説明

薄膜蒸着用マスクフレームアセンブリー

【課題】薄膜蒸着用マスクフレームアセンブリーを提供する。
【解決手段】開口部が形成され、開口部を取り囲むマスクフレーム110と、マスクフレーム110上に結合されるマスク120と、マスク120を支持する少なくとも一つの支持台130と、支持台130を固定する複数の固定部140と、を備える薄膜蒸着用マスクフレームアセンブリー。これにより、蒸着用基板のたるみによる蒸着用基板の割れ現象を防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄膜蒸着用マスクフレームアセンブリーに係り、より詳細には、パターンマスクのたるみを防止するための薄膜蒸着用マスクフレームアセンブリーに関する。
【背景技術】
【0002】
通常、薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor、TFT)を備える有機発光ディスプレイ装置(Organic Light Emitting Display Device、OLED)は、デジタルカメラ、ビデオカメラ、カムコーダ、携帯情報端末機、スマートホンなどのモバイル機器用ディスプレイ装置、超薄型テレビ、超スリムノート型パソコン、タブレットパソコン、フレキシブルディスプレイなどの電子電気製品に適用できて脚光を浴びている。
【0003】
有機発光ディスプレイ装置は、アノード及びカソードに注入される正孔と電子とが有機発光層で再結合して発光する原理で色相を具現できるものであり、アノードとカソードとの間に有機発光層を挿入した積層型構造である。
【0004】
しかし、前記の構造では高効率発光を得難いため、それぞれの電極と有機発光層との間に電子注入層、電子輸送層、正孔輸送層、及び正孔注入層などの中間層を選択的にさらに挿入して用いている。
【0005】
有機発光ディスプレイ装置の電極と、有機発光層を含む中間層とは、色々な方法、例えば、フォトリソグラフィ法や蒸着法によって形成される。
【0006】
フォトリソグラフィ法は、基板上の一部領域にフォトレジストを塗布することで湿式でエッチングする方法である。しかし、フォトリソグラフィ法は、フォトレジストを剥離する過程で水分が有機発光層に流れ込む。これにより、完成された有機発光ディスプレイ装置の性能及び寿命特性を顕著に劣化させる。
【0007】
前記の問題点を解決するための方法のうち一つが蒸着法である。蒸着法は、基板上に形成される薄膜などのパターンと同じパターンを持つ高精細メタルマスク(Fine Metal Mask、FMM)を整列し、薄膜の元素材を蒸着して所望のパターンの薄膜を形成する。
【0008】
蒸着用マスクとしては、マスクフレームに結合された1枚のマスク内に基板の全面に対応する薄膜パターンが全て形成された大型マスクが使われる。FMMが大面積化すれば、パターン形成のためのエッチング誤差も大きくなり、自重による中央部のたるみ現象も激しくなる。
【0009】
これにより、最近には、マスクを複数のスティック状に分割して製造した後、これをマスクフレームに付着して使用する分割型マスクが使われている。しかし、分割型マスクも大面積マスクに比べては相対的に弱いが、たるみ現象は依然として発生する恐れがあるので、マスクフレームに付着する時には、マスクを長手方向にぴんと引っ張った状態でマスクフレームに溶接する。
【0010】
ところが、最近には有機発光ディスプレイ装置の大型化につれて、マスクを引っ張った状態でマスクフレームに溶接するにもかかわらず、蒸着用基板の荷重に耐えられず、中央部分がたるみつつ周辺部分では蒸着用基板とマスクフレームとの間に間隔が発生する。
【0011】
これにより、シャドーを引き起こし、また、中央部分がたるみつつマスクが切れる問題が発生し、継続的な荷重による損傷によって所望のパターン位置の正確性が低減する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、マスクを支持する支持台と、支持台を固定する固定部とを設けることで、蒸着用基板によるマスクのたるみを防止するように構造が改善された薄膜蒸着用マスクフレームアセンブリーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一側面による薄膜蒸着用マスクフレームアセンブリーは、開口部が形成され、前記開口部を取り囲むマスクフレームと、前記マスクフレーム上に結合されるマスクと、前記マスクを支持する少なくとも一つの支持台と、前記支持台を固定する複数の固定部と、を備える。
【0014】
一実施形態において、前記支持台は、前記開口部を横切ってマスクフレームに対し一方向に配される。
【0015】
一実施形態において、前記支持台は、前記マスクを下部から支持する支持部と、前記支持部の両端から少なくとも1回折り曲げられる折り曲げ部と、を備える。
【0016】
一実施形態において、前記支持台の折り曲げ部には前記固定部がそれぞれ位置し、少なくとも一つの締結部によって前記支持台と固定部とは互いに結合され、前記固定部の両端は、マスクフレームに対して他方向に配されて、互いに対向して配されたフレームに結合される。
【0017】
一実施形態において、前記固定部は、前記支持台の折り曲げ部に対して対応する部分に少なくとも一つの締結孔が形成され、前記締結部は、前記締結孔を通じて挿入されて前記支持台の折り曲げ部に形成された結合溝に結合される。
【0018】
一実施形態において、前記締結孔は、前記固定部の長手方向に沿って前記支持台の折り曲げ部に対してそれぞれ対応する部分に離隔して複数個形成され、前記締結部は、前記締結孔を通じて前記支持台の折り曲げ部に結合される。
【0019】
一実施形態において、前記締結孔は、前記固定部の長手方向に沿って離隔して複数個形成され、前記締結部は、前記締結孔に沿ってその位置を移動させて前記支持台の折り曲げ部に結合される。
【0020】
一実施形態において、前記締結孔は、前記固定部の長手方向に沿って離隔するように前記支持台の数より多く形成され、前記締結部は、支持台に対して固定部が対応する位置に該当する締結孔を通じて前記支持台の折り曲げ部に結合される。
【0021】
一実施形態において、前記締結孔は、前記固定部の長手方向に沿って一つの大口径形状に形成され、前記締結部は、前記締結孔に沿ってその位置を移動させて前記支持台の折り曲げ部に結合される。
【0022】
一実施形態において、前記固定部の両端に結合されるフレームには、前記固定部に対して支持台の折り曲げ部が結合できる空間と対応する間隔を維持する間隔制御部が形成される。
【0023】
一実施形態において、前記間隔制御部は、前記固定部の折り曲げ部に結合されるフレームの厚さを、他の方向に互いに対向して配されたフレームの厚さより厚くして形成される。
【0024】
一実施形態において、前記固定部の両端には、前記間隔制御部と対応する部分に締結孔がさらに形成され、前記締結部は、前記締結孔を通じて前記間隔制御部に形成された結合溝に結合される。
【0025】
一実施形態において、前記マスクは、長手方向に沿って蒸着用パターン部が離隔して形成され、隣接する蒸着用パターン部の間には、これらを互いに連結させるリブが形成される。
【0026】
一実施形態において、前記支持台は、前記開口部を横切ってマスクフレームに対して一方向に配されて前記マスクを下部から支持し、前記各リブに位置する。
【0027】
一実施形態において、前記マスクと支持台とは互いに交差する方向に配される。
【0028】
一実施形態において、前記マスクフレームは、一方向に互いに対向して配された複数の第1フレームと、他方向に互いに対向して配された複数の第2フレームと、を備え、前記複数の第1フレームと複数の第2フレームとは互いに連結されて、開口部を取り囲むように形成される。
【0029】
一実施形態において、前記支持台は、前記開口部を横切って複数の第1フレームと平行な方向に配される。
【0030】
一実施形態において、前記支持台の両端部は、少なくとも1回折り曲げられる折り曲げ部を備え、前記折り曲げ部には前記固定部がそれぞれ位置し、少なくとも一つの締結部によって前記支持台と固定部とは互いに結合され、前記固定部の両端は、複数の第1フレームにそれぞれ固定される。
【0031】
一実施形態において、前記固定部は、前記支持台の折り曲げ部に対して対応する部分に締結孔が形成され、前記締結部は、前記締結孔を通じて挿入されて、前記支持台の折り曲げ部に形成された結合溝に結合される。
【0032】
一実施形態において、前記複数の第1フレームには、前記固定部に対して支持台の折り曲げ部が結合できる空間と対応する間隔を維持する間隔制御部が形成される。
【0033】
一実施形態において、前記間隔制御部は、複数の第1フレームの厚さを複数の第2フレームの厚さより厚くして形成される。
【0034】
一実施形態において、前記固定部の両端には、前記間隔制御部と対応する部分に締結孔がさらに形成され、前記締結部は、前記締結孔を通じて前記間隔制御部に形成された結合溝に結合される。
【0035】
一実施形態において、前記マスクは、前記マスクフレームの開口部を横切って一方向に配された少なくとも一つの分割マスクを含む。
【発明の効果】
【0036】
以上のように、本発明の薄膜蒸着用マスクフレームアセンブリーは、蒸着用基板のたるみによる蒸着用基板の割れ現象を防止できる。
【0037】
第2に、蒸着用基板のたるみによる、基板の周辺部でマスクフレームと基板との間隔のため生じるシャドー現象を防止できる。
【0038】
第3に、蒸着用基板のたるみによる整列反復時に発生する損傷によるパターンマスクのデント現象を低減させる。
【0039】
第4に、蒸着用基板のたるみによる荷重で生じる、パターン位置の正確性の変化を低減させる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の一実施形態による薄膜蒸着用マスクフレームアセンブリーを示す斜視図である。
【図2】図1のマスクフレーム、支持台、固定部を分離して示す斜視図である。
【図3】図1のマスクフレーム、支持台、固定部を結合して示す斜視図である。
【図4】本発明の他の実施形態による固定部を示す平面図である。
【図5】本発明のさらに他の実施形態による固定部を示す平面図である。
【図6】本発明のさらに他の実施形態による固定部を示す平面図である。
【図7】図1のVII−VII線に沿って破断図示した、マスクフレームアセンブリー上に装着された蒸着用基板の蒸着状態を概略的に示す断面図である。
【図8】本発明の一実施形態によるマスクフレームアセンブリーを用いて蒸着形成された有機発光ディスプレイ装置の概略的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本発明は、多様な変換を加えることができ、多様な実施形態を持つことができるところ、特定実施形態を図面に例示し、詳細な説明で詳細に説明する。しかし、これは本発明を特定の実施形態で限定しようとするものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれるあらゆる変換、均等物ないし代替物を含むと理解されねばならない。本発明を説明するに当って、関連する公知技術についての具体的な説明が本発明の趣旨を不明にすると判断される場合、その詳細な説明を省略する。
【0042】
第1、第2などの用語は、多様な構成要素を説明するのに使われるが、構成要素は用語によって限定されてはならない。用語は、一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的のみで使われる。
【0043】
本出願で使用した用語は、単に特定の実施形態を説明するために使われたものであり、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は、文脈上明らかに異なって意味しない限り、複数の表現を含む。本出願で、“含む”または“持つ”などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものが存在するということを指定しようとするものであり、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものの存在または付加の可能性を予め排除しないと理解されねばならない。
【0044】
以下、本発明による薄膜蒸着用マスクフレームアセンブリーの実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明し、添付図面を参照して説明するに当って、同一または対応する構成要素には同じ図面番号を付与し、これについての重なる説明は省略する。
【0045】
図1は、本発明の一実施形態によるマスクフレームアセンブリー100を示すものであり、図2は、図1のマスクフレーム110、支持台130、固定部140を分離して示したものであり、図3は、図1のマスクフレーム110、支持台130、固定部140を結合して示したものである。
【0046】
図1ないし図3を参照すれば、前記マスクフレームアセンブリー100は、マスクフレーム110、複数のマスク120、支持台130、及び固定部140を備える。
【0047】
前記マスクフレーム110には開口部115が形成され、前記開口部115を取り囲むようにフレーム111ないし114が互いに連結されて形成される。
【0048】
すなわち、前記フレーム111ないし114は、X方向に沿って互いに対向し、かつY方向に沿って平行に配された第1フレーム111及び第2フレーム112と、Y方向に沿って互いに対向し、かつX方向に沿って平行に配された第3フレーム113及び第4フレーム114とを備える。前記第1フレーム111、第2フレーム112、第3フレーム113、第4フレーム114は、互いに連結されて四角フレームを形成する。
【0049】
一方、前記マスクフレーム110は、マスク120の溶接時に変形の少ない素材、例えば、剛性の大きい金属からなることが望ましい。
【0050】
前記マスクフレーム110上にはマスク120が結合されている。前記マスク120は、自重によるたるみ現象を防止するために、一つの大型マスクよりは、Y方向に分離された複数の分割マスク121が望ましい。本実施形態では、前記分割マスク121は、ストライプ形状や、分割マスク121の幅が引っ張り方向の長手方向より小さな形状のマスクならば、いずれか一つの形状に限定されるものではない。
【0051】
前記分割マスク121には、長手方向に沿って離隔して複数の蒸着用パターン部122が形成されている。前記蒸着用パターン部122には、複数のスリットがパターン化されている。前記蒸着用パターン部122は、電鋳法で形成することで微細なパターニング及び表面平滑性を得ることができる。
【0052】
代案としては、前記蒸着用パターン部122は、エッチング法やレーザー加工等によって製造される。エッチング法によって製造される場合、前記蒸着用パターン部122は、フォトレジストを用いて前記蒸着用パターン部122と同じパターンを持つレジスト層を薄板に形成するか、またはパターンを持つフィルムを薄板に付着した後で薄板をエッチングすることで形成できる。
【0053】
前記隣接する蒸着用パターン部122の間にはリブ123が形成されて、隣接する蒸着用パターン部122を互いに連結させている。
【0054】
前記分割マスク121の両端部には溶接部124が形成されている。前記溶接部124は、前記フレーム110に溶接される部分である。
【0055】
それぞれの分割マスク121は、前記開口部115を横切ってX方向に配される。前記分割マスク121は、X方向に所定の引っ張り力が印加された状態で、前記第1フレーム111及び第2フレーム112に対して溶接部124が溶接される。これにより、前記マスク120は、前記マスクフレーム110に対して固定される。
【0056】
一方、前記マスク120を用いて高精密度のパターニングを行うためには、マスク120と、前記マスク120の上部に位置する基板150との密着性を高めてシャドー現象を低減させねばならない。したがって、前記マスク120は、薄板で形成されることが望ましい。前記マスク120の素材には、ステンレススチール、インバー(Invar)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、ニッケル合金、ニッケル−コバルト合金などが使われる。
【0057】
前記支持台130は、前記マスク120の変形を防止するために設けられる。前記支持台130は、前記開口部115を横切ってY方向に少なくとも一つ配される。前記支持台130が設けられる方向は、前記分割マスク120が配された方向に対して交差する方向である。
【0058】
前記支持台130には、前記マスク120を下部から支持するように支持部131を備える。前記支持部131は、ストリップ状である。前記支持部131の両端部には折り曲げ部132が形成されている。
【0059】
前記折り曲げ部132は、前記マスク120が設けられた方向に対して逆方向である下方に折り曲げられている。本実施形態では、前記支持部131の両端部を2回折り曲げることで折り曲げ部132を形成するが、少なくとも1回折り曲げられて段差が形成される構造であれば、いずれか一つに限定されるものではない。前記折り曲げ部132には結合溝133が形成されている。
【0060】
前記支持台130は、前記マスク120を下部から支持する時に、各分割マスク121に形成された蒸着用パターン部122を遮蔽しないために、隣接する蒸着用パターン部122の間に配列された各リブ123に位置する。前記支持部131は、Y方向に同一線上で連続的に配列された、隣接する各分割マスク121のリブ123に位置する。
【0061】
前記固定部140は、前記支持台130を固定させるために設けられる。
【0062】
前記固定部140は、前記支持台130の両端部に形成された折り曲げ部132にそれぞれ位置しており、少なくとも一つの締結部160によって前記支持台130に結合される。前記固定部140はストリップ状であり、X方向に沿って配される。前記固定部140が配される方向は、前記支持台130が配される方向に対して交差する方向である。
【0063】
前記固定部140には、前記折り曲げ部132と対応する部分に締結孔141が形成される。前記締結孔141は、前記固定部140の長手方向に沿って、前記折り曲げ部132と対応する部分に所定間隔離隔して複数個形成されている。前記締結部160は、前記締結孔141を通過して前記折り曲げ部132に形成された結合溝133に結合されることで、前記固定部140に対して支持台130を固定させる。前記締結部160としては、ボルトやねじなどが用いられる。
【0064】
前記固定部140の両端部は、第1フレーム111及び第2フレーム112にそれぞれ結合される。この時、前記第1フレーム111及び第2フレーム112には、前記固定部140に対して支持台130を結合させるための空間、例えば、前記折り曲げ部132が位置できる空間を確保するために、これと対応する厚さを持つ間隔制御部170が形成されることが望ましい。
【0065】
すなわち、前記固定部140は、前記第3フレーム113及び第4フレーム114の下部にZ方向に所定間隔離隔して位置している。前記第3フレーム113及び第4フレーム114と、固定部140との間の間隔gは、前記折り曲げ部132が位置できる空間を提供している。このため、前記第1フレーム111の両端部と、第2フレーム112の両端部とは、前記間隔gほどの厚さを維持していなければならない。
【0066】
このために、前記第1フレーム111及び第2フレーム112の下部には、間隔制御部170が形成されている。前記間隔制御部170は、前記第1フレーム111の厚さ及び第2フレーム112の厚さを、前記間隔gが維持できるほど、前記第3フレーム113の厚さ及び第4フレーム114の厚さより厚く形成することで形成される。このように互いに異なる厚さを持つ第1フレーム111及び第2フレーム112と、第3フレーム113及び第4フレーム114とは、プレス加工によって製造できる。
【0067】
前記第1フレーム111及び第2フレーム112の両端部の下部には結合溝171が形成されている。前記結合溝171と対応する支持台140には締結孔141が形成されている。
【0068】
これにより、前記折り曲げ部133に形成された結合溝133に対して、固定部140に形成された締結孔141の位置を整列した後、締結部160によって締結される方式で固定部140に対する支持台130の位置が固定され、これと同時に、前記固定部140の両端部も、締結部160によって前記第1フレーム111及び第2フレーム112に位置が固定される。
【0069】
これにより、前記支持台130がマスク120を支持する必要がない場合には、前記締結部160を解除することで、前記支持台130及び固定部140を前記マスクフレーム110から分離させる。
【0070】
本実施形態では、前記間隔制御部170が第1フレーム111及び第2フレーム112の全体厚さを増大させることで形成されるが、前記固定部140に支持台130を結合させるために前記折り曲げ部132が位置できる空間を提供するならば、これに限定されるものではない。
【0071】
例えば、前記間隔制御部170は、前記第1フレーム111及び第2フレーム112の両端部の厚さを、前記第1フレーム111及び第2フレーム112の他の部分の厚さよりさらに厚くするか、または別途の板状部材を設けて、前記第1フレーム111及び第2フレーム112の下部に付着させるか、または前記固定部140の両端部を前記第1フレーム111及び第2フレーム112が配された方向に折り曲げて形成させるなど多様な実施形態が可能である。
【0072】
一方、前記支持台130及び固定部140は、熱的変形を最小化するために同じ素材で形成することが望ましい。
【0073】
図4ないし図6は、本発明の固定部の変形された実施形態を示すものである。
【0074】
図4を参照すれば、固定部440には複数の締結孔441が形成されている。図2の締結孔141が支持台(図2の130)の折り曲げ部132と対応する部分のみに選択的に形成されることとは異なって、本実施形態の締結孔441は、前記固定部440の長手方向に沿って前記締結部160が左右に移動できる自由度を持って形成されている。前記締結孔441は、横断面が直方形になっている。
【0075】
これにより、前記支持台130の折り曲げ部132が固定部440に位置すれば、前記締結部160は前記締結孔441に沿って左右に移動させて、前記折り曲げ部132と対応する位置で折り曲げ部132に形成された結合溝133に結合させることで、前記固定部440に対して支持台130を固定させる。
【0076】
一方、前記締結孔441は、前記間隔制御部(図2の171)に形成された結合溝171と対応するところに位置して、前記締結部160によって、前記第1フレーム111及び第2フレーム112に固定部440を固定させることはいうまでもない。
【0077】
図5を参照すれば、固定部540には複数の締結孔541が形成されている。前記締結孔541は、前記固定部540の長手方向に沿って所定間隔離隔して複数個形成されている。図2の締結孔141が支持台130の折り曲げ部132と対応する部分のみに選択的に形成されることとは異なって、本実施形態の締結孔541は、前記支持台130の数より多く前記固定部550に形成されている。
【0078】
これにより、前記支持台130の折り曲げ部132が固定部540に位置すれば、前記締結部160は、支持台130の折り曲げ部132と対応する位置の締結孔541を通じて挿入させて螺合することで、前記固定部540に支持台130を固定させる。
【0079】
一方、前記締結孔541は、前記間隔制御部171に形成された結合溝171と対応するところに位置して、前記締結部160によって前記第1フレーム111及び第2フレーム112に固定部540を固定させることはいうまでもない。
【0080】
図6を参照すれば、固定部640には複数の締結孔641が形成されている。前記締結孔641は、前記固定部640の長手方向に沿って一つの大口径形状に形成されている。
【0081】
これにより、前記支持台130の折り曲げ部132が固定部640に位置するようになり、前記締結部160は前記締結孔641に沿って左右に移動させて、前記折り曲げ部132と対応する位置で螺合させることで前記固定部640に支持台130を固定させる。
【0082】
一方、前記締結孔641は、前記間隔制御部171に形成された結合溝171と対応するところに位置して、前記締結部160によって前記第1フレーム111及び第2フレーム112に固定部640を固定させることはいうまでもない。
【0083】
図7は、図1のVII−VII線に沿って破断図示した、マスクフレームアセンブリー100上に装着された蒸着用基板150の蒸着状態を示すものである。
【0084】
図面を参照すれば、前記マスクフレームアセンブリー100を用いて有機発光ディスプレイ装置の有機発光層やカソードを蒸着するためには、真空チャンバ700が設けられれう。前記真空チャンバ700の下部には蒸着源710が位置し、前記蒸着源710の上部にはマスクフレームアセンブリー100が設けられる。前記マスク120の上部には基板150が位置している。前記マスクフレームアセンブリー100のエッジには、これらを固定させるための別途の支持部材720がさらに備えられる。
【0085】
前記基板150の所望の位置に蒸着物質が蒸着される過程を簡略に説明すれば、次の通りである。
【0086】
まず、前記マスクフレームアセンブリー100を支持部材720に固定させ、前記マスク120の上部に基板150を位置させる。前記基板150は、前記マスク120に対して間隔なしに位置させるか、または別途の間隔制御部材によって前記マスク120に対して所定間隔離隔して位置させる。
【0087】
次いで、前記真空チャンバ700の下部に位置する蒸着源710から蒸着物質を、前記マスクフレームアセンブリー100に向かって噴射させれば、前記マスク120に形成された蒸着用パターン部(図1の122)によって、前記基板150の一面には所望のパターンを持つように蒸着物質が蒸着される。
【0088】
この時、蒸着工程中、前記基板150の重さによって、前記基板150の中央部が前記蒸着源710の方向に曲がる恐れがあるが、前記基板150を支持するマスク120の下部は支持台130によって支持され、前記支持台130は固定部140に結合され、前記固定部140は間隔制御部170に結合されてその位置を定めているので、前記基板120に印加される荷重は前記支持台130によって分散されて、基板150の破損及びマスク120の変形を未然に防止できる。
【0089】
図8は、本発明の一実施形態によるマスクフレームアセンブリー100を用いて蒸着形成された有機発光ディスプレイ装置800の副画素の一例を示すものである。
【0090】
ここで、副画素は、少なくとも一つの薄膜トランジスタ(TFT)と、有機発光素子(OLED)とを持つ。前記TFTは、必ずしも図8に示した構造のみ可能なものではなく、その数及び構造は多様に変形できる。
【0091】
図面を参照すれば、基板801上にはバッファ層802が形成されている。前記基板801はガラスやプラスチックからなる。前記バッファ層802上には、所定パターンの半導体活性層803が形成されている。前記半導体活性層803の上部にはゲート絶縁膜804が形成されており、前記ゲート絶縁膜804の上部の所定領域にはゲート電極805が形成されている。
【0092】
前記ゲート電極805は、TFTオン/オフ信号を印加するゲートライン(図示せず)と連結されている。前記ゲート電極805の上部には層間絶縁膜806が形成されており、コンタクトホールを通じてソース電極807及びドレイン電極808が、それぞれ半導体活性層803のソース領域809及びドレイン領域810に接するように形成されている。
【0093】
前記ソース電極807及びドレイン電極808の上部には、SiO、SiNxなどからなるパッシベーション膜811が形成されている。前記パッシベーション膜811の上部にはアクリル、ポリイミド、BCB(ベンゾシクロブテン)などの有機物質からなる平坦化膜812が形成されている。
【0094】
前記平坦化膜812の上部にはOLEDのアノードになる画素電極813が形成され、これを覆うように有機物からなる画素定義膜(Pixel Define Layer、PDL)814が形成されている。前記画素定義膜814には所定の開口を形成した後で画素定義膜814の上部及び開口が形成されて、外部に露出した画素電極813の上部に有機膜814が形成されている。前記有機膜814は発光層を含むことになる。本発明は必ずしもこれらの構造に限定されるものではなく、多様な有機発光装置の構造がそのまま適用できるということはいうまでもない。
【0095】
OLEDは、電流のフローによって赤色、緑色、青色の光を発光して所定の画像情報を表示するものであり、TFTのソース電極807に連結されて、これからプラス電源を供給される第1電極である画素電極810と、全体画素を覆うように備えられてマイナス電源を供給する第2電極である対向電極815、及びこれら画素電極813と対向電極815との間に配されて発光する有機膜814を備える。
【0096】
前記画素電極813と対向電極815とは、有機膜814によって互いに絶縁されており、有機膜814に相異なる極性の電圧を加えて有機膜814で発光を行わせる。
【0097】
前記画素電極815はアノードの機能を行い、対向電極813はカソードの機能を行う。もちろん、これら画素電極813と対向電極815との極性は逆になってもよい。
【0098】
前記画素電極813は、透明電極または反射型電極で備えられる。
【0099】
透明電極で使われる場合、ITO、IZO、ZnO、またはInからなり、反射型電極で使われる場合、Ag、Mg、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr、及びこれらの化合物で反射膜を形成した後、その上にITO、IZO、ZnO、またはInを形成できる。
【0100】
前記対向電極815も、透明電極または反射型電極で備えられる。
【0101】
透明電極で使われる場合、前記対向電極815がカソードとして使われるので、仕事関数の小さな金属、すなわち、Li、Ca、LiF/Ca、LiF/Al、Al、Ag、Mg及びこれらの化合物が有機膜814の方向に向かうように蒸着した後、その上にITO、IZO、ZnO、またはInなどの透明電極形成用物質で補助電極層やバス電極ラインを形成できる。反射型電極で使われる場合、前記のLi、Ca、LiF/Ca、LiF/Al、Al、Ag、Mg、及びこれらの化合物を全面蒸着して形成する。
【0102】
一方、前記画素電極813は、前記透明電極または反射型電極で形成する時に、各副画素の開口形態に対応する形態で形成される。また、前記対向電極815は、前記透明電極または反射型電極をディスプレイ領域全体に全面蒸着して形成できる。しかし、前記対向電極815は必ずしも全面蒸着される必要はなく、多様なパターンで形成できるということはいうまでもない。前記画素電極813と対向電極815とは、互いに位置が逆に積層できるということはいうまでもない。
【0103】
前記有機膜814は、低分子または高分子有機膜が使われる。
【0104】
低分子有機膜を使用する場合、ホール注入層(HIL:Hole Injection Layer)、ホール輸送層(HTL:Hole Transport Layer)、発光層(EML:Emission Layer)、電子輸送層(ETL:Electron Transport Layer)、電子注入層(EIL:Electron Injection Layer)などが単一あるいは複合の構造で積層して形成される。また、利用可能な有機材料も、銅フタロシアニン(CuPc)、N,N−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ジフェニル−ベンジジン(NPB)、トリス−8−ヒドロキシキノリンアルミニウム(Alq3)などをはじめとして多様に適用できる。これら低分子有機膜は真空蒸着の方法で形成される。
【0105】
高分子有機膜を使用する場合、大体ホール輸送層(HTL)及び発光層(EML)を含む。ホール輸送層としてはPEDOTを使用し、発光層としてはPPV(ポリフェニレンビニレン)系及びポリフルオレン系などの高分子有機物質を使用し、これをスクリーン印刷やインクジェット印刷方法などで形成できる。
【0106】
該有機膜は必ずしもこれらに限定されるものではなく、多様な実施形態が適用できることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0107】
本発明は、薄膜蒸着用マスクフレームアセンブリー関連の技術分野に好適に用いられる。
【符号の説明】
【0108】
100 マスクフレームアセンブリー
110 マスクフレーム
111 第1フレーム
112 第2フレーム
113 第3フレーム
114 第4フレーム
120 マスク
121 分割マスク
122 蒸着用パターン部
123 リブ
124 溶接部
130 支持台
131 支持部
132 折り曲げ部
133 結合溝
140 固定部
141 締結孔
150 基板
160 締結部
170 間隔制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部が形成され、前記開口部を取り囲むマスクフレームと、
前記マスクフレーム上に結合されるマスクと、
前記マスクを支持する少なくとも一つの支持台と、
前記支持台を固定する複数の固定部と、を備える薄膜蒸着用マスクフレームアセンブリー。
【請求項2】
前記支持台は、前記開口部を横切ってマスクフレームに対して一方向に配される請求項1に記載の薄膜蒸着用マスクフレームアセンブリー。
【請求項3】
前記支持台は、前記マスクを下部から支持する支持部と、前記支持部の両端から少なくとも1回折り曲げられる折り曲げ部と、を備える請求項2に記載の薄膜蒸着用マスクフレームアセンブリー。
【請求項4】
前記支持台の折り曲げ部には前記固定部がそれぞれ位置し、少なくとも一つの締結部によって前記支持台と固定部とは互いに結合され、
前記固定部の両端は、マスクフレームに対して他方向に配されて、互いに対向して配されたフレームに結合された請求項3に記載の薄膜蒸着用マスクフレームアセンブリー。
【請求項5】
前記固定部は、前記支持台の折り曲げ部に対して対応する部分に少なくとも一つの締結孔が形成され、
前記締結部は、前記締結孔を通じて挿入されて前記支持台の折り曲げ部に形成された結合溝に結合される請求項4に記載の薄膜蒸着用マスクフレームアセンブリー。
【請求項6】
前記締結孔は、前記固定部の長手方向に沿って前記支持台の折り曲げ部に対してそれぞれ対応する部分に離隔して複数個形成され、
前記締結部は、前記締結孔を通じて前記支持台の折り曲げ部に結合される請求項5に記載の薄膜蒸着用マスクフレームアセンブリー。
【請求項7】
前記締結孔は、前記固定部の長手方向に沿って離隔して複数個形成され、
前記締結部は、前記締結孔に沿ってその位置を移動させて前記支持台の折り曲げ部に結合される請求項5に記載の薄膜蒸着用マスクフレームアセンブリー。
【請求項8】
前記締結孔は、前記固定部の長手方向に沿って離隔するように前記支持台の数より多く形成され、
前記締結部は、支持台に対して固定部が対応する位置に該当する締結孔を通じて前記支持台の折り曲げ部に結合される請求項5に記載の薄膜蒸着用マスクフレームアセンブリー。
【請求項9】
前記締結孔は、前記固定部の長手方向に沿って一つの大口径形状に形成され、
前記締結部は、前記締結孔に沿ってその位置を移動させて前記支持台の折り曲げ部に結合される請求項5に記載の薄膜蒸着用マスクフレームアセンブリー。
【請求項10】
前記固定部の両端に結合されるフレームには、前記固定部に対して支持台の折り曲げ部が結合できる空間と対応する間隔を維持する間隔制御部が形成された請求項4に記載の薄膜蒸着用マスクフレームアセンブリー。
【請求項11】
前記間隔制御部は、前記固定部の折り曲げ部に結合されるフレームの厚さを、他の方向に互いに対向して配されたフレームの厚さより厚くして形成された請求項10に記載の薄膜蒸着用マスクフレームアセンブリー。
【請求項12】
前記固定部の両端には、前記間隔制御部と対応する部分に締結孔がさらに形成され、
前記締結部は、前記締結孔を通じて前記間隔制御部に形成された結合溝に結合される請求項10に記載の薄膜蒸着用マスクフレームアセンブリー。
【請求項13】
前記マスクは、長手方向に沿って蒸着用パターン部が離隔して形成され、隣接する蒸着用パターン部の間には、これらを互いに連結させるリブが形成された請求項1に記載の薄膜蒸着用マスクフレームアセンブリー。
【請求項14】
前記支持台は、前記開口部を横切ってマスクフレームに対して一方向に配されて前記マスクを下部から支持し、前記各リブに位置する請求項13に記載の薄膜蒸着用マスクフレームアセンブリー。
【請求項15】
前記マスクと支持台とは互いに交差する方向に配された請求項14に記載の薄膜蒸着用マスクフレームアセンブリー。
【請求項16】
前記マスクフレームは、一方向に互いに対向して配された複数の第1フレームと、他方向に互いに対向して配された複数の第2フレームと、を備え、
前記複数の第1フレームと複数の第2フレームとは互いに連結されて、開口部を取り囲むように形成された請求項1に記載の薄膜蒸着用マスクフレームアセンブリー。
【請求項17】
前記支持台は、前記開口部を横切って複数の第1フレームと平行な方向に配される請求項16に記載の薄膜蒸着用マスクフレームアセンブリー。
【請求項18】
前記支持台の両端部は、少なくとも1回折り曲げられる折り曲げ部を備え、
前記折り曲げ部には前記固定部がそれぞれ位置し、
少なくとも一つの締結部によって前記支持台と固定部とは互いに結合され、
前記固定部の両端は、複数の第1フレームにそれぞれ固定された請求項17に記載の薄膜蒸着用マスクフレームアセンブリー。
【請求項19】
前記固定部は、前記支持台の折り曲げ部に対して対応する部分に締結孔が形成され、
前記締結部は、前記締結孔を通じて挿入されて、前記支持台の折り曲げ部に形成された結合溝に結合される請求項18に記載の薄膜蒸着用マスクフレームアセンブリー。
【請求項20】
前記複数の第1フレームには、前記固定部に対して支持台の折り曲げ部が結合できる空間と対応する間隔を維持する間隔制御部が形成された請求項19に記載の薄膜蒸着用マスクフレームアセンブリー。
【請求項21】
前記間隔制御部は、複数の第1フレームの厚さを複数の第2フレームの厚さより厚くして形成された請求項20に記載の薄膜蒸着用マスクフレームアセンブリー。
【請求項22】
前記固定部の両端には、前記間隔制御部と対応する部分に締結孔がさらに形成され、
前記締結部は、前記締結孔を通じて前記間隔制御部に形成された結合溝に結合される請求項20に記載の薄膜蒸着用マスクフレームアセンブリー。
【請求項23】
前記マスクは、前記マスクフレームの開口部を横切って一方向に配された少なくとも一つの分割マスクを含む請求項1に記載の薄膜蒸着用マスクフレームアセンブリー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−4520(P2013−4520A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−121818(P2012−121818)
【出願日】平成24年5月29日(2012.5.29)
【出願人】(512187343)三星ディスプレイ株式會社 (73)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Display Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】95,Samsung 2 Ro,Giheung−Gu,Yongin−City,Gyeonggi−Do,Korea
【Fターム(参考)】