説明

薬剤包装装置における巻回ロールの支持軸

【課題】合成樹脂成型品であって、安価な巻回ロール支持軸20とする。
【解決手段】薬剤包装装置における巻回ロール支持軸である。その支持軸本体21外面に、その軸方向の起伏片22を支持軸基部側で固定して設け、その起伏片22外面の突起23、23’を巻回ロール内面の突条13側面に係止して支持軸20に対する巻回ロール10の空回りを防止するとともに、起伏片22外面の他の突起24を前記突条13の先端端面に係止して巻回ロール10の支持軸20からの抜け止めを行う。巻回ロール10繰り出し時における回転中は、起伏片22の外側への弾性力でもって抜け止めが維持され、巻回ロール10への軸方向の引き抜き力によって、起伏片22が内側に撓んで他の突起24と突条13端面の係止が解除されて、巻回ロール10を円滑に交換し得る。このとき、突起の傾斜面23a,23a’、24aがガイドとなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、錠剤や散薬等の薬剤を処方箋に基づいて1回服用分(1包分)づつ包装して連続した薬包を行う薬剤包装装置において、その包装袋用巻回ロール又はその包装袋に印刷するための印刷用巻回ロールの支持軸に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の薬剤包装装置は、例えば、この発明の一実施形態を示す図1、図2及び図5を参照して説明すると、コントロールパネルQの操作によって、錠剤供給ユニットU、散薬供給ユニットUから処方箋に基づいて1包分の薬剤が包装部AのホッパHに順々に落下されて送り込まれる。その包装部Aにおいては、ロールTから包装袋用テープ(シート)tを繰り出し、印刷部Pでその繰り出された包装袋用テープtに患者名や投薬日時等の必要な情報を印刷した後、包装袋用テープtを2つ折りの状態から展開して開口し、この開口に、ホッパHから前記1包分の薬剤が送り込まれ、つづいて、ヒートシール部Bにおいて薬剤を閉じ込めるように包装袋用テープtをシール(熱融着)して1回服用分づつ包装して払い出される(特許文献1 段落0002〜同0004、同0024、同0041〜0068 図1、図12等参照)。
【0003】
その包装印刷機構(包装部A、印刷部P)において、包装用テープtや印刷用テープ12はそれらの巻回ロールT、10から供給され(繰り出され)、その巻回ロールT、10は、通常、片持ち梁状に支持された水平の支持軸にその先端側から差込み嵌合して脱着可能に取付けられる。
例えば、印刷用テープ巻回ロール10は、図5に示すように、その筒状芯(リール)11の外面に印刷用テープ(カーボンテープ、リボンテープ)12を巻回し、芯(貫通孔)11の内周面全周にその軸方向に長い複数の突条13を等間隔で形成した構成であり、一方、支持軸は、その突条13に係止する回転阻止用突起と抜け止め用突起を外面に設けたものである。
【0004】
その従来の支持軸30は、図10a〜図10dに示すように、金属製円柱状支持軸本体31外面に、その軸方向に長い起伏片32を基部側でビス32a止めして設けるとともに、その支持軸本体31の中程に金属製ばね33aでもって出没自在の金属製突起33を設けた構成である。
この支持軸30は、図11に示すように、その先端から巻回ロール10を差込むと(同図矢印方向)、その出没自在の突起33が巻回ロール10の突条13、13の間に係止して支持軸30に対する巻回ロール10の回り止め(空回り止め)をするとともに(同図(b)参照)、起伏片32の先端突起34が突条13の先端端面に係止して巻回ロール10の支持軸30からの抜け止めを行う(同図反矢印方向に移動しないようにする)。
【0005】
なお、巻回ロール10は、図2、図3に示すように、インクカ−トリッジCの内部に収納されてインクカ−トリッジCの交換によって取り替え自在とされたり、図9に示すように、単独で、支持軸に脱着自在にセットされて取り替え自在とされたりしている。また、巻回ロール10の突条13は、筒状芯(リール)11の長さ方向の中心軸(軸心に対する直交軸)に対して左右対称に形成されて、巻回ロール10の左右どちらの側から支持軸30に差し込まれても、支持軸30に対して巻回ロール10が定位置にセットされるようになっており、その差し込みを円滑にするために、突条13の両端部は中央に向かって上り傾斜面13aとなっている(図6、図11参照)。
支持軸30は、通常、図10dに示すように、その本体31の基部に軸心上の孔35が形成され、図11(a)に示すように、薬剤包装装置のフレームFの支軸Sにその孔35を介し差込まれ、ビス36でもって固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−273624号公報
【特許文献2】特開2007−216485号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の支持軸30は、巻回ロール10の回転止めを突起33によって行っており、この突起33及びばね33aの構造は、そのばね収納用孔の形成やその孔への突起33及びばね33aの装填作業が煩雑であり、コストアップの要因となっている。今日のコストダウンの要請から、この種の支持軸30にもコストダウンが望まれる。
また、回り止め用突起33は円柱状でその先端部は半球状であり、巻回ロール10を支持軸30に差し込む際、その突起33の軸心と上記突条13の軸心が直交すると、突条13の先端部傾斜面13aと突起33の先端部球面が突き当たって、突条13が突起33を乗り越えず、それ以上の巻回ロール10を差し込めない不都合が生じる場合があった。
さらに、近年、ICタグによって巻回ロール10の種類等を記録することが行われるようになっており、その際、ICタグは、電磁界や電波などを用いた無線通信によって情報をやり取りするため、金属はそのやり取りの障害となり、合成樹脂製等のその無線通信に影響のない材質への変更を要求されている。
【0008】
この発明は、以上の実状の下、支持軸のコストダウンを図ることを第1の課題とし、ICタグが設けられても支障がないようにすることを第2の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記第1の課題を達成するために、この発明は、まず、支持軸側の突起自身が撓めば、巻回ロールの抜き差しを許容できることに着目し、巻回ロールの抜け止めを行なう突起を弾性体等で形成して起伏自在なものとしたのである。
このように、突起が起伏自在であれば、巻回ロールを支持軸に差し込んだり、引き抜いたりする際、その差し込み力又は引き抜き力に伴い突起が伏してその差し込み又は引き抜きを許容する。
【0010】
つぎに、この発明は、巻回ロールの差し込み方向に対してその突条に接する突起の側面が徐々に遠ざかる傾斜面となっておれば、巻回ロールの差し込みに伴って巻回ロールの突条のその傾斜面に沿って摺動(移動)することに着目し、巻回ロールの空回り止めを行なう突起の巻回ロール差し込み時に当接する端部をその差し込み反対方向に尖った平面視三角形状としたのである。
このように、突起端部を差し込み反対方向に尖った平面視三角形状とすると、巻回ロールの差し込みに伴って巻回ロールの突条のその三角形状突起側面(傾斜面)への摺動によって突起が突条の側面に当接するように案内されるため、その傾斜面と突条との摺動でもって支持軸と巻回ロールが相対的に回転し、その突起は突条の側面に当接して巻回ロールの空回り防止機能を発揮するようになる。
【0011】
この発明の一構成としては、薬剤包装装置における包装袋用テープ又は印刷用テープの巻回ロールの支持軸であって、巻回ロールはその軸心に支持軸が入る貫通孔を有し、その貫通孔の内面には軸方向に長い突条が形成されており、片持ち梁状に支持されてその先端から貫通孔を介して巻回ロールが嵌められてその巻回ロールを空回り不能にかつ抜け止めして支持する支持軸において、棒状本体外面に、その軸方向に長い起伏片を片持ち梁状基部側で固定して自身の前記本体径方向外側への弾性力でもって先端を起伏自在に設け、その起伏片の前記本体径方向外面の片持ち梁状基部側に一方の突起、同片持ち梁状先端側に他方の突起をそれぞれ設け、その一方の突起の片持ち梁状先端側部はその先端方向に尖った平面視三角形状となっており、一方の突起を突条の側面に係止して巻回ロールを空回り不能に支持するとともに、他方の突起を前記突条の片持ち梁状先端側端面に係止して巻回ロールの抜け止めを行い、かつ、巻回ロール交換時のその巻回ロールの引き抜き力又は差し込み力により他方の突起が押されることによって起伏片が撓んで突条の移動を許容する構成を採用することができる。
【0012】
この構成の支持軸は、従来と同様に、その先端から巻回ロールを差込むと、起伏片外面の一方の突起が上記突条の側面に係止して支持軸と巻回ロールを空回り不能に支持するとともに、起伏片外面の他方の突起が前記突条の先端端面に係止して巻回ロールの支持軸からの抜け止めを行う。このため、巻回ロールのテープ繰り出し時における回転中は、起伏片の起伏力(弾性力)でもって、両突起と突条の係止が維持されて、支持軸に対する巻回ロールの空回り及び抜け止めが行われる。一方、巻回ロールを支持軸の軸方向に引き抜くと、起伏片が内側に撓んで(倒伏して)他方の突起と突条の係止が解除されて巻回ロールが支持軸から引き抜かれ得る。
【0013】
また、この発明の他の構成としては、薬剤包装装置における包装袋用テープ又は印刷用テープの巻回ロールの支持軸であって、巻回ロールはその軸心に支持軸が入る貫通孔を有し、その貫通孔の内面には軸方向に長い突条が形成されており、片持ち梁状に支持されてその先端から貫通孔を介して巻回ロールが嵌められてその巻回ロールを空回り不能にかつ抜け止めして支持する支持軸において、棒状本体外面の片持ち梁状基部側に一方の突起、同片持ち梁状先端側に他方の突起をそれぞれ設け、その一方の突起の片持ち梁状先端側部はその先端方向に尖った平面視三角形状となっており、他方の突起は、弾性体からなって自身の撓みでもって起伏自在なものであり、一方の突起を突条の側面に係止して巻回ロールを空回り不能に支持するとともに、他方の突起を突条の片持ち梁状先端側端面に係止して巻回ロールの抜け止めを行い、かつ、巻回ロール交換時のその巻回ロールの引き抜き力によって、他方の突起が撓んで突条の移動を許容してその他方の突起と突条の先端端面の係止が解除される構成を採用することができる。
【0014】
この構成の支持軸は、従来と同様に、その先端から巻回ロールを差込むと、一方の突起が上記突条の側面に係止して支持軸と巻回ロールを空回り不能に支持するとともに、他方の突起が前記突条の先端端面に係止して巻回ロールの支持軸からの抜け止めを行う。このとき、巻回ロールのテープ繰り出し時における回転中は、他方の突起にはその回転力は余り加わらないため、その突起は撓むことがなく、また、仮に撓んでも、通常、巻回ロールが抜け出る程度には撓むことはない。このため、他方の突起によって巻回ロールの抜け止めは担保される。一方、巻回ロールを支持軸の軸方向に引き抜いてその引き抜き力で他方の突起を撓ますと、その突起と突条の係止が解除されて巻回ロールが支持軸から引き抜かれ得る。
【0015】
この両構成において、抜け止め用突起(他方の突起)の差し込み時の当接面又は引き抜き時の当接面はその方向の反対方向に向かう上がり傾斜とすれば、巻回ロールの差し込み又は引き抜きに伴って巻回ロールの内面(突条)が徐々にその傾斜面に乗り上がって突起を撓ます(起伏させる)こととなるため、その差し込み又は引き抜きが円滑となる。
また、上記空回り防止用突起(一方の突起)の片持ち梁状先端側部をその片持ち梁状基部側に向かう上り傾斜面とすれば、その傾斜面を突条が円滑に乗り上がるため、巻回ロールの差し込みを円滑に行なうことができる。
なお、上記「平面視三角形状」が「平面視2等辺三角形状」であると、その平面視の左右の傾斜面の傾斜角度が同じとなるため、一方の突起と巻回ロールの突条との摺動度合がその左右で同じとなって突起が突条の側面に当接する案内にムラが無くなる。
【0016】
因みに、従来から、図10aに示す起伏片32は合成樹脂の成型品であって、前記ばね33aや突起33が金属製であることから、それらの金属製部品の機能を合成樹脂成型品の起伏片と一体の一方の突起によって代用することにより金属部品はなくなって上記第2の課題を達成することができる。
また、上記突条の側面に係止して巻回ロールを空回り不能に支持する(空回り防止用)突起を上記片持ち梁状先端側にも設けることができる。
このように、巻回ロールを空回り不能に支持する突起を片持ち梁状長さ方向の両側に設ければ、その巻回ロールの支持が安定する。特に、両突起が支持軸のできるだけ両端近くに位置すれば、その支持もより安定する。この両突起を上記起伏片に設けた場合、一方の突起は起伏片の起伏しない基部側に、他方の突起は起伏する先端側に位置することとなる(図4aの実施形態参照)。
【0017】
これらの構成において、上記各突起は、上記支持軸本体外面の軸心に対する対称位置にそれぞれ設ければ、巻回ロールの空回り止め及び抜け止めをさらに確実に行うことができるうえに、対称位置の突起又は起伏片等による弾性力によって(スプリング効果によって)巻回ロールの位置決めがなされてその芯出しが自動的に行われて固定(ロック)される。
また、突起や起伏片を合成樹脂の成型品や木製等として、電磁界や電波などを用いた無線通信に影響のない材質製とすれば、ICタグによる情報伝達に支障がないものとして上記第2の課題を達成することができる。このとき、支持軸、起伏片以外の部材はその情報伝達に支障がない限り、例えば、上記ビス36などは金属製とし得る。合成樹脂成型品は、量産化が容易でコストダウンを図り得るとともに、再資源化も容易である。
【発明の効果】
【0018】
この発明は、以上のように、巻回ロールの抜け止め用突起を弾性体で形成したり、起伏片に形成したりしたので、その機構が簡単であってコスト的に安価なものとし得る。また、空回り止め用突起端部を平面視三角形状としたので、その突起を巻回ロールの突条側面に円滑に当接し得てその空回り防止機能を有効に発揮し得るものとすることができるとともに、巻回ロールを円滑に差し込み得る。さらに、合成樹脂製化等も容易であって、ICタグの使用においても有利なものとし得る。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】この発明の一実施形態を採用した薬剤包装装置の一例の概略斜視図
【図2】同実施形態の要部斜視図
【図3】図2の巻回ロール収納インクカートリッジを取り外した要部拡大図
【図4a】同実施形態の支持軸の斜視図
【図4b】同平面図
【図4c】(a)は正面図、(b)は(a)のX―X線断面図
【図4d】同切断正面図
【図5】同実施形態の巻回ロールを示し、(a)は斜視図、(b)は右側面図、(c)は切断正面図
【図6】同実施形態の支持軸に巻回ロールを嵌めた状態を示し、(a)は切断正面図、(b)は右側面図
【図7】他の実施形態を示し、(a)は斜視図、(b)は切断正面図
【図8】他の実施形態の斜視図
【図9】薬剤包装装置の他例の概略斜視図
【図10a】従来の支持軸の斜視図
【図10b】同平面図
【図10c】(a)は正面図、(b)は(a)のX―X線断面図
【図10d】同切断正面図
【図11】同支持軸に巻回ロールを嵌めた状態を示し、(a)は切断正面図、(b)は右側面図
【発明を実施するための形態】
【0020】
この実施形態は、図1に示す薬剤包装装置に使用され、従来と同様に、図2、図3に示すように、インクカートリッジ(リボンカセット)C内に印刷用テープ(インクリボン)12の巻回ロール10(芯11)が装着され、そのインクカートリッジCが上下2本の支持軸(プリンタ軸)20、20に嵌められることによって前記巻回ロール10がセットされる。インクカートリッジCには、巻き出し側と巻き取り側のロール10(芯11)が装填され、繰り出し側から印刷用テープ12をインクカートリッジC前面に引き出して巻き取り側のロール10(芯11)に巻き取ることによってその前面に常に新しいテープ12が繰り出されて印刷される。その印刷機構及びその作用、インクカートリッジCへの巻回ロール10の交換機構及びその作用は従来と同様である(特許文献1段落0057、特許文献2段落0033、図1、図2等参照)。
【0021】
この発明は、そのインクカートリッジCが装着される支持軸が特徴であって、図4a〜図4dに示す一実施形態の支持軸20は、例えば、ポリアセタール等の合成樹脂成型品である支持軸本体21外面に、同じくポリアセタール等の合成樹脂成型品の軸方向に長い起伏片22を支持軸基部側で合成樹脂製ビス22aでもって固定して設けたものである。この固定された起伏片22は、自身の内外(支持軸径方向)への弾性力でもって先端が起伏自在である。
【0022】
その起伏片22の外面両端にそれぞれ突起23、23’が同一線上に形成され、起伏片22の先端は膨出して突部(突起)24となっており、その突部24は正面視断面三角形状とされている。突起23、23’の向き合う側の端部は、その先端方向に尖った(頂点鋭角の)平面視2等辺三角形状となっているとともに先端反対方向に向かう上り傾斜面23a、23a’となっている。また、突起24は、支持軸20の片持ち梁状に取付けられた際(図3参照)のその片持ち梁状先端側端部が巻回ロール10を差し込む際の突条13の先端下り傾斜面13aに沿う片持ち梁状基部側に向かう上り傾斜面(図4cにおける突起24の右側斜面)24bとなっている。
この起伏片22は、軸心に対する対称位置に2つ設けられている。この数は任意であり、例えば、一つでも三つ以上でもよい。このとき、各起伏片22は本体21周囲等間隔に設けることが好ましい。
【0023】
この支持軸20は、従来と同様に、図4dに示すように、その本体21の基部に軸心上の孔25が形成され、図6(a)に示すように、従来と同様に、薬剤包装装置のフレームFの支軸Sにその孔25を介し差込まれ、合成樹脂製ビス26でもって固定される。
【0024】
この支持軸20に、図6(a)矢印に示すように、その先端から巻回ロール10を差込むと(インクカ−トリッジCを嵌めると)、起伏片22が図4d鎖線のように内側に撓んで巻回ロール10の差込みを許容する。この差込み時、突起24の先端が突条13に当ってもその傾斜面24bでもって起伏片22の内側への撓みが円滑になされ、同時に、突起23’も内側に撓むため、その差し込みは円滑に行なうことができる。このため、突起23の上り傾斜面23aに相当する突起23’の傾斜面は突起24の傾斜面24bが担うこととなる。
【0025】
さらに、突条13が突起23に当たると、突条13はその端傾斜面13aが突起23の2等辺三角形状傾斜面23aの上り傾斜状上面を乗り上がりつつ進行し、その進行につれて、突起23は2等辺三角形状傾斜面23aの側面でもって突条13、13の間に円滑に案内されるため、支持軸20と巻回ロール10が相対的に回転して突起23、23’が突条13、13の間に導かれ、図6鎖線のように起伏片22が自身の弾力でもって復帰する。すなわち、支持軸20に対する巻回ロール10の周方向の位置決めが自動的になされるとともに、軸心対称の2つの起伏片22でもってその位置決め作用がなされるため、調心も行なわれる。
【0026】
このとき、2つの突起23、23’でもって、巻回ロール10の周方向の位置決め(回り止め)が行なわれるため、その作用が長期に亘って安定して行なわれるとともに確実である。特に、突起23は、合成樹脂製の剛体であって、起伏片22の起伏しない(固定の)基部に位置するため、その作用は確実となる。また、突起23、23’は支持軸の軸方向に長くなっているため、上記従来の円柱状突起33に比べれば巻回ロール10を安定して支持する。
【0027】
このように、インクカ−トリッジCが所要位置にセットされると(巻回ロール10が支持軸20に確実に差込まれると)、その軸方向前後の突起23、23’が突条13、13の間に嵌まるとともに、先端の突起24が突条13の先端端面13aに係止することにより、支持軸20に対する巻回ロール10の芯出しが自動的に行なわれ、インクカ−トリッジC(巻回ロール10)が抜け止めされるとともに、巻回ロール10の空回り止め(一体化)がなされる。
【0028】
このため、図2のインクカートリッジCのセット状態において、従来と同様の薬剤包装装置の操作に伴い、薬剤の包装が行われるとともに、インクカートリッジCから新しいテープ12が円滑に繰り出されてそのテープ12に熱転写による服用日時等の印刷がなされる。
一方、インクカートリッジC内の繰り出し側巻回ロール10のテープ12が終端近くになれば、その旨がランプ等によって表示され、作業者は、薬剤包装装置の操作(調剤)を一時停止して、インクカートリッジCを取り替える。その際、そのインクカ−トリッジC(巻回ロール10)の支持軸20の軸方向外側(先端側)への引き抜き力によって、図4dの実線から鎖線のように、起伏片22が軸心側に撓んで突起24と突条13先端端面13aとの係止を解除し、巻回ロール10(インクカ−トリッジC)の軸方向外側への移動を許容する(図6(a)参照)。このとき、起伏片22の突起24の係止面(図4c(a)における突起24の左側斜面)24aと突条13の先端係止(傾斜)面13aの軸心方向外側に向く(図6(a)の下方の突条13において右下がり)傾斜でもってその移動は円滑になされる。
【0029】
他の実施形態を図7(a)、(b)及び図8に示し、図7(a)、(b)の実施形態は、基部側の突起23を本体21と一体に成形し、先端側の突起23’及び突起24をシリコンなどのゴム等の弾性体によって形成したものである。この突起23’、24は、接着、溶着等によって支持軸本体21に固着する。
この実施形態の支持軸20も、薬剤包装装置のフレームFの支軸Sにその孔25を介し差込まれ、合成樹脂製ビス26でもって固定される(図6参照)。
【0030】
この支持軸20に、その先端から巻回ロール10を差込むと、その差し込み力によって図7(b)の一点鎖線で示すように突起23’、24がその差し込み方向に撓んで巻回ロール10の差し込みを許容する。また、同様に、突起23の2等辺三角形状傾斜面23aでもって、その突起23が突条13、13の間に円滑に案内され、支持軸20と巻回ロール10が相対的に回転して突起23、23’を突条13、13の間に導き、やがて、図7(b)の一点鎖線から実線で示すように、突起23’、24が自身の弾力でもって復帰し、突起23,23’24によって巻回ロール10の回り止めと抜け止めが成される。
【0031】
一方、巻回ロール10を引き抜くと、その引き抜き力によって、同様に、突起24が図7(b)の実線から二点鎖線で示すように撓んでその引き抜きを許容する。
この実施形態において、図8に示すように、突起23’と突起24は離したものとし得る。このとき、突起23’の突起24側(図8において右側)の端部も反対側(同左側)の端部と同様に2等辺三角形状傾斜面として、巻回ロール10の差し込み時に突条13がその突起23’を円滑に乗り越えるようにすることが好ましい。この突起23’を突起24から離す態様は、上記図4aの実施形態においても採用できる。因みに、突起23’と突起24が図4a、図7(a)のように連結している(一体である)と、突起24の倒伏(撓み)に伴って突起23’も倒伏する(撓む)ため、突条13が突起23’を乗り越えやすい利点がある。
【0032】
図5鎖線に示すように、巻回ロール10の仕様やテープ12の種類等の情報を記録させたICタグ40を芯11の中程に取付け、図3の鎖線で示すように、支持軸本体21内にその情報受け渡しセンサ41を設けたところ、支持軸本体21、起伏片22、ビス22aを合成樹脂製等としたので、そのICタグ40とセンサ41の電磁界や電波による無線通信に何らの支障も生じなかった。このとき、ビス26が金属製であってもその無線通信に何らの支障がなかった。このことから、支持軸本体21及び起伏片22を少なくとも合成樹脂製等の無線通信に支障がない材質とし、ICタグ40とセンサ41の位置によってその無線通信に支障がない位置の部材については、適宜に、例えば、ビス26等は合成樹脂製としなくても良いことが分かる。
このことから、ICタグ40とセンサ41の位置が任意であり、その位置によって合成樹脂等とする部品も適宜に選択する。また、インクカ−トリッジCの場合、ICタグ40はそのインクカ−トリッジCの筐体に取付ける。一方、センサ41は、フレームF側等に取付けることもできる。
因みに、図10の従来の支持軸30においては、その本体31、起伏片32を合成樹脂製としても、突起33及びばね33aが金属製であることから、ICタグ40による通信において障害が生じた。
【0033】
上記実施形態は、インクカートリッジCに巻回ロール10を装填する場合であったが、この発明は、図9に示すように、支持軸20に巻回ロール10を直に脱着する態様においても採用し得ることができ、また、包装用テープtの巻回ロールTにおいても採用でき、さらに、他の薬剤包装装置の各種のテープ巻回ロールの支持軸に採用できることは勿論である。また、回り止め用突起23、23’は、支障がない限りにおいて一方を省略することができる。例えば、基部側の突起23のみとし得る。
このように、この発明の範囲は、上記実施の形態に限定されず、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
因みに、この発明の支持軸20は、薬剤包装装置に限らず、他の種々の装置(機械)において、例えば、梱包装置等において、紐や各種のテープを自動送り出しする巻回ロールの支持に採用し得る。
【符号の説明】
【0034】
A 包装部
B ヒートシール部
C インクカ−トリッジ
P 印刷部
T 包装袋用テープ巻回ロール
t 包装袋用テープ(シート)
10 印刷用テープ巻回ロール
11 印刷用テープ巻回ロール芯
12 印刷用テープ
13 巻回ロールの突条
20 巻回ロール支持軸
21 支持軸本体
22 起伏片
23、23’ 突条13側面との係止用突起
24 突条13先端との係止用突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤包装装置における包装袋用テープ(t)又は印刷用テープ(12)の巻回ロール(10)の支持軸(20)であって、前記巻回ロール(10)はその軸心に支持軸(20)が入る貫通孔(11)を有し、その貫通孔(11)の内面には軸方向に長い突条(13)が形成されており、片持ち梁状に支持されてその先端から前記貫通孔(11)を介して前記巻回ロール(10)が嵌められてその巻回ロール(10)を空回り不能にかつ抜け止めして支持する支持軸(20)において、
棒状本体(21)外面に、その軸方向に長い起伏片(22)を上記片持ち梁状基部側で固定して自身の前記本体(21)径方向外側への弾性力でもって先端を起伏自在に設け、その起伏片(22)の前記本体(21)径方向外面の前記片持ち梁状基部側に一方の突起(23)、同片持ち梁状先端側に他方の突起(24)をそれぞれ設け、その一方の突起(23)の前記片持ち梁状先端側部はその先端方向に尖った平面視三角形状となっており、前記一方の突起(23)を上記突条(13)の側面に係止して巻回ロール(10)を空回り不能に支持するとともに、他方の突起(24)を前記突条(13)の前記片持ち梁状先端側端面(13a)に係止して巻回ロール(10)の抜け止めを行い、かつ、巻回ロール交換時のその巻回ロール(10)の引き抜き力又は差し込み力により前記他方の突起(24)が押されることによって前記起伏片(22)が撓んで前記突条(13)の移動を許容することを特徴とする薬剤包装装置における巻回ロールの支持軸。
【請求項2】
薬剤包装装置における包装袋用テープ(t)又は印刷用テープ(12)の巻回ロール(10)の支持軸(20)であって、前記巻回ロール(10)はその軸心に支持軸(20)が入る貫通孔(11)を有し、その貫通孔(11)の内面には軸方向に長い突条(13)が形成されており、片持ち梁状に支持されてその先端から前記貫通孔(11)を介して前記巻回ロール(10)が嵌められてその巻回ロール(10)を空回り不能にかつ抜け止めして支持する支持軸(20)において、
棒状本体(21)外面の上記片持ち梁状基部側に一方の突起(23)、同片持ち梁状先端側に他方の突起(24)をそれぞれ設け、その一方の突起(23)の前記片持ち梁状先端側部はその先端方向に尖った平面視三角形状となっており、他方の突起(24)は弾性体からなって自身の撓みでもって起伏自在なものであり、前記一方の突起(23)を上記突条(13)の側面に係止して巻回ロール(10)を空回り不能に支持するとともに、他方の突起(24)を前記突条(13)の前記片持ち梁状先端側端面(13a)に係止して巻回ロール(10)の抜け止めを行い、かつ、巻回ロール交換時のその巻回ロール(10)の引き抜き力又は差し込み力によって、前記他方の突起(24)が撓んで前記突条(13)の移動を許容することを特徴とする薬剤包装装置における巻回ロールの支持軸。
【請求項3】
上記一方の突起(23)の片持ち梁状先端側部はその片持ち梁状基部側に向かう上り傾斜面(23a)となり、他方の突起(24)の前記片持ち梁状先端側端部は巻回ロール(10)を差し込む際の突条(13)の先端下り傾斜面(13a)に沿う前記片持ち梁状基部側に向かう上り傾斜面(24b)となっていることを特徴とする請求項1又は2に記載の薬剤包装装置における巻回ロールの支持軸。
【請求項4】
上記突条(13)の側面に係止して巻回ロール(10)を空回り不能に支持する突起(23’)を上記片持ち梁状先端側にも設けたことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1つに記載の薬剤包装装置における巻回ロールの支持軸。
【請求項5】
上記各突起(23、23’、24)を、上記棒状本体(21)の軸心に対する対称位置にそれぞれ設けたことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1つに記載の薬剤包装装置における巻回ロールの支持軸。
【請求項6】
ICタグ(40)による情報伝達に支障がある部材は合成樹脂等の電磁界や電波などを用いた無線通信に影響のない材質製としたことを特徴とする請求項1乃至5の何れか一つに記載の薬剤包装装置における巻回ロールの支持軸。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4a】
image rotate

【図4b】
image rotate

【図4c】
image rotate

【図4d】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10a】
image rotate

【図10b】
image rotate

【図10c】
image rotate

【図10d】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2012−246015(P2012−246015A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−119322(P2011−119322)
【出願日】平成23年5月27日(2011.5.27)
【出願人】(592246705)株式会社湯山製作所 (202)
【Fターム(参考)】