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薄膜フィルム及びその製造方法
説明

薄膜フィルム及びその製造方法

【課題】貼付時に目立ちにくく、かつ違和感がなく、接着剤又は粘着剤を使用しなくても貼付することのできる薄膜フィルムを提供すること。
【解決手段】キトサン若しくはキトサン誘導体又はこれらの塩を含む溶液を用いて形成されるA層と、ヒアルロン酸若しくはヒアルロン酸誘導体又はこれらの塩を含む溶液を用いて形成されるB層と、を有し、膜厚が20〜280nmである、薄膜フィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄膜フィルム及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、人は、外観を美しく整えることで、心が元気になり、豊かな気持ちになることができる。顔や身体の外観に悩みがある人にとっては勿論のこと、そのような悩みのない人にとっても、化粧によって外観を美しく整えることにより、心が元気になり、豊かな気持ちになることができる。したがって、化粧は、人が社会生活を送る上で重要な事項の一つである。化粧は、人が自分の中の元気を引き出す作業ともいえる。そのため、太古の昔から、様々な化粧が行われてきた。
【0003】
近年では、生活の質の向上に伴って、皮膚のつや、潤い、白さの改善や、シワ防止などを目的とした化粧用シートが注目されている。そのような化粧用シートとして、従来、木材繊維由来の紙に保湿剤などを貼付してなるシワ改善シートが提供されていたが(例えば、特許文献1参照)、基材が紙であるために破れ易く、また皮膚に対する密着性が悪いうえ、装着時に違和感があるなど装着感に劣るものであった。
【0004】
装着時の皮膚に対する密着性及び装着感を向上させるために、カゼイン及びシルク由来の天然系原料をシート材料とする化粧用シート、及びアミロースよりなる水不溶性ゲルシートに美容液を含浸させたシート状パック化粧料が提案されている(特許文献2及び特許文献3参照)。また、特許文献4には、裏面に粘着性のある透明性テープからなる皺取りパッチが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3215852号公報
【特許文献2】特開2005−225848号公報
【特許文献3】特開2005−213176号公報
【特許文献4】特開平10−194962号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2及び特許文献3に開示されている化粧用シート及びシート状パック化粧料は、透明ではなく、シート自体が目立ち不自然であるため、睡眠中や家庭内での使用に適しているものの、貼付状態で外出するのには適していない。また、特許文献4が開示する皺取りパッチは、目の下部に貼り付けて、皺部を長時間押さえた状態にすることにより、皺を防止したり、皺を取り除くのに用いられるが、粘着剤を使用しているために、かぶれや肌荒れを引き起こす可能性がある。
【0007】
このように、従来の皮膚貼合用シートは、(1)肌に貼付した状態にある貼付剤自体が目立って不自然である、(2)被適用者が貼付状態に違和感を持つ、(3)粘着剤により、かぶれや肌荒れを引き起こす可能性がある、などの問題を抱えていた。そのため、これらの問題を総合的に解決することができる新たな薄膜フィルムが求められている。
【0008】
そこで、本発明は、貼付時に目立ちにくく、かつ違和感がなく、接着剤又は粘着剤を使用しなくても貼付することのできる薄膜フィルムを提供することを目的とする。本発明はまた、貼付時に目立ちにくく、かつ違和感がなく、接着剤又は粘着剤を使用しなくても貼付することのできる薄膜フィルムの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、キトサン若しくはキトサン誘導体又はこれらの塩(以下「キトサン等」ともいう。)を含む溶液を用いて形成されるA層と、ヒアルロン酸若しくはヒアルロン酸誘導体又はこれらの塩(以下「ヒアルロン酸等」ともいう。)を含む溶液を用いて形成されるB層と、を有し、膜厚が20〜280nmである、薄膜フィルムを提供する。
【0010】
上記薄膜フィルムは、上記構成を有するため、強靭性(機械的強度)、透明性及び保湿性に優れ、かつ皮膚に対する自己密着性を有する。このため、膜厚が上記範囲内であっても十分な強度を有しており、さらに透明性が高いため、上記薄膜フィルムは、貼付時に目立ちにくく、かつ貼付時の違和感が低減されている。また、皮膚に対する自己密着性を有するため、上記薄膜フィルムは、接着剤又は粘着剤を使用する必要がなく、かぶれや肌荒れを引き起こしにくい。さらに、キトサン等及びヒアルロン酸等は、生分解性又は生体適合性の高い材料であるため、上記薄膜フィルムは皮膚アレルギーを起こしにくいという利点がある。
【0011】
上記薄膜フィルムは、A層とB層とが交互に積層されたものであることが好ましい。A層とB層とが交互に積層されたものであることによって、機械的強度、及び自己密着性により優れた薄膜フィルムとなる。なお、A層とB層とが交互に積層されるとは、1層のA層と1層のB層とが交互に積層されている場合に限られず、複数の層からなるA層と、複数の層からなるB層とが交互に積層されている場合も含む。
【0012】
上記薄膜フィルムは、上述のような効果を奏するため、皮膚貼合用薄膜フィルムとして好適に使用することができる。また、化粧用薄膜フィルムとしても好適に使用することができる。さらに、化粧用皮膚貼合用薄膜フィルムとしても好適に使用することができる。
【0013】
本発明はまた、キトサン若しくはキトサン誘導体若しくはこれらの塩を含む溶液、又はヒアルロン酸若しくはヒアルロン酸誘導体若しくはこれらの塩を含む溶液に基材を接触させて、該基材の表面にキトサン若しくはキトサン誘導体若しくはこれらの塩、又はヒアルロン酸若しくはヒアルロン酸誘導体若しくはこれらの塩に由来する層を形成する層形成工程と、
(i)キトサン若しくはキトサン誘導体又はこれらの塩に由来する層に、ヒアルロン酸若しくはヒアルロン酸誘導体又はこれらの塩を含む溶液を接触させて、上記キトサン若しくはキトサン誘導体又はこれらの塩に由来する層上にヒアルロン酸若しくはヒアルロン酸誘導体又はこれらの塩に由来する層を形成するステップと、
(ii)ヒアルロン酸若しくはヒアルロン酸誘導体又はこれらの塩に由来する層に、キトサン若しくはキトサン誘導体又はこれらの塩を含む溶液を接触させて、上記ヒアルロン酸若しくはヒアルロン酸誘導体又はこれらの塩に由来する層上にキトサン若しくはキトサン誘導体又はこれらの塩に由来する層を形成するステップと、
を有し、
キトサン若しくはキトサン誘導体又はこれらの塩に由来する層及びヒアルロン酸若しくはヒアルロン酸誘導体又はこれらの塩に由来する層がいずれも5〜85層となるまで、ステップ(i)及びステップ(ii)を繰り返す積層工程と、を備える、薄膜フィルムの製造方法を提供する。
【0014】
本発明の製造方法は、上記各工程を有するため、上記薄膜フィルムを簡便かつ迅速に製造することができる。また、工業的に生産するのが容易であり、汎用可能である。
【発明の効果】
【0015】
本発明の薄膜フィルムは、ナノメートルサイズのシートであるため、皺や肌の細かな凹凸(微細な溝)にも適合し、さらに、透明であるために貼付箇所が目立つことがない。また、非常に薄い薄膜であるため、皮膚に貼り付けた際の違和感がない。さらに、皮膚に対する自己密着性を有するため、接着剤又は粘着剤を用いる必要がなく、接着剤又は粘着剤によるかぶれや肌荒れの心配がない。さらにまた、キトサン等及びヒアルロン酸等の生分解性又は生体適合性ポリマーを使用しているため、皮膚に貼り付けた際に皮膚アレルギーが生じにくく、かつ廃棄後、環境に悪影響を及ぼさないとの利点を有する。
【0016】
本発明の薄膜フィルムは、化粧料又は化粧料成分を保持させてなる化粧用シート、保湿シート、化粧補助貼合シート、及び化粧保護シートとして好適に使用できる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本実施形態に係る薄膜フィルムは、キトサン若しくはキトサン誘導体又はこれらの塩を含む溶液を用いて形成されるA層と、ヒアルロン酸若しくはヒアルロン酸誘導体又はこれらの塩を含む溶液を用いて形成されるB層とを有する。
【0018】
〔キトサン若しくはキトサン誘導体又はこれらの塩〕
キトサン若しくはキトサン誘導体又はこれらの塩は、カチオン性ポリマー(1分子中に2個以上のカチオン性基を有するポリマー)の一種である。本明細書において、キトサン若しくはキトサン誘導体又はこれらの塩を「カチオン性ポリマー」ということがある。
【0019】
キトサン若しくはキトサン誘導体又はこれらの塩としては、後述するヒアルロン酸若しくはヒアルロン酸誘導体又はこれらの塩と、水の存在下でゲル状のポリイオンコンプレックスを形成することができるものであれば特に制限されない。このように形成されたポリイオンコンプレックスは、生体組織接着作用を発揮し、かつ、生体に対する有害反応が少ないものである。
【0020】
キトサンはキチンの脱アセチル化物であり、その脱アセチル化度としては、生体吸収性、水溶性がより優れることから、40〜100%の範囲内であることが好ましく、45〜90%の範囲内であることがより好ましく、50〜80%の範囲内であることがさらに好ましい。
【0021】
キトサン誘導体としては、例えば、ヒドロキシプロピルキトサン、アミド化キトサン、ウレイドキトサン、チオウレイドキトサン、カルボキシメチルキトサン、オキシアルキルキトサン及びアセチル化キトサンが挙げられる。
【0022】
キトサン又はキトサン誘導体の塩としては、例えば、無機酸との塩、及び有機酸との塩が挙げられる。具体的には、無機酸との塩としては、例えば、塩酸塩、フッ化水素酸塩、臭化水素酸塩、硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩、過塩素酸塩及びヨウ化水素酸塩が挙げられる。また、有機酸との塩としては、例えば、ギ酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、フマル酸塩、シュウ酸塩、酒石酸塩、マレイン酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩、リンゴ酸塩、マンデル酸塩、アスコルビン酸塩、乳酸塩、グルコン酸塩、メタンスルホン酸塩、トルエンホスホン酸塩及びベンゼンスルホン酸塩が挙げられる。中でも、水に対する溶解性が良好である、原料のコストが低い、並びに、環境及び生体に悪影響を及ぼさない等の観点から、キトサン酢酸塩が好ましい。
【0023】
さらに、上述のカチオン性ポリマーを架橋することによって得られる架橋ポリマーを用いることもできる。カチオン性ポリマーを架橋する方法としては、公知の方法のいずれも用いることができる。例えば、カチオン性ポリマーのアミノ基をジカルボン酸と縮合反応させることにより架橋する方法が好適である。
【0024】
カチオン性ポリマーの分子量は特に制限されないが、粘度平均分子量が大きくなるにしたがって、薄膜フィルムの製造時に溶液の粘度が高くなり流延が困難となる傾向があること、及び生体吸収性が低下する傾向があることから、カチオン性ポリマーの粘度平均分子量は1,000〜500,000の範囲内であることが好ましく、10,000〜400,000の範囲内であることがより好ましく、50,000〜200,000の範囲内であることがさらに好ましい。
【0025】
本明細書において、「粘度平均分子量」とは、一般的な測定方法である粘度法により評価すればよく、例えば、JIS K 7367−3:1999に基づいて測定した極限粘度数[η]からMνを算出すればよい。
【0026】
〔キトサン若しくはキトサン誘導体又はこれらの塩を含む溶液〕
キトサン若しくはキトサン誘導体又はこれらの塩を含む溶液(以下「カチオン性ポリマー溶液」ともいう。)には、キトサン、キトサン誘導体及びこれらの塩からなる群より選択される2種以上を併用してもよい。
【0027】
カチオン性ポリマー溶液中のキトサン若しくはキトサン誘導体又はこれらの塩の濃度は、総量で、0.01〜5.0質量%が好ましく、0.02〜2.0質量%がより好ましく、0.05〜1.0質量%が特に好ましい。
【0028】
カチオン性ポリマー溶液の粘度は、0.1〜1000mPa・sの範囲内であることが好ましく、0.5〜500mPa・sの範囲内であることがより好ましく、1〜100mPa・sの範囲内であることがさらに好ましい。本明細書において、粘度とは、A&D社製音叉型振動式粘度計SV−10を用い、サンプル量10mL、20℃で測定した値である。
【0029】
カチオン性ポリマー溶液の溶媒としては、キトサン若しくはキトサン誘導体又はこれらの塩を溶解できるものであれば、任意の溶媒を用いることができるが、キトサン若しくはキトサン誘導体又はこれらの塩の電荷量をより多くすることができるため、水又は無機塩類の水溶液が適当である。
【0030】
カチオン性ポリマー溶液は、pHを調整する必要はなく、キトサン若しくはキトサン誘導体又はこれらの塩を溶媒に溶解させたものをそのまま用いることができる。例えば、pHは1.2〜6.6にすることができる。
【0031】
〔ヒアルロン酸若しくはヒアルロン酸誘導体又はこれらの塩〕
ヒアルロン酸若しくはヒアルロン酸誘導体又はこれらの塩は、アニオン性ポリマー(1分子中に2個以上のアニオン性基を有するポリマー)の一種である。本明細書において、ヒアルロン酸若しくはヒアルロン酸誘導体又はこれらの塩を「アニオン性ポリマー」ということがある。
【0032】
ヒアルロン酸若しくはヒアルロン酸誘導体又はこれらの塩としては、前述したキトサン若しくはキトサン誘導体又はこれらの塩と、水の存在下でゲル状のポリイオンコンプレックスを形成することができるものであれば特に制限されない。
【0033】
ヒアルロン酸誘導体としては、例えば、水酸基の一部又は全部を、酢酸、硝酸、硫酸、リン酸等と反応させたもの;カルボキシル基又はカルボキシレート基の一部をエチレングリコール、プロピレングリコール等の低分子アルコールでエステル化した化合物が挙げられる。
【0034】
ヒアルロン酸誘導体としては、具体的には、ヒアルロン酸エチレングリコールエステル、ヒアルロン酸プロピレングリコールエステル、ヒアルロン酸エチレングリコールエステル、ヒアルロン酸プロピレングリコールエステル、コンドロイチン硫酸等が挙げられる。
【0035】
これらのヒアルロン酸誘導体におけるエステル化度は特に制限されないが、エステル化度が高くなりすぎると、カルボキシル基又はカルボキシレート基の割合、すなわちアニオン性が低下し、上記カチオン性ポリマーとの間に形成されるポリイオンコンプレックスの機械的強度が低下する傾向にある。そこで、上記ヒアルロン酸誘導体におけるエステル化度は40〜100%の範囲内であることが好ましく、45〜90%の範囲内であることがより好ましく、50〜80%の範囲内であることがさらに好ましい。
【0036】
ヒアルロン酸又はヒアルロン酸誘導体の塩としては、例えば、無機酸との塩、及び有機酸との塩が挙げられる。具体的には、無機酸との塩としては、例えば、塩酸塩、フッ化水素酸塩、臭化水素酸塩、硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩、過塩素酸塩及びヨウ化水素酸塩が挙げられる。また、有機酸との塩としては、例えば、ギ酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、フマル酸塩、シュウ酸塩、酒石酸塩、マレイン酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩、リンゴ酸塩、マンデル酸塩、アスコルビン酸塩、乳酸塩、グルコン酸塩、メタンスルホン酸塩、トルエンホスホン酸塩及びベンゼンスルホン酸塩が挙げられる。中でも、水に対する溶解性が良好、原料のコストが低い、並びに、環境及び生体に悪影響を及ぼさない等の観点から、ヒアルロン酸ナトリウム塩が好ましい。
【0037】
さらに上述のアニオン性ポリマーを架橋することによって得られる架橋ポリマーを用いることもできる。アニオン性ポリマーを架橋する方法としては、公知の方法のいずれも用いることができる。例えば、アニオン性ポリマーのカルボキシル基又はカルボキシレート基をジアミンと縮合反応させることにより架橋する方法が好適である。
【0038】
アニオン性ポリマーの分子量は特に制限されないが、粘度平均分子量が大きくなるにしたがって、薄膜フィルムの製造時に溶液の粘度が高くなり流延が困難となる傾向があること、及び生体吸収性が低下する傾向があることから、アニオン性ポリマーの粘度平均分子量は1,000〜500,000の範囲内であることが好ましく、10,000〜400,000の範囲内であることがより好ましく、50,000〜200,000の範囲内であることがさらに好ましい。
【0039】
〔ヒアルロン酸若しくはヒアルロン酸誘導体又はこれらの塩を含む溶液〕
ヒアルロン酸若しくはヒアルロン酸誘導体又はこれらの塩を含む溶液(以下「アニオン性ポリマー溶液」ともいう。)には、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸誘導体及びこれらの塩からなる群より選択される2種以上を併用してもよい。
【0040】
アニオン性ポリマー溶液中のヒアルロン酸若しくはヒアルロン酸誘導体又はこれらの塩の濃度は、総量で、0.01〜5.0質量%が好ましく、0.02〜2質量%がより好ましく、0.05〜1.0質量%が特に好ましい。
【0041】
アニオン性ポリマー溶液の粘度は、0.1〜1000mPa・sの範囲内であることが好ましく、1〜500mPa・sの範囲内であることがより好ましく、10〜100mPa・sの範囲内であることがさらに好ましい。
【0042】
アニオン性ポリマー溶液のpHは、ヒアルロン酸若しくはヒアルロン酸誘導体又はこれらの塩の溶解性が良好、及び成膜性に優れるとの観点から、1.6〜5.4の範囲内であることが好ましく、1.8〜5.0の範囲内であることがより好ましく、2.0〜4.5の範囲内であることが更に好ましく、2.5〜4.0の範囲内であることが更により好ましい。
【0043】
アニオン性ポリマー溶液のpHは、例えば、酢酸、リンゴ酸、プロピオン酸、コハク酸、マロン酸、シュウ酸等の有機酸、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸を添加することで調整できる。
【0044】
アニオン性ポリマー溶液の溶媒としては、ヒアルロン酸若しくはヒアルロン酸誘導体又はこれらの塩を溶解できるものであれば、任意の溶媒を用いることができるが、ヒアルロン酸若しくはヒアルロン酸誘導体又はこれらの塩の電荷量をより多くすることができるため、水又は無機塩類の水溶液が適当である。
【0045】
〔薄膜フィルム〕
本実施形態に係る薄膜フィルムは、カチオン性ポリマー溶液を用いて形成されるA層と、アニオン性ポリマー溶液を用いて形成されるB層と、を有する。また、本実施形態に係る薄膜フィルムは、A層とB層が交互に積層された交互積層薄膜であることが好ましい。
【0046】
本実施形態に係る薄膜フィルムの膜厚は、20〜280nmである。また、自己密着性、吸水性、乾燥状態での柔軟性等の特性がより優れたものとなることから、50〜250nmであることが好ましく、80〜200nmであることがより好ましい。
【0047】
A層とB層とが交互に積層されるものである場合、膜厚が上記範囲内であれば積層の数は特に限定されるものではないが、薄膜フィルムの透明性を確保しやすい傾向にあることから、A層及びB層のそれぞれが5〜85層であることが好ましい。また、薄膜フィルムが、自己密着性を有する程度の膜厚となりやすい傾向にあることから、A層及びB層のそれぞれが10〜75層とすることがより好ましく、15〜60層とすることが更に好ましく、20〜45層とすることが更により好ましい。
【0048】
本実施形態に係る薄膜フィルムにおけるA層とB層の積層構造は、例えば、薄膜フィルムをIR、NMR、TOF−SIMS等で観察することにより、確認することができる。
【0049】
本実施形態に係る薄膜フィルムには、保湿クリーム等の化粧料、及びビタミンC等の化粧料成分を保持させることもできる。これにより皮膚に貼付したとき(使用時)に、化粧料及び化粧料成分が徐々に薄膜フィルムから溶出し、皮膚に徐々に吸収させることができる。
【0050】
化粧料としては、保湿クリーム、スキンクリーム、美白クリーム、乳液、化粧水、美容液、及び美容ジェル等のスキンケアに用いられる化粧料全般を用いることができる。化粧料成分としては、化粧品学的に許容される皮膚に有効な成分であればよく、特に限定されない。具体的には、例えば、保湿剤、ホワイトニング成分、しみ取り成分、防皺成分、ビタミン類、抗炎症成分、血流促進成分、湿潤成分、油分、及び金属微粒子等の化粧料に用いられる成分を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0051】
このような化粧料成分としては、例えば、アーモンド油、アクリル酸アルキルコポリマー、麻セルロース、アシタバエキス、アスコルビン酸、アスコルビン酸Na、キサンチン、アスタキサンチン、アスパラガスエキス、アスパラギン酸、アズレン、アセロラエキス、アデノシン三リン酸2Na、アボカド油、アマチャエキス、アミノ酪酸、アラニン、アラントイン、アルギニン、アルギン酸Na、アルジルリン、アルテアエキス、アルニカエキス、アルブミン、アロエベラエキス‐2−キダチアロエエキス、安息香酸塩Na、イチョウエキス、イノシトール、ウコンエキス、ウワウルシエキス、エイジツエキス、塩化ナトリウム、オイスターエキス、オウゴンエキス、オウバクエキス、オタネニンジンエキス、オドリコソウエキス、オランダカラシエキス、オリーブ油、オリザノール、海塩、加水分解ケラチン、コラーゲン、加水分解コラーゲン、加水分解コンキリオン、加水分解シルク、加水分解卵殻膜、加水分解卵白、褐藻エキス、カフェイン、カミツレエキス、カラミン、カリンエキス、カロチン、カロットエキス、カワラヨモギエキス、甘草エキス、カンフル、キイチゴエキス、キウイエキス、キシリトール、キトサン、キュウリエキス、クオタニウム‐73、クチナシエキス、クマザサエキス、クララエキス、グリコール酸、グリシン、グリセリン、グリチルリチン酸2K、グリチルレチン酸ステアリル、グルコース、グルタチオン、グルタミン酸、グレープフルーツエキス、クレマティスエキス、クロレラエキス、ケ−プアロエエキス、ゲンチアナエキス、紅茶エキス、コエンザイムQ10、コーヒーエキス、コーンスターチ、ココイル加水分解コラーゲンK、ココイル加水分解コラーゲンNa、ココベタイン、ゴボウエキス、ゴマ油、コムギデンプン、コムギ胚芽エキス、コメヌカエキス、コレステロール、コンフリーエキス、酢酸トコフェロール、酢酸レチノール、サザンカオイル、サフラワー油、サリチル酸、サリチル酸Na、酸化亜鉛、酸化チタン、サンザシエキス、シアノコバラミン、シイタケエキス、ジオウエキス、ジグリセリン、シコンエキス、シソエキス、ジヒドロコレステロール、ジフェニルジメチルメコン、シモツケソウエキス、酒石酸、ショウキョウエキス、ショウブ根エキス、シルク、シルクエキス、水添レシチン、スクワラン、ステアリルアルコール、ステアリン酸グリセリル、ステアリン酸スクロース、セイヨウキヅタエキス、セイヨウハッカエキス、セージエキス、セタノール、セラミド3、セリン、セルロースガム、ソウハクヒエキス、ソルビトール、ダイズエキス、ダイズ発酵エキス、月見草油、ドクダミエキス、トコフェロール、トレハロース、ナイアシンアミド、ニコチン酸トコフェロール、乳酸、乳酸Na、尿素、バクガエキス、ハチミツ、パパイン、ハマメリスエキス、パルミチン酸レチノール、パンテノール、ヒアルロン酸Na、ビオチン、ヒキオコシエキス、ヒマシ油、ヒマワリ油、ピリドキシンHCl、ビワ葉エキス、ブクリョウエキス、ブッチャーブルームエキス、ブドウエキス、ブドウ種子油、プラセンタエキス、プルラン、ベタイン、ヘチマエキス、ボタンエキス、ホップエキス、ホホバオイル、メドウフォーム油、メトキシケイヒサンオクチル、メリッサエキス、メリロートエキス、メントール、モモ葉エキス、ヤグルマギクエキス、ヤシ油、ユーカリエキス、ユーカリ油、ユキノシタエキス、ユズエキス、ユリエキス、ヨウ化ニンニクエキス、葉酸、ヨクイニンエキス、ヨモギエキス、ラズベリーケトン、ラクトフェリン、ラノリン、ラベンダーエキス、リシン、リシンHCl、リノール酸、リボフラビン、硫酸Na、リンゴエキス、レイシエキス、レシチン、レゾルシン、レタスエキス、レモンエキス、レモン油、ロイシン、ローズ水、ローズヒップ油、ローズマリーエキス、ローマカミツレエキス、ローヤルゼリー、ワレモコウエキス、AHA、BG、DNA、PCA−Na、PCA−Naアラントイン、PG、PPG−28ブテス−35、RNA−NA、t−ブチルメトキシジベンゾイルメタン、α−アルブチン、ムコ多糖、クレアチン、ジアセチルボルジン、ビタミンA及びその誘導体、ヒドロキノン、リポ核酸及びその塩、アミノ酸及びその誘導体、各種植物エキス、各種動物由来抽出物、及び金属微粒子が挙げられる。金属微粒子としては、金、銀、白金、及びパラジウム等の化粧品用着色剤、及び抗酸化剤等として用いられる金属が挙げられる。
【0052】
本実施形態に係る薄膜フィルムは、保湿クリーム等の化粧料、又はビタミンC等の化粧料成分を皮膚に塗布し、その上に薄膜フィルムを貼り合わせるようにして用いることもできる。この場合、化粧料及び化粧料成分が保持され、剥がれ落ちにくいという効果が得られる。
【0053】
本実施形態に係る薄膜フィルムは、薄膜フィルムを肌の上に貼り合せた後、その上に化粧料又は化粧料成分を塗布するように用いることもできる。この場合、皺、たるみ、しみ、あざ、そばかす、毛穴、傷跡、にきび跡、熱傷跡、又は皮膚疾患による変色等のある肌を目立たなくすることができる。
【0054】
〔薄膜フィルムの製造方法〕
本実施形態に係る薄膜フィルムは、例えば、基材と、キトサン若しくはキトサン誘導体若しくはこれらの塩を含む溶液(以下「溶液A」ともいう。)と、ヒアルロン酸若しくはヒアルロン酸誘導体又はこれらの塩を含む溶液(以下「溶液B」ともいう。)とから、Langmuir,Vol.13,pp.6195−6203,(1997年)に記載された交互積層法によって製造することができる。
【0055】
<基材>
基材は、薄膜フィルムを製造する際の支持基板として機能する。基材として使用可能な材料としては、例えば、樹脂、シリコーン等の半導体、金属、セラミックス、ガラス、紙、不織布、無機非金属、木質、及び粉体が挙げられる。基材の形状はフィルム、シート、板、及び曲面を有する形状等任意の形状とすることができる。その中でも量産性を考慮すると、基材としてはフレキシブル性を有する樹脂フィルムが好ましい。
【0056】
フレキシブル性を有する樹脂フィルムを用いる場合の樹脂フィルムの厚みは、特に制限はないが、実用的な観点から、5μm〜500μmが好ましい。
【0057】
樹脂フィルムの樹脂としては、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂のいずれでもよく、例えば、ポリエチレン(高密度、中密度又は低密度)、ポロプロピレン(アイソタクチック型又はシンジオタクチック型)、ポリブテン、エチレン−プレピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−プロピレン−ブテン共重合体等のポリオレフィン、環状ポリオレフィン、変性ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリ−(4−メチルベンテン−1)、アイオノマー、アクリル系樹脂、ポリメチルメタクリレート、ポリブチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート−ブチル(メタ)アクリレート共重合体、メチル(メタ)アクリレート−スチレン共重合体、アクリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリオ共重合体(EVOH)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプチレンテレフタレート(PBT)、エチレン−テレフタレート−イソフタレート共重合体、ポリエチレンナフタレート、プリシクロヘキサンテレフタレート(PCT)等のポリエステル、ポリエーテル、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルイミド、ポリアセタール(POM)、ポリフェニレンオキシド、変性ポリフェニレンオキシド、ポリアリレート、芳香族ポリエステル(液晶ポリマー)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、その他フッ素系樹脂、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、フッ素ゴム系、塩素化ポリエチレン系等の各種熱可塑性エラストマー、エボキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル、シリコーン樹脂、ポリウレタン、ナイロン、ニトロセルロース、酢酸セルロース、セルロースアセテートプロピオネート等のセルロース系樹脂等、又はこれらを主とする共重合体、ブレンド体、ポリマーアロイ等が挙げられ、これらのうちの1種又は2種以上を組み合わせて(例えば2層以上の積層体として)用いることができる。
これらの樹脂フィルムの中でも特に、積層膜の接着性により優れることからポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムがさらに好ましい。
【0058】
ガラスとしては、例えば、ケイ酸ガラス(石英ガラス)、ケイ酸アルカリガラス、ソーダ石灰ガラス、カリ石灰ガラス、鉛(アルカリ)ガラス、バリウムガラス、ホウケイ酸ガラス等が挙げられる。
【0059】
金属としては、例えば、金、クロム、銀、銅、鉄、チタン、ニッケル、タングステン、タンタル、アルミニウム、白金等が挙げられる。また、これらの合金である、SUS316L等のステンレス鋼、Ti−Ni合金若しくはCu−Al−Mn合金等の形状記憶合金、Cu−Zn合金、Ni−Al合金、チタン合金、タンタル合金、プラチナ合金又はタングステン合金等の合金を用いることもできる。
【0060】
セラミックとしては、例えば、酸化物(例えば、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化ケイ素、ジルコニア、チタン酸バリウム)、窒化物(例えば、窒化ケイ素、窒化ホウ素)、硫化物(例えば、硫化カドミウム)、炭化物(例えば、炭化ケイ素)等が挙げられる。また、これらの混合物を用いることもできる。
【0061】
紙としては、例えば、薄葉紙、クラフト紙、上質紙、リンター紙、バライタ紙、硫酸紙、和紙等が挙げられる。
【0062】
不織布としては、例えば、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ナイロン、ビニロン、硝子等の繊維からなる不織布が挙げられる。紙や不織布は、その繊維間若しくは他層との層間強度を強化したものでもよい。また、ケバ立ち防止のため、又は浸透性抑制のために、更に、アクリル樹脂、スチレンブタジエンゴム、メラミン樹脂、ウレタン樹脂等の樹脂を添加(抄造後樹脂含浸、又は抄造時に内填)したものでもよい。
【0063】
無機非金属としては、例えば、抄造セメント、押出しセメント、スラグセメント、ALC(軽量気泡コンクリート)、GRC(硝子繊維強化コンクリート)、パルプセメント、木片セメント、石綿セメント、硅酸カルシウム、石膏、石膏スラグ等の非陶磁器窯業系材料、土器、陶器、磁器、セッ器、硝子、琺瑯等のセラミックス等の無機質材料等が挙げられる。
【0064】
木質としては、例えば、杉、檜、樫、ラワン、チーク等からなる単板、合板、パーティクルボード、繊維板、集成材等が挙げられる。
【0065】
粉体としては、例えば、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、板状酸化アルミニウム、硫酸バリウム、酸化クロム、群青、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、マイカ、合成マイカ、セリサイト、タルク、シリカ、板状シリカ、カオリン、シリマナイト、水酸化クロム、亜鉛華、カーボンブラック、アルミナ、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、窒化ホウ素、シリカ−アルミナ粉末、ベントナイト、スメクタイト、フッ化マグネシウム、ハイドロキシアパタイト等の無機顔料、ナイロンパウダー、ポリメチルメタクリレート、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、ポリエチレン粉体、シリコーン樹脂、テフロン(登録商標)パウダー、シリコーンガム、シルクパウダー、カルナバワックス、ライスワックス、デンプン、微結晶セルロース等の有機粉体、ローダミンB等の有機色素、赤色201号、黒色401号、黄色4号、青色1号等のジルコニウム、バリウム又はアルミニウムレーキ等の有機着色料、雲母チタン、酸化鉄コーティング雲母等の複合粉体、表面処理がなされている粉体等が挙げられる。その形状としては、球状、板状、針状、繊維状等通常化粧料に用いられる形状、粒径であれば構わない。好ましい粉体は無機顔料である。
【0066】
また、基材の表面に、コロナ放電処理、グロー放電処理、プラズマ処理、紫外線照射処理、オゾン処理、アルカリや酸等による化学的エッチング処理等を施してもよい。
【0067】
基材は、基材上に樹脂膜、無機膜又は有機材料と無機材料とを含む膜(有機−無機膜)が積層されていてもよい。それら樹脂膜層、無機膜層又は有機−無機膜層からなる積層構造は基材表面の一部を覆っていればよい。また、積層構造中、最表面層に位置しない膜は、極性基を有する必要はない。
【0068】
<溶液A及び溶液B>
溶液A及び溶液Bとしては、上述のカチオン性ポリマー溶液及びアニオン性ポリマー溶液をそれぞれ用いることができる。
【0069】
<薄膜フィルムの製造方法>
本実施形態に係る薄膜フィルムの製造方法は、具体的には、溶液A又は溶液Bに基材を接触させて、基材の表面にカチオン性ポリマー又はアニオン性ポリマーに由来する層を形成する層形成工程と、
(i)カチオン性ポリマーに由来する層に、溶液Bを接触させて、カチオン性ポリマーに由来する層上にアニオン性ポリマーに由来する層を形成するステップと、
(ii)アニオン性ポリマーに由来する層に、溶液Aを接触させて、アニオン性ポリマーに由来する層上にカチオン性ポリマーに由来する層を形成するステップと、を繰り返す積層工程と、を備える。
【0070】
この交互積層法によると、基材上に形成されるカチオン性ポリマーに由来する層(又はアニオン性ポリマーに由来する層)と、溶液B(又は溶液A)とが接触することで、カチオン性ポリマー及びアニオン性ポリマーが交互に吸着して積層膜が形成される。また、上記接触によりカチオン性ポリマー又はアニオン性ポリマーの吸着が進行して表面電荷が反転すると、さらなる静電吸着は起こらなくなるため、溶液A又は溶液Bとの接触により形成される層の厚さは制御することができる。
【0071】
層形成工程では、溶液Aに基材を接触させて、基材の表面にカチオン性ポリマーに由来する層を形成するか、又は溶液Bに基材を接触させて、基材の表面にアニオン性ポリマーに由来する層を形成する。基材の表面が負に帯電している場合は前者を、基材の表面が正に帯電している場合は後者を行うことが好ましい。また、基材の表面の少なくとも一部を、溶液A又は溶液Bに接触させればよい。溶液A又は溶液Bとの接触は、2回以上に分けて行ってもよい。
【0072】
積層工程では、ステップ(i)又はステップ(ii)において、表面電荷が反転すればよい。また、接触の回数は特に限定されるものではない。例えば、ステップ(i)において、溶液Bとの接触を2回以上に分けて行ってもよく、ステップ(ii)において、溶液Aとの接触を2回以上に分けて行ってもよい。
【0073】
積層工程において、ステップ(i)とステップ(ii)とを繰り返す回数に特に制限はないが、薄膜フィルムの透明性を確保しやすい傾向にあることから、カチオン性ポリマーに由来する層及びアニオン性ポリマーに由来する層のいずれもが5〜85層となるまで繰り返すことが好ましい。また、薄膜フィルムが、自己密着性を有する程度の膜厚となりやすい傾向にあることから、カチオン性ポリマーに由来する層及びアニオン性ポリマーに由来する層のいずれもが10〜75層となるまで繰り返すことがより好ましく、15〜60層層となるまで繰り返すことが更に好ましく、20〜45層となるまで繰り返すことが更により好ましい。なお、積層工程における繰り返し回数を制御することによって、薄膜フィルムの膜厚を制御することができる。
【0074】
上記製造方法においては、積層工程がステップ(i)で終わるよりも、ステップ(ii)で終わることが好ましい。これにより、カチオン性ポリマーの特性が発現しやすくなる。例えば、カチオン性ポリマーとしてキトサンを用いた場合、キトサンの特性である抗菌性を発現しやすくなる。
【0075】
上記製造方法においては、層形成工程又は積層工程における溶液A又は溶液Bとの接触後、吸着面をリンスすることが好ましい。これにより、吸着面から余分な材料を除去することができる。
【0076】
リンスに用いるリンス液としては、水、有機溶媒又は水と水溶性の有機溶媒との混合溶媒が好ましい。水溶性の有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、アセトン、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル等が挙げられる。
【0077】
上記製造方法においては、基材、カチオン性ポリマーに由来する層又はアニオン性ポリマーに由来する層を、溶液A又は溶液Bに浸漬することにより接触させることが好ましい。例えば、層形成工程においては、基材を溶液A又は溶液Bに浸漬することにより接触させることが好ましく、積層工程においては、カチオン性ポリマーに由来する層(又はアニオン性ポリマーに由来する層)を溶液B(又は溶液A)に浸漬することにより接触させることが好ましい。これにより、より一層工業的に生産するのが容易となり、より一層汎用可能な製造方法とすることができる。
【0078】
積層膜の形成装置として、J.Appl.Phys.,Vol.79,pp.7501−7509,(1996)、特願2000−568599号等に記載されたディッパーと呼ばれる装置を用いてもよい。ディッパーを用いる場合、基材を固定したアームが自動的に動き、プログラムに従って基材等を溶液A中、溶液B中又はリンス液中に順次浸漬させることができる。
【0079】
交互に浸漬する方法(以下「交互浸漬法」ともいう。)によれば、表面電荷が反転する限り、膜の形成を継続することができる。そのため、通常のディップコート法よりも、交互浸漬法で形成した薄膜の膜厚均一性は高く、かつ膜厚制御性も高い。
【0080】
また、交互浸漬法によれば、基材の一部又は全部が筒状、糸状、繊維、発泡体等の形状を有していても、浸漬することにより溶液が入り込むことができるものであれば、積層膜がその表面に形成されるので使用することができる。また、基材の表面が凹凸形状を有していても、表面の構造に追従して積層膜を形成することができる。さらに、基材表面がナノメートルスケールやサブミクロンスケールの構造を有していても、その構造に追従して積層膜を形成することができる。
【0081】
本実施形態に係る薄膜フィルムは、基材に溶液A又は溶液Bを滴下又はスプレーするスピンコート法で積層膜を形成することにより製造してもよい。その際、リンス液は滴下、スプレー若しくはシャワー又はそれらを組み合わせた方法で供給されてもよい。基材は、搬送や回転等の運動を行っていてもよい。しかしながら、スピンコート法は溶液A、溶液B等の使用量が多く、また、一枚一枚の成膜になるため、量産性に優れないというデメリットがある。
【0082】
いずれの製造方法を用いる場合も、溶液A又は溶液Bの溶媒としては、それぞれ、カチオン性ポリマー又はアニオン性ポリマーを溶解できるものであれば、任意の溶媒を用いることができるが、カチオン性ポリマー又はアニオン性ポリマーの電荷量をより多くすることができるため、水又は無機塩類の水溶液が適当である。カチオン性ポリマー又はアニオン性ポリマーの溶液中の濃度は特に制限されるものではなく、各製造方法に応じて適宜設定すればよい。
【0083】
さらに、カチオン性ポリマー及びアニオン性ポリマーの少なくとも一方が塩であり、その塩におけるカチオン基又はアニオン基の対イオンを除去することによりカチオン性ポリマー又はアニオン性ポリマーの水への溶解性が低下する場合、薄膜フィルムを形成した後に薄膜フィルムに含まれる対イオンを除去することによって、薄膜フィルムの力学的強度を向上させることができる。対イオンの除去は、例えば、洗浄工程の回数を増やす、pH調整液に浸す等の方法により行うことができる。
【0084】
本実施形態に係る薄膜フィルムの形状や大きさは、例えば、肌の形状や大きさに合わせて適宜設定することができる。薄膜フィルムの形状としては、例えば、長方形、正方形、三角形、その他の多角形、円形、三日月形状、楕円形、及びしずく型形状が挙げられる。本実施形態に係る薄膜フィルムは、フリーサイズのテープ又はシートをハサミ等により、所望の形状と大きさに切り抜いて使用することもできる。
【実施例】
【0085】
以下、本発明を実施例及び比較例に基づいてより具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0086】
カチオン性ポリマーとしてキトサン水溶液(キミカ社製:粘度平均分子量90,000、粘度12.5mPa・s、濃度:0.1質量%)、アニオン性ポリマーとしてヒアルロン酸ナトリウム水溶液(和光純薬社製:粘度平均分子量100,000、粘度6.7mPa・s、濃度:0.1質量%)又はコンドロイチン硫酸ナトリウム水溶液(和光純薬社製:粘度平均分子量50,000、粘度3.6mPa・s、濃度:0.1質量%)、pH調整剤として酢酸(和光純薬社製)又はリンゴ酸(和光純薬社製)を用いた。溶液のpH測定にはpHメータD−50(HORIBA社製)を用いた。
【0087】
〔実施例1〕
キトサン水溶液は、上記0.1質量%のキトサン水溶液をそのまま使用した。ヒアルロン酸ナトリウム水溶液は、0.1質量%ヒアルロン酸ナトリウム水溶液に酢酸を滴下して、pHを3.5に調整したものを使用した。
SiO基板(旭日産業製、5インチシリコンウエハ:30mm×70mm×1.0mm厚)を、(ア)キトサン水溶液に1分間浸漬した後、リンス用の超純水(比抵抗18MΩ・cm)に1分間浸漬し、(イ)ヒアルロン酸ナトリウム水溶液に1分間浸漬した後、リンス用の超純水に1分間浸漬した。
(ア)と(イ)を順番に行う手順を1サイクルとして、このサイクルを30回繰り返し、SiO基板上にキトサンとヒアルロン酸ナトリウムの積層膜(薄膜フィルム)を得た。得られた薄膜フィルムの膜厚を薄膜測定装置F20(フィルメトリクス社製)によって測定した。その結果、膜厚は80nmであった。
【0088】
〔実施例2〕
ヒアルロン酸ナトリウム水溶液として、0.1質量%ヒアルロン酸ナトリウム水溶液にリンゴ酸を滴下して、pHを2.5に調整したものを使用したこと以外は実施例1と同様の操作を行った。得られた薄膜フィルムの膜厚は100nmであった。
【0089】
〔実施例3〕
ヒアルロン酸ナトリウム水溶液をコンドロイチン硫酸ナトリウム水溶液に変更したこと以外は実施例1と同様の操作を行った。得られた薄膜フィルムの膜厚は120nmであった。
【0090】
〔比較例1〕
サイクルを90回繰り返したこと以外は実施例1と同様の操作を行った。得られた薄膜フィルムの膜厚は300nmであった。
【0091】
〔比較例2〕
サイクルを3回繰り返したこと以外は実施例1と同様の操作を行った。得られた薄膜フィルムの膜厚は10nmであった。
【0092】
実施例1〜3及び比較例1で得られた薄膜フィルムを基材から剥離したのち、以下に示す評価方法に従って、目立ちにくさ、違和感及び保湿性を評価した。なお、比較例2で得られた薄膜フィルムは、基材から剥離することが困難であり、目立ちにくさ、違和感及び保湿性を評価できなかった。
【0093】
〔目立ちにくさの評価〕
30mm×30mmの大きさに裁断した薄膜フィルムを用いて、「目立ちにくさ」を目視により評価した。裁断した薄膜フィルムを成人女性(被験者)の頬部に貼付し、被験者の貼付状態について、パネリスト(成人女性)5名が目視により、「目立ちにくい」又は「目立ちやすい」の2段階で評価した。3名以上のパネリストが「目立ちにくい」と評価した場合を「A」、2名のパネリストが「目立ちにくい」と評価した場合を「B」、1名以下のパネリストが「目立ちにくい」と評価した場合を「C」とした。
【0094】
〔違和感の評価〕
薄膜フィルムを成人女性5名の頬部に貼付し、違和感の有無を「違和感がある」又は「違和感がない」の2段階で評価してもらった。4名以上が「違和感がない」と評価した場合を「AA」、3名が「違和感がない」と評価した場合を「A」、2名が「違和感がない」と評価した場合を「B」、1名以下が「違和感がない」と評価した場合を「C」とした。
【0095】
〔保湿性評価〕
モニター10名の薄膜フィルム貼付前の被検部位(目尻の部分)の角層水分量を、角層水分量計(アサヒバイオメッド社製)におけるコンダクタンス値にて評価した。
その後、実施例1〜3及び比較例1〜2の薄膜フィルムを、被検部位に15分間貼付して剥離した後30分後の角層水分量について角層水分量計(アサヒバイオメッド社製)におけるコンダクタンス値にて評価した。薄膜フィルム貼付前後におけるコンダクタンス値を比較し、10名の平均にてコンダクタンス値が15%以上増加していた場合を「AA」、10%以上15%未満増加していた場合を「A」、2%以上10%未満増加していた場合を「B」、2%未満増加していた場合を「C」として評価した。
【0096】
目立ちにくさ、違和感及び保湿性の評価結果を表1に示す。
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
キトサン若しくはキトサン誘導体又はこれらの塩を含む溶液を用いて形成されるA層と、ヒアルロン酸若しくはヒアルロン酸誘導体又はこれらの塩を含む溶液を用いて形成されるB層と、を有し、膜厚が20〜280nmである、薄膜フィルム。
【請求項2】
前記A層と前記B層とが交互に積層されたものである、請求項1に記載の薄膜フィルム。
【請求項3】
皮膚貼合用である、請求項1又は2に記載の薄膜フィルム。
【請求項4】
化粧用である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の薄膜フィルム。
【請求項5】
キトサン若しくはキトサン誘導体若しくはこれらの塩を含む溶液、又はヒアルロン酸若しくはヒアルロン酸誘導体若しくはこれらの塩を含む溶液に基材を接触させて、該基材の表面にキトサン若しくはキトサン誘導体若しくはこれらの塩、又はヒアルロン酸若しくはヒアルロン酸誘導体若しくはこれらの塩に由来する層を形成する層形成工程と、
(i)キトサン若しくはキトサン誘導体又はこれらの塩に由来する層に、ヒアルロン酸若しくはヒアルロン酸誘導体又はこれらの塩を含む溶液を接触させて、前記キトサン若しくはキトサン誘導体又はこれらの塩に由来する層上にヒアルロン酸若しくはヒアルロン酸誘導体又はこれらの塩に由来する層を形成するステップと、
(ii)ヒアルロン酸若しくはヒアルロン酸誘導体又はこれらの塩に由来する層に、キトサン若しくはキトサン誘導体又はこれらの塩を含む溶液を接触させて、前記ヒアルロン酸若しくはヒアルロン酸誘導体又はこれらの塩に由来する層上にキトサン若しくはキトサン誘導体又はこれらの塩に由来する層を形成するステップと、
を有し、
キトサン若しくはキトサン誘導体又はこれらの塩に由来する層及びヒアルロン酸若しくはヒアルロン酸誘導体又はこれらの塩に由来する層がいずれも5〜85層となるまで、ステップ(i)及びステップ(ii)を繰り返す積層工程と、を備える、薄膜フィルムの製造方法。

【公開番号】特開2013−71906(P2013−71906A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−211462(P2011−211462)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(000004455)日立化成株式会社 (4,649)
【Fターム(参考)】