説明

薬剤収容容器

【課題】使用時での不具合を解消しつつ、製造工程の簡素化を図ることができる薬剤収容容器を提供する。
【解決手段】詰替容器の容器本体71の底面72に第1仕切壁81及び第2仕切壁82を立設し、短辺側の周壁73と第1仕切壁81間に第1収容空間83を形成する。第1仕切壁81と第2仕切壁82間に第2収容空間84を形成し、第2仕切壁82と短辺側の周壁73間に第3収容空間85を形成する。第1仕切壁81の左端部に第1幅広欠損部91を設定し、第1仕切壁81左端と周壁73間に薬剤70を通過させる為の第1幅広連通路92を形成する。第2仕切壁82の左端部に第2幅広欠損部95を設定し、第2仕切壁82左端と周壁73間に薬剤70を通過させる為の第2幅広連通路を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、芳香剤等の薬剤を収容する薬剤収容容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、薬剤としてのゲル状芳香剤を収容した薬剤収容容器が知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
この薬剤収容容器は、矩形状に形成されており、底面には、縦方向及び横方向に延在する仕切が設けられている。
【0004】
これにより、容器体内部は、九つの部屋に分割されており、当該薬剤収容容器を、揮散口を側方に向けた状態で立てて使用する場合であっても、薬剤収容容器に収容されたゲル状芳香剤の偏りを防止できるように構成されている。
【特許文献1】実開昭58−14803号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような従来の薬剤収容容器にあっては、製造時において容器体に形成された九つの部屋のそれぞれに薬剤を充填しなければならず、工程数が増加するという問題があった。
【0006】
本発明は、このような従来の課題に鑑みてなされたものであり、使用時での不具合を解消しつつ、製造工程の簡素化を図ることができる薬剤収容容器を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために本発明の請求項1の薬剤収容容器にあっては、薬剤を収容する容器本体の底面に仕切が立設され、内部が区画された薬剤収容容器において、前記仕切に欠損部を設け、当該仕切の一方側の空間と他方側の空間とを連通するとともに前記薬剤を通過させる為の連通路を形成した。
【0008】
すなわち、この薬剤収容容器を立てて使用する場合、容器本体内に収容された薬剤が偏ることがある。
【0009】
ここで、前記容器本体の底面には、仕切が立設されており、内部が区画されている。このため、前記仕切を境として上側に収容された薬剤は、当該仕切上に積載されることによって上方の空間に保持される。
【0010】
一方、前記容器本体に薬剤を充填する製造時においては、前記仕切を境とする一方側の空間に薬剤を充填する。このとき、前記仕切には欠損部が設けられており、当該仕切の一方側の空間と他方側の空間とを連通するとともに前記薬剤を通過させる為の連通路が形成されている。
【0011】
このため、前記仕切を境とした一方側の空間に充満した薬剤は、前記連通路を介して他方側の空間に充填される。
【0012】
また、請求項2の薬剤収容容器においては、前記容器本体は、上面開口部が側方に向けて開口するように立てて使用される。
【0013】
これにより、薬剤の揮散方向が定められる。
【0014】
そして、本発明の請求項3の薬剤収容容器にあっては、薬剤を収容するとともに上面開口部が側方に向けて開口するように立てて使用される容器本体からなり、該容器本体を立てて使用する際に上下に配置される複数の仕切が当該容器本体の底面に立設され、内部が区画された薬剤収容容器であって、前記各仕切に欠損部を設け、各仕切により区画された空間を連通するとともに前記薬剤を通過させる為の連通路を形成し、隣接した連通路が上下方向に連通しないように異なる位置に設定した。
【0015】
すなわち、容器本体内に収容された薬剤は、各仕切によって区画された各空間に分配される。このため、この薬剤収容容器を立てて使用する際には、収容された薬剤は、各仕切上に積載された状態で、各空間に保持される。
【0016】
このとき、隣接した連通路は、上下方向に連通しないように異なる位置に設定されており、当該薬剤容器を立てて使用した状態において、上方の連通路より落下した薬剤は、下方の仕切部上に積載される。
【0017】
一方、前記容器本体に薬剤を充填する製造時において、充填された薬剤は、前記仕切で区画された空間を連通する連通路を介して、各空間に充填される。
【0018】
また、請求項4の薬剤収容容器においては、前記仕切の一端部に前記欠損部を設定し、前記仕切の一端と前記容器本体の周壁との間に前記連通路を形成した。
【0019】
すなわち、仕切の一端側に薬剤が通過する連通路が形成されるため、仕切の中央部に連通路が設けられた場合と比較して、当該連通路を介して落下する薬剤の落下量が抑えられる。
【0020】
さらに、請求項5の薬剤収容容器では、前記仕切を、平行して配置された離間する第1仕切部と第2仕切部とで構成し、前記第1仕切部と前記周壁との間に位置する第1収容空間と、前記第1仕切部と前記第2仕切部との間に位置する第2収容空間と、該第2仕切部と前記周壁との間に位置する第3収容空間とを形成する一方、前記第1仕切部の一端部に前記第1欠損部を設定して前記第1仕切部の一端と前記周壁との間に前記第1連通路を形成するとともに、前記第2仕切部の他端部に前記第2欠損部を設定して前記第2仕切部の他端と前記周壁との間に前記第2連通路を形成した。
【0021】
すなわち、容器本体内に収容された薬剤は、第1〜3収容空間の三カ所に分配される。
【0022】
このとき、第1仕切部の一端と容器本体の周壁との間に第1連通路が形成されるとともに、第2仕切部の他端と前記周壁との間に第2連通路が形成されている。このため、当該薬剤容器を立てて使用した状態において、前記第1連通路より落下した薬剤は、前記第2仕切部上に積載される。
【0023】
一方、前記容器本体に薬剤を充填する際には、第2収容空間に薬剤を充填する。すると、第2収容空間に充満した薬剤は、前記第1連通路を介して第1収容空間に充填されるとともに、前記第2連通路を介して第3収容空間に充填される。
【0024】
加えて、請求項6の薬剤収容容器にあっては、前記薬剤が流動性を有する粒状物である。
【0025】
これにより、各空間への薬剤の充填が容易となる。
【発明の効果】
【0026】
以上説明したように本発明の請求項1の薬剤収容容器にあっては、当該薬剤収容容器を立てて使用する際に、仕切を境とした上側の薬剤を当該仕切上に積載することによって上方の空間に保持することができる。
【0027】
これにより、薬剤収容容器を立てて使用する際に、容器本体に収容された薬剤の下方への偏りを防止することができ、薬剤が空気に接触する揮散面積の減少を防止することができる。これにより、揮散能力を維持することができる。
【0028】
そして、前記容器本体に薬剤を充填する際には、前記仕切を境とする一方側の空間に薬剤を充填することによって、前記仕切を境とした一方側の空間に充満した薬剤を、連通路を介して他方側の空間に充填することができる。
【0029】
このため、区画形成された各部屋に薬剤をそれぞれ充填しなければならなかった従来と比較して、工程数を削減することができ、製造工程の簡素化を図ることができる。
【0030】
また、請求項2の薬剤収容容器においては、前記容器本体を、上面開口部が側方に向けて開口するように立てて使用することによって、例えば薬剤の揮散方向を部屋の中心に向けて定めることができる。
【0031】
そして、本発明の請求項3の薬剤収容容器にあっては、容器本体内に収容された薬剤を、各仕切によって区画された各空間に分配することができ、この薬剤収容容器を立てて使用する際には、収容された薬剤を各仕切上に積載した状態で、各収容空間に保持することができる。
【0032】
これにより、薬剤収容容器を立てて使用する際に、容器本体に収容された薬剤の下方への偏りを防止することができ、薬剤が空気に接触する揮散面積の減少を防止することができる。これにより、揮散能力を維持することができる。
【0033】
このとき、隣接した連通路は、上下方向に連通しないように異なる位置に設定されており、当該薬剤容器を立てて使用した状態において、上方の連通路より落下した薬剤を、下方の仕切部上に積載することができる。
【0034】
このため、隣接した連通路が上下方向に連通し、薬剤が各連通路を介して下方までまで落下してしまう場合と比較して、薬剤を分散して配置することができる。
【0035】
一方、前記容器本体に薬剤を充填する製造時においては、充填された薬剤を、前記仕切で区画された空間を連通する連通路を介して、各空間に充填することができる。
【0036】
このため、区画形成された各部屋に薬剤をそれぞれ充填しなければならなかった従来と比較して、工程数を削減することができ、製造工程の簡素化を図ることができる。
【0037】
また、請求項4の薬剤収容容器においては、仕切の一端側に薬剤が通過する連通路が形成されるため、仕切の中央部に連通路が設けられた場合と比較して、立てて使用する際に当該連通路を介して落下する薬剤の落下量を抑制することができる。
【0038】
さらに、請求項5の薬剤収容容器では、容器本体内に収容された薬剤を、第1〜3収容空間の三カ所に分配することができる。
【0039】
このとき、第1仕切部の一端と容器本体の周壁との間に第1連通路が形成されるとともに、第2仕切部の他端と前記周壁との間に第2連通路が形成されている。このため、当該薬剤容器を立てて使用した状態において、前記第1連通路より落下した薬剤を、前記第2仕切部で受け止め当該第2仕切部上に積載することができる。
【0040】
これにより、第1連通路と第2連通路とが同方向に形成され、第1仕切部上の薬剤が、両連通路を介して第3収容空間まで落下してしまう場合と比較して、薬剤を分散して配置することができる。
【0041】
そして、前記容器本体に薬剤を充填する際には、第2収容空間に薬剤を充填する。これにより、第2収容空間に充満した薬剤を、前記第1連通路を介して第1収容空間に充填することができるとともに、前記第2連通路を介して第3収容空間に充填することができる。よって、薬剤の充填効率を高めることができる。
【0042】
加えて、請求項6の薬剤収容容器にあっては、前記薬剤が流動性を有する粒状物であるため、各空間への薬剤の充填を容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
以下、本発明の一の実施の形態を図に従って説明する。図1は、本実施の形態にかかる薬剤収容容器としての詰替容器1を備えた薬剤揮散器2を示す図であり、この薬剤揮散器2は、消臭剤、芳香剤、防虫剤、殺虫剤等の薬剤を揮散する装置である。
【0044】
この薬剤揮散器2は、揮散器本体11と、該揮散器本体11に交換可能に取り付けられる前記詰替容器1とによって構成されている。
【0045】
前記揮散器本体11は、使用時に起立される起立部21と、該起立部21の下端部に取り付けられる基端構成部材22とによって構成されている。前記起立部21は、図2に示すように、縦長の長方形板状に形成されており、下端の中央部を除く周縁には、図3にも示すように、裏面側に延出するフランジ23が形成されている。
【0046】
前記起立部21の外側面である前面25には、図2及び図3に示したように、短辺方向に延在する複数の凹溝26,・・・が上下に並設されており、中間領域Mに位置する各凹溝26,・・・内には、裏面側に貫通する開口部としての外スリット27,・・・が凹溝26,・・・に沿って開設されている。また、前記中間領域Mには、前記各外スリット27,・・・より大径楕円形状の大径開口部28が開設されており、該大径開口部28の外周縁部には、円形の取付穴29,・・・が四カ所に形成されている。
【0047】
この起立部21の背面には、図3及び図4に示すように、上縁部及び側縁部に支持突起31が設けられており、上縁に設けられたフランジ23の内側面及び側縁に設けられたフランジ23の内側面には、内方に突出する係止条32,・・・が形成されている。前記下縁に形成された前記フランジ23の端部には、上方に起立した起立壁33,33が一体形成されており、両起立壁33,33の中心側の側面には、前記起立壁33,33に沿って延在するL字リブ34,34が一体形成されている。
【0048】
前記起立部21に形成された前記取付穴29,・・・には、図1に示したように、前記大径開口部28を覆うカバー41が取り付けられるように構成されている(図1中下部側の支持状態は省略)。
【0049】
このカバー41は、図5に示すように、前記大径開口部28より大径の楕円形状に形成されており、中央部が外側に膨出したドーム型に形成されている。前記カバー41の裏面には、当該カバー41を支持する脚部45,・・・が周縁部の四カ所に立設されており、各脚部45,・・・の先端部には、小径部46が形成されている。各小径部46,・・・は、前記起立部21の対応した取付穴29,・・・に挿入された状態で固定されるように構成されている。
【0050】
前記各脚部45,・・・は、図1に示したように、前記取付穴29に挿入して固定した状態で、前記カバー41を前記起立部21の前記前面25より離間して配置できる長さ寸法に設定されており、前記カバー41と前記前面25との間に間隙51を形成できるように構成されている。このカバー41は、前記大径開口部28が設けられた前記前面25より突出した突出部を構成するように構成されている。
【0051】
この起立部21の下端部に取り付けられる前記基端構成部材22は、図6にも示すように、矩形容器状に形成されており、この基端構成部材22の側面前側には、内側に後退した後退面55,55が形成されている。これにより、当該基端構成部材22の前部には、幅寸法の狭い幅狭部56が形成されている。該幅狭部56での幅寸法は、前記起立部21のフランジ23間の寸法より小さく設定されており、当該幅狭部56に前記起立部21の下端部を外嵌できるように構成されている。
【0052】
前記後退面55には、矩形状の切欠部61が形成されており、前記基端構成部材22の底面62には、矩形状の挿通穴63,63が前方の両角部に開設されている。これにより、前記起立部21に当該基端構成部材22を取り付けた状態において、前記起立部21に設けられた前記起立壁33及び前記L字リブ34を前記各挿通穴63,63に挿通できるように構成されている。
【0053】
前記詰替容器1は、図7に示すように、薬剤70を収容する容器本体71を備えており、該容器本体71は、図8及び図9に示すように、長方形状の底面72と、該底面72の周縁に起立した周壁73とによって形成されている。該周壁73の上縁には、側方に延出した側方フランジ部74と、該側方フランジ部74より下方に延出した延出部75とが一体形成されており、下方に折り返した折返し部76が形成されている。前記底面72の裏面には、上方へ没入した凹部77,77が各短辺に沿って形成されており、当該底面72の裏面には、前記短辺に沿った段差部78,78が形成されている。
【0054】
また、前記底面72には、図7に示したように、各短辺寄りの二カ所に各短辺に沿って延在する第1仕切部としての平板状の第1仕切壁81及び第2仕切部である平板状の第2仕切壁82が平行し離間して立設されており、短辺側の周壁73と前記第1仕切壁81との間には、第1収容空間83が形成されている。また、前記第1仕切壁81と前記第2仕切壁82との間には、第2収容空間84が形成されており、前記第2仕切壁82と前記短辺側の周壁73との間には、第3収容空間85が形成されている。
【0055】
前記各収容空間83〜85には、前記薬剤70が収容されており(一部のみ図示)、この薬剤70は、芳香剤を含有した粒状部材86,・・・と、消臭液を吸収した粒形状のゲル状部材87,・・・とによって構成されている。
【0056】
前記第1仕切壁81は、図7において右寄りに配置されており、当該第1仕切壁81の左端部には、当該第1仕切壁81が欠損されてなる第1幅広欠損部91が設定されている。これにより、前記第1仕切壁81の左端と前記周壁73との間には、前記薬剤70を通過させる為の第1幅広連通路92が形成されている。
【0057】
前記第1仕切壁81の右端部には、当該第1仕切壁81が欠損されてなる幅狭の第1幅狭欠損部93が設定されている。これにより、前記第1仕切壁81の左端と前記周壁73との間には、空気を通流する為の第1幅狭連通路94が形成されている。
【0058】
前記第2仕切壁82は、図7において左寄りに配置されており、当該第2仕切壁82の右端部には、当該第2仕切壁82が欠損されてなる第2幅広欠損部95が設定されている。これにより、前記第2仕切壁82の右端と前記周壁73との間には、前記薬剤70を通過させる為の第2幅広連通路96が形成されている。
【0059】
前記第2仕切壁82の左端部には、当該第2仕切壁82が欠損されてなる幅狭の第2幅狭欠損部97が設定されている。これにより、前記第2仕切壁82の左端と前記周壁73との間には、空気を通流する為の第2幅狭連通路98が形成されている。
【0060】
ここで、前記第1幅狭連通路94の幅寸法と前記第2幅狭連通路98の幅寸法は、前記薬剤70を構成する前記粒状部材86及び消臭液を吸収した粒形状のゲル状部材87の粒径より狭く設定されているものとする。
【0061】
この容器本体71の中央部に位置する前記両仕切壁81,82の部位には、図8及び図9に示すように、円柱状の支柱部101,101が一体形成されており、各支柱部101,101の先端には、小径の小径部102,102が形成されている。
【0062】
前記周壁73を形成する各辺には、図7から図8に示すように、内側に突出する支持リブ105,・・・が底面72から開口部側へ向けて延設されており、前記周壁73を形成する各辺の上縁部には、上縁に沿って延在する凸条106,・・・が形成されている。各凸条106,・・・は、前記各支持リブ105上端より高位置に設定されており、前記各支持リブ105,・・・から前記凸条106,・・・までの範囲内に、前記支柱部101の前記小径部102が配置されるように構成されている。
【0063】
また、前記詰替容器1は、図10に示すように、前記容器本体71の開口部を閉鎖する蓋部111を備えている。該蓋部111は、前記容器本体71の開口部に内嵌する大きさの長方形板状に形成されており、その周縁には、上面側に突出する周縁フランジ112が全周に渡って形成されている。また、この蓋部111には、短辺方向に延在する内スリット113,・・・が複数並設されており、前記容器本体71内に収容された粒状の薬剤70の飛び出しを防止しつつ、薬剤70から揮発した蒸気を前記内スリット113,・・・及び前記起立部21に設けられた外スリット27,・・・及び大径開口部28を介して外部へ放出できるように構成されている。
【0064】
この蓋部111の裏面には、円筒部121,121が二カ所に突設されており、当該蓋部111を前記容器本体71に取り付けた状態で、各円筒部121,121に前記容器本体71に立設された前記支柱部101,101の前記小径部102,102を挿入した状態で固定できるように構成されている。
【0065】
以上の構成にかかる本実施の形態において、前記詰替容器1の容器本体71に薬剤70を充填する際には、図11に示すように、該容器本体71の中央部に形成された第2収容空間84に芳香剤を含有させた粒状部材86,・・・と消臭液を吸収させる前のゲル状部材87,・・・を充填した後、この第2収容空間84に消臭液を供給する。すると、粒状部材86,・・・とゲル状部材87,・・・は前記消臭液によって流され、図11中の矢印で示すように、前記第1幅広連通路92を介して第1収容空間83に、前記第2幅広連通路96を介して第3収容空間85に、流されてそれぞれ充填されるとともに、ゲル状部材87が前記消臭液を吸収することによって粒形状のゲル状部材87が形成される。
【0066】
これにより、前記第2収容空間84に充満した薬剤70を、前記第1幅広連通路92を介して第1収容空間83に充填することができるとともに、前記第2幅広連通路96を介して第3収容空間85に充填することができ、前記容器本体71内に収容された前記薬剤70を、第1〜3収容空間83〜85の三カ所に均等に分配することができる。
【0067】
したがって、容器本体に区画形成された各部屋に薬剤70をそれぞれ充填しなければならなかった従来と比較して、薬剤の充填工程数を削減することができ、製造工程の簡素化を図ることができるとともに、薬剤70の充填効率を高めることができる。
【0068】
このとき、前記第1幅広連通路92の逆側には、空気を通流する為の第1幅狭連通路94が形成されており、前記第2幅広連通路96の逆側には、空気を通流する為の第2幅狭連通路98が形成されている。これにより、前記第1収容空間83及び前記第2収容空間84内の空気を前記第1幅狭連通路94及び前記第2幅狭連通路98から排出することができるので、前記消臭液及び前記薬剤70の各空間83,85への流入をスムーズに行うことができる。
【0069】
そして、この薬剤収容容器2を立てて使用する際には、前記詰替容器1の容器本体71内に収容された前記薬剤70が下方に偏ることがある。
【0070】
ここで、本実施の形態における前記容器本体71の底面72には、平板状の仕切壁81,82が立設されており、内部が区画されている。このため、前記各仕切壁81,82を境として上側に収容された薬剤70を、図7に示したように、当該仕切壁81,82上に積載することによって上方の空間に保持することができる。
【0071】
このため、当該薬剤収容容器2を立てて使用する際に、前記容器本体71に収容された前記薬剤70の下方への偏りを防止することができ、薬剤70が空気に接触する揮散面積の減少を防止することができる。これにより、揮散能力を維持することができる。
【0072】
このとき、前記仕切壁81,82の端部側に薬剤70が通過する幅広連通路92,96が形成されている。このため、仕切壁81,82の中央部に連通路が設けられた場合と比較して、立てて使用する際に当該連通路を介して落下する薬剤70の落下量を抑制することができる。
【0073】
なおかつ、前記第1仕切壁81の左端と前記容器本体71の周壁73との間に前記第1幅広連通路92が形成されるとともに、前記第2仕切壁の右端と前記周壁73との間に第2幅広連通路96が形成されている。このため、当該薬剤容器2を立てて使用した状態において、前記第1幅広連通路92より落下した薬剤70を、前記第2仕切壁82で受け止め当該第2仕切部壁82上に積載することができる。
【0074】
これにより、前記第1幅広連通路92と前記第2幅広連通路96とが同方向に形成され、前記第1仕切壁81上の薬剤70が、両幅広連通路92,96を介して第3収容空間85まで落下してしまう場合と比較して、薬剤70を分散して配置することができる。
【0075】
なお、本実施の形態においては、容器本体71の底面72に設けられた第1及び第2仕切壁81,82の左側部及び右側部に連通路92,96を形成した場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものでは無い。
【0076】
例えば、図12の第1変形例201に示すように、上部仕切壁202の両側に連通路203,203を形成するとともに、下部仕切壁204の中央部に連通路205を形成したり、第2変形例211のように、上部仕切壁212の左側中途部と下部仕切壁213の右側中途部に連通路214,215を形成しても良い。
【0077】
また、図13の第3変形例221に示すように、上部仕切壁222及び下部仕切壁223を斜めに設けたり、第4変形例231に示すように、上部仕切壁232及び下部仕切壁233を上方に開口したへの字状に形成したり、第5変形例241に示すように、上部仕切壁242及び下部仕切壁243を上方に開口した円弧状に形成しても良く、これらの場合には、各仕切壁222,223,232,233,242,243での薬剤70の載置量を増大することができる。
【0078】
さらに、図14の第6変形例251や第7変形例261に示すように、上下に配置された仕切壁252,・・・262,・・・の数は、さらに多くても良く、隣接した連通路253,・・・263,・・・が上下に配置されないように、異なる位置に設けることによって、下部までの薬剤70の落下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の一実施の形態を示す断面図である。
【図2】同実施の形態の起立部を示す正面図である。
【図3】図2のA−A線に沿った断面図である。
【図4】同実施の形態の起立部を示す背面図である。
【図5】同実施の形態のカバーを示す図で、(a)はカバーの背面図であり、(b)は同図(a)のB−B線に沿った断面図である。
【図6】同実施の形態の基端構成部材を示す図で、(a)は基端構成部材の平面図であり、(b)は基端構成部材の側面図である。
【図7】同実施の形態の容器本体を示す平面図である。
【図8】同実施の形態の容器本体の側面を示す一部断面図である。
【図9】同実施の形態の容器本体の正面を示す一部断面図である。
【図10】同実施の形態の蓋部を示す図で、(a)は蓋部の平面図であり、(b)は蓋部の側面を示す一部断面図である。
【図11】同実施の形態の薬剤の充填工程を示す説明図である。
【図12】本発明の第1及び第2変形例を示す模式図である。
【図13】本発明の第3から第5変形例を示す模式図である。
【図14】本発明の第6及び第7変形例を示す模式図である。
【符号の説明】
【0080】
1 詰替容器
2 薬剤揮散器
70 薬剤
71 容器本体
72 底面
81 第1仕切壁
82 第2仕切壁
83 第1収容空間
84 第2収容空間
85 第3収容空間
91 第1幅広欠損部
92 第1幅広連通路
95 第2幅広欠損部
96 第2幅広連通路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤を収容する容器本体の底面に仕切が立設され、内部が区画された薬剤収容容器において、
前記仕切に欠損部を設け、当該仕切の一方側の空間と他方側の空間とを連通するとともに前記薬剤を通過させる為の連通路を形成したことを特徴とする薬剤収容容器。
【請求項2】
前記容器本体は、上面開口部が側方に向けて開口するように立てて使用されることを特徴とした請求項1記載の薬剤収容容器。
【請求項3】
薬剤を収容するとともに上面開口部が側方に向けて開口するように立てて使用される容器本体からなり、該容器本体を立てて使用する際に上下に配置される複数の仕切が当該容器本体の底面に立設され、内部が区画された薬剤収容容器であって、
前記各仕切に欠損部を設け、各仕切により区画された空間を連通するとともに前記薬剤を通過させる為の連通路を形成し、
隣接した連通路が上下方向に連通しないように異なる位置に設定したことを特徴とする薬剤収容容器。
【請求項4】
前記仕切の一端部に前記欠損部を設定し、前記仕切の一端と前記容器本体の周壁との間に前記連通路を形成したことを特徴とする請求項1記載の薬剤収容容器。
【請求項5】
前記仕切を、平行して配置された離間する第1仕切部と第2仕切部とで構成し、前記第1仕切部と前記周壁との間に位置する第1収容空間と、前記第1仕切部と前記第2仕切部との間に位置する第2収容空間と、該第2仕切部と前記周壁との間に位置する第3収容空間とを形成する一方、
前記第1仕切部の一端部に前記第1欠損部を設定して前記第1仕切部の一端と前記周壁との間に前記第1連通路を形成するとともに、前記第2仕切部の他端部に前記第2欠損部を設定して前記第2仕切部の他端と前記周壁との間に前記第2連通路を形成したことを特徴とする請求項1記載の薬剤収容容器。
【請求項6】
前記薬剤が流動性を有する粒状物であることを特徴とした請求項1から5にいずれか記載の薬剤収容容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2007−6960(P2007−6960A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−188264(P2005−188264)
【出願日】平成17年6月28日(2005.6.28)
【出願人】(000102544)エステー化学株式会社 (127)