説明

薬剤が染みだしにくい支持体用不織布

【課題】水分を多く含有する薬剤を高速で塗工したり、貼付剤を長期間保存しても、薬剤が染みだしにくい支持体用不織布を提供する。
【解決手段】本発明に係る支持体用不織布は、親水性繊維層と撥水性繊維層との積層体が、撥水性繊維層の面から機械的交絡法により絡合されることを特徴としている。前記親水性繊維層はニードルパンチ法により目付100g/m2の繊維層を形成した時に、JIS L 1907滴下法にて計測される水滴の吸収時間が10秒以下となる繊維で形成されており、前記撥水性繊維層はJIS L 1092 6.2スプレー法にて得られる評価がレベル3以上となる繊維で形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用貼付剤の基材に用いられ、薬剤の染み出し防止に優れた効果を示す支持体用不織布に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、医療用貼付剤の基材として不織布を使用すると、各種の貼付剤、膏体などが水分を含有するため、これらの薬剤を塗工したり、薬剤を含む貼付剤を放置すると、薬剤が不織布の裏面まで染みだす場合があった。そのため、例えば、使用前に複数枚の貼付剤が重なった状態で貼りついたり、薬剤が衣類に付着するなどの問題があった。これらに対処するため、様々な不織布が製造されてきた。例えば、不織布自身の厚みと不織布に付与した撥水性を利用し、薬剤の染みだしを防止するものとして、撥水性短繊維と捲縮性複合繊維とを混綿して形成された伸縮性不織布がある(特許文献1)。また、捲縮性繊維からなる伸縮性不織布を、撥水剤を含む処理液に含浸させて撥水処理させた伸縮性不織布や(特許文献2)、撥水剤を用いて撥水加工された捲縮繊維を主体とする伸縮性不織布なども開発されている(特許文献3)。
【0003】
その他、粘着性膏体層中に含有される薬物の不織布への染み込みを防止するために、不織布の単繊維同士を熱融着させ、熱融着層を設けた貼付剤や(特許文献4)、特定のブロック重合体、ポリオレフィン及び軟化剤を特定の割合で含有するエラストマー組成物を不織布に被覆することにより、薬効成分や水分などの染みだしを防止する方法なども知られている(特許文献5)。
【0004】
しかしながら、近年では、薬剤中における水分量が増加しており、また薬剤の粘度の低下や、薬剤を支持体に塗工する際の塗工速度の高速化による支持体の加工張力や塗工圧の増加によって、薬剤は容易に染みだしやすくなっており、貼付剤の支持体には従来に増して、染みだし防止性能が要求されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−090508号公報
【特許文献2】特開2009−079325号公報
【特許文献3】特開2009−079324号公報
【特許文献4】特開2005−314245号公報
【特許文献5】特開2011−032215号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
水分を多く含有する薬剤を高速で塗工したり、貼付剤を長期間保存しても、薬剤が染みだしにくい支持体用不織布を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
薬剤が染みだしにくい支持体用不織布をうる方法としては、薬剤が浸透しないよう不織布を厚くする方法と、不織布を圧密し、薬剤が裏面まで染みだす際に通る空隙を圧縮して不織布の密度を上げる方法が一般的である。しかし、前者の方法では、不織布が厚く1箱に納入できる枚数が限られるため、保管スペースや運送コストが嵩むため好ましくない。一方、後者の方法では、支持体用不織布の通気性が極度に低下し、実際に肌に貼付するとムレなどの不快感が発生するため好ましくない。従って、この二つの方策のバランスを取りながら、新規の方策を講じることが肝要である。
【0008】
本発明者は、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、薬剤が馴染みやすく浸透しやすい親水性繊維層と、薬剤が浸透し難い撥水性繊維層からなる積層不織布を、撥水性繊維層の面からニードルパンチ加工やウォーターパンチ加工などの機械的交絡法により親水性繊維と撥水性繊維を絡合させることで、医療用貼付剤の基材として使用可能な支持体用不織布を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明に係る支持体用不織布は、親水性繊維層と撥水性繊維層との積層体が、撥水性繊維層の面から機械的交絡法により絡合されることを特徴としている。前記親水性繊維層はニードルパンチ法により目付100g/m2の繊維層を形成した時に、JIS L 1907滴下法にて計測される水滴の吸収時間が10秒以下となる繊維で形成されており、前記撥水性繊維層はJIS L 1092 6.2スプレー法にて得られる評価がレベル3以上となる繊維で形成されていることが好ましい。前記機械的交絡法とは、例えば、ニードルパンチ加工またはウォーターパンチ加工であることが好ましい。特にニードルパンチ加工において絡合に使用される針は、針番手36〜42番であることが好ましく、また、前記親水性繊維層の目付は20〜150g/m2であり、前記撥水性繊維層の目付は20〜150g/m2であることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の支持体用不織布によれば、薬剤を高速で親水性繊維層面に塗工したり、貼付剤を長時間積み重ねた状態で放置しても、薬剤が撥水性繊維層面から染みだすことがなく、また染みだした薬剤で衣服などを汚すこともない。さらに、本発明の不織布はバインダーなどの加工剤を含有しないため、医療用として安全に使用することが可能である。また繊維層を絡合させることで、不織布の風合いを柔らかく仕上げることが可能となり、貼付剤を皮膚に直接貼付しても不快感が少ない。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、例えば、貼付剤や薬剤の塗布基材(支持体)として有用な不織布に関する。本発明の支持体用不織布は、親水性繊維層と撥水性繊維層からなる積層体が、撥水性繊維層の面から機械的交絡法により絡合されて接合されている点に特徴がある。親水性繊維層を設けることにより、薬剤を含浸させやすくなるとともに、撥水性繊維層面から各繊維層を機械的に絡合させることで、薬剤の染み出しを防ぐことが可能である。
【0012】
本願発明の親水性繊維層は、ニードルパンチ法により目付100g/m2の繊維層を形成した時に、JIS L 1907滴下法にて計測される水滴の吸収時間が、例えば10秒以下、好ましくは7秒以下、より好ましくは5秒以下となる親水性繊維で形成されている。吸収時間が10秒より長くなると、薬剤が親水性繊維層に吸収され難くなるため好ましくない。
【0013】
前記親水性繊維層を構成する繊維としては、例えばレーヨン繊維などのセルロース系化学繊維、綿などの天然繊維、及び親水処理(親水加工)された合成繊維(例えば、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、ポリオレフィン系繊維)などが有用に用いられる。前記合成繊維は、例えば、親水剤によって親水処理(親水加工)することにより、あるいはポリエチレングリコールなどの親水成分と共重合することにより親水化されている。これらの中で特にレーヨン繊維、親水加工されたあるいはポリエチレングリコールなどの親水成分と共重合したポリエステル繊維が本願発明には好適である。
【0014】
前記親水性繊維層は、上記に例示される繊維を複数混綿して形成してもよい。一般に、前記セルロース系化学繊維や天然繊維は、水分の吸収速度は遅いものの保水性に優れている。その一方、前記親水処理された合成繊維は、水分の吸収速度は速いものの保水性に劣る。そこで、セルロース系化学繊維や天然繊維と、親水処理された合成繊維を用いて親水性繊維層を形成する際は、吸収速度と保水性のバランスを考慮し、レーヨン繊維と親水処理されたポリエステル繊維の混率は、例えば20/80〜80/20、好ましくは30/70〜70/30となるように混綿し、最適化を図るとよい。
【0015】
本願発明の撥水性繊維層は、ニードルパンチ法により目付100g/m2の繊維層を形成した時に、JIS L 1092 6.2スプレー法にて得られる評価が、例えばレベル3以上、好ましくはレベル4以上となる撥水性繊維で形成されている。評価がレベル2以下の撥水性繊維層では、撥水効果が十分に発揮されないため、薬剤が染みだしやすくなり、好ましくない。
【0016】
前記撥水性繊維層を構成する繊維としては、例えばシリコーン繊維、ポリテトラフルオロエチレン繊維、及び撥水処理(撥水加工)された合成繊維(例えば、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、ポリオレフィン系繊維)などが有用に用いられる。前記撥水処理には、例えば、フッ素系撥水剤(例えば、パーフルオロヘキサンの共重合体など)、シリコーン系撥水剤(例えば、撥水性シリコーンなど)、ワックス系撥水剤など撥水剤が使用可能である。これらの中で特にポリテトラフルオロエチレン繊維、撥水加工されたポリエステル繊維が本願発明には好適である。
【0017】
撥水性繊維層を形成する際は、各種薬剤の浸透防止の目的、及び製品価格を抑える目的でシリコーン繊維を混綿するのが常法である。シリコーン繊維の混率は、例えば20重量%未満である。シリコーン繊維はフッ素系の繊維に比べて撥水性が劣るので、混率が20重量%より高くなると、撥水効果が十分に発揮されず、染みだしが発生しやすくなるため好ましくない。
【0018】
本発明の支持体用不織布を、体に直接貼付する医療用用具の支持体として用いる場合には、親水性繊維及び撥水性繊維の両方、もしくは親水性繊維又は撥水性繊維のいずれか一方に捲縮性複合繊維を用いることが好ましい。捲縮性の繊維を使用することで、支持体用不織布の自由な伸縮変型が可能となるため、患部に製品を貼付しやすくなる。また貼付後も、体の動きと一体となって支持体が変型するため、長時間に亘って、塗工された薬剤が患部に接触できるため好ましい。
【0019】
また、使用できる親水性繊維及び撥水性繊維の繊維径(繊度)に、特に制限はない。しかし可能であれば、例えば繊維径は1〜10デシテックスであり、好ましくは1.6〜7デシテックスである。
【0020】
同様に、使用できる親水性繊維及び撥水性繊維の繊維長にも制限はない。しかし可能であれば、例えば繊維長は20〜80mmであり、好ましくは30〜70mmであり、より好ましくは40〜60mmである。
【0021】
親水性繊維層の目付は、例えば20〜150g/m2であり、好ましくは40〜100g/m2である。また、撥水性繊維層の目付は、例えば20〜150g/m2であり、好ましくは40〜100g/m2である。親水性繊維層並びに撥水性繊維層の目付が少ないと必然的に不織布も薄くなり、薬剤の染みだしが発生しやすくなり好ましくない。また、目付が多いと、不織布が厚くなり、包装箱に入る貼付剤の枚数が減少するため好ましくない。
【0022】
更に、親水性繊維層/撥水性繊維層の重量比率は、例えば20/80〜80/20であり、好ましくは30/70〜60/40である。前記親水性繊維層の重量比率が80重量%より大きくなると、親水性繊維が過剰となって塗工された薬剤が、支持体用不織布に浸透し、裏側にまで染みだすため好ましくない。また、前記撥水性繊維層の重量比率が80重量%より大きくなると、塗工された薬剤が十分に浸透し難くなるため好ましくない。
【0023】
支持体用不織布の厚みは、例えば0.5〜2.0mmであり、好ましくは0.7〜1.8mmであり、より好ましくは0.9〜1.6mmである。不織布の厚みが0.5mm未満では、不織布が薄いため薬剤が染みだしやすくなるため好ましくない。また、不織布が2.0mmより厚くなると、貼付剤が患部に沿い難く、また不織布が厚くなると包装箱に入る貼付剤の枚数が減少するため好ましくない。
【0024】
支持体用不織布の目付は、例えば40〜300g/m2であり、好ましくは60〜250g/m2であり、より好ましくは80〜200g/m2である。目付が40g/m2未満では支持体としての強度を保持することが困難となるため好ましくなく、また300g/m2より多いと、不織布が厚くなり、包装箱に入る貼付剤の枚数が減少するため好ましくない。
【0025】
本発明の支持体用不織布は、まず親水性繊維層、撥水性繊維層を製造するそれぞれの系列で繊維を計量し、計量された繊維を混綿した後、カード機を用いて形成された中間ウェブをラッピングして各層を形成し、前記各層を機械的交絡法の打ち込み側に撥水性繊維層がくるようにオンライン上で積み重ね、繊維層を絡合することにより製造される。
【0026】
積層体を絡合させる際に、撥水性繊維層面から圧力をかけて、針もしくは水流を貫通させることにより繊維を絡合させると、2層が一体化するのみでなく、撥水性繊維が部分的に親水性繊維層側に入り込むことにより薬剤の染みだし防止効果が向上するため好ましい。逆に親水性繊維層面から機械的に絡合させると撥水性繊維層に入った親水性繊維が、薬剤が染みだす通路となるため好ましくない。
【0027】
親水性繊維層と撥水性繊維層とを絡合させるには公知の方法が採用でき、例えばニードルパンチ加工や、ウォーターパンチ加工などが挙げられる。
【0028】
前記ニードルパンチ加工では、番手の大きい、即ち細い針を用いると、薬剤が染みだす通路が形成され難いため本発明には有用である。針番手は、例えば36〜42番であり、好ましくは38〜40番である。しかし本発明の不織布は、人体に直接触れる医療用途などにも使用されるため、針番手が42番より大きい細い針は、加工時に針が折れ、不織布に針が残る恐れがあるため好ましくない。
【0029】
また、ニードルパンチ加工の場合、針の打ち込み本数は、例えば30〜180本/cm2であり、好ましくは50〜150本/cm2である。打ち込み本数が30本/cm2未満になると、親水性繊維層と撥水性繊維層の間で層間剥離が起こりやすくなり且つ、毛羽立ちも多くなり好ましくない。一方打ち込み本数が180本/cm2より多くなると、繊維の絡合が強くなるため、薬剤が繊維層に入りづらくなり、また繊維層から脱落しやすくなるため好ましくない。また、不織布が硬くなり、貼付剤を使用した際に肌に密着し難くなるため好ましくない。
【0030】
前記支持体用不織布は、撥水性を発現するために加熱処理されていることが好ましい。特に撥水性繊維層を構成する繊維として、フッ素系撥水剤で撥水処理された合成繊維を用いる場合には、不織布の加熱処理は必須である。加熱処理に使用される加熱装置としては、例えば熱風循環式乾燥機等が挙げられる。また加熱温度は、例えば150℃以上であり、好ましくは170℃以上であり、加熱温度の上限は、例えば200℃以下である。加熱時間は、160℃の温度で加熱する場合には1分半以上、180℃の温度で加熱する場合には30秒以上加熱することが好ましい。
【0031】
上記支持体用不織布は、薬剤を塗布するための基材として使用される。薬剤は、支持体用不織布の親水性繊維層面に塗工される。親水性繊維層面から塗工することで、薬剤は親水性繊維層に浸透した後固着され、浸透しすぎた薬剤も撥水性繊維層にて阻まれて反対面までは染みだすことがない。
【実施例】
【0032】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
【0033】
本実施例で使用した繊維は以下の通りである。
1.親水性繊維
(1)レーヨン繊維
(2)親水性共重合体ポリエステル繊維
(3)レギュラーポリエステル繊維(親水剤にて処理済)
2.撥水性繊維
(4)潜在捲縮性ポリエステル繊維(撥水剤にて処理済)
(5)レギュラーポリエステル繊維(シリコーン剤にて処理済)
なお本実施例では、(1)〜(5)に示す繊維は全て、繊度2.2デシテックス、繊維長51mmのものを使用した。
【0034】
本発明で採用した評価方法は以下の通りである。
(1)目付
JIS L 1913 6.2法に準ずる
(2)厚さ
JIS L 1913 6.1.B法に準ずる
(3)染みだし性
20cm×20cmのガラス板の上に水100ccに青色インク1滴を入れた試験水1ccを落とし、その上に5cm×5cmに切った試験片をそっと置き、更に荷重として6.3gのスライドグラスに、まず50gの分銅を10分間載せた後の表面状態を目視観察し、判定を行った。ついで30gの分銅(合計80gの分銅)を10分間載せた後の表面状態を目視観察し判定を行った。
◎:80g荷重で染みだしが全く認められない
○:50g荷重では染みだしが全く認められないが、80g荷重ではうっすらと青色水の染みだしが認められる
△:50g荷重でうっすらと青色水の染みだしが認められる
×:50g荷重で青色水の浮き出しが認められる
【0035】
実施例1
まずレーヨン繊維(1)及び親水性共重合体ポリエステル繊維(2)をそれぞれ計量した後、繊維を混綿し、カード機で繊維を一定方向に送り出して形成された中間ウェブをラッピングして親水性繊維層(塗膏面となる)を形成した。ついで撥水処理された潜在捲縮性ポリエステル繊維(4)と、シリコーン処理されたレギュラーポリエステル繊維(5)をそれぞれ計量した後、繊維を混綿し、カード機で繊維を一定方向に送り出して中間ウェブを形成し、ラッピングして撥水性繊維層を形成した。前記2層をオンライン上で重ね合わせた後、針番手40番の針にて打ち込み本数120本/cm2、針深さ9.0mmにて撥水性繊維層側からニードルパンチ加工をおこない支持体用不織布を得た。続いて180℃に保った熱風循環式乾燥機に30秒通し熱処理をおこない撥水性の発現を図った。
【0036】
実施例2〜3
実施例1の親水性繊維層の構成を、表1に記載の量に変更する以外は、実施例1と同様の加工、処理をおこなった。
【0037】
実施例4
まず、親水性共重合ポリエステル繊維(2)を計量した後、カード機で繊維を一定方向に送り出して形成された中間ウェブをラッピングして親水性繊維層を形成した。ついで撥水処理された潜在捲縮性ポリエステル繊維(4)とシリコーン処理されたレギュラーポリエステル繊維(5)をそれぞれ計量し、撥水性繊維層を形成した後、実施例1と同様の方法により支持体用不織布を得た。続いて180℃に保った熱風循環式乾燥機に30秒通し熱処理をおこない、撥水性の発現を図った。
【0038】
比較例1
親水処理されたレギュラーポリエステル繊維(3)と撥水処理された潜在捲縮性ポリエステル繊維(4)をそれぞれ計量し、実施例1と同様の方法により、撥水性及び親水性を併せ持った繊維層を形成した。ついで180℃に保った熱風循環式乾燥機に30秒通し熱処理をおこない、撥水性の発現を図った。
【0039】
比較例2
撥水処理された潜在捲縮性ポリエステル繊維(4)とシリコーン処理されたレギュラーポリエステル繊維(5)をそれぞれ計量し、実施例1と同様の方法により、撥水性を有する繊維層を形成した。ついで180℃に保った熱風循環式乾燥機に30秒通し熱処理をおこない、撥水性の発現を図った。
【0040】
比較例3
レーヨン繊維(1)及び親水性共重合体ポリエステル繊維(2)をそれぞれ計量し、実施例1と同様の方法により、親水性を有する繊維層を得た。
【0041】
比較例4
レーヨン繊維(1)及び親水性共重合体ポリエステル繊維(2)をそれぞれ計量し、さらに撥水処理された潜在捲縮性ポリエステル繊維(4)及びシリコーン処理されたレギュラーポリエステル繊維(5)をそれぞれ計量した後、実施例1と同様の方法により、親水性繊維層及び撥水性繊維層を形成した。前記2層をオンライン上で重ね合わせた後、実施例1とは逆方向である親水性繊維層側から針番手40番の針にて打ち込み本数120本/cm2、針深さ9.0mmにてニードルパンチ加工をおこない支持体用不織布を得た。続いて180℃に保った熱風循環式乾燥機に30秒間通し熱処理をおこない撥水性の発現を図った。
【0042】
上記実施例及び比較例の結果を整理すると、下記表1及び表2の通りである。
【0043】
【表1】

【0044】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
親水性繊維層と撥水性繊維層との積層体が、撥水性繊維層の面から機械的交絡法により絡合されている支持体用不織布。
【請求項2】
ニードルパンチ法により目付100g/m2の繊維層を形成した時に、JIS L 1907滴下法にて計測される水滴の吸収時間が10秒以下となる繊維で前記親水性繊維層が形成されている請求項1に記載の支持体用不織布。
【請求項3】
ニードルパンチ法により目付100g/m2の繊維層を形成した時に、JIS L 1092 6.2スプレー法にて得られる評価がレベル3以上となる繊維で前記撥水性繊維層が形成されている請求項1または2に記載の支持体用不織布。
【請求項4】
前記機械的交絡法が、ニードルパンチ加工またはウォーターパンチ加工である請求項1〜3のいずれかに記載の支持体用不織布。
【請求項5】
前記ニードルパンチ加工において絡合に使用される針が、針番手36〜42番である請求項4に記載の支持体用不織布。
【請求項6】
親水性繊維層の目付が20〜150g/m2であり、撥水性繊維層の目付が20〜150g/m2である請求項1〜5のいずれかに記載の支持体用不織布。

【公開番号】特開2012−237073(P2012−237073A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−105553(P2011−105553)
【出願日】平成23年5月10日(2011.5.10)
【出願人】(391021570)呉羽テック株式会社 (57)
【Fターム(参考)】