薬剤包装装置
【課題】簡易な構成で両シートを容易に接続可能とした薬剤包装装置を提供する。
【解決手段】薬剤充填部側に残るシートの端部を仮固定する第1部分AR1と、新規のシートの端部を仮固定する第2部分AR2とを備える作業プレート151を設け、第1部分AR1と第2部分AR2とに仮固定された各包装紙の端部を接続可能とした。
【解決手段】薬剤充填部側に残るシートの端部を仮固定する第1部分AR1と、新規のシートの端部を仮固定する第2部分AR2とを備える作業プレート151を設け、第1部分AR1と第2部分AR2とに仮固定された各包装紙の端部を接続可能とした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、巻き状のシートが装着され、このシートに薬剤を充填して包装する薬剤包装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
巻き状のシートが装着され、このシートに薬剤を充填して包装する薬剤包装装置が知られている。この装置では、シートが無くなれば、新たなシートに交換する作業が必要になる。
この薬剤包装装置は、限られたスペース内で薬剤の充填や包装等を行うため、搬送経路が長く、複雑になっており、新たなシートに交換する場合に、搬送経路内に残ったシートを全て取り外し、新規シートに完全にセットし直す作業は繁雑である。このシート交換作業を簡略化するため、装置に残るシートの端部と新規のシートの端部とを接続する方法が提案されており、両面テープを用いて手作業で接続するものや、両シートを位置決めし、その間に設けられたセンターステージに粘着テープをセットし、この粘着テープで両テープを接続する構成を具備する構造が提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−23999号公報
【特許文献2】特開2001−72003号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、シートの端部と新規のシートの端部とを両面テープを用いて手作業で接続する方法は、不慣れな者が適切に接続することが困難であり、傾いて接続されたり、接続状態が不十分になったりするおそれがあった。
一方、両シートを位置決めし、その間に設けられたセンターステージに粘着テープをセットする構成は、センターステージを含む各部を動作させる機構を備えるため、部品点数が多く、構造も複雑になり、コスト低減に不利である。
本発明は、上述した事情を鑑みてなされたものであり、簡易な構成で両シートを容易に接続可能とした薬剤包装装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するため、本発明は、巻き状のシートが装着され、このシートにテンションを掛けて該シートを薬剤充填部に送る搬送機構を備える薬剤包装装置において、前記薬剤充填部側に残るシートの端部を仮固定する第1部分と、新規のシートの端部を仮固定する第2部分とを備え、前記第1部分と前記第2部分とに仮固定された各シートの端部を接続可能としたことを特徴とする。
【0006】
上記構成において、前記第1部材と前記第2部分とが一枚のプレートに形成されるようにしても良い。
また、上記構成において、前記搬送機構を収容する筐体が、前記搬送機構を覆う前扉を有し、前記プレートは、前記前扉を開けた際に手前に露出する位置に設けられるようにしても良い。
【0007】
また、上記構成において、前記プレートは、表面と裏面とを手前に露出可能に揺動自在に設けられるようにしても良い。
また、上記構成において、前記プレートは、前記搬送機構の所定の搬送ローラの軸、及び、前記シートを巻いたロールの回転軸の少なくともいずれかから直交する方向に延びる平面に沿うようにしても良い。
また、上記構成において、前記搬送ローラは、前記シートにテンションを掛ける可動ローラよりも上流に位置するようにしても良い。
【0008】
また、上記構成において、前記シートは、二つ折りにして巻かれたシートでも良い。
また、上記構成において、前記搬送機構を含む包装ユニットを前記薬剤包装装置内に配置した状態で、前記各シートの端部を接続可能に構成しても良い。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、薬剤充填部側に残るシートの端部を仮固定する第1部分と、新規のシートの端部を仮固定する第2部分とを備え、前記第1部分と前記第2部分とに仮固定された各シートの端部を接続可能としたので、簡易な構成で、作業者がシートの接続作業を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係る薬剤包装装置の斜視図である。
【図2】薬剤包装装置の内部構造を示す図である。
【図3】包装ユニットを前方右斜め上方から見た斜視図である。
【図4】薬剤包装装置を前方左斜め上方から見た斜視図である。
【図5】薬剤包装装置の機能構成を示すブロック図である。
【図6】作業プレートを周辺構成と共に示す図である。
【図7】(A)〜(D)はロール交換に伴う包装紙の接続作業を示す図である。
【図8】(A)〜(C)は包装紙の仮固定作業を側方から見た図である。
【図9】検出センサの構成を模式的に示す図である。
【図10】接続箇所スキップ処理を示すフローチャートである。
【図11】(A)〜(F)は包装紙を時系列順で模式的に示す図である。
【図12】変形例に係る包装ユニットの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る薬剤包装装置1の斜視図であり、図2はその内部構造を示している。なお、図1には薬剤包装装置1の正面(前面)を符号FRを付して示し、背面を符号BKを付して示し、右側面を符号RPを付して示し、左側面を符号LPを付して示している。
この薬剤包装装置1は、病院や調剤薬局に設置され、処方箋に記載された種類及び数量の薬剤(錠剤、カプセル剤等)をタブレットケース6(図1、図2参照)から一個ずつ排出し、薬剤の重量を利用して自然落下させる通路にあたるシュート15(図2参照)を経てホッパー17(図2参照)により一個所に集め、その後、包装紙(シート)Sで包装するという、錠剤の抽出から包装までの作業がすべて一連の機構の中で為され、全てが自動化されたものである。
図1に示すように、この薬剤包装装置1は、縦長矩形状の本体(筐体)2と、薬剤包装装置1を制御するための後述するパーソナルコンピュータ101とを備えている。本体2は、相互に分離可能な上部構造体3と下部構造体4とを備えており、下部構造体4上に上部構造体3が連結された構造とされている。この上部構造体3は、薬剤を入れた複数のタブレットケース6を収納する薬剤収納部として機能し、上面は着脱可能な天板3Aで覆われている。
【0012】
上部構造体3には、左右4列、上下5段(合わせて20個)の多列多段の引き出しを構成する複数の棚5が設けられ、各棚5は、薬剤包装装置1の前方に引き出し可能に構成されている。各棚5の前端(正面)には扉パネル11がそれぞれ取り付けられており、全ての棚5が上部構造体3内に収納された状態で各扉パネル11が上部構造体3の前面開口を閉塞する。
棚5には、左右二列で複数のタブレットケース6を配置可能な駆動ベース12と、これら左右二列のタブレットケース6間で上下に開放する通路13とが奥行き方向に渡って延在しており、通路13は、上下に並ぶ棚5のタブレットケース6から排出された薬剤を下方へ落下させるシュート15を構成する。本実施形態では左右4列のシュート15が形成されている。
【0013】
下部構造体4は前面及び上面が開放しており、上面において上部構造体3と連通する。この下部構造体4内には、図2に示すように、上記シュート15の下方に設けられる左右一対のシャッター16、16、これらシャッター16、16の下方に設けられる単一のホッパー17、ホッパー17の下方に設けられる包装ユニット18等が収納設置され、前面の開口は観音開き式の前扉8、8(図1参照)によって開閉自在に構成されている。
正面左側の前扉8には、取出口21が形成されている。この取出口21は、所定種類、数量の薬剤が充填された分包を取り出すために設けられたものであり、薬剤が充填された分包は取出口21に排出される。
【0014】
図2に示すように、左右のシャッター16、16は、上面が広く開口し、下端に向けて窄まった矩形漏斗形状を有し、後述するシャッターソレノイド123によって開閉し、各シュート15からホッパー17に落下する薬剤を一時受け止める。これらシャッター16、16間には、追加薬剤フィーダ(UTC)23が前方に引き出し自在に設けられており、この追加薬剤フィーダ23は、追加の薬剤を任意に供給するためのフィーダであり、このフィーダ23はホッパー17内に連通している。
ホッパー17は、上面が広く開口し、下端に向けて窄まった矩形漏斗形状を有しており、各シュート15及び追加薬剤フィーダ23から落下して薬剤を受け止め、ホッパー17下方のノズル44に供給する。
【0015】
包装ユニット18は、下部構造体4内の底面左右に取り付けられた左右一対の引出レール31、31に着脱可能にネジ止めされている。これにより、包装ユニット18は、前扉8、8を開放した状態で、下部構造体4内から前方に引出自在とされ、更に、引き出した状態で当該引出レール31、31に着脱可能とされている。
図3は、包装ユニット18を前方右斜め上方から見た斜視図であり、図4は、薬剤包装装置1を前方左斜め上方から見た斜視図である。なお、図3中、符号Fで示す矢印は、包装ユニット18を薬剤包装装置1の前面側に引き出す際の引き出し方向を示しており、符号19は、包装ユニット18の引き出しに使用する取っ手を示している。
【0016】
図3及び図4に示すように、包装ユニット18は、熱溶着可能な包装紙Sが巻回されるロール41が着脱可能に装着されるシート供給盤42と、包装紙Sに文字やバーコード等の図形を印字する印字部として機能するプリンタユニット43と、薬剤を包装紙Sに充填する薬剤充填部として機能するノズル44と、薬剤が充填された包装紙Sを熱溶着で閉じる包装部として機能する熱シールヘッド45と、ロール41から引き出された包装紙Sを搬送する搬送機構を構成する送りローラ46と、包装紙Sを切断するカッター47と、薬剤が包装された包装紙S(分包)を取出口21に搬送するコンベアユニット48とを備えており、包装紙Sの搬送経路に沿って、上流側からシート供給盤42、プリンタユニット43、ノズル44、熱シールヘッド45、送りローラ46、カッター47、コンベアユニット48の順で配設されている。なお、図4では、ロール41をシート供給盤42から取り外した状態を示している。
【0017】
包装ユニット18は、下部構造体4内の底面左右中央から上方に立設する箱体51を備えており、箱体51内には、包装ユニット18の外観に露出しない部品(熱シールヘッド45用の駆動モータや後述する可動ローラ54の駆動機構等)が配置され、この箱体51の左右、上方及び後方のスペースを利用して、包装ユニット18の外観に露出する部材が配置されている。
より具体的には、箱体51の左側方には、図4に示すように、シート供給盤42と、シート供給盤42のロール41から右斜め上方に引き出された包装紙Sを最先にガイドして下方向きに折り返す第1搬送ローラ53と、この第1搬送ローラ53の下流で包装紙Sにテンションを掛ける可動ローラ54と、この可動ローラ54の下流で包装紙Sをガイドし、且つ、包装紙Sの向きをプリンタユニット43の入口に折り返す第2搬送ローラ55とが配設されており、これらによって、包装紙Sにテンションを掛けてプリンタユニット43に搬送する搬送経路が形成されている。
【0018】
第1搬送ローラ53は、シート供給盤42に装着されたロール41よりも上方に固定されており、ロール41の交換時、ロール41から引き出した包装紙Sを作業者(ユーザー)が容易に巻回することが可能である。また、第1搬送ローラ53、可動ローラ54、及び、シート供給盤42に装着されるロール41の回転軸は平行であり、これらは略水平に近い傾斜で左斜め上方に延びており、一方、第2搬送ローラ55は平行ではない。なお、第1搬送ローラ53、可動ローラ54、及び、シート供給盤42に装着されたロール41の回転軸は、互いに平行で、且つ、箱体51の左側方スペースに配置可能な範囲であれば、適宜に変更しても良く、第2搬送ローラ55の位置も適宜に変更が可能である。
【0019】
図3に示すように、箱体51の上面は、右下方に傾斜する傾斜面に形成されてプリンタユニット43が配置され、包装紙Sはプリンタユニット43を通って右下方に向けて搬送される。プリンタユニット43の右下方には、ノズル44の下端、熱シールヘッド45、送りローラ46及びカッター47が順に配置され、カッター47の右側にコンベアユニット48の上流端48Aが位置する。コンベアユニット48は、箱体51の後方を左斜め上方に延びた後、箱体51の左後方で前方に屈曲して前方に延び、前扉8の取出口21(図1参照)に連通する位置に後端48Bが設けられている。
【0020】
次に薬剤包装装置1の基本的な動作を説明する。
ロール41は、長尺の包装紙Sを予め二つ折り(半折り)して巻回したロールであり、このロール41の軸を、水平面に対して右下がりに斜めにした姿勢でシート供給盤42に装着される(図2参照)。包装紙Sは、送りローラ46によって搬送されることにより、第1搬送ローラ53、可動ローラ54及び第2搬送ローラ55を順に経由してプリンタユニット43に搬送され、プリンタユニット43によりその表面に印字され、本実施形態では、0、1、2、3・・・、といったように数字が昇順で印字される。
次に、包装紙Sは、二つ折りの開放する側が拡げられることによって断面V字状とされ、ノズル44から排出された薬剤が開放側から充填され、両側から熱シールヘッド45で挟まれて熱溶着され、予め指定された包装サイズで一包毎に区画した状態で閉じられる。その後、包装紙Sはカッター47で適宜の長さに切断され、コンベアユニット48で搬送されることによって取出口21(図1参照)に排出される。これにより、所望の種類、数量の薬剤が充填された分包が一包毎に作成される。
【0021】
図5は、薬剤包装装置1の機能構成を示すブロック図である。
制御部120は、薬剤包装装置1の各部を中枢的に制御するものであり、演算実行手段としてのCPU(Central Processing Unit)や、このCPUに実行される基本制御プログラムや、この基本制御プログラムに係るデータ等を不揮発的に記憶するROM(Read Only Memory)、CPUに実行されるプログラムやこのプログラムに係るデータ等を一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)や、その他の周辺回路等を備えている。また、制御部120は、図示せぬ発振器が生成した基準クロックに基づいて各種計時動作、及び、現在時刻の計時を実行する。
この制御部120には、包装ユニット18と、インタフェース部121と、剤検出センサ122と、シャッターソレノイド123と、モータドライバ124と、表示部125と、入力部126と、記憶部127とが接続されている。
【0022】
包装ユニット18は、制御部120の制御の下、上述したように、所定の薬剤が充填された分包を作成するとともに、作成した分包をコンベアユニット48によって取出口21へ搬送する。
インタフェース部121は、信号通信ケーブル等を介してパーソナルコンピュータ101に接続され、制御部120の制御の下、パーソナルコンピュータ101との間で各種信号を送受信する。この構成により、パーソナルコンピュータ101と薬剤包装装置1との間で各種データを送受信できるとともに、作業者(ユーザー)は、パーソナルコンピュータ101を介して薬剤包装装置1に対して各種指示を行うことができる。
【0023】
剤検出センサ122は、タブレットケース6から排出された薬剤を検出し、検出値を制御部120に出力する。制御部120は、剤検出センサ122から入力された検出値に基づいて、タブレットケース6から排出された薬剤の個数をカウントする。シャッターソレノイド123は、制御部120の制御の下、シャッター16、16を作動する。モータドライバ124は、包装ユニット18が具備する各種モータに接続され、制御部120の制御の下、これらモータに駆動電流を供給し、これらモータを駆動制御する。
【0024】
表示部125は、制御部120の制御の下、各種情報を表示する。入力部126は、作業者の入力操作を受け付け、制御部120に出力する。記憶部127は、EEPROMやフラッシュメモリにより構成され、制御部120の制御の下、書き換え可能に各種データを記憶する。記憶部127には、制御部120が実行する制御プログラム127A等が記憶される。
【0025】
ところで、本実施形態では、ロール41を交換する場合、包装ユニット18を引出レール31、31を介して手前に引き出し、包装ユニット18側に残る包装紙Sと新規のロール41の包装紙Sとをテープで接続する作業を行う。この接続作業を行う方法では、使用済みの包装紙Sを完全に取り外す必要や、新規の包装紙Sを複雑な搬送経路にセットする必要がなく、且つ、使用済み包装紙Sを最大限使用して資源の無駄を回避できるというメリットがあるものの、接続作業自体が煩雑になり易い。
そこで、本実施形態では、接続作業を行うための作業台となる作業プレート151を備えている。
【0026】
<作業プレートについて>
図3に示すように、作業プレート151は、下部構造体4の前扉8,8を空けた際に手前に露出する位置に設けられており、より具体的には、包装ユニット18には、箱体51上方を左右に仕切る仕切り板57が設けられ、この仕切り板57の上部且つ正面側に、作業プレート151が取り付けられている。なお、この仕切り板57は、プリンタユニット43上流のローラ群53〜55とプリンタユニット43との間を仕切っている。
【0027】
図6は作業プレート151を周辺構成と共に示している。
図6に示すように、作業プレート151は、一枚の矩形平板状の金属プレートを有し、その一端角部がステー152を介して仕切り板57に締結部材(本実施形態ではボルトとナット)35で取り付けられ、この締結部材35を支軸にして、図6中X方向に揺動自在であり、手前側(薬剤包装装置1の前面側)と奥側(薬剤包装装置1の背面側)とに傾けることができる。
この締結部材35は、ロール41から引き出された包装紙Sを最先にガイドする第1搬送ローラ53の軸と平行であり、作業プレート151を手前側に倒した場合、図4に示すように、作業プレート151を、第1搬送ローラ53の軸から手前(前面側)に直交する平面M1(図4参照)に沿わせることができる。
また、作業プレート151を奥側(薬剤包装装置1の背面側)に倒すことによって、作業プレート151の裏面を手前や上方に向けて露出させることができる。
【0028】
この作業プレート151の両面には、手前側と奥側との中央を示すセンターラインLC(図6参照)が設けられており、このセンターラインLCよりも奥側に、上下一対のクリップCL1が設けられ、センターラインLCよりも手前側にも、上下一対のクリップCL2が設けられる。これらクリップCL1,CL2は、各クリップを作業プレート151に締結する締結部材(本実施形態ではボルトとナット)36を各々支軸にして、作業プレート151の表面に沿って図中Y方向に揺動させることができる。なお、センターラインLCは、蛍光色等の目立つ色のビニールテープを張ったり、印刷したりすることによって設けられる。
図7(A)〜(D)は、ロール交換に伴う包装紙Sの接続作業を示している。
作業者が包装紙Sを接続する場合には、作業プレート151のセンターラインLCよりも奥側の領域である第1部分AR1に、クリップCL1を待避させた状態で使用済みロール41に残る包装紙Sの後端部SA(図7中、二点鎖線で示す)を配置し(図7(A))、該クリップCL1を戻すことによって包装紙Sの後端部SAを仮固定することができる(図7(B))。
【0029】
ここで、図8(A)〜(C)は包装紙Sの仮固定作業を側方から見た図である。図8に示すように、仮固定する場合には、二つ折りされた包装紙Sの後端部SAを断面V字状に開き(図8(A))、その頂点となる折り曲げ部SKを作業プレート151の一側部151Kに当接させ(図8(B))、その状態で、上下一対のクリップCL1により後端部SAを上下から挟む(図8(C))。このように包装紙Sの折り曲げ部SKを作業プレート151の一側部151Kに当接させた状態で仮固定するので、毎回同じ位置に正確に位置決めできる。
なお、図8(C)に示すように、各クリップCL1の先端が作業プレート151に向けて膨出し、この先端によって包装紙Sを押さえることができる。
【0030】
使用済みロール41に残る包装紙Sの仮止め作業が終了すると、図7(C)に示すように、作業プレート151のセンターラインLCよりも手前側の領域である第2部分AR2に、クリップCL2を待避させた状態で新規ロール41の包装紙Sの前端部SB(図7中、二点鎖線で示す)を配置し、該クリップCL2を戻すことにより、該包装紙Sの前端部SBを仮固定することができる(図7(D))。この場合も、図8に示したように、包装紙Sの折り曲げ部SKを作業プレート151の一側部151Kに当接させた状態で仮固定することによって、毎回同じ位置に正確に位置決めできる。これによって、図7(D)に示すように、交換前の包装紙Sの後端部SAと、交換後の包装紙Sの前端部SBとを容易に一直線上に揃えることができる。
次いで、センターラインLCを目印として、センターラインLC上で一方の包装紙Sの端部SA(又はSB)に、他方の包装紙Sの端部SB(又はSA)を被せておき、両面接着タイプの接続テープ(両面テープ)或いは片面接着タイプの接続テープ(片面テープ)を用いて、両包装紙Sを接続する。なお、この接続作業や上記仮止めの際に、作業プレート151を適宜に揺動させて裏面を確認することにより、二つ折りの両方が適切な状態か否かを容易に確認することが可能である。
【0031】
この場合、先に仮止めした使用済みロール41の包装紙Sの後端部SAに、後から仮止めする新規ロール41の包装紙Sの前端部SBを外から被せるようにすれば、重ね作業をスムーズに行うことができるとともに、新規ロール41の包装紙Sの前端部SBが二つ折りの内側に露出しないので、二つ折りの包装紙Sをノズル44近傍で拡げる際等に接続箇所が邪魔にならない、といったメリットが得られる。
なお、これに限らず、上記とは逆に、使用済みロール41の包装紙Sの後端部SAの内側に、新規ロール41の包装紙Sの前端部SBを被せるようにしても良く、この場合、新規ロール41の包装紙Sの前端部SBが二つ折りの外側に露出しないので、搬送ローラに46よる搬送等の際に接続箇所が邪魔にならない、といったメリットが得られる。
【0032】
本実施形態のように、ロール41が交換可能に装着され、このロール41に巻回された包装紙Sにテンションを掛けて包装紙Sを搬送し、薬剤の充填等を行う構成では、包装紙Sの搬送経路が長く、複雑になり易い。そして、本実施形態では、この構成の下、ノズル(薬剤充填部)44側に残る包装紙Sの端部SAを仮固定する第1部分AR1と、新規の包装紙Sの端部SBを仮固定する第2部分AR2とを備える作業プレート151を設け、第1部分AR1と第2部分AR2とに仮固定された各包装紙Sの端部SA、SBを接続可能としたので、簡易な構成で、作業者が両包装紙Sの接続作業を容易に行うことが可能になる。
また、第1部分AR1と第2部分AR2とを一枚のプレートに形成したので、作業がし易く、且つ、構成が簡易である。また、作業プレート151は、下部構造体4の前扉8、8を空けた際に手前に露出する位置に設けられるので、これによっても包装紙Sの接続作業がし易くなる。
【0033】
しかも、本実施形態の作業プレート151は、図4に示すように、包装紙Sを搬送するための第1搬送ローラ53の軸から直交する方向に延びる平面M1に沿うので、交換前の包装紙Sの後端部SAを、第1搬送ローラ53から取り外すことなく、そのまま作業プレート151の第1部分AR1へ容易に移動させることができ、既存の包装紙Sの仮止め作業が容易になる。
また、この第1搬送ローラ53は搬送経路の最上流に設けられた搬送ローラであるため、包装紙Sにテンションを掛ける可動ローラ54等よりも上流に位置し、可動ローラ54を含む搬送ローラ53〜54から包装紙Sを取り外すことなく、包装紙Sの接続作業を行うことができ、包装紙Sを掛け直す作業が不要になる。
【0034】
さらに、この作業プレート151は、下部構造体4の前扉8,8を空けた際に手前に露出する位置に設けられるので、包装紙Sの接続作業が容易になる。また、この作業プレート151は、表面と裏面とを手前に露出可能に揺動自在に設けられるので、包装紙Sを仮固定し易いように作業プレート151の姿勢を調整でき、接続作業をより容易に行うことが可能になる。従って、二つ折りにして巻かれた包装紙Sの接続作業が容易である。
しかも、本実施形態では、包装ユニット18を下部構造体4内に配置した状態で各包装紙Sの端部SA、SBを接続可能な構成である。つまり、図2及び図4に示すように、上方且つ手前に配置された作業プレート151の下方且つ手前にシート供給盤42が配置された構成であるため、包装ユニット18を下部構造体4内から前方に引き出さなくとも、作業者がシート供給盤42から交換前のロール41を取り外して新規のロール41を取り付け、次いで、交換前のロール41側の包装紙Sの端部SAを作業プレート151に仮止めし、その後、新規のロール41の包装紙Sの端部SBを作業プレート151に仮止めし、両包装紙Sを接続することが可能である。これにより、薬剤包装装置1前方の作業スペースが狭い場合にも上記作業が可能である。
なお、包装ユニット18を下部構造体4から前方に引き出した状態で上記作業が可能であることは勿論である。
【0035】
一般に、このようにして包装紙Sを接続した後、接続箇所に薬剤を充填してしまう事態を避ける必要がある。この場合に、包装紙送り用のFEEDボタン等を設け、接続箇所が薬剤充填位置を通過するまで作業者がFEEDボタンを操作しなければならないとすると、その作業が繁雑であり、好ましくない。
そこで、本実施形態では、包装紙Sの接続箇所を検出する検出センサ(検出部)161(図5参照)を設け、この検出センサ161の検出結果に基づいて、接続箇所に薬剤を充填しないように薬剤の充填処理等をスキップさせる接続箇所スキップ処理を行うようにしている。
【0036】
<検出センサ>
図9は検出センサ161の構成を模式的に示す図である。
検出センサ161は、透過型の光センサで構成されており、検出対象である包装紙Sに向けて検査光を出射する発光部162と、包装紙Sを透過した検査光を受光する受光部163とを備え、包装紙Sの接続箇所とそれ以外の場所とで異なる透過光量の違いを検出することによって包装紙Sの接続箇所を検出する。
また、この検出センサ161は、包装紙Sの折り曲げ部SK近傍の透過光量を検出する。折り曲げ部SK近傍の透過光量を検出するのは、上記作業プレート151を用いて包装紙Sを接続する場合、接続テープを折り曲げ部SKを跨いで貼り付けることによって該接続テープの有無を確実に検出できるからである。また、接続テープとは別の目印用テープ(後述する図11に符号TMで示すテープ)を折り曲げ部SKに貼り付け、この目印用テープを検出するようにしても良い。なお、折り曲げ部SKは、作業プレート151の開放側(一側部151K側)に位置するため、折り曲げ部SKへのテープ貼付作業は容易である。
この検出センサ161は、薬剤を充填するノズル44よりも上流側に配置され、より具体的には、プリンタユニット43上流のローラ群53〜55とプリンタユニット43との間に配置されている。
【0037】
図10は、接続箇所スキップ処理を示すフローチャートであり、図11(A)〜(F)は包装紙Sを時系列順で模式的に示す図である。なお、この接続箇所スキップ処理は、制御部120が制御プログラム127Aを実行することによって実施される処理である。
図10に示すように、制御部120は、検出センサ161により所定周期(本実施形態では5ms周期)で包装紙Sの接続箇所か否かを検出し、包装紙Sの接続箇所を検出した場合(ステップS11)、スキップ位置に至るまで(ステップS12:NO)、スキップ位置カウントダウン処理を行う(ステップS13)。
このスキップ位置カウントダウン処理は、包装紙Sの接続箇所が検出されてから、その接続箇所がスキップ開始位置であるプリンタヘッダに至るまでの時間をカウントする処理であり、本実施形態では、その時間が一包分の調剤時間に相当しており、一包分の調剤を行ったか否かを判定する。そして、一包分の調剤を行うと、制御部120は、スキップ位置と判定し(ステップS12:YES)、薬剤の充填処理を含む所定処理をスキップさせるスキップ処理を開始する(ステップS14)。
【0038】
このスキップ処理において、制御部120は、薬剤の調剤に伴う処理のうち、プリンタユニット43による印字処理と、ノズル44による薬剤充填処理とを中断させ、熱シールヘッド45による包装処理と、送りローラ46及びコンベアユニット48による搬送処理とを継続させる。
このように、薬剤充填処理を行わずに包装処理と搬送処理とを行えば、空の分包、つまり、空包が生成される。制御部120は、このスキップ処理を行うことで空包を生成している。また、制御部120は、このスキップ処理の回数をカウントし、このカウント値が予め定めた設定回数(本実施形態では値2)に至ると(ステップS15:YES)、スキップ処理を終了し、調剤開始処理へと移行する。この調剤開始処理により、中断していた印字処理及び薬剤充填処理を再開させ、調剤に伴う全ての処理(印字処理、薬剤充填処理、包装処理、搬送処理等)を実行させることができる。
【0039】
図11には、包装紙Sの接続箇所を符号CNで示し、スキップされずに薬剤が充填された分包を符号INで示し、スキップされて薬剤が充填されていない分包を符号NOTで示している。この図に示すように、本実施形態では、接続箇所CNに空包を形成するとともに、この接続箇所CNの下流に連なる位置にも空包を形成し、且つ、これら2つの空包に対応する領域に印字をしない。このため、接続箇所CNの部分でも他の部分と同じように包装紙Sが熱溶着され、送りローラ46とコンベアユニット48とで同条件で搬送することができる。また、空包に対応する領域に印字をしないので、印字が無いことによって空包であることを外部から視認できる。
【0040】
以上説明したように、本実施の形態では、ノズル(薬剤充填部)44側に残る包装紙Sと新規の包装紙Sとの接続箇所CNを検出する検出センサ(検出部)161を備え、制御部120が、検出センサ161の検出結果に基づいて、接続箇所CNへの薬剤の充填処理をスキップさせるので、作業者が包装紙送り用のFEEDボタンを操作しなければならない従来の構成に比して、この種の操作を不要にでき、シート交換に伴うシートの無駄を低減しつつ作業者の工数削減が可能になる。
また、制御部120は、接続箇所CNがノズル44を通過するときの薬剤の充填処理を複数回(本実施形態では2回)に渡ってスキップさせるので、接続箇所CNを含む領域に薬剤を充填してしまう事態を確実に防止することができる。
なお、本実施形態では、スキップ回数を2回に設定する場合を説明したが、3回以上に設定しても良い。また、接続箇所CNを含む領域に薬剤を充填するのを確実に回避する観点からは、包袋サイズが小さいほどスキップ回数を増やすようにすることが好ましい。この場合、設定された包袋サイズに応じてスキップ回数を自動的に変更するように構成しても良い。また、包袋サイズが大きく、一回のスキップで接続箇所CNを含む領域への薬剤の充填を確実に回避できる場合には、スキップ回数を1回に設定しても良い。
【0041】
また、本実施形態では、制御部120は、接続箇所CNでは薬剤の充填処理をスキップさせる一方で、熱シールヘッド45による包装を継続させて空包を生成するので、接続箇所CNでも包装紙Sを閉じることができ、包装紙Sを確実に搬送し易くすることができる。
さらに、制御部120は、接続箇所CNではプリンタユニット43による印字をスキップさせ、空包に対応する領域への印字を行わないようにしたので、印字が無いことによって空包であることが外部から判りやすく、薬剤が入っていると誤認識してしまう事態を回避することができる。また、検出センサ161は、包装紙Sの上流に設けられたプリンタユニット43の上流に設けられるので、印字処理、薬剤剤充填処理及び包装処理を行う前に確実に接続箇所CNを検出可能である。
さらに、本実施形態では、包装紙Sの接続箇所CNに目印となる目印用テープTM(図11参照)を設け、検出センサ161は、この目印用テープTMの有無を検出するので、包装紙Sの接続箇所CNを確実に検出することができる。
【0042】
上述した実施形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の主旨を逸脱しない範囲で任意に変形及び応用が可能である。例えば、上記実施形態においては、作業プレート151を仕切り板57に設ける場合を説明したが、これに限らず、作業プレート151の位置及び取り付け方法については適宜に変更可能である。例えば、図12に示すように、作業プレート151を第1搬送ローラ53近傍に設けても良い。この図12に示す構成であっても、作業プレート151は、下部構造体4の前扉8,8を空けた際に手前に露出する位置に設けられ、且つ、揺動自在に設けられることによって、第1搬送ローラ53の軸から直交する方向に延びる平面に沿うことが可能であり、包装紙Sの接続作業が容易である。
【0043】
また、上記実施形態では、作業プレート151を第1搬送ローラ53の軸から直交する方向に延びる平面M1に沿わせることによって、包装紙Sの仮止め作業を容易にしたが(図4参照)、これに限らない。例えば、作業プレート151を、シート供給盤42に装着されたロール41の回転軸から直交する方向に延びる平面に沿わせることによっても、包装紙Sの仮止め作業を容易にでき、また、この平面に加えて上記平面M1に作業プレート151を沿わせるようにしても包装紙Sの仮止め作業を容易にできる。即ち、本発明では、包装紙Sの仮止め作業を容易にできる範囲で、作業プレート151を、いずれかの搬送ローラの軸、及び、ロール41の回転軸の少なくともいずれかから直交する方向に延びる平面に沿うように構成すれば良い。
【0044】
また、上記実施形態では、制御部120が印字処理をスキップさせる場合を説明したが、これに限らず、印字処理をスキップさせず、空包に対応する領域が空包である旨(例えば、「空包」という文字)を印字させるようにしても良い。この印字によって空包であることの視認性が向上する。
また、上記実施形態において、スキップ位置カウントダウン処理として、包装紙Sの搬送距離を計測する処理、或いは、包装紙Sの包装回数を計測する処理を適用しても良い。つまり、送りローラ46の回転量等から搬送距離を計測し、この搬送距離が、包装紙Sの接続箇所がスキップ開始位置に至るまでの距離に達したか否かを判定する処理、或いは、包装紙Sの包装回数が、包装紙Sの接続箇所がスキップ開始位置に至るまでの包装回数に達したか否かを判定する処理等を適用可能である。
【符号の説明】
【0045】
1 薬剤包装装置
2 本体(筐体)
8 前扉
18 包装ユニット
42 シート供給盤
43 プリンタユニット(印字部)
44 ノズル(薬剤充填部)
45 熱シールヘッド(包装部)
46 送りローラ(搬送機構)
47 カッター
48 コンベアユニット
53 第1搬送ローラ
54 可動ローラ
55 第2搬送ローラ
120 制御部
151 作業プレート
161 検出センサ(検出部)
S 包装紙(シート)
CN 接続箇所
TM 目印用テープ
【技術分野】
【0001】
本発明は、巻き状のシートが装着され、このシートに薬剤を充填して包装する薬剤包装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
巻き状のシートが装着され、このシートに薬剤を充填して包装する薬剤包装装置が知られている。この装置では、シートが無くなれば、新たなシートに交換する作業が必要になる。
この薬剤包装装置は、限られたスペース内で薬剤の充填や包装等を行うため、搬送経路が長く、複雑になっており、新たなシートに交換する場合に、搬送経路内に残ったシートを全て取り外し、新規シートに完全にセットし直す作業は繁雑である。このシート交換作業を簡略化するため、装置に残るシートの端部と新規のシートの端部とを接続する方法が提案されており、両面テープを用いて手作業で接続するものや、両シートを位置決めし、その間に設けられたセンターステージに粘着テープをセットし、この粘着テープで両テープを接続する構成を具備する構造が提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−23999号公報
【特許文献2】特開2001−72003号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、シートの端部と新規のシートの端部とを両面テープを用いて手作業で接続する方法は、不慣れな者が適切に接続することが困難であり、傾いて接続されたり、接続状態が不十分になったりするおそれがあった。
一方、両シートを位置決めし、その間に設けられたセンターステージに粘着テープをセットする構成は、センターステージを含む各部を動作させる機構を備えるため、部品点数が多く、構造も複雑になり、コスト低減に不利である。
本発明は、上述した事情を鑑みてなされたものであり、簡易な構成で両シートを容易に接続可能とした薬剤包装装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するため、本発明は、巻き状のシートが装着され、このシートにテンションを掛けて該シートを薬剤充填部に送る搬送機構を備える薬剤包装装置において、前記薬剤充填部側に残るシートの端部を仮固定する第1部分と、新規のシートの端部を仮固定する第2部分とを備え、前記第1部分と前記第2部分とに仮固定された各シートの端部を接続可能としたことを特徴とする。
【0006】
上記構成において、前記第1部材と前記第2部分とが一枚のプレートに形成されるようにしても良い。
また、上記構成において、前記搬送機構を収容する筐体が、前記搬送機構を覆う前扉を有し、前記プレートは、前記前扉を開けた際に手前に露出する位置に設けられるようにしても良い。
【0007】
また、上記構成において、前記プレートは、表面と裏面とを手前に露出可能に揺動自在に設けられるようにしても良い。
また、上記構成において、前記プレートは、前記搬送機構の所定の搬送ローラの軸、及び、前記シートを巻いたロールの回転軸の少なくともいずれかから直交する方向に延びる平面に沿うようにしても良い。
また、上記構成において、前記搬送ローラは、前記シートにテンションを掛ける可動ローラよりも上流に位置するようにしても良い。
【0008】
また、上記構成において、前記シートは、二つ折りにして巻かれたシートでも良い。
また、上記構成において、前記搬送機構を含む包装ユニットを前記薬剤包装装置内に配置した状態で、前記各シートの端部を接続可能に構成しても良い。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、薬剤充填部側に残るシートの端部を仮固定する第1部分と、新規のシートの端部を仮固定する第2部分とを備え、前記第1部分と前記第2部分とに仮固定された各シートの端部を接続可能としたので、簡易な構成で、作業者がシートの接続作業を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係る薬剤包装装置の斜視図である。
【図2】薬剤包装装置の内部構造を示す図である。
【図3】包装ユニットを前方右斜め上方から見た斜視図である。
【図4】薬剤包装装置を前方左斜め上方から見た斜視図である。
【図5】薬剤包装装置の機能構成を示すブロック図である。
【図6】作業プレートを周辺構成と共に示す図である。
【図7】(A)〜(D)はロール交換に伴う包装紙の接続作業を示す図である。
【図8】(A)〜(C)は包装紙の仮固定作業を側方から見た図である。
【図9】検出センサの構成を模式的に示す図である。
【図10】接続箇所スキップ処理を示すフローチャートである。
【図11】(A)〜(F)は包装紙を時系列順で模式的に示す図である。
【図12】変形例に係る包装ユニットの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る薬剤包装装置1の斜視図であり、図2はその内部構造を示している。なお、図1には薬剤包装装置1の正面(前面)を符号FRを付して示し、背面を符号BKを付して示し、右側面を符号RPを付して示し、左側面を符号LPを付して示している。
この薬剤包装装置1は、病院や調剤薬局に設置され、処方箋に記載された種類及び数量の薬剤(錠剤、カプセル剤等)をタブレットケース6(図1、図2参照)から一個ずつ排出し、薬剤の重量を利用して自然落下させる通路にあたるシュート15(図2参照)を経てホッパー17(図2参照)により一個所に集め、その後、包装紙(シート)Sで包装するという、錠剤の抽出から包装までの作業がすべて一連の機構の中で為され、全てが自動化されたものである。
図1に示すように、この薬剤包装装置1は、縦長矩形状の本体(筐体)2と、薬剤包装装置1を制御するための後述するパーソナルコンピュータ101とを備えている。本体2は、相互に分離可能な上部構造体3と下部構造体4とを備えており、下部構造体4上に上部構造体3が連結された構造とされている。この上部構造体3は、薬剤を入れた複数のタブレットケース6を収納する薬剤収納部として機能し、上面は着脱可能な天板3Aで覆われている。
【0012】
上部構造体3には、左右4列、上下5段(合わせて20個)の多列多段の引き出しを構成する複数の棚5が設けられ、各棚5は、薬剤包装装置1の前方に引き出し可能に構成されている。各棚5の前端(正面)には扉パネル11がそれぞれ取り付けられており、全ての棚5が上部構造体3内に収納された状態で各扉パネル11が上部構造体3の前面開口を閉塞する。
棚5には、左右二列で複数のタブレットケース6を配置可能な駆動ベース12と、これら左右二列のタブレットケース6間で上下に開放する通路13とが奥行き方向に渡って延在しており、通路13は、上下に並ぶ棚5のタブレットケース6から排出された薬剤を下方へ落下させるシュート15を構成する。本実施形態では左右4列のシュート15が形成されている。
【0013】
下部構造体4は前面及び上面が開放しており、上面において上部構造体3と連通する。この下部構造体4内には、図2に示すように、上記シュート15の下方に設けられる左右一対のシャッター16、16、これらシャッター16、16の下方に設けられる単一のホッパー17、ホッパー17の下方に設けられる包装ユニット18等が収納設置され、前面の開口は観音開き式の前扉8、8(図1参照)によって開閉自在に構成されている。
正面左側の前扉8には、取出口21が形成されている。この取出口21は、所定種類、数量の薬剤が充填された分包を取り出すために設けられたものであり、薬剤が充填された分包は取出口21に排出される。
【0014】
図2に示すように、左右のシャッター16、16は、上面が広く開口し、下端に向けて窄まった矩形漏斗形状を有し、後述するシャッターソレノイド123によって開閉し、各シュート15からホッパー17に落下する薬剤を一時受け止める。これらシャッター16、16間には、追加薬剤フィーダ(UTC)23が前方に引き出し自在に設けられており、この追加薬剤フィーダ23は、追加の薬剤を任意に供給するためのフィーダであり、このフィーダ23はホッパー17内に連通している。
ホッパー17は、上面が広く開口し、下端に向けて窄まった矩形漏斗形状を有しており、各シュート15及び追加薬剤フィーダ23から落下して薬剤を受け止め、ホッパー17下方のノズル44に供給する。
【0015】
包装ユニット18は、下部構造体4内の底面左右に取り付けられた左右一対の引出レール31、31に着脱可能にネジ止めされている。これにより、包装ユニット18は、前扉8、8を開放した状態で、下部構造体4内から前方に引出自在とされ、更に、引き出した状態で当該引出レール31、31に着脱可能とされている。
図3は、包装ユニット18を前方右斜め上方から見た斜視図であり、図4は、薬剤包装装置1を前方左斜め上方から見た斜視図である。なお、図3中、符号Fで示す矢印は、包装ユニット18を薬剤包装装置1の前面側に引き出す際の引き出し方向を示しており、符号19は、包装ユニット18の引き出しに使用する取っ手を示している。
【0016】
図3及び図4に示すように、包装ユニット18は、熱溶着可能な包装紙Sが巻回されるロール41が着脱可能に装着されるシート供給盤42と、包装紙Sに文字やバーコード等の図形を印字する印字部として機能するプリンタユニット43と、薬剤を包装紙Sに充填する薬剤充填部として機能するノズル44と、薬剤が充填された包装紙Sを熱溶着で閉じる包装部として機能する熱シールヘッド45と、ロール41から引き出された包装紙Sを搬送する搬送機構を構成する送りローラ46と、包装紙Sを切断するカッター47と、薬剤が包装された包装紙S(分包)を取出口21に搬送するコンベアユニット48とを備えており、包装紙Sの搬送経路に沿って、上流側からシート供給盤42、プリンタユニット43、ノズル44、熱シールヘッド45、送りローラ46、カッター47、コンベアユニット48の順で配設されている。なお、図4では、ロール41をシート供給盤42から取り外した状態を示している。
【0017】
包装ユニット18は、下部構造体4内の底面左右中央から上方に立設する箱体51を備えており、箱体51内には、包装ユニット18の外観に露出しない部品(熱シールヘッド45用の駆動モータや後述する可動ローラ54の駆動機構等)が配置され、この箱体51の左右、上方及び後方のスペースを利用して、包装ユニット18の外観に露出する部材が配置されている。
より具体的には、箱体51の左側方には、図4に示すように、シート供給盤42と、シート供給盤42のロール41から右斜め上方に引き出された包装紙Sを最先にガイドして下方向きに折り返す第1搬送ローラ53と、この第1搬送ローラ53の下流で包装紙Sにテンションを掛ける可動ローラ54と、この可動ローラ54の下流で包装紙Sをガイドし、且つ、包装紙Sの向きをプリンタユニット43の入口に折り返す第2搬送ローラ55とが配設されており、これらによって、包装紙Sにテンションを掛けてプリンタユニット43に搬送する搬送経路が形成されている。
【0018】
第1搬送ローラ53は、シート供給盤42に装着されたロール41よりも上方に固定されており、ロール41の交換時、ロール41から引き出した包装紙Sを作業者(ユーザー)が容易に巻回することが可能である。また、第1搬送ローラ53、可動ローラ54、及び、シート供給盤42に装着されるロール41の回転軸は平行であり、これらは略水平に近い傾斜で左斜め上方に延びており、一方、第2搬送ローラ55は平行ではない。なお、第1搬送ローラ53、可動ローラ54、及び、シート供給盤42に装着されたロール41の回転軸は、互いに平行で、且つ、箱体51の左側方スペースに配置可能な範囲であれば、適宜に変更しても良く、第2搬送ローラ55の位置も適宜に変更が可能である。
【0019】
図3に示すように、箱体51の上面は、右下方に傾斜する傾斜面に形成されてプリンタユニット43が配置され、包装紙Sはプリンタユニット43を通って右下方に向けて搬送される。プリンタユニット43の右下方には、ノズル44の下端、熱シールヘッド45、送りローラ46及びカッター47が順に配置され、カッター47の右側にコンベアユニット48の上流端48Aが位置する。コンベアユニット48は、箱体51の後方を左斜め上方に延びた後、箱体51の左後方で前方に屈曲して前方に延び、前扉8の取出口21(図1参照)に連通する位置に後端48Bが設けられている。
【0020】
次に薬剤包装装置1の基本的な動作を説明する。
ロール41は、長尺の包装紙Sを予め二つ折り(半折り)して巻回したロールであり、このロール41の軸を、水平面に対して右下がりに斜めにした姿勢でシート供給盤42に装着される(図2参照)。包装紙Sは、送りローラ46によって搬送されることにより、第1搬送ローラ53、可動ローラ54及び第2搬送ローラ55を順に経由してプリンタユニット43に搬送され、プリンタユニット43によりその表面に印字され、本実施形態では、0、1、2、3・・・、といったように数字が昇順で印字される。
次に、包装紙Sは、二つ折りの開放する側が拡げられることによって断面V字状とされ、ノズル44から排出された薬剤が開放側から充填され、両側から熱シールヘッド45で挟まれて熱溶着され、予め指定された包装サイズで一包毎に区画した状態で閉じられる。その後、包装紙Sはカッター47で適宜の長さに切断され、コンベアユニット48で搬送されることによって取出口21(図1参照)に排出される。これにより、所望の種類、数量の薬剤が充填された分包が一包毎に作成される。
【0021】
図5は、薬剤包装装置1の機能構成を示すブロック図である。
制御部120は、薬剤包装装置1の各部を中枢的に制御するものであり、演算実行手段としてのCPU(Central Processing Unit)や、このCPUに実行される基本制御プログラムや、この基本制御プログラムに係るデータ等を不揮発的に記憶するROM(Read Only Memory)、CPUに実行されるプログラムやこのプログラムに係るデータ等を一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)や、その他の周辺回路等を備えている。また、制御部120は、図示せぬ発振器が生成した基準クロックに基づいて各種計時動作、及び、現在時刻の計時を実行する。
この制御部120には、包装ユニット18と、インタフェース部121と、剤検出センサ122と、シャッターソレノイド123と、モータドライバ124と、表示部125と、入力部126と、記憶部127とが接続されている。
【0022】
包装ユニット18は、制御部120の制御の下、上述したように、所定の薬剤が充填された分包を作成するとともに、作成した分包をコンベアユニット48によって取出口21へ搬送する。
インタフェース部121は、信号通信ケーブル等を介してパーソナルコンピュータ101に接続され、制御部120の制御の下、パーソナルコンピュータ101との間で各種信号を送受信する。この構成により、パーソナルコンピュータ101と薬剤包装装置1との間で各種データを送受信できるとともに、作業者(ユーザー)は、パーソナルコンピュータ101を介して薬剤包装装置1に対して各種指示を行うことができる。
【0023】
剤検出センサ122は、タブレットケース6から排出された薬剤を検出し、検出値を制御部120に出力する。制御部120は、剤検出センサ122から入力された検出値に基づいて、タブレットケース6から排出された薬剤の個数をカウントする。シャッターソレノイド123は、制御部120の制御の下、シャッター16、16を作動する。モータドライバ124は、包装ユニット18が具備する各種モータに接続され、制御部120の制御の下、これらモータに駆動電流を供給し、これらモータを駆動制御する。
【0024】
表示部125は、制御部120の制御の下、各種情報を表示する。入力部126は、作業者の入力操作を受け付け、制御部120に出力する。記憶部127は、EEPROMやフラッシュメモリにより構成され、制御部120の制御の下、書き換え可能に各種データを記憶する。記憶部127には、制御部120が実行する制御プログラム127A等が記憶される。
【0025】
ところで、本実施形態では、ロール41を交換する場合、包装ユニット18を引出レール31、31を介して手前に引き出し、包装ユニット18側に残る包装紙Sと新規のロール41の包装紙Sとをテープで接続する作業を行う。この接続作業を行う方法では、使用済みの包装紙Sを完全に取り外す必要や、新規の包装紙Sを複雑な搬送経路にセットする必要がなく、且つ、使用済み包装紙Sを最大限使用して資源の無駄を回避できるというメリットがあるものの、接続作業自体が煩雑になり易い。
そこで、本実施形態では、接続作業を行うための作業台となる作業プレート151を備えている。
【0026】
<作業プレートについて>
図3に示すように、作業プレート151は、下部構造体4の前扉8,8を空けた際に手前に露出する位置に設けられており、より具体的には、包装ユニット18には、箱体51上方を左右に仕切る仕切り板57が設けられ、この仕切り板57の上部且つ正面側に、作業プレート151が取り付けられている。なお、この仕切り板57は、プリンタユニット43上流のローラ群53〜55とプリンタユニット43との間を仕切っている。
【0027】
図6は作業プレート151を周辺構成と共に示している。
図6に示すように、作業プレート151は、一枚の矩形平板状の金属プレートを有し、その一端角部がステー152を介して仕切り板57に締結部材(本実施形態ではボルトとナット)35で取り付けられ、この締結部材35を支軸にして、図6中X方向に揺動自在であり、手前側(薬剤包装装置1の前面側)と奥側(薬剤包装装置1の背面側)とに傾けることができる。
この締結部材35は、ロール41から引き出された包装紙Sを最先にガイドする第1搬送ローラ53の軸と平行であり、作業プレート151を手前側に倒した場合、図4に示すように、作業プレート151を、第1搬送ローラ53の軸から手前(前面側)に直交する平面M1(図4参照)に沿わせることができる。
また、作業プレート151を奥側(薬剤包装装置1の背面側)に倒すことによって、作業プレート151の裏面を手前や上方に向けて露出させることができる。
【0028】
この作業プレート151の両面には、手前側と奥側との中央を示すセンターラインLC(図6参照)が設けられており、このセンターラインLCよりも奥側に、上下一対のクリップCL1が設けられ、センターラインLCよりも手前側にも、上下一対のクリップCL2が設けられる。これらクリップCL1,CL2は、各クリップを作業プレート151に締結する締結部材(本実施形態ではボルトとナット)36を各々支軸にして、作業プレート151の表面に沿って図中Y方向に揺動させることができる。なお、センターラインLCは、蛍光色等の目立つ色のビニールテープを張ったり、印刷したりすることによって設けられる。
図7(A)〜(D)は、ロール交換に伴う包装紙Sの接続作業を示している。
作業者が包装紙Sを接続する場合には、作業プレート151のセンターラインLCよりも奥側の領域である第1部分AR1に、クリップCL1を待避させた状態で使用済みロール41に残る包装紙Sの後端部SA(図7中、二点鎖線で示す)を配置し(図7(A))、該クリップCL1を戻すことによって包装紙Sの後端部SAを仮固定することができる(図7(B))。
【0029】
ここで、図8(A)〜(C)は包装紙Sの仮固定作業を側方から見た図である。図8に示すように、仮固定する場合には、二つ折りされた包装紙Sの後端部SAを断面V字状に開き(図8(A))、その頂点となる折り曲げ部SKを作業プレート151の一側部151Kに当接させ(図8(B))、その状態で、上下一対のクリップCL1により後端部SAを上下から挟む(図8(C))。このように包装紙Sの折り曲げ部SKを作業プレート151の一側部151Kに当接させた状態で仮固定するので、毎回同じ位置に正確に位置決めできる。
なお、図8(C)に示すように、各クリップCL1の先端が作業プレート151に向けて膨出し、この先端によって包装紙Sを押さえることができる。
【0030】
使用済みロール41に残る包装紙Sの仮止め作業が終了すると、図7(C)に示すように、作業プレート151のセンターラインLCよりも手前側の領域である第2部分AR2に、クリップCL2を待避させた状態で新規ロール41の包装紙Sの前端部SB(図7中、二点鎖線で示す)を配置し、該クリップCL2を戻すことにより、該包装紙Sの前端部SBを仮固定することができる(図7(D))。この場合も、図8に示したように、包装紙Sの折り曲げ部SKを作業プレート151の一側部151Kに当接させた状態で仮固定することによって、毎回同じ位置に正確に位置決めできる。これによって、図7(D)に示すように、交換前の包装紙Sの後端部SAと、交換後の包装紙Sの前端部SBとを容易に一直線上に揃えることができる。
次いで、センターラインLCを目印として、センターラインLC上で一方の包装紙Sの端部SA(又はSB)に、他方の包装紙Sの端部SB(又はSA)を被せておき、両面接着タイプの接続テープ(両面テープ)或いは片面接着タイプの接続テープ(片面テープ)を用いて、両包装紙Sを接続する。なお、この接続作業や上記仮止めの際に、作業プレート151を適宜に揺動させて裏面を確認することにより、二つ折りの両方が適切な状態か否かを容易に確認することが可能である。
【0031】
この場合、先に仮止めした使用済みロール41の包装紙Sの後端部SAに、後から仮止めする新規ロール41の包装紙Sの前端部SBを外から被せるようにすれば、重ね作業をスムーズに行うことができるとともに、新規ロール41の包装紙Sの前端部SBが二つ折りの内側に露出しないので、二つ折りの包装紙Sをノズル44近傍で拡げる際等に接続箇所が邪魔にならない、といったメリットが得られる。
なお、これに限らず、上記とは逆に、使用済みロール41の包装紙Sの後端部SAの内側に、新規ロール41の包装紙Sの前端部SBを被せるようにしても良く、この場合、新規ロール41の包装紙Sの前端部SBが二つ折りの外側に露出しないので、搬送ローラに46よる搬送等の際に接続箇所が邪魔にならない、といったメリットが得られる。
【0032】
本実施形態のように、ロール41が交換可能に装着され、このロール41に巻回された包装紙Sにテンションを掛けて包装紙Sを搬送し、薬剤の充填等を行う構成では、包装紙Sの搬送経路が長く、複雑になり易い。そして、本実施形態では、この構成の下、ノズル(薬剤充填部)44側に残る包装紙Sの端部SAを仮固定する第1部分AR1と、新規の包装紙Sの端部SBを仮固定する第2部分AR2とを備える作業プレート151を設け、第1部分AR1と第2部分AR2とに仮固定された各包装紙Sの端部SA、SBを接続可能としたので、簡易な構成で、作業者が両包装紙Sの接続作業を容易に行うことが可能になる。
また、第1部分AR1と第2部分AR2とを一枚のプレートに形成したので、作業がし易く、且つ、構成が簡易である。また、作業プレート151は、下部構造体4の前扉8、8を空けた際に手前に露出する位置に設けられるので、これによっても包装紙Sの接続作業がし易くなる。
【0033】
しかも、本実施形態の作業プレート151は、図4に示すように、包装紙Sを搬送するための第1搬送ローラ53の軸から直交する方向に延びる平面M1に沿うので、交換前の包装紙Sの後端部SAを、第1搬送ローラ53から取り外すことなく、そのまま作業プレート151の第1部分AR1へ容易に移動させることができ、既存の包装紙Sの仮止め作業が容易になる。
また、この第1搬送ローラ53は搬送経路の最上流に設けられた搬送ローラであるため、包装紙Sにテンションを掛ける可動ローラ54等よりも上流に位置し、可動ローラ54を含む搬送ローラ53〜54から包装紙Sを取り外すことなく、包装紙Sの接続作業を行うことができ、包装紙Sを掛け直す作業が不要になる。
【0034】
さらに、この作業プレート151は、下部構造体4の前扉8,8を空けた際に手前に露出する位置に設けられるので、包装紙Sの接続作業が容易になる。また、この作業プレート151は、表面と裏面とを手前に露出可能に揺動自在に設けられるので、包装紙Sを仮固定し易いように作業プレート151の姿勢を調整でき、接続作業をより容易に行うことが可能になる。従って、二つ折りにして巻かれた包装紙Sの接続作業が容易である。
しかも、本実施形態では、包装ユニット18を下部構造体4内に配置した状態で各包装紙Sの端部SA、SBを接続可能な構成である。つまり、図2及び図4に示すように、上方且つ手前に配置された作業プレート151の下方且つ手前にシート供給盤42が配置された構成であるため、包装ユニット18を下部構造体4内から前方に引き出さなくとも、作業者がシート供給盤42から交換前のロール41を取り外して新規のロール41を取り付け、次いで、交換前のロール41側の包装紙Sの端部SAを作業プレート151に仮止めし、その後、新規のロール41の包装紙Sの端部SBを作業プレート151に仮止めし、両包装紙Sを接続することが可能である。これにより、薬剤包装装置1前方の作業スペースが狭い場合にも上記作業が可能である。
なお、包装ユニット18を下部構造体4から前方に引き出した状態で上記作業が可能であることは勿論である。
【0035】
一般に、このようにして包装紙Sを接続した後、接続箇所に薬剤を充填してしまう事態を避ける必要がある。この場合に、包装紙送り用のFEEDボタン等を設け、接続箇所が薬剤充填位置を通過するまで作業者がFEEDボタンを操作しなければならないとすると、その作業が繁雑であり、好ましくない。
そこで、本実施形態では、包装紙Sの接続箇所を検出する検出センサ(検出部)161(図5参照)を設け、この検出センサ161の検出結果に基づいて、接続箇所に薬剤を充填しないように薬剤の充填処理等をスキップさせる接続箇所スキップ処理を行うようにしている。
【0036】
<検出センサ>
図9は検出センサ161の構成を模式的に示す図である。
検出センサ161は、透過型の光センサで構成されており、検出対象である包装紙Sに向けて検査光を出射する発光部162と、包装紙Sを透過した検査光を受光する受光部163とを備え、包装紙Sの接続箇所とそれ以外の場所とで異なる透過光量の違いを検出することによって包装紙Sの接続箇所を検出する。
また、この検出センサ161は、包装紙Sの折り曲げ部SK近傍の透過光量を検出する。折り曲げ部SK近傍の透過光量を検出するのは、上記作業プレート151を用いて包装紙Sを接続する場合、接続テープを折り曲げ部SKを跨いで貼り付けることによって該接続テープの有無を確実に検出できるからである。また、接続テープとは別の目印用テープ(後述する図11に符号TMで示すテープ)を折り曲げ部SKに貼り付け、この目印用テープを検出するようにしても良い。なお、折り曲げ部SKは、作業プレート151の開放側(一側部151K側)に位置するため、折り曲げ部SKへのテープ貼付作業は容易である。
この検出センサ161は、薬剤を充填するノズル44よりも上流側に配置され、より具体的には、プリンタユニット43上流のローラ群53〜55とプリンタユニット43との間に配置されている。
【0037】
図10は、接続箇所スキップ処理を示すフローチャートであり、図11(A)〜(F)は包装紙Sを時系列順で模式的に示す図である。なお、この接続箇所スキップ処理は、制御部120が制御プログラム127Aを実行することによって実施される処理である。
図10に示すように、制御部120は、検出センサ161により所定周期(本実施形態では5ms周期)で包装紙Sの接続箇所か否かを検出し、包装紙Sの接続箇所を検出した場合(ステップS11)、スキップ位置に至るまで(ステップS12:NO)、スキップ位置カウントダウン処理を行う(ステップS13)。
このスキップ位置カウントダウン処理は、包装紙Sの接続箇所が検出されてから、その接続箇所がスキップ開始位置であるプリンタヘッダに至るまでの時間をカウントする処理であり、本実施形態では、その時間が一包分の調剤時間に相当しており、一包分の調剤を行ったか否かを判定する。そして、一包分の調剤を行うと、制御部120は、スキップ位置と判定し(ステップS12:YES)、薬剤の充填処理を含む所定処理をスキップさせるスキップ処理を開始する(ステップS14)。
【0038】
このスキップ処理において、制御部120は、薬剤の調剤に伴う処理のうち、プリンタユニット43による印字処理と、ノズル44による薬剤充填処理とを中断させ、熱シールヘッド45による包装処理と、送りローラ46及びコンベアユニット48による搬送処理とを継続させる。
このように、薬剤充填処理を行わずに包装処理と搬送処理とを行えば、空の分包、つまり、空包が生成される。制御部120は、このスキップ処理を行うことで空包を生成している。また、制御部120は、このスキップ処理の回数をカウントし、このカウント値が予め定めた設定回数(本実施形態では値2)に至ると(ステップS15:YES)、スキップ処理を終了し、調剤開始処理へと移行する。この調剤開始処理により、中断していた印字処理及び薬剤充填処理を再開させ、調剤に伴う全ての処理(印字処理、薬剤充填処理、包装処理、搬送処理等)を実行させることができる。
【0039】
図11には、包装紙Sの接続箇所を符号CNで示し、スキップされずに薬剤が充填された分包を符号INで示し、スキップされて薬剤が充填されていない分包を符号NOTで示している。この図に示すように、本実施形態では、接続箇所CNに空包を形成するとともに、この接続箇所CNの下流に連なる位置にも空包を形成し、且つ、これら2つの空包に対応する領域に印字をしない。このため、接続箇所CNの部分でも他の部分と同じように包装紙Sが熱溶着され、送りローラ46とコンベアユニット48とで同条件で搬送することができる。また、空包に対応する領域に印字をしないので、印字が無いことによって空包であることを外部から視認できる。
【0040】
以上説明したように、本実施の形態では、ノズル(薬剤充填部)44側に残る包装紙Sと新規の包装紙Sとの接続箇所CNを検出する検出センサ(検出部)161を備え、制御部120が、検出センサ161の検出結果に基づいて、接続箇所CNへの薬剤の充填処理をスキップさせるので、作業者が包装紙送り用のFEEDボタンを操作しなければならない従来の構成に比して、この種の操作を不要にでき、シート交換に伴うシートの無駄を低減しつつ作業者の工数削減が可能になる。
また、制御部120は、接続箇所CNがノズル44を通過するときの薬剤の充填処理を複数回(本実施形態では2回)に渡ってスキップさせるので、接続箇所CNを含む領域に薬剤を充填してしまう事態を確実に防止することができる。
なお、本実施形態では、スキップ回数を2回に設定する場合を説明したが、3回以上に設定しても良い。また、接続箇所CNを含む領域に薬剤を充填するのを確実に回避する観点からは、包袋サイズが小さいほどスキップ回数を増やすようにすることが好ましい。この場合、設定された包袋サイズに応じてスキップ回数を自動的に変更するように構成しても良い。また、包袋サイズが大きく、一回のスキップで接続箇所CNを含む領域への薬剤の充填を確実に回避できる場合には、スキップ回数を1回に設定しても良い。
【0041】
また、本実施形態では、制御部120は、接続箇所CNでは薬剤の充填処理をスキップさせる一方で、熱シールヘッド45による包装を継続させて空包を生成するので、接続箇所CNでも包装紙Sを閉じることができ、包装紙Sを確実に搬送し易くすることができる。
さらに、制御部120は、接続箇所CNではプリンタユニット43による印字をスキップさせ、空包に対応する領域への印字を行わないようにしたので、印字が無いことによって空包であることが外部から判りやすく、薬剤が入っていると誤認識してしまう事態を回避することができる。また、検出センサ161は、包装紙Sの上流に設けられたプリンタユニット43の上流に設けられるので、印字処理、薬剤剤充填処理及び包装処理を行う前に確実に接続箇所CNを検出可能である。
さらに、本実施形態では、包装紙Sの接続箇所CNに目印となる目印用テープTM(図11参照)を設け、検出センサ161は、この目印用テープTMの有無を検出するので、包装紙Sの接続箇所CNを確実に検出することができる。
【0042】
上述した実施形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の主旨を逸脱しない範囲で任意に変形及び応用が可能である。例えば、上記実施形態においては、作業プレート151を仕切り板57に設ける場合を説明したが、これに限らず、作業プレート151の位置及び取り付け方法については適宜に変更可能である。例えば、図12に示すように、作業プレート151を第1搬送ローラ53近傍に設けても良い。この図12に示す構成であっても、作業プレート151は、下部構造体4の前扉8,8を空けた際に手前に露出する位置に設けられ、且つ、揺動自在に設けられることによって、第1搬送ローラ53の軸から直交する方向に延びる平面に沿うことが可能であり、包装紙Sの接続作業が容易である。
【0043】
また、上記実施形態では、作業プレート151を第1搬送ローラ53の軸から直交する方向に延びる平面M1に沿わせることによって、包装紙Sの仮止め作業を容易にしたが(図4参照)、これに限らない。例えば、作業プレート151を、シート供給盤42に装着されたロール41の回転軸から直交する方向に延びる平面に沿わせることによっても、包装紙Sの仮止め作業を容易にでき、また、この平面に加えて上記平面M1に作業プレート151を沿わせるようにしても包装紙Sの仮止め作業を容易にできる。即ち、本発明では、包装紙Sの仮止め作業を容易にできる範囲で、作業プレート151を、いずれかの搬送ローラの軸、及び、ロール41の回転軸の少なくともいずれかから直交する方向に延びる平面に沿うように構成すれば良い。
【0044】
また、上記実施形態では、制御部120が印字処理をスキップさせる場合を説明したが、これに限らず、印字処理をスキップさせず、空包に対応する領域が空包である旨(例えば、「空包」という文字)を印字させるようにしても良い。この印字によって空包であることの視認性が向上する。
また、上記実施形態において、スキップ位置カウントダウン処理として、包装紙Sの搬送距離を計測する処理、或いは、包装紙Sの包装回数を計測する処理を適用しても良い。つまり、送りローラ46の回転量等から搬送距離を計測し、この搬送距離が、包装紙Sの接続箇所がスキップ開始位置に至るまでの距離に達したか否かを判定する処理、或いは、包装紙Sの包装回数が、包装紙Sの接続箇所がスキップ開始位置に至るまでの包装回数に達したか否かを判定する処理等を適用可能である。
【符号の説明】
【0045】
1 薬剤包装装置
2 本体(筐体)
8 前扉
18 包装ユニット
42 シート供給盤
43 プリンタユニット(印字部)
44 ノズル(薬剤充填部)
45 熱シールヘッド(包装部)
46 送りローラ(搬送機構)
47 カッター
48 コンベアユニット
53 第1搬送ローラ
54 可動ローラ
55 第2搬送ローラ
120 制御部
151 作業プレート
161 検出センサ(検出部)
S 包装紙(シート)
CN 接続箇所
TM 目印用テープ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻き状のシートが装着され、このシートにテンションを掛けて該シートを薬剤充填部に送る搬送機構を備える薬剤包装装置において、
前記薬剤充填部側に残るシートの端部を仮固定する第1部分と、
新規のシートの端部を仮固定する第2部分とを備え、
前記第1部分と前記第2部分とに仮固定された各シートの端部を接続可能としたことを特徴とする薬剤包装装置。
【請求項2】
前記第1部材と前記第2部分とが一枚のプレートに形成されていることを特徴とする請求項1に記載の薬剤包装装置。
【請求項3】
前記搬送機構を収容する筐体が、前記搬送機構を覆う前扉を有し、
前記プレートは、前記前扉を開けた際に手前に露出する位置に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の薬剤包装装置。
【請求項4】
前記プレートは、表面と裏面とを手前に露出可能に揺動自在に設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の薬剤包装装置。
【請求項5】
前記プレートは、前記搬送機構の所定の搬送ローラの軸、及び、前記シートを巻いたロールの回転軸の少なくともいずれかから直交する方向に延びる平面に沿うことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の薬剤包装装置。
【請求項6】
前記搬送ローラは、前記シートにテンションを掛ける可動ローラよりも上流に位置することを特徴とする請求項5に記載の薬剤包装装置。
【請求項7】
前記シートは、二つ折りにして巻かれたシートであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の薬剤包装装置。
【請求項8】
前記搬送機構を含む包装ユニットを前記薬剤包装装置内に配置した状態で、前記各シートの端部を接続可能に構成したことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の薬剤包装装置。
【請求項1】
巻き状のシートが装着され、このシートにテンションを掛けて該シートを薬剤充填部に送る搬送機構を備える薬剤包装装置において、
前記薬剤充填部側に残るシートの端部を仮固定する第1部分と、
新規のシートの端部を仮固定する第2部分とを備え、
前記第1部分と前記第2部分とに仮固定された各シートの端部を接続可能としたことを特徴とする薬剤包装装置。
【請求項2】
前記第1部材と前記第2部分とが一枚のプレートに形成されていることを特徴とする請求項1に記載の薬剤包装装置。
【請求項3】
前記搬送機構を収容する筐体が、前記搬送機構を覆う前扉を有し、
前記プレートは、前記前扉を開けた際に手前に露出する位置に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の薬剤包装装置。
【請求項4】
前記プレートは、表面と裏面とを手前に露出可能に揺動自在に設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の薬剤包装装置。
【請求項5】
前記プレートは、前記搬送機構の所定の搬送ローラの軸、及び、前記シートを巻いたロールの回転軸の少なくともいずれかから直交する方向に延びる平面に沿うことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の薬剤包装装置。
【請求項6】
前記搬送ローラは、前記シートにテンションを掛ける可動ローラよりも上流に位置することを特徴とする請求項5に記載の薬剤包装装置。
【請求項7】
前記シートは、二つ折りにして巻かれたシートであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の薬剤包装装置。
【請求項8】
前記搬送機構を含む包装ユニットを前記薬剤包装装置内に配置した状態で、前記各シートの端部を接続可能に構成したことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の薬剤包装装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−14336(P2013−14336A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−146415(P2011−146415)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(592031097)パナソニックヘルスケア株式会社 (28)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(592031097)パナソニックヘルスケア株式会社 (28)
【Fターム(参考)】
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