説明

薄膜を製造するためのスパッタリング装置

基板上に薄膜を堆積させるためのスパッタリングステーションは、互いに対向して配置され、プラズマ領域を規定する2つのターゲットと、磁界を生成する永久磁石またはコイルと、磁界を方向付けるヨークと、各ターゲットへのエネルギを個別に制御するために各ターゲットに接続された2つの個別の電源とを備える陰極を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
この発明は、向かい合う2つのターゲットを陰極に有し、向かい合うターゲットの平面に本質的に平行な平面に基板を位置付ける、スパッタリングの方法を介して薄膜を製造するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
スパッタガスで充填された真空容器内に配置された1つ以上のターゲットと基板とからなるスパッタコーティングステーションは、2つの基本原理に基づいて機能する、ということが公知である。第1の原理では、プラズマが磁力線によって閉じ込められ、各ターゲットの表面上にトンネルを形成する。このトンネルは、ターゲット表面上に閉ループを形成する。陰極暗部での加速電界は、各ターゲットのスパッタリング面に垂直に向けられている。現在、可動磁石システムが、スパッタリングされるターゲットの表面を走査するために、特に円形のターゲット用によく使用されている。第2の原理では、磁界は各ターゲットのスパッタリング面に垂直である。プラズマは磁界によってターゲット間の空間に閉じ込められる。陰極暗部での電界は、各ターゲットのスパッタリング面に垂直に、ひいては磁界に平行に向けられている。この発明は、第2の原理に従って機能する。
【0003】
米国特許第4,407,894号は、コバルトクロム合金層を生成するための、第2の原理に従った方法を記載している。磁界は、永久磁石によって、またはDCを動力源としたコイルによって生成される。電界は、ターゲット(陰極)およびシールド(陽極)に接続されたDC電源またはRF電源によって生成される。
【0004】
米国特許第5,000,834号では、異なる組成の合金膜の作製が請求されている。2つのターゲットが、互いに異なる材料で作られる。各ターゲットは、互いに独立して制御可能な別個の可変AC電源またはDC電源に接続される。プラズマ領域に隣接する基板上の膜組成は、ターゲットに印加される電力を変えることによって設定される。プラズマ閉じ込め、ひいてはターゲット侵食は、ターゲット間の磁界の強度および均質性に依存する。この装置の欠点は、ターゲット表面で強く均質な磁界を達成することが、特に永久磁石および非磁性ターゲット材料について困難なことである。プラズマ領域の外部に基板を配置することは放射損傷および加熱を減少させるものの、均一な厚さの分布は、特に非回転基板について達成が困難である。加えて、異なる材料のターゲットを用いて合金膜を堆積させる場合、組成のずれが予想される。
【0005】
米国特許第4,690,744号は、複数の対向するターゲットを含むイオンビーム生成器を記載している。ターゲットをスパッタリングすることにより、イオン化された粒子が生成される。イオン化された粒子は、少なくとも1つのターゲットにおける小さい孔を通って抽出され、ターゲットの後ろの基板上に膜を形成する。
【0006】
米国特許第5,753,089号は、堆積プロセス中に基板がターゲット間に配置されている、両面コーティング用のスパッタコーティングステーションを記載している。対向するターゲットのうちの少なくとも1つは明らかな開口部を有しており、それを通して、基板取付構成はターゲット間で基板を動かすことができる。
【0007】
第2の原理に従って機能する先行技術の装置は、ターゲットの背部上に配置された永久磁石によって、またはターゲットの直径よりも大きい直径を有する、DCを動力源とした
コイルによって、磁界を生成する。永久磁石およびコイルは通常、真空外に配置される。この発明の一目的は、高飽和磁化材料で作られたヨークを用いて、ターゲットの背部に磁界を誘導することである。これにより、磁界生成源は、装置の機能性を失うことなく再度位置付けられるようになる。たとえば、空気中または真空中で永久磁石またはコイルをターゲット間に位置付けることが可能であり、このため、磁束はターゲットの背部に到達可能である。また、これに代えて、ターゲットの背部上で永久磁石がもはや必要ではない場合、そこに基板を真空下で位置付けることが可能である。スパッタリングされる材料を用いた基板の堆積は、基板近くのターゲットの孔を通して可能である。
【0008】
この発明の別の利点は、第1の原理に従った磁性ターゲットの従来のマグネトロンスパッタリングが磁性材料には困難である一方で、この発明の機能性は磁性ターゲットの厚さまたは透磁率によって限定されない、ということである。
【0009】
この発明のさらに別の利点は、堆積プロセス中のターゲット間の電力比の調整によって多層膜が作製可能であることである。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0010】
発明の簡単な概要
この発明の一局面によれば、複数の対向するターゲットと、複数の対向するターゲット間に位置するプラズマ領域と、対向するターゲットに隣接する磁界生成源とを含むスパッタ陰極であって、前記界は、プラズマ領域の大部分にわたって、対向するターゲットの表面に本質的に垂直に延びており、プラズマ領域に隣接して基板が位置付けられ、少なくとも1つのターゲットは、基板上の膜の堆積がターゲットによって妨害されないような開口部を含み、対向するターゲットの垂直面と基板の垂直面とは実質的に平行である、スパッタ陰極が提供される。前記源は、陰極の周囲周りに位置付けられてもよく、ターゲットの背部に磁界を誘導するための複数のヨークを含んでいてもよい。
【0011】
この発明のさらに別の局面によれば、第1および第2のスパッタ陰極を含み、第1および第2のスパッタ陰極は双方とも、複数の対向するターゲットと、複数の対向するターゲット間に位置するプラズマ領域と、陰極の周りに位置付けられた磁界生成源とを含み、少なくとも1つのターゲットは、基板上の膜の堆積がターゲットによって妨害されないような開口部を含み、少なくとも1つのリングの垂直面と基板の垂直面とは実質的に平行である、スパッタステーションが提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
発明の好ましい実施例の詳細な説明
図1は、真空容器内で向かい合って配置されている主ターゲット12aと補助ターゲット12bとを含む陰極10を示している。ターゲット表面は、平面状で互いに平行であってもよく、または円錐形状を有していてもよい。さらに、内径および/または外径によって与えられる各ターゲット12a、12bの面積は、異なっていてもよい。各ターゲット12a、12bは、別個のDC電源、パルスDC電源またはRF電源に接続される。主ターゲット12aは、中心陽極16を含有し得る開口部14を含む。中心陽極16は、接地されても、バイアスがかけられても、または浮遊したままになっていてもよい。補助ターゲットも、以下にさらに説明するスパッタ材料が基板20に移るようにする開口部18を含む。ターゲット12a、12bのうちの少なくとも1つは磁性材料で製造されてもよく、そのため、ターゲットは、拡張されたヨーク24または磁極片として作用することにより、磁束を運んで均質化する。ターゲットは、鉄といった当該技術分野において公知の材料から作られ得る。なお、この発明のターゲット12a、12bの形状は、円形、環状、角型、長手方向型、フレーム型などの当該技術分野において公知の任意の形状であり得る
。主ターゲット12aと補助ターゲット12bとの間に、プラズマ領域22が位置している。
【0013】
陰極10はさらに、磁界を生成する永久磁石またはコイル26を含む。磁石またはコイル26は、陰極10の周囲周りにあり、かつターゲット12a、12bの背部(ターゲットの互いに面していない側)にはない1つ以上のリングに構成されている。さらに、リングの内径は、主ターゲット12aおよび補助ターゲット12b双方の外径よりも大きい。リングは、リングの垂直面がターゲット12aの垂直面とターゲット12bの垂直面との間に位置し、かつターゲット12a、12bの回転軸とリングの回転軸との方向が同一であるように位置付けられている。その結果、永久磁石26の磁化は、リングの回転軸に平行である。磁石リングまたはコイル26の一部は電極として使用可能であり、接地されても、バイアスがかけられても、または浮遊したままになってもよい。ターゲットに本質的に平行な平面において測定された磁石リングまたはコイル26の幅は、rmag、言い換えれば、コイル26の「厚さ」と呼ばれる。
【0014】
陰極10はさらに、主ターゲット12aおよび補助ターゲット12bの背部に磁界を誘導するよう構成された、磁性材料で作られた多数のヨーク24を含む。永久磁石またはコイル26によって生成された磁束は、ヨーク24、主ターゲット12aを通り抜けてプラズマ領域22を通り、補助ターゲット12bを通り抜けて、ヨーク24によって永久磁石またはコイル26に戻るよう誘導される。基板20に最も近いヨーク24aの部分は、陰極10の外部に漂遊磁界の特定の半径方向構造を得るよう設計され得る。ヨークは、鉄といった当該技術分野において公知の任意の材料から作られ得る。ヨーク24の一部は電極として使用可能であり、接地されても、バイアスをかけられても、または浮遊したままになっていてもよい。
【0015】
ヨーク24および磁石またはコイル26の双方をターゲット12a、12bから隔てるために、シールド28が追加されてもよく、それにより、スパッタリングプロセス中のヨーク24および磁石またはコイル26への堆積が防止される。シールド28の一部は、接地されても、バイアスをかけられても、または浮遊したままになっていてもよく、そのため、リング陽極として機能する。
【0016】
基板20は、プラズマ領域22に隣接して、かつ開口部18の前に配置される。基板20は、接地されても、バイアスをかけられても、または浮遊したままになっていてもよい。動作時、ターゲット12a、12bは、アルゴン、クリプトンなどの希ガスといったスパッタ材料でスパッタリングされる。スパッタリングプロセスの結果、材料粒子が生成され、磁界によって開口部18を通るよう方向付けられ、基板20上に堆積し、それにより基板20上に薄膜を形成する。このため、開口部18は、基板20の堆積がターゲット12bによって妨害されない好適な大きなのものである。この実施例では、基板20は片面を薄膜でコーティングされる。
【0017】
図2は、第1の陰極10aおよび第2の陰極10bを含むこの発明の代替的な一実施例を示している。第1の陰極10aおよび第2の陰極10bは、上述の陰極10と同じであり、繰返さない。この実施例では、第1の陰極10aおよび第2の陰極10bは、補助ターゲット12bの開口部18同士が互いに隣接するよう、互いに面している。図2に示すように、基板20は、陰極10aと陰極10bとの間の、開口部18の前でかつ各陰極10a、10bのプラズマ領域22に隣接するところに配置される。この実施例では、スパッタリングプロセス中、基板20は両面を薄膜でコーティングされる。
【0018】
ターゲット12a、12b間の磁界の強度および均質性は、残留磁気が異なる永久磁石を用いた方法、または図4に示すような半径方向寸法(rmag)が異なる磁石リングを用
いた方法などのいくつかの方法によって、もしくはコイルを通る電流を変化させることによって、またはヨーク用の磁性材料の透磁率を変更することによって、もしくはヨークの内径または外径および厚さを変えることで異なるヨーク形状を実現することによって、変更可能である。たとえば、磁界の強度および方向は、ヨーク平面の半径方向厚さの変化によって修正可能である。さらに、磁石によって生成される磁界構造は、ターゲット間のプラズマ閉じ込めに影響を与えるため、堆積した膜の厚さ均一性を向上させるために使用することができる。
【0019】
さらに、堆積した膜の厚さ均一性は、リング陽極、中心陽極またはヨークの電位を調節することによって制御可能であり、このため、図7に示すようにプラズマ密度を調整する。プラズマ密度の調整は、図8に示すようなターゲットの半径方向侵食プロファイルの制御を可能にする。
【0020】
ターゲット12a、12bが異なる材料から作られている場合、ターゲット面積の比率、および各ターゲットに印加される電力の比率を使用して、堆積した膜の組成比を変更することができる。好ましい材料は一般に強磁性材料であるが、それに限定されない。スパッタ希ガス(アルゴン、クリプトンなど)に窒素、酸素または他の元素を追加することは、膜組成にさらに影響を与える。ターゲット12a、12bが同じ材料から作られている場合、各ターゲットに印加される電力の比率を使用して、厚さ均一性を制御することができる。電力比は、補助ターゲットの侵食を最小限に抑えるためにも使用可能であり、このため、補助ターゲットは主ターゲットよりもはるかに小さくなり得るものの、双方のターゲットの寿命は同じである。その結果、主ターゲット12aと比べて、補助ターゲット12の厚さを著しく減少させることができる。
【0021】
基板20に最も近いヨーク部24aの漂遊磁界は、成長する膜の組織特性、構造特性、および磁気特性に影響を与える。基板20の近くの磁界は、基板20への電子衝撃、および堆積した磁性膜の好ましい配向を決定する。たとえば、2つの陰極10a、10bが1つの基板20の対称的な両面コーティングに使用されている第2の実施例では、結果として生じる磁界の構造は、永久磁石26の磁化ベクトルの方向に依存する。図3aに示すように、磁化ベクトルは単方向性であり、このため磁界は、成長する膜の組織に影響を与える。基板20表面に垂直な磁界成分も、電子衝撃の増加をもたらす。その結果、基板20は加熱され、浮遊基板のためにバイアス電位が蓄積する。図3bに示すように、磁化ベクトルは反平行であり、このため、磁界の半径方向成分が、成長する膜の組織に影響を与える。基板20に垂直な磁界成分は少なく、またはほぼゼロである。電子は磁力線に沿って半径方向に誘導され、基板20を超える。その結果、電子衝撃による加熱またはバイアス印加が抑制される。また、これに代えて、磁化ベクトルとは独立して作用する追加の磁界を、DCを動力源とするコイルによって重ね合わせることが可能である。コイルは基板よりも大きくてもよく、コイルおよび基板20の平面は好ましくは平行である。この例では、磁界の軸方向成分が電子を基板20に誘導し、それは次に基板を加熱し、浮遊基板のためのバイアス電位の蓄積をもたらす。
【0022】
この発明を、アルゴン中で2・10-4mbar〜6・10-2mbarの圧力範囲で検査した。図5の電流電圧特性に示すように、この圧力範囲内で、安定したグロー放電が点火可能である。鉄についての堆積速度は、主ターゲット12aと基板20との間の50mmの距離に対し、2.5nm/kW/s〜4.5nm/kW/sである。この堆積速度は、主ターゲット12aに印加される電力に規格化される。一定の電力レベルPmtが主ターゲット12aに印加された状態では、補助ターゲット12bに印加される電力Patの減少は、図6に示すような堆積速度の減少をもたらす。さらに、主ターゲット12aおよび補助ターゲット12bに印加される電力が等しい場合、堆積速度はその最大値に到達する。1つのターゲットに印加される一定の電力については、対向するターゲットに印加される電
力があるしきい値を下回る場合、グロー放電は消滅する。図6に示すように、アルゴン圧を高めることは堆積速度を増加させ、陰極と基板20との間の一定の距離が保たれる。
【0023】
この発明を好ましい実施例を参照して説明してきたが、この発明の範囲から逸脱することなく、さまざまな変更が行なわれてもよいこと、および、それらの要素の代わりに均等物が置き換えられてもよいことが、当業者には理解されるであろう。加えて、この発明の教示に、その本質的な範囲から逸脱することなく或る特定の状況または材料を適合させるために、多くの修正が行なわれてもよい。したがって、この発明が、この発明を実行するために考えられる最良の形態として開示された特定の実施例に限定されないこと、および、この発明が、添付された特許請求の範囲に該当するすべての実施例を含むことが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】永久磁石を用いて実現された場合の、この発明に従った陰極の最小限の構造の概略断面図である。
【図2】2つの陰極を含むコーティングステーションの代替的な一実施例の概略図である。
【図3a】永久磁石の単方向性配向の磁化ベクトルを用いた、2つの陰極からなるコーティングステーションにおける磁束密度の結果的な配向の図である。
【図3b】永久磁石の反平行配向の磁化ベクトルを用いた、2つの陰極からなるコーティングステーションにおける磁束密度の結果的な配向の図である。
【図4】図3bに従った実施例についての、永久磁石によって供給される磁界の、磁束密度に対する効果を表わす図である。
【図5】異なるアルゴン圧についての、陰極で点火されるグロー放電の電流電圧特性の図である。
【図6】20mmの基板半径で測定された鉄の堆積速度が、アルゴン圧に、および主ターゲットと補助ターゲットとに印加される電力の比率にどのように依存しているかを示す図である。
【図7】リング陽極の電位を変えることによる、およびアルゴン圧を変えることによる膜厚分布の調節可能性を示すグラフである。
【図8】リング陽極が接地された、または浮遊電位にある状態でのスパッタリングに起因する、鉄の環状主ターゲットの侵食プロファイルを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の対向するターゲットと、
複数の対向するターゲット間に位置するプラズマ領域と、
対向するターゲットに隣接して位置付けられた磁界生成源とを含み、前記磁界は、プラズマ領域の大部分にわたって、対向するターゲットの表面に本質的に垂直に延びており、
プラズマ領域に隣接して基板が位置付けられ、
少なくとも1つのターゲットは、基板上の膜の堆積がターゲットによって妨害されないような開口部を含み、
対向するターゲットの垂直面と基板の垂直面とは実質的に平行である、スパッタ陰極。
【請求項2】
磁界生成源は、
陰極の周囲周りに位置付けられた磁界生成源の少なくとも1つのリングと、
ターゲットの背部に磁界を誘導するための複数のヨークとを含み、背部は各ターゲットの互いに面していない側である、請求項1に記載のスパッタ陰極。
【請求項3】
磁界生成源は、永久磁石またはコイルのうちの1つである、請求項1または2に記載のスパッタ陰極。
【請求項4】
複数のターゲットからヨークおよびコイルを隔てるシールドをさらに含み、シールドはリング陽極であり、前記スパッタ陰極はさらに、
第2のターゲットの開口部に位置付けられた中心陽極を含む、請求項1〜3に記載のスパッタ陰極。
【請求項5】
膜厚均一性と複数のターゲットの侵食とは、ヨーク、中心陽極、またはリング陽極のうちの1つの電位の調節の影響を受ける、請求項2〜4に記載のスパッタ陰極。
【請求項6】
一方の対向するターゲットに接続された第1の電源と、第2の対向するターゲットに接続された第2の電源とをさらに含み、第1の電源の調節、第2の電源の調節、または第1および第2の電源双方の調節のうちの1つによって、膜組成が変更可能である、請求項1〜5に記載の陰極。
【請求項7】
膜組成は、対向するターゲットの面積の調節によって変更可能である、請求項1〜6に記載のスパッタ陰極。
【請求項8】
第1の電源の調節、第2の電源の調節、または第1および第2の電源双方の調節のうちの1つによって、膜厚均一性が変更可能である、請求項6または7に記載の陰極。
【請求項9】
複数のターゲットは、円形形状、環状形状、角型形状、長手方向に延びる形状、またはフレーム型形状のうちの1つである、請求項1〜8に記載のスパッタ陰極。
【請求項10】
複数のターゲットは同じ材料から作られている、請求項1〜9に記載のスパッタ陰極。
【請求項11】
複数のターゲットは異なる材料から作られている、請求項1〜9に記載のスパッタ陰極。
【請求項12】
希ガスを含むスパッタガスをさらに含む、請求項1〜11に記載のスパッタ陰極。
【請求項13】
膜組成は、スパッタガスに窒素、酸素または他の元素のうちの1つを追加することによって変更可能である、請求項1〜12に記載のスパッタ陰極。
【請求項14】
第1の電源の調節、第2の電源の調節、または第1および第2の電源双方の調節のうちの1つによって、スパッタガスについてのスパッタ速度が変更可能である、請求項1〜13に記載の陰極。
【請求項15】
陰極の外部の磁界は、ヨークの形状の調節によって変更され、膜の組織特性、構造特性および磁気特性は、陰極の外部の磁界の影響を受ける、請求項2〜14のスパッタ陰極。
【請求項16】
第1および第2のスパッタ陰極を含み、第1および第2のスパッタ陰極は双方とも、
複数の対向するターゲットと、
複数の対向するターゲット間に位置するプラズマ領域と、
対向するターゲットに隣接する磁界生成源とを含み、前記磁界は、プラズマ領域の大部分にわたって、対向するターゲットの表面に本質的に垂直に延びており、
少なくとも1つのターゲットは、基板上の膜の堆積がターゲットによって妨害されないような開口部を含み、
対向するターゲットの平面と基板の平面とは実質的に平行である、スパッタステーション。
【請求項17】
磁界生成源は、
陰極の周りに位置付けられた磁界生成源の少なくとも1つのリングと、
ターゲットの背部に磁界を誘導するための複数のヨークとを含む、請求項16に記載のスパッタステーション。
【請求項18】
基板は、第1の陰極と第2の陰極との間に、プラズマ領域に隣接して位置付けられ、両面を薄膜でコーティングされている、請求項16または17に記載のスパッタステーション。
【請求項18】
陰極の外部の磁界の磁化ベクトルは単方向性であり、基板に垂直である、請求項16〜18に記載のスパッタステーション。
【請求項19】
陰極の外部の磁界の磁化ベクトルは逆に整列され、基板に平行である、請求項16〜18に記載のスパッタステーション。
【請求項20】
薄膜を生成するための方法であって、
スパッタ陰極を設けるステップを含み、前記スパッタ陰極は複数の対向するターゲットを有し、少なくとも1つのターゲットが開口部を有しており、前記スパッタ陰極はさらに、複数の対向するターゲット間に位置するプラズマ領域と、陰極に隣接して位置付けられた磁界生成源とを有し、前記方法はさらに、
プラズマ領域に隣接して基板を位置付けるステップと、
プラズマ領域においてプラズマを生成するステップと、
プラズマを用いてターゲットをスパッタリングし、それによりイオン粒子を生成するステップと、
イオン粒子を孔を通して方向付けるステップと、
基板上に粒子を堆積させて薄膜を形成するステップとを含む、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2007−529633(P2007−529633A)
【公表日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−504235(P2007−504235)
【出願日】平成17年3月21日(2005.3.21)
【国際出願番号】PCT/CH2005/000165
【国際公開番号】WO2005/091329
【国際公開日】平成17年9月29日(2005.9.29)
【出願人】(596013501)オー・ツェー・エリコン・バルザース・アクチェンゲゼルシャフト (55)
【氏名又は名称原語表記】OC Oerlikon Balzers AG
【Fターム(参考)】