説明

薄型リチウム二次電池

【課題】タブテープを用いることなく、タブテープを用いた場合と同等の接着性、密封性、短絡防止性を有する薄型リチウム二次電池を提供する。
【解決手段】リチウム二次電池の外装材のシーラント層103を、外側酸変性ポリプロピレン層103a/ポリプロピレン層103b/内側酸変性ポリプロピレン層103a’が積層された三層構造とし、熱融着前の外側酸変性ポリプロピレン層103aの厚みをαμm、ポリプロピレン層103bの厚みをβμm、内側酸変性ポリプロピレン層103a’の厚みをγμmとし、前記正極端子15と前記負極端子のうちの厚い方の厚さをTμmとしたとき、2T/3≦α+β+γ≦3T/2、8≦α≦20、10≦γ≦25とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外装材としてラミネート材を用いた薄型リチウム二次電池に関する。特に、「民生用」と呼ばれる比較的小電力の薄型リチウム二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウム二次電池は体積エネルギー密度が高く、ノートパソコン、ビデオカメラ、携帯電話、電気自動車等の電源として広く用いられている。これらリチウム二次電池の中でも、近年、軽量で放熱性に優れた、ラミネート材を外装材として用いた薄型リチウム二次電池の進展が目覚しい。この薄型リチウム二次電池は、自動車の動力源として用いられる、大電力の「車載用」と、携帯電話等に用いられる、小電力の「民生用」とに大別することができる。車載用の電池は、電力量、耐久性等が重視されるため、比較的厚いラミネート材や電極端子が用いられているが、民生用は軽量、薄肉であることが重視され、比較的薄いラミネート材や電極端子が用いられる。
【0003】
ところでラミネート材を外装材として用いた薄型リチウム二次電池には、端子導出部において、密封性の向上、短絡防止を目的とし、タブテープが用いられている。図6に、このような薄型リチウム二次電池の一例を示す。このリチウム二次電池6は、二組の外装材60間に正極端子65および負極端子66が挟み込まれ、外装材60の端部が熱融着されてなるが、このとき外装材60と端子65、66との間にタブテープ67が介在し、端子導出部Zにおける接着性、密封性の向上に寄与する。
また、該タブテープ67は外装材60の端部を熱融着する際に、端子導出部Zにおいて、外装材60に含まれる金属箔のバリア層と端子65、66とが接触し、電池が短絡することも防止する。しかしながら図6に示す薄型リチウム二次電池は、タブテープ67によって外装材と端子との間隔が広げられているため、短絡が抑制されている。
しかしながら、タブテープ67を用いることは電池のコストアップに繋がる。また図6に示す薄型リチウム二次電池を製造するためには、予め電極端子65、66にタブテープ67を貼り合せる必要があり、製造工程が煩雑であった。
【0004】
特許文献1の発明はタブテープを用いることなく、端子導出部における短絡を防止した薄型電池用袋体である。この薄型電池袋体は、各シーラント層の厚みが端子の厚みの1/2よりも大きいため、シーラント層の樹脂組成によっては端子とバリア層との接触が抑制され、短絡を防止することができる。しかしながらシーラント層の樹脂組成によっては、短絡を防止することができなかった。例えばシーラント層が融点の低い樹脂から形成されている場合、シーラント層の厚みを端子の厚みの1/2以上としても、シール時にシーラント層が潰れて短絡を起こすことがある。
特許文献2は、電極端子構造に特徴を有する薄型電池に関するものである。特許文献2には、短絡を防ぐ手段として電極端子の厚みをシーラント層(熱融着性高分子膜層)の厚みより薄くする、或いはシーラント層の厚みを厚くする方法が提案されている(特許文献2段落番号0029)。しかしながら、特許文献1と同様に、樹脂組成を限定せずに端子やシーラント層の厚みをコントロールするだけでは、短絡を確実に防止することはできなかった。
【0005】
尚、特許文献3では、二次電池外装材のシーラント層(熱封緘層)としてポリプロピレンフィルムの両面に酸変性ポリオレフィンフィルムを備えた三層構造のポリオレフィン系フィルムが提案されている(特許文献3段落番号0013)。この外装材は、酸変性ポリオレフィンによって、シーラント層とバリア層との密封性が改善されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−173560号公報
【特許文献2】特開平10−302756号公報
【特許文献3】特開2000−357494号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、タブテープを用いることなく、タブテープを用いた場合と同等の接着性、密封性、短絡防止性を有する薄型リチウム二次電池の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によると、上記課題を解決するための手段として、基材層、バリア層、シーラント層が順に積層されてなる外装材に、正極材、負極材、セパレータ及び電解質を含む発電要素が封入され、更に正極端子が正極材から電池外部まで延在し、負極端子が負極材から電池外部まで延在するように、外装材端部が熱融着されてなるリチウム二次電池において、
前記シーラント層が、バリア層側から順に、外側酸変性ポリプロピレン層/ポリプロピレン層/内側酸変性ポリプロピレン層が積層された三層構造であり、
熱融着前の外側酸変性ポリプロピレン層の厚みをαμm、ポリプロピレン層の厚みをβμm、内側酸変性ポリプロピレン層の厚みをγμmとし、前記正極端子と前記負極端子のうちの厚い方の厚さをTμmとしたとき、
2T/3≦α+β+γ≦3T/2
8≦α≦20
10≦γ≦25
であることを特徴とする、薄型リチウム二次電池が提供される。
また前記Tが、80≦T≦120であることを特徴とする前記薄型リチウム二次電池が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によるとシーラント層の層構成を特定し、更に端子厚みに対するシーラント層の厚みと、シーラント層を成す各層の厚みを特定することにより、タブテープを用いていない薄型リチウム二次電池に、タブテープを用いた場合と同等の接着性、密封性、短絡防止機能を付与することができる。
尚、本発明の薄型リチウム二次電池は、端子が厚くなるに伴ってシーラント層の厚みが大きくなり、外装材の水分バリア性が低下する。よって本発明は、端子が薄い(80〜120μm程度の)民生用のリチウム二次電池に特に好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の薄型リチウム二次電池の一実施例の模式的側断面図である。
【図2】図1に記した薄型リチウム二次電池の密封前の分解斜視図である。
【図3】本発明に用いられる外装材の一例の、模式的断面図である。
【図4】図1の端子導出部X部の拡大図である。
【図5】密封できていない電池の端子導出部を図4とは異なる方向からみた模式的正断面図である。
【図6】従来のタブテープを用いた薄型リチウム二次電池の一実施例の模式的側断面図である。
【図7】外装材1を用いて密着性試験を行った際の、端子導出部の正断面の走査型電子顕微鏡写真である。
【図8】外装材7を用いて密着性試験を行った際の、端子導出部の正断面の走査型電子顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の薄型リチウム二次電池の一実施例を表す模式的側断面図を図1に、本電池の密封前の分解斜視図を図2に記す。本発明の薄型リチウム二次電池1は、基材層、バリア層、シーラント層が順に積層された二組の外装材10の間に、正極材11、負極材12、セパレータ13及び電解質(図示せず)を含む発電要素14が封入され、更に正極端子15が正極材11から電池外部まで延在し、負極端子16が負極材12から電池外部まで延在するよう、各端子を挟みながら外装材10の端部が熱融着されてなる。
本発明における発電要素14は、薄型リチウム二次電池において一般的に用いられるものと同様のものを用いることができ、正極材11、負極材12は、それぞれ集電体上に電極活物質を塗布したものが用いられ、セパレータ13としては多孔性樹脂膜等が、電解質としては液状またはゲル状のリチウム塩電解質が用いられる。
【0012】
正極端子15は通常、アルミニウムやチタン、あるいはこれらの合金から成形され、負極端子16は通常、ニッケル、銅、あるいはこれらの合金から形成されるが、これに限定されるものではない。また正極端子15及び負極端子16は必要に応じて絶縁処理等の表面処理が施される。
尚、正極端子15、負極端子16の厚みは特に限定されないが、本発明によると、シーラント層全体の厚み(即ちα+β+γ)は、端子厚みTの2/3〜3/2倍とするので、端子の厚みが大きくなるに伴い、シーラント層全体の厚みも大きくなり、外装材のコストアップに繋がる。またシーラント層の端面からは水分が電池内部へ浸透する恐れがある。よってシーラント層の厚みが大きくなると、シーラント層端面積も増大し、水分が浸透し易くなる。そこで本発明は、端子Tの厚みが比較的薄い、具体的には80〜120μm程度の「民生用」の薄型リチウム二次電池に対して用いることが望ましい。
【0013】
図3は本発明に用いられる外装材30の一例の模式的断面図である。外装材30は、基材層31、バリア層32、シーラント層33が順に積層されてなる。
基材層31は、電池の外側になる層であってハードウェアと直接接触するので、ある程度強靭で、絶縁性を有する樹脂フィルムが適する。具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、エチレンテレフタレート/エチレンイソフタレート共重合体、ブチレンテレフタレート/ブチレンイソフタレート共重合体等のポリエステル樹脂からなるフィルムを二軸延伸した二軸延伸ポリエステルフィルムや、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン6,6とナイロン6の共重合体、ナイロン6,10、ポリメタキシリレンアジパミド(MXD6)等のナイロンフィルムを二軸延伸した二軸延伸ナイロンフィルムが適し、特に二軸延伸ポリエステルフィルムと二軸延伸ナイロンフィルムを積層した二層フィルムが適する。この場合、ナイロン樹脂は電解質によって変質しやすいので、基材層のバリア層と接する層31bを二軸延伸ナイロンフィルムに、基材層の最外層となる層31aを二軸延伸ポリエステルフィルムにするとよい。
基材層31の厚みは特に限定されないが10〜50μmが適する。10μm以下であると強度が不十分な場合があり、50μmを越えても強度の向上が見られない。また基材層31が二層である場合は最外層となる層31aを5〜25μm、バリア層と接する層31bを5〜25μmとするとよい。
【0014】
バリア層32は、外部から電池内部に酸素や水分が浸入することを防止するための層であり、アルミニウム、ニッケル、ステンレス等の金属箔を好適に用いることができるが、経済性を考慮するとアルミニウム箔が特に適する。尚、アルミニウム箔は若干の鉄を含有することで展延性が改善されること、折り曲げによるピンホールの発生が少なくなることが知られている。そこでバリア層32としてアルミニウム箔を用いる場合は、鉄を0.3〜9.0重量%、好ましくは0.7〜2.0重量%含有したものを用いとよい。また、冷間圧延で製造されるアルミニウム箔は焼きなまし(いわゆる焼鈍処理)条件でその柔軟性・腰の強さ・硬さが変化するが、本発明においてアルミニウム箔を用いる場合は、焼きなましをしていない硬質処理品より、多少または完全に焼きなまし処理をした軟質傾向にあるものがよい。
バリア層32の厚さは、酸素や水分に対して十分なバリア性を発揮し、加工適性(製袋加工、深絞り加工性等)を安定化させ、更に耐ピンホール性をもたせるために、15μm以上であることが好ましく、特に20μm以上であることが好ましい。また加工適性を考慮するとバリア層32は80μm以下であることが望まれる。
【0015】
また、金属箔(特にアルミニウム箔)は酸性物質等によって表面が溶解、腐食しやすい。そこでバリア層32には耐酸処理を行うことが望ましい。耐酸処理を施すと、電池等の内部からフッ酸等の酸性物質等が発生した場合であっても、バリア層32の表面が溶解、腐食することを防止できる。更に耐酸処理は、バリア層32とシーラント層33との接着性を向上させる効果も奏す。耐酸処理方法としてはクロメート処理が一般的であるが、ベーマイト処理、パーカライジング処理、トリアジンチオール処理等の非クロメート系処理等も可能である。また、耐酸処理はバリア層32の両面に施しても良いが、シーラント層33側の面だけに施しても良い。
【0016】
次にシーラント層33について説明する。本発明に用いられる外装材のシーラント層33は、図3に示すように、ポリプロピレン層33bのバリア層32側に外側酸変性ポリプロピレン層33a、発電要素側に内側酸変性ポリプロピレン層33a’が設けられた三層構成をなす。外側酸変性ポリプロピレン層33aはバリア層32とシーラント層33との接着性向上に、内側酸変性ポリプロピレン層33a’は端子とシーラント層33との接着性向上に寄与する。また酸変性ポリプロピレンは極性基を持つため、端子やバリア層との接着性に優れる反面、水分バリア性が乏しく、ポリプロピレンよりも更に水分を電池内部へ浸透させやすい。そこで本発明のシーラント層33は、バリア層32や端子との接着に直接関与しない中間層をポリプロピレン層33bとする。
【0017】
ポリプロピレン層33bは、ポリプロピレンホモポリマー、プロピレン・エチレンブロック共重合体、プロピレン・エチレンランダム共重合体、プロピレン・エチレン・ブテンランダム共重合体等のポリプロピレン系樹脂からなる。一方、酸変性ポリプロピレン層33a、33a’は、不飽和カルボン酸やアクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸等の酸で変性したポリプロピレン系樹脂から形成されるが、端子やバリア層との接着性を考慮すると無水マレイン酸で変性されたポリプロピレンからなることが望ましい。
またポリプロピレン層33b及び酸変性ポリプロピレン層33a、33a’を成す樹脂は、端部導出部Xにおいて端子とバリア層との接触をより確実に防止する為に、熱融着時に潰れ難いことが望ましい。具体的にはJIS K7210によって測定されるメルトインデックス(以下、MI)が3g/min以上、8g/min未満のものを用いることが望ましく、特にMIが3g/min以上、5g/min未満のものが望ましい。MIが3g/min未満であると樹脂を溶融押出成形法にてフィルム状にする場合に、押出機に高負荷がかかる。またMIが8g/minを超えると、外装材の端部を熱融着する際に、シール圧によっては、シーラント層33が潰れて短絡防止機能を発揮できない場合がある。
【0018】
シーラント層33の厚さは、端子の厚さに合せて決定される。図4は、図3と同様の外装材を用いて製造した、図1に示す薄型リチウム二次電池の端子導出部X部の拡大図である。熱融着前(即ち、加熱されていない部分)の外側酸変性ポリプロピレン層103aの厚みをαμm、ポリプロピレン層103bの厚みをβμm、内側酸変性ポリプロピレン層103a’の厚みをγμmとし、正極端子と負極端子のうちの厚い方の厚さをTμmとしたとき、シーラント層103の厚さ、即ちα+β+γは、2T/3以上、3T/2以下となるようにする。シーラント層103の厚さが2T/3よりも小さいと、二組の外装材で端子を挟み、外装材の端部を熱融着する際に、バリア層102と電極端子15との距離が縮まるため、電池の短絡の可能性が上がる。逆にシーラント層103の厚さが、上記範囲より大きくなっても密封性、短絡防止性の向上は期待できず、薄型リチウム二次電池の嵩が増しコストアップに繋がる。またシーラント層103の厚みが増大するにつれ、シーラント層103の端面積が増えるため、電池内部に水分が浸透し易くなる。
【0019】
次に各層の厚み(α、β、γ)について説明する。外側酸変性ポリプロピレン層103aはバリア層102とシーラント層103との接着性向上に寄与するが、αが8μm未満では接着性が十分でなく、逆にαが20μmを越えても接着性の向上は見られず、電池の嵩が増してコストアップに繋がる。更に外側酸変性ポリプロピレン層103aの厚みの増加は電池の水分バリア性を低下させる。これらのことを考慮すると、8μm≦α≦20μmが適する。
内側酸変性ポリプロピレン層103a’は端子との接着性に寄与することはもちろん、外装材の端部を熱融着する際に、適度に溶融して端子側面に回り込み、外装材と端子側面との間にできる間隙(図5の「Y」)を埋め、端子周辺を確実に密封させなければならない。よって、内側酸変性ポリプロピレン層103a’の好適な厚さは、外側変性ポリプロピレン層103aよりも、端子側面に回り込む分、若干大きくなる。具体的には10μm≦γ≦25μmが適する。γが10μm未満では密封性が十分でなく、逆にγが25μmを越えても密封性、接着性の向上は見られず、電池の嵩が増し、コストアップ、水分バリアー性の低下をもたらすだけである。
尚、本発明によると2T/3≦α+β+γ≦3T/2であるが、水分バリア性を考慮するとシーラント層103における内側及び外側酸変性ポリプロピレン層は接着性、密封性を発現する為に必要な最低限度の厚さとし(即ち、8μm≦α≦20μm、10μm≦γ≦25μmとし)、その他はポリプロピレン層103bとすることが望ましい。酸変性ポリプロピレン樹脂は、変性されていないポリプロピレン樹脂よりも親水性であるため、シーラント層における酸変性ポリプロピレン層の厚さ割合が低下するほど、シーラント層の端面から水分が電池内部に侵入し難くなる。
【0020】
本発明に用いられる外装材の製造方法は特に限定されないが、例えば、三層のシーラント層をインフレーション共押出法、Tダイ共押出法等の公知の製膜方法を用いて製造し、シーラント層にバリア層、基材層を順次積層し、製造することができる。また、予めポリプロピレン層と内側酸変性ポリプロピレン層からなる二層のフィルムを製膜し、該フィルムとバリア層とを溶融状態の酸変性ポリプロピレン樹脂を介して貼り合せ、内側酸変性ポリプロピレン層/ポリプロピレン層/外側酸変性ポリプロピレン層/バリア層の積層体を製造し、その後更に基材層を貼り合わせることによって製造することもできる。
【0021】
本発明の薄型リチウム二次電池の製造方法は特に限定されないが、例えば正極材の一端に正極端子を溶接し、負極材の一端に負極端子を圧着し、該正極材と該負極材とを電解質を含浸したセパレータを介して積層した後、二組の外装材間に発電要素をセットし、電極端子を挟み込みながら外装材端部を熱融着し、製造することができる。
【実施例】
【0022】
次に、以下の方法にて作成した外装材1〜8を用い、本発明の効果を確認した。
<外装材の作成>
まず、厚さ9μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)と厚さ15μmの二軸延伸ナイロンフィルム(NY)とをドライラミネート法にて貼り合せ、これを基材層とする。また片面にクロメート処理を施した厚さ40μmのアルミニウム箔(AL)を用意し、これをバリア層とする。更に中間層がポリプロピレン樹脂(PP)[MI=8.0、融点=138℃]からなり、両外層が酸変性ポリプロピレン樹脂(酸変性PP)[MI=3.5、融点=124℃]からなる三層フィルムをTダイ共押出法にて成形し、これをシーラント層とする。各層の厚みを表1に記す。バリア層の片面に基材層をドライラミネート法にて積層し、他面(クロメート処理面)にシーラント層を熱ラミネート法にて積層し、外装材を製造する。尚、このとき基材層のNYがバリア層と接するよう、積層する。
【0023】
【表1】

【0024】
幅15mm、長さ8mm、厚さ100μmのアルミニウムからなる端子を用い、外装材1乃至8について、密着性試験及び密着性試験後の残存厚みの測定を行い、本発明の効果(接着性、密封性、短絡防止機能)を確認した。
<密着性試験>
薄型リチウム二次電池の端子導出部における密封性、接着性を確認する為に、外装材1〜8から10cm×10cmの試験片を二枚用意する。次に二枚の試験片でアルミニウム端子を挟み、190℃に加熱したシール機にてシール圧力1MPaで10秒間シールする。尚、このとき外装材のシーラント層が端子と接するようにする。
その後、オートグラフにてT型剥離試験を行い、密着強度を測定した。外装材と端子との接着性が良好であれば密着強度が高くなる。また端子導出部においてシーラント層が端子の周辺部に回り込んでいれば、シーラント層と端子との接触面積が増すため、密着強度が増加する。結果を表2に記す。また外装材2、外装材7については、端子導出部の断面の電子顕微鏡写真を図7、図8に記す。
<残存厚みの測定>
上記密着性試験に使用した外装材の、シール後のシーラント層の厚みを測定した。これを残存厚みとして表2に記す。一般にシール後の厚みが厚いほど絶縁性が保持され、短絡が抑制される。端子が80〜120μmの民生用の電池においては、シール後の厚みが40μmを越えていれば、通常、絶縁性は保持され、短絡は抑制される。
【0025】
【表2】

【0026】
端子厚み(T)は100μmであるので、シーラント総厚み(α+β+γ)が66.7〜150μm、外側酸変性ポリプロピレン層厚み(α)が8〜20μm、内側酸変性ポリプロピレン層厚み(γ)が10〜25μmである外装材1乃至3は、本発明の薄型リチウム二次電池に適用できる。これら外装材1乃至3は密着性試験による密着強度がいずれも100N/15mmを超えており、良好であったが、外側酸変性PP層(α)が8μmに満たない外装材6、内側酸変性PP層(γ)が10μmに満たない外装材4、外装材7、外装材8は密着強度が不十分であった。特に、酸変性PP層を持たない外装材8は端子と接着していなかった。また図7をみると、シーラント層が本発明にて特定する条件を満たす外装材2は、密封試験の際に、シーラント層が端子の周辺部に回り込んでいることが分かる。一方、図8を見ると外装材7は、総厚みが外装材2よりも厚いにもかかわらず、密封試験の際に、シーラント層が端子の周辺部に回りこまず、端子とシーラント層との間に間隙A(図中丸印中の黒い影部分)ができることが分かる。
また総厚みが2T/3未満である外装材4、5は、何れも残存厚みが40μm以下であった。よって、短絡を十分に抑制できないことが予想される。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明は、外装材としてラミネート材を用いた薄型リチウム二次電池に利用することができる。特に、民生用と呼ばれる比較的小電力の薄型リチウム二次電池に、好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0028】
1、6 薄型リチウム二次電池
10、30、50、60 外装材
11、61 正極材
12、62 負極材
13、63 セパレータ
14、64 発電要素
15、55、65、71、81 正極端子
16、66 負極端子
67 タブテープ
31、101、74、84 基材層
31a 最外層となる層
31b バリア層と接する層
32、102、73、83 バリア層
33、103、72、82 シーラント層
33a、103a 外側酸変性ポリプロピレン層
33b、103b ポリプロピレン層
33a’、103a’ 内側酸変性ポリプロピレン層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材層、バリア層、シーラント層が順に積層されてなる外装材に、正極材、負極材、セパレータ及び電解質を含む発電要素が封入され、更に正極端子が正極材から電池外部まで延在し、負極端子が負極材から電池外部まで延在するように、外装材端部が熱融着されてなるリチウム二次電池において、
前記シーラント層が、バリア層側から順に、外側酸変性ポリプロピレン層/ポリプロピレン層/内側酸変性ポリプロピレン層が積層された三層構造であり、
熱融着前の外側酸変性ポリプロピレン層の厚みをαμm、ポリプロピレン層の厚みをβμm、内側酸変性ポリプロピレン層の厚みをγμmとし、前記正極端子と前記負極端子のうちの厚い方の厚さをTμmとしたとき、
2T/3≦α+β+γ≦3T/2
8≦α≦20
10≦γ≦25
であることを特徴とする、薄型リチウム二次電池。
【請求項2】
前記Tが、80≦T≦120であることを特徴とする請求項1記載の薄型リチウム二次電池。



















【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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