説明

薬剤分包体および薬剤分包体製造用刃体ならびに薬剤分包体製造装置

【課題】分包体が搬送時に誤って開封されることを防止する。
【解決手段】重ね合わされたシートに複数の分包領域110が形成されると共に、前記各分包領域110のシート内に薬剤Pが封入され、かつ隣接する分包領域110の間に複数の切込線102を列設してなる分断用ミシン目101が形成された薬剤分包体100であって、前記切込線102が、分断方向に延在する分断用切込部103と、該分断用切込部に連続して前記分断方向の側方へ延びる開封用切込部104とを備えてなることを特徴とする薬剤分包体を提供する。開封用の切込みは、分包体の分断後にアクセス可能となり、分断前に誤って開封されることがない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定量分割された薬剤を封入する薬剤分包体、およびこの薬剤分包体を製造するのに必要な薬剤分包体製造用刃体、ならびにこの薬剤分包体製造用刃体を備える薬剤分包体製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、様々な種類の薬剤の中から適当な薬剤を選択し、1処方分の薬剤量を計量して採取し、さらに1処方の薬剤を1服用分として分包し、個々の分包体を形成する一連の分包作業に関して様々な装置が提案されている。
例えば、一般的な薬剤分包体製造装置は、薬剤供給装置によって供給された薬剤を2つ折りされた長尺状の分包シートに投下した後、薬剤が収納された分包シートを加熱溶着によりシールすることで、連続した分包体を形成している。
連続した分包体の間には、ミシン刃体を備えるスタンプ装置によって分断用ミシン目が形成される。薬剤の服用者はこの分断用ミシン目に沿って、接続状態にある連続した分包体を個々の分包体に分断することができる。
薬剤の服用者は、分断された1包の分包体を開封することによって薬剤を服用する。分包体の開封にあたっては、別途ハサミを利用して開封したり、分包体の側縁部にあらかじめ形成された切込線を利用して開封したりする方法がある。
【0003】
この種の薬剤分包体製造装置としては、例えば特許文献1に記載されたものがある。
特許文献1には、分包体の側縁部に分包体を容易に開放するための開封用切込線を形成するための切込線形成部材を備えた薬剤分包体製造装置が開示されている。この薬剤分包体製造装置にはさらに、切込線の場所の目安となる目安部を分包体に形成するための目安形成部材が設けられている。薬剤の服用者は、この開封用切込線から分包体の開封を開始することで、分包体を容易に開封して、分包体の中の薬剤を服用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−306419号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、薬剤の服用者または薬剤の提供者は、薬剤が封入された分包体を運送する際、分包体が分断される前の接続された状態で運搬することが多い。この際、上記従来の薬剤分包体製造装置によって製造された分包体においては、連続した分包体の長手方向の側縁部に切込線が形成されているために、切込線から不用意に分包体が開放されるおそれがある。連続した分包体は長尺の形態をなしているため、切込線に対してより離れた箇所を把持した場合に、切込線に大きな引裂き力が働き、不用意に分包体が開放される危険が高まる。
また、上記従来の薬剤分包体製造装置によって製造された分包体においては、連続した分包体を分断して1包の分包体とした後、薬剤の服用者が分包体を開封しようとする場合、開封用切込線が1つしかないため、老人や筋力の衰えた人では簡単に開封することができない。
さらに、上記従来の薬剤分包体製造装置は、連続した分包体の長手方向の側縁部に切込線を形成するため、別途切込線を形成するための刃体を設けたり、特殊な加熱溶着装置を設けたりする必要があり、装置が複雑化するという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の薬剤分包体には、重ね合わされたシートに複数の分包領域が形成されると共に、前記各分包領域のシート内に薬剤が封入され、かつ隣接する分包領域の間に複数の切込線を列設してなる分断用ミシン目が形成されている。この分断用ミシン目の特徴は、前記切込線が、分断方向に延在する分断用切込部と、該分断用切込部に連続して前記分断方向の側方へ延びる開封用切込部とを備えていることである。
前記開封用切込部は、隣接する分包領域の一方の側へ延びる一方の切断部と、同他方の側へ延びる他方の切断部からなることが好ましい。
【0007】
本発明の薬剤分包体製造用刃体は、基部から突出して形成された複数の刃部が一方向に列設され、薬剤分包体に前記刃部により分断用ミシン目を形成するものである。前記各刃部は、その先端部が、該刃部の厚みが先端に向かうに従い漸次小となってその稜線部が分断用刃先を構成し、かつ前記一方向から見た前端面と、前記厚みが先端に向かうに従い漸次小となる両側面との稜線部が開封用刃先とされている。
前記各刃部は、前記先端部が、該刃部の厚み方向中心部へ向けて先端に向かうに従い漸次小となるように形成されていることが好ましい。
また、前記各刃部は、前記分断用刃先が、前記前端面側から後端面側へ向けて漸次突出高さが小となるように形成されていることが好ましい。
さらに、前記前端面は平坦面とされていることが好ましい。
【0008】
また、本発明の薬剤分包体製造装置は、上記いずれかの薬剤分包体製造用刃体を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の薬剤分包体は、隣接する分包領域の間の分断用ミシン目を構成する切込線が、分断方向に延在する分断用切込部と、この分断用切込部に連続して分断方向の側方へ延びる開封用切込部とを備えており、薬剤の服用者が分断用ミシン目に沿って薬剤分包体を分断した際、分断された側縁部に開封用切込線が形成され、使用者はこの切込線を利用して包装体を開封することができる。よって、連続した分包体の長手方向の側縁部に開封用切込線を別途形成する必要がなく、長手方向の側縁部の切込線によって不用意に分包体が開封されるという問題が生じることがない。
また、本発明の薬剤分包体は、連続した分包体を分断して1包の分包体とした後、個々の分包体の側縁部に複数の開封用切込線が形成される。よって、老人や筋力の衰えた人でも簡単に開封することができるようになる。
また、本発明の薬剤分包体製造用刃体を備えた薬剤分包体製造装置は、単一の薬剤分包体製造用刃体によって、分断用切込部に連続して開封用切込部が形成された分断用ミシン目を形成する構成となっている。よって、分包体に開封用切込線を形成するための刃体を別途設ける必要がないため、本発明の薬剤分包体製造装置は、従来の装置と比較して、構造がより単純となる。
さらに、本発明の開封用切込部は、隣接する分包領域の一方の側へ延びる一方の切断部と、同他方の側へ延びる他方の切断部からなる。よって、分断用ミシン目に沿って、薬剤分包体を分断した際、分断された個々の薬剤分包体の両方の側縁部に短い切込みが生じるため、服用者にとって、より開封が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る実施形態の薬剤分包体製造装置の概略図である。
【図2】本発明に係る実施形態の薬剤分包体製造装置のスタンプ部の上面図である。
【図3】本発明に係る第1の実施形態の薬剤分包体製造用刃体の斜視図である。
【図4】本発明に係る第1の実施形態の薬剤分包体製造用刃体の刃部の拡大図である。
【図5】本発明に係る第1の実施形態の薬剤分包体であって、(a)は平面図、(b)は分断用ミシン目の拡大図、(c)は分断後の薬剤分包体側縁部の拡大図である。
【図6】本発明に係る第1の実施形態の薬剤分包体製造用刃体が分包シートSに押し込まれた際の断面図である。
【図7】本発明に係る第2の実施形態の薬剤分包体製造用刃体の刃部の拡大図である。
【図8】本発明に係る第2の実施形態の薬剤分包体であって、(a)は平面図、(b)は分断用ミシン目の拡大図、(c)は分断後の薬剤分包体側縁部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<第1実施形態>
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1および図2は、本発明の薬剤分包体製造装置1の概略図を示している。
図1に示すように、この実施形態の薬剤分包体製造装置1は、薬剤供給装置2から定量ずつ供給される薬剤Pを受け入れる漏斗状の薬剤ホッパー3と、重ね合わされた長尺状の包装シートSを搬送するシート搬送装置10と、薬剤Pが封入された包装シートSをシールするとともに、包装シートSの隣接する分包領域110の間に分断用ミシン目101を形成し、薬剤分包体100とするためのスタンプ装置20とから構成されている。
【0012】
シート搬送装置10は、ロール体支持軸11、シート支持軸12、13、14、駆動ローラ15、およびシート開口部材16などから構成されており、装置内に長尺状の分包シートSがセットされている。分包シートSは、ロール体Rとしてロール体支持軸11に取付けられた後、支持軸12、13、14、および駆動ローラ15に支持されるようにセットされる。分包シートSは、薬剤Pを受け入れるために、分包シートSの長手方向に平行な中心線で2つ折りされ、薬剤Pを受け入れる際に、開口部が上を向くようにシート搬送装置10内にセットされる。この際、分包シートSは、搬送方向に向かって下方に傾斜するようにセットされる。
【0013】
組み込まれた分包シートSは、分包シートSを挟むように配置された駆動ローラ15を回転駆動させることによって搬送される。駆動ローラ15は図示しない制御装置によって制御され、分包シートSは断続的に移動する。
薬剤ホッパー3は、薬剤供給装置2の下方に配置され、漏斗状の開口部より薬剤Pを受け入れている。薬剤ホッパー3の下部は、分包シートSの開口部に挿入され、重ね合わされた分包シートSの間に薬剤Pを供給するようになっている。薬剤ホッパー3の挿入を可能にするために、シート開口部材16が、あらかじめ分包シートSの間に挿入されている。
【0014】
スタンプ装置20は、スタンプ部21とスタンプ受け部22とから構成されており、シート搬送装置10の支持軸14と駆動ローラ15との間で、重ね合わされた分包シートSをスタンプ部21とスタンプ受け部22とで挟むように配置されている。スタンプ部21は分包シートSの搬送方向に対して垂直方向に駆動自在であり、分包シートSを介してスタンプ受け部22に当接することが可能となっている。
スタンプ部21は、L字型の第1ヒートシール部23aと第2ヒートシール部23bとからなるヒートシール部23を備えている。ヒートシール部23にはヒータが内蔵されており、スタンプ部20が駆動されスタンプ受け部22に当接した際に、分包シートSの開口部側の外縁と、隣接する分包領域110の間を加熱溶着してシールするようになっている。
【0015】
第1ヒートシール部23aと第2ヒートシール部23bとの間には、薬剤分包体製造用刃体30が取付けられている。刃体30は、分包シートSがシールされる際に、分包シートの隣接する分包領域110の間に押し込まれることによって、分包シートS上に複数の切込線を列設してなる分断用ミシン目101を形成する。また、図2に示すように、スタンプ受け部22には、刃体30を受けるための刃受部22aが設けられている。刃受部22aは四角柱状に形成されたゴム材であって、スタンプ受け部22表面上における刃体30が当接する部分に埋め込まれている。なお、この刃受部の材質は、刃体30に対して緩衝作用を発揮できる材質であれば、ゴムに限定しない。
【0016】
図3に、薬剤分包体製造用刃体30の斜視図を示す。
薬剤分包体製造用刃体30は、硬質鋼材からなる板体を加工して製造されたものであって、矩形板状の基部31と、この基部31の長手方向の縁部の一方に所定間隔をおいて列設された複数の刃部32と、列設された刃部32の一端部に設けられた補助刃部39とからなる。薬剤分包体製造用刃体30は、分包シートSに垂直に当接するように、かつ全ての刃部32が分包シートSに同時に当接するように、スタンプ部20に取付けられている。
【0017】
この刃体30は、図4の拡大図に示すように、その厚み寸法がL1とされたものである。刃部32は、刃体30の基部31から突出して形成されたものであって、刃列方向に寸法L2を隔てた前端面36と後端面37を有する。これらの前端面36と後端面37とはそれぞれ平行な平坦面とされている。
刃部32の先端部33は、その厚みが先端40に向かうに従い漸次小となってその稜線部が、分断用刃先34となるように形成されている。この第1実施形態の場合、先端部33の厚み、は刃部32の厚み方向中心部に向けて、先端40に向かうに従い、漸次小となるように形成されている。
【0018】
また、分断用刃先34は、前端面36から後端面37に向かうに従い、漸次突出高さが小となるように形成されている。
上記の構成において、各刃部32の列設方向(一方向)から見た前端面36と厚みが先端に向かうに従い漸次小となる斜側面41、42との間の稜線部が開封用刃先35a、35bとされており、これら開封用刃先35a、35bは、厚み方向の中心面に対して対称
をなしている。
なお、前端面36と後端面37との間における、両側面43、44は、いわゆる鋸歯状となっており、各刃部間に形成された凹部の底面45は平坦面となっている。
【0019】
次に、作用について説明する。
分包シートSは、シート搬送装置10によって、ロール体支持軸11にセットされたロール体Rから引き出される。引き出された分包シートSは、支持軸12、13、14を介して、スタンプ装置20のスタンプ部21とスタンプ受け部22との間を通過し、駆動ローラ15によって引き出される。
重ね合わされた分包シートSは、薬剤ホッパー3の手前において、シート開口部材16によって、薬剤ホッパー3の下部が挿入されるのに十分な幅を有するように広げられる。
薬剤供給装置2から、定量分割された薬剤Pが投下されると、薬剤Pは薬剤ホッパー3の漏斗部を通過して、重ね合わされた分包シートSの間に受け入れられる。薬剤Pは、あらかじめスタンプ装置20のスタンプ部21によって溶着されたシール部によって形成された袋部に収容される。収容完了後、分包シートSは、駆動ローラ15によって、一定距離を搬送され、再度スタンプ部20によってシールされることで、薬剤Pが封入された完全な分包領域110が作られ、完全な薬剤分包体100となる。
【0020】
スタンプ部20による溶着の際には、スタンプ部20に設けられた薬剤分包体製造用刃体30によって、図5(a)に示すような、分断用ミシン目101が形成される。薬剤分包体製造用刃体30は、第1ヒートシール部23aと第2ヒートシール部23bとの間に配置されているため、分断用ミシン目101は、隣接した分包領域110間に形成される。分断用ミシン目101の個々の切込線102は、図5(a)、(b)に示すように、分断用切込部103と、この分断用切込部103から側方に延びる開封用切込部104とからなる。
また、分断用ミシン目101の下端部には、補助刃部39によって、直線状の分断開始部109が形成される。分断開始線109は、分断用ミシン目101に引き続いて形成され、薬剤分包体100の下端に達する。分断用ミシン目101の分段開始部109とは反対側の切込線102の分断用切断部103は、薬剤分包体101の上端には達することがない。
【0021】
次に、薬剤分包体製造用刃体30が分包シートSに押し込まれた際に、上記のような切込線102の形状が形成される過程について説明する。
図6に示すように、刃部32の先端部33が分包シートSに押し付けられると、スタンプ受け部22に設けられた刃受部22aの弾性によって、僅かに刃部32とは反対側に引張られる力が働き、分包シートSはすぐには切断されない。
さらに刃部32が押し込まれると、分断用刃先34と、一対の開封用刃先35a、35bによって、分包シートSの切断が開始される。このうち、分断用刃先34は、刃列方向に沿った分断用切込部103を形成する。一方、開封用刃先35a、35bは、分断用切込部の側方へ延びる開封用切込部104を形成する。開封用切込部104は、分包シートSが、僅かに引張られて生じた撓みが戻ることによって、分断用切込部103に対して、鈍角をなして側方に延びるような形状となる。
【0022】
薬剤Pの服用者が薬剤分包体100を開封する際は、まず、分断開始部109の両側をつまんで離間する方向に広げる。これによって、分断開始部109の先端部に引裂力が働き、分段開始部109は隣接する切込線102まで延長される。分断開始部109と隣接する切込線102とが接続されると、続いて、その切込線102の分断用切込部103の両側が離間する方向に広げられる。これらの切断が連続的に行われることによって、薬剤分包体100は完全に切断される。
薬剤分包体100が、分断用ミシン目101に沿って分断されると、薬剤分包体100の側縁部は、図5(c)のような形態となる。薬剤分包体100の側縁部は、隣接する分断用切込部103が連続状態となった分断線103aと、薬剤分包体100が切断されたことによって分離した開封用切込線104aとからなっている。薬剤Pの服用の際、薬剤の服用者は、この開封用切込線104aの両側を離間する方向に引張り、開封用切込線104aの先端部に力を集中させることで、薬剤分包体100を開封することができる。
【0023】
以上詳細に説明したように、第1の実施形態に示される薬剤分包体100は、隣接する分包領域110の間の分断用ミシン目101を構成する切込線102が、分断方向に延在する分断用切込部103と、この分断用切込部に連続して分断方向の両側方へ延びる開封用切込部104とを備えている。薬剤Pの服用者が、分断用ミシン目101に沿って薬剤分包体100を分断した際、分断された側縁部の両側に短い開封用切込線104aが形成され、薬剤の服用者はこの開封用切込線104aを利用して薬剤包装体100を開封することができる。薬剤分包体100の両側縁部に開封用切込線104aが形成されるため、服用者はより容易に薬剤分包体100を開封することができる。
分断用ミシン目101の下端部には、分断開始部109が必ず形成されるようになっているため、服用者はこの分断開始部109を切裂くことによって、確実に薬剤分包体100を分断して、分断された個々の分包体をすることができる。
【0024】
<第2実施形態>
図7に本発明の第2の実施形態において使用される薬剤分包体製造用刃体50の刃部52の拡大図を示す。
本発明の第2の実施形態は、第1の実施形態の刃部32の形状がいわゆる両刃形状であるのと比較して、刃部52の形状がいわゆる片刃形状である点が異なっている。刃部52の先端部53は、第1実施形態と同様、その厚みが先端60に向かうに従い漸次小となっており、その稜線部が、分断用刃先54となるように形成されている。第1実施形態の場合とは異なり、先端部53の厚みは、一方の側面64に向けて先端60に向かうに従い漸次小となるように形成されている。
上記の構成において、各刃部52の列設方向(一方向)から見た前端面56と厚みが先端に向かうに従い漸次小となる側面51との間の稜線部が開封用刃先55とされる。
【0025】
この第2実施形態の薬剤分包体製造用刃体50を使用して形成された分断用ミシン目200は図8(a)のような形態になる。個々の切込線202は、図8(b)に示すように、開封用切込部204が、分断用切込部203の片側のみに形成されている。
使用者が薬剤分包体200を分断すると、分断線は、図8(c)に示すような形態となる。分断された一方の側縁部は分断用切込部203が連続して略直線状となり、開封用切込線は存在しない。もう一方の側縁部には、第1実施形態と同様に、所定の間隔をおいて開封用切込線204aが形成される。第2実施形態の場合、開封用切込線204aが切断線の両方の側縁部に形成されることはない。
【0026】
第2の実施形態においては、隣接する分包領域210の間の分断用ミシン目201を構成する切込線202が、分断方向に延在する分断用切込部203と、この分断用切込部203に連続して分断方向の一側方へ延びる開封用切込部204とを備えている。この場合、薬剤分包体200を分断した際の、個々の薬剤分包体200の両側縁部のうち、一方の側縁部のみに切込み204aを形成することができるため、薬剤分包体200の開封しやすさをより制限することができる。
【0027】
なお、本発明の実施形態においては、スタンプ受け部22にゴム材による刃受部22aを設ける構成としたが、ゴム材を挿入せず、単なる空間(刃が逃げる空間)としてもよい。
【符号の説明】
【0028】
1…薬剤分包体製造装置、2…薬剤供給装置、3…薬剤ホッパー、10…シート搬送装置、11…ロール体支持軸、12…支持軸、13…支持軸、14…支持軸、15…駆動ローラ、16…シート開口部材、20…スタンプ装置、21…スタンプ部、22…スタンプ受け部、22a…刃受部、30…薬剤分包体製造用刃体、31…基部、32…刃部、33…先端部、34…分断用刃先、35…開封用刃先、36…前端面、37…後端面、39…補助刃部、40…先端、41…斜側面、42…斜側面、43…側面、44…側面、45…底面、100…薬剤分包体、101…分断用ミシン目、102…切込線、103…分断用切込部、104…開封用切込部、109…分断開始部、110…分包領域、200…薬剤分包体、201…分断用ミシン目、P…薬剤、R…ロール体、S…分包シート。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
重ね合わされたシートに複数の分包領域が形成されると共に、前記各分包領域のシート内に薬剤が封入され、かつ隣接する分包領域の間に複数の切込線を列設してなる分断用ミシン目が形成された薬剤分包体であって、
前記切込線が、分断方向に延在する分断用切込部と、該分断用切込部に連続して前記分断方向の側方へ延びる開封用切込部とを備えてなることを特徴とする薬剤分包体。
【請求項2】
前記開封用切込部が、隣接する分包領域の一方の側へ延びる一方の切込部と、同他方の側へ延びる他方の切込部からなることを特徴とする請求項1に記載の薬剤分包体。
【請求項3】
基部から突出して形成された複数の刃部が一方向に列設され、薬剤分包体に前記刃部により分断用ミシン目を形成する薬剤分包体製造用刃体であって、
前記各刃部は、その先端部が、該刃部の厚みが先端に向かうに従い漸次小となってその稜線部が分断用刃先を構成し、かつ前記一方向から見た前端面と、前記厚みが先端に向かうに従い漸次小となる両側面との稜線部が開封用刃先とされていることを特徴とする薬剤分包体製造用刃体。
【請求項4】
前記各刃部は、前記先端部が、該刃部の厚み方向中心部へ向けて先端に向かうに従い漸次小となるように形成されていることを特徴とする請求項3に記載の薬剤分包体製造用刃体。
【請求項5】
前記各刃部は、前記分断用刃先が、前記前端面側から前記後端面側へ向けて漸次突出高さが小となるように形成されている請求項3または4に記載の薬剤分包体製造用刃体。
【請求項6】
前記前端面が平坦面とされていることを特徴とする請求項3から5のいずれか1項に記載の薬剤分包体製造用刃体。
【請求項7】
請求項3から6のいずれか1項に記載の薬剤分包体製造用刃体を備えた薬剤分包体製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−195415(P2010−195415A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−40853(P2009−40853)
【出願日】平成21年2月24日(2009.2.24)
【出願人】(390010582)株式会社エルクエスト (33)
【出願人】(392022064)株式会社エルクコーポレーション (25)
【Fターム(参考)】