説明

薄膜を有する基板の製造方法

【課題】薄膜と基板における密着性、光学特性、生産性に優れ、各種機能を有する薄膜付きの基板を提供すること。
【解決手段】少なくとも以下の(ア)〜(ウ)を有する薄膜形成装置を用いて、基板上にスパッタリング手段により蒸着膜を形成後、該蒸着膜とプラズマ発生手段により発生させたプラズマとを反応させて薄膜を形成する薄膜付き基板の製造方法であって、基板としてアクリル系樹脂(a)及び脂肪族ポリエステル系樹脂(b)を含む樹脂組成物の成形体を用いる薄膜付き基板の製造方法;
(ア)基板搬送手段、
(イ)基板搬送手段の周辺に沿って設けられたスパッタリング手段、
(ウ)基板搬送手段の周辺に沿って、スパッタリング手段から離間して設けられた、プラズマ発生手段。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板と薄膜との密着性に優れた、薄膜付きのプラスチック基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、電気・電子分野、自動車分野等で様々な機能性のプラスチック基板が用いられている。
その中の1つで例えば、液晶テレビに代表される薄型ディスプレイ市場においては、その市場規模の拡大に伴い、より鮮明な画像をより低価格で得たいという要求が高まっている。これを実現するために重要となるのが、各種光学フィルム、シートに代表される機能性プラスチック基板である。この機能性プラスチック基板においては、機能付与を目的として、プラスチック基板表面に様々な薄膜が形成され、これにより高度な機能(光学特性、導電性他)、生産性、耐久性等が実現される。
【0003】
このような基板への薄膜形成方法としては様々な方法が知られている。
【0004】
その中でも、特許文献1に開示される、基板搬送手段の周辺に沿って設けられたスパッタリング手段とプラズマ発生手段とを有する薄膜形成装置を利用して、金属等の蒸着物質の蒸着と蒸着膜の反応を連続して行う方法は、膜形成に要する時間を大幅に短縮し、酸化物、窒化物、水素化物、炭化物等の様々な化合物薄膜を形成することができ、さらに湾曲した基板にも均一な厚みの薄膜を再現性よく形成できるので、好ましい薄膜形成方法である。
【0005】
しかしながら、この方法をプラスチック基板に適用した場合、薄膜と基板との間の密着性が不十分となり、薄膜が剥がれてしまう不具合がある。密着性不足を補うために、基板に表面処理を施したり、密着層を形成した後に薄膜を形成することも行われているが、このような方法では生産性に問題がある。
【0006】
【特許文献1】特許第3064301号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、基板搬送手段の周辺に沿って設けられたスパッタリング手段とプラズマ発生手段とを有する薄膜形成装置を利用して、蒸着と蒸着膜の反応を連続して行う薄膜形成方法を用いて、基板に表面処理や密着層の形成を行うことなく、プラスチック基板上に密着性の高い薄膜を形成することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、基板搬送手段の周辺に沿って設けられたスパッタリング手段とプラズマ発生手段とを有する薄膜形成装置を利用して、蒸着と蒸着膜の反応を連続して行う薄膜形成方法について鋭意検討した結果、プラスチック基板としてアクリル系樹脂と脂肪族ポリエステル系樹脂を含む樹脂組成物の成形体を用いた場合には、予め基板に表面処理や密着層の形成を行わなくても、プラスチック基板上に密着性の高い薄膜を形成することができることを見出し、本発明に至った。
【0009】
すなわち、本発明は、
少なくとも以下の(ア)〜(ウ)を有する薄膜形成装置を用いて、基板上にスパッタリング手段により蒸着膜を形成後、該蒸着膜とプラズマ発生手段により発生させたプラズマとを反応させて薄膜を形成する薄膜付き基板の製造方法であって、基板としてアクリル系樹脂(a)及び脂肪族ポリエステル系樹脂(b)を含む樹脂組成物の成形体を用いる薄膜付き基板の製造方法;
(ア)基板搬送手段、
(イ)基板搬送手段の周辺に沿って設けられたスパッタリング手段、
(ウ)基板搬送手段の周辺に沿って、スパッタリング手段から離間して設けられた、プラズマ発生手段。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、予め基板に表面処理や密着層の形成を行わなくても、基板搬送手段の周辺に沿って設けられたスパッタリング手段とプラズマ発生手段とを有する薄膜形成装置を利用して、蒸着と蒸着膜の反応を連続して行うことにより、プラスチック基板上に密着性の高い薄膜を形成できるので、簡易な方法で光学特性、生産性に優れ、各種機能(反射防止性、導電性、電磁波シールド性、近赤外線吸収性、紫外線カット性、高表面硬度性、ガスバリア性、防汚性等)を有する薄膜付きの基板を提供することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明について具体的に説明する。
【0012】
本発明においては、プラスチック基板に、種々の機能を発現する薄膜が形成される。このような機能としては反射防止性、導電性、電磁波シールド性、近赤外線吸収性、紫外線カット性、高表面硬度性、ガスバリア性、防汚性等が挙げられる。
【0013】
まず、本発明において用いる薄膜形成装置について説明する。
【0014】
本発明においては、基板は、その被薄膜形成面がスパッタリング手段、プラズマ発生手段に向くように基板搬送手段に取り付けられ蒸着物質を蒸着させるためのスパッタリング手段と、これに続く基板に蒸着した物質と反応させるためのプラズマを形成するプラズマ発生手段の下を通過する。
【0015】
本発明で用いる薄膜形成装置における基板搬送手段に特に限定はないが、具体的には、直列並進型基板搬送手段、回転型円筒状ドラム支持体、回転型円筒状ドラムの周囲に巻き付けられた連続移動ベルト等の特許文献1に開示される基板搬送手段が挙げられる。
【0016】
本発明で用いる薄膜形成装置におけるスパッタリング手段としては、ターゲット物質を蒸着できるものであれば特に限定はなく、例えば、平面磁電管やCNAG回転磁電管等を用いることができる。特に、特許文献1に開示される線形マグネトロン増強スパッタリング装置を好ましく用いることができる。
ターゲット物質、すなわちスパッタリング手段により基板に蒸着させる蒸着物質にも限定はなく、例えば、珪素、タンタル、ニオブ、錫、インジウム、チタン等が挙げられる。
【0017】
本発明で用いる薄膜形成装置におけるプラズマ発生手段により発生したプラズマは、基板上にスパッタリング蒸着された材料に衝突して、この材料と化合物を形成する。
したがって、プラズマ発生手段としては、蒸着物質と反応して化合物を形成するためのプラズマを形成できるものであれば特に限定はなく、例えば、平面磁電管等、DC又はRFプラズマを形成できるものを用いることができる。特に、特許文献1に開示される線形マグネトロンイオン源装置を好ましく用いることができる。
発生させるプラズマに限定はないが、特に、酸素、窒素、水素、酸化炭素等の反応性ガスのプラズマが好ましい。
【0018】
本発明で用いる薄膜形成装置においては、基板搬送手段、スパッタリング手段及びプラズマ発生手段が真空チャンバ内に設けられていることが好ましい。
【0019】
スパッタリング手段とプラズマ発生手段は、基板搬送手段の外側、内側又はその両方の周辺に沿って、互いに離間するように設けられる。そのため、蒸着のための細長いゾーンと反応のための細長いゾーンは完全に物理的に分離される。スパッタリング手段とプラズマ発生手段に同様のマグネトロン陰極を用いる場合は、スパッタリング手段の活性ガス(酸素等)の分圧を低くして蒸着を行い、他方、プラズマ発生手段の活性ガスの分圧を高くして、酸化等の反応を生じさせる強い反応プラズマを発生させる。
【0020】
スパッタリング手段、プラズマ発生手段を複数用いることにより、蒸着速度と、蒸着される物質の種類とを増やすことができる。
【0021】
また、スパッタリング手段とプラズマ発生手段の構成に限定はなく、種々の物質を別々、順次又は同時に蒸着させ、反応、たとえば酸化させるために、種々の構成をとることができる。例えば、2つのスパッタリング手段と2つのプラズマ発生手段を選択的に配置し、順次に作動させて、タンタル蒸着及び酸化、チタン蒸着及び酸化を順次行なって、交互に積層したTa25及びTiO2の層を速やかに形成することができる。
【0022】
本発明においては、スパッタリング手段の陰極に負荷する電力と基板搬送速度(回転型円筒状ドラム型搬送手段の場合は回転速度)を調整することにより、基板がスパッタリング装置の下を通過する際に1原子層以上の厚さの蒸着膜を形成することができる。さらに、2つ以上の互いに異なる金属を蒸着するスパッタリング手段を設け、各陰極への電力を調整することによって、所望の比率の合金蒸着膜を効率的に作り出すことができる。例えば、各スパッタリング手段の陰極への電力の割合を調整することによって、Ni及びCrのスパッタリング手段から、広い面積に対して、所望の比率のNiCr薄膜を形成することができる。さらに、プラズマ発生手段により酸素ガスプラズマを発生させることにより、超伝導体材料として知られるバリウム銅イットリウム酸化物等の複雑な酸化物の薄膜を形成することができる。
【0023】
本発明においては、基板搬送手段として回転型円筒状ドラムを用いることにより体積の大きな平らな基板や湾曲した基板にも薄膜を速やかに且つ均一に形成することができる。特に、後述の二重回転遊星歯車取り付け構造を設けることにより、管や多面体等の複雑な形状を有する基板にも、その全周囲にわたって均一に薄膜を形成することができる。
【0024】
また、基板搬送手段として直列並進型のものを用いることにより、大きくて平らな基板上に薄膜を速やかに、大量に、均一に蒸着させることができる。
【0025】
金属蒸着の場合は入力電力あたりの蒸着速度が大きいことと、、蒸着物と熱が多数の基板と大きな基板搬送手段表面に拡散することとが相まって、本発明の薄膜形成方法では、高い蒸着速度が実現でき、また、基板をそれほど加熱しないので、低融点のプラスチック基板上にも被膜を急速に形成することができる。
比較をしてみると、従来の反応性酸化物スパッタリング法では、膜形成速度はターゲットによらず10オングストローム/秒以下であるが、本発明の方法によれば、Ta25については約100−150オングストローム/秒、SiO2については約100オングストローム/秒の膜形成速度が達成できる。
【0026】
次に、本発明における基板について説明する。
本発明において基板とは、薄膜の被形成体を意味し、その形状に限定はなく、平面状及び/又は曲面状の表面を有するフィルム、シート、板、或いは凹凸のある板、湾曲した板、管等が含まれる。
【0027】
本発明において使用する基板は、アクリル系樹脂(a)および脂肪族ポリエステル系樹脂(b)を含む樹脂組成物を成形して得られる。
【0028】
本発明においてアクリル系樹脂とは、アクリル酸、メタクリル酸及びこれらの誘導体の重合体を含む高分子化合物をいう。
【0029】
本発明におけるアクリル系樹脂(a)の具体例としては、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸t−ブチルシクロヘキシル、メタクリル酸メチル等のメタクリル酸エステル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸2−エチルヘキシル等のアクリル酸エステルの群より選ばれる1種以上の単量体を重合したものが挙げられ、単独で又は2種以上混合して用いることができる。
これらの中でも、メタクリル酸メチルの単独重合体又はメタクリル酸メチルと他の単量体との共重合体が好ましい。
【0030】
メタクリル酸メチルと共重合可能な単量体としては、メタクリル酸メチル以外のメタクリル酸アルキルエステル類;アクリル酸アルキルエステル類;スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物類;アクリロニトリル、メタクリルニトリル等のシアン化ビニル類;N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド類;無水マレイン酸等の不飽和カルボン酸無水物類;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸等の不飽和酸類等が挙げられる。
これらメタクリル酸メチルと共重合可能な単量体の中でも、特にアクリル酸アルキルエステル類は耐熱分解性に優れ、これを共重合させて得られるメタクリル系樹脂の成形加工時の流動性が高いため好ましい。
【0031】
これらは一種又は二種以上組み合わせて使用することもできる。
【0032】
メタクリル酸メチルに、アクリル酸アルキルエステル類を共重合させる場合のアクリル酸アルキルエステル類の使用量は、耐熱分解性の観点から0.1重量%以上であることが好ましく、耐熱性の観点から15重量%以下であることが好ましい。0.2重量%以上14重量%以下であることがさらに好ましく、1重量%以上12重量%以下であることがとりわけ好ましい。
【0033】
アクリル酸アルキルエステル類の中でも、特にアクリル酸メチル及びアクリル酸エチルが、0.1〜1重量%といった少量をメタクリル酸メチルと共重合させてるだけでも前述の成形加工時の流動性の改良効果が著しく得られるため、最も好ましい。
【0034】
アクリル系樹脂(a)の重量平均分子量は5万〜20万であることが好ましい。重量平均分子量は成形品の強度の観点から5万以上であることが好ましく、成形加工性、流動性の観点から20万以下であることが好ましい。さらに好ましい範囲は7万〜15万である。
また、本発明においてはアイソタクチックポリメタクリル酸エステルとシンジオタクチックポリメタクリル酸エステルを同時に用いることもできる。
【0035】
アクリル系樹脂(a)を製造する方法として、例えばキャスト重合、塊状重合、懸濁重合、溶液重合、乳化重合、アニオン重合等の一般に行われている重合方法を用いることができるが、光学用途としては微小な異物の混入はできるだけ避けることが好ましく、この観点からは懸濁剤や乳化剤を用いない塊状重合や溶液重合が望ましい。
溶液重合を行う場合には、単量体の混合物をトルエン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素の溶媒に溶解して調製した溶液を用いることができる。塊状重合により重合させる場合には、通常行われるように加熱により生じる遊離ラジカルや電離性放射線照射により重合を開始させることができる。
【0036】
重合反応に用いられる開始剤としては、ラジカル重合において用いられる任意の開始剤を使用することができ、例えばアゾビスイソブチルニトリル等のアゾ化合物、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート等の有機過酸化物が用いることができる。
また、特に90℃以上の高温下で重合を行わせる場合には、溶液重合が一般的であるので、10時間半減期温度が80℃以上でかつ用いる有機溶媒に可溶である過酸化物、アゾビス開始剤などが好ましい。具体的には、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、シクロヘキサンパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、1,1−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル等を挙げることができる。
これらの開始剤は0.005〜5重量%の範囲で用いることが好ましい。
【0037】
重合反応に必要に応じて用いられる分子量調節剤としては、ラジカル重合において用いる任意のものが使用でき、例えばブチルメルカプタン、オクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、チオグリコール酸2−エチルヘキシル等のメルカプタン化合物が特に好ましいものとして挙げられる。
これらの分子量調節剤は、アクリル系樹脂(a)の重合度が好ましい範囲内に制御されるような濃度範囲で添加される。
【0038】
本発明の脂肪族ポリエステル系樹脂(b)としては、例えば、脂肪族ヒドロキシカルボン酸を主たる構成成分とする重合体、脂肪族多価カルボン酸と脂肪族多価アルコールの重縮合体を主たる構成成分とする重合体などが挙げられる。
なお、本発明において主たる構成成分であるとは、該構成成分が50重量%以上を占めることをいう。
【0039】
脂肪族ヒドロキシカルボン酸を主たる構成成分とする重合体の具体例としては、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリ3−ヒドロキシ酪酸、ポリ4−ヒドロキシ酪酸、ポリ4−ヒドロキシ吉草酸、ポリ3−ヒドロキシヘキサン酸およびポリカプロラクトンなどが挙げられ、脂肪族多価カルボン酸と脂肪族多価アルコールの重縮合体を主たる構成成分とする重合体の具体例としては、ポリエチレンアジペート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンアジペートおよびポリブチレンサクシネートなどが挙げられる。
これらの脂肪族ポリエステルは、単独ないし2種以上を用いることができる。
【0040】
これらの脂肪族ポリエステル系樹脂(b)の中でも、ヒドロキシカルボン酸を主たる構成成分とする重合体が好ましく、特にポリ乳酸系樹脂が好ましく使用される。
本発明において、ポリ乳酸系樹脂とは、L−乳酸及び/又はD−乳酸を主たる構成成分とする重合体である。
【0041】
ポリ乳酸系樹脂において、L−乳酸単位と、D−乳酸単位の構成モル比は、L−体とD−体あわせて100%に対し、L体ないしD体いずれかが85%以上が好ましく、さらに好ましくは一方が90%以上であり、さらに好ましくは一方が94%以上の重合体である。本発明においてはL−乳酸を主体とするポリL乳酸とD−乳酸を主体とするポリD乳酸を同時に用いることもできる。
ポリ乳酸系樹脂は、L体ないしD体以外の乳酸誘導体モノマー又は、ラクチドと共重合可能な他成分を共重合していてもよく、このような成分としてはジカルボン酸、多価アルコール、ヒドロキシカルボン酸、ラクトン等が挙げられる。
ポリ乳酸系樹脂は、直接脱水縮合、ラクチドの開環重合等公知の重合法で重合することができる。また必要に応じてポリイソシアネート等の結合剤を用いて、高分子量化することもできる。
ポリ乳酸系樹脂の好ましい重量平均分子量範囲は、機械的性質の観点から重量平均分子量が30,000以上であることが好ましく、加工性の観点から1000,000以下であることが好ましい。さらに好ましくは50,000〜500,000、最も好ましくは100,000〜280,000である。
【0042】
ポリ乳酸系樹脂には、本発明の目的を損なわない範囲で、乳酸以外の他の共重合成分0.1〜30重量%を含んでいてもよい。かかる他の共重合成分単位としては、例えば、多価カルボン酸、多価アルコール、ヒドロキシカルボン酸、ラクトンなどが挙げられ、具体的には、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、フマル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−テトラブチルホスホニウムスルホイソフタル酸などの多価カルボン酸類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘプタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ノナンジオ−ル、デカンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ビスフェノールA、ビスフェノールにエチレンオキシドを付加反応させた芳香族多価アルコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどの多価アルコール類;グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシ安息香酸などのヒドロキシカルボン酸類;グリコリド、ε−カプロラクトングリコリド、ε−カプロラクトン、β−プロピオラクトン、δ−ブチロラクトン、β−又はγ−ブチロラクトン、ピバロラクトン、δ−バレロラクトンなどのラクトン類などを使用することができる。
これらの共重合成分は、単独ないし2種以上を用いることができる。
【0043】
脂肪族ポリエステル系樹脂(b)の製造方法としては、既知の重合方法を用いることができ、特にポリ乳酸系樹脂については、乳酸からの直接重合法、ラクチドを介する開環重合法などを採用することができる。具体的には、例えば辻秀人著「Polylactide」in Biopolymers Vol.4(Wiley−VCH 2002年刊)PP129−178や、特表平05−504731号公報の方法を好ましく用いることができる。
【0044】
本発明においては、耐加水分解抑制剤を加えることにより、脂肪族ポリエステル系樹脂(b)成分の加水分解による分子量低下を抑えることが可能となり、例えば強度低下等を抑えることができる。このような耐加水分解抑制剤としては、脂肪族ポリエステル樹脂(b)の末端官能基であるカルボン酸及び水酸基との反応性を有する化合物、例えばカルボジイミド化合物、イソアネート化合物、オキソゾリン系化合物などが挙げられる。特に、分子中に1個以上のカルボジイミド基を有するカルボジイミド化合物(ポリカルボジイミド化合物を含む。)は、脂肪族ポリエステル樹脂(b)とよく溶融混練でき、3重量%以下といった少量添加で加水分解を抑制できるため好適である。
【0045】
分子中に1個以上のカルボジイミド基を有するカルボジイミド化合物(ポリカルボジイミド化合物を含む。)としては、例えば、触媒として有機リン系化合物又は有機金属化合物を用い、各種ポリマーイソシアネートを約70℃以上の温度で、無溶媒又は不活性溶媒中で脱炭酸縮合反応に付することにより合成することができるもの等が挙げられる。
ポリカルボジイミドとしては、種々の方法で製造したものを使用することができるが、基本的には従来のポリカルボジイミドの製造方法(米国特許第2941956号明細書、特公昭47−33279号公報、J.0rg.Chem.28, 2069−2075(1963)、Chemical Review l981,Vol.81No.4、p619−621)により製造したものを用いることができる。
ポリカルボジイミドを製造するための原料である有機ジイソシアネートとしては、例えば芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネートやこれらの混合物を挙げることができ、具体的には、1,5−ナフタレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネートと2,6−トリレンジイソシアネートの混合物、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4′−ジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、2,6−ジイソプロピルフェニルイソシアネート、1,3,5−トリイソプロピルベンゼン−2,4−ジイソシアネートが挙げられる。
【0046】
耐加水分解抑制剤の好ましい量は、アクリル系樹脂(a)成分、脂肪族ポリエステル系樹脂(b)成分あわせて100重量部に対し、耐加水分解抑制剤を0.01〜50重量部であることが好ましい。耐加水分解抑制効果の発現の観点から0.01重量以上が好ましく、光学特性の観点から50重量部以下が好ましい。より好ましい範囲は、0.01〜30重量部の範囲であり、さらに好ましくは、0.1〜30重量部である。
【0047】
本発明においてアクリル系樹脂(a)と脂肪族ポリエステル系樹脂(b)を含む樹脂組成物におけるアクリル系樹脂(a)の割合(重量部)の範囲は、アクリル系樹脂(a)と脂肪族ポリエステル系樹脂(b)の合計量100重量部に対して、薄膜との密着性、光弾性係数、リタデーション、強度、耐熱性等の点から0.1重量部以上99.9重量部以下であることが好ましく、20重量部以上95重量部以下であることがさらに好ましく、40重量部以上90重量部以下であることがとりわけ好ましい。
【0048】
本発明基板は、その光弾性係数が−13×10-12/Pa以上、12×10-12/Pa以下であることが好ましい。光弾性係数とは、外力による複屈折の変化の生じやすさを表す係数で、種々の文献に記載があり(例えば化学総説、No.39、1998(学会出版センター発行))、下式により定義される。
R[/Pa]=Δn/σR
ここで、σRは伸張応力[Pa]、Δnは応力付加時の複屈折であり、Δnは下式により定義される。
Δn=nx−ny
ここで、nxは伸張方向と平行な方向に偏光面を有する光に対する屈折率、nyは伸張方向と垂直な方向に偏光面を有する光に対する屈折率である。
光弾性係数の値がゼロに近いほど外力による複屈折の変化が小さいことを示しており、各用途において設計された複屈折の変化が小さいことを意味し、光学特性に優れることになる。
【0049】
基板の光弾性係数の値は−10×10-12/Pa以上、9×10-12/Pa以下であることがさらに好ましく、−5×10-12/Pa以上、5×10-12/Pa以下であることがとりわけ好ましい。光弾性係数をこのような値にコントロールすることは、アクリル系樹脂(a)と脂肪族ポエステル系樹脂(b)の配合比を調整すること等により行うことができる。
【0050】
さらに、本発明の基板に使用する樹脂組成物には効果を著しく損なわない範囲内で、各種目的に応じて任意の樹脂成分、添加剤を配合することができる。
任意に配合してもよい樹脂成分としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリスチレン、スチレンアクリロニトリル共重合体等のスチレン系樹脂;ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、脂肪族以外のポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアセタール等の熱可塑性樹脂;およびフェノール樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂などが挙げられ、1種以上を用いることができる。
【0051】
添加剤としては,樹脂やゴム状重合体の配合に一般的に用いられるものであれば特に制限はない。無機充填剤,酸化鉄等の顔料;ステアリン酸,ベヘニン酸,ステアリン酸亜鉛,ステアリン酸カルシウム,ステアリン酸マグネシウム,エチレンビスステアロアミド等の滑剤;離型剤;パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイル、パラフィン、有機ポリシロキサン,ミネラルオイル等の軟化剤・可塑剤;ヒンダードフェノール系酸化防止剤、りん系熱安定剤等の酸化防止剤;ヒンダードアミン系光安定剤;ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤;難燃剤;帯電防止剤;有機繊維,ガラス繊維,炭素繊維,金属ウィスカ等の補強剤;着色剤;その他添加剤等が挙げられる。
【0052】
本発明の基板に使用される樹脂組成物の製造方法は、特に制限されるものではなく、公知の方法が利用できる。例えば単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ブラベンダー、各種ニーダー等の溶融混練機を用いて、必要に応じて耐加水分解抑制剤や上記その他の成分を添加して溶融混練して製造することができる。
【0053】
本発明における基板の好ましい形態としてはフィルムやシートが挙げられる。
基板の成形方法としては、特に制限されるものではなく、射出成形、シート成形、ブロー成形、インジェクションブロー成形、インフレーション成形、押出成形、発泡成形、キャスト成形等、公知の方法で基板に成形することが可能であり、圧空成形、真空成形等の二次加工成形法も用いることができる。中でも、押出成形、キャスト成形が好ましく用いられる。
このとき例えば、Tダイ、円形ダイ等が装着された押出機等を用いて、未延伸のフィルムやシートを押出成形することができる。押出成形により成形品を得る場合は、事前に各種樹脂成分、添加剤等を溶融混練した材料を用いることもできるし、押出成形時に溶融混練を経て成形することもできる。また、各種樹脂成分に共通な溶媒、例えばクロロホルム、二塩化メチレン等の溶媒を用いて、各種樹脂成分を溶解後、キャスト乾燥固化することにより未延伸のフィルムやシートをキャスト成形もすることができる。
さらに必要に応じて、未延伸のフィルムやシートを機械的流れ方向に縦一軸延伸、機械的流れ方向に直行する方向に横一軸延伸することができる。また、ロール延伸とテンター延伸の逐次2軸延伸法、テンター延伸による同時2軸延伸法、チューブラー延伸による2軸延伸法等によって延伸することにより2軸延伸フィルムを製造することもできる。
【0054】
次に、薄膜形成方法の具体例を概略図を用いて説明する。
【0055】
図1及び図2は、それぞれ、本発明における薄膜形成装置の具体例の略斜視図及び水平断面図である。薄膜形成装置10は、図2に示されている適当な真空ポンプシステム12に接続されている真空チャンバ11を備えている。該真空ポンプシステムは、排気ポート13を介して該真空チャンバ11を排気し、クライオポンプその他適当な真空ポンプ又はその組み合わせを包含する。
薄膜形成装置10は基板搬送手段としてケージ型のドラム14を有し、このドラムは、軸16の周囲に回転可能に取り付けられ、様々な形状及び寸法の基板15を取り付けるようになっている円柱側面を持っている。基板15は、該ドラムの外周面の周囲に離間して位置するスパッタリング手段の向けて外向きに、又は該ドラムの内周面に沿って離間するスパッタリング手段に向けて内向きに配置して、直接にドラム14上に取り付けることができる。
【0056】
装置10には、図3に示すように、ドラム14と組み合わせて、又はドラム14の代わりに、一つ以上の二重回転運動遊星歯車取り付け装置25を設けることができる。この二重回転遊星歯車装置は、ドラムのみに設けてもよいし、或は、ドラムに取り付けられた単独回転(遊星回転しない)基板15と組み合わせて設けることができる。この遊星歯車装置は管状の基板18を載せて、これに二重回転運動を与える。太陽歯車19は、付属の遊星歯車21を、その回転軸21Aの周囲、かつ該太陽歯車の回転軸16Aの周囲を回転させる。図3の例においては、遊星歯車21は一連の歯車22に接続され、該歯車22はシャフトに取り付けられてその軸22Aの周囲を回転する。一方、管状の基板18は遊星歯車支持シャフトに取り付けられ、該シャフトと共に軸22Aの周囲を回転する。この遊星歯車取り付け装置により、ドラム14と太陽歯車19とが軸16Aの周囲の可逆経路16Pに沿って回転すると、遊星歯車21は軸21Aの周囲の経路21Pに沿って回転し、この運動は歯車22により軸22Aの周囲の経路18Pに沿う管状の基板18の回転運動に変換される。太陽歯車19と遊星歯車21とのこの二重回転運動は、管状の等の複雑な形状を有する基板の全体に薄膜を均一に形成する能力を高める。
【0057】
装置10においては、複数のスパッタリング手段及びプラズマ発生手段がドラム14の外周面の回りに配置されている。一例においては、スパッタリング手段26はシリコン等の材料を基板に蒸着させ、スパッタリング手段27はタンタル等の別の材料を蒸着基板にさせ、プラズマ発生手段28は酸素等のガスプラズマを発生させて基板上の蒸着膜と反応させて、蒸着膜を酸化物に変換する。このようにして、ドラム14を回転させ、スパッタリング手段及びプラズマ発生手段26、27及び28を選択的に作動させることにより、金属及び/又はその酸化物を、任意の組み合わせで基板上に選択的に形成することができる。
【0058】
例えば、ドラム14を回転させ、26、28、27、28の順で各手段を順次作動させることにより、薄膜形成装置10は数原子の厚みのシリコン層を形成し、該シリコンをSiO2に酸化し、次に数原子の厚みのタンタル層を蒸着し、そのタンタルをTa25に酸化することができる。この手順を繰り返し、また必要に応じて変更して、精密に制御された厚みのSiO2及びTa25の複合光学被膜を形成することができる。
【0059】
プラズマ発生手段28としては、スパッタリング手段28と27のガスをアルゴンから酸素に代える以外は、スパッタリング手段28と27と同一のものを用いてもよい。
【0060】
スパッタリング手段26及び/又は27に線形マグネトロン増強スパッタリング装置30を使うと共に、プラズマ発生手段28に別の種類の装置を用いて、酸化物誘電体薄膜等を形成することもできるし、スパッタリング手段26及び/又は27とプラズマ発生手段28に、同じ種類の邪魔板付き線形マグネトロン増強スパッタリング装置30を使用することもできる。いずれの場合にも、スパッタリング手段及びプラズマ発生手段は、別々の分圧領域又はチャンバに納まり、連続的に回転するドラムにより、基板がそれらの下を交互に通過する。
スパッタリングとプラズマ発生との両方に邪魔板付き線形マグネトロン増強スパッタリング装置30を使う場合、該装置30は、シリコン、タンタル、ニオブ、錫、インジウム、チタン等の金属のターゲットを用いて、真空チャンバ10内で酸素雰囲気中で比較的に高い出力密度で作動させられる。スパッタリング手段26、27として用いる線形マグネトロン増強スパッタリング装置30は、比較的低い反応性ガス(酸素)分圧の下で操作することによって、高速度で蒸着を行う。このような低い酸素分圧は、マニホルド37からアルゴンのような不活性ガスを供給することにより実現できる。一方、プラズマ発生手段28として用いる線形マグネトロンスパッタリング装置30は、比較的高い反応性ガス分圧の下で操作することによって、非常に低速度で搬送基板上に蒸着を行うとともに、高速度で蒸着膜を酸化する。このような非常に低速度の蒸着は全体の蒸着速度にほとんど影響を与えないので、全体的な制御に影響を与えることなく、チャンバ内の酸素と蒸着膜との反応を促進する高反応性のプラズマを発生することができる。その結果、全体としては比較的低い酸素分圧を使用することができ、これにより、スパッタリング手段の安定性と蒸着速度が高まる。このような反応性スパッタリング方法では、高速で蒸着され、完全に酸化され、良好な光学的性質を持つ再現可能な薄膜を形成できる。
【0061】
別の薄膜形成装置の具体例を図4に示す。この装置60は、真空チャンバの相対する側に位置する一対のクライオポンプ(真空ポンプ)12−12、基板搬送手段であるドラム14の内側に設けられた外方を向いた複数のシリコンスパッタリング手段26及びタンタルスパッタリング手段27、及びドラム14の外側に設けられた内方を向いたプラズマ発生(酸化)手段28を備えている。この薄膜形成装置は、管等の形状を有する基板の周囲を内側スパッタリング手段及び外側プラズマ発生手段の両方に均等に露出させるために、遊星歯車基板取り付け駆動装置25を備えている。この遊星歯車基板取り付け装置と、複数のシリコンスパッタリング手段、タンタルスパッタリング手段及びプラズマ発生(酸化)手段により、シリコン及びタンタル層の形成及びこれらの層の酸化を高速で多数の基板に対して行なうことができる。例えば、SiO2及びTa2O5から成る複合層は、複数のシリコンスパッタリング手段26を同時に作動させ、次に、図4右上のプラズマ発生(酸化)手段28を作動させ、次に全てのタンタルスパッタリングスパッタリング手段27を同時に作動させ、次に図4左下のプラズマ発生(酸化)手段28を作動させることにより形成することができる。
【0062】
さらに他の具体例を図5に示す。この装置65は、一対の真空ポンプシステム12−12と、4つの回転ドラムすなわち基板搬送手段14とを備えており、その各々に、シリコンスパッタリング装置26及びタンタルスパッタリング手段27及びプラズマ発生(酸化)手段28を有する。
【0063】
さらに別の具体例を図6に示す。この装置70は、本発明の薄膜形成方法を可撓性シート基板に適用するものである。この装置70は、従来、誘電体材料等の薄膜を可撓性基板のロール上に蒸着させようとする場合の問題であった基板温度の上昇と低蒸着速度の問題を起こさずに、単層又は多層の誘電体薄膜を高速でスパッタリング蒸着させるものである。
この装置70は、回転ドラム14Aと、内側巻き戻しロール71と、内側巻き取りロール72とを有し、これらは、共同して、基板である可撓性シート又は基板搬送ベルト73を、巻き戻しロール71から巻き戻し、ドラム14Aの周囲を連続的に移動させてスパッタリング手段26、27、プラズマ発生手段28の下を通過させ、内側巻き取りロール72上に巻き取る。
この装置70を使って、可撓性シート基板73自体の上に、又は基板搬送ベルト上に取り付けられている基板15上に、薄膜を形成することができる。
【0064】
装置70において多層膜を形成する場合は、可撓性シート又は基板搬送ベルト73を巻き直し、薄膜形成プロセスを繰り返す。
【0065】
以上に述べた回転型の基板搬送手段を有する薄膜形成装置の操作例について説明する。
初めに、基板を回転型基板搬送手段であるドラムの周囲に取り付ける。次に、真空チャンバを例えば1×10-6torrまで排気して、所定速度のドラム回転を開始させる。次に、スパッタリングガス(例えばアルゴン)を入り口マニホルドを通して流通させると共に付属の電源から電力を陰極に供給して、スパッタリング装置を始動させる。蒸着を開始するまでは、蒸着を阻止するためにスパッタリング手段のシャッターを閉じておく。スパッタリング手段を始動後、プラズマ発生手段40を始動させる。入り口マニホルドから酸素その他の所望の反応性ガス又はその混合物を流入させ、かつ電源から電力を供給して、プラズマ発生手段を始動させる。スパッタリング手段とプラズマ発生手段の動作状態が安定し、すなわち電力、ガス流量及びガス圧が安定し、ドラムが一定の回転速度で作動して、安定した蒸着及び酸化が可能になったら、スパッタリング手段とプラズマ発生手段のシャッターを選択的に聞くことによって、所望の蒸着及び酸化を進行させることができる。
例えば、4つのスパッタリング手段及び酸化用プラズマ発生手段を、金属1のスパッタリング手段、酸化用プラズマ発生手段、金属2のスパッタリング手段及び酸化用プラズマ発生手段の順にドラム14の周囲に配置して、シャッター開放の組み合わせにより下記の薄膜を得ることができる。
1.金属1の蒸着、酸化、金属2の蒸着、酸化→金属1上に金属2の酸化物;
2.金属1、金属2、酸化→金属1上に金属2の酸化物;
3.金属1、酸化、金属2→金属1酸化物上に金属2;
4.金属2、金属1、酸化→金属2上に金属1の酸化物;
5.金属2、酸化、金属1→金属2の酸化物上に金属1;
6.金属1及び金属2を同時(すなわち、金属1のスパッタリング手段のシャッターと金属2のスパッタリング手段のシャッターとを同時に開く)→金属1と金属2との混合物;
7.金属1と金属2を同時、酸化→金属1と金属2との混合酸化物
【0066】
複数のスパッタリング手段を用いることにより、種々の物質から無数の組み合わせの多層薄膜を形成することができる。
二種類以上の金属及び/又はその他の物質の混合物を形成する場合には、スパッタリング手段のシャッターを開いたまま保持し、その電力、圧力、開口寸法及び/又は数を調整することによって、一方の金属(物質)の、他方の金属(物質)に対する蒸着量比を変えることができる。
また、一般に、化合物、混合物のいずれであっても、層の厚さは、スパッタリング手段のシャッターが開いている時間の長さにより決定される。
【0067】
例えば、基板平面に対して垂直な方向において組成が連続的に変化する膜、従って光学的性質が連続的に変化する膜も形成できる。組成の設定は、スパッタリング装置に供給される電力を連続的に又は周期的に変化させることにより、又はスパッタリング装置のシャッター開口を連続的に変えることによって、行なうことができる。
【0068】
次に、直列並進型の基板搬送手段を有する薄膜形成装置について説明する。
図7は、平らな基板に薄膜を形成するのに適した直列並進型の基板搬送手段を有する薄膜形成装置の略図である。装置80は、前述の回転型に対して、非常に大きな、平らな基板を被覆することができるという長所を持っている。装置80は三つの基本チャンバ、即ち、装填用真空チャンバ81、真空処理チャンバ82、及び取り出し用真空チャンバ83を有する。各チャンバには、独立のポンプシステム84と、独立の高真空弁86とが備えられている。真空処理チャンバ82は、真空ロック87及び88で、装填用真空チャンバ及び取り出し用真空チャンバから絶縁することができる。基板は、装填用真空チャンバ83の真空ロック87、すなわちドア89を通して装置に装填され、取り出し用真空チャンバ83の真空ロック91を通して装置から取り出される。図7にその断面が示されているチャンバは、水平又は垂直に装置することのできる薄い、平らな箱である。
【0069】
無端コンベヤベルト92、93、94等の基板搬送手段がチャンバ内に設けられている。
【0070】
装填用コンベヤ92は、位置95の基板を装填用真空チャンバ81から真空ロック87を通して真空処理チャンバ82内の位置96へ移動させるのに用いられる。真空処理チャンバコンベヤ93は、基板を、速やかに一定の速度で入り口位置95から99の方向にスパッタリング手段、プラズマ発生手段101−104の下を通過させて位置97へ搬送し、そして基板を100の方向に搬送して位置96へ戻す。取り外し用コンベヤ94は真空ロック88で基板を受取り、これを取り外し用真空チャンバ83の中に運び込む。場合により、装填用真空チャンバ81と取り外し用真空チャンバ83の外側にコンベヤを配置して、基板を装填用真空チャンバ81に送り、基板を取り外し用真空チャンバ83から取り出すことができるように構成することができる。
【0071】
上記の通り、真空処理チャンバ82は、外側プラズマ発生手段101、中間又は内側のスパッタリング手段102及び103、及びプラズマ発生手段104を含む4つを内蔵している。
各スパッタリング手段102、103、プラズマ発生手段101、104の間には、これらを絶縁する邪魔板106を備えている。
【0072】
スパッタリング手段、プラズマ発生手段は、搬送方向99、100に沿って、細長い蒸着ゾーン及び反応ゾーンを形成するように設定され、これらのゾーンは基板搬送手段の幅方向において基板より大きい。
【0073】
図8に示されている例においては、真空処理チャンバ82Aは、図7の装置80のようにスパッタリング手段、プラズマ発生手段が一列107に並ぶ代わりに、スパッタリング手段及びプラズマ発生手段を上下2段に備えている。図8に示されている構成では、基板96の両側に同時に薄膜形成することができると共に、背中合わせに取り付けた二つの基板の各々の一方の側を同時に被覆することができる。
図9は、真空処理チャンバ82と、取り外し用真空チャンバとしても機能する装填用真空チャンバ81とからなる別の例80Bを示す。この例は、コスト又はスペースの関係で独立した装填用真空チャンバ及び取り外し用真空チャンバを設けることができない場合に利用することができるものである。
図10は、装填用真空チャンバ81と、取り外し用真空チャンバ83と、真空ロック109により分離された二つの独立の処理チャンバ82−82から成る真空処理チャンバ82Bとを包含する第3の例80Cを示す。この例は、装置全体の処理量を向上させるために、又はのスパッタリング手段、プラズマ発生手段二つの列107−107での反応を高度に絶縁しなければならない場合に有用である。
【0074】
図7〜図10の直列並進型薄膜形成装置の操作例について説明する。
初めに、真空ロック即ちドア87、88及び91を閉じ、取り出し用真空チャンバ83を約10-6torrの背景圧まで排気する。次に基板92を真空ロック89を通して装填用真空チャンバ81に装入し、次に真空ロック89を閉じて装填用真空チャンバを一般的には10-6torrまで排気する。次にロック87を開き、基板を真空処理チャンバ82内の位置96へ送り込み、ロック87を閉じ、アルゴンをスパッタリング手段102及び103へ入れる。次に電力をスパッタリング手段102及び103の陰極に供給して、スパッタリング手段102で金属M1を、スパッタリング手段103で金属M2をスパッタリングし始める。この期間中、スパッタリング状態が安定するまで、スパッタリング手段102及び103のシャッターは閉じておく。次に酸素等の反応性ガスをプラズマ発生手段101及び104に入れ、適当なバイアス電圧をプラズマ発生手段に加えて作動させる。
【0075】
薄膜形成を開始させるため、スパッタリング手段102の開口を覆うシャッターを開いて、基板96を方向99に位置97へ一定速度で送り、次に反対方向100に位置96に戻す。一般的には3原子層を越えない蒸着膜が1回の搬送で蒸着されると共に、約20オングストロームの酸化物が1往復の搬送で形成されるように、搬送速度及びスパッタリング条件を調整する。金属M1の所望の厚みの酸化物が基板上に形成されるまで、この前進及び逆行の搬送サイクルを繰り返す。それが形成された時点で、スパッタリング手段102のシャッターを閉じる。
【0076】
次にスパッタリング手段103を覆うシャッターを開き、前述のプロセスを繰り返して金属M2の層を所望の厚みまで蒸着させる。所望の多層組み合わせが基板上に蒸着されるまで、この二つの金属酸化物蒸着ステップを繰り返すことができる。また、基板がスパッタリング手段及びプラズマ発生手段の列107を通過する際にプラズマ発生手段のシャッターを閉じておくことにより、金属M1及び/又はM2の層を設けることができる(すなわち、金属を、酸化させずに形成することができる)。
【0077】
所望の薄膜が形成された後、取り外し用真空チャンバ83内の圧力を、真空処理チャンバ82内の圧力と同等の圧力まで上昇させる。真空ロック88を開き、薄膜が形成された基板97を取り外し用真空チャンバ83内の位置98へ搬入する。真空ロック88を閉じて取り外し用真空チャンバ83を大気圧まで昇圧させる。次に、位置94の基板を取り外し用真空チャンバから取り出すことができるように、ロック91を開く。
直列並進型基板搬送手段を有する装置80では、装填用真空チャンバ81への新しい基板の装入と、先に処理された基板の取り外し用真空チャンバ83からの取り出しとを薄膜形成プロセスと同期させ、連続モードで運転することもできる。
【0078】
次に、実施例で用いた評価法、プラスチック基板について説明する。
<1>評価方法
<1−1>視感度反射率の測定
以下の測定機を用いて行った。
測定機:島津製作所社製フォトダイオードアレイ分光光度計「MultiSpec−1500」
<1−2>全光線透過率の測定
以下の測定機を用いて行った。
測定機:村上色彩技術研究所社製積分球式分光透過率測定機「DOT−3C」
<1−3>表面抵抗値の測定
以下の測定機を用いて行った。
測定機:三菱化学社製接触式表面抵抗計「MCP−T360」
<1−4>薄膜の基板に対する密着性の測定
以下の規格に準じた。テープ剥離試験を行い、薄膜が残った面積(剥離しなかった面積)の割合(%)を測定した。薄膜が全て残ったとき(剥離がなかったとき)は100%となり、全て剥離したときは0%となる。この値が大きいほど良好な結果と判断される。(規格では6段階に分類され、分類0の剥離なき状態は100%に相当し、分類6の剥離状態は0%に相当することになる。)
規格 :JIS K5600−5−6
<1−5>基板に用いた樹脂の分子量
GPC[東ソー製GPC−8020、検出RI,カラム昭和電工製Shodex K−
805,801連結]を用い、溶媒はクロロホルム、測定温度40℃で、市販標準ポリス
チレン換算で重量平均分子量を求めた。
【0079】
<2>用いた原材料、フィルムについて
<2−1>アクリル系樹脂(a)(メタクリル酸メチル/アクリル酸メチル共重合体)(P−1)
メタクリル酸メチル89.2重量部、アクリル酸メチル5.8重量部、およびキシレン5重量部からなる単量体混合物に、1,1−ジ−t−ブチルパ−オキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン0.0294重量部、およびn−オクチルメルカプタン0.115重量部を添加し、均一に混合する。
この溶液を内容積10リットルの密閉式耐圧反応器に連続的に供給し、攪拌下に平均温度130℃、平均滞留時間2時間で重合した後、反応器に接続された貯槽に連続的に送り出し、一定条件下で揮発分を除去し、さらに押出機に連続的に溶融状態で移送し、押出機にてアクリル系樹脂(a)であるメタクリル酸メチル/アクリル酸メチル共重合体(P−1)のペレットを得た。
得られた共重合体(P−1)のアクリル酸メチル含量は6.0重量%、ASTM−D1238に準拠して測定した230℃、3.8キログラム荷重のメルトフローレート値は1.0g/10分であった。
【0080】
<2−2>脂肪族ポリエステル系樹脂(b)(ポリ乳酸)(P−2)
特表平05−504731号公報に記載の方法に従って、錫系触媒を用いたラクチドの開環重合法により脂肪族ポリエステル系樹脂(b)であるポリ乳酸(L乳酸とD乳酸の共重合体)(P−2)のペレットを得た。
得られたポリ乳酸(P−2)の重量平均分子量は176,000であった。
【0081】
<2−3>基板
テクノベル製Tダイ装着押し出し機(KZW15TW−25MG−NH型/幅150mmTダイ装着/リップ厚0.5mm)のホッパーに、P−1、P−2のそれぞれのペレットを表1と2に示す組成比でドライブレンドして投入した。押出機のシリンダー温度とTダイの温度を調整して押出成形を行い、延伸機で表1と2に示す延伸条件でフィルムを得た。
表1と2には、組成、成形条件、延伸条件、得られたフィルムの厚みを示した。
【0082】
[実施例1〜6および比較例1]
以下の方法で反射防止被膜付きの基板を得た。
図1、図2に示す装置を用いて、スパッター手段1とスパッター手段2を適宜オン・オフしながら以下に示す条件で約60℃以下の処理温度で表1に示す配合のプラスチック基板(フィルム)上に光学多層膜を形成した。結果を表1に示す。
【0083】
なお、該装置においてドラムの直径は29インチで、回転数は48rpm、スパッタリング手段、プラズマ発生手段には、幅5インチの絶縁用邪魔板を有するアパーチャを使用し、スパッタリング手段には5インチ幅のターゲットを使用した。
【0084】
スパッタリング手段1のターゲット :チタン
スパッタリング手段のターゲット :シリコン
スパッタリング手段1のガス:アルゴン600sccm
スパッタリング手段2のガス:アルゴン600sccm
スパッタリング手段1の電力:5kW
スパッタリング装置2の電力:5kW
プラズマ発生手段の動作:5アンペア、100sccm O2
膜形成後の焼成 :無し
【0085】
表1に示すように、各基板には、非常に高い全光線透過率と低い視感度反射率を与えるTiO2の層とSiO2の層の複数層からなる非常に薄い(100nm厚)膜が形成された。そして、基板としてアクリル系樹脂(a)と脂肪族ポリエステル系樹脂(b)を含む樹脂組成物の成形体を用いた実施例1〜6においては、薄膜の基板に対する密着性が、比較例であるアクリル系樹脂単体の成形体を用いた場合より格段に優れていた。
このように、本発明では基板の表面処理や密着層の形成を行わなくても、良好な反射防止薄膜を直接基板に形成させることができた。
【0086】
[実施例7〜12および比較例2]
以下の方法でITO膜付きの基板を得た。
実施例1〜6、比較例1で用いた装置を用い、片方のスパッタリング手段は使用せずに以下の条件で約50℃以下の低温プロセスにてITO膜を表2に示す配合のプラスチック基板(フィルム)上に形成した。結果を表2に示す。
【0087】
スパッタリング手段のターゲット :インジウム及び酸化錫
スパッタリング手段のガス : アルゴン 600sccm
スパッタリング手段の電力 : 5kW
プラズマ発生装置の動作:5アンペア、100sccm O2
【0088】
各基板には、非常に高い全光線透過率と低い表面抵抗値を有する薄い(100nm厚)がITO膜が形成された。該膜のQWOT(Quarter Wave Optical Thickness;1/4波長光学的厚さ)は20nmであった。そして、基板としてアクリル系樹脂(a)と脂肪族ポリエステル系樹脂(b)を含む樹脂組成物の成形体を用いた実施例7〜12においては、薄膜の基板に対する密着性が、比較例であるアクリル系樹脂単体の成形体を用いた場合より格段に優れていた。このように、本発明では基板の表面処理や密着層の形成を行わなくても、良好な反射防止薄膜を直接基板に形成させることができた。
【0089】
【表1】

【0090】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明により製造された薄膜付きの基板は、光学特性、生産性に優れ、かつ各種機能(反射防止性、導電性、電磁波シールド性、近赤外線吸収性、紫外線カット性、高表面硬度性、ガスバリア性、防汚性等)を有する該薄膜が密着性良く基板についているので、ブラウン管(CRT)、液晶ディスプレイ(LCD)、偏光板、プラズマディスプレイ、各種光学フィルター、その他有機ELディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ(FED)、表面伝導電子放出型ディスプレイ(SED)、リアプロジェクションテレビ等の各種ディスプレイに貼付したり、組み込んで使用でき、メガネ、光導波路、各種窓材等として活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明において使用できる薄膜形成装置の一例の斜視図である。
【図2】本発明において使用できる薄膜形成装置の一例の水平断面図である。
【図3】本発明において使用できる薄膜形成装置の一例のドラムの斜視図である。
【図4】本発明において使用できる薄膜形成装置の他の一例の水平断面図である。
【図5】本発明において使用できる薄膜形成装置の他の一例の水平断面図である。
【図6】本発明において使用できる薄膜形成装置の他の一例の水平断面図である。
【図7】本発明において使用できる薄膜形成装置の他の一例の説明図である。
【図8】本発明において使用できる薄膜形成装置の他の一例の説明図である。
【図9】本発明において使用できる薄膜形成装置の他の一例の説明図である。
【図10】本発明において使用できる薄膜形成装置の他の一例の説明図である。
【符号の説明】
【0093】
10 薄膜形成装置
11 真空チャンバ
12 真空ポンプシステム
13 排気ポート
14 ドラム(基板搬送手段)
14A 回転ドラム
15 基板
16 ドラムの軸
16A 太陽歯車の回転軸
18 管状基板
19 太陽歯車
21 遊星歯車
21A 遊星歯車の回転軸
22 歯車
25 遊星歯車取り付け駆動装置
26、27 スパッタリング手段
28 プラズマ発生手段
30 線形マグネトロン増強スパッタリング装置
31 陰極
32 邪魔板
34 ターゲット
37 マニホルド
40 線形マグネトロンプラズマ発生手段
60、65、70 薄膜形成装置
71 内側巻き戻しロール
72 内側巻き取りロール
73 可撓性シート基板又は搬送ベルト
80、80A、80B、80C 薄膜形成装置
81 装填用真空チャンバ
82、82A 真空処理チャンバ
83 取り出し用真空チャンバ
86 真空弁
87、88、91 真空ロック
92、93、94 コンベヤベルト
101、102、103、104 スパッタリング手段、プラズマ発生手段
106 邪魔板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも以下の(ア)〜(ウ)を有する薄膜形成装置を用いて、基板上にスパッタリング手段により蒸着膜を形成後、該蒸着膜とプラズマ発生手段により発生させたプラズマとを反応させて薄膜を形成する薄膜付き基板の製造方法であって、基板としてアクリル系樹脂(a)及び脂肪族ポリエステル系樹脂(b)を含む樹脂組成物の成形体を用いる薄膜付き基板の製造方法;
(ア)基板搬送手段、
(イ)基板搬送手段の周辺に沿って設けられたスパッタリング手段、
(ウ)基板搬送手段の周辺に沿って、スパッタリング手段から離間して設けられた、プラズマ発生手段。
【請求項2】
少なくとも2層の薄膜を形成し、各薄膜が、第1の金属、第2の金属、第1の金属の酸化物、第2の金属の酸化物、第1及び第2の金属の混合物、及び第1及び第2の金属の混合酸化物のうちの少なくとも1種を含む請求項1に記載の薄膜付きの基板の製造方法。
【請求項3】
前記プラズマ発生手段が発生するプラズマが、前記スパッタリング手段により蒸着した物質を、酸化物、窒化物、水素化物、硫化物、炭素含有化合物又は混合物のうちの少なくとも一つに変えるものである請求項1に記載の薄膜付きの基板の製造方法。
【請求項4】
前記樹脂組成物が、アクリル系樹脂(a)と脂肪族ポリエステル系樹脂(b)の合計量100重量部に対して、アクリル系樹脂(a)を0.1〜99.9重量部含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項5】
前記アクリル系樹脂(a)が、メタクリル酸メチルの単独重合体又はメタクリル酸メチルと他の単量体との共重合体である請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項6】
前記脂肪族ポリエステル系樹脂(b)が、ヒドロキシカルボン酸を主たる構成成分とする重合体である請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項7】
前記脂肪族ポリエステル系樹脂(b)が、ポリ乳酸系樹脂である請求項6に記載の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−138268(P2008−138268A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−327229(P2006−327229)
【出願日】平成18年12月4日(2006.12.4)
【出願人】(303046314)旭化成ケミカルズ株式会社 (2,513)
【Fターム(参考)】