説明

薄膜トランジスタアレイ基板、有機発光表示装置、及び薄膜トランジスタアレイ基板の製造方法

【課題】薄膜トランジスタアレイ基板、有機発光表示装置、及び薄膜トランジスタアレイ基板の製造方法を提供する。
【解決手段】基板10上に配置され、活性層212、ゲート電極214、ソース電極218a、ドレイン電極218b、活性層とゲート電極との間に配置された第1絶縁層13、及びゲート電極とソース電極及びドレイン電極との間に配置された第2絶縁層15を含む薄膜トランジスタと、第1絶縁層及び第2絶縁層上に配置され、ソース電極及びドレイン電極のうち一つと連結される画素電極117と、ゲート電極と同一層で形成された下部電極314及び画素電極と同一材料を含む上部電極317を含むキャパシタと、第2絶縁層と画素電極との間及び下部電極と上部電極との間に直接配置された第3絶縁層116と、ソース電極、ドレイン電極及び上部電極を覆って画素電極を露出させる第4絶縁層19と、を含む薄膜トランジスタアレイ基板。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄膜トランジスタアレイ基板、有機発光表示装置、及び薄膜トランジスタアレイ基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有機発光表示装置、液晶表示装置などの平板表示装置は、薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor:TFT)、キャパシタ、及びこれらを連結する配線などを備える。
【0003】
平板表示装置が製作される基板には、TFT、キャパシタ、及び配線などが微細パターンで形成されており、前記基板の微細パターンの形成にはマスクを用いてパターンを転写するフォトリソグラフィ工程が主に用いられる。
【0004】
フォトリソグラフィ工程においては、パターンを形成する基板上にフォトレジストを均一に塗布し、ステッパーなどの露光装置でフォトレジストを露光した後、(ポジティブフォトレジストの場合)感光されたフォトレジストを現像する過程を経る。フォトレジストを現像した後には、残存するフォトレジストを用いて基板上のパターンをエッチングし、パターン形成後に不要なフォトレジストを除去する一連の過程を経る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】大韓民國特許公開第2009‐0116131号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、マスクを用いてパターンを転写する工程では、まず必要なパターンを持つマスクを準備しなくてはならないため、マスクを用いる工程段階が増えるほどマスク準備のためのコストが上昇するという問題が発生する。また、上述した複雑な段階を経ねばならないため、製造工程が複雑であり、製造時間の増加及びコストアップという問題が発生する。
【0007】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、製造工程が単純であり、信号伝達に優れた薄膜トランジスタアレイ基板、有機発光表示装置、及び薄膜トランジスタアレイ基板の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、基板上に配置され、活性層、ゲート電極、ソース電極、ドレイン電極、前記活性層と前記ゲート電極との間に配置された第1絶縁層、及び前記ゲート電極と前記ソース電極及び前記ドレイン電極間に配置された第2絶縁層を含む薄膜トランジスタと、前記第1絶縁層及び前記第2絶縁層上に配置され、前記ソース電極及び前記ドレイン電極のうち一つと連結される画素電極と、前記ゲート電極と同一層で形成された下部電極及び前記画素電極と同一材料を含む上部電極を含むキャパシタと、前記第2絶縁層と前記画素電極との間及び前記下部電極と前記上部電極との間に直接配置された第3絶縁層と、前記ソース電極、前記ドレイン電極及び前記上部電極を覆って前記画素電極を露出させる第4絶縁層と、を含む薄膜トランジスタアレイ基板が提供される。
【0009】
前記第1絶縁層は、前記活性層の上部、及び前記下部電極下部に共通に形成されてもよい。
【0010】
前記第2絶縁層は、前記上部電極及び下部電極との間には形成されなくてもよい。
【0011】
前記第3絶縁層の厚さは、前記第2絶縁層の厚さより小さくてもよい。
【0012】
前記第3絶縁層の厚さは、500Å以上2000Å以下であってもよい。
【0013】
前記第3絶縁層の誘電率は、前記第1絶縁層の誘電率より大きくてもよい。
【0014】
前記第3絶縁層は、SiN、SiO、ZrO、TiO、Ta、Alを含むグループから選択された少なくとも一つを含んでもよい。
【0015】
前記第1絶縁層、前記第2絶縁層及び前記第3絶縁層は、前記画素電極と前記基板との間に、順に配置され、隣接する前記第1、第2及び第3絶縁層の屈折率は相異なってもよい。
【0016】
前記画素電極は、透明導電性酸化物(Transparent Conductive Oxide:TCO)を含んでもよい。
【0017】
前記透明導電性酸化物は、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化インジウム(In)、酸化インジウムガリウム(IGO)、及びアルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)を含むグループから選択された少なくとも一つを含んでもよい。
【0018】
前記画素電極は、半透過金属層をさらに含んでもよい。
【0019】
前記半透過金属層は、前記透明導電性酸化物を含む層上に配置されてもよい。
【0020】
前記半透過金属層は、銀(Ag)、銀合金、アルミニウム(Al)、及びアルミニウム合金から選択された少なくとも一つを含んでもよい。
【0021】
前記画素電極は、前記半透過金属層上に保護層がさらに備えられてもよい。
【0022】
前記保護層は、透明導電性酸化物を含んでもよい。
【0023】
前記画素電極と前記画素電極の下部に位置する第3絶縁層とは、同じエッチング面を持ってもよい。
【0024】
前記上部電極と前記上部電極の下部に位置する第3絶縁層とは、同じエッチング面を持ってもよい。
【0025】
前記ソース電極及び前記ドレイン電極のうち、前記画素電極と連結される接続部は、前記画素電極より上に配置されてもよい。
【0026】
前記ソース電極及び前記ドレイン電極は、前記画素電極及び前記上部電極とエッチングレートの異なる材料を含んでもよい。
【0027】
薄膜トランジスタアレイ基板は、前記ソース電極及び前記ドレイン電極と同一材料からなるパッド電極をさらに含んでもよい。
【0028】
前記パッド電極は、前記ソース電極及びドレイン電極と同一層で形成されてもよい。
【0029】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、基板上に配置され、活性層、ゲート電極、ソース電極、ドレイン電極、前記活性層と前記ゲート電極との間に配置された第1絶縁層、及び前記ゲート電極と前記ソース電極及び前記ドレイン電極との間に配置された第2絶縁層を含む薄膜トランジスタと、前記第1絶縁層及び前記第2絶縁層上に配置され、前記ソース電極及び前記ドレイン電極のうち一つと連結される画素電極と、前記ゲート電極と同一層で形成された下部電極及び前記画素電極と同一材料を含む上部電極を含むキャパシタと、前記第2絶縁層と前記画素電極との間及び前記下部電極と前記上部電極との間に直接配置された第3絶縁層と、前記ソース電極、前記ドレイン電極及び前記キャパシタを覆って前記画素電極を露出させる第4絶縁層と、前記画素電極上に配置された有機発光層と、前記有機発光層上に配置された対向電極と、を含む有機発光表示装置が提供される。
【0030】
前記対向電極は、前記有機発光層から放出された光を反射する反射電極であってもよい。
【0031】
また、上記課題を解決するために、本発明のさらに別の観点によれば、基板上に半導体層を形成し、前記半導体層をパターニングして薄膜トランジスタの活性層を形成する第1マスク工程と、前記第1マスク工程の結果物上に、第1絶縁層を形成し、前記第1絶縁層上に第1導電層を積層し、前記第1導電層をパターニングして薄膜トランジスタのゲート電極及びキャパシタの下部電極を形成する第2マスク工程と、前記第2マスク工程の結果物上に、第2絶縁層を形成し、前記第2絶縁層が前記活性層のソース領域、ドレイン領域及び前記下部電極を露出させるように開口を形成する第3マスク工程と、前記第3マスク工程の結果物上に、第3絶縁層及び第2導電層を順次形成し、前記第3絶縁層及び前記第2導電層を同時にパターニングして、画素電極、前記下部電極上に直接配置される誘電膜、及び上部電極を形成する第4マスク工程と、前記第4マスク工程の結果物上に第3導電層を形成し、前記第3導電層をパターニングしてソース電極及びドレイン電極を形成する第5マスク工程と、第4絶縁層を形成し、前記画素電極が露出されるように前記第4絶縁層を除去する第6マスク工程と、を含む薄膜トランジスタアレイ基板の製造方法が提供される。
【0032】
前記薄膜トランジスタアレイ基板の製造方法は、前記第2マスク工程の後、前記ソース領域及び前記ドレイン領域にイオン不純物をドープする工程を含んでもよい。
【0033】
前記第4マスク工程は、前記第3絶縁層をエッチングする第1エッチング工程、前記第2導電層をエッチングする第2エッチング工程を含んでもよい。
【0034】
前記薄膜トランジスタアレイ基板の製造方法は、前記第5マスク工程で、前記第3導電層を前記第2導電層とエッチングレートの異なる材料で形成してもよい。
【0035】
前記薄膜トランジスタアレイ基板の製造方法は、前記第5マスク工程で、前記ソース電極及びドレイン電極と同一材料を含むパッド電極をさらに形成してもよい。
【0036】
前記第4マスク工程で、前記第2導電層は、透明導電層及び半透明導電層が順次積層されてもよい。
【0037】
前記薄膜トランジスタアレイ基板の製造方法は、前記半透明導電層上に保護層をさらに形成してもよい。
【0038】
前記第3絶縁層は、前記第2絶縁層より厚さが小さく形成されてもよい。
【0039】
前記第3絶縁層は、前記第1絶縁層より誘電率の大きい材料で形成されてもよい。
【発明の効果】
【0040】
以上説明したように本発明によれば、製造工程が単純であり、信号伝達に優れた薄膜トランジスタアレイ基板、有機発光表示装置、及び薄膜トランジスタアレイ基板の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の一実施形態による有機発光表示装置1を概略的に示す断面図である。
【図2A】同実施形態による有機発光表示装置1の第1マスク工程を概略的に示す断面図である。
【図2B】同実施形態による有機発光表示装置1の第1マスク工程を概略的に示す断面図である。
【図3A】同実施形態による有機発光表示装置1の第2マスク工程を概略的に示す断面図である。
【図3B】同実施形態による有機発光表示装置1の第2マスク工程を概略的に示す断面図である。
【図4A】同実施形態による有機発光表示装置1の第3マスク工程を概略的に示す断面図である。
【図4B】同実施形態による有機発光表示装置1の第3マスク工程を概略的に示す断面図である。
【図5A】同実施形態による有機発光表示装置1の第4マスク工程を概略的に示す断面図である。
【図5B】同実施形態による有機発光表示装置1の第4マスク工程を概略的に示す断面図である。
【図6A】同実施形態による有機発光表示装置1の第5マスク工程を概略的に示す断面図である。
【図6B】同実施形態による有機発光表示装置1の第5マスク工程を概略的に示す断面図である。
【図7A】同実施形態による有機発光表示装置1の第6マスク工程を概略的に示す断面図である。
【図7B】同実施形態による有機発光表示装置1の第6マスク工程を概略的に示す断面図である。
【図8】本発明の他の実施形態による有機発光表示装置2を概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0043】
図1は、本発明の一実施形態による有機発光表示装置1を概略的に示す断面図である。
【0044】
図1を参照すれば、本発明の一実施形態による有機発光表示装置1の基板10上には、少なくとも一つの有機発光層120が備えられたピクセル領域PXL1、少なくとも一つの薄膜トランジスタが形成されたトランジスタ領域TFT1、少なくとも一つのキャパシタが形成されたキャパシタ領域CAP1、及びパッド電極418が形成されたパッド領域PAD1が備えられる。
【0045】
トランジスタ領域TFT1には、基板10及びバッファ層11上に薄膜トランジスタの活性層212が備えられる。
【0046】
基板10は、ガラス基板だけでなく、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミドなどを含むプラスチック基板などの透明基板であってもよい。
【0047】
基板10の上部は平滑な面が形成され、不純元素の浸透を遮断するためのバッファ層11が備えられる。バッファ層11は、シリコン窒化物及び/またはシリコン酸化物などで単層または複数層にて形成される。
【0048】
バッファ層11上に活性層212が備えられる。活性層212は、非晶質シリコンまたは結晶質シリコンを含む半導体で形成され、チャネル領域212cと、チャネル領域212cの外側にイオン不純物がドープされたソース領域212aと、及びドレイン領域212bとを含む。
【0049】
活性層212上には、ゲート絶縁膜である第1絶縁層13を介して活性層212のチャネル領域212cに対応する位置にゲート電極214が形成される。ゲート電極214は、例えば、アルミニウム(Al)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、マグネシウム(Mg)、金(Au)、ニッケル(Ni)、ネオジム(Nd)、イリジウム(Ir)、クロム(Cr)、ニッケル(Li)、カルシウム(Ca)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、タングステン(W)、銅(Cu)から選択された一つ以上の金属によって単層または複数層で形成される。
【0050】
ゲート電極214上には、層間絶縁膜である第2絶縁層15を介して、活性層212のソース領域212a及びドレイン領域212bにそれぞれ接続するソース電極218a及びドレイン電極218bが形成される。ソース電極218a及びドレイン電極218bは、例えば、アルミニウム(Al)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、マグネシウム(Mg)、金(Au)、ニッケル(Ni)、ネオジム(Nd)、イリジウム(Ir)、クロム(Cr)、ニッケル(Li)、カルシウム(Ca)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、タングステン(W)、銅(Cu)から選択された一つ以上の金属によって単層または複数層で形成される。
【0051】
第2絶縁層15上には、前記ソース電極218a及びドレイン電極218bを覆うように第4絶縁層19が備えられる。
【0052】
本実施形態で第1絶縁層13は、薄膜トランジスタ領域TFT1でゲート絶縁膜として使われ、第2絶縁層15は、層間絶縁膜として使われる。これらの第1絶縁層13及び第2絶縁層15は、無機絶縁膜からなる。第1絶縁層13及び第2絶縁層15を形成する無機絶縁膜には、SiO、SiN、SiON、Al、TiO、Ta、HfO、ZrO、チタン酸バリウムストロンチウム(BST)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)などが使用される。
【0053】
本実施形態でゲート絶縁膜として使われる第1絶縁層13は、後述するキャパシタの誘電膜としては使われないため、キャパシタの誘電率特性を考慮する必要がなく薄膜トランジスタのゲート絶縁膜としての特性のみに合わせて設計される。例えば、キャパシタの静電容量を増大させるために、キャパシタの誘電膜としてよく使われる窒化ケイ素(SiN)を薄膜トランジスタのゲート絶縁膜としても使用すれば、薄膜トランジスタに漏れ電流が生じる。しかし、本実施形態によれば、キャパシタの誘電膜と薄膜トランジスタのゲート絶縁膜とは別途に形成されるため、キャパシタの特性のみを鑑みて誘電膜を設計でき、また、薄膜トランジスタの特性のみを鑑みてゲート絶縁膜を設計できる。
【0054】
ピクセル領域PXL1には、基板10、バッファ層11、第1絶縁層13、及び第2絶縁層15上に、後述するキャパシタの上部電極317と同一材料で形成された画素電極117が備えられる。
【0055】
画素電極117と第2絶縁層15との間には第3絶縁層116が配置される。すなわち、画素電極117と基板10との間には、基板10から画素電極117へ順にバッファ層11、第1絶縁層13、第2絶縁層15及び第3絶縁層116が配置される。
【0056】
基板10と画素電極117との間に配置される前記絶縁層、すなわち、第1絶縁層13、第2絶縁層15及び第3絶縁層19は、隣接する層間の屈折率が互いに異なって形成される。すなわち、屈折率の相異なる層が交互に備えられてDBR(Distributed Brag Reflector)として機能することで、有機発光層120から放出される光の光効率を高めることができる。
【0057】
一方、添付図面には、バッファ層11、第1絶縁層13、第2絶縁層15及び第3絶縁層116がそれぞれ単一の層に形成されるように図示されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、前記層は、それぞれ複数の層で形成されてもよい。
【0058】
第3絶縁層116上に画素電極117が直接配置される。後述するが、第3絶縁層116及び画素電極117は、同一マスク工程で同一マスクを用いてパターニングされるため、第3絶縁層116及び画素電極117は同じエッチング面を持つ。
【0059】
画素電極117は透明導電体で形成されて、有機発光層120から放出された光は、画素電極117側に放出される。かかる透明導電体は、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化インジウム(In)、酸化インジウムガリウム(IGO)、及びアルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)を含むグループから選択された少なくとも一つ以上を含んでもよい。
【0060】
画素電極117上に有機発光層120が形成され、有機発光層120から放出された光は、透明導電体で形成された画素電極117を通じて基板10側に放出される。
【0061】
画素電極117の外郭には第4絶縁層19が形成され、第4絶縁層19には、画素電極117を露出させる開口C3が形成される。前記開口C3に有機発光層120が備えられる。
【0062】
有機発光層120は、低分子有機物または高分子有機物であってもよい。有機発光層120が低分子有機物である場合、有機発光層120を中心としてホール輸送層(HTL)、ホール注入層(HIL)、電子輸送層(ETL)及び電子注入層(EIL)などが積層される。それ以外にも、必要に応じて多様な層が積層される。この時、使用可能な有機材料には、銅フタロシアニン(CuPc)、N’−ジ(ナフタレン−1−イル)−N、N’−ジフェニル−ベンジジン(NPB)、トリス−8−ヒドロキシキノリンアルミニウム(Alq3)などをはじめとする多様な材料が適用できる。一方、有機発光層120が高分子有機物である場合、有機発光層120以外にホール輸送層(HTL)が含まれる。ホール輸送層は、ポリエチレンジヒドロキシチオフェン(PEDOT)や、ポリアニリン(PANI)などが使用できる。この時、使用可能な有機材料は、ポリフェニレンビニレン(PPV)系及びポリフルオレン系などの高分子有機物である。また、有機発光層120と画素電極117及び対向電極121との間には無機材料がさらに備えられてもよい。
【0063】
有機発光層120上には、共通電極として対向電極121が備えられる。本実施形態による有機発光表示装置1の場合、画素電極117はアノードとして使われ、対向電極121はカソードとして使われる。もちろん、電極の極性は逆であってもよいということはいうまでもない。
【0064】
対向電極121は、光を反射する物質を含む光反射電極として構成される。この時、前記対向電極121は、Al、Mg、Li、Ca、LiF/Ca、及びLiF/Alから選択された一つ以上の材料を含んでもよい。対向電極121が光反射電極として備えられることで、有機発光層120から放出された光は対向電極121で反射されて、透明導電体で構成された画素電極117を透過して基板10側に放出される。
【0065】
画素電極117の外郭を覆う第4絶縁層19は、画素電極117と対向電極121との間で画素定義膜として機能する。
【0066】
第4絶縁層19は、有機絶縁膜で形成される。第4絶縁層19は、ポリメチルメタクリレート(PMMA)やポリスチレン(PS)のような一般汎用高分子、フェノール基を持つ高分子誘導体、アクリル系高分子、イミド系高分子、アリルエーテル系高分子、アミド系高分子、フッ素系高分子、p−キシレン系高分子、ビニルアルコール系高分子及びこれらの混合物などであってもよい。
【0067】
第4絶縁層19は、前述した薄膜トランジスタのソース電極218a及びドレイン電極218bを覆い、ソース電極218a及びドレイン電極218bのうち一つが画素電極117と電気的に連結する。一方、添付図面には、ソース電極218aが画素電極117と連結されるように図示されているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、画素電極117が、ドレイン電極218bと電気的に連結されてもよいということはいうまでもない。
【0068】
この時、ソース電極218a及びドレイン電極218bのうち画素電極117と連結される接続部は、画素電極117より上に配置される。これは後述するが、ソース電極218a及びドレイン電極218bが画素電極117より後でパターニングされるためである。したがって、ソース電極218a及びドレイン電極218bは、画素電極117とエッチングレートの異なる材料で形成されることが望ましい。
【0069】
キャパシタ領域CAP1には基板10及びバッファ層11上に、薄膜トランジスタのゲート電極214と同一材料で形成されたキャパシタの下部電極314と、画素電極117と同一材料で形成されたキャパシタの上部電極317、及び前記下部電極314と上部電極317との間に直接配置された第3絶縁層316が備えられる。
【0070】
この時、薄膜トランジスタのゲート電極214とソース電極218a及びドレイン電極218bとの間に位置する第2絶縁層15は、キャパシタの上部電極317と下部電極314との間には配置されない。ここで、第2絶縁層15がキャパシタの上部電極317と下部電極314との間に配置されないということは、第2絶縁層15はキャパシタの誘電膜としての役割を行わないという意味である。例えば、図1に示したように、第2絶縁層15は、下部電極314の外郭に若干オーバーラップされて配置される。後述するが、これは、第2絶縁層15をパターニングして下部電極314を露出させる開口(C2、図4B参照)を形成した時、一部残った部分である。
【0071】
もし、第2絶縁層15のパターニング時にキャパシタの下部電極314を全部露出させるならば、下部電極314と、第3絶縁層15上に形成される上部電極317との間に漏れ電流が発生する可能性がある。しかし、第2絶縁層15は下部電極314を全部露出させずにその外郭を一部覆っているため、上部電極317と下部電極314との間の漏れ電流の発生を回避できる。
【0072】
一方、薄膜トランジスタの層間絶縁膜として機能する第2絶縁層15は、薄膜トランジスタの特性を考慮して所定厚さ以上に設計されるが、キャパシタは、誘電膜の厚さが大きいほど静電容量が低減するため、誘電膜を層間絶縁膜と同じ厚さに形成する場合、静電容量が低減する。
【0073】
しかし、本実施形態によれば、第2絶縁層15はキャパシタの誘電膜として使われず、本実施形態の誘電膜として使われる第3絶縁層316は、第2絶縁層15より厚さを小さく形成できるため、静電容量の低減を回避できる。第3絶縁層316の厚さは、500Å以上2000Å以下に形成することで適切な静電容量を維持できる。
【0074】
また、本実施形態で誘電膜として使われる第3絶縁層316は、誘電率の大きい絶縁材料で形成される。前述したように、第3絶縁層316は、ゲート絶縁膜を形成する第1絶縁層13と別個の層で形成されるため、第1絶縁層13より誘電率の大きい材料で形成することで、静電容量を増大させることができる。したがって、キャパシタの面積を増大させずとも、静電容量を増大させることができるため、相対的に画素電極117の面積を大きくすることができて、有機発光表示装置1の開口率を高めることができる。
【0075】
前述した第3絶縁層316は無機絶縁膜で形成される。例えば、第3絶縁層316は、SiO、SiN、SiON、Al、TiO、Ta、HfO、ZrO、BST、及びPZTを含むグループから選択された少なくとも一つを含んでもよい。
また、後述するが、上部電極317及び第3絶縁層316は同一マスク工程でパターニングされるため、同じエッチング面を持つ。
【0076】
上部電極317上に第4絶縁層19が形成される。第4絶縁層19は有機絶縁膜で形成される。対向電極121と上部電極317との間に、誘電率の小さな有機絶縁物を含む第4絶縁層19が介在することで、対向電極121と上部電極317との間に形成される寄生容量を低減させることができ、寄生容量による信号妨害を回避できる。
【0077】
有機発光表示装置1の外郭には、外装ドライバの接続端子であるパッド電極418が形成されたパッド領域PAD1が配置される。
【0078】
本実施形態で、パッド電極418は、ソース電極218a及びドレイン電極218bと同一材料からなる。また、パッド電極418は、ソース電極218a及びドレイン電極218bと同一層に形成される。すなわち、パッド電極418は第2絶縁層15上に直接形成される。
【0079】
パッド電極418は、前述したゲート電極214、画素電極117、及び上部電極317より後で形成されるため、パッド電極418の上部に、ゲート電極214、画素電極117、または上部電極317を形成する材料が位置しない。すなわち、ゲート電極214、画素電極117または上部電極317を形成する材料がパッド電極418上に位置することにより、またはこれらをパッド電極418上から除去する過程により、パッド電極418の信頼性が低下することを回避できる。
【0080】
一方、図1には図示されていないが、本実施形態による有機発光表示装置1は、ピクセル領域PXL1、キャパシタ領域CAP1、及び薄膜トランジスタ領域TFT1を含む表示領域を封止する封止部材(図示せず)をさらに備える。封止部材は、ガラス材を含む基板、金属フィルム、または有機絶縁膜及び無機絶縁膜が交互に配置された封止薄膜で形成される。
【0081】
以下、図2Aから図7Bを参照して、本実施形態による有機発光表示装置1の製造方法を説明する。
【0082】
図2A及び図2Bは、本実施形態による有機発光表示装置1の第1マスク工程を概略的に示す断面図である。
【0083】
図2Aを参照すれば、基板10上にバッファ層11及び半導体層12が順次形成される。
【0084】
バッファ層11及び半導体層12は、PECVD(Plasma Enhanced Chemical Vapor Deosition)法、APCVD(Atmospheric Pressure CVD)法、LPCVD(low Pressure CVD)法などの多様な蒸着方法により形成される。
【0085】
半導体層12は、非晶質シリコンまたは結晶質シリコンからなる。この時、結晶質シリコンは、非晶質シリコンを結晶化して形成してもよい。非晶質シリコンを結晶化する方法は、RTA(Rapid Thermal Annealing)法、SPC(Solid Phase Crystallzation)法、ELA(Excimer Laser Annealing)法、MIC(Metal Induced Crystallzation)法、MILC(Metal Induced Lateral Crystallzation)法、SLS(Sequential Lateral Solidification)法などの多様な方法が適用できる。
【0086】
半導体層12上に第1フォトレジストPR1を塗布し、光遮断部M11及び透光部M12を備える第1フォトマスクM1を用いる第1マスク工程を行う。添付図面には図示されていないが、露光装置(図示せず)で露光後、現像、エッチングを行い、ストリッピングまたはアッシングを行うなどの一連の工程を経る。
【0087】
図2Bは、第1マスク工程の結果を概略的に示す断面図である。
【0088】
図2Bを参照すれば、第1フォトマスクM1の光遮断部M11に対応する位置に半導体層12がパターニングされて、薄膜トランジスタの活性層212cが形成される。
【0089】
図3A及び図3Bは、本実施形態による有機発光表示装置1の第2マスク工程を概略的に示す断面図である。
【0090】
図3Aを参照すれば、図2Bの第1マスク工程の結果物上に第1絶縁層13及び第1導電層14が順次形成される。
【0091】
第1絶縁層13は、SiO、SiN、SiON、Al、TiO、Ta、HfO、ZrO、BST及びPZTから選択された無機絶縁膜で形成され、第1導電層14は、アルミニウム(Al)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、マグネシウム(Mg)、金(Au)、ニッケル(Ni)、ネオジム(Nd)、イリジウム(Ir)、クロム(Cr)、ニッケル(Li)、カルシウム(Ca)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、タングステン(W)、銅(Cu)から選択された一つ以上の金属によって単層または複数層で形成される。
【0092】
第1導電層14上に第2フォトレジストPR2を塗布し、光遮断部M21T、M21C及び透光部M22を備える第2フォトマスクM2を用いて第2マスク工程を行う。
【0093】
図3Bは、第2マスク工程の結果を概略的に示す断面図である。
【0094】
図3Bを参照すれば、第2フォトマスクM2の光遮断部M21Tに対応する位置の第1導電層14は、薄膜トランジスタのゲート電極214としてパターニングされ、光遮断部M21Cに対応する位置の第1導電層14は、キャパシタの下部電極314としてパターニングされる。
【0095】
第1絶縁層13は、薄膜トランジスタの活性層212とゲート電極214との間に位置するためゲート絶縁膜として機能するが、キャパシタの下部電極314の下部に位置するので、キャパシタの誘電膜としては機能しない。したがって、第1絶縁層13はキャパシタの特性を考慮する必要がなく、薄膜トランジスタの特性のみ考慮して材料を選択できる。
【0096】
前記のような構造物上にイオン不純物がドープ(D)される。イオン不純物はBまたはPイオンをドープすることができ、1×1015atoms/cm以上の濃度で、薄膜トランジスタの活性層212をターゲットとしてドープ(D)する。
【0097】
ゲート電極214をセルフ・アラインマスクとして使用して、活性層212にイオン不純物をドープすることで、活性層212は、イオン不純物がドープされたソース及びドレイン領域212a、212bと、その間にチャネル領域212cとを備えることができる。
【0098】
また、図3A及び図3Bには詳細に図示していないが、第2マスク工程で第1導電層14をパターニングして、ゲート電極214と連結されるスキャンラインのような配線を共に形成できる。
【0099】
図4A及び図4Bは、本実施形態による有機発光表示装置1の第3マスク工程を概略的に示す断面図である。
【0100】
図4Aを参照すれば、図3Bの第2マスク工程の結果物上に第2絶縁層15が形成される。
【0101】
第2絶縁層15は、SiO、SiN、SiON、Al、TiO、Ta、HfO、ZrO、BST及びPZTから選択された無機絶縁膜で形成されるが、前述した第1絶縁層13で使用した材料と屈折率の異なる材料を使用することが望ましい。
【0102】
第2絶縁層15上に第3フォトレジストPR3を塗布し、光遮断部M31及び透光部M32T、M32Cを備える第3フォトマスクM3を用いて第3マスク工程を行う。
【0103】
図4Bは、第3マスク工程の結果を概略的に示す断面図である。
【0104】
図4Bを参照すれば、第3フォトマスクM3の透光部M32Tに対応する位置の第2絶縁層15は、活性層212のソース領域212a及びドレイン領域212bの一部を露出させる開口C1としてパターニングされ、透光部M32Cに対応する位置の第2絶縁層15は、キャパシタの下部電極314を露出させる開口C2としてパターニングされる。
【0105】
図5A及び図5Bは、本実施形態による有機発光表示装置1の第4マスク工程を概略的に示す断面図である。
【0106】
図5Aを参照すれば、図4Bの第3マスク工程の結果物上に第3絶縁層16及び第2導電層17が順次形成される。第3絶縁層16及び第2導電層17は、第2絶縁層15の上部及びキャパシタの上部電極314上に順次積層される。
【0107】
第3絶縁層16は、SiO、SiN、SiON、Al、TiO、Ta、HfO、ZrO、BST及びPZTから選択された無機絶縁膜で形成されるが、DBRとして機能するために、第1絶縁層13及び第2絶縁層15で使用した材料と屈折率の異なる材料を使用することが望ましい。
【0108】
第2導電層17は、透明導電性酸化物で形成される。例えば、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化インジウム(In)、酸化インジウムガリウム(IGO)、及びアルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)を含むグループから選択された材料で形成される。
【0109】
第2導電層17上に第4フォトレジストPR4を塗布し、光遮断部M41X、M41C及び透光部M42を備える第4フォトマスクM4を用いて第4マスク工程を行う。
【0110】
図5Bは、第4マスク工程の結果を概略的に示す断面図である。
【0111】
図5Bを参照すれば、第4フォトマスクM4の光遮断部M41Xに対応する位置の第3絶縁層16及び第2導電層17は、画素電極117と画素電極117下部の第3絶縁層116としてパターニングされ、光遮断部M41Cに対応する位置の第3絶縁層16及び第2導電層17は、キャパシタの誘電膜316及び上部電極317としてパターニングされる。
【0112】
第3絶縁層16及び第2導電層17は同一マスク工程でパターニングされるため、エッチング工程は2回行われる。すなわち、第3絶縁層16のエッチング工程と、第2導電層17のエッチング工程とに分けて行われる。
【0113】
しかし、第3絶縁層16及び第2導電層17は同一マスク工程でエッチングされるため、第3絶縁層16と第2導電層17とのエッチング面、すなわち、画素電極の下部の第3絶縁層116と画素電極117、及び誘電膜316と上部電極317とのエッチング面は同一に形成される。ここで、エッチング面が同一に形成されるということは、画素電極117及び上部電極317が画素電極下部の第3絶縁層116及び誘電膜316のエッチング時、エッチングマスクとして機能し、そのエッチング面がほぼ同じであることをいう。
【0114】
第3絶縁層16は、キャパシタの上部電極317と下部電極314との間に直接配置されることでキャパシタの誘電膜316として機能するが、薄膜トランジスタには形成されないため、ゲート絶縁膜としては機能しない。したがって、第3絶縁層16は、薄膜トランジスタの特性を考慮せずにキャパシタの特性のみを考慮して材料または厚さなどを選択できるため、工程の設計自由度が高くなる。
【0115】
図6A及び図6Bは、本実施形態による有機発光表示装置1の第5マスク工程を概略的に示す断面図である。
【0116】
図6Aを参照すれば、図5Bの第4マスク工程の結果物上に第3導電層18が形成される。第3導電層18は、ソース領域212a及びドレイン領域212bが露出した開口C1を充填する。
【0117】
第3導電層18は、アルミニウム(Al)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、マグネシウム(Mg)、金(Au)、ニッケル(Ni)、ネオジム(Nd)、イリジウム(Ir)、クロム(Cr)、ニッケル(Li)、カルシウム(Ca)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、タングステン(W)、銅(Cu)から選択された一つ以上の金属によって単層または複数層で形成される。
【0118】
第3導電層18上に第5フォトレジストPR5を塗布し、光遮断部M51T、M51P及び透光部M52を備える第5フォトマスクM5を用いて第5マスク工程を行う。
【0119】
図6Bは、第5マスク工程の結果を概略的に示す断面図である。
【0120】
図6Bを参照すれば、第5フォトマスクM5の光遮断部M51Tに対応する位置の第3導電層18は、活性層212のソース領域212a及びドレイン領域212bと開口C1を通じて連結されるソース電極218a及びドレイン電極218bとしてパターニングされる。また、光遮断部M51Pに対応する位置の第3導電層18は、パッド領域のパッド電極418としてパターニングされる。
【0121】
ソース電極218a及びドレイン電極218bを形成するために第3導電層18をエッチングする工程において、画素電極117及び上部電極317も第3導電層18をエッチングするためのエッチング液に曝露されるため、第3導電層18は、画素電極117及び上部電極317とエッチングレートの異なる材料で形成されることが望ましい。
【0122】
ソース電極218a及びドレイン電極218bのうち一つは、画素電極117と電気的に連結される。本実施形態でソース電極218a及びドレイン電極218bは、画素電極117の形成後にパターニングされるため、画素電極117と連結されるソース電極218aまたはドレイン電極218bの接続部は、画素電極117より上に形成される。
【0123】
一方、前記図6A及び図6Bには詳細に図示していないが、第5マスク工程で第3導電層18をパターニングして、ソース電極218a及び/またはドレイン電極218bと連結されるデータラインなどの配線を共に形成できる。
【0124】
図7A及び図7Bは、本実施形態による有機発光表示装置1の第6マスク工程を概略的に示す断面図である。
【0125】
図7Aを参照すれば、図6Bの第5マスク工程の結果物上に第4絶縁層19が塗布される。第4絶縁層19は、有機絶縁膜で形成される。特に、第4絶縁層19を感光性有機絶縁膜とする場合、別途フォトレジストを使用しなくてもよい。
【0126】
光遮断部M61及び透光部M62X、M62Pを備える第6フォトマスクM6を用いる第6マスク工程を行う。
【0127】
図7Bは、第6マスク工程の結果を概略的に示す断面図である。
【0128】
図7Bを参照すれば、透光部M62Xに対応する位置の第4絶縁層19は、画素電極117の上部を露出させる開口C3が形成され、透光部M62Pに対応する位置の第4絶縁層19は、パッド電極418を露出させる開口C4が形成される。
【0129】
画素電極117を露出させる開口C3は、発光領域を定義する役割以外に、画素電極117のエッジと対向電極121(図1)との間隔を広げて、画素電極117のエッジで電界が集中する現象を回避し、画素電極117と対向電極120との短絡を防止する役割を担う。
【0130】
添付図面には図示されていないが、第6マスク工程以後に画素電極117上に有機発光層120を形成し、有機発光層120上に共通電極の対向電極121(図1)を形成して、図1の有機発光表示装置を形成することができる。また、対向電極121(図1)上に封止部材(図示せず)をさらに形成できる。
【0131】
以下、図8を参照して、本発明の他の実施形態による有機発光表示装置2を説明する。以下、前述した実施形態との差異点を中心として説明する。
【0132】
図8は、本発明の他の実施形態による有機発光表示装置2を概略的に示す断面図である。
【0133】
図8を参照すれば、本発明の他の実施形態による有機発光表示装置2の基板10上には、少なくとも一つの有機発光層120が備えられたピクセル領域PXL2、少なくとも一つの薄膜トランジスタが備えられたトランジスタ領域TFT2、少なくとも一つのキャパシタが備えられたキャパシタ領域CAP2、及び少なくとも一つのパッド電極418が備えられたパッド領域PAD2が形成される。トランジスタ領域TFT2及びパッド領域PAD2は、前述した実施形態による有機発光表示装置1と同一である。
【0134】
ピクセル領域PXL2には、基板10、バッファ層11、第1絶縁層13、第2絶縁層15及び第3絶縁層116上にキャパシタの上部電極317と同一材料で形成された画素電極117−1が備えられる。
【0135】
背面発光型である場合、画素電極117−1は透明電極で形成され、対向電極121は反射電極で形成される。
【0136】
画素電極117−1上に有機発光層120が形成され、有機発光層120から放出された光は、透明導電体で形成された画素電極117−1を通じて基板10側に放出される。
【0137】
本実施形態による有機発光表示装置2は、画素電極117−1が透明導電層117aのみで形成されるのではなく、透明導電層117a上に配置された半透過金属層117bをさらに含んで複数層で形成される。
【0138】
対向電極121が反射ミラーとして機能し、半透過金属層117bが半透過ミラーとして機能することで、有機発光層119から放出された光は、対向電極121と半透過金属層117bとの間で共振される。
【0139】
したがって、本実施形態による有機発光表示装置2は、画素電極117−1の下部に配置された第1絶縁層13から第3絶縁層116のDBRによる共振効果以外に、ミラーによる共振効果が付加されて有機発光表示装置2の光効率がさらに向上する。
【0140】
かかる半透過金属層117bとして、銀(Ag)、銀(Ag)合金、アルミニウム(Al)、及びアルミニウム(Al)合金から選択された少なくとも一つ以上の材料が選択される。反射電極である対向電極121に対する共振ミラーとして作用するために、半透過金属層117bの厚さは300Å以下の厚さであることが望ましい。
【0141】
特に、半透過金属層117bが銀(Ag)を含む場合、半透過金属層117bの形成後にソース電極218a及びドレイン電極218bが形成されるため、銀(Ag)を含む半透過金属層117bは、ソース電極218a及びドレイン電極218bのエッチング時に損傷される恐れがある。したがって、半透過金属層117b上に銀(Ag)を保護する保護層117cをさらに備えてもよい。保護層117cとしては、ITOなどを含む透明導電性酸化物を用いてもよい。
【0142】
半透過金属層117bを含む画素電極117−1は、前述した第4マスク工程でパターニングされる。この時、画素電極117−1上に他の導電層が存在していない状態で、画素電極117−1単独でパターニングされる。
【0143】
もし、画素電極117−1の上部に他の導電層(図示せず)がさらに形成され、その他の導電層(図示せず)と画素電極117−1とが同時に同じパターンでパターニングされる場合、画素電極117−1のエッチングは容易でない。特に、半透過金属層117bが銀(Ag)を含む場合、損傷を大きく受けるため、ミラーを用いる共振構造を形成し難い。しかし、本実施形態では、画素電極117−1単独で共振構造の半透過ミラーとしてパターニングされるため、共振ミラーの具現が容易である。
【0144】
一方、本実施形態による有機発光表示装置2は、キャパシタの上部電極317と画素電極117−1とが同一材料で形成されるため、図8には図示していないが、上部電極317も画素電極117−1と同様に、下から上に透明導電層、半透過金属層、及び保護層が順次備えられる。
【0145】
以上、本発明を実施例に基づいて説明した。本発明によれば、第1に、キャパシタの誘電膜と薄膜トランジスタのゲート絶縁膜とを別個の絶縁層で形成できるため、キャパシタ及び薄膜トランジスタ素子それぞれの特性に好適な絶縁層を設計することができる。
【0146】
第2に、キャパシタの誘電膜の厚さを制御することが容易になるため、キャパシタの面積を増大させずとも、静電容量を増大させることができる。したがって、相対的に画素電極の面積を大きくすることができて有機発光表示装置の開口率を高めることができる。
【0147】
第3に、共振構造の半透過ミラーとして使われる画素電極上に、別途に積層された導電層を形成せずとも、画素電極単独で共振ミラーをパターニングできるため、共振ミラーの形成が容易になる。
【0148】
第4に、パッド電極が後工程で形成されるので、パッド電極の信頼性低下を回避できる。
【0149】
第5に、6つのマスク工程で、前記のような薄膜トランジスタアレイ基板及び有機発光表示装置を製造できる。
【0150】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0151】
本発明は、薄膜トランジスタアレイ基板、薄膜トランジスタアレイ基板を備える有機発光表示装置関連の技術分野に適用可能である。
【符号の説明】
【0152】
1 有機発光表示装置
10 基板
11 バッファ層
13 第1絶縁層
15 第2絶縁層
19 第4絶縁層
116 第3絶縁層
117 画素電極
120 有機発光層
121 対向電極
212 活性層
212a ソース領域
212b ドレイン領域
212c チャネル領域
214 ゲート電極
218a ソース電極
218b ドレイン電極
314 下部電極
316 第3絶縁層
317 上部電極
418 パッド電極
C1〜C4 開口
PR1〜PR5 フォトレジスト
M1〜M6 フォトマスク


【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に配置され、活性層、ゲート電極、ソース電極、ドレイン電極、前記活性層と前記ゲート電極との間に配置された第1絶縁層、及び前記ゲート電極と前記ソース電極及び前記ドレイン電極間に配置された第2絶縁層を含む薄膜トランジスタと、
前記第1絶縁層及び前記第2絶縁層上に配置され、前記ソース電極及び前記ドレイン電極のうち一つと連結される画素電極と、
前記ゲート電極と同一層で形成された下部電極及び前記画素電極と同一材料を含む上部電極を含むキャパシタと、
前記第2絶縁層と前記画素電極との間及び前記下部電極と前記上部電極との間に直接形成された第3絶縁層と、
前記ソース電極、前記ドレイン電極及び前記上部電極を覆って前記画素電極を露出させる第4絶縁層と、を含む薄膜トランジスタアレイ基板。
【請求項2】
前記第1絶縁層は、前記活性層の上部及び前記下部電極下部に共通に形成される請求項1に記載の薄膜トランジスタアレイ基板。
【請求項3】
前記第2絶縁層は、前記上部電極及び下部電極との間には形成されない請求項1又は2に記載の薄膜トランジスタアレイ基板。
【請求項4】
前記第3絶縁層の厚さは、前記第2絶縁層の厚さより小さい請求項1から3のいずれか一項に記載の薄膜トランジスタアレイ基板。
【請求項5】
前記第3絶縁層の厚さは、500Å以上2000Å以下である請求項1から4のいずれか一項に記載の薄膜トランジスタアレイ基板。
【請求項6】
前記第3絶縁層の誘電率は、前記第1絶縁層の誘電率より大きい請求項1から5のいずれか一項に記載の薄膜トランジスタアレイ基板。
【請求項7】
前記第3絶縁層は、SiN、SiO、ZrO、TiO、Ta、Alを含むグループから選択された少なくとも一つを含む請求項1から6のいずれか一項に記載の薄膜トランジスタアレイ基板。
【請求項8】
前記第1絶縁層、前記第2絶縁層及び前記第3絶縁層は、前記画素電極と前記基板との間に、順に配置され、隣接する前記第1、第2及び第3絶縁層の屈折率は相異なる請求項1から7のいずれか一項に記載の薄膜トランジスタアレイ基板。
【請求項9】
前記画素電極は、透明導電性酸化物(TCO)を含む請求項1から8のいずれか一項に記載の薄膜トランジスタアレイ基板。
【請求項10】
前記透明導電性酸化物は、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化インジウム(In)、酸化インジウムガリウム(IGO)、及びアルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)を含むグループから選択された少なくとも一つを含む請求項9に記載の薄膜トランジスタアレイ基板。
【請求項11】
前記画素電極は、半透過金属層をさらに含む請求項1から10のいずれか一項に記載の薄膜トランジスタアレイ基板。
【請求項12】
前記半透過金属層は、前記透明導電性酸化物を含む層上に配置される請求項11に記載の薄膜トランジスタアレイ基板。
【請求項13】
前記半透過金属層は、銀(Ag)、銀合金、アルミニウム(Al)、及びアルミニウム合金から選択された少なくとも一つを含む請求項11又は12に記載の薄膜トランジスタアレイ基板。
【請求項14】
前記半透過金属層上に保護層がさらに備えられた請求項11から13のいずれか一項に記載の薄膜トランジスタアレイ基板。
【請求項15】
前記保護層は、透明導電性酸化物を含む請求項14に記載の薄膜トランジスタアレイ基板。
【請求項16】
前記画素電極と前記画素電極の下部に位置する第3絶縁層とは、同じエッチング面を持つ請求項1から15のいずれか一項に記載の薄膜トランジスタアレイ基板。
【請求項17】
前記上部電極と前記上部電極の下部に位置する第3絶縁層とは、同じエッチング面を持つ請求項1から16のいずれか一項に記載の薄膜トランジスタアレイ基板。
【請求項18】
前記ソース電極及び前記ドレイン電極のうち、前記画素電極と連結される接続部は、前記画素電極より上に配置される請求項1から17のいずれか一項に記載の薄膜トランジスタアレイ基板。
【請求項19】
前記ソース電極及び前記ドレイン電極は、前記画素電極及び前記上部電極とエッチングレートの異なる材料を含む請求項1から18のいずれか一項に記載の薄膜トランジスタアレイ基板。
【請求項20】
前記ソース電極及び前記ドレイン電極と同一材料からなるパッド電極をさらに含む請求項1から19のいずれか一項に記載の薄膜トランジスタアレイ基板。
【請求項21】
前記パッド電極は、前記ソース電極及びドレイン電極と同一層で形成された請求項20に記載の薄膜トランジスタアレイ基板。
【請求項22】
基板上に配置され、活性層、ゲート電極、ソース電極、ドレイン電極、前記活性層と前記ゲート電極との間に配置された第1絶縁層、及び前記ゲート電極と前記ソース電極及び前記ドレイン電極間に配置された第2絶縁層を含む薄膜トランジスタと、
前記第1絶縁層及び前記第2絶縁層上に配置され、前記ソース電極及び前記ドレイン電極のうち一つと連結される画素電極と、
前記ゲート電極と同一層で形成された下部電極及び前記画素電極と同一材料を含む上部電極を含むキャパシタと、
前記第2絶縁層と前記画素電極との間及び前記下部電極と前記上部電極との間に直接形成された第3絶縁層と、
前記ソース電極、前記ドレイン電極及び前記キャパシタを覆って前記画素電極を露出させる第4絶縁層と、
前記画素電極上に配置された有機発光層と、
前記有機発光層上に配置された対向電極と、を含む有機発光表示装置。
【請求項23】
前記対向電極は、前記有機発光層から放出された光を反射する反射電極である請求項22に記載の有機発光表示装置。
【請求項24】
基板上に半導体層を形成し、前記半導体層をパターニングして薄膜トランジスタの活性層を形成する第1マスク工程と、
前記第1マスク工程の結果物上に、第1絶縁層を形成し、前記第1絶縁層上に第1導電層を積層し、前記第1導電層をパターニングして薄膜トランジスタのゲート電極、及びキャパシタの下部電極を形成する第2マスク工程と、
前記第2マスク工程の結果物上に、第2絶縁層を形成し、前記第2絶縁層が前記活性層のソース領域及びドレイン領域及び前記下部電極を露出させるように開口を形成する第3マスク工程と、
前記第3マスク工程の結果物上に、第3絶縁層及び第2導電層を順次形成し、前記第3絶縁層及び前記第2導電層を同時にパターニングして、画素電極、前記下部電極上に直接配置される誘電膜、及び上部電極を形成する第4マスク工程と、
前記第4マスク工程の結果物上に、第3導電層を形成し、前記第3導電層をパターニングしてソース電極及びドレイン電極を形成する第5マスク工程と、
第4絶縁層を形成し、前記画素電極が露出されるように前記第4絶縁層を除去する第6マスク工程と、を含む薄膜トランジスタアレイ基板の製造方法。
【請求項25】
前記第2マスク工程の後、前記ソース領域及び前記ドレイン領域にイオン不純物をドープする請求項24に記載の薄膜トランジスタ基板の製造方法。
【請求項26】
前記第4マスク工程は、前記第3絶縁層をエッチングする第1エッチング工程、前記第2導電層をエッチングする第2エッチング工程を含む請求項24又は25に記載の薄膜トランジスタアレイ基板の製造方法。
【請求項27】
前記第5マスク工程で、前記第3導電層は前記第2導電層とエッチングレートの異なる材料で形成される請求項24から26のいずれか一項に記載の薄膜トランジスタアレイ基板の製造方法。
【請求項28】
前記第5マスク工程で、前記ソース電極及び前記ドレイン電極と同一材料を含むパッド電極をさらに形成する請求項24から27のいずれか一項に記載の薄膜トランジスタアレイ基板の製造方法。
【請求項29】
前記第4マスク工程で、前記第2導電層は、透明導電層及び半透明導電層が順次積層される請求項24から28のいずれか一項に記載の薄膜トランジスタアレイ基板の製造方法。
【請求項30】
前記半透明導電層上に保護層がさらに形成される請求項29に記載の薄膜トランジスタアレイ基板の製造方法。
【請求項31】
前記第3絶縁層は、前記第2絶縁層より厚さが小さく形成される請求項24から30のいずれか一項に記載の薄膜トランジスタアレイ基板の製造方法。
【請求項32】
前記第3絶縁層は、前記第1絶縁層より誘電率の大きい材料で形成される請求項24から31のいずれか一項に記載の薄膜トランジスタアレイ基板の製造方法。


【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−25307(P2013−25307A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−149855(P2012−149855)
【出願日】平成24年7月3日(2012.7.3)
【出願人】(512187343)三星ディスプレイ株式會社 (73)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Display Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】95,Samsung 2 Ro,Giheung−Gu,Yongin−City,Gyeonggi−Do,Korea
【Fターム(参考)】