説明

薄膜パターン形成方法

【課題】従来困難であった材料でも精細な薄膜パターンの形成を可能とする。
【解決手段】薄膜の画線部と、薄膜のない非画線部とからなる薄膜パターンの形成方法であって、レジスト剥離性フィルム上にレジストを塗工する工程と、前記レジストを予備乾燥し予備乾燥レジスト膜とする工程と、前記非画線部パターンを凹部とし、前記画線部パターンを凸部とした凸版を前記予備乾燥レジスト膜に押し当ててから引き離すことで、前記画線部パターンの前記予備乾燥レジスト膜を前記凸版の凸部に転移させる工程と、前記レジスト剥離性フィルム上に残された前記予備乾燥レジスト膜からなる前記非画線部パターンを前記被印刷基材の表面上へ転写し前記非画線部パターンを形成する工程と、薄膜材料を、前記非画線部パターンが形成された前記被印刷基材表面上に薄膜形成する工程と、前記非画線部パターンの薄膜とレジストを剥離する工程が含まれることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基材上へ薄膜の高精細パターンを形成する薄膜パターン形成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、我々の周りには薄膜生成技術が使われている商品が非常に多い。その例としてコンピュータを挙げてみれば、中央演算装置はもちろんのこと、メモリや液晶ディスプレイ、ハードディスクドライブなど全てその技術が溢れている。
【0003】
その技術の中でも、薄膜を高精細にパターニングする技術は、どの分野においても必要とされている技術の一つであり、様々な方法が開発されている。
【0004】
例えば、液体を堆積させて数μmオーダーの薄膜パターンを形成する場合などは、フォトリソ法やインクジェット法、反転印刷法などが用いられることが多い。とりわけ反転印刷法は、現像・露光などの大掛かりな工程が無く、非常に簡便・低コストであり、そのうえ高精細化も可能である(特許文献1)。
【0005】
現在、この反転印刷法に関しては、従来のシリコーンゴムまたはシリコーン樹脂からなるブランケットに代わって、巻き取りロールから剥離性フィルムを供給し,その剥離性フィルムをブランケット代わりに使用する印刷方法が提案されている(特許文献2)。この印刷方法によれば、剥離性フィルムを順次送り出し使用することが出来るため、残存溶剤の影響も少なく転写の安定性を確保することが可能である。
【0006】
また、剥離性フィルムが光学的に透明であることで、剥離性フィルム表面に残った画像パターンやアライメントマーク越しに、被印刷基材上の画像パターンやアライメントマークを確認することができることから、転写位置を正確に合わせこむことが容易となり再現性の高い高精細パターンを形成することが可能となっている。
【0007】
以上のように、薄膜を高精細にパターニングする技術として反転印刷法は非常に優れた方法だが、パターン形成に用いたい材料全てで高精細なパターンが得られるわけではない。パターン形成に用いたい材料の物性によっては、反転印刷法の非パターン部を取り除く工程で全く非パターン部が除去されないなど、多くの不具合が転写工程において生じてしまう。もちろん、金属薄膜など液体以外の材料では、反転印刷法でダイレクトにパターニングすることはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11−198337号公報
【特許文献2】特開2009−96073号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このように、薄膜パターニング技術として、簡便、低コスト、高精細化が可能な反転印刷法ではあるが、パターニングできる材料が限られてしまう欠点があるため、パターン形成に用いる材料の選択性が非常に狭く、その結果、印刷物の特性が限定されてしまい、薄膜パターニング技術としての展開を妨げることに繋がっていた。本発明は、従来困難であった薄膜材料でも薄膜パターンの形成を可能とすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明において上記課題を達成するための、請求項1に記載の発明は、被印刷基材上に薄膜の画線部と、薄膜のない非画線部とからなる薄膜パターンの形成方法であって、
少なくとも、レジスト剥離性フィルム上にレジストを塗工する工程と、
前記レジストを予備乾燥し予備乾燥レジスト膜とする工程と、
前記非画線部パターンを凹部とし、前記画線部パターンを凸部とした凸版を前記予備乾燥レジスト膜に押し当ててから引き離すことで、前記画線部パターンの前記予備乾燥レジスト膜を前記凸版の凸部に転移させる工程と、
前記レジスト剥離性フィルム上に残された前記予備乾燥レジスト膜からなる前記非画線部パターンを前記被印刷基材の表面上へ転写し前記非画線部パターンを形成する工程と、
薄膜材料を、前記非画線部パターンが形成された前記被印刷基材表面上に薄膜形成する工程と、
前記非画線部パターンの薄膜とレジストを剥離する工程が含まれることを特徴とする薄膜パターンの形成方法である。
【0011】
また請求項2に記載の発明は、前記レジストを剥離する工程が、前記被印刷基材表面上の前記非画線部パターン上に粘着フィルムを貼り合わせた後、剥離することによって行われることを特徴とする請求項1に記載の薄膜パターンの形成方法である。
【0012】
また請求項3に記載の発明は、前記レジストと前記被印刷基材の密着力が、粘着フィルムを貼り合わせた後、剥離することによって前記レジストが前記被印刷基材基板から剥がれる程度弱く、かつ、前記レジストと前記薄膜材料との密着力よりも弱いことを特徴とする請求項2に記載の薄膜のパターン形成方法である。
【発明の効果】
【0013】
本発明は以上の特徴を持つことから、下記に示す効果がある。
【0014】
即ち、上記請求項1に係る発明によれば、レジストの高精細なパターン形成ができれば、そのパターンニング精度を利用して各種の薄膜材料でも簡単にパターン形成できる。この時、パターン形成したい薄膜材料は直接パターニングする必要がなく、ベタパターンの薄膜形成が可能であれば良い。そのため、さまざまな材料種が選択可能となる。さらに、段差などの低減も期待できる。また、薄膜金属パターンなどを形成する場合でも、蒸着法やスパッタリング法で薄膜形成を行い、反転印刷法で形成した非画線部パターンを用いることで、従来のフォトリソ法を利用した薄膜金属パターン形成と比較して低コストで高精細化、露光・現像などの大掛かりな工程の除去が可能である。
【0015】
また、上記請求項2に係る発明によれば粘着フィルムによるラミネート・剥離によって行われるため、大掛かりな装置や溶剤を使用することなく容易に非画線部パターンの除去が可能である。また、非画線部パターンの側壁にレジストや金属膜が付着しても問題なく剥離可能であるため、非画線部パターンを形成する際、形状にこだわらなくて良い。
【0016】
また、上記請求項3に係る発明によれば、レジストと基板の密着力が、粘着フィルムによるラミネート・剥離によって基板から剥がれる程度弱く、かつ、レジストと薄膜パターンを形成する材料との密着力よりも弱いため、微粘着フィルムのラミネート・剥離により非画線部パターンのみが基材から剥がれ落ち、簡単にレジストの除去が可能となる。
【0017】
従って、本発明の印刷方法では基材へ様々な種類の材料を高精細にパターン形成が可能である。そのため、エレクトロニクス部材であるカラーフィルター、有機EL、ゲート電極、などを作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の薄膜パターン形成方法の一例の実施装置構成を説明する模式図である。
【図2】本発明の薄膜パターン形成方法の一例を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明に使用する被印刷基材としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルサルフォン、シクロオレフィンポリマー、ポリイミド、ナイロン、アラミド、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、トリアセチルセルロースなどのフィルムを用いることができる。さらに光透過性の被印刷基材を用いることにより、パターンの重ね合わせ時にアライメントを容易とすることができる。これら被印刷基材は長尺の巻き取りロールで供給される。
【0020】
レジスト剥離性フィルムに用いる基材には、前記被印刷基材と同様なフィルムから選択することができる。前記基材へシリコーンオイル、シリコーンワニスで代表される離型剤を塗布する必要がある。離型剤としてシリコーンゴムの薄膜層を形成してもよい。また同じ目的でフッ素系樹脂、フッ素系ゴムも利用できるし、フッ素樹脂微粉末をシリコーンゴムあるいは、普通のゴムに混ぜて剥離性を出すなどの使い方をしてもよい。これらシリコーン系の塗膜は通常フィルム基材との密着力が低いが、最表面に設けるシリコーン層の下部より基材との接着性の高い熱硬化または紫外線硬化性のアクリル系樹脂、エポキシ系樹脂等の樹脂層を、アンカー層としてあらかじめ基材上に設けることで改善できる。
【0021】
いずれも適度のレジスト受容性を有すると同時に、一度受容したレジストの完全なレジスト剥離性を有することが望ましい。
【0022】
具体的には、シリコーンとして、ジメチルポリシロキサンの各種分子量のもの、その他メチルハイドロジエンポリシロキサン、メチルフェニルシリコーンオイル、メチル塩素化フェニルシリコーンオイル、あるいはこれらポリシロキサンと有機化合物との共重合体など、変成したものを用いることができる。
【0023】
シリコーンゴムとしては、二液型のジオルガノポリシロキサンと架橋剤としての三官能性以上のシラン、またはシロキサン及び硬化触媒を組み合わせたもの、あるいは一液型ではジオルガノポリシロキサンとアセトンオキシム、各種メトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン等の組み合わせなどが用いられ、その他ゴム硬度を調節するためのポリシロキサンが適宜用いられる。
【0024】
また、本発明に用いるレジスト剥離性フィルムとして、前記基材に無機膜を設けた後、シランカップリング剤による表面処理を施したものを用いることもできる。
【0025】
シランカップリング剤としては、トリメトキシシラン類、トリエトキシシラン類などを用いることができる。このシランカップリング剤の一部位は、ビニル基、エポキシ基、アミノ基、メタクリル基、メルカプト基などの有機化合物との反応性基を持つものから選ぶことができ、あるいはアルキル基やその一部にフッ素原子が置換されたものやシロキサンが結合して、表面自由エネルギーの小さな表面を形成できる置換基が結合したものを用いることができる。
【0026】
前者の反応性基を有するシランカップリング剤を用いる場合には、シランカップリング剤で基材表面を処理した後、所定の表面自由エネルギーになるような他のモノマー成分を
塗工して、結合させることができる。反応性基を有するシランカップリング剤としては、ビニルメトキシシラン、ビニルエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3、4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシランなどを用いることができ、モノマーとして、スチレン、エチレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチルプロパントリグリシジルエーテル、ラウリルアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートなどを用いることができる。
【0027】
また、反応性基を有さないシランカップリング剤としてはメチルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシランなどを用いることができる。但し、アルキル基に限定されるものではない。
【0028】
上記シランカップリング剤を上記基材に固定化する方法としては、定法の表面処理方法を用いることができる。例えば、シランカップリング剤を水、酢酸水溶液、水−アルコール混合液、あるいはアルコール溶液に希釈させた溶液を調製する。前記溶液を公知の塗工方法であるグラビアコーター、ロールコーター、ダイコーター等を用いて基材表面に塗工し、次いで乾燥させることでシランカップリング剤を固定化できる。また、反応性基を有するシランカップリング剤を用いた場合には、次いで他のモノマー成分を同様に塗工して結合させることができる。
【0029】
上記シランカップリング剤を基材上に固定化するためには、あらかじめ基材上にSiOやTiO、ZrOもしくはこれらの複合膜が設けられていることが好ましい。これら無機酸化膜は既知の蒸着法やスパッタ法を用いて設けたものを用いることができる。
【0030】
また、上記無機酸化膜を設ける方法として、一般式M(OR)nで表される金属アルコキシド(MはSi、Ti、Al、Zrなどの金属、RはCH、Cなどのアルキル基)を水、アルコールの共存下で加水分解反応および縮重合反応させて得られたゲル溶液を表面にコーティング後、加熱することで無機酸化物膜を設ける、いわゆるゾル−ゲル法を用いることができる。
【0031】
さらに、上記ゾル−ゲル法で用いる金属アルコキシド溶液中にあらかじめ上記シランカップリング剤を添加しておくこともできる。この場合、表面性改質に特に効果が得られる。
【0032】
このようにして得られるレジスト剥離性フィルムに対するレジスト剥離性の評価は、接触角を尺度とすると、処理面へレジストを滴下した際の接触角が、10°以上90°以下となるのが好ましく、より好ましくは20°以上70°以下である。この接触角が小さいと後工程でのレジスト剥離性が低下してパターンの欠陥(出っ張り、ブリッジ、あるいは再現性不良等)が発生しやすくなり、接触角が大きいとレジスト液膜を形成する際にハジキが生じてしまう。
【0033】
上記に示したレジスト剥離性フィルム上へレジスト液膜を形成する方法としては、レジスト液の粘度や溶媒の乾燥性によって公知の塗工方法を用いることができる。すなわち、例えばディッピング法、ロールコート、グラビアコート、リバースコート、エアナイフコート、コンマコート、ダイコート、スクリーン印刷法、スプレーコート、グラビアオフセット法等が挙げられる。中でも、ダイコート、キャップコート、ロールコート、アプリケータは、広い範囲の粘度のレジストについて均一なレジスト液膜を形成することができる。
【0034】
レジスト剥離性フィルム上へ前記方法によりレジスト液膜を形成した後に、前記レジスト液膜を予備乾燥する。この予備乾燥には自然乾燥、冷風・温風乾燥、マイクロ波照射、赤外線照射、減圧乾燥などを用いることができ、また、紫外線、電子線などの放射線を用いることもできる。
【0035】
この予備乾燥では、前記レジスト液膜の粘度またはチキソトロピー性、脆性を上げることを目的とする。予備乾燥による乾燥が不十分な場合は、後工程の凸版の凸部を押し当て剥離する際に、レジスト液膜が断裂し不良が発生してしまう。逆に乾燥が行き過ぎた場合は、レジスト液膜表面のタック性が無くなり、前記凸版にレジストが転写されない。そのため、使用するレジストの組成によって乾燥状態を乾燥時間や雰囲気温度により調節するが、乾燥したレジスト膜に対して0.5重量%から4重量%の溶剤の残留が認められる状態が好ましい。
【0036】
いわゆるドライフィルムといわれるppmオーダーの溶剤残留量では乾燥が行き過ぎであり、レジストが転写されない不具合や、版の押し付けによりレジスト膜が部分的に剥離してゴミの原因になったりする不具合があるため、予備乾燥レジスト膜の条件として適さない。
【0037】
凸版としては、無アルカリガラス等の低膨張ガラス表面に感光性樹脂を塗布し、マスク露光、現像によりパターンを形成した後、既存のドライエッチング処理やウエットエッチング処理、もしくはサンドブラスト処理を用いて、2μmから30μmの版深を設けたものを用いることができる。
【0038】
また、凸版にはナイロン、アクリル、シリコーン樹脂、スチレン−ジエン共重合体などからなるものを用いることもできる。またエチレン−プロピレン系、ブチル系、ウレタン系ゴムなどのゴム製の版を用いることもできる。このような樹脂製の凸版は、すでに凸版印刷やフレキソ印刷用に用いられており、予め作製した型に所定の樹脂を流し込んで版とする、あるいは彫刻によっても作製することができるが、感光性樹脂を用いる方法がより高精度のものを作製できる。
【0039】
レジスト液の材料としては、上記に記したレジスト剥離性フィルムとの接触角、レジスト液の乾燥性、被印刷基材とパターン形成する目的材料との密着性、パターン転写性などから決定する。とりわけ、被印刷基材とパターン形成する目的材料との密着性に関しては、本発明の印刷方法では重要な要素である。
【0040】
粘着フィルムを貼り合わせた後、剥離してレジストを除去する際、被印刷基材との密着力が強いと基板から非画線部パターンを剥離できない。そのため、被印刷基材とレジストとの密着力は弱いほうが良い。被印刷基材とレジストとの密着が強く、薄膜とレジストとの密着力が、被印刷基材とレジストの密着力より弱い場合、粘着フィルムを貼り合わせた後、剥離してレジストを除去する際に、レジストから剥離するのではなく、薄膜のみが被印刷基材から剥がれ落ちてしまう。
【0041】
粘着フィルムを貼り合わせた後、剥離する方法以外に、レジスト液膜の材料として可溶性のレジストを用いることで水や溶剤による剥離することも可能であり、より簡単である。
【0042】
次に、レジストの非画線部パターンが形成された被印刷基材上に、液体を堆積させて目的の材料を塗布する場合は、例えばディッピング法、ロールコート、グラビアコート、リバースコート、エアナイフコート、コンマコート、ダイコート、スクリーン印刷法、スプレーコート、グラビアオフセット法等を用いることができる。使用する材料の粘度や、狙
いとする塗工膜厚等に応じて適宜選択して用いる。
【0043】
また、気相法により、目的の材料を塗布する場合、例えば、薄膜金属などを形成する場合は、蒸着法やスパッタリング法、化学気相成長法が用いることができる。
【0044】
以下に、これら材料を用いて精密パターンの転写を実施するための一例を説明する。
【0045】
本実施形態に係る薄膜パターン形成方法は、レジスト剥離性フィルムへレジスト液を塗工し、該レジスト液を予備乾燥した予備乾燥レジスト膜に、凸部パターンが画線部パターンである凸版を押し当て引き離すことで、予備乾燥レジスト膜の不要なパターンを版の凸部に転写除去し、該レジスト剥離性フィルム上に残った非画線部パターンを被印刷基材へ転写し非画線部パターンを形成する。その後、非画線部パターンを形成した被印刷基材へ、薄膜パターンを形成したい材料を均一にベタパターンで塗布する。最後に、被印刷基材と粘着フィルムをラミネート・剥離することによって、レジストの除去をおこない、薄膜パターンを得ることを特徴としている。
【0046】
次に、本発明による薄膜パターン形成方法の一例を、被印刷基材にフィルムを使用した際の実際に行うパターニング工程に沿って説明する。
【0047】
本発明による薄膜パターン形成方法を行う装置は、図1示す通り、レジスト剥離性フィルム106と、被印刷基材115と,粘着フィルム121の搬送の制御と加工を行なう装置であり、レジスト剥離性フィルム巻き出し部107、レジスト剥離性フィルム巻き取り部108、被印刷基材巻き出し部116、被印刷基材巻き取り部117、粘着フィルム巻き出し部122、粘着フィルム巻き取り部123の搬送系とレジスト塗工部101、レジスト乾燥部102、パターン除去部103、アライメント部104、貼り合わせ・剥離部105、被印刷基材乾燥部111、薄膜材料塗工部112、薄膜材料乾燥部113、粘着フィルムラミネート部114によって構成される。
【0048】
レジスト剥離性フィルム巻き出し部107、レジスト剥離性フィルム巻き取り部108、被印刷基材巻き出し部113、被印刷基材巻き取り部114、粘着フィルム巻き出し部122、粘着フィルム巻き取り部123等の搬送部は、回転やテンションを制御してレジスト剥離性フィルムや被印刷基材などのフィルムを搬送するためのモーターを備える。装着されるフィルムの原反幅は100mm〜1000mmが選択できるが、パターンの実用性と転写位置精度を考慮し選択される。
【0049】
また、フィルムのテンションの制御は、これら装置以外に搬送系にニップ部を設置してフィルムを保持することでも調節を行うことができる。ニップ部は、主に搬送ロールに備わったエアー吸着孔による吸着ニップが用いられる。
【0050】
搬送は、各工程で必要な時間差を緩和し、フィルムの連続搬送を行うためのバッファを備えた場合には、連続搬送を行うことができるが、レジスト剥離性フィルム106や被印刷基材115を、工程ごとに必要な長さの搬送を行なうことが好ましい。
【0051】
レジスト塗工部101は、可動ステージと、可動ステージ上に設けられたレジスト剥離性フィルム106に対しレジストを塗布する塗工装置が設置されている。可動ステージは、ボールねじやリニアモーター等で駆動するものを用いることができ、金属製、石製などのものを用いることができるが少なくとも水平方向に水平を保ったまま往復運動することができ、レジスト剥離性フィルム106を吸着することができることが望ましい。吸着による表面の凹凸を防ぐためにフィルムのエッジ付近のみ吸着孔を設ける方法や、多孔質性材料を用いた吸着表面を用いる方法を選択することができる。
【0052】
塗工装置は、連続加工や膜厚の均一性が優れるダイ方式のものについて説明するが、これに限定するものではない。ダイヘッドには、別に用意されたレジスト供給用のポンプから所定量のレジスト液を供給することができる。このダイヘッドとレジスト剥離性フィルム106とのギャップは印刷開始前に設定してもよく、また可動式ステージの搬送に合わせてダイヘッドを上下動させて調整してもよい。
【0053】
レジスト乾燥部102は、上記レジスト塗工部101でレジスト剥離性フィルム106へ塗工したレジストを乾燥させるために設置されるもので、ホットプレート、オーブン、温風、減圧乾燥、赤外線照射、紫外線照射などの乾燥装置を設けてもよい。
【0054】
パターン除去部103は、可動ステージに樹脂製またはガラス製の凸版が吸着により装着されており、レジスト剥離性フィルム106上のレジスト塗工面を該凸版に近づけた後、ステージに設けられているローラをレジスト剥離性フィルム106の上から押し当て、回転させながら印圧をかけ、レジスト剥離性フィルム106を該凸版から剥がすことにより、凸版の凸部と接した塗工膜を凸版に転移させ、レジスト剥離性フィルムより凸版の凸部と接した塗工膜を除去する。
【0055】
このとき、ローラ外周の材料としては、ゴムや金属、プラスチックなどの材料が使用できる。とりわけ、ゴムは可塑的な性質を持ち個体ではあるがその性質は液体に近く、均等に力を加えることが出来る。具体的なゴムの種類は、力学的性質に特化しているウレタンゴムや広い温度範囲でゴム弾性が優れているシリコーンゴムなどが挙げられる。またローラの曲率としては、使用する凸版の底に接触しないよう曲率の小さいものを使用することが望ましい。
【0056】
アライメント部104は、可動性ステージと複数の顕微鏡カメラから構成されており、可動性ステージ上に吸着した被印刷基材115上に、レジスト剥離性フィルム106上の予備乾燥レジスト膜面を100〜250μmに近づけた後、レジスト剥離性フィルムが透明なことを利用して、レジスト剥離性フィルム106上に得られたパターンの一部やアライメント用のマークパターンと、被印刷基材115上のパターンを透過画像で認識し、それぞれのパターンを認識した画像を基に可動性ステージを動作させ転写位置の補正を行うことができる。
【0057】
また、レジスト剥離性フィルム106と被印刷基材115の間に顕微鏡カメラを挿入し、レジスト剥離性フィルム106と被印刷基材115上のそれぞれのパターンを認識した画像を基に位置の補正を行う方法も選択できる。
【0058】
上記の顕微鏡カメラは光学顕微鏡、CCD(Charge Coupled Device)顕微鏡のどちらであっても良いが、オートフォーカス又は電気的に制御可能な手動焦点制御機構のいずれか、もしくはその両方の機能を必要とし、取得した画像を観察するために外部に設置したモニターや位置補正のための画像処理装置へ出力するインターフェースを持つものとする。
【0059】
貼り合わせ・剥離部105には、前記アライメント部104に設置された可動性ステージ上にローラが設けられる。パターン除去部103と同様にローラ外周の材料としては、ゴムや金属、プラスチックなどの材料が使用できる。このとき、ローラの曲率としては、微小なレジスト膜の凹凸に追従するよう曲率の大きいものを使用することが望ましい。
【0060】
前記貼り合わせ・剥離部105に設置された可動性ステージに固定された被印刷基材115と、わずかな隙間をあけて設置されたレジスト剥離性フィルム106の上から、同じ
く前記貼り合わせ・剥離部105に設置されたローラを押し当て、可動性ステージの移動と共にローラを回転させながら印圧をかけ、つぎにレジスト剥離性フィルム106を被印刷基材115から剥がすことにより非画線部パターンを被印刷基材115上へ転写することができる。
【0061】
被印刷基材乾燥部111は、被印刷基材115上に転写されたレジストの非画線部パターンを乾燥させるために設置されるもので、ホットプレート、オーブン、温風、減圧乾燥、赤外線照射、紫外線照射などの乾燥装置を設けることが可能である。
【0062】
その後、薄膜材料塗工部112にて非画線部パターンが塗布された被印刷基材115上に薄膜パターンの形成する材料の塗工をおこなう。塗工方法としては、使用する材料に応じて適宜決定すればよい。
【0063】
薄膜材料乾燥部113は、上記薄膜材料塗工部112でレジスト剥離性フィルム106へ塗工した材料を乾燥させる必要がある時に使用されるもので、ホットプレート、オーブン、温風、減圧乾燥、赤外線照射、紫外線照射などの乾燥装置を設けてもよい。
【0064】
粘着フィルムラミネート部114は、被印刷基材115と粘着フィルム121と貼り合わせた後、剥離するために設置される。この工程にて、被印刷基材上に印刷された非画線部パターン部分の薄膜とレジストを除去する。また、レジストの除去方法に関しては、粘着フィルムと貼り合わせた後、剥離する方法について説明したが、これに限定するものではない。
【0065】
本発明による薄膜パターン形成方法の一例によって、被印刷基材115上の薄膜パターンが形成される様子をモデル図として図2に示す。
【0066】
図2(A)は、レジスト剥離性フィルム106上にレジストを塗工、予備乾燥して、予備乾燥レジスト膜201を形成した後、パターン除去部103において、非画線部パターンを凹部とし、画線部パターンを凸部とした凸版を前記予備乾燥レジスト膜201に押し当ててから引き離して、前記画線部パターンの前記予備乾燥レジスト膜201を前記凸版の凸部に転移させ、レジスト剥離性フィルム106上に前記予備乾燥レジスト膜201からなる前記非画線部パターンを設けたものである。
【0067】
図2(B)は、貼り合わせ・剥離部105において、前記レジスト剥離性フィルム106上に残された前記予備乾燥レジスト膜201からなる前記非画線部パターンを前記被印刷基材115の表面上へ転写している状態を表している。
【0068】
図2(C)は、被印刷基材115の表面上へ予備乾燥レジスト膜201からなる前記非画線部パターンが転写された状態を示す。
【0069】
図2(D)は、被印刷基材乾燥部において、予備乾燥レジスト膜201からなる前記非画線部パターンが転写された被印刷基材115を乾燥させ、予備乾燥レジスト膜201を乾燥させた乾燥レジスト膜203の面および、画線部パターン部分に、薄膜材料202により薄膜が形成された状態を示す。
【0070】
図2(E)は、粘着フィルムラミネート部114において、薄膜面に粘着フィルム121を貼り合わせた状態を示す。
【0071】
図2(F)は、粘着フィルム121を剥がすことによって、非画線部パターンの乾燥レジスト膜203と乾燥レジスト膜203の上の薄膜材料202が被印刷基材115より剥
がれ、被印刷基材115上には薄膜材料202による画線部パターンが形成されたことを示している。
【0072】
本発明の薄膜パターン形成方法によれば、上記のように被印刷基材上115に薄膜パターンが形成される。
【実施例1】
【0073】
本発明の薄膜パターン形成方法にて、ITO膜の高精細薄膜パターンの形成をおこなった。形成するパターンは、膜厚100nm、線幅3〜5μm程度のストライプパターンである。
【0074】
レジストに関しては、カラーフィルター用黒色レジストを利用した。
[レジストの組成]
・ポリイミド前駆体 東レ株式会社製:セミコファインSP−510 10重量部
・黒色顔料 カーボンブラック 7.5重量部
・溶媒 N‐メチル‐2‐ピロリドン(NMP) 130重量部
・分散剤 銅フタロシアニン誘導体 5重量部
・レベリング剤 ビックケミージャパン株式会社製:BYK333 0.5重量部
被印刷基材としてフィルム厚120μmの光透過性耐熱性フィルム基材を用意した。
【0075】
レジスト剥離性フィルムは、ポリエチレンテレフタレートに剥離性シリコーンゴムを厚さ10μm塗布して乾燥させたものを使用した。
【0076】
非画線部パターンを剥離する際に用いた粘着フィルムは、基材のセロハンにゴム系の粘着材を塗布したフィルムを使用した。
【0077】
上記各フィルムを使用し、前述の装置を用いて薄膜パターンの形成を行った。ここでは、薄膜材料塗工をスパッタ装置で行った。
【0078】
まず、レジスト塗工部のステージ上でレジスト剥離性フィルムに、レジストを膜厚1.0μmコーティングした。
【0079】
塗工が終わったレジスト剥離性フィルムは、搬送速度を調整しながら60℃の赤外線炉内を通過させて乾燥を行い、塗工部がパターン除去部ステージ上に設置されるまで搬送を行なう。
【0080】
あらかじめパターン除去部に設置しておいた凸版に、レジスト剥離性フィルムのレジスト塗工部分を、レジスト剥離性フィルム側よりゴムローラで押し当て、画線部パターンを除去した後、アライメント部ステージへ非画線部パターンが来るように搬送した。その後、ゴムローラでレジスト剥離性フィルムと被印刷基材を貼り合わせた後、レジスト剥離性フィルムを被印刷基材から剥がすことによって、被印刷基材への非画線部パターンの転写を行った。
【0081】
非画線部パターンが転写された被印刷基材を乾燥部へ搬送し、赤外線炉にて20分の乾燥を行い、レジストの硬化をおこない、非画線部パターンが印刷された被印刷基材を得た。
【0082】
その後、非画線部パターンが印刷された被印刷基材に、スパッタ装置を用いてITO膜の成膜をおこなった。ITO材料としては、ITO(SnO10wt%)スパッタリングターゲット(住友金属鉱山製)を使用した。
【0083】
最後にITO膜が成膜された被印刷基材表面上の前記非画線部パターン上に粘着フィルムを貼り合わせた後、剥離することによって、レジストの除去工程をおこない、薄膜高精細パターンを得た。
【符号の説明】
【0084】
101・・・レジスト塗工部
102・・・レジスト乾燥部
103・・・パターン除去部
104・・・アライメント部
105・・・貼り合わせ・剥離部
106・・・レジスト剥離性フィルム
107・・・レジスト剥離性フィルム巻き出し部
108・・・レジスト剥離性フィルム巻き取り部
111・・・被印刷基材乾燥部
112・・・薄膜材料塗工部
113・・・薄膜材料乾燥部
114・・・粘着フィルムラミネート部
115・・・被印刷基材
116・・・被印刷基材巻き出し部
117・・・被印刷基材巻き取り部
121・・・粘着フィルム
122・・・粘着フィルム巻き出し部
123・・・粘着フィルム巻き取り部
201・・・予備乾燥レジスト膜
202・・・薄膜材料
203・・・乾燥レジスト膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被印刷基材上に薄膜の画線部と、薄膜のない非画線部とからなる薄膜パターンの形成方法であって、
少なくとも、レジスト剥離性フィルム上にレジストを塗工する工程と、
前記レジストを予備乾燥し予備乾燥レジスト膜とする工程と、
前記非画線部パターンを凹部とし、前記画線部パターンを凸部とした凸版を前記予備乾燥レジスト膜に押し当ててから引き離すことで、前記画線部パターンの前記予備乾燥レジスト膜を前記凸版の凸部に転移させる工程と、
前記レジスト剥離性フィルム上に残された前記予備乾燥レジスト膜からなる前記非画線部パターンを前記被印刷基材の表面上へ転写し前記非画線部パターンを形成する工程と、
薄膜材料を、前記非画線部パターンが形成された前記被印刷基材表面上に薄膜形成する工程と、
前記非画線部パターンの薄膜とレジストを剥離する工程が含まれることを特徴とする薄膜パターンの形成方法。
【請求項2】
前記レジストを剥離する工程が、前記被印刷基材表面上の前記非画線部パターン上に粘着フィルムを貼り合わせた後、剥離することによって行われることを特徴とする請求項1に記載の薄膜パターンの形成方法。
【請求項3】
前記レジストと前記被印刷基材の密着力が、粘着フィルムを貼り合わせた後、剥離することによって前記レジストが前記被印刷基材から剥がれる程度弱く、かつ、前記レジストと前記薄膜材料との密着力よりも弱いことを特徴とする請求項2に記載の薄膜のパターン形成方法。

【図2】
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【図1】
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【公開番号】特開2011−104856(P2011−104856A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−261807(P2009−261807)
【出願日】平成21年11月17日(2009.11.17)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】