説明

薬剤感受性を増強し、薬剤耐性感染症及び疾患を治療するための組成物及び方法

本発明は薬剤耐性微生物及び細胞を処置するのに有用な組成物と、前記組成物を同定及び使用する関連方法を提供する。更に、本発明は抗生物質や化学療法薬等の抗微生物及び細胞傷害性物質に対する薬剤耐性及び薬剤感受性の両者の微生物及び細胞の感受性を増強するのに有用な組成物を含む。更に、これらの組成物の同定方法と、薬剤耐性及び薬剤感受性の両者の疾患及び症状の治療におけるこれらの物質の使用方法も提供する。


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【特許請求の範囲】
【請求項1】
微生物又は細胞を抗微生物又は細胞傷害性化合物に対して感受性化する物質の同定方法であって、
(a)2本鎖DNA切断修復又は複製フォーク停止レスキューもしくは修復に関連するポリペプチドと結合するか又はその活性を阻害する能力について1種以上の候補物質をスクリーニングする段階と;
(b)段階(a)で同定された候補物質が微生物又は細胞を抗微生物又は細胞傷害性化合物に対して感受性化する物質であると同定する段階を含むことにより、微生物又は細胞を抗微生物又は細胞傷害性化合物に対して感受性化する物質を同定する前記方法。
【請求項2】
(c)段階(b)で同定された物質の誘導体又はアナログを生成する段階と;
(d)前記誘導体又はアナログが抗微生物又は細胞傷害性化合物に対する微生物又は細胞の感受性を増強するか否かを判定する段階を更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
抗微生物又は細胞傷害性物質に対する微生物又は細胞の感受性を増強する化合物の同定方法であって、
(a)微生物又は細胞を抗微生物又は細胞傷害性物質の存在下で候補化合物と接触させる段階と;
(b)候補化合物で処理していない微生物又は細胞に比較して抗微生物又は細胞傷害性物質に対する前記微生物又は細胞の感受性が増加したか否かを判定する段階を含み、
感受性が増加したならば、候補化合物が抗微生物又は細胞傷害性物質に対する微生物又は細胞の感受性を増強すると判断する前記方法。
【請求項4】
抗微生物又は細胞傷害性物質によるSOS応答の誘導を阻害する化合物の同定方法であって、
(a)SOS応答経路の活性化により発現を誘導されるレポーターポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む微生物又は細胞を亜致死量の抗微生物又は細胞傷害性物質と接触させる段階と;
(b)候補化合物で処理していない前記ポリヌクレオチドを含む微生物又は細胞に比較して段階(a)に従って候補化合物と接触させた微生物又は細胞でレポーターポリペプチドの発現が低下するか否かを判定する段階を含み、
レポーター遺伝子の発現が低下したならば、化合物が抗微生物又は細胞傷害性物質によるSOS応答の誘導を阻害すると判断する前記方法。
【請求項5】
前記方法が複数の別個の微生物又は細胞集団を異なる候補化合物と接触させる段階を含む請求項3又は4に記載の方法。
【請求項6】
前記方法が候補化合物のライブラリーの高スループットスクリーニングにより実施される請求項3又は4に記載の方法。
【請求項7】
化合物がDNA修復、組換え、又は複製に関連するポリペプチドの活性又は発現を阻害するか否かを判定する段階を更に含む請求項3又は4に記載の方法。
【請求項8】
薬剤耐性微生物又は細胞に対して細胞傷害性の物質の同定方法であって、
(a)2本鎖DNA切断修復又は複製フォーク停止レスキューもしくは修復に関連するポリペプチドと結合するか又はその活性を阻害する能力について1種以上の候補物質をスクリーニングする段階と;
(b)段階(a)で同定された候補物質が薬剤耐性微生物又は細胞に対して細胞傷害性の物質であると同定する段階を含むことにより、薬剤耐性微生物又は細胞に対して細胞傷害性の物質を同定する前記方法。
【請求項9】
(c)段階(b)で同定された物質の誘導体又はアナログを生成する段階と;
(d)前記誘導体又はアナログが薬剤耐性微生物又は細胞に対して細胞傷害性であるか否かを判定する段階を更に含む請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記微生物がグラム陽性菌又はグラム陰性菌である請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記微生物又は細胞が多剤耐性である請求項8に記載の方法。
【請求項12】
抗微生物又は細胞傷害性化合物の活性の増強方法であって、2本鎖DNA切断修復又は複製フォーク停止レスキューもしくは修復に関連するポリペプチドの活性を阻害する物質と前記抗微生物又は細胞傷害性化合物を併用投与する段階を含む前記方法。
【請求項13】
抗微生物又は細胞傷害性化合物の投与前、投与と同時、又は投与後に前記物質を投与する請求項12に記載の方法。
【請求項14】
微生物又は細胞の成長又は増殖の抑制方法であって、2本鎖DNA切断修復又は複製フォーク停止レスキューもしくは修復に関連するポリペプチドの活性を阻害する物質を前記微生物又は細胞に投与する段階を含む前記方法。
【請求項15】
前記微生物又は細胞が薬剤耐性である請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記微生物が多剤耐性である請求項15に記載の方法。
【請求項17】
微生物又は細胞を抗微生物又は細胞傷害性化合物に対して感受性化する方法であって、2本鎖DNA切断修復又は複製フォーク停止レスキューもしくは修復に関連するポリペプチドの活性を阻害する物質と前記微生物又は細胞を接触させる段階を含む前記方法。
【請求項18】
前記薬剤と接触させる前、接触と同時又は接触後に前記微生物又は細胞を前記物質と接触させる請求項17に記載の方法。
【請求項19】
1種以上の抗微生物化合物に対して耐性の微生物に感染する危険があるか、感染していると診断されたか、又は感染している疑いのある対象に前記物質を投与する請求項12、14又は17に記載の方法。
【請求項20】
腫瘍をもつ危険があるか、腫瘍をもつと診断されたか、又は腫瘍をもつ疑いのある対象に前記物質を投与する請求項12、14又は17に記載の方法。
【請求項21】
微生物に感染した対象の治療方法であって、
(a)前記微生物が抗微生物化合物に対する耐性に関連する遺伝子に突然変異を含むか否かを判定する段階と;
(b)前記微生物が抗微生物化合物に対する耐性に関連する遺伝子に突然変異を含む場合には、2本鎖DNA切断修復又は複製フォーク停止レスキューもしくは修復に関連するポリペプチドの活性を阻害する物質を前記対象に投与する段階を含む前記方法。
【請求項22】
微生物による薬剤耐性獲得の抑制方法であって、前記薬剤による治療中に2本鎖DNA切断修復又は複製フォーク停止レスキューもしくは修復に関連するポリペプチドの活性を阻害する物質と前記微生物を接触させる段階を含み、前記物質が耐性付与遺伝子の伝達を阻害する前記方法。
【請求項23】
前記伝達が相同組換え又は接合伝達により生じる請求項22に記載の方法。
【請求項24】
抗微生物又は細胞傷害性化合物の治療指数の増加方法であって、2本鎖DNA切断修復又は複製フォーク停止レスキューもしくは修復に関連するポリペプチドを阻害する物質と抗微生物又は細胞傷害性化合物を併用投与する段階を含む前記方法。
【請求項25】
前記物質を抗微生物又は細胞傷害性化合物と合剤化する請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記化合物が抗生物質又は化学療法薬である請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記ポリペプチドが相同組換え、RecBC(D)による相同組換え、RecFORによる相同組換え、非相同組換え、非相同末端結合、組換え依存性複製フォーク修復、及び/又はプライモソームリアセンブリに関連している請求項1、8、12、14、又は17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記ポリペプチドがRecB、RecA、PriA、DNA−PK、Ku70、及びKu86から構成される群から選択される請求項1、8、12、14、又は17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記抗微生物化合物又は薬剤がフルオロキノロンである請求項1、3、8、又は12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記フルオロキノロンがシプロフロキサシン、レボフロキサシン、オフロキサシン、シノキサシン、ナリジクス酸、ガチフロキサシン、ノルフロキサシン、ロメフロキサシン、トロバフロキサシン、ロメフロキサシン、モキシフロキサシン、スパルフロキサシン、ゲミフロキサシン、グレパフロキサシン、パズフロキサシン、エンロフロキサシン、エノキサシン、ペフロキサシン、バロフロキサシン、クリナフロキサシン、及びジフロキサシンから構成される群から選択される請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記細胞傷害性化合物がトポイソメラーゼ毒である請求項1、8、又は12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記候補物質が小分子、ペプチド又はそのミメティック、ポリヌクレオチド、ポリペプチド、及び抗体又はそのフラグメントから構成される群から選択される請求項1、8、12、14、又は17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記スクリーニングが全細胞を使用して実施される請求項1又は8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記活性がエンドヌクレアーゼ、エキソヌクレアーゼ、χ切断、1本鎖DNAのRecAコーティング、ヘリカーゼ、ATPアーゼ、DNA結合、及びポリメラーゼ活性から構成される群から選択される請求項1又は8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
段階(a)の前記スクリーニングが微生物の突然変異体株を使用して実施される請求項1又は8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記突然変異体又は突然変異がpar及びgyr遺伝子とそのホモログ及びオーソログから構成される群から選択される遺伝子に突然変異を含む請求項1、3、8、14、又は17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記微生物がシプロフロキサシン耐性S.aureus、コアグラーゼ陰性Staph、E.faecalis、E.faecium、E.coli、K.oxytoca、K.pneumoniae、M.morganii、P.mirabilis、S.marcescens、Acinetobacter、及びP.aeruginosa;レボフロキサシン耐性S.pneumoniae、S.pyogenes、S.agalactiae、Viridans群、E.coli、K.oxytoca、K.pneumoniae、M.morganii、P.mirabilis、S.marcescens、Acinetobacter、及びP.aeruginosa;スルファメトキサゾール・トリメトプリム耐性E.coli、K.oxytoca、K.pneumoniae、M.Morganii、P.mirabilis、S.marcescens、Acinetobacter、及びP.aeruginosa;アンピシリン耐性S.aureus、コアグラーゼ陰性staph、E.faecalis、E.faecium、及びS.pneumoniae;オキサシリン耐性S.aureus及びコアグラーゼ陰性staph;ペニシリン耐性S.pneumoniae及びViridans群;ピペラシリン・タゾバクタム耐性E.coli、K.oxytoca、K.pneumoniae、M.morganii、P.mirabilis、S.marcescens、Acinetobacter、及びP.aeruginosa;セフェピム耐性S.aureus、コアグラーゼ陰性staph、S.pneumoniae、E.coli、K.oxytoca、K.pneumoniae、M.morganii、P.mirabilis、S.marcescens、Acinobacter、及びP.aeruginosa;セフォタキシム耐性S.aureus、コアグラーゼ陰性staph、S.pneumoniae、E.coli、K.oxytoca、K.pneumoniae、M.morganii、P.mirabilis、S.marcescens、Acinetobacter、及びP.aeruginosa;セフトリアキソン耐性S.aureus、コアグラーゼ陰性staph、S.pneumoniae、M.morganii、P.mirabilis、S.marcescens、Acinetobacter、及びP.aeruginosa;ゲンタマイシン耐性S.aureus、コアグラーゼ陰性staph、E.faecalis、E.faecium、E.coli、K.oxytoca、K.pneumoniae、M.morganii、P.mirabilis、S.marcescens、Acinobacter、及びP.aeruginosa;クラリスロマイシン耐性S.pneumoniae、S.pyogenes、S.agalactiae、及びViridans群;エリスロマイシン耐性S.pneumoniae、S.pyogenes、S.agalactiae、及びViridans群;テイコプラニン耐性E.faecium;バンコマイシン耐性E.faecalis及びE.faecium;並びにイミペネム耐性Acinobacter及びP.aeruginosaから構成される群から選択される細菌である請求項8、14、又は17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
抗微生物又は細胞傷害性化合物と、2本鎖DNA切断修復又は複製フォーク停止レスキューもしくは修復に関連するポリペプチドの活性を阻害する物質を含むキット。
【請求項39】
前記ポリペプチドが相同組換え、RecBC(D)による相同組換え、RecFORによる相同組換え、非相同組換え、非相同末端結合、組換え依存性複製フォーク修復、又はプライモソームリアセンブリに関連している請求項38に記載のキット。
【請求項40】
前記ポリペプチドがRecB、RecA、PriA、DNA−PK、Ku70、及びKu8から構成される群から選択される請求項38に記載のキット。
【請求項41】
前記抗微生物化合物がフルオロキノロンである請求項38に記載のキット。
【請求項42】
前記細胞傷害性化合物がトポイソメラーゼ毒である請求項38に記載のキット。
【請求項43】
前記物質が小分子、ペプチド及びそのミメティック、抗体及びそのフラグメント、ポリペプチド、並びにポリヌクレオチドから構成される群から選択される請求項38に記載のキット。
【請求項44】
抗微生物又は細胞傷害性化合物に対する微生物又は細胞の感受性を増強する化合物の製造方法であって、
(a)化合物のライブラリーをスクリーニングし、2本鎖DNA切断修復又は複製フォーク停止レスキューもしくは修復に関連するポリペプチドの活性を阻害する化合物を同定する段階と;
(b)同定された化合物を誘導体化する段階と;
(c)2本鎖DNA切断修復又は複製フォーク停止レスキューもしくは修復に関連するポリペプチドの活性を阻害する能力について誘導体化した化合物を試験する段階と;
(d)誘導体化した化合物を製造する段階を含むことにより、
抗微生物又は細胞傷害性化合物に対する微生物又は細胞の感受性を増強する化合物を製造する前記方法。
【請求項45】
抗微生物又は細胞傷害性化合物と、2本鎖DNA切断修復又は複製フォーク停止レスキューもしくは修復に関連するポリペプチドを阻害する物質を含有する組成物。
【請求項46】
前記抗微生物化合物がフルオロキノロンである請求項45に記載の組成物。
【請求項47】
前記細胞傷害性化合物がトポイソメラーゼ毒である請求項45に記載の組成物。
【請求項48】
前記物質が小分子、ペプチド及びそのミメティック、抗体及びそのフラグメント、ポリペプチド、並びにポリヌクレオチドから構成される群から選択される請求項45に記載の組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2008−536495(P2008−536495A)
【公表日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−505504(P2008−505504)
【出願日】平成18年4月5日(2006.4.5)
【国際出願番号】PCT/US2006/012748
【国際公開番号】WO2006/108075
【国際公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【出願人】(593052785)ザ スクリップス リサーチ インスティテュート (91)
【出願人】(507333661)アケイオージェン,インク. (1)
【Fターム(参考)】