説明

薄型液晶TV用のヒートシンク

【課題】製品の設計に自由度をもたせつつ、軽量で、発熱素子の熱を効果的に放熱することができる、薄型液晶TV用のヒートシンクを提供する。
【解決手段】薄型ディスプレイに備わるバックパネルに取り付けられた少なくとも1つの中空柱状の金属製部品の内側に少なくとも一部が収納され、前記バックパネルまたは前記バックパネルに取り付けられた発光素子に熱的に接続されている放熱フィンを備えた、薄型ディスプレイ用のヒートシンク。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄型液晶TV用のヒートシンク、特に、壁掛け用の、薄型液晶TVを支える中空状の金属製部品を備えている薄型液晶TV用のヒートシンクに関する。
【背景技術】
【0002】
テレビ受像機用の表示装置として陰極線管(CRT)に代わり、液晶表示装置や、プラズマディスプレイ等の非常に薄型化された表示装置が実用化されてきた。液晶表示装置においては、カラーフィルタを備えた透過型の液晶表示パネルを背面側から面状に照明するバックライト装置によって照明することによって、カラー画像を表示させるバックライト方式が主流になっている。バックライト装置の光源としては、蛍光管を使用して白色光を発光する冷陰極蛍光管(CCFL:Cold Cathode Fluorescent Lamp)や、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)が使用されている。
【0003】
透過型カラー液晶表示装置は、一般に、透過型のカラー液晶表示パネルと、カラー液晶表示パネルの背面側に設けられたバックライト装置とからなっている。透過型のカラー液晶表示パネルは、ガラス等で構成された2枚の透明な基板(TFT基板、対向電極基板)を互いに対向配列させ、その間隙に、TN(ツイステッドネマチック)液晶を封入した液晶層を設けている。
TFT基板には、マトリックス状に配列された信号線、走査線、信号線および走査線の交点に配列されたスイッチング素子としての薄膜トランジスタ、および、画素電極が形成されている。対向電極基板には、その内表面に対向電極およびカラーフィルタが形成されている。
【0004】
バックライト装置は、光源や、光源から出射された光を白色光へと混色するために、バックライト筐体内に、拡散板、拡散板上に重ねて配列される拡散シート、プリズムシート、偏光変換シート等の光学機能シート群を備えている。
光学機能シート群は、例えば、入射光を直交する偏光成分に分解する機能、光波の位相差を補償して広角視野角化や着色防止を図る機能、入射光を拡散させる機能、輝度向上を図る機能などを備えたシートからなっている。
バックライト装置には、更に、発光素子(光源)を固着・支持する透明支持基板(例えば、透明樹脂基板)が設けられている。
【0005】
上述した透過型カラー液晶表示装置としての薄型液晶TVにおいては、その性能が高まるにつれて、発熱素子(LED)の発生する熱を無視することができず、発熱素子(LED)の発生する熱を効果的に処理することが必要である。従来、発熱素子(LED)の発生する熱を処理するために、バックパネルという金属製の板材に発熱素子(LED)の発生する熱を移動させて、均熱化させていた。
【特許文献1】特開2006−284906号公報
【特許文献2】特開2007−163823号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図5は、バックパネルと発熱素子の配列の1例を示す図である。図5によると、光源がCCFLの場合であっても、LEDの場合であっても、光源が背面全体から照射されていた。このように発熱素子がバックパネルの全体にわたって配列されている場合でも、高い能力を要求されるが故に、薄型液晶テレビの放熱処理が問題になってきている。図6は、バックパネルと発熱素子の配列の他の1例を示す図である。図6に示すように、最近では、バックライト装置において光源が、薄型液晶装置の両側端部、または、上下端部から照射されるようになってきている。
このように、薄型液晶装置の両側端部、または、上下端部から照射されるようになってくると、発熱素子がバックパネルの両側端部、または、上下端部のみに熱的に接続され、発熱素子の発熱密度が高くなり、薄型液晶テレビの冷却が難しくなってきている。
【0007】
したがって、本発明の目的は、製品の設計に自由度をもたせつつ、軽量で、発熱素子の熱を効果的に放熱することができる、薄型液晶TV用のヒートシンクを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明者は上述した従来の問題点を解決するために鋭意研究を重ねた。その結果、薄型ディスプレイまたは薄型液晶テレビの壁掛け用に使用されている中空柱状の金属製部品を利用して、その中に放熱フィンを配置し、発熱素子と熱的に接続されているバックパネルに沿ってヒートパイプを配置し、ヒートパイプの一部を放熱フィンに熱的に接続させると、発熱素子からバックパネルに移動した熱が、速やかに放熱フィンに移動し、中空柱状の金属製部品の上下が開放されているので、放熱フィンに移動して周りの空気の温度を上昇させると、温度の上昇した空気が中空柱状の金属製部品の上方に向かって移動して、自然対流が生じることが判明した。この発明は上述した研究結果に基づいてなされたものである。
【0009】
この発明の薄型ディスプレイ用のヒートシンクの第1の態様は、薄型ディスプレイに備わるバックパネルに取り付けられた少なくとも1つの中空柱状の金属製部品の内側に、放熱フィンの少なくとも一部が収納され、前記放熱フィンは前記バックパネルまたは前記バックパネルに取り付けられた発光素子に熱的に接続されている、薄型ディスプレイ用のヒートシンクである。
【0010】
この発明の薄型ディスプレイ用のヒートシンクの第2の態様は、前記放熱フィンは前記バックパネルに固定されている薄型ディスプレイ用のヒートシンクである。
【0011】
この発明の薄型ディスプレイ用のヒートシンクの第3の態様は、ヒートパイプを更に備えており、前記放熱フィンに前記ヒートパイプの放熱部が熱的に接続され、前記ヒートパイプの受熱部が前記発光素子に熱的に接続されている薄型ディスプレイ用のヒートシンクである。
【0012】
この発明の薄型液晶TV用のヒートシンクの第1の態様は、薄型液晶TVの発光素子と熱的に接続されているバックパネルに取り付けられた、少なくとも1つの中空柱状の金属製部品の内側に垂直方向に並列配置された複数枚の放熱フィンと、
複数の前記放熱フィンに少なくとも一部が挿通されて熱的に接続され、主部が前記バックパネルに熱的に接続されて水平方向に配置されている複数のヒートパイプとを備えた、発光素子の熱を自然対流によって放熱する、薄型液晶TV用のヒートシンクである。
【0013】
この発明の薄型液晶TV用のヒートシンクの第2の態様は、前記中空柱状の金属製部品が、前記バックパネルと接続される接続面部と、接続面部と所定の間隙を隔てて対向配置される背面部と、接続面部と背面部を連絡する側壁部とからなる断面が概ねコの字形の部品であり、上方および下方に開放されており、複数の前記放熱フィンが前記側壁部と平行に、前記中空柱状の金属製部品の概ね全長にわたって配置されている、請求項1に記載の薄型液晶TV用のヒートシンク。
【0014】
この発明の薄型液晶TV用のヒートシンクの第3の態様は、前記中空柱状の金属製部品が垂直方向の中心軸に関して対照的に配置された2つの金属製部品からなり、複数の前記ヒートパイプが棒状または板状のヒートパイプからなり、概ね等間隔で相互に平行かつ、前記中心軸に関して対照的に配置され、それぞれの主部が前記バックパネルの側端部に向かって配置されている、薄型液晶TV用のヒートシンクである。
【0015】
この発明の薄型液晶TV用のヒートシンクの第4の態様は、前記中空柱状の金属製部品が垂直方向の中心軸に関して対照的に配置された2つの金属製部品からなり、複数の前記ヒートパイプが棒状または板状のヒートパイプからなり、概ね等間隔で相互に平行かつ、前記中心軸に関して対照的に配置され、それぞれの主部がバックパネルの側端部および中央部に向かって配置されている、薄型液晶TV用のヒートシンクである。
【0016】
この発明の薄型液晶TV用のヒートシンクの第5の態様は、前記中空柱状の金属製部品が垂直方向の中心軸に関して対照的に配置された2つの金属製部品からなり、複数の前記ヒートパイプが棒状または板状のヒートパイプからなり、概ね等間隔で相互に平行かつ、前記中心軸に関して非対照的に配置されている、薄型液晶TV用のヒートシンクである。
【0017】
この発明の薄型液晶TV用のヒートシンクの第6の態様は、前記中空柱状の金属製部品が垂直方向の中心軸に関して対照的に配置された2つの金属製部品からなり、複数の前記ヒートパイプが、それぞれ水平面上に位置する部分とそれらを接続する垂直面上に位置する部分とからなる概ねコの字形、または、U字形のヒートパイプからなっており、垂直面上に位置する部分が、並列配置された前記放熱フィンの近傍に配置されている、薄型液晶TV用のヒートシンクである。
【0018】
この発明の薄型液晶TV用のヒートシンクの第7の態様は、前記バックパネルに関して、前記ヒートパイプが前記放熱フィンと同じ側に配置されている、薄型液晶TV用のヒートシンクである。
【0019】
この発明の薄型液晶TV用のヒートシンクの第8の態様は、前記バックパネルに関して、前記ヒートパイプが前記放熱フィンと反対側に配置されている、薄型液晶TV用のヒートシンクである。
【0020】
この発明の薄型液晶TV用のヒートシンクの第9の態様は、前記ヒートパイプが所謂ボトムヒートタイプで配置されている、薄型液晶TV用のヒートシンクである。
【0021】
この発明の薄型液晶TV用のヒートシンクの第10の態様は、前記放熱フィンの一方の端部が前記バックパネルに直接熱的に接続されている、薄型液晶TV用のヒートシンクである。
【0022】
この発明のディスプレイ装置は、上述したヒートシンクが備わったディスプレイ装置である。
【発明の効果】
【0023】
この発明によると、薄型ディスプレイまたは薄型液晶テレビの壁掛け用に使用されている中空柱状の金属製部品を利用して、その中に放熱フィンを配置し、発熱素子と熱的に接続されているバックパネルに沿ってヒートパイプを配置し、ヒートパイプの一部を放熱フィンに熱的に接続させているので、発熱素子からバックパネルに移動した熱を、速やかに放熱フィンに移動することができ、更に、中空柱状の金属製部品の上下が開放されているので、放熱フィンに移動して周りの空気の温度を上昇させると、温度の上昇した空気が中空柱状の金属製部品の上方に向かって移動して、自然対流が生じ、効果的な放熱が可能である。
【0024】
更に、この発明によると、薄型ディスプレイまたは薄型液晶テレビの壁掛け用に使用されている中空柱状の金属製部品を利用して、その中に放熱フィンを配置し、発熱素子と熱的に接続されているバックパネルと放熱フィンとを熱的に接続させているので、発熱素子からバックパネルに移動した熱が放熱フィンに移動し、放熱フィンによって温度の上昇した空気が、中空柱状の金属製部品の上方に向かって移動して、自然対流が生じ、効果的な放熱が可能である。
更に、この発明によると、製品の設計に自由度をもたせつつ、軽量で、発熱素子の熱を効果的に放熱することができる、薄型液晶TV用のヒートシンクを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
この発明の薄型ディスプレイ用のヒートシンクについて図面を参照しながら説明する。
この発明の薄型ディスプレイ用のヒートシンクの1つの態様は、薄型ディスプレイ装置に備わるバックパネルに取り付けられた少なくとも1つの中空柱状の金属製部品の内側に、放熱フィンの少なくとも一部が収納され、前記放熱フィンは前記バックパネルまたは前記バックパネルに取り付けられた発光素子に熱的に接続されている、薄型ディスプレイ用のヒートシンクである。薄型とは、従来のブラウン管とは異なり、最近多く登場してきている液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ等の、薄型のディスプレイ装置を意味している。
【0026】
図1は、この発明の薄型ディスプレイ用のヒートシンクの1つの態様を説明する図である。図1(a)はバックパネルに取り付けられたヒートシンクの平面図、図1(b)は、その正面図である。図1(c)は薄型ディスプレイに備えられている中空柱状の金属製部品の一例を示す斜視図である。図1(d)は、放熱フィンの一例を示す斜視図である。
【0027】
図1(a)、図1(b)に示すように、薄型ディスプレイの筐体20の中に、熱伝導性に優れた金属製のバックパネル3が配置されている。バックパネル3には、光源としての発光素子4例えばCCFL、または、LEDが熱的に接続されている。金属製のバックパネル3には、中空柱状の金属製部品2が取り付けられている。中空柱状の金属製部品2は例えば壁掛け用として筐体の背面側に設けられており、ネジ等によって壁に固定されて、薄型ディスプレイが壁に掛けられる。光源としての発光素子4例えばCCFL、または、LEDは、図1(b)に示すように、全面ではなく、例えば、上端部および/または下端部に設けられている。
【0028】
中空柱状の金属製部品2は、図1(c)に示すように、例えば、背面部13、2つの側面部14、バックパネルとの接合面部15を備えた断面概ねコの字形からなっている縦長の部品である。金属製部品は例えばアルミニウム板材や鉄板の折り曲げ成形、アルミニウムの押し出し成形、等で製作することができる。2つの接合面部15の間に所定の間隙16が設けられている。接合面部15の間の間隙16に放熱フィン1が配置される。接合面部15の全体がバックパネル3に取り付けられ、バックパネル3と金属製部品2によって、上下端部が開放された断面矩形の閉鎖空間が形成される。空気はバックパネル3と金属部品2によって形成された断面矩形の閉鎖空間を開放された上端部から下端部、または、下端部から上端部へと移動することができる。
【0029】
放熱フィン1は、複数枚の薄板を並列配置して形成されている。例えば、図1(d)に示すように、垂直面部11および底面部12からなるL字形の薄板フィンを、底面部12が平らな受熱面を形成するように並列配置する。複数枚の薄板フィンを固定するために固定部材18を使用してもよい。このように形成された平らな受熱面がバックパネルに熱抵抗が小さい状態で取り付けられる。即ち、図1(b)に示すように、薄型ディスプレイに取り付けられたバックパネル3の、上下両端部に取り付けられた光源としての発光素子4例えばCCFL、または、LEDの間に、所望の数の放熱フィン1が、底面部12からなる受熱面がバックパネル3に熱的に接続されて、縦方向に取り付けられている。
【0030】
このように受熱面がバックパネルに熱的に接続された状態で、放熱フィン1が中空柱状の金属製部品2の中に収納されている。即ち、図1(a)に示すように、光源としての発光素子4例えばCCFL、または、LEDが熱的に接続されたバックパネル3に、受熱面が熱的に接続された状態で、放熱フィン1が中空柱状の金属製部品2の中に収納されている。
【0031】
薄型ディスプレイの上端部および下端部に設けられている光源としての発光素子4例えばCCFL、または、LEDの熱が、熱伝導性に優れた金属製のバックパネル3に伝わり、バックパネル3全面に均一に熱が伝わる。このようにして均熱化されたバックパネル3に熱的に接続されて、熱が放熱フィン1に伝わる。放熱フィン1は、上述したように、上下端部が開放された断面矩形の閉鎖空間が形成される中空柱状の金属製部品2の中に、垂直方向に長手方向が位置するように配置されて収納されている。
【0032】
従って、中空柱状の金属製部品2の中に位置する空気は、バックパネル3から放熱フィン1に伝わった発光素子の熱によって温められて温度が上昇して、断面矩形の閉鎖空間を、開放された上端部に向かって移動する。これに伴って、開放された下端部から断面矩形の閉鎖空間に新たな冷たい空気が流れ込み、中空柱状の金属製部品を経由して、空気の自然対流が生じる。
【0033】
なお、放熱フィンは、接合または機械的な手段によってバックパネルに固定されていてもよい。更に、ヒートパイプを備えていてもよい。ヒートパイプを備えている場合には、放熱フィン1にヒートパイプの放熱部が熱的に接続され、ヒートパイプの受熱部が発光素子に熱的に接続されて、バックパネルから放熱フィンへと大量の熱が輸送される。
【0034】
次に、薄型ディスプレイを用いた薄型液晶TV用のヒートシンクについて、図面を参照しながら説明する。
この発明の薄型液晶TV用のヒートシンクの1つの態様は、薄型液晶TVの発光素子と熱的に接続されているバックパネルに取り付けられた、少なくとも1つの中空柱状の金属製部品の内側に垂直方向に並列配置された複数枚の放熱フィンと、
複数の前記放熱フィンに少なくとも一部が挿通されて熱的に接続され、主部が前記バックパネルに熱的に接続されて水平方向に配置されている複数のヒートパイプとを備えた、発光素子の熱を自然対流によって放熱する、薄型液晶TV用のヒートシンクである。
【0035】
図2は、薄型液晶テレビ用のヒートシンクを説明する図である。図2(a)はバックパネルに取り付けられたヒートシンクの平面図、図2(b)は、その正面図である。図2(a)に示すように、この態様では、薄型液晶テレビの筐体30の外側(背面側)に突出するように、図1を参照して説明したと同様の中空柱状の金属製部品が取り付けられている。筐体の背面側に、図1を参照して説明した中空柱状の金属部品の接合面15間の間隙16に対応して開口部17を設け、開口部17に放熱フィンを挿入するように配置している。
【0036】
放熱フィン1は、矩形の金属薄板が複数枚組み合わされて形成されている。金属薄板は、図1(d)を参照して説明したL字形でもよい。並列配置された複数枚の金属薄板をヒートパイプ5の一方の端部(放熱部)が挿通し、ヒートパイプ5の他方の端部(受熱部)が熱伝導性に優れた金属製のバックパネルに熱的に接続されている。即ち、ヒートパイプ5は、放熱フィン1と同様に、バックパネルの背面側に熱的に接続されて支持または固定されている。
【0037】
図2に示すように、この態様では、それぞれ垂直にバックパネル3に固定された放熱フィン1からバックパネル3の側端側に向かってヒートパイプ5が延伸して配置されている。ヒートパイプ5の形状は、バックパネル3との熱的接触面を大きくすることができる形状が好ましく、例えば、扁平型ヒートパイプ、薄型板状ヒートパイプを用いることができる。ヒートパイプ5と放熱フィン1との接合は、バーリング加工を施して、放熱フィン1とヒートパイプ5の接触面を大きくしてもよい。
【0038】
ヒートパイプ5の内部には作動流体の流路となる空間が設けられ、その空間に収容された作動流体が、蒸発、凝縮等の相変化や移動をすることによって、熱の移動が行われる。即ち、ヒートパイプ5の吸熱側において、ヒートパイプ5を構成する容器の材質中を熱伝導して伝わってきた被冷却部品が発する熱により、作動流体が蒸発し、その蒸気がヒートパイプ5の放熱側に移動する。放熱側においては、作動流体の蒸気は冷却され再び液相状態に戻る。このように液相状態に戻った作動流体は再び吸熱側に移動(還流)する。このような作動流体の相変態や移動によって、大量の熱の移動が行われる。
【0039】
薄型液晶テレビの上端部および下端部に設けられている光源としての発光素子4例えばCCFL、または、LEDの熱が熱伝導性に優れた金属製のバックパネル3に伝わり、バックパネル3全面に均一に熱が伝わる。このようにして均熱化されたバックパネル3に、ヒートパイプ5の吸熱部が熱的に接続され、ヒートパイプ5の放熱部と放熱フィン1とが熱的に接続されているので、ヒートパイプの作動液の相変化および移動によって、バックパネル3の熱が放熱フィン1に移動する。放熱フィン1は、上述したように、上下端部が開放された断面矩形の閉鎖空間が形成される中空柱状の金属製部品2の中に、垂直方向に長手方向が位置するように配置されて収納されている。
【0040】
従って、この態様においても、中空柱状の金属製部品2の中に位置する空気は、バックパネル3からヒートパイプ5を経て放熱フィン1に伝わった発光素子の熱によって温められて温度が上昇して、断面矩形の閉鎖空間を開放された上端部に向かって移動する。これに伴って、開放された下端部から断面矩形の閉鎖空間に新たな冷たい空気が流れ込み、中空柱状の金属製部品を経由して、空気の自然対流が生じる。
【0041】
図3は、薄型液晶テレビ用のヒートシンクの他の態様を説明する図である。図3(a)はバックパネルに取り付けられたヒートシンクの平面図、図3(b)は、その正面図である。図3(a)、図3(b)に示すように、この態様では、ヒートパイプがバックパネルの全体にわたって配置されている。この態様においても、ヒートパイプはバックパネルの背面側に配置されている。即ち、筐体の背面側に、図1を参照して説明した中空柱状の金属部品の接合面15間の間隙16に対応して開口部17を設け、開口部17に放熱フィンを配置している。
【0042】
放熱フィン1は、矩形の金属薄板が複数枚組み合わされて形成されている。放熱フィンとバックパネル間の熱の移動を大きくするために、金属薄板は、図1(d)を参照して説明したL字形でもよい。並列配置された複数枚の金属薄板をヒートパイプの一方の端部(放熱部)が挿通し、ヒートパイプの他方の端部(受熱部)が熱伝導性に優れた金属製のバックパネルに熱的に接続されている。即ち、ヒートパイプは、放熱フィンと同様に、バックパネルの背面側に熱的に接続されて固定されている。図3に示すように、この態様では、それぞれ垂直にバックパネルに固定された放熱フィンからバックパネルの側端側、および、中央側の両方に向かってヒートパイプが所定間隔で配置されている。ヒートパイプの形状は、バックパネルとの熱的接触面を大きくすることができる形状が好ましく、例えば、扁平型ヒートパイプ、薄型板状ヒートパイプを用いることができる。ヒートパイプと放熱フィンとの接合は、バーリング加工を施して、放熱フィンとヒートパイプの接触面を大きくしてもよい。
【0043】
薄型液晶テレビの上端部および下端部に設けられている光源としての発光素子4例えばCCFL、または、LEDの熱が熱伝導性に優れた金属製のバックパネル3に伝わり、バックパネル3全面に均一に熱が伝わる。このようにして均熱化されたバックパネル3に、各ヒートパイプの吸熱部が熱的に接続され、ヒートパイプの放熱部と放熱フィン1とが熱的に接続されているので、バックパネル3に伝わった熱は、所定間隔でバックパネルの全面に配置されたヒートパイプの作動液の相変化と移動によって放熱フィン1に移動する。放熱フィン1は、一部がバックパネルに熱的に接続され、その主要部分が、上下端部が開放された断面矩形の閉鎖空間が形成される中空柱状の金属製部品2の中に、垂直方向に長手方向が位置するように配置されて収納されている。
【0044】
従って、中空柱状の金属製部品2の中に位置する空気は、バックパネル3からその全面に渡って配置されたヒートパイプを経て放熱フィン1に伝わった発光素子の熱によって、温められて温度が上昇して、断面矩形の閉鎖空間を開放された上端部に向かって移動する。これに伴って、開放された下端部から断面矩形の閉鎖空間に新たな冷たい空気が流れ込み、中空柱状の金属製部品を介して、空気の自然対流が生じる。従って、大量の熱が放熱フィンに移動し、自然対流によって大気中に放散される。
【0045】
図4は、薄型液晶テレビ用のヒートシンクの他の1つの態様を説明する図である。図4(a)はバックパネルに取り付けられたヒートシンクの平面図、図4(b)は、その正面図である。図4(a)、図4(b)に示すように、この態様では、ヒートパイプはバックパネルの表面側(即ち、発光素子4例えばCCFL、または、LED側)に配置されている。更に別の形式のヒートパイプがバックパネルの全体にわたって配置されている。放熱フィン、および、中空柱状の金属部品は図2および図3を参照して説明したと同様である。即ち、筐体の背面側に、中空柱状の金属部品の接合面15間の間隙16に対応して開口部17を設け、開口部17に放熱フィン1を配置している。
【0046】
放熱フィン1は、図2および図3を参照して説明したように、矩形の金属薄板が複数枚組み合わされて形成されていてもよく、放熱フィンとバックパネル間の熱の移動を大きくするために、金属薄板は、L字形でもよい。この態様では、ヒートパイプは概ねU字形の扁平型ヒートパイプからなっており、図4(b)に示すように、バックパネルの縦方向に長手方向が位置するように配置された放熱フィン1に対応するバックパネルの表面側に、U字形の中央部(底面部)が位置してヒートパイプが配置されている。即ち、バックパネルの上端部および下端部に配置された光源としての発光素子4例えばCCFL、または、LEDの間の中央の開放部分にヒートパイプが配置される。
【0047】
ヒートパイプは放熱フィンに対して、例えば対照的に(非対称でも良い)両側に配置され、更に、縦方向に複数のヒートパイプが並列配置されている。この態様のヒートパイプは、例えば、扁平型ヒートパイプの全面がバックパネルと熱的に接続している。概ねU字形の扁平型ヒートパイプを使用することによって、寒冷状況下での作動液の凍結防止をすることができる。ヒートパイプの配置に際しては、ヒートパイプの放熱部が上方に位置する、所謂ボトムヒートモードになるように考慮することが好ましい。
【0048】
薄型液晶テレビの上端部および下端部に設けられている光源としての発光素子4例えばCCFL、または、LEDの熱が熱伝導性に優れた金属製のバックパネル3に伝わり、バックパネル3全面に均一に熱が伝わる。このようにして均熱化されたバックパネル3の光源側にU字形の扁平型ヒートパイプが水平方向および垂直方向に並列配置されている。各U字形の扁平型ヒートパイプの吸熱部がバックパネル(表面側)に熱的に接続され、U字形の扁平型ヒートパイプの放熱部(中央部)とバックパネルの背面側に位置する放熱フィン1とがバックパネル3を介して熱的に接続されている。バックパネル3に伝わった熱は、所定間隔でバックパネルの全面に配置されたヒートパイプの作動液の相変化と移動によって、背面側の放熱フィン1に移動する。放熱フィン1は、一部がバックパネルに熱的に接続され、その主要部分が、上下端部が開放された断面矩形の閉鎖空間が形成される中空柱状の金属製部品2の中に、垂直方向に長手方向が位置するように配置されて収納されている。
【0049】
従って、この態様においても、中空柱状の金属製部品2の中に位置する空気は、バックパネル3の表面側の全面に渡って配置されたヒートパイプを経て、バックパネルの背面側の放熱フィン1に伝わった発光素子の熱によって、温められて温度が上昇して、断面矩形の閉鎖空間を開放された上端部に向かって移動する。これに伴って、開放された下端部から断面矩形の閉鎖空間に新たな冷たい空気が流れ込み、中空柱状の金属製部品を介して、空気の自然対流が生じる。従って、大量の熱が放熱フィンに移動し、自然対流によって大気中に放散される。
【0050】
上述したように、薄型ディスプレイ、薄型液晶TVの背面に備えられている中空柱状の金属製品を利用して、放熱フィンおよびヒートパイプを配置することによって、軽易に自然対流を生じさせて、効率的に光源の熱を放散させることができる薄型ディスプレイ、薄型液晶TV用のヒートシンクを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】図1は、この発明の薄型ディスプレイ用のヒートシンクの1つの態様を説明する図である。図1(a)はバックパネルに取り付けられたヒートシンクの平面図、図1(b)は、その正面図である。図1(c)は薄型ディスプレイに備えられている中空柱状の金属製部品の一例を示す斜視図である。図1(d)は、放熱フィンの一例を示す斜視図である。
【図2】図2は、薄型液晶TV用のヒートシンクを説明する図である。図2(a)はバックパネルに取り付けられたヒートシンクの平面図、図2(b)は、その正面図である。
【図3】図3は、薄型液晶TV用のヒートシンクの他の態様を説明する図である。
【図4】図4は、薄型液晶TV用のヒートシンクの他の1つの態様を説明する図である。
【図5】図5は、バックパネルと発熱素子の配列の1例を示す図である。
【図6】図6は、バックパネルと発熱素子の配列の他の1例を示す図である。
【符号の説明】
【0052】
1 放熱フィン
2 中空柱状の金属製部品
3 バックパネル
4 光源
5 ヒートパイプ
11 垂直面部
12 底面部
13 背面部
14 側面部
15 接合面部
16 間隙
17 開口部
18 固定部材
20、30 筐体


【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄型ディスプレイ装置に備わるバックパネルに取り付けられた少なくとも1つの中空柱状の金属製部品の内側に、放熱フィンの少なくとも一部が収納され、前記放熱フィンは前記バックパネルまたは前記バックパネルに取り付けられた発光素子に熱的に接続されている、薄型ディスプレイ用のヒートシンク。
【請求項2】
前記放熱フィンは前記バックパネルに固定されている、請求項1に記載の薄型ディスプレイ用のヒートシンク。
【請求項3】
ヒートパイプを更に備えており、前記放熱フィンに前記ヒートパイプの放熱部が熱的に接続され、前記ヒートパイプの受熱部が前記発光素子に熱的に接続されている、請求項1または2に記載の薄型ディスプレイ用のヒートシンク。
【請求項4】
薄型液晶TVの発光素子と熱的に接続されているバックパネルに取り付けられた、少なくとも1つの中空柱状の金属製部品の内側に垂直方向に並列配置された複数枚の放熱フィンと、
複数の前記放熱フィンに少なくとも一部が挿通されて熱的に接続され、主部が前記バックパネルに熱的に接続されて水平方向に配置されている複数のヒートパイプとを備えた、発光素子の熱を自然対流によって放熱する、薄型液晶TV用のヒートシンク。
【請求項5】
前記中空柱状の金属製部品が、前記バックパネルと接続される接続面部と、接続面部と所定の間隙を隔てて対向配置される背面部と、接続面部と背面部を連絡する側壁部とからなる断面が概ねコの字形の部品であり、上方および下方に開放されており、複数の前記放熱フィンが前記側壁部と平行に、前記中空柱状の金属製部品の概ね全長にわたって配置されている、請求項4に記載の薄型液晶TV用のヒートシンク。
【請求項6】
前記中空柱状の金属製部品が垂直方向の中心軸に関して対照的に配置された2つの金属製部品からなり、複数の前記ヒートパイプが棒状または板状のヒートパイプからなり、概ね等間隔で相互に平行かつ、前記中心軸に関して対照的に配置され、それぞれの主部が前記バックパネルの側端部に向かって配置されている、請求項4または5に記載の薄型液晶TV用のヒートシンク。
【請求項7】
前記中空柱状の金属製部品が垂直方向の中心軸に関して対照的に配置された2つの金属製部品からなり、複数の前記ヒートパイプが棒状または板状のヒートパイプからなり、概ね等間隔で相互に平行かつ、前記中心軸に関して対照的に配置され、それぞれの主部がバックパネルの側端部および中央部に向かって配置されている、請求項4または5に記載の薄型液晶TV用のヒートシンク。
【請求項8】
前記中空柱状の金属製部品が垂直方向の中心軸に関して対照的に配置された2つの金属製部品からなり、複数の前記ヒートパイプが棒状または板状のヒートパイプからなり、概ね等間隔で相互に平行かつ、前記中心軸に関して非対照的に配置されている、請求項4または5に記載の薄型液晶TV用のヒートシンク。
【請求項9】
前記中空柱状の金属製部品が垂直方向の中心軸に関して対照的に配置された2つの金属製部品からなり、複数の前記ヒートパイプが、それぞれ水平面上に位置する部分とそれらを接続する垂直面上に位置する部分とからなる概ねコの字形、または、U字形のヒートパイプからなっており、垂直面上に位置する部分が、並列配置された前記放熱フィンの近傍に配置されている、請求項4または5に記載の薄型液晶TV用のヒートシンク。
【請求項10】
前記バックパネルに関して、前記ヒートパイプが前記放熱フィンと同じ側に配置されている、請求項4から9の何れか1項に記載の薄型液晶TV用のヒートシンク。
【請求項11】
前記バックパネルに関して、前記ヒートパイプが前記放熱フィンと反対側に配置されている、請求項9に記載の薄型液晶TV用のヒートシンク。
【請求項12】
前記ヒートパイプが所謂ボトムヒートタイプで配置されている、請求項6から9の何れか1項に記載の薄型液晶TV用のヒートシンク。
【請求項13】
前記放熱フィンの一方の端部が前記バックパネルに直接熱的に接続されている、請求項6から9の何れか1項に記載されている薄型液晶TV用のヒートシンク。
【請求項14】
請求項1から13の何れか1項に記載のヒートシンクが備わった、ディスプレイ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−175523(P2009−175523A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−15047(P2008−15047)
【出願日】平成20年1月25日(2008.1.25)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】