説明

薄板処理方法および薄板処理装置

【課題】薄板の端部の損傷部を除去し薄板が薄くなることによる強度低下を軽減した薄板の処理方法。
【解決手段】端面付近に損傷部を有する金属材料および半導体材料の少なくともどちらか一方を含む薄板の処理方法であって、前記薄板の端面付近をエッチング液等の処理液に浸漬し、その後エッチング液を洗浄することで前記損傷部を除去する薄板処理方法及び薄板の処理装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は太陽電池の作製に用いられる薄板処理方法および薄板処理装置、特に薄板の端部の損傷部をエッチング処理することを特徴とする薄板処理方法および薄板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池用多結晶シリコンの製造方法として、インゴットをスライスする方法が一般的である。また他の技術として特許文献1は、スライス工程を必要としない薄板シリコンの製造方法を開示している。この技術では坩堝内のシリコン融液中に下地板の表層部を浸し、その下地板表面上にシリコン融液を凝固させて薄板シリコンを作製するものである。
【特許文献1】特開2004−331429号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この薄板シリコンをレーザーなどを用いて切断し、商品サイズに整形する。この切断工程により、商品サイズに整形された薄板シリコンの端面には損傷部が残ることがある。薄板シリコン内に損傷部が残っていると、太陽電池用に電極を形成する際に薄板が割れる原因となる。損傷部を除去する方法として、薄板シリコンをアルカリや酸の水溶液によりエッチングを行う方法が一般的である。
【0004】
端面に損傷部を持つ薄板全体をエッチングする場合は、損傷部の少ない領域まで必要以上にエッチングしてしまうために、局所的に薄くなる領域が発生してしまい、割れの原因となる。また、薄くなるのを防ぐために、エッチング量を少なくすると、損傷部が薄板に残り、割れの原因となる。
【0005】
本発明は、上記問題点を解決するものであり、薄板内の損傷部を除去するとともに薄板が薄くなることによる強度低下を軽減した薄板の処理方法およびその処理装置に関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、端面付近に損傷部を有する、金属材料および半導体材料の少なくともどちらか一方を含む薄板の処理方法であって、前記薄板の端面付近を処理液に浸漬することで前記損傷部を除去する薄板処理方法である。ここで処理液はエッチング液であることが望ましい。
【0007】
また本発明は、薄板をその主面が略垂直方向になるように収容することができる薄板の保持容器と、該保持容器を垂直方向および水平方向に所定の距離だけ移動させることができる前記保持容器の移動手段と、該移動手段によって前記保持容器が搬出入され、かつ処理液を収容している処理容器と、該処理容器で処理された後に保持容器が搬出入され、かつ洗浄液を収容している洗浄容器を備え、前記処理容器及び前記洗浄容器は前記移動手段と連動して、前記保持容器を所定角度だけ回転させて、前記薄板の他の端面付近を処理液に浸漬できる容器の回転手段を有する薄板処理装置に関する。
【0008】
ここで処理液はエッチング液であることが望ましい。また前記薄板の保持容器は、移動手段と係合しうる引掛部を備えていることが望ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、端面に損傷部を持つ薄板を、損傷部の領域のみを効果的にエッチングするた
め、局所的に薄くなる領域が発生することはなく割れの原因も軽減できる。また、複数の薄板を保持容器に収納できるため、薄板の迅速な処理が可能となり生産性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の薄板処理方法および薄板処理装置の実施形態を図面に参照しながら以下、説明する。
【0011】
<薄板の保持容器>
図1(A)は、複数の薄板201を収納した保持容器210の側面概略図を示す。また図1(B)は、薄板201を収納した保持容器210の正面概略図を示す。
【0012】
本発明では、複数の薄板を保持容器に収納し、同時に処理、例えばエッチング処理することで生産性を向上できる。薄板201は、保持容器内において略垂直方向に配置され、その端部もしくは端部の一部付近に薄板の損傷部分が位置する。保持容器を後述の処理容器に浸漬する際に、この損傷部分が処理液によって浸漬されるように配置する。ここで略垂直とは垂直方向に±40°の角度範囲に配置されたものをいう。なお薄板の「端面付近」とは、薄板の縦方向、横方向の寸法のう約30%以内の端面領域をいう。
【0013】
保持容器210は、その上部に容器蓋211を備えていることが望ましい。この容器蓋211は、エッチングなどの処理の際に、薄板が処理液の浮力により浮くのを防止する。保持容器210の構造は特に限定されないが、薄板が収納できるように適宜その構造を変更できる。そして薄板の保持容器の移動手段の一部である保持棒220と係合しうる引掛部210Aが付設されている。この引掛部210Aの構造、形状は特に限定されないが、図1(A)、図1(B)に示すように保持容器の底部、側部および頂部を形成する枠体の一部として形成される突起であることが好ましい。該突起と係合する一対の保持棒220は、保持容器210の側面で上下方向および左右方向に動作可能である。
【0014】
図1(B)は保持容器210の正面、即ち保持容器が一対の保持棒220で保持された方向からの概略図を示す。ここでは保持棒220を省略して示している。
【0015】
なお保持容器は、処理液および洗浄液が保持容器内部に容易に浸透し、収納された薄板201の表面に接触できるように、保持容器の外枠は広い空隙ないし窓が形成されることが望ましい。そのため外枠体は棒状体で形成するか、もしくは板状体で形成する場合でも、広い窓が形成される。なお図1(A)、図1(B)において保持容器の外枠が黒く塗り潰されている部分は、保持容器の内外が遮断されている部分を示す。
【0016】
<処理容器>
次に図2(A)に処理液を収容している処理容器に前記保持容器が配置された状態の概略図を示す。図において、処理容器202は、その中に処理液204を収容している。さらに前記処理容器202は処理液を所定温度にまで加熱するためのヒーター206が付設されている。エッチング液の温度を調節することで、エッチング速度を調節できる。本発明において薄板の処理液として、好適にはエッチング溶液が使用される。エッチング溶液は、薄板201がシリコンの場合には酸やアルカリ溶液を用いることが可能である。
【0017】
ここで移動手段の昇降機構を制御することで、処理液における薄板の浸漬面高さは薄板の損傷部分の端部位置に応じて適宜調整される。
【0018】
<移動手段>
ここで、「移動手段」とは、保持容器を処理容器への搬入するための移動手段、保持容器を前記処理容器から搬出し後述の洗浄容器に搬入するための移動手段、保持容器を前記
洗浄容器から搬出するための移動手段を包含する。
【0019】
保持容器を処理容器に搬入するための移動手段は、図2(A)において、移動手段に備えられた保持棒220が保持容器210の引掛部220と係合して保持容器210を保持し、矢印P0の方向に移動し、処理容器内に配置される。かかる移動手段の機構は限定されないが、たとえばガイドレールを使用する機構、回転体を使用する機構、またはロボットアームのような構造を使用する機構などを用いることができる。
【0020】
本発明の移動手段の実施形態を、図4にガードレールを使用する移動手段の例で示している。図において該移動手段420は、水平動作レール410に沿って動作(走行)するスライド体411に取り付けられた昇降機構412を備え、この昇降機構412には懸垂支柱413、該懸垂支柱413に設置された回転機構414、該回転機構414によって動作(回転)する回転支柱415、および台座支柱部416が吊り下げられている。台座支柱部416には保持容器210を保持する保持棒220(図示せず)が接続されている。なお、水平動作レール410は特に限定されないが、たとえば水平方向にのびる軌道を形成していてもよいし、処理容器202の上方で保持容器210が処理容器202方向に移動できるように、浅いU字状の軌道を形成していてもよい。
【0021】
保持容器210の水平方向の移動は、水平動作レール410に沿って、スライド体411を移動させることにより、昇降機構412と懸垂支柱413に吊り下がっている機構全体を水平方向に移動させて行なう。上下(昇降)方向の移動は、昇降機構412が懸垂支柱413に吊り下がっている機構全体を上下方向に移動することにより行なわれる。回転動作は、回転機構414によって行なわれる。
【0022】
本発明において、保持容器210を処理容器202への搬入の際の移動手段、保持容器210を処理容器202から搬出し後述の洗浄容器203に搬入する際の移動手段、さらに保持容器210を洗浄容器203から搬出する際の移動手段は、いずれも上記移動手段で行うことができる。
【0023】
例えば、保持容器210を水平方向に移動させて、処理容器202の上方に配置できるように水平動作レール410を走行させる。そして、処理容器202の上から昇降機構412と懸垂支柱413に吊り下がっている機構全体を下降させることにより、保持容器が処理液204に浸漬される。
【0024】
次いで、昇降機構412を上昇して、保持容器210を処理液204から離脱する。その後、保持容器は、図2(A)の矢印P方向に移動して処理容器から搬出され、さらに図2(B)の矢印P方向に移動して洗浄容器に搬入される。ここで水平方向の移動と昇降動作とは、互いに独立した制御機構によって動作できる。制御機構として、たとえば、パソコンにより、水平方向移動指令と昇降動作移動指令と、傾斜動作指令とをそれぞれプログラミングし、それをコントローラに送信しておくことにより、プログラム通りの任意の軌道を実現することができる。
【0025】
<洗浄容器>
本発明においてエッチングなどで処理された薄板は、保持容器210に収納された状態で洗浄容器203に搬入される。そして薄板は洗浄容器203に収容された洗浄液205で、エッチッグ液などの処理液が洗浄される。ここで洗浄液として、水、アルコール、有機溶剤などが使用できる。
【0026】
<回転手段>
本発明において、処理容器及び/または洗浄容器は、前記保持容器の側面、上面及び、
底面を回転できる回転手段を備えている。
【0027】
図2(B)、図3に基づいて洗浄容器における回転手段の概要を説明する。洗浄容器203には、薄板の洗浄後に保持容器を所定の角度だけ回転できる容器回転手段を備えている。具体的には洗浄容器の底部には底凸部203Cが設けてある。洗浄後、保持容器210の側面を保持棒220で押すことにより底凸部203Cを中心にして、保持容器は、矢印Sの方向に回転移動する。つまり保持容器210の引掛部210Aと処理容器の底凸部203Aが接触し、保持容器210は矢印S方向に90度回転し、処理容器203の左側に回転移動する。なお、保持容器の回転は薄板の各端面のみが浸漬されるように回転方向は調整される。
【0028】
その結果、保持容器の処理液に浸漬されていた底面枠T2は、回転後には垂直方向の側面枠T2’に移動する。一方、処理液に浸漬されていなかった側面枠T1は、回転後にはT1’に移動する。この保持容器の側面枠、底面枠の位置が回転とともに変動し、これに伴い、薄板の端面の位置も変動するので、保持容器を4回(360度)回転することで、薄板のすべての4面の端部が洗浄される。
【0029】
前述のとおり回転手段を洗浄容器で説明したが、処理容器についても同様に適用することができる。そして回転手段は、処理容器または洗浄容器の少なくともいずれかに備えることが好ましい。かかる回転手段を用いることで、薄板の4箇所の端面付近のエッチング処理、洗浄処理が効果的に実施できる。
【0030】
<薄板の製造方法>
本発明の製造方法で使用される薄板の製造方法を図5に基づいて説明する。図5は薄板の製造装置の概略図である。ここで薄板製造装置は、融液に下地板の表層部を浸漬し、下地板の表面に融液が凝固することにより形成される薄板を付着させる浸漬処理により薄板を製造する装置である。図5に示すように、薄板製造装置は、坩堝101と、浸漬装置120とを備えている。坩堝101は、融液102を内部に保持している。浸漬装置120は、坩堝101内の融液102に下地板104を浸漬する。
【0031】
前記坩堝101は、主室(図示せず)内に配置されている。主室内は反応性の高い原料を溶解可能とするために、たとえば真空排気できる部材または不活性ガスを充填できる部材を備えていることが好ましい。たとえばアルゴンなどの不活性ガスが導入され、大気圧よりもやや低い圧力(例えば、700Torr)に保たれる。アルゴンガスを用いた場合には、排気に際し、フィルタ等を通してシリコン酸化物やその他の塵芥を除去し、循環使用する。また、主室内には、融液102の原料の追装機構(図示せず)を有してもよい。
【0032】
融液102は、薄板の材料であれば、特にこれに特に限定されないが、薄板の用途から、金属材料および半導体材料のうち少なくとも一方を含んでいることが好ましい。たとえば融液102として、シリコン、ゲルマニウム、ガリウム、ひ素、インジウム、硼素、アンチモン、亜鉛、錫などの半導体材料や、アルミニウム、ニッケル、鉄などの金属材料等を使用することができる。融液102は、一般的にはシリコン融液が用いられる。
【0033】
加熱手段103は、融液102の温度を維持するため、坩堝101の周囲の全部または一部に配置することが好ましい。加熱手段103は、特に限定されないが、たとえば抵抗加熱、誘導加熱、または赤外線加熱などの金属または半導体原料を融解する一般的な方法を用いることが可能である。
【0034】
浸漬装置120は、たとえばガイドレールを使用する機構、回転体を使用する機構、またはロボットアームのような構造を使用する機構などを用いることができる。具体的には
、浸漬装置120は、水平動作レール110に沿って動作(走行)するスライド体111に取り付けられた昇降機構112を備え、この昇降機構112には懸垂支柱113、懸垂支柱113に設置された回転機構114、回転機構114によって動作する回転支柱115、および台座支柱部116が吊り下げられている。台座支柱部116には下地板104を保持する台座117が接続されている。
【0035】
なお水平動作レール110は、たとえば水平方向に延びる軌道を形成していてもよく、融液102の上で台座117が融液102に近づくように、坩堝101上で浅いU字状の軌道を形成していてもよい。台座117は中央部に、下地板104と係合する係合溝117aを有している。下地板104は、裏面に畝状突起104aを有し、その畝状突起104aと台座117の係合溝117aとが係合し、両者は一体化されている。下地板104における台座117と対向する表面と反対の表面104bは、薄板を製造する面であり、平坦としている。
【0036】
下地板104の材質は、高温の融液102中への浸漬により損傷し難い十分な耐熱性を有していることが好ましい。たとえば、融液102としてシリコン融液を用いる場合には、耐熱性の観点から下地板104の材料としてカーボンを用いることが好ましい。なお、融液102としてシリコン融液を用いる場合には、シリコン融液は1400℃〜1500℃の高温であり、またシリコンの蒸着もあるので、水平動作レールなどの浸漬装置120を保護するため、断熱性または冷却された遮蔽板を坩堝101上に配置することが好ましい。
【0037】
下地板104の水平方向の移動は、水平動作レール110に沿って、スライド体111を移動させることにより、昇降機構112と懸垂支柱113に吊り下がっている機構全体を水平方向に移動させて行なう。上下(昇降)方向の移動は、昇降機構112が懸垂支柱113に吊り下がっている機構全体を上下方向に移動することにより行なわれる。回転動作は、回転機構114によって行なわれる。具体的には、下地板104を水平方向に移動させて、坩堝101内の融液102の上方に配置できるように水平動作レール110を走行させる。
【0038】
そして、融液102の上から昇降機構112と懸垂支柱113に吊り下がっている機構全体を下降させることにより、下地板104の表層部が融液102に浸漬される。この結果、下地板104の表面104bに融液102中のシリコンが付着される。次いで、昇降機構112を上昇して、下地板104を融液102から離脱する。この間、水平方向の移動と昇降動作と下地板傾斜動作とは、互いに独立した制御機構によって動作される。この結果、下地板104は任意の軌道および傾斜状態にて融液102に浸漬され、融液102内を移動し、融液102から離脱する。
【0039】
制御機構として、たとえば、パソコンにより、水平方向移動指令と昇降動作移動指令と、傾斜動作指令とをそれぞれプログラミングし、それをコントローラに送信しておくことにより、プログラム通りの任意の軌道を実現することができる。さらに、制御機構は、連続的に薄板を作製すると液面が徐々に下降し、原料を追装すると液面が上昇するため、浸漬装置120には液面位置に合わせて下地板104の浸漬軌道を調節できる機能を備えていることが好ましい。なお、水平方向移動と、昇降動作移動と、傾斜動作とは、それぞれの動作に1つのモータを割り当てられ、合計3つのモータによって個別に駆動される。
【0040】
上記プログラムは、融液102の液面の変動および下地板104の板厚の変動に対して所定の厚さのシリコン薄板が得られるように、上記3つの独立した移動(動作)を制御する。そして、融液102から離脱した後に下地板104は水平方向に移動され(水平運動になり)、坩堝101から離れた位置でシリコンが付着した下地板を台座117から外す
。このシリコンが付着した下地板からシリコンを分離することにより、シリコン薄板を製造することができる。なお、シリコンが付着した下地板を冷却してから下地板104とシリコン薄板に分離することが好ましい。
【0041】
ここでシリコンの薄板の形状を整えるために薄板の周辺を切断してもよい。切断方法としてはダイヤモンドカッターやレーザーなどを用いることが可能である。但し、薄板の切断面付近には切断による損傷が薄板に残る。そこで薄板の強度を向上させるには薄板の端部付近に生じる損傷部を、エッチング処理などで除去する必要がある。かかる損傷部の除去は前述の方法で実施される。
【実施例】
【0042】
本発明を実施例に基づいて、シリコンの薄板の端面の損傷部のみをエッチングしたときの効果を具体的に説明する。シリコンの薄板を図5に示す方法で製造し、その薄板をレーザーで整形した。薄板のサイズは155mm×155mm×370μmである。エッチング液として87℃の3質量%の水酸化ナトリウム水溶液18リットルを用いた。保持容器にシリコンの薄板を5枚収納した。エッチング条件は次の2通りである。
【0043】
(1) 薄板全体を5分間エッチングした。
(2) 薄板の各端面1cm程度をそれぞれ5分間エッチングした。
【0044】
エッチング後、図6に示すように、基材602の上に薄板の4つの端部E1、E2、E3、E4のうち、端部E2、E4の下部を基材602に設けられた突起P2、P4で支え、他の端部E1、E3を基材方向に徐々に下降させ、薄板が割れるまで荷重を増加し、薄板が割れたときの荷重を測定した。その結果を図7に示す。図7は横軸にエッチング方法、縦軸に薄板が割れたときの荷重を示す。
【0045】
図からエッチング前よりも薄板全体を5分エッチングした方が強度が強いことが分かる。これは、エッチングにより端面のダメージ部が除去されたために強度が向上したことによる。また、薄板全体を5分エッチングするよりも端面(端面5mm)を5分エッチングした方が強度が強いことが分かる。これは、端面のみエッチングすることで、ダメージがない領域をエッチングにより薄くなって割れるのを回避している効果である。
【0046】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明はシリコンなどの半導体材料または金属材料の薄板処理方法および薄板処理装置であり、特にエッチング処理により、強度の高い薄板が製造でき太陽電池の分野で有用である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明に使用される保持容器の概略図である。
【図2】本発明に使用される処理容器と洗浄容器の概略図である。
【図3】本発明に使用される保持容器の回転移動を示す概略図である。
【図4】本発明に使用される移動手段の概略図である。
【図5】本発明に使用される薄板の製造装置の概略図である。
【図6】薄板の強度の試験方法の概略図である。
【図7】薄板のエッチング方法と耐荷重の関係を示す図である。
【符号の説明】
【0049】
101 坩堝、102 原料融液、103 加熱手段、104 下地板、110 水平動作レール、111 スライド体、112 昇降機構、113 懸垂支柱、114 回転機構、115 回転支柱、116 台座支柱部、117 台座、201 薄板、202 処理容器、203 洗浄容器、、203C 底凸部、204 処理溶液、205 洗浄液、206 ヒーター、210 保持容器、210A 引掛部、211 蓋、220A 保持棒。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端面付近に損傷部を有する、金属材料および半導体材料の少なくともどちらか一方を含む薄板の処理方法であって、前記薄板の端面付近を処理液に浸漬することで前記損傷部を除去する薄板処理方法。
【請求項2】
処理液はエッチング液である請求項1記載の薄板処理方法。
【請求項3】
薄板をその主面が略垂直方向になるように収容することができる薄板の保持容器と、
該保持容器を垂直方向および水平方向に所定の距離だけ移動できる前記保持容器の移動手段と、
該移動手段によって前記保持容器が搬出入され、かつ処理液を収容している処理容器と、
該処理容器で処理された後に前記保持容器が搬出入され、かつ洗浄液を収容している洗浄容器を備え、
前記処理容器及び前記洗浄容器は前記移動手段と連動して、前記保持容器を所定角度回転させて、前記薄板の他の端面付近を処理液に浸漬できる容器回転手段を有する、
薄板処理装置。
【請求項4】
処理液はエッチング液である請求項3記載の薄板処理装置。
【請求項5】
前記保持容器は、移動手段と係合しうる引掛部を備えている請求項3記載の薄板処理装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2009−16436(P2009−16436A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−174087(P2007−174087)
【出願日】平成19年7月2日(2007.7.2)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】