は通路22を実質的に閉鎖位置に保持する傾向がある。図4dは、薄いウェブ20の雌側26に雄側25よりも大きい圧力が存在する薄いウェブ20の実施形態の一部を表す。雌側26へのより高い圧力は、通路をより大きく開くことにより、液体または他の物体が通路22を通過することを可能にする。
【0019】
薄いウェブにおける通路はいかなる所望の形を有してもよい。開口部は通常は略円であり、そのため、形成される通路は略円柱または円錐形である。しかしながら、開口部および通路の形は、スリット、卵形、楕円、ネコの目、レンズ、半円の末端を有する長方形などのいかなる所望の形であってもよく、他の形を使用してもよい。さらに、三角形、長方形、正方形、六角形または五角形などの多辺形も、通路を形成するための開口部として利用することができる。所望に応じて、開口部の形はフィルムの製造を容易にするために丸みを帯びた角を有してもよい。開口部はいかなる大きさであってもよく、いかなる所望の縦横比(長径と短径の比)を有してもよいが、ある実施形態において、開口部の縦横比は4:1〜2:1の範囲であると有利である。より特定的には、ネコの目、レンズ、卵形または半円の末端を有する長方形を含むいくつかの実施形態において、開口部の縦横比は約3:1であると有利である。開口部がスリットである実施形態において、縦横比8は4:1よりも大きい。優先流動弁の実施形態の通路の別の特徴は、通路が、薄いウェブの雄側の開口部と比較して、雌側でより大きい開口部を有することである。雌側のより大きい開口部は、液体の雌側から雄側への優先流動を可能にする。
【0020】
ある通路の実施形態において、フラップを含むことも好ましい。通路がフィルムの雌側に対して70°よりも大きい角度で配置されている場合、通路の側壁をフラップであると見なすことができる。フラップを有する通路は、スクリーンの開口部の形から直接形成してもよく、またはスクリーンの形状、およびフラップを加熱したニップなどのニップの中で折り重ねることもしくはウェブを巻き取りロール上に硬く巻き取ることのような補助的処理により形成してもよい。前記の形状は薄いウェブに形成される優先流動弁の例である。
【0021】
薄いウェブはプラスチックまたはポリマーを含み、プラスチックフィルムであってよい。プラスチックフィルムは、プラスチックまたは熱可塑性フィルム、例えば熱可塑性ポリオレフィンなどのいかなる好適な材料であってもよい。ポリオレフィンは、ポリエチレン、ポリプロピレン、低密度ポリエチレン、または高密度ポリエチレンの少なくとも一つを含む。
【0022】
図5aおよび5bはスリットの形である開口部の実施形態の雄側から見た図を表す。図5aは、流れまたは雌側からの圧力により開放位置にあるスリット50を、平面図および断面図の両方で示す。図5bは、プラスチックフィルムの両方の側で圧力が実質的に等しい、またはフィルムの雄側で圧力がより高いことにより閉鎖位置にあるスリット50を、平面図および断面図の両方で示す。
【0023】
図6は、ネコの目またはレンズ形の開口部を含むプラスチックフィルムの実施形態の一部を雌側から見た平面図を表す。実施形態はスクリーンを設計するために使用することができる一つのパターンを示し、図示した通り、パターン配列が、配列中に入れた正方形により決定づけられている。正方形はいかなる大きさであってもよく、図6の実施形態においては、正方形は62.5ミルである。所望に応じて、付加的なパターンまたは間隔を使用してよい。パターンおよび間隔は薄いウェブの開口面積に影響を与える。
【0024】
図7aおよび7bはプラスチックフィルムの実施形態の一部を表し、図7aは楕円形または半円の末端を有する長方形の開口部を含むプラスチックフィルムの一部の雌側から見た平面図を表す。図7aの実施形態において、開口部は、幅0.06”および幅0.192”である。図示した通り、開口部は0.125”の間隔をあける。図7bは、雌側から見た、楕円形または半円の末端を有する長方形の開口部を有するスクリーンを形成する方法の実施形態を示す。エンドミルを一点でスクリーン材料に挿入し、材料の中を水平に移動させて所望の形の開口部を形成してもよく、またはスレッドミルを垂直に動かして材料に入れることと出すことを数回繰り返して開口部を形成してもよい。
【0025】
図8aはフィルムの表面上の三次元構造に30°および45°でフィルムの切断面を有するフィルムの切断面を製造することができるスクリーンを表す。図8bは、プラスチックフィルムに開口部を形成するためのスクリーンにおける開口部を示すスクリーンの断面図を表す。
【0026】
図9および10を参照して、薄いウェブを形成する方法に使用する装置の実施形態は、回転円筒状ドラム90を含む。ドラム90の円筒表面93は、ドラム90の外側からドラム90の内側に気体または液体が流れることを可能にする開口部を含む。スクリーン94はドラム90の表面93上に取り付けられ、ドラム90と共に回転する。
【0027】
スクリーン94は端からドラム90上を滑らせることができる円筒であってよく、またはスクリーン94をドラム90の周りに巻いた後、好適な方法により固定してもよい。種々の形のスクリーンを本発明の実施形態に使用することができ、その一部は米国特許第5,897,543号に記載されており、前記文献を全体として参照により本明細書に組み入れる。図9に示す通り、ドラム90の真空室95内を真空にして、ドラム90の内側と外側に圧力差を作る。プラスチックウェブまたは溶融したプラスチックフィルム98Aをスクリーン94上に重ねると、圧力差によりプラスチックフィルム97がスクリーンの開口部の中に向かって変形し、同じ開口部がフィルムに形成される。
【0028】
真空室95はドラムの中に位置し、その外周の限られた部分でドラムの表面に開口している。真空室95を固定するために2つのプレート95Aを使用してもよい。真空室95の前縁および後縁の効果的な密閉を提供するために、通常はプレート95Aにシール96を提供する。シールは金属、HDPE、ゴムまたは他の好適な材料により作られる。プレート95Aはドラムの回転方向に対して静止しており、ドラム90において固定されたまたは静止した位置に留まる。そのため、真空室95はドラム90の周囲の開口部以外では密閉されており、好適な方法により室に接続されたポンプ装置により真空または減圧にすることができる。
【0029】
押出機101はドラム90に隣接して位置し、熱いウェブ97をスクリーン94上に押し出すために使用するダイを有する。スクリーン94上に押し出す熱可塑性フィルムとしてポリオレフィンを使用することができる。ウェブ97は、ドラム90と共に回転しているスクリーン94と接触する。回転するスクリーン94はウェブ97を真空スロット95の上に運び、それによりウェブまたは熱可塑性フィルムがスクリーン14の開口部に引き込まれ、それにより開口部が作られる。
【0030】
場合により、真空形成されたフィルム98が、ロール99から別のロールおよびコロナ処理ロール102へと送られる。コロナ処理ロール102は、通常、エポキシ、フッ素化ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、またはポリエステルなどの好適な誘電材料により被覆される。しかしながら、フィルムを処理するために、誘電性の被覆を付けた電極を用いて、被覆のないロールによる処理を実施することもできる。電極またはコロナバー103を処理ロール102の約1/16インチ上方に、処理ロール102に平行につるす。変圧器およびコロナ処理電源104によりコロナバー103に電圧を加える。シートは、テンションロール105を通って第2のテンションロール106、次いで巻き取りロール107へと送られる。コロナ処理操作はウェブを形成する方法の実施形態に必要とされていないことが理解されるべきである。さらに、ウェブがインライン処理中に最終用途に組み込まれる場合には、必ずしもウェブを巻き取りロール107に巻き取る必要はない。しかしながら、ウェブを巻き取りロールに堅く巻き取ることにより、優先流動弁がより閉鎖位置へと強制され、より良い閉鎖位置の記憶を有するウェブを製造することができる。そこで、ウェブ98を巻き取りロール107に堅く巻き取ってもよい。フィルムを堅く巻き取るとフィルムの通路またはフラップをさらに閉鎖位置へと曲げることができる。
【0031】
本発明の穴の開いたプラスチックフィルムを形成するために他の形成法を利用することができることに留意すべきである。米国特許第4,878,825号に示される方法は、真空スロットの領域に形成スクリーンのための支持体を使用するが、この方法は本発明の穴の開いたフィルムを形成するために特に有効である。米国特許第4,839,216号に示された方法は高圧の液体流を利用してプラスチックフィルムに穴を開けるが、この方法も本発明に使用することができる。米国特許第4,878,825号および第4,839,216号の開示を、本発明の穴を形成するための別法として、参照により本出願に組み入れる。
【0032】
プラスチックフィルムの実施形態は、開口部を通る液体の流れを一方向に制限するように作用する角度で配置された毛細管を有する。したがって、フィルムは、一方向に通過し、一方向に通過することを制限されている液体が、逆方向にプラスチックフィルムを通過することを制限されるような特徴を有する。フィルムの通過の制限の程度は、フィルム中の毛細管の角度、その長さ、および毛細管の形の先が細くなる程度により影響される。本発明のプラスチックフィルムは、飛び散ることにより通路を通過する液体の量を減少させる。
【0033】
図12a、12b、12c、および12dは、薄いウェブを形成する方法に使用されるスクリーンの実施形態を表す。図12aは、段階的に先が細くなる形状を有する開口部を含むスクリーンの断面図を表す。開口部の段階的に先が細くなる形状は、図12aにおいて対称で等しい段階を有することが示されている。これらの特性のいずれも必要ではなく、開口部の断面は非対称であっても所望の段階の大きさを有してもよい。図12bは曲線状に先の細くなった形状を有する開口部を含むスクリーンの断面図を表す。曲線状に先の細くなった開口部の壁の形の実施形態は、円、楕円、放物線、脊椎湾曲、または他の曲線の一部を含むいかなる曲線形状であってもよい。曲線の一部を段階的なタイプの直線的な形状と組み合わせて混成曲線を形成してもよく、または凸面もしくは凹面であってもよい。図12cは、先が細くなっていないブロック形状の実施形態を示す。図12dは円錐状の壁の形状を有するスクリーンの断面図を表す。円錐の形状は、先端を切り取った円錐(図12dに示すもの)、ロート形(円錐形状とブロック形状を組み合わせたものなど)、または先端からの円錐形状を含み得る。説明した形状は単なる例であって、薄いウェブの実施形態において変更してよい。
【0034】
図9および10に示された本発明の実施形態に追加の段階を組み入れてもよい。図11に示すように、方法はさらに、真空形成されたフィルム98が少なくとも一つの加熱ローラー111を含むニップ110を通過する段階を含んでもよい。第2のローラー112は加熱していなくてもよい。この段階により、弁のフラップ113または通路114は、より永続的な閉鎖位置の記憶を獲得する。フィルム98の記憶は、圧力差または他の推進力が解除された後に、通路114および114Aを閉鎖位置に戻す働きをする。
【0035】
巻き取りロール107におけるフィルム98の通路の圧縮も通路114の記憶位置に影響を与えるが、圧縮はプラスチックの中でずれが起こって通路が閉じた記憶位置に固定されることに依存している。加熱ローラー111および112のニップ110において熱を適用することにより、ポリマーが軟化して、ローラーの間でまたは他の手段により与えられた圧力に対してより効果的に反応して、新しい構造的記憶位置113Aおよび114Aを取り入れる。
【0036】
プラスチックフィルムを形成する方法の一つの実施形態において、フィルム98は、フラップ113または通路114の末端がニップ110に最後に入るように、フラップ113または通路114がニップ110から離れる方向を指して加熱ローラー111のニップ110を通過する。前記の方向でニップ110に入ることにより、フラップ113または通路114は効果的にフィルム98の方向に押し下げられ、実質的にフラップ113Aまたは通路114Aの閉鎖位置になる。これにより、完成した通路の角度が、真空形成過程においてスクリーンにより形成されたフィルムの最初の角度に関わらず、70°よりも大きくなる。
【実施例】
【0037】
(実施例1)
ねじ式の蓋を有するプラスチック瓶を改変して可逆的流動容器を提供した。一枚のプラスチックフィルムを蓋にねじ込んだ。ビーカーに150mlの線まで水道水を入れた。水を装置に注ぎ入れた時にストップウォッチをスタートする。水が100ml流出したことを示す線まで流れた時にストップウォッチを止め、時間を秒で記録した。5つの異なるフィルムサンプルの領域を試験して平均を求めた。
【0038】
流出口は直径1.75インチまたは面積2.4平方インチである。mlを液量オンスに変換することにより、上記の平均流速を計算する。
【表1】

【0039】
(実施例2)
蛇口ドリップ試験:蛇口を10秒間に50ml(5ml/秒)で流れるように固定した。優先流動弁を有するフィルムを、流れる側および閉じた側の位置でビーカー上に置いた。ビーカーを、弁の角度が南を指すように蛇口の下に置いた。ビーカーを西におよそ5°傾けて、水がフィルム層を透過しない場合には流れ落ちることができるようにした。フィルムで覆ったビーカーを水流に10秒間曝した。
【表2】

【0040】
本発明の多くの実施形態を記載した。それにも関わらず、本発明の範囲を逸脱することなく、種々の変更をおこなってよいことが理解されるであろう。したがって、他の実施形態は、特許請求の範囲に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】図1は、メロン果汁中に置かれたハニーデューメロンの切片を含む容器の写真である。
【図2】図2は、カンタロープメロン果汁の上方でカンタロープメロンを保持する分離層を含む容器の写真である。
【図3】図3a、3b、および3cは、フィルムの雌側に対して70°よりも大きい角度で配置された通路を含むプラスチックフィルムの実施形態の一部を表す図であり;aはプラスチックフィルムの雄側および雌側の圧力が実質的に等しいプラスチックフィルムの実施形態を表す図であり;bは、プラスチックフィルムの雄側に雌側よりも大きい圧力が存在し、それにより通路が実質的に閉鎖位置に保持されているプラスチックフィルムの実施形態を表す図であり;cは、プラスチックフィルムの雌側に雄側よりも大きい圧力が存在し、それにより通路が開いているプラスチックフィルムの実施形態を表す図である。
【図4−1】図4は、三次元開口部の雌側がスリットの形であることを含むプラスチックフィルムの実施形態の一部を示す図であり;図4aは、スリットを示す実施形態の写真である。
【図4−2】図4は、三次元開口部の雌側がスリットの形であることを含むプラスチックフィルムの実施形態の一部を示す図であり;図4bはプラスチックフィルムの雄側および雌側の圧力が実質的に同じであるプラスチックフィルムの実施形態を表す図であり;図4cは、プラスチックフィルムの雄側に雌側よりも大きい圧力が存在し、それにより通路が実質的に閉鎖位置に保持されているプラスチックフィルムの実施形態を表す図であり;図4dは、プラスチックフィルムの雌側に雄側よりも大きい圧力が存在し、それにより通路が開いているプラスチックフィルムの実施形態を表す図である。
【図5】図5aおよび5bは、スリットの形の開口部を含むプラスチックフィルムの実施形態の雌側から見た図であり;図5aは、雌側の流れからの圧力下で開放位置にあるスリットを示す図であり;図5bは、圧力がプラスチックフィルムの両側で実質的に等しいために閉鎖位置にあるスリットを示す図である。
【図6−1】図6aは、ネコの目またはレンズ型の開口部を含むプラスチックフィルムの実施形態の一部の雌側から見た平面図である。
【図6−2】図6bは、ネコの目またはレンズ型の開口部を含むプラスチックフィルムの実施形態の一部の雌側から見た平面図である。
【図7】図7aおよび7bは、プラスチックフィルムの実施形態の一部を表す図であり;図7aは、楕円形または半円の末端を有する長方形の開口部を含むプラスチックフィルムの一部の雌側から見た平面図であり;図7bは、楕円形または半円の末端を有する長方形の開口部を有するスクリーンを形成する方法の実施形態を表す雌側から見た図である。
【図8】図8aは、フィルムの表面上の三次元構造に30°および45°の角度を有するフィルムの断面を有するフィルムの断面を製造することができるスクリーンを表す図であり;図8bは、プラスチックフィルムに開口部を形成するためのスクリーンにおける開口部を示すスクリーンの断面図である。
【図9】図9は薄いウェブを形成する方法の実施形態の工程図を表す。優先弁はスクリーンにより直接形成されるか、またはスクリーンおよび巻き取りロール上にフィルムを堅く巻き取ることの両方により形成される。
【図10】図10は、図9に示された実施形態における真空ドラムおよびスクリーンの詳細である。
【図11】図11は、薄いウェブを加熱したニップに通すことにより優先弁が修正される任意の段階の工程図を表す。
【図12】図12a、12b、12c、および12dは、薄いウェブを形成する方法において使用することができるスクリーンの種々の実施形態を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルムを貫通する複数の通路であって、前記通路が雄側および雌側を有し、前記通路が実質的に閉鎖位置にあり、雌側からフィルムを通って雄側に流れることができるような開放位置になることが可能である、前記通路を含む薄いウェブ。
【請求項2】
雌側に雄側よりも大きい圧力がかかると通路を開くことができ、雄側に雌側よりも大きい圧力がかかると通路を実質的に閉鎖位置に保持することができる、請求項1に記載の薄いウェブ。
【請求項3】
より大きい圧力が、固体の重さ、液体の重さ、または気体の圧力の少なくとも一つにより引き起こされる、請求項2に記載の薄いウェブ。
【請求項4】
より大きい圧力が固体の重さにより引き起こされ、前記固体が果実、野菜、肉製品、または昆虫である、請求項3に記載の薄いウェブ。
【請求項5】
より大きい圧力が液体の重さにより引き起こされ、前記液体が、水、果汁、野菜汁、肉製品汁、または油の少なくとも一つを含む、請求項4に記載の薄いウェブ。
【請求項6】
少なくとも一部の三次元開口部の雌側が、略楕円形、略円形、または半円の末端を有する略長方形の少なくとも一つである、請求項1に記載の薄いウェブ。
【請求項7】
開口部が長径および短径を有し、長径の短径に対する比が4:1〜2:1である、請求項6に記載の薄いウェブ。
【請求項8】
長径の短径に対する比が約3:1である、請求項7に記載の薄いウェブ。
【請求項9】
少なくとも一部の三次元開口部の雌側がスリットの形である、請求項1に記載の薄いウェブ。
【請求項10】
少なくとも一部の三次元開口部の雌側が、ネコの目またはレンズの形である、請求項1に記載の薄いウェブ。
【請求項11】
開口部が長径および短径を有し、長径の短径に対する比が4:1〜2:1である、請求項10に記載の薄いウェブ。
【請求項12】
長径の短径に対する比が約3:1である、請求項11に記載の薄いウェブ。
【請求項13】
ネコの目またはレンズの少なくとも一つの尖った末端が丸みを帯びている、請求項10に記載の薄いウェブ。
【請求項14】
ウェブが、ポリオレフィンを含むプラスチックフィルムまたは熱可塑性フィルムの一つである、請求項1に記載の薄いウェブ。
【請求項15】
ポリオレフィンが、ポリエチレン、ポリプロピレン、低密度ポリエチレン、または高密度ポリエチレンの少なくとも一つを含む、請求項14に記載の薄いウェブ。
【請求項16】
雌側の開口部が雄側の開口部よりも大きい、請求項1に記載の薄いウェブ。
【請求項17】
通路の側壁の少なくとも一部が、通路を実質的に閉鎖位置に維持するためのフラップとして作用する、請求項1に記載の薄いウェブ。
【請求項18】
雌側の開口部が雄側の開口部よりも大きい、請求項17に記載の薄いウェブ。
【請求項19】
プラスチックフィルムを貫通する複数の三次元開口部であって、前記開口部が側壁により規定された実質的に閉じた通路を形成し、前記通路がフィルムの雌側に対して70°よりも大きい角度で配置される、前記開口部を含む薄いウェブ。
【請求項20】
少なくとも一部の三次元開口部の雌側が、略楕円形、略円形、または半円の末端を有する略長方形の少なくとも一つである、請求項19に記載の薄いウェブ。
【請求項21】
開口部が長径および短径を有し、長径の短径に対する比が4:1〜2:1である、請求項20に記載の薄いウェブ。
【請求項22】
長径の短径に対する比が約3:1である、請求項21に記載の薄いウェブ。
【請求項23】
少なくとも一部の三次元開口部の雌側がスリットの形である、請求項19に記載の薄いウェブ。
【請求項24】
少なくとも一部の三次元開口部の雌側が、ネコの目またはレンズの形である、請求項19に記載の薄いウェブ。
【請求項25】
開口部が長径および短径を有し、長径の短径に対する比が4:1〜2:1である、請求項24に記載の薄いウェブ。
【請求項26】
長径の短径に対する比が約3:1である、請求項25に記載の薄いウェブ。
【請求項27】
ネコの目またはレンズの少なくとも一つの尖った末端が丸みを帯びている、請求項24に記載の薄いウェブ。
【請求項28】
薄いウェブが、ポリオレフィンを含むプラスチックフィルムまたは熱可塑性フィルムの一つである、請求項19に記載の薄いウェブ。
【請求項29】
ポリオレフィンが、ポリエチレン、ポリプロピレン、低密度ポリエチレン、または高密度ポリエチレンの少なくとも一つを含む、請求項28に記載の薄いウェブ。
【請求項30】
三次元開口部の雌側が円形である、請求項19に記載の薄いウェブ。
【請求項31】
薄いウェブを加熱したニップに通すことを含む薄いウェブを形成する方法であって、前記薄いウェブが三次元開口部を含み、前記ニップが開口部を変形するのに十分な程度に熱い、前記方法。
【請求項32】
薄いウェブの三次元開口部が、薄いウェブの表面に垂直な平面に対して約5°〜約60°の角度で配置される、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
開口部が、薄いウェブの表面に垂直な平面に対して70°よりも大きい角度で配置されるように変形される、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
ニップが薄いウェブの軟化温度よりも高い温度に加熱される、請求項31に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4−1】
image rotate

【図4−2】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6−1】
image rotate

【図6−2】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2009−83487(P2009−83487A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−242413(P2008−242413)
【出願日】平成20年9月22日(2008.9.22)
【出願人】(504242043)トレドガー フィルム プロダクツ コーポレーション (9)
【Fターム(参考)】