説明

薬剤溶出性ステントで処理された個体の血小板反応性を評価する方法

薬剤溶出性ステント(DES)で処理された個体の血小板反応性を評価する方法を提供する。まず、血液サンプルをDES及びP2Y12アンタゴニストで処理された個体から得る。続いて血液サンプルを、付着GPIIb/IIIa受容体リガンドを含有する粒子、アデノシン二リン酸(ADP)、及び、プロスタグランジンE1(PGE1)と混合する。該混合物を、粒子の凝集反応に適した条件下で定温放置し、そして、該混合物中で血小板仲介凝集反応を評定する。凝集反応が不存在であること、又は、凝集反応の減少が、DES及びP2Y12アンタゴニストで処理された個体が血小板反応性を減少したことを示す。又、粒子の表面に固定化されたGPIIb/IIIa受容体リガンドを含むP2Y12受容体アンタゴニスト、アデノシン二リン酸(ADP)、プロスタグランジンE1(PGE1)、血小板凝集反応に適した条件で抗凝固処理された血液を維持するための抗凝固剤、及び、バッファーにより、血小板凝集反応の阻害を評価するためのキットを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は、米国シリアル番号第60/485,703(2003年7月8日出願)の優先権の利益を主張する、米国シリアル番号第10/886,155(2004年7月6日出願)の一部継続出願である、米国シリアル番号第11/742,684(2007年5月1日出願)の優先権の利益を主張する。参照することにより上記出願の全てを本明細書に完全に取り込む。
発明の分野
本発明は、診断分析の分野に関し、特に、薬剤溶出性ステント(DES)で処理された個体の血小板反応性を評価するための方法及びキットに関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
哺乳類の生理機能における血小板の役割は、非常に多様であるが、それらの主要な役割は、止血を促進することである。多くの条件において、血液凝固の能力を判断することは、望ましく、付着及び/又は凝集する血小板の能力によって常に制御されるパラメータである。従って、血小板の接着機能の評定は、関心を集めている。例えば、関心を集めている問題は、血栓形成を阻止若しくは促進する薬剤を投与するかどうか、又は、外科手術の前に血小板機能の欠乏を発見できるかどうかを含む。患者において新規の薬剤として試験される血小板阻害剤の有効性、若しくは、承認される臨床的治療として用いられる血小板阻害剤の有効性を評価することも関心を集めている。
血小板は、様々な条件下で、多くの異なる試薬が存在する中で凝集することが知られている。血小板凝集反応は、血小板の他の血小板への結合を説明することに用いられる用語である。インビトロでの血小板凝集は、トロンビン、ADP、又は、コラーゲンのような凝集-誘導薬剤による活性化後に、フィブリノーゲンを血小板の表面に結合する血小板の能力によるものである。
血小板は、正常止血の維持において重大な役割を有する。損傷を受けた血管にさらされたとき、血小板は、さらされた内皮下のマトリクスに接着する。初期接着後において、創傷部位で放出され若しくは作られるトロンビン、ADP、及び、コラーゲンのような様々な因子が、血小板を活性化する。血小板が活性化されると、血小板糖タンパク質GPIIb/IIIa受容体中で立体配座の変化が生じ、フィブリノーゲン及び/又はフォンヴィレブランド因子を結合できる。
隣接した血小板におけるGPIIb/IIIa受容体による多価のフィブリノーゲン及び/又はフォンヴィレブランド因子分子のこの結合こそが、創傷部位への更なる血小板の補充や、止血血栓若しくは血栓を形成するためのそれらの凝縮反応をもたらす。
【0003】
インビトロでの血小板凝集測定は、主要な止血血栓にいたる凝集体を形成するインビボでの血小板の能力を評定するために用いられる実験室の手法である。この技術において、トロンビン、ADP、若しくは、コラーゲンのような凝集作用因子が、全血若しくは多血小板血漿に添加され、そして、血小板の凝集反応が観察される。血小板凝集測定は、患者の診断及び治療法の選択に役立ちうる診断分析のツールである。血小板凝集反応を診断するための現在のアッセイは、高価で、時間がかかり、煩雑であり、そして、一般的に臨床環境に適していない。
迅速な血小板機能アッセイは、これまで開発されており、米国特許番号第5,763,199(Coller)に記載されている。該アッセイは、全血中の糖タンパク質GPIIb/IIIa受容体阻害を測定する。フィブリノーゲンのようなGPIIb/IIIaリガンドで被覆された小さなポリマー製ビーズの凝集が、該ビーズが阻害されていない活性化GPIIb/IIIa受容体を有する血小板を含む全血と接触した場合に、生じる。凝集しないことは、GPIIb/IIIa受容体の活性化不全、及び/又は、GPIIb/IIIa受容体の阻害を示す。好適な態様において、GPIIb/IIIa受容体が阻害されていない場合に、トロンビン受容体活性化因子の添加は、臨床で行われるために十分に迅速かつ便利であって、都合よい公知の時間周期内に小さなポリマー製のビーズの凝集反応をもたらすアッセイをもたらす。このアッセイは、収集容器を開けることなく、収集容器からアッセイ装置へ試験される血液を移すこともできる。この血小板凝集反応アッセイを、活性凝固時間(ACT)と同時に実施することができ、これはヘパリン化の適性を評価するために行われる。
【0004】
血小板の凝集反応は、血栓症及び急性冠動脈疾患の発症において、重大な役割を果たす。証拠から、十分な血小板機能変動性が、様々な抗血小板薬剤への応答に存在することが示唆されている。クロピドグレルのようなP2Y12アンタゴニストが抗凝集反応効果を果たすように患者の治療で用いられる場合に、血小板凝集反応における個体相互の変動性が存在することも、示唆されている。ある研究の結果から、薬剤を受けた少なくとも10%の患者が、期待される血小板凝集反応の阻害を達成しなかったことが示唆された(Mullerら, Thromb. Haemost. (2003) 89(5):783-787)。
クロピドグレル及びチクロピジルは、血小板の凝集反応を阻害するチエノピリジン誘導体である。これらは、アデノシン-5-二リン酸(ADP)が、その受容体のひとつ"P2Y12受容体"に結合することを阻害すると考えられている。クロピオグレルの薬理学的活性が、チクロピジンの薬理学的活性と非常に類似する。しかしながら、クロピドグレルは、チクロピジンより副作用が少ないことが分かっている。血栓症においてクロピドグレルが有効であるという多くの証拠に基づいて、クロピドグレル及び他のP2Y12アンタゴニストの使用は、非常に増えていくだろう。
【0005】
心臓血管疾患を有する多くの患者が、近年、チエノピリジン薬剤の一つを服用しているので、チエノピリジンへの耐性の検出方法及びチエノピリジン処理の有効性の評定方法は有益である。従って、アスピリン及びチエノピリジン(例えば、クロピドグレル又はチクロピジン)についてのデータ(投与される患者における処理の感受性及び有効性)を提供するアッセイを開発する必要性がある。
血小板機能におけるこれらの薬剤の効果は、ADP、コラーゲン、又は、他の血小板活性化因子を用いた血小板凝集測定で評定されている。しかし、ADPが、少なくとも2つの異なる受容体(P2Y1及びP2Y12及び恐らくP2X1)を活性化するので、それは、低い特異性及び背景ノイズの恐れがある。コラーゲンは、別の選択肢である。しかしながら、コラーゲンは、その四次構造に起因して非常に変化しやすく、このことは、劇的に血小板を活性化する能力に影響し、生物組織に由来し、温度とpHのわずかな変化を感受するという事実に起因する。コラーゲンもADPも、P2Y12受容体に対する特異性をもたらさず、従って、それら自身が、P2Y12阻害剤の効力を測定するための最適な選択肢ではない。特に、様々な研究から示されてきたように、これら2つのアゴニストの濃度の選択は、評価されるP2Y12アンタゴニストに対する阻害の程度に非常に影響を与える。
【0006】
プロスタグランジン(PG)は、エイコサノイドとして知られている化学物質のユビキチンクラスに属する。それらは、体内の全ての組織で事実上確認され、幅広い生物学的活性を有する。エイコサノイドは、アラキドン酸(多価不飽和脂肪酸)の誘導体である。用語エイコサノイドは、プロスタグランジン(PG)、プロスタサイクリン、トロンボキサン、及び、ロイコトリエンのファミリーを含む。PGは、その構造に応じて様々なファミリーに分けられ、それぞれ文字(A、E、F、G、H、若しくは、I)で表記される。この文字に加えて、それぞれ個々のプロスタグランジンは、その脂肪酸側鎖において、二重結合の数を示す数字を有する。例えば、プロスタグランジンE1(PGE1)は、Eファミリーに属し、その側鎖において、一つだけ二重結合を有する。PGは、血小板凝集反応及び止血(血液凝固)において重要な役割を果たし、概して、著しい血管拡張作用を有する。
PGE1は、理論上のジホモ-γ-リノレン酸(DGLA)のシクロオキシゲナーゼ代謝産物であるが、それは、正常なヒト又は他の動物の血漿中で事実上検知できない。その薬効薬理は、血管拡張、低血圧、及び、抗血小板活性を含む。PGE1は、血小板の中で環状アデノシン一リン酸(CAMP)濃度を増やすことにより、血小板凝集反応を阻害することが分かってきている。多くのグループが、ADP誘導ヒト血小板凝集反応の阻害のためのPGE1のIC50が、約40nMであることを明らかにしている。
【0007】
血小板反応性の研究は、クロピドグレルに応答した阻害における、大きな個体差を示す。遡及的で、小規模なプロスペクティブ研究は、経皮冠動脈インターベンション(PCI)の後に、クロピドグレルにわずかな少ない応答及び臨床兆候の間の関連性を示している。ADPに応答して減少する割合によって判断されるようなクロピドグレルによって生じた凝集反応における減少と分けて、クロピドグレル血小板凝集反応の後の絶対値(いわゆる処理後の反応性)は、後発事象の危険性の十分な評価内容とできる。臨床的検知から、PCI時での血小板反応性の日常測定は、光線透過率血小板凝集測定(LTA)のような特殊化した実験室の技術を用いる必要があることから、一般的に現実性がない。
【0008】
薬剤溶出性ステント(DES)は、狭くなった疾患がある冠動脈の中に配置される金属の足場であり、細胞増殖を阻害するために動脈壁に直接薬剤を徐放する。臨床診療で最近用いられているように、用語"薬剤溶出性ステント"は、計画された薬剤を溶出し、新生内膜瘢痕組織の増殖を制限する金属のステントを表し、従って、再狭窄の可能性、いわゆる、ステント動脈の阻害を減少させる。最近の臨床で用いられている薬剤溶出性ステントは、統計的に、発生した冠動脈の狭窄の処理のための地金ステント(BMS)よりも有利であることが明らかで、各種の要素からなる死亡の臨床的エンドポイント、心筋梗塞、及び、再狭窄で必要とされる繰り返しのインターベンションとして定義される主要有害心イベントの割合をより少なくする。
薬剤溶出性ステントで頻度は少ないが、新生内膜増殖がまだDESで生じうるため、再狭窄が起こる。例えば、診療の間に、診療の直後数日で、又は、その後に血栓症に起因するステント閉塞(ステント血栓症)が起こりうる。アスピリン及びクロピドグレルのような抗血栓薬剤での処理は、血栓症の危険性を減少させることが明らかであり、そして、薬剤溶出性ステント挿入の後のこれらの薬剤の1つ又は双方の早期中断が、著しくステント血栓症及び心筋梗塞の危険性が増加することを示している(Iakovouら、JAMA (2005) 293(17):2126-2130)。
上述のように、クロピドグレルのような抗血栓症薬剤に応答する血小板阻害における異なる個体間での大きな変動性がある。従って、薬剤溶出性ステント(DES)で処理された個体の血小板反応性を評価する方法を提供することを必要とせざるをえない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
発明の概要
本発明の目的は、薬剤溶出性ステント(DES)で処理された個体の血小板反応性を評価する方法を提供することである。
本発明の別の目的は、ステント血栓症の危険性があるDESで処理された個体を同定する方法を提供することである。
また、本発明の別の目的は、DESで処理された個体における血小板反応性のクロピドグレル誘導阻害を評価する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のこれらの目的及び他の目的は、DESで処理された個体の血小板反応性を評価する方法で達成される。まず、血液サンプルをDES及びP2Y12アンタゴニストで処理された個体から得る。続いて血液サンプルを、付着GPIIb/IIIa受容体リガンドを含有する粒子、アデノシン二リン酸(ADP)、及び、プロスタグランジンE1(PGE1)と混合する。該混合物を、粒子の凝集反応に適した条件下で定温放置し、そして、該混合物中で血小板仲介凝集反応を評定する。凝集反応が不存在であること、又は、凝集反応の減少が、DES及びP2Y12アンタゴニストで処理された個体が血小板反応性を減少したことを示す。
別の態様において、他にとり得る方法として、(DES)を体内に含むPCI患者の血小板反応性を評価する方法が提供される。血液サンプルを、患者から得る。血液サンプルは、1)抗凝固剤;2)血小板凝集反応に適した範囲内の抗凝固処理血液のpH及び塩濃度を維持する十分なバッファー;3)固体表面上に固定化された血小板GPIIb/IIIa受容体リガンド;4)シグナル変換経路を増進する1以上の薬剤;及び5)受容体活性化因子と組合せて混合される。該組合せを、粒子の凝集反応のための条件下で定温放置させる。血小板仲介凝集反応を、混合物中で評定する。凝集反応が不存在であることは、患者における血小板血栓を形成する能力が減少していることを示す。
また、別の態様において、方法は、(DES)を体内に含む患者の血小板反応性を評価するために提供される。ADP血小板活性化因子を、患者から得られた血液サンプルに添加する。1以上の血小板阻害剤が該サンプルに備わっている。少なくとも1つの血小板阻害剤が、プロスタグランジンE1(PGE1)である。他にとり得るシグナル変換経路が、ADP血小板活性化因子及び1以上の血小板阻害剤を供給することに応答して生み出される。他にとり得るシグナル変換経路の生成に応じて、ADPの最終濃度は、約2〜35μMで、PGE1の最終濃度は、約2〜30nmである。患者の血小板反応性をADPの最終濃度に応じて評価する。
【0011】
本発明の一態様において、方法は、ステント血栓症の危険性がある、DESで処理された個体を同定するために提供される。まず、血液サンプルをDES及びP2Y12アンタゴニストで処理された個体から得る。続いて血液サンプルを、付着GPIIb/IIIa受容体リガンドを含有する粒子、アデノシン二リン酸(ADP)、及び、プロスタグランジンE1(PGE1)と混合する。該混合物を、粒子の凝集反応に適した条件下で定温放置し、そして、該混合物中で血小板仲介凝集反応を評定する。凝集反応が不存在であること、又は、凝集反応の減少が、DES及びP2Y12アンタゴニストで処理された個体が血小板反応性を減少したことを示す。血小板反応性のレベルに基づいて、個体のステント血栓症の危険性レベルを評定する。
別の態様において、他にとり得る方法が、ステント血栓症の危険性がある、DESで処理された個体を同定するために提供される。血液サンプルを、患者から得る。血液サンプルは、1)抗凝固剤;2)血小板凝集反応に適した範囲内の抗凝固処理血液のpH及び塩濃度を維持する十分なバッファー;3)固体表面上に固定化された血小板GPIIb/IIIa受容体リガンド;4)シグナル変換経路を増進する1以上の薬剤;及び5)受容体活性化因子と組合せて混合される。該組合せを、粒子を凝集させる条件下で定温放置する。凝集反応が不存在であることは、患者における血小板血栓を形成する能力が減少していることを示す。患者の血小板反応性を評価する。評価に応じて、患者のステント血栓症の危険性レベルを測定する。
【0012】
本発明の一態様において、方法は、DESで処理された個体における血小板反応性のクロピドグレル誘導阻害を評価するために提供される。まず、血液サンプルをDES及びクロピドグレルで処理された個体から得る。続いて血液サンプルを、付着GPIIb/IIIa受容体リガンドを含有する粒子、アデノシン二リン酸(ADP)、及び、プロスタグランジンE1(PGE1)と混合する。該混合物は、粒子の凝集反応に適した条件下で定温放置され、そして、該混合物中で血小板仲介凝集反応を評定する。凝集反応が不存在であること、又は、凝集反応の減少が、DES及びクロピドグレルで処理された個体が血小板反応性を減少したことを示す。
別の態様において、他にとり得る方法は、患者がクロピドグレル誘導血小板阻害を有するか測定するために提供される。血液サンプルを、患者から得る。血液サンプルを、1)抗凝固剤;2)血小板凝集反応に適した範囲内の抗凝固処理血液のpH及び塩濃度を維持する十分なバッファー;3)固体表面上に固定化された血小板GPIIb/IIIa受容体リガンド;4)シグナル変換経路を増進する1以上の薬剤;及び5)受容体活性化因子と組合せて混合される。該組合せを、粒子の凝集反応のための条件下で定温放置する。血小板仲介凝集反応を、混合物中で評定する。凝集反応が不存在であることは、患者における血小板血栓を形成する能力が減少していることを示す。患者の血小板反応性を評価する。続いて、患者がクロピドグレル誘導血小板阻害を有するか測定する。
本発明の一態様において、キットは、粒子の表面に固定化されたGPIIb/IIIa受容体リガンドを含むP2Y12受容体アンタゴニスト、アデノシン二リン酸(ADP)、及び、プロスタグランジンE1(PGE1)によって、血小板凝集反応の阻害を評価するために提供される。他の態様において、血小板凝集反応に適した条件において抗凝固処理血液を維持するための抗凝固剤及びバッファーも提供する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明のアッセイによって評価したときの、P2Y12受容体アンタゴニストで処理された血液サンプルからの血小板凝集反応の程度を示す。
【図2】実施例3で記載された臨床実験のフロー図を示す(CABG:冠動脈バイパス術、PCI:経皮冠動脈インターベンション、SES:シロリムス溶出ステント)。
【図3】VERIFYNOWTMP2Y12アッセイの受信者動作特性(ROC)曲線を示す。0.711の曲線下の面積を測定した(P = 0.03)。
【図4】処理後の高い活性を有する/有さない患者における院外心血管系死亡、致命的でない心筋梗塞、及びステント血栓症を含まない生存者を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
発明の詳細な説明
他に定義する場合を除いて、本明細書で用いられる全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する分野の通常の知識を有する当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書で参照された全ての特許、特許出願(公開及び非公開)、及び、他の刊行物は、それらの全てにおいて参照により本明細書に取り込まれる。本セクションで記載された定義が、参照により本明細書に取り込まれた特許、出願、公開出願、及び他の刊行物で記載された定義に反する、さもなければ、矛盾する場合に、本セクションで記載された定義が、参照により本明細書に取り込まれた定義より優先する。
刊行物又は文献の引用は、このような刊行物又は文献のいずれかが関係ある従来技術であると認めたものとして意図されず、該引用は、これらの刊行物又は文献の内容又は日付に関する承認を構成しない。
【0015】
本明細書で用いられる"a"又は"an"は、"少なくとも1つ"又は"1つ以上"を意味する。
本明細書で用いられる用語"個体"は、特定の種又はサンプルの種類に限定されない。例えば、用語"個体"は、患者、そして多くはヒト患者を表してもよい。しかしながら、本用語は、ヒトに限定されず、従って、様々な哺乳類種を包含する。
本明細書で用いられる"処理"は、病状、障害、又は、疾患の症状を改善する、さもなければ、有利に変更するいずれかの方法を意味する。処理は、本明細書での組成物の医薬的使用も包含する。
本明細書で用いられる用語"評定"は、評価の形態を表し、そして、要素が存在するか、しないかを測定することを含む。用語"評定"、"測定"、"評価"、"判断"、及び、"アッセイ"は、同じような意味で用いられ、そして、定量的及び定性的測定の双方を含む。従って、用語"評定"は、存在するものの量を測定すること、及び、それが存在するか、しないかを測定することの双方を包含する。
本明細書で用いられる用語"血小板反応性"は、損傷及び/又は化学的刺激に応答する血小板活性を表す。血小板凝集反応は、血小板反応性の最も一般的な評価方法である。従って、本明細書で用いられる用語"血小板反応性"は、例えばADP、トロンビン、コラーゲンなどのような血小板活性因子に応答する血小板凝集反応を、広く表す。
本明細書で用いられる用語"薬剤溶出性ステント"又は"DES"は、ステント(いわゆる拡張できる足場)を表し、通常、金属又は複合材料で作製され、再狭窄(血管の再阻害)の過程を妨げることで知られる医薬品で被覆されている。この用語は、特定の薬剤溶出性ステントに限定されない。これは、例えば、CYPHERTMシロリムス溶出性ステント(Cordis)、TAXUSTMパクリタキセル溶出性ステント(Boston Scientific)、ENDEAVORTM ABT-578-溶出性ステント(Medtronic)、XIENCETM エベロリムス(everolimus)-溶出性ステント(Abbott)などを包含する。
【0016】
本明細書で用いられる用語"ステント血栓症"は、ARC(Academic Research Consortium)(Maoriら, N. Engl. J. Med. (2007) 356:1020-1029)で提唱されているように定義される。ARC定義は、"明らかな"、"十分に可能性のある"、及び"可能性のある"ステント血栓症である患者を含む。ステント血栓症は、血管造影法によって確認された場合、又は、急性血栓症の病理学的確認がなされた場合に"明らかな"として定義される。"十分に可能性のある"ステント血栓症は、30日以内の解明されていない死亡、又は、血栓症の血管造影法による確認なしの標的血管の心筋梗塞(MI)として定義される。"可能性のある"ステント血栓症は、30日の後の解明されていない死亡として定義される。本明細書で用いられる"急性"ステント血栓症は、経皮冠動脈インターベンション(PCI)の24時間以内に起こるステント血栓症を表す。"亜急性"ステント血栓症は、PCI後1〜30日の間に起こるステント血栓症を表し;"遅発"ステント血栓症は、PCI後30日より後に起こるステント血栓症を表す。
【0017】
上記で説明したように、本発明の一形態において、方法は、DESで処理された個体の血小板反応性を評価するために提供される。他の態様において、方法は、ステント血栓症の危険性がある、DESで処理された、これらの個体を同定するために提供される。また、別の態様において、方法は、DESで処理された個体におけるクロピドグレル-誘導血小板阻害を評価するために提供される。
本発明の様々な態様において、ADP及びPGE1の組成物は、全血サンプル中のチエノピリジンのようなP2Y12アンタゴニストによる血小板凝集反応の阻害の評価において活性化因子として利用される。さらに、上述の組成物は、チエノピリジンでの患者の処理を含む抗血小板治療法の有効性を測定するために用いられうる。上記組成物は、GPIIb/IIIa受容体リガンドで被覆された粒子、及び、チエノピリジンの効き目のためのアッセイを行うために必要な他の試薬と合わせて用いられうる。凍結乾燥試薬組成物は、上述の活性化因子組成物及び粒子を含むものが用いられうる。一つのアプローチにおいて、全血のような評価されるサンプルの測定体積が、機械的に凍結乾燥試薬と混合される。光透過率における変化がモニターされ、そして、血小板反応性の数値が計算される。一つの局面において、全血サンプルは、上述の凍結乾燥試薬とキュベット又はユニット化したカートリッジで混合される。装置が、アッセイを行うために用いられうる。該装置は、サンプルを受けるためのウェルを備え、該ウェルは、アッセイを行うための凍結乾燥試薬及び他の試薬を含む。追加試薬は、様々なバッファー及び/又は凍結乾燥安定剤をすることができる。
【0018】
上記で説明したように、一つの局面において、本発明は、全血サンプルにおける血小板機能活性のアッセイを行うための方法を対象とする。一つの態様において、サンプルは、アデノシン-5-リン酸(ADP)アンタゴニストによって影響されるものである。例えば、サンプルは、アデノシン-5-リン酸(ADP)アンタゴニストでの処理を施された患者からのものである。本発明において、組合せはアッセイ媒体中で提供され、該組合せがサンプル及びADPとPGE1との組成物を含む。通常、ADPの最終濃度は、2〜35μMであり、好ましくは15〜20μMである。そして、PGE1の最終濃度は、2〜30nMであり、好ましくは、20〜25nMである。
本発明の方法において、血小板の特定の凝集反応、すなわち、血小板上の受容体と粒子上の化合物との間の特定の相互作用による血小板の凝集反応をもたらせる化合物で被覆された粒子を含む薬剤も用いられる。このような化合物は、制限されずに実例として、血小板受容体に対する抗体及びGPIIb/IIIa受容体リガンドを含み、該リガンドは、血小板表面上でGPIIb/IIIa受容体と結合し、複合化し、又は、相互作用できる小有機分子、ポリペプチド、タンパク質、モノクローナル抗体又は核酸でありうる。粒子の血小板介在凝集反応は、血小板の表面上のGPIIb/IIIa受容体が、粒子上のGPIIb/IIIa受容体リガンドと結合し、複合化し、そうでなければ相互作用する場合に生じる。一般的なGPIIb/IIIaリガンドは、フィブリノーゲン、モノクローナル抗体10E5(Colterら, J. Clin. Invest. (1983) 72:325)、モノクローナル抗体c7E3 (The EPIC Investigators, N.E. Journal of Med. (1994) 330:956)、フォンヴィレブランド因子、フィブロネクチン、ビトロネクチン、及び、アルギニン-グリシン-アスパラギン酸(RGD)配列、又は、この配列を模倣したペプチド模倣剤若しくは他のペプチドを有する他のリガンド(Cookら, Drugs of the Future (1994) 19:135)を含む。他の関心ある化合物は、トロンビン阻害剤、低分子量ヘパリンなどを含む。
【0019】
化合物が付着する粒子は、少なくとも約0.1μmで、最高で20μmである。一態様において、粒子は約0.1μm〜約10μmである。他の態様において、粒子は、少なくとも約1μmで、約8μm未満である。粒子は、実質的にどのような形状でもよいが、概して、均一の直径を有する球形である。粒子は、どのような密度を有してもよいが、好ましくは、おおよそ水くらいの密度であり、一般的に約0.7〜約1.5g/mlである。粒子は、表面に電荷を有しても有さなくてもよく、プラスでもマイナスのいずれかで、好ましくは、マイナスの電荷である。粒子は、それらの表面でこのような膜と受動的に結合又は接着するために、機能的にされる、又は、機能化可能にされる。
粒子は、固体(例えば、有機及び無機ポリマー又はラテックスを含む)、油滴(例えば、炭化水素、フッ化炭素、シリコン溶液)、又は、小胞(例えば、リン脂質のような合成のもの、又は、細胞及び細胞小器官のような天然のもの)であってもよい。固体粒子は、通常ポリマーであって、付加又は縮合重合体のいずれかで、それらは、簡単に液体媒体中に分散しうる。懸濁できる粒子の例は、ラテックス、脂質二重膜、油滴、細胞、及び、ヒドロゲルのようなポリマーの材料である。その他の粒子組成物は、ニトロセルロース、酢酸セルロース、ポリ(塩化ビニル)、ポリアクリルアミド、ポリアクリラート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(4-メチルブテン)、ポリスチレン、ポリメタクリラート、ポリ(エチレン テレフタレート)、ナイロン、ポリ(ビニルブチラート)、デキストラン及び修飾デキストランのようなポリサッカライドなどのようなポリマーを含み;それら自体、又は、他の材料を組合せて用いることができる。固体の粒子は、ポリスチレン、ポリアクリルアミド、単ポリマー、及び、アクリラート及びメタクリラートの誘導体のコポリマーから形成することができ、特に、エステル及びアミド、シリコーンなどから形成することができる。
【0020】
上記で説明したように、粒子上を化合物で被覆している。通常、化合物は、受動的に粒子に結合している。このような受動結合は、公知の技術によって成し遂げられ、一般的に、文献から理解できる(例えば、Immobilized Enzymes, Ichiro Chibata, Halsted Press, New York (1978) 及び Cuatrecasas, J. Biol. Chem. (1970) 245:3059参照)。つまり、上記で説明したように、粒子の表面は、多官能性でもよく、又は、多官能性化できる(polyfunctionalized)。多種多様な官能基が、利用でき、取り込むことができる。官能基は、カルボン酸、アルデヒド、アミノ基、シアノ基、エチレン基、ヒドロキシル基、メルカプト基などである。多種多様な化合物を表面に結合する方法は、よく知られており、そして、文献の中に十分に例示されている(上記参照)。別の材料(上記化合物)(side member)の付着は、結合によって直接的である、又は、連結基の仲介により間接的である。連結基の長さは、広い範囲で変更でき、別の材料及び粒子の性質に依存する。
粒子対化合物の分子の割合は、粒子に対する化合物の分子の結合において制御することができる。一つのアプローチにおいて、粒子表面上に導入された官能基化された部位の数を調整することによって、粒子の表面上の官能基化された部位の数を、制御することができる。別の方法としては、又は上記と組合せて、粒子対化合物の分子の割合を連結のための反応媒体中で、化合物の濃度を調整することによって制御することができる。他のアプローチは、上記教示の視点から本分野における当業者が行うことができるだろう。
【0021】
本発明において用いられる粒子試薬を、粒子上で吸収領域を阻害するために十分な量の材料で処理することができる。このような材料は、本発明における意図される目的のために粒子の機能に影響を与えない。阻害する材料は、ウシ血清アルブミン、ウシガンマグロブリンなどのようなタンパク質、デキストランなどのポリサッカライドなどを含む。他のアプローチでは、上記とともに利用することができ、粒子が用いられ、そこで付着のために官能基化された部位の数が、粒子の表面上での吸収領域を実質的に減らす。
この粒子は、通常、ラベルを含み、それは粒子に結合している、又は、粒子に組み込まれている。ラベルは、検出の目的において用いることができる部分とすることができる。ラベルは、しばしば、系を作る多くのシグナルである。ラベルは、直接的に又は間接的に検出することができる。ラベルは、同位体又は非同位体とすることができ、通常は、非同位体であり、そして、染料、蛍光分子、化学発光分子、酵素のような触媒、触媒をコードしたポリヌクレオチド、プロモーター、補酵素、酵素基質、放射性元素(radioactive group)、小有機分子、増幅可能なポリヌクレオチド配列などにすることができる。
【0022】
本発明の一つの特定の態様において、粒子は、1以上の赤外で吸収する染料を含む。このような染料は、バクテリオクロリン(bacteriochlorin)、バクテリオクロロフィチン(bacheriochlorophytin)、メロポリメチン(meropolymethine)染料、ベンゾアヌレン(benzoannulene)、ビニル性ポルフィリン(vinylogous porphyrin)、ポリメチン染料、シアニン、及び、メロシアニンなどを含む。興味ある特定の染料は、銅(II)-テトラ-tert-ブチル-テトラキス(tetrakis)(ジメチルアミノ)-29H-31H-フタロシアニン、及び、バナジル(vanadyl)-テトラ-tert-ブチル-テトラキス(tetrakis)(ジメチルアミノ)-29H-31H-フタロシアニンである。選択された特定の染料は、便利で、有利で、安定で、粒子と相溶性があるなどの一つが当てはまる。これらの染料は、直接粒子自体に重合又は受動吸収で取り込まれることができる。該染料は、個々に(つまり連続して)投与されてもよいし、又は合わせて(つまり同時に)投与されてもよい。あるいは、染料は、連結コンポーネントとの組合せにおいてビーズと結合でき、それにより染料が、表面から浸出しない。用いられる充填方法に関わらず、条件は、粒子表面が適した条件下で凝集する能力に関して影響を受けないということである。
染料は、約750〜900nmの赤外線範囲での光を吸収し、特に、約750〜850nmの範囲で吸収する。高いレベルの赤血球を有するサンプルのために、光は約800±10nmであり、それは、オキシヘモグロビン及び還元されたヘモグロビンの等吸収点である。粒子で用いられる染料の量は、興味ある光範囲における染料の減衰係数、アッセイの要求される感受性、粒子の大きさ、粒子に対する染料の結合の方法、粒子マトリックスでの染料の相溶性などで変化する。通常、組み込まれた染料の量は、約1〜20質量%の範囲にでき、さらに通常5〜15質量%の範囲にする。本発明における特定の使用を提供する染料は、フタロシアニンである。無金属フタロシアニンは、おおよそ700nm(e=162,000)で吸収する。金属錯体は、より短波長又はより長波長に吸収がシフトし、ほとんどの金属が、より短波長に吸収をシフトするが、いくつかの金属(例えば鉛)は、無金属フタロシアニンより長波長で吸収するようになる。
【0023】
遷移金属及びフタロシアニンの間で形成される錯体(メタロフタロシアニン(metollophthalocyanine)及びメタロナフタロシアニン(metallonaphtalocyanine))は、化学的に光及び熱に対して非常に安定している。それらは、好適な金属が存在する中でオプタロジニトリル(opthalodinitriles)を濃縮することによって形成される。銅(Cu)及びバナジウム(V)に加えて、メタロフタロシアニンの形成で用いられるいくつかの金属は、マグネシウム(Mg)、亜鉛(Zn)、及び、コバルト(Co)である。
本発明の特定の一態様において、フラットな吸収極大(flat absorption maximum)を有するカルボキシル化されたマイクロ粒子が用いられる。これらのマイクロ粒子は、805nmに近いはっきりと区別できる吸収極大を有する複数の染料を加えることにより調製される。これは、780nm〜820nmの広い範囲の波長を通して、フラットな極大吸収スペクトルをもたらす。
該サンプルは、該サンプルが、潜在的にアスピリンの組合せでP2Y12アンタゴニスト、特に、チエノピリジンの影響を受けた場合に、分析される合成の、又は、天然のいずれの溶液であってもよい。用語サンプルは、宿主からの生物学的組織(例えば体液)などを含む。一般的にサンプルは、直接調べられてもよいし、前処理されてもよい。本発明は、特に、例えば、全血、血漿のような血小板含有血液画分などのような体液を含む血小板を含むサンプルに適用される。一態様において、本発明は、全血サンプルに対して特定の適用がなされる。サンプルの量は、サンプルの質による。全抗凝固処理血液のような流体サンプルにおいて、サンプルの量は、通常、約30μl〜5mlであり、好ましくは、約100〜300μlである。用語"サンプル"は、患者からの直接処理されていないサンプル、又は、都合よい液体媒体(通常、水性媒体(例えば、クエン酸ナトリウム))中で前処理、及び、調製されたサンプルを含む。
【0024】
好ましくは、本発明におけるアッセイを行う媒体は、水性媒体である。他の極性共溶媒も、媒体(一般的に、1〜6個の炭素原子、より一般的に1〜4個の炭素原子の酸化有機溶媒、例えばアルコール、エーテルなど)において用いられてもよい。一般的に、このような共溶媒は、約70質量%未満で存在し、より一般的には、約30質量%未満で存在する。更に、様々な補助材料が、本発明における方法で多く用いられている。例えば、バッファーは、通常、アッセイ媒体中に存在し、同様に、アッセイ媒体用の安定剤、及び、アッセイ構成物;界面活性剤、特に、非イオン性界面活性剤;結合エンハンサー、例えば、ポリアルキレングリコール;なども存在する。
媒体のpHは、一般的に、約2〜約11の範囲であり、好ましくは、約4〜約9である。様々なバッファーを、適当なpHを達成し、方法の間中そのpHを維持するために用いられてもよい。実例となるバッファーが、HEPES、ボラート、ホスファート、カルボナート、トリス、バルビタールなどを含む。特定の用いられるバッファーは、方法に欠かせないわけではないが、一バッファーが、ある環境において他のものよりも好まれうる。ある環境において、HEPESが好ましく、約0.05M〜約1mMの濃度で存在するが、一般的には、約0.01Mの濃度で存在する。
アッセイ媒体の体積は、約25μl〜約500μlであり、一般的に、約75μl〜約250μlである。このアッセイは、好適な容器で行うことができる。都合がよいことに、容器は、アッセイを行って、アッセイ結果を評価するための器具と一緒に用いられるキュベット又はカートリッジである。反応容器は、凍結乾燥状態で本発明における反応開始剤を、一般的に、粒子試薬のような他の薬剤、安定剤などと一緒に含む。
【0025】
サンプルと粒子試薬の組合せを、粒子を凝集反応させるための条件下で定温放置する。穏やかな温度が、通常方法を行うために用いられる。温度は、定常でもよいし、変化してもよい。一般的に、定常温度が、反応工程の間用いられる。用いられる温度は、一般的に、約10℃〜約80℃であり、さらに一般的に、約15〜約45℃であり、好ましくは、温度は少なくとも25℃であるべきであり、更に好ましくは、約30〜約40℃の範囲であるべきであり、一般的に、約37℃である。
粒子の凝集反応の程度は、測定され、サンプルにおけるP2Y12アンタゴニストの存在及び/又は量に関係付けられる。凝集反応の存在は、実質的に凝集反応を示す粒子の塊を観察することによって測定することができる。好適には、上記で説明したように、粒子は、凝集反応の可視化、又は、マトリックスの塊を形成することに役立つために着色されてもよい。凝集反応の程度は、媒体などの光学密度の変化率を観察することによって、分光光度法、濁度測定法、比濁法などで評価することができる。
【0026】
本発明の特定の態様において、血小板機能活性のアッセイは、チエノピリジンでの処理を施した患者からの全血サンプルで行われる。該サンプルは、フィブリノーゲン被覆粒子、及び、ADP及びPGE1の組成物と一緒に、好適な容器、例えば反応キュベット中で混合され、アッセイ媒体を形成する。粒子試薬の粒子は、その中に組み込まれた1つ以上の赤外染料を有する。該組合せは、凝集反応をもたらす条件下におかれ、媒体は、赤外光で照射される。アッセイ混合物からの赤外光の伝播が測定され、伝播レベルが血小板反応性に関係付けられる。
凝集反応媒体は、約800nmで高い吸収を有することを選択される。凝集反応媒体吸収係数、対、全血吸収係数の比が、好ましくは800nmで約4:1より大きくなければならない。特定のアッセイの吸収比は、アッセイサンプルにおける凝集反応媒体の吸収係数及び凝集反応媒体の濃度の双方の関数である。
サンプルが薬剤と合わされてから、望ましくは、温度をアッセイ結果に不利に影響することなしに制御できることを保証するために、それが、室温より高い温度だが、アッセイを妨げる温度より低い温度まで加熱される。望ましくは、温度は少なくとも250であるべきで、好ましくは、30-40℃の範囲であり、更に好ましくは約37℃である。反応媒体は、一般的に、サンプルと試薬との混合、及び、反応工程の間、穏やかに攪拌される。攪拌は、アッセイサンプルにおける均一性が達成されて、維持されるために十分に行う。0時(混合した時)からリーディングまでの全時間は、約10秒〜10分間で変動することができ、更に一般的に約30秒〜8分間で変動し、更に好ましくは約30秒〜3分間で変動する。データは、従来の手段により分析することができ、特に、校正器及び/又は制御機器に関連してデータを操るアルゴリズムを用いて分析できる。
【0027】
凝集反応のレベルは、試験されるサンプルの血小板反応性の示度である。凝集反応のレベルは、既知の血小板反応性の基準と比較されうる。通常、結果は、校正器と比較され、このことは、付随して行われうる、又は、前もって行われていて、又は、標準曲線として提供されうる。薬剤溶出性ステント(DES)で処理された個体において、血小板反応性を、退院後の転帰、例えばステント血栓症に不利に作用する可能性を評定するために用いることができる。
本発明の方法は、血小板の数のアッセイと組合せて用いられることができ、アッセイは、例えば、米国特許出願シリアル番号第09/177,884(1998年10月23日出願)、及び、国際出願番号PCT/US1999/24670(1999年10月20日出願(公開番号WO/2000/025140)に記載されており、参照によりその関連のある開示は本明細書に組み込まれる。
上記アッセイは、好ましくは装置内で行われることができ、該装置は、本発明における反応を引き起こすことができ、その結果を測定することができる。該器具は、フィブリノーゲンに結合する活性化血小板の能力に基づく血小板機能を評定できる。活性化血小板が、フィブリノーゲン被覆粒子に結合し、凝集反応を起こすので、光伝播の増加が起こる。概して、アッセイの結果を評価する器具は、凝集反応を評価することができる器具である。好ましくは、器具は、凝集反応に応じた光シグナルの変化を評価する。好適な器具は、限定ではなく、実例として、動的分光器、VERIFYNOWTM システム器具(Accumetrics, Inc., San Diego, CAから市販されており、標準サンプルにおいて、迅速な血小板機能活性測定器として用いられる)などを含む。
【0028】
VerifyNowTMシステム器具は、光伝播の増加により、血小板誘導凝集反応を評価する濁度測定ベースの光検出システムである。該システムは、分析器、使い捨てのカートリッジ、及び、制御機器を備える。カートリッジは、マイクロ粒子凝集反応技術に基づく試薬を含む。品質管理システムは、電子制御、2つのレベルのアッセイ"ウェット"制御機器(WQC)、カートリッジ中の湿度センサー、パッケージされた温度メーター、及び、2つのアッセイチャンネルの一致検定を含む。分析器は、アッセイシークエンシング制御し、アッセイ温度を定め、所要の持続時間での試薬-サンプルの混合を制御し、血小板反応性の程度を測定し、結果を表示し、自己診断を行う。本発明の方法で用いるために、このシステムの試験カートリッジは、受動的に結合したGPIIb/IIIa受容体リガンドを有する粒子を含む凍結乾燥調製物、ADP及びPGE1の組成物及びバッファーを含む。患者のサンプルは、一般的に、クエン酸全血であり、これは、自動的に分析器により血液回収チューブからカートリッジの中に分配され、使用者による血液ハンドリングを必要としない。相互作用は、粒子の赤外吸光度指標によりモニターされる。粒子が血小板を相互作用するので、粒子の凝集反応は、VerifyNowTM分析器の光システムを通して評価される。凝集反応は、サンプルを通る赤外光の伝播の増加により検出される。反応速度は、分析され、"P2Y12応答ユニット"PRUに移される。
【0029】
本発明の他の態様において、キットは、受動的に結合したフィブリノーゲンを有する粒子を含む凍結乾燥調製物、ADP及びPGE1の組成物、及び、バッファーのパッケージされた組合せを含む。凍結乾燥調製物は、分析の器具において用いられるカートリッジのような反応容器中に存在しうる。上述のVerifyNowTMシステムで、凍結乾燥調製物は、分析器で用いられる4つのウェルカートリッジの外側のウェルに置かれうる。キットは、サンプル回収容器及び/又は、本方法を行うための装置も含む。試薬の相対量は、測定の感受性を十分に最適化する試薬の溶液中における濃度を提供するために広範囲で変えることができる。
必要に応じて、試薬の活性を維持するために、試薬は、気密パッケージ中に置かれる。パッケージは、例えば、バック、パウチ、又は、実質的に湿気を通すことができない材料から加工されたようなものにすることができる。このような材料は、制限されず、実例として、プラスチック、アルミホイルなどを含む。血液サンプルのために、キットは、ヒトの皮膚を刺すためのもの、殺菌剤、又は殺菌パッドなども含む。キットは、校正器及び標準器も含みうる。更に、キットは、血小板数のアッセイを行うために、1つ以上の試薬も含みうる。
【0030】
キットは、本発明のアッセイを行うために必要な試薬を含みうる。一つの態様において、キットは、血液バイアル、固体表面の血小板仲介凝集反応に適した範囲内で評定される血液サンプルのpH、及び、塩濃度を維持するバッファー、及び、血小板GPIIb/IIIa受容体リガンドで被覆された小さなポリマー製のビーズを含む。バッファーは、溶液であってもよく、又は、単に緩衝組成物及び塩であってもよく、この場合、所望のバッファー溶液を得るために既知の量の水を添加する。選択的に、キットは、抗凝固剤も含んでもよい。一つの態様において、バッファーは、HEPESであり;抗凝固剤は、シトラートであり;GPIIb/IIIa受容体リガンドは、フィブリノーゲンであり;小さなポリマーのビーズは、ポリアクリロニトリル、又は、カルボキシル化ポリスチレンであり、ペプチドGPIIb/IIIa受容体リガンド、例えばフィブリノーゲンを含み、該リガンドが、ペプチドとビーズ表面上の官能基との間の疎水結合及び/又は水素結合の相互作用によってビーズ表面に受動的に結合している。更に別の態様において、キットは更に、ADP及びPGE1の組成物のような血小板活性化因子を含む。
本発明の一態様において、退院前に回収した血液サンプルを用いて、クロピドグレルへの応答性、すなわち、処理後の反応性(ベースラインと比べた血小板機能の阻害率、または、PRUによって評価される実際の反応性によって定義される)と、DESを受けたPCIを施された患者のためのポイントオブケア検査を用いた有害事象との間の関係を、評価する。
別の態様において、クロピドグレルの増加投与は、約100kg超過の体重のDESを体内に含むPCI患者において考慮されうる。PCI時の血小板機能のポイントオブケア検査は、30日にわたる経過観察で、ステント血栓症の高い危険性を有する患者を同定することができる。危険がある患者は、クロピドグレル投与量を増やすこと、又は、代わりに抗血小板ストラテジー(例えばプラスグレル)から恩恵を受けることができる。
【実施例】
【0031】
以下の実施例は、本発明を説明することを意図し、その範囲を制限することを意図しない。割合及び百分率は、特段の記載がない限り、質量によって表される。
<実施例1>
ADP (Chrono-log Corp., ハーバータウン,PA)及びPGE1(SIGMA)をそれぞれ20μM及び22nMの最終濃度で用いて、用量反応検査を行った。血小板凝集計で用いる前に、ADPをヘペス/生理食塩水バッファー(pH 7.4)で最終濃度の200μMに希釈した。血小板凝集計で用いる前に、PGE1をヘペス/生理食塩水バッファー(pH 7.4)で最終濃度の220nMに希釈した。P2Y12受容体アンタゴニストをDMFで最終濃度の1mM、2mM、及び、5mMに希釈した。
5μlの希釈P2Y12アンタゴニストを、5mlの全血の中に入れた。サンプルを逆さにして、1時間室温で定温放置した。全血ベースラインサンプルに添加剤を投入しなかった。定温放置が終わってから、全血サンプルを多血小板血漿(PRP)のために1500rpmで15分間回転させ、乏血小板血漿(PPP)のために3500rpmで15分間回転させた。PPPを用いたそれぞれのサンプル用に、血小板数を、おおよそ250,000/μLに調整した。
血小板凝集測定において、450μLの調整したPRPをガラス製のキュベットに添加した。ブランクのサンプルは、450μLのPPP及び50μLのヘペス/生理食塩水バッファーを含んでいた。200μMのADP、及び、220nMのPGE1の組成物50μLを各PRPサンプルに添加し、血小板凝集計において10分間検査した。
図1で記載したように、上記試薬及びシステムは、P2Y12アンタゴニストで処理された血液サンプルから血小板凝集反応の程度を検出することに成功した。図1及び2は、それぞれ1個体及び5個体の平均応答を示す。
図1に示された上記結果から、P2Y12アンタゴニストにさらすことによって影響を受けているサンプルにおける血小板活性用のアッセイを実施するための本発明によって、単純で迅速な方法が、提供されることが明らかになった。
【0032】
<実施例2>
PCIの患者の調査を行った。選ばれた患者は、以下の少なくとも1つを有する:PCIを必要とする直径の≧50%に狭窄した少なくとも1つの病変部、直径2.25〜4.0mmの参照血管、本来の冠動脈、又は、初めから、若しくは、再狭窄したバイパス移植部に位置する標的病変部。そして、該患者は、アスピリン、クロピドグレル、又は、DESの成分に対するアレルギーが知られていない。
全血を、抗凝血剤又は抗トロンビン治療の前に莢動脈の側壁から得て、PCIから12時間後に静脈切開して得た。クロピドグレルの阻害効果を、VerifyNowTM P2Y12 アッセイ(Accumetrics, Inc., サンディエゴ、カリフォルニア)を用いて評価した。クロピドグレルにさらされる前のベースラインのサンプルを使った患者においてクロピドグレルにより誘導された阻害百分率を以下の式を用いて計算した:1-(PRU クロピドグレル投与後/PRU ベースライン)×100。
処理後のADP誘導凝集反応が、ベースライン時よりクロピドグレルの後に多い場合に、阻害百分率はゼロであると見なした。クロピドグレルにさらす前のベースラインのサンプルを有しない患者(つまり、PCI前にクロピドグレルでの長期治療中の患者)では、内部標準チャネルを用いた装置によって報告された阻害百分率を用いた。
全ての患者が、予めアスピリンを使用していたかどうかに関わらず、診療の日に325mgの非被覆アスピリンを受けた。予めクロピドグレルを服用していない患者は、カテーテル検査室を離れる前に診療の最後に600mg投与量で治療された。内皮治療ヘパリン(目標活性化凝固時間が>250秒)、又は、ビバリルジンのいずれかが、調査の間に、オペレーターの裁量で投与された。患者は、無期限にアスピリンを325mg/日を服用し、最低3か月間クロピドグレル75mg/日を服用することを指示された。糖タンパク質IIb/IIIa阻害剤を受けた患者、又は、診療前に24時間以内にクロピドグレルの投与量を受けた患者は、分析から除外した。
【0033】
"高い処理後の反応性"を、クロピドグレル投与の間(長期治療中、又は、投与した12時間後)での、完全なPRUの最も高い四分位数として定義し、一方で、"クロピドグレル非反応性"を血小板機能の阻害百分率(患者のベースライン又は標準チャネルと比較された、クロピドグレル投与後の血小板反応性における相対的変動)の最も低い四分位数として定義した。患者は、それらのホメオスタシスモデルアセスメント指数が、[空腹時インスリン(μU/mL)]×[空腹時グルコース(mg/dl)]/405として計算され、>3.0である場合、又は、患者が治療を必要とする糖尿病を患っている場合に、患者のインスリン耐性が判断された。
評価された臨床のエンドポイントは、死亡、MI(非Q波又はQ波)、及び、ステント血栓症とした。周術期の非Q波心筋梗塞(MI)を、CK-MBが、生理的Q波の存在しない正常の上限値の3倍超過として定義した。30日経過観察の間のMIを、臨床事象委員会は、虚血に起因すると考えられる心筋酵素の上昇として定義した。"ステント血栓症"は、以下のいずれかとして定義した:ステント閉鎖又は血栓症の血管造影法による実証、原因不明の突然死、患者のステントの付随する実証なしのMI。"急性血栓症"をPCIの24時間以内に生じた血栓症として定義し、"亜急性血栓症"を24時間から30日の経過観察中に生じた血栓症として定義した。
コンピューターベースの分析プログラムSPSS(Statistical Package for the Social Sciences, 12.0 for PC, SPSS Inc., シカゴ, Ill.)を統計的計算に用いた。カイ二乗検定、又は、期待された細胞数が<5(2×2テーブル)の場合にフィッシャーの直接確率検定が、カテゴリ変数における差異を検出するために用いられた;p<0.05が、有意とみなした。連続的変数の比較は、スチューデントt-検定を用いて行った。一変量及び前条件(入力基準の0.05及び出力基準の0.10)の多変量ロジスティック回帰分析をクロピドグレル非反応性と独立して関連する指数と変数を同定するために用いた。
以下の変数は、一変量分析でp値が>0.10である場合に、多変量分析に入力し検査した:年齢、性別、体重、肥満度指数(BMI) ≧30kg/m2、糖尿病歴、インスリン耐性、CHF歴、MI歴、HTN歴、習慣的な喫煙、腎不全(クレアチン≧1.5)、EF<40%、MIの提示、狭心症の提示、ビバリルジン使用、及び、アスピリン、βブロッカー、又は、アトルバスタチンの事前使用。
ベースラインの臨床的特徴は、以下の表1の通りである。
【0034】

【0035】
診療への適応は、以下の一つによって決定した:安定狭心症又は虚血症の261人の患者(93%)、不安定狭心症の13人の患者(4.8%)、急性MIの6人の患者(2.2%)。
病変部の特徴は、表2に記載した。

【0036】
調査の特徴は表3の通りである。

【0037】
クロピドグレル非反応性を、阻害百分率<10%で定義した。クロピドグレル非反応性の一変量予測を、MI(p=0.03)、真性糖尿病(p=0.03)、最も高い四分位数における体重(>100kg、p=0.03)、及び、βブロッカー使用(p=0.001)で表した。
クロピドグレル非反応性のための多変量予測は、表4に示す。

*体重の最も重い四分位数:>100 kg
30日経過観察でのステント血栓症を表5に示す。

【0038】
ステント血栓症を、多くの患者において確認した。全ての患者が、血栓症を生じたときに、2回、抗血小板治療を受けた。患者番号1は、PCIの80分後に急性血栓症を起こし、診療のときにクロピドグレルを服用中だった。患者番号1の阻害百分率は、0%だった。患者番号2は、PCIの6日後に亜急性血栓症を起こし、診療のときにクロピドグレルを服用中だった。患者番号2の阻害百分率は、0%だった。患者番号3は、PCIの34日後に亜急性血栓症を起こし、診療のときにクロピドグレルを服用したことが無く、600mg投与した。患者番号3の阻害百分率は、0%だった。患者番号4は、PCIの8日後に亜急性血栓症を起こし、診療のときにクロピドグレルを服用したことが無く、600mg投与した。患者番号4の阻害百分率は、44%だった。血栓症及び非応答の4人全てが、クロピドグレル投与後の絶対反応性の最も高い四分位数に入っていた。
この例において、PCIをした患者の四分の一が、ポイントオブケアアッセイで評価されたとき<10%として定義される、クロピドグレル誘導血小板阻害を示した。MIを示す患者は、体重が重く、そして、ベータブロッカー使用は、独立してクロピドグレル非反応性と関連した。クロピドグレル非反応性は、30日の経過観察の間に、特に、高い完全な処理後反応性として十分にステント血栓症に関与した。
この例から、クロピドグレルの投与を100kg超過の患者に増やすべきであることが分かった。更に、PCIの時に、血小板機能のポイントオブケア検査は、30日の経過観察の間、ステント血栓症に高い危険性がある患者を同定することに用いることができた。危険性がある患者は、増加したクロピドグレル投与レジメ、又は、例えばプラスグレルなどに限定されない代わりの抗血小板ストラテジーから利益を得ることができた。
【0039】
<実施例3>
VerifyNowTMP2Y12アッセイ(Accumetrics, Inc., サンディエゴ、CA)によって評定したときのクロピドグレル治療で患者における血小板反応性が、薬剤溶出性ステント(DES)移植の後に、退院後の転帰、例えばステント血栓症と、関係するかどうか測定するために別の調査を行った。この調査は、Priceら, Eur. Heart J. (2008) 29(8):992-1000に公表されており、本明細書に全て組み込まれる。
患者がPCIを必要とする50%以下の狭窄直径の病変部を少なくとも1つ有して、アスピリン、クロピドグレル、又は、シロリムス溶出ステント(SES)に対する分かっているアレルギーがない場合に、その患者が登録者として望ましかった。クロピドグレル治療中の患者、又は、クロピドグレル投薬されたことない患者を含むことが望ましかった。しかしながら、診療前にクロピドグレル治療中のそれらの患者が、最適に、一貫して血小板機能評定の時に処理されることを保証するために、診療の少なくとも12時間前に600mgの投与量を受けた患者、又は、5日より長く75mg/日のクロピドグレルの維持投与量を服用しているそれらの患者のみを含めた。周術期に糖タンパク質阻害剤を受けた患者は、P2Y12アッセイを妨げることから登録されなかった。
全血は、カテーテル法の時に、予めのクロピドグレル治療中の患者において抗凝固療法前に動脈鞘の側壁部から得られ、また、クロピドグレル投薬されたことない患者においてPCI及び600mgのクロピドグレル投与量を投与して12時間後に静脈切開術によって、得られた。血液は、3.2%のクエン酸ナトリウムを含有する1.8 mL 引抜プラスチックVacuette(登録商標)チューブ(Greiner, Monroe, NC)の中に移した。
【0040】
クロピドグレルの阻害効果は、VERIFYNOWTM P2Y12アッセイ(Accumetrics, Inc.)を用いて測定した。VerifyNowTM P2Y12は、P2Y12受容体における薬剤の影響を直接測定できるよう設計された、迅速な血小板機能カートリッジベースのアッセイである。該アッセイは、20mMのADP及び22nMのプロスタグランジンE1を含み、P2Y1受容体に結合するADPの活性化寄与を減少させる。フィブリノーゲン被覆マイクロ粒子は、使用可能な血小板受容体と結合するためにVerifyNowTM P2Y12カートリッジで用いられる。VerifyNowTM 器具は、光伝播の増加により血小板誘導凝集反応を測定し、数値を計上するためにP2Y12反応ユニット(PRU)における独占排他権があるアルゴリズムを利用する。このアッセイで、高い水準のPRUは、高い水準のADP仲介血小板反応性を反映する。検査精度の変動の平均係数は、冠動脈疾患の患者において3.2%であると報告されている。
途中で行われるストラテジーは、オペレーターの判断によるものとした。診療の間に術中未分画のヘパリン(目標活性化凝固時間:>250秒)又はビバリルジンのいずれかが用いられた。全ての患者がSESを受け、彼らは、前もってアスピリンを使用しているにも関わらず、診療の日にアスピリン325mgを受けた。クロピドグレルを前もって服用していない患者は、カテーテル法研究室を離れる前に、診療の終わりに、600mg投与量を受けた。すでにクロピドグレル治療を受けている患者(先の包含/排除基準に基づく)は、追加投与量を受けなかった。患者は、無期限にアスピリン325mgを服用すること及び、診療後最低3か月間毎日クロピドグレル75mgを服用することを指示された。
【0041】
"処理後血小板反応性"を、クロピドグレル服用中(クロピドグレルを前もって服用してない患者におけるPCI及び投与量600mgの投与の12時間後、又は、既にクロピドグレルを服用している患者におけるPCI前のカテーテル法の時)にPRUとして定義した。"技術的成功"を、最終的な狭窄の直径が≦30%であり、心筋梗塞血栓溶解(TIMI)のフローグレード3であると定義した。測定される臨床エンドポイントは、心臓血管(CV)死亡、致命的でない心筋梗塞(MI)、及び、ステント血栓症だった。米国心臓学会(ACC)の定義に従って、"経過観察の間のMI"を、臨床的兆候における心臓バイオマーカーの典型的な増加及び低下、又は心虚血の一貫した症状として定義した(Cannonら, J. Am. Coll. Cardiol. (2001) 38:2114-2130)。Academic Research Consortiumの定義は、"ステント血栓症"(明らかな、十分に可能性のある、及び、可能性のある)として用いる(Mauriら, N. Engl. J. Med. (2007) 356:1020-1029)。"亜急性ステント血栓症"を、退院30日後までに生じるステント血栓症として定義し、そして、遅発ステント血栓症を、30日から6か月後までに生じるステント血栓症として定義した。
【0042】
コンピューターベースの分析プログラムSPSS(Statistical Package for the Social Sciences, 12.0 for PC, SPSS Inc., シカゴ, IL, USA)を統計的計算に用いた。チエノピリジン治療を行った/行わなかったステント移植のランダムな調査は、二回抗血小板治療で処理された患者における心イベントにおいて、アスピリン単独で処理した場合と比較して、75〜85%相対的減少を示した。我々は、380人の患者のサンプルサイズが、応答するものにおける1.0%のイベント率、及び、三分の一のクロピドグレル非反応性率を仮定して、片側フィッシャーの直接確率検定を用いたイベント率における80%の相対的差異を検出するために70%検出力を提供することを予測した。連続型変数の比較を学生のt-検定を用いて行った。x2検定は、カテゴリ変数の差異を検出するために用いられ、フィッシャーの直接確率検定が、期待される細胞数が2×2テーブルで<5の場合に用いられた。コルモゴルフ-スミルノフ検定が正規性の検定に用いられた。受信者動作特性(ROC)カーブ分析を、VERIFYNOWTM P2Y12アッセイの能力を測定するために用いて、患者をPCI後の退院後のイベントがあるか無いかを区別した。最適なカットオフ点を、感受性及び特殊性の最も多い合計をもたらす処理後PRUを測定することで計算した。Rソフトウェアを用いてブートストラップ妥当性確認を行った。生存曲線は、カプラン-マイヤー法を用いて作られ、そして、曲線の間の差で、logランク検定によって評定された。p-値が0.05未満のときを有意であると見なした。
合わせて380人の患者が、この調査で登録された(図2参照)。ベースラインの臨床、病変部、及び診療の特徴は、表6及び7に示す。概して、平均年齢は、PCI時に、68±11歳で、76.8%が男性で、14.2%が腎不全であり、28.9%が糖尿病で、そして、44.5%がクロピドグレル治療中だった。診療で示したことは、ほとんどの患者(93.9%)が、不変の狭心症又は虚血症だった。1患者当たり平均1.7±0.8の病変部が処理された。平均病変部の長さは、20.0±13.1mmで、そして、1病変部当たり平均1.4±0.7のSESが移植された。技術的成功は、全ての患者において達成された。
【0043】

* 処理後の反応性として定義された高い反応性:ROC曲線分析による上記最適なカットオフポイント(PRU≧235)より高い反応性、低い反応性:該閾値以下の反応性
【0044】

【0045】
処理後PRUは、正規分布した(1サンプルコルモゴルフ-スミルノフ検定, P = 0.2)。平均の処理後の反応性は、184 ± 85 PRUだった。予めのクロピドグレル治療中の患者と投与量を受けたクロピドグレルを投薬されたことがなかった患者との間の処理後の反応性において差は無く(186±73 対 183±94 PRU, P = 0.7)、ヘパリン処理を診療中に受けた患者とビベラジン処理を診療中に受けた患者の間の差異は無かった(184±86 対 184±84 PRU, P = 1.0)。
臨床経過観察は、6ヵ月で患者の98.9%で終えた。退院後、3人がCV死(0.8%)して、そのうちの2人が突然死だった(診療84日後及び186日後)。診療32日後に、1人がCV以外の理由で(敗血症による)死亡した。5人の患者(1.3%)が致命的ではないMIを起こした。6人(1.6%)のステント血栓症のエピソードがあった:3人が明らかな亜急性、1人が明らかな遅発、2人が可能性のある遅発であった。CV死、致命的でないMI、又はステント血栓症のエンドポイントは合わせて、10人の患者で生じた(2.6%)。これらの患者は、初発(Index)診療の間、準最適な血管造影法による結果、及び、残りの解剖の血管造影法の証拠を有さなかった。PCI8日後に亜急性ステント血栓症を被った1人の患者は、退院後、クロピドグレルを服用しなかった(すなわち、診療の24時間後以降はクロピドグレルをとらなかった)。全ての他の事象は、患者が二回抗血小板治療をなされている間に起こった。処理後のステント血栓症を有する患者は、抗血小板治療をされている間、283、292、236、244、及び271PRUだった。合わせて373人の患者(98.2%)は、診療3か月後までクロピドグレル治療を続け、317人の患者(83.4%)が、6か月経過観察の治療を続けた。表8は、6か月間クロピドグレル治療を受けた患者における事象率を示し、表9は、クロピドグレル治療の最低3か月の治療単位を終えた患者における6か月の事象率を示す。有害事象を有する患者は、それを有さない患者と比べて非常に高い血小板反応性を有した。(242 対 186 PRU, 片側 t-検定 P = 0.03).
【0046】

* 高い反応性の群及び低い反応性の群の間での比較(表6)
【0047】

* 高い反応性の群及び低い反応性の群の間での比較(表6)
【0048】
6か月の経過観察中にクロピドグレル治療を続けた患者における処理後の血小板活性のROC曲線分析は、処理後のPRUが、後発事象がある患者とない患者との間を区別することができることを示した[曲線0.711下面積[95% 信頼区間 0.529-0.893), P = 0.03] (図3)。PRU≧235は、最適なカットオフ値として同定され、退院6か月後の結果を予測し、78%(95% CI 46-94)の感受性を提供し、68% (95% CI 67-69)の選択性、及び、99% (95% CI 98-100)の陰性適中率を提供した。10000のレプリカを用いたブートストラップ分析によると、最適なカットオフの95%の信頼区間の境界は、179-291 PRUだった。少なくとも3か月のクロピドグレル投与で完成する患者のコホート[曲線0.720下面積 (95% 信頼区間 0.540-0.900), P = 0.02; 感受性78% (95% CI 46-94)、選択性70% (95% CI 69-70)]において最適なカットオフは、235 PRU (95% CI(ブートストラップによる) 174-291 PRU)だった。このカットオフは、処理後の反応性の上位の三分位の境界線と同じだった(>231 PRU)。上記最適なカットオフ値より高い処理後の反応性を有する患者は、"高い"処理後反応性を有すると見なされた。高い処理後反応性を有する患者は、かなり、高齢で、さらに糖尿病である傾向があり、腎不全を有する傾向があり、低い処理後の反応性を有する患者と比較して、よりβブロッカーを服用している傾向にあった(表6)。高い処理後の反応性を有する患者は、患者当たりの病変部も少なく、平均して移植された大きな直径のステントを有していた(表7)。
【0049】
高い処理後の反応性を有する患者は、CV死亡率 (2.8 対 0%, P = 0.04)、ステント血栓症(4.6 対 0%, P = 0.004)、明らかな、又は、十分に可能性のあるステント血栓症(2.8 対 0%, P = 0.04)、及び、CV死、致命的ではないMI、又は、ステント血栓症の組合せのエンドポイント(6.5 対 1.0%, P = 0.008)の有意に高い割合を有した(表8及び9)。結果における差異は、生じた全ての死、致命的ではないMI、又は、ステント血栓症を考慮する場合に、さらに有意である(6.5 対 1.4%, P = 0.035)。イベントフリーの生存率曲線を図4に示す。CV死、致命的でないMI、又は、ステント血栓症の組合せエンドポイントを含まない生存率は、高い処理後の反応性を有する患者において91.4%、及び、高い処理後の反応性を有しない患者において99.9%だった(P = 0.004)。
この例において、ROC分析が、DESを体内に有するPCIを施された患者の集団に行われ、(i) 後発の退院後の事象がある患者とない患者とを区別するためにVERIFYNOWTM P2Y12 ポイントオブケアアッセイの能力を測定し(Accumetrics, Inc.)、(ii)高い反応性及び低い反応性を有する患者の間での事象の相対的比率を測定するために、臨床的ベースの閾値を同定した。
初発入院の間、このポイントオブケアアッセイで評価される場合でのクロピドグレル治療における血小板反応性は、DES移植後の退院後の結果(例えばステント血栓症)を予測することが分かった。
高い危険性がある患者の識別の最善のカットオフは、PRU≧235だった;全てのCV死及びステント血栓症が上記この閾値の反応性を有する患者で起こった。このカットオフポイントは、調査された集団におけるPRUの上位の三分位の境界に類似しており、クロピドグレル投与後の高い反応性が後発CV事象と関係するという予めの見解と一致していた。最適なカットオフ周辺の95%の信頼区間のブートストラップ推定は、かなり広く、この研究において起こる少ない事象によるものである。特に、95%の信頼区間の低い範囲が、集団における平均PRUよりさらに上回り、このことは、PCI時前後で、メジアンより上の残りの血小板反応性を有する患者が、後発事象で高い危険性を有するという予めの研究結果と一致する。
【0050】
この実施例は、血栓事象の前に、ステント血栓症と高いクロピドグレル後の血小板反応性の存在との間に有意な関係性を示す。この調査において、全体の亜急性ステント血栓症率(0.8%)及び遅発性ステント血栓症率(0.8%)率が予めされていた報告と一致した。血小板機能評定が、血栓事象の前に行われるので、データは、高いクロピドグレル投与後の反応性がステント血栓症において病因学的因子であるという仮説を支持した。
この実施例は、院外虚血症事象、特に、ステント血栓症の危険性がある患者が初発入院の間行われるポイントオブケア血小板機能評定を用いて階層化することができる。クロピドグレルを増加させた維持投与レジメは、任意抽出の患者、及び、正常な機能を失った応答の高い危険性を有する糖尿病患者における血小板阻害性を改善することができる。第三世代のチエノピリジン系プラスグレル及び他の新規のP2Y12阻害剤も、さらに強力で同様のP2Y12阻害剤を提供するために用いることができる。
上述の発明は、理解を明確にする目的のための実例及び実施例で詳細に説明されたが、いくらかの変更及び修正が、添付する請求項の精神又は範囲から外れることなく、該発明に加えられうることは、本発明の教示を考慮すると、本分野の当業者に容易に分かるだろう。
あたかも各刊行物又は特許出願が、明確に、個別に参照により取り込まれることが示されたように、全ての刊行物及び本明細書で引用した特許出願は、参照により本明細書に取り込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤溶出性ステント(DES)で処理された個体における、P2Y12アンタゴニストによる血小板反応性の阻害を評価する方法であって、
(a)DES及びP2Y12アンタゴニストで処理された個体から、血小板含有血液サンプルを準備する工程;
(b)表面に固定されたGPIIb/IIIa受容体リガンドを含有する粒子、アデノシン二リン酸(ADP)、及び、プロスタグランジンE1(PGE1)と、前記血小板含有血液サンプルとを、
前記血液サンプル中の前記血小板により仲介される前記粒子の凝集反応に適した条件下で、接触させる工程;及び
(c)前記凝集反応を評定して、前記個体における前記P2Y12アンタゴニストによる血小板凝集反応の阻害が存在すること、不存在であること、及び/又は、阻害の程度を測定する工程であって、
前記凝集反応が不存在であること、又は、前記凝集反応の減少が、前記個体がP2Y12アンタゴニスト処理に応答して血小板反応性を減少したことを示す工程;
を含む方法。
【請求項2】
ステント血栓症の危険性がある、薬剤溶出性ステント(DES)で処理された個体を同定する方法であって、
(a)DES及びP2Y12アンタゴニストで処理された個体から、血小板含有血液サンプルを準備する工程;
(b)表面に固定されたGPIIb/IIIa受容体リガンドを含有する粒子、アデノシン二リン酸(ADP)、及び、プロスタグランジンE1(PGE1)と、前記血小板含有血液サンプルとを、
前記血液サンプル中の前記血小板により仲介される前記粒子の凝集反応に適した条件下で、接触させる工程;
(c)前記凝集反応を評定して、前記個体における前記P2Y12アンタゴニストによる血小板凝集反応の阻害が存在すること、不存在であること、及び/又は、阻害の程度を測定する工程であって、
前記凝集反応が不存在であること、又は、前記凝集反応の減少が、前記個体がP2Y12アンタゴニスト処理に応答して血小板反応性を減少したことを示す工程;及び
(d)前記個体のステント血栓症の危険性レベルを評定する工程;
を含む方法。
【請求項3】
血小板含有血液サンプルが、全血サンプルである請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
血小板含有血液サンプルが、血漿サンプルである請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
血漿サンプルが、多血小板血漿(PRP)サンプルである請求項4に記載の方法。
【請求項6】
P2Y12アンタゴニストが、チエノピリジンである請求項1又は2に記載の方法。
【請求項7】
チエノピリジンが、クロピドグレルである請求項6に記載の方法。
【請求項8】
チエノピリジンが、チクロピジンである請求項6に記載の方法。
【請求項9】
個体が、P2Y12アンタゴニスト及びアスピリンで処理された請求項1又は2に記載の方法。
【請求項10】
粒子が、ポリスチレン又はラテックスを含む請求項1又は2に記載の方法。
【請求項11】
粒子が、赤外色素を含み、
血小板含有血液サンプルと粒子との間の接触が、アッセイ混合物を形成し、
血小板によって仲介される粒子の凝集反応が、赤外スペクトルにおける光でアッセイ混合物を照射して、アッセイ混合物からの赤外光の伝播を評定することによって評定される請求項1又は2に記載の方法。
【請求項12】
GPIIb/IIIa受容体リガンドが、フィブリノーゲン、モノクローナル抗体10E5、モノクローナル抗体c7E3、フォンヴィレブランド因子、フィブロネクチン、ビトロネクチン、アルギニン-グリシン-アスパラギン酸(RGD)配列を有するリガンド、及び、RGD配列を模倣したペプチド模倣薬又はペプチドからなる群から選択される物質を含む請求項1又は2に記載の方法。
【請求項13】
GPIIb/IIIa受容体リガンドが、フィブリノーゲンである請求項1又は2に記載の方法。
【請求項14】
ADPが、最終濃度2〜35μMを有し、PGE1が、最終濃度2〜30nMを有する請求項1又は2に記載の方法。
【請求項15】
ADPが、最終濃度15〜20μMを有する請求項1又は2に記載の方法。
【請求項16】
PGE1が、最終濃度20〜25nMを有する請求項1又は2に記載の方法。
【請求項17】
粒子、ADP、及び、PGE1が、アッセイ媒体の中に含まれる請求項1又は2に記載の方法。
【請求項18】
アッセイ媒体が、約800nmで高い吸収作用を有する請求項17に記載の方法。
【請求項19】
30℃〜40℃の温度範囲で行われ、
血小板含有血液サンプル、付着GPIIb/IIIa受容体リガンドを含む粒子、ADP、及び、PGE1間の接触時からリーディングまでの全時間が、約10秒間〜約10分間で変動する請求項1又は2に記載の方法。
【請求項20】
粒子上に固定化されたGPIIb/IIIa受容体リガンド、アデノシン二リン酸(ADP)、及び、プロスタグランジンE1(PEG1)を含む、
薬剤溶出性ステント(DES)で処理された個体におけるP2Y12受容体アンタゴニストによる血小板凝集反応の阻害を評価するためのキット。
【請求項21】
血小板凝集反応に適した範囲内で抗凝固処理された血液のpH及び塩濃度を維持するために、抗凝固剤及びバッファーを更に含む請求項20に記載のキット。
【請求項22】
GPIIb/IIIa受容体リガンドが、フィブリノーゲン、モノクローナル抗体10E5、モノクローナル抗体c7E3、フォンヴィレブランド因子、フィブロネクチン、ビトロネクチン、アルギニン-グリシン-アスパラギン酸(RGD)配列を有するリガンド、及び、RGD配列を模倣したペプチド模倣薬又はペプチドからなる群から選択される物質を含む請求項20に記載のキット。
【請求項23】
GPIIb/IIIa受容体リガンドが、フィブリノーゲンを含む請求項20に記載のキット。
【請求項24】
粒子が、ポリスチレン、又は、ラテックスを含む請求項20に記載のキット。
【請求項25】
粒子が、約1μm〜約8μmの範囲の直径を有する請求項20に記載のキット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−526300(P2010−526300A)
【公表日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−506656(P2010−506656)
【出願日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際出願番号】PCT/US2008/062297
【国際公開番号】WO2008/137600
【国際公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【出願人】(507354611)アキュメトリックス インコーポレイテッド (6)
【Fターム(参考)】