説明

薬剤組成物

ある種の甲状腺ホルモン受容体結合化合物を塩基性充填剤と共に製剤化する組成物が記載される。そのような製剤は、望ましくない反応生成物の形成を妨げるように作用する。これらの組成物は、顆粒または錠剤に形成することができ、場合により腸溶性被覆されていてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤組成物に関する。具体的には、本発明は、薬理活性成分が分解から保護されている薬剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
下記の構造を有する化合物1Aが、
【化1】

WO01/60784に記載されている(IUPAC名3−[[3,5−ジブロモ−4−[4−ヒドロキシ−3−(1−メチルエチル)−フェノキシ]−フェニル]−アミノ]−3−オキソプロパン酸)。化合物1Aおよび一連の関連化合物は、甲状腺ホルモン受容体、具体的にはTRβ受容体のアゴニストとして記載されている。そのような化合物は、代謝機能不全に関連する疾患、またはトリヨードサイロニン(T)調節遺伝子の発現に依存する疾患の治療または予防に有用なはずである。そのような疾患には、たとえば、肥満、高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症、心不整脈、抑うつ症、骨粗鬆症、甲状腺機能低下症、甲状腺腫、甲状腺癌、ならびに緑内障、およびうっ血性心不全が含まれる。化合物1Aおよび関連化合物の製剤は、WO2007/110226に開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
化合物1Aを含有するある種の組成物は、長期保管で変色する傾向のあることが見出されており、これは長期間にわたる組成物の分解を示すものである。さらに、組成物の著しい分解、具体的には活性成分化合物1Aの分解は、それらの組成物が室温で保管されるとき急速に起こり、許容できないレベルの分解を起こすことなく組成物を保管する場合、冷蔵が必要であることも見出されている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1の態様によれば、本発明は、
(i)式Iの化合物、
【化2】

(式中、
は、水素、ハロゲン、トリフルオロメチル、C1−6アルキル、またはC3−7シクロアルキルから選択され、
Xは、酸素(−O−)またはメチレン(−CH−)であり、
およびRは、同じであるかまたは異なり、ハロゲンまたはC1−4アルキルであり、
は、水素またはC1−4アルキルであり、
は、水素またはC1−4アルキルであり、
は、水素、またはアルカノイルもしくはアロイル基、または生物変換によって、遊離フェノール構造(R=H)を生じることのできる他の基である)、
または薬剤として許容されるその塩、もしくはエステル、もしくは溶媒和物、
(ii)薬剤として許容される塩基性粒子状固体、
および、
(iii)場合により1種または複数のさらなる薬剤賦形剤の混合物を含み、
成分(ii)が混合物の少なくとも1重量%を占める、経口投与に適した薬剤組成物を提供する。
【0005】
好ましくは、式Iの化合物は、化合物1A、または薬剤として許容されるその塩、もしくはエステル、もしくは溶媒和物である。
【0006】
驚いたことに、式Iの化合物、および混合物の総重量に対して少なくとも1重量%の薬剤として許容される炭酸カルシウムなどの塩基性粒子状固体の混合物を含む組成物は、そのような塩基性粒子状固体を含まない製剤、具体的にはWO2007/110226に開示されているものなどの組成物と比べて、組成物の分解を著しく低減することが見出された。炭酸カルシウムと混合した式Iの化合物を含む組成物は、特に長期間にわたってかつ/または室温で保管されたとき、増強された保存安定性を有することが見出された。対照的に、マンニトールなどの種々の他の薬剤賦形剤は、式Iの化合物を含む組成物の安定性に有害な影響を及ぼした。具体的には、投与形態の調製時に粉砕された式Iの化合物であっても、薬剤組成物が炭酸カルシウムなどの薬剤として許容される塩基性粒子状固体を含むとき、著しく分解しないことが見出されている。分解は、粉砕された組成物の重大な問題であることがわかっている。本明細書で用いられる用語「粉砕」は、ミルまたは他の粉砕機で固体を摩砕して、微細粉末を形成することを指す。
【0007】
化合物1Aの主な分解生成物は、アセトアミド(化合物2A)を形成するβ−ケトカルボン酸官能基の脱炭酸に起因することが見出されている。化合物1Aを含む薬剤組成物がさらに炭酸カルシウムを含むとき、化合物2Aの形成が著しく遅延されることが見出された。
【0008】
本明細書では、用語「塩基性粒子状固体」は、純水中でアルカリ性のpHを提供する粒子状固体を指す。粒子状固体は、純水に分散または溶解されたとき、アルカリ性のpHを提供する可能性がある。好ましくは、純水中10重量%の塩基性粒子状固体は、pH7.0超、より好ましくは少なくともpH7.5、特に少なくともpH8.0を提供する。好ましくは、純水中10重量%の塩基性粒子状固体は、少なくともpH8.0、好ましくは8.0から12.0、特に8.0から10.0を提供する。本明細書では、用語「酸性」は、水中で酸性のpHを提供する物質に関する。たとえば、純水に分散または溶解されたとき、pH7.0未満、好ましくはpH6.5未満、特にpH6.0未満を提供する物質。中性物質は、水中で中性のpHを提供する物質であり、すなわち、純水に分散または溶解されたとき、pH約7.0を提供する物質である。薬剤として許容される塩基性粒子状固体は、たとえばアルカリ金属(1族)またはアルカリ土類金属(2族)塩であることができる。対応するアニオンは、たとえばpKa値3.6超を有する酸に由来するアニオンであることができる。本明細書では、用語「充填剤」は、薬剤調剤の大半を占めるために用いられる粒子状固体材料に関する。
【0009】
好ましい塩基性粒子状固体には、1族および2族金属炭酸塩、重炭酸塩、およびカルボン酸塩が含まれ、たとえば酢酸塩およびクエン酸塩が含まれる。ある種の硫酸塩、リン酸塩、およびリン酸水素塩も用いることができる。好ましくは、塩基性粒子状固体は、1族または2族金属炭酸塩または重炭酸塩である。適切な塩基性粒子状固体の例には、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、重炭酸マグネシウム、および重炭酸カルシウムが含まれる。さらなる塩基性粒子状固体には、塩基性粘土、たとえばアタパルジャイト、タルク、硫酸カルシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウムなどの塩基性ケイ酸塩、酸化マグネシウムなどの塩基性酸化物、クエン酸ナトリウムまたはカリウム、および塩基性デンプン、たとえばトウモロコシデンプン(maize starch)が含まれる。薬剤として許容される適切な塩基性粒子状固体の他の例は、Handbook of Pharmaceutical Excipients、第5版(2006)、McGraw−Hill Medical刊、New York、USAに記載されている。特に好ましい塩基性粒子状固体には、炭酸カルシウムおよび炭酸マグネシウムが含まれる。純水中の10重量%炭酸カルシウム分散液は、pH約8.3を提供する。組成物は複数の塩基性粒子状固体を含むことができる。薬剤として許容される塩基性粒子状固体は、組成物の分解を軽減するのに十分なレベルで存在する。そのような軽減を達成するのに十分な特定のレベルは、少なくとも部分的に、錠剤または他の固体投与形態の全体の組成によって決まる。ある種のマトリクスでは、化合物1Aなどの式Iの化合物に過剰な塩基性粒子状固体を付与するのに十分な低負荷量で十分であろうが、しかしながら、より高いレベルの塩基性粒子状固体の使用が好ましい。1%以上を含む経口投与形態が本発明に含まれる。好ましくは、薬剤として許容される塩基性粒子状固体は、混合物の少なくとも5重量%、たとえば少なくとも10重量%、たとえば少なくとも20重量%、たとえば少なくとも40重量%、たとえば少なくとも50重量%、たとえば少なくとも60重量%、たとえば少なくとも70重量%を占める。一部の実施形態において、薬剤として許容される塩基性粒子状固体は、混合物の少なくとも80重量%を占める。他の実施形態において、薬剤として許容される塩基性粒子状固体は、混合物の10から20重量%を占める。組成物が混合物に加えてコーティングなどのさらなる成分を含む実施形態において、薬剤として許容される塩基性粒子状固体は、好ましくは全組成物の少なくとも10重量%、20重量%、たとえば少なくとも40重量%、たとえば少なくとも50重量%、たとえば少なくとも60重量%を占める。組成物が混合物に加えてさらなる成分を含む一部の実施形態において、薬剤として許容される塩基性粒子状固体は、全組成物の少なくとも70重量%、たとえば全組成物の少なくとも80%を占める。好ましくは、塩基性粒子状固体は、充填剤として組成物に存在する。所望であれば、薬剤として許容される塩基性粒子状固体以外の充填剤が存在できる。本発明の一実施形態において、組成物、および具体的には式Iの化合物、またはその塩、もしくはエステル、もしくは溶媒和物を含む混合物は、塩基性粒子状固体以外の充填剤、たとえば酸性または中性充填剤を実質的に含まない。他の実施形態において、組成物、特に混合物は、1種または複数の中性充填剤を含有する。
【0010】
驚いたことに、他の一般的な薬剤充填剤は、塩基性粒子状固体ほど組成物の分解の軽減に有効でないことが見出された。具体的には、マンニトールおよびリン酸水素カルシウム(たとえば、無水)は、組成物の安定性に有害な影響を及ぼすことが見出された。好ましくは、組成物、および具体的には式Iの化合物、またはその塩、もしくはエステル、もしくは溶媒和物を含む混合物は、マンニトール、スクロース、グルコース、デキストロース、ラクトース、キシリトール、フルクトース、ソルビトール、リン酸カルシウム、および/または硫酸カルシウムを実質的に含まない。いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、微結晶性セルロースを実質的に含まず、他の実施形態において、組成物は、微結晶性セルロースを含有することができる。たとえば、混合物中の充填剤は、10〜20重量%の塩基性粒子状固体、および80〜90重量%の微結晶性セルロースを含むことができる。
【0011】
本明細書では、用語「実質的に含まない」は、混合物の特定の成分に関して述べるとき、その混合物が混合物の総重量に対してその成分5重量%以下、好ましくは混合物の総重量に対してその成分2重量%以下、より好ましくは1重量%以下、特に0.3重量%以下を含有することを意味する。たとえば、混合物は、混合物の総重量に対してその成分0.1重量%以下を有することができ、一部の実施形態において、混合物は、混合物の総重量に対してその成分0.01重量%以下を有することができる。
【0012】
式Iの化合物、またはその塩、もしくはエステル、もしくは溶媒和物、および塩基性粒子状固体に加えて、本発明の組成物の混合物は、1種または複数のさらなる薬剤賦形剤を含むことができる。好ましいさらなる薬剤賦形剤は、式Iの化合物、またはその塩、もしくはエステル、もしくは溶媒和物の安定性に有害な影響を及ぼすべきではない。さらなる薬剤賦形剤は、好ましくは中性または塩基性である。1種または複数のさらなる薬剤賦形剤は、1種または複数の結合剤、崩壊剤、および潤滑剤を含むことができる。代表的な結合剤には、マルトデキストリンが含まれる。好ましくは、結合剤はマルトデキストリンである。代表的な崩壊剤には、カルボキシメチルセルロースの塩(クロスカルメロース(Croscarmellose)ナトリウムとして市販され入手可能であるナトリウム塩)、カルボキシメチルデンプン誘導体(Primojelとして市販され入手可能であるナトリウム塩など)、およびデンプン(たとえば、トウモロコシデンプン(Maydis amylum)として市販され入手可能なデンプン)が含まれる。好ましくは、崩壊剤は、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルデンプン誘導体、またはデンプンである。好ましくは、潤滑剤はステアリン酸マグネシウムである。組成物中、マルトデキストリン、クロスカルメロースナトリウム、Primojel、トウモロコシデンプン(Maydis amylum)、およびステアリン酸マグネシウムの1種または複数の存在が、式Iの化合物の安定性に有害な影響を及ぼすことは見出されていない。一実施形態において、組成物は、式Iの化合物、炭酸カルシウム、マルトデキストリン、カルボキシメチルセルロース、およびステアリン酸マグネシウムの混合物を含む。
【0013】
一部の実施形態において、本発明の混合物に存在することができるが、本発明の他の実施形態では、好ましくは混合物に不在である成分には、セルロースエーテル(たとえば、商標Hypromellose6で入手可能なデンプンの2−ヒドロキシプロピルメチルエーテル)、マンニトール、セルロース、ラクトース一水和物、リン酸水素カルシウム無水物、無水第二リン酸カルシウム、デンプン、たとえばアルファ化デンプン、ゼラチン、シリカ、ポリエチレングリコール、酢酸フタル酸ポリビニル、および/またはクエン酸トリエチルが含まれる。いくつかの酸性賦形剤は、式Iの化合物と混合されたとき、組成物の安定性に有害な影響を及ぼすことが見出されている。混合物は、酸性賦形剤を実質的に含まない可能性がある。
【0014】
組成物は、活性成分が溶媒と混合される方法で製剤化することができる。微量の溶媒が組成物に存在できる。
【0015】
本発明の第1の態様のいくつかの実施形態において、組成物は抗酸化剤を含むことができる。適切な抗酸化剤には、たとえばアスコルビン酸ナトリウムが含まれる。しかしながら、酸性抗酸化剤の存在は、組成物の安定性に有害である可能性がある。したがって、本発明の一部の実施形態において、式Iの化合物、またはその塩、もしくはエステル、もしくは溶媒和物を含む混合物は、抗酸化剤、特に酸性抗酸化剤を実質的に含まない。
【0016】
本発明のさらなる好ましい実施形態において、組成物は、コアおよびコーティングを含む固体投与形態(たとえば、錠剤またはカプセル剤)に形成される。好ましくは、投与形態は錠剤である。一実施形態において、組成物は被覆錠剤であり、成分(i)、(ii)、および任意の成分(iii)の混合物が錠剤のコアに存在する。成分(i)は、薬剤として許容される塩基性粒子状固体との混合前または混合後に粉砕することができる。
【0017】
種々の賦形剤の存在は、投与形態のコアにおいてそれらの化合物が式Iの化合物、またはその塩、もしくはエステル、もしくは溶媒和物と混合されていないとき、組成物に許容され得ることが見出されている。たとえば、種々の賦形剤がコーティングの成分として存在するとき、それらはコアに存在する式Iの化合物の安定性に有害な影響を及ぼさないことが見出されている。たとえば、クエン酸トリエチルは、組成物の安定性に悪影響を及ぼすことなくコーティングに存在することができるが、一方、錠剤のコアにおけるクエン酸トリエチルの存在は、組成物の分解を増進する可能性がある。コーティングは、たとえばメタクリル酸−アクリル酸エチルコポリマー(1:1)、タルク(ケイ酸マグネシウム)、クエン酸トリエチル、およびOpadry(登録商標)AMB(Colorcon、PA、USAから入手可能なコーティング材料)の1種または複数を含むことができる。式Iの化合物を含有するコアを含む組成物のコーティングにおけるステアリン酸、Opadry AMB、クエン酸、およびタルクの存在が、安定性に有害であることは見出されていない。
【0018】
一実施形態において、組成物は、腸溶性コーティングを備えている。好ましくは、組成物は、腸溶性被覆錠剤である。腸溶性コーティングは、好ましくは、そのような目的のために製造された市販され入手可能な任意のポリマーを用いて形成される。そのようなポリマーの例として、アクリラート、メタクリラート、またはそのコポリマーをベースとするもの(Degussa/RoehmからEudragit(登録商標)の名称で市販されている一連の腸溶性コーティングポリマーなど)、酢酸フタル酸ポリビニル、酢酸フタル酸セルロース、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸コハク酸ヒドロキシメチルセルロース、およびカルボキシメチルエチルセルロースを挙げることができる。様々なpH範囲で溶解する様々なコーティングを様々な適用例で用いることができる。特定の実施形態において、腸溶性コーティングは、メタクリル酸−アクリル酸エチルコポリマーを含む。そのようなコポリマーの構成モノマーは1:1の比率で存在することができる。腸溶性コーティングはまた、好ましくは、タルクなどの流動促進剤(glidant)成分を含有する。可塑剤も有利に包含することができる。適切な可塑剤はクエン酸トリエチルである。
【0019】
ほとんどの状況で、式Iの化合物、またはその塩、もしくはエステル、もしくは溶媒和物を含有する組成物部分と腸溶性コーティングとの間に不活性コーティングを提供するのが好ましい可能性がある。好ましくは、不活性コーティングは、投与形態のコアと腸溶性コーティングとの間に提供される。腸溶性コーティングは典型的に酸性ポリマーからなり、したがって、本質的にある種の活性成分に有害な変化をもたらす可能性がある。同様に、塩基性錠剤コアは、腸溶性コーティングに有害な変化をもたらし得る。挿入された不活性コーティング(たとえば、ヒドロキシプロピルセルロースまたはヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのセルロース誘導体から作られる)は、そのような相互作用を阻害する傾向がある。不活性コーティングは、錠剤コアと腸溶性コーティング両方の成分との反応に耐性のものである。不活性コーティングは当然ながら、活性成分が放出されるように、腸媒体に可溶性(または分散性)であるべきである。適切なコーティング材料には、PVA−PEGグラフトコポリマー、セルロースエーテル、ヒプロメロースフタル酸エステル、酢酸フタル酸セルロース、ヒプロメロース、マルトデキストリン、ポリデキストロースポリビニルピロリドン、およびシェラックが含まれる。不活性コーティングとして用いるのに適した市販され入手可能な材料には、たとえば、商標Aquacoat AS−LG(FMCから入手可能)、Kollicoat IR(BASFから入手可能)、およびSepifilmとして市販されているものが含まれる。
【0020】
本明細書では、用語「腸溶性コーティング」には、投与形態が他の点では本質的に完成した時点で組成物/投与形態に適用されるコーティング、および投与形態製造の中間段階で適用されるコーティングが含まれることが意図される。したがって、式Iの化合物、またはその塩、もしくはエステル、もしくは溶媒和物を賦形剤と共に顆粒に製剤化し、次いでそれを腸溶性被覆し、その後錠剤に圧縮するか、またはたとえばゼラチンカプセルなどのカプセルに充填するなどさらなる加工を行う組成物が含まれる。用語「腸溶性コーティング」はさらに、特定の崩壊および溶解特性を示すコーティングを明示することを意図するものであることを当業者は理解するであろう。本発明は、具体的には式Iの化合物などの錠剤コア成分を、GI(胃腸)管の酸性環境への暴露から有効に保護する溶解特性を有する、そのような腸溶性コーティングに関する。pH値5超でのみ溶解もしくは崩壊、または分散するコーティングが好ましい。そのようなコーティングは、pH値5.5超、たとえばpH6超、またはpH6.5超で溶解する可能性がある。様々な等級および種類のそのような腸溶性コーティングの混合物が本発明に含まれる。
【0021】
第2の態様によれば、本発明は、式Iの化合物、またはその塩、もしくはエステル、もしくは溶媒和物、および薬剤として許容される塩基性粒子状固体を混合するステップを含む、経口投与に適した薬剤組成物を調製する方法を提供する。さらなる薬剤賦形剤もこれらの成分と混合することができる。この方法は、式Iの化合物、またはその塩、もしくはエステル、もしくは溶媒和物を粉砕するステップを含むことができる。この方法は、混合物を粉砕するステップを含むことができ、または薬剤として許容される塩基性粒子状固体と混合する前に、式Iの化合物、またはその塩、もしくはエステル、もしくは溶媒和物を粉砕するステップを含むことができる。この方法は、混合物を粒状化するステップを含むことができる。この方法は、顆粒にコーティング(たとえば、不活性コーティングまたは腸溶性コーティング)を提供するステップを含むことができる。この方法はさらに、混合物を固体単位投与形態に加工するステップを含むことができる。混合物の固体単位投与形態への加工は、混合物を粒状化するステップを含むことができる。混合物または顆粒を固体単位投与形態(たとえば、錠剤)コアに形成することができる。この方法は、固体単位投与形態コアにコーティングを提供するステップを含むことができる。好ましくは、この方法は、固体単位投与形態コアに不活性コーティングを提供するステップを含む。好ましくは、この方法は、固体単位投与形態コアに腸溶性コーティングを提供するステップを含む。
【0022】
本発明はさらに、(i)式Iの化合物、または薬剤として許容されるその塩、もしくはエステル、もしくは溶媒和物、および(ii)薬剤として許容される塩基性粒子状固体を含む、経口投与に適した薬剤組成物を調製する方法であって、
a.場合により薬剤として許容される塩基性粒子状固体と結合剤を混合するステップ、
b.成分(i)を溶媒に溶解するステップ、
c.ステップ(b)の溶媒中の成分(i)の溶液を、任意のステップ(a)で場合により結合剤と混合されている成分(ii)と混合して、湿潤塊を形成するステップ、
d.場合によりステップ(c)の湿潤塊を粒状化するステップ、
e.ステップ(c)の湿潤塊、または任意のステップ(d)の顆粒を乾燥するステップ、
f.場合により混合物を摩砕する、または粉砕する、またはふるいにかけるステップ、
g.場合により崩壊剤を添加し、混合するステップ、
h.場合により潤滑剤を添加し、混合するステップ、
i.混合物を錠剤に形成するステップ、
j.場合により錠剤を不活性コーティングで被覆するステップ、
および、
k.錠剤を腸溶性コーティングで被覆するステップを含む方法を提供する。
【0023】
いくつかの好ましい式Iの化合物において、Rは、イソプロピル、ヨード、またはHである。加えて、またはあるいは、RおよびRはそれぞれ独立してハロゲンまたはアルキルであることが好ましい可能性がある。そのような場合、RおよびRは、好ましくはそれぞれ独立してCl、Br、I、またはメチルである。いくつかの好ましい実施形態において、R=Rである。R=R=BrまたはClが特に好ましい。Rは、好ましくはHまたはメチルであり、Hが特に好ましい。Rは、好ましくはHである。
【0024】
単独または別の基の一部として本明細書で用いられる用語「アルカノイル」は、カルボニル基に結合しているアルキルである。単独または別の基の一部として本明細書で用いられる用語「アロイル」は、カルボニル基に結合しているアリールである。別段の指示のないかぎり、単独または別の基の一部として本明細書で用いられる用語「アルキル」または「アルク(alk)」には、鎖に1から12個の炭素、好ましくは1から4個の炭素を含有する、直鎖および分岐鎖両方の炭化水素が含まれる。単独または別の基の一部として本明細書で用いられる用語「アリール」は、環部分に6から10個の炭素を含有する単環式および二環式芳香族基を指し、利用可能な炭素原子を介して、水素、ハロ、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、アルケニル、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、アルキニル、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、シアノ、および/もしくはカルボキシル、またはそのアルキルエステルから選択された1、2、または3個の基で場合により置換されていてもよい。
【0025】
式Iの化合物がエステルの形態で存在するとき、そのアルキルエステル、特にC1−4アルキルエステルが好ましい。
【0026】
好ましくは、式Iの化合物は、遊離酸または塩、特にカルシウム塩である。式Iの化合物のカルシウム塩、たとえば化合物1Aのカルシウム塩などは新規であると考えられている。したがって本発明は、前記カルシウム塩自体を提供し、さらに1種または複数の薬剤賦形剤と共に、式Iの化合物のカルシウム塩、特に式IAの化合物のカルシウム塩を含む、経口投与に適した薬剤組成物を提供する。
【0027】
式Iの化合物が薬剤として許容される塩の形態で存在するとき、そのような塩は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属塩などの金属塩、たとえばナトリウム、カリウム、カルシウム、もしくはマグネシウム塩、あるいはアンモニアとの塩、またはモルホリン、チオモルホリン、ピペリジン、ピロリジン、モノ、ジ、もしくはトリ低級アルキルアミン、たとえばエチル、tert−ブチル、ジエチル、ジイソプロピル、トリエチル、トリブチル、もしくはジメチルプロピルアミン、またはモノ、ジ、もしくはトリヒドロキシ低級アルキルアミン、たとえばモノ、ジ、もしくはトリエタノールアミンなどの有機アミンとの塩を含むことができる。式Iの化合物の好ましい塩には、ナトリウム、カリウム、カルシウム、およびマグネシウム塩、ならびに薬剤として許容される有機アミンとの塩が含まれる。カルシウム塩が特に好ましい。化合物1Aのカルシウム塩は、特に分解に対して耐性であることが見出されている。
【0028】
式Iの化合物は所望であれば、当然ながら溶媒和されていてよく、たとえば水和物を本発明に用いることができる。
【0029】
本発明はまた、療法に使用するための、本発明による組成物を提供する。
【0030】
本発明はまた、代謝機能不全に関連する疾患、またはトリヨードサイロニン(T)調節遺伝子の発現に依存する疾患を予防、抑制、または治療する薬剤の調製における本発明による組成物の使用を提供する。この疾患は、肥満、高コレステロール血症、脂質異常症、アテローム性動脈硬化症、心不整脈、抑うつ症、骨粗鬆症、甲状腺機能低下症、甲状腺腫、甲状腺癌、ならびに緑内障、およびうっ血性心不全から選択することができる。同様に、本発明はまた、代謝機能不全に関連する疾患、またはトリヨードサイロニン(T)調節遺伝子の発現に依存する疾患を予防、抑制、または治療する方法を提供し、この方法は、そのような予防、抑制、または治療を必要とする対象に、本発明による組成物を投与することを含む。
【0031】
直前に記載した使用および方法において、薬剤または組成物は、30分から1カ月の投与間隔で投与することができる。より好ましくは、投与間隔は、1から7日、さらに好ましくは1から3日である。典型的な成人の化合物(i)の用量範囲は、1日当たり約1μgから約2000μgとなる。多くの化合物(i)の場合、日用量は、300μg未満となる。好ましくは、化合物(i)の用量は、1日当たり約1μgから約200μg、より好ましくは1日当たり約1から約100μgである。たとえば、化合物(i)は、1日当たり1回用量、2回用量、3回用量、または4回用量で投与することができる。好ましくは、組成物の単位用量当たりの化合物(i)の量は、1から200μg、より好ましくは1から100μg、より好ましくは1、5、10、20、25、または50μgである。たとえば、単位用量当たりの化合物(i)の量は、10から100μg、たとえば20から80μg、典型的には25から50μgであることができる。
【0032】
本発明による組成物は、スタチン、たとえばアトルバスタチンまたはシンバスタチンを含む脂質低下剤、抗糖尿病剤、抗うつ剤、骨吸収抑制剤、食欲抑制剤、および/または抗肥満剤から選択されたさらなる薬理活性成分も含むことができる。特に好ましい実施形態において、本発明による組成物は、抗高脂血症剤エゼチミブも含むことができる。
【0033】
さらなる薬理活性成分は、その代謝効果を高めるような、式Iの化合物、またはその塩、もしくはエステル、もしくは溶媒和物との相加効果または相乗効果を有する傾向がある。さらに他の態様において、本発明は、
(1)薬剤として許容される塩基性粒子状固体と混合され、上記のとおりである、式Iの化合物、または薬剤として許容されるその塩、もしくはエステル、もしくは溶媒和物を含む第1薬剤組成物、
および、
(2)少なくとも1種の抗酸化剤を含む第2薬剤組成物を含み、
第2薬剤組成物は、少なくとも1種の薬剤として許容される賦形剤を含有し、第1および第2薬剤組成物は、同時、逐次的、または別個に投与することのできる、経口投与に適した併用薬剤を提供する。
【0034】
本発明の併用薬剤は、WO2007/110226に記載されているように、式Iの化合物、または塩、もしくはエステル、もしくは溶媒和物が酸および亜硝酸塩源と接触するとき、望ましくは抗酸化剤が存在するべきであるという事実を利用している。胃に滞留する期間が重複するように、併用薬剤の2種の組成物が時間的に近接して投与されるならば、活性化合物はニトロ化反応に対する少なくともある程度の安定化を享受するはずである。
【図面の簡単な説明】
【0035】
本発明をここで単に例として、添付の図面を参照してより詳細に記載する。
【図1】新しく調製した化合物1Aの試料のHPLCトレースを示す図である。
【図2】4週間保管後の実施例1の試料1のHPLCトレースを示す図である。
【図3】4週間保管後の実施例1の試料2のHPLCトレースを示す図である。
【図4】4週間保管後の実施例1の試料3のHPLCトレースを示す図である。
【図5】4週間保管後の実施例1の試料4のHPLCトレースを示す図である。
【図6】4週間保管後の実施例1の試料5のHPLCトレースを示す図である。
【図7】4週間保管後の実施例1の試料6のHPLCトレースを示す図である。
【図8】4週間保管後の実施例1の試料7のHPLCトレースを示す図である。
【図9】4週間保管後の実施例1の試料8のHPLCトレースを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下の材料を実施例で使用し、かつ/または上で言及する。
クロスカルメロースナトリウム=CAS74811−65−7、セルロース、カルボキシメチルエーテル、ナトリウム塩、架橋
Primojel=CAS9063−38−1、カルボキシメチルデンプンナトリウム
トウモロコシデンプン(Maydis amylum)=CAS9005−25−8、デンプン
マルトデキストリン=CAS9050−36−6、マルトデキストリン
ステアリン酸マグネシウム=CAS557−04−0、オクタデカン酸マグネシウム
ヒプロメロース=CAS9004−65−3、セルロース、2−ヒドロキシメチルエーテル
マンニトール=CAS69−65−8、D−マンニトール
微結晶性セルロース(Cellulosum microcrist)=CAS9004−34−6、セルロース
ラクトース一水和物=CAS64044−51−5、O−β−D−ガラクトピラノシル−(1→4)−α−D−グルコピラノース一水和物、無水形態はCAS63−42−3 O−β−D−ガラクトピラノシル−(1→4)−α−D−グルコピラノース無水物
アルファ化(pregel)デンプン=CAS9005−25−8、アルファ化デンプン
Opadry AMB=Colorcon、PA、USAから入手可能な水溶性コーティング材料
Eudragit L30−D50=Ph.Eur.2.2.3.に従って求めたPh2.1〜3.0を有する、Degussa/Roehm GmbH&Co.KG、Darmstadt、Germany Readyから入手可能であるメタクリル酸−アクリル酸エチルコポリマー(1:1)
【実施例1】
【0037】
種々の賦形剤と混合時の化合物IAの適合性
1.1−序論
この試験の目的は、溶媒に溶解し、種々の賦形剤配合物と混合したときの式IAの化合物の安定性を実証することである。
【0038】
1.2−試料の調製
粉砕していない化合物1Aの試料1mgをエタノールと水の1:1混合物に溶解し、その溶液を表1に記載した賦形剤の乾燥混合物に添加し、スパチュラで混合することによって、比較試料1および試料2から6を調製した。粉砕した化合物1Aの試料1mgをエタノールと水の1:1混合物に溶解し、その溶液を表1に記載した賦形剤の乾燥混合物に添加し、スパチュラで混合することによって、試料7を調製した。
【0039】
粉砕していない化合物1Aの試料1mgをエタノールに溶解し、その溶液を表1に記載した賦形剤の乾燥混合物に添加し、スパチュラで混合することによって、試料8を調製した。
【0040】
粒状化適合性試験における賦形剤の指標量
【表1】

1)顆粒はマルトデキストリン9%を含む炭酸カルシウムを含有する。
2)粉砕した化合物1Aとの乾燥混合物
3)化合物1Aをエタノール280μlに溶解し、水は添加しなかった。
【0041】
試料1から8を40℃で一晩、箱型乾燥器で乾燥して液体を除去し、その後、50℃および相対湿度75%で、開封バイアル中に保管した。次いで、2週または4週後に試料を取り出し、分析に先立って、4日間室温で保管した。
【0042】
化合物1Aと賦形剤の配合物をガラス製メスフラスコに移し、50/50アセトニトリル/水中の0.05%トリフルオロ酢酸(TFA)溶液で容量10mlに希釈して、化合物1Aの1mg/ml溶液を得た。磁気攪拌機を用いてこの溶液を20分間攪拌し、5分間放置した後、プラスチック製シリンジを用いて1mlのアリコートを取った。HPLC分析のために、0.45μmシリンジフィルタを通して、アリコートをアンバーガラス製バイアルに濾過した。
【0043】
1.3−結果
2週間および4週間保管した試料のHPLC分析の結果を下記の表2に示す。検出された主な分解生成物は化合物2Aであり、したがって分解生成物である化合物2Aのトレースの面積を化合物1Aのトレースの面積と比較した。化合物2Aは、化合物1Aが脱炭酸されるときに形成されるアセトアミドである。
【0044】
化合物1Aによる顆粒適合性試験の結果
【表2】

1)化合物1Aの初期濃度は0.2%である。
2)粉砕した化合物1A1mgを混合物に添加した。
【0045】
最終薬物生成物が許容されるためには、分解化合物2Aの濃度は、化合物1Aの2.0面積%以下、特に化合物1Aの1.5面積%以下であるべきである。
【0046】
化合物1Aをエタノール/水1:1に溶解し、「湿潤」配合物と混合した試料2、3、4、および6は、特に低い分解レベルを示した。ヒプロメロースおよび微結晶性セルロースと組み合わせた比較試料1は、化合物1Aが安定でないことを実証した。
【0047】
1.5−結論
この研究の結果は、エタノール/水1:1に溶解し、炭酸カルシウムと共に粒状化したとき、化合物1Aが安定であることを示している。
【0048】
式1Aの化合物と混合した薬剤として許容される塩基性粒子状固体の存在は、化合物2Aを形成する脱炭酸にあまり好適でない条件を提供する可能性がある。さらに、塩基性粒子状固体、具体的には炭酸カルシウムは、式IAの化合物の結晶構造に影響を及ぼし、脱炭酸反応にあまり好適でない形態を生じる可能性のあることが推測される。
【実施例2】
【0049】
粉砕時の化合物1Aの安定性
2.1−序論
炭酸カルシウムと組み合わせた、粉砕した化合物1Aおよび粉砕していない化合物1Aの安定性を調べる。
【0050】
2.2−試料の調製
炭酸カルシウム1092mgおよび化合物1A(粉砕または未粉砕)1を含有する試料を調製し、アンバーガラス製小瓶に秤量した。試料を50℃および相対湿度75%で、開封バイアル中に保管した。次いで、2週または4週後に試料を取り出し、分析に先立って4日間室温で保管し、50℃および相対湿度75%で、開封バイアル中に保管した。化合物1Aと炭酸カルシウムの配合物をガラス製メスフラスコに移し、50/50アセトニトリル/水中の0.05%トリフルオロ酢酸(TFA)溶液で容量10mlまたは100mlに希釈して、化合物1Aの1mg/ml溶液を得た。磁気攪拌機を用いてこの溶液を20分間攪拌し、5分間放置した後、プラスチック製シリンジを用いて1mlのアリコートを取った。HPLC分析のために、0.45μmシリンジフィルタを通して、アリコートをアンバーガラス製バイアルに濾過した。
【0051】
2.3−結果
初期、または50℃および相対湿度75%で2週間もしくは4週間開封バイアルに保管した後のいずれにおいても、炭酸カルシウムと混合した化合物1Aの粉砕および未粉砕の試料間に安定性の相違は検出されなかった。2週および4週後の粉砕および未粉砕試料の両方で、化合物1Aと比較した化合物2Aの面積%は初期濃度0.2のままであった。
【実施例3】
【0052】
化合物1Aを含む腸溶性被覆錠剤
炭酸カルシウムと混合した化合物1A25または50μgを含む錠剤コアに、コーティングパンを用いて、メタクリル酸−アクリル酸エチルコポリマーを含む腸溶性コーティングを首尾よく提供した。4週間の室温での保管で、腸溶性被覆錠剤の変色は観察されなかった。
【実施例4】
【0053】
挿入された不活性層を有する腸溶性被覆錠剤
この実施例では、量はすべて投与単位当たりのmgで示す。炭酸カルシウム(充填剤、122.8)およびマルトデキストリン(結合剤、12.15)を、高剪断ミキサで乾燥混合した。ミキサを用いて、化合物1A(0.025)を精製水(15)およびエタノール(10)の配合物に溶解し、その溶液を攪拌しながら、炭酸カルシウムとマルトデキストリンの混合物に添加した。得られた湿潤塊を粒状化し、流動層乾燥器を用いて乾燥し、ミルを通してふるいにかけた。その後ふるいにかけた顆粒を、ダブルコーンブレンダを用いてクロスカルメロースナトリウム(崩壊剤)(4.2)と混合し、得られた混合物をダブルコーンブレンダでステアリン酸マグネシウム(潤滑剤、0.85)と混合した。得られた粉末配合物を、回転式錠剤プレス機を用いて、錠剤に圧縮した。
【0054】
コーティングパンを用いて、不活性コーティングOpadry AMB(登録商標)(6.0)を得られた錠剤コアに適用した。タルク(流動促進剤、7.0)およびクエン酸トリエチル(可塑剤、1.4)と共に、Eudragit L30−D55(登録商標)1:1メタクリル酸−アクリル酸エチルコポリマー(25.0)30%分散液を用いて、コーティングパンでさらに腸溶性コーティングを適用した。
【0055】
化合物1Aの含有量が0.050mg/単位であったことを除いて、錠剤の第2バッチをまったく同じ方法で調製した。
【0056】
満足できる安定な錠剤が得られた。
【0057】
化合物1A50μgを含有する腸溶性被覆錠剤で、長期保管試験を行った。化合物1A初期含有量の正規変動は47.5〜52.5である。30℃および相対湿度65%で9カ月間保管した後、測定された化合物1Aの含有量は48.8であった。錠剤の視角的外観に変化は認められなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)式Iの化合物、
【化1】


(式中、
は、水素、ハロゲン、トリフルオロメチル、C1−6アルキル、またはC3−7シクロアルキルから選択され、
Xは、酸素(−O−)またはメチレン(−CH−)であり、
およびRは、同じであるかまたは異なり、ハロゲンまたはC1−4アルキルであり、
は、水素またはC1−4アルキルであり、
は、水素またはC1−4アルキルであり、
は、水素、またはアルカノイルもしくはアロイル基、または生物変換によって、遊離フェノール構造(R=H)を生じることのできる他の基である)、
または薬剤として許容されるその塩、もしくはエステル、もしくは溶媒和物、
(ii)薬剤として許容される塩基性粒子状固体、
および、
(iii)場合により1種または複数のさらなる薬剤賦形剤の混合物を含み、
成分(ii)が混合物の少なくとも1重量%を占める、経口投与に適した薬剤組成物。
【請求項2】
成分(ii)が、混合物の少なくとも40重量%を占める、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
成分(i)が、
【化2】



または薬剤として許容されるその塩、もしくはエステル、もしくは溶媒和物である、請求項1または請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
成分(ii)が、1族または2族金属炭酸塩または重炭酸塩である、請求項1〜3のいずれかに記載の組成物。
【請求項5】
成分(ii)が炭酸カルシウムである、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
薬剤として許容される塩基性粒子状固体が、混合物の少なくとも70重量%を占める、請求項1〜5のいずれかに記載の組成物。
【請求項7】
混合物が、塩基性粒子状固体以外の充填剤を実質的に含まない、請求項1〜6のいずれかに記載の組成物。
【請求項8】
成分(i)が粉砕されている、請求項1〜7のいずれかに記載の組成物。
【請求項9】
成分(iii)が、1種または複数の結合剤、崩壊剤、および潤滑剤を含む、請求項1〜8のいずれかに記載の組成物。
【請求項10】
結合剤がマルトデキストリンであり、崩壊剤がカルボキシメチル化セルロース、カルボキシメチルデンプン、またはデンプンであり、かつ/または潤滑剤がステアリン酸マグネシウムである、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
コアおよびコーティングを含み、成分(i)および(ii)、ならびに任意の成分(iii)の混合物がコアに存在する、請求項1〜10のいずれかに記載の組成物。
【請求項12】
腸溶性コーティングを含む、請求項10に記載の組成物。
【請求項13】
コアと腸溶性コーティングの間に挿入された不活性コーティングを含む、請求項11に記載の組成物。
【請求項14】
脂質低下剤、抗糖尿病剤、抗うつ剤、骨吸収抑制剤、食欲抑制剤、および/または抗肥満剤から選択されたさらなる薬理活性成分も含む、請求項1〜13のいずれかに記載の組成物。
【請求項15】
請求項1〜7のいずれか一項に定義された成分(i)および(ii)を混合することを含む、経口投与に適した薬剤組成物を調製する方法。
【請求項16】
(i)および(ii)の混合物を錠剤コアに形成するステップを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
錠剤コアに腸溶性コーティングを提供するステップを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
成分(i)を粉砕するステップを含む、請求項15〜17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
a.場合により薬剤として許容される塩基性粒子状固体と結合剤を混合するステップ、
b.成分(i)を溶媒に溶解するステップ、
c.ステップ(b)の溶媒中の成分(i)の溶液を、任意のステップ(a)で場合により結合剤と混合されている成分(ii)と混合して、湿潤塊を形成するステップ、
d.場合によりステップ(c)の湿潤塊を粒状化するステップ、
e.ステップ(c)の湿潤塊、または任意のステップ(d)の顆粒を乾燥するステップ、
f.場合により混合物を粉砕するステップ、
g.場合により崩壊剤を添加し、混合するステップ、
h.場合により潤滑剤を添加し、混合するステップ、
i.混合物を錠剤に形成するステップ、
j.場合により錠剤を不活性コーティングで被覆するステップ、
および
k.錠剤を腸溶性コーティングで被覆するステップを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
療法に使用するための、請求項1〜14のいずれかに記載の組成物。
【請求項21】
請求項1〜14のいずれかに記載の組成物を投与することを含む、代謝機能不全に関連する疾患、またはトリヨードサイロニン(T)調節遺伝子の発現に依存する疾患を予防、抑制、または治療する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2011−506373(P2011−506373A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−537329(P2010−537329)
【出願日】平成20年12月15日(2008.12.15)
【国際出願番号】PCT/EP2008/010636
【国際公開番号】WO2009/077147
【国際公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【出願人】(500561610)カロ バイオ アクチェブラーグ (17)
【Fターム(参考)】