説明

薬剤散布機

【課題】立木散布の場合でも、圃場散布の場合でも均一に散布でき、立木散布、圃場散布の両方に対応できる薬剤散布機の提供である。
【解決手段】走行装置上に設けられたフレーム19と、複数の薬剤散布ノズル11を設け、一端部が前記フレーム19に回動可能に連結して略鉛直状態と略水平状態に傾く傾斜機構Kを設けた散布ブーム9を備えた薬剤散布機であって、前記傾斜機構Kを、回動フレーム19と散布ブーム9との連結部30に一端部が連結し、回動フレーム19と散布ブーム9とが成す内角部を連結部30を支点として回動するマスト21と、マスト21と回動フレーム19とを連結する第1シリンダ23と、マスト21と散布ブーム9とを連結する第2シリンダ25とから構成し、両シリンダ23、25の伸縮によりマスト21及び散布ブーム9が回動する機構とした。したがって、1台の薬剤散布機で立木及び圃場面の両方に散布することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤などを散布する薬剤散布機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、乗用管理機にズームスプレーヤー(散布ブーム)を取り付けて、圃場面に薬剤を散布するように構成した薬剤散布機(防除機ともいう)が知られている。そして、このような薬剤散布機は、機体の前部あるいは後部に散布ノズル付のズームスプレーヤーを左右横方向に拡げて薬液を作物に散布する薬剤散布装置を取り付けている。ズームスプレーヤーは、収納できるような構成であり、例えば機体前部にブームを取り付ける構成のものでは機体正面に固着された中央ブームとその左右にあって前後軸回りに回動して収納あるいは水平展開自在に構成された左右分割ブームとからなるもの、又は中央ブームがなく、前記左右分割ブームのみからなるものなどが知られている。
【0003】
また、下記特許文献1によれば、立木など高低差のある農作物にも対応できるように、垂直柱と噴霧ユニットを有し、更に噴霧ユニットを前記垂直柱により上下垂直方向に移動可能にガイドされる噴霧ベースと噴霧ベースに取り付けたノズルユニットとを有する噴霧ユニットとすることで、農薬の散布を受けない部分や過度に農薬が散布された部分が生じないようにした散布機構や防除機(垂直散布防除機及び水平散布防除機)を開示している。
【特許文献1】特開2004−229626号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そして、上記特許文献1によれば、垂直散布防除機の場合は噴霧ベースが上下に垂直移動する構成とし、また水平散布防除機の場合は、垂直柱の中間に取り付けられた噴霧ベースが当該垂直柱の取り付け位置を支点として上下方向に揺動する構成とすることで、高低差のある農作物にも均一に散布できるようにしている。
【0005】
このような構成により、立木などに散布する場合は、垂直散布防除機によってある程度、高低差のある農作物にも対応できる。しかし、垂直散布防除機は噴霧ベースやノズルユニットが防除機本体の上に取り付けられていることから、比較的高い位置から散布することになるため、地面に比較的近い位置に散布する必要がある圃場面の散布には適さず、立木の散布に専用のものである。したがって、圃場面に散布する場合は、垂直散布防除機とは別に水平散布防除機を使用する必要がある。
【0006】
このように立木などに散布する場合は、垂直散布防除機を使用し、圃場面に散布する場合は水平散布防除機を使用する必要があるため、立木及び圃場面の両方に散布する場合は2台の防除機(薬剤散布機)が必要となり、購入費や維持費などのコストがかかったり、防除機の保管に場所を取るなどの問題が生じる。また、立木及び圃場面の両方に散布する場合は、わざわざ防除機を乗り換えなければならないなど、オペレータにとっても負担となり、また作業効率も低下してしまう。したがって、立木散布、圃場散布の両方に対応できる薬剤散布機が望まれる。
【0007】
そこで、本発明の課題は、立木に薬剤などを散布する場合でも、圃場面に散布する場合でも均一に散布でき、立木散布、圃場散布の両方に対応できる薬剤散布機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の発明は、走行装置(3,4)上に設けられたフレーム(19)と、複数の薬剤散布ノズル(11)を有し、一端部が前記フレーム(19)に回動可能に連結して略鉛直状態と略水平状態に傾く傾斜機構(K)を設けた散布ブーム(9)とを備えた薬剤散布機であって、前記散布ブーム(9)の傾斜機構(K)は、フレーム(19)と散布ブーム(9)との連結部(30)に一端部が連結し、フレーム(19)と散布ブーム(9)とが成す内角部を前記連結部(30)を回動支点として回動するマスト(21)と、該マスト(21)とフレーム(19)とを連結する第1シリンダ(23)と、前記マスト(21)と散布ブーム(9)とを連結する第2シリンダ(25)とを有し、前記第1シリンダ(23)及び第2シリンダ(25)の伸縮によりマスト(21)及び散布ブーム(9)が回動して散布ブーム(9)の略鉛直状態と略水平状態間の傾きを調整する機構である薬剤散布機である。
【0009】
請求項2記載の発明は、前記散布ブーム(9)の傾斜機構(K)は、散布ブーム(9)が略水平状態から前記第1シリンダ(23)を縮めることで散布ブーム(9)を傾斜角度45度付近まで傾斜させる作動機構及び散布ブーム(9)が前記傾斜角度45度付近から前記第2シリンダを縮めることで散布ブーム(9)を略鉛直状態にさせる作動機構からなる請求項1記載の薬剤散布機である。
【0010】
散布ブーム(9)を略水平状態から45度付近まで上昇させる場合にはマスト(21)とフレーム(19)を連結する第1シリンダ(23)を用いて散布ブーム(9)よりもフレーム(19)に近いマスト(21)を略鉛直状態から略水平状態に下方に作動させることで、第2シリンダ(25)を用いて散布ブーム(9)を略水平状態から上方側に作動させる場合に比べてシリンダ推力が小さくて済む。
【0011】
請求項3記載の発明は、前記散布ブーム(9)の傾斜機構(K)は、前記第1シリンダ(23)及び前記第2シリンダ(25)を同時に縮めることで散布ブーム(9)を略水平状態から略鉛直状態にさせる作動機構である請求項1記載の薬剤散布機である。
なお本明細書では「薬剤」とは栄養剤、農薬などであり作物に散布が必要な固体物が含まれることもある液状物をいう。また、除草作業を行なうときには除草剤での作業となる。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の発明によれば、マスト(21)を挟んでフレーム(19)側と散布ブーム(9)側の二種類のシリンダ(第1シリンダ(23)及び第2シリンダ(25))を用いることで、ブーム水平状態での下向き散布(圃場面への散布)と略鉛直状態での水平散布(横向き散布、立木への散布)の両方の散布が可能となり、立木に薬剤などを散布する場合でも、圃場面に散布する場合でも均一に散布できる。
また、1台の薬剤散布機で立木及び圃場面の両方に散布することが可能となり、経済的であると共に保管に場所を取らなくて済む。また、立木及び圃場面の両方に散布する場合でも、わざわざ薬剤散布機を乗り換える必要がないためオペレータにとっても負担とならず、作業効率も低下しない。
【0013】
請求項2記載の発明によれば、上記請求項1記載の発明の効果に加えて、散布ブーム(9)を略水平状態から45度付近まで上昇させる場合はシリンダ推力の小さくて済む第1シリンダ(23)を選択して作動させることで、エネルギー消費量の少ない、効率的な散布作業が可能となる。
【0014】
請求項3記載の発明によれば、上記請求項1記載の発明の効果に加えて、第1シリンダ(23)及び前記第2シリンダ(25)を同時に縮めることで、短時間で散布ブーム(9)を略水平状態から略鉛直状態まで作動させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1には本発明の一実施形態による薬剤散布機を備えた薬剤散布作業車の側面図を示し、図2には図1の薬剤散布作業車の平面図を示す。
なお、図1には、散布ブーム9を収納した収納時の薬剤散布作業車の側面図を示しており、図2には、薬剤散布作業時の散布ブーム9を水平状態に広げた場合の薬剤散布作業車の平面図を示している。更に、図1の丸枠A部分にはステアリングハンドル7付近のコントロールパネル33の上面図を示す。
また、本明細書において薬剤散布作業車の前進方向を向いて左右方向をそれぞれ左、右といい、前進方向を前、後進方向を後ろということにする。
【0016】
車体1の前部にエンジンEを搭載し、このエンジンEの回転動力をミッションケース2内の変速装置に伝え、この変速装置で減速された回転動力を走行装置である前輪3と後輪4に伝える構成である。そして、機体後部には薬液を収容しているタンク5が設置され、該薬液タンク5の上部に運転席6が設けられ、その前方にはステアリングハンドル7が装備されている。薬液タンク5内の薬液は、ポンプ(図示せず)により散布ブーム9に設けられた散布ホース10のノズル11から噴出される。
機体の左右両側には散布ブーム9を収納支持するためのブーム収納支持枠13、13が立設され、受け具14によって係止保持される。受け具14に係止されることで、走行中でも散布ブーム9が動かず安全である。このように散布ブーム9を使用しない場合は、ブームの高さを低くすることで、倉庫等への搬入が容易となり保管もしやすくなる。また、散布ブーム9を収納姿勢とすることで邪魔にならないため、路上走行にも適する。
【0017】
次に、散布ブーム9の構成について説明する。
本実施形態の薬剤散布機を設けた薬剤散布作業車は、中央ブームを備えておらず、車体1の左右両側に左右散布ブーム(サイドブーム)9,9を備えたタイプのものである。そして、サイドブーム9、9は左右の回動フレーム19,19’の一端部に連結している。回動フレーム19,19’の他端部には後述する第1シリンダ23,23が取り付け部19b,19’bを介して連結している。
【0018】
図3には図1の薬剤散布作業車の回動フレーム19,19’付近の斜視図を示す。
回動フレーム19,19’は、薬剤散布機の機体側に固定された固定フレーム20の左右両端部にピン19a,19’aにより回動可能に連結しており、ピン19a,19’aを支点として矢印U方向に回動する。そして、図3に示すように両回動フレーム19,19’の長手方向が前後方向である状態(収納状態)から、薬剤の散布作業時にはピン19a,19’aを支点として機体の内側に回動すると両回動フレーム19,19’の長手方向が左右方向となって固定フレーム20内にピン18,18’により固定される。
【0019】
図4には、図1の薬剤散布作業車の左側のサイドブーム9を省略した場合の正面図を示し、サイドブーム9が水平状態である場合を示している。また、図5には、図4の薬剤散布作業車のサイドブーム9が鉛直状態である場合の下部正面図を示す。
図4に示す例では、薬剤散布作業車の左側のサイドブーム9の図示を省略している。なお、サイドブーム9は薬剤散布作業車の左右両側に設けても良いし、左右のどちらかに設けても良い。そして、上述のように、薬剤の散布作業時には、前輪3と後輪4等の走行装置上の左右方向に亘って一体化した回動フレーム19,19’が水平状態に設けられた状態になる。
【0020】
そして、本実施形態による薬剤散布機Yは、回動フレーム19(19’)にサイドブーム9の一端部が連結しており、サイドブーム9が該連結部30を支点として略水平状態から略鉛直状態に、また略鉛直状態から略水平状態に傾く傾斜機構Kを設けたことを特徴としている。
サイドブーム9,9が図1に示す収納状態から、回動フレーム19,19’の回動支点19a,19’aを中心とする車体1内側(図3の矢印U方向)への水平回動により、回動フレーム19に連結したサイドブーム9、9が左右方向に広がる。そして、第2シリンダ25が伸びるとサイドブーム9の先端部が下がって図2及び図4に示すようにサイドブーム9が略水平状態になり圃場面への下向き散布を行うことができる。
更に、図4の略水平状態であるサイドブーム9を傾斜機構Kによって、図5に示す略鉛直状態にすることもできる。
【0021】
回動フレーム19とサイドブーム9とが成す内角部には回動フレーム19とサイドブーム9の連結部30を支点として前記内角部内を回動するマスト21が設けられ、更に該マスト21と回動フレーム19との間及び該マスト21とサイドブーム9との間にはそれぞれ油圧で伸縮する第1シリンダ23及び第2シリンダ25が連結している。そしてこれら回動フレーム19、サイドブーム9、マスト21、第1シリンダ23及び第2シリンダ25などによりサイドブーム9の傾斜機構Kを構成し、第1シリンダ23及び第2シリンダ25の伸縮によりサイドブーム9の略水平状態から略鉛直状態又は略鉛直状態から略水平状態までの傾きを調整する。
【0022】
そしてちょうど第1シリンダ23及び第2シリンダ25が最大に伸びた時はサイドブーム9が略水平状態となり、第1シリンダ23及び第2シリンダ25が最小に縮んだ時はサイドブーム9が略鉛直状態となるようにすれば、第1シリンダ23及び第2シリンダ25の細かい調整が不要となるため、サイドブーム9の略水平状態と略鉛直状態の切り替えが速やかに、容易にできる。
【0023】
図4及び図5に示すように、第1シリンダ23が伸縮することで、マスト21と回動フレーム19との連結部30aを回動支点としてマスト21及びサイドブーム9が左右方向に回動し、第2シリンダ25が伸縮することで、マスト21とサイドブーム9との連結部30bを回動支点としてサイドブーム9が左右方向に回動する構成である。
本構成を採用することにより、マスト21を挟んで回動フレーム19側とサイドブーム9側の二種類のシリンダ(第1シリンダ23及び第2シリンダ25)を用いることで、ブーム水平状態での下向き散布(圃場面への散布)と鉛直状態での水平散布(横向き散布、立木への散布)の両方の散布が可能となり、立木に薬剤などを散布する場合でも、圃場面に散布する場合でも均一に散布できる。
【0024】
また、1台の薬剤散布機(薬剤散布作業車)で立木及び圃場面の両方に散布することが可能となり、経済的であると共に保管に場所を取らなくて済む。また、立木及び圃場面の両方に散布する場合でも、わざわざ薬剤散布作業車を乗り換える必要がないためオペレータにとっても負担とならず、作業効率も低下しない。
【0025】
また、サイドブーム9と回動フレーム19間のシリンダを単独のシリンダにしてサイドブーム9の水平状態から鉛直状態までの回動傾きを調整する場合は、特にサイドブーム9の水平状態から上方側へ作動させる際に多大な推力が必要となる。したがって、シリンダを単独とした場合は、シリンダが大型化してしまうという問題がある。
【0026】
しかし、回動フレーム19とサイドブーム9とが成す内角部にマスト21を設け、マスト21を挟んで回動フレーム19側とサイドブーム9側に二種類のシリンダ(第1シリンダ23及び第2シリンダ25)を設けることで、単独のシリンダを設ける場合に比べて推力が少なくて済む。
【0027】
更に、サイドブーム9を略水平状態から45度付近まで上昇させるときはマスト21と回動フレーム19を連結する第1シリンダ23を縮めて、サイドブーム9を傾斜角度45度付近から略鉛直状態まで上昇させるときはサイドブーム9側の第2シリンダ25を縮めると良い。
【0028】
散布ブーム9を略水平状態から45度付近まで上昇させる場合はマスト21と回動フレーム19を連結する第1シリンダ23を用いて散布ブーム9よりも回動フレーム19に近いマスト21を略鉛直状態から略水平状態に下方に作動させることで、第2シリンダ25を用いて散布ブーム9を略水平状態から上方側に作動させる場合に比べてシリンダ推力が小さくて済む。したがって、散布ブーム9を略水平状態から45度付近まで上昇させる場合はシリンダ推力の小さくて済む第1シリンダ23を選択して作動させ、散布ブーム9を傾斜角度45度付近から略鉛直状態まで上昇させる場合は第2シリンダ25を選択して作動させるという第1シリンダ23及び第2シリンダ25の作動機構によって、エネルギー消費量の少ない、効率的な散布作業が可能となる。
【0029】
図6には、図1に示した薬剤散布機Yの制御ブロック図を示す。
そして、サイドブーム9を略水平状態から前記第1シリンダ23を縮めることで傾斜角度45度付近まで傾斜させる作動と、サイドブーム9を傾斜角度45度付近から前記第2シリンダを縮めることで略鉛直状態にさせる作動を自動的に切り替える制御装置(CPU)35を設けても良い。サイドブーム9の傾斜角度を検出するポテンショメーターなどからなるブーム角度検出センサ37を連結部30aと連結部30bの回動支点付近に設け、該ブーム角度検出センサ37による検出角度が45度付近になったら制御装置35によって自動的に第1シリンダ23から第2シリンダ25に作動を切り替える。このようにエネルギー消費量の少ない、効率の良い側のシリンダ23,25を制御装置35によって自動的に判定し、各シリンダ23,25を作動させることで、より便利になると共に散布作業の操作がしやすくなり、操作性も向上する。
【0030】
なお、第1シリンダ23から第2シリンダ25への作動の切り替えは、上述の45度付近に限らず、各シリンダ23,25のシリンダ推力の関係からエネルギー消費量が少なくなるような角度に切り替えるよう適宜調整すればよい。
また、前記制御装置35によって第1シリンダ23及び第2シリンダ25を同時に作動させて縮めることでサイドブーム9を略水平状態から略鉛直状態に作動させる構成としても良い。同様に、前記制御装置35によって第1シリンダ23及び第2シリンダ25を同時に作動させて伸ばすことでサイドブーム9を略鉛直状態から略水平状態に作動させる構成としても良い。
【0031】
本構成を採用することにより、短時間でサイドブーム9を水平状態から鉛直状態又は鉛直状態から水平状態まで作動させることができる。サイドブーム9と回動フレーム19間のシリンダを単独とした場合に比べて、短時間、およそ半分の時間でサイドブーム9を水平状態から鉛直状態又は鉛直状態から水平状態まで作動させることができる。したがって、大幅にサイドブーム9の作動時間を短縮することができ、メリットが大きい。
【0032】
図7には、図4及び図5に示す薬剤散布作業車のサイドブーム9が立木に沿うようにした場合の正面図を示す。
また、第1シリンダ23及び第2シリンダ25のうち、一方のシリンダ23,25のみを作動させて、サイドブーム9が立木に沿って、立木とサイドブーム9のノズル11間の距離Mがほぼ一定になるようサイドブーム9の傾きを調整しても良い。
この場合は、立木に近い第2シリンダ25を作動させれば微調整がしやすく、オペレータが目視で調整することで立木とノズル11間の距離Mをほぼ正確に一定に保つことができる。したがって、立木の上部と下部で均等に薬剤を散布でき、薬剤の散布量が場所によって異なることを防止できるため、防除効果や駆除効果を高めることができる。
【0033】
図8には、本発明の別の実施形態による薬剤散布機Yを備えた薬剤散布作業車の正面図を示し、図9には、図8の薬剤散布作業車のメインフレーム22周辺の要部側面図を示す。更に図10(a)には、図8の薬剤散布作業車のメインフレーム22周辺の要部正面図を示し、図10(b)には、収納シリンダ47のメインフレーム22側の連結部付近の斜視図を示す。
【0034】
図8に示す薬剤散布機Yは、図1や図5等の薬剤散布機Yの固定フレーム20や回動フレーム19をメインフレーム22とし、該メインフレーム22の軸心を支点として薬剤散布機Y全体を回転する構成としたものであり、該メインフレーム22が薬剤散布作業車の左右方向に亘って一体的に設けられている。そして該メインフレーム22の回転によりメインフレーム22に連結したサイドブーム9を前後方向に傾斜させて作業姿勢(鉛直状態)と収納姿勢(後傾状態)に可能な構成としたものである。
【0035】
メインフレーム22の外周面の一部に支持フレーム40を設け、該支持フレーム40内にメインフレーム22を遊嵌軸支することで、メインフレーム22は支持フレーム40内を回転可能である。支持フレーム40は溶接等の手段により第1前フレーム41a、第2前フレーム41b、第3前フレーム41c等からなる支持前フレーム41に固着連結している。この支持前フレーム41は機体前部にボルト等で固定されている。そして、メインフレーム22に支持片22aを溶接等により固着させて取り付け、該支持片22aに収納シリンダ47のピストンロッド47a側端部を遊嵌連結し、更に収納シリンダ47の他端部を前記支持前フレーム41の一部を構成する第3前フレーム41c(図10)に遊嵌連結している。収納シリンダ47が矢印L方向(図10)に伸縮することで、支持片22aを介してメインフレーム22が回転する。
【0036】
図9に示すように、収納シリンダ47のピストンロッド47aが伸びると、収納シリンダ47の前端部に連結した支持片22aが矢印F方向に回動し、該支持片22aに固着したメインフレーム22も矢印F方向に回動する。メインフレーム22の端部に連結したサイドブーム9がメインフレーム22の回動と共に矢印F方向に回動することで、サイドブーム9は収納姿勢(後傾状態)から作業姿勢(鉛直状態)になる。
【0037】
一方、収納シリンダ47のピストンロッド47aが縮まると、収納シリンダ47の前端部に連結した支持片22aが矢印F方向とは反対方向に回動し、該支持片22aに固着したメインフレーム22も矢印F方向とは反対方向に回動する。メインフレーム22の端部に連結したサイドブーム9がメインフレーム22の回動と共に矢印F方向とは反対方向に回動することで、サイドブーム9は作業姿勢(鉛直状態)から収納姿勢(後傾状態)になり、受け具14に係止される。サイドブーム9を後方へ傾斜させ、ブームの高さを低くすることで、倉庫等への搬入が容易となり保管もしやすくなる。また、サイドブーム9を収納姿勢とすることで邪魔にならないため、路上走行にも適する。
【0038】
なお、図8から図10には、薬剤散布作業車の右側にサイドブーム9を設けた場合を示しているが、薬剤散布作業車の左側にサイドブーム9を設けても良く、左右両側にサイドブーム9を設けても良い。
そして、この収納シリンダ47を油圧シリンダとして制御装置35(図6)によって制御、作動させ、スイッチ(ボタン)等で遠隔操作を可能としても良い。遠隔操作用のスイッチ(図示せず)を運転席6近傍(例えば図1のコントロールパネル33上など)に設ければ、オペレータは運転席6に着席したままサイドブーム9の所定位置への収納、鉛直方向への張出操作が可能となり、収納操作性が向上する。
【0039】
また、収納シリンダ47を、サイドブーム9を水平状態及び鉛直状態に作動させるための第1シリンダ23及び第2シリンダ25の近傍に設けると、サイドブーム9の支持構造が強固なものとなり、薬剤散布作業車の路上走行や散布作業時のサイドブーム9の前後方向の撓みを小さくする効果がある。サイドブーム9が前後方向に撓むと、サイドブーム9が連結しているメインフレーム22がサイドブーム9の動きに連動して支持フレーム40内を摺動して支持フレーム40の内径部が摩耗しやすくなる。
【0040】
しかし、収納シリンダ47を第1シリンダ23及び第2シリンダ25の近傍に設けることでサイドブーム9の前後方向の撓みが防止できるため、メインフレーム22の支持フレーム40内部における摺動抵抗の増大を防いで支持フレーム40の内径の摩耗が抑制される。また、支持フレーム40に対するサイドブーム9の支持構造の耐久性が向上する。
【0041】
また、制御装置35によりサイドブーム9が鉛直状態になったことを認識した時のみ、収納シリンダ47が作動するようにしても良い。図10に示すように、前記ブーム角度検出センサ37をマスト21とメインフレーム22との連結部30a付近及びメインフレーム22とサイドブーム9との連結部30b付近の2箇所(それぞれブーム角度検出センサ37a,37bとする)に設ける。
【0042】
ブーム角度検出センサ37aはマスト21とメインフレーム22間の角度θ1を検出し、ブーム角度検出センサ37bはサイドブーム9とマスト21間の角度θ2を検出する。そして、図6に示すように、サイドブーム9が鉛直状態(90度)となる両ブーム角度検出センサ37a,37bがオン時(各ブーム角度検出センサ37a,37bによる検出角度θ1、θ2がそれぞれ45度付近となる状態)にブーム角度検出センサ37からの当該検出信号が制御装置35に伝達されると、該制御装置35により収納シリンダ47を作動させる構成である。
なお、ブーム角度検出センサ37はサイドブーム9とメインフレーム22との連結部30近傍に1箇所のみ設けても良く、該ブーム角度検出センサ37によりサイドブーム9の検出角度が略90度となった場合に収納シリンダ47を作動させる構成でも良い。
【0043】
サイドブーム9が収納される際に、サイドブーム9が鉛直状態でない時、すなわちサイドブーム9が左右方向に傾斜している時に収納シリンダ47が作動すると、サイドブーム9がうまく受け具14に係止されない場合があり、サイドブーム9が周辺の物などに当たって損傷する可能性もある。
しかし、本構成を採用することにより、確実にサイドブーム9を受け具14に係止、収納できるため、サイドブーム9が損傷するという心配もない。
【0044】
また、サイドブーム9を水平状態及び鉛直状態に作動させるための第1シリンダ23及び第2シリンダ25のうち、どちらかがリジット構成(シリンダ23,25の伸縮によってサイドブーム9が0度又は45度程度の限界ストロークまでしか作動しない構成のことを言う)の場合はリジット構成ではない側のシリンダ23,25の回動部である連結部30a,30b付近にのみブーム角度検出センサ37a,37bを設ける構成でも良い。
【0045】
リジット構成であるシリンダ23,25の場合は、サイドブーム9を0度又は45度程度の2段階しか作動しないことが分かっているため、あえてブーム角度検出センサ37を設ける必要はない。したがって、リジット構成ではない側のシリンダ23,25用にブーム角度検出センサ37を1箇所のみ設ければ良いので、簡易な構成とすることができる。そして、サイドブーム9の収納操作においても、ブーム角度検出センサ37からの検出信号によってサイドブーム9が鉛直状態であることを制御装置35が認識した時のみ収納シリンダ47を作動させるので、確実にサイドブーム9を受け具14に係止、収納できる。
【0046】
このように、薬剤散布機Yのサイドブーム9は鉛直状態から後傾して収納姿勢となるため、薬剤散布機Yや薬剤散布作業車全体の全長及び全高は、よりコンパクトになる。したがって、作業車を倉庫へ保管する場合も小さいスペースで可能となる。更に、薬剤散布作業車の走行時においてもサイドブーム9による周辺の物(立ち木、別の作業車など)への引っかけ等の心配もなく、オペレータにとってもそのようなストレスがなくなって作業負担が軽減し、薬剤散布機Yの操作性や薬剤散布の作業効率が向上する。
【0047】
更に、図9に示すように、サイドブーム9を構成する平板状のブームランス52のサイドブーム9収納時の受け具14との接触面(下面)とは反対側の面(上面)にノズル11を有する噴出管(散布ホース)10をブームランス52の長手方向に沿って設けている。本構成を採用することにより、サイドブーム9の収納時に、受け具14と噴出管(散布ホース)10及びノズル11等が干渉しないので、安全である。そして、受け具14の構成も複雑とならず簡易な構成で可能となる。
【0048】
図11には、図9に示す薬剤散布作業車のサイドブーム9の受け具14の例を示す。
サイドブーム9の収納姿勢時において、サイドブーム9のブームランス52の下面側(ノズル11や噴出管(散布ホース)10の配置側とは反対側の面)に設けた受け具14を断面コの字形状とし、サイドブーム9をコの字形状の空間部に収納できるようにすれば、薬剤散布作業車の走行時にサイドブーム9が左右方向(矢印S方向)にずれないので、安全に走行できる。
【0049】
また、図4及び図8等に示すように、サイドブーム9の基ブーム9aの先端部と基部間にエクステンション部材としてロッド57を設け、基ブーム9aの先端部に固着した上方ブラケット60にロッド57の上端部を連結すると共に、基ブーム9aの基部に固着した下方ブラケット61にロッド57の下端部を連結させてサイドブーム9の支持構造を構成しても良い。
【0050】
サイドブーム9の支持構造が軟弱であると、サイドブーム9が揺れて、薬剤の噴霧方向が乱れ、適正に立木の幹や葉に薬液が付着しないという問題がある。しかし、本構成を採用することにより、サイドブーム9の基ブーム9aの先端部と基部間にロッド57を設けることで、サイドブーム9の支持構造が強固なものとなり、薬剤の散布作業時のサイドブーム9の前後方向及び左右方向の撓み(揺れ)が低減し、薬剤の散布精度が向上する。
【0051】
また、図4,図5及び図8等に示すように、ロッド57をサイドブーム9のノズル11側(噴霧側)ではなく、運転席6側に配置すると、ノズル11部分とロッド57とが干渉しないので、ノズル11から吐出される噴霧液がロッド57にかかることはなく、薬剤の液だれなどが発生せず、薬液の付着効果を高める利点がある。
【0052】
図12(a)には、図4及び図8等に示す薬剤散布作業車のサイドブーム9の延長ブーム9b付近の斜視図を示し、図12(b)には、図12(a)のL字状アーム56付近の断面図を示す。
そして、図4及び図8等に示すように、これらの薬剤散布作業車のサイドブーム9に延長ブーム9bを設け、延長ブーム9bがサイドブーム9の基ブーム9a内に又は基ブーム9aに沿ってスライド可能な構成としている。
【0053】
延長ブーム9bは、基ブーム9aの側方から前方に突出する断面L字状アーム56に支持され、延長ブーム9bの長手方向が基ブーム9aの長手方向に沿うように平行に設けられている。このL字状アーム56の内角側各面にはガイドローラ56a,56bが互いに向かい合うように複数設けられ、該ガイドローラ56a,56b間に挟まれた延長ブーム9bがガイドローラ56a,56b間を長手方向(矢印N方向)にスライド可能である。 そして、基ブーム9aに取り付けられたモータ45の駆動によりピニオン49が回転し、ピニオン49が噛み合っているラック50が移動することでラック50と一体である延長ブーム9bが矢印N方向にスライドする。
本構成を採用することにより、オペレータはラック50の動きやピニオン49の動きで延長ブーム9bが作動しているか否かを判断できるので、延長ブーム9bの一番高い位置を見上げてわざわざ確認する必要がなく、安全に散布作業が行える。また、薬剤の噴霧側とモータ45やピニオン49等の駆動部の干渉がないので、薬剤の噴霧が該駆動部によって妨げられることがなく、適正な噴霧を行うことができる。
【0054】
更に、図13には、図4及び図5の薬剤散布作業車のサイドブーム9に図12に示す例とは別の風速センサ65を設けた場合の正面図を示す。図14には、図13の薬剤散布作業車の延長ブーム9bを縮めたときのサイドブーム9付近の斜視図を示す。
そして、図12及び図14等に示すように、サイドブーム9に風速センサ65を設け、該風速センサ65により検出した風速量を制御装置35(図6)により運転席6周辺に配置したコントロールパネル33(図1の丸枠A)の表示部34に表示(例えば、デジタル表示など)しても良い。なお、この風速センサ65は、図8に示す薬剤散布作業車のサイドブーム9に設けても良い。
【0055】
薬剤散布作業車の上空の風速が不明な場合、散布した薬液が著しく風に流されて飛散し、圃場などの周辺環境に影響を及ぼす可能性がある。
しかし、サイドブーム9に風速センサ65を設けることで、上空の風速が分かるため、散布した薬液の飛散方向が把握できるので、例えば風速量が多い場合には散布量を減らしたり一時中止することで、このような問題が解決できる。そして、薬剤の散布条件が適正かどうかを判断する目安になる。また、上空の風速量をコントロールパネル33の表示部34に表示することで、薬剤散布の作業中でもオペレータは上空を見て風速量を監視する必要がなく、安全に作業ができ便利であり、作業性も向上する。
【0056】
そして、風速センサ65を延長ブーム9bの上端部に設けると、薬剤散布箇所の最大高さ位置の風速量を検出できる。サイドブーム9の最大高さ位置となる延長ブーム9b先端付近のノズル11より散布する薬液粒子が最も飛散するので、この最大高さ位置に風速センサ65を設けることが、より望ましい。
【0057】
この風速センサ65を、該風速センサ65の長手方向がサイドブーム9(延長ブーム9b)の長手方向に沿うように延長ブーム9bの上端部に取り付けると、延長ブーム9bを縮めた時に基ブーム9aの上端部と干渉せず、収納性に優れ、構成上の利点がある。
【0058】
例えば、図14に示すように、棒状の風速センサ65自体に矢印R方向又は矢印R方向とは反対方向にスライドする作動機構(図示せず)を設け、延長ブーム9b内部に収納される構成としても良いし、上述のように延長ブーム9bがスライドすることで風速センサ65の先端部が基ブーム9aの高さ(点線P位置)よりも下方に収納される構成としても良い。
【0059】
また、図12に示すように、延長ブーム9bの先端部内部に風速センサ65を取り付ければ、上述のように延長ブーム9bを矢印N方向にスライドさせることで風速センサ65は延長ブーム9bとともにスライドする。したがって、風速センサ65を基ブーム9aの内部まで収めることができる。図12に示す風速センサ65は、延長ブーム9bの先端部内部の2箇所に嵌め込まれた構成であり、ファン65aが回転してその回転による電気信号が制御装置35(図6)に送信されるものである。そして、送風方向の異なる箇所に風速センサ65を複数設けることで、正確な風速を測定できる。
【0060】
このように、風速センサ65を基ブーム9aと干渉しないように設けることで、サイドブーム9のブーム長さを短くでき、薬剤散布機Y及び薬剤散布作業車全体がコンパクトな構成となる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、自走型薬剤散布機を備えた薬剤などを散布する作業車に関わらず、他の肥料などを散布する作業車にも利用可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の一実施形態による薬剤散布機を備えた薬剤散布作業車の側面図である。
【図2】図1の薬剤散布作業車の平面図である。
【図3】図1の薬剤散布作業車の回動フレーム付近の斜視図である。
【図4】図1の薬剤散布作業車の正面図である。
【図5】図4の薬剤散布作業車のサイドブームが鉛直状態である場合の下部正面図である。
【図6】図1に示した薬剤散布機の制御ブロック図である。
【図7】図4及び図5に示す薬剤散布作業車のサイドブームが立木に沿うようにした場合の正面図である。
【図8】本発明の別の実施形態による薬剤散布機を備えた薬剤散布作業車の正面図である。
【図9】図8の薬剤散布作業車のメインフレーム周辺の要部側面図である。
【図10】図10(a)は、図8の薬剤散布作業車のメインフレーム周辺の要部正面図であり、図10(b)は、収納シリンダのメインフレーム側の連結部付近の斜視図である。
【図11】薬剤散布作業車のサイドブームの受け具の例である。
【図12】図12(a)は、薬剤散布作業車の延長ブーム付近の斜視図であり、図12(b)は、図12(a)のL字状アーム付近の断面図である。
【図13】図4及び図5の薬剤散布作業車のサイドブームに図12に示す例とは別の風速センサを設けた場合の正面図である。
【図14】図13の薬剤散布作業車の延長ブームを縮めたときのサイドブーム付近の斜視図である。
【符号の説明】
【0063】
1 車体 2 ミッションケース
3 前輪 4 後輪
5 薬液タンク 6 運転席
7 ステアリングハンドル 9 散布ブーム(サイドブーム)
9a 基ブーム 9b 延長ブーム
10 散布ホース(噴出管) 11 ノズル
13 支持枠 14 受け具
18,18’ ピン 19,19’ 回動フレーム
19a,19’a 回動支点 19b,19’b 取り付け部
20 固定フレーム 21 マスト
22 メインフレーム 22a 支持片
23 第1シリンダ 25 第2シリンダ
30 連結部 30a マストと回動フレームとの連結部
30b マストとサイドブームとの連結部
33 コントロールパネル 34 表示部
35 制御装置(CPU) 37 ブーム角度検出センサ
40 支持フレーム 41 支持前フレーム
45 駆動用モータ 47 収納シリンダ
47a ピストンロッド 49 ピニオン
50 ラック 52 ブームランス
56 L字状アーム 56a,56b ガイドローラ
57 ロッド 60 上方ブラケット
61 下方ブラケット 65 風速センサ
65a ファン E エンジン
Y 薬剤散布機 K 傾斜機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行装置(3,4)上に設けられたフレーム(19)と、複数の薬剤散布ノズル(11)を有し、一端部が前記フレーム(19)に回動可能に連結して略鉛直状態と略水平状態に傾く傾斜機構(K)を設けた散布ブーム(9)とを備えた薬剤散布機であって、
前記散布ブーム(9)の傾斜機構(K)は、フレーム(19)と散布ブーム(9)との連結部(30)に一端部が連結し、フレーム(19)と散布ブーム(9)とが成す内角部を前記連結部(30)を回動支点として回動するマスト(21)と、該マスト(21)とフレーム(19)とを連結する第1シリンダ(23)と、前記マスト(21)と散布ブーム(9)とを連結する第2シリンダ(25)とを有し、前記第1シリンダ(23)及び第2シリンダ(25)の伸縮によりマスト(21)及び散布ブーム(9)が回動して散布ブーム(9)の略鉛直状態と略水平状態間の傾きを調整する機構であることを特徴とする薬剤散布機。
【請求項2】
前記散布ブーム(9)の傾斜機構(K)は、散布ブーム(9)が略水平状態から前記第1シリンダ(23)を縮めることで散布ブーム(9)を傾斜角度45度付近まで傾斜させる作動機構及び散布ブーム(9)が前記傾斜角度45度付近から前記第2シリンダを縮めることで散布ブーム(9)を略鉛直状態にさせる作動機構からなることを特徴とする請求項1記載の薬剤散布機。
【請求項3】
前記散布ブーム(9)の傾斜機構(K)は、前記第1シリンダ(23)及び前記第2シリンダ(25)を同時に縮めることで散布ブーム(9)を略水平状態から略鉛直状態にさせる作動機構であることを特徴とする請求項1記載の薬剤散布機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−261295(P2009−261295A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−113631(P2008−113631)
【出願日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】