薄膜サンプルホルダ
【課題】ガス収着試験に用いる薄膜サンプルチャンバを提供。
【解決手段】ガス収着サンプルチャンバは、複数の薄膜基板を含み、該基板をシーベルト装置又は他のガス収着分析器に流体連通結合する。薄膜基板は、サンプルチャンバ内において、サンプルチャンバ内の自由気体体積を低減して収着試験の精度が向上するように、列状の配列で、重ね合わせ配置か又はわずかに隙間を空けた配置で互いの近傍に保持される。チャンバの内部構造形状は、薄膜基板とチャンバの内部表面との間のクリアランスが最小になるように構成されており、それにより、チャンバ内空間の略全てが薄膜サンプル材料及び不活性基板材料によって占められている。グローブボックス内での使用を容易にするために、チャンバは、全ての基板をひとまとめにして積み込んだり取り出したりできるように、複数の薄膜基板が配置された取り出し可能なサンプルカートリッジを備えてもよい。
【解決手段】ガス収着サンプルチャンバは、複数の薄膜基板を含み、該基板をシーベルト装置又は他のガス収着分析器に流体連通結合する。薄膜基板は、サンプルチャンバ内において、サンプルチャンバ内の自由気体体積を低減して収着試験の精度が向上するように、列状の配列で、重ね合わせ配置か又はわずかに隙間を空けた配置で互いの近傍に保持される。チャンバの内部構造形状は、薄膜基板とチャンバの内部表面との間のクリアランスが最小になるように構成されており、それにより、チャンバ内空間の略全てが薄膜サンプル材料及び不活性基板材料によって占められている。グローブボックス内での使用を容易にするために、チャンバは、全ての基板をひとまとめにして積み込んだり取り出したりできるように、複数の薄膜基板が配置された取り出し可能なサンプルカートリッジを備えてもよい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、概して、ガス収着試験に関し、詳細には、ガス収着測定に用いる薄膜サンプルホルダに関する。
【0002】
(関連出願)
本出願は、2007年6月15日に出願された「ガス収着分析用の薄膜サンプルホルダ(THIN FILM SAMPLE HOLDER FOR GAS SORPTION ANALYSIS)」という名称の米国仮特許出願(出願番号60/944,290)に基づく優先権の利益を主張する。本明細書中、この関連出願の内容を参考として援用する。
【背景技術】
【0003】
ナノテクノロジーの分野において、所与の材料は、ナノスケール、つまり、個々の原子又は原子集合体のレベルで配置を変えた場合、全く異なる振る舞いを生じることが理解されている。例えば、所与の材料の化学的性質は、ナノスケールで形成中の材料内に特定の機械化学的歪みを生じることにより変更することができる。
【0004】
このようにして、適切なナノスケールの配置にすることにより、通常は不活性の材料を、触媒的特性を有するように振舞わせたり、見かけ上安定した材質の熱力学特性(水素との金属の形成エンタルピー等)が変更でき、さらには特定のアプリケーションに対して最適化できる。
【0005】
薄膜堆積処理は、ナノチューブなど、それぞれがナノスケールでの異なる構成を有し得る多数の材料を形成するのに、又はナノメートルの寸法を有する非常に薄い層状に形成するのに、非常に適している。
【0006】
公知の収着試験装置は、薄膜ではなく、バルクパウダーの収着試験のために設計されているので、薄膜のガス収着特性(つまり、吸収度、吸着度、脱着度、化学収着度、及び物理収着度)の正確な測定に問題がある。
【0007】
バルクパウダーの収着特性を測定する場合、サンプルチャンバ内に存在するテストガスの自由気体部分に対して、比較的大量のガス収着サンプル材料が用いられる。このように、収着試験の間、上昇する圧力の下であっても、サンプルチャンバ内で測定可能な圧力変化が生じる。
【0008】
例えば、カリフォルニア州ニューアークのHy-Energy LLCから市販されているPCTPro-2000は、約10〜1000ミリグラムの質量を有する材料サンプルをチャンバ内に配置した後に約0.5mlの自由気体部分を有するサンプルチャンバを用いて、材料サンプルに対して収着試験を行うように構成されている。そのようなバルク材料サンプルに対して、従来の収着テスターサンプルチャンバ内で試験し得る基板上に堆積された薄膜材料の質量は、例えば典型的なバルクサンプルよりも1オーダーあるいはそれ以上のオーダーに小さくなる。さらに、基板上の薄膜の構造のために、基板を従来の収着テスターサンプルチャンバ内に配置した場合、通常、チャンバの容量に対して基板が占める割合は非常に小さく、自由気体部分が大きく残る。
【0009】
したがって、基板上の薄膜サンプルを試験する場合、サンプルチャンバにおけるサンプル材料質量に対する自由気体部分の比率は非常に高いので、薄膜のガス収着によって生じる圧力降下は、従来の圧力測定装置では正確に測定できない。
【0010】
より大量の薄膜サンプル材料を試験するために、下地の基板から薄膜を除去して、バルク材料として試験を行うこともできる。そのようなアプローチにより、サンプルチャンバ内の自由気体部分を低減しつつ、より多くの質量の材料を試験することも可能である。
【0011】
しかし、基板から薄膜を機械的に除去するプロセスは、薄膜サンプル材料のナノスケールでの特性、ひいてはサンプル材料のガス収着作用を著しく変化させる傾向にあるので、基板上に堆積した薄膜(本明細書中、薄膜及び基板を一体的に「薄膜基板」と呼ぶ)のインサイチュでの試験が、より厳密で且つより信頼性の高いアプローチである。
【0012】
あるいは、直径6インチのシリコンウエハなどのフルサイズの薄膜基板全体を収容できるようにサンプルチャンバを構成することにより、より大きな質量の薄膜サンプル材料に対して収着試験を行い得る。
【0013】
図1は、従来の収着試験装置に取り付けできるように構成されたウエハサイズのサンプルチャンバ100を示す。ウエハサイズサンプルチャンバ100は、基板103全体を収容するように構成された「クラムシェル型」のデザインを有する。
【0014】
基板103は、6インチ又は8インチのシリコンウエハなどの標準的な薄膜基板である。基板103は、その上部に堆積された薄膜107を有し、薄膜107は、ウエハサイズサンプルチャンバ100内で試験しようとするガス収着材料を含む。基板103は、ウエハサイズサンプルチャンバ100内にて、蓋101とベース102との間で、基板支持部材(図示せず)上に配置される。
【0015】
テストポート110は、公知の漏れ防止手段を用いて、収着試験装置に流体連通状態(流体が流れるような状態)で結合されている。クランプ機構(図示せず)により閉じる力106が与えられて、薄膜107の収着試験の間、ウエハサイズサンプルチャンバ100の加圧が可能になるのに十分な力で蓋101及びベース102が密封部材105に押しつけられる。
【0016】
収着試験に先立ち、材料サンプルは、通常、アルゴンパージしたグローブボックス又はその他の分離チャンバなどの、制御された環境において取り扱うことにより、雰囲気中の水分及びその他の汚染物質から分離される。
【0017】
ウエハサイズチャンバ100はフルサイズの基板(つまり基板103)を試験するための構成となっており且つウエハサイズチャンバ100は単純な2ピースのクラムシェル構成を有するので、ウエハサイズチャンバ100のそのようなデザインにより、グローブボックス内に収容された状態でテスト基板を積み込むのが容易になる。基板103を用いることにより、従来の収着試験チャンバ内で用いることができる充分に小さな基板上に堆積できるものよりも大きな質量のサンプル材料を試験することが可能になる。
【0018】
しかし、収着試験は例えば数十〜数百気圧の高圧下にて共通で行われるので、ウエハサイズチャンバ100は収着試験を行うのに適していない。
【0019】
第1に、ウエハサイズチャンバ100を100気圧以上に加圧する場合に必要な閉じる力106は法外に大きいので、実施不可能なほどに大きく且つ嵩高な装置が必要である。
【0020】
第2に、ウエハサイズチャンバ100の自由気体領域104が大きすぎて、正確な収着測定が行えない。標準サイズの収着サンプルチャンバよりもウエハサイズチャンバ100のほうが、より大きな質量の薄膜107の収着試験を行い得るが、サンプル材料の質量に対する自由気体体積の比率が大き過ぎて、そのため、たいていの収着試験中に、特に高圧下での試験中に、正確に測定可能な圧力降下が生じない。
【0021】
最後に、自由気体領域104から封止部材105を通過して漏れが生じる可能性が高過ぎて、信頼できる収着測定が行えない。これは、ウエハサイズチャンバ100が比較的大きな封止表面つまり封止部材105を有し、収着試験中にウエハサイズチャンバ100からの漏れが起こると、それが試験の精度に直接影響するからである。
【0022】
さらに、ウエハサイズチャンバ100内の圧力が増大し、封止部材105にかかる圧縮力を低下させるにしたがって、封止部材105からの漏れ率が上昇する。この圧縮力は、閉じる力106の、蓋101及びベース102を一体に保持するのに必要な最小の力を越えた部分に等しい。したがって、高圧での収着試験では、封止部材105にかかる圧縮力が低減するのと同時に、封止部材105からの漏れを促すさらなる力が存在する。
【0023】
したがって、当該技術において、高圧下にて薄膜サンプルに対してガス収着測定を正確に実施でき、且つグローブボックス又は他の分離チャンバに収容したままで薄膜サンプルの積み込み及び取り出しが容易に行える収着サンプルチャンバが必要である。
【発明の開示】
【0024】
本発明の実施形態は、複数の薄膜基板を収容し、該基板をシーベルト装置(Sieverts’ device)又は他のガス収着分析器に流体連通結合するように構成されたガス収着サンプルチャンバを企図している。
【0025】
ある実施形態において、ガス収着サンプルチャンバは、列状に重ねて配置された複数の薄膜基板を収容する圧力容器と、該圧力容器をガス収着分析器に流体連通結合し、該薄膜基板を該圧力容器内に積み込むために該圧力容器に設けられた開口部を封止する再封止可能フィッティングとを備えている。
【0026】
別の実施形態によると、ガス収着サンプルチャンバは、外部表面及び内部表面を有し、列状に重ねて配置された複数の薄膜基板を収容し且つ内部に配置された薄膜基板の外周の周りに第1のクリアランスを維持するように構成された薄膜サンプルホルダと、該薄膜サンプルホルダを有する圧力容器であって、該圧力容器の内部表面と該薄膜サンプルホルダの外部表面との間に維持された第2のクリアランスが該圧力容器の内部幅の約1%以下の大きさとなるように該薄膜サンプルホルダを有する圧力容器と、該圧力容器をガス収着分析器に流体連通結合し、該薄膜サンプルホルダを該圧力容器内に積み込むために該圧力容器に設けられた開口部を封止する再封止可能フィッティングとを備えている。
【0027】
本発明の上記特徴が詳細に理解され得るように、上で簡単に要旨を説明した本発明のより具体的な説明を、その一部を添付の図面に示した実施形態を参照することにより提示する。しかし、添付の図面は本発明の典型的な実施形態のみを示すものであり、したがって、発明の範囲を限定するものと考えてはならず、本発明は同様の効果を有する他の実施形態を認め得るということに留意されたい。
【0028】
明晰さのため、複数の図面にわたって共通の同一の要素を示すために、可能な範囲で同一の参照番号を用いた。ある一実施形態の特徴をさらに説明することなく他の実施形態に組み込んでもよいものと考えている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本発明の実施形態は、複数の薄膜基板を収容し、該基板をシーベルト装置又は他のガス収着分析器に流体連通結合するように構成されたガス収着サンプルチャンバを企図している。
【0030】
薄膜基板は、サンプルチャンバ内の自由気体体積が低減されて収着試験の精度が向上するように、サンプルチャンバ内で互いに近接して、列状の配置で、具体的には直接接触するように重ねられるか又はわずかに間隔を空けた構成で保持される。
【0031】
チャンバの自由気体体積をさらに低減するために、チャンバの内部構造は、薄膜基板とチャンバの内部表面との間のクリアランスが最小になるように構成されており、それにより、実質的に全てのチャンバ空間が、薄膜サンプルホルダ、薄膜サンプル材料、及び不活性基板材料によって占められる。
【0032】
試験の最中に漏れが起こる可能性を最小化するため、サンプルチャンバに、薄膜サンプルの積み込み及び取り出しのための封止領域が比較的小さな開口部が設けられている。グローブボックス内での使用を容易にするため、チャンバは、全ての薄膜基板を一群として積み込み及び取り出しができるように、薄膜基板が内部に配置された取り外し可能なサンプルカートリッジで構成されている。
【0033】
図2は、本発明の一実施形態による薄膜サンプルチャンバ200を側面から見た模式分解図である。薄膜サンプルチャンバ200は、圧力容器210と、リデューサフィッティング(reducer fitting)220と、分離バルブ230とを含む。明瞭に図示するため、圧力容器210及びリデューサフィッティング220の一部を断面で図2に示す。
【0034】
圧力容器210は、壁250と、内部空間212と、内径215と、外径216と、圧力容器210の一方の端部に設けられた開口部214と、溶接接続211などの気密接続によって開口部214に機械的に結合されたねじ付きフィッティング213とを有する。
【0035】
ねじ付きフィッティング213の内径217は、内径215に略等しく、内部空間212は、実質的に、圧力容器210の底部表面218からグランド(gland)219の封止面219Aによって規定される面まで延びた円筒状の空間である。ある実施形態において、ねじ付きフィッティング213は、標準的な1インチのVCR(登録商標)のフィッティングであり、内径217及び内径215は共に0.75インチである。別の実施形態において、圧力容器210の内部断面は、正方形又は矩形である。
【0036】
リデューサフィッティング220は、ねじ付きフィッティング213と咬み合うように適合されたねじ付きフィッティング221と、溶接接続223などの気密接続によってねじ付きフィッティング221に機械的に結合された直径低減フィッティング222と、ねじ付きフィッティング221及び直径低減フィッティング222を貫通して、図示のように内部空間212を分離バルブ230に流体連通結合する小径導管224とを備えている。
【0037】
ねじ付きフィッティング221の端部には、封止面225Aを有するグランド225が配置されており、直径低減フィッティング222の端部には、封止面226Aを有する別のグランド226が配置されている。小径導管224は、収着試験のために薄膜サンプルを内部に配置した状態での薄膜サンプルチャンバ200の自由気体体積を低減するために、その内径が実施可能な範囲内で最小になるように構成されている。
【0038】
ある実施形態において、小径導管224は、改変された1/4インチのVCR(登録商標)のフィッティング222及び内径が約0.05インチであるねじ付きフィッティング221を貫通するようにドリル穿孔された孔である。分離バルブ230は、シーベルト装置又はカリフォルニア州ニューアークのHy-Energy LLCから市販されているPCTPro-2000等の他のガス収着分析器(図示せず)から薄膜サンプルチャンバ200の流体連通状態の結合及び分離を行う。分離バルブ230は、ダイアフラムバルブ等の手動式又は自動式の閉鎖バルブであり、高圧適用下で無漏シーリングが実現するように構成されている。
【0039】
薄膜サンプルチャンバ200のサブアセンブリ間、つまり分離バルブ230とリデューサフィッティング220との間並びにリデューサフィッティング220と圧力容器210との間の無漏シーリングを確実にするために、さまざまなものがある中で、VCR(登録商標)のフィッティング及びUJR(登録商標)のフィッティング等の公知の金属面シールガスケット261,262を用いる。金属面シールガスケットは、収着試験などの、高圧、真空、及び高温での適用に特に有用である。
【0040】
密封シールを形成するために、金属ガスケット、例えば金属面シールガスケット261を、2つの隣接するフィッティングのグランド間、例えばねじ付きフィッティング213とねじ付きフィッティング221との間に配置して、このフィッティングの咬合するねじ付きファスナー(threaded fasteners)が締められると、各グランドの封止面、例えば、封止面219A及び封止面225Aが、金属面シールガスケット261に押しつけられて、金属同士による低漏接続が形成される。
【0041】
ある実施形態において、金属ガスケットに押しつけられた封止面は、VCR(登録商標)型のグランドではなく、1つ以上の同軸のナイフ様の縁部を有するシールを備えており、金属ガスケットは、銅、アルミニウム、錫などの比較的柔らかい金属であってもよい。
【0042】
この実施形態において、図2に示すようなVCR(登録商標)型の雄雌ナット構成の代わりに、薄膜サンプルチャンバ200の各サブアセンブリは、ナイフ様の縁部シールを金属ガスケット内に均一に押し込むように複数のねじ付きファスナーによって与圧されたフランジ接続を用いて構成することができる。
【0043】
上述のように、試験しようとする薄膜基板の形状に応じて異なる断面形状を有するように圧力容器210を構成し得ることを企図している。
【0044】
ある実施形態において、薄膜サンプルチャンバ200内での試験に用いる薄膜サンプルは、複数の円状シリコン基板であり、収着試験中の薄膜サンプルチャンバ200内の自由気体体積が最小化されるように、内部空間212内で重ねてまとめられる。該基板は、表面同士が向き合うように、又は表面と裏面とが向き合うように重ねられる。この実施形態において、試験しようとする複数の円状の薄膜サンプルは、基板間の薄膜特性のばらつきが最小化されるように、バッチプロセスにおいて同時に薄膜材料が堆積されてもよい。収着試験に用いるサンプルを内部に積み込んだ状態の薄膜サンプルチャンバ200内の自由気体体積をさらに低減するために、薄膜基板の外径は、図3Aに示すように、圧力容器210の内径215よりもほんのわずかだけ小さい。
【0045】
図3Aは、本発明の一実施形態による、内部に円状の基板301が配置された、図2の3-3線における圧力容器210の模式断面図を示す。基板301の外径302は圧力容器210の内径215よりもわずかだけ小さいので、基板301の外周と圧力容器210の壁250の内表面との間にクリアランス303が存在する。基板301及び圧力容器210は、クリアランス303を最小にして、収着試験中の圧力容器210内に存在する自由気体体積が大幅に低減されるように構成され得る。
【0046】
クリアランス303は、好適には、内径215の約10%以下であり、複数の薄膜基板を内部に収容した状態での薄膜サンプルチャンバ200の自由気体体積は、薄膜サンプルチャンバ200内に薄膜基板を収容していない状態での該チャンバの自由気体体積の約20%以下である。
【0047】
ある実施形態において、ねじ付きフィッティング213及びグランド219は、改変された1インチのVCR(登録商標)のコンパチブル(互換性のある)フィッティングであり、内径215は0.75インチであり、クリアランス303は約0.0375インチ以下であり、複数の基板を収容した状態の圧力容器210の自由気体体積は、約7ml未満である。
【0048】
この実施形態において、圧力容器210は、通常薄膜材料に対して行われる収着試験の範囲内でガス放出を生じず且つその収着試験の範囲内で生じる温度変化及び圧力変化に耐え得るステンレス鋼若しくは他の耐久材料から構成されたチューブであり得る。底部表面218は、反対側の端部開口部214に溶接されたプレートによって形成され得る。或いは、圧力容器210は、1ピースの材料から機械加工で形成してもよい。当業者であれば、本明細書中に記載した圧力容器210の他の製造方法を容易に考え得る。
【0049】
別の実施形態において、薄膜サンプルチャンバ200内での試験に用いる薄膜サンプルは正方形又は矩形であり、圧力容器210の断面は、図3Bに示すように、その薄膜サンプルの形状に応じた構成となっている。図3Bは、本発明の一実施形態による、正方形の基板311を内部に収容した状態の、図2の3-3線における圧力容器210の模式断面図を示す。
【0050】
この実施形態において、試験しようとする複数の正方形の薄膜サンプルは、6インチのシリコンウエハなどの従来の単一の基板からサイコロ状に切り出し得る。このようにして、各正方形基板間の薄膜材料特性のばらつきが最小化される。図3Aに関して上で説明したように、基板311及び圧力容器210の壁250は、それらの間のクリアランス303が最小化されるように構成されてもよい。当業者であれば、例えば三角形、六角形など、他の形状の薄膜基板も、適切な形状に形成された断面形状を有する圧力容器210に適用することができるであろう。
【0051】
動作時、薄膜サンプルチャンバ200(図2参照)には、圧力容器210をリデューサフィッティング220から取り出すことにより、複数の薄膜基板が積み込まれる。
【0052】
リデューサフィッティング220は、分離バルブ230を介してガス収着分析器に流体連通結合されている。薄膜基板は、開口部214を介して内部空間212内に積み込まれる。上述のように、基板は、収着試験中に圧力容器210に含まれる自由気体体積が最小になるように、重ねた状態で積み込まれる。底部表面218からグランド219の封止面219Aに至るまでの内部空間212を埋めるのに十分な基板が、内部空間212内に配置される。或いは、内部空間212中の余分な空間を、基板に加えて、適切なサイズ及び形状を有する非吸収性の材料で埋めてもよい。
【0053】
したがって、内部空間212は、薄膜サンプル材料と不活性基板材料つまりシリコンとでいっぱいになり、自由気体体積は実質的に存在せず、それにより、薄膜サンプル材料に対して行われる収着試験の精度が最大化される。
【0054】
金属ガスケットを封止面219A上に配置し、圧力容器210をリデューサフィッティング220に再度組み合わせる。薄膜サンプルチャンバ200の組立及び分解は、ねじ付きフィッティング213をねじ付きフィッティング221に螺旋嵌めするだけで行えるので、この動作は、グローブボックス又は他の分離チャンバ内で容易に実行可能である。
【0055】
薄膜サンプルチャンバ200の1つの利点として、各サブアセンブリ間の封止面、つまり封止面219A、封止面221A等の長さが、サンプルチャンバの容積、ひいては薄膜サンプル材料の質量と比べて比較的短いということが挙げられる。これは、薄膜サンプルチャンバ200の各封止面の長さが、サンプルチャンバの容積と比べて比較的小さな寸法を有する薄膜サンプルチャンバ200の特徴部分に対応するからである。例えば、封止面219Aは、ねじ付きフィッティング213の外周によって決定される。薄膜サンプルチャンバ200の封止面は、長さ251などの、サンプルチャンバの容積と比べて比較的大きな寸法を有する特徴部分にも、圧力容器210の外周にも対応していない。
【0056】
薄膜サンプルチャンバ200の封止面の長さを短くすることにより、圧力容器210内への又は圧力容器210からの望ましくない漏れが生じる可能性が低減され、それにより収着試験の精度が向上する。さらに、薄膜サンプルチャンバ200をコンパクトな構成とすることにより、収着試験に関連する熱サイクルや高い圧力の結果として生じる大きな力に耐えるのに十分な剛性が得られる。
【0057】
これにより、薄膜サンプルチャンバ200は、漏れ又は破損など、通常はサンプルチャンバ内における深刻な変化を生じ得る熱サイクル及び加圧サイクルの間に、その構成部品が著しく変形することが防止される。
【0058】
薄膜サンプルチャンバ200の別の利点として、圧力容器210の構造形状を特定のアプリケーションに合わせて最適化できることが挙げられる。上述のように、圧力容器210は、要求される任意の形状の薄膜基板を収容するように設計され得る。さらに、収着試験中に薄膜サンプルチャンバ200内にて生じる圧力降下を精度良く測定し得ることを確実にするため、圧力容器210の構造形状の他の点を変更し得る。
【0059】
例えば、圧力容器210の長さ251を長くして、圧力容器210内に収容する薄膜基板の合計数、ひいては薄膜サンプル材料の質量を増やすことができる。このようにして、薄膜サンプルの収着試験中に起こる圧力降下は、収着試験に用いる典型的な圧力トランスデューサの分解能より少なくとも約5倍高いレベルにまで増幅され、それにより、薄膜サンプル材料の収着能力の正確な評価が確実に行える。
【0060】
或いは、図3A及び図3Bに示すクリアランス303は、薄膜サンプルチャンバ200の自由気体体積が実質的に無くなる程度にまで減少され得る。同様に、クリアランス303に関連する自由気体体積に対する薄膜サンプル材料の質量を最適化するために、圧力容器210は、本明細書中で既に説明したものよりも大きな又は小さな表面積を有する薄膜基板を収容するように構成され得る。
【0061】
ある実施形態において、薄膜サンプルチャンバは、横積込式の薄膜サンプルホルダを含み、グローブボックス又は他の分離チャンバに入れたままでのチャンバへの積み込み及び取り出しを容易にする。
【0062】
図4は、本発明の一実施形態による、横積込式サンプルホルダの分解図及び端面図を示す。横積込式サンプルホルダ400は、ベース401及び上蓋402を含み、それらは、一体に組み合わされた場合にシリンダを形成する。ベース401及び上蓋402は、横積込式サンプルホルダ400の端面図に示すように、それぞれ断面が矩形のカットアウト領域403を有する。ベース401及び上蓋402を互いに組み合わせた場合、両カットアウト領域403が一体となって、断面が正方形であり且つ図3Bに関連して上で説明したように各々が正方形基板311と略同様の複数の正方形薄膜基板を収容するような構成を有する細長領域が形成される。
【0063】
横積込式サンプルホルダ400は、ガス収着試験に関連する温度及び圧力においてガス放出を生じない、耐久性を有する任意の耐熱材料から構成され得る。ある実施形態において、横積込式サンプルホルダ400は、ステンレス鋼で形成される。
【0064】
図5は、本発明の一実施形態による、複数の正方形薄膜基板501を積み込んだ後の横積込式サンプルホルダ400のベース401を示す。基板は、表面同士が向かい合うか又は表面と裏面が向かい合った状態で、列状の配置で重ねられ得る。圧力容器210の内壁は、圧力容器210に収容された薄膜基板の外側縁部同士の間のクリアランスが非常に小さく維持されるように構成され得るが、それだけで、ベース401及び上蓋402のカットアウト領域403は、その内部に収容される複数の薄膜基板501の外側縁部同士の間のクリアランスもまた非常に小さく維持され得る。
【0065】
ある実施形態において、薄膜基板の外側縁部とカットアウト領域403の内部表面との間のクリアランスは、薄膜基板の幅の約10%以下である。したがって、複数の薄膜基板501を積み込んだ場合、横積込式サンプルホルダ400は、実質的に自由気体体積を含まない略中実の円筒を形成する。その後、横積込式サンプルホルダ400は、圧力容器210内に積み込まれ得る。横積込式サンプルホルダ400の外径は、圧力容器210の内径215の内側の緊密なクリアランスに合うように、例えば内径215の約10%以下となるように構成され得る。
【0066】
ある実施形態において、ねじ付きフィッティング213は、標準的な1インチのVCR(登録商標)のコンパチブルフィッティングであり、内径215は0.75インチであり、クリアランスは、内径215と薄膜サンプルホルダ400の外表面との間、すなわち約0.0375インチ以下に維持される。
【0067】
このように、横積込式サンプルホルダ400に複数の薄膜基板501を積み込み、サンプルホルダ400を圧力容器210の内部空間212内に配置した後、圧力容器210内の自由気体体積がほとんど無い状態が維持される。さらに、正方形基板をベース401内に積み込むことは、該基板を1枚ずつ内部空間212内に直接積み込んだり取り外したりすることよりも簡単であり、器用さも要求されない。
【0068】
したがって、横積込式サンプルホルダ400を用いることにより、グローブボックス又は他の分離チャンバ内に入れたままでの本発明による薄膜サンプルチャンバへの積み込みが容易になる。
【0069】
横積込式サンプルホルダ400のカットアウト領域403は、三角形、矩形及び六角形、或いはその他の形状など、他のサイズ及び形状を有する薄膜基板であっても同様に収容できるように構成してもよいことを当業者は理解する。同様に、薄膜サンプルホルダ400及び圧力容器210は、例えば正方形、矩形などの円状以外の断面形状を有するように構成してもよく、その場合、圧力容器は内径215ではなく内部幅を有するということを当業者は理解する。
【0070】
いくつかのアプリケーションにおいて、薄膜基板間の接触は、各基板上に堆積された薄膜サンプル材料を傷つける可能性があるので望ましくない。本発明の実施形態による横積込式サンプルホルダは、サンプルホルダに積み込む際に基板を互いに分離するために、薄膜基板間に隙間確保構造又は隙間確保装置を備え得ることが企図されている。
【0071】
図6Aは、本発明の一実施形態による、カットアウト領域603の内部表面604上に複数のスペーサ棚602を設けて構成された横積込式サンプルホルダのベース部601の部分断面図を示す。図示のように、スペーサ棚602間に複数の正方形薄膜基板501が積み込まれ、薄膜基板501のいずれも互いに接触していない。ある実施形態において、スペーサ棚602は、機械加工又は他の材料除去プロセスによって、内部表面604に形成される。
【0072】
図6Bは、本発明の一実施形態による、薄膜基板501とスペーサリング612とを組み合わせたものを積み込んだ横積込式サンプルホルダのベース部611の部分断面図を示す。スペーサリング612は、薄膜基板501の間に空間を設けて、該基板のいずれも互いに接触しないようにする。
【0073】
図6Cは、本発明の一実施形態による、正方形の薄膜基板501と湾曲したディスク622とを組み合わせたものを積み込んだ横積込式サンプルホルダのベース部621の部分断面図を示す。湾曲ディスク622は、薄膜基板501の間に空間を設けて、該基板のいずれも互いに接触しないようにする。湾曲ディスク622を用いることにより、2カ所以上の離れた点においてのみ各薄膜基板501が接触するという利点がさらに得られる。
【0074】
さらに、横積込式サンプルホルダを有していない薄膜サンプルチャンバの実施形態は、チャンバ内に積み込む基板間の著しい接触を防止するために、スペーサリング612又は湾曲ディスク622を設けてもよいことを当業者は理解する。
【0075】
薄膜基板501は、表面同士が向かい合うように並べても、表面と裏面が向かい合うように並べても、どちらでもよい。表面同士が向かい合うように並べた場合、つまり、各薄膜基板501の薄膜を堆積した側の表面が隣接する薄膜基板501の薄膜を堆積した側の表面に向かい合うように並べた場合、薄膜基板501の薄膜を堆積した側の表面同士の接触を防止するには、半数の隙間確保構造をベース部601に設ければよい。これは、表面同士が向かい合うように基板を並べる場合、薄膜基板501の薄膜が堆積されていない面同士が互いに接触するように配置され、隙間確保構造を設ける必要が無いからである。
【0076】
さらに、図6A〜図6Cに関連して説明した実施形態は、薄膜基板501が正方形の形状ではないアプリケーションに適合させ得ることが理解される。
【0077】
上述のように、収着試験中における封止面を介した薄膜サンプルチャンバ200内への漏れ又はチャンバ200から外部への漏れは、収着試験の結果に直接影響する。というのは、そのような漏れによって生じる圧力変化は、薄膜サンプル材料内への又は薄膜サンプル材料から外部へのガスの収着によって生じたと仮定されるからである。
【0078】
収着サンプルチャンバ及びガス収着分析器のプロセス配管の両方において、封止面の粒子による汚染は漏れの公知の原因なので、本発明の実施形態によると、薄膜サンプルチャンバが直列配置された複数の粒子フィルタを備え得ることが企図されている。
【0079】
図7は、本発明の一実施形態による、直列フィルタ701を備えたリデューサフィッティング700を示す。リデューサフィッティング700は、図2と関連して上で説明したリデューサフィッティング224と同様の構成を有する。
【0080】
直列フィルタ701は、フリットフィルタ(fritted filter)などの粒子フィルタであり、リデューサフィッティング700を貫通して延びた小径導管224内に配置される。この実施形態において、直列フィルタ701は、図に示すように、フィルタ保持スクリュー702によって所定の位置に保持される。
【0081】
ここで、フィルタ保持スクリュー702は、通気孔付きスクリューである。フィルタ保持スクリュー702の通気孔703は、小径導管224と同一の内径を有するように構成され得る。直列フィルタ701は、汚染粒子が小径導管224内を、薄膜サンプルチャンバの圧力容器からガス収着分析器に向かう方向又はその逆方向に通過するのを防止するように構成されている。直列フィルタ701の名目上の孔隙径、つまり直列フィルタ701によって有効に除去される最小粒子径は、アプリケーションによって異なるが、通常、約100ミクロン以下である。
【0082】
別の実施形態において、薄膜基板サンプルチャンバのサブアセンブリを封止する金属面シールガスケットは、直列フィルタを有するように構成される。そのような、焼結金属フィルタなどのガスケットフィルタは、当業者に周知であり、薄膜サンプルチャンバ200の金属面シールガスケット261,262の所定の位置において使用され得る。
【0083】
上記説明は本発明の実施形態に向けられたものであるが、本発明の他の実施形態及びさらなる実施形態を、本発明の基本的な範囲から逸れることなく考えてもよく、本発明の範囲は特許請求の範囲により決定されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】図1は、従来の収着試験装置に取り付けられるように構成されたウエハサイズサンプルチャンバを示す図である。
【図2】図2は、本発明の一実施形態による薄膜サンプルチャンバの模式分解側面図である。
【図3A】図3Aは、本発明の一実施形態による、内部に円状の基板が配置された圧力容器の模式断面図である。
【図3B】図3Bは、本発明の一実施形態による、内部に正方形の基板が配置された圧力容器の模式断面図である。
【図4】図4は、本発明の一実施形態による横積込式サンプルホルダの模式側面図及び端面図である。
【図5】図5は、本発明の一実施形態による、複数の正方形薄膜基板を積み込んだ後の、横積込式サンプルホルダのベースを示す図である。
【図6A】図6Aは、本発明の一実施形態による、カットアウト領域の内部表面上に複数のスペーサスロットを有するように構成された横積込式サンプルホルダのベース部の部分断面図である。
【図6B】図6Bは、本発明の一実施形態による、正方形薄膜基板とスペーサリングとを組み合わせたものを積み込んだ横積込式サンプルホルダのベース部の部分断面図である。
【図6C】図6Cは、本発明の一実施形態による、正方形薄膜基板と湾曲ディスクとを組み合わせたものを積み込んだ横積込式サンプルホルダのベース部の部分断面図である。
【図7】図7は、本発明の一実施形態による、直列フィルタを備えたリデューサフィッティングを示す図である。
【符号の説明】
【0085】
200 薄膜サンプルチャンバ
210 圧力容器
220 リデューサフィッティング
230 分離バルブ
400 横積込式サンプルホルダ
602 スペーサ棚
612 スペーサリング
622 湾曲ディスク
700 リデューサフィッティング
701 直列フィルタ
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、概して、ガス収着試験に関し、詳細には、ガス収着測定に用いる薄膜サンプルホルダに関する。
【0002】
(関連出願)
本出願は、2007年6月15日に出願された「ガス収着分析用の薄膜サンプルホルダ(THIN FILM SAMPLE HOLDER FOR GAS SORPTION ANALYSIS)」という名称の米国仮特許出願(出願番号60/944,290)に基づく優先権の利益を主張する。本明細書中、この関連出願の内容を参考として援用する。
【背景技術】
【0003】
ナノテクノロジーの分野において、所与の材料は、ナノスケール、つまり、個々の原子又は原子集合体のレベルで配置を変えた場合、全く異なる振る舞いを生じることが理解されている。例えば、所与の材料の化学的性質は、ナノスケールで形成中の材料内に特定の機械化学的歪みを生じることにより変更することができる。
【0004】
このようにして、適切なナノスケールの配置にすることにより、通常は不活性の材料を、触媒的特性を有するように振舞わせたり、見かけ上安定した材質の熱力学特性(水素との金属の形成エンタルピー等)が変更でき、さらには特定のアプリケーションに対して最適化できる。
【0005】
薄膜堆積処理は、ナノチューブなど、それぞれがナノスケールでの異なる構成を有し得る多数の材料を形成するのに、又はナノメートルの寸法を有する非常に薄い層状に形成するのに、非常に適している。
【0006】
公知の収着試験装置は、薄膜ではなく、バルクパウダーの収着試験のために設計されているので、薄膜のガス収着特性(つまり、吸収度、吸着度、脱着度、化学収着度、及び物理収着度)の正確な測定に問題がある。
【0007】
バルクパウダーの収着特性を測定する場合、サンプルチャンバ内に存在するテストガスの自由気体部分に対して、比較的大量のガス収着サンプル材料が用いられる。このように、収着試験の間、上昇する圧力の下であっても、サンプルチャンバ内で測定可能な圧力変化が生じる。
【0008】
例えば、カリフォルニア州ニューアークのHy-Energy LLCから市販されているPCTPro-2000は、約10〜1000ミリグラムの質量を有する材料サンプルをチャンバ内に配置した後に約0.5mlの自由気体部分を有するサンプルチャンバを用いて、材料サンプルに対して収着試験を行うように構成されている。そのようなバルク材料サンプルに対して、従来の収着テスターサンプルチャンバ内で試験し得る基板上に堆積された薄膜材料の質量は、例えば典型的なバルクサンプルよりも1オーダーあるいはそれ以上のオーダーに小さくなる。さらに、基板上の薄膜の構造のために、基板を従来の収着テスターサンプルチャンバ内に配置した場合、通常、チャンバの容量に対して基板が占める割合は非常に小さく、自由気体部分が大きく残る。
【0009】
したがって、基板上の薄膜サンプルを試験する場合、サンプルチャンバにおけるサンプル材料質量に対する自由気体部分の比率は非常に高いので、薄膜のガス収着によって生じる圧力降下は、従来の圧力測定装置では正確に測定できない。
【0010】
より大量の薄膜サンプル材料を試験するために、下地の基板から薄膜を除去して、バルク材料として試験を行うこともできる。そのようなアプローチにより、サンプルチャンバ内の自由気体部分を低減しつつ、より多くの質量の材料を試験することも可能である。
【0011】
しかし、基板から薄膜を機械的に除去するプロセスは、薄膜サンプル材料のナノスケールでの特性、ひいてはサンプル材料のガス収着作用を著しく変化させる傾向にあるので、基板上に堆積した薄膜(本明細書中、薄膜及び基板を一体的に「薄膜基板」と呼ぶ)のインサイチュでの試験が、より厳密で且つより信頼性の高いアプローチである。
【0012】
あるいは、直径6インチのシリコンウエハなどのフルサイズの薄膜基板全体を収容できるようにサンプルチャンバを構成することにより、より大きな質量の薄膜サンプル材料に対して収着試験を行い得る。
【0013】
図1は、従来の収着試験装置に取り付けできるように構成されたウエハサイズのサンプルチャンバ100を示す。ウエハサイズサンプルチャンバ100は、基板103全体を収容するように構成された「クラムシェル型」のデザインを有する。
【0014】
基板103は、6インチ又は8インチのシリコンウエハなどの標準的な薄膜基板である。基板103は、その上部に堆積された薄膜107を有し、薄膜107は、ウエハサイズサンプルチャンバ100内で試験しようとするガス収着材料を含む。基板103は、ウエハサイズサンプルチャンバ100内にて、蓋101とベース102との間で、基板支持部材(図示せず)上に配置される。
【0015】
テストポート110は、公知の漏れ防止手段を用いて、収着試験装置に流体連通状態(流体が流れるような状態)で結合されている。クランプ機構(図示せず)により閉じる力106が与えられて、薄膜107の収着試験の間、ウエハサイズサンプルチャンバ100の加圧が可能になるのに十分な力で蓋101及びベース102が密封部材105に押しつけられる。
【0016】
収着試験に先立ち、材料サンプルは、通常、アルゴンパージしたグローブボックス又はその他の分離チャンバなどの、制御された環境において取り扱うことにより、雰囲気中の水分及びその他の汚染物質から分離される。
【0017】
ウエハサイズチャンバ100はフルサイズの基板(つまり基板103)を試験するための構成となっており且つウエハサイズチャンバ100は単純な2ピースのクラムシェル構成を有するので、ウエハサイズチャンバ100のそのようなデザインにより、グローブボックス内に収容された状態でテスト基板を積み込むのが容易になる。基板103を用いることにより、従来の収着試験チャンバ内で用いることができる充分に小さな基板上に堆積できるものよりも大きな質量のサンプル材料を試験することが可能になる。
【0018】
しかし、収着試験は例えば数十〜数百気圧の高圧下にて共通で行われるので、ウエハサイズチャンバ100は収着試験を行うのに適していない。
【0019】
第1に、ウエハサイズチャンバ100を100気圧以上に加圧する場合に必要な閉じる力106は法外に大きいので、実施不可能なほどに大きく且つ嵩高な装置が必要である。
【0020】
第2に、ウエハサイズチャンバ100の自由気体領域104が大きすぎて、正確な収着測定が行えない。標準サイズの収着サンプルチャンバよりもウエハサイズチャンバ100のほうが、より大きな質量の薄膜107の収着試験を行い得るが、サンプル材料の質量に対する自由気体体積の比率が大き過ぎて、そのため、たいていの収着試験中に、特に高圧下での試験中に、正確に測定可能な圧力降下が生じない。
【0021】
最後に、自由気体領域104から封止部材105を通過して漏れが生じる可能性が高過ぎて、信頼できる収着測定が行えない。これは、ウエハサイズチャンバ100が比較的大きな封止表面つまり封止部材105を有し、収着試験中にウエハサイズチャンバ100からの漏れが起こると、それが試験の精度に直接影響するからである。
【0022】
さらに、ウエハサイズチャンバ100内の圧力が増大し、封止部材105にかかる圧縮力を低下させるにしたがって、封止部材105からの漏れ率が上昇する。この圧縮力は、閉じる力106の、蓋101及びベース102を一体に保持するのに必要な最小の力を越えた部分に等しい。したがって、高圧での収着試験では、封止部材105にかかる圧縮力が低減するのと同時に、封止部材105からの漏れを促すさらなる力が存在する。
【0023】
したがって、当該技術において、高圧下にて薄膜サンプルに対してガス収着測定を正確に実施でき、且つグローブボックス又は他の分離チャンバに収容したままで薄膜サンプルの積み込み及び取り出しが容易に行える収着サンプルチャンバが必要である。
【発明の開示】
【0024】
本発明の実施形態は、複数の薄膜基板を収容し、該基板をシーベルト装置(Sieverts’ device)又は他のガス収着分析器に流体連通結合するように構成されたガス収着サンプルチャンバを企図している。
【0025】
ある実施形態において、ガス収着サンプルチャンバは、列状に重ねて配置された複数の薄膜基板を収容する圧力容器と、該圧力容器をガス収着分析器に流体連通結合し、該薄膜基板を該圧力容器内に積み込むために該圧力容器に設けられた開口部を封止する再封止可能フィッティングとを備えている。
【0026】
別の実施形態によると、ガス収着サンプルチャンバは、外部表面及び内部表面を有し、列状に重ねて配置された複数の薄膜基板を収容し且つ内部に配置された薄膜基板の外周の周りに第1のクリアランスを維持するように構成された薄膜サンプルホルダと、該薄膜サンプルホルダを有する圧力容器であって、該圧力容器の内部表面と該薄膜サンプルホルダの外部表面との間に維持された第2のクリアランスが該圧力容器の内部幅の約1%以下の大きさとなるように該薄膜サンプルホルダを有する圧力容器と、該圧力容器をガス収着分析器に流体連通結合し、該薄膜サンプルホルダを該圧力容器内に積み込むために該圧力容器に設けられた開口部を封止する再封止可能フィッティングとを備えている。
【0027】
本発明の上記特徴が詳細に理解され得るように、上で簡単に要旨を説明した本発明のより具体的な説明を、その一部を添付の図面に示した実施形態を参照することにより提示する。しかし、添付の図面は本発明の典型的な実施形態のみを示すものであり、したがって、発明の範囲を限定するものと考えてはならず、本発明は同様の効果を有する他の実施形態を認め得るということに留意されたい。
【0028】
明晰さのため、複数の図面にわたって共通の同一の要素を示すために、可能な範囲で同一の参照番号を用いた。ある一実施形態の特徴をさらに説明することなく他の実施形態に組み込んでもよいものと考えている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本発明の実施形態は、複数の薄膜基板を収容し、該基板をシーベルト装置又は他のガス収着分析器に流体連通結合するように構成されたガス収着サンプルチャンバを企図している。
【0030】
薄膜基板は、サンプルチャンバ内の自由気体体積が低減されて収着試験の精度が向上するように、サンプルチャンバ内で互いに近接して、列状の配置で、具体的には直接接触するように重ねられるか又はわずかに間隔を空けた構成で保持される。
【0031】
チャンバの自由気体体積をさらに低減するために、チャンバの内部構造は、薄膜基板とチャンバの内部表面との間のクリアランスが最小になるように構成されており、それにより、実質的に全てのチャンバ空間が、薄膜サンプルホルダ、薄膜サンプル材料、及び不活性基板材料によって占められる。
【0032】
試験の最中に漏れが起こる可能性を最小化するため、サンプルチャンバに、薄膜サンプルの積み込み及び取り出しのための封止領域が比較的小さな開口部が設けられている。グローブボックス内での使用を容易にするため、チャンバは、全ての薄膜基板を一群として積み込み及び取り出しができるように、薄膜基板が内部に配置された取り外し可能なサンプルカートリッジで構成されている。
【0033】
図2は、本発明の一実施形態による薄膜サンプルチャンバ200を側面から見た模式分解図である。薄膜サンプルチャンバ200は、圧力容器210と、リデューサフィッティング(reducer fitting)220と、分離バルブ230とを含む。明瞭に図示するため、圧力容器210及びリデューサフィッティング220の一部を断面で図2に示す。
【0034】
圧力容器210は、壁250と、内部空間212と、内径215と、外径216と、圧力容器210の一方の端部に設けられた開口部214と、溶接接続211などの気密接続によって開口部214に機械的に結合されたねじ付きフィッティング213とを有する。
【0035】
ねじ付きフィッティング213の内径217は、内径215に略等しく、内部空間212は、実質的に、圧力容器210の底部表面218からグランド(gland)219の封止面219Aによって規定される面まで延びた円筒状の空間である。ある実施形態において、ねじ付きフィッティング213は、標準的な1インチのVCR(登録商標)のフィッティングであり、内径217及び内径215は共に0.75インチである。別の実施形態において、圧力容器210の内部断面は、正方形又は矩形である。
【0036】
リデューサフィッティング220は、ねじ付きフィッティング213と咬み合うように適合されたねじ付きフィッティング221と、溶接接続223などの気密接続によってねじ付きフィッティング221に機械的に結合された直径低減フィッティング222と、ねじ付きフィッティング221及び直径低減フィッティング222を貫通して、図示のように内部空間212を分離バルブ230に流体連通結合する小径導管224とを備えている。
【0037】
ねじ付きフィッティング221の端部には、封止面225Aを有するグランド225が配置されており、直径低減フィッティング222の端部には、封止面226Aを有する別のグランド226が配置されている。小径導管224は、収着試験のために薄膜サンプルを内部に配置した状態での薄膜サンプルチャンバ200の自由気体体積を低減するために、その内径が実施可能な範囲内で最小になるように構成されている。
【0038】
ある実施形態において、小径導管224は、改変された1/4インチのVCR(登録商標)のフィッティング222及び内径が約0.05インチであるねじ付きフィッティング221を貫通するようにドリル穿孔された孔である。分離バルブ230は、シーベルト装置又はカリフォルニア州ニューアークのHy-Energy LLCから市販されているPCTPro-2000等の他のガス収着分析器(図示せず)から薄膜サンプルチャンバ200の流体連通状態の結合及び分離を行う。分離バルブ230は、ダイアフラムバルブ等の手動式又は自動式の閉鎖バルブであり、高圧適用下で無漏シーリングが実現するように構成されている。
【0039】
薄膜サンプルチャンバ200のサブアセンブリ間、つまり分離バルブ230とリデューサフィッティング220との間並びにリデューサフィッティング220と圧力容器210との間の無漏シーリングを確実にするために、さまざまなものがある中で、VCR(登録商標)のフィッティング及びUJR(登録商標)のフィッティング等の公知の金属面シールガスケット261,262を用いる。金属面シールガスケットは、収着試験などの、高圧、真空、及び高温での適用に特に有用である。
【0040】
密封シールを形成するために、金属ガスケット、例えば金属面シールガスケット261を、2つの隣接するフィッティングのグランド間、例えばねじ付きフィッティング213とねじ付きフィッティング221との間に配置して、このフィッティングの咬合するねじ付きファスナー(threaded fasteners)が締められると、各グランドの封止面、例えば、封止面219A及び封止面225Aが、金属面シールガスケット261に押しつけられて、金属同士による低漏接続が形成される。
【0041】
ある実施形態において、金属ガスケットに押しつけられた封止面は、VCR(登録商標)型のグランドではなく、1つ以上の同軸のナイフ様の縁部を有するシールを備えており、金属ガスケットは、銅、アルミニウム、錫などの比較的柔らかい金属であってもよい。
【0042】
この実施形態において、図2に示すようなVCR(登録商標)型の雄雌ナット構成の代わりに、薄膜サンプルチャンバ200の各サブアセンブリは、ナイフ様の縁部シールを金属ガスケット内に均一に押し込むように複数のねじ付きファスナーによって与圧されたフランジ接続を用いて構成することができる。
【0043】
上述のように、試験しようとする薄膜基板の形状に応じて異なる断面形状を有するように圧力容器210を構成し得ることを企図している。
【0044】
ある実施形態において、薄膜サンプルチャンバ200内での試験に用いる薄膜サンプルは、複数の円状シリコン基板であり、収着試験中の薄膜サンプルチャンバ200内の自由気体体積が最小化されるように、内部空間212内で重ねてまとめられる。該基板は、表面同士が向き合うように、又は表面と裏面とが向き合うように重ねられる。この実施形態において、試験しようとする複数の円状の薄膜サンプルは、基板間の薄膜特性のばらつきが最小化されるように、バッチプロセスにおいて同時に薄膜材料が堆積されてもよい。収着試験に用いるサンプルを内部に積み込んだ状態の薄膜サンプルチャンバ200内の自由気体体積をさらに低減するために、薄膜基板の外径は、図3Aに示すように、圧力容器210の内径215よりもほんのわずかだけ小さい。
【0045】
図3Aは、本発明の一実施形態による、内部に円状の基板301が配置された、図2の3-3線における圧力容器210の模式断面図を示す。基板301の外径302は圧力容器210の内径215よりもわずかだけ小さいので、基板301の外周と圧力容器210の壁250の内表面との間にクリアランス303が存在する。基板301及び圧力容器210は、クリアランス303を最小にして、収着試験中の圧力容器210内に存在する自由気体体積が大幅に低減されるように構成され得る。
【0046】
クリアランス303は、好適には、内径215の約10%以下であり、複数の薄膜基板を内部に収容した状態での薄膜サンプルチャンバ200の自由気体体積は、薄膜サンプルチャンバ200内に薄膜基板を収容していない状態での該チャンバの自由気体体積の約20%以下である。
【0047】
ある実施形態において、ねじ付きフィッティング213及びグランド219は、改変された1インチのVCR(登録商標)のコンパチブル(互換性のある)フィッティングであり、内径215は0.75インチであり、クリアランス303は約0.0375インチ以下であり、複数の基板を収容した状態の圧力容器210の自由気体体積は、約7ml未満である。
【0048】
この実施形態において、圧力容器210は、通常薄膜材料に対して行われる収着試験の範囲内でガス放出を生じず且つその収着試験の範囲内で生じる温度変化及び圧力変化に耐え得るステンレス鋼若しくは他の耐久材料から構成されたチューブであり得る。底部表面218は、反対側の端部開口部214に溶接されたプレートによって形成され得る。或いは、圧力容器210は、1ピースの材料から機械加工で形成してもよい。当業者であれば、本明細書中に記載した圧力容器210の他の製造方法を容易に考え得る。
【0049】
別の実施形態において、薄膜サンプルチャンバ200内での試験に用いる薄膜サンプルは正方形又は矩形であり、圧力容器210の断面は、図3Bに示すように、その薄膜サンプルの形状に応じた構成となっている。図3Bは、本発明の一実施形態による、正方形の基板311を内部に収容した状態の、図2の3-3線における圧力容器210の模式断面図を示す。
【0050】
この実施形態において、試験しようとする複数の正方形の薄膜サンプルは、6インチのシリコンウエハなどの従来の単一の基板からサイコロ状に切り出し得る。このようにして、各正方形基板間の薄膜材料特性のばらつきが最小化される。図3Aに関して上で説明したように、基板311及び圧力容器210の壁250は、それらの間のクリアランス303が最小化されるように構成されてもよい。当業者であれば、例えば三角形、六角形など、他の形状の薄膜基板も、適切な形状に形成された断面形状を有する圧力容器210に適用することができるであろう。
【0051】
動作時、薄膜サンプルチャンバ200(図2参照)には、圧力容器210をリデューサフィッティング220から取り出すことにより、複数の薄膜基板が積み込まれる。
【0052】
リデューサフィッティング220は、分離バルブ230を介してガス収着分析器に流体連通結合されている。薄膜基板は、開口部214を介して内部空間212内に積み込まれる。上述のように、基板は、収着試験中に圧力容器210に含まれる自由気体体積が最小になるように、重ねた状態で積み込まれる。底部表面218からグランド219の封止面219Aに至るまでの内部空間212を埋めるのに十分な基板が、内部空間212内に配置される。或いは、内部空間212中の余分な空間を、基板に加えて、適切なサイズ及び形状を有する非吸収性の材料で埋めてもよい。
【0053】
したがって、内部空間212は、薄膜サンプル材料と不活性基板材料つまりシリコンとでいっぱいになり、自由気体体積は実質的に存在せず、それにより、薄膜サンプル材料に対して行われる収着試験の精度が最大化される。
【0054】
金属ガスケットを封止面219A上に配置し、圧力容器210をリデューサフィッティング220に再度組み合わせる。薄膜サンプルチャンバ200の組立及び分解は、ねじ付きフィッティング213をねじ付きフィッティング221に螺旋嵌めするだけで行えるので、この動作は、グローブボックス又は他の分離チャンバ内で容易に実行可能である。
【0055】
薄膜サンプルチャンバ200の1つの利点として、各サブアセンブリ間の封止面、つまり封止面219A、封止面221A等の長さが、サンプルチャンバの容積、ひいては薄膜サンプル材料の質量と比べて比較的短いということが挙げられる。これは、薄膜サンプルチャンバ200の各封止面の長さが、サンプルチャンバの容積と比べて比較的小さな寸法を有する薄膜サンプルチャンバ200の特徴部分に対応するからである。例えば、封止面219Aは、ねじ付きフィッティング213の外周によって決定される。薄膜サンプルチャンバ200の封止面は、長さ251などの、サンプルチャンバの容積と比べて比較的大きな寸法を有する特徴部分にも、圧力容器210の外周にも対応していない。
【0056】
薄膜サンプルチャンバ200の封止面の長さを短くすることにより、圧力容器210内への又は圧力容器210からの望ましくない漏れが生じる可能性が低減され、それにより収着試験の精度が向上する。さらに、薄膜サンプルチャンバ200をコンパクトな構成とすることにより、収着試験に関連する熱サイクルや高い圧力の結果として生じる大きな力に耐えるのに十分な剛性が得られる。
【0057】
これにより、薄膜サンプルチャンバ200は、漏れ又は破損など、通常はサンプルチャンバ内における深刻な変化を生じ得る熱サイクル及び加圧サイクルの間に、その構成部品が著しく変形することが防止される。
【0058】
薄膜サンプルチャンバ200の別の利点として、圧力容器210の構造形状を特定のアプリケーションに合わせて最適化できることが挙げられる。上述のように、圧力容器210は、要求される任意の形状の薄膜基板を収容するように設計され得る。さらに、収着試験中に薄膜サンプルチャンバ200内にて生じる圧力降下を精度良く測定し得ることを確実にするため、圧力容器210の構造形状の他の点を変更し得る。
【0059】
例えば、圧力容器210の長さ251を長くして、圧力容器210内に収容する薄膜基板の合計数、ひいては薄膜サンプル材料の質量を増やすことができる。このようにして、薄膜サンプルの収着試験中に起こる圧力降下は、収着試験に用いる典型的な圧力トランスデューサの分解能より少なくとも約5倍高いレベルにまで増幅され、それにより、薄膜サンプル材料の収着能力の正確な評価が確実に行える。
【0060】
或いは、図3A及び図3Bに示すクリアランス303は、薄膜サンプルチャンバ200の自由気体体積が実質的に無くなる程度にまで減少され得る。同様に、クリアランス303に関連する自由気体体積に対する薄膜サンプル材料の質量を最適化するために、圧力容器210は、本明細書中で既に説明したものよりも大きな又は小さな表面積を有する薄膜基板を収容するように構成され得る。
【0061】
ある実施形態において、薄膜サンプルチャンバは、横積込式の薄膜サンプルホルダを含み、グローブボックス又は他の分離チャンバに入れたままでのチャンバへの積み込み及び取り出しを容易にする。
【0062】
図4は、本発明の一実施形態による、横積込式サンプルホルダの分解図及び端面図を示す。横積込式サンプルホルダ400は、ベース401及び上蓋402を含み、それらは、一体に組み合わされた場合にシリンダを形成する。ベース401及び上蓋402は、横積込式サンプルホルダ400の端面図に示すように、それぞれ断面が矩形のカットアウト領域403を有する。ベース401及び上蓋402を互いに組み合わせた場合、両カットアウト領域403が一体となって、断面が正方形であり且つ図3Bに関連して上で説明したように各々が正方形基板311と略同様の複数の正方形薄膜基板を収容するような構成を有する細長領域が形成される。
【0063】
横積込式サンプルホルダ400は、ガス収着試験に関連する温度及び圧力においてガス放出を生じない、耐久性を有する任意の耐熱材料から構成され得る。ある実施形態において、横積込式サンプルホルダ400は、ステンレス鋼で形成される。
【0064】
図5は、本発明の一実施形態による、複数の正方形薄膜基板501を積み込んだ後の横積込式サンプルホルダ400のベース401を示す。基板は、表面同士が向かい合うか又は表面と裏面が向かい合った状態で、列状の配置で重ねられ得る。圧力容器210の内壁は、圧力容器210に収容された薄膜基板の外側縁部同士の間のクリアランスが非常に小さく維持されるように構成され得るが、それだけで、ベース401及び上蓋402のカットアウト領域403は、その内部に収容される複数の薄膜基板501の外側縁部同士の間のクリアランスもまた非常に小さく維持され得る。
【0065】
ある実施形態において、薄膜基板の外側縁部とカットアウト領域403の内部表面との間のクリアランスは、薄膜基板の幅の約10%以下である。したがって、複数の薄膜基板501を積み込んだ場合、横積込式サンプルホルダ400は、実質的に自由気体体積を含まない略中実の円筒を形成する。その後、横積込式サンプルホルダ400は、圧力容器210内に積み込まれ得る。横積込式サンプルホルダ400の外径は、圧力容器210の内径215の内側の緊密なクリアランスに合うように、例えば内径215の約10%以下となるように構成され得る。
【0066】
ある実施形態において、ねじ付きフィッティング213は、標準的な1インチのVCR(登録商標)のコンパチブルフィッティングであり、内径215は0.75インチであり、クリアランスは、内径215と薄膜サンプルホルダ400の外表面との間、すなわち約0.0375インチ以下に維持される。
【0067】
このように、横積込式サンプルホルダ400に複数の薄膜基板501を積み込み、サンプルホルダ400を圧力容器210の内部空間212内に配置した後、圧力容器210内の自由気体体積がほとんど無い状態が維持される。さらに、正方形基板をベース401内に積み込むことは、該基板を1枚ずつ内部空間212内に直接積み込んだり取り外したりすることよりも簡単であり、器用さも要求されない。
【0068】
したがって、横積込式サンプルホルダ400を用いることにより、グローブボックス又は他の分離チャンバ内に入れたままでの本発明による薄膜サンプルチャンバへの積み込みが容易になる。
【0069】
横積込式サンプルホルダ400のカットアウト領域403は、三角形、矩形及び六角形、或いはその他の形状など、他のサイズ及び形状を有する薄膜基板であっても同様に収容できるように構成してもよいことを当業者は理解する。同様に、薄膜サンプルホルダ400及び圧力容器210は、例えば正方形、矩形などの円状以外の断面形状を有するように構成してもよく、その場合、圧力容器は内径215ではなく内部幅を有するということを当業者は理解する。
【0070】
いくつかのアプリケーションにおいて、薄膜基板間の接触は、各基板上に堆積された薄膜サンプル材料を傷つける可能性があるので望ましくない。本発明の実施形態による横積込式サンプルホルダは、サンプルホルダに積み込む際に基板を互いに分離するために、薄膜基板間に隙間確保構造又は隙間確保装置を備え得ることが企図されている。
【0071】
図6Aは、本発明の一実施形態による、カットアウト領域603の内部表面604上に複数のスペーサ棚602を設けて構成された横積込式サンプルホルダのベース部601の部分断面図を示す。図示のように、スペーサ棚602間に複数の正方形薄膜基板501が積み込まれ、薄膜基板501のいずれも互いに接触していない。ある実施形態において、スペーサ棚602は、機械加工又は他の材料除去プロセスによって、内部表面604に形成される。
【0072】
図6Bは、本発明の一実施形態による、薄膜基板501とスペーサリング612とを組み合わせたものを積み込んだ横積込式サンプルホルダのベース部611の部分断面図を示す。スペーサリング612は、薄膜基板501の間に空間を設けて、該基板のいずれも互いに接触しないようにする。
【0073】
図6Cは、本発明の一実施形態による、正方形の薄膜基板501と湾曲したディスク622とを組み合わせたものを積み込んだ横積込式サンプルホルダのベース部621の部分断面図を示す。湾曲ディスク622は、薄膜基板501の間に空間を設けて、該基板のいずれも互いに接触しないようにする。湾曲ディスク622を用いることにより、2カ所以上の離れた点においてのみ各薄膜基板501が接触するという利点がさらに得られる。
【0074】
さらに、横積込式サンプルホルダを有していない薄膜サンプルチャンバの実施形態は、チャンバ内に積み込む基板間の著しい接触を防止するために、スペーサリング612又は湾曲ディスク622を設けてもよいことを当業者は理解する。
【0075】
薄膜基板501は、表面同士が向かい合うように並べても、表面と裏面が向かい合うように並べても、どちらでもよい。表面同士が向かい合うように並べた場合、つまり、各薄膜基板501の薄膜を堆積した側の表面が隣接する薄膜基板501の薄膜を堆積した側の表面に向かい合うように並べた場合、薄膜基板501の薄膜を堆積した側の表面同士の接触を防止するには、半数の隙間確保構造をベース部601に設ければよい。これは、表面同士が向かい合うように基板を並べる場合、薄膜基板501の薄膜が堆積されていない面同士が互いに接触するように配置され、隙間確保構造を設ける必要が無いからである。
【0076】
さらに、図6A〜図6Cに関連して説明した実施形態は、薄膜基板501が正方形の形状ではないアプリケーションに適合させ得ることが理解される。
【0077】
上述のように、収着試験中における封止面を介した薄膜サンプルチャンバ200内への漏れ又はチャンバ200から外部への漏れは、収着試験の結果に直接影響する。というのは、そのような漏れによって生じる圧力変化は、薄膜サンプル材料内への又は薄膜サンプル材料から外部へのガスの収着によって生じたと仮定されるからである。
【0078】
収着サンプルチャンバ及びガス収着分析器のプロセス配管の両方において、封止面の粒子による汚染は漏れの公知の原因なので、本発明の実施形態によると、薄膜サンプルチャンバが直列配置された複数の粒子フィルタを備え得ることが企図されている。
【0079】
図7は、本発明の一実施形態による、直列フィルタ701を備えたリデューサフィッティング700を示す。リデューサフィッティング700は、図2と関連して上で説明したリデューサフィッティング224と同様の構成を有する。
【0080】
直列フィルタ701は、フリットフィルタ(fritted filter)などの粒子フィルタであり、リデューサフィッティング700を貫通して延びた小径導管224内に配置される。この実施形態において、直列フィルタ701は、図に示すように、フィルタ保持スクリュー702によって所定の位置に保持される。
【0081】
ここで、フィルタ保持スクリュー702は、通気孔付きスクリューである。フィルタ保持スクリュー702の通気孔703は、小径導管224と同一の内径を有するように構成され得る。直列フィルタ701は、汚染粒子が小径導管224内を、薄膜サンプルチャンバの圧力容器からガス収着分析器に向かう方向又はその逆方向に通過するのを防止するように構成されている。直列フィルタ701の名目上の孔隙径、つまり直列フィルタ701によって有効に除去される最小粒子径は、アプリケーションによって異なるが、通常、約100ミクロン以下である。
【0082】
別の実施形態において、薄膜基板サンプルチャンバのサブアセンブリを封止する金属面シールガスケットは、直列フィルタを有するように構成される。そのような、焼結金属フィルタなどのガスケットフィルタは、当業者に周知であり、薄膜サンプルチャンバ200の金属面シールガスケット261,262の所定の位置において使用され得る。
【0083】
上記説明は本発明の実施形態に向けられたものであるが、本発明の他の実施形態及びさらなる実施形態を、本発明の基本的な範囲から逸れることなく考えてもよく、本発明の範囲は特許請求の範囲により決定されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】図1は、従来の収着試験装置に取り付けられるように構成されたウエハサイズサンプルチャンバを示す図である。
【図2】図2は、本発明の一実施形態による薄膜サンプルチャンバの模式分解側面図である。
【図3A】図3Aは、本発明の一実施形態による、内部に円状の基板が配置された圧力容器の模式断面図である。
【図3B】図3Bは、本発明の一実施形態による、内部に正方形の基板が配置された圧力容器の模式断面図である。
【図4】図4は、本発明の一実施形態による横積込式サンプルホルダの模式側面図及び端面図である。
【図5】図5は、本発明の一実施形態による、複数の正方形薄膜基板を積み込んだ後の、横積込式サンプルホルダのベースを示す図である。
【図6A】図6Aは、本発明の一実施形態による、カットアウト領域の内部表面上に複数のスペーサスロットを有するように構成された横積込式サンプルホルダのベース部の部分断面図である。
【図6B】図6Bは、本発明の一実施形態による、正方形薄膜基板とスペーサリングとを組み合わせたものを積み込んだ横積込式サンプルホルダのベース部の部分断面図である。
【図6C】図6Cは、本発明の一実施形態による、正方形薄膜基板と湾曲ディスクとを組み合わせたものを積み込んだ横積込式サンプルホルダのベース部の部分断面図である。
【図7】図7は、本発明の一実施形態による、直列フィルタを備えたリデューサフィッティングを示す図である。
【符号の説明】
【0085】
200 薄膜サンプルチャンバ
210 圧力容器
220 リデューサフィッティング
230 分離バルブ
400 横積込式サンプルホルダ
602 スペーサ棚
612 スペーサリング
622 湾曲ディスク
700 リデューサフィッティング
701 直列フィルタ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス収着サンプルチャンバであって、
列状に重ねて配置された複数の薄膜基板を収容する圧力容器と、
前記圧力容器をガス収着分析器に流体連通結合し、前記薄膜基板を前記圧力容器内に積み込むために前記圧力容器に設けられた開口部を封止する再封止可能フィッティングと、
を備えたことを特徴とするガス収着サンプルチャンバ。
【請求項2】
請求項1に記載のガス収着サンプルチャンバにおいて、
前記再封止可能フィッティングは、ねじ付きファスナーと金属ガスケットとを備えている
ことを特徴とするガス収着サンプルチャンバ。
【請求項3】
請求項2に記載のガス収着サンプルチャンバにおいて、
前記再封止可能フィッティングは、封止面を有する円形状のグランドをさらに備え、前記金属ガスケットは金属面シールガスケットを備え、前記ねじ付きファスナーは、VCR(登録商標)のコンパチブル雄ナット又は雌ナットを備えている
ことを特徴とするガス収着サンプルチャンバ。
【請求項4】
請求項2に記載のガス収着サンプルチャンバにおいて、
前記再封止可能フィッティングは、ナイフエッジシールを備えている
ことを特徴とするガス収着サンプルチャンバ。
【請求項5】
請求項1に記載のガス収着サンプルチャンバにおいて、
前記圧力容器の内部表面は、前記列状に配置された基板の外周の周りにクリアランスが維持されるように構成されており、前記クリアランスは、前記圧力容器の内部幅の約10%以下の大きさである
ことを特徴とするガス収着サンプルチャンバ。
【請求項6】
請求項1に記載のガス収着サンプルチャンバにおいて、
前記圧力容器の内部表面は、前記列状に配置された基板の外周の周りにクリアランスが維持されるように構成されており、前記チャンバ内に複数の薄膜基板を積み込んだ場合の前記チャンバの自由気体体積は、前記チャンバ内に薄膜基板を積み込まない場合の前記チャンバの自由気体体積の約20%以下である
ことを特徴とするガス収着サンプルチャンバ。
【請求項7】
請求項1に記載のガス収着サンプルチャンバにおいて、
前記再封止可能フィッティングは、前記圧力容器と前記ガス収着分析器とを流体連通結合するように構成された小径導管を有するリデューサフィッティングを備えている
ことを特徴とするガス収着サンプルチャンバ。
【請求項8】
請求項7に記載のガス収着サンプルチャンバにおいて、
前記小径導管の直径は約0.05インチ以下である
ことを特徴とするガス収着サンプルチャンバ。
【請求項9】
請求項7に記載のガス収着サンプルチャンバにおいて、
前記リデューサフィッティングは1/4インチのVCR(登録商標)のコンパチブルフィッティングを備えている
ことを特徴とするガス収着サンプルチャンバ。
【請求項10】
請求項1に記載のガス収着サンプルチャンバにおいて、
前記再封止可能フィッティングは、前記圧力容器と前記ガス収着分析器との流体連通結合及び分離を行えるように構成された分離バルブを備えている
ことを特徴とするガス収着サンプルチャンバ。
【請求項11】
請求項1に記載のガス収着サンプルチャンバにおいて、
前記列状に配置された基板は、内部に配置された薄膜基板の外周の周りのクリアランスを維持するように構成された内部表面を有する薄膜サンプルホルダ内に設置されている
ことを特徴とするガス収着サンプルチャンバ。
【請求項12】
請求項11に記載のガス収着サンプルチャンバにおいて、
前記列状に配置された基板は、前記圧力容器の内部空間を実質的に占めている
ことを特徴とするガス収着サンプルチャンバ。
【請求項13】
請求項12に記載のガス収着サンプルチャンバにおいて、
前記列状に配置された基板は、前記圧力容器の内部空間の80%を占めている
ことを特徴とするガス収着サンプルチャンバ。
【請求項14】
請求項11に記載のガス収着サンプルチャンバにおいて、
前記薄膜サンプルホルダの内部表面とその内部に配置された前記薄膜基板の外周との間のクリアランスは、約0.0375インチ以下である
ことを特徴とするガス収着サンプルチャンバ。
【請求項15】
請求項11に記載のガス収着サンプルチャンバにおいて、
前記薄膜サンプルホルダの内部表面とその内部に配置された前記薄膜基板の外周との間の第2のクリアランスは、薄膜基板の幅の約10%以下の大きさである
ことを特徴とするガス収着サンプルチャンバ。
【請求項16】
請求項11に記載のガス収着サンプルチャンバにおいて、
前記薄膜サンプルホルダは、列状に重ねて配置された複数の薄膜基板を支持するように構成されたベースを備えている
ことを特徴とするガス収着サンプルチャンバ。
【請求項17】
請求項16に記載のガス収着サンプルチャンバにおいて、
前記ベースは、前記複数の薄膜基板の各々の間の接触を防止するように構成された隙間確保構造を有する
ことを特徴とするガス収着サンプルチャンバ。
【請求項18】
請求項17に記載のガス収着サンプルチャンバにおいて、
前記隙間確保構造は、前記薄膜サンプルホルダの内部表面に形成されたスペーサ棚、前記複数の薄膜基板の各々の間に配置されたスペーサリング、並びに前記複数の薄膜基板の各々の間に配置された湾曲ディスクからなる群より選択される
ことを特徴とするガス収着サンプルチャンバ。
【請求項19】
ガス収着サンプルチャンバにおいて、
外部表面及び内部表面を有し、列状に重ねて配置された複数の薄膜基板を収容し且つ内部に配置された薄膜基板の外周の周りに第1のクリアランスを維持するように構成された薄膜サンプルホルダと、
前記薄膜サンプルホルダを含む圧力容器であって、前記圧力容器の内部表面と前記薄膜サンプルホルダの外部表面との間に維持された第2のクリアランスが前記圧力容器の内部幅の約10%以下の大きさとなるように前記薄膜サンプルホルダを含む圧力容器と、
前記圧力容器をガス収着分析器に流体連通結合し、前記薄膜サンプルホルダを前記圧力容器内に積み込むために前記圧力容器に設けられた開口部を封止する再封止可能フィッティングと
を備えたことを特徴とするガス収着サンプルチャンバ。
【請求項20】
請求項19に記載のガス収着サンプルチャンバにおいて、
前記第1のクリアランスは約0.0375インチ以下であり、
前記第2のクリアランスは約0.0375インチ以下であり、
前記チャンバ内に複数の薄膜基板を積み込んだ場合、前記チャンバの自由気体体積は約7ml以下である
ことを特徴とするガス収着サンプルチャンバ。
【請求項1】
ガス収着サンプルチャンバであって、
列状に重ねて配置された複数の薄膜基板を収容する圧力容器と、
前記圧力容器をガス収着分析器に流体連通結合し、前記薄膜基板を前記圧力容器内に積み込むために前記圧力容器に設けられた開口部を封止する再封止可能フィッティングと、
を備えたことを特徴とするガス収着サンプルチャンバ。
【請求項2】
請求項1に記載のガス収着サンプルチャンバにおいて、
前記再封止可能フィッティングは、ねじ付きファスナーと金属ガスケットとを備えている
ことを特徴とするガス収着サンプルチャンバ。
【請求項3】
請求項2に記載のガス収着サンプルチャンバにおいて、
前記再封止可能フィッティングは、封止面を有する円形状のグランドをさらに備え、前記金属ガスケットは金属面シールガスケットを備え、前記ねじ付きファスナーは、VCR(登録商標)のコンパチブル雄ナット又は雌ナットを備えている
ことを特徴とするガス収着サンプルチャンバ。
【請求項4】
請求項2に記載のガス収着サンプルチャンバにおいて、
前記再封止可能フィッティングは、ナイフエッジシールを備えている
ことを特徴とするガス収着サンプルチャンバ。
【請求項5】
請求項1に記載のガス収着サンプルチャンバにおいて、
前記圧力容器の内部表面は、前記列状に配置された基板の外周の周りにクリアランスが維持されるように構成されており、前記クリアランスは、前記圧力容器の内部幅の約10%以下の大きさである
ことを特徴とするガス収着サンプルチャンバ。
【請求項6】
請求項1に記載のガス収着サンプルチャンバにおいて、
前記圧力容器の内部表面は、前記列状に配置された基板の外周の周りにクリアランスが維持されるように構成されており、前記チャンバ内に複数の薄膜基板を積み込んだ場合の前記チャンバの自由気体体積は、前記チャンバ内に薄膜基板を積み込まない場合の前記チャンバの自由気体体積の約20%以下である
ことを特徴とするガス収着サンプルチャンバ。
【請求項7】
請求項1に記載のガス収着サンプルチャンバにおいて、
前記再封止可能フィッティングは、前記圧力容器と前記ガス収着分析器とを流体連通結合するように構成された小径導管を有するリデューサフィッティングを備えている
ことを特徴とするガス収着サンプルチャンバ。
【請求項8】
請求項7に記載のガス収着サンプルチャンバにおいて、
前記小径導管の直径は約0.05インチ以下である
ことを特徴とするガス収着サンプルチャンバ。
【請求項9】
請求項7に記載のガス収着サンプルチャンバにおいて、
前記リデューサフィッティングは1/4インチのVCR(登録商標)のコンパチブルフィッティングを備えている
ことを特徴とするガス収着サンプルチャンバ。
【請求項10】
請求項1に記載のガス収着サンプルチャンバにおいて、
前記再封止可能フィッティングは、前記圧力容器と前記ガス収着分析器との流体連通結合及び分離を行えるように構成された分離バルブを備えている
ことを特徴とするガス収着サンプルチャンバ。
【請求項11】
請求項1に記載のガス収着サンプルチャンバにおいて、
前記列状に配置された基板は、内部に配置された薄膜基板の外周の周りのクリアランスを維持するように構成された内部表面を有する薄膜サンプルホルダ内に設置されている
ことを特徴とするガス収着サンプルチャンバ。
【請求項12】
請求項11に記載のガス収着サンプルチャンバにおいて、
前記列状に配置された基板は、前記圧力容器の内部空間を実質的に占めている
ことを特徴とするガス収着サンプルチャンバ。
【請求項13】
請求項12に記載のガス収着サンプルチャンバにおいて、
前記列状に配置された基板は、前記圧力容器の内部空間の80%を占めている
ことを特徴とするガス収着サンプルチャンバ。
【請求項14】
請求項11に記載のガス収着サンプルチャンバにおいて、
前記薄膜サンプルホルダの内部表面とその内部に配置された前記薄膜基板の外周との間のクリアランスは、約0.0375インチ以下である
ことを特徴とするガス収着サンプルチャンバ。
【請求項15】
請求項11に記載のガス収着サンプルチャンバにおいて、
前記薄膜サンプルホルダの内部表面とその内部に配置された前記薄膜基板の外周との間の第2のクリアランスは、薄膜基板の幅の約10%以下の大きさである
ことを特徴とするガス収着サンプルチャンバ。
【請求項16】
請求項11に記載のガス収着サンプルチャンバにおいて、
前記薄膜サンプルホルダは、列状に重ねて配置された複数の薄膜基板を支持するように構成されたベースを備えている
ことを特徴とするガス収着サンプルチャンバ。
【請求項17】
請求項16に記載のガス収着サンプルチャンバにおいて、
前記ベースは、前記複数の薄膜基板の各々の間の接触を防止するように構成された隙間確保構造を有する
ことを特徴とするガス収着サンプルチャンバ。
【請求項18】
請求項17に記載のガス収着サンプルチャンバにおいて、
前記隙間確保構造は、前記薄膜サンプルホルダの内部表面に形成されたスペーサ棚、前記複数の薄膜基板の各々の間に配置されたスペーサリング、並びに前記複数の薄膜基板の各々の間に配置された湾曲ディスクからなる群より選択される
ことを特徴とするガス収着サンプルチャンバ。
【請求項19】
ガス収着サンプルチャンバにおいて、
外部表面及び内部表面を有し、列状に重ねて配置された複数の薄膜基板を収容し且つ内部に配置された薄膜基板の外周の周りに第1のクリアランスを維持するように構成された薄膜サンプルホルダと、
前記薄膜サンプルホルダを含む圧力容器であって、前記圧力容器の内部表面と前記薄膜サンプルホルダの外部表面との間に維持された第2のクリアランスが前記圧力容器の内部幅の約10%以下の大きさとなるように前記薄膜サンプルホルダを含む圧力容器と、
前記圧力容器をガス収着分析器に流体連通結合し、前記薄膜サンプルホルダを前記圧力容器内に積み込むために前記圧力容器に設けられた開口部を封止する再封止可能フィッティングと
を備えたことを特徴とするガス収着サンプルチャンバ。
【請求項20】
請求項19に記載のガス収着サンプルチャンバにおいて、
前記第1のクリアランスは約0.0375インチ以下であり、
前記第2のクリアランスは約0.0375インチ以下であり、
前記チャンバ内に複数の薄膜基板を積み込んだ場合、前記チャンバの自由気体体積は約7ml以下である
ことを特徴とするガス収着サンプルチャンバ。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7】
【公開番号】特開2009−8675(P2009−8675A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−156451(P2008−156451)
【出願日】平成20年6月16日(2008.6.16)
【出願人】(508108604)ハイ−エナジー エルエルシー (5)
【氏名又は名称原語表記】HY−ENERGY LLC
【住所又は居所原語表記】8440 Central Avenue,Suite 2B Newark,CA 94560 USA
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−156451(P2008−156451)
【出願日】平成20年6月16日(2008.6.16)
【出願人】(508108604)ハイ−エナジー エルエルシー (5)
【氏名又は名称原語表記】HY−ENERGY LLC
【住所又は居所原語表記】8440 Central Avenue,Suite 2B Newark,CA 94560 USA
【Fターム(参考)】
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