薄膜コーティング及び仮保護技術、断熱板ガラスユニット、並びに関連方法
本発明は、ある実施形態において、薄膜を付し、その後、そのスパッタフィルムの上を覆って仮保護フィルムを付すスパッタ堆積技術を提供する。薄膜は、任意的に、酸化ガス及び/又は不活性ガスを含有するガススパッタリング雰囲気において、ターゲットをスパッタすることによって付すことができる。本発明は、ある実施形態において、例えば、スパッタリングによって、少なくとも1つの主表面上に堆積させた、仮保護フィルムを担持する薄膜コーティングを有する断熱板ガラスユニット又はモノリシック窓板に関する。本発明は、また、そのような製品の高効率な製造方法を含む実施形態も提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ある実施形態において、薄膜を付し、その後、そのスパッタフィルムの上を覆って仮保護フィルムを付すスパッタ堆積技術に関する。薄膜は、酸化ガス及び/又は不活性ガスを含有するガススパッタリング雰囲気において、ターゲットをスパッタすることによって付すことができる。本発明は、ある実施形態において、例えば、スパッタリングによって、少なくとも1つの主表面上に堆積させた、仮保護フィルムを担持する薄膜コーティングを有する断熱板ガラスユニット又はモノリシック窓板に関する。本発明は、また、そのような製品の高効率な製造方法を含む実施形態も提供する。
【背景技術】
【0002】
コーティングガラス産業において、1層以上の薄膜をガラス上に付して、コーティングガラスに所望の特性を付与することは一般的である。例えば、窓及びドア用途用ガラスの製造において、赤外線反射コーティングと1層以上の光活性をもたらすその他のコーティングとを付すことは有利である。
【0003】
赤外線反射コーティングに関する限り、これらのコーティングは、住宅及びその他の建物内に快適な屋内環境をもたらすのに役立つ。人間にとって快適である温度の範囲は比較的狭い。困ったことに、窓から部屋に入射する、太陽からの赤外線(IR)エネルギーは、部屋の温度を不快なレベルまで急速に上昇させ得る。赤外線反射コーティングは、とりわけ、入射赤外線エネルギーの一部を反射することによって部屋の急激な温度上昇を防ぐために開発されてきた。これらのコーティングは、また、さもないと窓から逃げるであろう赤外線エネルギーの一部を部屋内に反射することによって、冬季に部屋を暖かくしておくのにも役立つ。従って、赤外線反射コーティングは、暖房及び空調の費用を削減しながら、快適な生活環境を確立するのに役立つ。
【0004】
光触媒コーティングに関する限り、これらのコーティングは、窓及びその他の板ガラスに低保守特性をもたらすために開発されてきた。光触媒コーティングの中には、窓、ドア、天窓等のガラスの掃除の必要性、又はそれに要する労力を削減できるものがある。平均的な住宅所有者が窓の掃除にかける時間と労力を考えると、低保守窓の利点は明らかである。更に、近代的な超高層ビルのガラス外壁の清掃に要する大規模な手段や費用を考慮すると、低保守ガラスの優位点をはっきりと理解することができる。
【0005】
光触媒コーティングは、自浄効果を有するよう設計することができる。例えば、厚膜光触媒コーティングは、有機汚染物質を化学的に分解するという重要な能力を有する傾向がある。そのようなコーティングは、一般的に、比較的厚い二酸化チタンの層を含む。厚い二酸化チタンは、残念ながら、比較的高レベルの可視反射率をもたらす。この高可視反射が、実際、窓上の汚れの外観を強調し、窓が特に汚れて見えてしまうことが分かっている。これは、光触媒コーティングの他ならぬ目的は、より清浄な窓を提供することであるので、もちろん望ましいことではない。また、厚膜二酸化チタンフィルムは、一般的に望まれる以上の反射色をもたらす傾向がある。更に、基材が光触媒コーティングと低放射率コーティングの両方を備える場合、反射色は、理想的なものとは言えない傾向がある。
【0006】
光触媒コーティングは、一般的に、屋外環境に曝されることが意図されている。例えば、光触媒コーティングを備える多重窓板IGユニット上で、光触媒コーティングは、一般的に、IGユニットの第1表面上に施されるであろう。そのため、そのようなIGユニットが建物の壁に設置される場合、光触媒コーティングは、様々な汚染源(建物の近傍領域の仕上げを行っている塗装工等)に曝される傾向があるであろう。光触媒コーティングは、光活性により、そのような汚染物質を除去するある程度の能力を有する場合があるとはいえ、過剰な汚染及び/又は無機汚染物質は、コーティングの自浄作用によって充分完全に又は素早く除去されない場合がある。従って、そのような光触媒コーティングに仮マスキング保護を施すことが望ましいであろう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
光触媒コーティングの活性を考えると、マスキングとコーティングが互いに補足し合うマスキングされた光触媒製品を提供するのが望ましいであろう。光触媒コーティングの特性及び特徴は、その上に重なるマスキングの目的とする性能に悪影響を及ぼすものであってはならない。例えば、光触媒コーティングとマスキングとの直接接触によって、マスキングをコーティング表面に固定する接着剤を受け入れられないほどに劣化させてはならない。ほとんどの場合、光触媒コーティングの活性が、マスキングが実際にコーティング表面から剥がれて落ちたり、又はたるんだりする程度までそのような接着剤を劣化させることは受け入れられないであろう。更に、コーティングの活性によって、接着剤及び/又はマスキングフィルムをコーティング表面から除去することが、受け入れられないほど難しくなるような具合に、マスキング接着剤を変質させてはならない。同様に、マスキングの特性及び特徴は、光触媒コーティングの目的とする性能に悪影響を及ぼすものであってはならない。例えば、マスキング除去後、受け入れられないほどの接着剤の転写残留物が光触媒コーティング上に残ってはならない。更に、マスキングの付し方及び除去の仕方によって、光触媒コーティングがかき傷を受けたり、さもなければ恒久的に損傷したりすることがあってはならない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、光活性コーティング及びその上に重なるマスキングが互いに補い合う、マスキングされた光触媒板ガラスアッセンブリ、及び関連する(例えば、製造及び使用)方法を提供するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
特定の実施形態において、本発明は、モノリシック窓板又は断熱板ガラスユニットを提供する。好ましくは、モノリシック窓板又は断熱板ガラスユニットは、自浄及び/又は親水作用をもたらす光触媒コーティングを含む。ここで、窓板又はIGユニットは、光触媒コーティングを担持する外表面(例えば、IGユニットの第1表面のような外側の表面)を有する。光触媒コーティングは、好ましくは、酸化チタン(例えば、TiO2)のような光触媒材料を含む。光触媒コーティングは、好ましい形態において(例えば、プラスチック等を含む)可撓性のある自立フィルムである、除去可能な(例えば、剥離可能な)マスキングフィルムを含むマスキングを担持する。ある実施形態において、板ガラスは、両面(例えば、第1及び第4表面)がマスキングで被覆されたIGユニットである。特定の実施形態において、光触媒コーティングは、光活性及び/又は特定の範囲内の厚さを有し、及び/又は、光触媒コーティングの上を覆うマスキングは、紫外線安定性を有するマスキング接着剤を含む。
【0010】
特定の実施形態において、本発明は、基材を加工する方法を提供する。この方法は、対向する第1及び第2の主表面を有する第1のガラス板を準備することを含む。本実施形態において、第1のガラス板は、単一のスパッタコーターを通って(又は、1つの連続的な基材走行路を共有するマルチコーターを通って)搬送され、コーティングは、第1のガラス板をスパッタコーターに一度だけ(及び/又は単一の基材走行路に沿って)通して、第1及び第2の両主表面上に堆積される。この場合、スパッタ堆積は、第1のターゲットシーケンスから上向きにスパッタすることによって、第1のガラス板の第1の主表面に光触媒コーティングを付すことを含む。このターゲットシーケンスは、純粋な、又は実質的に純粋なチタン材料、チタン合金材料、酸化チタン材料、及びチタンとケイ素とを含む化合物からなる群から選択されるスパッタ可能なターゲット材料を含む1つ以上のターゲットを含む。スパッタ堆積は、また、第2のターゲットシーケンスから下向きにスパッタすることによって、第1のガラス板の第2の主表面に低放射率コーティングを付すことも含む。このターゲットシーケンスは、純粋な、又は実質的に純粋な銀材料及び銀合金材料からなる群から選択されるスパッタ可能なターゲット材料を含む1つ以上のターゲットを含む。本実施形態において、このようにコーティングされた第1のガラス板は、多重窓板断熱ガラスユニットアッセンブリラインに送られ(及び/又はその上に位置付けられ)、アッセンブリラインに沿って搬送され、第2のガラス板と、得られる断熱ガラスアッセンブリが第1及び第2のガラス板の間の間隙を規定し、第1のガラス板のコーティングされた第1の主表面が間隙とは反対側にある外表面であるように、組み合わされる。本方法は、剥離可能な第1のマスキングを、光触媒コーティングの上を覆って付すことを含む。ここで、第1のマスキングは、マスキング基材とマスキング接着剤とを含み、第1のマスキングを光触媒コーティングの上を覆って付すことは、マスキング接着剤を光触媒コーティングに直接付着させることを含む。好ましくは、マスキングは、アッセンブリラインの一部であることが望ましい第1のマスキングステーションを操作することによって付される。ある場合には、この方法は、剥離可能な第2のマスキングを、得られる断熱ガラスアッセンブリの第4表面の上を覆って付すことを含み、そのように付すことは、任意的に、同様にアッセンブリラインの一部である第2のマスキングステーションを操作することによって行われる。
【0011】
特定の実施形態において、本発明は、間隔を置いて配置され、それらの間に間隙を有する2つの窓板を含む断熱板ガラスユニットを含む装置を提供する。本実施形態において、これらの窓板の内の1つの所望の主表面上に光触媒薄膜コーティングが存在する。この所望の主表面は、間隙とは反対側にある外表面である。また、除去可能な保護マスキングが、光触媒薄膜コーティングの上に重なる。このマスキングは、マスキング基材とマスキング接着剤とを含み、マスキング接着剤は、光触媒薄膜コーティングと直接、付着接触している。
【0012】
特定の実施形態において、本発明は、間隔を置いて配置され、それらの間に間隙を有する2つの窓板を含む断熱板ガラスユニットを含む装置を提供する。本実施形態において、これら窓板の内の1つの所望の主表面上に光触媒薄膜コーティングが存在する。この所望の主表面は、間隙とは反対側にある外表面である。除去可能な保護マスキングが、光触媒薄膜コーティングの上に重なる。このマスキングは、マスキング基材とマスキング接着剤とを含み、マスキング接着剤は、光触媒薄膜コーティングと直接、付着接触している。本実施形態において、除去可能な保護マスキングは、剥離可能なマスキングであり、マスキング接着剤は、マスキング基材に対して、コーティングされた主表面に対するよりも高レベルの付着力を有し(そのため、マスキングがコーティングされた主表面から剥離される時、マスキング基材に優先的に付着するよう適合させられており)、その結果、マスキングがコーティングされた主表面から剥離される時、接着剤がマスキング基材に優先的に付着する。
【0013】
以下の詳細な説明は、図面を参照して読まれるべきであり、その中では、異なる図面における同様の要素に同一番号が付されている。図面は、必ずしも共通の縮尺とは限らないが、選択された実施形態を表し、本発明の範囲を限定するものではない。選択された要素について、構造、材料、寸法、及び製造工程の例を示す。全てのその他の要素については、本発明の分野における当業者に公知のものを用いている。当業者は、示された実施例の多くに、利用可能な好適な変形例があることを認めるであろう。
【0014】
図1は、本発明の例示的実施形態に従った断熱板ガラスユニット10の斜視図である。断熱板ガラスユニット10は、第1の面80と、第2の面82と、第1の面80と第2の面82との間に延びる周縁部84とを有する第1の窓板12を含む。図1の実施形態において、断熱板ガラスユニット10は、また、第1の面と第2の面とを有する第2の窓板14も含む。図1において、スペーサー16が、第1の窓板12の第2の面82と第2の窓板14の第1の面との間に介在していることが理解できる。スペーサーは、サッシ/枠の一部、又は通常の別個のスペーサーであり得る。
【0015】
図2は、本発明の例示的実施形態に従った断熱板ガラスユニット10の断面図である。断熱板ガラスユニット10は、第1の窓板12と、第2の窓板14と、第1の窓板12と第2の窓板14との間に介在させたスペーサー16とを含む。ある実施形態におけるスペーサー16は、サッシ、枠等の不可欠な一部であり得る。断熱板ガラスユニットは、第1表面20と、第2表面22と、第3表面24と、第4表面26とを有する。図2に関し、第1の窓板12が、第1表面20と第2表面22とを含むことが理解されるであろう。図2の実施形態において、第1のコーティング18は、第1の窓板12の第1表面20上に配置される。また、図2の実施形態において、第2のコーティング28は、第1の窓板12の第2表面上に配置される。断熱板ガラスユニット10の第2の窓板14は、第3表面24と第4表面26とを含む。図2の実施形態において、第3のコーティング34は、第4表面26上に配置される。
【0016】
特に好ましいその他の実施形態において、二重窓板IGユニットの第1及び第2表面は、それぞれコーティング18、28を担持し、一方、第3及び第4表面はコーティングされていない。好ましくは、これらの特別な実施形態において、第1表面上のコーティング18は、第1のマスキング30を担持する(例えば、それによって被覆される)。付加的に又は代替的に、コーティングされていない第4表面26は、マスキング32を担持することができる。マスキング30、32の一方又は両方は、施される場合、剥離によって除去可能であることが好ましい。また、マスキング30、32の一方又は両方は、任意的に、複数の重ね合わされたマスキングストリップを含むことができ、重ね合わされたストリップは、任意的に、窓板に(そしてそれらの重ね合わされた部分を付着結合することにより互いに)付着結合されている。
【0017】
更にその他の実施形態において、二重窓板IGユニットの第1表面がコーティング18を担持し、一方、第2、第3及び第4表面はコーティングされていない。好ましくは、これらの実施形態において、第1表面上のコーティング18は、第1のマスキング30を担持する。付加的に又は代替的に、コーティングされていない第4表面26は、マスキング32を担持することができる。本実施形態における第2表面は、任意的に、コーティングを担持することができる。マスキング30、32の一方又は両方は、施される場合、剥離によって除去可能であることが好ましい。また、マスキング30、32の一方又はそれぞれは、任意的に、図4及び図6に示されているように配置された複数の重ね合わされたマスキングストリップを含むことができる。
【0018】
好ましくは、コーティング18は、以下に記載の何れか1つのような光触媒コーティングである。代替的に、第1のコーティング18は、現在公知であるか後に開発されるかに関わらず、自浄機能を有する他のタイプのコーティング(すなわち、何らかの手動ワイピングの前であっても、コーティングされた窓板表面が少なくとも幾分清浄であるようにする機構及び/又は特性を有するあらゆるコーティング)であり得る。別の実施形態において、コーティング18は、親水性の非光活性コーティング(任意的に、シリカを含むコーティング)である。
【0019】
IGユニットの第4表面がコーティングされる実施形態において、このコーティングは、光触媒コーティング、又は、水をシート状にするシリカコーティングのような非光触媒親水性コーティングであり得る。例示的な水をシート状にするシリカコーティング(と有用な堆積装置及び方法)が、米国特許出願第09/868,542号に記載されており、その全教示は、ここに参照することにより組み込まれている。
【0020】
図2の実施形態において、第2表面に代替的にコーティングしないで、第3表面にコーティングすることができる。代替的に、図2の実施形態を、第2及び第3表面の両方にコーティングしないよう変更することができる。更なる変形例として、第2及び第3表面の両方にコーティングすることができる。
【0021】
第2及び/又は第3表面がコーティングされる実施形態において、これらのコーティングは、有利に、低放射率コーティング及び/又は太陽光制御コーティングであり得る。例示的な低放射率が、米国特許出願第10/759,971号に記載されており、その全内容は、ここに参照することにより組み込まれている。これらのコーティングは、一般的に、2層の透明誘電フィルムの間に位置した銀又は銀含有フィルムを含む。例示的な太陽光制御コーティングが、米国特許第5,698,262号に記載されており、その全内容は、ここに参照することにより組み込まれている。
【0022】
一実施形態は、紫外線放射が保護マスキングの下地フィルムである光触媒フィルムに届くことを実質的に妨げるのに充分なだけ、紫外線放射に対して不透明であるよう(例えば、30%未満の紫外線透過率を有するよう)選択される除去可能な保護マスキングを提供する。そのような、ある場合において、不透明マスキングフィルムが提供される。
【0023】
図2において、第1のマスキング30は、第1のコーティング18の上に重なり、任意の第2のマスキング32は、第4のコーティング36の上に重なっている。各マスキングは、好ましくは、基材38と接着剤層40とを含む。ある有用な実施形態において、接着剤層40は、アクリル接着剤を含む。ある有用な実施形態において、接着剤層40は、少なくとも1種の紫外線安定剤を含む。特別な一実施形態群は、少なくとも1種の紫外線安定剤を含むアクリル接着剤を含む接着剤層40を提供する。
【0024】
ある有用な実施形態において、接着剤層40は、少なくとも1種のヒンダードアミンを含む。ある用途において好適であるかもしれないヒンダードアミンの例としては、ビス−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、コハク酸とN−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンの重縮合物、ポリ−([6−[(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−イミノ]−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル][2−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]−ヘキサメチレン−[4−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ])、l−[2−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル−プロピオニルオキシ)エチル]−4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオニルオキシ]−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸エステル類、テトラキス(l,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−l,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸エステル類、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミンと1,2−ジブロモエタンの重縮合物、及び1,6−ビス−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサンと2,4−ジハロ−6−モルホリノ−l,3,5−トリアジンの重縮合物が挙げられる。接着剤層40は、この段落において上記に列挙したものからなる群から選択される1つのような、少なくとも1つのヒンダードアミンを含むアクリル接着剤であってもよい。接着剤40は、任意的に、1種以上のテトラメチルピペリジン誘導体を含むヒンダードアミンを含むことができる。
【0025】
本発明の好ましい実施形態において、第1のコーティング18は、光触媒フィルムを含む少なくとも1つの領域又は厚さを含む。光触媒フィルムは、酸化チタン(例えば、TiO2)のようなあらゆる光活性材料を含むことができる(例えば、それであり得る)。光活性材料は、特徴として、少なくとも上記特定の最小厚さを超えて、紫外線放射を吸収し、光触媒フィルムに接触する有機材料を光触媒作用で分解する能力を有するものであることが好ましい。特定の実施形態において、マスキング接着剤及び光触媒フィルムは、互いに補足し合うように一緒に選択される。ある場合において、光触媒フィルムの光活性は、大きな自浄効果を生み出すことなく、親水性をもたらすにちょうど足るだけの強さのものである。特に強力な光触媒フィルムを設けることは、そのようなフィルムがコーティング表面を理想的ではないほどに汚れて見える状態にする傾向がある点から、理想的とは言えないことが分かっている。光触媒フィルムは、任意的に、マスキング除去後、第1のコーティング上に残った接着剤の残留物を分解することができるにちょうど足るだけの高さの光活性レベルを有するように選択され得る。
【0026】
特定の実施形態は、(モノリシック板ガラスアッセンブリ又は多重窓板断熱板ガラスユニットの)窓板と、その主表面の直上に、非常に薄膜である光触媒コーティング(例えば、光触媒フィルムを含む少なくとも1つの領域又は厚さを有するコーティング)と、その直上にマスキング接着剤の層と、その直上にマスキング基材(例えば、可撓性のある自立フィルムであって、好ましくは、このフィルムがコーティングされた主表面から剥離される時、接着剤が、マスキングフィルムに優先的に付着し、コーティングされた主表面に少なくとも実質的には転写されないように、コーティングされた主表面から剥離可能なフィルム)とを含むマスキングされた光触媒板ガラスアッセンブリを提供する。従って、マスキング接着剤40は、マスキング基材に対して、窓板のコーティング表面に対するよりも強力な付着レベル(又は力)を有することが好ましい。例えば、ある実施形態において、除去可能な保護マスキングは、剥離可能なマスキングであり、マスキング接着剤は、マスキング基材に対して、光触媒コーティングに対するよりも高レベルの付着力を有し、その結果、マスキングがコーティングされた主表面から剥離される時、接着剤がマスキング基材に優先的に付着する。これらの実施形態において、マスキング基材38及び/又はマスキング接着剤40は、任意的に、少なくとも1種の紫外線安定剤及び/又は少なくとも1種の紫外線遮断剤を含む。好ましくは、紫外線安定剤は、接着剤に混合される。
【0027】
望ましくは、光触媒フィルムの光活性レベルは、充分低く、そのため、接着剤とマスキングフィルムとの間の接着状態、又は接着剤と窓板との間の接着状態を破壊することがないであろう。従って、好ましくは、接着剤がコーティング18の光活性によって受け入れられないほどに劣化することによって、マスキングフィルムが窓板から剥がれて落ちたり、又はたるんだりすることがない。任意的に、光触媒フィルムは、マスキング30が除去される時、コーティング18上に残った接着剤の残留物を分解することができるにちょうど足るだけの高さの光活性レベルを有するよう選択され得る。好ましくは、マスキング接着剤は、マスキングが除去される時、接着剤の転写が起こらないよう選択される。
【0028】
この開示を目的として、光触媒フィルムの活性を、所望の光触媒反応速度について、例えば、フィルム表面において1平方メートル当り約20ワットの強度を有する(例えば、米国オハイオ州、クリーヴランドのQパネル社(Q−panel Company)により商標UVA−340として市販の)光源からの紫外線放射に露光されたステアリン酸テストフィルムを除去して、測定することができる。紫外線放射強度は、テスト対象となっている光触媒フィルムのコーティング表面において、少なくとも1平方メートル当り約20ワットであり得る。強度は、任意的に、米国カリフォルニア州、サンガブリエルのウルトラヴァイオレットプロダクツ社(Ultraviolet Products, Inc.)によって(例えば、商標BLACK−RAYとして)販売されているもののような紫外線強度計を用いて設定することができる。光源は、テスト対象となっている光触媒フィルムのコーティング表面に対して垂直に位置付けることができる。例示的な方法が、米国特許第6,027,766号に説明されており、その全内容は、ここに参照することにより組み込まれている。
【0029】
簡潔には、光触媒フィルムと紫外線放射源とは、紫外線放射が、まず光触媒フィルムを通り、次に基材を通るように、互いに対して相対的に位置付けることができる。この場合、光源は、コーティングされた窓板のおもてに面している。窓板が、紫外線放射が通過可能な材料(例えば、ガラス)からなる場合、光触媒フィルムと紫外線放射源とは、紫外線放射が、まず窓板を通り、次に光触媒フィルムを通るように、互いに対して相対的に位置付けることができる。この場合、光源面は、コーティングされた窓板のうらに面している。代替的に、光源は、窓板の両面上に位置付けることができる。
【0030】
更に詳細には、有機汚染物質を光触媒フィルムの上を覆って付し、フィルムに照射すると、フィルムの汚染物質を除去する能力を観察及び測定することができる。ステアリン酸(CH3(CH2)16COOH)は1つの有用な汚染物質である。ステアリン酸は、スプレーコーティング、ディップコーティング、又はスピンコーティングのようなあらゆる所望の技術によって、薄膜テストフィルムとして、光触媒フィルムの上を覆って付すことができる。ステアリン酸テストフィルム厚は、任意的に、約100オングストローム以上、約200オングストローム以下の範囲であり得る。テストフィルムは、例えば、溶液1リットル当り6(10-3モルのステアリン酸濃度を有する溶液のようなメタノール溶液内のステアリン酸として付すことができる。
【0031】
報告されている光触媒フィルムの活性を測定する方法は、光触媒フィルム上のステアリン酸の炭素−水素伸縮振動吸収帯の積分強度を測定することである。積分強度は、光触媒フィルム上のステアリン酸テストフィルムの厚さを反映する。ステアリン酸テストフィルムが除去されると、炭素−水素伸縮振動帯強度が低下することになると考えられている。ステアリン酸中の炭素−水素結合は、紫外線放射とは異なり、光触媒フィルムを活性化させない赤外線放射を吸収する。一般に、そのような吸収は、2800cm-1以上、3000cm-1以下の波数で起こり、フーリエ変換赤外分光光度計を用いて測定可能である。この分光光度計は、重水素化トリグリシンスルフェート検出器又は水銀カドミウムテルル化物検出器のような検出器を備えることができる。水銀カドミウムテルル化物検出器は、特に、窓板、光触媒フィルム、又は窓板上の他のフィルムが、分光光度計が吸収スペクトルを生成するのに用いる赤外線放射を吸収する場合に好ましいことが報告されている。赤外線放射がそのように吸収される場合、ステアリン酸テストフィルムを通過する赤外線放射は減少する。このことは、光触媒フィルム上のステアリン酸が低濃度であることと結びついている。このことから、水銀カドミウムテルル化物検出器は、重水素化トリグリシンスルフェート検出器より約1桁優れた信号対雑音比を有するスペクトルを提供すると報告されている。光触媒フィルムの上を覆って堆積させたステアリン酸テストフィルムの活性がテストされる時、赤外線放射は、任意的に、窓板及び光触媒フィルムを通って、テスト対象となっている窓板の反対側の検出器上へと方向付けることができる。赤外線放射が基材を通過することができない場合、赤外線放射を、任意的に、表面の上方に傾斜して方向付け、テストフィルムを通過させ、窓板から反射させることができる。そのような方法は、反射赤外分光法として公知である。
【0032】
これにより、光触媒フィルムが化学線放射に露光される時、光触媒フィルムが反応してステアリン酸テストフィルムを除去する速度を測定することによって、光触媒フィルムの反応速度を考察することができる。炭素−水素伸縮振動特性の積分強度の低下率は、表面被覆率に正比例すると報告されている。従って、化学線(紫外線)放射に露光される時間を増加することによって、反応速度が得られる。光触媒フィルム18上のステアリン酸テストフィルムについて、分光光度計を用いて初期活性を測定することができる。光触媒フィルムは、任意的に、初期活性測定のために紫外線放射に露光しておくことができる。その後、ステアリン酸がコーティングされた光触媒フィルムを一定時間、紫外線放射に露光し、その最後に、分光光度計を用いて第2活性測定を行うことができる。ステアリン酸テストフィルムの一部が、紫外線放射に露光されることにより除去されているであろうことから、第2測定における炭素−水素伸縮振動の積分強度は、第1測定におけるよりも低いはずである。そのような2回の測定から、時間に対する炭素−水素伸縮振動の積分強度の曲線を作成することができる。そのような曲線の勾配によって、反応速度が得られる。2点をプロットして曲線が得られるが、何回かの測定を行って曲線を得るのが好ましい。測定を3回以上行う場合、各測定間の放射露光時間は一定に保つことも変化させることもできる(例えば、紫外線放射露光の累積時間を用いて曲線をプロットできる)が、反応速度を測定する場合、紫外線放射の強度及び向きは全ての測定について一定に保たねばならない。
【0033】
本発明の特定の実施形態は、低レベルの光活性を有し、マスキングフィルムが、直接(例えば、コーティング18とマスキング基材との間に挟まれたマスキング接着剤を介して)、光触媒コーティング18に接して担持される場合に用いられる光触媒コーティング18を提供する。ここで報告されている反応速度は、cm-1分-1を単位として示される。反応速度の値が大きいほど、光活性が大きいことを示す。特定の実施形態において、コーティング18は、1(10-2cm-1分-1未満、9(10-3cm-1分-1未満、8(10-3cm-1分-1未満、4(10-3cm-1分-1未満、3(10-3cm-1分-1未満、2(10-3cm-1分-1未満、又は更に約1.5(10-3cm-1分-1未満の光活性を有する。
【0034】
一実施形態は、窓板(任意的に、ガラス窓板)であって、その第1の主表面の直接上を覆って(チタニアを含む、それを主成分とする、又はそれからなる活性フィルムを含み、活性フィルムが、好ましくは、約150オングストローム未満、例えば、20オングストローム以上100オングストローム以下、又は100オングストローム未満、或いは20オングストローム以上75オングストローム以下、及び、ある場合には、20オングストローム以上60オングストローム以下等、75オングストローム以下の厚さを有する)光触媒コーティング18が付された窓板を提供する。光触媒コーティング18は、好ましくは、(必ずではないが、任意的に、1つ以上の上記範囲内、例えば、9(10-3cm-1分-1未満、5(10-3cm-1分-1未満、又は更に約1.5(10-3cm-1分-1未満の)特に低い光触媒活性を有する。この場合、マスキングが、光活性コーティング18によって(例えば、マスキングが、光触媒コーティング18とマスキング基材との間に直接挟まれるマスキング接着剤を含むように)担持される。これらの実施形態において、光触媒コーティング18(又は、少なくともそのチタニア含有フィルム)は、任意的に、スパッタフィルムであり得る。しかし、他の実施形態においては、光触媒コーティングは、化学気相蒸着、真空蒸着、及び/又はイオンアシスト蒸着のような、他の薄膜堆積技術によって付される。湿式化学法(例えば、ゾルゲル法)を用いることもできる。
【0035】
従って、特定の実施形態において、光触媒薄膜コーティングは、チタニアを含む活性フィルムを含み、活性フィルムは、100オングストローム未満、又は更に75オングストローム未満の厚さを有する。
【0036】
光触媒コーティングが、スパッタフィルムを含む(例えば、それである)実施形態において、様々なスパッタ堆積技術を用いることができる。特定の特に好ましい実施形態において、光触媒コーティング18(又は、少なくとも1つのそのフィルム領域)は、低温で(例えば、基材を約摂氏250度より低温、及び、より好ましくは摂氏200度より低温に維持しながら)スパッタリングによって堆積される。
【0037】
スパッタリングは、本技術分野において周知である。マグネトロンスパッタリングチャンバと関連装置が、様々な供給源(例えば、レイボルド(Leybold))から市販されている。有用なマグネトロンスパッタリング技術と装置が、チャピン(Chapin)に発行された米国特許第4,166,018号に記載されており、その全教示は、ここに参照することにより組み込まれている。
【0038】
本発明の特定の好ましい方法において、光触媒コーティング18は、マルチチャンバスパッタリングラインにおいて基材に付される。スパッタリングラインは、本技術分野において周知である。典型的なスパッタリングラインは、シート状基材を、各チャンバにおいて間隔を置いて配置された移送ローラー(ローラーは、スパッタリングラインを通る連続した基材走行路を構成する)の上方を(例えば、それに直接接触しながら)水平に搬送することによって、基材を1つのチャンバから次のチャンバへと通過させることができるように位置合わせされ、連結された一連のスパッタリングチャンバを含む。基材は、典型的には、1分間当り約100から500インチの速度で搬送される。
【0039】
特定の一方法において、基材は、スパッタリングラインの入口に位置付けられ、所望のコートゾーンに搬送される。このコートゾーンは、第1のフィルムを堆積させるのに適合させた3つの陰極を備えている。より詳細には、これらの陰極はそれぞれ、ケイ素スパッタリングターゲットを含むが、その他の方法では第1のフィルムの材料としてその他の材料が含まれる(代替的に、この第1のフィルムを全く施さないでおくことができる)。このコートゾーンにおけるケイ素ターゲットを、酸化雰囲気においてスパッタし、基材の第1の主表面の直上に二酸化ケイ素フィルムを堆積させることができる。この雰囲気は、酸素(例えば、約100%のO2)を主成分としてもよい。代替的に、この雰囲気は、Ar/O2(例えば、酸素と約40%までのアルゴン)を含んでもよい。約38kWの電力を第1の陰極に印加し、約38kWの電力を第2の陰極に印加し、約38kWの電力を第3の陰極に印加することができる。基材は、これら全3つのターゲットの下方を、これらのターゲットそれぞれを言及した電力レベルでスパッタしながら、1分間に約200インチの速度で搬送可能であり、その結果、二酸化ケイ素フィルムが約100Aの厚さで付される。この場合のシリカフィルムは、任意的に、100オングストローム未満、例えば、約75オングストローム等、60オングストローム以上90オングストローム以下であり得る。この任意の第1のフィルムの厚さ及び組成は、所望に応じて変更可能である。1つ以上のケイ素ターゲットが用いられる実施形態において、各ケイ素ターゲットは、ターゲットの導電性を高めるため、多少のアルミニウム又は他の材料を含み得る。
【0040】
このようにコーティングされた基材は、その後、次のコートゾーンへ搬送され得る。このゾーンにおいて、3つの陰極を用いて第2のフィルムを堆積させる。好ましくは、これら3つの陰極はそれぞれ、チタンスパッタリングターゲットを含む。このコートゾーンにおけるチタンターゲットを、酸化雰囲気においてスパッタし、任意の第1のフィルムが設けられる場合、その直上に二酸化チタンフィルムを堆積させることができる。代替的に、そのような二酸化チタンフィルムは、基材の直上に堆積させることができる。更に、基材と二酸化チタンフィルムとの間に2層以上のフィルムを堆積させることができる。二酸化チタンフィルムを堆積させる雰囲気は、酸素を主成分としてもよい。代替的に、この雰囲気は、Ar/O2を含んでもよい。約43kWの電力を第1の陰極に印加し、約43kWの電力を第2の陰極に印加し、約43kWの電力を第3の陰極に印加することができる。基材は、これら全3つのターゲットの下方を、これらのターゲットそれぞれを言及した電力レベルでスパッタしながら、1分間に約200インチの速度で搬送可能であり、その結果、二酸化チタンフィルムが約100Aの厚さで付される。この場合のチタニアフィルムは、任意的に、100オングストローム未満、例えば、約25から45オングストローム等、20オングストローム以上60オングストローム以下であり得る。このフィルムの厚さ及び組成は、変更可能である。本方法において、この二酸化チタンは、コーティング18の最外部を構成するが、その他の実施形態は、二酸化チタンによって付与された親水性を排除しない、その上に重なる薄膜を含む。特定の親水特性(例えば、夜間特性(night−time properties))を実現するために、チタニアは、任意的に、シリカ(又は、他の、非光活性であるが、親水性である誘電性材料)と混合可能である。これは、親水特性と光活性特性の所望の均衡を実現するために行うことができ、これによって、適切に低レベルな、良好なマスキング耐久性を向上させる能力が得られる場合がある。コーティング18の最外面の直接上を覆って、第1のマスキング30が付着するように付されていることが好ましい。このマスキング30は、単一マスキング材料シートとして、又は、一連に重なり合うように付された複数の細長いマスキングストリップであって、隣接するストリップが(例えば、図4に図示されているように)側端が互いに重なり合う配置で重ねられた複数のストリップとして、付すことができる。任意的に、マスキングされた窓板表面は、(例えば、マスキングされた窓板表面領域のちょうど中心を含む)中央領域を有し、付着した1つ以上のマスキングストリップがこの中央領域の上方に(例えば、それを覆い、それを越えて延びるように)位置する。
【0041】
説明したばかりの方法において、基材の第2の主面が、任意の低放射率コーティングで予めコーティングされている、又は後にコーティングされてもよいことが理解されるべきである。例えば、説明したばかりの、第1及び第2のフィルムを堆積させるのに用いられるコートゾーンは、(例えば、そこで任意の低放射率コーティングが予め付されてもよい先行する比較的多数の下向きスパッタコートゾーンを含むスパッタリングラインの終端に任意的に位置する)上向きスパッタコートゾーンであり得る。特に有用な上向きスパッタ/下向きスパッタ法及び装置が、米国特許出願第09/868,542号に記載されており、その全内容は、ここに参照することにより組み込まれている。
【0042】
特定の実施形態において、本発明は、マスキングされた光触媒断熱ガラス技術に関する高効率な製造工程を提供する。ここで、この方法は、第1段階としてのスパッタ堆積工程を含み,第2段階としてのマスキングを付す工程がこれに続く。マスキングは、任意的に、断熱ガラスユニットアッセンブリラインの一部であるマスキングステーションを操作することによって付される。図11の工程及び図12のコーターを参照する。好ましくは、この工程は、第1のガラス板をコーター(例えば、連続した基材走行路に沿って一連に連結された複数の堆積区画/チャンバを含むコーター)に通して搬送することと、ガラス板の第1の主表面を上向きスパッタリングによってコーティングすることと、ガラス板の第2の主表面を下向きスパッタリングによってコーティングすることとを含み、その後、このようにコーティングされた第1のガラス板は、断熱ガラスユニットアッセンブリラインに沿って搬送され、その上で第1のガラス板が第2のガラス板と組み合わされて断熱ガラスアッセンブリを構成し、その後、マスキング接着剤を第1のガラス板のコーティングされた第1の表面に直接付着させることによって、剥離可能な第1のマスキングが、第1のガラス板のコーティングされた第1の表面の上を覆って付される。ある実施形態において、この場合、マスキングは、断熱ガラスユニットアッセンブリラインの一部であるマスキングステーションを操作することによって付される。一実施形態において、このマスキングステーションは、アッセンブリラインの終端に位置する。
【0043】
図12は、本製造工程において有用である例示的なコーター2000を示したものである。ここで、コーター2000は、このことは要件ではないが、少なくとも6つのスパッタ堆積区画を含むことが分かる。コーターは、少なくとも9つのそのような区画、少なくとも12のそのような区画、又は更に少なくとも15のそのような区画を有利に含んでもよい。図示されたコーターは、その最後の区画200(すなわち、基材走行路に沿う最後の活性な区画)に、上向きスパッタ区画/チャンバを有する。他の実施形態において、コーターは、基材走行路P上の第1の活性な区画としての上向きスパッタ区画/チャンバを有する。図示されたチャンバ2000は、移送ローラー210とコンベアベルト144Cから144Gとの組み合わせを有することが示されているが、単に、間隔を置いて配置された(コンベアベルトによって連結されていない)移送ローラー210を用いるのが好ましい場合がある。図示されているコーターにおいて、最初の5つの区画は下向きスパッタ区画であり、一方、最後の区画は上向きスパッタ区画である。しかし、上述したように、上向きスパッタ区画及び下向きスパッタ区画の配置及び位置は、効率又は製品品質が最大限となるよう調整可能である。図示された各区画は、このことは決して要件ではない(例えば、ある特定のチャンバは、所望の工程次第で、ターゲットを1つ有しても、ターゲットを3つ以上を有しても、又はターゲットなしでもよい)が、2つのターゲット166Aから166J、660A、660Bを備える。
【0044】
一実施形態群は、基材を加工する方法を提供し、この方法は、第1のガラス板を準備することと、この板を単一のスパッタコーターに通して搬送することと、ガラス板をスパッタコーターに一度だけ通して、この板の第1及び第2の両主表面上にコーティングをスパッタ堆積させることとを含む。本実施形態群において、このスパッタ堆積は、第1のターゲットシーケンス660A、660Bから上向きにスパッタすることによって、ガラス板12の第1の主表面20に光触媒コーティングを付すことを含む。ここで、第1のターゲットシーケンスは、任意的に、純粋な、又は実質的に純粋なチタン材料、チタン合金材料、酸化チタン材料、及びチタンとケイ素とを含む化合物からなる群から選択されるスパッタ可能な材料を含む1つ以上のターゲットを含む。この上向きスパッタリングは、任意的に、酸化ガス及び/又は不活性ガスを含有するガススパッタリング雰囲気において行うことができる。好適なターゲットは、米国ミシガン州、ニューハドソン、ティコチタニウム社(TICO Titanium Inc.)のような多くの供給源から市販されている。不足当量TiOxターゲット、但しxは2未満、について、米国特許第6,461,686号及び第6,468,402号及び第6,511,587号に記載されており、それぞれの全内容は、ここに参照することにより組み込まれている。不足当量TiOxターゲットは、べカールト社(Bekaert VDS nv)(ベルギー国、デーンズ)から市販されている。連帯的に、スパッタ堆積は、第2のターゲットシーケンスから下向きにスパッタすることによって、第1のガラス板の第2の主表面に低放射率コーティングを付すことを含む。ここで、第2のターゲットシーケンスは、任意的に、純粋な、又は実質的に純粋な銀材料及び銀合金材料からなる群から選択されるスパッタ可能な材料を含む1つ以上のターゲットを含む。この性質の好適なターゲットは、多くの商業的供給源から容易に入手可能である。このようにコーティングされた第1のガラス板は、その後、多重窓板絶縁板ガラスユニットアッセンブリラインに送られ(例えば、その上に位置付けられ)、アッセンブリラインに沿って搬送され、その上で、この第1のガラス板は、第2のガラス板と、得られる断熱ガラスアッセンブリが第1のガラス板と第2のガラス板との間の間隙を規定する(第1のガラス板のコーティングされた第1の主表面が間隙とは反対側にある外表面である)ように、組み合わされる。剥離可能な第1のマスキングが、光触媒コーティングの上を覆って付される。マスキングは、好ましくは、マスキング基材とマスキング接着剤とを含む。第1のマスキングを光触媒コーティングの上を覆って付すことは、マスキング接着剤を光触媒コーティングに直接付着させることを含む。付されたマスキング接着剤は、マスキング基材に対して、光触媒コーティングに対するよりも高レベルの付着力を有するよう選択されることが望ましい。ある場合には、第1のマスキングを光触媒コーティングの上を覆って付すことは、アッセンブリラインの一部(すなわち、その上に位置する)第1のマスキングステーションを操作することを含む。任意的に、本方法は、有利に、やはりアッセンブリラインの一部であり得る第2のマスキングステーションを操作することによって、剥離可能な第2のマスキングを、得られる断熱ガラスアッセンブリの第4表面の上を覆って付すことを含む。
【0045】
直前の段落に記載の実施形態の幾つかにおいて、光触媒コーティングは、チタニアを含有する活性フィルムを含み、この活性フィルムは、以下に記載するように、100オングストローム未満の厚さにスパッタ堆積される。付加的に又は代替的に、光触媒コーティングは、任意的に、チタニアを含有する活性フィルムを含むことができ、この活性フィルムは、非晶質フィルムの直接上を覆ってスパッタ堆積させることができる。
【0046】
本実施形態群において、この方法は、第1のマスキングを、光触媒コーティングを担持する主表面から剥離することを更に含むことができる。この剥離中、ある実施形態における接着剤は、ひとたび第1のマスキングが光触媒コーティングを担持する主表面から剥離されると、接着剤の実質的に全てがマスキング基材上に残るように、マスキング基材に優先的に付着する。上述したように、マスキング接着剤は、任意的に、アクリル接着剤であることができ、及び/又はマスキング基材は、任意的に、ポリエチレンを含むことができ、及び/又はマスキング接着剤は、任意的に、少なくとも1種の紫外線安定剤を含むことができる。
【0047】
特に薄膜である(任意的に、スパッタされたチタニアを含む)光触媒コーティングは、上記特徴及び利点に関する限りにおいて、格別な効果をもたらし得ることが分かっている。ある実施形態において、光触媒コーティングの全厚は、約500オングストローム未満、好ましくは約400オングストローム未満、或いは約300オングストローム未満、又は更に200オングストローム未満(例えば、20オングストローム以上、175オングストローム以下)である。
【0048】
特定の実施形態は、チタニアを含む活性フィルムを含む光触媒薄膜コーティングを含み、活性フィルムは、200オングストローム未満、100オングストローム未満、又は更に75オングストローム未満の厚さを有する下地フィルムの直接上を覆って堆積される。更に、ある場合には、チタニア含有フィルムは、それと基材との間に、全体で、200オングストローム以下、又は100オングストローム以下の下地フィルムを有する。
【0049】
ある実施形態において、光触媒薄膜コーティングは、チタニアを含む活性フィルムを含み、活性フィルムは、非晶質フィルムの直接上を覆って堆積される(すなわち、位置付けられる)。非晶質フィルムは、例えば、任意的に、1種以上の金属(例えば、アルミニウム)を含むシリカフィルムであり得る。ある場合には、非晶質フィルムは、ガラスの風冷強化時、少なくとも実質的に非晶質であるという形態を維持するよう適合させた組成を有する。シリカと少量の1種以上の金属とを含むフィルムが有用である。従って、図2において、例えば、コーティング18の最内厚(すなわち、第1の窓板12に最も近接する厚さ)は、活性チタニア含有フィルム(任意的に、コーティング18の最外厚を構成する活性フィルム)の下地フィルムであり得る。
【0050】
多くの場合、ガラスを風冷強化するために、又はガラスが所望の形状に曲げられることを可能にするために、コーティングされたガラス板をガラスの融点又は融点付近の温度まで加熱する必要がある。風冷強化は、例えば、自動車の窓に用いられるガラス、及び特に、自動車のフロントガラスに用いられるガラスにとって望ましい。また、風冷強化ガラスは、一般的に、特定の建築分野において必要とされる。風冷強化ガラスは、破壊されると、大きい危険な破片よりもむしろ、多くの小片に砕けるという破壊パターンを呈することが望ましい。ガラスの風冷強化中、コーティングされたガラスは、一般的に、約摂氏700度程度の高温に曝される。
【0051】
ある実施形態において、本発明は、光触媒薄膜コーティングが基材に付された後であって、除去可能な保護マスキングを光触媒薄膜コーティングの上を覆って付す前に、コーティングされた窓板を風冷強化することを含む方法を提供する。ここで、光触媒コーティングは、風冷強化中、一般的に、露出される(すなわち、被覆されない)であろう。好ましくは、窓板はガラスであり、熱処理は、所望の性質を有するコーティングされたガラスを準備することと、そのようにコーティングされたガラスを、約摂氏400度以上約摂氏750度以下、好ましくは約摂氏500度以上約摂氏750度以下、或いは、より好ましくは約摂氏600度以上約摂氏750度以下の高温に曝すこととを含む。風冷強化は、酸化雰囲気において行われることが好ましい。例えば、1回分の積載量のガラス板を対流型加熱炉内に置き、約摂氏734度に達する高温に曝すことができる。この温度に達するまでに要する時間は、約109秒であり得る。その後、コーティングされたガラスを風冷により急冷することができる。
【0052】
そのような任意の風冷強化工程後、コーティングされたガラスは、多重窓板IGユニットに組み込み可能であり、窓板がIGユニットに組み合わされた後、除去可能なマスキングを付すことができ、従って、この方法は、風冷強化ガラス窓板を準備することと、2つのそのような窓板をIGユニットに組み合わせることと、その後、マスキングを、これら窓板の内の1つの外主表面(例えば、第1表面)に付し、任意的に、マスキングを、IGユニットの両方の外主表面(例えば、第1及び第4表面)に付すこととを含む。この場合、マスキングは、任意的に、窓板がIGユニットアッセンブリに組み合わされるのと同じアッセンブリライン上に(例えば、同じコンベア路上に)付すことができる。
【0053】
光触媒コーティングは、様々な薄膜堆積技術によって堆積可能である。特定の好ましい実施形態において、このコーティングは、スパッタリングによって付される。スパッタリングは、高レベルの光活性をもたらさないと考えられている。従って、マスキングされた、1層以上の薄膜スパッタ光触媒コーティングを提供する本発明の実施形態において、発明者らは、好ましくは、清浄な外観を保持するコーティング表面という面で理想的な結果にはならないことが分かっている高レベルの光活性をもたらすことなく、マスキング安定性と、マスキングフィルム除去時の良好な親水性コーティング特性とを有する、マスキングされた低光活性コーティングを提供することによって、このことを利用したのである。
【0054】
図3は、本発明の更なる例示的実施形態に従った断熱板ガラスユニット200の断面図である。断熱板ガラスユニット200は、第1の窓板12と、第2の窓板14と、第1の窓板12と第2の窓板14との間に介在させたスペーサー16とを含む。ある実施形態におけるスペーサー16は、サッシ、枠等の不可欠な一部であり得る。断熱板ガラスユニットは、第1表面20と、第2表面22と、第3表面24と、第4表面26とを有する。図3に関し、第1の窓板12が、第1表面20と第2表面22とを含むことが理解されるであろう。図3の実施形態において、第1のコーティング18は、第1表面20上に配置される。また、図3の実施形態において、第2のコーティング28は、第2表面上に配置される。断熱板ガラスユニット200の第2の窓板14は、第3表面24と第4表面26とを含む。図3に関し、第3及び第4表面がコーティングされていないことが理解されるであろう。ここで、コーティングされた第1表面が、第1のマスキング30を担持し、コーティングされていない第4表面が、第2のマスキング32を担持する。第1のコーティング18は、望ましくは、本開示において記載されたものの何れかのような光活性コーティングを含む(例えば、それである)。
【0055】
図4は、本発明の例示的実施形態に従ったアッセンブリ300の斜視図である。アッセンブリ300は、断熱板ガラスユニット302を含む。断熱板ガラスユニット302は、第1の窓板304と、第2の窓板306と、第1の窓板304と第2の窓板306との間に介在させたスペーサー308とを含む。第1の窓板304、第2の窓板306、及びスペーサー308は、好ましくは、窓板間空間を画定する。ある実施形態において、断熱ガス(例えば、アルゴン、クリプトン、及び/又はその他)が窓板間空間に入れられる。窓板間空間が空気を含むか、又は真空である実施形態も可能である。断熱板ガラスユニット302は、一般に、二層ガラスユニットと呼ばれる場合がある。本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、断熱板ガラスユニット302のその他の実施形態が可能である。例えば、断熱板ガラスユニット302は、単層ガラスユニットであっても、三層ガラスユニットであってもよい。ここに記載の全ての実施形態における断熱板ガラスユニットは、任意的に、断熱ガラスであることができ、及び/又は4メートル未満、3メートル未満、2.5メートル未満、2メートル未満、又は更に1.7メートル未満の主要寸法を有し得る。
【0056】
断熱板ガラスユニット302の第1の窓板304は、第1の面320を有する。図4の実施形態において、除去可能な仮保護被覆(又は「マスキング」)324が、第1の窓板304の第1の面320の上を覆って配置される。図4の実施形態において、保護被覆324は、それぞれ(好ましくは、プラスチック又はプラスチック様材料のような可撓性のある/非剛性の、任意的に、ポリエチレンを含む)マスキング基材を含む、複数のマスキングストリップを含み、マスキング接着剤が、マスキング基材の表面上を覆って配置されている。
【0057】
図5は、マスキング102をモノリシック窓板又は断熱板ガラスユニット10に付すのに使用可能なワークステーション100の等角図である。ワークステーション100は、ワークプラテン106を支持する枠104を含む。コンベア108は、任意的に、その上でモノリシック窓板が組み合わされて多重窓板IGユニットアッセンブリを構成するアッセンブリラインの一部である先行するコンベアから引き継ぐ(すなわち、そこからガラス板を受けるよう適合させる)ことができる。ワークステーション100は、また、ワークプラテン106のおもて面を横切って延びるコンベア108も含む。コンベア108は、モノリシック窓板又は断熱板ガラスユニット10を、ワークステーション100に通して移送するのに利用されてもよい。コンベア108は、ベルト120と複数のローラー122とを含む。図5の実施形態において、断熱板ガラスユニット10は、コンベア108のベルト120上に載っていることが示されている。ワークステーション100は、それぞれ異なる機能を有する、又はモノリシック窓板又は断熱板ガラスユニット10の加工手順を行うマルチワークステーションを有する、より長いアッセンブリラインに組み込まれてもよい(例えば、その一部であってもよい)。
【0058】
上述したように、本発明のある実施形態は、両面がマスキングされた絶縁板ガラスユニットを含む。図6は、モノリシック窓板又は断熱板ガラスユニットの両面にマスキングを付すことができる製造ライン124を含む工程を示す等角図である。製造ライン124は、第1のワークステーション130と、第2のワークステーション132と、第3のワークステーション134とを含む。この例示的実施形態において、第1のワークステーション130及び第3のワークステーション134はそれぞれ、保護被覆(例えば、マスキング)324をモノリシック窓板又は断熱板ガラスユニットに付すことができる(任意的に、先の図面に示されたワークステーション100のような)ワークステーションを含む。第2のワークステーション132は、第3のワークステーション134によって、モノリシック窓板又は断熱板ガラスユニットの第2の面138にマスキングを付すことができるように、断熱板ガラスユニットが第1のワークステーション130を離れた後、断熱板ガラスユニットを裏返すよう適合させられている。
【0059】
断熱板ガラスユニットは、断熱板ガラスユニットの両面にマスキングを付す工程の一部として、第1のワークステーション130、第2のワークステーション132、及び第3のワークステーション134を通って送り進められてもよい。図6の実施形態において、第1の断熱板ガラスユニット302は、第1のワークステーション130内に配置され、第2の断熱板ガラスユニット302’は、第2のワークステーション132内に配置され、第3の断熱板ガラスユニット302”は、第3のワークステーション134内に配置される。
【0060】
第1のワークステーション130は、第1のツール328と、第2のツール330と、マスキング材料336のロール332とを含む。図6の実施形態において、マスキング材料336の複数の部分334が、第1の断熱板ガラスユニット302の第1の面136に付されている。第1の断熱板ガラスユニット136は、また、第2の面138も含む。図6に関し、マスキング材料336の部分334が、保護被覆324を構成するように位置付けられ、そのように寸法決めされることが理解されるであろう。図6において、マスキングされていないエプロン344は、保護被覆(又は「マスキング」)324と第1の断熱板ガラスユニット302の外縁部との間に延びていることが示されている。好ましくは、マスキングストリップが、モノリシック窓板又は断熱板ガラスユニットの所望の窓板の主表面に固定される時(例えば、その上に圧着される時)、マスキングストリップは、後にマスキングのトリミングを行うことがないように、エプロンにより窓板の端部84から間隔をおいて配置されている。従って、特定の実施形態において、光触媒コーティングを担持する主表面を有するモノリシック窓板又はIGユニットが提供され、本方法は、マスキングを、一旦、コーティングされた表面に(例えば、全体として、それに対して平行になるように)付着させた後、付されたマキングのカッティングを行うことなく、(ここに記載されているように、任意的に、多数のストリップを含む)マスキングを、(任意的に、コーティングされた表面の周縁領域、すなわち「エプロン」以外の全てを被覆するように)光触媒コーティングの上を覆って付着するように付すことを含む。これは、コーティングにかき傷がつくのを防止するために行うことができる。
【0061】
図6において、第2の断熱板ガラスユニット302’は、第2のワークステーション132内に配置されている。図6に関し、第2の断熱板ガラスユニット302’が、第1の面136と第2の面138の相対位置が、第1の断熱板ガラスユニット302を基準として逆となるような向きであることが理解されるであろう。第2の断熱板ガラスユニット302’の第1の面136上に配置されている保護被覆324は、図6において、破線を用いて図示されている。第3のワークステーション130は、第1のツール328と、第2のツール330と、マスキング材料336のロール332とを含む。図6の実施形態において、マスキング材料336の複数の部分334が、第3の断熱板ガラスユニット302”の第2の表面に付されている。
【0062】
本発明に従ったモノリシック窓板又は断熱板ガラスユニットの両面をマスキングする方法は、以下の手順を含む。モノリシック窓板又は断熱板ガラスユニット10を、第1のワークステーション130内に移送すること。保護被覆(又は「マスキング」)324を断熱板ガラスユニット10の第1の面136に(好ましくは、光触媒コーティング18の上を覆って)付すこと。モノリシック窓板又は断熱板ガラスユニットを、第2のワークステーション132内に移送すること。モノリシック窓板又は断熱板ガラスユニットを裏返すこと。モノリシック窓板又は断熱板ガラスユニットを、第3のワークステーション134内に移送すること。保護被覆324を、モノリシック窓板又は断熱板ガラスユニットの第2の面138に(例えば、第3のワークステーション134を操作することによって)付すこと。
【0063】
モノリシック窓板又は多重窓板断熱板ガラスユニットに関し、様々な窓板基材が好適である。好ましくは、基材は、概ね又は実質的に対向する第1及び第2の主表面を有するシート状基材である。多くの実施形態において、基材は、透明材料シート(すなわち、透明シート)である。しかし、基材は透明である必要はない。とは言え、ほとんどの用途に関し、基材は、ガラス又はクリアプラスチックのような、透明(又は、少なくとも半透明の)材料を含むであろう。例えば、基材は、好ましい実施形態において、ガラス板(例えば、ガラス窓板)である。様々な公知のタイプのガラスを用いることができ、一般的に、ソーダ石灰ガラスが好ましい。ある実施形態において、マスキングされた光触媒IGユニットの各窓板はガラス板であり、マスキング材料は透明(例えば、光学的にクリアな)高分子材料であり、この場合、任意的に、IGユニットは、ガラス窓板を2つのみ有し、IGユニットの第1及び第4表面がマスキングされ、第1表面が光触媒コーティングを担持し、第4表面は、マスキングの下に何ら薄膜コーティングを有しない。
【0064】
本発明において、様々なサイズの基材(例えば、窓板)を用いることができる。一般的に、大面積基材が用いられる。特定の実施形態は、少なくとも約0.5メートル、好ましくは少なくとも約1メートル、或いは、より好ましくは少なくとも約1.5メートル(例えば、約2メートル以上、約4メートル以下)、及び、ある場合には少なくとも約3メートルの幅を有する基材を含む。
【0065】
本発明において、様々な厚さの基材を用いることができる。一般的に、約1mmから5mmの厚さを有する基材(例えば、ガラス板)が用いられる。特定の実施形態は、約2.3mm以上約4.8mm以下、或いは、より好ましくは約2.5mm以上約4.8mm以下の厚みを有する基材を含む。ある場合には、約3mmの厚さを有するガラス板(例えば、ソーダ石灰ガラス)が用いられるであろう。
【0066】
マスキングは、様々な材料を含むことができる。例えば、マスキング基材は、一般的に(可撓性がありながら自立性を有してもよい)フィルムであろう。高分子フィルムが有用である。例えば、マスキング基材は、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVD)、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエステル(例えば、PET)、ポリアミド、又はポリイミドであり得る。マスキング基材は、また、共押出されたポリエチレン−ポリプロピレンフィルムのような、フィルムの組み合わせであってもよい。有用なマスキングフィルムは、パーマセル(Permacel)(米国ニュージャージー州、ニューブランスウィック)、ポリフィルムアメリカ(Poli−Film America)(米国イリノイ州、ハンプシャー)、及びアメリカンビルトライト社(American Biltrite Inc.)(米国ニュージャージー州、モリスタウン)、及びテクラ社(Tekra Corporation)(米国ウィスコンシン州、ニューベルリン)を含む多くの供給源から市販されている。
【0067】
ある特定の実施形態において、マスキング接着剤は、アクリル接着剤であり、マスキング基材は、ポリエチレンを含む(例えば、そうである)。これらの実施形態は、剥離可能なマスキングを設けることが望ましく、マスキング接着剤が、マスキング基材に対して、コーティングされた主表面に対するよりも高レベルの付着力を有し、その結果、マスキングがコーティングされた主表面から剥離される時、接着剤がマスキングフィルムに優先的に付着する場合に、有利である。
【0068】
図7は、本発明の例示的実施形態に従ったアッセンブリの概略平面図である。図7のアッセンブリは、(その他の実施形態において、モノリシック窓板と置き換え可能な)断熱板ガラスユニット302と、第1のサッシ片338とを含む。図7において、第1のマスキングストリップ342を含む第1の保護被覆324が、断熱板ガラスユニット302の第1の(例えば、外側寄りの)表面346上に配置され、第2の保護被覆(又は、「マスキング」)324’が、断熱板ガラスユニット302の第2の表面348上に配置されていることが理解できる。図7の実施形態において、第1の表面346の第1のマスキングされていないエプロン344は、第1の保護被覆324の外縁部と断熱板ガラスユニット302の外縁部との間に延びている。同様に、第2の表面348の第2のマスキングされていないエプロン344’は、第2の保護被覆324’の外縁部と断熱板ガラスユニット302の外縁部との間に延びている。図7の実施形態において、第1のマスキングされていないエプロン344及び第2のマスキングされていないエプロン344’はそれぞれ、幅W1を有する。図7の実施形態において、任意の接着ビード350が、第2の表面348の第2のマスキングされていないエプロン344’上に配置されている。
【0069】
図7において、(好ましくは、剛性支持部材を含む)第1のサッシ片338の第1の嵌合部352及び第2の嵌合部352’が示されている。図7の実施形態において、第1の嵌合部352及び第2の嵌合部352’は何れも、幅W2を有する。図7の例示的実施形態において、第1の嵌合部352の幅W2は、第2のマスキングされていないエプロン344’の幅W1と概して同じ(任意的には、実質的に同じ)である。本発明のある別の実施形態において、第2のマスキングされていないエプロン344’の幅は、サッシ片の嵌合部の幅より概して大きい。他の変形例として、W1は、有利に、W2より小さいことがあり得る。
【0070】
図8は、先の図に示された、断熱板ガラスユニット302と第1のサッシ片338とを含むアッセンブリ202の概略平面図である。図8において、第2のマスキングされていないエプロン344’が、第1のサッシ片338の第1の嵌合部352及び第2の嵌合部352’と嵌合していることが理解され得る。断熱板ガラスユニット302は、例えば、接着材料を用いて、第1のサッシ片338に固着させてもよい。図8において、第2のサッシ片340も示されている。アッセンブリ202は、第1のサッシ片338又は第2のサッシ片340に被覆されていない視野領域(又は、「視覚領域」)356を有する。ここで、マスキングは、任意的に、視覚領域の実質的に全領域を被覆することができる。
【0071】
図9は、本発明の更なる例示的実施形態に従ったアッセンブリの斜視図である。図9において、建物580の第1の壁590が認識できる。第1の壁590は、開口部582を画定する。断熱板ガラスユニット588は、第1の壁590によって画定された開口部582内に配置される。断熱板ガラスユニット588は、断熱板ガラスユニット588の第1表面576を画定する第1の窓板584を含む。図9の実施形態において、第1のコーティング572は、第1表面576上に配置されている。第1表面上の第1のコーティング572は、第1のマスキング574を担持する(例えば、それによって被覆される)。ある有用な実施形態において、第1のコーティング572は、上記に記載の何れか1つのような光触媒コーティングを含む。好ましくは、マスキング574は、視覚領域の全領域又は実質的に全領域など、図9に図示されているより大きい視覚領域を被覆する。
【0072】
図10は、本発明の更なる例示的実施形態に従ったアッセンブリを図示する断面図である。図10において、建物680の第1の壁690、第2の壁692、及び第3の壁694が認識できる。第1の壁690、第2の壁692、及び第3の壁694は、部屋670の内部668を画定する。第1の壁690は、開口部682を画定する。断熱板ガラスユニット688は、第1の壁690によって画定された開口部682内に配置されている。
【0073】
断熱板ガラスユニット688は、断熱板ガラスユニット688の第1表面676を画定する第1の窓板684と、断熱板ガラスユニット688の第4表面を確定する第2の窓板686とを含む。図10の実施形態において、第1のコーティング672は、第1表面676上に配置されている。第1表面上の第1のコーティング672は、第1のマスキング674を担持する(例えば、それによって被覆される)。ある有用な実施形態において、第1のコーティング672は、上記に記載の何れか1つのような光触媒コーティングを含む。
【0074】
図10の実施形態において、マスキング674は、基材と接着剤層とを含む。図10において、太陽光線664は、マスキング674と断熱板ガラスユニット688とを通過することが示されている。本発明のある有用な実施形態において、マスキング674は、(例えば、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、又は少なくとも60%の可視光透過率を有して)太陽光が部屋670を照らすことを可能にするのに充分なだけ、光学的に半透明である。本発明のある有用な実施形態において、マスキング674は、可視光放射に対して透明(又は、少なくとも実質的に透明)である(例えば、65%、75%、又は更に85%)を越える可視光透過率を有する。
【0075】
本発明に従ったある有用な方法において、多くの人々(例えば、大工、塗装工等)が、断熱板ガラスユニット688が装着される(例えば、取り付けられる)建物(例えば、家屋、オフィスビル等)の建設及び/又は仕上げを完了させる間、マスキング674は、断熱板ガラスユニット688に固着させたままである。この場合、マスキング674は、断熱板ガラスユニット688を損傷から保護する役割をすると同時に、部屋670が太陽光664によって照らされることを可能にすることができる。太陽光664により、大工、塗装工、及びその他の作業員は、人工の光を用いることなく、建物680の建設作業を行うことができる。
【0076】
ある更なる実施形態は、部屋を画定する少なくとも1つの壁と、開口部を画定する壁と、壁によって画定される開口部内に配置された断熱板ガラスユニットとを含む装置を提供し、断熱板ガラスユニットは、間隔をおいて配置され、それらの間に間隙を有する2つの窓板と、間隙とは反対側にある外表面である、これら窓板の内の1つの所望の主表面上の光触媒薄膜コーティングと、光触媒薄膜コーティングの上に重なる除去可能な保護マスキングとを含み、マスキングは、マスキング基材とマスキング接着剤とを含み、マスキング接着剤が、光触媒薄膜コーティングと直接、付着接触している。任意的に、保護被覆は、太陽光が部屋を照らすことを可能にするのに充分なだけ、半透明又は透明である。ある場合には、光触媒フィルムは、光触媒フィルムが、選択されたマスキング除去後、コーティング上に残った接着剤の残留物を分解することができるように選択された厚さ及び組成を有する。
【0077】
本文書に取り上げられている発明の数多くの特徴及び利点をこれまで述べてきた。しかし、この開示が、多くの点において例示に過ぎないことが理解されるであろう。本発明の範囲を逸脱することなく、特に、形状、サイズ、及び手順の順序付けに関し、詳細な変更が可能である。本発明の範囲は、もちろん、添付の請求の範囲が表現された文言によって定義される。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】図1は、本発明の例示的実施形態に従った断熱ガラスユニットの斜視図である。
【図2】図2は、本発明の例示的実施形態に従った断熱ガラスユニットの断面図である。
【図3】図3は、本発明の更なる例示的実施形態に従った断熱ガラスユニットの断面図である。
【図4】図4は、本発明の更なる例示的実施形態に従ったアッセンブリの斜視図である。
【図5】図5は、モノリシック窓板又は断熱ガラスユニットにマスキングを付すのに使用可能なワークステーションの等角図である。
【図6】図6は、モノリシック窓板又は断熱ガラスユニットの両面に保護被覆を付す(例えば、製造ライン上で行われる)製造工程を示す等角図である。
【図7】図7は、断熱ガラスユニット及び第1のサッシ片を含むアッセンブリの概略平面図である。
【図8】図8は、断熱ガラスユニット及び第1のサッシ片を含むアッセンブリの概略平面図である。
【図9】図9は、本発明の例示的実施形態に従ったアッセンブリの斜視図である。
【図10】図10は、本発明の更なる例示的実施形態に従ったアッセンブリを示す断面図である。
【図11】図11は、本発明の例示的実施形態に従った製造工程を例示するフローチャートである。
【図12】図12は、本発明の特定の実施形態の製造工程において用いられるコーターの概略側面図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ある実施形態において、薄膜を付し、その後、そのスパッタフィルムの上を覆って仮保護フィルムを付すスパッタ堆積技術に関する。薄膜は、酸化ガス及び/又は不活性ガスを含有するガススパッタリング雰囲気において、ターゲットをスパッタすることによって付すことができる。本発明は、ある実施形態において、例えば、スパッタリングによって、少なくとも1つの主表面上に堆積させた、仮保護フィルムを担持する薄膜コーティングを有する断熱板ガラスユニット又はモノリシック窓板に関する。本発明は、また、そのような製品の高効率な製造方法を含む実施形態も提供する。
【背景技術】
【0002】
コーティングガラス産業において、1層以上の薄膜をガラス上に付して、コーティングガラスに所望の特性を付与することは一般的である。例えば、窓及びドア用途用ガラスの製造において、赤外線反射コーティングと1層以上の光活性をもたらすその他のコーティングとを付すことは有利である。
【0003】
赤外線反射コーティングに関する限り、これらのコーティングは、住宅及びその他の建物内に快適な屋内環境をもたらすのに役立つ。人間にとって快適である温度の範囲は比較的狭い。困ったことに、窓から部屋に入射する、太陽からの赤外線(IR)エネルギーは、部屋の温度を不快なレベルまで急速に上昇させ得る。赤外線反射コーティングは、とりわけ、入射赤外線エネルギーの一部を反射することによって部屋の急激な温度上昇を防ぐために開発されてきた。これらのコーティングは、また、さもないと窓から逃げるであろう赤外線エネルギーの一部を部屋内に反射することによって、冬季に部屋を暖かくしておくのにも役立つ。従って、赤外線反射コーティングは、暖房及び空調の費用を削減しながら、快適な生活環境を確立するのに役立つ。
【0004】
光触媒コーティングに関する限り、これらのコーティングは、窓及びその他の板ガラスに低保守特性をもたらすために開発されてきた。光触媒コーティングの中には、窓、ドア、天窓等のガラスの掃除の必要性、又はそれに要する労力を削減できるものがある。平均的な住宅所有者が窓の掃除にかける時間と労力を考えると、低保守窓の利点は明らかである。更に、近代的な超高層ビルのガラス外壁の清掃に要する大規模な手段や費用を考慮すると、低保守ガラスの優位点をはっきりと理解することができる。
【0005】
光触媒コーティングは、自浄効果を有するよう設計することができる。例えば、厚膜光触媒コーティングは、有機汚染物質を化学的に分解するという重要な能力を有する傾向がある。そのようなコーティングは、一般的に、比較的厚い二酸化チタンの層を含む。厚い二酸化チタンは、残念ながら、比較的高レベルの可視反射率をもたらす。この高可視反射が、実際、窓上の汚れの外観を強調し、窓が特に汚れて見えてしまうことが分かっている。これは、光触媒コーティングの他ならぬ目的は、より清浄な窓を提供することであるので、もちろん望ましいことではない。また、厚膜二酸化チタンフィルムは、一般的に望まれる以上の反射色をもたらす傾向がある。更に、基材が光触媒コーティングと低放射率コーティングの両方を備える場合、反射色は、理想的なものとは言えない傾向がある。
【0006】
光触媒コーティングは、一般的に、屋外環境に曝されることが意図されている。例えば、光触媒コーティングを備える多重窓板IGユニット上で、光触媒コーティングは、一般的に、IGユニットの第1表面上に施されるであろう。そのため、そのようなIGユニットが建物の壁に設置される場合、光触媒コーティングは、様々な汚染源(建物の近傍領域の仕上げを行っている塗装工等)に曝される傾向があるであろう。光触媒コーティングは、光活性により、そのような汚染物質を除去するある程度の能力を有する場合があるとはいえ、過剰な汚染及び/又は無機汚染物質は、コーティングの自浄作用によって充分完全に又は素早く除去されない場合がある。従って、そのような光触媒コーティングに仮マスキング保護を施すことが望ましいであろう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
光触媒コーティングの活性を考えると、マスキングとコーティングが互いに補足し合うマスキングされた光触媒製品を提供するのが望ましいであろう。光触媒コーティングの特性及び特徴は、その上に重なるマスキングの目的とする性能に悪影響を及ぼすものであってはならない。例えば、光触媒コーティングとマスキングとの直接接触によって、マスキングをコーティング表面に固定する接着剤を受け入れられないほどに劣化させてはならない。ほとんどの場合、光触媒コーティングの活性が、マスキングが実際にコーティング表面から剥がれて落ちたり、又はたるんだりする程度までそのような接着剤を劣化させることは受け入れられないであろう。更に、コーティングの活性によって、接着剤及び/又はマスキングフィルムをコーティング表面から除去することが、受け入れられないほど難しくなるような具合に、マスキング接着剤を変質させてはならない。同様に、マスキングの特性及び特徴は、光触媒コーティングの目的とする性能に悪影響を及ぼすものであってはならない。例えば、マスキング除去後、受け入れられないほどの接着剤の転写残留物が光触媒コーティング上に残ってはならない。更に、マスキングの付し方及び除去の仕方によって、光触媒コーティングがかき傷を受けたり、さもなければ恒久的に損傷したりすることがあってはならない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、光活性コーティング及びその上に重なるマスキングが互いに補い合う、マスキングされた光触媒板ガラスアッセンブリ、及び関連する(例えば、製造及び使用)方法を提供するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
特定の実施形態において、本発明は、モノリシック窓板又は断熱板ガラスユニットを提供する。好ましくは、モノリシック窓板又は断熱板ガラスユニットは、自浄及び/又は親水作用をもたらす光触媒コーティングを含む。ここで、窓板又はIGユニットは、光触媒コーティングを担持する外表面(例えば、IGユニットの第1表面のような外側の表面)を有する。光触媒コーティングは、好ましくは、酸化チタン(例えば、TiO2)のような光触媒材料を含む。光触媒コーティングは、好ましい形態において(例えば、プラスチック等を含む)可撓性のある自立フィルムである、除去可能な(例えば、剥離可能な)マスキングフィルムを含むマスキングを担持する。ある実施形態において、板ガラスは、両面(例えば、第1及び第4表面)がマスキングで被覆されたIGユニットである。特定の実施形態において、光触媒コーティングは、光活性及び/又は特定の範囲内の厚さを有し、及び/又は、光触媒コーティングの上を覆うマスキングは、紫外線安定性を有するマスキング接着剤を含む。
【0010】
特定の実施形態において、本発明は、基材を加工する方法を提供する。この方法は、対向する第1及び第2の主表面を有する第1のガラス板を準備することを含む。本実施形態において、第1のガラス板は、単一のスパッタコーターを通って(又は、1つの連続的な基材走行路を共有するマルチコーターを通って)搬送され、コーティングは、第1のガラス板をスパッタコーターに一度だけ(及び/又は単一の基材走行路に沿って)通して、第1及び第2の両主表面上に堆積される。この場合、スパッタ堆積は、第1のターゲットシーケンスから上向きにスパッタすることによって、第1のガラス板の第1の主表面に光触媒コーティングを付すことを含む。このターゲットシーケンスは、純粋な、又は実質的に純粋なチタン材料、チタン合金材料、酸化チタン材料、及びチタンとケイ素とを含む化合物からなる群から選択されるスパッタ可能なターゲット材料を含む1つ以上のターゲットを含む。スパッタ堆積は、また、第2のターゲットシーケンスから下向きにスパッタすることによって、第1のガラス板の第2の主表面に低放射率コーティングを付すことも含む。このターゲットシーケンスは、純粋な、又は実質的に純粋な銀材料及び銀合金材料からなる群から選択されるスパッタ可能なターゲット材料を含む1つ以上のターゲットを含む。本実施形態において、このようにコーティングされた第1のガラス板は、多重窓板断熱ガラスユニットアッセンブリラインに送られ(及び/又はその上に位置付けられ)、アッセンブリラインに沿って搬送され、第2のガラス板と、得られる断熱ガラスアッセンブリが第1及び第2のガラス板の間の間隙を規定し、第1のガラス板のコーティングされた第1の主表面が間隙とは反対側にある外表面であるように、組み合わされる。本方法は、剥離可能な第1のマスキングを、光触媒コーティングの上を覆って付すことを含む。ここで、第1のマスキングは、マスキング基材とマスキング接着剤とを含み、第1のマスキングを光触媒コーティングの上を覆って付すことは、マスキング接着剤を光触媒コーティングに直接付着させることを含む。好ましくは、マスキングは、アッセンブリラインの一部であることが望ましい第1のマスキングステーションを操作することによって付される。ある場合には、この方法は、剥離可能な第2のマスキングを、得られる断熱ガラスアッセンブリの第4表面の上を覆って付すことを含み、そのように付すことは、任意的に、同様にアッセンブリラインの一部である第2のマスキングステーションを操作することによって行われる。
【0011】
特定の実施形態において、本発明は、間隔を置いて配置され、それらの間に間隙を有する2つの窓板を含む断熱板ガラスユニットを含む装置を提供する。本実施形態において、これらの窓板の内の1つの所望の主表面上に光触媒薄膜コーティングが存在する。この所望の主表面は、間隙とは反対側にある外表面である。また、除去可能な保護マスキングが、光触媒薄膜コーティングの上に重なる。このマスキングは、マスキング基材とマスキング接着剤とを含み、マスキング接着剤は、光触媒薄膜コーティングと直接、付着接触している。
【0012】
特定の実施形態において、本発明は、間隔を置いて配置され、それらの間に間隙を有する2つの窓板を含む断熱板ガラスユニットを含む装置を提供する。本実施形態において、これら窓板の内の1つの所望の主表面上に光触媒薄膜コーティングが存在する。この所望の主表面は、間隙とは反対側にある外表面である。除去可能な保護マスキングが、光触媒薄膜コーティングの上に重なる。このマスキングは、マスキング基材とマスキング接着剤とを含み、マスキング接着剤は、光触媒薄膜コーティングと直接、付着接触している。本実施形態において、除去可能な保護マスキングは、剥離可能なマスキングであり、マスキング接着剤は、マスキング基材に対して、コーティングされた主表面に対するよりも高レベルの付着力を有し(そのため、マスキングがコーティングされた主表面から剥離される時、マスキング基材に優先的に付着するよう適合させられており)、その結果、マスキングがコーティングされた主表面から剥離される時、接着剤がマスキング基材に優先的に付着する。
【0013】
以下の詳細な説明は、図面を参照して読まれるべきであり、その中では、異なる図面における同様の要素に同一番号が付されている。図面は、必ずしも共通の縮尺とは限らないが、選択された実施形態を表し、本発明の範囲を限定するものではない。選択された要素について、構造、材料、寸法、及び製造工程の例を示す。全てのその他の要素については、本発明の分野における当業者に公知のものを用いている。当業者は、示された実施例の多くに、利用可能な好適な変形例があることを認めるであろう。
【0014】
図1は、本発明の例示的実施形態に従った断熱板ガラスユニット10の斜視図である。断熱板ガラスユニット10は、第1の面80と、第2の面82と、第1の面80と第2の面82との間に延びる周縁部84とを有する第1の窓板12を含む。図1の実施形態において、断熱板ガラスユニット10は、また、第1の面と第2の面とを有する第2の窓板14も含む。図1において、スペーサー16が、第1の窓板12の第2の面82と第2の窓板14の第1の面との間に介在していることが理解できる。スペーサーは、サッシ/枠の一部、又は通常の別個のスペーサーであり得る。
【0015】
図2は、本発明の例示的実施形態に従った断熱板ガラスユニット10の断面図である。断熱板ガラスユニット10は、第1の窓板12と、第2の窓板14と、第1の窓板12と第2の窓板14との間に介在させたスペーサー16とを含む。ある実施形態におけるスペーサー16は、サッシ、枠等の不可欠な一部であり得る。断熱板ガラスユニットは、第1表面20と、第2表面22と、第3表面24と、第4表面26とを有する。図2に関し、第1の窓板12が、第1表面20と第2表面22とを含むことが理解されるであろう。図2の実施形態において、第1のコーティング18は、第1の窓板12の第1表面20上に配置される。また、図2の実施形態において、第2のコーティング28は、第1の窓板12の第2表面上に配置される。断熱板ガラスユニット10の第2の窓板14は、第3表面24と第4表面26とを含む。図2の実施形態において、第3のコーティング34は、第4表面26上に配置される。
【0016】
特に好ましいその他の実施形態において、二重窓板IGユニットの第1及び第2表面は、それぞれコーティング18、28を担持し、一方、第3及び第4表面はコーティングされていない。好ましくは、これらの特別な実施形態において、第1表面上のコーティング18は、第1のマスキング30を担持する(例えば、それによって被覆される)。付加的に又は代替的に、コーティングされていない第4表面26は、マスキング32を担持することができる。マスキング30、32の一方又は両方は、施される場合、剥離によって除去可能であることが好ましい。また、マスキング30、32の一方又は両方は、任意的に、複数の重ね合わされたマスキングストリップを含むことができ、重ね合わされたストリップは、任意的に、窓板に(そしてそれらの重ね合わされた部分を付着結合することにより互いに)付着結合されている。
【0017】
更にその他の実施形態において、二重窓板IGユニットの第1表面がコーティング18を担持し、一方、第2、第3及び第4表面はコーティングされていない。好ましくは、これらの実施形態において、第1表面上のコーティング18は、第1のマスキング30を担持する。付加的に又は代替的に、コーティングされていない第4表面26は、マスキング32を担持することができる。本実施形態における第2表面は、任意的に、コーティングを担持することができる。マスキング30、32の一方又は両方は、施される場合、剥離によって除去可能であることが好ましい。また、マスキング30、32の一方又はそれぞれは、任意的に、図4及び図6に示されているように配置された複数の重ね合わされたマスキングストリップを含むことができる。
【0018】
好ましくは、コーティング18は、以下に記載の何れか1つのような光触媒コーティングである。代替的に、第1のコーティング18は、現在公知であるか後に開発されるかに関わらず、自浄機能を有する他のタイプのコーティング(すなわち、何らかの手動ワイピングの前であっても、コーティングされた窓板表面が少なくとも幾分清浄であるようにする機構及び/又は特性を有するあらゆるコーティング)であり得る。別の実施形態において、コーティング18は、親水性の非光活性コーティング(任意的に、シリカを含むコーティング)である。
【0019】
IGユニットの第4表面がコーティングされる実施形態において、このコーティングは、光触媒コーティング、又は、水をシート状にするシリカコーティングのような非光触媒親水性コーティングであり得る。例示的な水をシート状にするシリカコーティング(と有用な堆積装置及び方法)が、米国特許出願第09/868,542号に記載されており、その全教示は、ここに参照することにより組み込まれている。
【0020】
図2の実施形態において、第2表面に代替的にコーティングしないで、第3表面にコーティングすることができる。代替的に、図2の実施形態を、第2及び第3表面の両方にコーティングしないよう変更することができる。更なる変形例として、第2及び第3表面の両方にコーティングすることができる。
【0021】
第2及び/又は第3表面がコーティングされる実施形態において、これらのコーティングは、有利に、低放射率コーティング及び/又は太陽光制御コーティングであり得る。例示的な低放射率が、米国特許出願第10/759,971号に記載されており、その全内容は、ここに参照することにより組み込まれている。これらのコーティングは、一般的に、2層の透明誘電フィルムの間に位置した銀又は銀含有フィルムを含む。例示的な太陽光制御コーティングが、米国特許第5,698,262号に記載されており、その全内容は、ここに参照することにより組み込まれている。
【0022】
一実施形態は、紫外線放射が保護マスキングの下地フィルムである光触媒フィルムに届くことを実質的に妨げるのに充分なだけ、紫外線放射に対して不透明であるよう(例えば、30%未満の紫外線透過率を有するよう)選択される除去可能な保護マスキングを提供する。そのような、ある場合において、不透明マスキングフィルムが提供される。
【0023】
図2において、第1のマスキング30は、第1のコーティング18の上に重なり、任意の第2のマスキング32は、第4のコーティング36の上に重なっている。各マスキングは、好ましくは、基材38と接着剤層40とを含む。ある有用な実施形態において、接着剤層40は、アクリル接着剤を含む。ある有用な実施形態において、接着剤層40は、少なくとも1種の紫外線安定剤を含む。特別な一実施形態群は、少なくとも1種の紫外線安定剤を含むアクリル接着剤を含む接着剤層40を提供する。
【0024】
ある有用な実施形態において、接着剤層40は、少なくとも1種のヒンダードアミンを含む。ある用途において好適であるかもしれないヒンダードアミンの例としては、ビス−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、コハク酸とN−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンの重縮合物、ポリ−([6−[(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−イミノ]−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル][2−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]−ヘキサメチレン−[4−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ])、l−[2−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル−プロピオニルオキシ)エチル]−4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオニルオキシ]−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸エステル類、テトラキス(l,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−l,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸エステル類、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミンと1,2−ジブロモエタンの重縮合物、及び1,6−ビス−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサンと2,4−ジハロ−6−モルホリノ−l,3,5−トリアジンの重縮合物が挙げられる。接着剤層40は、この段落において上記に列挙したものからなる群から選択される1つのような、少なくとも1つのヒンダードアミンを含むアクリル接着剤であってもよい。接着剤40は、任意的に、1種以上のテトラメチルピペリジン誘導体を含むヒンダードアミンを含むことができる。
【0025】
本発明の好ましい実施形態において、第1のコーティング18は、光触媒フィルムを含む少なくとも1つの領域又は厚さを含む。光触媒フィルムは、酸化チタン(例えば、TiO2)のようなあらゆる光活性材料を含むことができる(例えば、それであり得る)。光活性材料は、特徴として、少なくとも上記特定の最小厚さを超えて、紫外線放射を吸収し、光触媒フィルムに接触する有機材料を光触媒作用で分解する能力を有するものであることが好ましい。特定の実施形態において、マスキング接着剤及び光触媒フィルムは、互いに補足し合うように一緒に選択される。ある場合において、光触媒フィルムの光活性は、大きな自浄効果を生み出すことなく、親水性をもたらすにちょうど足るだけの強さのものである。特に強力な光触媒フィルムを設けることは、そのようなフィルムがコーティング表面を理想的ではないほどに汚れて見える状態にする傾向がある点から、理想的とは言えないことが分かっている。光触媒フィルムは、任意的に、マスキング除去後、第1のコーティング上に残った接着剤の残留物を分解することができるにちょうど足るだけの高さの光活性レベルを有するように選択され得る。
【0026】
特定の実施形態は、(モノリシック板ガラスアッセンブリ又は多重窓板断熱板ガラスユニットの)窓板と、その主表面の直上に、非常に薄膜である光触媒コーティング(例えば、光触媒フィルムを含む少なくとも1つの領域又は厚さを有するコーティング)と、その直上にマスキング接着剤の層と、その直上にマスキング基材(例えば、可撓性のある自立フィルムであって、好ましくは、このフィルムがコーティングされた主表面から剥離される時、接着剤が、マスキングフィルムに優先的に付着し、コーティングされた主表面に少なくとも実質的には転写されないように、コーティングされた主表面から剥離可能なフィルム)とを含むマスキングされた光触媒板ガラスアッセンブリを提供する。従って、マスキング接着剤40は、マスキング基材に対して、窓板のコーティング表面に対するよりも強力な付着レベル(又は力)を有することが好ましい。例えば、ある実施形態において、除去可能な保護マスキングは、剥離可能なマスキングであり、マスキング接着剤は、マスキング基材に対して、光触媒コーティングに対するよりも高レベルの付着力を有し、その結果、マスキングがコーティングされた主表面から剥離される時、接着剤がマスキング基材に優先的に付着する。これらの実施形態において、マスキング基材38及び/又はマスキング接着剤40は、任意的に、少なくとも1種の紫外線安定剤及び/又は少なくとも1種の紫外線遮断剤を含む。好ましくは、紫外線安定剤は、接着剤に混合される。
【0027】
望ましくは、光触媒フィルムの光活性レベルは、充分低く、そのため、接着剤とマスキングフィルムとの間の接着状態、又は接着剤と窓板との間の接着状態を破壊することがないであろう。従って、好ましくは、接着剤がコーティング18の光活性によって受け入れられないほどに劣化することによって、マスキングフィルムが窓板から剥がれて落ちたり、又はたるんだりすることがない。任意的に、光触媒フィルムは、マスキング30が除去される時、コーティング18上に残った接着剤の残留物を分解することができるにちょうど足るだけの高さの光活性レベルを有するよう選択され得る。好ましくは、マスキング接着剤は、マスキングが除去される時、接着剤の転写が起こらないよう選択される。
【0028】
この開示を目的として、光触媒フィルムの活性を、所望の光触媒反応速度について、例えば、フィルム表面において1平方メートル当り約20ワットの強度を有する(例えば、米国オハイオ州、クリーヴランドのQパネル社(Q−panel Company)により商標UVA−340として市販の)光源からの紫外線放射に露光されたステアリン酸テストフィルムを除去して、測定することができる。紫外線放射強度は、テスト対象となっている光触媒フィルムのコーティング表面において、少なくとも1平方メートル当り約20ワットであり得る。強度は、任意的に、米国カリフォルニア州、サンガブリエルのウルトラヴァイオレットプロダクツ社(Ultraviolet Products, Inc.)によって(例えば、商標BLACK−RAYとして)販売されているもののような紫外線強度計を用いて設定することができる。光源は、テスト対象となっている光触媒フィルムのコーティング表面に対して垂直に位置付けることができる。例示的な方法が、米国特許第6,027,766号に説明されており、その全内容は、ここに参照することにより組み込まれている。
【0029】
簡潔には、光触媒フィルムと紫外線放射源とは、紫外線放射が、まず光触媒フィルムを通り、次に基材を通るように、互いに対して相対的に位置付けることができる。この場合、光源は、コーティングされた窓板のおもてに面している。窓板が、紫外線放射が通過可能な材料(例えば、ガラス)からなる場合、光触媒フィルムと紫外線放射源とは、紫外線放射が、まず窓板を通り、次に光触媒フィルムを通るように、互いに対して相対的に位置付けることができる。この場合、光源面は、コーティングされた窓板のうらに面している。代替的に、光源は、窓板の両面上に位置付けることができる。
【0030】
更に詳細には、有機汚染物質を光触媒フィルムの上を覆って付し、フィルムに照射すると、フィルムの汚染物質を除去する能力を観察及び測定することができる。ステアリン酸(CH3(CH2)16COOH)は1つの有用な汚染物質である。ステアリン酸は、スプレーコーティング、ディップコーティング、又はスピンコーティングのようなあらゆる所望の技術によって、薄膜テストフィルムとして、光触媒フィルムの上を覆って付すことができる。ステアリン酸テストフィルム厚は、任意的に、約100オングストローム以上、約200オングストローム以下の範囲であり得る。テストフィルムは、例えば、溶液1リットル当り6(10-3モルのステアリン酸濃度を有する溶液のようなメタノール溶液内のステアリン酸として付すことができる。
【0031】
報告されている光触媒フィルムの活性を測定する方法は、光触媒フィルム上のステアリン酸の炭素−水素伸縮振動吸収帯の積分強度を測定することである。積分強度は、光触媒フィルム上のステアリン酸テストフィルムの厚さを反映する。ステアリン酸テストフィルムが除去されると、炭素−水素伸縮振動帯強度が低下することになると考えられている。ステアリン酸中の炭素−水素結合は、紫外線放射とは異なり、光触媒フィルムを活性化させない赤外線放射を吸収する。一般に、そのような吸収は、2800cm-1以上、3000cm-1以下の波数で起こり、フーリエ変換赤外分光光度計を用いて測定可能である。この分光光度計は、重水素化トリグリシンスルフェート検出器又は水銀カドミウムテルル化物検出器のような検出器を備えることができる。水銀カドミウムテルル化物検出器は、特に、窓板、光触媒フィルム、又は窓板上の他のフィルムが、分光光度計が吸収スペクトルを生成するのに用いる赤外線放射を吸収する場合に好ましいことが報告されている。赤外線放射がそのように吸収される場合、ステアリン酸テストフィルムを通過する赤外線放射は減少する。このことは、光触媒フィルム上のステアリン酸が低濃度であることと結びついている。このことから、水銀カドミウムテルル化物検出器は、重水素化トリグリシンスルフェート検出器より約1桁優れた信号対雑音比を有するスペクトルを提供すると報告されている。光触媒フィルムの上を覆って堆積させたステアリン酸テストフィルムの活性がテストされる時、赤外線放射は、任意的に、窓板及び光触媒フィルムを通って、テスト対象となっている窓板の反対側の検出器上へと方向付けることができる。赤外線放射が基材を通過することができない場合、赤外線放射を、任意的に、表面の上方に傾斜して方向付け、テストフィルムを通過させ、窓板から反射させることができる。そのような方法は、反射赤外分光法として公知である。
【0032】
これにより、光触媒フィルムが化学線放射に露光される時、光触媒フィルムが反応してステアリン酸テストフィルムを除去する速度を測定することによって、光触媒フィルムの反応速度を考察することができる。炭素−水素伸縮振動特性の積分強度の低下率は、表面被覆率に正比例すると報告されている。従って、化学線(紫外線)放射に露光される時間を増加することによって、反応速度が得られる。光触媒フィルム18上のステアリン酸テストフィルムについて、分光光度計を用いて初期活性を測定することができる。光触媒フィルムは、任意的に、初期活性測定のために紫外線放射に露光しておくことができる。その後、ステアリン酸がコーティングされた光触媒フィルムを一定時間、紫外線放射に露光し、その最後に、分光光度計を用いて第2活性測定を行うことができる。ステアリン酸テストフィルムの一部が、紫外線放射に露光されることにより除去されているであろうことから、第2測定における炭素−水素伸縮振動の積分強度は、第1測定におけるよりも低いはずである。そのような2回の測定から、時間に対する炭素−水素伸縮振動の積分強度の曲線を作成することができる。そのような曲線の勾配によって、反応速度が得られる。2点をプロットして曲線が得られるが、何回かの測定を行って曲線を得るのが好ましい。測定を3回以上行う場合、各測定間の放射露光時間は一定に保つことも変化させることもできる(例えば、紫外線放射露光の累積時間を用いて曲線をプロットできる)が、反応速度を測定する場合、紫外線放射の強度及び向きは全ての測定について一定に保たねばならない。
【0033】
本発明の特定の実施形態は、低レベルの光活性を有し、マスキングフィルムが、直接(例えば、コーティング18とマスキング基材との間に挟まれたマスキング接着剤を介して)、光触媒コーティング18に接して担持される場合に用いられる光触媒コーティング18を提供する。ここで報告されている反応速度は、cm-1分-1を単位として示される。反応速度の値が大きいほど、光活性が大きいことを示す。特定の実施形態において、コーティング18は、1(10-2cm-1分-1未満、9(10-3cm-1分-1未満、8(10-3cm-1分-1未満、4(10-3cm-1分-1未満、3(10-3cm-1分-1未満、2(10-3cm-1分-1未満、又は更に約1.5(10-3cm-1分-1未満の光活性を有する。
【0034】
一実施形態は、窓板(任意的に、ガラス窓板)であって、その第1の主表面の直接上を覆って(チタニアを含む、それを主成分とする、又はそれからなる活性フィルムを含み、活性フィルムが、好ましくは、約150オングストローム未満、例えば、20オングストローム以上100オングストローム以下、又は100オングストローム未満、或いは20オングストローム以上75オングストローム以下、及び、ある場合には、20オングストローム以上60オングストローム以下等、75オングストローム以下の厚さを有する)光触媒コーティング18が付された窓板を提供する。光触媒コーティング18は、好ましくは、(必ずではないが、任意的に、1つ以上の上記範囲内、例えば、9(10-3cm-1分-1未満、5(10-3cm-1分-1未満、又は更に約1.5(10-3cm-1分-1未満の)特に低い光触媒活性を有する。この場合、マスキングが、光活性コーティング18によって(例えば、マスキングが、光触媒コーティング18とマスキング基材との間に直接挟まれるマスキング接着剤を含むように)担持される。これらの実施形態において、光触媒コーティング18(又は、少なくともそのチタニア含有フィルム)は、任意的に、スパッタフィルムであり得る。しかし、他の実施形態においては、光触媒コーティングは、化学気相蒸着、真空蒸着、及び/又はイオンアシスト蒸着のような、他の薄膜堆積技術によって付される。湿式化学法(例えば、ゾルゲル法)を用いることもできる。
【0035】
従って、特定の実施形態において、光触媒薄膜コーティングは、チタニアを含む活性フィルムを含み、活性フィルムは、100オングストローム未満、又は更に75オングストローム未満の厚さを有する。
【0036】
光触媒コーティングが、スパッタフィルムを含む(例えば、それである)実施形態において、様々なスパッタ堆積技術を用いることができる。特定の特に好ましい実施形態において、光触媒コーティング18(又は、少なくとも1つのそのフィルム領域)は、低温で(例えば、基材を約摂氏250度より低温、及び、より好ましくは摂氏200度より低温に維持しながら)スパッタリングによって堆積される。
【0037】
スパッタリングは、本技術分野において周知である。マグネトロンスパッタリングチャンバと関連装置が、様々な供給源(例えば、レイボルド(Leybold))から市販されている。有用なマグネトロンスパッタリング技術と装置が、チャピン(Chapin)に発行された米国特許第4,166,018号に記載されており、その全教示は、ここに参照することにより組み込まれている。
【0038】
本発明の特定の好ましい方法において、光触媒コーティング18は、マルチチャンバスパッタリングラインにおいて基材に付される。スパッタリングラインは、本技術分野において周知である。典型的なスパッタリングラインは、シート状基材を、各チャンバにおいて間隔を置いて配置された移送ローラー(ローラーは、スパッタリングラインを通る連続した基材走行路を構成する)の上方を(例えば、それに直接接触しながら)水平に搬送することによって、基材を1つのチャンバから次のチャンバへと通過させることができるように位置合わせされ、連結された一連のスパッタリングチャンバを含む。基材は、典型的には、1分間当り約100から500インチの速度で搬送される。
【0039】
特定の一方法において、基材は、スパッタリングラインの入口に位置付けられ、所望のコートゾーンに搬送される。このコートゾーンは、第1のフィルムを堆積させるのに適合させた3つの陰極を備えている。より詳細には、これらの陰極はそれぞれ、ケイ素スパッタリングターゲットを含むが、その他の方法では第1のフィルムの材料としてその他の材料が含まれる(代替的に、この第1のフィルムを全く施さないでおくことができる)。このコートゾーンにおけるケイ素ターゲットを、酸化雰囲気においてスパッタし、基材の第1の主表面の直上に二酸化ケイ素フィルムを堆積させることができる。この雰囲気は、酸素(例えば、約100%のO2)を主成分としてもよい。代替的に、この雰囲気は、Ar/O2(例えば、酸素と約40%までのアルゴン)を含んでもよい。約38kWの電力を第1の陰極に印加し、約38kWの電力を第2の陰極に印加し、約38kWの電力を第3の陰極に印加することができる。基材は、これら全3つのターゲットの下方を、これらのターゲットそれぞれを言及した電力レベルでスパッタしながら、1分間に約200インチの速度で搬送可能であり、その結果、二酸化ケイ素フィルムが約100Aの厚さで付される。この場合のシリカフィルムは、任意的に、100オングストローム未満、例えば、約75オングストローム等、60オングストローム以上90オングストローム以下であり得る。この任意の第1のフィルムの厚さ及び組成は、所望に応じて変更可能である。1つ以上のケイ素ターゲットが用いられる実施形態において、各ケイ素ターゲットは、ターゲットの導電性を高めるため、多少のアルミニウム又は他の材料を含み得る。
【0040】
このようにコーティングされた基材は、その後、次のコートゾーンへ搬送され得る。このゾーンにおいて、3つの陰極を用いて第2のフィルムを堆積させる。好ましくは、これら3つの陰極はそれぞれ、チタンスパッタリングターゲットを含む。このコートゾーンにおけるチタンターゲットを、酸化雰囲気においてスパッタし、任意の第1のフィルムが設けられる場合、その直上に二酸化チタンフィルムを堆積させることができる。代替的に、そのような二酸化チタンフィルムは、基材の直上に堆積させることができる。更に、基材と二酸化チタンフィルムとの間に2層以上のフィルムを堆積させることができる。二酸化チタンフィルムを堆積させる雰囲気は、酸素を主成分としてもよい。代替的に、この雰囲気は、Ar/O2を含んでもよい。約43kWの電力を第1の陰極に印加し、約43kWの電力を第2の陰極に印加し、約43kWの電力を第3の陰極に印加することができる。基材は、これら全3つのターゲットの下方を、これらのターゲットそれぞれを言及した電力レベルでスパッタしながら、1分間に約200インチの速度で搬送可能であり、その結果、二酸化チタンフィルムが約100Aの厚さで付される。この場合のチタニアフィルムは、任意的に、100オングストローム未満、例えば、約25から45オングストローム等、20オングストローム以上60オングストローム以下であり得る。このフィルムの厚さ及び組成は、変更可能である。本方法において、この二酸化チタンは、コーティング18の最外部を構成するが、その他の実施形態は、二酸化チタンによって付与された親水性を排除しない、その上に重なる薄膜を含む。特定の親水特性(例えば、夜間特性(night−time properties))を実現するために、チタニアは、任意的に、シリカ(又は、他の、非光活性であるが、親水性である誘電性材料)と混合可能である。これは、親水特性と光活性特性の所望の均衡を実現するために行うことができ、これによって、適切に低レベルな、良好なマスキング耐久性を向上させる能力が得られる場合がある。コーティング18の最外面の直接上を覆って、第1のマスキング30が付着するように付されていることが好ましい。このマスキング30は、単一マスキング材料シートとして、又は、一連に重なり合うように付された複数の細長いマスキングストリップであって、隣接するストリップが(例えば、図4に図示されているように)側端が互いに重なり合う配置で重ねられた複数のストリップとして、付すことができる。任意的に、マスキングされた窓板表面は、(例えば、マスキングされた窓板表面領域のちょうど中心を含む)中央領域を有し、付着した1つ以上のマスキングストリップがこの中央領域の上方に(例えば、それを覆い、それを越えて延びるように)位置する。
【0041】
説明したばかりの方法において、基材の第2の主面が、任意の低放射率コーティングで予めコーティングされている、又は後にコーティングされてもよいことが理解されるべきである。例えば、説明したばかりの、第1及び第2のフィルムを堆積させるのに用いられるコートゾーンは、(例えば、そこで任意の低放射率コーティングが予め付されてもよい先行する比較的多数の下向きスパッタコートゾーンを含むスパッタリングラインの終端に任意的に位置する)上向きスパッタコートゾーンであり得る。特に有用な上向きスパッタ/下向きスパッタ法及び装置が、米国特許出願第09/868,542号に記載されており、その全内容は、ここに参照することにより組み込まれている。
【0042】
特定の実施形態において、本発明は、マスキングされた光触媒断熱ガラス技術に関する高効率な製造工程を提供する。ここで、この方法は、第1段階としてのスパッタ堆積工程を含み,第2段階としてのマスキングを付す工程がこれに続く。マスキングは、任意的に、断熱ガラスユニットアッセンブリラインの一部であるマスキングステーションを操作することによって付される。図11の工程及び図12のコーターを参照する。好ましくは、この工程は、第1のガラス板をコーター(例えば、連続した基材走行路に沿って一連に連結された複数の堆積区画/チャンバを含むコーター)に通して搬送することと、ガラス板の第1の主表面を上向きスパッタリングによってコーティングすることと、ガラス板の第2の主表面を下向きスパッタリングによってコーティングすることとを含み、その後、このようにコーティングされた第1のガラス板は、断熱ガラスユニットアッセンブリラインに沿って搬送され、その上で第1のガラス板が第2のガラス板と組み合わされて断熱ガラスアッセンブリを構成し、その後、マスキング接着剤を第1のガラス板のコーティングされた第1の表面に直接付着させることによって、剥離可能な第1のマスキングが、第1のガラス板のコーティングされた第1の表面の上を覆って付される。ある実施形態において、この場合、マスキングは、断熱ガラスユニットアッセンブリラインの一部であるマスキングステーションを操作することによって付される。一実施形態において、このマスキングステーションは、アッセンブリラインの終端に位置する。
【0043】
図12は、本製造工程において有用である例示的なコーター2000を示したものである。ここで、コーター2000は、このことは要件ではないが、少なくとも6つのスパッタ堆積区画を含むことが分かる。コーターは、少なくとも9つのそのような区画、少なくとも12のそのような区画、又は更に少なくとも15のそのような区画を有利に含んでもよい。図示されたコーターは、その最後の区画200(すなわち、基材走行路に沿う最後の活性な区画)に、上向きスパッタ区画/チャンバを有する。他の実施形態において、コーターは、基材走行路P上の第1の活性な区画としての上向きスパッタ区画/チャンバを有する。図示されたチャンバ2000は、移送ローラー210とコンベアベルト144Cから144Gとの組み合わせを有することが示されているが、単に、間隔を置いて配置された(コンベアベルトによって連結されていない)移送ローラー210を用いるのが好ましい場合がある。図示されているコーターにおいて、最初の5つの区画は下向きスパッタ区画であり、一方、最後の区画は上向きスパッタ区画である。しかし、上述したように、上向きスパッタ区画及び下向きスパッタ区画の配置及び位置は、効率又は製品品質が最大限となるよう調整可能である。図示された各区画は、このことは決して要件ではない(例えば、ある特定のチャンバは、所望の工程次第で、ターゲットを1つ有しても、ターゲットを3つ以上を有しても、又はターゲットなしでもよい)が、2つのターゲット166Aから166J、660A、660Bを備える。
【0044】
一実施形態群は、基材を加工する方法を提供し、この方法は、第1のガラス板を準備することと、この板を単一のスパッタコーターに通して搬送することと、ガラス板をスパッタコーターに一度だけ通して、この板の第1及び第2の両主表面上にコーティングをスパッタ堆積させることとを含む。本実施形態群において、このスパッタ堆積は、第1のターゲットシーケンス660A、660Bから上向きにスパッタすることによって、ガラス板12の第1の主表面20に光触媒コーティングを付すことを含む。ここで、第1のターゲットシーケンスは、任意的に、純粋な、又は実質的に純粋なチタン材料、チタン合金材料、酸化チタン材料、及びチタンとケイ素とを含む化合物からなる群から選択されるスパッタ可能な材料を含む1つ以上のターゲットを含む。この上向きスパッタリングは、任意的に、酸化ガス及び/又は不活性ガスを含有するガススパッタリング雰囲気において行うことができる。好適なターゲットは、米国ミシガン州、ニューハドソン、ティコチタニウム社(TICO Titanium Inc.)のような多くの供給源から市販されている。不足当量TiOxターゲット、但しxは2未満、について、米国特許第6,461,686号及び第6,468,402号及び第6,511,587号に記載されており、それぞれの全内容は、ここに参照することにより組み込まれている。不足当量TiOxターゲットは、べカールト社(Bekaert VDS nv)(ベルギー国、デーンズ)から市販されている。連帯的に、スパッタ堆積は、第2のターゲットシーケンスから下向きにスパッタすることによって、第1のガラス板の第2の主表面に低放射率コーティングを付すことを含む。ここで、第2のターゲットシーケンスは、任意的に、純粋な、又は実質的に純粋な銀材料及び銀合金材料からなる群から選択されるスパッタ可能な材料を含む1つ以上のターゲットを含む。この性質の好適なターゲットは、多くの商業的供給源から容易に入手可能である。このようにコーティングされた第1のガラス板は、その後、多重窓板絶縁板ガラスユニットアッセンブリラインに送られ(例えば、その上に位置付けられ)、アッセンブリラインに沿って搬送され、その上で、この第1のガラス板は、第2のガラス板と、得られる断熱ガラスアッセンブリが第1のガラス板と第2のガラス板との間の間隙を規定する(第1のガラス板のコーティングされた第1の主表面が間隙とは反対側にある外表面である)ように、組み合わされる。剥離可能な第1のマスキングが、光触媒コーティングの上を覆って付される。マスキングは、好ましくは、マスキング基材とマスキング接着剤とを含む。第1のマスキングを光触媒コーティングの上を覆って付すことは、マスキング接着剤を光触媒コーティングに直接付着させることを含む。付されたマスキング接着剤は、マスキング基材に対して、光触媒コーティングに対するよりも高レベルの付着力を有するよう選択されることが望ましい。ある場合には、第1のマスキングを光触媒コーティングの上を覆って付すことは、アッセンブリラインの一部(すなわち、その上に位置する)第1のマスキングステーションを操作することを含む。任意的に、本方法は、有利に、やはりアッセンブリラインの一部であり得る第2のマスキングステーションを操作することによって、剥離可能な第2のマスキングを、得られる断熱ガラスアッセンブリの第4表面の上を覆って付すことを含む。
【0045】
直前の段落に記載の実施形態の幾つかにおいて、光触媒コーティングは、チタニアを含有する活性フィルムを含み、この活性フィルムは、以下に記載するように、100オングストローム未満の厚さにスパッタ堆積される。付加的に又は代替的に、光触媒コーティングは、任意的に、チタニアを含有する活性フィルムを含むことができ、この活性フィルムは、非晶質フィルムの直接上を覆ってスパッタ堆積させることができる。
【0046】
本実施形態群において、この方法は、第1のマスキングを、光触媒コーティングを担持する主表面から剥離することを更に含むことができる。この剥離中、ある実施形態における接着剤は、ひとたび第1のマスキングが光触媒コーティングを担持する主表面から剥離されると、接着剤の実質的に全てがマスキング基材上に残るように、マスキング基材に優先的に付着する。上述したように、マスキング接着剤は、任意的に、アクリル接着剤であることができ、及び/又はマスキング基材は、任意的に、ポリエチレンを含むことができ、及び/又はマスキング接着剤は、任意的に、少なくとも1種の紫外線安定剤を含むことができる。
【0047】
特に薄膜である(任意的に、スパッタされたチタニアを含む)光触媒コーティングは、上記特徴及び利点に関する限りにおいて、格別な効果をもたらし得ることが分かっている。ある実施形態において、光触媒コーティングの全厚は、約500オングストローム未満、好ましくは約400オングストローム未満、或いは約300オングストローム未満、又は更に200オングストローム未満(例えば、20オングストローム以上、175オングストローム以下)である。
【0048】
特定の実施形態は、チタニアを含む活性フィルムを含む光触媒薄膜コーティングを含み、活性フィルムは、200オングストローム未満、100オングストローム未満、又は更に75オングストローム未満の厚さを有する下地フィルムの直接上を覆って堆積される。更に、ある場合には、チタニア含有フィルムは、それと基材との間に、全体で、200オングストローム以下、又は100オングストローム以下の下地フィルムを有する。
【0049】
ある実施形態において、光触媒薄膜コーティングは、チタニアを含む活性フィルムを含み、活性フィルムは、非晶質フィルムの直接上を覆って堆積される(すなわち、位置付けられる)。非晶質フィルムは、例えば、任意的に、1種以上の金属(例えば、アルミニウム)を含むシリカフィルムであり得る。ある場合には、非晶質フィルムは、ガラスの風冷強化時、少なくとも実質的に非晶質であるという形態を維持するよう適合させた組成を有する。シリカと少量の1種以上の金属とを含むフィルムが有用である。従って、図2において、例えば、コーティング18の最内厚(すなわち、第1の窓板12に最も近接する厚さ)は、活性チタニア含有フィルム(任意的に、コーティング18の最外厚を構成する活性フィルム)の下地フィルムであり得る。
【0050】
多くの場合、ガラスを風冷強化するために、又はガラスが所望の形状に曲げられることを可能にするために、コーティングされたガラス板をガラスの融点又は融点付近の温度まで加熱する必要がある。風冷強化は、例えば、自動車の窓に用いられるガラス、及び特に、自動車のフロントガラスに用いられるガラスにとって望ましい。また、風冷強化ガラスは、一般的に、特定の建築分野において必要とされる。風冷強化ガラスは、破壊されると、大きい危険な破片よりもむしろ、多くの小片に砕けるという破壊パターンを呈することが望ましい。ガラスの風冷強化中、コーティングされたガラスは、一般的に、約摂氏700度程度の高温に曝される。
【0051】
ある実施形態において、本発明は、光触媒薄膜コーティングが基材に付された後であって、除去可能な保護マスキングを光触媒薄膜コーティングの上を覆って付す前に、コーティングされた窓板を風冷強化することを含む方法を提供する。ここで、光触媒コーティングは、風冷強化中、一般的に、露出される(すなわち、被覆されない)であろう。好ましくは、窓板はガラスであり、熱処理は、所望の性質を有するコーティングされたガラスを準備することと、そのようにコーティングされたガラスを、約摂氏400度以上約摂氏750度以下、好ましくは約摂氏500度以上約摂氏750度以下、或いは、より好ましくは約摂氏600度以上約摂氏750度以下の高温に曝すこととを含む。風冷強化は、酸化雰囲気において行われることが好ましい。例えば、1回分の積載量のガラス板を対流型加熱炉内に置き、約摂氏734度に達する高温に曝すことができる。この温度に達するまでに要する時間は、約109秒であり得る。その後、コーティングされたガラスを風冷により急冷することができる。
【0052】
そのような任意の風冷強化工程後、コーティングされたガラスは、多重窓板IGユニットに組み込み可能であり、窓板がIGユニットに組み合わされた後、除去可能なマスキングを付すことができ、従って、この方法は、風冷強化ガラス窓板を準備することと、2つのそのような窓板をIGユニットに組み合わせることと、その後、マスキングを、これら窓板の内の1つの外主表面(例えば、第1表面)に付し、任意的に、マスキングを、IGユニットの両方の外主表面(例えば、第1及び第4表面)に付すこととを含む。この場合、マスキングは、任意的に、窓板がIGユニットアッセンブリに組み合わされるのと同じアッセンブリライン上に(例えば、同じコンベア路上に)付すことができる。
【0053】
光触媒コーティングは、様々な薄膜堆積技術によって堆積可能である。特定の好ましい実施形態において、このコーティングは、スパッタリングによって付される。スパッタリングは、高レベルの光活性をもたらさないと考えられている。従って、マスキングされた、1層以上の薄膜スパッタ光触媒コーティングを提供する本発明の実施形態において、発明者らは、好ましくは、清浄な外観を保持するコーティング表面という面で理想的な結果にはならないことが分かっている高レベルの光活性をもたらすことなく、マスキング安定性と、マスキングフィルム除去時の良好な親水性コーティング特性とを有する、マスキングされた低光活性コーティングを提供することによって、このことを利用したのである。
【0054】
図3は、本発明の更なる例示的実施形態に従った断熱板ガラスユニット200の断面図である。断熱板ガラスユニット200は、第1の窓板12と、第2の窓板14と、第1の窓板12と第2の窓板14との間に介在させたスペーサー16とを含む。ある実施形態におけるスペーサー16は、サッシ、枠等の不可欠な一部であり得る。断熱板ガラスユニットは、第1表面20と、第2表面22と、第3表面24と、第4表面26とを有する。図3に関し、第1の窓板12が、第1表面20と第2表面22とを含むことが理解されるであろう。図3の実施形態において、第1のコーティング18は、第1表面20上に配置される。また、図3の実施形態において、第2のコーティング28は、第2表面上に配置される。断熱板ガラスユニット200の第2の窓板14は、第3表面24と第4表面26とを含む。図3に関し、第3及び第4表面がコーティングされていないことが理解されるであろう。ここで、コーティングされた第1表面が、第1のマスキング30を担持し、コーティングされていない第4表面が、第2のマスキング32を担持する。第1のコーティング18は、望ましくは、本開示において記載されたものの何れかのような光活性コーティングを含む(例えば、それである)。
【0055】
図4は、本発明の例示的実施形態に従ったアッセンブリ300の斜視図である。アッセンブリ300は、断熱板ガラスユニット302を含む。断熱板ガラスユニット302は、第1の窓板304と、第2の窓板306と、第1の窓板304と第2の窓板306との間に介在させたスペーサー308とを含む。第1の窓板304、第2の窓板306、及びスペーサー308は、好ましくは、窓板間空間を画定する。ある実施形態において、断熱ガス(例えば、アルゴン、クリプトン、及び/又はその他)が窓板間空間に入れられる。窓板間空間が空気を含むか、又は真空である実施形態も可能である。断熱板ガラスユニット302は、一般に、二層ガラスユニットと呼ばれる場合がある。本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、断熱板ガラスユニット302のその他の実施形態が可能である。例えば、断熱板ガラスユニット302は、単層ガラスユニットであっても、三層ガラスユニットであってもよい。ここに記載の全ての実施形態における断熱板ガラスユニットは、任意的に、断熱ガラスであることができ、及び/又は4メートル未満、3メートル未満、2.5メートル未満、2メートル未満、又は更に1.7メートル未満の主要寸法を有し得る。
【0056】
断熱板ガラスユニット302の第1の窓板304は、第1の面320を有する。図4の実施形態において、除去可能な仮保護被覆(又は「マスキング」)324が、第1の窓板304の第1の面320の上を覆って配置される。図4の実施形態において、保護被覆324は、それぞれ(好ましくは、プラスチック又はプラスチック様材料のような可撓性のある/非剛性の、任意的に、ポリエチレンを含む)マスキング基材を含む、複数のマスキングストリップを含み、マスキング接着剤が、マスキング基材の表面上を覆って配置されている。
【0057】
図5は、マスキング102をモノリシック窓板又は断熱板ガラスユニット10に付すのに使用可能なワークステーション100の等角図である。ワークステーション100は、ワークプラテン106を支持する枠104を含む。コンベア108は、任意的に、その上でモノリシック窓板が組み合わされて多重窓板IGユニットアッセンブリを構成するアッセンブリラインの一部である先行するコンベアから引き継ぐ(すなわち、そこからガラス板を受けるよう適合させる)ことができる。ワークステーション100は、また、ワークプラテン106のおもて面を横切って延びるコンベア108も含む。コンベア108は、モノリシック窓板又は断熱板ガラスユニット10を、ワークステーション100に通して移送するのに利用されてもよい。コンベア108は、ベルト120と複数のローラー122とを含む。図5の実施形態において、断熱板ガラスユニット10は、コンベア108のベルト120上に載っていることが示されている。ワークステーション100は、それぞれ異なる機能を有する、又はモノリシック窓板又は断熱板ガラスユニット10の加工手順を行うマルチワークステーションを有する、より長いアッセンブリラインに組み込まれてもよい(例えば、その一部であってもよい)。
【0058】
上述したように、本発明のある実施形態は、両面がマスキングされた絶縁板ガラスユニットを含む。図6は、モノリシック窓板又は断熱板ガラスユニットの両面にマスキングを付すことができる製造ライン124を含む工程を示す等角図である。製造ライン124は、第1のワークステーション130と、第2のワークステーション132と、第3のワークステーション134とを含む。この例示的実施形態において、第1のワークステーション130及び第3のワークステーション134はそれぞれ、保護被覆(例えば、マスキング)324をモノリシック窓板又は断熱板ガラスユニットに付すことができる(任意的に、先の図面に示されたワークステーション100のような)ワークステーションを含む。第2のワークステーション132は、第3のワークステーション134によって、モノリシック窓板又は断熱板ガラスユニットの第2の面138にマスキングを付すことができるように、断熱板ガラスユニットが第1のワークステーション130を離れた後、断熱板ガラスユニットを裏返すよう適合させられている。
【0059】
断熱板ガラスユニットは、断熱板ガラスユニットの両面にマスキングを付す工程の一部として、第1のワークステーション130、第2のワークステーション132、及び第3のワークステーション134を通って送り進められてもよい。図6の実施形態において、第1の断熱板ガラスユニット302は、第1のワークステーション130内に配置され、第2の断熱板ガラスユニット302’は、第2のワークステーション132内に配置され、第3の断熱板ガラスユニット302”は、第3のワークステーション134内に配置される。
【0060】
第1のワークステーション130は、第1のツール328と、第2のツール330と、マスキング材料336のロール332とを含む。図6の実施形態において、マスキング材料336の複数の部分334が、第1の断熱板ガラスユニット302の第1の面136に付されている。第1の断熱板ガラスユニット136は、また、第2の面138も含む。図6に関し、マスキング材料336の部分334が、保護被覆324を構成するように位置付けられ、そのように寸法決めされることが理解されるであろう。図6において、マスキングされていないエプロン344は、保護被覆(又は「マスキング」)324と第1の断熱板ガラスユニット302の外縁部との間に延びていることが示されている。好ましくは、マスキングストリップが、モノリシック窓板又は断熱板ガラスユニットの所望の窓板の主表面に固定される時(例えば、その上に圧着される時)、マスキングストリップは、後にマスキングのトリミングを行うことがないように、エプロンにより窓板の端部84から間隔をおいて配置されている。従って、特定の実施形態において、光触媒コーティングを担持する主表面を有するモノリシック窓板又はIGユニットが提供され、本方法は、マスキングを、一旦、コーティングされた表面に(例えば、全体として、それに対して平行になるように)付着させた後、付されたマキングのカッティングを行うことなく、(ここに記載されているように、任意的に、多数のストリップを含む)マスキングを、(任意的に、コーティングされた表面の周縁領域、すなわち「エプロン」以外の全てを被覆するように)光触媒コーティングの上を覆って付着するように付すことを含む。これは、コーティングにかき傷がつくのを防止するために行うことができる。
【0061】
図6において、第2の断熱板ガラスユニット302’は、第2のワークステーション132内に配置されている。図6に関し、第2の断熱板ガラスユニット302’が、第1の面136と第2の面138の相対位置が、第1の断熱板ガラスユニット302を基準として逆となるような向きであることが理解されるであろう。第2の断熱板ガラスユニット302’の第1の面136上に配置されている保護被覆324は、図6において、破線を用いて図示されている。第3のワークステーション130は、第1のツール328と、第2のツール330と、マスキング材料336のロール332とを含む。図6の実施形態において、マスキング材料336の複数の部分334が、第3の断熱板ガラスユニット302”の第2の表面に付されている。
【0062】
本発明に従ったモノリシック窓板又は断熱板ガラスユニットの両面をマスキングする方法は、以下の手順を含む。モノリシック窓板又は断熱板ガラスユニット10を、第1のワークステーション130内に移送すること。保護被覆(又は「マスキング」)324を断熱板ガラスユニット10の第1の面136に(好ましくは、光触媒コーティング18の上を覆って)付すこと。モノリシック窓板又は断熱板ガラスユニットを、第2のワークステーション132内に移送すること。モノリシック窓板又は断熱板ガラスユニットを裏返すこと。モノリシック窓板又は断熱板ガラスユニットを、第3のワークステーション134内に移送すること。保護被覆324を、モノリシック窓板又は断熱板ガラスユニットの第2の面138に(例えば、第3のワークステーション134を操作することによって)付すこと。
【0063】
モノリシック窓板又は多重窓板断熱板ガラスユニットに関し、様々な窓板基材が好適である。好ましくは、基材は、概ね又は実質的に対向する第1及び第2の主表面を有するシート状基材である。多くの実施形態において、基材は、透明材料シート(すなわち、透明シート)である。しかし、基材は透明である必要はない。とは言え、ほとんどの用途に関し、基材は、ガラス又はクリアプラスチックのような、透明(又は、少なくとも半透明の)材料を含むであろう。例えば、基材は、好ましい実施形態において、ガラス板(例えば、ガラス窓板)である。様々な公知のタイプのガラスを用いることができ、一般的に、ソーダ石灰ガラスが好ましい。ある実施形態において、マスキングされた光触媒IGユニットの各窓板はガラス板であり、マスキング材料は透明(例えば、光学的にクリアな)高分子材料であり、この場合、任意的に、IGユニットは、ガラス窓板を2つのみ有し、IGユニットの第1及び第4表面がマスキングされ、第1表面が光触媒コーティングを担持し、第4表面は、マスキングの下に何ら薄膜コーティングを有しない。
【0064】
本発明において、様々なサイズの基材(例えば、窓板)を用いることができる。一般的に、大面積基材が用いられる。特定の実施形態は、少なくとも約0.5メートル、好ましくは少なくとも約1メートル、或いは、より好ましくは少なくとも約1.5メートル(例えば、約2メートル以上、約4メートル以下)、及び、ある場合には少なくとも約3メートルの幅を有する基材を含む。
【0065】
本発明において、様々な厚さの基材を用いることができる。一般的に、約1mmから5mmの厚さを有する基材(例えば、ガラス板)が用いられる。特定の実施形態は、約2.3mm以上約4.8mm以下、或いは、より好ましくは約2.5mm以上約4.8mm以下の厚みを有する基材を含む。ある場合には、約3mmの厚さを有するガラス板(例えば、ソーダ石灰ガラス)が用いられるであろう。
【0066】
マスキングは、様々な材料を含むことができる。例えば、マスキング基材は、一般的に(可撓性がありながら自立性を有してもよい)フィルムであろう。高分子フィルムが有用である。例えば、マスキング基材は、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVD)、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエステル(例えば、PET)、ポリアミド、又はポリイミドであり得る。マスキング基材は、また、共押出されたポリエチレン−ポリプロピレンフィルムのような、フィルムの組み合わせであってもよい。有用なマスキングフィルムは、パーマセル(Permacel)(米国ニュージャージー州、ニューブランスウィック)、ポリフィルムアメリカ(Poli−Film America)(米国イリノイ州、ハンプシャー)、及びアメリカンビルトライト社(American Biltrite Inc.)(米国ニュージャージー州、モリスタウン)、及びテクラ社(Tekra Corporation)(米国ウィスコンシン州、ニューベルリン)を含む多くの供給源から市販されている。
【0067】
ある特定の実施形態において、マスキング接着剤は、アクリル接着剤であり、マスキング基材は、ポリエチレンを含む(例えば、そうである)。これらの実施形態は、剥離可能なマスキングを設けることが望ましく、マスキング接着剤が、マスキング基材に対して、コーティングされた主表面に対するよりも高レベルの付着力を有し、その結果、マスキングがコーティングされた主表面から剥離される時、接着剤がマスキングフィルムに優先的に付着する場合に、有利である。
【0068】
図7は、本発明の例示的実施形態に従ったアッセンブリの概略平面図である。図7のアッセンブリは、(その他の実施形態において、モノリシック窓板と置き換え可能な)断熱板ガラスユニット302と、第1のサッシ片338とを含む。図7において、第1のマスキングストリップ342を含む第1の保護被覆324が、断熱板ガラスユニット302の第1の(例えば、外側寄りの)表面346上に配置され、第2の保護被覆(又は、「マスキング」)324’が、断熱板ガラスユニット302の第2の表面348上に配置されていることが理解できる。図7の実施形態において、第1の表面346の第1のマスキングされていないエプロン344は、第1の保護被覆324の外縁部と断熱板ガラスユニット302の外縁部との間に延びている。同様に、第2の表面348の第2のマスキングされていないエプロン344’は、第2の保護被覆324’の外縁部と断熱板ガラスユニット302の外縁部との間に延びている。図7の実施形態において、第1のマスキングされていないエプロン344及び第2のマスキングされていないエプロン344’はそれぞれ、幅W1を有する。図7の実施形態において、任意の接着ビード350が、第2の表面348の第2のマスキングされていないエプロン344’上に配置されている。
【0069】
図7において、(好ましくは、剛性支持部材を含む)第1のサッシ片338の第1の嵌合部352及び第2の嵌合部352’が示されている。図7の実施形態において、第1の嵌合部352及び第2の嵌合部352’は何れも、幅W2を有する。図7の例示的実施形態において、第1の嵌合部352の幅W2は、第2のマスキングされていないエプロン344’の幅W1と概して同じ(任意的には、実質的に同じ)である。本発明のある別の実施形態において、第2のマスキングされていないエプロン344’の幅は、サッシ片の嵌合部の幅より概して大きい。他の変形例として、W1は、有利に、W2より小さいことがあり得る。
【0070】
図8は、先の図に示された、断熱板ガラスユニット302と第1のサッシ片338とを含むアッセンブリ202の概略平面図である。図8において、第2のマスキングされていないエプロン344’が、第1のサッシ片338の第1の嵌合部352及び第2の嵌合部352’と嵌合していることが理解され得る。断熱板ガラスユニット302は、例えば、接着材料を用いて、第1のサッシ片338に固着させてもよい。図8において、第2のサッシ片340も示されている。アッセンブリ202は、第1のサッシ片338又は第2のサッシ片340に被覆されていない視野領域(又は、「視覚領域」)356を有する。ここで、マスキングは、任意的に、視覚領域の実質的に全領域を被覆することができる。
【0071】
図9は、本発明の更なる例示的実施形態に従ったアッセンブリの斜視図である。図9において、建物580の第1の壁590が認識できる。第1の壁590は、開口部582を画定する。断熱板ガラスユニット588は、第1の壁590によって画定された開口部582内に配置される。断熱板ガラスユニット588は、断熱板ガラスユニット588の第1表面576を画定する第1の窓板584を含む。図9の実施形態において、第1のコーティング572は、第1表面576上に配置されている。第1表面上の第1のコーティング572は、第1のマスキング574を担持する(例えば、それによって被覆される)。ある有用な実施形態において、第1のコーティング572は、上記に記載の何れか1つのような光触媒コーティングを含む。好ましくは、マスキング574は、視覚領域の全領域又は実質的に全領域など、図9に図示されているより大きい視覚領域を被覆する。
【0072】
図10は、本発明の更なる例示的実施形態に従ったアッセンブリを図示する断面図である。図10において、建物680の第1の壁690、第2の壁692、及び第3の壁694が認識できる。第1の壁690、第2の壁692、及び第3の壁694は、部屋670の内部668を画定する。第1の壁690は、開口部682を画定する。断熱板ガラスユニット688は、第1の壁690によって画定された開口部682内に配置されている。
【0073】
断熱板ガラスユニット688は、断熱板ガラスユニット688の第1表面676を画定する第1の窓板684と、断熱板ガラスユニット688の第4表面を確定する第2の窓板686とを含む。図10の実施形態において、第1のコーティング672は、第1表面676上に配置されている。第1表面上の第1のコーティング672は、第1のマスキング674を担持する(例えば、それによって被覆される)。ある有用な実施形態において、第1のコーティング672は、上記に記載の何れか1つのような光触媒コーティングを含む。
【0074】
図10の実施形態において、マスキング674は、基材と接着剤層とを含む。図10において、太陽光線664は、マスキング674と断熱板ガラスユニット688とを通過することが示されている。本発明のある有用な実施形態において、マスキング674は、(例えば、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、又は少なくとも60%の可視光透過率を有して)太陽光が部屋670を照らすことを可能にするのに充分なだけ、光学的に半透明である。本発明のある有用な実施形態において、マスキング674は、可視光放射に対して透明(又は、少なくとも実質的に透明)である(例えば、65%、75%、又は更に85%)を越える可視光透過率を有する。
【0075】
本発明に従ったある有用な方法において、多くの人々(例えば、大工、塗装工等)が、断熱板ガラスユニット688が装着される(例えば、取り付けられる)建物(例えば、家屋、オフィスビル等)の建設及び/又は仕上げを完了させる間、マスキング674は、断熱板ガラスユニット688に固着させたままである。この場合、マスキング674は、断熱板ガラスユニット688を損傷から保護する役割をすると同時に、部屋670が太陽光664によって照らされることを可能にすることができる。太陽光664により、大工、塗装工、及びその他の作業員は、人工の光を用いることなく、建物680の建設作業を行うことができる。
【0076】
ある更なる実施形態は、部屋を画定する少なくとも1つの壁と、開口部を画定する壁と、壁によって画定される開口部内に配置された断熱板ガラスユニットとを含む装置を提供し、断熱板ガラスユニットは、間隔をおいて配置され、それらの間に間隙を有する2つの窓板と、間隙とは反対側にある外表面である、これら窓板の内の1つの所望の主表面上の光触媒薄膜コーティングと、光触媒薄膜コーティングの上に重なる除去可能な保護マスキングとを含み、マスキングは、マスキング基材とマスキング接着剤とを含み、マスキング接着剤が、光触媒薄膜コーティングと直接、付着接触している。任意的に、保護被覆は、太陽光が部屋を照らすことを可能にするのに充分なだけ、半透明又は透明である。ある場合には、光触媒フィルムは、光触媒フィルムが、選択されたマスキング除去後、コーティング上に残った接着剤の残留物を分解することができるように選択された厚さ及び組成を有する。
【0077】
本文書に取り上げられている発明の数多くの特徴及び利点をこれまで述べてきた。しかし、この開示が、多くの点において例示に過ぎないことが理解されるであろう。本発明の範囲を逸脱することなく、特に、形状、サイズ、及び手順の順序付けに関し、詳細な変更が可能である。本発明の範囲は、もちろん、添付の請求の範囲が表現された文言によって定義される。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】図1は、本発明の例示的実施形態に従った断熱ガラスユニットの斜視図である。
【図2】図2は、本発明の例示的実施形態に従った断熱ガラスユニットの断面図である。
【図3】図3は、本発明の更なる例示的実施形態に従った断熱ガラスユニットの断面図である。
【図4】図4は、本発明の更なる例示的実施形態に従ったアッセンブリの斜視図である。
【図5】図5は、モノリシック窓板又は断熱ガラスユニットにマスキングを付すのに使用可能なワークステーションの等角図である。
【図6】図6は、モノリシック窓板又は断熱ガラスユニットの両面に保護被覆を付す(例えば、製造ライン上で行われる)製造工程を示す等角図である。
【図7】図7は、断熱ガラスユニット及び第1のサッシ片を含むアッセンブリの概略平面図である。
【図8】図8は、断熱ガラスユニット及び第1のサッシ片を含むアッセンブリの概略平面図である。
【図9】図9は、本発明の例示的実施形態に従ったアッセンブリの斜視図である。
【図10】図10は、本発明の更なる例示的実施形態に従ったアッセンブリを示す断面図である。
【図11】図11は、本発明の例示的実施形態に従った製造工程を例示するフローチャートである。
【図12】図12は、本発明の特定の実施形態の製造工程において用いられるコーターの概略側面図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材を加工する方法であって、前記方法が、
a)対向する第1及び第2の主表面を有する第1のガラス板を準備する工程と、
b)前記第1のガラス板を、単一のスパッタコーターに通して搬送し、前記第1のガラス板を前記スパッタコーターに一度だけ通して、前記第1及び第2の両主表面上にコーティングをスパッタ堆積させる工程であって、当該スパッタ堆積が、
i)純粋な、又は実質的に純粋なチタン材料、チタン合金材料、酸化チタン材料、及びチタンとケイ素とを含む化合物からなる群から選択されるスパッタ可能なターゲット材料を含む1つ以上のターゲットを含む第1のターゲットシーケンスから上向きにスパッタすることによって、前記第1のガラス板の第1の主表面に光触媒コーティングを付す工程と、
ii)純粋な、又は実質的に純粋な銀材料及び銀合金材料からなる群から選択されるスパッタ可能なターゲット材料を含む1つ以上のターゲットを含む第2のターゲットシーケンスから下向きにスパッタすることによって、前記第1のガラス板の第2の主表面に低放射率コーティングを付す工程とを含む、工程と、
c)このようにコーティングされた前記第1のガラス板を、多重窓板断熱板ガラスユニットアッセンブリラインに送る工程と
d)このようにコーティングされた前記第1のガラス板を、前記アッセンブリラインに沿って搬送し、そのような第1のガラス板を、第2のガラス板と、得られる断熱ガラスアッセンブリが当該第1及び第2のガラス板の間の間隙を規定し、当該第1のガラス板の前記コーティングされた第1の主表面が当該間隙とは反対側にある外表面であるように、組み合わせる工程と、
e)剥離可能な第1のマスキングを、前記光触媒コーティングの上を覆って付す工程であって、当該第1のマスキングが、マスキング基材とマスキング接着剤とを含み、当該、前記第1のマスキングを前記光触媒コーティングの上を覆って付すことが、前記マスキング接着剤を前記光触媒コーティングに直接付着させることを含む工程とを含む方法。
【請求項2】
前記光触媒コーティングが、チタニアを含む活性フィルムを含み、当該活性フィルムが、100オングストローム未満の厚さにスパッタ堆積される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記光触媒コーティングが、チタニアを含む活性フィルムを含み、当該活性フィルムが、非晶質フィルムの直接上を覆ってスパッタ堆積される請求項1に記載の方法。
【請求項4】
当該、前記第1のマスキングを前記光触媒コーティングの上を覆って付すことが、第1のマスキングステーションを操作することを含み、当該第1のマスキングステーションが、当該アッセンブリラインの一部である請求項1に記載の方法。
【請求項5】
第2のマスキングステーションを操作することによって、剥離可能な第2のマスキングを、当該得られる断熱ガラスアッセンブリの第4表面の上を覆って付すことを更に含み、当該第2のマスキングステーションもまた、当該アッセンブリラインの一部である請求項1に記載の方法。
【請求項6】
当該付されたマスキング接着剤が、前記マスキング基材に対して、前記光触媒コーティングに対するよりも高レベルの付着力を有する請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1のマスキングを、前記光触媒コーティングを担持する主表面から剥離する工程を更に含み、その間、ひとたび前記第1のマスキングが前記光触媒コーティングを担持する主表面から剥離されると、前記接着剤の実質的に全てが前記第1のマスキングのマスキング基材上に残るように、前記接着剤が、前記マスキング基材に優先的に付着する請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記マスキング接着剤がアクリル接着剤であり、前記マスキング基材がポリエチレンを含む請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記マスキング接着剤が、少なくとも1種の紫外線安定剤を含む請求項8に記載の方法。
【請求項10】
間隔を置いて配置され、それらの間に間隙を有する2つの窓板を含む断熱板ガラスユニットと、
前記窓板の内の1つの、当該間隙とは反対側にある外表面である所望の主表面上の光触媒薄膜コーティングと、
前記光触媒薄膜コーティングの上に重なり、マスキング基材とマスキング接着剤とを含む、除去可能な保護マスキングとを含み、前記マスキング接着剤が、前記光触媒薄膜コーティングと直接、付着接触している装置。
【請求項11】
前記除去可能な保護マスキングが、剥離可能なマスキングであり、前記マスキング接着剤が、前記マスキング基材に対して、当該コーティングされた主表面に対するよりも高レベルの付着力を有し、その結果、前記マスキングが当該コーティングされた主表面から剥離される時、前記接着剤が前記マスキング基材に優先的に付着するよう適合させられている請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記マスキング接着剤がアクリル接着剤であり、前記マスキング基材がポリエチレンを含む請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記マスキング接着剤が、少なくとも1種の紫外線安定剤を含む請求項10に記載の装置。
【請求項14】
前記マスキング接着剤が、少なくとも1種のヒンダードアミンを含む請求項10に記載の装置。
【請求項15】
前記ヒンダードアミンが、テトラメチルピペリジン誘導体を含む請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記ヒンダードアミンが、
1−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジンとコハク酸の重縮合生成物、
4,4’−ヘキサメチレン−ビス(アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン)と2,4−ジクロロ−6−tert−オクチルアミノ−s−トリアジンの重縮合生成物、
4,4’−ヘキサメチレン−ビス(アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン)と2,4−ジクロロ−6−シクロヘキシルアミノ−s−トリアジンの重縮合生成物、
4,4’−ヘキサメチレン−ビス(アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン)と2,4−ジクロロ−6−モルホリノ−s−トリアジンの重縮合生成物、
ポリ[メチル 3−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イルオキシ)プロピル]シロキサン、
ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)シクロヘキシレンジオキシジメチルマロネート、
1,3,5−トリス{N−シクロヘキシル−N−[2−(2,2,6,6−テトラメチルピペラジン−3−オン−4−イル)エチル]アミノ−s−トリアジン、
N,N’,N”,N'''−テトラキス[4,6−ビス(ブチル−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ)−s−トリアジン−2−イル]−1,10−ジアミノ−4,7−ジアザデカン、及び
2,4−ジクロロ−6−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)ブチルアミノ−s−トリアジンと2,2’−エチレン−ビス{[2,4−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)ブチルアミノ−s−トリアジン−6−イル]アミノトリメチレンアミノ}の重縮合生成物からなる群から選択される請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記光触媒薄膜コーティングが、チタニアを含む活性フィルムを含み、当該活性フィルムが、100オングストローム未満の厚さを有する請求項10に記載の装置。
【請求項18】
前記活性フィルムの厚さが75オングストローム未満である請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記光触媒薄膜コーティングが、チタニアを含む活性フィルムを含み、前記活性フィルムが、非晶質フィルムの直接上を覆って堆積される請求項10に記載の装置。
【請求項20】
前記非晶質フィルムが、ガラスの風冷強化時、少なくとも実質的に非晶質であるという形態を維持するよう適合させた組成を有する請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記光触媒薄膜コーティングが、チタニアを含む活性フィルムを含み、前記活性フィルムが、200オングストローム未満の厚さを有する、下地フィルムの直接上を覆って堆積される請求項10に記載の装置。
【請求項22】
前記下地フィルムの厚さが100オングストローム未満である請求項21に記載の装置。
【請求項23】
間隔を置いて配置され、それらの間に間隙を有する2つの窓板を含む断熱板ガラスユニットと、
前記窓板の内の1つの、当該間隙とは反対側にある外表面である所望の主表面上の光触媒薄膜コーティングと、
前記光触媒薄膜コーティングの上に重なり、マスキング基材とマスキング接着剤とを含む、除去可能な保護マスキングとを含み、前記マスキング接着剤が、前記光触媒薄膜コーティングと直接、付着接触しており、前記除去可能な保護マスキングが、剥離可能なマスキングであり、前記マスキング接着剤が、前記マスキング基材に対して、当該コーティングされた主表面に対するよりも高レベルの付着力を有し、その結果、前記マスキングが当該コーティングされた主表面から剥離される時、前記接着剤が前記マスキング基材に優先的に付着するよう適合させられている装置。
【請求項24】
前記マスキング接着剤が、少なくとも1種の紫外線安定剤を有する請求項23に記載の装置。
【請求項25】
前記マスキング接着剤が、少なくとも1種のヒンダードアミンを含む請求項23に記載の装置。
【請求項26】
前記断熱板ガラスユニットが、マスキングされた第4主表面を更に備え、前記マスキングされた第4表面が第2の剥離可能なマスキングを担持する請求項23に記載の装置。
【請求項27】
前記マスキング接着剤がアクリル接着剤であり、前記マスキング基材がポリエチレンを含む請求項23に記載の装置。
【請求項1】
基材を加工する方法であって、前記方法が、
a)対向する第1及び第2の主表面を有する第1のガラス板を準備する工程と、
b)前記第1のガラス板を、単一のスパッタコーターに通して搬送し、前記第1のガラス板を前記スパッタコーターに一度だけ通して、前記第1及び第2の両主表面上にコーティングをスパッタ堆積させる工程であって、当該スパッタ堆積が、
i)純粋な、又は実質的に純粋なチタン材料、チタン合金材料、酸化チタン材料、及びチタンとケイ素とを含む化合物からなる群から選択されるスパッタ可能なターゲット材料を含む1つ以上のターゲットを含む第1のターゲットシーケンスから上向きにスパッタすることによって、前記第1のガラス板の第1の主表面に光触媒コーティングを付す工程と、
ii)純粋な、又は実質的に純粋な銀材料及び銀合金材料からなる群から選択されるスパッタ可能なターゲット材料を含む1つ以上のターゲットを含む第2のターゲットシーケンスから下向きにスパッタすることによって、前記第1のガラス板の第2の主表面に低放射率コーティングを付す工程とを含む、工程と、
c)このようにコーティングされた前記第1のガラス板を、多重窓板断熱板ガラスユニットアッセンブリラインに送る工程と
d)このようにコーティングされた前記第1のガラス板を、前記アッセンブリラインに沿って搬送し、そのような第1のガラス板を、第2のガラス板と、得られる断熱ガラスアッセンブリが当該第1及び第2のガラス板の間の間隙を規定し、当該第1のガラス板の前記コーティングされた第1の主表面が当該間隙とは反対側にある外表面であるように、組み合わせる工程と、
e)剥離可能な第1のマスキングを、前記光触媒コーティングの上を覆って付す工程であって、当該第1のマスキングが、マスキング基材とマスキング接着剤とを含み、当該、前記第1のマスキングを前記光触媒コーティングの上を覆って付すことが、前記マスキング接着剤を前記光触媒コーティングに直接付着させることを含む工程とを含む方法。
【請求項2】
前記光触媒コーティングが、チタニアを含む活性フィルムを含み、当該活性フィルムが、100オングストローム未満の厚さにスパッタ堆積される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記光触媒コーティングが、チタニアを含む活性フィルムを含み、当該活性フィルムが、非晶質フィルムの直接上を覆ってスパッタ堆積される請求項1に記載の方法。
【請求項4】
当該、前記第1のマスキングを前記光触媒コーティングの上を覆って付すことが、第1のマスキングステーションを操作することを含み、当該第1のマスキングステーションが、当該アッセンブリラインの一部である請求項1に記載の方法。
【請求項5】
第2のマスキングステーションを操作することによって、剥離可能な第2のマスキングを、当該得られる断熱ガラスアッセンブリの第4表面の上を覆って付すことを更に含み、当該第2のマスキングステーションもまた、当該アッセンブリラインの一部である請求項1に記載の方法。
【請求項6】
当該付されたマスキング接着剤が、前記マスキング基材に対して、前記光触媒コーティングに対するよりも高レベルの付着力を有する請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1のマスキングを、前記光触媒コーティングを担持する主表面から剥離する工程を更に含み、その間、ひとたび前記第1のマスキングが前記光触媒コーティングを担持する主表面から剥離されると、前記接着剤の実質的に全てが前記第1のマスキングのマスキング基材上に残るように、前記接着剤が、前記マスキング基材に優先的に付着する請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記マスキング接着剤がアクリル接着剤であり、前記マスキング基材がポリエチレンを含む請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記マスキング接着剤が、少なくとも1種の紫外線安定剤を含む請求項8に記載の方法。
【請求項10】
間隔を置いて配置され、それらの間に間隙を有する2つの窓板を含む断熱板ガラスユニットと、
前記窓板の内の1つの、当該間隙とは反対側にある外表面である所望の主表面上の光触媒薄膜コーティングと、
前記光触媒薄膜コーティングの上に重なり、マスキング基材とマスキング接着剤とを含む、除去可能な保護マスキングとを含み、前記マスキング接着剤が、前記光触媒薄膜コーティングと直接、付着接触している装置。
【請求項11】
前記除去可能な保護マスキングが、剥離可能なマスキングであり、前記マスキング接着剤が、前記マスキング基材に対して、当該コーティングされた主表面に対するよりも高レベルの付着力を有し、その結果、前記マスキングが当該コーティングされた主表面から剥離される時、前記接着剤が前記マスキング基材に優先的に付着するよう適合させられている請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記マスキング接着剤がアクリル接着剤であり、前記マスキング基材がポリエチレンを含む請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記マスキング接着剤が、少なくとも1種の紫外線安定剤を含む請求項10に記載の装置。
【請求項14】
前記マスキング接着剤が、少なくとも1種のヒンダードアミンを含む請求項10に記載の装置。
【請求項15】
前記ヒンダードアミンが、テトラメチルピペリジン誘導体を含む請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記ヒンダードアミンが、
1−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジンとコハク酸の重縮合生成物、
4,4’−ヘキサメチレン−ビス(アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン)と2,4−ジクロロ−6−tert−オクチルアミノ−s−トリアジンの重縮合生成物、
4,4’−ヘキサメチレン−ビス(アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン)と2,4−ジクロロ−6−シクロヘキシルアミノ−s−トリアジンの重縮合生成物、
4,4’−ヘキサメチレン−ビス(アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン)と2,4−ジクロロ−6−モルホリノ−s−トリアジンの重縮合生成物、
ポリ[メチル 3−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イルオキシ)プロピル]シロキサン、
ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)シクロヘキシレンジオキシジメチルマロネート、
1,3,5−トリス{N−シクロヘキシル−N−[2−(2,2,6,6−テトラメチルピペラジン−3−オン−4−イル)エチル]アミノ−s−トリアジン、
N,N’,N”,N'''−テトラキス[4,6−ビス(ブチル−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ)−s−トリアジン−2−イル]−1,10−ジアミノ−4,7−ジアザデカン、及び
2,4−ジクロロ−6−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)ブチルアミノ−s−トリアジンと2,2’−エチレン−ビス{[2,4−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)ブチルアミノ−s−トリアジン−6−イル]アミノトリメチレンアミノ}の重縮合生成物からなる群から選択される請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記光触媒薄膜コーティングが、チタニアを含む活性フィルムを含み、当該活性フィルムが、100オングストローム未満の厚さを有する請求項10に記載の装置。
【請求項18】
前記活性フィルムの厚さが75オングストローム未満である請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記光触媒薄膜コーティングが、チタニアを含む活性フィルムを含み、前記活性フィルムが、非晶質フィルムの直接上を覆って堆積される請求項10に記載の装置。
【請求項20】
前記非晶質フィルムが、ガラスの風冷強化時、少なくとも実質的に非晶質であるという形態を維持するよう適合させた組成を有する請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記光触媒薄膜コーティングが、チタニアを含む活性フィルムを含み、前記活性フィルムが、200オングストローム未満の厚さを有する、下地フィルムの直接上を覆って堆積される請求項10に記載の装置。
【請求項22】
前記下地フィルムの厚さが100オングストローム未満である請求項21に記載の装置。
【請求項23】
間隔を置いて配置され、それらの間に間隙を有する2つの窓板を含む断熱板ガラスユニットと、
前記窓板の内の1つの、当該間隙とは反対側にある外表面である所望の主表面上の光触媒薄膜コーティングと、
前記光触媒薄膜コーティングの上に重なり、マスキング基材とマスキング接着剤とを含む、除去可能な保護マスキングとを含み、前記マスキング接着剤が、前記光触媒薄膜コーティングと直接、付着接触しており、前記除去可能な保護マスキングが、剥離可能なマスキングであり、前記マスキング接着剤が、前記マスキング基材に対して、当該コーティングされた主表面に対するよりも高レベルの付着力を有し、その結果、前記マスキングが当該コーティングされた主表面から剥離される時、前記接着剤が前記マスキング基材に優先的に付着するよう適合させられている装置。
【請求項24】
前記マスキング接着剤が、少なくとも1種の紫外線安定剤を有する請求項23に記載の装置。
【請求項25】
前記マスキング接着剤が、少なくとも1種のヒンダードアミンを含む請求項23に記載の装置。
【請求項26】
前記断熱板ガラスユニットが、マスキングされた第4主表面を更に備え、前記マスキングされた第4表面が第2の剥離可能なマスキングを担持する請求項23に記載の装置。
【請求項27】
前記マスキング接着剤がアクリル接着剤であり、前記マスキング基材がポリエチレンを含む請求項23に記載の装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2008−515751(P2008−515751A)
【公表日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−534907(P2007−534907)
【出願日】平成17年10月4日(2005.10.4)
【国際出願番号】PCT/US2005/035836
【国際公開番号】WO2006/041924
【国際公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【出願人】(000004008)日本板硝子株式会社 (853)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年10月4日(2005.10.4)
【国際出願番号】PCT/US2005/035836
【国際公開番号】WO2006/041924
【国際公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【出願人】(000004008)日本板硝子株式会社 (853)
【Fターム(参考)】
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