説明

薬剤活性のあるスルホニルアミノ酸誘導体

【課題】本発明は、特に薬剤活性のある化合物として使用するための式(I)のスルホニルアミノ酸誘導体、ならびにそのようなスルホニルアミノ酸誘導体を含有する薬剤調製物に関する。
【解決手段】該スルホニルアミノ酸誘導体は、JNK経路の効率的なインヒビターであり、特にJNK2および33の効率的なインヒビターである。本発明はさらに、新規スルホニルアミノ酸誘導体ならびにその調製法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、薬剤活性のある化合物として使用するためのスルホニルアミノ酸誘導体、ならびにそのようなスルホニルアミノ酸誘導体を含有する薬剤調製物に関する。特に本発明は、JNK(ジュン−キナーゼ(Jun-Kinase))機能または経路のそれぞれ実質的な調節活性、特に阻害活性を示すスルホニルジペプチド誘導体に関し、従って、これは自己免疫系および神経系の疾患の治療および/または予防に特に有用である。従って本発明は、新規スルホニルアミノ酸誘導体ならびにその調製法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
アポトーシスは、プログラム化細胞死滅のプロセスを受けている細胞の膜や小器官の複雑なひずみである。該プロセスの間に、細胞は固有の自殺プログラムを活性化させ、整然として自身を破壊していく。以下のシリーズの事象が観察される:
・細胞表面に泡状突起が出はじめて、食作用前のシグナルを表す。次にアポトーシス細胞全体は、断片化して膜結合小胞になり、これは食作用により急速かつ正確に除去され、その結果、周りの組織への傷害は最小となる。
・次に細胞は、その近傍から分離する。
核はまた、遺伝子的自殺をしながら、特徴的な形態変化パターンを示し、クロマチンは凝縮し、特異的に切断されてDNAの断片となる。
【0003】
神経細胞の死滅は、神経系を正常に成長させるのに重要な役割を果たす。発達中のニューロンの死滅は、神経刺激する標的のサイズに依存する。少ないシナプスパートナーを有する細胞は、多数のシナプスを形成した細胞より死滅しやすい。これは、発達中の神経系のシナプス前からシナプス後ニューロンの相対数をバランスさせるプロセスを反映しているかも知れない。神経細胞死滅はアポトーシス性であると推定されたが、つい最近になって、発達中のげっ歯類の脳中のニューロンは、形態とDNA断片化により分類されるように、アポトーシスを受けることが最終的に証明された。発達中の細胞死滅は明らかに、病的プロセスではなく、細胞が実際に存在を停止することは意味がある。
【0004】
神経の死滅は、神経外傷後または神経変性疾患中のアポトーシスまたは壊死プロセスを介して起きる。ニューロンのプログラム化細胞死滅を進めるのに重要な役割を果たす多くの成分が出現している。神経のアポトーシスへと誘導する成分には、MAPキナーゼ(MAPKs)のサブファミリーであるSAPK/JNKのメンバーがある。
【0005】
MAPK(分裂促進因子−活性化タンパク質キナーゼ)は、スレオニンとチロシン残基への二重リン酸化により活性化されるセリン/スレオニンキナーゼである。哺乳動物細胞では、細胞外刺激により生成する情報をMAPKへ伝搬する少なくとも3通りの異なるが並行した経路がある。この経路は、EPK(細胞外制御キナーゼ)、JNK(c−Jun N末端キナーゼ)、およびp38/CSBPキナーゼの活性化に至るキナーゼカスケードからなる。ストレス型の分子外シグナルを中継するのにJNKとp38経路の両方が関与するが、EPK経路は主に、分裂促進性/分化シグナルを細胞核に伝達するのに関与する。
【0006】
SAPKカスケードは、分裂促進因子−活性化タンパク質キナーゼのサブファミリーであり、これは、UV照射後のDNA傷害、TNF−α、IL−1β、セラミド、細胞ストレス、および反応性酸素種を含む異なる外部刺激により活性化され、明瞭な基質特異性を有する。MKK3/p38のMKK4/JNKを介するシグナル伝達は、誘導性転写因子であるc−JunとATF2のリン酸化を引き起こし、これは次に、ホモダイマーまたはヘテロダイマーとして作用して、下流のエフェクターの転写を開始させる。
【0007】
c−Junは、ホモダイマーとヘテロダイマーを形成(例えば、c−FoSと)して、炎症応答に関与する多くの遺伝子(例えば、マトリックス金属プロテアーゼ)の活性化に必要なトランス作用複合体APを産生するタンパク質である。JNKは、紫外線やTNF−αのようないくつかの異なる刺激が、タンパク質N末端の特異的セリン残基上のc−Junのリン酸化を刺激することが見いだされた時に、発見された。
【0008】
Xie Xら(Structure 1998, 6(8);983-991)の最近の文献において、ストレス活性化シグナル伝達経路の活性化が、ラットのPC−12と上頚神頚節(SCG)交感神経細胞中のNGF撤退により誘導される神経アポトーシスに必要であることが示唆されている。特異的キナーゼ(すなわち、MAPキナーゼ3(MKK3)とMAPキナーゼ4(MKK4)、またはc−Jun(MKK−4カスケードの一部))の阻害は、アポトーシスをブロックするのに充分かも知れない(Kumagae Yら、Brain Res Mol Brain Res, 1999, 67(1), 10-17およびYang DDら、Nature, 1997, 389(6653);865-870を参照)。SCGニューロン中のNGF枯渇の数時間以内に、c−Junは高度にリン酸化され、タンパク質レベルが上昇する。同様にNGFが枯渇したラットPC−12細胞では、JNKとp38は、持続的活性化を受け、ERKは阻害される。このJNK3と一致して、KOマウスは、海馬中の興奮毒性(excitotoxicity)誘導アポトーシスに耐性であり、さらに重要なことは、これらは、正常な動物と比較して、興奮毒性に応答しててんかん様発作が大幅に低下している(Nature 1997, 389, 865-870)。
【0009】
さらに最近は、JNKシグナル伝達経路が、細胞増殖に関与し、T細胞活性化と増殖により仲介される自己免疫疾患において重要な役割を果たす可能性があることが報告されている(Immunity, 1998, 9, 575-585; Current Biology, 1999, 3, 116-125)。
【0010】
ナイーブ(前駆体)CD4+ ヘルパーT(Th)細胞は、T細胞受容体(TCR)複合体を介して抗原提示細胞(APC)上の特異的MHC−ペプチド複合体を認識する。TCT−介在シグナル以外に、少なくともある程度APC上のB7タンパク質とともにT細胞上に発現されるCD28の結合により、同時刺激シグナルが提供される。これら2つのシグナルの組合せには、T細胞クローン性発現を含む。
【0011】
4〜5日間増殖後、CD4+ T細胞の前駆体は、免疫系の機能を仲介する武装エフェクターTh細胞に分化する。分化プロセス中に、遺伝子発現の多大な再プログラミングが起きる。
【0012】
2つのサブセットのエフェクターTh細胞が、その明瞭なサイトカイン分泌パターンと免疫調節作用に基づいて規定されている(Th1細胞は、IFNγとLT(TNF−β)を産生し、これは細胞性炎症性反応に必要である。Th2細胞は、IL−4、IL−5、IL−6、IL−10およびIL−13を分泌し、これはB細胞活性化と分化を仲介する)。これらの細胞は、免疫応答において中心的な役割を果たす。JNK MAPキナーゼ経路は、抗原刺激によりTh1中で誘導されるが、Th2エフェクター細胞中では誘導されない。前駆CD4+ T細胞のTh1(しかしTh2ではない)細胞への分化は、JNK2−欠損マウスで傷害されている。従って近年、JNKキナーゼ経路は、JNK2を介するTh1とTh2免疫応答のバランスにおいて重要な役割を果たすことが認識されている。
【0013】
JNKキナーゼ経路を阻害することを目的として、WO/9849188は、ヒトポリペプチド、すなわちJNK−相互作用タンパク質1(JIP−1)(これは、生物学的産物であり、アポトーシス関連疾患を克服するために測定されている)の使用を教示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
そのようなヒトポリペプチドは、JNKキナーゼ経路に阻害作用を有することが確認されているが、その使用に関連して種々の欠点がある:
・活性バイオペプチドまたはバイオタンパク質は、かなり包括的で高価な生合成によってのみ得られ、従ってこれはしばしば、得られる生成物をコストの高いものにする。
・このペプチドは、膜透過性が低いことが知られており、血液脳膜を通過することができないかも知れない。
・タンパク質インヒビターまたはアンタゴニストの使用の主要な欠点は、腸分解により生じる低い経口生物有用性である。従ってこれらは、非経口的に投与しなければならい、そして最後に、
・ペプチドインヒビターまたはアンタゴニストは、宿主体により、排除すべき侵入物質として認識され、従って自己免疫応答を開始する。
【0015】
従って本発明の目的は、ペプチドまたはタンパク質の使用から生じる基本的にすべての上記欠点を避けるが、種々の疾患、特に神経系または自己免疫系関連疾患の治療に適した比較的小分子を提供することである。特に本発明の目的は、好ましくはJNK機能により仲介される疾患を治療する便利な方法として利用できるように、JNK(Junキナーゼ)経路を調節、好ましくはダウンレギュレートまたは阻害することができる比較的小分子の化合物を提供することである。さらに、本発明の目的は、該小分子化合物を調製する方法を提供することである。さらに本発明の目的は、好ましくはJNK機能により仲介される疾患を治療するための新しい分類の医薬調製物を提供することである。最後の本発明の目的は、自己免疫系および/または神経系の障害により引き起こされる疾患の治療および/または予防方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
発明の説明
上記目的は、個々の請求項によって達成されている。従属請求項(これらは、参照することにより本明細書に組み込まれる)内で、好適な実施態様が記載される。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下の段落は、本発明の化合物を構成する種々の化学残基の定義を提供し、特により広い範囲の定義をしない場合は、明細書全体と請求項を通して均一に適用されるものとする。
【0018】
「C1〜C6−アルキル」とは、1〜6個の炭素原子を有する1価アルキル基を意味する。この用語の例は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ヘキシルなどの基がある。
【0019】
「アリール」とは、単一の環(例えば、フェニル)または複数の縮合環(例えば、ナフチル)を有する6〜14個の炭素原子の不飽和芳香族炭素環基を意味する。好適なアリールには、フェニル、ナフチル、フェナントレニルなどがある。
【0020】
「C1〜C6−アルキルアリール」とは、ベンジル、フェネチルなどを含むアリール置換基を有するC1〜C6−アルキル基を意味する。
【0021】
「ヘテロアリール」とは、単環式複素環式芳香族、または二環式、または三環式縮合環複素環式芳香族基を意味する。複素環式芳香族基の具体例には、任意的に置換されたピリジル、ピロリル、フリル、チエニル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,2,5−オキサジアゾリル、1,3,4−オキサジアゾリル、1,3,4−トリアジニル、1,2,3−トリアジニル、ベンゾフリル、[2,3−ジヒドロ]ベンゾフリル、イソベンゾフリル、ベンゾチエニル、ベンゾトリアゾリル、イソベンゾチエニル、インドリル、イソインドリル、3H−インドリル、ベンズイミダゾリル、イミダゾ[1,2−a]ピリジル、ベンゾチアゾリル、ベンゾキサゾリル、キノリジニル、キナゾリニル、フタラジニル、キノキサリニル、シンノリニル、ナフチリジニル、ピリド[3,4−b]ピリジル、ピリド[3,2−b]ピリジル、ピリド[4,3−b]ピリジル、キノリル、イソキノリル、テトラゾリル、5,6,7,8−テトラヒドロキノリル、5,6,7,8−テトラ−ヒドロイソキノリル、プリニル、プテリジニル、カルバゾリル、キサンテニルまたはベンゾキノリルがある。
【0022】
「C1〜C6−アルキルヘテロアリール」とは、2−フリルメチル、2−チエニルメチル、2−(1H−インドール−3−イル)エチルなどを含むヘテロアリール置換基を有するC1〜C6−アルキル基を意味する。
【0023】
「アルケニル」とは、好ましくは2〜6個の炭素原子と少なくとも1つまたは2つのアルケニル不飽和部位を有するアルケニル基を意味する。好適なアルケニル基には、エテニル(−CH=CH2)、n−2−プロペニル(アリル、−CH2CH=CH2)などがある。
【0024】
「アルキニル」とは、好ましくは2〜6個の炭素原子と少なくとも1〜2個のアルキニル不飽和部位を有するアルキニル基を意味し、好適なアルキニル基には、エチニル(−C≡CH)、プロパルギル(−CH2C≡CH)などがある。
【0025】
「アシル」とは、基−C(O)Rを意味し、ここでRは、「C1〜C6−アルキル」、「アリール」、「ヘテロアリール」、「C1〜C6−アルキルアリール」または「C1〜C6−アルキルヘテロアリール」を含む。
【0026】
「アシルオキシ」とは、基−OC(O)Rを意味し、ここでRは、「C1〜C6−アルキル」、「アリール」、「ヘテロアリール」、「C1〜C6−アルキルアリール」または「C1〜C6−アルキルヘテロアリール」を含む。
【0027】
「アルコキシ」とは、基−O−Rを意味し、ここでRは、「C1〜C6−アルキル」、または「アリール」、または「ヘテロアリール」、または「C1〜C6−アルキルアリール」、または「C1〜C6−アルキルヘテロアリール」を含む。好適なアルコキシ基には、例えばメトキシ、エトキシ、フェノキシなどがある。
【0028】
「アルコキシカルボニル」とは、基−C(O)ORを意味し、ここでRは、「C1〜C6−アルキル」、または「アリール」、または「ヘテロアリール」、または「C1〜C6−アルキルアリール」、または「C1〜C6−アルキルヘテロアリール」を含む。
【0029】
「アミノカルボニル」とは、基−C(O)NRR’を意味し、ここで各R、R’は、独立に水素またはC1〜C6−アルキル、またはアリール、またはヘテロアリール、または「C1〜C6−アルキルアリール」、または「C1〜C6−アルキルヘテロアリール」を含む。
【0030】
「アシルアミノ」とは、基−NR(CO)R’を意味し、ここで各R、R’は、独立に水素または「C1〜C6−アルキル」、または「アリール」、または「ヘテロアリール」、または「C1〜C6−アルキルアリール」、または「C1〜C6−アルキルヘテロアリール」を含む。
【0031】
「ハロゲン」とは、フッ素、塩素、臭素、およびヨウ素原子を意味する。
「スルホニル」とは、基「−SO2−R」を意味し、ここでRは、H、「アリール」、「ヘテロアリール」、「C1〜C6−アルキル」、ハロゲンで置換された「C1〜C6−アルキル」、例えば−SO2−CF3基、「C1〜C6−アルキルアリール」、または「C1〜C6−アルキルヘテロアリール」から選択される。
【0032】
「スルホキシ」とは、基「−S(O)−R」を意味し、ここでRは、H、「C1〜C6−アルキル」、ハロゲンで置換された「C1〜C6−アルキル」、例えば−SO−CF3基、「アリール」、「ヘテロアリール」、「C1〜C6−アルキルアリール」、または「C1〜C6−アルキルヘテロアリール」から選択される。
【0033】
「チオアルコキシ」とは、基−S−Rを意味し、ここでRは、「C1〜C6−アルキル」、または「アリール」、または「ヘテロアリール」、または「C1〜C6−アルキルアリール」、または「C1〜C6−アルキルヘテロアリール」を含む。好適なチオアルコキシ基には、チオメトキシ、チオエトキシなどがある。
【0034】
「置換もしくは非置換」:個々の置換基の定義で特に明記しない場合は、上記の基(「アルキル」、「アルケニル」、「アルキニル」、「アリール」および「ヘテロアリール」など)は、「C1〜C6−アルキル」、「C1〜C6−アルキルアリール」、「C1〜C6−アルキルヘテロアリール」、「C2〜C6−アルケニル」、「C2〜C6−アルキニル」、一級、二級、もしくは三級アミノ基または四級アンモニウム残基、「アシル」、「アシルオキシ」、「アシルアミノ」、「アミノカルボニル」、「アルコキシカルボニル」、「アリール」、「ヘテロアリール」、カルボキシル、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシ、メルカプト、ニトロ、スルホキシ、スルホニル、アルコキシ、チオアルコキシ、トリハロメチルなどよりなる群から選択される1〜5個の置換基で任意的に置換されてよい。あるいは、該置換はまた、隣接する置換基が閉環を受けた状況、特にビシナル官能基置換基が関与して、例えばラクタム、ラクトン、環状無水物、またアセタール、チオアセタール、例えば保護基を得るために閉環により形成されたアミナールを形成する時も含む。
【0035】
「薬剤学的に許容される塩または複合体」とは、所望の生物活性を保持する以下で同定される式Iの化合物の塩または複合体を意味する。そのような塩の例には、特に限定されないが、無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸など)と形成される酸付加塩、および有機酸(例えば、酢酸、オキザル酸、酒石酸、コハク酸、リンゴ酸、フマル酸、マレイン酸、アスコルビン酸、安息香酸、タンニン酸、パモイック酸、アルギン酸、ポリグルタミン酸、ナフタレンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、およびポリガラクツロン酸)と形成される塩がある。該化合物はまた、式−NR,R’、R”+- の四級アンモニウム塩を含み、ここでR、R’、R”は独立に、水素、アルキル、またはベンジルであり、Zは対イオン(塩化物、臭化物、ヨウ化物、−O−アルキル、トルエンスルホン酸塩、メチルスルホン酸塩、スルホン酸塩、リン酸塩、またはカルボン酸塩(例えば、安息香酸塩、コハク酸塩、酢酸塩、グリコール酸塩、マレイン酸塩、リンゴ酸塩、フマル酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、アスコルビン酸塩、桂皮酸塩、マンデル酸塩、およびジフェニル酢酸塩)を含む)である。
【0036】
「薬剤学的に許容される誘導体」とは、患者に投与すると、直接または間接に、本明細書に開示の活性を提供することができる任意の化合物を意味する。
【0037】
「エナンチオマー過剰」(ee)とは、基本的にエナンチオマー合成、またはエナンチオ選択的工程を含む合成により得られる生成物を意味し、こうして、少なくとも約52%eeのオーダーの1つのエナンチオマーが得られる。エナンチオマー合成が無いと、通常ラセミ体が得られ、これはまた、JunK2および/または3インヒビターとして本発明の活性を有する。
【0038】
驚くべきことに、式Iのスルホニルアミノ酸誘導体は、JNK(特にJNK2と3)の作用を有効に阻害することにより、好適な薬剤活性のある物質であることがわかった。応用の便利さから、本発明で見いだされた化合物は、経口投与でも利用できるため、上記ペプチドまたはタンパク質アプローチと比較して顕著な優秀性を示す。これらは、医師が処方することができ、わずかな観察が必要なだけである。また本発明で見いだされた化合物は、ここまで記載した該ペプチド化合物と比較して低コストで入手できる。
【化1】

Ar1とAr2は、互いに独立に、置換もしくは非置換アリールもしくはヘテロアリール基であり、
XはOまたはS、好ましくはOであり;
1は、水素または非置換もしくは置換C1〜C6−アルキル基であり、好ましくはHである。
【0039】
あるいはR1は、Ar1との置換もしくは非置換5〜6−員環飽和または不飽和縮合環である。
【0040】
さらに代替法において、R2およびR4は、置換もしくは非置換5〜6員環の飽和もしくは不飽和環を形成することができる。
【0041】
2は、水素または置換もしくは非置換C1〜C6−アルキル基であり、好ましくはHである。
nは、0〜5の整数であり、好ましくは1〜3であり、最も好ましくは1である。
3とR4は、互いに独立して、天然のまたは合成アミノ酸残基、水素、置換もしくは非置換C1〜C6−アルキル(例えば、トリハロメチル)、置換もしくは非置換C1〜C6−アルコキシ、NH2、SH、C1〜C6−チオアルキル、アシルアミノ、アミノカルボニル、置換もしくは非置換C1〜C6−アルコキシカルボニル、アリール、ヘテロアリール、1〜3個のヘテロ原子を含有していてもよい置換もしくは非置換4〜8員環状アルキル、カルボキシル、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、アシルオキシ、スルホキシ、スルホニル、C1〜C6−チオアルコキシを含むかまたはこれらよりなる群から選択される(ただし、ここでR3および/またはR4の少なくとも1つはアミノ酸残基でなければならない)。
5は、Hまたは置換もしくは非置換C1〜C6−アルキルである。
6は、H、置換もしくは非置換C1〜C6−脂肪族アルキル、任意的に1〜3異項原子を含み、かつ任意的にアリールもしくはヘテロアリールと縮合した置換もしくは非置換飽和環C4〜C8−アルキルであり;R6は、置換もしくは非置換アリール、置換もしくは非置換ヘテロアリールである。
【0042】
ここで、R6のアリールもしくはヘテロアリール基は、任意的に置換または非置換C1〜C6−アルキル(例えばトリハロメチル)、置換もしくは非置換C1〜C6−アルコキシ、置換もしくは非置換C2〜C6−アルケニル、置換もしくは非置換C2〜C6−アルキニル、アミノ、アシルアミノ、アミノカルボニル、置換もしくは非置換C1〜C6−アルコキシカルボニル、アリール、カルボキシル、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、スルホニル、スルホキシ、C1〜C6−チオアルコキシで任意的に置換されている。
【0043】
あるいは、R5とR6は一緒に、置換もしくは非置換4〜8員飽和環状アルキルまたはヘテロアルキル基を形成することができる。
【0044】
本発明はまた、式Iの化合物の幾何異性体、光学活性型、エナンチオマー、ジアステレオ異性体を含み、そのラセミ体、およびまた式Iのスルホニルアミノ酸誘導体の薬剤学的に許容される塩ならびに薬剤活性のある誘導体を含む。
【0045】
好適な実施態様においてR3および/またはR4の少なくとも1つは、以下の天然のアミノ酸残基よりなる群から選択される:アラニル、アルギニル、アスパラギニル、アスパルチル、システイニル、グルタミニル、グルタミル、グリシル、ヒスチジル、イソロイシル、ロイシル、リジル、メチオニル、フェニルアラニル、ピロリル、セリル、スレオニル、トリプトファニル、チロシル、バリル。
【0046】
好適な実施態様において、Ar1とAr2は、フェニル、チエニル、フリル、ピリジルを含む群またはこれらよりなる群から独立に選択される。該残基は、少なくとも1つの置換もしくは非置換C1〜C6−アルキル(例えば、トリハロメチル)、置換もしくは非置換C1〜C6−アルコキシ、置換もしくは非置換C2〜C6−アルケニル、置換もしくは非置換C2〜C6−アルキニル、アミノ、アシルアミノ、アミノカルボニル、置換もしくは非置換C1〜C6−アルコキシカルボニル、アリール、カルボキシル、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、スルホキシ、スルホニル、アシルオキシ、置換もしくは非置換C1〜C6−チオアルコキシにより任意的に置換される。特に好適な実施態様において、Ar1は、非置換もしくは置換フェニルであり、Ar3はチエニル基である。
【0047】
式Iの好適なスルホニルアミノ酸誘導体において、Ar1は非置換もしくは置換フェニル、好ましくは4−クロロフェニル基であり、Xは好ましくはOであり、R1、R2、R3およびR4は好ましくは水素であり、nは1であり、Ar2は好ましくはチエニルであり、R5はHまたはC1〜C6−アルキルである。
【0048】
該好適な実施態様において、R6は、H、置換もしくは非置換C1〜C6−脂肪族アルキル、例えばC1〜C6−アルキルアミノアリール、C1〜C6−アルキルアミノヘテロアリール、任意的に1〜3異項原子を含有し、かつ非置換もしくは置換アリールもしくはヘテロアリールと縮合した置換もしくは非置換環状C4〜C8−アルキルであるか;またはR6は非置換もしくは置換アリールもしくはヘテロアリールである。
【0049】
上記アリールもしくはヘテロアリール基は、置換もしくは非置換C1〜C6−アルキル(例えば、トリハロメチル)、置換もしくは非置換C1〜C6−アルコキシ、置換もしくは非置換C2〜C6−アルケニル、置換もしくは非置換C2〜C6−アルキニル、アミノ、アシルアミノ、アミノカルボニル、置換もしくは非置換C1〜C6−アルコキシカルボニル、アリール、カルボキシル、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、アシルオキシ、スルホキシ、スルホニル、C1〜C6−チオアルコキシで、任意的に置換される。
【0050】
あるいはR5とR6は一緒に、非置換もしくは置換4〜8員飽和環状アルキルもしくはヘテロアルキル基(例えば、非置換もしくは置換ピペリジノ基)を形成することができる。
【0051】
本発明の特に好適な実施態様は、スルホニルアミノ酸誘導体に関し、ここでR5はHであり;R6は、アリール、ヘテロアリール基またはアミノアリール、アミノヘテロアリール、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシで置換されたC1〜C6−アルキルであり、該アリールおよびヘテロアリール基は、置換もしくは非置換C1〜C6−アルキル(例えば、トリハロメチル)、置換もしくは非置換C1〜C6−アルコキシ、置換もしくは非置換C2〜C6−アルケニル、置換もしくは非置換C2〜C6−アルキニル、アミノ、アシルアミノ、アミノカルボニル、置換もしくは非置換C1〜C6−アルコキシカルボニル、置換もしくは非置換アリール、カルボキシル、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、スルホキシ、スルホニル、アシルオキシ、C1〜C6−チオアルコキシで、任意的に置換される。
【0052】
本発明の好適な実施態様において、スルホニルアミノ酸誘導体のR6は、置換もしくは非置換ピリジル基である。
【0053】
式Iの化合物の具体例は以下を含む:
4−クロロ−N−({5−[({2−[(2−{[3−クロロ−5−(トリフルオロメチル)ピリジ−2−ニル]アミノ}エチル)アミノ]−2−オキソエチル}アミノ)スルホニル]チエ−2−ニル}メチル)ベンズアミド
【0054】
4−クロロ−N−[(5−{[(2−{[2−({5−ニトロピリジ−2−ニル}アミノ)エチル]アミノ}−2−オキソエチル)アミノ]スルホニル}チエ−2−ニル)メチル]ベンズアミド
【0055】
4−クロロ−N−({5−[({2−オキソ−2−[(2−{[3−(トリフルオロメチル)ピリジ−2−ニル]アミノ}エチル)アミノ]エチル}アミノ)スルホニル]チエ−2−ニル}メチル)ベンズアミド
【0056】
4−クロロ−N−({5−[({2−オキソ−2−[(2−{[5−(トリフルオロメチル)ピリジ−2−ニル]アミノ}エチル)アミノ]エチル}アミノ)スルホニル]チエ−2−ニル}メチル)ベンズアミド
【0057】
N−({5−[({2−[4−(1H−1,2,3−ベンゾトリアゾール−1−イル)ピペリジ−1−ニル]−2−オキソエチル}アミノ)スルホニル]チエ−2−ニル}メチル)−4−クロロベンズアミド
【0058】
4−クロロ−N−[(5−{[(2−オキソ−2−{3−[(トリフルオロメチル)スルホニル]アニリノ}エチル)アミノ]スルホニル}チエ−2−イル)メチル]ベンズアミド
【0059】
本発明のさらなる面は、JNK機能またはシグナル伝達経路関連疾患、特に神経疾患および/または免疫系の疾患に対する、調節、特にダウンレギュレート (例えば阻害)するための医薬組成物の調製のための、式のスルホニルアミノ酸誘導体の使用、ならびに医薬組成物自体である。好適なJNK経路は、JNK1および/またはJNK2および/またはJNK3である。
【0060】
上記したように、式Iの化合物は医薬としての使用に適している。上記一般式Iに分類される化合物のほんのわずかのものが、本出願以前に開示されているが、これまでまだ医学的または生物学的活性を証明したものはない。従って、上記式Iに属する新規化合物および少ない公知の化合物の両方が、一連の疾患、例えば、哺乳動物特にヒトの自己免疫系および神経系の疾患の治療に使用するのに適していることが、本明細書において報告される。さらに詳しくは、式Iの化合物は単独または医薬組成物の形で、JNK経路の調節、さらに詳しくはJNK、特にJNK1および/またはJNK2および/またはJNK3の異常な発現または活性に関連する疾患の治療または予防に有用である。該調節は通常好ましくは、JNK経路、特にJNK1および/またはJNK2および/またはJNK3の阻害を含む。JNKのそのような異常発現または活性は、無数の刺激(例えば、ストレス、敗血症ショック、酸化的ストレス、サイトカイン)により引き起こされ、以下に記載する疾患や病状にしばしば関与する制御できないアポトーシスまたは自己免疫疾患に至ることがある。従って式Iの化合物は、JNK機能またはシグナル伝達経路を調節することにより疾患の治療に使用される。JNK機能または経路の該調節は、その活性化を含むが、好ましくはJNK経路、特にJNK1および/またはJNK2および/またはJNK3のダウンレギュレーションから阻害までを含む。式Iの化合物は、単独でまたはさらなる薬剤と組合せて使用される。
【0061】
具体的には式Iの化合物は、JNK1および/またはJNK2および/またはJNK3の阻害が決定的に重要な役割を果たす免疫関連および/または神経関連疾患または病状(例えば、てんかん;アルツハイマー病、ハンティントン病、パーキンソン病のような神経変性疾患;網膜疾患;脊髄損傷;頭部損傷、多発性硬化症を含む自己免疫疾患、炎症性腸疾患(IBD)、リウマチ様関節炎;喘息;敗血症ショック;移植拒絶;乳癌、結腸癌、膵臓癌を含む癌、および卒中、脳虚血、動脈硬化、心筋梗塞、心筋潅流傷害を含む心血管疾患)の治療または予防に有用である。
【0062】
驚くべきことに、本発明で見いだされた式Iの化合物は、JNK1および/またはJNK2および/またはJNK3のインヒビターとして大きな活性を示す。好適な実施態様において本発明の化合物は、JNK2および3と偶然同じファミリーに属する2つのさらなるアポトーシス調節酵素(すなわち、p38とERK2)を考慮すると、予想外に実質的に不活性である。従って本発明の化合物は、JNK経路に関連する疾患を選択的に治療し、p38やERK2のような他の標的に関しては基本的に効率が低いという顕著な可能性を示し、その結果選択的インヒビターと考えられる。これらの関連酵素は一般に異なる疾患に関与しているため、これは非常に意義があり、従って異なる疾患の治療には、対応する選択的薬剤を使用することが好ましい。
【0063】
実際、本明細書に報告され驚くべきことに見いだされた本発明の式Iのスルホニルアミノ酸誘導体以前は、JNK経路のインヒビターとしての小分子化合物の使用について何も知られていなかった。
【0064】
本発明のさらなる面は、実際に新規な式Iのスルホニルアミノ酸誘導体、すなわち先行技術では開示されていない式IのJNK阻害スルホニルアミノ酸誘導体である。実際、式Iの一部の少ない化合物は、Ragab A.らのIndian J. Chem., Sec. B; Org. Chem. Incl. Med. Chem., 1998, 37B(19), 1059-1062に開示されているが、薬剤についての記載はない。Ragab A.らの式Iの公知の化合物は、Ar1が4−クロロフェニルまたは2,4−ビスクロロフェニル残基であり;Ar2がフェニルであり;n=1であり;XがOであるものであり、残基R1、R2、R3およびR5はすべてHであり;R4が、H、CH3、CH2−C64−OH−4、CH2−CH−(CH32であり、R6がCH2−CO2CH3であるものである。
【0065】
3つのさらなる化合物が、会社のカタログで言及されているという意味で、CEREP社(www.cerep.fr)から開示されているが、薬剤についての記載はない。
【0066】
一般にCEREP社の式Iの化合物は、Ar1が4−クロロフェニルであり、XがOであり、R1がHであり、Ar2がチエニル基であるものであるが、2つの化合物において、残基R1、R2、R3、R5およびR6はすべてHであり、R4はメチルまたは(4−ヒドロキシフェニル)エチルである。第3のCEREP化合物において、R1、R3、R5はHであり、R4はメチルであり、R2はプロピルであり、R6は2−メチルフェニルである。
【0067】
従って、式Iの完全に新規なスルホニルアミノ酸誘導体は、式I
【化2】

のものであり、上記のRagab A.らとCEREPの公知の化合物は排除される。
本発明のさらなる目的は、上記の式Iの新規なスルホニルアミノ酸誘導体の調製法である。
【0068】
本発明のスルホニルアミノ酸誘導体は、容易に入手できる出発物質から、以下の一般的方法と操作を使用して調製することができる。典型的なまたは好適な実験条件(すなわち、反応温度、時間、試薬のモル数、溶媒など)が与えられるが、特に明記しない場合は他の実験条件も使用できることを理解されたい。最適な反応条件は、使用される特定の反応物または溶媒で変化するが、そのような条件は、当業者がルーチンの最適化法により決定することができる。
【0069】
好適な合成法において式Iのスルホニルアミノ酸誘導体は、まず式IIのアミン:
【化3】

(ここで、Ar2とR1は上記で定義したものである)を、式IIIのアシル塩化物:
【化4】

(ここで、Ar1は上記で定義したものである)と結合させて、こうして式IVのアミド:
【化5】

を得ることにより調製される。
式IIのアミンは、公知の化合物であるか、または公知の化合物から従来法を使用して調製することができる。出発物質として好適なアミンには、チエ−2−ニル−メチルアミン、フラ−2−ニル−メチルアミン、ピリ−2−ジルメチルアミンなどがある。
【0070】
式IIIのアシル塩化物はまた、市販されているかまたは既に記載されている化合物である。好適なアシル塩化物には、塩化4−クロロベンゾイル、塩化4−フルオロベンゾイル、塩化4−トリフルオロメチルベンゾイルなどがある。公知ではなくても、酸ハロゲン化物は、対応するカルボン酸を無機酸ハロゲン化物(例えば、塩化チオニル、三塩化リンまたは塩化オキザリル)と従来の条件下で反応させて調製することができる。
【0071】
一般にこの反応は、約1〜5モル当量の無機酸ハロゲン化物または塩化オキザリルを使用して、そのまままたは不活性溶媒(例えば、四塩化炭素)中で、約0℃〜約80℃の範囲の温度で約1〜約48時間反応させて行われる。N,N−ジメチルホルムアミドのような触媒を、この反応に使用してもよい。
【0072】
アシルハロゲン化物が結合反応で使用される時、これは典型的にはアミンIIと、適当な塩基の存在下で反応させて、反応中で生成する酸を除去する。例えば適当な塩基には、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルモルホリンなどがある。あるいは過剰のアミンIIを使用して、反応中で生成する酸を除去してもよい。
【0073】
あるいは式IIIのカルボン酸は、結合反応で使用することができる。IIIのカルボン酸は通常、市販の試薬であるかまたは従来法により調製することができる。
【0074】
IIIのカルボン酸(すなわち、アシル塩化物)の結合反応は、従来の結合試薬(例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミドのようなカルボジイミド)を含む)および他の促進剤(例えば、N,N−カルボニル−ジイミダゾールまたはPyBOP)を使用して行われる。この反応は、公知の添加剤(例えば、カルボン酸とアミンの結合を促進することが知られているN−ヒドロキシスクシンイミド、1−ヒドロキシベンゾトイラゾールなど)を使用してまたは使用しないで、行われる。
【0075】
酸ハロゲン化物IIIまたはそのカルボン酸を使用する結合反応は、好ましくは約0℃〜約6℃の温度で約1〜約24時間行われる。典型的には反応は、不活性な非プロトン性溶媒(例えば、ジメチルホルムアミド、ジクロロメタン、クロロホルム、アセトニトリル、テトラヒドロフランなど)中で、カルボン酸またはその酸ハロゲン化物に基づいて約1〜約5モル当量のアミンを使用して行われる。反応が完了すると、カルボキサミドIVが、従来法(沈降、クロマトグラフィー、ろ過、蒸留などを含む)を使用して回収される。
【0076】
式Iのスルホニルアミノ酸の調製に必要な式Vのスルホニル塩化物は、市販されているかまたは従来のスルホン酸化法により調製される。
【化6】

この反応での使用に好適なスルホン酸化試薬は、クロロスルホン酸である。典型的にはスルホン酸化反応は、式IVのカルボキサミドを不活性溶媒(例えば、ジクロロメタン)中の約5〜約10モル当量のスルホン酸化試薬を用いて、約−70℃〜約50℃の温度で処理して行われる。好ましくはクロロスルホン酸の添加は、ー70℃で起き、中間体のクロロスルホン酸が形成される。温度を20℃に上げると、式Vの塩化スルホニルが形成される。
【0077】
さらに好適な調製法において、特に式Vの塩化スルホニルの予備的合成に至る上記方法が適用できない場合は、本発明のスルホニルアミノ酸は以下の工程により調製される:
【0078】
・式IIの化合物のアミン官能基の保護;
・芳香族基のクロロスルホニル化;
・スルホニルアミノ酸官能基の形成;
・保護基の脱保護;
・上記の生成した遊離のアミンのアシル化;
式IIのアミンは、アミン残基の適当な保護基で保護されて、式VIの中間体化合物を与え、ここでPは、当業者が使用する任意の保護基を意味する。
【化7】

アミン官能基の無数の保護基Pならびにその導入と除去は、T.W. GreeneとG.M. Wuts, "Protective groups in Organic Synthesis"、第3版、Wiley, New York、1999および文献はそこに引用されている文献に記載されている。安定であって、金属遷移複合体(例えば、パラジウム複合体、例えばアリルカルバメート(Alloc)またはN,N’−ビスアリル基)を使用して除去される酸および塩基である保護基が好ましい。さらに好適な保護基は、広範囲の実験条件下で安定なマレイミド基である。
【0079】
該基の導入は、対応するビスアリルカーボネート無水物または臭化アリルまたは無水マレイン酸を、塩基(例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルモルホリンなど)の存在下で、非プロトン性溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、ジクロロメタン、クロロホルム、アセトニトリル、テトラヒドロフランなど)中で、約0℃〜約80℃の範囲の温度で、反応させて行われる。
【0080】
次に式VIの化合物は、従来の非常に穏やかなスルホン酸化法を使用してスルホン酸化され、式VIIの塩化スルホニルが得られる。
【化8】

典型的には保護されたアミンVIは、n−ブチルリチウムまたはtert−ブチルリチウムのような塩基と、不活性雰囲気中で、極性非プロトン性溶媒(例えば、テトラヒドロフラン、エーテル、またはジオキサン)中で、−70℃〜0℃の範囲の温度で15分〜4時間処理される。こうして生成した陰イオンは、次にSO2Cl2、さらに好ましくはSO2を用いて、ガスを反応混合物中に、−70℃〜20℃の範囲の温度で5分〜1時間処理される。得られたスルホン酸塩は、N−クロロスクシニミドと0℃〜70℃の範囲の温度で接触させることにより、「in situ」で式VIIの塩化スルホニルに変換される。
【0081】
式Iのスルホニルアミノ酸誘導体は、下記の反応工程図1または2を使用して、対応する上記塩化スルホニルVまたはVIIから得ることができる。
【化9】

式VIIIの保護されたアミノ酸誘導体は、市販されているかまたは公知の方法により当業者が調製することができる。
【0082】
アミノ酸誘導体のカルボン酸官能基の無数の保護基ならびにその導入と除去は、T. W. GreeneとG.M. Wuts, Protecting groups in Organic Synthesis、第3版、Wiley、ニューヨーク、1998、およびそこに引用された文献に詳細に記載されている。アルキルエステルおよび特にtert−ブチルエステルのような酸性条件を使用して、除去することができる保護基が好ましい。
【0083】
次に式VまたはVIIのスルホニル誘導体のアルキル化は、これらを式VIIIの保護されたアミノ酸誘導体と、反応中に生成する酸を除去する適当な塩基の存在下で反応させることにより容易に行われる。適当な塩基には、例えばトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルモルホリンなどがある。反応は好ましくは、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、エタノール、アセトニトリルのような溶媒中で、約0℃〜約100℃の温度で行われる。
【0084】
脱保護後に生成した中間体化合物IXまたはXのカルボン酸官能基と、R54NH型のアミン(市販されているかまたは公知の調製物)との結合反応は、アミド調製の公知の方法に従って、上記の好適な条件下で、一般式Iの化合物を得ることにより行われる。
【0085】
式Xの誘導体の使用によりスルホニルアミノ酸が得られ、これは、脱保護されアシル化されて、反応工程図2に従って式Iの化合物を提供する必要がある。
【0086】
本発明の一部として考慮すべき別の調製法は、上記反応工程図3に記載されている。
【化10】

式XIの保護されたアミノ酸誘導体は、市販されているかまたは公知の方法により当業者が調製することができる化合物である。
【0087】
アミノ酸誘導体のアミノ官能基の無数の保護基ならびにその導入と除去は、T. W. GreeneとG.M. Wuts, Protecting groups in Organic Synthesis、第3版、Wiley、ニューヨーク、1998、およびそこに引用された文献に詳細に記載されている。塩基性または酸性条件を使用して除去することができる保護基(例えば、それぞれFmocとBoc基)が好ましい。
【0088】
化合物XIのカルボン酸官能基と、R54NH型のアミン(市販されているかまたは公知の調製物)との結合反応は、アミド調製の公知の方法に従って、上記の好適な条件下で行われる。
【0089】
次に式Vのスルホニル誘導体のアルキル化は、これらを式XIIの適当な脱保護されたアミノ酸誘導体と、反応中に生成する酸を除去する適当な塩基の存在下で反応させることにより容易に行われる。適当な塩基には、例えばトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルモルホリンなどがある。反応は好ましくは、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、エタノール、アセトニトリルのような溶媒中で、約0℃〜約100℃の温度で行われる。
【0090】
式Iの化合物を得るのに上記の一般的合成法が適用できないなら、当業者に公知の適当な調製法が使用される。例えば、Ar2がフェニルである時、市販のシアノフェニル塩化スルホニルから出発して、当業者に公知の従来法を適用して、式Iのスルホンアミド誘導体を得ることができる。
【0091】
本発明のさらなる面は、JNK経路の調節のための式Iの化合物の使用、JNK経路の調節のために医薬組成物の調製のための該化合物の使用、ならびに式Iの活性化合物を含有する製剤に関する。JNK経路の該調節は、種々の疾患の治療のための適切なアプローチと考えられる。薬剤として使用される時、本発明のスルホニルアミノ酸誘導体は、典型的には医薬組成物の形で投与される。従って、式Iの化合物、薬剤学的に許容される担体、希釈剤、または賦形剤を含む医薬組成物はまた、本発明の範囲内である。当業者は、医薬組成物を製剤化するのに適した種々のそのような担体、希釈剤または賦形剤化合物を理解しているであろう。また本発明は、医薬として使用される化合物を提供する。特に本発明は、哺乳動物、特にヒトの免疫系ならびに神経系の疾患を治療するための、単独のまたは他の医薬と組合せた、JNKインヒビター、特にJNK1および/またはJNK2および/またはJNK3として使用される式Iの化合物を提供する。
【0092】
本発明の化合物は、従来から使用されているアジュバント、担体、希釈剤または賦形剤とともに、医薬組成物の形で、かつその単位服用量で入れられ、そのような形で、例えば錠剤、充填カプセル剤のような固形剤、溶解剤、懸濁剤、乳剤、エリキシル剤のような液剤、またはこれらを充填したカプセル剤(すべて経口投与用)、または非経口投与(皮下使用を含む)のための無菌注射剤の形で使用される。そのような医薬組成物およびその単位投与型は、追加の活性化合物または成分有りまたは無しで、従来の比率で成分を含有してもよく、そのような単位投与型は、使用される目的の1日投与量範囲に対応する活性成分の適当な有効量を含有してもよい。
【0093】
医薬として使用される時、本発明のスルホニルアミノ酸誘導体は、典型的には医薬組成物の形で投与される。そのような組成物は、医薬品分野で公知の方法で調製され、少なくとも1つの活性化合物を含有してもよい。一般に本発明の化合物は、薬剤学的にまたは薬理学的に有効な量で投与される。実際に投与される化合物の量は、典型的には、関連した状況(治療すべき症状、選択された投与経路、投与される実際の化合物、個々の患者の年齢、体重、および応答、患者の症状の重症度などを含む)を考慮して、医師が決定する。
【0094】
本発明の医薬組成物は、経口、直腸、経皮、皮下、静脈内、筋肉内、および経鼻経路を含む種々の経路により投与することができる。目的とする送達経路に依存して、化合物は好ましくは、注射剤または経口投与組成物として調製される。経口投与用の組成物は、バルクの液体溶解剤または懸濁剤、またはバルクの散剤の形でもよい。しかしより一般的には、この組成物は、正確な投与を促進するために、単位投与型で提供される。「単位投与型」という用語は、各単位が、適当な薬剤の賦形剤と一緒に所望の治療効果を生み出すと計算される活性物質のあらかじめ決められた量を含有する、ヒト被験体および他の哺乳動物の単位服用量として適した物理的に分かれた単位を意味する。典型的な単位投与型は、あらかじめ充填された、あらかじめ測定されたアンプルまたはシリンジの液体組成物または丸剤、錠剤、カプセル剤などを、固体組成物の場合を含む。そのような組成物において、式Iのスルホニルアミノ酸化合物は、通常あまり主要ではない成分(約0.1〜約50重量%の、好ましくは約1〜約40重量%)であり、残りは、、所望の投与型を形成するのに有用な種々のビヒクルまたは担体および処理補助物である。
【0095】
経口投与に適した液体型には、緩衝剤、懸濁剤および調剤物質、着色剤、香味剤など有する適当な水性または非水性ビヒクルがある。固体型には、例えば以下の任意の成分、または類似の性質を有する化合物;微結晶セルロース、トラガカントゴムまたはゼラチンのような結合剤;デンプンまたは乳糖のような賦形剤、アルギン酸、プリモゲル、またはトウモロコシデンプンのような崩壊剤;コロイド性二酸化ケイ素のような直打用滑沢剤;ショ糖またはサッカリンのような甘味剤;またはペパーミント、サリチル酸メチル、またはオレンジ風味のような香味剤がある。
【0096】
注射用組成物は、典型的には注射用無菌食塩水またはリン酸緩衝化生理食塩水または当該分野で公知の他の注射用担体に基づく。上記したように、そのような組成物中の式Iのスルホニルアミノ酸化合物は、典型的には非主要成分であり、しばしば0.05%〜10重量%の範囲で残りは注射用担体などである。
【0097】
経口投与または注射用組成物のための上記組成物は、代表的なものを例示するのみである。さらなる物質ならびに処理法などは、レミントンの薬剤科学(Remington's Pharmaceutical Sciences)、第17版、1985年、マックパブリシングカンパニー(Mack Publishing Company)、イーストン(Easton)、ペンシルバニア州(これは、参照することにより本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0098】
本発明の化合物はまた、除放性製剤または除放性ドラッグデリバリーシステムで投与することができる。代表的な除放性物質の説明はまた、レミントンの薬剤科学(Remington's Pharmaceutical Sciences)にも記載されている。
【実施例】
【0099】
以下では、いくつかの例を用いて本発明を説明するが、これらは決して本発明の範囲を限定するものではない。
【0100】
実施例
実施例1:4−クロロ−N−({5−[({2−[(2−{[3−クロロ−5−(トリフルオロメチル)ピリジ−2−ニル]アミノ}エチル)アミノ]−2−オキソエチル}アミノ)スルホニル]チエ−2−ニル}メチル)ベンズアミド 1
4−クロロ−N−チオフェ−2−ニルメチル−ベンズアミド 1a
50mlの無水CH2Cl2中の塩化4−クロロベンゾイルの溶液(0.114mol)を、30分かけて、0℃のCH2Cl2(200ml)中の2−アミノメチル−チオフェン(0.137mol)とiPR2NEt(0.25mol)の攪拌溶液に加える。白色の固体が生成し、反応物を1時間かけて室温まで暖める。混合物を200mlのCH2Cl2で希釈し、HCl水溶液(0.1N)で2回洗浄し、MgSO4で乾燥する。溶媒を留去すると、28g(98%)の標題のベンズアミドが白色の固体として得られる:mp 153-54℃、1H NMR (CDCl3) δ7.9 (d, J=8.67 Hz, 2H), 7.58 (d, J=8.67 Hz, 2H), 7.44 (dd, J=3.77, 1.13 Hz, 1H), 7.22 (d, J=5.27 Hz, 1H), 7.16 (dd, J=3.39, 5.27 Hz, 1H), 6.62 (br d, 1H), 4.98 (d, J=5.65 Hz, 2H)。
【0101】
5−({[1−(4−クロロ−フェニル)−メタノイル]−アミノ}−メチル)−チオフェン−2−スルホニルクロリド 1b
CH2Cl2(80ml)中のクロロスルホン酸(20.1ml、198mmol)を、−80℃のCH2Cl2(500ml)中の1aの溶液(10g、40mmol)に滴下して加える。混合物を5時間で室温まで戻す。反応混合物を氷上に注ぎ、CH2Cl2で急速に抽出する。有機層をMgSO4で乾燥し、溶媒を蒸発乾固して、8.8g(63%)の所望の塩化スルホニル1bを得る;mp 133-35℃, 1H NMR (DMSO)δ 9.21 (t, J=6.4 Hz, 1H), 7.87 (d, J=8.67 Hz, 2H), 7.53 (d, J=8.67 Hz, 2H), 6.91 (d, J=3.39 Hz, 1H), 6.77 (d, J=3.39 Hz, 1H), 4.53 (d, J=3.77 Hz, 2H)。
【0102】
[5−({[1−(4−クロロ−フェニル)−メタノイル]−アミノ}−メチル)−チオフェン−2−スルホニルアミノ]−酢酸tert−ブチルエステル 1c
H−Gly−OtBu.HCl(263mg、1.57mmol)を、20mlのCH2Cl2に溶解する。i−PR2NEtを塩基として使用してpHを9に調整する(537μl、3.14mmol)。この溶液に、10mlのDMF中の1b(500mg、1.43lmmol)を滴下して加える。反応物を一晩攪拌する。30mlのCH2Cl2を加え、有機相をHC(0.1N)と飽和NaCl溶液で洗浄する。MgSO4上で乾燥し、溶媒を蒸発乾固して1c(400mg、63%)を白色の固体として得る。mp ℃、1H NMR (d6-DMSO) δ9.34 (t, J=6.40 Hz, 1H), 8.25 (t, J=6.40 Hz, 1H), 7.89 (d, J=8.67 Hz, 2H), 7.56 (d, J=8.67 Hz, 2H), 7.41 (d, J=3.77 Hz, 1H), 7.05 (d, J=3.77 Hz, 1H), 4.62 (d, J=6.40 Hz, 2H), 3.59 (d, J=6.40 Hz, 2H), 1.3 (s, 9H)。
【0103】
[5−({[1−(4−クロロ−フェニル)−メタノイル]−アミノ}−メチル)−チオフェン−2−スルホニルアミノ]−酢酸 1d
0℃のCH2Cl2(10ml)中の1cの溶液(400mg、0.9mmol)に、TFA(10ml)を加え、反応物を0℃で一晩攪拌し、室温でさらに1時間攪拌する。溶媒を蒸発乾固して1d(300mg、86%)を白色の固体として得る。1H NMR (d6-DMSO) δ9.34 (t, J=5.65 Hz, 1H), 8.20 (t, J=6.03 Hz, 1H), 7.89 (d, J=8.67 Hz, 2H), 7.56 (d, J=8.67 Hz, 2H), 7.43 (d, J=3.77 Hz, 1H), 7.05 (d, J=3.77 Hz, 1H), 4.63 (d, J=5.65 Hz, 2H), 3.59 (d, J=6.03 Hz, 2H)。
【0104】
4−クロロ−N−({5−[({2−[(2−{[3−クロロ−5−(トリフルオロメチル)ピリジ−2−ニル]アミノ}エチル)アミノ]−2−オキソエチル}アミノ)スルホニル]チエ−2−ニル}メチル)ベンズアミド 1
CH2Cl2/DMF 2:1(8ml)中の1d(50mg、0.13mmol)の攪拌溶液に、i−PR2NEtを加えてpHを7.5に調整する。DIC(18mg、0.14mmol)とHOBt(19mg、0.14mmol)を加え、溶液を室温で30分攪拌する。この溶液に、CH2Cl2(3ml)中の1−(1−(3−クロロ−5−トリフルオロメチル)ピリジン−エチレンジアミン(34mg、0.14mmol)を加える。反応混合物を4.5時間攪拌する。40mlのCH2Cl2を加え、有機相を、HCl(0.1N)、飽和NaHCO3、飽和NaClで洗浄し、MgSO4で乾燥する。粗生成物をシリカゲルのクロマトグラフィーで溶出液としてEtOAc/ヘキサン 8:2を使用して、17mg(21%)の1を得る。1H NMR (d6-DMSO) δ9.34 (t, J=6.03 Hz, 1H), 8.32 (brd, 1H), 8.04-8.14 (m, 2H), 7.95 (d, J=2.26 Hz, 1H), 7.88 (d, J=8.67 Hz, 2H), 7.54 (d, J=8.67 Hz, 2H), 7.43 (d, J=3.77 Hz, 1H), 7.28 (d, J=5.65 Hz, 1H), 7.06 (d, J=3.77 Hz, 1H), 4.63 (d, J=6.03 Hz, 2H), 3.36-3.48 (m, 4H) 。
【0105】
実施例2:4−クロロ−N−[(5−{[(2−{[2−({5−ニトロピリジ−2−ニル}アミノ)エチル]アミノ}−2−オキソエチル)アミノ]スルホニル}チエ−2−ニル)メチル]ベンズアミドアミド 2
ジアリル−チオフェ−2−ニルメチルアミン 2a
臭化アリル(55ml、65.4mmol)を、CH2Cl2(270ml)中の2−アミノメチル−チオフェン(24ml、23.3mmol)とi−Pr2NEt(120ml、70.1mmol)の溶液に加える。穏やかに発熱性の反応物は、1時間後に自然に還流温度に達する。この反応物を、氷浴を用いて冷却して、室温で14時間撹拌すると、望ましくない沈殿物が出現する。この沈殿物(45g)をろ過して除去する。有機層から溶媒を留去して、EtOAcで希釈すると、さらに沈殿物が出現(45g)するため、これをろ過により除去する。EtOAc溶液をSiO2でろ過して、濃縮することにより、36.1g(80%)の標題のジアリルアミンが淡黄色の油状物として得られる:1H NMR (CDCl3) δ7.25 (br.d, J=5.9 Hz, 1H), 6.98 (br.dd, J=5.1, 2.8 Hz, 1H), 6.94-6.92 (m, 1H), 5.99-5.86 (m, 2H), 5.29-5.18 (m, 4H), 3.85 (s, 2H), 3.16 (dd, J=6.3, 0.9 Hz, 4H)。
【0106】
5−ジアリルアミノメチル−チオフェン−2−スルホニルクロリド 2b
Et2O中のアリル保護チオフェン4a(6.2g、32.1mmol)の溶液を、アセトン/ドライアイス浴を用いて−70℃に冷却する。ペンタン中のt−BuLiの溶液(21.38ml、1.5M、32.1mmol)を2分かけて加えると、内部温度は一瞬で−50℃に上昇して、混合物は橙色に変わる。10分後、SO2を2分間バブリングすると、粘性の沈殿物が直ちに形成される。反応物が0℃に達するのを待ち、THF(20ml)中のNCS(4.63g、32.1mmol)の懸濁液を加えると、スラリーは紫色に変わる。室温で45分後、混合物を、EtOAcで溶出しながらSiO2でろ過する。溶媒の留去、EtOAc:ヘキサン(1:5)での希釈及びSiO2によるろ過によって、5.0g(53%)の標題の塩化スルホニルが淡褐色の油状物として得られるが、これをさらに精製することなく使用する。
【0107】
2−(5−ジアリルアミノメチル−チオフェン−2−スルホニルアミノ)−[2−(5−ニトロ−ピリジ−2−ニルアミノ)−エチル]−アセトアミド 2c
2cの調製は、前記したとおり最初にグリシンtert−ブチルエステル塩酸塩を2bに加え、次に生じる脱保護中間体をN−(5−ニトロ−ピリジ−2−ニル)−1,2−エチレンジアミンと結合することにより実施される。
【0108】
2−(5−アミノメチル−チオフェン−2−スルホニルアミノ)−[2−(5−ニトロ−ピリジ−2−ニルアミノ)−エチル]−アセトアミド 2d
CH2Cl2中のビスアリルアミン2c(7.25mmol)、N,N’−ジメチルバルビツール酸(NDMBA、2.8g、18.1mmol)、及びPd(PPh34(148.8mg、0.13mmol)の溶液を、10分間アルゴンをバブリングすることにより脱気する。反応物を室温で3時間撹拌すると、所望のアミン2dがそのNDMBA塩として沈殿する。この混合物をEtOAc(200ml)とヘキサン(200ml)で希釈して、水(3×50ml)で洗浄する。粗化合物2dは、さらに精製することなく次の工程において使用するのに十分に純粋である。
【0109】
4−クロロ−N−[(5−{[(2−{[2−({5−ニトロピリジ−2−ニル}アミノ)エチル]アミノ}−2−オキソエチル)アミノ]スルホニル}チエ−2−ニル)メチル]ベンズアミド 2
ピリジン:CH2Cl2(1:4)中の2−アミノメチル−チオフェン2dの20mg/ml溶液を−40℃に冷却して、0.8当量の4−クロロフェニルスルホニルクロリドで1時間処理する。反応混合物を30分かけて室温にする。溶媒の留去、CH3CNで希釈、SiO2パッドでろ過、及び溶媒の留去によって、所望のアミド2が得られる。MS m/z APCI: 636 (M+1), 634 (M-1)。HPLC分析:Rt=15.51分(方法c、以下を参照のこと)。
【0110】
上記実施例1〜2に記載される手順、及び適切な出発物質と試薬を用いることにより、下記の追加の式Iのスルホニルアミノ酸誘導体を得ることができた:
下記の表は、記載される実施例のHPLCデータ及び質量分析データを提供する1,2
1 HPLC条件:C8対称性a−MeCN、0.09% TFA、0〜100%(10分)
HPLC条件:C18 b−MeCN、0.09% TFA、0〜100%(20分)、c−MeCN、0.09% TFA、0〜100%(30分)。
2 質量スペクトルAPCI
【0111】
【表1】

実施例7:薬剤調製物の調製
以下の処方例は、本発明の代表的薬剤組成物を例示するものであり、これらに限定されるものではない。
【0112】
調製物1−錠剤
式Iのスルホニルアミノ酸化合物を乾燥粉末として、乾燥ゼラチン結合剤と約1:2の重量比で混合する。少量のステアリン酸マグネシウムを滑沢剤として加える。この混合物を、打錠機で240〜270mg錠(1錠当たり80〜90mgの活性スルホニルアミノ酸化合物)に形成する。
【0113】
調製物2−カプセル剤
式Iのスルホニルアミノ酸化合物を乾燥粉末として、デンプン希釈剤と約1:1の重量比で混合する。この混合物を250mgカプセルに充填する(1カプセル当たり25mgの活性スルホニルアミノ酸化合物)。
【0114】
調製物3−液剤
式Iのスルホニルアミノ酸化合物(1250mg)、ショ糖(1.75g)及びキサンタンガム(4mg)を混和し、10番メッシュU.S.篩を通し、次に水中の微結晶性セルロースとナトリウムカルボキシメチルセルロース(11:89、50mg)の前もって調製した溶液と混合する。安息香酸ナトリウム(10mg)、香味剤、及び着色料を水で希釈して、撹拌しながら加える。次いで十分な水を加えることによって、5mLの総容量を生成させる。
【0115】
調製物4−錠剤
式Iのスルホニルアミノ酸化合物を乾燥粉末として乾燥ゼラチン結合剤と約1:2の重量比で混合する。少量のステアリン酸マグネシウムを滑沢剤として加える。この混合物を、打錠機で450〜900mg錠(150〜300mgの活性スルホンアミド化合物)に形成する。
【0116】
調製物5−注射剤
式Iのスルホニルアミノ酸化合物を緩衝化滅菌食塩水の注射用水性媒体に溶解して、約5mg/mlの濃度とする。
【0117】
実施例8:生物学的測定法
JNK2及び3インビトロ測定法:JNK2及び/または3測定法は、96ウェルMTTプレートで、0.5μgの組換えのプレ活性化GST−JNK3またはGST−JNK2を1μgの組換えのビオチン化GST−c−Jun及び2μM 33γ−ATP(2nCi/μl)と共に、スルホニルアミノ酸インヒビターの存在下または非存在下で、かつ50mMトリス−HCl、pH8.0;10mM MgCl2;1mMジチオトレイトール、及び100μM NaVO4を含む50μlの反応体積でインキュベートすることにより実施する。インキュベーションは、室温で120分間行い、リン酸生理食塩水緩衝液中に250μgのストレプトアビジン被覆SPAビーズ(アマーシャム社(Amersham, Inc.))*、5mM EDTA、0.1%トリトンX−100及び50μM ATPを含む200μlの溶液の添加により停止させる。室温で60分間インキュベーション後、1500×gで5分間遠心分離してビーズを沈降させ、5mM EDTA、0.1%トリトンX−100及び50μM ATPを含む200μlのPBSに再懸濁して、前記のようにビーズの沈降後、シンチレーションβカウンターで放射活性を測定する。ビオチン化GST−1ATF2またはミエリン塩基性タンパク質の代わりにGST−c−Junを使用することにより、それぞれプレ活性化p38とERK MAPキナーゼの阻害を測定するためにこの測定法を使用することができる。
【0118】
生物試験結果
式Iのスルホニルアミノ酸誘導体の活性を、前記の生物学的測定法を用いて評価した。代表値を、下記表に示す:
【0119】
【表2】

JNK2及び3、p38並びにERK2のそれぞれに示される値は、IC50(μM)、即ち、該標的(例えばJNK2)の50%阻害を達成するのに必要な量を意味する。AS番号は、上記実施例において番号で記述されたその例示試験化合物を意味する。上記表から、式Iの該試験化合物は、JNK2及び3の両方に顕著な作用を及ぼすが、p38及びERK2には事実上作用を及ぼさず、従って極めて選択的な阻害作用を発揮するということがわかった。
【0120】
交感神経ニューロン培養及び生存活性測定法:新生ラット(p4)の上頚神頚節(SCG)からの交感神経ニューロンをディスパーゼ中で分離し、104細胞/cm2の密度でラット尾コラーゲンをコーティングした48ウェルMTTプレートに塗布して、5%ラット血清、0.75μg/ml NGF 7S(ベーリンガーマンハイム社(Boehringer Mannheim Corp.)、インディアナポリス、インディアナ州)及びアラビノシン105 Mを含むレーボヴィッツ(Leibowitz)培地で培養する。細胞死は、塗布後4日目に、培養液を抗NGF抗体(ベーリンガーマンハイム社、インディアナポリス、インディアナ州)を含みNGFやアラビノシンを含まない培地に、スルホニルアミノ酸インヒビターの存在下または非存在下で曝露することにより誘導する。細胞死誘導の24時間後、細胞生存活性の測定を、0.5mg/mlの3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミド(MTT)中で37℃で1時間の培養液をインキュベートして実施する。MTT中でのインキュベーション後、細胞をDMSOに再懸濁し、96MTTプレートに移して、細胞生存活性を、590nmの光学密度を測定することにより評価する。
【0121】
種々の試験化合物によるこの測定法の結果を、式Iの化合物が細胞死からニューロンを救っている(10〜80の間の生存ニューロン%)ことを証明する。
【0122】
IL−2放出測定法:
ジャーカット(Jurkat)細胞、ヒトT細胞白血病細胞株(アメリカンタイプカルチャーコレクション(American Type Culture Collection)TIB 152号)を、10%の熱活性化FCS、グルタミン及びペンストレップ(Penstrep)を補足したRPMI 1640培地(ギブコ社(Gibco, BRL))で培養した。培地中の細胞懸濁液を希釈して2×106細胞/mLにする。細胞を、異なる濃度の試験化合物(化合物の最終濃度:10、3、1、0.3、0.1μM)を含む96ウェルプレートに塗布(2×105細胞/ウェル)した。この混合物を加湿CO2雰囲気で37℃で30分間インキュベートする。次に細胞を、陰性対照を除く全てのウェルにおいて10ul PMA+イオノマイシン(Ionomycine)(0.1μM及び1μM最終濃度)で処理した。化合物を含まないウェルには、10μlのRPMI 2%DMSO(=0.1%最終)を加える。細胞は、37℃で24時間インキュベートし、次に上清を回収(同日に使用しない場合は−20℃で凍結)し、次いで上清についてIL−2のELISA試験を実施する。
【0123】
IL−2 ELISA測定法:
試験化合物の存在下または非存在下で、PMA+イオノ−刺激ジャーカット細胞による培地へのIL−2放出を、ELISAにより測定する。後述の手順による
【0124】
溶液。
洗浄緩衝液:PBS−ツイーン0.05%
希釈液:PBS−ツイーン0.05%
基質液:クエン酸0.1M/Na2HPO4 0.1M
停止液:H2SO4 20%
マッチした抗体対/標準:
アールアンドディーシステムズ(R&D Systems)製
モノクローナル抗ヒトIL−2抗体(MAB602)(捕捉)
ビオチン化抗ヒトIL−2抗体(BAF202)(検出)
組換えヒトIL−2(202−IL−010)(標準)
プレート調製
PBSに5μg/mLで希釈した100μl捕捉抗体を96ウェルELISAプレートに移して、室温で一晩インキュベートする。
【0125】
各ウェルを吸引して、洗浄緩衝液で3回洗浄する。最後の洗浄後、プレートを湿らせる。
【0126】
1.200μl PBS−10% FCSで飽和させる。室温で1時間インキュベートする。
2.洗浄工程2を繰り返す。
【0127】
測定手順
1.100μlの試料または標準(2000、1000、500、250、125、62.5、31.25pg/mL)を加え、室温で2時間インキュベートする。
2.3回洗浄する。
3.100μlのビオチン化抗ヒトIL−2を12.5ng/mLで加える。室温で2時間インキュベートする。
4.3回洗浄する。
5.100μlストレプトアビジン−HRP(ザイメド(Zymed)43−4323番)を1:10,000で加える。室温で30分インキュベートする。
6.3回洗浄する。
7.100μlの基質液(クエン酸/Na2HPO4(1:1)+H22(1:2000)+OPD)を加える。室温で20〜30分インキュベートする。
8.50μlの停止液を各ウェルに加える。
9.570nmで補正して450nmに設定したマイクロタイタープレートリーダーを使用して、光学密度を測定する。
【0128】
この測定法の結果は、種々の試験化合物が、30%@3uMを超えるIL−2の産生を低下させることを証明している。
【0129】
c−Junレポーター測定法
細胞培養
Hlr c−Jun HeLa細胞を、10% FCS(シグマ(Sigma))、2mMグルタミン(ギブコ(Gibco))、P/S、ハイグロマイシンb 100μg/mL及びG418 250μg/mLを補足したDMEM高Glc中で培養する。
【0130】
細胞培養液調製
細胞バンク
細胞は、10%ジメチルスルホキシドを含む培地中の1.8mL容量の細胞懸濁液として、液体窒素下でクリオチューブ(cryotubes)中で凍結保存する。
【0131】
細胞は、20以下の継代数で培養液中に保持する。
細胞培養液解凍
必要なとき、細胞の凍結バイアルを、半完全解凍まで穏やかに渦流を起こすことによって、水浴中で37℃で迅速に解凍する。次に細胞懸濁液を、10mLの培地に加える。
【0132】
次に細胞懸濁液を、1200rpmで5分間遠心分離して、上清を除去し、細胞ペレットを培地中で再構成して、25mL培地を含む175cm2フラスコに加える。このフラスコを5% CO2の雰囲気中37℃でインキュベートする。
【0133】
細胞継代
細胞は、80%コンフルエントな単層が得られるまで、連続して継代培養(継代)する。
【0134】
各フラスコの培地を除去して、単層を10〜15mLのリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)で洗浄する。
【0135】
トリプシン−EDTA溶液を細胞単層に加え、37℃でインキュベートして、時々細胞を移動させるために軽くたたく。細胞単層の完全な剥離及び分離は、顕微鏡観察して確認する。次に細胞を10mLの完全培地に再懸濁して、1200rpmで5分間遠心分離する。
【0136】
上清を廃棄し、細胞を培地に再懸濁して、175cm2フラスコ中で1/5希釈する。
【0137】
0日目の朝
トランスフェクションのために細胞を調製する
コンフルエントに近い培養液のフラスコからの細胞を、前記のようにトリプシンでの処理により剥離及び分離する。
【0138】
細胞を培地に再懸濁して数える。
細胞懸濁液を培地で希釈して、約3.5×106細胞/mLにして、1mLμlの細胞懸濁液を9mLの培地を含む2枚の10cm培養皿に載せる。
【0139】
プレートを37℃で空気中5% CO2の加湿雰囲気でインキュベートする。
0日目の夕方
トランスフェクション
対照:0.2μg pTKウミシイタケ(Renilla)、5.8μg pBluescript KS、500μlオプチメム(OPTIMEM)(ギブコ(GIBCO))、18μlヒュージーン(Fugene)6
【0140】
誘導:0.1μg pMEKK1、0.2μg pTKウミシイタケ、5.7μg pBluescript KS、500μlオプチメム(ギブコ)、18μlヒュージーン6 30’RT
【0141】
トランスフェクション混合物を培養細胞に加える。プレートを空気中5% CO2の加湿雰囲気で37℃で一晩インキュベートする。
【0142】
1日目
1ウェル当たり100μlの培地を含む96ウェルプレートを調製する。
陰性対照(ビヒクル):2μlのDMSOを100μlに加える(三重測定)。
化合物:2μlのヒット(Hit)化合物ストック希釈液を100μlに加える(三重測定)。
【0143】
トランスフェクションした細胞をトリプシン処理して、12mLの培地に再懸濁する。
【0144】
100μlの希釈液を96ウェルプレートのそれぞれに加える。
プレートを、空気中5% CO2の加湿雰囲気で37℃で一晩インキュベートする。
【0145】
ヒット化合物希釈
ヒット化合物ストック濃度は以下である:
100% DMSO中に3、1及び0.1mM。
2日目
試験手順
デュアル−ルシフェラーゼ(Dual-Luciferase)(商標)レポーター測定系(プロメガ(Promega))
【0146】
培地をプレートから除去して、細胞を100μl PBSで2回洗浄する。
濯ぎ液を完全に除去してから、PLB試薬を適用する。各培養ウェルに5μlの1×PLBを分配する。培養プレートを、穏やかに揺動/振盪する揺動プラットホームまたは軌道振盪装置に配置することによって、1×PLBが細胞単層に完全かつ一様に行きわたるのを確実にする。培養プレートを室温で15分間揺り動かす。20μlの溶解物を不透明白色の96ウェルプレートに移す。照度計で読む。
【0147】
−50μlのルシフェラーゼアッセイ試薬II(Luciferase Assay Reagent II)を注入し、5秒待ち、10秒読む
【0148】
−50μlのストップアンドグロ(Stop & Glo)(登録商標)試薬を注入し、5秒待ち、10秒読む
【0149】
RLUルシフェラーゼ/RLUウミシイタケ*1000をチェックする。
この測定法の結果は、種々の試験化合物が、JNK@10uMの活性を20%を超えて阻害することを証明している。
【0150】
マウスにおけるLPS誘導エンドトキシンショック
LPS抗原刺激により誘導される炎症性サイトカインのレベルを有意に減少させる式Iに記述されるJNKインヒビターの能力を、以下のプロトコールを用いて評価した:
【0151】
LPS(S型アボルツス(S. abortus)−ガラノスラボ(Galanos Lab.)−)をオスのC57BL/6に注射(200μg/kg、静脈内)することにより、エンドトキシンショックを誘導し、LPS抗原刺激の15分前に化合物(0.1、1、10mg/kg)またはNaCl(200uM)を静脈内注射(10mL/kg)した。LPS抗原刺激後の異なる時点で眼窩からヘパリン化血を得て、この血液を9,000rpmで4℃で10分間遠心分離することにより、IFNγ(デュオセット(Duoset)アールアンドディー(R&D)参照DY485)のようなマウスELISAキットによるサイトカイン産生の測定のための上清を回収した。
【0152】
試験化合物は、炎症関連サイトカインを減少させる顕著な能力を示した。
アレチネズミにおける全虚血
卒中発生における細胞死を防御する式Iに記述されるJNKインヒビターの能力を、以下のプロトコールを用いて評価した:
【0153】
−1−方法
*手術
−麻酔:ハロタンまたはイソフルレン(0.5〜4%)。
−喉の剃毛及び皮膚の切開。
−総頚動脈(左及び右)を組織から取り出す。
−ブルドッグ(Bulldog)マイクロクランプを用いる5分間の動脈の閉鎖。
−手術面の消毒(ベタジン(Betadine)(登録商標))及び皮膚の縫合(オートクリップ(Autoclip)(登録商標)、マイケルズフックス(Michel's hooks))。
【0154】
−覚醒までの保温灯下の動物の安定化。
−動物舎内の動物の個別ケージ中の安定化。
*動物の屠殺
−虚血の7日後(断頭またはペントバルビタールの過剰投与)。
−脳の標本採取。
*組織学パラメーター
−イソペンタン中での脳の凍結(−20℃)
−凍結ミクロトームを用いる海馬の切片作成(20μm)。
−クレシルバイオレット及び/またはツネル(TUNEL)法による染色
−病変(海馬のCA1/CA2サブフィールドにおける)の評価
−修飾したゲルハードとボウスト(Gerhard & Boast)スコア、または
−CA1/CA2における細胞計数
*生化学パラメーター
−大脳構造の顕微解剖
−測定パラメーター:DNA断片化、乳酸塩、カルシウム浸透。
−分析法:ELISA、比色法、酵素学、放射測定法。
−2−処理
−試験品またはビヒクルの投与:再灌流の15分後(麻酔の回復の5〜10分後)。
【0155】
−標準的プロトコール
動物50匹:10匹ずつ5群(A群:対照、B〜D群:3用量の試験品、そしてE群:対照化合物(ケタミン3×120mg/kg、腹腔内またはオロチン酸3×300mg/kg、腹腔内)。
【0156】
試験化合物は、誘導された全虚血中のニューロンアポトーシスを防御する大きな能力を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エナンチオマー、ジアステレオ異性体として光学活性型の、およびラセミ体型の幾何異性体を含む、式Iのスルホニルアミノ酸誘導体
【化1】

ならびにその薬剤学的に許容される塩(式中、
Ar1とAr2は、互いに独立に、置換もしくは非置換アリールもしくはヘテロアリール基であり;
XはOまたはSであり;
1は、水素または非置換もしくは置換C1〜C6−アルキル基であるか、あるいはR1は、Ar1との置換もしくは非置換5〜6−員環飽和もしくは不飽和縮合環であるか、またはR2およびR4は、置換もしくは非置換5〜6員環の飽和もしくは不飽和環を形成し;
2は、水素または置換もしくは非置換C1〜C6−アルキル基であり;
nは、0〜5の整数であり;
3とR4は、互いに独立に、天然のアミノ酸残基または合成アミノ酸残基、水素、置換もしくは非置換C1〜C6−アルキル、置換もしくは非置換C1〜C6−アルコキシ、NH2、SH、チオアルキル、アシルアミノ、アミノカルボニル、置換もしくは非置換C1〜C6−アルコキシカルボニル、アリール、ヘテロアリール、1〜3個のヘテロ原子を含有していてもよい置換もしくは非置換4〜8員環状アルキル、カルボキシル、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、アシルオキシ、アシルアミノ、スルホキシ、スルホニル、C1〜C6−チオアルコキシを含んで成る群又はから成る群から選ばれ、ここでR3および/またはR4の少なくとも1つはアミノ酸残基でなければならず;
5は、Hまたは置換もしくは非置換C1〜C6−アルキルであり;
6は、H、置換もしくは非置換C1〜C6−脂肪族アルキル、任意的に1〜3異項原子を含み、任意的にアリールもしくはヘテロアリールと縮合した置換もしくは非置換飽和環C4〜C8−アルキルであるか;またはR6は、置換もしくは非置換アリール、置換もしくは非置換ヘテロアリールである(ここで、アリールもしくはヘテロアリール基は、任意的に置換または非置換C1〜C6−アルキル(例えばトリハロメチル)、置換もしくは非置換C1〜C6−アルコキシ、置換もしくは非置換C2〜C6−アルケニル、置換もしくは非置換C2〜C6−アルキニル、アミノ、アシルアミノ、アミノカルボニル、置換もしくは非置換C1〜C6−アルコキシカルボニル、アリール、カルボキシル、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、アシルオキシ、アシルアミノ、スルホキシ、スルホニル、C1〜C6−チオアルコキシで任意的に置換されている)か;または
5とR6は一緒に、置換もしくは非置換4〜8員飽和環状アルキルまたはヘテロアルキル基を形成することができ;
ただし、Ar1が4−クロロフェニルであって、Ar2がチエニル、X=O、n=1である場合において、残基R1、R2、R3、R5およびR6がHであれば、R4はメチルまたは(4−ヒドロキシフェニル)エチルではなく、R1、R3、R5がH、R4がメチル、R6が2−メチルフェニルであれば、R2はプロピルではない;
さらにただし、Ar1が4−クロロフェニルまたは2,4−ビスクロロフェニル残基であって、Ar2がフェニル、X=O、n=1である場合において、残基R1、R2、R3およびR5がすべてH、R6がCH2−CO2CH3であれば、R4は、H、CH3、CH2−C64−OH−4、CH2−CH−(CH32よりなる群から選択されない)。
【請求項2】
医薬として利用するためのエナンチオマー、ジアステレオ異性体として光学活性型の、およびラセミ体型の幾何異性体を含む、式Iのスルホニルアミノ酸誘導体
【化2】

ならびにその薬剤学的に許容される塩(式中、
Ar1とAr2は、互いに独立に、置換もしくは非置換アリールもしくはヘテロアリール基であり;
XはOまたはSであり;
1は、水素または非置換もしくは置換C1〜C6−アルキル基であるか、あるいはR1は、Ar1との置換もしくは非置換5〜6−員環飽和もしくは不飽和縮合環であるか、またはR2およびR4は、置換もしくは非置換5〜6員環の飽和もしくは不飽和環を形成し;
2は、水素または置換もしくは非置換C1〜C6−アルキル基であり;
nは、0〜5の整数であり;
3とR4は、互いに独立に、天然のアミノ酸残基または合成アミノ酸残基、水素、置換もしくは非置換C1〜C6−アルキル(例えば、トリカロメチル)、置換もしくは非置換C1〜C6−アルコキシ、NH2、SH、チオアルキル、アシルアミノ、アミノカルボニル、置換もしくは非置換C1〜C6−アルコキシカルボニル、アリール、ヘテロアリール、任意的に1〜3異項原子、カルボキシル、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、アシルオキシ、アシルアミノ、スルホキシ、スルホニル、C1〜C6−チオアルコキシを含有する置換もしくは非置換4〜8員環アルキルを含んで成る群又はから成る群から選ばれ、ここでR3および/またはR4の少なくとも1つはアミノ酸残基でなければならず;
5は、Hまたは置換もしくは非置換C1〜C6−アルキルであり;
6は、H、置換もしくは非置換C1〜C6−脂肪族アルキル、任意的に1〜3異項原子を含み、任意的にアリールもしくはヘテロアリールと縮合した置換もしくは非置換飽和環C4〜C8−アルキルであるか;またはR6は、置換もしくは非置換アリール、置換もしくは非置換ヘテロアリールである(ここで、該アリールもしくはヘテロアリール基は、任意的に置換または非置換C1〜C6−アルキル(例えばトリハロメチル)、置換もしくは非置換C1〜C6−アルコキシ、置換もしくは非置換C2〜C6−アルケニル、置換もしくは非置換C2〜C6−アルキニル、アミノ、アシルアミノ、アミノカルボニル、置換もしくは非置換C1〜C6−アルコキシカルボニル、アリール、カルボキシル、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、アシルオキシ、アシルアミノ、スルホキシ、スルホニル、C1〜C6−チオアルコキシで任意的に置換されている)か;または
5とR6は一緒に、置換もしくは非置換4〜8員飽和環状アルキルもしくはヘテロアルキル基を形成することができる)。
【請求項3】
nは1である、請求項1または2に記載のスルホニルアミノ酸誘導体。
【請求項4】
前記請求項のいずれか1項に記載のスルホニルアミノ酸誘導体であって、Ar1とAr2は、フェニル、チエニル、フリル、ピリジルを含む群またはこれらよりなる群から独立に選択され、ここで該残基は、少なくとも1つの置換もしくは非置換C1〜C6−アルキル(例えば、トリハロメチル)、置換もしくは非置換C1〜C6−アルコキシ、置換もしくは非置換C2〜C6−アルケニル、置換もしくは非置換C2〜C6−アルキニル、アミノ、アシルアミノ、アミノカルボニル、置換もしくは非置換C1〜C6−アルコキシカルボニル、アリール、カルボキシル、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、アシルオキシ、アシルアミノ、スルホキシ、スルホニル、置換もしくは非置換C1〜C6−チオアルコキシにより任意的に置換される上記誘導体。
【請求項5】
前記請求項のいずれか1項に記載のスルホニルアミノ酸誘導体であって、R3および/またはR4の少なくとも1つは、以下の天然のアミノ酸残基、アラニル、アルギニル、アスパラギニル、アスパルチル、システイニル、グルタミニル、グルタミル、グリシル、ヒスチジル、イソロイシル、ロイシル、リジル、メチオニル、フェニルアラニル、ピロリル、セリル、スレオニル、トリプトファニル、チロシル、バリルよりなる群から選択される、上記誘導体。
【請求項6】
前記請求項のいずれか1項に記載のスルホニルアミノ酸誘導体であって、Ar1は非置換もしくは置換フェニル、好ましくは4−クロロフェニル基であり、XはOであり、R1、R2、R3およびR4は水素であり、nは1であり、Ar2はチエニルであり、R5はHまたはC1〜C6−アルキルであり;
6は、H、置換もしくは非置換C1〜C6−脂肪族アルキル、例えばC1〜C6−アルキルアミノアリール、C1〜C6−アルキルアミノヘテロアリール、任意的に1〜3異項原子を含有し、かつ非置換もしくは置換アリールもしくはヘテロアリールと縮合した置換もしくは非置換環状C4〜C8−アルキルであるか;またはR6は非置換もしくは置換アリールもしくはヘテロアリールであり;
上記アリールもしくはヘテロアリール基は、置換もしくは非置換C1〜C6−アルキル(例えば、トリハロメチル)、置換もしくは非置換C1〜C6−アルコキシ、置換もしくは非置換C2〜C6−アルケニル、置換もしくは非置換C2〜C6−アルキニル、アミノ、アシルアミノ、アミノカルボニル、置換もしくは非置換C1〜C6−アルコキシカルボニル、アリール、カルボキシル、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、スルホキシ、C1〜C6−チオアルコキシで、任意的に置換されるか;または
5とR6は一緒に、非置換もしくは置換4〜8員飽和環状アルキルまたはヘテロアルキル基(例えば、非置換もしくは置換ピペリジノ基)を形成する、上記誘導体。
【請求項7】
前記請求項のいずれか1項に記載のスルホニルアミノ酸誘導体であって、R5はHであり;R6は、アリール、ヘテロアリール基またはアミノアリール、アミノヘテロアリール、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシで置換されたC1〜C6−アルキルであり、ここで該アリールおよびヘテロアリール基は、置換もしくは非置換C1〜C6−アルキル(例えば、トリハロメチル)、置換もしくは非置換C1〜C6−アルコキシ、置換もしくは非置換C2〜C6−アルケニル、置換もしくは非置換C2〜C6−アルキニル、アミノ、アシルアミノ、アミノカルボニル、置換もしくは非置換C1〜C6−アルコキシカルボニル、置換もしくは非置換アリール、カルボキシル、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、スルホキシ、C1〜C6−チオアルコキシで、任意的に置換される、上記誘導体。
【請求項8】
6は、置換もしくは非置換ピリジル基である、請求項7に記載のスルホニルアミノ酸誘導体。
【請求項9】
以下の群から選択される、前記請求項のいずれか1項に記載のスルホニルアミノ酸誘導体:
4−クロロ−N−({5−[({2−[(2−{[3−クロロ−5−(トリフルオロメチル)ピリジ−2−ニル]アミノ}エチル)アミノ]−2−オキソエチル}アミノ)スルホニル]チエ−2−ニル}メチル)ベンズアミド
4−クロロ−N−[(5−{[(2−{[2−({5−ニトロピリジ−2−ニル}アミノ)エチル]アミノ}−2−オキソエチル)アミノ]スルホニル}チエ−2−ニル)メチル]ベンズアミド
4−クロロ−N−({5−[({2−オキソ−2−[(2−{[3−(トリフルオロメチル)ピリジ−2−ニル]アミノ}エチル)アミノ]エチル}アミノ)スルホニル]チエ−2−ニル}メチル)ベンズアミド
4−クロロ−N−({5−[({2−オキソ−2−[(2−{[5−(トリフルオロメチル)ピリジ−2−ニル]アミノ}エチル)アミノ]エチル}アミノ)スルホニル]チエ−2−ニル}メチル)ベンズアミド
N−({5−[({2−[4−(1H−1,2,3−ベンゾトリアゾール−1−イル)ピペリジ−1−ニル]−2−オキソエチル}アミノ)スルホニル]チエ−2−ニル}メチル)−4−クロロベンズアミド
4−クロロ−N−[(5−{[(2−オキソ−2−{3−[(トリフルオロメチル)スルホニル]アニリノ}エチル)アミノ]スルホニル}チエ−2−イル)メチル]ベンズアミド
【請求項10】
JNK経路を調節する医薬組成物の調製のための式Iのスルホニルアミノ酸誘導体の使用
【化3】

(式中、Ar1とAr2は、互いに独立に、置換もしくは非置換アリールもしくはヘテロアリール基であり;
XはOまたはSであり;
1は、水素または非置換もしくは置換C1〜C6−アルキル基であるか、あるいはR1は、Ar1との置換もしくは非置換5〜6−員環飽和もしくは不飽和縮合環であるか、またはR2およびR4は、置換もしくは非置換5〜6員環の飽和もしくは不飽和環を形成し;
2は、水素または置換もしくは非置換C1〜C6−アルキル基であり;
nは、0〜5の整数であり;
3とR4は、互いに独立に、天然のアミノ酸残基または合成アミノ酸残基、水素、置換もしくは非置換C1〜C6−アルキル(例えば、トリハロメチル)、置換もしくは非置換C1〜C6−アルコキシ、NH2、SH、チオアルキル、アシルアミノ、アミノカルボニル、置換もしくは非置換C1〜C6−アルコキシカルボニル、アリール、ヘテロアリール、任意的に1〜3異項原子、カルボキシル、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、アシルオキシ、アシルアミノ、スルホキシ、スルホニル、C1〜C6−チオアルコキシを含有する置換もしくは非置換4〜8員環アルキルであり(ここでR3および/またはR4の少なくとも1つはアミノ酸残基でなければならない);
5は、Hまたは置換もしくは非置換C1〜C6−アルキルであり;
6は、H、置換もしくは非置換C1〜C6−脂肪族アルキル、任意的に1〜3異項原子を含み、任意的にアリールもしくはヘテロアリールと縮合した置換もしくは非置換飽和環C4〜C8−アルキルであるか;またはR6は、置換もしくは非置換アリール、置換もしくは非置換ヘテロアリールである(ここで、アリールもしくはヘテロアリール基は、任意的に置換または非置換C1〜C6−アルキル(例えばトリハロメチル)、置換もしくは非置換C1〜C6−アルコキシ、置換もしくは非置換C2〜C6−アルケニル、置換もしくは非置換C2〜C6−アルキニル、アミノ、アシルアミノ、アミノカルボニル、置換もしくは非置換C1〜C6−アルコキシカルボニル、アリール、カルボキシル、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、アシルオキシ、アシルアミノ、スルホキシ、スルホニル、C1〜C6−チオアルコキシで任意的に置換されている)か;または
5とR6は一緒に、置換もしくは非置換4〜8員飽和環状アルキルまたはヘテロアルキル基を形成することができる、上記使用。
【請求項11】
JNKの異常発現または活性に関連した疾患の治療または予防のための請求項10に記載の使用。
【請求項12】
JNK2および/または3の異常発現または活性に関連した疾患の治療または予防のための請求項10に記載の使用。
【請求項13】
てんかん;アルツハイマー病、ハンティントン病、パーキンソン病のような神経変性疾患;網膜疾患;脊髄損傷;頭部損傷の治療のための、特に請求項10〜12のいずれか1項に記載の式Iのスルホニルアミノ酸誘導体の使用。
【請求項14】
多発性硬化症を含む自己免疫疾患、炎症性腸疾患(IBD)、リウマチ様関節炎;喘息;敗血症ショック;移植拒絶の治療のための、請求項10〜12のいずれか1項に記載の式Iのスルホニルアミノ酸誘導体の使用。
【請求項15】
乳癌、結腸直腸癌、膵臓癌を含む癌の治療のための、請求項10〜12のいずれか1項に記載の式Iのスルホニルアミノ酸誘導体の使用。
【請求項16】
卒中、動脈硬化、心筋梗塞、心筋潅流傷害を含む心血管疾患の治療のための、請求項10〜12のいずれか1項に記載の式Iのスルホニルアミノ酸誘導体の使用。
【請求項17】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の少なくとも1つのスルホニルアミノ酸誘導体、およびその薬剤学的に許容される担体、希釈剤または賦形剤を含有する医薬組成物。
【請求項18】
請求項1〜9のいずれか1項に記載のスルホニルアミノ酸誘導体の調製法であって、
a)スルホニル化合物Vを調製し、
【化4】

b)これを保護アミノ酸化合物VIIIと反応させて
【化5】

こうして、化合物
【化6】

を得て
c)該化合物IXを脱保護し、最後に
d)結合させる、ことを含んでなる上記方法。
【請求項19】
請求項1〜9のいずれか1項に記載のスルホニルアミノ酸誘導体の調製法であって、
a)スルホニル化合物VIIを調製し、
【化7】

b)これを保護アミノ酸化合物VIIIと反応させて
【化8】

こうして、化合物
【化9】

を得て
e)脱保護し;
f)結合させ;
g)脱保護し;そして
h)アシル化する、ことを含んでなる上記方法。

【公開番号】特開2012−111777(P2012−111777A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−33338(P2012−33338)
【出願日】平成24年2月17日(2012.2.17)
【分割の表示】特願2001−526531(P2001−526531)の分割
【原出願日】平成12年9月28日(2000.9.28)
【出願人】(309025524)メルク セローノ ソシエテ アノニム (49)
【Fターム(参考)】