説明

薬剤供給機構及び薬剤分包装置

【課題】ユーザーが薬剤の仕分け作業を容易に且つ精度良く行うことができる薬剤供給機構及び薬剤分包装置を提供する。
【解決手段】m列×n段の分配桝を有するアンダータブレットと、第1列の分配桝の下方開口を第1段から順に開放し、その後、第2列以降の分配桝の下方開口についても同様に第1段から順に開放するシャッターユニットと、m列×n段の開口部を有し、アンダータブレットの上方に配置されるトップタブレットと、各開口部の下方開口を開閉する開閉部材と、処方に応じて各開口部に薬剤を投入する薬剤の仕分け作業において一日分の区切り位置を揃えるために使用しない段について、各開口部の上方開口を閉鎖して蓋をすることができる蓋部材とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤供給機構及び薬剤分包装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の薬剤分包装置では、例えば、薬剤供給機構及び薬剤包装機構が備えられ、薬剤供給機構に対して、所定の処方に基づいて、ユーザーにより散薬や錠剤(散薬等をカプセルに入れたものを含む、以下同じ)等の薬剤が仕分けられ、該仕分けられた薬剤が該薬剤供給機構から自動的に薬剤包装機構に供給され、該供給された薬剤が薬剤包装機構にて自動的に包装される。
【0003】
このような従来の薬剤分包装置に用いられる薬剤供給機構として、例えば、錠剤バケットに設けた複数の分配桝の下底に底板を兼ねた開閉シャッターをそれぞれ設け、この錠剤バケットを支持枠体に摺動可能に構成されたものであって、錠剤バケットを一桝ごとに前進摺動させることによって、各開閉シャッターが支持台から解放されて開き、後進摺動させることによって、各開閉シャッターが閉じるように構成されたものが知られている(特許文献1参照)。
【0004】
また、薬剤を収容し得る複数の分配桝を有する薬剤収容トレイと、薬剤収容トレイの下方にて移動可能なシャッター機構とを備えた薬剤供給機構において、各分配桝の底部には、分配桝の底部を閉塞可能であると共に、重力によって下向きに回動して分配桝の底部を開放可能な蓋体がそれぞれ設けられ、シャッター機構が、分配桝の各底部を閉塞すべく蓋体の支持を行うと共に、移動に応じて分配桝の各底部を開放すべく蓋体に対する支持を順番に解除可能な蓋体開閉部と、少なくとも薬剤収容トレイの投影面領域内に位置する蓋体開閉部については薬剤収容トレイに対して略平行に移動させ、薬剤収容トレイの投影面領域外に位置する蓋体開閉部については薬剤収容トレイに対して下方側に移動させ得る開閉部移動手段とを用いて構成され、蓋体開閉部が、薬剤収容トレイの各分配桝底部に設けられた蓋体の全てを支持した状態から、薬剤収容トレイに対して略平行に移動することによって蓋体を一つずつ開放可能に構成されたものが知られている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭60−148402号公報
【特許文献2】特開2003−321001号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記したような従来の薬剤供給機構では、ユーザーによる薬剤の分配作業が繁雑になり易い。これについて、特許文献2に記載されているような従来の薬剤供給機構を例にとって説明すると、この薬剤供給機構では、蓋体開閉部が、薬剤収容トレイの各分配桝底部に設けられた蓋体を支持した状態から、薬剤収容トレイに対して略平行に移動することによって蓋体を一つずつ開放できるように、予め決められた一形状の部材で構成されているため、図7(A)に示すように、蓋体開閉部がm列(mは1以上の整数)×4の倍数段(図示例ではm列×8段)の分配桝を一個ずつ開放できるように構成されていると、薬剤を1列以上分配する場合において薬剤を効率よく分包するには、前列の全部の段について薬剤を分配しなければならず、例えば、一日のうち「朝食後」、「昼食後」、「夕食後」及び「寝る前」の4回に分けて薬剤を所定日数間(図示例五日間)服用するように指示されているような処方によって薬剤を仕分ける場合においては、「朝食後」、「昼食後」、「夕食後」及び「寝る前」の薬剤を収容する各分配桝の一日分の区切り位置Kは、列方向に沿ってきれいに揃うので、たとえ「朝食後」、「昼食後」、「夕食後」及び「寝る前」の各薬剤の種類のうち少なくとも一つ(例えば「寝る前」の薬剤の種類)が他の種類と異なっていても、薬剤を仕分ける位置がわかり易く、ユーザーによる薬剤の仕分け作業を容易に行うことができるが、通常は一日の薬剤の服用回数は処方によって異なっており、必ずしも蓋体開閉部の段数に合うように処方されるとは限らない。例えば、一日のうち「朝食後」、「昼食後」及び「夕食後」の3回に分けて薬剤を所定日数間(図示例では五日間)服用するように指示されているような処方によって薬剤を仕分ける場合には、図7(B)に示すように、ユーザーによる薬剤の仕分け作業の際に、第1列目の「第1段目〜第3段目A1(一日目の「朝」「昼」「夕」)」+「第4段目〜第6段目A2(二日目の「朝」「昼」「夕」)」+「第7段目〜第8段目A3(三日目の「朝」「昼」)」と、第2列目の「第1段目A3(三日目の「夕」)」+「第2段目〜第4段目A4(四日目の「朝」「昼」「夕」)」+「第5段目〜第7段目A5(五日目の「朝」「昼」「夕」)」と・・・に薬剤を分配して仕分けることになり、「朝食後」、「昼食後」及び「夕食後」の各薬剤の種類のうち少なくとも一つが他の種類と異なると、「朝食後」、「昼食後」及び「夕食後」の薬剤を収容する各分配桝の一日分の区切り位置Kは、各列でずれていくため、きれいに揃うことがなく、これにより、薬剤を仕分ける位置がわかり難く、薬剤の仕分け作業が煩雑になり、分配桝に当該分配桝に収容すべき薬剤とは異なる薬剤が収容され易いといった問題がある。
【0007】
本発明は、斯かる従来技術の問題を解決するべくなされたものであり、ユーザーによる薬剤の仕分け作業を容易に且つ精度良く行うことができる薬剤供給機構及び薬剤分包装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前記課題を解決するために、m列×n段の分配桝を有し、各分配桝は上方及び下方が開口されるアンダータブレットと、各分配桝の下方開口を閉鎖し、第1列の各分配桝の下方開口を第1段から順に開放し、その後、第2列以降の各分配桝の下方開口についても同様に第1段から順に開放するシャッターユニットと、各分配桝に対応するm列×n段の開口部を有し、アンダータブレットの上方に配置され、各開口部は上方及び下方が開口されるトップタブレットと、各開口部の下方開口を開閉する開閉部材と、処方に応じて各開口部に薬剤を投入する薬剤の仕分け作業において一日分の区切り位置を揃えるために使用しない段について、各開口部の上方開口を閉鎖して蓋をすることができる蓋部材とを備えた薬剤供給機構を提供する。
【0009】
好ましくは、前記蓋部材は、第1段から、第j段(第1段から第n段のうちのいずれかの段)までの各開口部の上方開口を開放するとともに、残余の段の各開口部の上方開口を閉鎖することができるものとされる。
【0010】
より好ましくは、前記蓋部材は、各開口部の上方開口を全て閉鎖する位置と各開口部の上方開口を全て開放する位置との間を往復移動することができるものとされる。
【0011】
又、本発明は、前記種々の形態の何れか一の形態に係る薬剤供給機構と、前記薬剤供給機構の下方に配設され、薬剤供給機構から供給される薬剤を包装する薬剤包装機構とを備えた薬剤分包装置を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ユーザーによる薬剤の仕分け作業の容易化且つ高精度化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本実施形態にかかる薬剤分包装置の概略構成を示す側面図である。
【図2】図2は、図1に示す薬剤分包装置に備えられた薬剤供給機構の概略構成を示す分解斜視図である。
【図3】図3は、図1に示す薬剤供給機構を構成するシャッターユニットの概略斜視図である。
【図4】図4は、図1に示す薬剤分包装置における制御装置の概略ブロック図である。
【図5】図5は、図1に示す薬剤分包装置に対するユーザーによる薬剤の仕分け状態を示す図であり、図5(A)に該仕分け状態の一例を示し、図5(B)に該仕分け状態の他の例を示す。
【図6】図6は、図1に示す薬剤供給機構において段表示部材と連動してトップタブレットの上方開口を開閉する蓋部材が設けられている状態を示す図である。
【図7】図7は、従来の薬剤分包装置に対するユーザーによる薬剤の仕分け状態を示す図であり、図7(A)に該仕分け状態の一例を示し、図7(B)に該仕分け状態の他の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を適宜参照しつつ、本発明に係る薬剤分包装置の一実施形態について説明する。
【0015】
図1は本実施形態にかかる薬剤分包装置100の概略構成を示す側面図であり、図2は図1に示す薬剤分包装置100に備えられた薬剤供給機構10の概略構成を示す分解斜視図である。
【0016】
図1に示す薬剤分包装置100は、薬剤供給機構10と、薬剤包装機構20と、ホッパー30と、制御装置CONTとを備えており、ユーザーによる散薬や錠剤(散薬等をカプセルに入れたものを含む、以下同じ)等の薬剤の仕分け作業が行われた後、制御装置CONTの指示の下、薬剤供給機構10にてホッパー30を介して薬剤包装機構20に供給された薬剤を該薬剤包装機構20にて包装するものである。
【0017】
薬剤供給機構10は、図2に示すように、アンダータブレット11と、シャッターユニット12と、トップタブレット13と、開閉部材14と、タブレットシャッター揺動装置15(図2では図示を省略、図1及び後述する図4参照)と、列表示部材16と、段表示部材17とを備えている。なお、図2では、後述するアンダータブレット11に設けられた蓋部材112やシャッターユニット12に設けられたベルト部材122等は図示を省略してある。
【0018】
アンダータブレット11は、上方及び下方が開口とされたm列(ここでは10列)×n段(ここでは7段)の分配桝111を有している。即ち、このアンダータブレット11は、それぞれが上方開口と下方開口とが垂直方向(図中Z方向)に連通する複数の分配桝111が列方向(図中X方向)に沿ってm列(ここでは10列)、段方向(図中Y方向)に沿ってn段(ここでは7段)、並設されている。
【0019】
シャッターユニット12は、複数の分配桝111の下方開口を開放及び閉鎖するものであり、シャッター部材Sを備えている。このシャッター部材Sは、いずれも段方向Yに延びる板状の部材であって、対応する列毎、さらに言えば段方向Yに沿って並設される分配桝111に対応する位置に設けられた第1〜第m(ここでは第1〜第10)のシャッター部材S(S1〜S10)であり、それぞれアンダータブレット11に対して独立して、段方向Yに沿って相対移動されるように構成されている。
【0020】
また、アンダータブレット11には、図1に示すように、複数の分配桝111のそれぞれに対応した複数の蓋部材112が設けられている。この複数の蓋部材112は、それぞれが対応する下方開口を開放する開放姿勢及び閉鎖する閉鎖姿勢をとり得るように揺動自在とされており、対応する第1〜第10シャッター部材S1〜S10が下方に存する際には閉鎖姿勢に保持され、且つ、対応する第1〜第10シャッター部材S1〜S10が下方から退避した際には開放姿勢をとり得るように構成されており、ここでは、各分配桝111の底部において、該各分配桝111の底部を閉塞する一方、自重によって下向きに回動して垂れ下がることで、該各分配桝111の底部を開放するように、該各分配桝111の段方向Yにおける両端部一方側に設けられた蝶番(ヒンジ)等の結合部材113を介して回動自在に設けられている。
【0021】
図3に図1に示す薬剤供給機構10を構成するシャッターユニット12の概略斜視図を示す。図3に示すように、シャッターユニット12は、前記の第1〜第10シャッター部材S(S1〜S10)の他、一対の無端環状のベルト部材122、電動モータ等の駆動力供給装置D(D1〜D10)(図1及び図4も参照)を備えている。
【0022】
第1〜第10シャッター部材S1〜S10は、既述したようにいずれも段方向Yに延びる板状の部材であり、前記の複数の蓋部材11bの前記開放姿勢及び前記閉鎖姿勢をとり得るように、次のように形成されている。即ち、ベルト部材122が、第1〜第10シャッター部材S1〜S10の移動方向一方側とは反対側に向けて該シャッター部材S1〜S10をそれぞれ下方に反転させる反転手段であって、第1〜第10シャッター部材S1〜S10に対応して分配桝111の列ピッチP毎に列方向Xに沿って所定の間隔をおいて並設された一対のベルト部材であり、該一対のベルト部材122間に、対応する第1〜第10シャッター部材S1〜S10が架設されている。駆動力供給装置D1〜D10は、第1〜第10シャッター部材S1〜S10に対応する一対のベルト部材122を互いに独立して駆動するものであり、それぞれローラー等の駆動伝達手段124を介して対応する一対のベルト部材122に接続されている。また、駆動力供給装置D1〜D10はいずれも制御装置CONTに電気的に接続されている(図1及び図4参照)。これにより、駆動力供給装置D1〜D10は、制御装置CONTの指示の下、第1〜第10シャッター部材S1〜S10を、対応する駆動伝達手段124及び一対のベルト部材122を介して、それぞれ図3中時計方向又は反時計方向に回動させることができる。なお、本例では、対応する一対のベルト部材122によってシャッター部材S1〜S10を下方に反転させる反転手段を用いたが、シャッター部材S1〜S10の移動方向一方側で該シャッター部材S1〜S10を巻き込む巻き込み手段を用いてもよい。また、それに限定されるものではなく、シャッター部材S1〜S10を本発明の趣旨に沿って適切に移動させ得るものであれば、いずれの構成を採用してもよい。
【0023】
ここでシャッター部材S1〜S10は、例えば、ゴム、樹脂、繊維等の可撓性材料を用いてシート状に形成することができる。このシャッター部材S1〜S10が一対の無端環状のベルト部材122にそれぞれ取り付けられることによって、該ベルト部材122の環状形状に沿って撓みながら、アンダータブレット1の下方位置に移動することができる。また、シャッター部材S1〜S10が取り付けられるベルト部材122は、例えば、ゴム、樹脂、金属(チェーン)等を用いることができる。
【0024】
図2に示すように、トップタブレット13は、分配桝111のそれぞれに対応した複数のトップタブレット開口部131と該複数のトップタブレット開口部131以外のトップタブレット閉塞領域132とを有しており、アンダータブレット11の上方に配置されている。
【0025】
開閉部材14は、複数のトップタブレット開口部131を開閉するものであり、本例では、分配桝111のそれぞれに対応した複数のシャッター開口部141と該複数のシャッター開口部141以外のシャッター閉塞領域142とを有するタブレットシャッターである。このタブレットシャッター14は、アンダータブレット11の上方、且つ、トップタブレット13の下方において、所定の水平方向(本例では段方向Y)に揺動自在に配置されている。
【0026】
タブレットシャッター揺動装置15(図1及び図4参照)は、タブレットシャッター14を段方向Yに揺動するものであり、制御装置CONTに電気的に接続されている。これにより、タブレットシャッター揺動装置15は、制御装置CONTの指示の下、タブレットシャッター14を、複数のトップタブレット開口部131とシャッター閉塞領域142とが互いに対向すると共にトップタブレット閉塞領域132と複数のシャッター開口部141とが互いに対向する位置であって複数のトップタブレット開口部131から複数の分配桝111への薬剤投入路がシャッター閉塞領域142にて遮断され得るシャッター遮断位置と、複数のトップタブレット開口部131と複数のシャッター開口部141と複数の分配桝111とが互いに対向する位置であって複数のトップタブレット開口部131から複数の分配桝111への薬剤投入路が連通され得るシャッター開放位置との間で選択的に揺動させることができる。
【0027】
薬剤包装機構20は、薬剤供給機構10の下方に配設されており、該薬剤供給機構10から供給される薬剤を包装し得る薬剤包装装置21を備えていて、該薬剤包装装置21が制御装置CONTに接続されている。これにより、薬剤包装機構20は、制御装置CONTの指示の下、薬剤包装装置21によって、薬剤供給機構20から供給される薬剤を包装することができる。
【0028】
ホッパー30は、薬剤供給機構10から供給された薬剤を薬剤包装機構20に案内し得るように、該薬剤供給機構10及び薬剤包装機構20の間に配設されている。このホッパー30は、アンダータブレット11の各分配桝111から落下する各薬剤を受け止めて、該薬剤を薬剤包装機構20に案内できるように、アンダータブレット11の下面全体を覆う上部開口30aと該上部開口30aの径より小さい径の下部開口30bとを有する漏斗形状に形成されたものである。
【0029】
列表示部材16は、図2に示すように、第iシャッター部材Si(本例では第1から第10シャッター部材S1〜S10のうちのいずれかの列)を視認表示できるように構成されており、トップタブレット13の段方向Y両端部のうち少なくとも一方側端部において、列方向Xに沿って往復移動自在に配設されている。さらに言えば、トップタブレット13の段方向Y両端部のうち一方側端部には、列方向Xに延びる第1スライド溝13aが形成されており、該第1スライド溝13aに列表示部材16の係合部16aが係合されることで、該列表示部材16が列方向Xに沿って往復移動することができる。また、段表示部材17は、第j段(本例では第1段から第7段のうちのいずれかの段)を視認表示できるように構成されており、トップタブレット13の列方向X両端部のうち少なくとも一方側端部において、段方向Yに沿って往復移動自在に配設されている。さらに言えば、トップタブレット13の列方向X両端部のうち一方側端部には、段方向Yに延びる第2スライド溝13bが形成されており、該第2スライド溝13bに段表示部材17の係合部17aが係合されることで、該段表示部材17が段方向Yに沿って往復移動することができる。
【0030】
図4に図1に示す薬剤分包装置100における制御装置CONTの概略ブロック図を示す。制御装置CONTは、コンピュータを中心に構成されており、RAMやROM等の記憶手段Mに記憶された制御プログラムを実行することで、薬剤分包装置100全体の制御するものであり、図4に示すように、第1〜第10シャッター部材S1〜S10に対応する駆動力供給装置D1〜D10並びにタブレットシャッター揺動装置15及び薬剤包装装置21に接続されている。なお、前記記憶手段Mに記憶されている情報には図示を省略した入力手段にて入力された処方情報を含んでいる。
【0031】
この制御装置CONTは、次のような駆動力供給装置D1〜D10及びタブレットシャッター揺動装置15の動作を制御する手段を含んでいる。
【0032】
即ち、制御装置CONTは、第1シャッター部材S1を移動させて、第1列を構成する第1列第1段から第1列第j段の分配桝111の下方開口を順に開放させ、その後、第2〜第iシャッター部材S2〜Siを順に移動させて、第2列から第i列の分配桝111の下方開口をそれぞれ第1段から第j段に順に開放させるように、対応する駆動力供給装置D1〜D10を制御する駆動制御手段を含んでいる。なお、この駆動制御手段は、薬剤分包装置100に設けられた図示を省略したスイッチ等の選択操作手段等によって第1〜第10シャッター部材S1〜S10のうち移動させる第1〜第iシャッター部材S1〜Siの列方向Xの仕分け範囲と、第1〜第iシャッター部材S1〜Siの移動範囲として第1〜第j段の段方向Yの仕分け範囲とを手動指定することができると共に、前記記憶手段Mに記憶されている処方情報に基づいて、自動指定することができる指定手段を含んでいる。
【0033】
さらに制御装置CONTは、分配桝111の下方開口を開放するに先立って、換言すればユーザーによる薬剤の仕分け作業が行われる際に、タブレットシャッター14を前記シャッター遮断位置に配置し、分配桝111の下方開口を開放する際に、タブレットシャッター14を前記シャッター開放位置に配置するようにタブレットシャッター揺動装置15を制御する手段を含んでいる。
【0034】
以上説明した薬剤分装装置100では、先ず、ユーザーによる薬剤の仕分け作業が行われるに先立って、制御装置CONTがタブレットシャッター揺動装置15に指示し、該揺動装置15にてタブレットシャッター14を前記シャッター遮断位置に配置する。そして、例えば、一日のうち「朝食後」、「昼食後」、「夕食後」及び「寝る前」の4回に分けて薬剤を5日間服用するように指示されているような第1の処方によって薬剤を仕分ける場合には、前記選択操作手段によって第1〜第10シャッター部材S1〜S10のうち移動させる第1〜第5シャッター部材S1〜S5の列方向Xの仕分け範囲と、第1〜第5シャッター部材S1〜S5の移動範囲として第1〜第4段の段方向Yの仕分け範囲とが手動指定されるか、又は前記記憶手段Mに記憶されている処方情報に基づき自動指定される。一方、ユーザーの手操作によって、列表示部材16が第5シャッター部材S5に対応する位置に配置されると共に、段表示部材17が第4段目に対応する位置に配置される。また、一日のうち「朝食後」、「昼食後」及び「夕食後」の3回に分けて薬剤を4日間服用するように指示されているような第2の処方によって薬剤を仕分ける場合には、前記選択操作手段等によって第1〜第10シャッター部材S1〜S10のうち移動させる第1及び第2シャッター部材S1,S2の列方向Xの仕分け範囲と、第1及び第2シャッター部材S1,S2の移動範囲として第1〜第6段の段方向Yの仕分け範囲とが手動指定されるか、又は前記記憶手段に記憶されている処方情報に基づき自動指定される。一方、ユーザーの手操作によって、列表示部材16が第2シャッター部材S2に対応する位置に配置されると共に、段表示部材17が第6段目に対応する位置に配置される。
【0035】
次に、前記した列方向X及び段方向Yの仕分け範囲において、トップタブレット13の開口部131に薬剤が投入され、ユーザーによる薬剤の仕分け作業が行われる。なお、シャッター部材S1〜S10の指定及び段数の指定は、薬剤の仕分け作業の後になされてもよい。
【0036】
例えば、前記第1処方によって薬剤を仕分ける場合には、図5(A)に示すように、段数を4の倍数として複数のシャッター部材S1〜S10をi列×4の倍数段(本例では5列×4段)の分配桝を一個ずつ開放できるように構成することができ、ユーザーによる薬剤の仕分け作業の際に、第1列目の「第1段目〜第4段目A1(一日目の「朝」「昼」「夕」「寝る前」)」と、第2列目の「第1段目〜第4段目A2(二日目の「朝」「昼」「夕」「寝る前」)」と、第3列目の「第1段目〜第4段目A3(三日目の「朝」「昼」「夕」「寝る前」)」と、第4列目の「第1段目〜第4段目A4(四日目の「朝」「昼」「夕」「寝る前」)」と、第5列目の「第1段目〜第4段目A5(五日目の「朝」「昼」「夕」「寝る前」)」とに薬剤を分配して仕分けることができる。このとき、「朝食後」、「昼食後」、「夕食後」及び「寝る前」の薬剤を収容する各分配桝の一日分の区切り位置Kは列方向Xに沿ってきれいに揃っている。ここで、第1列目〜第5列目の「第5段目〜第7段目B1〜B5」はいずれも薬剤の仕分け作業に関与しない段となり、第6列目〜第10列目C1は薬剤の仕分け作業に関与しない列となる。
【0037】
また、前記第2処方によって薬剤を仕分ける場合には、図5(B)に示すように、段数を3の倍数として複数のシャッター部材S1〜S10をi列×3の倍数段(本例では2列×6段)の分配桝を一個ずつ開放できるように構成することができ、ユーザーによる薬剤の仕分け作業の際に、第1列目の「第1段目〜第3段目A1(一日目の「朝」「昼」「夕」)」+「第4段目〜第6段目A2(二日目の「朝」「昼」「夕」)」と、第2列目の「第1段目〜第3段目A3(三日目の「朝」「昼」「夕」)」+「第4段目〜第6段目A4(四日目の「朝」「昼」「夕」)」とに薬剤を分配して仕分けることができる。このとき、「朝食後」、「昼食後」及び「夕食後」の薬剤を収容する各分配桝の一日分の区切り位置Kは列方向Xに沿ってきれいに揃っている。ここで、第1及び第2列目の「第7段目B1,B2」はいずれも薬剤の仕分け作業に関与しない段となり、第3列目〜第10列目C1は薬剤の仕分け作業に関与しない列となる。
【0038】
トップタブレット13の開口部131では、投入された薬剤がタブレットシャッター14にてせき止められており、開口部131内に留まっている。薬剤の仕分け作業が終了し、ユーザーにより分包開始を指示する操作手段(図示省略)が操作されると、制御装置CONTがタブレットシャッター揺動装置15に指示し、該揺動装置15にてタブレットシャッター14を前記シャッター開放位置に配置する。そうすると、複数のトップタブレット開口部131と複数のシャッター開口部141と複数の薬剤桝111とが互いに対向し、複数のトップタブレット開口部131から複数の薬剤桝111への薬剤投入路が連通されることで、トップタブレット13のタブレットシャッター14にて留まっていた薬剤がアンダータブレット11に落下する。その後、タブレットシャッター揺動装置15にてタブレットシャッター14が前記シャッター遮断位置に配置され、次の薬剤の仕分け作業に備えられる。
【0039】
トップタブレット13からアンダータブレット11に落下した薬剤は、次のようにして、薬剤包装機構20に供給される。即ち、前記第1処方の場合には、制御装置CONTが駆動力供給装置D1〜D5に指示し、供給装置D1にて第1シャッター部材S1を移動させて、第1列を構成する第1列第1段から第1列第4段の分配桝111の下方開口を順に開放させ、その後、供給装置D2〜D5にて第2〜第5シャッター部材S2〜S5を順に移動させて、第2列から第5列の分配桝111の下方開口をそれぞれ第1段から第4段に順に開放させる。また、前記第2処方の場合には、制御装置CONTが駆動力供給装置D1,D2に指示し、供給装置D1にて第1シャッター部材S1を移動させて、第1列を構成する第1列第1段から第1列第6段の分配桝111の下方開口を順に開放させ、その後、供給装置D2にて第2シャッター部材S2を移動させて、第2列の分配桝111の下方開口を第1段から第6段に順に開放させる。こうしてアンダータブレット11の各分配桝111に収容されていた薬剤がホッパー30を介して順次薬剤包装機構20に供給されていくのである。
【0040】
以上説明したように、薬剤供給機構10及び薬剤分包装置100では、対応する列毎に設けられた複数のシャッター部材S1〜S10が、アンダータブレット11に対して独立して対応する列に沿って相対移動することにより、10列×7段の分配桝を一個ずつ開放できるように構成されているので、例えば、前記第1処方によって薬剤を仕分ける場合や前記第2処方によって薬剤を仕分ける場合でも、段数を4の倍数や3の倍数として複数のシャッター部材S1〜S10を5列×4段や2列×6段の分配桝を一個ずつ開放できるように構成することができるので、薬剤を効率よく分包できると共に各分配桝111の一日分の区切り位置Kをきれいに揃えることができる。従って、たとえ「朝食後」、「昼食後」や「夕食」等の各薬剤の種類のうち少なくとも一つが他の種類と異なっていても、薬剤を仕分ける位置がわかり易く、薬剤の仕分け作業を容易に行うことができ、分配桝111への薬剤の誤仕分けを防止することができる。
【0041】
このように薬剤供給機構10及び薬剤分包装置100によれば、薬剤を効率よく分包できると共にユーザーによる薬剤の仕分け作業を容易に且つ精度良く行うことができる。
【0042】
また、薬剤分包装置100において、制御装置CONTは、第1〜第10シャッター部材S1〜S10のうち移動させる第1〜第iシャッター部材S1〜Siを指定し得るように構成されており、第1〜第10シャッター部材S1〜S10のうち薬剤の仕分け作業に関与しないシャッター部材(C1)を作動させないようにすることができるので、また、第1〜第10シャッター部材S1〜S10の移動範囲として第1〜第7段のうち第1〜第4段や第1〜第6段を指定し得るように構成されており、第1〜第10シャッター部材S1〜S10の移動範囲としてシャッター部材S1〜S5やS1〜S2を薬剤の仕分け作業に関与しない段(B1〜B5)や(B1〜B2)について作動させないようにすることができるので、いずれにしても装置の省力化を実現でき、それだけ稼働コストの低減をさせることができる。
【0043】
さらに、第iシャッター部材を視認表示可能な列表示部材16、及び第j段を視認表示可能な段表示部材17を備えているので、例えば、列表示部材16がユーザーによって視認されることで、第1〜第10シャッター部材S1〜S10のうちの移動させるシャッター部材Siがどの列まで指定されているのかを容易に認識することができ、また段表示部材17がユーザーによって視認されることで、第1〜第10シャッター部材S1〜S10の移動範囲としてシャッター部材S1〜Siがどの段まで指定されているのかを容易に認識することができ、それだけユーザーによる薬剤の仕分け作業を容易に行うことができる。
【0044】
また、薬剤分包装置100において、第1〜第10シャッター部材S1〜S10が複数の分配桝111の各下方開口を直接開放及び閉鎖してもよいが、本例のように、アンダータブレット11が複数の蓋部材112を有していることで、該シャッター部材S1〜S10への薬剤付着を防止することができ、該複数の蓋部材112により複数の分配桝111の各下方開口を確実に開放及び閉鎖することができる。
【0045】
さらに本例では、第1〜第10のシャッター部材S1〜S10をそれぞれ独立して移動させる手段として、シャッター部材S1〜S10の移動方向一方側とは反対側に向けて該シャッター部材S1〜S10を反転させる反転手段を設けているので、装置の小型化を実現することができる。
【0046】
さらに本例では、トップタブレット13及び開閉部材14等が設けられているので、分配桝111の下方開口を開放するに先立って、トップタブレット13に予め薬剤を仕分けしておき、分配桝111の下方開口を開放する際に、仕分けされた薬剤を分配桝111に投入することができ、これによりユーザーによる薬剤の仕分け作業を効率的に行うことができる。
【0047】
なお、本例では、複数のシャッター部材S1〜Smを対応する列毎に設け、アンダータブレット11に対して独立して対応する列に沿って相対移動するようにしたが、複数のシャッター部材S1〜Snを対応する段毎に設け、アンダータブレット11に対して独立して対応する段に沿って相対移動するようにし、制御装置CONTを、第1〜第nシャッター部材S1〜Snまで順に移動させて、第1列を構成する第1列第1段から第1列第n段の分配桝111の下方開口を順に開放させ、その後、第m列まで順に移動させて、第m列までの分配桝111の下方開口をそれぞれ第1段から第n段に順に開放させるように構成してもよい。
【0048】
また、図6に示すように、薬剤供給機構10において段表示部材17と連動してトップタブレット13の上方開口を開閉する蓋部材200が設けられていてもよい。
【0049】
図6に示す蓋部材200は、列方向Xに並ぶトップタブレット開口部131を覆うように該列方向Xに沿って延びる板状部材210を複数有している。これら複数の板状部材210は、段方向Yに並ぶトップタブレット開口部131を覆うように段方向Y沿って並設されており、幅方向(段方向Y)端部において列方向Xに沿う回動軸を支点として互いに回動自在に連結されている。また、この蓋部材200は、トップタブレット13の上方において、図示を省略した案内部材に支持されることよって、トップタブレット13の上方開口全体を閉鎖する閉鎖位置からトップタブレット13の上方開口全体を開放する位置に至るまでの間を、トップタブレット13の上方開口全体を開放するときは、シャッター部材S1〜S10の反転部側に、トップタブレット13の上方開口全体を閉鎖するときは、該反転部側とは反対側に段方向Yに沿って往復移動することができる。また、既述したように、複数の板状部材210は、幅方向端部において列方向Xに沿う回動軸を支点として互いに回動自在に連結されているので、前記案内部材を前記反転部側で該板状部材210が略90°下方に案内されるように構成することで、該板状部材210が前記反転部側に移行する際に下方に案内され、装置の小型化を実現することができる。さらに、蓋部材200は、第1段から、段表示部材17で視認表示される第j段(例えば第1段から第7段のうちのいずれかの段)までのトップタブレット13の上方開口を開放できるように、段表示部材17に接続されている。これにより、蓋部材200は、段表示部材17と連動してトップタブレット13の上方開口を開閉することができる。
【0050】
このように、薬剤供給機構10において段表示部材17と連動してトップタブレット13の上方開口を開閉する蓋部材200を設けることで、該段表示部材17に連動して薬剤の仕分け作業で使用しない段について蓋をすることができる。なお、この蓋部材200は、薬剤分包動作が行われない場合(例えば、調剤作業・薬局運用終了時)において、トップタブレット13の上方開口全体を閉鎖しておけば、トップタブレット13の上方開口全体を覆うカバーになり得る。
【符号の説明】
【0051】
10 薬剤供給機構
11 アンダータブレット
12 シャッターユニット
13 トップタブレット
14 タブレットシャッター
20 薬剤包装機構
100 薬剤分包装置
111 分配桝
131 開口部
200 蓋部材
S(S1〜S10) シャッター部材(開閉部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
m列×n段の分配桝を有し、各分配桝は上方及び下方が開口されるアンダータブレットと、
各分配桝の下方開口を閉鎖し、第1列の各分配桝の下方開口を第1段から順に開放し、その後、第2列以降の各分配桝の下方開口についても同様に第1段から順に開放するシャッターユニットと、
各分配桝に対応するm列×n段の開口部を有し、アンダータブレットの上方に配置され、各開口部は上方及び下方が開口されるトップタブレットと、
各開口部の下方開口を開閉する開閉部材と、
処方に応じて各開口部に薬剤を投入する薬剤の仕分け作業において一日分の区切り位置を揃えるために使用しない段について、各開口部の上方開口を閉鎖して蓋をすることができる蓋部材とを備えることを特徴とする薬剤供給機構。
【請求項2】
前記蓋部材は、第1段から、第j段(第1段から第n段のうちのいずれかの段)までの各開口部の上方開口を開放するとともに、残余の段の各開口部の上方開口を閉鎖することができることを特徴とする請求項1記載の薬剤供給機構。
【請求項3】
前記蓋部材は、各開口部の上方開口を全て閉鎖する位置と各開口部の上方開口を全て開放する位置との間を往復移動することができることを特徴とする請求項2記載の薬剤供給機構。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかに記載の薬剤供給機構と、
前記薬剤供給機構の下方に配設され、薬剤供給機構から供給される薬剤を包装する薬剤包装機構とを備えることを特徴とする薬剤分包装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−101861(P2012−101861A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−32226(P2012−32226)
【出願日】平成24年2月17日(2012.2.17)
【分割の表示】特願2010−20856(P2010−20856)の分割
【原出願日】平成16年11月25日(2004.11.25)
【出願人】(593129342)高園産業株式会社 (232)
【Fターム(参考)】