説明

薄膜トランジスタ、表示装置および電子機器

【課題】動作速度を簡易に向上させることが可能な薄膜トランジスタ、ならびにそのような薄膜トランジスタを用いた表示装置および電子機器を提供する。
【解決手段】薄膜トランジスタ1は、ゲート電極141と、チャネルを構成するキャリア走行層121とこのキャリア走行層121へキャリアを供給するためのキャリア供給層122とを含む多層膜からなる酸化物半導体層12と、ゲート電極141と酸化物半導体層12との間に設けられたゲート絶縁膜131と、ソース・ドレイン電極16A,16Bとを備えている。酸化物半導体層12におけるソース・ドレイン領域12SDとゲート電極141の形成領域とは、互いに離隔している。従来のような複雑な構造を形成することなく、キャリアに対する走行散乱およびチャネルに対するアクセス抵抗を抑えてキャリアの移動度を向上させることができると共に、寄生容量の形成も回避することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸化物半導体層を用いた薄膜トランジスタ(TFT;Thin Film Transistor)、ならびにそのような薄膜トランジスタを用いた表示装置および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイや有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイなどのフラットパネルディスプレイでは、駆動素子として、薄膜トランジスタ(TFT)が広く実用化されている。この薄膜トランジスタは、ガラス基板上にアモルファス(非晶質)シリコン(Si)または多結晶シリコンなどの半導体材料を用いて作製されるのが一般的である。
【0003】
アモルファスシリコンを用いた薄膜トランジスタは、大面積(大型)の基板に対応しやすい反面、その電界効果移動度(キャリアの移動度)が低いという特徴がある。一方、多結晶シリコンを用いた薄膜トランジスタは、逆に、その電界効果移動度が高いものの、大面の積基板に適応しにくいという特徴がある。
【0004】
これに対して、酸化亜鉛(ZnO)または酸化インジウム・ガリウム・亜鉛(InGaZnO)等の酸化物半導体は、低温成膜が可能であり、かつ優れた半導体特性を示すことが知られている。そのため、近年では、アクティブマトリクス型のフラットパネルディスプレイにおける薄膜トランジスタへの応用が盛んに研究されている(例えば、特許文献1〜7および非特許文献1参照)。
【0005】
このような酸化物半導体を用いた薄膜トランジスタは、従来のアモルファスシリコンを用いた薄膜トランジスタと比べて10倍以上の電子移動度を示し、かつ良好なオフ特性を示す。したがって、酸化物半導体を用いた薄膜トランジスタは、大画面、高精細および高フレームレートの液晶ディスプレイや、有機ELディスプレイ向けの応用が渇望されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−272427号公報
【特許文献2】特開2010−56546号公報
【特許文献3】特開2006−165227号公報
【特許文献4】特開2010−74061号公報
【特許文献5】特開2007−220816号公報
【特許文献6】特開2007−250983号公報
【特許文献7】特開2009−278115号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】JOURNAL OF DISPLAY TECHNOLOGY vol5, No.12, 2009
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、フラットパネルディスプレイにおいて更なる高性能化を図るため、このような酸化物半導体をチャネル層として用いた薄膜トランジスタにおいても、キャリアの移動度の更なる向上が求められている。
【0009】
また、高性能化を目的として、薄膜トランジスタの動作速度を高めるためには、上記したようなキャリアの高移動度化に加え、酸化物半導体層におけるソース・ドレイン領域とゲート電極との重畳部に生じる寄生容量を低減することも必要である。
【0010】
ここで、上記特許文献1〜4では、裏面露光を用いた自己整合的なパターン形成を行うことにより、マスク露光のあわせずれを見込む必要がなくなる分、寄生容量の低減を実現しようとしている。また、上記特許文献5〜7では、いわゆるトップゲート型の薄膜トランジスタにおいて、ゲート電極をマスクにしてソース・ドレイン領域の低抵抗化を自己整合的に行う手法が提案されている。これらのうち、特に特許文献7には、ソース・ドレイン領域とチャネル部の間に、中間的な抵抗領域(いわゆるLDD(Lightly Doped Drain)領域)を形成する手法(LDD構造)についても開示されている。
【0011】
ところが、特許文献1〜4のように裏面露光を用いた自己整合的なパターン形成を行った場合、裏面露光の際の光の回折現象に起因して、実際には、ソース・ドレイン領域とゲート電極との間に重畳部が生じてしまい、寄生容量の低減が困難である。
【0012】
また、特許文献5〜7の手法では、プラズマ照射により低抵抗化したソース・ドレイン領域をソース・ドレイン電極として用いるためには、ソース・ドレイン領域の抵抗率をチャネル部の1/1000程度に低抵抗化することが求められる。これを達成するため、水素ガスまたはアルゴンガス等を用いたプラズマ照射を行うと、低抵抗化領域が、低抵抗化のマスクとなる領域またはゲート電極の下部にも一部回り込むという問題がある。これはすなわち、ソース・ドレイン領域とゲート電極との重畳(オーバーラップ)による寄生容量を生むことになる。なお、上記非特許文献1には、マスクとなるパターン端から最大で約2μm程度の内側まで、低抵抗領域が拡散するという報告がなされている。
【0013】
このように、自己整合的なパターン形成によってソース・ドレイン領域とゲート電極とが近接するようにする場合、これらが互いに離隔するように形成する場合と比べ、チャネルに対するアクセス抵抗を低減させてキャリアの移動度を向上させることができるものの、寄生容量が形成されてしまう。すなわち、キャリアの移動度向上と寄生容量の形成回避とを両立させることが困難であり、トランジスタの動作速度を十分に高めることができない。
【0014】
一方、上記したLDD構造を採用した場合、ソース・ドレイン領域とゲート電極との重畳を回避しつつ、LDD領域の存在によってチャネルに対するアクセス抵抗を低減することができる。すなわち、キャリアの移動度向上と寄生容量の形成回避とを両立させ、トランジスタの動作速度を高めることが可能であると思われる。しかしながら、LDD構造のような複雑な構造を形成する必要があることから、製造コストが高くなってしまうことになる。
【0015】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、トランジスタの動作速度を簡易に向上させることが可能な薄膜トランジスタ、ならびにそのような薄膜トランジスタを用いた表示装置および電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の薄膜トランジスタは、ゲート電極と、チャネルを構成するキャリア走行層と、このキャリア走行層へキャリアを供給するためのキャリア供給層とを含む多層膜からなる酸化物半導体層と、ゲート電極と酸化物半導体層との間に設けられたゲート絶縁膜と、ソース・ドレインとなる一対の電極とを備え、酸化物半導体層におけるソース・ドレイン領域とゲート電極の形成領域とが、互いに離隔しているものである。ここで、上記キャリア供給層における半導体層の伝導帯下端準位もしくは価電子帯上端準位が、上記キャリア走行層における半導体層の伝導帯下端準位もしくは価電子帯上端準位よりもエネルギー的に高くなっているようにするのが好ましい。
【0017】
本発明の表示装置は、表示素子と、この表示素子を駆動するための上記本発明の薄膜トランジスタとを備えたものである。
【0018】
本発明の電子機器は、上記本発明の表示装置を備えたものである。
【0019】
本発明の薄膜トランジスタ、表示装置および電子機器では、酸化物半導体層において、キャリア供給層からキャリア走行層へとキャリアが供給され、このキャリア走行層内におけるキャリア供給層との界面近傍の領域に、キャリアが蓄積される。したがって、キャリア走行層がチャネルとして機能する際に、キャリアがこの領域内をほぼ2次元的に走行するようになるため、チャネル(酸化物半導体層)内をキャリアが3次元的に走行する従来と比べ、キャリアに対する走行散乱が抑えられる。また、キャリアはキャリア供給層から供給されることから、キャリア走行層自体のキャリア濃度は低く抑えることができるようになり、その観点からも、酸化物半導体層が単一の層からなる従来と比べ、イオン化ドナーやイオン化アクセプタによるキャリアに対する走行散乱が抑えられる。更に、従来のような複雑な構造(例えば、LDD構造)を形成することなく、チャネルに対するアクセス抵抗が低減される。加えて、酸化物半導体層におけるソース・ドレイン領域とゲート電極の形成領域とが互いに離隔している(重なり合っていない,オーバーラップしていない)ことにより、酸化物半導体層におけるソース・ドレイン領域、ゲート絶縁膜およびゲート電極からなる寄生容量の形成が回避される。
【発明の効果】
【0020】
本発明の薄膜トランジスタ、表示装置および電子機器によれば、酸化物半導体層を、チャネルを構成するキャリア走行層とキャリア供給層とを含む多層膜により構成するようにしたので、従来のような複雑な構造を形成することなく、キャリアに対する走行散乱およびチャネルに対するアクセス抵抗を抑えてキャリアの移動度を向上させることができる。また、酸化物半導体層におけるソース・ドレイン領域とゲート電極の形成領域とが互いに離隔しているようにしたので、上記のようにしてチャネルに対するアクセス抵抗を低減しつつ、寄生容量の形成を回避することができる。よって、簡易な構造にも関わらず、キャリアの移動度向上と寄生容量の形成回避とを両立させることができ、トランジスタの動作速度を簡易に向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る薄膜トランジスタの構成を表す断面図である。
【図2】図1に示した薄膜トランジスタにおけるエネルギーバンド構造例を表す図である。
【図3】図1に示した薄膜トランジスタの製造方法を工程順に表す断面図である。
【図4】比較例1に係る薄膜トランジスタの断面構成およびエネルギーバンド構造例を表す図である。
【図5】比較例2および比較例3に係る薄膜トランジスタの構成を表す断面図である。
【図6】第1の実施の形態に係る実施例および比較例1におけるゲート−ソース間電圧とドレイン電流との関係を表す特性図である。
【図7】変形例1に係る薄膜トランジスタの構成を表す断面図である。
【図8】変形例2に係る薄膜トランジスタの断面構成およびエネルギーバンド構造例を表す図である。
【図9】第2の実施の形態に係る薄膜トランジスタの構成を表す断面図である。
【図10】図9に示した薄膜トランジスタの製造方法を工程順に表す断面図である。
【図11】第3の実施の形態に係る薄膜トランジスタの構成を表す断面図である。
【図12】図11に示した薄膜トランジスタの製造方法を工程順に表す断面図である。
【図13】図12に続く工程を表す断面図である。
【図14】第4の実施の形態に係る薄膜トランジスタの構成を表す断面図である。
【図15】変形例3に係る薄膜トランジスタの構成を表す断面図である。
【図16】第5の実施の形態に係る薄膜トランジスタの構成を表す断面図である。
【図17】変形例4および変形例5に係る薄膜トランジスタにおけるエネルギーバンド構造例を表す図である。
【図18】各実施の形態および各変形例に係る薄膜トランジスタを備えた表示装置の構成例を表すブロック図である。
【図19】図18に示した画素の詳細構成例を表す回路図である。
【図20】図18および図19に示した表示装置の一構成例を表す断面図である。
【図21】図18および図19に示した表示装置の他の構成例を表す断面図である。
【図22】図18および図19に示した表示装置の他の構成例を表す断面図である。
【図23】図18および図19に示した表示装置を含むモジュールの概略構成を表す平面図である。
【図24】図18および図19に示した表示装置の適用例1の外観を表す斜視図である。
【図25】(A)は適用例2の表側から見た外観を表す斜視図であり、(B)は裏側から見た外観を表す斜視図である。
【図26】適用例3の外観を表す斜視図である。
【図27】適用例4の外観を表す斜視図である。
【図28】(A)は適用例5の開いた状態の正面図、(B)はその側面図、(C)は閉じた状態の正面図、(D)は左側面図、(E)は右側面図、(F)は上面図、(G)は下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。

1.第1の実施の形態(キャリア供給層,キャリア走行層を含むトップゲート型の例1)
2.第1の実施の形態の変形例
変形例1(ソース・ドレイン領域を低抵抗化層とした例)
変形例2(キャリア供給層,キャリア走行層の積層順を逆にした例)
3.第2の実施の形態(トップゲート型の例2:キャリア走行層をゲート電極の形成領域に選択的に設けた例)
4.第3の実施の形態(低抵抗層を更に設けた例)
5.第4の実施の形態(キャリア供給層,キャリア走行層を含むボトムゲート型の例1)
6.第4の実施の形態の変形例
変形例3(ボトムゲート型の例2:チャネル保護膜を層間絶縁膜と兼用させた例)
7.第5の実施の形態(キャリア供給層,キャリア走行層を含むデュアルゲート型の例)
8.各実施の形態および各変形例に共通の変形例
変形例4,5(キャリアとして正孔(ホール)を用いた例)
9.適用例(表示装置および電子機器への適用例)
10.その他の変形例
【0023】
<第1の実施の形態>
[薄膜トランジスタ1の断面構成]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る薄膜トランジスタ(薄膜トランジスタ1)の断面構成を表したものである。この薄膜トランジスタ1は、基板11上に、酸化物半導体層12、ゲート絶縁膜131およびゲート電極141をこの順に備えている。すなわち、薄膜トランジスタ1は、いわゆるトップゲート型(スタガー構造)の薄膜トランジスタである。この薄膜トランジスタ1はまた、層間絶縁膜15と、一対のソース・ドレイン電極16A,16B(一対の電極)とを備えている。また、薄膜トランジスタ1は、後述するように、キャリアとして電子を用いたものとなっている。
【0024】
基板11は、例えばシリコン基板であるが、その他、合成石英、ガラス、金属、樹脂または樹脂フィルムなどの材料からなるものでもよい。なお、この基板11と酸化物半導体12および層間絶縁膜15との間に、例えばシリコン(Si)を含む絶縁膜材料からなる絶縁層(図示せず)が、下地層として設けられているようにしてもよい。これにより、金属元素等の不純物が基板11から酸化物半導体層12へ向けて拡散するのが防止される。
【0025】
(酸化物半導体層12)
酸化物半導体層12は、例えば、MO(Mは、Al,Ga,In,Zn,Sn,Tiのうちの少なくとも1種)を主成分として含んだものである。
【0026】
この酸化物半導体層12は、基板11側から順に、キャリア走行層121およびキャリア供給層122が積層された多層膜(2層構造)により構成されている(変調ドープ構造)。言い換えると、酸化物半導体層12は、キャリア供給層122およびキャリア走行層121を1層ずつ有するシングルへテロ(SH)構造を用いて構成されている。なお、これらの多層膜のうちの少なくとも1層は、非晶質(アモルファス)半導体あるいは多結晶半導体により構成されているのが好ましい。例えば、非晶質のInGaZnO4を用いた場合、非晶質相にも関わらず、キャリアの移動度が10cm2/V・s程度と高い値を示すからである。
【0027】
キャリア供給層122は、以下説明するキャリア走行層121に対してキャリア(ここでは電子)を供給する役割を担う酸化物半導体層であり、その厚みは10〜100nm程度となっている。このキャリア供給層122を構成する酸化物半導体としては、例えば、AlxGayInz1.5x+1.5y+1.5z(x,y,z:整数)や、GaxInyZnz1.5x+1.5y+z(x,y,z:整数)などが挙げられる。なお、キャリア供給層122における酸化物半導体のキャリア濃度は、例えば1018〜1020cm-3程度となるように、成膜時の酸素分圧が調整されるようになっている。
【0028】
キャリア走行層121は、上記キャリア供給層122から供給されるキャリア(電子)がソース・ドレイン電極16A,16B間で走行するための酸化物半導体層である。すなわち、このキャリア走行層121では、詳細は後述するが、キャリア供給層122との界面近傍の領域に、薄膜トランジスタ1におけるチャネルが形成される(チャネルを構成する)ようになっており、その厚みは10〜100nm程度となっている。キャリア走行層121を構成する酸化物半導体としては、例えば、AlxGayInz1.5x+1.5y+1.5z(x,y,z:整数)や、In23、GaxInyZnz1.5x+1.5y+z(x,y,z:整数)などが挙げられる。なお、キャリア走行層121における酸化物半導体のキャリア濃度は、例えば1014〜1015cm-3程度(ほぼ真性半導体となる濃度領域)と十分に低くなるように、成膜時の酸素分圧が調整されるようになっている。
【0029】
ここで、本実施の形態の酸化物半導体層12では、キャリア走行層121およびキャリア供給層122がともに、ソース・ドレイン電極16A,16Bの形成領域に対応する一対のソース・ドレイン領域12SDを有している。換言すると、この酸化物半導体層12では、キャリア走行層121およびキャリア供給層122がともに、ゲート電極141の形成領域から各ソース・ドレイン領域12SDにわたって形成されている。これらのソース・ドレイン領域12SDでは、詳細は後述するが、従来の単層からなる酸化物半導体層(後述する比較例1〜3の酸化物半導体層102,202,302等)と比べ、シート抵抗が低減されている。また、このソース・ドレイン領域12SDにおけるシート抵抗は、チャネル領域におけるシート抵抗よりも小さくなっているのが望ましい。例えば、ソース・ドレイン領域12SDにおけるシート抵抗が10(kΩ/□)程度以下となれば、ソース・ドレイン領域12SDをソース・ドレイン電極(の一部)として用いることが可能となるからである。
【0030】
本実施の形態の酸化物半導体層12ではまた、図1に示したように、ソース・ドレイン領域12SDとゲート電極141の形成領域とが、互いに離隔している(重なり合っていない,オーバーラップしていない,重畳していない)。これにより、詳細は後述するが、所定の寄生容量の形成が回避されるようになっている。
【0031】
次に、図2を参照して、酸化物半導体層12のエネルギーバンド構造について説明する。図2は、酸化物半導体層12付近の層構造(酸化物半導体層12、ゲート絶縁膜131およびゲート電極141)でのエネルギーバンド構造例を表したものである。この図において、「EF」はフェルミエネルギーを示している。また、「Ev0」,「Ev1」,「Ev2」はそれぞれ、ゲート絶縁膜131、キャリア走行層121およびキャリア供給層122における価電子帯上端準位を示している。「Ec0」,「Ec1」,「Ec2」はそれぞれ、ゲート絶縁膜131、キャリア走行層121およびキャリア供給層122における伝導帯下端準位を示している。「e」は、キャリアとしての電子を模式的に示している。なお、これらの符号については、これ以降登場する他のエネルギーバンド構造においても同様となっている。
【0032】
酸化物半導体層12では、キャリア供給層122における半導体層の伝導帯下端準位Ec2が、キャリア走行層121における半導体層の伝導帯下端準位Ec1よりもエネルギー的に高くなるように設定されている(Ec2>Ec1)。これにより、詳細は後述するが、キャリア供給層122からキャリア走行層121へと電子eが供給され、図2に示したように、このキャリア走行層121内におけるキャリア供給層122との界面近傍の領域に、電子eが蓄積されるようになっている。なお、ここでは、キャリア供給層122における価電子帯上端準位Ev2が、キャリア走行層121における価電子帯上端準位Ev1よりもエネルギー的に低くなっている(Ev2<Ev1)が、価電子帯側のエネルギーバンド構造については、どのような構造となっていてもよい。
【0033】
ゲート絶縁膜131は、例えばシリコンを含む絶縁膜材料からなる。このゲート絶縁膜131は、キャリア供給層122上のゲート電極13の対向領域(形成領域)に設けられている。
【0034】
ゲート電極141は、薄膜トランジスタ1に印加されるゲート電圧によって、酸化物半導体層12中のチャネル部分のキャリア密度(ここでは、電子密度)を制御するための電極である。このゲート電極141は、例えば、厚みが50nm程度のモリブデン(Mo)層と、厚みが400nm程度のアルミニウム(Al)層もしくはアルミニウム合金層との2層構造となっている。なお、アルミニウム合金層としては、例えばアルミニウム−ネオジム合金層が挙げられる。
【0035】
層間絶縁膜15は、例えばシリコンを含む絶縁膜材料からなる。この層間絶縁膜15は、ゲート電極141とソース・ドレイン電極16A,16Bとの間等を互いに分離(絶縁)するための絶縁膜である。
【0036】
ソース・ドレイン電極16A,16Bはそれぞれ、例えばモリブデン,アルミニウム,チタン等の金属あるいはそれらの多層膜からなる。
【0037】
[薄膜トランジスタ1の製造方法]
この薄膜トランジスタ1は、例えば次のようにして製造することができる。図3は、薄膜トランジスタ1を製造する工程の一例を、断面図で表したものである。
【0038】
まず、図3(A)に示したように、例えば絶縁性の表面を有する基板11上の全面に、真空中において例えば、前述した材料からなる酸化物半導体のターゲットを用いたスパッタ法(例えば、DC/RFスパッタ法)や、Pulsed Laser Deposition法により、酸化物半導体層12を形成する。その際、キャリア走行層121およびキャリア供給層122の形成は、例えば、単一のスパッタ装置内においてターゲットを切り替え、成膜時の酸素分圧を調整することにより行う。なお、基板11と酸化物半導体12との間に、前述した下地層としての絶縁層を設ける場合には、例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition;化学気相成長)法を用いて、300nm程度の厚みのSiOx(シリコン酸化物)層を形成するようにすればよい。
【0039】
そののち、同じく図3(A)に示したように、酸化物半導体層12上に、ゲート絶縁膜131およびゲート電極141をこの順に成膜してパターン形成する。具体的には、ゲート絶縁膜131は例えばプラズマCVD法により成膜し、ゲート電極141は例えばスパッタ法により成膜する。そして、フォトリソグラフィおよびドライエッチングにより、所望の形状にパターニングする。なお、ゲート絶縁膜131としては、例えば200nm程度の厚みのシリコン酸化物を用いることができ、ゲート電極141としては、300nm程度の厚みのアルミニウム膜と30nm程度の厚みのチタン膜とを順に積層したものを用いることができる。この際、ゲート絶縁膜131は、例えば、ゲート電極141のエッチングと連続した一括ドライエッチングにより形成することができる。このとき、オーバーエッチング時間を調整して、キャリア走行層121およびキャリア供給層122のキャリア濃度(シートキャリア密度)が1013cm-2以上程度となるように制御することが望ましい。
【0040】
次に、図3(B)に示したように、フォトリソグラフィにてレジスト(感光性樹脂膜)をパターニングしたのち、例えば塩素ガスを用いたドライエッチングを行うことにより、酸化物半導体層12を選択的に除去する(トランジスタごとの酸化物半導体層12のアイソレーションを行う)。
【0041】
次いで、図3(C)に示したように、層間絶縁膜15を成膜してパターン形成する。具体的には、例えばプラズマCVD法を用いて、400nm程度の厚みのシリコン酸化膜を成膜したのち、フォトリソグラフィおよびエッチングにより、所望の形状にパターニングする。このとき、キャリア走行層121およびキャリア供給層122のキャリア濃度(シートキャリア密度)が1013cm-2以上程度となるように制御することが望ましい。また、層間絶縁膜15のエッチングの際にドライエッチングを用いた場合、オーバーエッチング時に露出する酸化物半導体層12を1014cm-2程度のキャリア濃度(シートキャリア密度)まで低抵抗化することができる。
【0042】
続いて、例えばスパッタ法を用いて成膜したのち、例えば、燐酸、硝酸および酢酸からなる混酸を用いたウェットエッチングを行うことにより、ソース・ドレイン電極16A,16Bを形成する。このとき、ソース・ドレイン電極16A,16Bとしては、30nm程度の厚みのモリブデン(Mo)と、300nm程度の厚みのアルミニウム(Al)と、30nm程度の厚みのモリブデンとを順に積層したものを用いることができる。以上により、図1示したトップゲート型の薄膜トランジスタ1が完成する。
【0043】
[薄膜トランジスタ1の作用・効果]
この薄膜トランジスタ1では、図示しない配線を介してゲート電極141に所定の閾値電圧Vth以上の電圧(ゲート−ソース間電圧VGS)が印加されると、酸化物半導体層12内にチャネルが形成される。これにより、ソース・ドレイン電極16A,16B間に電流(ドレイン電流ID)が流れ、トランジスタとして機能する。
【0044】
ここで、図4〜図6を参照して、本実施の形態の薄膜トランジスタ1の特徴的部分の作用・効果について、比較例(比較例1〜3)と比較しつつ詳細に説明する。
【0045】
(比較例1)
図4(A)は、比較例1に係る従来の薄膜トランジスタ(薄膜トランジスタ101)の断面構成を表したものである。また、図4(B)は、この比較例1に係る薄膜トランジスタ101における酸化物半導体層102付近の層構造(酸化物半導体層102、ゲート絶縁膜131およびゲート電極141)でのエネルギーバンド構造例を表したものである。なお、図4(B)において、「Ev102」,「Ec102」はそれぞれ、酸化物半導体層102における価電子帯上端準位および伝導帯下端準位を示している。
【0046】
比較例1の薄膜トランジスタ101では、図4(A)に示したように、本実施の形態の薄膜トランジスタ1における酸化物半導体層12とは異なり、酸化物半導体層102が単一層により構成されている。すなわち、この比較例1の酸化物半導体層102は、層全体がチャネル層となっており、キャリアはこのチャネル層中のドナーから供給されるようになっている。
【0047】
したがって、薄膜トランジスタ101では、図4(B)に示したように、チャネル層(酸化物半導体層102)内をキャリア(ここでは電子)が3次元的に走行することになる。すなわち、ソース・ドレイン電極16A,16B間に沿った2次元方向に加え、酸化物半導体層102の厚み方向に沿ってもキャリアが走行する。このため、キャリアに対する走行散乱が大きくなり、その結果、比較例1の薄膜トランジスタ101ではキャリアの移動度が低くなってしまう。
【0048】
また、この薄膜トランジスタ101では、図4(A)に示したように、酸化物半導体層102における一対のソース・ドレイン領域102SDとゲート電極141の形成領域とが、互いに離隔している。したがって、ソース・ドレイン電極16A,16B間を走行する際のチャネルに対するアクセス抵抗が高くなってしまい、この観点からも、比較例1の薄膜トランジスタ101ではキャリアの移動度が低くなってしまうことになる。
【0049】
(比較例2)
一方、図5(A)に示した比較例2に係る従来の薄膜トランジスタ(薄膜トランジスタ201)では、例えば自己整合的なパターン形成によって、酸化物半導体層202におけるソース・ドレイン領域202SDとゲート電極141の形成領域とが近接するようにしている。これにより、これらの領域が互いに離隔するように形成されている上記比較例1と比べ、チャネルに対するアクセス抵抗を低減することが可能となる。
【0050】
ところが、この比較例2の薄膜トランジスタ201では、図5(A)に示したように、実際には、ソース・ドレイン領域202SDとゲート電極141の形成領域とが重畳(オーバーラップ)してしまう。そのため、この重畳領域(オーバーラップ領域)において、酸化物半導体層202、ゲート絶縁膜131およびゲート電極141からなる寄生容量が生じてしまう(形成されてしまう)。具体的には、例えば水素ガスまたはアルゴンガス等を用いたプラズマ照射を行ってソース・ドレイン領域202SDの低抵抗化を行う場合、低抵抗化領域が、低抵抗化のマスクとなる領域またはゲート電極の下部にも一部回り込んでしまい、そのような重畳領域(寄生容量)が形成されてしまう。このことから、この比較例2では、キャリアの移動度向上と寄生容量の形成回避とを両立させることが困難であり、上記比較例1と同様にトランジスタの動作速度を十分に高めることができない。また、図示しないが、ボトムゲート型の薄膜トランジスタにおけるゲート電極をマスクに用いた裏面露光の際には、ソース・ドレイン電極またはチャネル保護膜を自己整合的に形成する場合、裏面露光の際の光の回折現象に起因して、ゲート電極とソース・ドレイン電極との重畳領域(寄生容量)が形成されてしまう。
【0051】
(比較例3)
他方、図5(B)に示した比較例3に係る従来の薄膜トランジスタ(薄膜トランジスタ301)では、上記比較例1と同様に、酸化物半導体層302における一対のソース・ドレイン領域302SDとゲート電極141の形成領域とが互いに離隔している。ただし、この比較例3では、一対のソース・ドレイン領域302SDとゲート電極141の形成領域との間にそれぞれ、LDD領域302が設けられている。このように、比較例3の薄膜トランジスタ301ではいわゆるLDD構造となっていることにより、ソース・ドレイン領域302SDとゲート電極141の形成領域との重畳を回避しつつ、LDD領域302SDの存在によってチャネルに対するアクセス抵抗を低減することができる。すなわち、キャリアの移動度向上と寄生容量の形成回避とを両立させ、トランジスタの動作速度を高めることが可能であるとも思われる。
【0052】
しかしながら、この比較例3の薄膜トランジスタ301では、LDD構造という複雑な構造を形成する必要があることから、製造コストが高くなってしまうことになる。
【0053】
このように上記比較例1〜3では、チャネルに対するアクセス抵抗を低減することによるキャリアの移動度向上と、寄生容量の形成回避とを、簡易な構造で両立させることが困難である。すなわち、トランジスタの動作速度を簡易に向上させることが困難である。
【0054】
(本実施の形態)
これに対して、本実施の形態の薄膜トランジスタ1では、図1に示したように、酸化物半導体層12が、キャリア供給層122およびキャリア走行層121からなる多層膜(2層構造)により構成されている。また、例えば図2に示したように、この酸化物半導体層12において、キャリア供給層122における半導体層の伝導帯下端準位Ec2が、キャリア走行層121における半導体層の伝導帯下端準位Ec1よりもエネルギー的に高くなっている(Ec2>Ec1)。これにより、酸化物半導体層12において、キャリア供給層122からキャリア走行層121へと電子eが供給され、図2に示したように、このキャリア走行層121内におけるキャリア供給層122との界面近傍の領域に、電子eが蓄積されるようになる。言い換えると、酸化物半導体層12では、電子eを供給する領域(キャリア供給層122)と、電子eが実際に走行する領域(キャリア走行層121内におけるキャリア供給層122との界面近傍の領域)とが、厚み方向に沿って空間的に分離される。
【0055】
したがって、本実施の形態の薄膜トランジスタ1では、キャリア走行層121がチャネルとして機能する際に、上記した界面近傍の領域内を電子eがほぼ2次元的に走行するようになる。すなわち、上記比較例1とは異なり、ソース・ドレイン電極16A,16B間に沿った2次元方向にほぼ限定されて、電子eが走行することになる(酸化物半導体層12の厚み方向に沿っては、電子eはほとんど走行しない)。よって、この薄膜トランジスタ1では、チャネル層(酸化物半導体層102,202,302)内をキャリアが3次元的に走行する上記比較例1〜3と比べ、電子eに対する走行散乱が抑えられる。
【0056】
また、本実施の形態の薄膜トランジスタ1では、上記したように電子eはキャリア供給層122から供給されることから、キャリア走行層121自体のキャリア濃度は低く抑えることができる(例えば、ほぼ真性半導体の濃度領域とすることができる)。したがって、キャリアが実際に走行する領域でのドナー濃度を著しく低く設定することができるため、その観点からも、この薄膜トランジスタ1では、酸化物半導体層102,202,302が単一層となっている上記比較例1〜3と比べ、イオン化ドナーによる電子eに対する走行散乱が抑えられることになる。
【0057】
ここで、図6は、本実施の形態に係る実施例(ただし、ここではボトムゲート型の薄膜トランジスタでの実施例)および上記比較例1おける、ゲート−ソース間電圧VGSとドレイン電流IDとの関係を表したものである。実施例における酸化物半導体層12では、キャリア走行層121としてGaInZnO4を、キャリア供給層122としてn−ITO(Indium Tin Oxide;酸化インジウムスズ)を、それぞれ用いた。また、比較例1における酸化物半導体層102としては、GaInZnO4の単層構造を用いた。なお、実施例および比較例1のいずれにおいても、熱酸化法により形成された下地層(シリコン酸化膜)を有するn型Si基板を用い、キャリア(電子)の移動度μについては、図6中のID−VGS曲線により求めた。
【0058】
この図6により、比較例1と比べて実施例では、高い電子の移動度を示していることが分かる。具体的には、比較例1では、μ=8(cm2/V・s)程度となっているのに対し、実施例では、μ=20(cm2/V・s)程度となっている。このことから、上記したように、本実施の形態(実施例)では比較例1と比べて電子に対する走行散乱が抑えられる結果、電子の移動度が向上していることが確認された。
【0059】
更に、本実施の形態の薄膜トランジスタ1では、図1に示したように、酸化物半導体層12における一対のソース・ドレイン領域12SDと、ゲート電極141の形成領域とが、互いに離隔している。これにより、上記比較例2とは異なり、酸化物半導体層12(ソース・ドレイン領域12SD)、ゲート絶縁膜131およびゲート電極141からなる寄生容量の形成が回避される。
【0060】
加えて、この薄膜トランジスタ1では、上記のようにキャリア走行層121およびキャリア供給層122からなる酸化物半導体層12において、チャネルに対するアクセス抵抗が低減されることから、上記比較例3のような複雑な構造(LDD構造)が不要となり、簡易な構造で済む。
【0061】
以上のように本実施の形態では、酸化物半導体層12を、チャネルを構成するキャリア走行層121とキャリア供給層122とを含む多層膜により構成するようにしたので、従来のような複雑な構造を形成することなく、キャリアに対する走行散乱およびチャネルに対するアクセス抵抗を抑えてキャリアの移動度を向上させることができる。また、酸化物半導体層12におけるソース・ドレイン領域12SDとゲート電極141の形成領域とが互いに離隔しているようにしたので、上記のようにしてチャネルに対するアクセス抵抗を低減しつつ、寄生容量の形成を回避することができる。よって、簡易な構造にも関わらず、キャリア(電子)の移動度向上と寄生容量の形成回避とを両立させることができ、トランジスタの動作速度を簡易に向上させることが可能となる。
【0062】
また、酸化物半導体層12全体としてのキャリア濃度を、キャリア供給層122の位置や厚み、ドナーもしくはアクセプタの濃度などによって制御することができるため、従来の単層チャネル構造の場合とは異なり、精密な酸素分圧制御が不要となる。よって、従来と比べてトランジスタ特性のばらつき(基板面上での面内ばらつきや製造ロットごとのばらつき)を抑えることができ、ひいては製造の際の歩留りを向上させることが可能となる。
【0063】
更に、このような多層膜構造の酸化物半導体層12を形成する際には、例えば、単一のスパッタ装置内においてターゲットを切り替える(成膜時の酸素分圧を調整する)だけで済むため、従来の単層構造の製造プロセスに与える影響は小さく、製造コスト上昇を最小限に抑えることができる。
【0064】
<第1の実施の形態の変形例>
続いて、上記第1の実施の形態の変形例(変形例1,2)について説明する。なお、第1の実施の形態における構成要素と同一のものには同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0065】
[変形例1]
図7は、変形例1に係る薄膜トランジスタ(薄膜トランジスタ1A)の断面構成を表したものである。本変形例の薄膜トランジスタ1Aは、上記第1の実施の形態の薄膜トランジスタ1において、酸化物半導体層12の代わりに酸化物半導体層12Aを備えたものであり、他の構成は同様となっている。
【0066】
酸化物半導体層12Aは、これまで説明したキャリア走行層121およびキャリア供給層122に加え、低抵抗化層120を有している。この低抵抗化層120は、キャリア走行層121およびキャリア供給層122における一対のソース・ドレイン領域12SDをそれぞれ低抵抗化することにより形成されたものである。すなわち、この酸化物半導体層12Aにおけるソース・ドレイン領域12SDは、低抵抗化層120となっている。このような低抵抗化の処理は、例えば、プラズマCVD装置内における水素ガスやアルゴンガスを用いたプラズマ照射によって実現することが可能である。
【0067】
このような構成により本変形例では、ソース・ドレイン領域12SDの抵抗率(アクセス抵抗)を、マスクを増加させることなく更に低減させることが可能となる。
【0068】
[変形例2]
図8(A)は、変形例2に係る薄膜トランジスタ(薄膜トランジスタ1B)の断面構成を表したものである。また、図8(B)は、この変形例2に係る薄膜トランジスタ1Bにおける酸化物半導体層12B付近の層構造(酸化物半導体層12B、ゲート絶縁膜131およびゲート電極141)でのエネルギーバンド構造例を表したものである。
【0069】
本変形例の薄膜トランジスタ1Bは、上記第1の実施の形態の薄膜トランジスタ1において、酸化物半導体層12の代わりに酸化物半導体層12Bを備えたものであり、他の構成は同様となっている。
【0070】
具体的には、図8(A)に示したように酸化物半導体層12Bでは、酸化物半導体層12と比較して、キャリア走行層121およびキャリア供給層122の積層順が逆となっている。すなわち、本変形例の酸化物半導体層12Bは、基板11側から順に、キャリア供給層122およびキャリア走行層121が積層された多層膜(2層構造)により構成されている。言い換えると、この酸化物半導体層12Bも酸化物半導体層12と同様に、キャリア供給層122およびキャリア走行層121を1層ずつ有するシングルへテロ構造を用いて構成されている。
【0071】
また、図8(B)に示したように、この薄膜トランジスタ1Bにおいても薄膜トランジスタ1と同様に、キャリア供給層122における半導体層の伝導帯下端準位Ec2が、キャリア走行層151における半導体層の伝導帯下端準位Ec1よりもエネルギー的に高くなるように設定されている(Ec2>Ec1)。なお、この場合も、価電子帯側のエネルギーバンド構造については、どのような構造となっていてもよい。
【0072】
このような構成により本変形例においても、上記第1の実施の形態と同様の作用により同様の効果を得ることができる。なお、本変形例においても、上記変形例1と同様に、酸化物半導体層12Bのソース・ドレイン領域12SDに低抵抗化層120を設けるようにしてもよい。
【0073】
<第2の実施の形態>
続いて、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、上記第1の実施の形態における構成要素と同一のものには同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0074】
図9は、第2の実施の形態に係る薄膜トランジスタ(薄膜トランジスタ1C)の断面構成を表したものである。本実施の形態の薄膜トランジスタ1Cは、上記第1の実施の形態の薄膜トランジスタ1において、酸化物半導体層12の代わりに酸化物半導体層12Cを備えたものであり、他の構成は同様となっている。
【0075】
酸化物半導体層12Cは、上記変形例2の酸化物半導体層12Bと同様に、基板11側から順にキャリア供給層122およびキャリア走行層121が積層された多層膜(2層構造)により構成されている。ただし、この酸化物半導体層12Cでは、これまで説明した酸化物半導体層12,12A,12Bとは異なり、キャリア走行層121がゲート電極141の形成領域にのみ設けられている。具体的には、キャリア供給層122は、ゲート電極141の形成領域から一対のソース・ドレイン領域12SDにわたって形成されている一方、キャリア走行層121は、ゲート電極141の形成領域に選択的に形成されている。
【0076】
この薄膜トランジスタ1Cは、例えば次のようにして製造することができる。図10は、薄膜トランジスタ1Cを製造する工程の一例を、断面図で表したものである。
【0077】
まず、図10(A)に示したように、基板11上の全面に、第1の実施の形態と同様の手法により、酸化物半導体層12(キャリア供給層122,キャリア走行層121)と、ゲート絶縁膜131およびゲート電極141となる膜とを、この順に成膜する。
【0078】
次いで、図10(B)に示したように、キャリア走行層121、ゲート絶縁膜131およびゲート電極141をそれぞれ、同一形状となるように例えば一括してパターニングを行う。続いて、図10(C)に示したように、キャリア供給層122を所望の形状にパターニングする。
【0079】
次に、図10(D)に示したように、第1の実施の形態と同様にして層間絶縁膜15を成膜してパターン形成し、その後、ソース・ドレイン電極16A,16Bを形成する。以上により、図9示したトップゲート型の薄膜トランジスタ1Cが完成する。
【0080】
このような構成の本実施の形態においても、上記第1の実施の形態と同様の作用により同様の効果を得ることができる。すなわち、簡易な構造にも関わらず、キャリアの移動度向上と寄生容量の形成回避とを両立させることができ、トランジスタの動作速度を簡易に向上させることができる。
【0081】
なお、本実施の形態においても、上記変形例1と同様に、酸化物半導体層12Cのソース・ドレイン領域12SDに低抵抗化層120を設けるようにしてもよい。
【0082】
<第3の実施の形態>
続いて、本発明の第3の実施の形態について説明する。なお、上記第1の実施の形態における構成要素と同一のものには同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0083】
図11は、第3の実施の形態に係る薄膜トランジスタ(薄膜トランジスタ1D)の断面構成を表したものである。本実施の形態の薄膜トランジスタ1Dは、上記第1の実施の形態の薄膜トランジスタ1において、以下説明する低抵抗層17を更に備えたものであり、他の構成は同様となっている。
【0084】
低抵抗層17は、酸化物半導体層12における少なくともソース・ドレイン領域12SDと、ソース・ドレイン電極16A,16Bとの間に設けられている。具体的には、ここでは、酸化物半導体層12上における、一対のソース・ドレイン領域12SDを含む領域(ゲート電極141の形成領域を除く領域)に設けられている。この低抵抗層17は、キャリア走行層121およびキャリア供給層122と比べて抵抗率が低い材料(例えば、酸化物半導体や、金属等の導電体)からなる。
【0085】
この薄膜トランジスタ1Dは、例えば次のようにして製造することができる。図12および図13は、薄膜トランジスタ1Dを製造する工程の一例を、断面図で表したものである。
【0086】
まず、図12(A)に示したように、基板11上に、酸化物半導体層12(キャリア走行層121,キャリア供給層122)と、低抵抗層17となる膜とを、この順に一括してパターニング形成する。
【0087】
次いで、図12(B)に示したように、ゲート絶縁膜131およびゲート電極141の形成領域を除く領域に、フォトレジスト膜10をパターニング形成する。続いて、図12(C)に示したように、このフォトレジスト膜10を用いて、低抵抗層17をパターニング形成する。
【0088】
次に、図13(A)に示したように、フォトレジスト膜10が残存した状態のまま、このフォトレジスト膜10上の全面に、ゲート絶縁膜131およびゲート電極141となる膜を、この順に成膜する。
【0089】
次いで、図13(B)に示したように、例えばリフトオフ法を用いて、ゲート絶縁膜131およびゲート電極141をそれぞれ、一括して所望の形状にパターニング形成する。
【0090】
次に、図13(C)に示したように、第1の実施の形態と同様にして層間絶縁膜15を成膜してパターン形成し、その後、ソース・ドレイン電極16A,16Bを形成する。以上により、図11示したトップゲート型の薄膜トランジスタ1Dが完成する。
【0091】
このような構成の本実施の形態においても、上記第1の実施の形態と同様の作用により同様の効果を得ることができる。すなわち、簡易な構造にも関わらず、キャリアの移動度向上と寄生容量の形成回避とを両立させることができ、トランジスタの動作速度を簡易に向上させることができる。
【0092】
また、本実施の形態では低抵抗層17を設けるようにしたので、ソース・ドレイン領域12SDの抵抗率を更に低減することが可能となる。
【0093】
なお、本実施の形態においても、上記変形例1,2と同様に、酸化物半導体層12のソース・ドレイン領域12SDに低抵抗化層120を設けるようにしたり、キャリア走行層121およびキャリア供給層122の積層順が逆になっているようにしてもよい。
【0094】
<第4の実施の形態>
続いて、本発明の第4の実施の形態について説明する。なお、上記第1の実施の形態における構成要素と同一のものには同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0095】
図14は、第4の実施の形態に係る薄膜トランジスタ(薄膜トランジスタ1E)の断面構成を表したものである。本実施の形態の薄膜トランジスタ1Eは、基板11上に、ゲート電極142、ゲート絶縁膜132、酸化物半導体層12およびチャネル保護膜18をこの順に備えると共に、層間絶縁膜15およびソース・ドレイン電極16A,16Bを備えたものである。すなわち、本実施の形態の薄膜トランジスタ1Eは、これまで説明したトップゲート型(スタガー構造)の薄膜トランジスタとは異なり、いわゆるボトムゲート型(逆スタガー構造)の薄膜トランジスタとなっている。
【0096】
ゲート電極142およびゲート絶縁膜132はそれぞれ、前述したゲート電極141およびゲート絶縁膜131と同様の材料からなる。
【0097】
チャネル保護膜18は、酸化物半導体層12におけるチャネル領域を保護するためのものであり、例えばシリコンを含む絶縁膜材料からなる。
【0098】
この薄膜トランジスタ1Eは、例えば次のようにして製造することができる。すなわち、まず、基板11上にゲート電極142をパターニング形成したのち、このゲート電極142上の全面にゲート絶縁膜132を成膜する。そして、その後は第1の実施の形態と同様にして、酸化物半導体層12、層間絶縁膜15およびソース・ドレイン電極16A,16Bを形成すると共に、例えばプラズマCVD法を用いてチャネル保護膜18を形成する。以上により、図14示したボトムゲート型の薄膜トランジスタ1Eが完成する。
【0099】
本実施の形態においても、上記第1の実施の形態と同様の作用により同様の効果を得ることができる。すなわち、簡易な構造にも関わらず、キャリアの移動度向上と寄生容量の形成回避とを両立させることができ、トランジスタの動作速度を簡易に向上させることができる。
【0100】
なお、本実施の形態においても、上記変形例1,2と同様に、酸化物半導体層12のソース・ドレイン領域12SDに低抵抗化層120を設けるようにしたり、キャリア走行層121およびキャリア供給層122の積層順が逆になっているようにしてもよい。
【0101】
<第4の実施の形態の変形例>
続いて、上記第4の実施の形態の変形例(変形例3)について説明する。なお、第4の実施の形態における構成要素と同一のものには同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0102】
[変形例3]
図15は、変形例3に係る薄膜トランジスタ(薄膜トランジスタ1F)の断面構成を表したものである。本変形例の薄膜トランジスタ1Fは、上記第4の実施の形態の薄膜トランジスタ1において、チャネル保護膜18を層間絶縁膜15と兼用させた(チャネル保護膜18の形成時に、層間絶縁膜も一括して形成するようにした)ものであり、他の構成は同様となっている。
【0103】
この薄膜トランジスタ1Fは、例えば次のようにして製造することができる。すなわち、ソース・ドレイン電極16A,16Bと酸化物半導体層12(キャリア供給層122)との接合が必要な箇所(ソース・ドレイン領域12SD)のみ、チャネル保護膜18を除去し、それ以外の領域にはチャネル保護膜18が残存するように、マスクパターンを設定する。なお、それ以外は、上記第4の実施の形態と同様にして形成する。以上により、図15示したボトムゲート型の薄膜トランジスタ1Fが完成する。
【0104】
このような構成により本変形例では、層間絶縁膜を形成せずとも、ゲート電極142とソース・ドレイン電極16A,16Bと間の絶縁性を、2層の絶縁膜(ゲート絶縁膜132およびチャネル保護膜18)によって高めることが可能となる。
【0105】
なお、本変形例においても、上記変形例1,2と同様に、酸化物半導体層12のソース・ドレイン領域12SDに低抵抗化層120を設けるようにしたり、キャリア走行層121およびキャリア供給層122の積層順が逆になっているようにしてもよい。
【0106】
<第5の実施の形態>
続いて、本発明の第5の実施の形態について説明する。なお、上記第1および第4の実施の形態における構成要素と同一のものには同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0107】
図16は、第5の実施の形態に係る薄膜トランジスタ(薄膜トランジスタ1G)の断面構成を表したものである。本実施の形態の薄膜トランジスタ1Gは、基板11上に、ゲート電極142(第2のゲート電極)、ゲート絶縁膜132(第2のゲート絶縁膜)、酸化物半導体層12、ゲート絶縁膜131(第1のゲート絶縁膜)およびゲート電極141(第1のゲート電極)をこの順に備えている。この薄膜トランジスタ1Gはまた、層間絶縁膜15およびソース・ドレイン電極16A,16Bを備えている。すなわち、本実施の形態の薄膜トランジスタ1Gは、これまで説明したトップゲート型(スタガー構造)およびボトムゲート型(逆スタガー構造)の薄膜トランジスタとは異なり、いわゆるデュアルゲート型の薄膜トランジスタとなっている。
【0108】
この薄膜トランジスタ1Gは、例えば次のようにして製造することができる。すなわち、まず、第4の実施の形態と同様にして、基板11上にゲート電極142をパターニング形成したのち、このゲート電極142上の全面にゲート絶縁膜132を成膜する。そして、その後は第1の実施の形態と同様にして、酸化物半導体層12、ゲート絶縁膜131、ゲート電極141、層間絶縁膜15およびソース・ドレイン電極16A,16Bを形成する。以上により、図16示したデュアルゲート型の薄膜トランジスタ1Gが完成する。
【0109】
本実施の形態においても、上記第1の実施の形態と同様の作用により同様の効果を得ることができる。すなわち、簡易な構造にも関わらず、キャリアの移動度向上と寄生容量の形成回避とを両立させることができ、トランジスタの動作速度を簡易に向上させることができる。
【0110】
また、本実施の形態では、デュアルゲート型の構造としたので、トランジスタの閾値電圧を任意に調整することも可能となる。
【0111】
なお、本実施の形態においても、上記変形例1,2と同様に、酸化物半導体層12のソース・ドレイン領域12SDに低抵抗化層120を設けるようにしたり、キャリア走行層121およびキャリア供給層122の積層順が逆になっているようにしてもよい。
【0112】
<各実施の形態および各変形例に共通の変形例>
続いて、これまで説明した第1〜第5の実施の形態および変形例1〜3に共通の変形例(変形例4,5)について説明する。なお、これらの実施の形態等における構成要素と同一のものには同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0113】
[変形例4,5]
図17(A)は、変形例4に係る薄膜トランジスタ(薄膜トランジスタ1H)における酸化物半導体層12H付近の層構造(酸化物半導体層12H、ゲート絶縁膜131およびゲート電極141)でのエネルギーバンド構造例を表したものである。また、図17(B)は、変形例5に係る薄膜トランジスタ(薄膜トランジスタ1I)における酸化物半導体層12I付近の層構造(酸化物半導体層12I、ゲート絶縁膜131およびゲート電極141)でのエネルギーバンド構造例を表したものである。
【0114】
これらの変形例4,5に係る薄膜トランジスタ1H,1Iはそれぞれ、これまで説明した薄膜トランジスタとは異なり、キャリアとして正孔(ホール)を用いたものとなっている。具体的には、これらの薄膜トランジスタ1H,1Iは、キャリアとして電子を用いた酸化物半導体層12等の代わりに、キャリアとして正孔を用いた酸化物半導体層12H,12Iを設けたものに対応し、他の構成は上記実施の形態等と同様となっている。
【0115】
具体的には、図17(A)に示した変形例4に係る酸化物半導体層12Hは、基板11側から順に、キャリア走行層123およびキャリア供給層124が積層された多層膜(2層構造)により構成されている。一方、図17(B)に示した変形例5に係る酸化物半導体層12Iは、基板11側から順に、キャリア供給層124およびキャリア走行層123が積層された多層膜(2層構造)により構成されている。すなわち、これらの酸化物半導体層12H,12Iはそれぞれ、キャリア供給層124およびキャリア走行層123を1層ずつ有するシングルへテロ構造を用いて構成されている。
【0116】
キャリア供給層124は、キャリア走行層123に対してキャリア(ここでは正孔)を供給する役割を担う酸化物半導体層である。このキャリア供給層124を構成する酸化物半導体としては、例えばAlxCuy1.5x+0.5y(x,y:整数)などが挙げられる。
【0117】
キャリア走行層123は、上記キャリア供給層124から供給されるキャリア(正孔)がソース・ドレイン電極16A,16B間で走行するための酸化物半導体層である。すなわち、このキャリア走行層123では、キャリア走行層121と同様に、キャリア供給層124との界面近傍の領域に、薄膜トランジスタ1H,1Iにおけるチャネルが形成される(チャネルを構成する)ようになっている。このようなキャリア走行層123を構成する酸化物半導体としては、例えば、Cu2OやNiOなどが挙げられる。
【0118】
また、図17(A),(B)に示したように、変形例4,5に係る酸化物半導体層12H,12Iではそれぞれ、キャリア供給層124における半導体層の価電子帯上端準位Ev4が、キャリア走行層123における半導体層の価電子帯上端準位Ev3よりもエネルギー的に高くなるように設定されている(Ev4>Ev3)。なお、この場合は、伝導帯側のエネルギーバンド構造については、どのような構造となっていてもよい。また、図中の符号「h」は、キャリアとしての正孔を模式的に示している。
【0119】
このような構成により変形例4,5の薄膜トランジスタ1H,1Iでは、キャリア供給層124からキャリア走行層123へとキャリア(正孔h)が供給され、このキャリア走行層123内におけるキャリア供給層124との界面近傍の領域に、正孔hが蓄積される。言い換えると、酸化物半導体層12H,12Iでは、正孔hを供給する領域(キャリア供給層124)と、正孔hが実際に走行する領域(キャリア走行層123内におけるキャリア供給層124との界面近傍の領域)とが、厚み方向に沿って空間的に分離される。
【0120】
したがって、変形例4,5においても、上記実施の形態等と同様の作用により同様の効果を得ることができる。すなわち、簡易な構造にも関わらず、キャリア(正孔)の移動度向上と寄生容量の形成回避とを両立させることができ、トランジスタの動作速度を簡易に向上させることができる。
【0121】
なお、これらの変形例4,5においても、上記変形例1,2と同様に、酸化物半導体層12H,12Iのソース・ドレイン領域12SDに低抵抗化層120を設けるようにしたり、キャリア走行層123およびキャリア供給層124の積層順が逆になっているようにしてもよい。
【0122】
<適用例>
続いて、上記第1〜第5の実施の形態および変形例1〜5に係る薄膜トランジスタ(薄膜トランジスタ1,1A〜1I)の表示装置および電子機器への適用例について説明する。
【0123】
[表示装置]
図18は、有機ELディスプレイとして用いられる表示装置(有機EL素子を用いて構成された表示装置3)の構成例を表すものである。この表示装置3は、例えば、薄膜トランジスタ基板(前述した基板11)上に、表示素子としての有機EL素子(有機電界発光素子)を含む複数の画素PXLCがマトリクス状に配置されてなる表示領域30を有している。この表示領域30の周辺には、信号線駆動回路としての水平セレクタ(HSEL)31と、走査線駆動回路としてのライトスキャナ(WSCN)32と、電源線駆動回路としての電源スキャナ(DSCN)33とが設けられている。
【0124】
表示領域30において、列方向には複数(整数n個)の信号線DTL1〜DTLnが配置され、行方向には、複数(整数m個)の走査線WSL1〜WSLmおよび電源線DSL1〜DSLmがそれぞれ配置されている。また、各信号線DTLと各走査線WSLとの交差点に、各画素PXLC(赤色(R)、緑色(G)および青色(B)に対応する画素のいずれか1つ)が設けられている。各信号線DTLは水平セレクタ31に接続され、この水平セレクタ31から各信号線DTLへ映像信号が供給されるようになっている。各走査線WSLはライトスキャナ32に接続され、このライトスキャナ32から各走査線WSLへ走査信号(選択パルス)が供給されるようになっている。各電源線DSLは電源スキャナ33に接続され、この電源スキャナ33から各電源線DSLへ電源信号(制御パルス)が供給されるようになっている。
【0125】
図19は、画素PXLCにおける回路構成例を表したものである。各画素PXLCは、有機EL素子3Dを含む画素回路40を有している。この画素回路40は、サンプリング用トランジスタ3Aおよび駆動用トランジスタ3Bと、保持容量素子3Cと、有機EL素子3Dとを有するアクティブ型の駆動回路である。そして、これらのトランジスタ3A,3Bは、上記実施の形態等の薄膜トランジスタ(薄膜トランジスタ1,1A〜1I)により構成されている。
【0126】
サンプリング用トランジスタ3Aは、そのゲートが対応する走査線WSLに接続され、そのソースおよびドレインのうちの一方が対応する信号線DTLに接続され、他方が駆動用トランジスタ3Bのゲートに接続されている。駆動用トランジスタ3Bは、そのドレインが対応する電源線DSLに接続され、ソースが有機EL素子3Dのアノードに接続されている。また、この有機EL素子3Dのカソードは、接地配線3Hに接続されている。なお、この接地配線3Hは、全ての画素PXLCに対して共通に配線されている。保持容量素子3Cは、駆動用トランジスタ3Bのソースとゲートとの間に配置されている。
【0127】
サンプリング用トランジスタ3Aは、走査線WSLから供給される走査信号(選択パルス)に応じて導通することにより、信号線DTLから供給される映像信号の信号電位をサンプリングし、保持容量素子3Cに保持するものである。駆動用トランジスタ3Bは、所定の第1電位(図示せず)に設定された電源線DSLから電流の供給を受け、保持容量素子3Cに保持された信号電位に応じて、駆動電流を有機EL素子3Dへ供給するものである。有機EL素子3Dは、この駆動用トランジスタ3Bから供給された駆動電流により、映像信号の信号電位に応じた輝度で発光するようになっている。
【0128】
この表示装置3では、走査線WSLから供給される走査信号(選択パルス)に応じてサンプリング用トランジスタ3Aが導通することにより、信号線DTLから供給された映像信号の信号電位がサンプリングされ、保持容量素子3Cに保持される。また、上記第1電位に設定された電源線DSLから駆動用トランジスタ3Bへ電流が供給され、保持容量素子3Cに保持された信号電位に応じて、駆動電流が有機EL素子3D(赤色、緑色および青色の各有機EL素子)へ供給される。そして、各有機EL素子3Dは、供給された駆動電流により、映像信号の信号電位に応じた輝度で発光する。これにより、表示装置3において、映像信号に基づく映像表示がなされる。
【0129】
(表示装置の構成例1)
ここで、図20は、上記した表示装置3の構成例1に係る表示装置(表示装置3−1)の断面構成を表したものである。この表示装置3−1は、図中に示したように、有機EL素子3Dからの表示光(発光光)Loutが下面(基板11側の面)側から出射される、下面発光型(いわゆるボトムエミッション型)の有機EL表示装置である。この表示装置3−1では、サンプリング用トランジスタ3Aおよび駆動用トランジスタ3Bがそれぞれ、上記実施の形態等の薄膜トランジスタ(ここでは一例として、トップゲート型の薄膜トランジスタ1)により構成されている。また、これらの薄膜トランジスタ上には、画素間絶縁膜342、共通電極361および保護層343がこの順に設けられていると共に、封止用基板37により封止されている。また、有機EL素子3Dにおいては、以下説明する画素電極と共通電極361との間に、発光層を含む有機層35が設けられている。
【0130】
また、この表示装置3−1では、サンプリング用トランジスタ3Aにおける酸化物半導体層12(キャリア走行層121およびキャリア供給層122)が延伸することにより、保持容量素子3Cにおける一方の電極としても機能している。すなわち、酸化物半導体層12における多層膜のうちの少なくとも1層(ここでは2層とも)が、保持容量素子3Cにおける電極を兼ねている。更に、駆動用トランジスタ3Bにおける酸化物半導体層12のうちのキャリア走行層121が選択的に延伸することにより、有機EL素子3Dにおける画素電極としても機能している。すなわち、酸化物半導体層12における多層膜のうちの少なくとも1層(ここではキャリア走行層121のみ)が、表示素子としての有機EL素子3Dにおける画素電極を兼ねている。
【0131】
なお、ゲート電極141とソース・ドレイン電極16A,16Bとにより挟まれた領域の層間絶縁膜341(15)をも、保持容量として付加するようにしてもよい。また、発光部(有機EL素子3D)における画素電極については、酸化物半導体層12のうちの1層のみ(ここではキャリア走行層121)を残すことにより、発光部の透過率を向上させることができる。例えば、ソース・ドレイン電極16A,16Bについては、燐酸,硝酸,酢酸からなる混酸によりエッチングが可能なモリブデンとアルミニウムとの積層構造を用いて形成し、キャリア供給層122を例えばIGZO、キャリア走行層121を例えばITOにより形成する。これにより、ソース・ドレイン電極16A,16Bのパターニング時に、キャリア供給層122の除去も同時に行うことができる。あるいは、画素間絶縁膜342のパターニング形成時に、キャリア供給層122をエッチングにより除去してもよい。
【0132】
このような構成の表示装置3−1では、上記実施の形態等の薄膜トランジスタの形成順序を以下のようにすることにより、5回のマスク露光によってTFT基板を作製することが可能である。
(1)キャリア走行層121およびキャリア供給層122のパターニング形成
(2)ゲート電極141およびゲート絶縁膜131の一括パターニング形成
(3)層間絶縁膜341(15)のパターニング形成
(4)ソース・ドレイン電極16A,16Bおよび配線(信号線DTLおよび電源線DSL)の形成
(5)画素間絶縁膜342の形成
【0133】
(表示装置の構成例2)
図21は、上記した表示装置3の構成例2に係る表示装置(表示装置3−2)の断面構成を表したものである。この表示装置3−2は、図中に示したように、有機EL素子3Dからの表示光(発光光)Loutが上面(封止用基板37側の面)側から出射される、上面発光型(いわゆるトップエミッション型)の有機EL表示装置である。この表示装置3−2では、サンプリング用トランジスタ3Aおよび駆動用トランジスタ3Bがそれぞれ、上記実施の形態等の薄膜トランジスタ(ここでは一例として、トップゲート型の薄膜トランジスタ1)により構成されている。また、これらの薄膜トランジスタ上には、平坦化膜344、画素電極362、画素間絶縁膜342、共通電極361および保護層343がこの順に設けられていると共に、封止用基板37により封止されている。また、有機EL素子3Dにおいては、画素電極362と共通電極361との間に、発光層を含む有機層35が設けられている。
【0134】
また、この表示装置3−2では、駆動用トランジスタ3Bにおける酸化物半導体層12(キャリア走行層121およびキャリア供給層122)が延伸することにより、保持容量素子3Cにおける一方の電極としても機能している。すなわち、酸化物半導体層12における多層膜のうちの少なくとも1層(ここでは2層とも)が、保持容量素子3Cにおける電極を兼ねている。なお、ゲート電極141とソース・ドレイン電極16A,16Bとにより挟まれた領域の層間絶縁膜341(15)をも、保持容量として付加するようにしてもよい。
【0135】
このような構成の表示装置3−2では、上記実施の形態等の薄膜トランジスタの形成順序を以下のようにすることにより、7回のマスク露光によってTFT基板を作製することが可能である。
(1)キャリア走行層121およびキャリア供給層122のパターニング形成
(2)ゲート電極141およびゲート絶縁膜131の一括パターニング形成
(3)層間絶縁膜341(15)のパターニング形成
(4)ソース・ドレイン電極16A,16Bおよび配線(信号線DTLおよび電源線DSL)の形成
(5)平坦化膜344のパターニング形成
(6)共通電極361のパターニング形成
(7)画素間絶縁膜342の形成
【0136】
(表示装置の構成例3)
図22は、上記した表示装置3の構成例3に係る表示装置(表示装置3−3)の断面構成を表したものである。この表示装置3−3もまた、図中に示したように、有機EL素子3Dからの表示光(発光光)Loutが上面(封止用基板37側の面)側から出射される、上面発光型(いわゆるトップエミッション型)の有機EL表示装置である。この表示装置3−3では、サンプリング用トランジスタ3Aおよび駆動用トランジスタ3Bがそれぞれ、上記実施の形態等の薄膜トランジスタ(ここでは一例として、ボトムゲート型の薄膜トランジスタ1F)により構成されている。また、これらの薄膜トランジスタ上には、平坦化膜344、画素電極362、画素間絶縁膜342、共通電極361および保護層343がこの順に設けられていると共に、封止用基板37により封止されている。また、有機EL素子3Dにおいては、画素電極362と共通電極361との間に、発光層を含む有機層35が設けられている。
【0137】
ここで、図中には示していないが、サンプリング用トランジスタ3Aまたは駆動用トランジスタ3Bにおける酸化物半導体層12(キャリア走行層121およびキャリア供給層122の少なくとも一方)が延伸することにより、保持容量素子3Cにおける一方の電極としても機能するようにしてもよい。すなわち、酸化物半導体層12における多層膜のうちの少なくとも1層が、保持容量素子3Cにおける電極を兼ねているようにしてもよい。また、平坦化膜344とソース・ドレイン電極16A,16Bによって挟まれるように、層間絶縁膜を挿入するようにしてもよい。
【0138】
[電子機器]
次に、上記した表示装置の電子機器への適用例について説明する。上記表示装置は、テレビジョン装置,デジタルカメラ,ノート型パーソナルコンピュータ、携帯電話等の携帯端末装置あるいはビデオカメラなどのあらゆる分野の電子機器に適用することが可能である。言い換えると、上記表示装置は、外部から入力された映像信号あるいは内部で生成した映像信号を、画像あるいは映像として表示するあらゆる分野の電子機器に適用することが可能である。
【0139】
(モジュール)
上記表示装置は、例えば図23に示したようなモジュールとして、後述する適用例1〜5などの種々の電子機器に組み込まれる。このモジュールは、例えば、基板11の一辺に、封止用基板50から露出した領域210を設け、この露出した領域210に、水平セレクタ31、ライトスキャナ32および電源スキャナ33の配線を延長して外部接続端子(図示せず)を形成したものである。この外部接続端子には、信号の入出力のためのフレキシブルプリント配線基板(FPC;Flexible Printed Circuit)220が設けられていてもよい。
【0140】
(適用例1)
図24は、上記表示装置が適用されるテレビジョン装置の外観を表したものである。このテレビジョン装置は、例えば、フロントパネル310およびフィルターガラス320を含む映像表示画面部300を有しており、この映像表示画面部300が上記表示装置により構成されている。
【0141】
(適用例2)
図25は、上記表示装置が適用されるデジタルカメラの外観を表したものである。このデジタルカメラは、例えば、フラッシュ用の発光部410、表示部420、メニュースイッチ430およびシャッターボタン440を有しており、この表示部420が上記表示装置により構成されている。
【0142】
(適用例3)
図26は、上記表示装置が適用されるノート型パーソナルコンピュータの外観を表したものである。このノート型パーソナルコンピュータは、例えば、本体510,文字等の入力操作のためのキーボード520および画像を表示する表示部530を有しており、この表示部530が上記表示装置により構成されている。
【0143】
(適用例4)
図27は、上記表示装置が適用されるビデオカメラの外観を表したものである。このビデオカメラは、例えば、本体部610,この本体部610の前方側面に設けられた被写体撮影用のレンズ620,撮影時のスタート/ストップスイッチ630および表示部640を有している。そして、この表示部640が上記表示装置により構成されている。
【0144】
(適用例5)
図28は、上記表示装置が適用される携帯電話機の外観を表したものである。この携帯電話機は、例えば上側筐体710と下側筐体720とを連結部(ヒンジ部)730で連結したものであり、ディスプレイ740,サブディスプレイ750,ピクチャーライト760およびカメラ770を有している。そして、これらのうちのディスプレイ740またはサブディスプレイ750が、上記表示装置により構成されている。
【0145】
<その他の変形例>
以上、実施の形態、変形例および適用例を挙げて本発明を説明したが、本発明はこれらの実施の形態等に限定されず、種々の変形が可能である。
【0146】
例えば、上記実施の形態等では、酸化物半導体層がシングルヘテロ構造(2層構造)からなる場合について説明したが、この場合には限られず、例えば酸化物半導体層がダブルヘテロ構造等(3層以上の構造)となっていてもよい。
【0147】
また、上記適用例では、本発明の薄膜トランジスタの表示装置への適用例として、有機EL素子を用いて構成された表示装置(有機EL表示装置)を挙げて説明したが、この場合には限られない。すなわち、本発明の薄膜トランジスタは、有機EL表示装置以外の他の種類の表示装置(例えば、表示素子として液晶素子を用いて構成された液晶表示装置や、表示素子として発光ダイオード(LED;Light Emitting Diode)を用いて構成されたLED表示装置など)にも適用することが可能である。
【0148】
更に、上記実施の形態等において説明した各層の材料および厚み、または成膜方法および成膜条件などは限定されるものではなく、他の材料および厚みとしてもよく、または他の成膜方法および成膜条件としてもよい。
【符号の説明】
【0149】
1,1A〜1I…薄膜トランジスタ、11…基板、12,12A〜12C,12H,12I…酸化物半導体層、12SD…ソース・ドレイン領域、120…低抵抗化層、121,123…キャリア走行層、122,124…キャリア供給層、131,132…ゲート絶縁膜、141,142…ゲート電極、15…層間絶縁膜、16A,16B…ソース・ドレイン電極、17…低抵抗層、18…チャネル保護膜、3,3−1〜3−3…表示装置、3A…サンプリング用トランジスタ、3B…駆動用トランジスタ、3C…保持容量素子、3D…有機EL素子(有機電界発光素子)、3H…接地配線、30…表示領域、31…水平セレクタ、32…ライトスキャナ、33…電源スキャナ、341…層間絶縁膜、342…画素間絶縁膜、343…保護層、344…平坦化膜、35…有機層、361…共通電極、362…画素電極、37…封止用基板、40…画素回路、EF…フェルミエネルギー、Ec0,Ec1〜Ec4…伝導帯下端準位、Ev0,Ev1〜Ev4…価電子帯上端準位、e…電子、h…ホール、PXLC…画素、DTL…信号線、WSL…走査線、DSL…電源線、Lout…表示光(発光光)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲート電極と、
チャネルを構成するキャリア走行層と、このキャリア走行層へキャリアを供給するためのキャリア供給層とを含む多層膜からなる酸化物半導体層と、
前記ゲート電極と前記酸化物半導体層との間に設けられたゲート絶縁膜と、
ソース・ドレインとなる一対の電極と
を備え、
前記酸化物半導体層におけるソース・ドレイン領域と前記ゲート電極の形成領域とが、互いに離隔している
薄膜トランジスタ。
【請求項2】
前記キャリア走行層および前記キャリア供給層がともに、前記ゲート電極の形成領域から前記ソース・ドレイン領域にわたって形成されている
請求項1に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項3】
前記酸化物半導体層における少なくとも前記ソース・ドレイン領域と、前記一対の電極との間に、低抵抗層を更に備えた
請求項2に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項4】
前記キャリア供給層が、前記ゲート電極の形成領域から前記ソース・ドレイン領域にわたって形成されていると共に、
前記キャリア走行層が、前記ゲート電極の形成領域に選択的に形成されている
請求項1に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項5】
前記酸化物半導体層における前記ソース・ドレイン領域が、低抵抗化層となっている
請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項6】
前記キャリア供給層における半導体層の伝導帯下端準位もしくは価電子帯上端準位が、前記キャリア走行層における半導体層の伝導帯下端準位もしくは価電子帯上端準位よりもエネルギー的に高くなっている
請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項7】
前記キャリアが電子であり、
前記キャリア供給層における伝導帯下端準位が、前記キャリア走行層における伝導帯下端準位よりもエネルギー的に高くなっている
請求項6に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項8】
前記キャリアが正孔であり、
前記キャリア供給層における価電子帯上端準位が、前記キャリア走行層における価電子帯上端準位よりもエネルギー的に高くなっている
請求項6に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項9】
前記酸化物半導体層、前記ゲート絶縁膜および前記ゲート電極を、基板上にこの順で備えた
請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項10】
前記ゲート電極、前記ゲート絶縁膜および前記酸化物半導体層を、基板上にこの順で備えた
請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項11】
前記ゲート電極として、第1および第2のゲート電極が設けられ、
前記ゲート絶縁膜として、第1および第2のゲート絶縁膜が設けられ、
前記第2のゲート電極、前記第2のゲート絶縁膜、前記酸化物半導体層、前記第1のゲート絶縁膜および前記第1のゲート電極を、基板上にこの順で備えた
請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項12】
表示素子と、この表示素子を駆動するための薄膜トランジスタとを備え、
前記薄膜トランジスタは、
ゲート電極と、
チャネルを構成するキャリア走行層と、このキャリア走行層へキャリアを供給するためのキャリア供給層とを含む多層膜からなる酸化物半導体層と、
前記ゲート電極と前記酸化物半導体層との間に設けられたゲート絶縁膜と、
ソース・ドレインとなる一対の電極と
を有し、
前記酸化物半導体層におけるソース・ドレイン領域と前記ゲート電極の形成領域とが、互いに離隔している
表示装置。
【請求項13】
前記表示素子および保持容量素子が複数の画素ごとに設けられ、
前記酸化物半導体層における前記多層膜のうちの少なくとも1層が、前記表示素子における画素電極または前記保持容量素子における電極を兼ねている
請求項12に記載の表示装置。
【請求項14】
前記表示素子が、有機EL素子を用いて構成されている
請求項12または請求項13に記載の表示装置。
【請求項15】
表示素子と、この表示素子を駆動するための薄膜トランジスタとを有する表示装置を備え、
前記薄膜トランジスタは、
ゲート電極と、
チャネルを構成するキャリア走行層と、このキャリア走行層へキャリアを供給するためのキャリア供給層とを含む多層膜からなる酸化物半導体層と、
前記ゲート電極と前記酸化物半導体層との間に設けられたゲート絶縁膜と、
ソース・ドレインとなる一対の電極と
を有し、
前記酸化物半導体層におけるソース・ドレイン領域と前記ゲート電極の形成領域とが、互いに離隔している
電子機器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate


【公開番号】特開2012−160679(P2012−160679A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−21320(P2011−21320)
【出願日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】