薄膜積層コンデンサ
【課題】 断線の無く、品質の良好な薄膜積層コンデンサを提供する。
【解決手段】 本発明の薄膜積層コンデンサにおいて、台形状をなした第1,第2の絶縁体層5a、5bが誘電体2の積層された順に従って、互い違いに異なる誘電体2の側面を覆うように形成されると共に、第1,第2の電極3,4のそれぞれが異なる誘電体2の上面と異なる台形状の第1,第2の絶縁体層5a、5bに設けられたため、台形状の第1,第2の絶縁体層5a、5bの存在によって、第1,第2の電極3,4の断線が無く、品質の良好なものが得られる。
【解決手段】 本発明の薄膜積層コンデンサにおいて、台形状をなした第1,第2の絶縁体層5a、5bが誘電体2の積層された順に従って、互い違いに異なる誘電体2の側面を覆うように形成されると共に、第1,第2の電極3,4のそれぞれが異なる誘電体2の上面と異なる台形状の第1,第2の絶縁体層5a、5bに設けられたため、台形状の第1,第2の絶縁体層5a、5bの存在によって、第1,第2の電極3,4の断線が無く、品質の良好なものが得られる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は種々の電子機器や電子回路ユニット等に使用して好適な薄膜積層コンデンサに関する。
【背景技術】
【0002】
図12は従来の薄膜積層コンデンサの断面図であり、次に、従来の薄膜積層コンデンサの構成を図12に基づいて説明すると、ベース基板51の上面には絶縁層52が設けられる共に、この絶縁層52上には、5層に積層された誘電体53が形成され、この誘電体53は、対向する側面側で互い違いに、上層と下層が積層されて、垂直な側面を有した階段状の側部53a、53bが設けられている。
【0003】
第1の電極54は、絶縁層52上、及び偶数層の誘電体53の上面に形成された第1の主電極部54aと、この第1の主電極部54aに繋がり、それぞれの階段状の側部53a上に設けられた第1の側部電極部54bcを有し、第1の側部電極部54bが絶縁層52上に設けられた最下部に位置する第1の主電極部54aに接続されている。
【0004】
第2の電極55は、第1の主電極部54aに誘電体53を介して対向し、奇数層の誘電体53の上面に形成された第2の主電極部55aと、この第2の主電極部55aに繋がり、それぞれの階段状の側部53ba上に設けられた第2の側部電極部55bを有し、第2の側部電極部55bの一部が絶縁層52上に設けられている。
【0005】
そして、誘電体53は、誘電体53の上面に形成された第2の電極部55aの端部を順次覆う構成によって、第1の側部電極部54b側に階段状の側部53aが形成され、また、誘電体53の上面に形成された第1の電極部54aの端部を順次覆う構成によって、第2の側部電極部55b側に階段状の側部53bが形成され、しかも、積層された誘電体53と側部53a、53bとの間の段差は、第1,第2の電極54,55の数に対応して、上部になるに従って大きくなって、従来の薄膜積層コンデンサが形成されている。(例えば、特許文献1参照)
【0006】
【特許文献1】特開2003−234245号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の薄膜積層コンデンサは、第1,第2の電極54,55のそれぞれが誘電体53の垂直な側面を有した階段状の側部53a、53bに設けられるため、第1,第2の電極54,55の第1,第2の側部電極部54b、55bが階段状の側部53a、53bの角部で断線が生じ、不良品が発生するという問題がある。
【0008】
そこで、本発明は断線の無く、品質の良好な薄膜積層コンデンサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための第1の解決手段として、絶縁基板と、この絶縁基板上に複数の層に積層された誘電体と、前記絶縁基板上と前記誘電体の上面に設けられた第1の電極と、この第1の電極に対向してコンデンサを形成し、前記第1の電極と異なる前記誘電体の上面に形成された第2の電極とを備え、前記誘電体の対向する側部には、積層された順に従って、互い違いに異なる前記誘電体の側面を覆う絶縁材からなる台形状の第1,第2の絶縁体層が設けられ、前記第1の電極が前記誘電体の平坦面上と前記第1の絶縁体層上に形成されると共に、前記第2の電極が前記誘電体の平坦面上と前記第2の絶縁体層上に形成された構成とした。
【0010】
また、第2の解決手段として、前記電極は、前記誘電体の平坦面上に位置する主電極部と、この主電極部に繋がり、前記絶縁体層上に位置する側部電極部を有し、前記絶縁体層は、複数個が階段状に積層されると共に、上部に位置する前記絶縁体層の外側斜面に設けられた前記側部電極部は、下部に位置する前記絶縁体層の頂部に位置する前記側部電極部に接続されるようにした構成とした。
【発明の効果】
【0011】
本発明の薄膜積層コンデンサにおいて、絶縁基板と、この絶縁基板上に複数の層に積層された誘電体と、絶縁基板上と誘電体の上面に設けられた第1の電極と、この第1の電極に対向してコンデンサを形成し、第1の電極と異なる誘電体の上面に形成された第2の電極とを備え、誘電体の対向する側部には、積層された順に従って、互い違いに異なる誘電体の側面を覆う絶縁材からなる台形状の第1,第2の絶縁体層が設けられ、第1の電極が誘電体の平坦面上と第1の絶縁体層上に形成されると共に、第2の電極が誘電体の平坦面上と第2の絶縁体層上に形成された構成とした。
即ち、第1,第2の電極のそれぞれは、台形状の第1,第2の絶縁体層上に形成されるようにしたため、第1,第2の電極の断線が無く、品質の良好なものが得られる。
【0012】
また、電極は、誘電体の平坦面上に位置する主電極部と、この主電極部に繋がり、絶縁体層上に位置する側部電極部を有し、絶縁体層は、複数個が階段状に積層されると共に、上部に位置する絶縁体層の外側斜面に設けられた側部電極部は、下部に位置する絶縁体層の頂部に位置する側部電極部に接続されるようにしたため、下部に位置する電極への上部に位置する電極の接続が確実にでき、品質の一層良好なものが得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の薄膜積層コンデンサの図面を説明すると、図1は本発明の薄膜積層コンデンサの第1実施例に係る断面図、図2は本発明の薄膜積層コンデンサに係る製造方法の第1工程を示す説明図、図3は本発明の薄膜積層コンデンサに係る製造方法の第2工程を示す説明図、図4は本発明の薄膜積層コンデンサに係る製造方法の第3工程を示す説明図、図5は本発明の薄膜積層コンデンサに係る製造方法の第4工程を示す説明図、図6は本発明の薄膜積層コンデンサに係る製造方法の第5工程を示す説明図、図7は本発明の薄膜積層コンデンサに係る製造方法の第6工程を示す説明図、図8は本発明の薄膜積層コンデンサに係る製造方法の第7工程を示す説明図、図9は本発明の薄膜積層コンデンサに係る製造方法の第8工程を示す説明図、図10は本発明の薄膜積層コンデンサに係る製造方法の第9工程を示す説明図、図11は本発明の薄膜積層コンデンサに係る製造方法の第10工程を示す説明図である。
【0014】
次に、本発明の薄膜積層コンデンサの構成を図1に基づいて説明すると、アルミナや低温焼成セラミック等からなる絶縁基板1上には、複数の層に積層(例えば、3層)された誘電体2が形成され、この誘電体2は、酸化シリコン等からなり、それぞれの上面が平坦状をなすと共に、誘電体2の対向する側部には、積層された順に従って、互い違いに異なる誘電体2の側面を覆う絶縁材からなる台形状の第1,第2の絶縁体層5a、5bが設けられており、この第1,第2の絶縁体層5a、5bは、ポリイミド等の絶縁材によって形成されると共に、複数個の第1,第2の絶縁体層5bは、それぞれ階段状に積層された状態となっている。
【0015】
第1の電極3は、絶縁基板1上、及び偶数層の誘電体2の平坦状の上面に形成された第1の主電極部3aと、この第1の主電極部3aに繋がり、第1の絶縁体層5a上に形成された第1の側部電極部3bを有し、絶縁基板1の上面に設けられた1層目の第1の主電極部3aの一部は、絶縁基板1に設けられた配線パターンPに接続される引出部となっていると共に、2層目の第1の側部電極部3bは、1層目の第1の主電極部3aに接続された状態となっている。
【0016】
なお、この実施例では、第1の電極3が2層に形成されたもので説明したが、3層以上のものでも良いこと勿論である。
【0017】
第2の電極4は、奇数層の誘電体2の平坦状の上面に形成された第2の主電極部4aと、この第2の主電極部4aに繋がり、第2の絶縁体層5b上に第2の側部電極部4bを有し、1層目の第2の側部電極部4bの一部は、絶縁基板1の上面に設けられて、絶縁基板1に設けられた配線パターンPに接続される引出部となっていると共に、上部に位置する第2の絶縁体層5bの外側斜面に設けられた2層目の第2の側部電極部4bは、下部に位置する第2の絶縁体層5bの頂部に位置する1層目の第2の側部電極部4bに接続されるようになって、本発明の薄膜積層コンデンサが形成されている。
【0018】
次に、本発明の薄膜積層コンデンサの製造方法を図2〜図11に基づいて説明すると、先ず、第1工程では、図2に示すように、第1の電極3の第1の主電極部3aがリフトオフによって絶縁基板1上に形成される。
なお、この実施例における第1の電極3は、それぞれ2層によって形成され、例えばTaからなる下部層と例えばTiからなる上部層で構成されている。
【0019】
次に、図3の第2工程において、第1の主電極部3a上には、REIによって1層目の誘電体2が形成され、しかる後、図4の第3工程において、誘電体2の上面と絶縁基板1上には、誘電体2と第1の主電極部3aの一側面を覆うように、フォトリソ等によって台形状の第2の絶縁体層5bを形成した後、図5に示す第4工程において、1層目の誘電体2と第2の絶縁体層5b上には、第2の電極4がリフトオフによって形成される。
なお、この実施例における第2の電極4は、それぞれ2層によって形成され、例えばTaからなる下部層と例えばTiからなる上部層で構成されると共に、第2の電極4は、誘電体2の平坦状の上面に第2の主電極部4aが、また、第2の絶縁体層5b上に第2の側部電極部4bが、更に、絶縁基板1上に引出部が形成された状態となっている。
【0020】
次に、図6の第5工程において、1層目の誘電体2と第2の絶縁体層5b上に位置する第2の電極4上には、REIによって2層目の誘電体2が形成され、しかる後、図7の第6工程において、1層目と2層目の誘電体2の上面には、2層目の誘電体2と第2の主電極部4aの一側面を覆うように、フォトリソ等によって台形状の第2の絶縁体層5bを形成する。
【0021】
次に、図8の第7工程において、2層目の誘電体2と第1の絶縁体層5a上には、2層目の第1の電極3がリフトオフによって形成される。
この2層目の第1電極3は、2層目の誘電体2の平坦状の上面に第1の主電極部3aが、また、第1の絶縁体層5b上に第1の側部電極部3bが形成されると共に、第1の側部電極部3bは、下方に延びて、1層目の第1の電極3にに接続された状態となっている。
【0022】
次に、図9の第8工程において、2層目の誘電体2と第1の絶縁体層5a上に位置する第1の電極3上には、REIによって3層目の誘電体2が形成され、しかる後、図10の第9工程において、2層目の誘電体2と1層目の第2の絶縁体層5b上には、2層目と3層目の誘電体2の側面、及び2層目の第1の主電極部3aの一側面を覆うように、フォトリソ等によって2層目の台形状の第2の絶縁体層5bを形成すると共に、3層目の誘電体2と1層目の第1の絶縁体層5a上には、3層目の誘電体2の一側面を覆うように、フォトリソ等によって2層目の台形状の第1の絶縁体層5aを形成する。
【0023】
次に、図11の第10工程において、3層目の誘電体2上と2層目の第1,第2の絶縁体層5a、5b上には、2層目の第2の電極4がRIEによって形成される。
この時、2層目の第2の絶縁体層5bに形成された第2の側部電極部4bは、1層目の第2の絶縁体層5bの頂部に位置する第2の側部電極部4bに接続した状態となって、本発明の薄膜積層コンデンサの製造が完了する。
【0024】
また、上記の製造方法において、第1の絶縁体層5aが2層設けられたもので説明したが、2層目の第1の絶縁体層5aを無くして、2層目の第2の電極4が3層目の誘電体2上と2層目の第2の絶縁体層5b上に形成されるようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の薄膜積層コンデンサの第1実施例に係る断面図。
【図2】本発明の薄膜積層コンデンサに係る製造方法の第1工程を示す説明図。
【図3】本発明の薄膜積層コンデンサに係る製造方法の第2工程を示す説明図。
【図4】本発明の薄膜積層コンデンサに係る製造方法の第3工程を示す説明図。
【図5】本発明の薄膜積層コンデンサに係る製造方法の第4工程を示す説明図。
【図6】本発明の薄膜積層コンデンサに係る製造方法の第5工程を示す説明図。
【図7】本発明の薄膜積層コンデンサに係る製造方法の第6工程を示す説明図。
【図8】本発明の薄膜積層コンデンサに係る製造方法の第7工程を示す説明図。
【図9】本発明の薄膜積層コンデンサに係る製造方法の第8工程を示す説明図。
【図10】本発明の薄膜積層コンデンサに係る製造方法の第9工程を示す説明図。
【図11】本発明の薄膜積層コンデンサに係る製造方法の第10工程を示す説明図。
【図12】従来の薄膜積層コンデンサの断面図。
【符号の説明】
【0026】
1:絶縁基板
2:誘電体
3:第1の電極
3a:第1の主電極部
3b:第1の側部電極部
4:第2の電極
4a:第2の主電極部
4b:第2の側部電極部
5a:第1の絶縁体層
5b:第2の絶縁体層
P:配線パターン
【技術分野】
【0001】
本発明は種々の電子機器や電子回路ユニット等に使用して好適な薄膜積層コンデンサに関する。
【背景技術】
【0002】
図12は従来の薄膜積層コンデンサの断面図であり、次に、従来の薄膜積層コンデンサの構成を図12に基づいて説明すると、ベース基板51の上面には絶縁層52が設けられる共に、この絶縁層52上には、5層に積層された誘電体53が形成され、この誘電体53は、対向する側面側で互い違いに、上層と下層が積層されて、垂直な側面を有した階段状の側部53a、53bが設けられている。
【0003】
第1の電極54は、絶縁層52上、及び偶数層の誘電体53の上面に形成された第1の主電極部54aと、この第1の主電極部54aに繋がり、それぞれの階段状の側部53a上に設けられた第1の側部電極部54bcを有し、第1の側部電極部54bが絶縁層52上に設けられた最下部に位置する第1の主電極部54aに接続されている。
【0004】
第2の電極55は、第1の主電極部54aに誘電体53を介して対向し、奇数層の誘電体53の上面に形成された第2の主電極部55aと、この第2の主電極部55aに繋がり、それぞれの階段状の側部53ba上に設けられた第2の側部電極部55bを有し、第2の側部電極部55bの一部が絶縁層52上に設けられている。
【0005】
そして、誘電体53は、誘電体53の上面に形成された第2の電極部55aの端部を順次覆う構成によって、第1の側部電極部54b側に階段状の側部53aが形成され、また、誘電体53の上面に形成された第1の電極部54aの端部を順次覆う構成によって、第2の側部電極部55b側に階段状の側部53bが形成され、しかも、積層された誘電体53と側部53a、53bとの間の段差は、第1,第2の電極54,55の数に対応して、上部になるに従って大きくなって、従来の薄膜積層コンデンサが形成されている。(例えば、特許文献1参照)
【0006】
【特許文献1】特開2003−234245号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の薄膜積層コンデンサは、第1,第2の電極54,55のそれぞれが誘電体53の垂直な側面を有した階段状の側部53a、53bに設けられるため、第1,第2の電極54,55の第1,第2の側部電極部54b、55bが階段状の側部53a、53bの角部で断線が生じ、不良品が発生するという問題がある。
【0008】
そこで、本発明は断線の無く、品質の良好な薄膜積層コンデンサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための第1の解決手段として、絶縁基板と、この絶縁基板上に複数の層に積層された誘電体と、前記絶縁基板上と前記誘電体の上面に設けられた第1の電極と、この第1の電極に対向してコンデンサを形成し、前記第1の電極と異なる前記誘電体の上面に形成された第2の電極とを備え、前記誘電体の対向する側部には、積層された順に従って、互い違いに異なる前記誘電体の側面を覆う絶縁材からなる台形状の第1,第2の絶縁体層が設けられ、前記第1の電極が前記誘電体の平坦面上と前記第1の絶縁体層上に形成されると共に、前記第2の電極が前記誘電体の平坦面上と前記第2の絶縁体層上に形成された構成とした。
【0010】
また、第2の解決手段として、前記電極は、前記誘電体の平坦面上に位置する主電極部と、この主電極部に繋がり、前記絶縁体層上に位置する側部電極部を有し、前記絶縁体層は、複数個が階段状に積層されると共に、上部に位置する前記絶縁体層の外側斜面に設けられた前記側部電極部は、下部に位置する前記絶縁体層の頂部に位置する前記側部電極部に接続されるようにした構成とした。
【発明の効果】
【0011】
本発明の薄膜積層コンデンサにおいて、絶縁基板と、この絶縁基板上に複数の層に積層された誘電体と、絶縁基板上と誘電体の上面に設けられた第1の電極と、この第1の電極に対向してコンデンサを形成し、第1の電極と異なる誘電体の上面に形成された第2の電極とを備え、誘電体の対向する側部には、積層された順に従って、互い違いに異なる誘電体の側面を覆う絶縁材からなる台形状の第1,第2の絶縁体層が設けられ、第1の電極が誘電体の平坦面上と第1の絶縁体層上に形成されると共に、第2の電極が誘電体の平坦面上と第2の絶縁体層上に形成された構成とした。
即ち、第1,第2の電極のそれぞれは、台形状の第1,第2の絶縁体層上に形成されるようにしたため、第1,第2の電極の断線が無く、品質の良好なものが得られる。
【0012】
また、電極は、誘電体の平坦面上に位置する主電極部と、この主電極部に繋がり、絶縁体層上に位置する側部電極部を有し、絶縁体層は、複数個が階段状に積層されると共に、上部に位置する絶縁体層の外側斜面に設けられた側部電極部は、下部に位置する絶縁体層の頂部に位置する側部電極部に接続されるようにしたため、下部に位置する電極への上部に位置する電極の接続が確実にでき、品質の一層良好なものが得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の薄膜積層コンデンサの図面を説明すると、図1は本発明の薄膜積層コンデンサの第1実施例に係る断面図、図2は本発明の薄膜積層コンデンサに係る製造方法の第1工程を示す説明図、図3は本発明の薄膜積層コンデンサに係る製造方法の第2工程を示す説明図、図4は本発明の薄膜積層コンデンサに係る製造方法の第3工程を示す説明図、図5は本発明の薄膜積層コンデンサに係る製造方法の第4工程を示す説明図、図6は本発明の薄膜積層コンデンサに係る製造方法の第5工程を示す説明図、図7は本発明の薄膜積層コンデンサに係る製造方法の第6工程を示す説明図、図8は本発明の薄膜積層コンデンサに係る製造方法の第7工程を示す説明図、図9は本発明の薄膜積層コンデンサに係る製造方法の第8工程を示す説明図、図10は本発明の薄膜積層コンデンサに係る製造方法の第9工程を示す説明図、図11は本発明の薄膜積層コンデンサに係る製造方法の第10工程を示す説明図である。
【0014】
次に、本発明の薄膜積層コンデンサの構成を図1に基づいて説明すると、アルミナや低温焼成セラミック等からなる絶縁基板1上には、複数の層に積層(例えば、3層)された誘電体2が形成され、この誘電体2は、酸化シリコン等からなり、それぞれの上面が平坦状をなすと共に、誘電体2の対向する側部には、積層された順に従って、互い違いに異なる誘電体2の側面を覆う絶縁材からなる台形状の第1,第2の絶縁体層5a、5bが設けられており、この第1,第2の絶縁体層5a、5bは、ポリイミド等の絶縁材によって形成されると共に、複数個の第1,第2の絶縁体層5bは、それぞれ階段状に積層された状態となっている。
【0015】
第1の電極3は、絶縁基板1上、及び偶数層の誘電体2の平坦状の上面に形成された第1の主電極部3aと、この第1の主電極部3aに繋がり、第1の絶縁体層5a上に形成された第1の側部電極部3bを有し、絶縁基板1の上面に設けられた1層目の第1の主電極部3aの一部は、絶縁基板1に設けられた配線パターンPに接続される引出部となっていると共に、2層目の第1の側部電極部3bは、1層目の第1の主電極部3aに接続された状態となっている。
【0016】
なお、この実施例では、第1の電極3が2層に形成されたもので説明したが、3層以上のものでも良いこと勿論である。
【0017】
第2の電極4は、奇数層の誘電体2の平坦状の上面に形成された第2の主電極部4aと、この第2の主電極部4aに繋がり、第2の絶縁体層5b上に第2の側部電極部4bを有し、1層目の第2の側部電極部4bの一部は、絶縁基板1の上面に設けられて、絶縁基板1に設けられた配線パターンPに接続される引出部となっていると共に、上部に位置する第2の絶縁体層5bの外側斜面に設けられた2層目の第2の側部電極部4bは、下部に位置する第2の絶縁体層5bの頂部に位置する1層目の第2の側部電極部4bに接続されるようになって、本発明の薄膜積層コンデンサが形成されている。
【0018】
次に、本発明の薄膜積層コンデンサの製造方法を図2〜図11に基づいて説明すると、先ず、第1工程では、図2に示すように、第1の電極3の第1の主電極部3aがリフトオフによって絶縁基板1上に形成される。
なお、この実施例における第1の電極3は、それぞれ2層によって形成され、例えばTaからなる下部層と例えばTiからなる上部層で構成されている。
【0019】
次に、図3の第2工程において、第1の主電極部3a上には、REIによって1層目の誘電体2が形成され、しかる後、図4の第3工程において、誘電体2の上面と絶縁基板1上には、誘電体2と第1の主電極部3aの一側面を覆うように、フォトリソ等によって台形状の第2の絶縁体層5bを形成した後、図5に示す第4工程において、1層目の誘電体2と第2の絶縁体層5b上には、第2の電極4がリフトオフによって形成される。
なお、この実施例における第2の電極4は、それぞれ2層によって形成され、例えばTaからなる下部層と例えばTiからなる上部層で構成されると共に、第2の電極4は、誘電体2の平坦状の上面に第2の主電極部4aが、また、第2の絶縁体層5b上に第2の側部電極部4bが、更に、絶縁基板1上に引出部が形成された状態となっている。
【0020】
次に、図6の第5工程において、1層目の誘電体2と第2の絶縁体層5b上に位置する第2の電極4上には、REIによって2層目の誘電体2が形成され、しかる後、図7の第6工程において、1層目と2層目の誘電体2の上面には、2層目の誘電体2と第2の主電極部4aの一側面を覆うように、フォトリソ等によって台形状の第2の絶縁体層5bを形成する。
【0021】
次に、図8の第7工程において、2層目の誘電体2と第1の絶縁体層5a上には、2層目の第1の電極3がリフトオフによって形成される。
この2層目の第1電極3は、2層目の誘電体2の平坦状の上面に第1の主電極部3aが、また、第1の絶縁体層5b上に第1の側部電極部3bが形成されると共に、第1の側部電極部3bは、下方に延びて、1層目の第1の電極3にに接続された状態となっている。
【0022】
次に、図9の第8工程において、2層目の誘電体2と第1の絶縁体層5a上に位置する第1の電極3上には、REIによって3層目の誘電体2が形成され、しかる後、図10の第9工程において、2層目の誘電体2と1層目の第2の絶縁体層5b上には、2層目と3層目の誘電体2の側面、及び2層目の第1の主電極部3aの一側面を覆うように、フォトリソ等によって2層目の台形状の第2の絶縁体層5bを形成すると共に、3層目の誘電体2と1層目の第1の絶縁体層5a上には、3層目の誘電体2の一側面を覆うように、フォトリソ等によって2層目の台形状の第1の絶縁体層5aを形成する。
【0023】
次に、図11の第10工程において、3層目の誘電体2上と2層目の第1,第2の絶縁体層5a、5b上には、2層目の第2の電極4がRIEによって形成される。
この時、2層目の第2の絶縁体層5bに形成された第2の側部電極部4bは、1層目の第2の絶縁体層5bの頂部に位置する第2の側部電極部4bに接続した状態となって、本発明の薄膜積層コンデンサの製造が完了する。
【0024】
また、上記の製造方法において、第1の絶縁体層5aが2層設けられたもので説明したが、2層目の第1の絶縁体層5aを無くして、2層目の第2の電極4が3層目の誘電体2上と2層目の第2の絶縁体層5b上に形成されるようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の薄膜積層コンデンサの第1実施例に係る断面図。
【図2】本発明の薄膜積層コンデンサに係る製造方法の第1工程を示す説明図。
【図3】本発明の薄膜積層コンデンサに係る製造方法の第2工程を示す説明図。
【図4】本発明の薄膜積層コンデンサに係る製造方法の第3工程を示す説明図。
【図5】本発明の薄膜積層コンデンサに係る製造方法の第4工程を示す説明図。
【図6】本発明の薄膜積層コンデンサに係る製造方法の第5工程を示す説明図。
【図7】本発明の薄膜積層コンデンサに係る製造方法の第6工程を示す説明図。
【図8】本発明の薄膜積層コンデンサに係る製造方法の第7工程を示す説明図。
【図9】本発明の薄膜積層コンデンサに係る製造方法の第8工程を示す説明図。
【図10】本発明の薄膜積層コンデンサに係る製造方法の第9工程を示す説明図。
【図11】本発明の薄膜積層コンデンサに係る製造方法の第10工程を示す説明図。
【図12】従来の薄膜積層コンデンサの断面図。
【符号の説明】
【0026】
1:絶縁基板
2:誘電体
3:第1の電極
3a:第1の主電極部
3b:第1の側部電極部
4:第2の電極
4a:第2の主電極部
4b:第2の側部電極部
5a:第1の絶縁体層
5b:第2の絶縁体層
P:配線パターン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁基板と、この絶縁基板上に複数の層に積層された誘電体と、前記絶縁基板上と前記誘電体の上面に設けられた第1の電極と、この第1の電極に対向してコンデンサを形成し、前記第1の電極と異なる前記誘電体の上面に形成された第2の電極とを備え、前記誘電体の対向する側部には、積層された順に従って、互い違いに異なる前記誘電体の側面を覆う絶縁材からなる台形状の第1,第2の絶縁体層が設けられ、前記第1の電極が前記誘電体の平坦面上と前記第1の絶縁体層上に形成されると共に、前記第2の電極が前記誘電体の平坦面上と前記第2の絶縁体層上に形成されたことを特徴とする薄膜積層コンデンサ。
【請求項2】
前記電極は、前記誘電体の平坦面上に位置する主電極部と、この主電極部に繋がり、前記絶縁体層上に位置する側部電極部を有し、前記絶縁体層は、複数個が階段状に積層されると共に、上部に位置する前記絶縁体層の外側斜面に設けられた前記側部電極部は、下部に位置する前記絶縁体層の頂部に位置する前記側部電極部に接続されるようにしたことを特徴とする請求項1記載の薄膜積層コンデンサ。
【請求項1】
絶縁基板と、この絶縁基板上に複数の層に積層された誘電体と、前記絶縁基板上と前記誘電体の上面に設けられた第1の電極と、この第1の電極に対向してコンデンサを形成し、前記第1の電極と異なる前記誘電体の上面に形成された第2の電極とを備え、前記誘電体の対向する側部には、積層された順に従って、互い違いに異なる前記誘電体の側面を覆う絶縁材からなる台形状の第1,第2の絶縁体層が設けられ、前記第1の電極が前記誘電体の平坦面上と前記第1の絶縁体層上に形成されると共に、前記第2の電極が前記誘電体の平坦面上と前記第2の絶縁体層上に形成されたことを特徴とする薄膜積層コンデンサ。
【請求項2】
前記電極は、前記誘電体の平坦面上に位置する主電極部と、この主電極部に繋がり、前記絶縁体層上に位置する側部電極部を有し、前記絶縁体層は、複数個が階段状に積層されると共に、上部に位置する前記絶縁体層の外側斜面に設けられた前記側部電極部は、下部に位置する前記絶縁体層の頂部に位置する前記側部電極部に接続されるようにしたことを特徴とする請求項1記載の薄膜積層コンデンサ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−313842(P2006−313842A)
【公開日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−136177(P2005−136177)
【出願日】平成17年5月9日(2005.5.9)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年5月9日(2005.5.9)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】
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